以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。なお、図示した実施の形態は、本発明を自動車用前照灯に適用したものである。
先ず、図1乃至図8に第1の実施の形態を示す。
図1によって、自動車用前照灯の概要を説明する。
自動車用前照灯10はほぼ密閉された空間である灯室21を有するハウジング20内にランプユニット30が上下及び左右に回動可能に配置されて成る。上記ハウジング20は前方に開口した容器状をしたランプボディ22の前面開口が透明カバー23によって覆われて成る。
図示した自動車用前照灯10にあっては、ランプユニット30はブラケット40を介してランプボディ22に上下及び左右に傾動可能に支持されるが、ランプボディ22に直接ランプユニット30を上下及び左右に回動可能に支持するようにしても良い。
そして、上記ブラケット40に駆動手段である2軸アクチュエータ50が支持され、該2軸アクチュエータ50の出力部に上記ブラケット40に上下及び左右に回動可能に支持されたランプユニット30が連結される。
また、上記ハウジング20内には放電灯点灯回路60が配置され、該放電灯点灯回路60によってランプユニット30が点灯されるようになっている。
図1及び図2で分かるように、ランプユニット30は、リフレクタ31と、該リフレクタ31に支持された放電バルブ32と、上記リフレクタ31の前端に取り付けられた連結部33と、該連結部33の前端の開口を覆うように配置された投射レンズ34と、上記連結部33に設けられたシェード35を備え、放電バルブ32から出射しリフレクタ31で反射された光が上記シェード35の上縁35aの近傍で集光し、該集光した光が上記シェード35の上縁35aの近傍に焦点を有する投射レンズ34によって前方へ投射されて所定の配光パターンを有するビームが形成される。上記配光パターンはその上縁に上記シェード35の上縁35aによって限定されたカットオフラインを有する。
上記連結部33の上面からはシャフト36が上方へ向けて突出され、該シャフト36には自動調芯メタル37が外嵌されている。上記自動調芯メタル37はほぼ球状をした外周面37aと中心孔37bを有し、上記中心孔37bに上記シャフト36が摺動自在に挿通されている。
上記連結部33の下面のうち上記シャフト36と対応した位置には連結ボス38が突設されている。該連結ボス38はほぼ円形の外形を有し、下面に開口した嵌合凹部38aを有している。そして、上記嵌合凹部38aの内周面には図示しない複数の係合切欠が形成されている。
なお、上記シャフト36の軸心と連結ボス38の軸芯を結んだ線はこのランプユニット30の光軸x−xが位置する鉛直平面上に位置している。
上記ブラケット40は、図1及び図2で分かるように、前方に開口した浅い皿状をした主部41に大きな開口41aが形成され、上記主部41の上端から前方へ向けて上部支持片42が突設され、上記主部41の下端から前方へ向けて下部支持片43が突設され、また、主部41の3つの角部から連結片44、45、46が突設されている。
上記上部支持片42の前端部の左右方向における中央には前方へ向かって窪んだ支持凹部42aが形成されており、該支持凹部42aの前方を向いた面は凹球面に形成されている。また、上部支持片42の前端面の支持凹部42aを挟んだ両脇にはネジ穴42b、42bが形成されている。そして、上部支持片42の前端部にはメタルホルダ47が取り付けられる。メタルホルダ47はその左右方向における中央部に後方へ向かって窪んだ押さえ部47aが形成されており、該押さえ部47aの後方を向いた面は凹球面に形成されている。そして、メタルホルダ47の押さえ部47aを挟んだ両脇部にはネジ挿通孔47b、47bが形成されている。さらに、メタルホルダ47の上縁部には後方へ突出した規制部47dが形成されている。そして、メタルホルダ47が上部支持片42の前端に当接され、規制部47dが押さえ部47a及び支持凹部42aの上方を覆った状態で、ネジ挿通孔47b、47bを前方から挿通されたネジ47c、47cが上部支持片42のネジ穴42b、42bに螺合され、これによって、メタルホルダ47が上部支持片42の前端部に取り付けられる。これによって、上部支持片42の支持凹部42aとメタルホルダ47の押さえ部47aとの間に球状の受け凹部が形成される。
上記下部支持片43の前端寄りの位置には前後方向に長い長孔43aが形成されている。なお、この長孔43aの前後方向におけるほぼ中央部が上記受け凹部と上下で対応した位置に位置する。そして、上記長孔43aに該長孔43aより一周り小さい前後に長いトラック状をしたスラストメタル43bが嵌合固定される。そして、このスラストメタル43bのトラック状をした開口部の幅はランプユニット30の連結ボス38の外形寸法より僅かに大きい寸法に形成されている。さらに、下部支持片43の後端部の左右からは取付片43c、43c(一方のもののみ図2に示す)が突設されており、該取付片43c、43cには図示しない螺孔が形成されている。
そして、ランプユニット30の連結ボス38がブラケット40の下部支持片43に取り付けられたスラストメタル43bに前後方向に摺動自在に係合され、また、ランプユニット30の上面から突出したシャフト36に外嵌された自動調芯メタル37がブラケット30の上部支持片42の支持凹部42aとメタルホルダ47の押さえ部47aとによって回転可能に支持され、これによって、ランプユニット30はブラケット40を介してランプボディ22に互いに直交する2つの平面に沿って回動可能に支持される。すなわち、上記シャフト36と連結ボス38とを結ぶ軸に直交する平面に沿って該軸回りに回動可能であり、且つ、連結ボス38がスラストメタル43bに沿って前後に移動することによってシャフト36と連結ボス38とを結ぶ軸及びスラストメタル43bの幅方向における中央を通って前後に延びる軸を含む平面に沿って回動可能である。
上記したブラケット40はランプボディ22に上下方向及び左右方向へ傾動可能に支持される。すなわち、ブラケット40はランプボディ22の後面壁22aとの間が、連結片44が回動支点部48によって、また、2つの連結片45、46が間隔調整部49、49によって、それぞれ連結される。
回動支点部48は連結片44に支持される支点軸48aとランプボディ22の後面壁22aに支持される球受け体48bとによって構成される。支点軸48aは連結片44に前端部が固定される軸部48cの後端に球体48dが形成されて成り、該球体48dが上記球受け体48bに形成された球状凹部48eに嵌合され、上記球体48dが上記球状凹部48e内で回転することによって軸部48cが傾動可能となる。
上記間隔調整部49は、連結片45(46)に支持されるナット体49aとランプボディ22の後面壁22aに回転自在に支持される調整軸49bとから成り、調整軸49bの螺軸部49cがナット体49aに螺合される。
そこで、例えば、連結片45に支持されたナット体49aに対して調整軸49bを回転すると、その回転の方向に応じて螺軸部49cがナット体49aに対して捻じ込まれ又は捻じ戻される。これによって、連結片45とランプボディ22の後面壁22aとの間の間隔が広くなったり狭くなったりする、すなわち、連結片45が前方へ又は後方へ移動することになる。これによって、ブラケット40は回動支点部の球体48dと球状凹部48eとの連結部と連結片46を結んだ線を回動軸としてほぼ左右方向へ傾動する。また、連結片46に支持されたナット体49aに対して調整軸49bを回転すると、その回転の方向に応じて螺軸部49cがナット体49aに対して捻じ込まれ又は捻じ戻される。これによって、連結片46とランプボディ22の後面壁22aとの間の間隔が広くなったり狭くなったりする、すなわち、連結片46が前方へ又は後方へ移動することになる。これによって、ブラケット40は回動支点部の球体48dと球状凹部48eとの連結部と連結片45を結んだ線を回動軸としてほぼ上下方向へ傾動する。
上記した2軸アクチュエータ50はブラケット40の下部支持片43の下面側にてブラケット40に支持される。
2軸アクチュエータ50は上記ランプユニット30を互いに直交する2つの平面のうちの一方の平面に沿って回動させる第1駆動モードと、ランプユニット30を上記2つの平面のうちの他方の平面に沿って回動させる第2駆動モードとを有する駆動手段である。2軸アクチュエータ50の詳細を図3乃至図6を参照して説明する。
2軸アクチュエータ50は単一のケース510内に2つの機能を有する機構が組み込まれている。ケース510は、図5で分かるように、3つの部分、すなわち、主ケース体520と、主ケース体520の上面を覆う上部蓋体511と、主ケース体520の下面を覆う下部底板体512とによって構成される。
主ケース体520は平面形状で前後方向に長い長方形状をした外周壁521を有し、該外周壁521の内側は中間壁522によって上下の部分520a、520bに分けられている。上記外周壁521の前端部の左右方向における中央部には下方に開口した大きな切欠部521aが形成されている。外周壁521の左右両側部の後端寄りの部分の上端部からは外方へ突出した取付片521b、521bが形成され、該取付片521b、521bには挿通孔521c、521cが形成されている。また、外周壁521の前端面の上記切欠部521aを挟んだ位置及び後端面の左右にほぼ等間隔に離間した位置には係合面が上方を向いた係合突起521d、521d、・・・(後端面に形成したものは図示せず)が突設されている。さらに、外周壁521の左右側面の前後に離間した2カ所には係合面が下方を向いた係合突起521e、521e、・・・(一方の側面に形成したものは図示せず)が突設されている。
中間壁522の前後方向における中央より僅かに後方に寄った位置に上端が外周壁521の上端とほぼ同じ高さの中央台部523が突出され、該中央台部523の両側面、中間壁522の底面部及び外周壁521の内側面に連続した係合溝524、524が形成されている。
上記中央台部523の前面の両側部から前端に向けて横断面形状で門型を成し中間壁522からの突出高さが中央台部523より低い摺動凸条525、525が形成され、これら摺動凸条525、525と外周壁521の側面部との間に摺動空間520c、520cが形成される。上記摺動突条525と525との間で摺動凸条525、525に近接して突壁526、526が中間壁522から突設され、これら突壁526、526と摺動凸条525、525との間に摺動溝520d、520dが形成され、2つの突壁526、526の間にバネ配置空間520eが形成される。なお、上記突壁526、526の後端は上記中央台部523のかなり手前に位置している。
上記中央台部523のやや後方の位置で左右に並んで2つの太めの円筒状をした支持筒527、527が中間壁522から上方へ突出されている。また、これら支持筒527、527と中央台部523との間で外周壁521の側面部側に寄った位置で細めの筒状をした支持筒528、528が中間壁522から上方へ突出されている。そして、上記太めの支持筒527、527を中心とした同心円上にそれぞれ3個ずつの臨ませ孔527a、527a、・・・が形成され、また、上記臨ませ孔527a、527a、・・・の形成位置より内側の同心円上にそれぞれ4個ずつの挿通孔527b、527b、・・・が形成されている。
上記外周壁521の後端部の内面の上記摺動空間520c、520cに対応した位置に受け部529、529が突設されており、該受け部529、529の上面に上方に向かって開き半円形に窪んだ受け面529a、529aが形成されている。
上部蓋体511は上記主ケース体520の上面を全体に覆う大きさの前後に長い長方形状をした板状の主部511aと該主部511aの外周縁から下方へ突出した周壁部511bを有する。上記主部511aの前端寄りの位置には前後方向に長い長円形をした挿通孔511cが形成されている。上記周壁部511bの後端寄りの位置の下端部からは外方へ突出した取付片511d、511dが形成されており、該取付片511d、511dには挿通孔511e、511eが形成されている。また、外周壁511bの上端部の前後に離間した位置からは下方に向けて係合片511f、511f、・・・(一方の側部のものは図示せず)が突設されており、これら係合片511f、511f、・・・には係合孔511g、511g、・・・が形成されている。
上記した上部蓋体511を上記主ケース体520の上面を覆うように位置させると、その長円形の挿通孔511cは主ケース体520に形成された摺動凸条525と525との間の空間に対応して位置し、取付片511d、511dは主ケース体520の取付片521b、521bと重なり、また、その挿通孔511e、511eは主ケース体520の取付片521b、521bに形成された挿通孔521c、521cと重なった状態となる。そして、係合片511f、511f、・・・の係合孔511g、511g、・・・の下縁が主ケース体520の外周壁521に形成された係合突起521e、521e、・・・の下方を向いた係合面と係合して、上部蓋体511の主ケース体520からの脱落が阻止される。
下部底板体512は、主ケース体520の下面を完全に覆う大きさより僅かに前後方向に長い長方形の板状をした主部512aと該主部512aの外周縁より僅かに内側から上方へ向けて突出した背の低い周壁部512bを有する。主部512aの前端の左右に離間した位置から2つの係合片512c、512cが上方へ向けて突出され、これら係合片512c、512cには係合孔512d、512dが形成されている。また、主部512aの後端部で周壁部512bの後端部からやや後方へ離間した位置に係合壁512eが立設されており、この係合壁512eの前面に左右に間隔を置いて係合面が下方を向いた3個の係合突起512f、512f、512fが突設されている。
上記した下部底板体512が主ケース体520の下面を覆うように位置され、そして、下部底板体512の係合片512c、512cの係合孔512d、512dの上縁が主ケース体520の外周壁521の前面に形成された係合突起521d、521dの上方を向いた係合面と係合し、さらに、後部の係合壁512eに形成された係合突起512f、512f、512fの下方を向いた係合面が主ケース体520の外周壁521の後面に形成された係合突起521d、521d、521dの上方を向いた係合面と係合して、下部底板体512の主ケース体520からの脱落が阻止される。
以上のようにして、主ケース体520の上面を覆うように上部蓋体511が結合され、また、主ケース体520の下面を覆うように下部底板体512が結合されて、ケース510が形成され、主ケース体520の中間壁522と上部蓋体511との間に機構配置空間510aが形成され、主ケース体520の中間壁522と下部底板体512との間に回路配置空間510bが形成される。そして、図3で良くわかるように、ケース体510の内部はケース510を左右に2分する中心線を通って鉛直方向に延びる平面を中心とした左右対称の内部構造を有する。
そして、上記回路配置空間510bに制御回路が構成された回路基板530が配置される。上記回路基板530には電子部品が実装され、前端部上面の左右方向の中央部にコネクタ531が取り付けられ、該コネクタ531は主ケース体520の外周壁521の前面部に形成された切欠部521aから外方を臨まされる。また、回路基板530のうち主ケース体520に形成された支持筒527、527の下方に対応した位置には挿通孔532、532が形成され、該挿通孔532、532を中心とする同心円上に3個ずつのホール素子533、533、・・・が実装され、また、ホール素子533、533、・・・が配置された位置より内側の同心円上に4個ずつの挿通孔534、534、・・・が形成されている。そして、上記ホール素子533、533、・・・は主ケース体520の中間壁522に形成された臨ませ孔527a、527a、・・・に対向して配置され、また、挿通孔534、534、・・・は主ケース体520の中間壁522に形成された挿通孔527b、527b、・・・に対向して配置される。なお、回路基板530上に配置される背の高い電子部品539、539、・・・は主ケース体520に形成された中央台部523の下方の背の高い空間に位置するように実装される。
ケース510の上記機構配置空間510aには機構部が配置される。なお、ケース510の内部が、回路基板530が配置される回路配置空間510bと機構部が配置される機構配置空間510aとに区画されているため、機構部から出る各部材の削りかす、オイル等が回路基板530に影響することを避けることができ、回路基板530の長寿命化が可能になる。
上記機構部は、出力部540と駆動源550と駆動源550の駆動力を出力部に伝達する駆動力伝達部560とから成る。
出力部540は出力ギヤ541と、スライドベース542と、圧縮コイルバネ543で構成される。出力ギヤ541はほぼ円筒状をした連結部541aと該連結部541aの下端部からそれぞれ反対方向へと突出したセクターギヤ部541b、541bとが一体に形成されて成り、連結部541aの上端部の外周面には周方向に間隔を置いて並んだ係合凸条541c、541c、・・・が形成されている。
スライドベース542は板状をしたベース542aの上面中心から円筒状の嵌合部542bが上方へ向けて突設され、また、ベース542aの下面からは左右に離間して2つの板状をした摺動脚542c、542cが下方へ向けて突設され、そして、2つの摺動脚542c、542の後端部間には図示しない受け板が形成されている。このようなスライドベース542はその摺動脚542c、542cが主ケース体520の摺動溝520d、520dに摺動自在に係合され、また、摺動脚542c、542cの後端間に形成された図示しない受け板は主ケース体520の突壁526、526と中央台部523との間の空間に位置している。そして、スライドベース542が移動範囲の前端に移動するまでは上記受け板は突壁526、526の後端に衝突しないようになっている。圧縮コイルバネ543が主ケース体520のバネ配置空間520e内に配置され、スライドベース542の受け板と主ケース体520の外周壁521の前端部の内面との間で圧縮された状態とされる。従って、スライドベース542は圧縮コイルバネ543によって後方へ向けて付勢されている。
上記したように、ケース510の機構配置空間510aに配置されたスライドベース524の嵌合部542bに出力ギヤ541の連結部541aが外嵌される。これによって、出力ギヤ541はスライドベース542と共に前後方向に移動し、且つ、スライドベース542に対して嵌合部542bの軸回りに回動可能に支持される。
上記駆動源550、550はブラシレスモータとして構成されている。2つのブラシレスモータ550、550は同じ構成を有しているので、一方について説明する。主ケース体520の中間壁522に突設された支持筒527に外嵌状にインシュレータ551が固定され、該インシュレータ551に支持された4個のターミナル552、552、・・・の下端部が中間壁522に形成された挿通孔527b、527b、・・・を挿通して回路配置部510b内に突出され、さらに、回路基板530の挿通孔534、534、・・・を挿通して回路基板530の裏側で図示しない所定の接続ランドに半田付け等により接続される。上記インシュレータ551の外側に位置するようにコア553が主ケース体520に固定され、該コア553に図示しないコイルが巻回される。なお、上記コイルには上記したターミナル552、552、・・・を介して給電される。上記したインシュレータ551、ターミナル552、552、・・・、コア553、コイルによってブラシレスモータ550のステータ部が構成される。
上記した支持筒527に軸受けメタル554が内嵌状に固定され、該軸受けメタル554にシャフト555が回転自在に支持される。上記シャフト555の上端部にロータ部材556が固定され、該ロータ部材556の上面の中心部にピニオンギヤ557が一体に形成されている。558はほぼ円筒状に形成され周方向に交互着磁されたロータマグネットであり、その上端部が上記ロータ部材556の外周部に固定され、これによって、ロータマグネット558がコア553を外側から囲むように位置され、また、ロータマグネット558の下端部は主ケース体520の中間壁522に形成された臨ませ孔527a、527a、527aを介して回路基板530上のホール素子533、533、533と対向される。
従って、コア553に巻回された図示しないコイルにターミナル552、552、・・・を介して通電されると、ロータマグネット558に回転力が発生し、該ロータマグネット558、ロータ部材556及びシャフト555によって構成されるロータが回転する。
駆動力伝達部560は左右に一対配置され、左右のものは左右面対称の形状を有する他は全く同じ構成を有するので、その一方のものについて説明する。
駆動力伝達部560は、ケース510の摺動空間520c、520c内に前後方向に移動自在に配置されるラック部材561を有する。ラック部材561は前後方向に長い長方体を成し、一方の側面にラック歯561aが形成されている。このラック部材561が上記駆動源550によって移動される移動部であり、この移動部であるラック部材561と上記駆動源550とを備えることが駆動部として必要である。ラック部材561には後端に開口した圧入穴561b、561bが上下に並んで形成されている。リードスクリュー562の前端部に圧入部562aが形成されており、該圧入部562aが上記ラック部材561の下側の圧入穴に圧入され、これによって、リードスクリュー562の前端部にラック部材561が固定される。リードスクリュー562には上記圧入部562aを除いた部分の大部分に螺条562bが形成されている。上記したように、ラック部材561に圧入穴561b、561bを上下2段に形成することによって、左右で使用するラック部材561、561を同一の構造のものとすることができる。すなわち、下方に偏倚した位置でリードスクリュー562と連結するとした場合でも、左右に配置するものを左右対称に配置することによって、同一のラック部材561を左右に使用することが可能になる。
上記リードスクリュー562は円筒ギヤ563によって前後方向に送られるようになっている。円筒ギヤ563は前後方向に長い円筒状に形成され、その前端部の外周面に抜け止め突起563aが形成され、該抜け止め突起563aからやや後方に寄った位置に外径を大きくした大径部563bが形成され、該大径部563bの後側に斜歯ギヤ563cが形成されている。そして、円筒ギヤ563の内周面に螺溝563dが形成されている。
上記円筒ギヤ563の前端部にボールベアリング564が外嵌される。ボールベアリング564は、インナーレース564aとアウターレース564bとの間に複数のボール564c、564c、・・・が封入されて成り、アウターレース564bとインナーレース564aとが相互に回転可能に構成されている。そして、インナーレース564aが円筒ギヤ563の前端部の抜け止め突起563aと大径部563bとの間で外嵌され、これによって、ボールベアリング564の円筒ギヤ563からの脱落が阻止される。
そして、上記リードスクリュー562の螺条562bを円筒ギヤ563の螺溝563dに螺合し、ボールベアリング564のアウターレース564bをケース510の中央台部523から外周壁521の内面にかけて形成された係合溝524内に係合し、且つ、円筒ギヤ563の後端部を主ケース体520の外周壁521の後端部内面に形成された受け部529の受け面529aに受け入れさせる。これによって、円筒ギヤ563はケース510内に回転可能に配置される。
565、565は伝達ギヤであり、左右に同じものが使用されるので、その一方について説明する。伝達ギヤ565は上記ブラシレスモータ550の回転を円筒ギヤ563に伝達するものである。伝達ギヤ565は平ギヤ565aと該平ギヤ565aの中心部下面から下方に向けて突設された円筒状のウオームギヤ565bとが一体に形成されて成り、上記ウオームギヤ565bが主ケース体520の中間壁522から立設された支持筒528に回転可能に外嵌され、そして、上記ウオームギヤ565bが円筒ギヤ563の斜歯ギヤ563cと噛合され、また、平ギヤ565aがモータ550のピニオンギヤ557と噛合される。
上記したように構成された2軸アクチュエータ50は、その取付片511d、511d、521b、521bの挿通孔511e、511e、521c、521cを下方から挿通されたネジ570、570がブラケット40の下部支持片43の後端部両側に突設された取付片43c、43cの図示しないネジ穴に螺合されることによって、ブラケット40の下部支持片43の下面側に固定される。そして、出力部540の出力ギヤ541aの連結部541aがブラケット40の下部支持片43に支持されているスラストメタル43bに係合しているランプユニット30の連結ボス38の嵌合凹部38aに内嵌される。そして、上記連結部541aの上端部外周面に突設されている係合凸条541c、541c、・・・が上記嵌合凹部38aの内周面に形成されている図示しない係合切欠と係合され、連結ボス38と出力ギヤ541の連結部541aとは互いに自由には回転できないようになっている。なお、製造上の公差等によって、連結ボス38と出力ギヤ541の連結部541aとは微少な角度で互いの軸倒れが可能にされている。
上記したランプユニット30の光源には放電バルブ32が使用されており、そのために、ランプボディ22内の下部に放電バルブ32を点灯させるための放電灯点灯回路60が配置される。放電灯点灯回路60から延びるコード61の先端にはバルブソケット62が接続されており、該バルブソケット62が放電バルブ32に接続されている。従って、放電灯点灯回路60によって生成された点灯電圧がバルブソケット62を介して放電バルブ32に印加され、これによって放電バルブ32が点灯する。
以下に、上記自動車用前照灯10の作用について説明する。
上記自動車用前照灯10において、工場からの出荷時、或いは、車検時において、ビームの照射方向を調整する際は、2つの間隔調整部49、49の調整軸49b、49bを適宜に操作して、ランプユニット30を支持したブラケット40を上下左右に傾動させて、ビームの照射方向を調整する。
走行中におけるビームの照射方向の調整は2軸アクチュエータ50を駆動して行う。
ビーム照射方向を上下方向で傾動させる場合は、2つのモータ550、550を2つのラック部材561、561が同じ位相で移動するように、すなわち、2つのラック部材561、561が共に前方又は後方へ移動するように駆動する。モータ550、550が駆動されると、ロータマグネット558、558の回転がピニオンギヤ557、557を介して伝達ギヤ565、565の平ギヤ565a、565aに伝達され、該平ギヤ565a、565aと共に回転するウオームギヤ565b、565bによって円筒ギヤ563、563の斜歯ギヤ563c、563cが送られて円筒ギヤ563、563が回転する。円筒ギヤ563、563が回転すると、その螺溝563d、563dと噛合しているリードスクリュー562、562の螺条562b、562bが前後方向に送られるので、リードスクリュー562、562の前端部に固定されているラック部材561、561が摺動空間520c、520c内を前方へ又は後方へ移動される。2つのラック部材561、561が共に前方へ又は後方へ移動されることによって、セクターギヤ部541b、541bがラック部材561、561のラック歯561a、561aと噛合している出力ギヤ541が前方へ又は後方へ移動されることになる。
上記したようにして、2軸アクチュエータ50の出力ギヤ541が前方へ又は後方へ移動されると、上記出力ギヤ541の連結部541aと嵌合しているランプユニット30の連結ボス38がブラケット40に支持されたスラストメタル43bに沿って前方へ又は後方へ移動されることになり、従って、ランプユニット30はシャフト36に支持された自動調芯メタル37がブラケット40の上部支持片42とメタルホルダ47とによって支持されている部分を回動支点として、、上記シャフト36の軸心と連結ボス38の軸芯を結んだ線が位置しているランプユニット30の光軸x−xが位置する鉛直平面に沿って傾動、すなわち、上向き方向へ又は下向き方向へ傾動される。
ビーム照射方向を左右方向へ回動させるときは、2つのラック部材561、561が逆位相で、すなわち、一方のラック部材561が前方へ移動し、他方のラック部材561が後方へ移動するように、2つのモータ550、550を駆動する。2つのモータ550、550の駆動は上記した伝達経路によってラック部材561、561の移動として現れ、左右のラック部材561、561が互いに逆方向に移動することによって、出力ギヤ541は前後方向に移動すること無しに回転する。出力ギヤ541の回転によって、その連結部541aと連結ボス38が嵌合しているランプユニット30がシャフト36と連結ボス38とを結ぶ軸に直交する平面に沿って上記軸回りに回動する。これによって、ランプユニット30が左右方向で回動される。これによって、ランプユニット30を上記2つの平面に沿った回動位置の如何に関わらずそれぞれの平面に沿って回動させることができる。すなわち、上下方向への傾動途中で左右方向へ回動させることができると共に、左右方向への回動途中で上下方向へ傾動させることができる。
図7に2軸アクチュエータの変形例70を示す。この2軸アクチュエータ70は出力部の一部と駆動力伝達部の一部が上記2軸アクチュエータ50と異なるだけでその他の点では上記2軸アクチュエータ50と同様である。従って、ここでは、上記2軸アクチュエータ50と異なる点について主に説明し、その他の点については説明を省略する。
2軸アクチュエータ70のケース510は上記ケース510と同じである。
出力部740は上記出力部540におけると同様のスライドベース542及び圧縮コイルバネ543を有する。出力ギヤ741も上記出力ギヤ541とほぼ同様であるが、セクターギヤ部541b、541bの替わりに連結部741aの側面から左右へ突出した腕部741b、741bを有し、該腕部741b、741bの両端部には左右方向に長い連結孔741d、741dが形成されている。そして、ケース510内に前後方向に摺動自在に収納されたスライドベース542の嵌合部542bに出力ギヤ741の連結部741aが外嵌され、これによって、出力ギヤ741がスライドベース742に回転自在に支持される。
駆動力伝達部760は上記2軸アクチュエータ50の駆動力伝達部560のラック部材561の替わりに移動部として連結部材761を有する。連結部材761は主部761aと該主部761aから上方へ突出された連結ピン761bとが一体に形成され、上記主部761aには後端面に開口した圧入穴761cが形成されている。そして、上記2軸アクチュエータ50におけると同様のリードスクリュー562の圧入部562aが主部761aの圧入穴761cに圧入され、これによって、連結部材761がリードスクリュー762の前端部に固定される。その他に、駆動力伝達部760は、上記2軸アクチュエータ50におけると同様に、円筒ギヤ563、ボールベアリング564及び伝達ギヤ565を備え、そして、駆動源(ブラシレスモータ)550の回転が伝達ギヤ565、円筒ギヤ563を介してリードスクリュー562の前後方向への直進運動に変換され、該リードスクリュー562の前端に固定された連結部材761が前後方向に移動されることになる。そして、上記連結部材761の連結ピン761bが上記出力ギヤ741の腕部741bの連結孔741dに摺動自在に係合される。上記したように、上記駆動源550と連結部材761とを備えることが駆動部として必要である。
従って、2つの連結部材761、761が同位相で、すなわち、同じ方向へ同じ距離移動すると、出力ギヤ741は回転すること無しに、前後方向へと移動し、また、2つの連結部材761、761が逆位相で、すなわち、逆方向に同じ距離移動すると、出力ギヤ741は前後方向へ移動すること無しに回転する。
上記した2軸アクチュエータ70の出力軸741の連結部741aをランプユニット30の連結ボス38の嵌合凹部38aに内嵌することによって、ランプユニット30が2軸アクチュエータ70と連結され、そして、2軸アクチュエータ70の駆動により互いに直交する2つの平面に沿って各別に傾動される。
図8に上記ランプユニット30を含む前照灯システム全体の制御を行う制御回路の一例80を示す。
制御回路80は上記したランプユニット30を含む前照灯システム全体の制御を行うECU81を備え、該ECU81にはイグニッションスイッチ81a及びランプスイッチ81bが接続されている。そして、イグニッションスイッチ81aが投入(ON)された状態でランプスイッチ81bが投入(ON)されると、ECU81から点灯回路82に対して点灯指令が出され、これによって、点灯回路82によってランプユニット30の放電バルブ32が点灯され、所定の配光パターンを有するビームが前方へ向けて照射される。
上記ECU81には各種センサ83からの信号が入力されるようになっている。例えば、ステアリングセンサ83a、車高センサ83b、車速センサ83c、車輪センサ83d、GPSセンサ83eからの信号が入力されるようになっている。ステアリングセンサ83aからはステアリング操作したときのステアリング方向及びステアリング角度に関する情報が、車高センサ83bからは前後の車軸のそれぞれの高さに関する情報が、車速センサ835cから車速に関する情報が、車輪センサ83dからは各車輪の高さに関する情報が、GPSセンサ83eからは全地球測位システムに基づく現在位置情報が、それぞれ入力される。そして、ECU81は、上記各センサ83からの情報に基づいて、最適な照射方向となるように、所定の制御信号を2軸アクチュエータ50又は70に送出し、2軸アクチュエータ50又は70はECU81からの制御信号を一つのコネクタ531を介して受領するようになっている。
上記回路基板530上には制御プログラムが組み込まれたCPU(中央処理装置)535が搭載され、上記コネクタ531を介してECU81から所定の制御信号がCPU535に送られる。CPU535はECU81から得た制御信号に基づき回路基板530上に構成されたそれぞれのドライバ回路536、537に所定の信号を送り、各ドライバ回路536、537によって2つのモータ550、550が各別に駆動されるようになっている。そして、モータ550、550の駆動によって移動部(ラック部材561、561又は連結部材761、761)が移動され、また、移動部の移動によって出力部540、540(又は740、740)が回動及び/又は移動される。
上記した自動車用前照灯10にあっては、ランプユニット30は一点、すなわち、連結ボス38において駆動手段たる2軸アクチュエータ50又は70の出力部540又は740(の出力軸541又は741)と連結されるため、一の駆動手段を、形状や大きさを異にする殆どの種類の、少なくとも多くの種類のランプユニットに使用することができる。また、2軸アクチュエータはランプユニット30を上記2つの平面に沿った回動位置の如何に関わらずそれぞれの平面に沿って回動させることが可能であるので、ランプユニット30の回動制御に制限が無く、所望の方向へのビームの照射が可能になる。
また、上記ランプユニット30は、ハウジング20に対して(ブラケット40を介して)回転及び傾動可能な支持軸たるシャフト36に支持されると共にランプユニット30の上記シャフト36に連結された箇所と反対側に位置した箇所に上記出力部540又は740(の出力軸541又は741)が連結され、上記出力部の回転により上記ランプユニット30が上記シャフト36周りに回動される第1駆動モードが形成され、上記出力部の上記シャフト36の軸方向にほぼ直交する方向への直線移動により上記ランプユニット30が上記シャフト36と共に傾動される第2駆動モードが形成されるので、ランプユニット30のハウジング20への支持構造が単純化され、コストの低減に寄与する。
さらに、上記出力部540又は740(の出力軸541又は741)は上記ランプユニット30の光軸x−xに沿う鉛直平面上に位置しているので、左右に同じ構成のランプユニット30を使用することができ、コストの低減に寄与する。
さらにまた、上記駆動手段50又は70は2つの駆動源550、550及び上記駆動源によって各別に移動される2つの移動部であるラック部材561、561又は連結部材761、761を備え、上記2つの駆動源及び2つの移動部は上記出力部の直線移動方向に沿う鉛直平面に対して左右対称に配置され、上記2つの移動部が逆位相で移動されることによって上記出力部が回転し、上記2つの移動部が同位相で移動されることによって上記出力部が上記直線移動するので、左右のランプユニットに同一の構造の駆動手段を使用することができ、コストの低減に寄与する。
なお、上記した自動車用前照灯10にあっては、フェールセーフ機能を有する。すなわち、例えば、2つのモータ550、550のうちの一方が故障した場合、他方のモータ550を駆動することによって、該モータ550によって移動されるラック部材561又は連結部材761を後方へ移動させて、少なくとも、ランプユニット30を下向きに傾動させることができ、対向車の運転者に眩光を与えることが防止される。
フェールセーフ機能の一例について、図8を参照して説明する。
例えば、上記CPU535にはランプユニット30の所定の位置制御が不能となる異常を検知する異常検知手段538、ランプユニット30の照射位置を検知する照射位置検知手段539及び異常発生時に正常に動作する一方の駆動部を駆動する異常時位置制御手段540が設けられている。
ランプユニット30が所定の照射位置へと移動しなくなる異常としては、例えば、ドライバ回路536又は537の故障、モータ550の故障やロック、移動部561、761のロックや破損がある。上記異常検知手段538は、例えば、上記した異常が発生したときに、その異常を検知する。
上記異常検知手段538によって異常が検知された場合は、ランプユニット30の照射位置が上記照射位置検知手段539によって検知され、ランプユニット30の位置が所定の照射位置、すなわち、対向車の運転者等に幻惑光を与えない上限の位置以下の位置にある場合は、そのままとし、所定の照射位置より上の位置にある場合には、異常時位置制御手段540によって異常が生じていない方の駆動部を駆動して、ランプユニット30の照射位置が所定の照射位置以下となるように制御する。すなわち、正常に動作する方の駆動部のラック部材561又は連結部材761を後方へ移動させる。
上記したフェールセーフ機能の具体的動作を図9によって説明する。図9は車両の前方に位置したスクリーン上に照射される配光パターンの中心スポット光を示すものである。すなわち、S1〜S6は照射位置を上下方向に6等分して示すものであり、S1が照射位置の最上部を示し、S6が照射位置の最下部を示すものである。
図9(a)は正常時の照射位置変更動作を示すものであり、上下方向の位置変更及び左右方向の位置変更共に、矢印で示すように直線的に為される。なお、上下方向の位置変更と左右方向の位置変更が同時に為される場合は、スポット光Sは斜めの移動する。
図9(b)は走行方向に向かって右側の駆動部に異常が生じた場合である。この場合、左側の駆動部を動作させて照射位置を制御することになり、左側の移動部561又は761が後方へ移動することによって、スポット光Sは左下方へ向かって下がっていく。また、図9(c)は走行方向に向かって左側の駆動部に異常が生じた場合である。この場合、右側の駆動部を動作させて照射位置を制御することになり、右側の移動部561又は761が後方へ移動することによって、スポット光Sは右下方へ向かって下がっていく。例えば、図9(b)の場合、S5から上の領域が幻惑光を発生する領域(グレア領域)であるとすると、照射位置をS6以下とするまで正常な方の駆動部を駆動する。
なお、上記したフェールセーフ機能にあっては、ランプユニット30の照射位置の検出をも行って、異常発生時には、ランプユニット30の照射位置が所定位置以下となるように制御するが、異常発生時には、正常な方の駆動部を駆動して可能な限り照射位置を下方にする制御を行ってもかまわない。これは、取り敢えず、幻惑光だけは出さないようにしようとの考えである。
なお、上記した2軸アクチュエータ50及び70の駆動源としてブラシレスモータを使用したものを示したが、駆動源がブラシレスモータに限ることを意味するものではない。モータを駆動源とする場合でも、例えば、DC(直流)モータやステッピングモータの使用が可能であるし、或いは、モータ以外の駆動源の使用も可能である。
図10乃至図12に本発明を自動車用前照灯に適用した第2の実施の形態を示す。
自動車用前照灯110は前記自動車用前照灯10とほぼ同じ構造を有する。すなわち、ランプボディ122の前方を透明カバー123で覆って形成された灯室121を有するハウジング120の上記灯室121内に前記ランプボディ30と同様のランプユニット130が配置されている。
ランプユニット130はブラケット140を介してランプボディ122に上下及び左右に傾動可能に支持されるが、ランプボディ122に直接ランプユニット130を上下及び左右に回動可能に支持するようにしても良い。
そして、上記ブラケット140に駆動手段である2軸アクチュエータ90が支持され、該2軸アクチュエータ90の出力部に上記ブラケット140に上下及び左右に回動可能に支持されたランプユニット130が連結される。
また、上記ハウジング120内には放電灯点灯回路160が配置され、該放電灯点灯回路160によってランプユニット130が点灯されるようになっている。
図10及び図11で分かるように、ランプユニット130は、リフレクタ131と、該リフレクタ131に支持された放電バルブ132と、上記リフレクタ131の前端に取り付けられた連結部133と、該連結部133の前端の開口を覆うように配置された投射レンズ134と、上記連結部133に設けられたシェード135を備え、放電バルブ132から出射しリフレクタ131で反射された光が上記シェード135の上縁135aの近傍で集光し、該集光した光が上記シェード135の上縁135aの近傍に焦点を有する投射レンズ134によって前方へ投射されて所定の配光パターンを有するビームが形成される。上記配光パターンはその上縁に上記シェード135の上縁135aによって限定されたカットオフラインを有する。
上記連結部133の上面からはシャフト136が上方へ向けて突出され、該シャフト136には自動調芯メタル137が外嵌されている。上記自動調芯メタル37はほぼ球状をした外周面137aと中心孔137bを有し、上記中心孔137bに上記シャフト136が摺動自在に挿通されている。
上記連結部133の下面のうち上記シャフト136と対応した位置には連結ボス138が突設されている。該連結ボス138は上下方向に見てほぼ円形の外形を有し、下面に開口した嵌合凹部138aを有している。そして、上記嵌合凹部138aの内周面には図示しない複数の係合切欠が形成されている。
なお、上記シャフト136の軸心と連結ボス138の軸芯を結んだ線はこのランプユニット130の光軸x−xが位置する鉛直平面上に位置している。
上記ブラケット140は、図10及び図11で分かるように、前方に開口した浅い皿状をした主部141に大きな開口141aが形成され、上記主部141の上端から前方へ向けて上部支持片142が突設され、上記主部141の下端から前方へ向けて下部支持片143が突設され、また、主部141の3つの角部に連結孔144、145、146が突設されている。
上記上部支持片142の前端部の左右方向における中央には前方へ向かって窪んだ支持凹部142aが形成されており、該支持凹部142aの前方を向いた面は凹球面に形成されている。また、上部支持片142の前端面の支持凹部142aを挟んだ両脇にはネジ穴142b、142bが形成されている。そして、上部支持片142の前端部にはメタルホルダ147が取り付けられる。メタルホルダ147はその左右方向における中央部に後方へ向かって窪んだ押さえ部147aが形成されており、該押さえ部147aの後方を向いた面は凹球面に形成されている。そして、メタルホルダ147の押さえ部147aを挟んだ両脇部にはネジ挿通孔147b、147bが形成されている。さらに、メタルホルダ147の上縁部には後方へ突出した規制部147dが形成されている。そして、メタルホルダ147が上部支持片142の前端に当接され、規制部147dが押さえ部147a及び支持凹部142aの上方を覆った状態で、ネジ挿通孔147b、147bを前方から挿通されたネジ147c、147cが上部支持片142のネジ穴42b、142bに螺合され、これによって、メタルホルダ47が上部支持片142の前端部に取り付けられる。これによって、上部支持片142の支持凹部142aとメタルホルダ147の押さえ部147aとの間に球状の受け凹部が形成される。
上記下部支持片143の前端寄りの位置には前後方向に長い長孔143aが形成されている。なお、この長孔143aの前後方向におけるほぼ中央部が上記受け凹部と上下で対応した位置に位置する。そして、上記長孔143aにスラストメタル143cが嵌合される。なお、上記連結ボス138の外径寸法は上記スラストメタル143cに形成された前後に長い摺動溝143dより大きい寸法に形成されている。
そして、ランプユニット130の連結ボス138がブラケット140の下部支持片143に支持されたスラストメタル143c上に載置され、また、ランプユニット130の上面から突出したシャフト136に外嵌された自動調芯メタル137がブラケット130の上部支持片142の支持凹部142aとメタルホルダ147の押さえ部147aとによって回転可能に支持され、これによって、ランプユニット130はブラケット140を介してランプボディ122に互いに直交する2つの平面に沿って回動可能に支持される。すなわち、上記シャフト136と連結ボス138とを結ぶ軸に直交する平面に沿って該軸回りに回動可能であり、且つ、連結ボス138が摺動溝143dに沿って前後に移動することによってシャフト136と連結ボス138とを結ぶ軸及び摺動溝143dの幅方向における中央を通って前後に延びる軸を含む平面に沿って回動可能である。
上記したブラケット140はランプボディ122に上下方向及び左右方向へ傾動可能に支持される。なお、ブラケット140のランプボディ122への取付方法は上記自動車用前照灯10におけると同様であるので、図示及び説明を省略する。
上記した2軸アクチュエータ90はブラケット140の下部支持片143の下面側にてブラケット140に支持される。
2軸アクチュエータ90は2つの駆動部と単一の出力部がケース91内に配置されて成る。上記ケース91は上記ブラケット140の下部支持片143と該下部支持片143の下面側に固定される下ケース911とによって構成される。下ケース911は、モータ配置部911aと該モータ配置部911aの前端から前方へ延びる出力部配置部911bとが一体に形成されて成る。ほぼ板状をしたモータ配置部911aの上面には左右に離間して2つの支点凹部911c、911cが形成されている。ほぼ板状をした上記出力部配置部911bは上記モータ配置部911aより僅かに高い位置にあり、左右方向における中央部には前後方向に延びる摺動孔911dが形成されている。また、上記出力部配置部911bの左右両端部には取付孔911e、911eが形成されている。そして、該取付孔911e、911eの周縁からはカラー911f、911fが上方に向かって突設されている。さらに、出力部配置部911bの前端の左右方向における中央部にはストッパ911gが上方に向かって突設され、該ストッパ911gには後方へ向かって突出した突起911hが形成されている。
上記下ケース911の取付孔911e、911eを下方から挿通された取付ネジ911i、911iが上記ブラケット140の下部支持片143の下面に形成された図示しない螺穴に螺合され、これによって、下ケース911がブラケット140に固定され、カラー911f、911fによって該下ケース911とブラケット140の下部支持片143との間の間隔が所定の値に保たれる。このようにして2軸アクチュエータ90のケース91が形成される。
上記ケース91内に単一の出力部92と左右一対の駆動部93L、93Rが配置される。
出力部92は、ランプユニット30の連結ボス138と連結される出力軸921と、駆動部93L、93Rが連結される連結ウイング922L、922Rと、ケース91の摺動孔911dに摺動自在に係合する被案内部923とが一体に形成されて成る。
上記出力軸921は軸方向が上下に延びる円筒状を成し、上半部の外周面に複数の係合突条921aが上下方向に延びて形成されている。そして、下端部921bは他の部分より大径に形成されている。
連結ウイング922L、922Rは上記出力軸921の下端に一体に連続し、922Lは左方へ、922Rは右方へ突出している。各連結ウイング922L、922Rには上面が開放された凹部922aが形成されており、該凹部922aのほぼ中央部に継手部922bが突出され、該継手部922bの内部にはドーム状の空間922cが形成され、該ドーム状空間922cは後方に開口922dされている。そして、上記空間922aを限定している周壁922eのうち上記継手部922bの後部開口922dに対向した位置には切欠922fが形成されている。2つの連結ウイング922L、922Rが連結している中央部の前面には前方に向かって開口した凹部が形成され、該凹部の奥面が突当面922gとされている。
上記被案内部923はほぼ円筒状を成し、その外径は下ケース911に形成された摺動孔911dの幅にほぼ等しくされている。そして、被案内部923の下端には抜け止め板923aが形成されている。
そして、上記出力部92は、その被案内部923が下ケース911の摺動孔911dに摺動可能に係合され、また、出力軸921がブラケット140の下部支持片143の長孔143aに嵌合されたスラストメタル143cの摺動溝143dを下方から挿通されてランプユニット130の連結ボス138の嵌合凹部138aに嵌合される。このとき、出力軸921の係合突条921aは嵌合凹部138aの内周面に形成された図示しない複数の係合切欠と係合する。また、連結ボス138に取り付けられたバネ138bの先端138cが出力軸921と嵌合凹部138aの壁面との間に介在されて、出力軸921と嵌合凹部138aとの間のガタを吸収する。そして、出力部92とケース91との間には出力部92を後方へ付勢する圧縮コイルバネ924が介挿される。すなわち、円板状の当接部925aの前面から受軸925bが突出した当接部材925の当接部925aが出力部92の前面に形成された突当面922gに当接され、そのような状態の当接部材925の受軸925bに圧縮コイルバネ924の後端部が外嵌され、また、圧縮コイルバネ924の前端部が下ケース911の前端部に設けられたストッパ911gの突起911hに外嵌され、圧縮コイルバネ924はストッパ911gと出力部92との間で圧縮された状態となる。この圧縮コイルバネ924によって出力部92は後方へ付勢され、前後方向でのガタが吸収される。
上記2つの駆動部93L、93Rは配置される位置が左右異なるだけで、同じ構造を有している。すなわち、駆動部93は駆動源として直動モータ931を有し、移動部として球体部932を有する。直動モータ931はその駆動によって移動軸933が前後方向に移動するように構成されている。そして、上記球体部932は上記移動軸933の前端に一体に形成されている。上記直動モータ931の外殻931aの前端寄りの位置には上下に突出した支点軸931b、931cが形成されている。そして、直動モータ931の上側の支点軸931bは上記ブラケット140の下部支持片143の後部下面に形成された支点凹部143bに回転可能に嵌合され、下側の支点軸931cは下ケース911のモータ配置部911aに形成された支点凹部911cに回転可能に嵌合される。これによって、直動モータ931はケース91のモータ配置部911aに左右方向に揺動可能に支持される。また、球体部932は出力部92の継手部922b内部のドーム状空間922cと回転可能な状態で嵌合される。そして、移動軸933は継手部922bの後部開口922d、周壁922eに形成された切欠922fを通って後方へ延びる。以上のようにして、2つの駆動部93L、93Rと出力部92とが連携される。
次に、上記2軸アクチュエータ90の動作について主として図12を参照して説明する。図12は中央に位置した(a)、(b)、(c)の状態が左右方向における中央に向かって照射されている状態を示し、左側に位置した(d)の状態が左方に向かって照射されている状態を示し、右側に位置した(e)の状態が右方に向かって照射されている状態を示し、中段に位置した(a)、(d)、(e)の状態がグレア(眩惑光)が生じない上限の位置を照射している状態を示すものである。
上記したように、(a)の状態は左右方向における中央に向かって且つグレアが生じない上限の位置を照射している状態を示しており、、この状態で、左右の移動部93L、93Rの移動軸933、933は同じ長さが直動モータ931、931から突出している。従って、出力部92の連結ウイング922L、922Rは前後方向で同じ位置に位置している。この(a)の状態から照射位置を上方に変更する場合は、左右の移動部93L、93Rの移動軸933、933を同じ長さだけ直動モータ931、931からさらに突出させる((b)の状態)。また、上記(a)の状態から照射位置を下方に変更する場合は、左右の移動部93L、93Rの移動軸933、933を同じ長さだけ直動モータ931、931内に引込む((c)の状態)。上記した(a)、(b)又は(c)の状態から、照射位置を左方に変更する場合は、左側移動部93Lの移動軸933を直動モータ931内に引込み、右側移動部93Rの移動軸933を直動モータ931からさらに突出させる((d)の状態)。これによって、左側連結ウイング922Lの先端は後方へ移動し、また、右側連結ウイング922Rの先端は前方へ移動する。このため、連結ウイング922L、922Rと一体の出力軸921が左回りに回転し、この出力軸921と結合されているランプユニット130が左向きに傾動される。そして、このとき、各連結ウイング922L、922Rの継手部922b、922b間の直動モータ931、931の配列方向における間隔が狭くなるので、各駆動部93L、93Rの球体部932、932間の直動モータ931、931の配列方向における間隔が近づくため、直動モータ931、931はそれぞれの支点軸931b、931cを中心に前端間が近づくように傾動する。上記した(a)、(b)又は(c)の状態から、照射位置を右方に変更する場合は、右側移動部93Rの移動軸933を直動モータ931内に引込み、左側移動部93Lの移動軸933を直動モータ931からさらに突出させる((e)の状態)。これによって、右側連結ウイング922Rの先端は後方へ移動し、また、左側連結ウイング922Lの先端は前方へ移動する。このため、連結ウイング922L、922Rと一体の出力軸921が右回りに回転し、この出力軸921と結合されているランプユニット130が右向きに傾動される。そして、このとき、各連結ウイング922L、922Rの継手部922b、922b間の直動モータ931、931の配列方向における間隔が狭くなるので、各駆動部93L、93Rの球体部932、932間の直動モータ931、931の配列方向における間隔が近づくため、直動モータ931、931はそれぞれの支点軸931b、931cを中心に前端間が近づくように傾動する。
この第2の実施の形態にかかる自動車用前照灯110における2軸アクチュエータ90は、出力部92の回転によって出力部92の左右両端に生じる直動モータ931、931の配列方向における偏差を直動モータ931、931が揺動することによって(図9の(d)、(e)の状態)吸収するので、移動軸933、933に曲げ応力が加わることがなく、動作不良やガタの発生を減少させることが出来る。
なお、上記した各実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるようなことがあってはならないものである。