WO2012102260A1 - 核酸分子の多型識別方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2011年1月26日に日本国に出願された特願2011-014063号に基づく優先権を主張し、その内容をここに援用する。
また、非特許文献4においても、数十~数百nM程度の比較的高濃度の核酸について塩基配列の識別が行われている。このように、一般的に、pMオーダーの比較的低濃度の核酸検体に対して多型を識別するには至っていない。
ここで、走査分子計数法は、特願2010-044714に於いて、本願出願人により提案されている新規な光分析技術である。
(1) (a)蛍光物質により標識されており、かつ多型配列中の第1の型の塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズする第1の核酸プローブと、解析対象の核酸分子とを含む試料溶液を調製する工程と、
(b)前記工程(a)において調製された試料溶液中の核酸分子を会合させる工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記工程(a)において調製された試料溶液中の、第1の核酸プローブを含む会合体の分子数を、
共焦点顕微鏡又は多光子顕微鏡の光学系を用いて、前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動する工程と、
前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動させながら、当該光検出領域中の前記会合体から放出される蛍光を検出する工程と、
前記検出された光から、個々の会合体からの光信号を個別に検出して、会合体を個別に検出する工程と、
前記個別に検出された会合体の数を計数して前記光検出領域の位置の移動中に検出された前記粒子の数を計数する工程と、
により算出する工程と、
(d)蛍光物質により標識されており、かつ前記第1の核酸プローブとは塩基配列が異なる第2の核酸プローブと、前記解析対象の核酸分子とを含む試料溶液を調製する工程と、
(e)前記工程(d)において調製された試料溶液中の核酸分子を会合させる工程と、
(f)前記工程(e)の後、前記工程(d)において調製された試料溶液中の、第2の核酸プローブを含む会合体の分子数を、
共焦点顕微鏡又は多光子顕微鏡の光学系を用いて、前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動する工程と、
前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動させながら、当該光検出領域中の前記会合体から放出される蛍光を検出する工程と、
前記検出された光から、個々の会合体からの光信号を個別に検出して、会合体を個別に検出する工程と、
前記個別に検出された会合体の数を計数して前記光検出領域の位置の移動中に検出された前記粒子の数を計数する工程と、
により算出する工程と、
(g)前記工程(c)及び(f)の結果に基づき、前記解析対象の核酸分子の多型を識別する工程と、
を有することを特徴とする核酸分子の多型識別方法。
(2) 前記光検出領域の位置を移動する工程に於いて、前記光検出領域の位置が所定の速度にて移動されることを特徴とする前記(1)の核酸分子の多型識別方法。
(3) 前記光検出領域の位置を移動する工程に於いて、前記光検出領域の位置が、前記会合体の拡散移動速度よりも速い速度にて移動されることを特徴とする前記(1)又は(2)の核酸分子の多型識別方法。
(4) 前記検出された光から、個々の会合体からの光信号を個別に検出して、会合体を個別に検出する工程に於いて、検出された時系列の光信号の形状に基づいて、1つの会合体が前記光検出領域に入ったことが検出されることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(5) 前記試料溶液が、界面活性剤、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及び尿素からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする前記(1)~(4)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(6) 前記第1の核酸プローブと前記第2の核酸プローブの少なくとも一方は、単独で存在している状態では蛍光エネルギー移動が起こり、かつ他の1本鎖核酸分子と会合体を形成した状態では蛍光エネルギー移動が起こらないように、エネルギー・ドナーと成る蛍光物質とエネルギー・アクセプターと成る物質とが結合されており、
当該核酸プローブを含む会合体から放出される蛍光は、前記エネルギー・ドナーと成る蛍光物質から放出される蛍光であることを特徴とする前記(1)~(5)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(7) 前記工程(a)において、前記試料溶液中に、蛍光性2本鎖核酸結合物質がさらに含まれており、
前記第1の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質とのいずれか一方が、蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・ドナーと成る蛍光物質であり、他方が前記蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・アクセプターと成る物質であり、
前記工程(c)において、前記第1の核酸プローブを含む会合体から放出される蛍光は、前記第1の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質との間に起こった蛍光エネルギー移動現象により放出される蛍光であることを特徴とする前記(1)~(6)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(8) 前記工程(d)において、前記試料溶液中に、蛍光性2本鎖核酸結合物質がさらに含まれており、
前記第2の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質とのいずれか一方が、蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・ドナーと成る蛍光物質であり、他方が前記蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・アクセプターと成る物質であり、
前記工程(f)において、前記第2の核酸プローブを含む会合体から放出される蛍光は、前記第2の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質との間に起こった蛍光エネルギー移動現象により放出される蛍光であることを特徴とする前記(1)~(7)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(9) 第1の核酸プローブを含む会合体から放出される光と、第2の核酸プローブを含む会合体から放出される光とが、互いに光学的特性が異なることを特徴とする前記(1)~(8)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(10) 前記工程(a)において、前記試料溶液に、前記多型配列のうちの前記第1の型以外の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子を添加することを特徴とする前記(1)~(9)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(11) 前記第2の核酸プローブが、前記多型配列中の第2の型の塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズすることを特徴とする前記(1)~(10)のいずれか一つに記載の核酸分子の多型識別方法、
(12) 前記工程(d)において、前記試料溶液に、前記多型配列のうちの前記第2の型以外の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子を添加することを特徴とする前記(11)に記載の核酸分子の多型識別方法、
(13) 前記工程(a)及び(d)を一の試料溶液中で行うことを特徴とする前記(1)~(12)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(14) 前記第2の核酸プローブが、前記多型配列中の第2の型の塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズし、
前記工程(a)及び(d)を一の試料溶液中で行い、
前記試料溶液に、前記第1の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子、及び前記第2の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子を添加することを特徴とする前記(1)~(9)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(15) 前記第2の核酸プローブが、前記第1の型の塩基配列を含む1本鎖核酸分子、又は前記1本鎖核酸分子と相補的な塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズし、
前記工程(a)及び(d)を一の試料溶液中で行うことを特徴とする前記(1)~(10)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(16) 前記工程(b)又は(e)を、
前記工程(a)又は(d)において調製された試料溶液の温度を70℃以上にすることによって当該試料溶液中の核酸分子を変性させた後、当該試料溶液の液温を0.05℃/秒以上の降温速度で低下させることによって当該試料溶液中の核酸分子を会合させることにより行うことを特徴とする前記(1)~(15)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(17) 前記第1の核酸プローブ及び前記第2の核酸プローブが、DNA、RNA、及び核酸類似物質からなる群より選択される2以上の分子が結合して構成されていることを特徴とする前記(1)~(16)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(18) 前記多型配列が、遺伝子多型の多型部位を含む塩基配列、又は体細胞変異の変異部位を含む塩基配列であることを特徴とする前記(1)~(17)のいずれかの核酸分子の多型識別方法。
(19) 前記体細胞変異がK-ras遺伝子の変異であることを特徴とする前記(18)の核酸分子の多型識別方法。
走査分子計数法は、基本的な構成に於いて、図1Aに模式的に例示されている如き、FCS、FIDA等が実行可能な共焦点顕微鏡の光学系と光検出器とを組み合わせてなる光分析装置により実現可能である。同図を参照して、光分析装置1は、光学系2~17と、光学系の各部の作動を制御すると共にデータを取得し解析するためのコンピュータ18とから構成される。光分析装置1の光学系は、通常の共焦点顕微鏡の光学系と同様であってよく、そこに於いて、光源2から放射されシングルモードファイバー3内を伝播したレーザ光(Ex)が、ファイバーの出射端に於いて固有のNAにて決まった角度にて発散する光となって放射され、コリメーター4によって平行光となり、ダイクロイックミラー5、反射ミラー6、7にて反射され、対物レンズ8へ入射される。対物レンズ8の上方には、典型的には、1~数十μLの試料溶液が分注される試料容器又はウェル10が配列されたマイクロプレート9が配置されており、対物レンズ8から出射したレーザ光は、試料容器又はウェル10内の試料溶液中で焦点を結び、光強度の強い領域(励起領域)が形成される。試料溶液中には、観測対象物である粒子と、かかる粒子と結合する発光プローブ、典型的には、蛍光色素等の発光標識が付加された分子が分散又は溶解されており、発光プローブと結合又は会合した粒子(実験の態様によっては、粒子と一旦結合した後に粒子から解離した発光プローブ)が励起領域に進入すると、その間、発光プローブが励起され光が放出される。放出された光(Em)は、対物レンズ8、ダイクロイックミラー5を通過し、ミラー11にて反射してコンデンサーレンズ12にて集光され、ピンホール13を通過し、バリアフィルター14を透過して(ここで、特定の波長帯域の光成分のみが選択される。)、マルチモードファイバー15に導入されて、光検出器16に到達し、時系列の電気信号に変換された後、コンピュータ18へ入力され、後に説明される態様にて光分析のための処理が為される。なお、当業者に於いて知られている如く、上記の構成に於いて、ピンホール13は、対物レンズ8の焦点位置と共役の位置に配置されており、これにより、図1Bに模式的に示されている如きレーザ光の焦点領域、即ち、励起領域内から発せられた光のみがピンホール13を通過し、励起領域以外からの光は遮断される。図1Bに例示されたレーザ光の焦点領域は、通常、1~10fL程度の実効体積を有する本光分析装置に於ける光検出領域であり(典型的には、光強度が領域の中心を頂点とするガウス型分布又はローレンツ型分布となる。実効体積は、光強度が1/e2となる面を境界とする略楕円球体の体積である。)、コンフォーカル・ボリュームと称される。また、走査分子計数法では、1つの粒子及び発光プローブの結合体又は発光プローブからの光、例えば、一個又は数個の蛍光色素分子からの微弱光が検出されるので、光検出器16としては、好適には、フォトンカウンティングに使用可能な超高感度の光検出器が用いられる。また、顕微鏡のステージ(図示せず)には、観察するべきウェル10を変更するべく、マイクロプレート9の水平方向位置を移動するためのステージ位置変更装置17aが設けられていてよい。ステージ位置変更装置17aの作動は、コンピュータ18により制御されてよい。かかる構成により、検体が複数在る場合にも、迅速な計測が達成可能となる。
FIDA等の分光分析技術は、従前の生化学的な分析技術に比して、必要な試料量が極めて少なく、且つ、迅速に検査が実行できる点で優れている。しかしながら、FIDA等の分光分析技術では、原理的に、観測対象粒子の濃度や特性は蛍光強度のゆらぎに基づいて算定されるため、精度のよい測定結果を得るためには、試料溶液中の観測対象粒子の濃度又は数密度が、蛍光強度の計測中に常に一個程度の観測対象粒子が光検出領域CV内に存在するレベルであり、計測時間中に常に有意な光強度(フォトンカウント)が検出されることが要求される。もし観測対象粒子の濃度又は数密度がそれよりも低い場合、例えば、観測対象粒子が稀にしか光検出領域CV内へ進入しないレベルである場合には、有意な光強度(フォトンカウント)が計測時間の一部にしか現れず、光強度のゆらぎを精度よく算定することが困難となる。また、観測対象粒子の濃度が、計測中に常に一個程度の観測対象粒子が光検出領域内に存在するレベルよりも大幅に低い場合には、光強度のゆらぎの演算において、バックグラウンドの影響を受けやすく、演算に充分な量の有意な光強度データを得るために、計測時間が長くなる。これに対して、走査分子計数法では、観測対象粒子の濃度がFIDA等の分光分析技術にて要求されるレベルよりも低い場合でも、観測対象粒子の数密度又は濃度等の特性の検出が可能である。
走査分子計数法の光分析における光強度の測定は、測定中にミラー偏向器17を駆動して、試料溶液内での光検出領域の位置の移動(試料溶液内の走査)を行う他は、FCS又はFIDAにおける光強度の測定工程と同様の態様にて実行されてよい。操作処理において、典型的には、マイクロプレート9のウェル10に試料溶液を注入して顕微鏡のステージ上に載置した後、使用者がコンピュータ18に対して測定の開始の指示を入力すると、コンピュータ18は、記憶装置(図示せず)に記憶されたプログラム(試料溶液内において光検出領域の位置を移動するべく光路を変更する手順と、光検出領域の位置の移動中に光検出領域からの光を検出する手順)に従って、試料溶液内の光検出領域における励起光の照射及び光強度の計測が開始される。かかる計測中、コンピュータ18のプログラムに従った処理動作の制御下、ミラー偏向器17は、ミラー7(ガルバノミラー)を駆動して、ウェル10内において光検出領域の位置の移動を実行し、これと同時に光検出器16は、逐次的に検出された光を電気信号に変換してコンピュータ18へ送信し、コンピュータ18では、任意の態様にて、送信された光信号から時系列の光強度データを生成して保存する。なお、典型的には、光検出器16は、一光子の到来を検出できる超高感度光検出器であるので、光の検出は、所定時間に亘って、逐次的に、所定の単位時間毎(BIN TIME)に、例えば、10μ秒毎に光検出器に到来するフォトンの数を計測する態様にて実行されるフォトンカウンティングであり、時系列の光強度のデータは、時系列のフォトンカウントデータであってよい。
(2Wo)2=6D・Δt …(1)
から、
Δt=(2Wo)2/6D …(2)
となるため、観測対象粒子がブラウン運動により移動する速度(拡散移動速度)Vdifは、概ね、
Vdif=2Wo/Δt=3D/Wo …(3)
となる。そこで、光検出領域の位置の移動速度は、かかるVdifを参照して、それよりも十分に早い値に設定されてよい。例えば、観測対象粒子の拡散係数が、D=2.0×10-10m2/s程度であると予想される場合には、Woが、0.62μm程度だとすると、Vdifは、1.0×10-3m/sとなるため、光検出領域の位置の移動速度は、その略10倍の15mm/sと設定されてよい。なお、観測対象粒子の拡散係数が未知の場合には、光検出領域の位置の移動速度を種々設定して光強度の変化のプロファイルが、予想されるプロファイル(典型的には、励起光強度分布と略同様)となる条件を見つけるための予備実験を繰り返し実行して、好適な光検出領域の位置の移動速度が決定されてよい。
上記の処理により試料溶液の時系列の光強度データが得られると、コンピュータ18において、記憶装置に記憶されたプログラムに従った処理により、下記の如き光強度の分析が実行されてよい。
時系列の光強度データにおいて、一つの観測対象粒子の光検出領域を通過する際の軌跡が、図4Aに示されている如く略直線状である場合、その粒子に対応する光強度の変化は、図6Aに模式的に描かれている如く、(光学系により決定される)光検出領域の光強度分布を反映したプロファイル(通常、略釣鐘状)を有する。そこで、観測対象粒子の検出の一つの手法において、光強度に対して閾値Ioが設定され、その閾値を超える光強度が継続する時間幅Δτが所定の範囲にあるとき、その光強度のプロファイルが一つの粒子が光検出領域を通過したことに対応すると判定され、一つの観測対象粒子の検出が為されるようになっていてよい。光強度に対する閾値Io及び時間幅Δτに対する所定の範囲は、光検出領域に対して所定の速度にて相対的に移動する観測対象粒子と発光プローブとの結合体(又は粒子との結合後分解され遊離した発光プローブ)から発せられる光の強度として想定されるプロファイルに基づいて定められるところ、具体的な値は、実験的に任意に設定されてよく、また、観測対象粒子と発光プローブとの結合体(又は粒子との結合後分解され遊離した発光プローブ)の特性によって選択的に決定されてよい。
ガウス分布:
I=A・exp(-2t2/a2 ) …(4)
であると仮定できるときには、有意な光強度のプロファイル(バックグラウンドでないと明らかに判断できるプロファイル)に対して式(4)をフィッティングして算出された強度A及び幅aが所定の範囲内にあるとき、その光強度のプロファイルが一つの観測対象粒子が光検出領域を通過したことに対応すると判定され、一つの観測対象粒子の検出が為されてよい(強度A及び幅aが所定の範囲外にあるときには、ノイズ又は異物として分析において無視されてよい。)。
観測対象粒子のカウンティングは、上記の観測対象粒子の検出の手法により検出された粒子の数を、任意の手法により、計数することにより為されてよい。粒子の数が大きい場合には、例えば、図5及び図6Bに例示された処理により為されてよい。
観測対象粒子のカウンティングが為されると、時系列光信号データの取得の間に光検出領域の通過した領域の総体積を用いて、観測対象粒子の数密度又は濃度が決定される。しかしながら、光検出領域の実効体積は、励起光又は検出光の波長、レンズの開口数、光学系の調整状態に依存して変動するため、設計値から算定することは一般に困難であり、従って、光検出領域の通過した領域の総体積を算定することも簡単ではない。そこで、典型的には、粒子の濃度が既知の溶液(参照溶液)について、検査されるべき試料溶液の測定と同様の条件にて、上記に説明した光強度の測定、粒子の検出及びカウンティングを行い、検出された粒子の数と参照溶液の粒子の濃度とから、光検出領域の通過した領域の総体積、即ち、観測対象粒子の検出数と濃度との関係が決定されるようになっていてよい。参照溶液の粒子としては、好ましくは、観測対象粒子が形成する粒子及び発光プローブ結合体(又は観測対象粒子に結合後遊離した発光プローブ)と同様の波長特性を有する発光標識(蛍光色素等)であってよい。具体的には、例えば、粒子の濃度Cの参照溶液について、その粒子の検出数がNであったとすると、光検出領域の通過した領域の総体積Vtは、
Vt=N/C …(5)
により与えられる。また、参照溶液として、複数の異なる濃度の溶液が準備され、それぞれについて測定が実行されて、算出されたVtの平均値が光検出領域の通過した領域の総体積Vtとして採用されるようになっていてよい。そして、Vtが与えられると、粒子のカウンティング結果がnの試料溶液の粒子の数密度cは、
c=n/Vt …(6)
により与えられる。なお、光検出領域の体積、光検出領域の通過した領域の総体積は、上記の方法によらず、任意の方法にて、例えば、FCS、FIDAを利用するなどして与えられるようになっていてよい。また、本実施形態の光分析装置においては、想定される光検出領域の移動パターンについて、種々の標準的な粒子についての濃度Cと粒子の数Nとの関係(式(5))の情報をコンピュータ18の記憶装置に予め記憶しておき、装置の使用者が光分析を実施する際に適宜記憶された関係の情報を利用できるようになっていてよい。
本発明の核酸分子の多型識別方法は、多型配列のうちの特定の型(第1の型)の核酸分子と特異的に結合する核酸プローブと、当該核酸プローブとは塩基配列が異なる核酸プローブの少なくとも2種類の核酸プローブを用いて、各核酸プローブと解析対象の核酸分子とをそれぞれハイブリダイズさせ、形成された会合体の量に基づいて、解析対象の核酸分子の型を識別する方法である。さらに本発明においては、会合体の検出を、上記の走査分子計数法により測定する。走査分子計数法は、分子が離散的な状況において、蛍光を有する粒子を一粒子毎に測定することができる測定方法であることから、pMオーダー以下の比較的低濃度の核酸分子に対しても測定が可能である。このため、本発明の核酸分子の多型識別方法により、試料溶液中の解析対象の核酸分子の濃度が非常に低い場合であっても、形成された会合体を高感度に計数することができる。
(a)蛍光物質により標識されており、かつ多型配列中の第1の型の塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズする第1の核酸プローブ(第1核酸プローブ)と、解析対象の核酸分子とを含む試料溶液を調製する工程と、
(b)前記工程(a)において調製された試料溶液中の核酸分子を会合させる工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記工程(a)において調製された試料溶液中の、第1核酸プローブを含む会合体の分子数を算出する工程と、
(d)蛍光物質により標識されており、かつ前記第1核酸プローブとは塩基配列が異なる第2の核酸プローブ(第2核酸プローブ)と、前記解析対象の核酸分子とを含む試料溶液を調製する工程と、
(e)前記工程(d)において調製された試料溶液中の核酸分子を会合させる工程と、
(f)前記工程(e)の後、前記工程(d)において調製された試料溶液中の、第2核酸プローブを含む会合体の分子数を算出する工程と、
(g)前記工程(c)及び(f)の結果に基づき、前記解析対象の核酸分子の多型を識別する工程。
1種類の分子ビーコンプローブを用いて、走査分子計数法により、K-ras遺伝子のコドン12_GTT変異を識別可能であることを検証した。
変異型(GTT)分子ビーコンプローブとして、5’末端にTAMRAが付加され、3’末端にBHQ-2が付加された表1に記載の塩基配列(配列番号1)を有する核酸分子を用いた。また、解析対象の核酸分子として、同じく表1に記載の塩基配列を有する野生型(GGT)核酸(配列番号2)のみ(変異率:0%)、野生型(GGT)核酸と変異型(GTT)核酸(配列番号3)を9:1のモル比で混合したもの(変異率:10%)、及び変異型(GTT)核酸のみ(変異率:100%)用いた。さらに、非特異的なハイブリダイゼーションを抑制するために、野生型(GGT)核酸と相補的な塩基配列を有する非蛍光標識プローブ(野生型(GGT)デコイ核酸)(配列番号4)を用いた。これらのオリゴヌクレオチドは、シグマジェノシス株式会社に依頼して合成した。表1中、右欄には配列番号を示す。また、表1中、太字の塩基が変異部位又は変異部位と塩基対を形成する塩基である。さらに、変異型(GTT)分子ビーコンプローブ中の下線が付された塩基は、分子内構造体を形成する際に互いにハイブリダイズする領域である。
調製された試料溶液を、95℃で5分間加熱することにより変性させた後、20℃まで徐々に液温を低下させて会合体を形成させた。具体的には、降温速度を0.1℃/秒とし、90℃で5分間、80℃で10分間、70℃で10分間、60℃で10分間、50℃で10分間、40℃で10分間、30℃で10分間の降温処理を行った。
20μ秒<ピーク幅<400μ秒
ピーク強度>1(フォトン/10μ秒)
相関係数>0.95
を満たすピーク信号のみを観測対象核酸分子に対応する光信号であると判定する一方、上記の条件を満たさないピーク信号はノイズとして無視し、観測対象核酸分子に対応する光信号であると判定された信号の数を「ピーク数」として計数した。
試料溶液中に、核酸プローブが特異的に結合する型以外の型の多型配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子を添加することによる、当該核酸プローブを含む会合体の検出精度を調べた。
具体的には、参考例1で用いた変異型(GTT)分子ビーコンプローブ、解析対象の核酸分子、野生型(GGT)デコイ核酸を、それぞれ、100pM、100nM(野生型と変異型を合計した濃度)、1μMとなるように、トリス緩衝液(10 mM Tris-HCl、1mM EDTA、100mM NaCl、pH8.0)に溶解することにより、野生型(GGT)デコイ核酸を含有する試料溶液を調製した。一方、野生型(GGT)デコイ核酸を添加しない以外は同様にして、野生型(GGT)デコイ核酸を含有しない試料溶液を調製した。
これらの試料溶液に対して、参考例1と同様に、液温を上昇及び下降させて試料溶液中の核酸分子を変性させた後会合体を形成し、さらに、参考例1と同じ条件で、当該試料溶液中の変異型(GTT)分子ビーコンプローブを含む会合体の分子数を計数した。
参考例1で用いた変異型(GTT)分子ビーコンプローブと、野生型(GGT)分子ビーコンプローブとを用いて、各遺伝子型を識別した。
野生型(GGT)分子ビーコンプローブとして、5’末端にTAMRAが付加され、3’末端にBHQ-2が付加された表2に記載の塩基配列(配列番号5)を有する核酸分子を用いた。
一方、野生型(GGT)分子ビーコンプローブ、解析対象の核酸分子、変異型(GTT)デコイ核酸を、それぞれ、100pM、100nM(野生型と変異型を合計した濃度)、500nMとなるように、前記トリス緩衝液に溶解することにより、野生型(GGT)分子ビーコンプローブと変異型(GTT)デコイ核酸を含有する試料溶液を調製した。また、解析対象の核酸分子を添加しなかった以外は同様にして対照用試料溶液を調製した。
本発明の核酸分子の多型識別方法において、工程(a)と工程(d)を一の試料溶液中で行うことにより、K-ras遺伝子のコドン12_GTT変異を識別した。
変異型(GTT)分子ビーコンプローブとして、表1に記載の変異型(GTT)分子ビーコンプローブと同じ塩基配列(配列番号1)からなるオリゴヌクレオチドの5’末端にATTO(登録商標)647Nを付加し、3’末端にBHQ-3を付加したものを用いた。野生型(GGT)分子ビーコンプローブ、及び解析対象の核酸分子は、実施例1で用いたものを用いた。また、表3に記載されている野生型(GGT)デコイ核酸(配列番号7)及び変異型(GTT)デコイ核酸(配列番号8)を用いた。なお、本実施例で用いたオリゴヌクレオチドは、シグマジェノシス株式会社に依頼して合成した。
第2核酸プローブとして、第1核酸プローブとは異なる塩基配列を有し、かつ、解析対象の多型配列からなる多型部位を認識しない核酸プローブを用いて、K-ras遺伝子のコドン12_GTT変異を識別した。
具体的には、第2核酸プローブとして、K-ras遺伝子中の領域であって、コドン12を含まず、野生型と変異型に共通する領域の塩基配列(共通配列)(配列番号9)と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(配列番号10)に対して、5’末端にATTO(登録商標)647Nを付加し、3’末端にBHQ-3を付加した共通分子ビーコンプローブを用いた。また、前記共通配列からなるオリゴヌクレオチドを、共通核酸として用いた。表4に、共通分子ビーコンプローブ及び共通配列の塩基配列を示す。表4中、右欄には配列番号を示す。また、共通分子ビーコンプローブ中の下線が付された塩基は、分子内構造体を形成する際に互いにハイブリダイズする領域である。
1種類の核酸プローブと蛍光性インターカレーターを用いて、走査分子計数法により、K-ras遺伝子のコドン12_GTT変異を識別可能であることを検証した。
変異型(GTT)プローブとして、5’末端にROXが付加された表5に記載の塩基配列(配列番号11)を有する核酸分子を用いた。表5中、右欄には配列番号を示し、太字の塩基が変異部位又は変異部位と塩基対を形成する塩基である。さらに、解析対象の核酸として、参考例1で用いた野生型(GGT)核酸と変異型(GTT)核酸を、それぞれ用いた。
調製された試料溶液を、94℃で5分間加熱することにより変性させた後、0.1℃/秒で降温させ、68.8℃で5分間恒温処理させて会合体を形成させた。
これらの濃縮試料溶液に、それぞれ、PicoGreen(Molecular Probe社製)を前記トリス緩衝液で1000倍希釈した溶液を添加し、当該濃縮試料溶液の10倍希釈を調製し、これらの試料溶液とした。
これらの試料溶液を、PicoGreen希釈液添加後30分間以上放置した。
測定によって得られた時系列データをSavinzky-Golayのアルゴリズムでスムージングした後、微分によりピークの検出を行った。ピークとみなされた領域のうち、ガウス関数に近似できる領域をシグナルとして抽出した。野生型(GGT)デコイ核酸を加えた試料溶液と加えない試料とで得られるピーク数を比較した。
参考例3で用いた変異型(GTT)プローブと、野生型(GGT)プローブと、蛍光性インターカレーターを用いて、走査分子計数法により、K-ras遺伝子のコドン12_GTT変異を識別した。
野生型(GGT)プローブとして、5’末端にROXが付加された表6に記載の塩基配列(配列番号12)を有する核酸分子を用いた。表6中、右欄には配列番号を示し、太字の塩基が変異(多型)部位又は変異部位と塩基対を形成する塩基である。また、解析対象の核酸分子として、表1に記載の塩基配列を有する野生型(GGT)核酸(配列番号2)のみ(変異率:0%)、野生型(GGT)核酸と変異型(GTT)核酸(配列番号3)を9:1のモル比で混合したもの(変異率:10%)、野生型(GGT)核酸と変異型(GTT)核酸(配列番号3)を1:1のモル比で混合したもの(変異率:50%)、及び変異型(GTT)核酸のみ(変異率:100%)用いた。さらに、非特異的なハイブリダイゼーションを抑制するために、実施例1で用いた変異型(GTT)デコイ核酸を用いた。
調製された試料溶液を、94℃で5分間加熱することにより変性させた後、0.1℃/秒で降温させ、68.8℃で5分間恒温処理させて会合体を形成させた。
これらの濃縮試料溶液に、それぞれ、PicoGreen(Molecular Probe社製)を前記トリス緩衝液で1000倍希釈した溶液を添加し、当該濃縮試料溶液の10倍希釈を調製し、これらの試料溶液とした。
これらの試料溶液を、PicoGreen希釈液添加後30分間以上放置した。
核酸プローブと蛍光性インターカレーターを用いて、当該核酸プローブを含む会合体を走査分子計数法により計数する場合における、会合体中の2本鎖構造の塩基対長が与える影響を調べた。
まず、プラスミドpUC19(タカラバイオ社製)を鋳型とし、5’末端をRoxで修飾したオリゴヌクレオチド、非標識のオリゴヌクレオチド、及びAmpliTaq Gold(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、100bp、200bp、400bp、800bp、及び1.5kbpの鎖長の異なるPCR産物を調製した。これらのPCR産物からWizard V Gel and PCR Clean-Up System (Promega社製)を用いてプライマー除去し、Bioanalyzer(Agilent社製)を用いた電気泳動により、PCR産物の有無及び濃度を測定した。これらのPCR産物(蛍光標識)は、5’末端がRoxで標識された1本鎖核酸分子と、非標識の1本鎖核酸分子との会合体である。
上記で用いた5’末端をRoxで修飾したオリゴヌクレオチドに代えて、5’末端が修飾されていないオリゴヌクレオチドを用いた以外は、上記と同様にして、非標識の1本鎖核酸分子同士の会合体であるPCR産物(非標識)を得た。
その後、トリス緩衝液(10 mM Tris-HCl、1mM EDTA、100mM NaCl、pH8.0)を用いて、各PCR産物が100pMとなるように調製した。この調製されたPCR産物の溶液を、前記トリス緩衝液で10000倍希釈したPicoGreen(invitrogen社製)溶液に任意の濃度で加え、試料溶液とした。
これらの試料溶液を、PicoGreen希釈液添加後30分間以上放置した。
2…光源
3…シングルモードオプティカルファイバー
4…コリメータレンズ
5…ダイクロイックミラー
6、7、11…反射ミラー
8…対物レンズ
9…マイクロプレート
10…ウェル(試料溶液容器)
12…コンデンサーレンズ
13…ピンホール
14…バリアフィルター
15…マルチモードオプティカルファイバー
16…光検出器
17…ミラー偏向器
17a…ステージ位置変更装置
18…コンピュータ
Claims (19)
- (a)蛍光物質により標識されており、かつ多型配列中の第1の型の塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズする第1の核酸プローブと、解析対象の核酸分子とを含む試料溶液を調製する工程と、
(b)前記工程(a)において調製された試料溶液中の核酸分子を会合させる工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記工程(a)において調製された試料溶液中の、第1の核酸プローブを含む会合体の分子数を、
共焦点顕微鏡又は多光子顕微鏡の光学系を用いて、前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動する工程と、
前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動させながら、当該光検出領域中の前記会合体から放出される蛍光を検出する工程と、
前記検出された光から、個々の会合体からの光信号を個別に検出して、会合体を個別に検出する工程と、
前記個別に検出された会合体の数を計数して前記光検出領域の位置の移動中に検出された前記粒子の数を計数する工程と、
により算出する工程と、
(d)蛍光物質により標識されており、かつ前記第1の核酸プローブとは塩基配列が異なる第2の核酸プローブと、前記解析対象の核酸分子とを含む試料溶液を調製する工程と、
(e)前記工程(d)において調製された試料溶液中の核酸分子を会合させる工程と、
(f)前記工程(e)の後、前記工程(d)において調製された試料溶液中の、第2の核酸プローブを含む会合体の分子数を、
共焦点顕微鏡又は多光子顕微鏡の光学系を用いて、前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動する工程と、
前記試料溶液内において前記光学系の光検出領域の位置を移動させながら、当該光検出領域中の前記会合体から放出される蛍光を検出する工程と、
前記検出された光から、個々の会合体からの光信号を個別に検出して、会合体を個別に検出する工程と、
前記個別に検出された会合体の数を計数して前記光検出領域の位置の移動中に検出された前記粒子の数を計数する工程と、
により算出する工程と、
(g)前記工程(c)及び(f)の結果に基づき、前記解析対象の核酸分子の多型を識別する工程と、
を有することを特徴とする核酸分子の多型識別方法。 - 前記光検出領域の位置を移動する工程に於いて、前記光検出領域の位置が所定の速度にて移動されることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記光検出領域の位置を移動する工程に於いて、前記光検出領域の位置が、前記会合体の拡散移動速度よりも速い速度にて移動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記検出された光から、個々の会合体からの光信号を個別に検出して、会合体を個別に検出する工程に於いて、検出された時系列の光信号の形状に基づいて、1つの会合体が前記光検出領域に入ったことが検出されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記試料溶液が、界面活性剤、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及び尿素からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記第1の核酸プローブと前記第2の核酸プローブの少なくとも一方は、単独で存在している状態では蛍光エネルギー移動が起こり、かつ他の1本鎖核酸分子と会合体を形成した状態では蛍光エネルギー移動が起こらないように、エネルギー・ドナーと成る蛍光物質とエネルギー・アクセプターと成る物質とが結合されており、
当該核酸プローブを含む会合体から放出される蛍光は、前記エネルギー・ドナーと成る蛍光物質から放出される蛍光であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。 - 前記工程(a)において、前記試料溶液中に、蛍光性2本鎖核酸結合物質がさらに含まれており、
前記第1の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質とのいずれか一方が、蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・ドナーと成る蛍光物質であり、他方が前記蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・アクセプターと成る物質であり、
前記工程(c)において、前記第1の核酸プローブを含む会合体から放出される蛍光は、前記第1の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質との間に起こった蛍光エネルギー移動現象により放出される蛍光であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。 - 前記工程(d)において、前記試料溶液中に、蛍光性2本鎖核酸結合物質がさらに含まれており、
前記第2の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質とのいずれか一方が、蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・ドナーと成る蛍光物質であり、他方が前記蛍光エネルギー移動現象におけるエネルギー・アクセプターと成る物質であり、
前記工程(f)において、前記第2の核酸プローブを含む会合体から放出される蛍光は、前記第2の核酸プローブを標識している蛍光物質と前記蛍光性2本鎖核酸結合物質との間に起こった蛍光エネルギー移動現象により放出される蛍光であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。 - 第1の核酸プローブを含む会合体から放出される光と、第2の核酸プローブを含む会合体から放出される光とが、互いに光学的特性が異なることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記工程(a)において、前記試料溶液に、前記多型配列のうちの前記第1の型以外の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子を添加することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記第2の核酸プローブが、前記多型配列中の第2の型の塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズすることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記工程(d)において、前記試料溶液に、前記多型配列のうちの前記第2の型以外の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子を添加することを特徴とする請求項11に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記工程(a)及び(d)を一の試料溶液中で行うことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記第2の核酸プローブが、前記多型配列中の第2の型の塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズし、
前記工程(a)及び(d)を一の試料溶液中で行い、
前記試料溶液に、前記第1の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子、及び前記第2の型の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸分子を添加することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。 - 前記第2の核酸プローブが、前記第1の型の塩基配列を含む1本鎖核酸分子、又は前記1本鎖核酸分子と相補的な塩基配列を有する1本鎖核酸分子と特異的にハイブリダイズし、
前記工程(a)及び(d)を一の試料溶液中で行うことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。 - 前記工程(b)又は(e)を、
前記工程(a)又は(d)において調製された試料溶液の温度を70℃以上にすることによって当該試料溶液中の核酸分子を変性させた後、当該試料溶液の液温を0.05℃/秒以上の降温速度で低下させることによって当該試料溶液中の核酸分子を会合させることにより行うことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。 - 前記第1の核酸プローブ及び前記第2の核酸プローブが、DNA、RNA、及び核酸類似物質からなる群より選択される2以上の分子が結合して構成されていることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記多型配列が、遺伝子多型の多型部位を含む塩基配列、又は体細胞変異の変異部位を含む塩基配列であることを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の核酸分子の多型識別方法。
- 前記体細胞変異がK-ras遺伝子の変異であることを特徴とする請求項18に記載の核酸分子の多型識別方法。
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