WO2013035798A1

WO2013035798A1 - アクチュエーターおよび車輌用前照灯

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Publication number: WO2013035798A1
Application number: PCT/JP2012/072772
Authority: WO
Inventors: 計一田島; 茂桑原
Original assignee: 株式会社小糸製作所
Priority date: 2011-09-07
Filing date: 2012-09-06
Publication date: 2013-03-14
Also published as: CN103782087B; CN105650573A; US20140198516A1; EP2754951A1; EP2754951A4; CN105650573B; EP2754951B1; US9494289B2; CN103782087A

Abstract

　連結部材３７は、第１の被駆動部４２ａと、ランプユニット１０に連結される出力軸部４１とを有し、出力軸部の軸中心４１ｃを基準として水平方向において回動可能とされる。被駆動部材３９は、軸中心に一致する回動中心４８ｃの第１の側に配置された第２の被駆動部５０ａと、第１の側の反対側である回動中心の第２の側に配置された従動部４９ａとを有し、連結部材に対して回動中心を基準として回動可能とされる。作用部２６ｄは、従動部に係合される。第１の駆動体３５は、第１の被駆動部に係合され、連結部材を軸中心を基準として被駆動部材に対して回動させる。第２の駆動体３６は、第２の被駆動部に係合され、被駆動部材を連結部材に対して回動させる。第２の駆動体によって被駆動部材が回動される際に、従動部に係合された作用部は、回動中心を第２方向に直線移動させ、連結部材は、被駆動部材とともに第２方向へ移動されるようにした。

Description

アクチュエーターおよび車輌用前照灯

　本発明は、アクチュエーターおよび車輌用前照灯に関する。

　車輌用前照灯として、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源や光源から出射された光を反射するリフレクターを有するランプユニットが配置されたもの知られている。

　ランプユニットは、ブラケット等の支持体に回動自在（傾動自在）に支持され、アクチュエーターの駆動力によって回動される（例えば、特許文献１および特許文献２参照）。　

　ランプユニットがスイブル軸を支点として回動される車輌用前照灯には、スイブル軸が水平方向へ回動可能にブラケットに支持され、スイブル軸のブラケットからの脱落を防止する軸押さえ部材がブラケットに取り付けられたものが知られている（例えば、特許文献３参照）。

　このような車輌用前照灯においては、ランプユニットがアクチュエーターによって上下方向へ回動（傾動）されることにより、車載物の重量によって変化する光軸のズレを調整する、所謂レベリング調整（レベリング動作）が行われる。また、ランプユニットがアクチュエーターによって左右方向へ回動されることにより、車輌の走行方向に追従して光軸の向きを変化させる、所謂スイブル調整（スイブル動作）が行われる。

　特許文献１に記載された車輌用前照灯のアクチュエーターにあっては、出力ギヤの左右両側に一対のギヤ部が設けられ、各ギヤ部にそれぞれ前後方向へ移動可能とされたラック部材が噛合されている。二つのラック部材が前後方向において同期して同じ方向へ移動されることにより出力ギヤが前後方向へ移動され、ランプユニットが上下方向へ回動されてレベリング動作が行われる。また、二つのラック部材が前後方向において同期して逆の方向へ移動されることにより出力ギヤが回動され、ランプユニットが左右方向へ回動されてスイブル動作が行われる。

　一方、特許文献２に記載された車輌用前照灯のアクチュエーターにあっては、出力ギヤの側方と後方にそれぞれウォームと軸部を有する二つの駆動部が設けられている。側方に位置するウォームが軸部と一体になって前後方向へ移動可能とされ、後方に位置する軸部が出力ギヤを保持するスライド部材に連結されている。出力ギヤの後方に位置するウォームの回転により後方に位置する軸部が前後方向へ移動されることにより、出力ギヤとスライド部材が一体となって前後方向へ移動される。これによりランプユニットが上下方向へ回動されてレベリング動作が行われる。このとき側方に位置するウォームとギヤ部が一体になって前後方向へ移動される。また、側方に位置するウォームの回転により出力ギヤが回動され、ランプユニットが左右方向へ回動されてスイブル動作が行われる。

日本国特開２００７－１２８８５６号公報日本国特開２００９－１８３０３３号公報日本国特開２００８－９４１９６号公報

　特許文献１に記載されたアクチュエーターにあっては、レベリング動作とスイブル動作の何れの動作においても二つのラック部材を前後方向へ移動させる必要がある。また、二つのラック部材を同期して移動させる必要があるため、制御動作が複雑になることが避けられない。

　一方、特許文献２に記載されたアクチュエーターにあっては、一方の駆動部が出力ギヤの後方に位置されているため、前後方向の寸法が大きくなることが避けられない。

　よって本発明は、アクチュエーターおよび車輌用前照灯の小型化と制御動作の簡素化の両立を図りうる技術を提供することを第１の目的とする。

　上記のような車輌用前照灯においては、例えば、車輌の走行の開始時等において、ランプユニットの光軸調整を行う準備動作としてランプユニットの初期位置の検出が行われる。レベリング動作においては、ランプユニットを上方又は下方へ回動させてランプユニットやアクチュエーターの所定の部分をストッパーに突き当て、突き当てられた位置を初期位置とする。また、スイブル動作においては、ランプユニットを左方又は右方へ回動させてランプユニットやアクチュエーターの所定の部分をストッパーに突き当て、突き当てられた位置を初期位置とする。

　そして検出された初期位置を基準として、ランプユニットが上下方向又は左右方向へ所定の量だけ回動され、レベリング動作又はスイブル動作が行われる。

　ランプユニットを回動させて所定の部分をストッパーに突き当てて初期位置の検出を行う場合には、ランプユニットが前方又は後方、左方又は右方における各回動限界まで回動される。したがって初期位置の検出に時間を要する。

　また、ランプユニットが回動限界まで回動される際に、光軸が大きく傾いて光が不必要な方向へ照射され、前方車両や歩行者等に対する幻惑光を発生するおそれがある。

　よって本発明は、ランプユニットの初期位置の検出に要する時間を短縮し、かつ幻惑光の発生を防止しうる技術を提供することを第２の目的とする。　

　特許文献３に記載された車輌用前照灯にあっては、被支持部が略半球状に形成されて被支持部が前方へ張り出しているため、被支持部の前方に配置される周辺部品と干渉する場合がある。

　また、特許文献３に記載された車輌用前照灯にあっては、被支持部が略半球状に形成され、軸押さえ部材の平板状の部分によって上方から押さえられている。このような構造においては、車輌の走行時の振動やランプユニットの慣性により、ランプユニットとスイブル軸が一体になって過度に回動されるおそれがある。そこでランプユニットに突起部を設け、突起部がブラケットに接触されることによりランプユニットの過度の回動を防止しようとすると、灯具外筐の内部の構造が複雑になることが避けられない。

　よって本発明は、ランプユニットの過度の回動を規制すると共に、周辺部品との干渉回避を、簡素な構造で実現しうる技術を提供することを第３の目的とする。

　上記第１の目的を達成するために、本発明がとりうる第１の態様は、アクチュエーターであって、
　ランプユニットに連結される出力軸部、および第１の被駆動部を有し、前記出力軸部の軸中心を基準として第１方向において回動可能とされた連結部材と、
　前記軸中心に一致する回動中心の第１の側に配置された第２の被駆動部、および前記第１の側の反対側である前記回動中心の第２の側に配置された従動部を有し、前記連結部材に対して前記回動中心を基準として回動可能とされた被駆動部材と、
　前記従動部に係合される作用部と、
　前記第１の被駆動部に係合され、前記連結部材を前記軸中心を基準として前記被駆動部材に対して回動させる第１の駆動体と、
　前記第２の被駆動部に係合され、前記被駆動部材を前記連結部材に対して回動させる第２の駆動体とを備え、
　前記第２の駆動体によって前記被駆動部材が回動される際に、前記従動部に係合された前記作用部は、前記回動中心を第２方向に直線移動させ、前記連結部材は、前記被駆動部材とともに前記第２方向へ移動されるようにしたものである。

　上記第１の目的を達成するために、本発明がとりうる第２の態様は、車輌用前照灯であって、
　開口を有するランプハウジング、および前記ランプハウジングの開口を閉塞するカバーを備える灯具外筐と、
　前記灯具外筐の内部に配置され、光源を有するランプユニットと、
　前記光源から出射される光の照射方向を調整するアクチュエーターとを備え、
　前記アクチュエーターは、
　　前記ランプユニットに連結される出力軸部、および第１の被駆動部を有し、前記出力軸部の軸中心を基準として左右方向において回動可能とされた連結部材と、
　　前記軸中心に一致する回動中心の第１の側に配置された第２の被駆動部、および前記第１の側の反対側である前記回動中心の第２の側に配置された従動部を有し、前記連結部材に対して前記回動中心を基準として回動可能とされた被駆動部材と、
　　前記従動部に係合される作用部と、
　　前記第１の被駆動部に係合され、前記連結部材を前記軸中心を基準として前記被駆動部材に対して回動させる第１の駆動体と、
　　前記第２の被駆動部に係合され、前記被駆動部材を前記連結部材に対して回動させる第２の駆動体とを備え、
　前記第２の駆動体によって前記被駆動部材が回動される際に、前記従動部に係合された前記作用部は、前記回動中心を前後方向に直線移動させ、前記連結部材は、前記被駆動部材とともに前記前後方向へ移動されるようにしたものである。

　上記第１および第２の態様の構成によれば、連結部材の回動が第１の駆動体の駆動力によって行われ、連結部材の移動が第２の駆動体の駆動力によって行われるため、小型化と制御動作の簡素化の両立を図ることができる。

　前記第１の被駆動部は、円弧状に延びる第１のギヤ部を備え、前記第２の被駆動部は、円弧状に延びる第２のギヤ部を備え、前記従動部は、円弧状に延びる従動ギヤ部を備え、前記作用部は、ラック部を備え、前記第１の駆動体は、前記第１のギヤ部に噛合される第１のウォームを備え、前記第２の駆動体は、前記第２のギヤ部に噛合される第２のウォームを備える構成としてもよい。

　この場合、振動等によって各部が不必要に動作されることがなく動作の信頼性の向上を図ることができる。また連結部材の回動時および移動時において、それぞれ第１の駆動体と第２の駆動体が第２（前後）方向へ移動されないため、第２（前後）方向における小型化を図ることができる。

　ここで前記ラック部、前記第１のウォーム、および前記第２のウォームは、前記第２方向に延びている構成としてもよい。

　この場合、第２方向に直交する向き（左右方向）における小型化を図ることができる。

　前記第１のウォームを前記第２方向へ移動自在に支持するシャフトをさらに備え、前記連結部材の前記第２方向への移動時に、前記第１のウォームが前記シャフトに対して前記第２方向へ移動されるようにした構成としてもよい。

　この場合、連結部材の第２（前後）方向への移動時に、第１のギヤ部と第１のウォームの噛合が解除されることがなく、アクチュエーターにおける動作の信頼性の向上を図ることができる。

　前記第２の駆動体によって前記被駆動部材が前記連結部材に対して回動されるときに、前記連結部材を前記第２方向へ案内するガイド部材をさらに備える構成としてもよい。

　この場合、連結部材が確実に第２（前後）方向へ移動され、動作の信頼性の向上を図ることができる。

　上記第２の目的を達成するために、本発明がとりうる第３の態様は、アクチュエーターであって、
　ランプユニットに連結される出力軸部を有し、少なくとも前記出力軸部が第１方向に回動可能とされるとともに、第２方向に移動可能とされた連結ユニットと、
　磁極の第１の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記第２方向における移動位置を検出する第１の磁気検出部と、
　磁極の第２の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記第１方向における回動位置を検出する第２の磁気検出部とを備え、
　前記第１の境界と前記第２の境界は、前記連結ユニットに設けられているものである。

　上記第２の目的を達成するために、本発明がとりうる第４の態様は、車輌用前照灯であって、
　開口を有するランプハウジング、および前記ランプハウジングの開口を閉塞するカバーを備える灯具外筐と、
　前記灯具外筐の内部に配置され、光源を有するランプユニットと、
　前記光源から出射される光の照射方向を調整するアクチュエーターとを備え、
　前記アクチュエーターは、
　　前記ランプユニットに連結される出力軸部を有し、少なくとも前記出力軸部が前後方向に移動可能とされると共に、左右方向に回動可能とされた連結ユニットと、
　　磁極の第１の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記前後方向における移動位置を検出する第１の磁気検出部と、
　　磁極の第２の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記左右方向における回動位置を検出する第２の磁気検出部とを備え、
　前記第１の境界と前記第２の境界は、前記連結ユニットに設けられているものである。

　上記第３および第４の態様に係る構成によれば、磁極の境界に基づいて、ランプユニットの回動動作および移動動作に係る初期位置が検出される。

　従って、ランプユニットを可動限界まで回動させることなく連結ユニットの位置を検出することが可能であり、検出時間の短縮化及び幻惑光の発生を防止することができる。

　前記第１の磁気検出部は、前記出力軸部の軸中心の前記第２方向への移動経路に対向する位置に配置されている。

　この場合、連結ユニットの移動位置の検出を迅速かつ正確に行うことができる。

　前記第１の磁気検出部と前記第２の磁気検出部は、前記第１方向に並んで配置されている構成としてもよい。

　この場合、連結部材の回動位置の検出を迅速かつ正確に行うことができる。

　前記第１の境界と前記第２の境界を有する検出用マグネットが前記連結ユニットに装着されている構成としてもよい。

　この場合、ランプユニットの回動動作と移動動作の開始前の初期位置をそれぞれ検出するため検出用マグネットを個別に設ける必要がなく、アクチュエーターの部品点数の削減及び機構の簡素化を図ることができる。

　上記第３の目的を達成するために、本発明がとりうる第５の態様は、車輌用前照灯であって、
　光源から出射された光を前方へ照射し少なくとも左右方向へ回動可能とされたランプユニットと、
　被支持部を有し、上方へ突出された状態で前記ランプユニットに取り付けられ、前記左右方向への回動の支点とされるスイブル軸と、
　前記被支持部を少なくとも前記左右方向へ回動可能に支持するブラケットと、
　前記ブラケットに取り付けられ、前記スイブル軸を押さえる軸押さえ部材とを備え、
　前記被支持部は、
　　前記軸押さえ部材によって上方から押さえられる被押さえ面と、
　　上縁が前記被押さえ面の外周縁に連続し、前記ランプユニットの回動時に摺動する摺動面と、
　　上縁が前記被押さえ面の外周縁に連続し、前記スイブル軸が所定の角度以上に回動されたときに前記軸押さえ部材に接触する被規制面とを有し、
　前記スイブル軸の回動中心から前記被規制面の上縁までの距離が、前記スイブル軸の前記回動中心から前記摺動面の上縁までの距離より短いものである。

　上記の構成によれば、スイブル軸における被支持部の被規制面の方向への張出し部分を小さくできるので、被支持部及び軸押さえ部材と、これらの周囲に配置される周辺部品との干渉を回避することができる。

　また、スイブル軸の被規制面が軸押さえ部材に接触することによりランプユニットの過度の回動が防止されるので、車輌用前照灯の内部に過度の回動を規制するための構造を別途設ける必要がない。したがって構造を簡素化しつつ、ランプユニットの過度の回動を規制することができる。

　前記ブラケットが樹脂材料によって形成され、前記被支持部が樹脂材料によって形成され、金属材料によって形成されるとともに、前記ブラケットと前記スイブル軸の間に介在されて前記ランプユニットの回動時に前記被支持部が摺接される中間部材をさらに備える構成としてもよい。

　この場合、スイブル軸の回動時には、樹脂材料によって形成された被支持部が金属材料によって形成された中間部材に摺接するため、摺接に伴う削り粉が発生し難く、スイブル軸及びブラケットが磨耗し難い。このため、スイブル軸及びブラケットの耐久性が向上し、ランプユニットの円滑な動作状態を維持することができる。

　前記被押さえ面に上方へ突出された被規制突部が設けられ、前記被規制突部が挿入される規制部を有するとともに、前記スイブル軸を上方から押さえる押さえ部が、前記押さえ部材に設けられている構成としてもよい。

　この場合、軸押さえ部材の規制部により、スイブル軸の被規制突部にスイブル軸の移動に反する力が作用するので、スイブル軸の移動を規制することができる。したがってランプユニットのブラケットからの位置ずれを防止することができる。

本発明の第１の実施形態に係る車輌用前照灯の内部構成を示す縦断面図である。車輌用前照灯の灯室内に配置される機構を分解して示す斜視図である。アクチュエーターが分解された状態を示す斜視図である。カバーケースを外した状態のアクチュエーターを示す斜視図である。アクチュエータ－の配置ケースを示す斜視図である。アクチュエーターが組み立てられた状態を示す縦断面図である。アクチュエータ－の連結ユニットが分解された状態を示す斜視図である。スイブル動作前におけるアクチュエータ－の駆動機構の状態を示す平面図である。スイブル動作後におけるアクチュエータ－の駆動機構の状態を示す平面図である。レベリング動作前におけるアクチュエータ－の駆動機構の状態を示す平面図である。レベリング動作後におけるアクチュエータ－の駆動機構の状態を示す平面図である。レベリング動作の初期位置の検出が行なわれる際における、アクチュエータ－の駆動機構の動作を説明するための図である。スイブル動作の初期位置の検出が行なわれる際における、アクチュエータ－の駆動機構の動作を説明するための図である。連結ユニットが前方の移動端に移動された状態において、連結部材が回動されたときの、検出用マグネットと磁気検出部の位置関係を示す図である。連結ユニットが後方の移動端に移動された状態において、連結部材が回動されたときの、検出用マグネットと磁気検出部の位置関係を示す図である。本発明の第２の実施形態に係る車輌用前照灯の内部構成を示す縦断面図である。図１６の車輌用前照灯の灯室内に配置される機構を分解して示す斜視図である。軸押さえ部材がブラケットの軸支持部に取り付けられ、スイブル軸が中間部材を介してブラケットに支持された状態を示す拡大断面図である。軸押さえ部材がブラケットの軸支持部に取り付けられ、スイブル軸が中間部材を介してブラケットに支持された状態を示す斜視図である。スイブル軸の回動時に被支持部が軸押さえ部材に接触し、スイブル軸の回動が規制された状態を示す平面図である。

　添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について以下詳細に説明する。

　図１は、本発明の第１の実施形態に係る車輌用前照灯１の内部構造を示す縦断面図である。車輌用前照灯１は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に装着されている。

　車輌用前照灯１は、前方に開口された凹部を有するランプハウジング２と、ランプハウジング２の開口面を閉塞するカバー３とを備えている。ランプハウジング２とカバー３によって灯具外筐４が構成され、灯具外筐４の内部空間が灯室５として形成されている。

　ランプハウジング２の後端部には、前後に貫通された取付用開口２ａが形成されている。ランプハウジング２の下端部には上下に貫通された配置用開口２ｂが形成されている。

　灯室５には、ブラケット６が配置されている。ブラケット６は、図示しないエイミング調整機構によって左右方向および上下方向へランプハウジング２に傾動自在に支持されている。ブラケット６は、図１および図２に示すように、上下方向を向く取付部７と、取付部７の左右両端部からそれぞれ上方へ突出された一対の柱部８と、各柱部８の上端部間を連結する吊下部９とを備えている。吊下部９の左右方向における中央部には、支持受部９ａが形成されている。

　取付部７には、上下に貫通された取付孔７ａが形成されている。

　灯室５には、ランプユニット１０が配置されている。ランプユニット１０は、ブラケット６に上下方向かつ左右方向へ回動自在に支持されている。

　ランプユニット１０は、内面で光を反射するリフレクター１１と、リフレクター１１の後端部に保持された光源１２と、リフレクター１１の前端に取り付けられたレンズホルダー１３と、レンズホルダー１３の前端部に保持された投影レンズ１４とを有している。

　リフレクター１１は、前方に開口された椀状に形成され、内面が反射面１１ａとして形成されている。

　光源１２としては、例えば、放電灯が用いられている。なお光源１２として、例えば、発光ダイオード（ＬＥＤ）等の半導体発光素子が用いられてもよい。

　レンズホルダー１３にはシェード１３ａが設けられ、シェード１３ａはランプユニット１０の内部に突出した状態で設けられている。シェード１３ａは、光源１２から出射された光の一部を遮蔽する機能を有している。

　ランプユニット１０の下端部には、下方へ突出された連結用突部１５が設けられている。連結用突部１５には下方に開口された連結凹部１５ａが形成されている。

　図２の分解斜視図に示すように、ランプユニット１０の上端部には、被支持突部１６が設けられている。被支持突部１６の上端部は、下方に凸の略半球状の摺動部１６ａとして設けられている。被支持突部１６の摺動部１６ａは摺動リング１７に保持されている。

　ランプユニット１０は、摺動リング１７を介して、吊下部９の支持受部９ａに回動可能な状態で吊り下げられている。ランプユニット１０は、摺動部１６ａが摺動リング１７に摺動されることにより、摺動部１６ａを支点として、ブラケット６に対して上下方向へ回動可能かつ左右方向へ回動可能とされている。

　吊下部９には押さえ部材１８が取り付けられている。押さえ部材１８によってランプユニット１０のブラケット６からの脱落が防止されている。

　灯室５の前端側には、ランプユニット１０の一部を遮蔽するエクステンション１９が配置されている（図１参照）。

　ランプハウジング２の後端部には、取付用開口２ａを閉塞するバックカバー２０が取り付けられている。

　ランプハウジング２の下端部には、配置用開口２ｂを閉塞する取付カバー２１が取り付けられている。取付カバー２１は、上方に開口された箱状に形成されている。

　取付カバー２１の内部には、放電灯点灯装置２２が取り付けられている。放電灯点灯装置２２は、光源１２を点灯するための装置であり、内部に点灯回路を有している。

　放電灯点灯装置２２は、光源１２にケーブル２２ａによって接続されている。ケーブル２２ａは、ランプユニット１０の後方から下方に延びるように配置されている。

　図１および図２に示すように、ランプユニット１０の下側には、アクチュエーター２３が配置されている。アクチュエーター２３は、ケース体２４を備えている。

　ケース体２４は、上方に開口された箱状の配置ケース２６と、配置ケース２６を上方から閉塞するカバーケース２７と、配置ケース２６に下方から取り付けられるベースケース２８とを備えている。図３は、アクチュエータ－２３が分解された状態を示す斜視図であり、図４は、カバーケース２７を外した状態のアクチュエータ－２３を示す斜視図である。

　配置ケース２６の外周面には、周方向に離隔して複数の係止突部２６ａが設けられている。配置ケース２６の上端部には、それぞれ左右に突出された、一対の被取付突部２６ｂが設けられている。

　図５は、配置ケース２６を示す斜視図である。配置ケース２６の前半部には、上方に開口された機構配置凹部２６ｃが形成されている。配置ケース２６の左側面部における内面には、前後に延びるラック部２６ｄが設けられている。ラック部２６ｄは、機構配置凹部２６ｃに設けられている。ラック部２６ｄは、後述する従動部に係合される、本発明の作用部として機能する。

　配置ケース２６の左右方向における中央部の後端側の部分には、上方に突出した突状配置部２６ｅが設けられている。突状配置部２６ｅは、下方および後方に開口された形状に形成されている。

　配置ケース２６には、機構配置凹部２６ｃの後側に、一対のギヤ支持突部２６ｆと一対のモーター取付突部２６ｇが前後に離隔して設けられている。ギヤ支持突部２６ｆとモーター取付突部２６ｇは、突状配置部２６ｅの左右に配置され、底面部の左右両端部から上方へ突出している。

　配置ケース２６の左右方向における中央部には、一対の取付用凹部２６ｈが前後に離隔して形成されている。取付用凹部２６ｈは、それぞれ配置ケース２６の前面部と突状配置部２６ｅの前端部に位置されている。

　配置ケース２６の機構配置凹部２６ｃにおける右端部には、上方へ突出された一対の軸受部２６ｉが前後に離隔して設けられている。

　配置ケース２６の底面部には、上下に貫通された一対の配置孔２６ｊが左右に離隔して形成されている。配置ケース２６の下面側には、下方に開口された浅い配置用凹部２６ｋが形成されている。

　カバーケース２７は下方に開口された薄い箱状に形成されている。カバーケース２７の外周面には、下方へ突出された複数の係止片２７ａが設けられている。係止片２７ａには、それぞれ係止孔が形成されている。

　カバーケース２７には、それぞれ左右に突出された一対の被取付突部２７ｂが設けられている。カバーケース２７の前端寄りの位置には、上下に貫通された挿入孔２７ｃが形成されている。挿入孔２７ｃは前後に長い形状に形成されている。

　図３に示すように、ベースケース２８は、上下方向を向く板状に形成された閉塞面部２８ａと、閉塞面部２８ａの外周寄りの部分から上方へ突出された嵌合突状部２８ｂとを有している。

　配置ケース２６の配置用凹部２６ｋには、回路基板２９が配置される。回路基板２９には図示しない所定の回路パターンが形成されている。回路基板２９上には、複数の電子部品３０およびコネクター３１が搭載されている。一部の電子部品３０およびコネクター３１は、突状配置部２６ｅ内に配置される。

　回路基板２９の上面における前端寄りの位置には、第１の磁気検出部３２と第２の磁気検出部３３が左右に離隔して配置されている。第１の磁気検出部３２と第２の磁気検出部３３としては、例えば、ホールＩＣ（Integrated Circuit）が用いられている。

　図４に示すように、アクチュエータ－２３は、駆動機構２５を備えている。駆動機構２５は、連結ユニット３４と、第１の駆動体３５と、第２の駆動体３６とを有している。

　図７は、連結ユニット３４が分解された状態を示す斜視図である。連結ユニット３４は、連結部材３７、支持部材３８、および被駆動部材３９が上側から順に連結された構造を有している（図３も参照）。

　連結部材３７は、上下方向を向く板状のベース面部４０と、ベース面部４０の中央部から上方へ突出された出力軸部４１と、ベース面部４０の外周寄りの部分から下方へ突出された環状部４２と、環状部４２から下方へ突出された一対の取付突部４３とを備えている。

　出力軸部４１は、下方に開口されたケース状の連結基部４１ａと、連結基部４１ａの左右両側面からそれぞれ左右に突出された、一対の丸軸状の連結突部４１ｂとを備えている。出力軸部４１の中心軸は、連結部材３７の回動軸となる軸中心４１ｃとされている。

　環状部４２の左側部には、周方向に延びる第１のギヤ部４２ａが設けられている。第１のギヤ部４２ａは、本発明の第１の被駆動部として機能する。環状部４２の前後両面部には、それぞれ横長の周方向に延びる一対の挿通孔４２ｂが形成されている。

　一対の取付突部４３は、それぞれ環状部４２の前後両面部から下方へ突出され、内面に係合突部４３ａを有している。

　支持部材３８は、軸方向が上下方向とされた短い略円柱状のベース部４４と、ベース部４４の中央部から上方へ突出された挿入軸部４５と、ベース部４４の左側部における下端部から左方へ突出された突面部４６と、突面部４６の左端部に設けられたギヤ支持部４７とを備えている。

　ベース部４４には、下面における中央部から下方へ突出された支持突部４４ａが設けられている（図７参照）。ベース部４４の外周寄りの位置には、一対の挿入用凹部４４ｂがベース部４４の周方向に離隔して形成されている。各挿入用凹部４４ｂは平面視で円弧状に形成されている。ベース部４４には、前後に貫通された被案内孔４４ｃが形成されている（図３および図７参照）。

　ギヤ支持部４７は、前後に離隔して設けられた一対の支持壁部４７ａと、支持壁部４７ａを連結するように前後方向に延びる架け渡し部４７ｂとを備えている。各支持壁部４７ａは、主面が前後方向を向く板状に形成され、それぞれ挿通孔を有している。

　被駆動部材３９は、上下方向を向き外形が円形状の基面部４８と、基面部４８から左方へ突出された第１の突出部４９と、基面部４８から右方へ突出された第２の突出部５０とを備えている。

　基面部４８の中心部には、上下に貫通された被支持孔４８ａが形成されている。基面部４８の外周部には、上方へ突出された一対の挿入突条４８ｂが、基面部４８の周方向に離隔して設けられている。各挿入突条４８ｂは、平面視で円弧状に形成されている。各挿入突条４８ｂの周方向における長さは、対応する支持部材３８の挿入用凹部４４ｂの周方向における長さより短くされている。

　基面部４８の中心軸は、連結部材３７の軸中心４１ｃに一致される回動中心４８ｃとされている。

　第１の突出部４９の左側部には、周方向に延びる従動ギヤ部４９ａが設けられている。従動ギヤ部４９ａは、配置ケース２６に設けられた本発明の係合部として機能するラック部２６ｄに噛合され、本発明の従動部として機能する。

　第２の突出部５０の右側部には、周方向に延びる第２のギヤ部５０ａが設けられている。第２のギヤ部５０ａは、本発明の第２の被駆動部として機能する。

　従動ギヤ部４９ａと第２のギヤ部５０ａは、回動中心４８ｃを基準とした同心円上に配置されている。

　支持部材３８は、挿入軸部４５が出力軸部４１に下方から挿入されるとともに、ベース部４４が環状部４２に下方から挿入されて、連結部材３７に連結される。支持部材３８が連結部材３７に連結された状態においては、連結部材３７が支持部材３８に対して軸中心４１ｃを基準として回動可能とされる。

　被駆動部材３９は、基面部４８の各挿入突条４８ｂが対応するベース部４４の挿入用凹部４４ｂに下方から挿入されて摺動自在に係合される。またベース部４４の支持突部４４ａが、基面部４８の被支持孔４８ａに上方から挿入されて支持部材３８に連結される。

　上記のように連結部材３７、支持部材３８、および被駆動部材３９が連結された状態においては、連結部材３７の軸中心４１ｃと被支持部材３９の回動中心４８ｃとが一致される。

　連結部材３７、支持部材３８、および被駆動部材３９が連結された状態において、連結部材３７の取付突部４３に検出用マグネット５１が取り付けられる。検出用マグネット５１は、同じ形状および同じ大きさの部分が前後方向に並び、それぞれＮ極とＳ極に着磁されている。検出用マグネット５１は、縦長の略矩形状に形成された第１の部分５２と、第１の部分５２の右側に連続して設けられ外周が円弧状に形成された第２の部分５３とを有している。第１の部分５２の前後両側縁には、一対の係合切欠５２ａが形成されている。第２の部分５３には、第１の部分５２の前後両端より前後方向に突出する一対の突部５３ａが設けられている。

　検出用マグネット５１には、第１の部分５２と第２の部分５３の間に上下に貫通された非干渉孔５１ａが形成されている。第１の部分５２に生じる磁界と第２の部分５３に生じる磁界との干渉は、非干渉孔５１ａによって互いに抑制されている。第１の部分５２におけるＮ極とＳ極の連続する部分は第１の境界５２ｂとして形成され、第２の部分５３におけるＮ極とＳ極の連続する部分は第２の境界５３ｂとして形成されている。

　検出用マグネット５１は、各取付突部４３の係合突部４３ａが、対応する係合切欠５２ａに係合されることにより、被駆動部材３９に取り付けられる。このとき第１の境界５２ｂは、連結部材３７の軸中心４１ｃと交差する。検出用マグネット５１は、連結部材３７と一体になって回動される。

　連結ユニット３４における被駆動部材３９の従動ギヤ部４９ａは、配置ケース２６に設けられたラック部２６ｄに噛合される。このとき支持部材３８の被案内孔４４ｃおよび連結部材３７の挿通孔４２ｂに丸軸状のガイド部材５４が挿通される。ガイド部材５４の前後両端部は、それぞれ配置ケース２６の取付用凹部２６ｈに挿入される。このようにして取り付けられたガイド部材５４によって、支持部材３８は前後方向へ案内される。

　図４に示すように、第１の駆動体３５は、スイブル用モーター５５と、第１の伝達ギヤ５６と、第１のシャフト５７と、第１のウォーム５８とを備えている。

　図３に示すように、スイブル用モーター５５は、本体５５ａと、本体５５ａから上方へ突出されたモーター軸に固定された駆動ギヤ５５ｂとを備えている。スイブル用モーター５５は、配置ケース２６に設けられた左側のモーター取付突部２６ｇに取り付けられている。

　第１の伝達ギヤ５６は、上側に位置された平ギヤ部５６ａと、下側に位置されたウォーム部５６ｂとを有している。第１の伝達ギア５６は、配置ケース２６に設けられた左側のギヤ支持突部２６ｆに支持軸５６ｃを介して回転自在に支持され、平ギヤ部５６ａがスイブル用モーター５５の駆動ギヤ５５ｂに噛合されている。

　第１のシャフト５７は、前後方向に延びる軸部５９と、後端部に設けられたギヤ部６０とを有している。軸部５９の外周面には、周方向に等間隔に配置されるとともに径方向に突出する、３つの回り止め部５９ａが設けられている。第１のシャフト５７のギヤ部６０は、第１の伝達ギヤ５６のウォーム部５６ｂに噛合されている。

　第１のウォーム５８は、前後方向に貫通された軸挿通孔５８ａを有している。軸挿通孔５８ａの断面形状は、第１のシャフト５７の断面形状と同一の形状にされている。

　第１のウォーム５８は、支持部材３８のギヤ支持部４７に設けられた支持壁部４７ａ間に配置され、第１のシャフト５７の軸部５９が支持壁部４７ａの挿通孔および軸挿通孔５８ａに挿通される。第１のウォーム５８は、配置ケース２６の機構配置凹部２６ｃにおける左端部に配置される。第１のウォーム５８の軸挿通孔５８ａに軸部５９が挿通された状態においては、第１のウォーム５８は第１のシャフト５７と一体になって回転可能とされると共に、軸部５９に対して前後方向へ移動可能とされる。

　第１のウォーム５８は、連結部材３７の第１のギヤ部４２ａに噛合される。

　第１の駆動体３５において、スイブル用モーター５５が回転されると、その駆動力が駆動ギヤ部５５ｂ、第１の伝達ギヤ５６、第１のシャフト５７のギヤ部６０、および第１のウォーム５８の順に伝達され、第１のウォーム５８が回転される。これにより、スイブル用モーター５５の回転方向に応じた方向へ第１のギヤ部４２ａが送られる。第１のギヤ部４２ａが送られることにより、連結部材３７が支持部材３８に対して回動される。

　第２の駆動体３６は、レベリング用モーター６１と、第２の伝達ギヤ６２と、第２のシャフト６３と、第２のウォーム６４とを備えている。

　レベリング用モーター６１は、本体６１ａと、本体６１ａから上方へ突出されたモーター軸に固定された駆動ギヤ６１ｂとを備えている。レベリング用モーター６１は、配置ケース２６に設けられた右側のモーター取付突部２６ｇに取り付けられている。

　第２の伝達ギヤ６２は、上側に位置された平ギヤ部６２ａと、下側に位置されたウォーム部６２ｂとを有している。第２の伝達ギア６２は、配置ケース２６に設けられた右側のギヤ支持突部２６ｆに支持軸６２ｃを介して回転自在に支持され、平ギヤ部６２ａがレベリング用モーター６１の駆動ギヤ６１ｂに噛合されている。

　第２のシャフト６３は、前後方向に延びる軸部６５と、後端部に設けられたギヤ部６６とを有している。軸部６５の外周面には、周方向に等間隔に配置されるとともに径方向に突出する３つの回り止め部６５ａが設けられている。第２のシャフト６３のギヤ部６６は、第２の伝達ギヤ６２のウォーム部６２ｂに噛合されている。

　第２のウォーム６４は、前後方向に貫通された軸挿通孔６４ａを有している。軸挿通孔６４ａの断面形状は、第２のシャフト６３の断面形状と同一の形状にされている。

　第２のウォーム６４の軸挿通孔６４ａには、第２のシャフト６３の軸部６５が挿通される。軸部６５は、配置ケース２６に設けられた一対の軸受部２６ｉに回転自在に支持される。これにより第２のウォーム６４は、配置ケース２６の機構配置凹部２６ｃにおける右端部に配置される。第２のウォーム６４の軸挿通孔６４ａに軸部６５が挿通された状態においては、第２のウォーム６４は、第２のシャフト６３と一体になって回転可能とされる。

　第２のウォーム６４は、被駆動部材３９の第２のギヤ部５０ａに噛合される。

　第２の駆動体３６において、レベリング用モーター６１が回転されると、その駆動力が駆動ギヤ部６１ｂ、第２の伝達ギヤ６２、第２のシャフト６３のギヤ部６６および第２のウォーム６４の順に伝達され、第２のウォーム６４が回転される。これにより、レベリング用モーター６１の回転方向に応じた方向へ第２のギヤ部５０ａが送られる。第２のギヤ部５０ａが送られることにより、被駆動部材３９の従動ギヤ部４９ａのラック部２６ｄに対する噛合位置が変化し、被駆動部材３９が回転しながら前後方向へ移動される。被駆動部材３９が回転しながら前後方向へ移動することにより、一対の挿入突条４８ｂが支持部材３８のベース部４４に対して摺動し、支持部材３８と連結部材３７が一体になって前後方向へ移動する。このとき連結部材３７の軸中心４１ｃと被支持部材３９の回動中心４８ｃは、左右方向へ変位されず前後方向にのみ直線移動する。

　図６は、アクチュエータ－２３が組み立てられた状態を示す縦断面図である。配置ケース２６の各係止突部２６ａにカバーケース２７の対応する係止片２７ａが係止されることにより、配置ケース２６とカバーケース２７が結合される。

　カバーケース２７が配置ケース２６に結合された状態においては、連結部材３７の出力軸部４１が、カバーケース２７の挿入孔２７ｃから上方へ突出される。またカバーケース２７の各被取付突部２７ｂと配置ケース２６の対応する被取付突部２６ｂとが上下方向に重ね合わされる（図２参照）。

　ベースケース２８の嵌合突状部２８ｂが配置ケース２６の配置用凹部２６ｋに嵌合されることにより、ベースケース２８は配置ケース２６の下面側に結合される。ベースケース２８は、下方から回路基板２９を覆う。

　一対の被取付突部２７ｂと一対の被取付突部２６ｂが上下方向に重ね合わされた状態のアクチュエータ－２３は、一対の取付ネジ１００によってブラケット６の取付部７に取り付けられる。アクチュエーター２３が取付部７に取り付けられた状態においては、出力軸部４１が取付孔７ａから上方に突出される。

　出力軸部４１は、ランプユニット１０の連結用突部１５に形成された連結凹部１５ａに挿入されてランプユニット１０に連結される。

　出力軸部４１がランプユニット１０に連結された状態において、ランプユニット１０は、出力軸部４１の水平方向への回動に伴って、被支持突部１６を支点として左右方向へ回動される。またランプユニット１０は、出力軸部４１の前後方向への移動に伴って、一対の連結突部４１ｂに対して、被支持突部１６を支点として上下方向へ回動される。

　次に図８から図１１を参照しつつ、車輌用前照灯１におけるスイブル動作およびレベリング動作について説明する。これらの図にはランプユニット１０を示さず、駆動機構２５の動作を上方から見た状態で示す。

　スイブル動作は、車輌の走行方向に追従して光軸の向きを変化させるためにランプユニット１０を左右方向へ回動させる動作である。このときランプユニット１０は、被支持突部１６を支点として左右方向へ回動される。

　レベリング動作は、車載物の重量によって変化する光軸のズレを調整するためにランプユニット１０を上下方向へ回動させる動作である。このときランプユニット１０は、被支持突部１６を支点として上下方向へ回動される。

　先ず図８および図９を参照し、スイブル動作について説明する。

　図８に示すように、スイブル動作が行われる前の状態において、連結部材３７は、出力軸部４１が備える一対の連結突部４１ｂが左右に配置された中立位置にある。

　図示しない電源回路からコネクター３１を介して電力が供給され、スイブル用モーター５５が回転されると、スイブル用モーター５５の駆動力が第１のウォーム５８に伝達される。スイブル用モーター５５の駆動力が第１のウォーム５８に伝達されると、第１のウォーム５８の回転方向に応じた方向へ第１のギヤ部４２ａが送られる。これにより、図９に示すように、連結部材３７が支持部材３８および被駆動部材３９に対して軸中心４１ｃを基準として回動される。連結部材３７の回動に伴ってランプユニット１０が左右方向へ回動され、スイブル動作が行われる。

　このとき連結部材３７が備える一対の挿通孔４２ｂにはガイド部材５４が挿通されているが、各挿通孔４２ｂは左右に長い形状に形成されているため、回動時に連結部材３７とガイド部材５４の接触が回避される。

　次に図１０および図１１を参照しつつ、レベリング動作について説明する。

　図１０に示すように、レベリング動作が行われる前の状態において、連結部材３７は、出力軸部４１が備える連結突部４１ｂが左右に配置された中立位置にある。連結ユニット３４は、前後方向の移動範囲における中央に配置されている。

　図示しない電源回路からコネクター３１を介して電力が供給され、レベリング用モーター６１が回転されると、レベリング用モーター６１の駆動力が第２のウォーム６４に伝達される。レベリング用モーター６１の駆動力が第２のウォーム６４に伝達されると、第２のウォーム６４の回転方向に応じた方向へ第２のギヤ部５０ａが送られる。これにより、図１１に示すように、被駆動部材３９の従動ギヤ部４９ａのラック部２６ｄに対する噛合位置が変化し、被駆動部材３９が回転しながら前後方向へ移動される。被駆動部材３９が回転しながら前後方向へ移動することにより、一対の挿入突条４８ｂが支持部材３８のベース部４４に対して摺動し、支持部材３８と連結部材３７が一体になって前後方向へ移動する。

　連結部材３７が支持部材３８および被駆動部材３９と一体になって前後方向へ移動されることにより、連結部材３７の移動に伴ってランプユニット１０が上下方向へ回動され、レベリング動作が行われる。

　このとき連結ユニット３４は、ガイド部材５４によって前後方向に案内されると共に、第１のウォーム５８が第１のシャフト５７の軸部５９に対して前後方向へ移動される。

　次に図１２から図１５を参照しつつ、レベリング動作およびスイブル動作が行われる前のランプユニット１０の初期位置の検出動作について説明する。

　ランプユニット１０の初期位置が検出されると、検出された初期位置を基準としてランプユニット１０が上下方向または左右方向に所定の量だけ回動され、レベリング動作またはスイブル動作が行われる。

　先ず図１２を参照しつつ、レベリング動作が開始される前に行われる初期位置の検出動作について説明する。

　図１２の（ｂ）に示すように、レベリング動作が開始される前の状態において、連結ユニット３４は、前後方向（移動方向）における中央またはその近傍の位置に配置される。

　図１２の（ａ）または（ｃ）に示すように、レベリング用モーター６１によって、検出用マグネット５１が連結部材３７と一体になって微小距離、例えば、１ｍｍ～２ｍｍ程度前方または後方へ移動される際に、第１の磁気検出部３２によって検出用マグネット５１の磁界の変化状態が検出される。極性の切り替わる位置である第１の境界５２ｂが第１の磁気検出部３２によって検出されると、第１の境界５２ｂの検出位置が、連結ユニット３４およびランプユニット１０のレベリング動作における初期位置として検出される。

　上記のように連結部材３７が前方または後方へ微小距離移動されたときに、第１の境界５２ｂが検出されない場合には、連結部材３７が中立位置を基準として、例えば１ｍｍ～２ｍｍ程度、逆方向へ移動される。このとき第１の磁気検出部３２によって極性の切り替わる位置である第１の境界５２ｂが検出されると、第１の境界５２ｂの検出位置が、連結ユニット３４およびランプユニット１０のレベリング動作における初期位置として検出される。

　次に図１３を参照しつつ、スイブル動作が開始される前に行われる初期位置の検出動作について説明する。

　図１３の（ｂ）に示すように、スイブル動作が開始される前の状態において、連結部材３７は、出力軸部４１が備える一対の連結突部４１ｂが左右に配置された中立位置またはその近傍の位置に配置される。

　図１３の（ａ）または（ｃ）に示すように、スイブル用モーター５５によって、検出用マグネット５１が連結部材３７と一体になって微小角度、例えば、１°～２°程度左方または右方へ回転されることにより行われる際に、第２の磁気検出部３３によって検出用マグネット５１の磁界の変化状態が検出される。極性の切り替わる位置である第２の境界５３ｂが第２の磁気検出部３３によって検出されると、第２の境界５３ｂの検出位置が、連結ユニット３４およびランプユニット１０のスイブル動作における初期位置として検出される。

　上記のように連結部材３７が左方または右方へ微小角度回転されたときに、第２の境界５３ｂが検出されない場合には、連結部材３７が中立位置を基準として、例えば１°～２°程度、逆方向へ回転される。このとき第２の磁気検出部３３によって極性の切り替わる位置である第２の境界５３ｂが検出されると、第２の境界５３ｂの検出位置が、連結ユニット３４およびランプユニット１０のスイブル動作における初期位置として検出される。

　正確な初期位置検出を行うためには、レベリング動作の初期位置の検出動作の後にスイブル動作の初期位置の検出動作を行うことが望ましい。

　検出用マグネット５１は、形状の異なる第１の部分５２と第２の部分５３によって構成されている。検出用マグネット５１をこのような形状に形成することにより、検出用マグネット５１が前後の移動端まで移動されてスイブル動作が行われる場合においても、図１４および図１５に示すように、検出用マグネット５１の下側に第１の磁気検出部３２と第２の磁気検出部３３が対向して配置される。したがって連結ユニット３４の位置に拘わらず、初期位置の検出動作を適正に行うことができる。

　以上に記載した通り、本実施形態に係る車輌用前照灯１およびアクチュエーター２３にあっては、連結部材３７と、被駆動部材３９と、連結部材３７を回動させてスイブル動作を行う第１の駆動体３５と、連結部材３７を前後方向へ移動させてレベリング動作を行う第２の駆動体３６とを備えている。

　従って、連結部材３７の回動が第１の駆動体３５の駆動力によって行われ、連結部材３７の移動が第２の駆動体３６の駆動力によって行われるため、小型化を確保した上で制御動作の簡素化を図ることができる。

　本実施形態においては、第１の被駆動部として設けられた第１のギヤ部４２ａが第１のウォーム５８に噛合され、第２の被駆動部として設けられた第２のギヤ部５０ａが第２のウォーム６４に噛合されている。

　従って、車輌の走行時等における振動等によって各部が不必要に動作されることがなく、動作の信頼性の向上を図ることができる。また連結部材３７の回動時および移動時にそれぞれ第１の駆動体３５と第２の駆動体３６が前後方向へ移動されないので、前後方向における小型化を図ることができる。

　本実施形態においては、被駆動部材３９の従動ギヤ部４９ａが噛合されるラック部２６ｄと、第１のギヤ部４２ａ、第２のギヤ部５０ａがそれぞれ噛合される第１のウォーム４８、第２のウォーム６４とが、何れも前後方向に延びる状態で設けられている。このため、左右方向における小型化を図ることができる。

　本実施形態においては、第１のウォーム５８が前後方向へ摺動自在に支持される第１のシャフト５７を設けている。このため、レベリング動作時に第１のギヤ部４２ａと第１のウォーム５８の噛合が解除されることがなく、アクチュエーター２３における動作の信頼性の向上を図ることができる。

　本実施形態においては、第２の駆動体３６によって被駆動部材３９が連結部材３７に対して回動されるときに、被駆動部材３９を前後方向へ案内するガイド部材５４を設けている。このため、連結部材３７が確実に前後方向へ移動され、レベリング動作における動作の信頼性の向上を図ることができる。

　本実施形態においては、本発明の第２の被駆動部と従動部としてそれぞれ第２のギヤ部５０ａと従動ギヤ部４９ａを用い、第２のギヤ部５０ａと従動ギヤ部４９ａにそれぞれ第２のウォーム６４とラック部２６ｄが噛合される。

　しかしながら、本発明の第２の被駆動部と従動部が噛合により係合する構成に限られることはない。例えば、本発明の第２の被駆動部と従動部が、それぞれ摩擦力によって本発明の駆動部と作用部に係合される構成とされていてもよい。

　具体的には、本発明の第２の被駆動部と従動部がそれぞれ被押付面を有し、本発明の駆動部と作用部が前後方向に延びる押付面を有し、各押付面がそれぞれ被押付面に押し付けられて係合される構成としてもよい。この場合には、駆動部の動作により被駆動部材が駆動部と作用部の各押付面の間で回転しながら前後方向へ移動されてレベリング動作が行われる。

　本実施形態の車輌用前照灯１およびアクチュエーター２３にあっては、第１の境界５２ｂの位置を検出して連結ユニット３４の連結部材３７の前後方向における移動位置を検出する第１の磁気検出部３２と、第２の境界５３ｂの位置を検出して連結ユニット３４の水平方向における回動位置を検出する第２の磁気検出部３３とが設けられ、第１の境界５２ｂと第２の境界５３ｂが連結ユニット３４に設けられている。

　従って、ランプユニット１０を可動限界まで回動させることなく、連結ユニット３４の初期位置を検出することが可能であり、初期位置の検出時間の短縮化および幻惑光の発生を防止することができる。

　本実施形態においては、第１の磁気検出部３２を出力軸部４１の軸中心４１ｃの前後方向への移動経路に対向する位置に配置されている。このため、連結ユニット３４の移動位置の検出を迅速かつ正確に行うことができる。

　本実施形態においては、第２の磁気検出部３３が第１の検出部３２の左側または右側に設けられている。このため、連結部材３７の回動位置の検出を迅速かつ正確に行うことができる。

　本実施形態においては、第１の境界５２ｂと第２の境界５３ｂが検出用マグネット５１に設けられている。このため、レベリング動作とスイブル動作の開始前の初期位置をそれぞれ検出するために二つの検出用マグネットを個別に設ける必要がなく、アクチュエーター２３の部品点数の削減および機構の簡素化を図ることができる。　

　次に図１６から図２０を参照しつつ、本発明の第２の実施形態に係る車輌用前照灯１０１について説明する。

　図１６は、車輌用前照灯１０１の内部構造を模式的に示す縦断面図である。車輌用前照灯１０１は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に装着されている。　

　車輌用前照灯１０１は、前方に開口された凹部が形成されたランプハウジング１０２と、ランプハウジング１０２の開口１０２ａを閉塞するカバー１０３とを備えている。ランプハウジング１０２とカバー１０３によって灯具外筐１０４が構成され、灯具外筐１０４の内部空間が灯室１０５として形成されている。

　ランプハウジング１０２の後端部には、前後に貫通された取付用開口１０２ｂが形成されている。　

　ランプハウジング１０２の後端部には、取付用開口１０２ｂを閉塞するバックカバー１０６が取り付けられている。

　灯室１０５には、ランプユニット１０７が配置されている。ランプユニット１０７は、リフレクター１０８と、リフレクター１０８の後端部に保持された光源１０９と、リフレクター１０８の前方に位置されたレンズホルダー１１０と、レンズホルダー１１０の前端部に保持された投影レンズ１１１と、リフレクター１０８とレンズホルダー１１０の間に配置されたシェード１１２とを有している。

　リフレクター１０８は、前方に開口された椀状に形成され、内面が反射面１０８ａとして形成されている。リフレクター１０８は、前端部がシェード１１２の後面に取り付けられている。リフレクター１０８は、光源１０９から出射された光を投影レンズ１１１へ向けて反射する機能を有している。　

　光源１０９としては、例えば、放電灯が用いられている。なお光源１０９として、例えば、発光ダイオード（ＬＥＤ）等の半導体発光素子が用いられてもよい。

　レンズホルダー１１０は、略前後方向に貫通された環状に形成されている。レンズホルダー１１０は、その後端部がシェード１１２の前面に取り付けられている。

　投影レンズ１１１は、光源１０９から出射された光を前方へ投影する機能を有している。

　シェード１１２には透過孔１１２ａが形成されている。シェード１１２は、光源１０９から出射された光の一部を遮蔽する機能を有している。

　ランプユニット１０７の下端部には、ジョイント部材１１３が取り付けられている。

　ランプユニット１０７の下側には、アクチュエーター１１４が配置されている。アクチュエーター１１４は、ケース体１１５と、ケース体１１５の内部に配置された図示しない駆動機構と、駆動機構に連結された駆動軸１１６とを有している。駆動軸１１６は、ケース体１１５から上方へ突出するように配置されている。アクチュエーター１１４は、駆動軸１１６が前後方向へ移動可能かつ左右方向へ回動可能とされている。アクチュエーター１１４の駆動軸１１６は、ジョイント部材１１３に連結されている。

　ランプユニット１０７の上端部には、上方へ突出された状態でスイブル軸１１７が取り付けられている。スイブル軸１１７は、図１７及び図１８に示すように、上下方向に延びる円柱状に形成された軸部１１８と、軸部１１８の上側に設けられた軸状の連結部１１９と、連結部１１９の上側に設けられた被支持部１２０とが、樹脂材料によって一体に成形されている。

　連結部１１９の外径は、軸部１８の外径より小さくされている。連結部１１９の中心軸は、軸部１１８の中心軸Ｐと同軸上に配置されている。

　被支持部１２０は、外面が略上方を向く被押さえ面１２０ａと、それぞれ上縁が被押さえ面１２０ａの外周縁に連続された一対の被規制面１２０ｂと、上縁が被押さえ面１２０ａの外周縁に連続された摺動面１２０ｃとを備えている。被押さえ面１２０ａは、外周縁のうち摺動面１２０ｃに連続する部分が軸部１１８の中心軸Ｐを中心とした円弧状に形成され、一対の被規制面１２０ｂに連続する部分がそれぞれ略直線状に形成されている。

　一対の被規制面１２０ｂは、それぞれ前斜め左方及び前斜め右方を向き、左右方向において連続して形成されている。

　摺動面１２０ｃは下方に凸の球面を有するように形成されている。摺動面１２０ｃは、一対の被規制面１２０ｂの後側及び下側に配置され、一対の被規制面１２０ｂの下縁及び左右両側縁に連続している。

　被支持部１２０は、図１８に示すように、軸部１１８の中心軸Ｐから被規制面１２０ｂの上縁までの距離Ｌが、軸部１１８の中心軸Ｐから摺動面１２０ｃの上縁までの距離Ｒより短くされている。上記した距離Ｌは、軸部１１８の中心軸Ｐから被規制面１２０ｂの上縁における任意の位置までの距離である。

　被支持部１２０の被押さえ面１２０ａには上方へ突出する被規制突部１２１が設けられている。被規制突部１２１は、例えば、上方に凸の略半球状に形成されている。被規制突部１２１は半球の中心が軸部１１８の中心軸Ｐ上に配置されている。

　スイブル軸１１７は、中間部材１２２に支持される。中間部材１２２は、上下方向および前方に開口する形状に形成されている。中間部材１２２は、下側に配置された囲み部１２３と、囲み部１２３の上端から外側斜め上方へ延びる受け部１２４と、受け部１２４の上端から外方へ延びるとともに前方に開口するＵ字状のフランジ部１２５とが、金属材料によって一体に成形されている。受け部１２４及びフランジ部１２５の前端の位置は一致している。

　囲み部１２３は、略半円筒状に形成されている。

　受け部１２４の内面は、被支持部１２０の摺動面１２０ｃが摺接される摺接面１２４ａとして形成されている。

　スイブル軸１１７は、連結部１１９が中間部材１２２の前側に形成された開口１２２ａから挿入されることにより、中間部材１２２に支持される。このとき連結部１１９が囲み部１２３の内側に配置され、被支持部１２０の摺動面１２０ｃが受け部１２４の摺接面１２４ａに接触した状態とされる。

　中間部材１２２は、ブラケット１２６に取り付けられる。ブラケット１２６はランプハウジング１０２に支持され、図示しないエイミング調整機構によって、左右方向及び上下方向へ傾動自在とされている。

　ブラケット１２６は、図１６に示すように、上下方向を向くベース部１２７と、ベース部１２７の左右両端部からそれぞれ上方へ突出された一対の柱部１２８（図１６に１つのみ示す。）と、一対の柱部１２８の上端部を連結する腕部１２９とを備えている。ブラケット１２６は樹脂材料により形成されている。ベース部１２７には挿通孔１２７ａが形成されている。ベース部１２７は、アクチュエーター１１４の上側に位置されており、挿通孔１２７ａにジョイント部材１１３及び駆動軸１１６が挿通された状態にされている。

　腕部１２９の左右方向における中央部には、軸支持部１３０が設けられている。

　軸支持部１３０には軸受凹部１３１が形成されている。軸受凹部１３１は、上下方向および前方に開口する形状に形成されている。軸受凹部１３１は、下側に位置する軸挿入面１３２と、軸挿入面１３２の上側に連続する受け面１３３と、受け面１３３の外側に連続する部材支持面１３４とを備えている。

　軸挿入面１３２は、円弧面状に形成されている。受け面１３３は、すり鉢状に形成されている。部材支持面１３４は、前方に開口するＵ字状に形成され、上方を向く載置面１３４ａと、載置面１３４ａの外周縁に連続して形成されて内方を向く規制面１３４ｂとを備えている。

　軸支持部１３０の前面には、左右両側にそれぞれ前方へ突出する一対の位置決め突部１３５が設けられている。

　軸支持部１３０の上面における後端寄りの位置には、上方へ突出する一対の上側係合突部１３６が左右に離隔して設けられ、下面における後端寄りの位置には、下方へ突出する一対の下側係合突部１３７が左右に離隔して設けられている。

　軸支持部１３０の上面における軸受凹部１３１の後方には、前方に開口する挿入部１３８が、一対の上側係合突部１３６間に配置されている。

　スイブル軸１１７が支持された中間部材１２２は、軸受凹部１３１に挿入される。このとき囲み部１２３が軸挿入面１３２の内側に配置され、受け部１２４が受け面１３３に接した状態とされ、フランジ部１２５が部材支持面１３４に接した状態とされる。フランジ部１２５が部材支持面１３４に嵌合され、規制面１３４ｂによって回転が規制されることにより、中間部材１２２は、ブラケット１２６の軸支持部１３０に回動不能な状態で取り付けられる。

　上記したように、中間部材１２２がブラケット１２６に取り付けられた状態において、スイブル軸１１７が中間部材１２２に支持されており、スイブル軸１１７は、中間部材１２２を介してブラケット１２６に対し上下方向へ傾動可能かつ左右方向（水平方向）へ回動可能とされる。

　ブラケット１２６の軸支持部１３０には、軸押さえ部材１３９が取り付けられる。軸押さえ部材１３９は、図１７に示すように、前後方向を向くベース面部１４０と、ベース面部１４０の上縁における左右両端部からそれぞれ後方へ延びる一対の上側係合部１４１と、ベース面部１４０の上縁における中央部から後方へ延びる押さえ部１４２と、ベース面部１４０の下縁における左右両端部からそれぞれ後方へ延びる一対の下側係合部１４３とが、弾性を有する金属材料によって一体に成形されている。

　ベース面部１４０には、左右に離隔して一対の位置決め孔１４０ａが形成されている。各上側係合部１４１の後端部には、係合孔１４１ａが形成されている。押さえ部１４２の前後方向における中央部には、上方へ凸の略半球状に形成された規制部１４２ａが設けられている。各下側係合部１４３の後端部には、係合孔１４３ａが形成されている。

　スイブル軸１１７が中間部材１２２を介してブラケット１２６の軸支持部１３０に支持された状態において、ブラケット１２６の軸支持部１３０に軸押さえ部材１３９が取り付けられる。

　軸押さえ部材１３９は、一対の上側係合部１４１と一対の下側係合部１４３の間隔が広がるように弾性変形された後に弾性復帰することにより、各上側係合部１４１の係合孔１４１ａ及び各下側係合部１４３の係合孔１４３ａが、それぞれ対応する上側係合突部１３６及び下側係合突部１３７に係合する。これにより図１８及び図１９に示すように、軸押さえ部材１３９は、ブラケット１２６の軸支持部１３０に取り付けられる。このとき、ベース面部１４０の各位置決め孔１４０ａに軸支持部１３０の各位置決め突部１３５が嵌合され、押さえ部１４２の先端部が軸支持部１３０の挿入部１３８に挿入される。

　軸押さえ部材１３９が軸支持部１３０に取り付けられると、被規制突部１２１は、押さえ部１４２の規制部１４２ａに挿入された状態で、押さえ部１４２によって上方から押さえられる。

　また、中間部材１２２の前端がベース面部１４０の後面の近傍に配置され、中間部材１２２の前方への移動が軸押さえ部材１３９によって規制される。

　上記のように構成された車輌用前照灯１０１において、アクチュエーター１１４の駆動軸１１６が回転されると、ジョイント部材１１３を介してアクチュエーター１１４の駆動力がランプユニット１０７に伝達される。駆動軸１１６の回転方向に応じて、ランプユニット１０７とスイブル軸１１７が一体になって左右方向へ回動し、スイブル動作が行われる。ランプユニット１０７が回動されるときには、スイブル軸１１７の軸部１１８の中心軸Ｐが回動中心とされ、スイブル軸１１７の摺動面１２０ｃが中間部材１２２の受け部１２４の摺接面１２４ａに摺接される。

　上記したスイブル動作により、ランプユニット１０７が車輌の進行方向に追従して左右方向へ回動され、光軸の向きが車輌の進行方向に応じて変化する。

　また、車輌用前照灯１０１においては、レベリング調整又はエイミング調整である光軸調整を行うことが可能とされている。

　レベリング調整は、駆動機構により駆動軸１１６が前後方向へ移動され、スイブル軸１１７の被規制突部１２１を支点としてランプユニット１０７がブラケット１２６に対して上下方向へ傾動されることにより行われる。このとき、スイブル軸１１７の摺動面１２０ｃが中間部材１２２の摺接面１２４ａに摺接される。

　エイミング調整は、エイミング機構の動作により、ブラケット１２６、ランプユニット１０７、及びアクチュエーター１１４が一体になってランプハウジング１０２に対して上下方向又は左右方向へ傾動されることにより行われる。

　車輌の走行時の振動やランプユニット１０７の慣性により、上記したスイブル動作中にランプユニット１０７が所定の角度以上に回動されるような力が付与されることがある。

　本実施形態の車輌用前照灯１０１においては、このような場合には図２０に示すように、ランプユニット１０７と一体になって回動されるスイブル軸１１７における被支持部１２０が備える一対の被規制面１２０ｂが、軸押さえ部材１３９のベース面部１４０の後面に接触する。例えば、ランプユニット１０７が左方向に所定の角度まで回動されると、図２０に一点鎖線で示すように、スイブル軸１１７が左方向に回動されて一方の被規制面１２０ｂが軸押さえ部材１３９のベース面部１４０に接触する。同様に、ランプユニット１０７が右方向に所定の角度まで回動されると、図２０に二点鎖線で示すように、スイブル軸１１７が右方向に回動されて他方の被規制面１２０ｂが軸押さえ部材１３９のベース面部１４０に接触する。

　このように、一対の被規制面１２０ｂがベース面部１４０に接触することにより、スイブル軸１１７の回動が規制され、スイブル軸１１７と一体に回動されるランプユニット１０７の回動も規制される。これによりランプユニット１０７の過度の回動を規制することができる。

　また、車輌の走行時の振動や衝撃等によりランプユニット１０７に前方への力が付与されることがある。このときスイブル軸１１７にも前方への力が作用する。

　しかしながら、本実施形態の車輌用前照灯１０１においては、スイブル軸１１７の被規制突部１２１が、押さえ部１４２の規制部１４２ａに挿入された状態で押さえ部１４２によって上方から押さえられている。

　従って、規制部１４２ａにより被規制突部１２１に前方への力に反する力が作用するので、スイブル軸１１７の前方への移動を規制することができる。これによりランプユニット１０７のブラケット１２６からの位置ずれを防止することができる。

　軸押さえ部材１３９の規制部１４２ａの形状は、上記した上方へ凸の略半球状に限られることはない。規制部１４２ａは、スイブル軸１１７が左右方向に回動可能な状態でスイブル軸１１７の前方への移動が規制されるような形状であれば、他の形状であってもよい。

　スイブル軸１１７の前方への移動の規制は、軸押さえ部材１３９の規制部１４２ａに形成された凹部によりなされることを要しない。当該凹部を上下方向に開口する規制孔で代え、当該規制孔にスイブル軸１１７の被規制突部１２１が挿入される構成としてもよい。この場合には、スイブル軸１１７の被押さえ面１２０ａが軸押さえ部材１３９の押さえ部１４２によって上方から押さえられた状態とされ、規制部として形成された規制孔によってスイブル軸１１７の前方への移動が規制される。

　以上に記載した通り、本実施形態の車輌用前照灯１０１にあっては、ランプユニット１０７の回動時に摺動する摺動面１２０ｃと、スイブル軸１１７の回動時に軸押さえ部材１３９に接触可能な一対の被規制面１２０ｂとが、スイブル軸１１７の被支持部１２０に形成されている。また、スイブル軸１１７の回動中心から一対の被規制面１２０ｂの上縁までの距離Ｌが、スイブル軸１１７の回動中心から摺動面１２０ｃの上縁までの距離Ｒより短くされている。

　従って、被支持部１２０の前方への張出し部分が小さいので、被支持部１２０及び軸押さえ部材１３９と、これらの周囲に配置される周辺部品との干渉を回避することができる。

　また、一対の被規制面１２０ｂが軸押さえ部材１３９に接触することにより、スイブル軸１１７の所定の角度以上の回動が規制されるので、ランプユニット１０７の過度の回動が防止される。すなわちスイブル軸１１７がランプユニット１０７の過度の回動を防止する機能を有する。したがって灯具外筐１０４の内部にランプユニット１０７の過度の回動を規制する構造を別途設ける必要がなく、構造を簡素化しつつ、ランプユニット１０７の過度の回動を規制することができる。

　また、本実施形態の車輌用前照灯１０１にあっては、ブラケット１２６とスイブル軸１１７の間に介在されてランプユニット１０７の回動時に被支持部１２０が摺動する中間部材１２２を設けている。中間部材１２２は、金属材料によって形成されている。

　スイブル軸１１７の回動時には、樹脂材料によって形成された被支持部１２０が金属材料によって形成された中間部材１２２に摺接するため、摺接に伴う削り粉が発生し難く、スイブル軸１１７及びブラケット１２６が磨耗し難い。このため、スイブル軸１１７及びブラケット１２６の耐久性が向上し、ランプユニット１０７の円滑な動作状態を維持することができる。

　上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。

　上記実施形態に係るアクチュエータ－２３（１１４）によるランプユニット１０（１０７）の回動方向（本発明の第１方向）および移動方向（本発明の第２方向）は、それぞれ車輌の左右方向および前後方向に限られるものではない。ランプユニット１０（１０７）が搭載される灯具の仕様に応じて、適宜に定めることが可能である。

　本出願は、２０１１年９月７日に提出された日本国特許出願２０１１－１９４７９４、２０１１年１１月１１日に提出された日本国特許出願２０１１－２４７７９７、および２０１１年１１月１１日に提出された日本国特許出願２０１１－２４７７９８に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims

　ランプユニットに連結される出力軸部、および第１の被駆動部を有し、前記出力軸部の軸中心を基準として第１方向に回動可能とされた連結部材と、
　前記軸中心に一致する回動中心の第１の側に配置された第２の被駆動部、および前記第１の側の反対側である前記回動中心の第２の側に配置された従動部を有し、前記連結部材に対して前記回動中心を基準として回動可能とされた被駆動部材と、
　前記従動部に係合される作用部と、
　前記第１の被駆動部に係合され、前記連結部材を前記軸中心を基準として前記被駆動部材に対して回動させる第１の駆動体と、
　前記第２の被駆動部に係合され、前記被駆動部材を前記連結部材に対して回動させる第２の駆動体とを備え、
　前記第２の駆動体によって前記被駆動部材が回動される際に、前記従動部に係合された前記作用部は、前記回動中心を第２方向に直線移動させ、前記連結部材は、前記被駆動部材とともに前記第２方向へ移動されるようにしたことを特徴とするアクチュエーター。
　前記第１の被駆動部は、円弧状に延びる第１のギヤ部を備え、
　前記第２の被駆動部は、円弧状に延びる第２のギヤ部を備え、
　前記従動部は、円弧状に延びる従動ギヤ部を備え、
　前記作用部は、ラック部を備え、
　前記第１の駆動体は、前記第１のギヤ部に噛合される第１のウォームを備え、
　前記第２の駆動体は、前記第２のギヤ部に噛合される第２のウォームを有することを特徴とする請求項１に記載のアクチュエーター。
　前記ラック部、前記第１のウォーム、および前記第２のウォームは、前記第２方向に延びていることを特徴とする請求項２に記載のアクチュエーター。
　前記第１のウォームを前記第２方向へ移動自在に支持するシャフトをさらに備え、
　前記連結部材の前記第２方向への移動時に、前記第１のウォームが前記シャフトに対して前記第２方向へ移動されるようにしたことを特徴とする請求項２または３に記載のアクチュエーター。
　前記第２の駆動体によって前記被駆動部材が前記連結部材に対して回動されるときに、前記連結部材を前記第２方向へ案内するガイド部材をさらに備えることを特徴とする請求項１から４のいずれか一項に記載のアクチュエーター。
　開口を有するランプハウジング、および前記ランプハウジングの開口を閉塞するカバーを備える灯具外筐と、
　前記灯具外筐の内部に配置され、光源を有するランプユニットと、
　前記光源から出射される光の照射方向を調整するアクチュエーターとを備え、
　前記アクチュエーターは、
　　前記ランプユニットに連結される出力軸部、および第１の被駆動部を有し、前記出力軸部の軸中心を基準として左右方向において回動可能とされた連結部材と、
　　前記軸中心に一致する回動中心の第１の側に配置された第２の被駆動部、および前記第１の側の反対側である前記回動中心の第２の側に配置された従動部を有し、前記連結部材に対して前記回動中心を基準として回動可能とされた被駆動部材と、
　　前記従動部に係合される作用部と、
　　前記第１の被駆動部に係合され、前記連結部材を前記軸中心を基準として前記被駆動部材に対して回動させる第１の駆動体と、
　　前記第２の被駆動部に係合され、前記被駆動部材を前記連結部材に対して回動させる第２の駆動体とを備え、
　前記第２の駆動体によって前記被駆動部材が回動される際に、前記従動部に係合された前記作用部は、前記回動中心を前後方向に直線移動させ、前記連結部材は、前記被駆動部材とともに前記前後方向へ移動されるようにしたことを特徴とする車輌用前照灯。
　ランプユニットに連結される出力軸部を有し、少なくとも前記出力軸部が第１方向に回動可能とされるとともに、第２方向に移動可能とされた連結ユニットと、
　磁極の第１の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記第２方向における移動位置を検出する第１の磁気検出部と、
　磁極の第２の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記第１方向における回動位置を検出する第２の磁気検出部とを備え、
　前記第１の境界と前記第２の境界は、前記連結ユニットに設けられていることを特徴とするアクチュエーター。
　前記第１の磁気検出部は、前記出力軸部の軸中心の前記第２方向への移動経路に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項７に記載のアクチュエーター。
　前記第１の磁気検出部と前記第２の磁気検出部は、前記第１方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項７または８に記載のアクチュエーター。
　前記第１の境界と前記第２の境界を有する検出用マグネットが前記連結ユニットに装着されていることを特徴とする請求項７から９のいずれか一項に記載のアクチュエーター。
　開口を有するランプハウジング、および前記ランプハウジングの開口を閉塞するカバーを備える灯具外筐と、
　前記灯具外筐の内部に配置され、光源を有するランプユニットと、
　前記光源から出射される光の照射方向を調整するアクチュエーターとを備え、
　前記アクチュエーターは、
　前記ランプユニットに連結される出力軸部を有し、少なくとも前記出力軸部が前後方向に移動可能とされると共に、左右方向に回動可能とされた連結ユニットを備え、
　磁極の第１の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記前後方向における移動位置を検出する第１の磁気検出部と、
　磁極の第２の境界を検出することにより、前記連結ユニットの前記左右方向における回動位置を検出する第２の磁気検出部とを設け、
　前記第１の境界と前記第２の境界は、前記連結ユニットに設けられていることを特徴とする車輌用前照灯。
　光源から出射された光を前方へ照射し、少なくとも左右方向へ回動可能とされたランプユニットと、
　被支持部を有し、上方へ突出された状態で前記ランプユニットに取り付けられ、前記左右方向への回動の支点とされるスイブル軸と、
　前記被支持部を少なくとも前記左右方向へ回動可能に支持するブラケットと、
　前記ブラケットに取り付けられ、前記スイブル軸を押さえる軸押さえ部材とを備え、
　前記被支持部は、
　　前記軸押さえ部材によって上方から押さえられる被押さえ面と、
　　上縁が前記被押さえ面の外周縁に連続し、前記ランプユニットの回動時に摺動する摺動面と、
　　上縁が前記被押さえ面の外周縁に連続し、前記スイブル軸が所定の角度以上に回動されたときに前記軸押さえ部材に接触する被規制面とを有し、
　前記スイブル軸の回動中心から前記被規制面の上縁までの距離が、前記スイブル軸の前記回動中心から前記摺動面の上縁までの距離より短いことを特徴とする車輌用前照灯。
　前記ブラケットが樹脂材料によって形成され、
　前記スイブル軸が樹脂材料によって形成され、
　金属材料によって形成されるとともに、前記ブラケットと前記スイブル軸の間に介在されて前記ランプユニットの回動時に前記被支持部が摺接される中間部材をさらに備えることを特徴とする請求項１２に記載の車輌用前照灯。
　前記被押さえ面に上方へ突出された被規制突部が設けられ、
　前記被規制突部が挿入される規制部を有するとともに、前記スイブル軸を上方から押さえる押さえ部が、前記押さえ部材に設けられていることを特徴とする請求項１２または１３に記載の車輌用前照灯。