JP5139885B2 - 蛍光解析装置及び解析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、測定試料中の蛍光プローブから発生する蛍光を検出して、測定試料についての解析を行う蛍光解析装置、及び蛍光解析方法に関するものである。
蛍光相関分光法(FCS: Fluorescence Correlation Spectroscopy)は、極低濃度の蛍光物質が存在する測定試料溶液中の微小領域に励起光を照射して測定領域とし、測定領域内で発生した蛍光の強度を時系列的に測定して自己相関関数を求めることで、試料中での蛍光物質の並進拡散運動等の情報を得るものである(例えば特許文献1〜3参照)。このような蛍光解析法は、例えば臨床診断における免疫分析に適用可能である。
特開2007−20565号公報 特開2007−316017号公報 特開2006−17628号公報
上記した蛍光解析では、蛍光物質によって標識された分子プローブ(蛍光プローブ)を測定試料に加え、測定領域内にある蛍光プローブからの蛍光を検出するとともに、その自己相関関数から並進拡散運動等についての情報を取得する。これにより、分析対象となる試料中の標的分子と、蛍光プローブとの反応量を知ることができ、測定試料についての情報を取得することができる。このような試料解析方法は、ホモジニアス・アッセイにおける非分離型の計測方法であるため、ELISA法などのヘテロジニアス・アッセイに比べて、消耗品類の消費を少なくしてランニングコストを低減することが可能である。また、解析装置の小型化、低価格化も可能である。
一方、FCSなどの手法を用いた蛍光解析において、その測定感度や効率等のさらなる向上が求められている。そのような方法の1つとして、標的分子に対して複数個の蛍光プローブを凝集するように結合させ、それらの蛍光プローブからの蛍光を検出する蛍光解析方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。しかしながら、このような方法では、複数個の蛍光プローブが結合した標的分子からの蛍光検出イベントと、それ以外のノイズイベントとの識別が難しいという問題がある。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、測定領域内にある蛍光プローブからの蛍光を測定することによる測定試料の蛍光解析を好適に実行することが可能な蛍光解析装置、及び蛍光解析方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明による蛍光解析装置は、(1)測定試料に対して設定された測定領域に励起光を照射する励起光照射手段と、(2)励起光照射手段によって励起光が照射された測定試料の測定領域内にある蛍光プローブから発生する蛍光を2つの蛍光成分に分岐する光分岐手段と、(3)分岐された一方の第1蛍光成分を検出する第1蛍光検出手段と、(4)分岐された他方の第2蛍光成分を検出する第2蛍光検出手段と、(5)第1蛍光検出手段及び第2蛍光検出手段でそれぞれ検出された光子数を所定の計数時間幅で時系列的に計数して、第1光子数測定データF(t)及び第2光子数測定データF(t)を取得する光子計数手段と、(6)第1光子数測定データF(t)及び第2光子数測定データF(t)に基づいて、測定データF(t)、F(t)の少なくとも一方が0の場合に
AB(t)=0
となり、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、相乗平均、相加平均、または調和平均のいずれかとなる関数fで
AB(t)=f(F(t)、F(t))
となる光子数解析データnAB(t)を生成する解析データ生成手段と、(7)解析データ生成手段によって生成された光子数解析データnAB(t)に対し、蛍光プローブを含む測定試料の測定結果についての蛍光解析を行う測定結果解析手段とを備え、測定結果解析手段は、光子数解析データn AB (t)を、測定試料中での蛍光プローブの濃度に応じて設定されたビン時間幅でビニングし、ビニングされた解析データに対して蛍光解析を行うことを特徴とする。
また、本発明による蛍光解析方法は、(1)測定試料に対して設定された測定領域に励起光を照射する励起光照射ステップと、(2)励起光照射ステップで励起光が照射された測定試料の測定領域内にある蛍光プローブから発生する蛍光を2つの蛍光成分に分岐する光分岐ステップと、(3)分岐された一方の第1蛍光成分を検出する第1蛍光検出ステップと、(4)分岐された他方の第2蛍光成分を検出する第2蛍光検出ステップと、(5)第1蛍光検出ステップ及び第2蛍光検出ステップでそれぞれ検出された光子数を所定の計数時間幅で時系列的に計数して、第1光子数測定データF(t)及び第2光子数測定データF(t)を取得する光子計数ステップと、(6)第1光子数測定データF(t)及び第2光子数測定データF(t)に基づいて、測定データF(t)、F(t)の少なくとも一方が0の場合に
AB(t)=0
となり、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、相乗平均、相加平均、または調和平均のいずれかとなる関数fで
AB(t)=f(F(t)、F(t))
となる光子数解析データnAB(t)を生成する解析データ生成ステップと、(7)解析データ生成ステップにおいて生成された光子数解析データnAB(t)に対し、蛍光プローブを含む測定試料の測定結果についての蛍光解析を行う測定結果解析ステップとを備え、測定結果解析ステップにおいて、光子数解析データn AB (t)を、測定試料中での蛍光プローブの濃度に応じて設定されたビン時間幅でビニングし、ビニングされた解析データに対して蛍光解析を行うことを特徴とする。
上記した蛍光解析装置、及び蛍光解析方法においては、励起光照射系及び蛍光検出系によって測定試料中に微小な測定領域を設定する。また、測定領域内の蛍光プローブで発生する蛍光に対して光分岐手段を設けるとともに、蛍光検出系として第1、第2蛍光検出手段を設置して第1、第2光子数測定データF(t)、F(t)を取得する。そして、それらの測定データを直接に蛍光解析に用いるのではなく、F(t)・F(t)=0のときに0となる解析データnAB(t)を生成して蛍光解析を行っている。
このような構成では、光子数測定データF(t)、F(t)に代えて光子数解析データnAB(t)を用いることにより、第1、第2蛍光検出手段での蛍光検出の同時性を考慮した形で蛍光解析を実行することができる。これにより、例えば、複数個の蛍光プローブが結合した標的分子からの蛍光検出イベントと、それ以外のノイズイベントとの識別精度を向上するなど、測定試料の蛍光解析の精度を向上することが可能となる。
ここで、測定試料に対する蛍光解析に用いられる励起光、蛍光については、励起光は単一波長領域の励起光であり、第1蛍光成分及び第2蛍光成分は同一波長領域の蛍光成分である構成を用いることが可能である。このような構成は、測定試料に加える蛍光プローブとして1種類の蛍光プローブのみを用いるとともに、試料に含まれる標的分子に2個以上の同一種類の蛍光プローブが結合する場合の蛍光解析に好適に適用することができる。
光子数測定データから解析データへのデータ変換については、具体的には例えば、解析データ生成において、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、測定データF(t)、F(t)の相乗平均となる関数fで
AB(t)=√(F(t)・F(t))
によって光子数解析データnAB(t)を生成することが好ましい。このように相乗平均を用いて解析データを求めることにより、蛍光検出の同時性が考慮された蛍光解析を好適に実行することができる。また、この方法では、測定データF、Fの少なくとも一方が0の場合においても、相乗平均の上記関数√(F・F)でnAB=0となる。
あるいは、解析データ生成において、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、測定データF(t)、F(t)の調和平均となる関数fで
AB(t)=2/{1/F(t)+1/F(t)}
によって光子数解析データnAB(t)を生成する構成を用いても良い。このように調和平均を用いて解析データを求めることにより、相乗平均の場合と同様に、蛍光検出の同時性が考慮された蛍光解析を好適に実行することができる。
光子数解析データを用いた蛍光解析については、具体的には、測定結果解析において、光子数解析データnAB(t)に対し、蛍光解析として、自己相関解析またはフォトンバースト解析の少なくとも一方を行うことが好ましい。このように、自己相関解析法、フォトンバースト解析法、あるいはそれらを組み合わせた解析法を用いることにより、測定試料の蛍光解析を精度良く実行することができる。
また、測定結果解析において、光子数解析データnAB(t)を所定のビン時間幅でビニングし、ビニングされた解析データに対して蛍光解析を行う構成としても良い。この場合、具体的な測定条件等に応じて解析データのビン時間幅を設定することにより、蛍光解析の精度を向上することができる。
本発明の蛍光解析装置及び解析方法によれば、試料中に設定された測定領域内にある蛍光プローブからの蛍光に対して光分岐手段を設けるとともに、第1、第2蛍光検出手段を設置して第1、第2光子数測定データF(t)、F(t)を取得し、それらの測定データから少なくとも一方が0の場合にnAB=0となる解析データnAB(t)を生成して蛍光解析を行うことにより、2つの検出手段での蛍光検出の同時性を考慮した形で蛍光解析を実行して、測定試料の蛍光解析の精度を向上することが可能となる。
以下、図面とともに本発明による蛍光解析装置、及び蛍光解析方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明による蛍光解析装置の一実施形態の構成を概略的に示す図である。本実施形態による蛍光解析装置1Aは、測定試料Sに対して設定された測定領域内にある蛍光プローブから発生する蛍光を検出して時系列の光子数測定データを取得し、得られた測定データに対して所定の蛍光解析を行うことで測定試料Sについての情報を取得するものである。以下においては、試料S中にあって測定対象となる蛍光物質(蛍光物質によって標識された分子等を含む)を「蛍光プローブ」とする。
本蛍光解析装置1Aによる解析対象の一例としては、図2に示す標的分子(ターゲット物質)T、及び蛍光プローブP1、P2を含むものが挙げられる。図2の模式図は、生体分子などの標的分子Tに対する蛍光プローブPの特異的結合を利用して標的分子Tについての情報を取得するホモジニアス・アッセイの一例を示すものである。
具体的には、図2においては、3個所の認識部位t1〜t3を有する標的分子Tを含む試料(図2(a))に対し、認識部位t1に特異的に結合する認識部位を有する蛍光標識された分子プローブP1、及び認識部位t2に特異的に結合する認識部位を有する蛍光標識された分子プローブP2(図2(b))を蛍光プローブとして混合し、図2(c)に示すようにそれらを反応させて、蛍光解析の対象となる溶液状の測定試料Sとする。
このような試料Sにおいて、蛍光プローブP1、P2が同一種類の分子プローブである場合、または蛍光プローブP1、P2の蛍光物質が同一種類の物質である場合、試料Sで発生する蛍光は単一波長領域の蛍光となる。以下においては、標的分子Tに対して複数個の同一種類の蛍光プローブが結合する場合を主な蛍光解析の対象として想定する。以下、本実施形態による解析装置1Aの構成について、蛍光解析方法とともに説明する。
図1に示す蛍光解析装置1Aは、試料ホルダ10と、対物レンズ20と、ダイクロイックミラー21と、励起光源22と、光フィルタ23と、反射ミラー24と、結像レンズ25と、ピンホール26と、コリメートレンズ27と、ビームスプリッタ30と、光検出器31、32とを備えており、これらの各要素が本蛍光解析装置1Aにおける蛍光顕微鏡部を構成している。また、この蛍光顕微鏡部の各要素に加えて、本蛍光解析装置1Aは、検出信号処理部33、34と、光子計数部35と、測定制御部50とを備えている。
試料ホルダ10は、蛍光測定及び解析の対象となる蛍光プローブを含む測定試料Sを保持する試料保持手段であり、その底面がスライドグラスとして機能する容器によって構成されている。また、この試料ホルダ10に対し、所定位置に対物レンズ20が設置されている。対物レンズ20としては、例えば水浸(液浸)系の対物レンズを好適に用いることができる。また、このような対物レンズ20に対し、試料ホルダ10は、その形状が対物レンズ20の作動距離に対応するように構成されている。
図1に示す構成では、対物レンズ20、ダイクロイックミラー21、及び励起光源22によって、測定試料Sの測定領域に励起光を照射する励起光照射手段が構成されている。励起光源22としては、例えばレーザ光源を好適に用いることができる。励起光源22から供給された励起レーザ光は、ダイクロイックミラー21によって反射され、対物レンズ20を介して集光されつつ、試料ホルダ10内の測定試料Sへとビームスポットとして照射される(励起光照射ステップ)。励起光源22の例としては、波長473nm、532nm、または635nmのレーザ光を供給するレーザ光源を用いることができる。
また、図1に示す構成では、対物レンズ20、光フィルタ23、反射ミラー24、結像レンズ25、ピンホール26、コリメートレンズ27、ビームスプリッタ30、第1光検出器31、及び第2光検出器32によって蛍光検出手段が構成されている。測定試料Sの蛍光プローブからの蛍光は対物レンズ20によって収集され、ダイクロイックミラー21を透過し、さらに光フィルタ23を通過した後、反射ミラー24によってビームスプリッタ30に向けて反射される。光フィルタ23としては、例えば、試料Sからの散乱光、迷光等の余分な光成分を除去するための、測定対象の蛍光プローブの蛍光スペクトルに合わせて選択されたバンドパスフィルタを用いることができる。
反射ミラー24によって光路が変更された蛍光は、結像レンズ25及びピンホール26を順に通過し、コリメートレンズ27によって平行光束とされた後に、ビームスプリッタ30へと入射する。ピンホール26は、結像レンズ25によって集光される蛍光に対して共焦点となる位置に設置されており、焦点外れの光を除去して、試料S中に形成されたビームスポットの測定領域からの蛍光のみを通過させる構成となっている。
ビームスプリッタ30は、蛍光を分岐する光分岐手段であり、励起光が照射された測定試料Sの測定領域内にある蛍光プローブからの蛍光を2つの蛍光成分に分岐する(光分岐ステップ)。すなわち、ビームスプリッタ30は、試料Sからの蛍光の個々の光子を第1光検出器31への光路または第2光検出器32への光路のいずれか一方へと導くことで、蛍光を2つの蛍光成分に分岐する。このようなビームスプリッタ30としては、例えば蛍光を50:50の分岐比で2つの蛍光成分に等分割するものが用いられる。
ビームスプリッタ30で分岐された一方の第1蛍光成分(ビームスプリッタ30を透過した光子)は第1蛍光検出手段を構成する光検出器31によって検出され、検出信号が出力される(第1蛍光検出ステップ)。また、ビームスプリッタ30で分岐された他方の第2蛍光成分(ビームスプリッタ30で反射された光子)は第2蛍光検出手段を構成する光検出器32によって検出され、検出信号が出力される(第2蛍光検出ステップ)。光検出器の具体例としては、光電子増倍管を用いることができる。また、光フィルタ23からレンズ27までの各光学要素は、第1、第2蛍光検出手段で共用されている。
以上の励起光照射手段及び蛍光検出手段により、試料Sにおいて微小な測定領域を設定し、励起光を照射するとともに、測定領域からの蛍光を検出する共焦点光学系による蛍光顕微鏡が構成されている。また、本実施形態の蛍光顕微鏡は、試料Sからの蛍光に対し、光分岐手段、及びそれに対応する2つの蛍光検出手段を含んで構成されている。
ここで、上記構成の蛍光顕微鏡によって測定試料S中に設定される測定領域は、例えば1fl(フェムトリットル)程度の極微小領域である。また、試料Sに含まれる蛍光プローブの分子濃度の一例を1nMとすると、測定領域内での蛍光プローブの平均分子数は、6・1023×1・10−9×1・10−15=0.6個である。また、図2に例示したホモジニアス・アッセイでは、標的分子の濃度は例えば1pM程度である。ただし、これらの数値は測定領域等の設定の一例であり、具体的な設定は個々の場合で異なる。
第1、第2光検出器31、32から出力された検出信号は、それぞれ第1、第2検出信号処理部33、34へと入力される。検出信号処理部33、34は、例えばプリアンプなどの信号増幅回路及び波高弁別器などの信号処理回路によって構成され、光検出器31、32からの検出信号に対して所定の信号処理を行って、光検出器31、32のそれぞれでの単一光子検出イベントを示す検出パルス信号列を生成し出力する。
信号処理部33、34からの検出パルス信号列は光子計数部35へと入力される。光子計数部35は、蛍光解析に用いる測定データを取得する計数手段であり、光検出器31、32からの検出信号(処理部33、34からの信号列)に基づいて、検出光子数を所定の計数時間幅で計数して、時系列の第1、第2光子数測定データF(t)、F(t)を生成する(光子計数ステップ)。これにより、試料Sに対する単一光子計数による蛍光測定が可能となる。ここで、以下において、第1光検出器での検出結果に関する量を添え字「A」で示し、第2光検出器での検出結果に関する量を添え字「B」で示す。
本解析装置1Aにおいては、光子計数部35での計数時間幅が蛍光解析のビン幅の初期条件(最小ビン幅)となる。また、光子計数部35としては、具体的には例えば、マルチチャンネルスケーラ(MCS)を用いることができる。また、光子計数部35での計数時間幅となるMCSの時間分解能は、例えば200nsec(ナノ秒)以下である。
光子計数部35において生成された時系列の光子数測定データF(t)、F(t)は測定制御部50に入力され、この測定制御部50において、測定データに対して蛍光解析が行われる。本実施形態による測定制御部50は、解析データ生成部51と、測定結果解析部52とを有している。このような測定制御部50は、例えば、蛍光解析用のソフトウェアが動作する制御用コンピュータによって構成することができる。
解析データ生成部51は、光子数測定データF(t)、F(t)から、蛍光解析に用いる光子数解析データnAB(t)を生成する(解析データ生成ステップ)。具体的には、生成部51は、測定データF(t)、F(t)に基づいて、測定データの少なくとも一方が0の場合(F・F=0)に
AB(t)=0
となり、測定データの両者が0でない場合(F・F>0)に所定の関数fで
AB(t)=f(F(t)、F(t))
となる光子数解析データnAB(t)を生成する。
具体的な光子数解析データとしては、好ましくは、測定データF(t)、F(t)の相乗平均を用い、下記の式(1)
Figure 0005139885

によって解析データnAB(t)を生成する方法を用いることができる。なお、相乗平均の場合、その定義式で測定データの少なくとも一方が0の場合にnAB=0となる条件が満たされるため、その場合も含めて上記式(1)で解析データが定義される。
測定結果解析部52は、必要な蛍光解析を行う解析手段であり、生成部51で生成された解析データnAB(t)に対し、蛍光プローブを含む測定試料Sの測定結果についての蛍光解析を行う(測定結果解析ステップ)。これにより、例えば試料S中にある標的分子の情報など、測定試料Sについての必要な情報を取得することができる。
上記実施形態による蛍光解析装置、及び蛍光解析方法の効果について説明する。
図1に示した蛍光解析装置1A、及び蛍光解析方法においては、対物レンズ20、励起光源22、及び光検出器31、32等を含む励起光照射系及び蛍光検出系によって試料S中に微小な測定領域を設定する。また、測定領域内の蛍光プローブで発生する蛍光に対してビームスプリッタ30を設けるとともに蛍光検出系として第1、第2蛍光検出手段を設置して、第1光子数測定データF(t)及び第2光子数測定データF(t)を取得する。そして、測定データF(t)、F(t)からF(t)・F(t)=0のときにnAB(t)=0となる解析データnAB(t)を生成して蛍光解析を行っている。
このような構成では、光子数測定データF(t)、F(t)に代えて光子数解析データnAB(t)を用いることにより、第1、第2光検出器31、32での蛍光検出の同時性を考慮した形で蛍光解析を実行することができる。これにより、例えば、複数個の蛍光プローブが結合した標的分子からの蛍光検出イベントと、それ以外のノイズイベントとの識別精度を向上するなど、試料Sの蛍光解析の精度を向上することが可能となる。
蛍光解析の励起光、蛍光については、励起光は単一波長領域の励起光であり、第1、第2蛍光成分は同一波長領域の蛍光成分である構成を用いることが可能である。このような構成は、図2に関して上述したように、測定試料Sに加える蛍光プローブとして1種類の蛍光プローブのみを用いるとともに、試料Sに含まれる標的分子に2個以上の同一種類の蛍光プローブが結合する場合の蛍光解析に好適に適用することができる。また、図1の解析装置1Aでは、このような解析対象に対応して、単一の励起光源22を用いている。
ここで、蛍光プローブとして2種類以上の蛍光プローブを用いる方法では、複数種類の蛍光プローブが均等に反応する必要があり、プローブの選定が難しい。また、例えば各種類の蛍光プローブに対する測定領域の不一致などの問題を生じる場合もある(特許文献3参照)。これに対して、1種類の蛍光プローブを用いる蛍光解析法では、これらの問題点がなく測定が容易であり、蛍光解析の精度を向上することも可能である。
光子数解析データを用いた蛍光解析の具体的な内容については、解析部52において、光子数解析データnABに対し、自己相関解析またはフォトンバースト解析の少なくとも一方を行うことが好ましい。このように、自己相関解析法、フォトンバースト解析法、あるいはそれらを組み合わせた解析法を用いることにより、試料Sの蛍光解析を精度良く実行することができる。また、解析部52において、解析データnABを所定のビン時間幅でビニングし、ビニングされた解析データに対して蛍光解析を行う構成としても良い。この場合、具体的な測定条件等に応じて解析データのビン時間幅を設定することにより、蛍光解析の精度を向上することができる。
図1に示した蛍光解析装置1A、及び解析装置1Aにおいて実行される蛍光解析方法について、さらに具体的に説明する。
まず、光子数測定データF(t)、F(t)を用いた一般的な蛍光解析について説明する。試料Sに1種類の蛍光プローブを加えて測定した場合、光検出器31、32での測定結果による自己相関関数G(τ)は、光子数測定データF、Fに対して、それぞれ下記の式(2)、式(3)
Figure 0005139885

Figure 0005139885

によって求めることができる。
また、光検出器31、32間の相互相関関数は、下記の式(4)、式(5)
Figure 0005139885

Figure 0005139885

によって求められる。ここで、これらの相関関数GAB(τ)、GBA(τ)の対称性
Figure 0005139885

を考慮すると、下記の式(7)で定義される関数G(τ)=GCROSS(τ)
Figure 0005139885

を光検出器31、32間の相互相関関数として用いることができる。
一般に、蛍光相関分光法における1成分系の波形解析では、自己相関、相互相関ともに相関関数G(τ)は、下記の式(8)
Figure 0005139885

によって求められる。ここで、<N>は試料Sで共焦点光学系によって構築される測定領域内に滞在する蛍光プローブの平均分子数を示し、また、τは拡散時定数、r、zは構造パラメータ(ストラクチャパラメータ)、Tは三重項状態へと遷移する割合、λは三重項遷移の時定数をそれぞれ示している。これらのパラメータは、取得された相関関数に対してフィッティング計算による波形解析を行うことで求めることができる。
式(7)、式(8)を用いる解析法は従来法であるが、測定データを直接用いずに解析データnABを用いる図1に示した解析装置1Aにおいても、このような解析法によって平均分子数、並進拡散時定数、三重項に関するパラメータ等を解析することは、蛍光プローブの初期状態を把握する上で好適である。また、式(8)において三重項状態への遷移確率をT=0とすると、時間遅れτ=0のときに、G(τ)のy切片について
G(τ=0)=1/<N>
の関係が得られる。すなわち、相関関数G(τ)のy切片により、試料S中での蛍光プローブの濃度に対応する測定領域内での平均分子数<N>が求められる。
ここで、式(7)に示した相互相関関数G(τ)は、1種類の蛍光プローブを用いて求められたものであるため、上記の式(8)で波形解析することができる。このような蛍光解析法では、相互相関によって光検出器のノイズをキャンセルすることができる利点がある。ただし、このように2つの光検出器を用いた相互相関では、1つの光検出器の場合に比べてSN比が1/√2倍に低下する。
次に、光子数解析データnAB(t)を用いた蛍光解析について説明する。ここで、図1の解析装置1Aにおいて、試料Sの測定領域内に1個の蛍光プローブのみが存在している場合には、光検出器31、32で同時に蛍光が検出されることはなく、光検出器31、32で同時に蛍光が検出された場合には、必ず複数個の蛍光プローブが測定領域内に存在するものとする。
この場合、上記の式(1)に示した相乗平均による解析データnAB(t)
AB(t)=√(F(t)・F(t))
を用いることにより、光子検出の同時性の観点から1個の蛍光プローブによる検出イベントを排除することができる。また、この解析データでは、同時性の評価のため、測定データF、Fの一方または両方が0でnAB=0となる場合も除外せずに解析データを求める。また、相乗平均による上記の解析データは、光分岐手段として分岐比1:1のビームスプリッタを用いた場合の蛍光解析において、特に好適に適用することができる。
この解析データnABを時系列の光子数データとして、蛍光検出の同時性が加味された自己相関関数Gnew(τ)を求めると、下記の式(9)
Figure 0005139885

となる。なお、相乗平均による解析データは実数データであるため、この式(9)の相関関数を求める演算も実数演算となる。このような演算を含む蛍光解析は、測定制御部50でソフトウェア的に解析演算を行う構成において好適に実現することできる。
式(9)の自己相関関数では、光子数データのビン時間幅が例えば1μsecと小さい場合にはnAB=0である確率が高いため、相関波形を求めることができない。これに対して、解析データnABのビン時間幅をビニングで大きくしていくと、nAB=0の確率が次第に減少して相関波形が現れてくる。すなわち、上記の相関波形Gnew(τ)は、2つの光検出器31、32で取得される光子数データに対して任意のビン時間幅を設定したときに、そのビン幅内で光子が同時に検出される程度を示すものである。
また、自己相関関数G(τ)では、上記したように、そのy切片が蛍光プローブの平均分子数の逆数1/<N>に対応している。したがって、試料Sの測定領域内に蛍光プローブが多い場合には、それらが同時に観測される確率が高くなって相関波形のy切片が小さくなる。一方、蛍光プローブが少ない場合には、同時に観測される確率が低くなってy切片が大きくなる。蛍光検出の同時性を考慮した上記の相関関数Gnew(τ)は、一般的な相関関数G(τ)に対して、上記特性によって変動することとなる。
なお、蛍光プローブの並進拡散運動等については、いずれの相関関数でも同じ運動を観測している。このため、式(9)の相関関数Gnew(τ)の波形解析においても、相互相関関数G(τ)について求められた拡散時定数τ、遷移割合T、及び時定数λの各パラメータを、同じパラメータ値で適用することが可能である。
上記の相関関数Gnew(τ)の導出において、解析データnABのビン時間幅を蛍光プローブの濃度に対して適切に設定することにより、蛍光検出の同時性による制限によって測定領域内に滞在する見かけ上の分子数を少なく見積もることができる。これは、測定領域内にある複数個の蛍光プローブからの蛍光を2つの光検出器で同時に検出する頻度が、ビン時間幅の大きさによって異なってくることによる。このビン時間幅については、光子計数部35での計数時間幅を初期ビン幅として取得された光子数データについて、必要に応じてビニングを行ってビン時間幅を設定、変更することが好ましい。
解析データnABを用いた蛍光解析の上記性質は、標的分子に対して複数個の蛍光プローブが凝集するように結合する場合の蛍光解析に特に有効である。この場合、試料Sに加える蛍光プローブを多くすることにより、複数個の蛍光プローブが結合した標的分子による蛍光検出イベントが増加する。また、複数個の蛍光プローブの標的分子への結合によって並進拡散運動が変化するため、FCSによる蛍光解析において標的分子の検出能力が向上される。また、フリーの蛍光プローブについては、測定領域内に複数個が滞在する場合でも滞在タイミングがずれて同時性が小さくなるため、ビン時間幅の設定によって、フリーの蛍光プローブによるイベントを効果的に除外することが可能である。
標的分子に複数個の蛍光プローブが結合する場合のFCSによる蛍光解析では、相関関数G(τ)は下記の式(10)、式(11)
Figure 0005139885

Figure 0005139885

によって求められる。ここで、式(10)、式(11)において、添え字iは標的分子に対する蛍光プローブの結合状態が異なる場合の各蛍光成分を示している。また、αは蛍光の発光効率に関する係数である。また、式(11)の相関波形成分では、三重項に関する波形部分を省略している。
蛍光プローブとして1種類の分子プローブのみを用い、図1の解析装置1Aで取得された測定データを式(7)の相互相関関数G(τ)によって解析する場合、係数αは正の整数の値をとり、それに応じて平均分子数<N>がそれぞれ求められる。例えば、標的分子に対して蛍光プローブが最大で2個までしか結合しない場合、式(10)の相関関数G(τ)は下記の式(12)
Figure 0005139885

となる。ここで、添え字i=1はフリーの蛍光プローブによる蛍光成分を示し、i=2は標的分子に蛍光プローブが1個結合した場合の蛍光成分を示し、i=3は標的分子に蛍光プローブが2個結合した場合の蛍光成分を示している。また、この場合の蛍光プローブの総分子数<N>は、下記の式(13)
Figure 0005139885

によって求められる。
これらの式(12)、式(13)を用い、式(7)の相互相関関数G(τ)について各相関波形成分g(τ)の係数を求めることによって、試料Sにおける蛍光プローブの状態、及び標的分子の量などについての情報を取得することができる。ただし、このような蛍光解析において、標的分子の量が少なくフリーの蛍光プローブが多い場合には、相関波形は主にフリーの蛍光プローブによる蛍光成分によって表されることとなり、標的分子についての情報を充分な精度で取得することが困難となる。
このような場合、測定データF、Fによる相関関数G(τ)に代えて、解析データnABによる相関関数Gnew(τ)を用いることにより、標的分子の情報を好適に取得することができる。すなわち、蛍光検出の同時性が考慮された相関関数Gnew(τ)では、フリーの蛍光プローブ、及び標的分子に1個のみ結合した蛍光プローブの分子数が低く見積もられるため、標的分子に蛍光プローブが2個結合した分子数<N>を精度良く定量することができる。
また、式(1)に示した光子数解析データnAB(t)自体については、試料Sの測定領域内に複数個の蛍光プローブが同時に滞在する場合の蛍光ゆらぎに相当している。このため、蛍光解析については、上記した自己相関解析以外にも、解析データに対してフォトンバースト解析(光子数データでの検出光子数についての解析)を行うことによっても、標的分子の情報等を取得することが可能である。なお、解析データのフォトンバースト解析については、具体的には後述する。
ここで、標的分子Tに対する蛍光プローブPの特異的結合(図2参照)を利用するホモジニアス・アッセイでは、具体的には例えば、標的分子を含む試料Sに対し、(1)反応前の蛍光プローブの評価工程、(2)標的分子と蛍光プローブとの反応工程、及び(3)反応後の蛍光の評価工程の3つの工程によって蛍光解析が行われる。この場合、反応前の評価工程(1)では、式(7)の相互相関関数G(τ)を求め、式(8)を適用して波形解析を行って必要なパラメータの値を決定する。さらに、式(1)の解析データ、及び式(9)の相関関数Gnew(τ)による解析を行い、反応前の状態の初期値を求めるとともに、同時性を評価する上で重要となる蛍光解析用のビン時間幅を設定する。
また、反応後の評価工程(3)では、先に求めた蛍光解析用のビン時間幅を適用して式(1)、式(9)による解析を行い、さらに、相関波形に対して式(10)、式(11)を用いた波形解析を行うことにより、試料Sでの標的分子の量を見積もることができる。あるいは、波形解析に代えて、式(1)の解析データに対してフォトンバースト解析を行っても良い。なお、ビン時間幅の設定方法等については、具体的には後述する。
また、自己相関関数G(τ)の算出においては、一定のビン時間幅で演算を行わず、時間遅れτに応じてビン幅を変えて相関関数を求めるマルチプルタウ方式を用いても良い。すなわち、一般的な自己相関関数は、下記の式(14)
Figure 0005139885

によって求められるが、時間遅れτが例えば100nsec〜1secの範囲全体で一定のビン幅100nsecの分解能を適用すると演算量が膨大となり、また、時間遅れτが大きい領域で求められる波形のSN比が劣化する場合がある。
これに対し、時間遅れτが大きい領域でビン時間幅が大きくなるように、時間遅れτに応じてビン幅を変えるマルチプルタウ方式によれば、相関波形の演算量を低減するとともに、時間遅れτが大きい領域でのSN比を改善することができる。具体的には例えば、初期ビン幅が100nsの時系列の測定データに対して解析演算を行う場合、τ=1μsでは初期ビン幅100nsのままで演算を行い、τ=1msではビン幅が1μsとなるようにビニングした光子数データを用いて演算を行う方法を用いることができる。
一般には、相関関数の算出において、時間遅れτが小さい領域で適用する最小ビン幅を設定し、時間遅れτが大きい領域では最小ビン幅を整数倍したビン時間幅でビニングして相関関数を算出する方法を用いることができる。このような演算方法は、測定制御部50でソフトウェア的に蛍光解析を行う構成において好適に実現することできる。すなわち、ソフトウェア的に解析する構成では、解析演算に対する自由度が大きく、また、蛍光測定後にデータ処理を実行できることから、例えば解析条件を変えて何回も演算を繰り返すなど、様々な蛍光解析を行うことが可能である。
次に、解析データnAB及び相関関数Gnew(τ)による蛍光解析について、その具体例とともにさらに説明する。以下においては、蛍光解析における測定データF、Fの初期ビン幅となる光子計数部35での計数時間幅を100nsとする。また、相関関数の算出においては、基本的に上記したマルチプルタウ方式を用いるものとする。
図3は、光子数測定データに対して得られる相関関数を示すグラフである。図3において、グラフ(a)は、光検出器31での測定データFから式(2)によって算出された自己相関関数G(τ)を示している。また、グラフ(b)は、光検出器31、32での測定データF、Fから式(7)によって算出された相互相関関数G(τ)を示している。これらの相関関数は、いずれも最小ビン幅を100nsとしたマルチプルタウ方式によって算出されている。また、図3では、図1の解析装置1Aで3秒間の蛍光測定を10回繰り返して得られた測定データから求められる相関関数を示している。
図3の自己相関関数のグラフ(a)では、τ=1μs程度までの速い時間領域では光検出器のアフターパルスノイズが重畳された波形となっており、1μs以降の相関波形についてのみ、有効に解析することができる。また、相互相関関数のグラフ(b)では、三重項状態への遷移過程が充分に観測されており、この相関波形を解析することで蛍光プローブの状態を正確に知ることができる。蛍光測定における平均光子検出数は、第1光検出器31で35.3kcps、第2光検出器32で32.9kcpsであり、ビームスプリッタ30による蛍光の分岐比は約52:48となっている。また、グラフ(b)の相関波形について、式(8)で波形フィッティングを行った場合、各パラメータの値は
<N>:21.4
τ:0.256ms
T:0.123
λ:0.396μs
/z:0.2
と求められ、この場合の平均分子数は<N>=21.4となっている。
図3と同一の測定データF、Fについて、式(1)の解析データnABを求め、さらに式(9)の同時性を考慮した相関関数Gnew(τ)を算出した結果を図4に示す。図4においては、ビニングによって初期ビン幅100nsよりも大きい所定の時間幅を最小ビン幅としてマルチプルタウ方式によって算出された相関関数を示している。また、図4において、グラフA1、A2、A3、A4は、それぞれ最小ビン幅を6.4μs、25.6μs、102.4μs、409.6μsとしたときの相関関数を示している。ここで、例えばビン幅6.4μsの光子数データは、初期ビン幅100nsの光子数データを64個ずつ加算するビニング処理によって得られる。また、初期ビン幅よりも大きい時間幅を最小ビン幅としているのは、最小ビン幅100nsでは同時性を考慮することでほとんどのビンの計数値が0になってしまうためである。
図4のグラフA1〜A4より、相関関数Gnew(τ)を求める際の最小ビン幅を大きくすることにより、1/<N>に相当する相関関数のy切片が小さくなり、測定領域内での同時性が考慮された蛍光プローブの平均分子数<N>が増加することがわかる。この図4の相関関数に対し、分子数<N>以外のパラメータについて図3のグラフ(b)で求めた上記のパラメータ値を適用して波形フィッティングによる解析を行うことにより、グラフA1〜A4のそれぞれについて各最小ビン幅での平均分子数<N>が求められる。
図5は、相関関数Gnew(τ)から求められる分子数のビン幅依存性を示すグラフである。図5において、横軸はマルチプルタウ方式による相関関数の算出での最小ビン時間幅(sec)を示し、縦軸は各最小ビン幅での相関関数のy切片から求められる平均分子数<N>を示している。ここで、光子数解析データnABでは、時系列の測定データにおいて計数値が0のビンが存在することを前提として同時性を評価している。このため、ビニング処理によってビン時間幅当たりの蛍光量が増えて計数値が0となる頻度が低くなる時間領域、例えば図5においてビン幅が0.3ms以上の領域では、解析データnABを求めて同時性を評価する効果が充分に得られていない。
一方、例えばビン幅を6.4μsとした場合の相関関数Gnew(τ)では、図3のグラフ(b)の相関関数G(τ)で21.4個であった平均分子数<N>が6.1個まで減少している。これは、解析データnABで蛍光検出の同時性を考慮することにより、試料Sの測定領域内にある見かけ上の分子数が少なく見積もられたことを示すものである。このような解析条件は、上述したように、標的分子に対して複数個の蛍光プローブが凝集するように結合する場合の蛍光解析において、複数個のフリーの蛍光プローブによるバックグラウンドイベントの影響が低減されるなどの点で特に有効である。
図6は、光子数測定データに対して得られる相関関数の他の例を示すグラフである。図6のグラフは、図3の場合よりも蛍光プローブの濃度が低い条件で蛍光測定を行って得られた相互相関関数G(τ)を示している。このグラフにおいて、蛍光測定における平均光子検出数は、第1光検出器31で2.3kcps、第2光検出器32で2.2kcpsであり、ビームスプリッタ30による蛍光の分岐比は約51:49となっている。また、図6のグラフの相関波形について、式(8)で波形フィッティングを行った場合、各パラメータの値は
<N>:1.66
τ:0.256ms
T:0.247
λ:2.28μs
/z:0.2
と求められ、この場合の平均分子数は<N>=1.66となっている。
図7は、図6と同一の測定データについて、相関関数Gnew(τ)から求められる分子数のビン幅依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、例えばビン幅を6.4μsとした場合の相関関数Gnew(τ)では、図6の相関関数G(τ)で1.66個であった平均分子数<N>が0.27個まで減少している。これらの図5、図7のグラフからわかるように、蛍光解析において光子数測定データ、解析データをビニングする場合のビン時間幅については、相関関数から求められる分子数のビン幅依存性を参照してビン時間幅を設定することが好ましい。また、分子数のビン幅依存性は、蛍光プローブの濃度等の条件によって変化するが、条件が同じであれば再現性は高いと考えられる。
次に、光子数測定データF、Fから解析データnABへのデータ変換について説明する。同時性を考慮した解析データは、一般には、F・F=0の場合に
Figure 0005139885

となり、F・F>0の場合に所定の関数fで
Figure 0005139885

となるように求められる。また、F・F>0の場合の解析データの具体的な算出方法としては、上記に例示した相乗平均による解析データnAB
Figure 0005139885

を用いることができる。これにより、蛍光検出の同時性が考慮された蛍光解析を好適に実行することができる。また、この方法では、F・F=0の場合においても、相乗平均の上記関数でnAB=0となる。
また、F・F>0の場合の解析データの他の算出方法としては、相加平均による解析データnAB
Figure 0005139885

を用いることができる。なお、この方法では、相加平均の上記関数ではF、Fの一方のみが0の場合にnAB=0とならない。このため、F・F=0の場合については、別にnAB=0と定義する。
あるいは、F・F>0の場合の解析データのさらに他の算出方法としては、調和平均による解析データnAB
Figure 0005139885

を用いることができる。これにより、相乗平均の場合と同様に、蛍光検出の同時性が考慮された蛍光解析を好適に実行することができる。また、この方法でも、F・F=0の場合については、別にnAB=0と定義する。
あるいは、F・F>0の場合の解析データのさらに他の算出方法としては、測定データの積による解析データnAB
Figure 0005139885

を用いても良い。ただし、この積による解析データは、他の相乗平均、相加平均、調和平均による解析データとは性質が異なっている。
一般には、解析データnAB(t)の算出において、F・F>0の場合には、相乗平均、相加平均、調和平均、または積のいずれかとなる関数f(F、F)で解析データnABを求めることが好ましく、特に、相乗平均、相加平均、または調和平均のいずれかとなる関数f(F、F)で解析データnABを求めることが好ましい。
図8は、相関関数から求められる分子数のビン幅依存性を示すグラフである。図8において、グラフ(a)は図5に示した蛍光プローブの濃度が高い場合のグラフに対応し、グラフ(b)は図7に示した濃度が低い場合のグラフに対応している。また、グラフ(a)において、グラフB1、B2、B3、B4は、それぞれ解析データの算出に相乗平均、相加平均、調和平均、積を用いた場合の分子数<N>を示している。グラフ(b)におけるグラフC1、C2、C3、C4についても同様である。
また、図9は、図8のグラフ(a)に示した蛍光プローブの濃度が高い条件における、光子数解析データに対して得られる相関関数を示すグラフである。図9において、グラフ(a)は、ビン幅を6.4μsとした場合の相関関数を示し、グラフD1、D2、D3、D4は、それぞれ解析データの算出に相乗平均、相加平均、調和平均、積を用いた場合の相関関数を示している。また、図9のグラフ(b)は、ビン幅を102.4μsとした場合の相関関数を示し、グラフE1、E2、E3、E4は、それぞれ解析データの算出に相乗平均、相加平均、調和平均、積を用いた場合の相関関数を示している。
これらのグラフに示すように、相乗平均、相加平均、及び調和平均による解析データを用いた場合は、いずれも分子数<N>のビン幅依存性について同様の傾向を示している。一方、積による解析データを用いた場合は、自己相関演算において平均強度とゆらぎとが同じように変動するため、相関波形のy切片、及びそれによって求められる分子数<N>は、ほぼ一定値を示す結果となっている。また、上記のいずれの場合でも、相関関数(図9参照)については、分子数<N>以外のパラメータについて、相互相関関数から求めたパラメータ値を適用して波形フィッテイングによる解析を行うことが可能である。
図8のグラフ(a)に示す例では、上記したように相乗、相加、調和平均について同様の傾向を示している。これは、この測定例では光検出器31、32での平均光子検出数が35.3kcps、32.9kcpsであり、例えば6.4μsのビン幅では平均計数値が0.22となる。このため、各ビンでの計数値の多くが0、1、2のいずれかとなり、光検出器間の検出の偏りについて、相乗、相加、調和平均で大きな差が無いことによる。これらの相乗、相加、調和平均のうちでは、蛍光ゆらぎを過剰に評価しないことから、相乗平均、及び調和平均が特に解析データの算出に適していると考えられる。
次に、光子数解析データnAB(t)のフォトンバースト解析について説明する。フォトンバースト解析は、時系列の光子数データに対し、その各ビンでの検出光子数及びその時間変化について解析することで、測定領域内での蛍光プローブの個数等についての情報を得る解析方法である。
図10は、時系列の光子数データでの計数値(ビン当たりの検出光子数)の分布の一例を示すグラフである。図10に示す計数値分布は、図3〜図5に示した蛍光プローブの濃度が高い場合の測定結果によるものである。図10のグラフ(a)は、光検出器31、32での測定データF、Fを加算した光子数データにおいて、ビニングによってビン幅を307.2μsとしたときの計数値分布を示している。ここで、この図10の測定例では、測定データF、Fでの平均光子検出数を加算すると68.2kcpsとなり、分子数が<N>=21.4であることから、1分子当たりの蛍光強度は約3.2kcpsである。上記のビン幅は、この蛍光強度を考慮し、蛍光プローブ1分子に対応する計数値が約1となるように選択している。このため、グラフ(a)において、そのピーク計数値はおよそ21となっている。
一方、図10のグラフ(b)は、ビン幅6.4μsで相乗平均による解析データnABを求め、さらにビニングによってビン幅を307.2μsとしたときの計数値分布を示している。この場合、測定データF、Fの平均という点でいうと、計数値0.5が蛍光プローブ1分子に相当することとなる。このグラフ(b)では、計数値が5以上で2つ以上のビンをまたいで発光するような現象について、その識別が容易になる。すなわち、図10の例では、例えば10個程度の蛍光プローブが標的分子に凝集、結合する反応系の場合、測定データのグラフ(a)ではフリーの蛍光プローブによるイベントに埋もれてしまい識別が困難であるが、蛍光検出の同時性が考慮された解析データのグラフ(b)ではそれらを識別することが可能である。
図11は、光子数データでの計数値の分布の他の例を示すグラフである。図11に示す計数値分布は、図6、図7に示した蛍光プローブの濃度が低い場合の測定結果によるものである。図11のグラフ(a)、(b)は、それぞれ図10のグラフ(a)、(b)と同様に求められた計数値分布を示している。ここで、この図11の測定例では、測定データF、Fでの平均光子検出数を加算すると4.5kcpsとなり、分子数が<N>=1.66であることから、1分子当たりの蛍光強度は約2.6kcpsである。このとき、上記のビン幅では、蛍光プローブ1分子に対応する計数値は約0.8となっている。
図11のグラフ(b)では、計数値1の頻度が142、計数値2の頻度が1となっており、その他のイベントは全て計数値が0となっている。このような測定結果では、上記した307.2μsのビン幅で例えば計数値0.4を基準としてフォトンバースト解析を行うことが可能である。
標的分子に対して複数個の蛍光プローブが結合する反応系では、解析データnABが0よりも大きくなる確率は非常に高い。このため、相乗平均などによる解析データを用いることで、フリーの蛍光プローブなどによるバックグラウンドイベントを低減した形での蛍光解析が可能となる。ただし、フォトンバースト解析は相対的な評価であるため、濃度が既知の測定試料についてあらかじめ測定を行って検量線を作成し、その検量線を参照して解析を行うことが好ましい。また、同時性を考慮した解析データの算出方法については、フォトンバースト解析においても、相乗、相加、調和平均のいずれを用いても大きな差は無かった。また、積については、分散が大きくなる傾向があるため、解析データの算出方法としては相乗平均等が適しているものと考えられる。
本発明による蛍光解析装置、及び蛍光解析方法は、上記実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、蛍光測定に用いられる蛍光顕微鏡等の装置構成については、図1はその一例を示すものであり、具体的には様々な構成を用いて良い。また、上記した蛍光解析法は、測定試料に1種類の蛍光プローブのみを加える場合以外にも、様々な条件での蛍光測定に対して適用可能である。また、上記した蛍光解析装置及び解析方法は、フリーの蛍光プローブの影響を抑制できることから、例えば分子間相互作用における結合力が弱い反応系に対する蛍光解析法として有効であると考えられ、これまでELISA法等に適用できなかった抗原抗体反応の組合せについても適用できる可能性がある。
本発明は、測定領域内にある蛍光プローブからの蛍光を測定することによる測定試料の蛍光解析を好適に実行することが可能な蛍光解析装置、及び蛍光解析方法として利用可能である。
蛍光解析装置の一実施形態の構成を示す図である。 蛍光解析装置による解析対象の一例を示す図である。 光子数測定データに対して得られる相関関数を示すグラフである。 同時性を考慮した光子数解析データに対して得られる相関関数を示すグラフである。 相関関数から求められる分子数のビン幅依存性を示すグラフである。 光子数測定データに対して得られる相関関数を示すグラフである。 相関関数から求められる分子数のビン幅依存性を示すグラフである。 相関関数から求められる分子数のビン幅依存性を示すグラフである。 同時性を考慮した光子数解析データに対して得られる相関関数を示すグラフである。 光子数データでの計数値の分布を示すグラフである。 光子数データでの計数値の分布を示すグラフである。
符号の説明
1A…蛍光解析装置、S…測定試料、10…試料ホルダ、20…対物レンズ、21…ダイクロイックミラー、22…励起光源、23…光フィルタ、24…反射ミラー、25…結像レンズ、26…ピンホール、27…コリメートレンズ、
30…ビームスプリッタ、31…第1光検出器、32…第2光検出器、33…第1検出信号処理部、34…第2検出信号処理部、35…光子計数部、50…測定制御部、51…解析データ生成部、52…測定結果解析部。

Claims (13)

  1. 測定試料に対して設定された測定領域に励起光を照射する励起光照射手段と、
    前記励起光照射手段によって前記励起光が照射された前記測定試料の前記測定領域内にある蛍光プローブから発生する蛍光を2つの蛍光成分に分岐する光分岐手段と、
    分岐された一方の第1蛍光成分を検出する第1蛍光検出手段と、
    分岐された他方の第2蛍光成分を検出する第2蛍光検出手段と、
    前記第1蛍光検出手段及び前記第2蛍光検出手段でそれぞれ検出された光子数を所定の計数時間幅で時系列的に計数して、第1光子数測定データF(t)及び第2光子数測定データF(t)を取得する光子計数手段と、
    前記第1光子数測定データF(t)及び前記第2光子数測定データF(t)に基づいて、測定データF(t)、F(t)の少なくとも一方が0の場合に
    AB(t)=0
    となり、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、相乗平均、相加平均、または調和平均のいずれかとなる関数fで
    AB(t)=f(F(t)、F(t))
    となる光子数解析データnAB(t)を生成する解析データ生成手段と、
    前記解析データ生成手段で生成された前記光子数解析データnAB(t)に対し、前記蛍光プローブを含む前記測定試料の測定結果についての蛍光解析を行う測定結果解析手段と
    を備え
    前記測定結果解析手段は、前記光子数解析データn AB (t)を、前記測定試料中での前記蛍光プローブの濃度に応じて設定されたビン時間幅でビニングし、ビニングされた解析データに対して前記蛍光解析を行うことを特徴とする蛍光解析装置。
  2. 前記解析データ生成手段は、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、測定データF(t)、F(t)の相乗平均となる関数fで
    AB(t)=√(F(t)・F(t))
    によって前記光子数解析データnAB(t)を生成することを特徴とする請求項1記載の蛍光解析装置。
  3. 前記解析データ生成手段は、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、測定データF(t)、F(t)の調和平均となる関数fで
    AB(t)=2/{1/F(t)+1/F(t)}
    によって前記光子数解析データnAB(t)を生成することを特徴とする請求項1記載の蛍光解析装置。
  4. 前記解析データ生成手段は、測定データF (t)、F (t)の両者が0でない場合に、測定データF (t)、F (t)の相加平均となる関数fで
    AB (t)={F (t)+F (t)}/2
    によって前記光子数解析データn AB (t)を生成することを特徴とする請求項1記載の蛍光解析装置。
  5. 前記測定結果解析手段は、前記光子数解析データnAB(t)に対し、前記蛍光解析として、自己相関解析またはフォトンバースト解析の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の蛍光解析装置。
  6. 前記励起光は単一波長領域の励起光であり、前記第1蛍光成分及び前記第2蛍光成分は同一波長領域の蛍光成分であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の蛍光解析装置。
  7. 測定試料に対して設定された測定領域に励起光を照射する励起光照射ステップと、
    前記励起光照射ステップで前記励起光が照射された前記測定試料の前記測定領域内にある蛍光プローブから発生する蛍光を2つの蛍光成分に分岐する光分岐ステップと、
    分岐された一方の第1蛍光成分を検出する第1蛍光検出ステップと、
    分岐された他方の第2蛍光成分を検出する第2蛍光検出ステップと、
    前記第1蛍光検出ステップ及び前記第2蛍光検出ステップでそれぞれ検出された光子数を所定の計数時間幅で時系列的に計数して、第1光子数測定データF(t)及び第2光子数測定データF(t)を取得する光子計数ステップと、
    前記第1光子数測定データF(t)及び前記第2光子数測定データF(t)に基づいて、測定データF(t)、F(t)の少なくとも一方が0の場合に
    AB(t)=0
    となり、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、相乗平均、相加平均、または調和平均のいずれかとなる関数fで
    AB(t)=f(F(t)、F(t))
    となる光子数解析データnAB(t)を生成する解析データ生成ステップと、
    前記解析データ生成ステップで生成された前記光子数解析データnAB(t)に対し、前記蛍光プローブを含む前記測定試料の測定結果についての蛍光解析を行う測定結果解析ステップと
    を備え
    前記測定結果解析ステップにおいて、前記光子数解析データn AB (t)を、前記測定試料中での前記蛍光プローブの濃度に応じて設定されたビン時間幅でビニングし、ビニングされた解析データに対して前記蛍光解析を行うことを特徴とする蛍光解析方法。
  8. 前記解析データ生成ステップにおいて、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、測定データF(t)、F(t)の相乗平均となる関数fで
    AB(t)=√(F(t)・F(t))
    によって前記光子数解析データnAB(t)を生成することを特徴とする請求項7記載の蛍光解析方法。
  9. 前記解析データ生成ステップにおいて、測定データF(t)、F(t)の両者が0でない場合に、測定データF(t)、F(t)の調和平均となる関数fで
    AB(t)=2/{1/F(t)+1/F(t)}
    によって前記光子数解析データnAB(t)を生成することを特徴とする請求項7記載の蛍光解析方法。
  10. 前記解析データ生成ステップにおいて、測定データF (t)、F (t)の両者が0でない場合に、測定データF (t)、F (t)の相加平均となる関数fで
    AB (t)={F (t)+F (t)}/2
    によって前記光子数解析データn AB (t)を生成することを特徴とする請求項7記載の蛍光解析方法。
  11. 前記測定結果解析ステップにおいて、前記光子数解析データnAB(t)に対し、前記蛍光解析として、自己相関解析またはフォトンバースト解析の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項記載の蛍光解析方法。
  12. 前記励起光は単一波長領域の励起光であり、前記第1蛍光成分及び前記第2蛍光成分は同一波長領域の蛍光成分であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項記載の蛍光解析方法。
  13. 前記測定試料に加える前記蛍光プローブとして1種類の蛍光プローブのみを用いるとともに、前記測定試料に含まれる標的分子に2個以上の同一種類の前記蛍光プローブが結合する場合の前記蛍光解析に適用されることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項記載の蛍光解析方法。
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