WO2010053214A1 - ガラスの製造方法、光学ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子とそれら製造方法 - Google Patents

ガラスの製造方法、光学ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子とそれら製造方法 Download PDF

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Abstract

ガラス原料を熔融、清澄して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを成形し、光学ガラスからなるガラス成形体を作製するガラスの製造方法において、カチオン%表示で、B3+を12~65%、Si4+を0~20%、Ge4+を0~6%、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、Zn2+を0~35%、Li+、Na+およびK+を合計で0~9%、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、を含み、前記全カオチン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法

Description

ガラスの製造方法、光学ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子とそれら製造方法
 本発明は、内部品質が極めて高い光学ガラス、前記ガラスからなるプレス成形用ガラス素材と光学素子ならびにそれらの製造方法に関する。
 ホウ酸−ランタン系の組成を有する光学ガラスは、高屈折率低分散ガラスあるいは高屈折率中分散ガラスとして知られている。このような光学ガラスとして特許文献1、2に開示されているものが知られている。
特開2002−284542号公報 特開2001−348244号公報
 ところで、高屈折率中低分散のホウ酸−ランタン系ガラスは、光学ガラス全般に比べて、清澄温度を極めて高くしたり、清澄時間を長くしないと十分な脱泡効果を得るのが難しいガラスである。しかし、清澄温度を高めたり、清澄時間を長くすると、ホウ酸などの揮発性成分の量が揮発により減少して屈折率が変動したり、清澄槽を構成する白金などの耐熱性材料が熔融ガラスによって侵蝕され、ガラスに溶け込んでガラスが着色するなどの問題もあった。
 本発明は、上記ガラスに固有のこうした課題を解決するためになされたものであり、清澄性の優れた光学ガラスおよびその製造方法を提供すること、ならびに、前記光学ガラスを用いたプレス成形用ガラス素材および光学素子とその製造方法を提供することを目的とする。
 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、
(1) ガラス原料を熔融、清澄して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを成形し、光学ガラスからなるガラス成形体を作製するガラスの製造方法において、
 カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法、
(2) ガラス原料を熔融して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを急冷してカレット原料を作製するガラスの製造方法において、
 カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となるガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法、
(3) 上記(2)項に記載の方法でカレット原料を作製し、該カレット原料を用いて熔融、清澄して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを成形し、
 カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%である光学ガラスからなるガラス成形体を作製するガラスの製造方法、
(4) 前記熔融または清澄の少なくとも一方の工程を白金または白金合金製容器を用いて行う上記(1)または(3)項に記載のガラスの製造方法、
(5) カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%
(ただし、前記全カチオン成分の合計含有量が99%以上)、
を含むとともに、炭素およびイオウを含む酸化物ガラスであることを特徴とする光学ガラス、
(6) 上記(5)項に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、
(7) 上記(5)項に記載の光学ガラスからなる光学素子、
(8) 上記(1)、(3)、(4)のいずれか1項に記載の方法により光学ガラスを作製し、前記光学ガラスを用いて光学素子を作製する光学素子の製造方法、
(9) カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~54%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~40%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%
(ただし、前記全カチオン成分の合計含有量が99%以上)、
を含むとともに、炭素およびイオウを含む酸化物ガラスからなることを特徴とするカレット原料、
を提供するものである。
 本発明によれば、清澄性の優れた光学ガラスとその製造方法を提供することができる。優れた清澄性を実現することにより、清澄温度を高めたり、清澄時間を長くとる必要がなくなるため、ガラス熔融容器の侵蝕が低減され、容器を構成する耐熱性材料がガラス中に溶け込んで着色が増大することを防止することができる。また、熔融ガラスからの揮発性成分の揮発量を低減することもできるので、屈折率の変動を抑制することができる。さらに清澄槽をはじめ、ガラス熔融装置の消耗を軽減することもできる。また、比較的短時間で高品質の光学ガラスを生産することができるので、ガラスの生産性を向上することもできる。
 また、本発明によれば、清澄剤として、有害な物質である砒素、着色を増大させるアンチモンを使用しなくても良好な清澄性を実現することができる。
 さらに、本発明によれば、上記光学ガラスを用いて高品質のプレス成形品を作製するためのプレス成形用ガラス素材、高品質の光学素子およびその製造方法を提供することができる。
光学ガラスIが得られるようにガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。 光学ガラスAが得られるように、硫酸塩は使用せず、ガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。 光学ガラスAが得られるように、炭酸塩は使用せず、ガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。 光学ガラスAが得られるように、炭酸塩も硫酸塩も使用せず、ガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したもの、ならびに、硫酸塩を使用せず、ガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。 光学ガラスAが得られるように、炭酸塩も硫酸塩も使用せず、ガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したもの、ならびに、硫酸塩を使用せず、ガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。 図2と同様に、硫酸塩は使用せず、炭酸塩を用い、炭酸塩量の多少により残留泡がどのように変化するかを示したものである。 図1、図3~図5に示した清澄開始から3.5時間経過後、5.5時間までの残留泡の経時変化を拡大して示したものである。 実施例1で得たガラスの一次熱処理および二次熱処理(再加熱)の温度とガラス内部に析出した結晶数密度の関係を示すものである。 切断、バレルを施したガラス試料を用いて、再加熱しプレス成形を行ったときの加熱スケジュールを示す図である。 実施例1におけるガラス熔融工程の経過時間とガラスの温度、ガラス中の泡密度の関係を示す図である。 実施例1におけるガラス熔融工程の経過時間とガラスの温度、ガラス中の泡密度の関係を示す図である。 実施例1におけるガラス熔融工程の経過時間とガラスの着色度λ70の関係を示す図である。 比較例におけるガラス熔融工程の経過時間とガラスの温度、ガラス中の泡密度の関係を示す図である。
[光学ガラスとその製造方法]
 最初に本発明の方法で製造する光学ガラスおよび本発明の光学ガラスの組成について説明する。なお、本発明の方法で製造する光学ガラスおよび本発明の光学ガラスのことを光学ガラスIと呼ぶことにする。また、特記しない限り、各カチオン成分の含有量、合計含有量はカチオン%表示とする。
 光学ガラスIは、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%
(ただし、前記全成分の合計含有量が99%以上)、
を含むとともに、炭素およびイオウ含む酸化物ガラスである。
 上記光学ガラスIのガラス組成であって、炭素およびイオウを含まない組成を有するガラス(以下、光学ガラスAという。)は、屈折率を高めるため、アルカリ金属、アルカリ土類金属の総量およびZn2+の含有量を制限しており、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi4+といった高屈折率付与成分の総量が多い。そのため、光学ガラス全般と比べ、熔融温度が高い、あるいは清澄に適した粘度にするため、清澄温度を極めて高くする必要がある。
 光学ガラスAにSbを添加して清澄性を改善しようとすると、ガラスの着色が増大してしまう。また、清澄剤としてSnOのみを添加しても十分な泡切れが得られない。十分な泡切れを実現しようとして清澄時間を長くすると、ガラス中に白金などの熔融容器を構成する耐熱性材料が溶け込み、ガラスが着色してしまうなどの問題も起こり得る。
 ガラス原料に炭酸塩、硝酸塩を用い、これら塩が熔融時に熱分解して熔融物中でCOガス、NOガスを発生させ、脱泡を促進させることも考えられる。しかし、炭酸塩や硝酸塩が熱分解してCOガス、NOガスが発生する温度に比べ、光学ガラスAの清澄温度が高いため、上記ガスによる清澄促進効果をほとんど期待することができない。また、清澄効果を高めるために、硝酸塩の添加量を多くすると、硝酸塩が熱分解してNOガスが多量に発生し、白金などの熔融容器を構成する耐熱性材料の腐食、消耗が著しくなる。
 また、ガラス原料に硫酸塩を用い、SOガスを発生させて清澄を促進しようとしても、清澄効果の大幅な改善は見られず、硫酸塩の使用量を増やすとガラスが着色したり、ガラス熔融物がふきこぼれて良好なガラス熔融ができなくなるほか、硫酸塩が熱分解してSOガスが多量に発生し、白金などの熔融容器を構成する耐熱性材料の腐食、消耗が著しくなる。
 本発明は、炭酸塩と硫酸塩とが共存する状態でガラスの熔融を行うことにより、光学ガラスAに特有の上記課題を解決するものである。
 以下、光学ガラスIにおいて、炭酸塩と硫酸塩の共存が特異的に優れた清澄性をもたらすことを説明する。なお、図1は、後述する光学ガラスI、特に光学ガラスI−1に関するものであり、図2~5は、後述する光学ガラスI、特に光学ガラスI−1のガラス組成であって、炭素およびイオウを含まない組成を有する組成を有するガラスに関するものである。光学ガラスI−1における清澄効果は極めて優れているが、光学ガラスI−1以外の光学ガラスI、例えば、後述する光学ガラスI−2における清澄効果も優れたものである。
 図1は、光学ガラスIが得られるようにホウ酸、酸化物、炭酸塩および硫酸塩を含むガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。
 図2は、光学ガラスAが得られるように、硫酸塩は使用せず、ホウ酸、酸化物、炭酸塩を含むガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。
 図3は、光学ガラスAが得られるように、炭酸塩は使用せず、ホウ酸、酸化物、硫酸塩を含むガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。
 図4は、光学ガラスAが得られるように、炭酸塩も硫酸塩も使用せず、ホウ酸、酸化物、SnOを含むガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したもの、ならびに、硫酸塩を使用せず、ホウ酸、酸化物、炭酸塩、SnOを含むガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。
 図5は、光学ガラスAが得られるように、炭酸塩も硫酸塩も使用せず、ホウ酸、酸化物、Sbを含むガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したもの、ならびに、硫酸塩を使用せず、ホウ酸、酸化物、炭酸塩、Sbを含むガラス原料を調合し、この原料を熔融、清澄、均質化し、ガラスを得る際の、ガラスの温度変化と残留泡の経時変化を示したものである。
 図6は、図2と同様に、硫酸塩は使用せず、炭酸塩、具体的には塩基性炭酸亜鉛を用い、炭酸塩量の多少により残留泡がどのように変化するかを示したものである。
 図7は、図1、図3~図5に示した清澄開始から3.5時間経過後、5.5時間までの残留泡の経時変化を拡大して示したものである。
 なお、図1~図7に示すデータは、容量3リットルの白金製ルツボ内でガラスを熔融し、所定タイミングでルツボ内のガラス融液を採取するとともに、採取したガラス融液を急冷した後、ガラス転移温度付近で保持し、その後、−30℃/時のスピードで徐冷して得たガラス中に含まれる泡の数を測定し、単位質量あたりの密度に換算したものである。
 図1~図6および後述する図10~図13において、wt%ZnO(C)と示されている数値は、塩基性炭酸亜鉛としてガラス中に導入するZnOの量を質量%にて表示したものである。この数値に0.2を乗じたものが塩基性炭酸亜鉛としてガラス原料に含まれるCOに換算した炭素の量(外割、質量%)である。同様に、wt%Laと示されている数値は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLaの量を質量%にて表示したものである。この数値に0.405を乗じたものが炭酸ランタンとしてガラス原料に含まれるCOに換算した炭素の量(外割、質量%)である。また、同様にwt%ZnO(S)と示されている数値は、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnOの量を質量%にて表示したものである。この数値に0.984を乗じたものが硫酸亜鉛としてガラス原料に含まれるSOに換算したイオウの量(外割、質量%)である。
 これらの結果から、図1に示した炭酸塩と硫酸塩とが共存する状態でガラスを熔融したときのみ、ガラス中の残留泡が速やかに低レベルにまで減少し、優れた清澄効果が得られることがわかる。
 これに対し、炭酸塩、硫酸塩をそれぞれ単独で使用しても、十分な清澄効果は発揮されない。さらに、図6に示すように炭酸塩を単独で使用したとき、炭酸塩を増量しても清澄効果の改善は見られず、炭酸塩量が一定量を超えると清澄効果に変化は認められない。
 ガラス製造における、原料の熔解過程で炭酸塩や硫酸塩の熱分解によって発生するCOやSOがガラスに溶解し、清澄過程で熔融ガラスの温度を上げることにより熔融ガラス中に溶解したCOやSOなど溶存ガスが泡として放出され、清澄を促進させると考えられる。図6に示すように、炭酸塩を増量したとき、清澄効果に変化が見られなくなった原因は、COの熔融ガラスへの溶解度が飽和状態になったことによると考えられる。飽和するまでCOを熔融ガラスに溶存させても、COだけでは十分な清澄効果が得られないため、COに加え、ガラス中への溶解挙動の異なるガス成分であるSOをさらに熔融ガラスに溶かし込むことにより、清澄過程での熔融ガラスの温度上昇で、熔融ガラス中におけるガスの放出量を増加させ、清澄効果を著しく増大させると考えられる。なお、図7において、プロット◆を通る実線(炭酸塩+硫酸塩(1))、ならびに、プロット■を通る二点鎖線(炭酸塩+硫酸塩(2))が、炭酸塩と硫酸塩を同時に使用した場合のガラス中の泡密度の経時変化を示したものである。プロット▲を通る点線が、硫酸塩のみ使用した場合の泡密度の経時変化を示したものである。プロット■を通る破線が、SnOのみを使用した場合の泡密度の経時変化を示したものである。プロット◆を通る点線(SnO2+炭酸塩)が、SnOと炭酸塩を同時に使用した場合の泡密度の経時変化を示したものである。プロット●を通る一点鎖線が、Sbのみを使用した場合の泡密度の経時変化である。プロット■を通る二点鎖線(Sb2O3+炭酸塩)が、Sbと炭酸塩を同時に使用した場合の泡密度の経時変化を示したものである。
 このように、光学ガラスAにおいて、炭酸塩および硫酸塩を共存させた状態でガラスを熔融することにより、極めて優れた清澄効果を得ることができる。
 以上のような知見に基づき完成した本発明のガラスの製造方法は、3つの態様に大別することができる。
 第1の態様は、ガラス原料を熔融、清澄して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを成形し、光学ガラスからなるガラス成形体を作製するガラスの製造方法において、
 カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法(ガラスの製法Iという。)である。
 ガラスの製法Iは、バッチ原料、すなわち未ガラス化の化合物を調合した原料を熔融、清澄、成形して光学ガラスを製造する方法(バッチ原料のダイレクトメルト法という。)として優れている。
 第2の態様は、ガラス原料を熔融して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを急冷してカレット原料を作製するガラスの製造方法において、
 カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法(ガラスの製法IIという。)である。
 ガラスの製法IIは、ラフメルトあるいは粗熔解と呼ばれ、カレット原料を作製する方法である。
 第3の態様は、ガラスの製法IIでカレット原料を作製し、該カレット原料を用いて熔融、清澄して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを成形し、
 カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~35%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法(ガラスの製法IIIという。)である。
 ガラスの製法Iにおいて、ガラス原料の溶け残りによる未熔解物の生成およびガラスの着色を防止し、清澄効果をより改善する上から、ガラス原料の熔融温度を1100~1480℃の範囲、ガラスの清澄温度を1200~1500℃の範囲とすることが好ましい。ただし、清澄効果を得るために、清澄温度を熔融温度よりも高くすることが望ましい。さらに、ガラスを急冷する前に、熔融ガラス中に存在する泡をガラス組成物に取り込んで泡を含まない均質なガラスを得るとともに、成形に適した粘度にする上から熔融ガラスの流出温度を1000~1250℃の範囲とすることが好ましい。ただし、清澄効果を高めるとともに、ガラス流出、成形時にガラス表面からの揮発を低減、抑制する上から、流出温度は清澄温度よりも低くすることが望ましく、熔融温度よりも低くすることが望ましい。高温のガラス表面からの揮発を低減、抑制することにより、脈理の発生を低減、抑制することができるとともに、屈折率などの光学特性を安定化することができる。流出温度を制御するには、清澄したガラスを降温しつつ作業槽と呼ばれる槽に移し、作業槽内で攪拌して均質性を高めつつ、流出温度に調整してから流出することが好ましい。
 上記の例は、ガラス原料を熔解槽と呼ばれる熔融容器内で加熱、熔融し、熔融して得られた熔融ガラスを昇温しながら清澄槽に移して清澄し、清澄した熔融ガラスを降温しながら作業槽に移し、攪拌して均質性を高め、流出する方式である。この方式では、熔解槽と清澄槽を連結するパイプでパイプ中を通るガラスを加熱して昇温し、清澄槽と作業槽を連結するパイプ中を通る際に放熱によりガラスを降温する。作業槽には加熱機構などの調温機能を備えた流出パイプが取り付けられ、流出パイプ中を流れるガラスの温度を調整する。
 上記方式の他、一つの熔融容器内でガラス原料を加熱、熔融、攪拌して熔融ガラスを得た後、ガラスを昇温して清澄し、清澄後にガラスを流出に適した温度に降温し、攪拌して均質性を高めてから熔融容器に取り付けられた調温機能を備えた流出パイプから熔融ガラスを流出させてもよい。この方式においても、ガラス原料の熔融温度、清澄温度、流出温度を上記範囲にすることが好ましい。
 ガラスの製法IIは、未ガラス化原料を熔融、ガラス化してカレット原料を製造する方法であり、ガラスの製法IIIは、ガラスの製法IIで作製したカレット原料を用いて、ガラスの熔融、清澄を行い、得られた熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製するというものである。
 ガラスの製法IIでは炭酸塩、硫酸塩の熱分解により発生するガスや前記ガスのガス源がカレット原料中に多く残留していることが望まれる。ガラスの製法IIIにおける清澄工程で上記ガスを積極的に発泡させて泡切れを促進したり、上記ガス源からガスを積極的に発生させて泡切れを促進することが好ましい。
 そのため、ガラスの製法IIにおいてガラス原料、すなわち、未ガラス化原料の熔融温度は1100~1480℃の範囲とすることが好ましい。熔融温度が上記下限温度より低いとガラス原料が溶け残り、均質な組成のガラスが得られにくい。カレット原料を熔融、清澄して光学ガラスを製造する際、複数種のカレット原料を用い、各カレット原料の屈折率あるいはアッベ数などの光学特性と目的とする光学ガラスの屈折率あるいはアッベ数などの光学特性を勘案し、複数種のカレット原料を秤量、調合し、熔融、清澄を行う。そのため、カレット原料が未熔解物を含むと未熔解物が熔解したときに、得られる光学ガラスの光学特性が目的とする光学特性からずれてしまう。こうした問題を回避するためにガラス原料の熔融温度を上記下限温度以上にすることが好ましい。また、ガラス原料の熔融温度が上記上限温度を超えると、炭酸塩や硫酸塩が熱分解して発生するガスのすべて、もしくは大部分がガラスから抜け出てしまうので、熔融温度を上記上限温度以下にすることが好ましい。
 ガラスの製法IIにおいて、ガラス原料を熔融し、均質な熔融ガラスを得た後、前記熔融ガラスを急冷してカレット原料を作製する。例えば、熔融ガラスを鋳型に鋳込んで急冷、成形し、得られたガラスを粉砕してカレット原料とすることができる。
 ガラスの製法IIIにおいては、均質な熔融ガラスを得る上から、カレット原料の熔融温度を1100~1480℃の範囲とすることが好ましく、1100~1400℃の範囲とすることがより好ましく、1100~1350℃の範囲とすることがさらに好ましく、1100~1300℃の範囲とすることが一層好ましい。
 また、前記ガスを積極的に発泡させたり、前記ガス源から積極的にガスを発生させるとともに、ガラスの粘性を低下させて泡切れを促進させる上から、清澄温度を1200℃以上にすることが好ましい。一方、清澄温度が高すぎると熔融ガラスが白金または白金合金など熔融ガラスを蓄積する容器を構成する材料を侵蝕し、ガラスに溶け込んだ白金イオンなどの侵蝕物がガラスを着色する。また、清澄温度が高すぎるとホウ酸などの揮発しやすい成分が熔融ガラスから揮発してガラス組成が変化してしまい、光学特性が変動してしまう。こうした問題を回避する上から清澄温度を1500℃以下とすることが好ましい。上記観点から清澄温度を1200~1500℃の範囲にすることが好ましい。清澄温度のより好ましい範囲は1200~1450℃、さらに好ましい範囲は1200~1400℃、一層好ましい範囲は1200~1350℃である。
 清澄温度は、清澄性を高める上から、ガラスの製法IIにおけるガラス原料(未ガラス化原料)の熔融温度やカレット原料の熔融温度より低いことが好ましい。
 清澄した熔融ガラスは、降温して流出温度にする、もしくは流出温度に近づけ、攪拌などして均質性を高める。熔融ガラスを降温することにより、熔融ガラス中に存在する泡をガラス組成物に取り込んで泡を含まない均質なガラスを得るとともに、ガラスの粘度を成形に適した粘度にすることができる。こうした理由から、熔融ガラスの流出温度を1000~1250℃の範囲にすることが好ましい。ガラスの製法IIIにおいても清澄、均質化した熔融ガラスを流出するパイプには、流出時のガラスの粘度を調整できるよう、加熱装置などの温度調整手段を設けることが好ましい。
 なお、ガラスの製法IIにより作製したカレット原料を用い、ガラス製法IIIによる光学ガラスを製造する場合、ガラスの製法IIにおけるガラス原料の熔融温度よりもガラスの製法IIIにおける清澄温度を高温にすることが、清澄効果を高める上から望ましい。また、ガラスの製法IIIにおける清澄温度よりも流出温度を低くすることが、清澄効果を高め、流出した高温のガラス表面からの揮発を低減、抑制する上から望ましい。高温のガラス表面からの揮発を低減、抑制することにより、脈理の発生を低減、抑制することができるとともに、屈折率などの光学特性を安定化することができる。
 また、ガラスの製法Iにより光学ガラスを製造する場合、あるいは、ガラスの製法IIおよびガラスの製法IIIとを組み合わせて光学ガラスを製造する場合、ガラス原料中に導入する炭酸塩の量および硫酸塩の量を調整して、製造しようとする光学ガラス中に含まれる直径50μm以下の泡密度が、60個/kg以下、好ましくは50個/kg以下、より好ましくは40個/kg以下、さらに好ましくは30個/kg以下、一層好ましくは20個/kg以下、より一層好ましくは15個/kg以下、さらに一層好ましくは10個/kg以下、なお一層好ましくは7個/kg以下、特に好ましくは5個/kg以下、最も好ましくは0個/kgになるようにガラス中の泡の密度を制御することが望ましい。
 炭酸塩の量、硫酸塩の量の好ましい範囲については後述する。
[光学ガラスIについて]
 次に、光学ガラスIの組成範囲について詳説する。
 光学ガラスIは、炭酸塩と硫酸塩とが共存する状態で、ガラス原料の加熱、熔融が行われ、ガラス化、生成したガラス組成物であり、炭素およびイオウを含む。
 質量aの光学ガラスIを得るためのガラス原料中に導入する炭素の量はCOに換算して、0.2×10−2×a~50×10−2×aの範囲にすることが好ましくい。すなわち、COに換算した上記炭素の量を、質量aの光学ガラスIに対して外割で0.2~50質量%の範囲にすることが好ましい。
 後述する光学ガラスIにおいては、質量aの光学ガラスIを得るためのガラス原料中に導入する炭素の量は、清澄効果を高める上から、COに換算して、0.2×10−2×a~5×10−2×aの範囲にすることが好ましく、0.2×10−2×a~2×10−2×aの範囲にすることがより好ましい。すなわち、COに換算した上記炭素の量を、質量aの光学ガラスIに対して外割で0.2~5質量%の範囲にすることが好ましく、0.2~2質量%の範囲にすることがより好ましい。COに換算した炭素の量を外割で0.2質量%以上にすることにより、清澄効果を一層高めることができるが、5質量%を超える量を加えても清澄効果がより改善されることはなく、COガスの排出量の増加原因になることから、炭素の量を上記範囲とすることが好ましい。
 後述する光学ガラスIにおいては、質量aの光学ガラスIを得るためのガラス原料中に導入する炭素の量は、清澄効果を高める上から、COに換算して、2×10−2×a以上にすることが好ましく、3×10−2×a以上にすることがより好ましく、4×10−2×a以上にすることがさらに好ましく、5×10−2×a以上にすることが一層好ましい。すなわち、COに換算した炭素の量を、質量aの光学ガラスIに対して外割で2質量%以上にすることが好ましく、3質量%以上にすることがより好ましく、4質量%以上にすることがさらに好ましく、5質量%以上にすることが一層好ましい。
 一方、光学ガラスIにおいては、質量aの光学ガラスIを得るためのガラス原料中に導入する炭素の量を50×10−2×a以下にすることが好ましく、20×10−2×a以下にすることがより好ましく、15×10−2×a以下にすることがさらに好ましく、10×10−2×a以下にすることが一層好ましい。すなわち、質量aの光学ガラスIを得るためのガラス原料中に導入する炭素の量を、COに換算して、外割で50質量%以下にすることが好ましく、20質量%以下にすることがより好ましく、15質量%以下にすることがさらに好ましく、10質量%以下にすることが一層好ましい。
 ガラス原料に加える炭酸塩として好ましいものは、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ランタンである。ガラス中に導入するカチオン成分の量を勘案して、上記炭酸塩のいずれか、あるいは、組合せを選択し、ガラス原料に加えればよい。
 光学ガラスIがZn2+を含む場合、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛を使用することができる。炭酸亜鉛は吸湿性を示すため、吸湿による重量の径時変化により、ガラス成分として必要なZn2+の秤量精度が低下する。その結果、得られる光学ガラスIの屈折率変動の原因になるため、吸湿しないように管理すること、すなわち、乾燥雰囲気中で保管したり、減圧状態で密閉することが望ましい。塩基性炭酸亜鉛は、加熱時にガラスの清澄にとって好ましくない水分を放出するため、清澄性を考慮しつつ、その使用量を少量とすることが好ましい。
 光学ガラスIが、Ba2+、Sr2+、Ca2+、Mg2+の少なくとも一種を含む場合、これらカチオン成分に対応して炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを使用することができる。しかし、後述する光学ガラスI−1のように、アルカリ土類金属成分の合計含有量が少ないもしくはゼロのガラスでは、これらアルカリ土類金属の炭酸塩の使用量が制限される。
 La3+を含む光学ガラスIでは、炭酸ランタンを使用することができる。光学ガラスIにおいて好ましい態様は、後述するようにLa3+を含む。こうしたガラスでは炭酸ランタンを使用することができる。炭酸ランタンは、硫酸塩と組合せて使用することによりきわめて優れた清澄性を得ることができ、屈折率変動も抑制することができる炭酸塩である。
 なお、Liを含む光学ガラスIを製造する場合、ガラス原料中の炭酸塩として炭酸リチウムを用いることができる。この場合、ガラス原料中に含まれるCOに換算した炭素の量(外割、質量%)は、炭酸リチウムとしてガラス中に導入するLiOの量(質量%)に14728を乗じたものである。
 質量aの光学ガラスIを得るためのガラス原料中に導入するイオウの量は、清澄作用を高める上から、SOに換算して0.05×10−2×a以上(外割で0.05質量%以上)とすることが好ましく、硫酸塩の過剰添加による熔融ガラスの吹きこぼれを防止し、ガラスの着色増大を抑制する上から、SOに換算して10×10−2×a以下(外割で10質量%以下)とすることが好ましい。
 さらに、後述する光学ガラスI、光学ガラスIの各々について、ガラス原料中に導入するイオウの量に好ましい範囲がある。光学ガラスIについて、前記イオウの量は、SOに換算して0.07×10−2×a以上(外割で0.07質量%以上)とすることが好ましく、6×10−2×a以下(外割で6質量%以下)とすることがより好ましく、5×10−2×a以下(外割で5質量%以下)とすることがさらに好ましく、3×10−2×a以下(外割で3質量%以下)とすることが一層好ましく、2×10−2×a以下(外割で2質量%以下)とすることがより一層好ましく、1×10−2×a以下(外割で1質量%以下)とすることがさらに一層好ましく、0.5×10−2×a以下(外割で0.5質量%以下)とすることがなお一層好ましい。
 光学ガラスIについて、前記イオウの量は、SOに換算して0.07×10−2×a以上(外割で0.05質量%以上)とすることが好ましく、0.1×10−2×a以上(外割で0.1質量%以上)とすることがより好ましく、0.2×10−2×a以上(外割で0.2質量%以上)とすることがさらに好ましく、0.3×10−2×a以上(外割で0.3質量%以上)とすることが一層好ましく、6×10−2×a以下(外割で6質量%以下)とすることがより好ましく、5×10−2×a以下(外割で5質量%以下)とすることがさらに好ましく、3×10−2×a以下(外割で3質量%以下)とすることが一層好ましく、2×10−2×a以下(外割で2質量%以下)とすることがより一層好ましく、1×10−2×a以下(外割で1質量%以下)とすることがさらに一層好ましく、0.5×10−2×a以下(外割で0.5質量%以下)とすることがなお一層好ましい。
 ガラス原料に加える硫酸塩として好ましいものは、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムである。ガラス中に導入するカチオン成分の量を勘案して、上記炭酸塩のいずれか、あるいは、組合せを選択し、ガラス原料に加えればよい。
 光学ガラスIがZn2+を含む場合、清澄性を高め、原料として入手しやすい硫酸亜鉛を使用することが好ましい。
 光学ガラスIが、Ba2+、Sr2+、Ca2+、Mg2+の少なくとも一種を含む場合、これらカチオン成分に対応して硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムを使用することができる。しかし、後述する光学ガラスI−1のように、アルカリ土類金属成分の合計含有量が少ないもしくはゼロのガラスでは、これらアルカリ土類金属の硫酸塩の使用量が制限される。
 ガラス原料中の炭酸塩、硫酸塩はガラス原料の熔解過程で分解し、CO、SOを発生させる。CO、SOは溶存ガスとして熔融ガラス中に溶け込んだり、ガスとして熔融ガラス外へと排出される。熔融ガラス中に溶解したCO、SOは、熔融ガラスを清澄温度に昇温することにより、溶存ガスの溶解度が減少して熔融ガラス中で発泡し、清澄を促進する。清澄温度におけるCO、SOの溶解度はゼロではないので、熔融ガラス中に溶存するCO、SOの一部は、光学ガラスIに残存する。そのため、光学ガラスIには、少量ではあるが炭素およびイオウが含まれる。
 COに換算し、光学ガラスI中に含まれる炭素の量は、炭酸塩を使用せずに熔融、成形して得られる光学ガラスAに含まれる炭素の量よりも多く、ガラス原料中に含まれる炭素の量未満となる。
 また、SOに換算し、光学ガラスI中に含まれるイオウの量は、硫酸塩を使用せずに熔融、成形して得られる光学ガラスAに含まれるイオウの量よりも多く、ガラス原料中に含まれるイオウの量未満となる。
 より具体的には、COに換算した炭素の含有量は、各光学ガラスの清澄温度におけるCOの溶解度以下、SOに換算したイオウの含有量は、各光学ガラスの清澄温度におけるSOの溶解度以下となる。
 B3+は網目形成成分であり、ガラス安定性の維持に必要な必須成分であり、分散を低くするとともに、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度の上昇を抑える働きもある。B3+の含有量が12%未満になるとガラス安定性の維持が困難となり、ガラス製造中に失透しやすくなる。一方、65%を超えると屈折率が低下するため、B3+の含有量は12~65%とする。B3+の含有量の好ましい範囲は、12~62%の範囲であり、より好ましい範囲は、12~60%の範囲である。
 Si4+も網目形成成分であり、ガラス安定性の維持、熔融ガラスの成形に適した粘性の維持、化学的耐久性の改善などの効果を有するが、その含有量が20%を超えると、所望の屈折率、アッベ数を実現することが困難になったり、液相温度やガラス転移温度が上昇したり、ガラスの熔融性や耐失透性が悪化する。したがって、Si4+の含有量は0~20%とする。
 Ge4+は網目形成成分であり、屈折率を高める働きもするため、ガラス安定性を維持しつつ屈折率を高めることができる成分である。しかし、非常に高価な成分であるため、その含有量を0~6%とする。Ge4+の含有量の好ましい範囲は0~5%、より好ましい範囲は0~3%、さらに好ましい範囲は0~2%、一層好ましい範囲は0~1%であり、Ge4+を含有しないことがより一層好ましい。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+は高屈折率低分散特性を付与する成分である。La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量が15%未満であると、所望の高屈折率特性を実現することができず、50%を超えるとガラス安定性が低下したり、ガラスの熔融温度が上昇し、熔融ガラスの侵蝕性が高まり、熔融容器を構成する白金や白金合金など耐熱性材料が侵蝕され、白金イオンがガラスに溶け込みガラスを着色させたり、異物となってガラスの品質を低下してしまう。また、熔融温度が上昇すると、熔融ガラスからホウ酸などの揮発しやすい成分が揮発して、これら成分の含有量が減少するため、光学特性、特に屈折率が時間とともに変動するなどの問題が生じる。こうした問題を回避するため、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量を15~50%とする。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+のうち、Sc3+、Lu3+は高価な成分であり、導入効果も低いので、Sc3+、Lu3+を導入しないこと、すなわち、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量を15~50%とすることが好ましい。次に、Yb3+もSc3+、Lu3+ほどではないが、高価な成分であり、導入効果も低いので、Yb3+を導入しないこと、すなわち、La3+、Gd3+およびY3+の合計含有量を15~50%とすることがより好ましい。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+のうち、La3+は、比較的多量に導入してもガラス安定性を低下させにくい成分である。また、高屈折率付与成分の中にあって、ガラスを着色させにくい成分でもあるため、La3+の含有量を9%以上とすることが好ましい。一方、その含有量が40%を超えるとガラス安定性が低下したり、熔融温度が上昇し、熔融ガラスの侵蝕性が高まり、前記不都合が生じるおそれが高まる。したがって、La3+の含有量は9~40%とすることが好ましい。
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+は、屈折率を高める働きをするとともに、分散を高める働きもする。La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+のみで屈折率を高めると、ガラスの安定性が低下するため、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+の少なくとも一種以上の成分を含有させることが必要である。一方、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+を過剰に導入すると、ガラスの安定性が低下する、分散が大きくなりすぎるなどの問題が生じる。こうした理由から、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+の合計含有量を4~54%とする。
 Zn2+は、ガラスの熔融性、耐失透性を改善し、液相温度やガラス転移温度を低下させる働きを有し、ガラスの生産性、成形性の向上、着色の抑制に有効な成分である。また、光学特性の高屈折率低分散化を図る際に有用な成分であるが、その含有量が24%を超えると屈折率が低下したり、ガラスの化学的耐久性が低下するため、Zn2+の含有量を0~35%とする。ガラスの熔融性、清澄性を一段と改善する上から、Zn2+の含有量を0.1以上とすることが好ましい。Zn2+の含有量の好ましい上限は33%、より好ましい上限は30%、さらに好ましい上限は28%、一層好ましい上限は26%、より一層好ましい上限は24%である。
 Li、Na、Kは、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きをする任意成分である。Li、NaおよびKの合計含有量が9%を超えると所望の屈折率を実現するのが困難になり、化学的耐久性も低下する。したがって、Li、NaおよびKの合計含有量を0~9%とする。なお、アルカリ金属としてRb、Csは高価な成分である上に、Li、Na、Kと比較して導入効果も乏しい。したがって、Rb、Csを含有させないことが好ましい。
 Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+は、ガラスの熔融性や可視域における光線透過率を改善する働きをする。また、炭酸塩や硝酸塩の形でガラスに導入することにより、脱泡効果も得られる。しかし、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が15%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化するほか、屈折率が低下し、化学的耐久性も悪化してしまう。したがって、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を0~15%とする。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+のうち、屈折率を高める上で最も有利な成分はBa2+である。したがって、Ba2+の含有量を0~15%とすることが好ましい。
 なお、アルカリ金属土類であるBe2+は毒性が強く、Ra2+は放射性物質であることから、Be2+、Ra2+を含有させないことが好ましい。
 なお、B3+、Si4+、Ge4+、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi4+、Zn2+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量は99%以上とする。前記成分以外の成分を1%を超えて導入すると、高屈折率を維持しつつ、ガラスの安定性を良好に維持することが難しくなる。高屈折率かつ優れたガラス安定性を付与する上から、上記合計含有量を99.2%以上にすることが好ましく、99.5%以上にすることがより好ましく、99.8%以上にすることがより好ましく、100%にすることが一層好ましい。
 光学ガラスIは、ガラス安定性を維持しつつ高屈折率低分散の光学特性を実現しており、高価なHfを含有させることを必要としない。Hf4+の含有量を0~4%の範囲に抑えることが好ましく、0~2%の範囲に抑えることがより好ましく、0~1%の範囲に抑えることがさらに好ましく、0~0.5%に抑えることが一層好ましく、Hf4+を導入しないこと特に好ましい。
 光学ガラスIにおいて、環境影響への負担を軽減する上から、As、Pb、Cd、Cr、U、Th、Teも導入、添加しないことが望ましい。
 また、着色の少ないガラスを得る上から、Fe、Cu、Co、Nd、V、Niも導入、添加しないことが望ましい。
 光学ガラスIは酸化物ガラスであって、アニオン成分としては、O2−が占める割合が95アニオン%以上、好ましくは97アニオン成分以上、より好ましくは98アニオン%以上、さらに好ましくは99アニオン%以上、一層好ましくは99.3アニオン%以上、より一層好ましくは99.5アニオン%以上、さらに一層好ましくは99.7アニオン%以上、なお一層好ましくは99.8アニオン%以上、さらになお一層好ましくは99.9アニオン%以上、特に好ましくは100アニオン%である。O2−以外に導入されるアニオン成分としては、F、Cl、Br、Iなどがある。
 このように光学ガラスIは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の総量およびZn2+の含有量が制限されており、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi4+といった高屈折率付与成分の総量が多いため、光学ガラス全般と比べ、熔融温度が高い、あるいは清澄に適したガラスの粘度が低いという性質を有する。
 こうした理由により、光学ガラスIは熔融ガラス中に存在する泡が浮上しにくく、泡切れが悪いガラスであるにもかかわらず、本発明のガラスの製造方法によれば、炭酸塩と硫酸塩が共存する状態でガラスを熔融することにより、泡切れの優れたガラスの製造方法を提供することができる。また、本発明のガラスの製造方法によれば、比較的短時間で十分な清澄を行うことができるので、白金などの熔融容器やガラスを流すためのパイプを構成する耐熱性材料が熔融ガラスにより侵蝕され、ガラスが着色したり、白金異物が混入したりするのを防ぐことができる。
 図1、図4、図7より明らかなように、炭酸塩と硫酸塩が共存しない状態でSnOを添加しても清澄効果の改善は小さい。そのため、SnOの添加量は少量もしくはゼロとすればよい。具体的には、SnOの添加量を外割りで0~2質量%とすることが好ましく、0~1質量%とすることがより好ましい。SnOを添加しなくてもよい。
 図1、図5、図7より明らかなように、Sbの添加による清澄効果の改善は小さい。そして、Sbの添加により、ガラスの着色が増大してしまうことがあることから、Sbの添加量を少量もしくはゼロにすることが望ましい。具体的には、Sbの添加量を外割りで0~0.1質量%とすることが好ましく、0~0.05質量%とすることがより好ましく、0~0.04質量%とすることが好ましく、0~0.03質量%とすることがさらに好ましく、0~0.01質量%とすることがさらに好ましく、0~0.008質量%とすることが一層好ましく、添加しないことが特に好ましい。
 屈折率の高い光学ガラスからなる光学素子を用いて撮像光学系や投射光学系を構成することにより光学系をコンパクト化することができる。また、屈折率の高い光学ガラスでレンズを作製することにより、同じパワー(焦点距離の逆数)のレンズで、光学機能面の曲率半径の絶対値を大きくすることができるので、研磨によりレンズを作製する場合でも、精密プレス成形でレンズを作製する場合でも、レンズの生産性を改善することもできる。こうした観点から、屈折率の高い光学ガラスが望まれるが、光学ガラスIの好ましいガラスにおいて、屈折率ndが1.78以上、アッベ数νdが46以下の光学特性を得ることができる。
 ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIにおけるガラス原料を熔融、ガラス化する容器、ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIにおける熔融ガラスを清澄する容器、清澄後のガラスを均質化する容器、ガラスの製法IIにおけるカレット原料を熔融する容器、各容器を連結するパイプ、ガラスを流出するパイプ、熔融ガラスを攪拌する攪拌棒など、ガラス熔融物が接触する器具、装置は、耐熱性およびガラス熔融物に対する耐侵蝕性、加工性の観点から、白金または白金合金製とすることが好ましい。
 本発明によれば、優れた清澄性を実現することができるので、熔融時間、清澄時間を長くしたり、熔融温度や清澄温度を高温にしなくても良好な泡切れが得られるため、熔融または清澄の少なくとも一方の工程を白金または白金合金製容器を用いて行っても、侵蝕された白金がガラスに溶け込み、ガラスの着色を増大させることがなく、高品質の光学ガラスを得ることができる。
 次に光学ガラスIの好ましい態様について説明する。
 [光学ガラスI
 光学ガラスIは、光学ガラスIと光学ガラスIとに大別することができる。光学ガラスIは、屈折率を高めることを優先する光学ガラスであり、光学ガラスIは、精密プレス成形性を改善するため、ガラス転移温度の低下を優先する光学ガラスである。
 以下、光学ガラスIについて説明する。
 光学ガラスIは、カチオン%表示で、
 B3+を12~65%、
 Si4+を0~20%、
 Ge4+を0~6%、
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
 Zn2+を0~9%、
 Li、NaおよびKを合計で0~5%、
 Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
 を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 光学ガラスIは、光学ガラスIにおいて、Zn2+の含有量の上限およびLi、NaおよびKの合計含有量の上限が低く抑え、より屈折率の高いガラスを得るのに好適な組成範囲としている。B3+の含有量は、光学ガラスIとど羽陽、12~65%であるが、B3+の含有量の好ましい上限は62%、より好ましい上限は60%である。
 光学ガラスIにおいて、屈折率を高める上から、Li、NaおよびKの合計含有量を0~5%とする。より一層屈折率を高める上から、Li、NaおよびKの合計含有量0~4%とすることが好ましく、0~3%とすることがより好ましく、0~2%とすることがさらに好ましく、0~1%とすることが一層好ましく、0~0.5%とすることがより一層好ましく、0~0.4%とすることがなお一層好ましく、アルカリ金属を含有させないことが特に好ましい。
 Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、0~15%とする。
 La3+は、ガラスの安定性を損なうことなく、比較的多量に含有させることができる成分であり、優れたガラス安定性を維持しつつ、屈折率を高める上から、La3+の含有量を13%以上とすることが好ましが、40%を超えるとガラス安定性が低下する傾向を示すため、La3+の含有量を13~40%とすることが好ましく、15~33%とすることがより好ましい。また、La3+の含有量を上記範囲にすることにより化学的耐久性を改善することもできる。
 Gd3+は、屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、12%を超えるとガラス安定性が低下する傾向を示すので、Gd3+の含有量を0~12%の範囲とすることが好ましく、0~10%の範囲とすることがより好ましく、0~9%の範囲とすることがさらに好ましい。
 Y3+も屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、10%を超えるとガラス安定性が低下する傾向を示すので、Y3+の含有量を0~10%の範囲とすることが好ましく、0~8%の範囲とすることがより好ましく、0~7%の範囲とすることがさらに好ましい。
 Yb3+も屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、5%を超えるとガラス安定性が低下する傾向を示すので、Yb3+の含有量を0~5%の範囲とすることが好ましく、0~3%の範囲とすることがより好ましく、0~2%の範囲とすることがさらに好ましい。
 Sc3+も屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、高価な成分であり、その導入効果も上記成分と比較して優れているものではないことから、Sc3+の含有量を0~3%とすることが好ましく、0~1%とすることがより好ましく、0~1%とすることがさらに好ましく、0~0.5%とすることが一層好ましく、含有させないことがより一層好ましい。
 Lu3+も屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、高価な成分であり、その導入効果も上記成分と比較して優れているものではないことから、Lu3+の含有量を0~3%とすることが好ましく、0~1%とすることがより好ましく、0~1%とすることがさらに好ましく、0~0.5%とすることが一層好ましく、含有させないことがより一層好ましい。
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+も、屈折率を高める働きを有する成分であるが、La3+、Gd3+、Y3+、Sc3+、Lu3+と比べ、分散も大きくする働きがある。また、La3+、Gd3+、Y3+、Sc3+、Lu3+のうち少なくとも一種の成分と、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+のうち少なくとも一種の成分とを共存させることにより、ガラス安定性を改善することもできる。
 Ta5+は、屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、15%を超えて含有させるとガラス安定性が低下する傾向を示すため、Ta5+の含有量を0~15%とすることが好ましく、0~13%とすることがより好ましく、0~12%とすることがさらに好ましい。
 Zr4+も、屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、12%を超えて含有させるとガラス安定性が低下する傾向を示すため、Zr4+の含有量を0~12%とすることが好ましく、0~10%とすることがより好ましく、0~9%とすることがさらに好ましい。
 Ti4+も、屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、44%を超えて含有させるとガラス安定性が低下する傾向を示すとともにガラスの着色も増大する傾向を示すため、Ti4+の含有量を0~44%とすることが好ましく、0~42%とすることがより好ましく、0~40%とすることがさらに好ましい。前述のように、酸化スズの添加による清澄効果に比べ、本発明の清澄効果は、格段優れたものであるが、特にTi4+を含有するガラスについては、酸化スズの添加によって清澄性が改善されない場合があるのに対し、本発明によれば、Ti4+含有ガラスにおいても優れた清澄効果を得ることができる。こうした観点から、上記各範囲において、Ti4+の含有量の好ましい範囲は0.5%以上、より好ましい範囲は1%以上、さらに好ましい範囲は2%以上、一層好ましい範囲は3%以上である。
 Nb5+も、屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、16%を超えて含有させるとガラス安定性が低下する傾向を示すため、Nb5+の含有量を0~16%とすることが好ましく、0~14%とすることがより好ましく、0~13%とすることがさらに好ましい。
 W6+も、屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、7%を超えて含有させるとガラス安定性が低下する傾向を示すとともに、ガラスの着色が増大するため、W6+の含有量を0~7%とすることが好ましく、0~5%とすることがより好ましく、0~3%とすることがさらに好ましく、0~2%とすることが一層好ましく、0~1%とすることがより一層好ましい。
 Bi3+も屈折率を高めるとともに化学的耐久性を改善する働きを有する成分であるが、7%を超えて含有させるとガラス安定性が低下する傾向を示す、ガラスの着色が増大するため、Bi3+の含有量を0~7%とすることが好ましく、0~5%とすることがより好ましく、0~3%とすることがさらに好ましく、0~1%とすることが一層好ましい。
 光学ガラスIは、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が7%以下のガラスと、7%を超えるガラス、すなわち、光学ガラスI−1と上記合計含有量が7%を超える光学ガラスI−2に大別することができる。
 なお、光学ガラスIにおいて、ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIにおける熔融温度の好ましい範囲は1200~1480℃、より好ましい範囲は1230~1450℃、さらに好ましい範囲は1240~1350℃であり、清澄温度の好ましい範囲は1200~1500℃、より好ましい範囲は1210~1480℃であり、流出温度の好ましい範囲は1050~1250℃、より好ましい範囲は1100~1250℃、さらに好ましい範囲は1160~1250℃である。
 光学ガラスIにおいて、未ガラス化原料の熔融温度の好ましい範囲は1200~1480℃、より好ましい範囲は1230~1450℃、さらに好ましい範囲は1250~1350℃である。
[光学ガラスI−1]
 光学ガラスI−1は、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が0~7%、好ましくはBa2+の含有量が0~7%である。すなわち、光学ガラスI−1は、カチオン%表示で、
3+を12~65%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
Zn2+を0~9%、
Li、NaおよびKを合計で0~5%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~7%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 光学ガラスI−1は、高屈折率であって比較的分散が低い領域、例えば、アッベ数νdが28以上の範囲でより高屈折率化を図る場合に好適なガラスである。
 次に、光学ガラスI−1における組成範囲の限定理由について説明する。
 B3+の含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、12~65%とする。B3+の含有量の好ましい上限は62%、より好ましい上限は60%である。低分散性を維持しつつ、屈折率を高める場合は、B3+の含有量を20~60%とすることが好ましく、25~36%とすることがより好ましく、29~36%とすることがさらに好ましく、30~36%とすることが一層好ましい。一方、低分散化よりも一層の高屈折率化を優先する場合は、B3+の含有量を12~35%とすることが好ましく、20~35%とすることがより好ましく、20~30%とすることがさらに好ましく、21~28%とすることが一層好ましい。
 Si4+の含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、0~20%とする。Si4+の含有量の好ましい範囲は6~16%である。低分散性を維持しつつ、屈折率を高める場合は、Si4+の含有量を8~14%とすることが好ましい。低分散化よりも一層の高屈折率化を優先する場合は、Si4+の含有量を6~11%とすることが好ましい。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、15~50%とすることが好ましく、15~40%とすることがより好ましく、20~40%とすることがさらに好ましく、 30~40%とすることが一層好ましい。低分散性を維持しつつ、屈折率を高める場合は、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量を31~36%とすることが好ましく、低分散化よりも一層の高屈折率化を優先する場合は、27~40%とすることが好ましく、27~39%とることがより好ましく、30~39%とすることがさらに好ましく、34~39%とすることが一層好ましい。
 La3+は、分散を増加させずに屈折率を高める働きを有し、比較的多量に含有させてもガラス安定性が維持できる成分であることから、La3+の含有量を13~40%とすることが好ましく、15~33%とすることがより好ましい。低分散性を維持しつつ、屈折率を高める場合は、La3+の含有量を20~30%とすることが好ましく、低分散化よりも一層の高屈折率化を優先する場合は、La3+の含有量を15~32%とすることが好ましく、23~32%とすることがより好ましく、27~32%とすることがさらに好ましい。
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、4~40%とする。Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量の好ましい範囲は8~40%、より好ましい範囲は8~30%である。低分散性を維持しつつ、屈折率を高める場合は、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量を10~20%とすることが好ましく、14~19%とすることがより好ましい。低分散化よりも一層の高屈折率化を優先する場合は、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量を10~30%とすることが好ましく、14~30%とすることがより好ましく、20~30%とすることがさらに好ましく、22~29%とすることが一層好ましく、24~29%とすることがより一層好ましい。
 Zn2+は、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きを有するものの、過剰の導入により屈折率が低下するため、ガラス転移温度の低下よりも高屈折率化を優先する光学ガラスI−1においては、その含有量を0.1~9%とし、好ましくは1~9%とする。低分散性を維持しつつ、屈折率を高める場合は、Zn2+の含有量を1~8%とすることが好ましく、3~8%とすることがより好ましい。低分散化よりも一層の高屈折率化を優先する場合は、Zn2+の含有量を0.5~8%とすることが好ましく、0.5~6%とすることがより好ましく、0.5~4%とすることがさらに好ましい。
 Li、NaおよびKの合計含有量とその好ましい範囲は、光学ガラスIと同様である。
 Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+は、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きを有するが、多量に含有させるとガラス安定性が低下する。光学ガラスI−1は低分散性を維持しつつ、屈折率を高めるガラスとして好ましいものであるが、高屈折率ガラスでは、分散が低いほうが、ガラスの安定性を良好に維持することが難しい傾向がある。そのため、低分散性維持の制約がある光学ガラスI−1では、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を0~7%に制限する。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量の好ましい範囲は、0~5%、より好ましい範囲は0~3%、さらに好ましい範囲は0~1%、一層好ましくはゼロとする。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+のうち、高屈折率化に最も効果がある成分はBa2+であるから、Ba2+の含有量を0~7%の範囲にすることが好ましく、0~5%の範囲にすることがより好ましく、0~3%の範囲にすることがさらに好ましく、0~1%の範囲にすることが一層好ましく、ゼロにすることがより一層好ましい。
<光学ガラスI−1−a>
 光学ガラスI−1において、低分散性を維持しつつ、屈折率を高める場合に特に好適な上記光学ガラス(以下、光学ガラスI−1−aという。)は、カチオン%表示にて、
3+を20~60%、
Si4+を8~14%、
Ge4+を0~1%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で31~36%
(ただし、La3+の含有量が20~30%)、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で14~19%、
Zn2+を3~8%、
Li、NaおよびKを0~1%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~1%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 上記組成範囲において、Ge4+、Yb3+、Sc3+、Lu3+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+を含有しないガラスが好ましい。また、上記組成範囲において、B3+の含有量の好ましい範囲は25~36%、より好ましい範囲は29~36%、さらに好ましい範囲は30~36%、一層好ましい範囲は33~36%である。さらに、La3+の含有量の好ましい範囲は23~28%である。
 光学ガラスI−1−aにおいて、ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIのガラスの熔融温度の好ましい範囲は1270~1320℃、清澄温度の好ましい範囲は1300~1380℃、流出温度の好ましい範囲は1160~1190℃である。また、ガラスの製法IIにおいて、未ガラス化原料の熔融温度の好ましい範囲は1270~1320℃である。
 光学ガラスI−1−aにおいて、屈折率ndは1.89~2.0であることが好ましい。屈折率が高いほうが、同じ焦点距離のレンズを作製するにしても、レンズ面のカーブを緩くする(曲率半径の絶対値を大きくする)ことができ、レンズの作製が容易になる、あるいは収差の補正が容易になるなどの効果を得ることができる。また、複数のレンズを組み合わせて撮像光学系や投射光学系を構成する場合、光学系をコンパクトにすることもできる。さらに撮像光学系や投射光学系などの光学系において、光路長を短縮化するため、プリズムを用いて光路を折り曲げる際、プリズムを構成するガラスの屈折率が高いほうが光路長を短縮化する上で有効である。また、撮像光学系においては画角を大きくすることができる。こうした理由から屈折率ndの好ましい下限を上記のように定める。一方、屈折率を過度に高めるとガラス安定性が低下し、ガラスの製造が困難になる傾向を示すため、屈折率ndの好ましい上限を上記のように定める。屈折率ndのより好ましい下限は1.892、さらに好ましい下限は1.894、一層好ましい下限は1.895、より一層好ましい下限は1.90であり、より好ましい上限は1.98、さらに好ましい上限は1.95、一層好ましい上限は1.94、より一層好ましい上限は1.93である。
 光学ガラスI−1−aにおいて、アッベ数νdは32~38であることが好ましい。光学ガラスI−1−aからなるレンズと高屈折率高分散ガラス製レンズとを組み合わせることによりコンパクトな色収差補正光学系を得ることができるが、こうした色収差補正光学系では、光学ガラスI−1−aのアッベ数と高屈折率高分散ガラスのアッベ数の差が大きいほうが、コンパクトかつ良好な色収差補正を実現する上で有利になる。こうした理由からアッベ数νdの好ましい下限を上記値とする。一方、高屈折率を維持しつつ過度な低分散化を行うと、ガラス安定性や熔融ガラス成形性が低下し、ガラスの製造が困難になる。したがって、アッベ数νdの好ましい上限を上記値とする。アッベ数νdのより好ましい下限は32.5、さらに好ましい下限は33.0、一層好ましい下限は33.5、より一層好ましい下限は34.0、さらに一層好ましい下限は34.5であり、アッベ数νdのより好ましい上限は37.9、さらに好ましい上限は37.8、一層好ましい上限は37.7である。
 また、アッベ数νdが小さいガラス、すなわち分散が高いガラスのほうが、安定性や熔融ガラス成形時の粘性を維持しつつ、屈折率を高めやすい。しかし、上記光学特性の範囲内で、高屈折率低分散化してもガラス安定性や熔融ガラス成形性が維持されるため、光学設計上、特に有用な光学特性を実現することができる。こうした観点から、下記(1)式を満たす光学特性を有する光学ガラスが好ましく、下記(2)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがより好ましく、下記(3)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがさらに好ましく、下記(4)式を満たす光学特性を有する光学ガラスが一層好ましく、下記(5)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがより一層好ましく、下記(6)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがなお一層好ましい。
 nd≧2.54−0.02×νd             ・・・ (1)
 nd≧2.55−0.02×νd             ・・・ (2)
 nd≧2.56−0.02×νd             ・・・ (3)
 nd≧2.57−0.02×νd             ・・・ (4)
 nd≧2.58−0.02×νd             ・・・ (5)
 nd≧2.59−0.02×νd             ・・・ (6)
 ここで、(1)式~(6)式で定められる各範囲と屈折率ndの好ましい下限を組み合わせると、本発明の範囲において、
 nd≧2.54−0.02×νd (ただし、νd>32.5) かつ
 nd≧1.89          (ただし、νd≦32.5)
で定められる範囲が好ましく、
 nd≧2.55−0.02×νd (ただし、νd>33.0) かつ
 nd≧1.89          (ただし、νd≦33.0)
で定められる範囲がより好ましく、
 nd≧2.56−0.02×νd (ただし、νd>33.5) かつ
 nd≧1.89          (ただし、νd≦33.5)
で定められる範囲がさらに好ましく、
 nd≧2.57−0.02×νd (ただし、νd>34.0) かつ
 nd≧1.89          (ただし、νd≦34.0)
で定められる範囲が一層好ましく、
 nd≧2.58−0.02×νd (ただし、νd>34.5) かつ
 nd≧1.89          (ただし、νd≦34.5)
で定められる範囲がより一層好ましく、
 nd≧2.59−0.02×νd (ただし、νd>35.0) かつ
 nd≧1.89          (ただし、νd≦35.0)
で定められる範囲がなお一層好ましい。
 上記の例は、屈折率ndが1.89以上、かつ(1)式~(6)式が成り立つ範囲であるが、屈折率ndが1.892以上かつ(1)式~(6)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.894以上かつ(1)式~(6)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.895以上かつ(1)式~(6)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.90以上かつ(1)式~(6)式が成り立つ範囲も各々、同様に定義することができる。
 一方、より一層優れたガラス安定性を実現する上から、下記(7)式を満たす光学特性を有する光学ガラスが好ましく、下記(8)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがより好ましく、下記(9)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがさらに好ましい。
 nd≦2.69−0.02×νd             ・・・ (7)
 nd≦2.68−0.02×νd             ・・・ (8)
 nd≦2.67−0.02×νd             ・・・ (9)
 ここで、(7)式~(9)式で定められる各範囲と屈折率ndの好ましい上限を組み合わせると、本発明の範囲において、
 nd≦2.69−0.02×νd (ただし、νd>34.5) かつ
 nd≦2.0          (ただし、νd≦34.5)
で定められる範囲が好ましく、
 nd≦2.68−0.02×νd (ただし、νd>34.0) かつ
 nd≦2.0          (ただし、νd≦34.0)
で定められる範囲がより好ましく、
 nd≦2.67−0.02×νd (ただし、νd>33.5) かつ
 nd≦2.0          (ただし、νd≦33.5)
で定められる範囲がさらに好ましい。
 上記の例は、屈折率ndが2.0以下、かつ(7)式~(9)式が成り立つ範囲であるが、屈折率ndが1.98以下かつ(7)式~(9)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.95以下かつ(7)式~(9)式が成り立つ範囲、屈折率ndが 以下かつ(7)式~(9)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.94以下かつ(7)式~(9)式が成り立つ範囲も各々、同様に定義することができる。
(ガラスの着色)
 光学ガラスI−1−aの着色度λ70は430nm以下である。着色度λ70は、互いに平行で、光学研磨された2つの対向する平面を有する厚さ10±0.1mmのガラスを用い、280nmから700nmまでの波長域での分光透過率を測定し、透過率70%を示す波長に相当する。ここで、分光透過率あるいは透過率とは、ガラスの上記表面に対して垂直に強度Iinの光を入射し、ガラスを透過して一方の平面から強度Ioutの光が出射する場合において、Iout/Iinによって表される量であり、ガラスの上記平面における表面反射損失も含まれた透過率である。
 表面反射損失はガラスの屈折率が高いほど大きくなる。そのため、高屈折率ガラスにおいてλ70が小さいということは、ガラス自体の着色が極めて少ないことを意味する。λ70を430nm以下にすることにより、カラーバランスの優れた撮像光学系あるいは投射光学系を構成する光学素子を提供することができる。撮像光学系あるいは投射光学系では、諸々の収差を補正するため、複数枚のレンズを用いる。そのため、着色したガラスからなるレンズを用いると光学系全体の透過光量が低下してしまうという問題がある。特に一眼レフカメラの交換レンズでは、口径が大きいことからレンズの肉厚が厚く、着色したガラスを用いると透過光量の低下が著しくなる。本発明の光学ガラスを用いてレンズを作製すれば、高屈折率低分散ガラスでありながら着色が極めて少ないため、レンズ1枚としても光学系全体としても透過光量を十分確保することができる。さらに、着色の少ないことと、高屈折率低分散性を備えることがあいまって、撮像光学系や投射光学系をコンパクトにすることもできる。こうしたことから、光学ガラスIは、撮像光学系や投射光学系を構成する光学素子材料として好適であり、特に一眼レフカメラの交換レンズを構成する光学素子用材料として好適である。
 こうした要求に応えるためには、λ70が上記範囲のある光学ガラスが必要であるが、さらに、本発明の光学ガラスにおいて、好ましい着色度の範囲はλ70が425nm以下の範囲であり、より好ましい着色度の範囲はλ70が420nm以下の範囲であり、さらに好ましい着色度の範囲はλ70が415nm以下の範囲であり、一層好ましい着色度の範囲はλ70が410nm以下の範囲であり、より一層好ましい着色度の範囲はλ70が405nm以下の範囲である。なお、λ70の下限は、屈折率などのガラスの特性や組成によって自ずと定まる。
 なお、λ70以外の着色度としてはλ80、λ5もある。λ80は透過率80%を示す波長、λ5は透過率5%を示す波長である。
(液相温度におけるガラスの粘性)
 高屈折率ガラス、特に高屈折率低分散ガラスは、熔融ガラス成形時の失透を防止するため、全般的に熔融ガラス流出、成形時の温度を高くする。そのため、流出、成形時の粘性が非常に低く、高品質のガラスを高い生産性のもとに製造することが難しい。
 例えば、ガラス流出温度が高いと、高温のガラス表面から特定の揮発しやすいガラス成分が揮発してガラス表面が変質する。その結果、ガラス表面に脈理と呼ばれる光学的に不均質な部分ができてしまう。また、流出、成形時の粘性が低いと流出したガラスの表面が内部に巻き込まれ、ガラス内部に脈理が生じてしまう。また、流出時の温度が高いと高温のガラスと接触する鋳型が熱的に劣化、消耗しやすくなる。
 高屈折率低分散ガラスにおいて、液相温度における粘性を確保できれば、熔融ガラスの成形性を改善することができ、高品質のガラスを高い生産性のもとに供給することができる。また、液相温度の上昇抑制も高品質ガラスの生産性向上にとって有利に働く。
 こうした理由から、光学ガラスI−1−aにおいて、液相温度における粘度が1dPa・s以上の光学ガラスであることが好ましい。前記粘性特性を付与することにより、高屈折率低分散ガラスの熔融ガラス成形性を飛躍的に改善することができる。上記成形性を一層改善する上から、液相温度における粘度を1.2dPa・s以上とすることが好ましく、1.4dPa・s以上とすることがより好ましく、1.6dPa・s以上とすることがさらに好ましく、2.0dPa・s以上とすることが一層好ましく、2.5dPa・s以上とすることが一層好ましい。液相温度における粘度の上限は上記ガラス組成範囲から自ずと制限されるが、目安として30dPa・s以下と考えればよい。
 また、前述の観点から光学ガラスI−1−aにおいて、液相温度を1300℃以下にすることが好ましく、1280℃以下にすることがより好ましく、1250℃以下にすることがさらに好ましい。液相温度の下限もガラス組成から自ずと制限されるが、目安として1000℃以上と考えればよい。
(ガラス転移温度)
 光学ガラスI−1−aは、複数の高屈折率付与成分をバランスよく導入し、特定の高屈折率付与成分の含有量が突出して多くならないようにしている。また、ZnOを必須成分として導入しているため、高屈折率低分散ガラスとしてはガラス転移温度を低く抑えることができる。
 光学ガラスI−1−aにおいてガラス転移温度の好ましい範囲は710℃以下、より好ましい範囲は700℃以下、さらに好ましい範囲は695℃以下である。ガラス転移温度を低く抑えることにより、ガラスのアニール温度の上昇を抑えることができ、アニール設備の熱的劣化、消耗を抑制することができる。また、ガラスを再加熱、軟化してプレス成形する際の加熱温度も低く抑えることができるため、プレス成形型などのプレス成形設備の熱的劣化、消耗を抑制することができる。アニール炉やアニール炉内でガラスを移動する装置、プレス成形装置などにはステンレス鋼が用いられる場合が多い。ステンレス鋼の変形温度は700℃付近であるため、ガラス転移温度を上記範囲、特に700℃以下、好ましくは695℃以下に抑えることにより、上記各工程におけるステンレス鋼の変形を防止することができる。
 ガラス転移温度の下限はガラス組成から自ずと制限されるが、目安として650℃以上と考えればよい。
(再加熱時の耐失透性)
 光学ガラスI−1−aは、ガラスを再加熱して成形する際の耐失透性にも優れている。光学ガラスI−1−aの好ましいものでは、ガラス試料を600℃~800℃で、10分間ガラスを保持し(一次熱処理)、その後820℃~900℃に昇温し、当該温度にて10分間保持(二次熱処理)した後でもガラス内部に結晶の析出は認められない。図8は、後記する実施例1で得たガラスの一次熱処理および二次熱処理(再加熱)の温度とガラス内部に析出した結晶数密度の関係を示すものである。図8より、再加熱時の結晶数密度が極めて低く、耐失透性が極めて優れたガラスであることがわかる。なお、上記テストを行う場合、ガラス試料としては、切断、研磨により得たものが好ましく、例えば、大きさ15×15×15mmのものを用いることができる。なお、結晶析出の有無は、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で拡大観察することにより行うことができる。
 また、切断、バレルを施したガラス試料(試料重量=6.05g)を用いて、例えば図9に示す加熱スケジュールに従い、再加熱しプレス成形を行ったところ、プレス成形したガラスの内部に結晶の析出は確認されなかった。
 このように、本発明の光学ガラスは耐失透性に優れているため、高品質なプレス成形品を成形できるプレス成形用ガラス素材の材料として好適である。
<光学ガラスI−1−b>
 光学ガラスI−1において、屈折率を一層高める場合に特に好適な上記光学ガラス(以下、光学ガラスI−1−bという。)は、カチオン%表示で、
3+を12~35%、
Si4+を6~11%、
Ge4+を0~1%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で27~40%
(ただし、La3+の含有量が15~32%)、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Hb5+、W6+およびBi3+を合計で10~30%、
Zn2+を0.5~8%、
Li、NaおよびKを合計で0~1%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~5%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 上記組成範囲において、Ge4+、Yb3+、Sc3+、Lu3+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+を含有しないガラスが好ましい。
 光学ガラスI−1−bにおいて、ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIのガラスの熔融温度の好ましい範囲は1240~1300℃、清澄温度の好ましい範囲は1320~1400℃、流出温度の好ましい範囲は1175~1205℃である。また、ガラスの製法IIにおいて、未ガラス化原料の熔融温度の好ましい範囲は1240~1300℃である。
 光学ガラスI−1−bにおいて、屈折率ndの好ましい範囲は、1.92~2.2である。屈折率ndの好ましいより好ましい下限は1.930、さらに好ましい下限は1.935、一層好ましい下限は1.940であり、より好ましい上限は2.0、さらに好ましい上限は1.995、一層好ましい上限は1.990である。屈折率を高めることは、光学素子の高機能化、コンパクト化に有効であり、屈折率の上限を制限することは、ガラス安定性を高める上で有利である。
 光学ガラスI−1−bにおけるアッベ数νdの好ましい範囲は、25~45である。高分散ガラス製のレンズと組み合わせて色収差を補正する場合、アッベ数νdが大きいほうが有利である。こうした観点から、アッベ数νdのより好ましい下限は26、さらに好ましい下限は27、一層好ましい下限は28、より一層好ましい下限は29である。一方、アッベ数νdの上限を緩和することはガラス安定性を維持、向上させる上で有利に働く。こうした観点からアッベ数νdのより好ましい上限は43、さらに好ましい上限は40、一層好ましい上限は38、より一層好ましい上限は36、さらに一層好ましい上限は35である。
 光学ガラスI−1−bは、アッベ数νdを固定したとき、部分分散比が小さいガラスであるため、光学ガラスI−1−bからなるレンズなどの光学素子は、高次の色収差補正に好適である。
 ここで、部分分散比Pg,Fは、g線、F線、c線における各屈折率ng、nF、ncを用いて、(ng−nF)/(nF−nc)と表される。
 高次の色収差補正に好適な光学ガラスを提供する上から、光学ガラスIにおいて、部分分散比Pg,Fとアッベ数νdとが下記(10)式の関係を満たすものが好ましく、下記(11)式の関係を満たすものがより好ましく、下記(12)式の関係を満たすものがさらに好ましい。
 Pg,F≦−0.0017×νd+0.660      ・・・(10)
 Pg,F≦−0.0017×νd+0.655      ・・・(11)
 Pg,F≦−0.0017×νd+0.650      ・・・(12)
 次に、光学ガラスI−1−bの光線透過性について説明する。
 光学ガラスI−1−bは、可視域の広い波長域にわたり高い光線透過率を示す。光学ガラスI−1−bの好ましい態様では、λ70が470nm以下の着色度を示す。λ70のより好ましい範囲は465nm以下、さらに好ましい範囲は460nm以下、一層好ましい範囲は455nm以下、より一層好ましい範囲は450nm以下、さらに一層好ましい範囲は445nm以下、なお一層好ましい範囲は440nm以下である。
 光学ガラスI−1−bの好ましい態様において、λ70よりも長波長側の可視域では、光線透過率が70%を超える。λ5の好ましい範囲は380nm以下、より好ましい範囲は375nm以下、さらに好ましい範囲は365nm以下である。λ70、λ5の意味については、光学ガラスI−1−aについての説明において記載したとおりである。
 後述するように、光学ガラスI−1−bからなるレンズは、超低分散光学ガラスからなるレンズと組合せることにより、色収差補正能力に優れ、コンパクト、高機能な光学系を提供することができる。従来、色収差補正光学系で超低分散ガラス製レンズと組合わせとして、高屈折率高分散ガラス製レンズが使用されていたが、高屈折率高分散ガラスは、比較的多量のTi、Nb、Bi、Wなどの高屈折率高分散付与成分を含有させており、可視域の短波長側において十分高い光線透過率が得られない場合がある。超低分散ガラス製レンズと高屈折率高分散ガラス製レンズを組合わせた色収差補正光学系では、青色など可視域の短波長側の光に対し、高屈折率高分散ガラス製レンズの透過率が低下する分、光学系全体の可視光透過率が低下してしまう。高屈折率高分散ガラス製レンズに換えて、光学ガラスI−1−bからなるレンズを用いることにより、上記色収差補正光学系全体の可視域における光線透過率が十分確保される。
(光学ガラスI−1−bのガラス転移温度)
 光学ガラスI−1−bは、研削、研磨により平滑な光学機能面を形成するのに好適なガラスである。研削、研磨などの冷間加工の適性、すなわち冷間加工性は間接的ながらガラス転移温度と関連がある。ガラス転移温度が低いガラスは冷間加工性よりも精密プレス成形に好適であるのに対し、ガラス転移温度が高いガラスは精密プレス成形よりも冷間加工に好適であって、冷間加工性に優れる。したがって、光学ガラスI−1−bにおいてもガラス転移温度を過剰に低くしないことが好ましく、630℃よりも高くすることが好ましく、640℃以上にすることがより好ましく、660℃以上にすることがさらに好ましい。しかし、ガラス転移温度が高すぎるとガラスを再加熱、軟化して成形する際の加熱温度が高くなり、成形に使用する金型の劣化が著しくなったり、アニール温度も高温になり、アニール炉の劣化、消耗も著しくなる。したがって、ガラス転移温度は750℃以下とすることが好ましく、730℃以下にすることがより好ましく、710℃以下にすることがさらに好ましい。
<光学ガラスI−2>
 光学ガラスI−2は、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が7%を超え15%以下、好ましくはBa2+の含有量が7%を超え15%以下である。すなわち、光学ガラスI−2は、カチオン%表示で、
3+を20~60%、
Si4+を0~20%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~40%、
Zn2+を0~9%、
Li、NaおよびKを0~5%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で7%を超え15%以下、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 光学ガラスI−2は、低分散性の制限を課さずに屈折率を高めるガラスとして好ましいものであり、高屈折率ガラスでありながら、着色の極めて少ない光学ガラスを得ることができる。光学ガラスI−2において、アッベ数νdの好ましい範囲は34以下である。
 次に、光学ガラスI−2における組成範囲の限定理由について説明する。
 B3+の含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、20~60%とする。B3+の含有量の好ましい範囲は20~36%である
 Si4+の含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、0~20%とする。Si4+の含有量の好ましい範囲は6~16%である。
 Ge4+の含有量は、光学ガラスIと同様の理由により0~6%とする。Ge4+の含有量の好ましい範囲も光学ガラスIと同様の範囲である。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、15~50%とすることが好ましく、15~40%とすることがより好ましく、20~40%とすることがさらに好ましく、 30~40%とすることが一層好ましい。
 La3+は、分散を増加させずに屈折率を高める働きを有し、比較的多量に含有させてもガラス安定性が維持できる成分であることから、La3+の含有量を13~40%とすることが好ましく、15~33%とすることがより好ましい。
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量は、光学ガラスIと同様の理由により、4~40%とする。Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量の好ましい範囲は8~40%、より好ましい範囲は8~30%、さらに好ましい範囲は14~30%、一層好ましい範囲は10~20%、より一層好ましい範囲は14~19%である。
 Zn2+は、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きを有するものの、過剰の導入により屈折率が低下するため、ガラス転移温度の低下よりも高屈折率化を優先する光学ガラスI−2においては、その含有量を0~9%とし、好ましくは0.1~9%、さらに好ましくは0.1~9%とする。Zn2+の含有量の好ましい範囲は0.5~8%、より好ましい範囲は1~8%である。
 Li、NaおよびKの合計含有量とその好ましい範囲は、光学ガラスIと同様である。
 Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+は、ガラスの熔融性を改善し、ガラスの着色を低減、抑制する働きを有するが、多量に含有させるとガラス安定性が低下するため、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を7%を超え15%以下とする。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量の好ましい範囲は8~15%、より好ましい範囲は8~14%、さらに好ましい範囲は8~13%、一層好ましい範囲は9~12%である。
 なお、光学ガラスIは、光学ガラスIと比較し、B3+の含有量およびZn2+の含有量の上限が低く抑えられており、ガラスの熔融粘性が高いこと、熔融時の加熱、熱分解でガスを発生し、清澄効果を高める原料の使用量が限られることなどの理由から、炭酸塩と硫酸塩を共存させた状態でガラスを熔融する本発明のガラスの製造方法が極めて有効であり、光学ガラスIと比べて優れた清澄効果を得ることもできる。
 さらに光学ガラスI−1は、B3+の含有量およびZn2+の含有量の上限の制限に加え、Zn2+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+の合計含有量の上限も少量に制限されているため、ガラスの熔融粘性がより高く、熔融時の加熱、熱分解でガスを発生し、清澄効果を高める原料の使用量もより少量に限られることなどの理由から、炭酸塩と硫酸塩を共存させた状態でガラスを熔融する本発明のガラスの製造方法がより一層有効である。
 熔融ガラス中に含まれる直径50μmを超える泡は浮上しやすく、ガラス中に残留する泡として問題になるのは、直径50μm以下の泡である。したがって、泡の数のコントロールは、直径50μm以下の泡に注目して行えばよい。具体的には、光学顕微鏡でガラスを拡大観察し、泡の有無、個数を調べ、単位質量あたり含まれる泡の数密度に換算する。
 光学ガラスI、光学ガラスI−1、光学ガラスI−2によれば、ガラス中に含まれる直径50μm以下の泡を60個/kg以下、好ましくは50個/kg以下、より好ましくは40個/kg以下、さらに好ましくは30個/kg以下、一層好ましくは20個/kg以下、より一層好ましくは15個/kg以下、さらに一層好ましくは10個/kg以下、なお一層好ましくは7個/kg以下、特に好ましくは5個/kg以下、最も好ましくは0個/kgに抑えることができる。
<光学ガラスI
 光学ガラスIは、精密プレス成形性を改善するため、ガラス転移温度の低下を優先する光学ガラスである。
 以下、光学ガラスIについて説明する。
 光学ガラスIは、カチオン%表示で、
3+を25~62%、
Si4+を0~9%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で16~31%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~40%、
Zn2+を8~24%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~7%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 光学ガラスIにおいて、ガラス転移温度を低く維持しつつ、ガラス安定性も良好な状態に維持する上から、その光学特性を屈折率ndが1.78~1.90、アッベ数νdが36~46の範囲とすることが好ましい。
 光学ガラスIは、精密プレス成形用光学ガラスとして好適であり、ガラス転移温度が630℃以下となる低温軟化性を有する。
 次に光学ガラスIの組成範囲について詳説する。
 B3+は網目形成成分であり、ガラス安定性の維持に必要な必須成分であり、分散を低くするとともに、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度の上昇を抑える働きもある。B3+の含有量が25%未満になるとガラス安定性の維持が困難となり、ガラス製造中に失透しやすくなる。また、分散も大きくなる。一方、62%を超えると屈折率が低下するため、B3+の含有量は25~62%とする。B3+の含有量の好ましい下限は30%、より好ましい下限は36%であり、B3+の含有量の好ましい上限は60%、より好ましい上限は58%である。
 Si4+も網目形成成分であり、ガラス安定性の維持、熔融ガラスの成形に適した粘性の維持、化学的耐久性の改善などの効果を有するが、その含有量が9%を超えると、ガラス転移温度が上昇する。したがって、Si4+の含有量は0~9%とする。Si4+の含有量の好ましい範囲は0~8%である。
 Ge4+は網目形成成分であり、屈折率を高める働きもするため、ガラス安定性を維持しつつ屈折率を高めることができる成分である。しかし、非常に高価な成分であるため、その含有量を0~6%とする。Ge4+の含有量の好ましい範囲は0~5%、より好ましい範囲は0~3%、さらに好ましい範囲は0~2%、一層好ましい範囲は0~1%であり、Ge4+を含有しないことがより一層好ましい。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+は高屈折率低分散特性を付与する成分である。La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量が16%未満であると、所望の高屈折率特性を実現することができず、31%を超えるとガラス安定性が低下したり、ガラス転移温度やガラスの熔融温度が上昇し、精密プレス成形性が低下したり、熔融ガラスの侵蝕性が高まり、熔融容器を構成する白金や白金合金など耐熱性材料が侵蝕され、白金イオンがガラスに溶け込みガラスを着色させたり、異物となってガラスの品質を低下してしまう。また、熔融温度が上昇すると、熔融ガラスからホウ酸などの揮発しやすい成分が揮発して、これら成分の含有量が減少するため、光学特性、特に屈折率が時間とともに変動するなどの問題が生じる。こうした問題を回避するため、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量を16~31%とする。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+のうち、Sc3+、Lu3+は高価な成分であり、導入効果も低いので、Sc3+、Lu3+を導入しないこと、すなわち、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量を16~31%とすることが好ましい。次に、Yb3+もSc3+、Lu3+ほどではないが、高価な成分であり、導入効果も低いので、Yb3+を導入しないこと、すなわち、La3+、Gd3+およびY3+の合計含有量を16~31%とすることがより好ましい。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+のうち、La3+は、比較的多量に導入してもガラス安定性を低下させにくい成分である。また、高屈折率付与成分の中にあって、ガラスを着色させにくい成分でもあるため、La3+の含有量を9%以上とすることが好ましい。一方、その含有量が25%を超えるとガラス安定性が低下したり、熔融温度が上昇し、熔融ガラスの侵蝕性が高まり、前記不都合が生じるおそれが高まる。したがって、La3+の含有量は9~25%とすることが好ましい。
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+は、屈折率を高める働きをするとともに、分散を高める働きもする。La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+のみで屈折率を高めると、ガラスの安定性が低下するため、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+の少なくとも一種以上の成分を含有させることが必要である。一方、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+を過剰に導入すると、ガラスの安定性が低下する、分散が大きくなりすぎるなどの問題が生じる。こうした理由から、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi4+の合計含有量を4~40%とする。
 Zn2+は、ガラスの熔融性、耐失透性を改善し、液相温度やガラス転移温度を低下させる働きを有し、ガラスの生産性、成形性の向上、着色の抑制に有効な成分である。また、光学特性の高屈折率低分散化を図る際に有用な成分である。ガラス転移温度の低下を優先させる光学ガラスIにおいて、Zn2+を8%以上含有させる必要があるが、その含有量が24%を超えると屈折率が低下したり、ガラスの化学的耐久性が低下するため、Zn2+の含有量を8~24%とする。
 Li、Na、Kは、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きをする任意成分である。Li、NaおよびKの合計含有量が9%を超えると所望の屈折率を実現するのが困難になり、化学的耐久性も低下する。したがって、Li、NaおよびKの合計含有量を0~9%とする。なお、アルカリ金属としてRb、Csは高価な成分である上に、Li、Na、Kと比較して導入効果も乏しい。したがって、Rb、Csを含有させないことが好ましい。
 Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+は、ガラスの熔融性や可視域における光線透過率を改善する働きをする。また、炭酸塩や硝酸塩の形でガラスに導入することにより、脱泡効果も得られる。しかし、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が7%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化するほか、屈折率が低下し、化学的耐久性も悪化してしまう。したがって、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を0~7%とする。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+のうち、屈折率を高める上で最も有利な成分はBa2+である。したがって、Ba2+の含有量を0~7%とすることが好ましい。
 なお、アルカリ金属土類であるBe2+は毒性が強く、Raは放射性物質であることから、Be2+、Ra2+を含有させないことが好ましい。
 なお、B3+、Si4+、Ge4+、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+、Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi4+、Zn2+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量は99%以上とする。前記成分以外の成分を1%を超えて導入すると、高屈折率を維持しつつ、ガラスの安定性を良好に維持することが難しくなる。高屈折率かつ優れたガラス安定性を付与する上から、上記合計含有量を99.2%以上にすることが好ましく、99.5%以上にすることがより好ましく、99.8以上にすることがより好ましく、100%にすることが一層好ましい。
 光学ガラスIにおいて、特に好ましい2つの範囲がある。
 第1の範囲(以下、光学ガラスI−1という。)は、屈折率ndが1.78~1.82、アッベ数νdが44~46の範囲の光学特性を有するガラスとして好ましいものである。
 光学ガラスI−1は、カチオン%表示にて、
3+を44~62%、
Si4+を0~8%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で16~26%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~12%、
Zn2+を8~16%、
Li、NaおよびKを合計で0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~7%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 B3+の含有量は、低分散性を維持する上から44~62%とする。B3+の含有量の好ましい範囲は44~61%、より好ましい範囲は44~60%、さらに好ましい範囲は46~57%、一層好ましい範囲は51~56%である。
 Si4+の含有量は、ガラス転移温度を低く維持する上から0~8%とする。Si4+の含有量の好ましい範囲は0~6%、より好ましい範囲は0~5%、さらに好ましい範囲は0~3%である。
 Ge4+の含有量は、光学ガラスIと同様の理由により0~6%とする。Ge4+の含有量の好ましい範囲も光学ガラスIと同様の範囲である。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量は、上
記光学特性を付与しつつ、ガラスの安定性と低温軟化性を維持する上から、16~26%とする。La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量の好ましい範囲は17~26%、より好ましい範囲は18~26%、さらに好ましい範囲は19~25%、一層好ましい範囲は20~24%である。Sc3+およびLu3+は高価な成分であり、その含有効果も他の成分と比べ優れたものではないことから、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量を16~26%とすることが好ましく、17~26%とすることより好ましく、18~26%とすることがさらに好ましく、19~25%とすることが一層好ましく、20~24%とすることがより一層好ましい。さらに、Yb3+も高価な成分であり、その含有効果も優れたものではないことから、La3+、Gd3+およびY3+の合計含有量を16~26%とすることが好ましく、17~26%とすることより好ましく、18~26%とすることがさらに好ましく、19~25%とすることが一層好ましく、20~24%とすることがより一層好ましい。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+の中でも、La3+は比較的多量に含有させてもガラス安定性が低下しにくいことから、La3+の含有量を9~18%とすることが好ましく、10~18%とすることがより好ましく、11~17%とすることがさらに好ましく、12~16%とすることが一層好ましい。
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量は、上
記光学特性を付与しつつ、ガラスの安定性と低温軟化性を維持する上から、4~12%とする。Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量の好ましい範囲は5~10%、より好ましい範囲は5~9%、さらに好ましい範囲は6~9%、一層好ましい範囲は6~8%である。
 Zn2+の含有量は、ガラス転移温度を低く維持しつつ、低分散性を維持する上から、8~16%とする。Zn2+の含有量の好ましい範囲は9~15%、より好ましい範囲は10~14%、さらに好ましい範囲は11~14%とする。
 Li、NaおよびKの合計含有量は、ガラス安定性を維持する上から0~9%とする。Li、NaおよびKの合計含有量の好ましい範囲は0~7%、より好ましい範囲は0~5%、さらに好ましい範囲は0~4%、一層好ましい範囲は0~3%、より一層好ましい範囲は0~2%である。Li、Na、Kのうち高屈折率、優れたがラス安定性を維持しつつガラス転移温度を低下させる効果が最も大きい成分がLiであることから、Liの含有量を0~9%とすることが好ましく、0~7%とすることがより好ましく、0~5%とすることがさらに好ましく、0~4%とすることが一層好ましく、0~3%とすることがより一層好ましく、0~2%とすることがさらに一層好ましい。
 Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+は、ガラスの熔融性やガラス転移温度を低下させる働きをする。また、炭酸塩や硝酸塩の形でガラスに導入することにより、脱泡効果も得られる。しかし、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が7%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化するほか、屈折率が低下し、化学的耐久性も悪化してしまう。したがって、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を0~7%とする。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量の好ましい範囲は0~5%、より好ましい範囲は0~3%、さらに好ましい範囲は0~2%、一層好ましい範囲は0~1%、より一層好ましくは0%である。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+のうち、屈折率を高める上で最も有利な成分はBa2+である。したがって、Ba2+の含有量を0~7%とすることが好ましく、0~5%とすることがより好ましく、0~3%とすることがさらに好ましく、0~2%とすることが一層好ましく、0~1とすることがより一層好ましく、0%とすることがさらに一層好ましい。なお、アルカリ金属土類であるBe2+は毒性が強く、Raは放射性物質であることから、Be2+、Ra2+を含有させないことが好ましい。
 光学ガラスI−1において、ガラス転移温度の好ましい範囲は630℃以下、より好ましい範囲は620℃以下、さらに好ましい範囲は610℃以下、一層好ましい範囲は600℃以下である。
 光学ガラスIの特に好ましい範囲のうち、第2の範囲(以下、光学ガラスI−2という。)は、屈折率ndが1.86~1.90、アッベ数νdが36~39の範囲の光学特性を有するガラスとして好ましいものである。
 光学ガラスI−2は、カチオン%表示にて、
3+を28~47%、
Si4+を0~9%、
Ge4+を0~6%、
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で18~31%、
Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で9~20%、
Zn2+を13~34%、
Li、NaおよびKを0~9%、
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~7%、
を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスである。
 B3+の含有量は、屈折率を一層高める上から28~47%とする。B3+の含有量の好ましい範囲は36~47%、より好ましい範囲は38~45%、さらに好ましい範囲は39~43%である。
 Si4+の含有量は、ガラス転移温度を低く維持する上から0~9%とする。Si4+の含有量の好ましい範囲は0~8%、より好ましい範囲は0~6%、さらに好ましい範囲は0~5%、一層好ましい範囲は0~2%である。
 Ge4+の含有量は、光学ガラスIと同様の理由により0~6%とする。Ge4+の含有量の好ましい範囲も光学ガラスIと同様の範囲である。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量は、上記光学特性を付与しつつ、ガラスの安定性と低温軟化性を維持する上から、18~31%とする。La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+の合計含有量の好ましい範囲は19~30%、より好ましい範囲は20~29%、さらに好ましい範囲は21~28%、一層好ましい範囲は22~27%である。Sc3+およびLu3+は高価な成分であり、その含有効果も他の成分と比べ優れたものではないことから、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量を18~31%とすることが好ましく、19~30%とすることより好ましく、20~29%とすることがさらに好ましく、21~28%とすることが一層好ましく、22~27%とすることがより一層好ましい。さらに、Yb3+も高価な成分であり、その含有効果も優れたものではないことから、La3+、Gd3+およびY3+の合計含有量を18~31%とすることが好ましく、19~30%とすることより好ましく、20~29%とすることがさらに好ましく、21~28%とすることが一層好ましく、22~27%とすることがより一層好ましい。
 La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+、Lu3+の中でも、La3+は比較的多量に含有させてもガラス安定性が低下しにくいことから、La3+の含有量を12~25%とすることが好ましく、14~24%とすることがより好ましく、15~24%とすることがさらに好ましく、16~23%とすることが一層好ましく、17~22%とすることがより一層好ましい。
 Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量は、上記光学特性を付与しつつ、ガラスの安定性と低温軟化性を維持する上から、9~20%とする。Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量の好ましい範囲は10~18%、より好ましい範囲は11~18%、さらに好ましい範囲は11~17%、一層好ましい範囲は11~17%、より一層好ましい範囲は11~16%、さらに一層好ましい範囲は12~16%、なお一層好ましい範囲は12~15%である。
 Zn2+の含有量は、ガラス転移温度を低く維持する上から、13~34%とする。Zn2+の含有量の好ましい範囲は13~30%、より好ましい範囲は13~26%、さらに好ましい範囲は13~24%、一層好ましい範囲は15~22%、より一層好ましい範囲は16~21%、さらに一層好ましい範囲は17~20%とする。
 Li、NaおよびKの合計含有量は、ガラス安定性を維持する上から0~9%とする。Li、NaおよびKの合計含有量の好ましい範囲は0~7%、より好ましい範囲は0~5%、さらに好ましい範囲は0~3%、一層好ましい範囲は0~2%、より一層好ましい範囲は0~1%、さらに一層好ましくは0%である。Li、Na、Kのうち高屈折率、優れたがラス安定性を維持しつつガラス転移温度を低下させる効果が最も大きい成分がLiであることから、Liの含有量を0~9%とすることが好ましく、0~7%とすることがより好ましく、0~5%とすることがさらに好ましく、0~3%とすることが一層好ましく、0~2%とすることがより一層好ましく、0~1%とすることがさらに一層好ましく、なお一層好ましくは0%である。
 Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+は、ガラスの熔融性やガラス転移温度を低下させる働きをする。また、炭酸塩や硝酸塩の形でガラスに導入することにより、脱泡効果も得られる。しかし、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が7%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化するほか、屈折率が低下し、化学的耐久性も悪化してしまう。したがって、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を0~7%とする。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量の好ましい範囲は0~5%、より好ましい範囲は0~3%、さらに好ましい範囲は0~2%、一層好ましい範囲は0~1%、より一層好ましくは0%である。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+のうち、屈折率を高める上で最も有利な成分はBa2+である。したがって、Ba2+の含有量を0~7%とすることが好ましく、0~5%とすることがより好ましく、0~3%とすることがさらに好ましく、0~2%とすることが一層好ましく、0~1とすることがより一層好ましく、0%とすることがさらに一層好ましい。なお、アルカリ金属土類であるBe2+は毒性が強く、Raは放射性物質であることから、Be2+、Ra2+を含有させないことが好ましい。
 なお、光学ガラスI−2において、ガラス転移温度の好ましい範囲は630℃以下、より好ましい範囲は620℃以下である。
 光学ガラスIにおいて、ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIにおけるガラスの熔融温度の好ましい範囲は1100~1350℃、より好ましい範囲は1100~1300℃、さらに好ましい範囲は1150~1250℃、一層好ましい範囲は1180~1230℃であり、清澄温度の好ましい範囲は1200~1400℃、より好ましい範囲は1230~1380℃、さらに好ましい範囲は1250~1350℃、一層好ましい範囲は1270~1330℃であり、ガラスの製法IIにおける未ガラス化原料の熔融温度の好ましい範囲は1100~1350℃、より好ましい範囲は1100~1300℃、さらに好ましい範囲は1150~1250℃、一層好ましい範囲は1180~1230℃である。
 さらに、光学ガラスI−2におけるより好ましい熔融温度条件、清澄温度条件は次のとおりである。ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIにおけるガラスの熔融温度およびガラスの製法IIにおける未ガラス化原料の熔融温度は、ガラスの液相温度以上の温度、好ましくは液相温度より30℃以上高い温度以上の温度であって、ガラスの粘度が20dPa・sに相当する温度以上とすることが好ましく、ガラスの粘度が10dPa・sに相当する温度以上とすることがより好ましく、5dPa・sに相当する温度以上とすることがさらに好ましく、3dPa・sに相当する温度以上とすることが一層好ましく、1dPa・sに相当する温度以上とすることがより好ましい。具体例をあげると、ガラスの熔融温度を液相温度以上であって液相温度より400℃高い温度以下の温度範囲とすることが好ましく、液相温度より100℃高い温度以上であって液相温度より250℃高い温度以下の範囲とすることがより好ましく、液相温度より120℃高い温度以上であって液相温度より220℃高い温度以下の範囲とすることがさらに好ましく、液相温度より140℃高い温度以上であって液相温度より200℃高い温度以下の範囲とすることが一層好ましい。
 ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIにおける清澄温度の好ましい範囲は、ガラスの液相温度以上の範囲、好ましくは液相温度より30℃高い温度以上の範囲であって、ガラスの粘度が20dPa・sとなる温度以上の範囲であり、より好ましい範囲はガラスの粘度が10dPa・sとなる温度以上の範囲であり、さらに好ましい範囲はガラスの粘度が5dPa・sとなる温度以上の範囲であり、一層好ましい範囲はガラスの粘度が3dPa・sとなる温度以上の範囲であり、より一層好ましい範囲はガラスの粘度が1dPa・sとなる温度以上の範囲である。具体例をあげると、ガラスの清澄温度を液相温度より100℃高い温度以上であって液相温度より500℃高い温度以下の温度範囲とすることが好ましく、液相温度より120℃高い温度以上であって液相温度より450℃高い温度以下の範囲とすることがより好ましく、液相温度より140℃高い温度以上であって液相温度より400℃高い温度以下の範囲とすることがさらに好ましく、液相温度より150℃高い温度以上であって液相温度より400℃高い温度以下の範囲とすることが一層好ましく、液相温度より200℃高い温度以上であって液相温度より350℃高い温度以下の範囲とすることがより一層好ましい。
 ガラスの溶融を促進するためには温度を上げると良いが、一方で原料による炉への損傷を抑制するために、所定時間で溶融可能な最低温度を取ることが多い。また、清澄効果を得るためには温度を高めるが、一方で炉へのダメージやガラスの着色などを抑えるために清澄可能な範囲の低い温度を採用することが多い。流出温度は液相温度よりも高いことが望ましいが、ガラスの揮発や折れ込みによる脈理を抑制するためには流出温度はできるだけ低いことが望ましい。またガラスの熱的安定性に見合う短い時間であれば液相温度以下でガラスを流出することもできる。
 ガラスの製法Iおよびガラスの製法IIIにおいて、ガラスの流出温度の好ましい範囲は950~1150℃、より好ましい範囲は1000~1100℃である。流出温度はガラスの液相温度よりも高いことがガラスの失透を確実に防止する上から好ましいが、急冷前、ガラスが液相温度以下の状態に置かれる時間が、ガラスの熱的安定性に見合う短い時間であれば、流出温度を液相温度以下としてもガラスの失透を回避することができる。なお、光学ガラスI−1における流出温度の好ましい範囲は1000~1050℃であり、光学ガラスI−2における流出温度の好ましい範囲は1050~1080℃である。
<カレット原料>
 本発明のカレット原料は、光学ガラスIと同様の組成を有し、炭素およびイオウを含む。光学ガラスI、ならびに、光学ガラスI、光学ガラスI−1、光学ガラスI−2、光学ガラスI、光学ガラスI−1、光学ガラスI−2をガラスの製法IIIにより製造する場合、製造しようとする上記各光学ガラスの組成と同様の組成を有するカレット原料を複数種作製する。カレット原料を加熱、熔融、清澄することにより、カレット原料中に存在する炭素はCOxガスとして、イオウはSOxガスとして熔融ガラス外へと排出されるので、カレット原料には、光学ガラスIよりも多くの炭素、イオウが含まれる。
 ガラスの製法IIIでは、複数種のカレット原料を調合し、熔融して目的とする光学ガラスを作製する。例えば、目的とする光学ガラスの組成に近い複数種のカレット原料を作製する。複数種のカレット原料として、目的とする光学ガラスの屈折率よりも高い屈折率を有するカレット原料と、前記屈折率よりも低い屈折率を有するカレット原料を作製する。そして、目的とする光学ガラスの屈折率よりも高い屈折率を有するカレット原料と目的とする光学ガラスの屈折率よりも低い屈折率を有するカレット原料を所定の割合で調合し、目的とする屈折率を有するガラスが得られるようにカレット原料の調合を行う。カレット原料の屈折率調整は、目的とする光学ガラスの組成のうち、特定成分の量をコントロールすることによって行うことが好ましい。また、複数のカレット原料を調合する方法として次の例を示すことができる。2種のカレット原料A、Bがあり、カレット原料Aの屈折率ndが目的とする値よりαだけ高く、カレット原料Bの屈折率ndが目的とする値よりβだけ低いとき、調合原料に導入するカレット原料Aの質量a、カレット原料Bの質量bを、α×a=β×bとなるようにすれば、目的の屈折率を有する光学ガラスを得ることができる。
 カレット原料は、ガラスの製法IIにより作製すればよい。
<プレス成形用ガラス素材>
 本発明のプレス成形用ガラス素材は、光学ガラスIからなる。光学ガラスIからなるプレス成形用ガラス素材は、加熱、軟化し、プレス成形型を用いてプレス成形し、目的とする光学素子の形状に研削しろと研磨しろを加えた形状を有する光学素子ブランクを作製するためのガラス素材(ガラスゴブ)として好適である。光学ガラスIからなるプレス成形用ガラス素材は、加熱し、プレス成形型を用いて精密プレス成形し、光学素子を作製するためのガラス素材(プリフォーム)として好適である。
 光学ガラスIからなるプレス成形用ガラス素材の製造例は、以下のとおりである。
 第1の製造例においては、流出パイプの下方に水平に配置した鋳型にパイプから流出する熔融ガラスを連続的に鋳込み、一定の厚みを有する板状に成形する。成形されたガラスは鋳型側面に設けた開口部から水平方向へと連続して引き出される。板状ガラス成形体の引き出しはベルトコンベアによって行う。ベルトコンベアの引き出し速度を一定にしてガラス成形体の板厚が一定になるように引き出すことにより、所定の厚み、板幅のガラス成形体を得ることができる。ガラス成形体はベルトコンベアによりアニール炉内へと搬送され、徐冷される。徐冷したガラス成形体を板厚方向に切断あるいは割断し、さらに研磨加
工を施してガラスゴブやプリフォームなどのプレス成形用ガラス素材としたり、バレル研磨を施してガラスゴブなどのプレス成形用ガラス素材を得る。
 第2の製造例においては、上記鋳型の代わりに円筒状の鋳型内に熔融ガラスを鋳込んで円柱状のガラス成形体を成形する。鋳型内で成形されたガラス成形体は鋳型底部の開口部から一定の速度で鉛直下方に引き出される。引き出し速度は鋳型内での熔融ガラス液位が一定になるように行えばよい。ガラス成形体を徐冷した後、切断もしくは割断し、さらに研磨加工を施してガラスゴブやプリフォームなどのプレス成形用ガラス素材としたり、バレル研磨を施してガラスゴブなどのプレス成形用ガラス素材を得る。
 なお、第1の製造例、第2の製造例において、研磨加工により作製するガラス素材は、精密プレス成形用、すなわちプリフォームとして好適であり、ガラスとしては光学ガラスIが好適である。バレル研磨に作製するガラス素材は、光学素子ブランクをプレス成形するためのガラス素材、すなわち、ガラスゴブとして好適であり、ガラスとしては光学ガラスIが好適である。
 第3の製造例においては、流出パイプの下方に円形のターンテーブルの円周上に複数個の成形型を等間隔に配置した成形機を流出パイプの下方に設置し、ターンテーブルをインデックス回転し、成形型の停留位置の一つを成形型に熔融ガラスを供給する位置(キャスト位置という)として熔融ガラスを供給し、供給した熔融ガラスをガラス成形体に成形した後、キャスト位置とは異なる所定の成形型の停留位置(テイクアウト位置)からガラス成形体を取り出す。テイクアウト位置をどの停留位置にするかは、ターンテーブルの回転速度、ガラスの冷却速度などを考慮して定めればよい。キャスト位置における成形型への熔融ガラスの供給は、流出パイプのガラス流出口から熔融ガラスを滴下し、ガラス滴を上記成形型で受ける方法、キャスト位置に停留する成形型をガラス流出口に近づけて流出する熔融ガラス流の下端部を支持し、ガラス流の途中にくびれを作り、所定のタイミングで成形型を鉛直方向に急降下することによりくびれより下の熔融ガラスを分離して成形型上に受ける方法、流出する熔融ガラス流を切断刃で切断し、分離した熔融ガラス塊をキャスト位置に停留する成形型で受ける方法などにより行うことができる。
 第3の製造例により作製するガラス素材は、精密プレス成形用、すなわち、プリフォームとしても、光学素子ブランクをプレス成形するためのガラス素材、すなわち、ガラスゴブとしても好適であり、ガラスとしては光学ガラスI、光学ガラスIが好適であり、特に、光学ガラスIが好適である。
 成形型上でのガラスの成形方法は公知の方法を適用すればよい。中でも成形型から上向きにガスを噴出してガラス塊に上向きの風圧を加え、ガラスを浮上させながら成形すると、ガラス成形体の表面にシワができたり、成形型との接触によってガラス成形体にカン割れが発生するのを防止することができる。
 ガラス成形体の形状は、成形型形状の選択や上記ガスの噴出の仕方により、球状、回転楕円体状、回転対象軸を1つ有し、該回転対象軸の軸方向を向いた2つの面が共に外側に凸状である形状等にすることができる。これらの形状はレンズなどの光学素子あるいはレンズブランクなどの光学素子ブランクをプレス成形するためのガラス素材に好適である。このようにして得られたガラス成形体はそのまま、あるいは表面を研磨あるいはバレル研磨してプレス成形用ガラス素材にすることができる。
 ガラスゴブをプレス成形する場合、ガラスゴブの表面に公知の粉末状離型剤を塗布するとプレス成形時にプレス成形型とガラスとの融着を確実に防止することができる。プリフォームを精密プレス成形する場合、プリフォーム表面に炭素含有膜などをコートすることにより、プレス成形型とガラスとの融着を確実に防止し、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写しやすくなる。
[光学素子]
 次に本発明の光学素子について説明する。
 本発明の光学素子は、光学ガラスIからなることを特徴とする。本発明の光学素子は、屈折率が高く、泡を含まず内部品質の高い光学ガラスIからなるため、光学−−的な価値の高い各種レンズ、プリズムなどの光学素子を提供することができる。
 レンズの例としては、光学機能面が球面または非球面であるレンズ、具体的には、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種レンズを示すことができる。
 光学ガラスIは高屈折率ガラスでありながら、着色が抑制されているので、本発明の光学素子は、一眼レフカメラの交換レンズを構成するレンズとして好適である。
 また、プリズムについては、着色の少ない屈折率が高い光学ガラスIからなるため、撮像光学系に組み込むことにより、光路を曲げて所望の方向に向けることによりコンパクトで広い画角の光学系を実現することもできる。
 なお、本発明の光学素子の光学機能面には、反射防止膜などの光線透過率を制御する膜を設けることもできる。
 次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。
 本発明の光学素子の製造方法の第1の態様は、上記プレス成形用ガラス素材を加熱、軟化してプレス成形し、光学素子ブランクを成形する。そして、光学素子ブランクをアニールして歪を低減するとともに、屈折率が精密に目的とする値に一致するよう、屈折率の微調整を行う。アニール後、光学素子ブランクを公知の方法により研削、研磨して目的とする光学素子を得る。光学素子ブランクを作製するにあたり、該ブランクの形状を反転した形状の成形面を有するプレス成形型を用意する。プレス成形型は上型、下型そして必要に応じて胴型を含む型部品によって構成され、上下型の成形面、あるいは胴型を使用する場合は胴型成形面を前述の形状にする。次にプレス成形用ガラス素材の表面に窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布し、加熱、軟化してから予熱された下型に導入し、下型と対向する上型とでプレス成形するし、光学素子ブランクに成形する。ガラスゴブの加熱条件、プレス成形条件、プレス成形型に使用する材料などは公知のものを適用すればよい。
以上の工程は大気中で行うことができる。
 本発明の光学素子の製造方法の第2の態様は、ガラスの製法Iまたはガラスの製法IIIにより、ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスをプレス成形し、光学ガラスIからなる光学素子ブランクを作製する。そして、光学素子ブランクをアニールして歪を低減するとともに、屈折率が精密に目的とする値に一致するよう、屈折率の微調整を行う。アニール後、光学素子ブランクを公知の方法により研削、研磨して目的とする光学素子を得る。
 上記プレス成形では、上型、下型、必要に応じて胴型を含む型部品によりプレス成形型を構成し、前述のように光学素子ブランクの表面形状を反転した形状にプレス成形型の成形面を加工する。
 下型成形面上に窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布し、前述の光学ガラスの製造方法にしたがい熔融した熔融ガラスを下型成形面上に流出し、下型上の熔融ガラス量が所望の量になったところで熔融ガラス流をシアと呼ばれる切断刃で切断する。こうして下型上に熔融ガラス塊を得た後、上方に上型が待機する位置に熔融ガラス塊ごと下型を移動し、上型と下型とでガラスをプレスし、光学素子ブランクに成形する。ガラス素材の加熱条件、プレス成形条件、プレス成形型に使用する材料などは公知のものを適用すればよい。以上の工程は大気中で行うことができる。
 本発明の光学素子の製造方法の第3の態様は、上記本発明のプレス成形用ガラス素材(プリフォーム)を、プレス成形型を用いて精密プレス成形する光学素子の製造方法である。
 プレス成形型ならびにプリフォームの加熱および精密プレス成形工程は、プレス成形型の成形面あるいは前記成形面に設けられた離型膜の酸化を防止するため、窒素ガス、あるいは窒素ガスと水素ガスの混合ガスなどのような非酸化性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性ガス雰囲気中ではプリフォーム表面を被覆する炭素含有膜も酸化されずに、精密プレス成形された成形品の表面に前記膜が残存することになる。この膜は、最終的には除去するべきものであるが、炭素含有膜を比較的容易にしかも完全に除去するには、精密プレス成形品を酸化性雰囲気、例えば大気中において加熱すればよい。炭素含有膜の酸化、除去は、精密プレス成形品が加熱により変形しないような温度で行うべきである。具体的には、ガラスの転移温度未満の温度範囲において行うことが好ましい。
 精密プレス成形では、予め成形面を所望の形状に高精度に加工されたプレス成形型を用いるが、成形面には、プレス時のガラスの融着を防止するため、離型膜を形成してもよい。離型膜としては、炭素含有膜や窒化物膜、貴金属膜が挙げられ、炭素含有膜としては水素化カーボン膜、炭素膜などが好ましい。
 本発明の光学素子の製造方法の第3の態様には、以下に示す2つの方法が含まれる。
 第1の方法(光学素子製法1という)は、プリフォームをプレス成形型に導入し、前記プリフォームとプレス成形型を一緒に加熱して精密プレス成形する光学素子の製造方法であり、第2の方法(光学素子製法2という)は、加熱したプリフォームを予熱したプレス成形型に導入し、精密プレス成形する光学素子の製造方法である。
 光学素子製法1では、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間にプリフォームを供給した後、ガラスの粘度が10~10dPa・s相当の温度まで成形型とプリフォームの両者を加熱してプリフォームを軟化し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写する。光学素子製法1は、面精度、偏心精度など成形精度の向上を重視した場合、推奨される方法である。
 光学素子製法2では、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間に、予めガラスの粘度で10~10dPa・sに相当する温度に昇温したプリフォームを供給し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写することができる。光学素子製法2は、生産性向上を重視した場合に推奨される方法である。
 加圧時の圧力及び時間は、ガラスの粘度などを考慮して適宜決定することができ、例えば、プレス圧力は約5~15MPa、プレス時間は10~300秒とすることができる。プレス時間、プレス圧力などのプレス条件は成形品の形状、寸法に合わせて周知の範囲で適宜設定すればよい。
 この後、成形型と精密プレス成形品を冷却し、好ましくは歪点以下の温度となったところで、離型し、精密プレス成形品を取出す。なお、光学特性を精密に所望の値に合わせるため、冷却時における成形品のアニール処理条件、例えばアニール速度等を適宜調整してもよい。
 なお、本発明の光学素子は、プレス成形工程を経なくても作製することはできる。例えば、均質な熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックを成形し、アニールして歪を除去するとともに、ガラスの屈折率が所望の値になるようにアニール条件を調整して光学特性の調整を行ったのち、次にガラスブロックを切断または割断してガラス片を作り、さらに研削、研磨して光学素子に仕上げることにより得ることができる。
 次に、本発明を実施例にさらに詳細に説明する。本実施例と上記説明に基づき、本発明全体を実施することができる。
(実施例1)
 最初に、表1−1~1−3、表2−1~2−10および表3−1~3−3に示す組成の光学ガラスが得られるように、ホウ酸、酸化物、炭酸塩、硫酸塩を秤量し、ガラス原料を調合する。炭酸塩として炭酸ランタン、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、硫酸塩として硫酸亜鉛、硫酸バリウムなどを用いた。なお、Sb、As、硝酸塩は、いずれもガラス原料に導入しない。
 得られる光学ガラスの質量をaとしたとき、炭酸塩によりガラス原料に導入する炭素の量は、COに換算して、0.2×10−2×a~2×10−2×a(外割で0.2~2質量%)の範囲とし、硫酸塩によりガラス原料に導入するイオウの量は、SOに換算して、0.07×10−2×a~0.5×10−2×a(外割で0.07~0.5質量%)の範囲とし、光学ガラス中に含まれる直径50μm以下の泡の数密度が5個/kg以下、好ましくは0個/kgになるよう、光学ガラス中の泡の数密度を制御した。
 表1−1~1−3に示す組成については、調合により得たガラス原料を白金製熔融槽内に入れて、1270~1320℃で加熱、熔融した後、熔融ガラスを白金製パイプ内を通して熔融槽から清澄槽に移し、1300~1380℃で清澄した。パイプ内を通る際、熔融ガラスは加熱されて上記清澄温度に昇温される。清澄後、熔融ガラスを白金製パイプ内を通して清澄槽から作業槽に移し、1160~1190℃で攪拌、均質化した後、流出する。そして、流出する熔融ガラスを成形して光学ガラスI−1−aに相当するガラスNo.1−1~No.1−22の22種の光学ガラスを得た。
 図10は、横軸にガラス熔融工程における経過時間、左縦軸に単位質量あたりのガラス中に含まれる泡の数(泡密度)、右縦軸にガラスの温度をとり、ガラスNo.1−22について、ガラス中に含まれる泡密度およびガラスの温度の時間変化の様子を示したものである。図中、プロット●を通る線は、ガラスの温度変化を示し、プロット■を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.04質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.1質量%としたときに得られた結果であり、プロット▲を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.04質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.2質量%としたときに得られた結果である。上記結果を表4にも示す。
 上記いずれの場合も図10に示すように、ガラス中の泡密度をゼロにすることができた。なお、炭酸塩の導入量や硫酸塩の導入量を上記範囲内で変化させても、上記結果と同様、ガラス中の泡密度を低レベルにすることができる。また、ガラスNo.1−1~ガラスNo.1−21の各ガラスについても同様の結果が得られる。このようにガラス中の泡密度が所定の値以下になるように、ガラスの熔融時間などの熔融条件を調整し、炭酸塩および硫酸塩の使用によって、泡密度を極めて低レベルにコントロールすることができる。
 表2−1~2−10に示す組成については、調合により得たガラス原料を白金製ルツボ内に入れて、1240~1300℃で加熱、熔融した後、昇温して1320~1400℃で清澄した後、降温して1175~1200℃で攪拌、均質化した後、流出する。そして、流出する熔融ガラスを成形して光学ガラスI−1−bに相当するガラスNo.2−1~No.2−70の70種の光学ガラスを得た。
 表3−1~1−3に示す組成については、調合により得たガラス原料を白金製ルツボ内に入れて、1200~1480℃で加熱、熔融した後、昇温して1210~1500℃で清澄した後、降温して1050~1250℃で攪拌、均質化した後、流出する。そして、流出する熔融ガラスを成形して光学ガラスIに相当するガラスNo.3−1~No.3−22の22種の光学ガラスを得た。
 上記各ガラスの特性を以下のように測定した。その結果を表1−1~1−3、表2−1~2−10および表3−1~3−10に示す。
 表1−1~1−3および表2−1~2−10に示すように、ガラスNo.1−1~No.1−22、ガラスNo.2−1~No.2−70の92種の光学ガラスにおいて、極めて優れた清澄効果を確認した。
 図11は、横軸にガラス熔融工程における経過時間、左縦軸に単位質量あたりのガラス中に含まれる泡の数(泡密度)、右縦軸にガラスの温度をとり、ガラスNo.2−42について、ガラス中に含まれる泡密度の時間変化の様子を示したものである。図中、プロット●を通る線は、ガラスの温度変化を示し、プロット■を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.25質量%としたときに得られた結果であり、プロット▲を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.3質量%としたときに得られた結果であり、プロット◆を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.15質量%としたときに得られた結果であり、プロット×を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.15質量%としたときに得られた結果である。上記結果を表5にも示す。
 上記いずれの場合も図11に示すように、ガラス中の泡密度をゼロにすることができた。なお、炭酸塩の導入量や硫酸塩の導入量を上記範囲内で変化させても、上記結果と同様、ガラス中の泡密度を低レベルにすることができる。また、ガラスNo.2−1~ガラスNo.1−41、ガラスNo.2−43~ガラスNo.2−70の各ガラスについても同様の結果が得られる。このようにガラス中の泡密度が所定の値以下になるように、ガラスの熔融時間などの熔融条件を調整し、炭酸塩および硫酸塩の使用によって、泡密度を極めて低レベルにコントロールすることができる。
 図12は、横軸にガラス熔融工程における経過時間、縦軸にガラスNo.2−42の着色度λ70をとり、λ70の経時変化の様子を示したものである。プロット●を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.3質量%としたときに得られた結果であり、プロット■を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.15質量%としたときに得られた結果であり、プロット▲を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%、硫酸亜鉛としてガラス中に導入するZnO量を0.15質量%としたときに得られた結果である。上記結果を表5にも示す。
 いずれの場合も、時間の経過とともにλ70の値が安定している。このように炭酸塩と硫酸塩の混合効果によって、優れた泡切れが可能になることに加え、着色度などの特性も安定化することができる。
 表3−1に示すガラスNo.3−1~No.3−8の8種の光学ガラスにおいても、優れた清澄効果を確認した。
 表3−2~3−3に示すガラスNo.3−9~No.3−22の14種の光学ガラスにおいても、光学ガラスとして使用可能なレベルの清澄効果を得ることができる。
(1)屈折率nd、アッベ数νdおよび部分分散比Pg,F
 降温速度−30℃/時間で降温して得られたガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率nd、nF、ncを測定し、これらの結果からアッベ数νdを算出した。また、屈折率ng、nF、ncを測定し、これらの結果から部分分散比Pg,Fを算出した。
(2)液相温度LTおよび液相温度における粘度
 ガラスを所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。
 ″JIS Z 8803−1991 「液体の粘度−測定方法」8.単一円筒形回転粘度計による粘度測定″に基づき、回転円筒法によってガラスの液相温度における粘度を測定した。
(3)ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Ts
 ブルカーAX性熱機械分析(TMA)により、昇温速度4℃/分として測定した。
(4)比重
 アルキメデス法により測定した。
(5)ガラス中の泡の数密度
光学顕微鏡でガラスを拡大観察し、泡の有無、個数を調べ、単位質量あたり含まれる泡の数密度に換算した。
(6)ガラスに含まれるCO、SOの検出
質量分析法により検出、確認した。
(7)λ80、λ70、λ5
互いに平行で、光学研磨された2つの対向する平面を有する厚さ10±0.1mmのガラスを用い、280nmから700nmまでの波長域での分光透過率を測定し、透過率80%を示す波長をλ80、透過率70%を示す波長をλ70、透過率5%を示す波長をλ5とした。
 なお、上記の例では、未ガラス化原料を加熱、熔融、清澄、均質化、成形して、光学ガラスを直接作製したが、未ガラス化原料を加熱、熔融して得た熔融ガラスを成形し、得られたガラスを粉砕してカレット原料とし、目的とする屈折率よりも僅かに低い屈折率を有するカレット原料と、目的とする屈折率よりも僅かに高い屈折率を有するカレット原料を調合し、調合したカレット原料を加熱、熔融、清澄、均質化、成形して光学ガラスを作製してもよい。
 こうして得られる各光学ガラスとも極めて優れた清澄性を有する。各光学ガラスからは、炭酸塩および硫酸塩を使用せずに作製した光学ガラスと比較して多くのCOおよびSOが検出される。上記各光学ガラスの内部には、いずれも白金異物などの欠点は認められなかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
(比較例)
 上記ガラスNo.2−42に硫酸塩に替えてSnOを添加した場合のガラス中の泡密度を測定した。図13は、横軸にガラス熔融工程における経過時間、左縦軸に単位質量あたりのガラス中に含まれる泡の数(泡密度)、右縦軸にガラスの温度をとり、ガラスの温度および泡密度の時間変化の様子を示したものである。プロット●を通る線は、炭酸ランタンとしてガラス中に導入するLa量を3.05質量%とし、さらにSnOを外割で0.2質量%加えたときの泡密度の経時変化である。このように、SnOによる硫酸塩の代替は、清澄効果を大幅に低下させることになる。なお、上記泡密度の時間変化のデータを表5にも示す。
(実施例2)
 次に、表4および表5−1~5−2に示す組成のガラスが得られるように、ホウ酸、酸化物、炭酸塩、硫酸塩を秤量し、ガラス原料を調合する。炭酸塩として炭酸ランタン、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、硫酸塩として硫酸亜鉛、硫酸バリウムなどを用いた。なお、As、硝酸塩は、いずれもガラス原料に導入しない。
 ガラス原料中に含まれる炭素の量(外割)を、CO、SOにそれぞれ換算した量として表4および表5−1~5−2に示す。
 調合により得たガラス原料を白金製ルツボ内に入れて、1100~1350℃で加熱、攪拌しながら熔融し、熔融ガラスを鋳型に鋳込んで成形した。次いで、成形したガラスを粒状に粉砕し、カレット原料とした。
 このようにして、各光学ガラスに対し、前記光学ガラスより屈折率が僅かに低いカレット原料と、前記光学ガラスより屈折率が僅かに高いカレット原料を作製し、上記2種のカレット原料を調合し、白金製ルツボ内に入れて1100~1350℃に加熱して熔融し、次いで昇温して1200~1400℃で清澄した後、降温して液相温度付近もしくは液相温度より僅かに高い温度で攪拌、均質化した後、流出、成形した。
 こうして得た光学ガラスについて、実施例1のように特性を測定した。測定結果を表4および表5−1~5−2に示す。
 ガラス原料に導入する炭酸塩および硫酸塩の量を表4および表5−1~5−2に示す。このように炭酸塩および硫酸塩の量を調整して、光学ガラス中に含まれる直径50μm以下の泡の数密度が30個/kg以下、好ましくは10個/kgになるよう、光学ガラス中の泡の数密度を制御した。
 上記各光学ガラスにおいて、十分な清澄効果を得ることができる。各光学ガラスからは、炭酸塩および硫酸塩を使用せずに作製した光学ガラスと比較して多くのCOおよびSOが検出される。上記各光学ガラスの内部には、いずれも白金異物などの欠点は認められなかった。
(実施例3)
 実施例1において説明した方法で各種光学ガラスが得られる、清澄、均質化した熔融ガラスを用意し、パイプから一定スピードで流出させ、鋳型に鋳込んで板状ガラスや丸棒状ガラスを成形した。
 得られた板状ガラスや丸棒状ガラスをアニールした後、切断、分割してカットピースと呼ばれるガラス片を作製し、バレル研磨して複数個のガラスゴブを得た。
 次いで、ガラスゴブの全表面に粉末状離型剤である窒化ホウ素を均一に塗布し、加熱炉内で加熱、軟化させ、上型、下型、胴型により構成されるプレス成形型を用いて各種レンズブランクに成形した。プレス成形型から取り出したレンズブランクをアニールして内部の歪を低減するとともに、ガラスの屈折率を所望の値に一致させる屈折率の微調整を行った。
 アニールしたレンズブランクを公知の方法で研削、研磨して凹メニスカス球面レンズ、凸メニスカス球面レンズ、両凹球面レンズ、両凸球面レンズ、平凸球面レンズ、平凹球面レンズなど各種球面レンズを作製した。
 同様にしてプリズムのブランクをプレス成形し、アニールした後、研削、研磨してプリズムを作製した。
 得られた各種レンズ、プリズムの光学機能面には、公知の反射防止膜を形成してもよい。
 なお、上記の板状ガラスや丸棒状ガラスをサンプリングして屈折率nd、アッベ数νdを測定したところ、屈折率ndの公差は±0.00050以内であった。また、アッベ数νdの公差は±0.8%以内であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
(実施例4)
 実施例1において説明した方法で各種光学ガラスが得られる、清澄、均質化した熔融ガラスを用意し、パイプから一定スピードでプレス成形型の下型成形面上に流出させるとともに、熔融ガラスをシアと呼ばれる切断刃により切断し、下型成形面上に熔融ガラスゴブを得る。次いで、熔融ガラスゴブを下型と上型でプレス成形し、各種レンズブランクに成形した。プレス成形型から取り出したレンズブランクをアニールして内部の歪を低減するとともに、ガラスの屈折率を所望の値に一致させる屈折率の微調整を行った。
 アニールしたレンズブランクを公知の方法で研削、研磨して凹メニスカス球面レンズ、凸メニスカス球面レンズ、両凹球面レンズ、両凸球面レンズ、平凸球面レンズ、平凹球面レンズなど各種球面レンズを作製した。
 同様にしてプリズムのブランクをプレス成形し、アニールした後、研削、研磨してプリズムを作製した。
 得られた各種レンズ、プリズムの光学機能面には、公知の反射防止膜を形成してもよい。
(実施例5)
 実施例2において説明した方法で各種光学ガラスが得られる、清澄、均質化した熔融ガラスを用意し、パイプから一定スピードで受け型の凹部内に流出して熔融ガラス流下端を支持し、表面張力により熔融ガラス流にくびれを形成した後、受け型を急降下して前記くびれ部から下の熔融ガラスを分離する。分離して得られた熔融ガラス塊を受け型凹部内で上向きの風圧を加え、浮上させながら精密プレス成形用プリフォームに成形した。
 得られたプリフォームの表面に炭素膜を形成し、上型、下型、スリーブ型により構成されるSiC製のプレス成形型内に配置し、プリフォームとプレス成形型を一緒に加熱し、精密プレス成形して、凹メニスカス非球面レンズ、凸メニスカス非球面レンズ、両凹非球面レンズ、両凸非球面レンズ、平凸非球面レンズ、平凹非球面レンズなど各種非球面レンズを作製した。
 得られた各種レンズは、アニールして屈折率を微調整したり、歪を低減してもよいし、さらに、芯取り加工を行ってもよい。
 得られた各種レンズの光学機能面には、公知の反射防止膜を形成してもよい。
 なお、 実施例2において説明した方法で各種光学ガラスが得られる、清澄、均質化した熔融ガラスを用意し、パイプから一定スピードで鋳型に流し込み、板状ガラスもしくは丸棒状ガラスに成形し、アニールした後、切断、分割してカットピースを作製し、さらにカットピースを研削、研磨して精密プレス成形用プリフォームとすることもできる。こうして得たプリフォームから各種光学素子を作製する方法は、上記のとおりである。
 なお、上記の板状ガラスや丸棒状ガラスをサンプリングして屈折率nd、アッベ数νdを測定したところ、屈折率ndの公差は±0.00050以内であった。また、アッベ数νdの公差は±0.8%以内であった。
(実施例6)
 実施例1および実施例2において説明した方法で各種光学ガラスが得られる、清澄、均質化した熔融ガラスを用意し、パイプから一定スピードで鋳型に流し込んで板状ガラスもしくは丸棒状ガラスに成形し、アニールした後、切断、分割してカットピースを作製し、さらにカットピースを研削、研磨して、凹メニスカス球面レンズ、凸メニスカス球面レンズ、両凹球面レンズ、両凸球面レンズ、平凸球面レンズ、平凹球面レンズなど各種球面レンズやプリズムを作製した。
 得られた各種レンズの光学機能面には、公知の反射防止膜を形成してもよい。

Claims (9)

  1.  ガラス原料を熔融、清澄して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを成形し、光学ガラスからなるガラス成形体を作製するガラスの製造方法において、
     カチオン%表示で、
    3+を12~65%、
    Si4+を0~20%、
    Ge4+を0~6%、
    La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
    Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
    Zn2+を0~35%、
    Li、NaおよびKを合計で0~9%、
    Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
    を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となる酸化物ガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法。
  2.  ガラス原料を熔融して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを急冷してカレット原料を作製するガラスの製造方法において、
     カチオン%表示で、
    3+を12~65%、
    Si4+を0~20%、
    Ge4+を0~6%、
    La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~60%、
    Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
    Zn2+を0~35%、
    Li、NaおよびKを合計で0~9%、
    Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
    を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%となるガラスが得られるように、ガラス原料を調合すること、および、前記ガラス原料が炭酸塩および硫酸塩を含むことを特徴とするガラスの製造方法。
  3.  請求項2に記載の方法でカレット原料を作製し、該カレット原料を用いて熔融、清澄して熔融ガラスを作り、該熔融ガラスを成形し、
     カチオン%表示で、
    3+を12~65%、
    Si4+を0~20%、
    Ge4+を0~6%、
    La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
    Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
    Zn2+を0~35%、
    Li、NaおよびKを合計で0~9%、
    Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%、
    を含み、前記全カチオン成分の合計量が99~100%である光学ガラスからなるガラス成形体を作製するガラスの製造方法。
  4.  前記熔融または清澄の少なくとも一方の工程を白金または白金合金製容器を用いて行う請求項1または3に記載のガラスの製造方法。
  5.  カチオン%表示で、
    3+を12~65%、
    Si4+を0~20%、
    Ge4+を0~6%、
    La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~50%、
    Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~54%、
    Zn2+を0~35%、
    Li、NaおよびKを合計で0~9%、
    Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%
    (ただし、前記全カチオン成分の合計含有量が99%以上)、
    を含むとともに、炭素およびイオウを含む酸化物ガラスであることを特徴とする光学ガラス。
  6.  請求項5に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
  7.  請求項5に記載の光学ガラスからなる光学素子。
  8.  請求項1、3、4のいずれか1項に記載の方法により光学ガラスを作製し、前記光学ガラスを用いて光学素子を作製する光学素子の製造方法。
  9.  カチオン%表示で、
    3+を12~65%、
    Si4+を0~20%、
    Ge4+を0~6%、
    La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Sc3+およびLu3+を合計で15~54%、
    Ta5+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+を合計で4~40%、
    Zn2+を0~35%、
    Li、NaおよびKを合計で0~9%、
    Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+を合計で0~15%
    (ただし、前記全カチオン成分の合計含有量が99%以上)、
    を含むとともに、炭素およびイオウを含む酸化物ガラスからなることを特徴とするカレット原料。
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