JP5301740B2 - 光学ガラス、プレス成形用ガラスゴブおよび光学素子とその製造方法ならびに光学素子ブランクの製造方法 - Google Patents

光学ガラス、プレス成形用ガラスゴブおよび光学素子とその製造方法ならびに光学素子ブランクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は高屈折率低分散特性を有する光学ガラス、前記光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブおよび光学素子、ならびに光学素子ブランクおよび光学素子のそれぞれの製造方法に関する。
高屈折率低分散ガラスからなるレンズは、高屈折率高分散ガラスからなるレンズと組み合わせることにより、色収差を補正しつつ、光学系のコンパクト化を可能にする。そのため、撮像光学系やプロジェクタなどの投射光学系を構成する光学素子として非常に重要な位置を占めている。
特許文献1にはこのような高屈折率低分散ガラスが開示されている。特許文献1が開示するガラスは、屈折率ndが1.75〜2.00でTa25の含有量を0〜25質量%の範囲としているが、屈折率ndが1.85以上のガラスは全て多量のTa25を含んでいる。これは、屈折率nd1.75以上といった高屈折率領域においては、ガラス安定性を確保する上で多量のTa25導入が欠かせないからである。このように高屈折率低分散ガラスにおいて、Ta25は主要な成分となっている。
特開2007−269584号公報
ところで、タンタル(Ta)は希少価値が高い元素であり、元々非常に高価な物質である。その上、最近、ワールドワイドにレアメタルの価格が高騰しており、タンタルの供給量も不足している。ガラス製造分野においてもタンタル原料が不足しており、こうした状況が続くと光学機器業界にとって必要不可欠な高屈折率低分散ガラスを安定供給できなくなることが危惧される。同様に、ゲルマニウム(Ge)もガラス成分として用いることにより、ガラス安定性を損なうことなく、屈折率を高めることができる物質であるが、タンタル以上に高価な物質であり、使用量の削減が求められている。
ところで、撮像光学系や投射光学系を構成する光学素子には、極めて着色の少ないガラス材料が求められる。こうした光学系には、諸々の収差を補正するため複数枚のレンズが使用されており、レンズ1枚あたりの透過光量が十分でないと光学系全体の透過光量が大幅に低下してしまう。特に一眼レフカメラの交換レンズは、コンパクトカメラのレンズを比べて口径が大きく、レンズ1枚の肉厚が厚いため、着色度が悪いガラスを用いると、交換レンズ全体の透過光量が激減してしまう。こうした理由から、高屈折率低分散性を生かすには、着色の少ない光学ガラスが必要である。
本発明はこのような事情のもとで、安定供給が可能であって、優れたガラス安定性を有し、しかも着色が少ない高屈折率低分散光学ガラス、このガラスからなるプレス成形用ガラスゴブおよび光学素子、ならびに光学素子ブランクおよび光学素子のそれぞれの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のガラス組成と屈折率とアッベ数を有する光学ガラスにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)質量%表示で、
SiO2を5〜12%、
23を9〜15%、
La23を32〜55%、
La23、Gd23およびY23を合計で56.32〜65%(Gd23を0.1%以上含む)、
ZnOを1〜8%、
TiO2およびNb25を合計で1〜20%(TiO2およびNb25をそれぞれ0.1%以上含む)、
ZrO2を0.5〜15%、
Ta25 を0〜12%、
GeO2を0〜5%、
含み、
23の含有量に対するSiO2の含有量の質量比(SiO2/B23)が0.3〜1.0、La23、Gd23およびY23の合計含有量に対するGd23およびY23の合計含有量の質量比(Gd23+Y23)/(La23+Gd23+Y23)が0.05〜0.6であり、
屈折率ndが1.90〜2.0、アッベ数νdが32〜38、かつ着色度λ70が430nm以下であることを特徴とする光学ガラス、
(2)Li2O、Na2OおよびK2Oをいずれも含まない上記(1)項に記載の光学ガラス、
(3)質量%表示で、Gd23を0.1〜25%含む上記(1)項または(2)項に記載の光学ガラス、
(4)質量%表示で、
TiO2を0.1〜15%、
Nb25を0.1〜15%、
含む上記(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(5)ZrO2を0.5〜15質量%含む上記(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(6)Ta25の含有量が0〜10質量%である上記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(7)Geフリーガラスである上記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(8)B23の含有量に対するSiO2の含有量の質量比(SiO2/B23)が0.3〜0.9である上記(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(9)La23、Gd23およびY23の合計含有量に対するGd23およびY23の合計含有量の質量比(Gd23+Y23)/(La23+Gd23+Y23)が0.1〜0.5である上記(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(10)Gd23とY23の合計含有量に対するGd23の含有量の質量比(Gd23)/(Gd23+Y23)が0.1〜1である上記(1)項〜(9)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(11)着色度λ70が425nm以下である上記(1)項〜(10)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(12)液相温度が1300℃以下である上記(1項)〜(11)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(13)ガラス転移温度が710℃以下である上記(1)項〜(12)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(14)ガラス転移温度が650℃以上である上記(1)項〜(13)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(15)ガラス転移温度が681℃以上である上記(1)項〜(14)項のいずれか1項に記載の光学ガラス。
(16)比重が4.94〜5.24である上記(1)項〜(15)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(17)上記(1)項〜(16)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ、
(18)上記(1)項〜(16)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子、
(19)研削、研磨により光学素子に仕上げられる光学素子ブランクの製造方法において、
上記(17)項に記載のプレス成形用ガラスゴブを加熱、軟化してプレス成形することを特徴とする光学素子ブランクの製造方法、
(20)研削、研磨により光学素子に仕上げられる光学素子ブランクの製造方法において、
ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスをプレス成形し、上記(1)項〜(16)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子ブランクを作製することを特徴とする光学素子ブランクの製造方法、
(21)上記(19)項または(20)項に記載の方法により光学素子ブランクを作製し、該光学素子ブランクを研削、研磨することを特徴とする光学素子の製造方法、
(22)上記(17)項に記載のプレス成形用ガラスゴブを加熱し、精密プレス成形する光学素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、安定供給が可能であって、優れたガラス安定性を有する高屈折率低分散光学ガラス、この光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブおよび光学素子、ならびに光学素子ブランクおよび光学素子のそれぞれの製造方法を提供することができる。
実施例1で得たガラスを再加熱した後のガラス内部に析出した結晶数密度と再加熱温度の関係を示すグラフである。 実施例4におけるガラスゴブの加熱スケジュールを示すグラフである。
[光学ガラス]
まず、本発明の光学ガラスについて説明する。
本発明は、ガラス成分の中でも特に高価なTa25およびGeO2導入量を低減、制限した高屈折率低分散光学ガラスを提供することを目的とするものであるが、耐失透性を維持しつつ高屈折率低分散特性を付与するには、単にTa25やGeO2の量を削減するだけでは、ガラス化しなかったり、生産過程でガラスが失透して使い物にならなくなってしまう。こうした問題を回避しつつ、Ta25やGeO2の導入量を削減するには、高屈折率付与成分の配分が重要である。
本発明では、ガラスの網目形成酸化物としてB23、SiO2を導入するとともに、高屈折率付与成分であるLa23、ZnO、Gd23またはY23の少なくとも一方、TiO2またはNb25の少なくとも一方を必須成分として共存させる。本発明においてZnOは熔解性の向上、ガラス転移温度の低下だけでなく、高屈折率低分散化と耐失透性向上に寄与する重要な成分である。
その上で、B23量とSiO2量のバランスを調整して耐失透性、熔解性、熔融ガラスの成形性を改善し、他成分とのバランスを図る。
熔解性およびガラス安定性を高めることにより、ガラスの熔融温度上昇を抑えることができ、ガラス熔融設備を構成する材料をガラスが侵蝕しにくくなる。その結果、熔融ガラスに溶け込む白金イオンなど着色を悪化させる物質の混入量を低減、抑制することが可能となり、着色の少ないガラスを得ることができる。
さらに、ガラス安定性を高めるTiO2、Nb25の合計含有量の上限を制限することにより、ガラスの着色を抑える。
本発明は、こうした知見に基づき、上記発明の目的を達成したものである。
本発明の光学ガラスは、質量%表示で、
SiO2およびB23を合計で5〜32%、
La23、Gd23およびY23を合計で45〜65%、
ZnOを0.5〜10%、
TiO2およびNb25を合計で1〜20%、
ZrO2を0〜15%、
WO3を0〜2%、
Yb23を0〜20%、
Li2O、Na2OおよびK2Oを合計で0〜10%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で0〜10%、
Ta25を0〜12%、
GeO2 を0〜5%、
Bi23を0〜10%、
Al23を0〜10%、
含み、
23の含有量に対するSiO2の含有量の質量比(SiO2/B23)が0.3〜1.0、La23、Gd23およびY23の合計含有量に対するGd23およびY23の合計含有量の質量比(Gd23+Y23)/(La23+Gd23+Y23)が0.05〜0.6であり、
屈折率ndが1.89〜2.0、アッベ数νdが32〜38、かつ着色度λ70が430nm以下であることを特徴とする。
(組成範囲の限定理由)
本発明の光学ガラスの組成範囲の限定理由について説明するが、特記しない限り、各成分の含有量、合計含有量は質量%にて表示する。
SiO2、B23は、ともに網目形成酸化物であり、ガラス安定性の維持に必要な必須成分である。SiO2のB23の合計含有量が5%未満であるとガラス安定性の維持が困難となり、ガラス製造中に失透しやすくなり、上記合計含有量が32%を超えると屈折率が低下するため、SiO2とB23の合計含有量は5〜32%とする。SiO2とB23の合計含有量の好ましい範囲は5〜30%、より好ましい範囲は7〜28%、さらに好ましい範囲は9〜25%、一層好ましい範囲は12〜23%である。
網目形成酸化物のうち、SiO2は、ガラス安定性の維持、熔融ガラスの成形に適した粘性の維持、化学的耐久性の改善などの効果を有するが、過剰の導入により、所望の屈折率、アッベ数を実現することが困難になったり、液相温度やガラス転移温度が上昇したり、ガラスの熔融性や耐失透性が悪化する。
23は、ガラスの熔融性維持、液相温度上昇の抑制、低分散化といった効果を有するが、過剰の導入により、ガラス安定性が低下したり、所望の屈折率を得ることが困難になったり、化学的耐久性が悪化する。
SiO2とB23の合計含有量が上記のように定められている状況で、所望の光学特性を実現しつつ、ガラス安定性の維持、熔融ガラスの成形に適した粘性の維持、化学的耐久性の改善、液相温度やガラス転移温度の上昇抑制、熔融性の改善を同時に達成するには、SiO2含有量とB23含有量のバランスをとる必要がある。
23の含有量に対するSiO2の含有量の質量比(SiO2/B23)が0.3未満であると、ガラス安定性が低下したり、ガラス安定性や熔融ガラスの成形に適した粘性の維持が困難になるとともに、化学的耐久性が低下する傾向を示す。一方、上記質量比(SiO2/B23)が1.0を超えると、液相温度やガラス転移温度が上昇したり、ガラスの熔融性や耐失透性が悪化する。また、低分散化も困難になる。したがって、B23の含有量に対するSiO2の含有量の質量比(SiO2/B23)を0.3〜1.0とする。質量比(SiO2/B23)の好ましい範囲は0.3〜0.9、より好ましい範囲は0.4〜0.9、さらに好ましい範囲は0.4〜0.8である。
本発明の光学ガラスにおいて、所望の光学特性を実現しつつ、ガラス安定性の維持、熔融ガラスの成形に適した粘性の維持、化学的耐久性の改善、液相温度やガラス転移温度の上昇抑制、熔融性の改善を同時に達成する上から、SiO2の含有量を2〜15%とし、B23の含有量を6〜30%とするのが好ましい。SiO2の含有量のより好ましい範囲は4〜13%、さらに好ましい範囲は5〜12%、特に好ましい範囲は5〜10%であり、B23の含有量のより好ましい範囲は6〜25%、さらに好ましい範囲は8〜20%、特に好ましい範囲は9〜15%である。
なお、SiO2、B23の含有量を上記範囲にすることにより、ガラスの熔融性およびガラス安定性が改善されるので、熔融温度の上昇を抑えることができ、ガラス熔融設備を構成する白金などの耐熱性材料の侵蝕が抑制され、侵蝕物、例えば白金イオンのガラスへの混入による着色を抑制、低減することができる。
La23、Gd23、Y23は、高屈折率低分散特性を付与する成分であるとともに、高屈折率付与成分にあって、ガラスを着色させにくい成分でもある。したがって、ガラス安定性を維持しつつ、La23、Gd23、Y23の合計含有量を増量することができれば、着色の少ない高屈折率低分散ガラスを実現する上で非常に有効である。本発明では、後述するようにLa23、Gd23、Y23の配分を最適化したり、TiO2またはNb25の少なくとも一方を導入することによりガラス安定性を改善しているので、La23、Gd23、Y23の合計含有量を増量することができる。こうしたことも、着色の少ない高屈折率低分散ガラスを実現可能にする要因となっている。
La23、Gd23およびY23の合計含有量が45%未満であると所望の屈折率、分散を実現することが困難になるとともに化学的耐久性が低下する。一方、前記合計含有量が65%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化する。また、熔融ガラスを成形する際の粘性も低下するため、成形性も低下してしまう。したがって、La23、Gd23およびY23の合計含有量を45〜65%とする。La23、Gd23およびY23の合計含有量の好ましい範囲は47〜63%、より好ましい範囲は49〜61%、さらに好ましい範囲は51〜60%である。
La23、Gd23、Y23のうち、ガラス安定性を維持しつつ屈折率を高める効果が最も大きい成分はLa23である。しかし、本発明の光学ガラスは、低分散性を維持しつつ、屈折率が極めて高いため、上記3成分のうちLa23のみの使用では、十分なガラス安定性を確保することが困難となる。そこで、本発明では、3成分のうち、La23の含有量を最も多くしつつ、La23とGd23を共存させたり、La23とY23を共存させることにより、高屈折率低分散ガラスでありながら、優れたガラス安定性を実現している。
こうした理由から、La23、Gd23およびY23の合計含有量に対するGd23およびY23の合計含有量の質量比(Gd23+Y23)/(La23+Gd23+Y23)を0.05〜0.6とする。この範囲から外れるとガラス安定性が低下し、熔融ガラスを成形する際の粘性が低下し、成形性が損なわれる。ガラス安定性をより改善する上から、質量比(Gd23+Y23)/(La23+Gd23+Y23)を0.1〜0.5の範囲とすることが好ましく、0.1〜0.4の範囲とすることがより好ましく、0.1〜0.3の範囲とすることがさらに好ましい。
さらに、ガラス安定性の優れたガラスを得る上から、Gd23とY23の合計含有量に対するGd23の含有量の質量比(Gd23)/(Gd23+Y23)を0.1〜1の範囲にすることが好ましく、0.3〜1の範囲にすることがより好ましく、0.5〜1の範囲にすることがさらに好ましい。
本発明の光学ガラスの好ましい態様において、La23の含有量は25〜65%、Gd23の含有量は0〜25%、Y23の含有量は0〜20%とする。La23、Gd23、Y23の合計含有量およびLa23、Gd23、Y23の配分比を前記範囲にすることにより、好ましくは、La23、Gd23、Y23の各含有量を前記範囲内とすることにより、ガラス安定性がより改善され、熔融ガラスの成形性もより改善される。また、ガラス熔融温度の上昇を抑えることができ、熔融容器を構成する白金や白金合金がガラスによって侵蝕され、ガラス中にイオンとして溶け込んでガラスが着色したり、固形物として混入することを防止することができる。
La23の含有量の好ましい範囲は30〜60%、より好ましい範囲は30〜58%、さらに好ましい範囲は32〜55%であり、Gd23の含有量の好ましい範囲は0.1〜20%、より好ましい範囲は1〜18%、さらに好ましい範囲は2〜15%、一層好ましい範囲は5〜15%、より一層好ましい範囲は7〜15%であり、Y23の含有量の好ましい範囲は0.1〜18%、より好ましい範囲は0.1〜16%、さらに好ましい範囲は0.1〜10%である。
ZnOは、高屈折率低分散特性を実現する上で有用な必須成分であり、ガラスの熔融性、耐失透性を改善し、液相温度やガラス転移温度を低下させる働きをする。その量が0.5%未満であると屈折率が低下したり、液相温度が上昇し、耐失透性が悪化する。また、ガラス転移温度が上昇し、ガラスをアニールする際の温度や加熱、軟化してプレス成形する際の加熱温度を高くしなければならなくなる。一方、その量が10%を超えると所望の屈折率を実現することが困難になる。したがって、ZnOの含有量は0.5〜10%とする。ZnOの含有量のより好ましい範囲は1〜10%、さらに好ましい範囲は1〜8%である。
TiO2、Nb25は、ともに屈折率を高める働きが大きい成分である。La23、Gd23、Y23といった希土類酸化物成分だけで屈折率を高めようとするとガラス安定性が低下して製造が困難になるが、希土類酸化物とTiO2、Nb25の少なくとも一方を共存させることにより、ガラス安定性を維持しつつ、屈折率を高めることができる。また、TiO2、Nb25の少なくとも一方を導入することにより、ガラスの化学的耐久性も向上する。こうした効果を得る上から、TiO2およびNb25の合計含有量を1%以上とするが、上記合計含有量が20%を超えると液相温度が上昇するとともに、熔融ガラスを成形する際の粘性が低下して成形性が悪化する。また、ガラス転移温度も上昇してアニール温度を高くしたり、ガラス素材を加熱してプレス成形する際の加熱温度も高くしなくてはならなくなり、アニール設備やプレス成形型の熱的劣化が著しくなる。さらに、ガラスの着色も増大する。そのため、TiO2およびNb25の合計含有量を1〜20%とする。TiO2およびNb25の合計含有量の好ましい範囲は2〜20%、より好ましい範囲は2〜18%、さらに好ましい範囲は2〜16%である。
TiO2の含有量は、屈折率を高め、化学的耐久性および耐失透性をより改善する上から0.1%以上とすることが好ましいが、液相温度およびガラス転移温度を低く抑える上から15%以下とすることが好ましい。したがって、TiO2の含有量の好ましい範囲は0.1〜15%、より好ましい範囲は1〜15%、さらに好ましい範囲は2〜13%、一層好ましい範囲は2〜9%である。
Nb25の含有量は、屈折率を高め、液相温度をより低下させ、耐失透性を一層改善する観点から0.1%以上とするが、Nb25の含有量が15%を超えると液相温度の上昇傾向、高分散化傾向、ガラスの着色傾向が現れはじめるため、Nb25の含有量の好ましい範囲は0.1〜15%とする。Nb25の含有量のより好ましい範囲は1〜15%、さらに好ましい範囲は1〜13%、一層好ましい範囲は1〜9%である。
本発明において好ましい光学ガラスは、TiO2およびNb25がガラス成分として共存するガラスであり、高屈折率ガラスでありながら優れたガラス安定性を示す。
ZrO2は、屈折率を高め、化学的耐久性を改善する効果を有する。少量の導入でも優れた前記効果が得られる。しかし、その量が15%を超えると、ガラス転移温度や液相温度が上昇し、耐失透性が低下する。したがって、ZrO2の含有量は0〜15%とする。本発明の光学ガラスの好ましい態様において、ZrO2の含有量は0.5〜15%とする。ZrO2の含有量のより好ましい範囲は0.5〜13%、さらに好ましい範囲は1〜11%、特に好ましい範囲は2〜9%である。
WO3は、屈折率を高め、液相温度を低下させ、耐失透性の改善に寄与する成分であるが、WO3の量が2%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化してしまう。また、ガラスの着色も強まる。したがって、WO3の含有量は、0〜2%とする。WO3の含有量の好ましい範囲は0〜1.5%、より好ましい範囲は0〜1%、さらに好ましい範囲は0〜0.5%である。ガラスへの着色を考えると、WO3を含まないことがより一層好ましい。
Yb23は、屈折率を高める働きをし、La23と共存させることにより液相温度を低下させ、耐失透性を大幅に改善する働きをする。その量が20%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化する。したがって、Yb23の含有量は0〜20%とする。Yb23の含有量の好ましい範囲は0〜18%、より好ましい範囲は0〜16%、さらに好ましい範囲は0〜14%、一層好ましい範囲は0〜8%、より一層好ましい範囲は0〜5%、さらに一層好ましい範囲は0〜2%、なお一層好ましい範囲は0〜1%である。しかし、Yb23は、La23、Gd23、Y23に比べて高価な成分であり、Yb23を用いなくても十分なガラス安定性が得られることから、Yb23を導入しなくてもよい。その場合、ガラスの製造コストを低減することができるという効果を得ることができる。
Li2O、Na2OおよびK2Oは、熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きをする任意成分である。Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量が10%を超えると所望の屈折率を実現するのが困難になり、化学的耐久性も低下する。したがって、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量は0〜10%とする。Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量の好ましい範囲は0〜8%、より好ましい範囲は0〜6%、さらに好ましい範囲は0〜4%、一層好ましい範囲は0〜2%である。ガラス安定性を維持しつつ、ガラスをより高屈折率化する場合、上記アルカリ金属酸化物を含まないことがより一層好ましい。
MgO、CaO、SrOおよびBaOは、ガラスの熔融性や可視域における光線透過率を改善する働きをする。また、炭酸塩や硝酸塩の形でガラスに導入することにより、脱泡効果も得られる。しかし、その量が10%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化するほか、屈折率が低下し、化学的耐久性も悪化してしまう。したがって、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量を0〜10%とする。MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量の好ましい範囲は0〜8%、より好ましい範囲は0〜6%、さらに好ましい範囲は0〜4%、一層好ましい範囲は0〜2%、より一層好ましい範囲は0〜1%である。ガラス安定性を維持しつつ、ガラスをより高屈折率化する場合、アルカリ土類金属酸化物を含まないことがより一層好ましい。
Ta25は、高屈折率低分散化とガラス安定性の改善にとって極めて有効な成分であるが、非常に高価な成分であるため、本発明の目的である高屈折率低分散ガラスの安定供給を達成するため、その含有量を12%以下に抑える。Ta25の含有量を上記範囲にすると屈折率が低下したり、ガラス安定性が大幅に低下するが、TiO2、Nb25のうち少なくとも一方、好ましくはTiO2およびNb25の両方を含むことにより、高屈折率低分散特性とガラス安定性を損なうことなく、Ta25の含有量を削減することができる。
さらに、Ta25の含有量が12%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化する。したがって、Ta25の含有量は0〜12%とする。Ta25の含有量の好ましい範囲は0〜10%、より好ましい範囲は0〜8%、さらに好ましい範囲は0〜6%、一層好ましい範囲は0〜4%、より一層好ましい範囲は0〜2%、さらに一層好ましい範囲は0〜1%である。Ta25を含まないことが特に好ましい。
ただし、ガラス安定性の一層の改善を優先する場合は、少量のTa25を導入することが好ましい。少量のTa25を導入することにより、ガラス安定性を一層改善できるほか、高屈折率を維持しつつLa23の含有量を低減することができるので、ガラス熔融温度を低下することができる。熔融温度を低下させることにより、前述のように熔融容器の侵蝕とガラスの着色を低減、抑制することができる。
その場合のTa25の含有量の好ましい範囲は0.5〜12%、より好ましい範囲は1〜12%、さらに好ましい範囲は2〜12%である。
GeO2は、網目形成酸化物であり、屈折率を高める働きもするため、ガラス安定性を維持しつつ屈折率を高めることができる成分であるが、非常に高価な成分であり、Ta成分とともに、その量を控えることが望まれる成分である。本発明では、上記のように組成を決めているので、GeO2の含有量を5%以下に抑えても、所望の光学特性の実現と優れたガラス安定性の実現を両立することができる。従ってGeO2の含有量は0〜5%とする。GeO2の含有量の好ましい範囲は0〜3%、より好ましい範囲は0〜2.5%、さらに好ましい範囲は0〜2%であり、一層好ましい範囲は0〜1.5%であり、より一層好ましい範囲は0〜1%であり、なお一層好ましい範囲は0〜0.5%である。GeO2を含まないこと、すなわちGeフリーガラスであることが特に好ましい。前述のようにGeO2は網目形成酸化物であるから、GeO2の含有量を上記のように制限した光学ガラスは、所定量以上のGeO2の含有を前提にして高屈折率低分散特性を実現する光学ガラスとは基本組成を異にするガラスと言うことができる。また、GeO2は、ガラス安定性を維持しつつ屈折率を高めることができる特異な成分であり、高価なGeO2の使用量を制限し、上記屈折率およびアッベ数と優れたガラス安定性とを有する光学ガラスを提供することは、非常に意義深いことである。
Bi23は、屈折率を高めるとともにガラス安定性も高める働きをするが、その量が10%を超えると可視域における光線透過率が低下し、ガラスが着色傾向を示す。したがって、Bi23の含有量は0〜10%とする。Bi23の含有量の好ましい範囲は0〜5%、より好ましい範囲は0〜2%、さらに好ましい範囲は0〜1%であり、Bi23を含まないことが特に好ましい。
Al23は、少量であればガラス安定性および化学的耐久性を改善する働きをするが、その量が10%を超えると液相温度が上昇し、耐失透性が悪化する。したがって、Al23の含有量は0〜10%とする。Al23の含有量の好ましい範囲は0〜5%、より好ましい範囲は0〜2%、さらに好ましい範囲は0〜1%であり、Al23を含まないことが特に好ましい。
Sb23は、清澄剤として添加可能であり、少量の添加でFeなどの不純物混入による光線透過率の低下を抑える働きもするが、その強力な酸化作用によってプレス成形時、プレス成形型の成形面劣化を助長してしまう。また、Sb23の添加によりガラスの着色が増大傾向を示す。したがって、Sb23の添加量は、外割りで0〜1%が好ましく、より好ましくは0〜0.5%、さらに好ましくは0〜0.1%とする。Sb23を添加しないこと、すなわち、Sbフリーガラスであることが特に好ましい。
SnO2も清澄剤として添加可能であるが、外割りで1%を超えて添加するとガラスが着色したり、ガラスを加熱、軟化してプレス成形などの再成形をする際に、Snが結晶核生成の起点となって失透傾向が生じる。したがって、SnO2の添加量を外割りで0〜1%とすることが好ましく、0〜0.5%にすることがより好ましく、添加しないことが特に好ましい。
本発明の光学ガラスは、ガラス安定性を維持しつつ高屈折率低分散の光学特性を実現しており、Lu、Hfといった成分を含有させることを必要としない。Lu、Hfも高価な成分なので、Lu23、HfO2の含有量をそれぞれ0〜1%に抑えることが好ましく、それぞれ0〜0.5%に抑えることがより好ましく、Lu23を導入しないこと、HfO2を導入しないことがそれぞれ特に好ましい。
また、環境影響に配慮し、As、Pb、U、Th、Te、Cdも導入しないことが好ましい。
さらに、ガラスの優れた光線透過性を活かす上から、Cu、Cr、V、Fe、Ni、Coなどの着色の要因となる物質を導入しないことが好ましい。
(光学ガラスの特性)
本発明の光学ガラスの屈折率ndは1.89〜2.0である。上記光学ガラスでレンズを作製する場合、屈折率が高いほうが、同じ焦点距離のレンズを作製するにしても、レンズ面のカーブを緩くする(曲率半径の絶対値を大きくする)ことができ、レンズの作製が容易になる、あるいは収差の補正が容易になるなどの効果を得ることができる。また、複数のレンズを組み合わせて撮像光学系や投射光学系を構成する場合、光学系をコンパクトにすることもできる。
さらに撮像光学系や投射光学系などの光学系において、光路長を短縮化するため、プリズムを用いて光路を折り曲げる際、プリズムを構成するガラスの屈折率が高いほうが光路長を短縮化する上で有効である。また、撮像光学系においては画角を大きくすることができる。こうした理由から屈折率ndの下限を上記のように定める。一方、屈折率を過度に高めるとガラス安定性が低下し、ガラスの製造が困難になる傾向を示すため、屈折率ndの上限を上記のように定める。屈折率ndの好ましい下限は1.892、より好ましい下限は1.894、さらに好ましい下限は1.895、一層好ましい下限は1.90であり、好ましい上限は1.98、より好ましい上限は1.95、さらに好ましい上限は1.94、一層好ましい上限は1.93である。
本発明の光学ガラスのアッベ数νdは32〜38である。本発明の光学ガラスからなるレンズと高屈折率高分散ガラス製レンズとを組み合わせることによりコンパクトな色収差補正光学系を得ることができるが、こうした色収差補正光学系では、本発明の光学ガラスのアッベ数と高屈折率高分散ガラスのアッベ数の差が大きいほうが、コンパクトかつ良好な色収差補正を実現する上で有利になる。こうした理由からアッベ数νdの下限を上記値とする。一方、高屈折率を維持しつつ過度な低分散化を行うと、ガラス安定性や熔融ガラス成形性が低下し、ガラスの製造が困難になる。したがって、アッベ数νdの上限を上記値とする。アッベ数νdの好ましい下限は32.5、より好ましい下限は33.0、さらに好ましい下限は33.5、一層好ましい下限は34.0、より一層好ましい下限は34.5であり、アッベ数νdの好ましい上限は37.9、より好ましい上限は37.8、さらに好ましい上限は37.7である。
また、アッベ数νdが小さいガラス、すなわち分散が高いガラスのほうが、安定性や熔融ガラス成形時の粘性を維持しつつ、屈折率を高めやすい。しかし、上記光学特性の範囲内で、高屈折率低分散化してもガラス安定性や熔融ガラス成形性が維持されるため、光学設計上、特に有用な光学特性を実現することができる。こうした観点から、下記(1)式を満たす光学特性を有する光学ガラスが好ましく、下記(2)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがより好ましく、下記(3)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがさらに好ましく、下記(4)式を満たす光学特性を有する光学ガラスが一層好ましく、下記(5)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがより一層好ましく、下記(6)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがなお一層好ましい。
nd≧2.54−0.02×νd ・・・ (1)
nd≧2.55−0.02×νd ・・・ (2)
nd≧2.56−0.02×νd ・・・ (3)
nd≧2.57−0.02×νd ・・・ (4)
nd≧2.58−0.02×νd ・・・ (5)
nd≧2.59−0.02×νd ・・・ (6)
ここで、(1)式〜(6)式で定められる各範囲と屈折率ndの好ましい下限を組み合わせると、本発明の範囲において、
nd≧2.54−0.02×νd (ただし、νd>32.5) かつ
nd≧1.89 (ただし、νd≦32.5)
で定められる範囲が好ましく、
nd≧2.55−0.02×νd (ただし、νd>33.0) かつ
nd≧1.89 (ただし、νd≦33.0)
で定められる範囲がより好ましく、
nd≧2.56−0.02×νd (ただし、νd>33.5) かつ
nd≧1.89 (ただし、νd≦33.5)
で定められる範囲がさらに好ましく、
nd≧2.57−0.02×νd (ただし、νd>34.0) かつ
nd≧1.89 (ただし、νd≦34.0)
で定められる範囲が一層好ましく、
nd≧2.58−0.02×νd (ただし、νd>34.5) かつ
nd≧1.89 (ただし、νd≦34.5)
で定められる範囲がより一層好ましく、
nd≧2.59−0.02×νd (ただし、νd>35.0) かつ
nd≧1.89 (ただし、νd≦35.0)
で定められる範囲がなお一層好ましい。
上記の例は、屈折率ndが1.89以上、かつ(1)式〜(6)式が成り立つ範囲であるが、屈折率ndが1.892以上かつ(1)式〜(6)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.894以上かつ(1)式〜(6)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.895以上かつ(1)式〜(6)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.90以上かつ(1)式〜(6)式が成り立つ範囲も各々、同様に定義することができる。
一方、より一層優れたガラス安定性を実現する上から、下記(7)式を満たす光学特性を有する光学ガラスが好ましく、下記(8)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがより好ましく、下記(9)式を満たす光学特性を有する光学ガラスがさらに好ましい。
nd≦2.69−0.02×νd ・・・ (7)
nd≦2.68−0.02×νd ・・・ (8)
nd≦2.67−0.02×νd ・・・ (9)
ここで、(7)式〜(9)式で定められる各範囲と屈折率ndの好ましい上限を組み合わせると、本発明の範囲において、
nd≦2.69−0.02×νd (ただし、νd>34.5) かつ
nd≦2.0 (ただし、νd≦34.5)
で定められる範囲が好ましく、
nd≦2.68−0.02×νd (ただし、νd>34.0) かつ
nd≦2.0 (ただし、νd≦34.0)
で定められる範囲がより好ましく、
nd≦2.67−0.02×νd (ただし、νd>33.5) かつ
nd≦2.0 (ただし、νd≦33.5)
で定められる範囲がさらに好ましい。
上記の例は、屈折率ndが2.0以下、かつ(7)式〜(9)式が成り立つ範囲であるが、屈折率ndが1.98以下かつ(7)式〜(9)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.95以下かつ(7)式〜(9)式が成り立つ範囲、屈折率ndが1.94以下かつ(7)式〜(9)式が成り立つ範囲も各々、同様に定義することができる。
(ガラスの着色)
本発明の光学ガラスの着色度λ70は430nm以下である。着色度λ70は、互いに平行で、光学研磨された2つの対向する平面を有する厚さ10±0.1mmのガラスを用い、280nmから700nmまでの波長域での分光透過率を測定し、透過率70%を示す波長に相当する。ここで、分光透過率あるいは透過率とは、ガラスの上記表面に対して垂直に強度Iinの光を入射し、ガラスを透過して一方の平面から強度Ioutの光が出射する場合において、Iout/Iinによって表される量であり、ガラスの上記平面における表面反射損失も含まれた透過率である。
表面反射損失はガラスの屈折率が高いほど大きくなる。そのため、高屈折率ガラスにおいてλ70が小さいということは、ガラス自体の着色が極めて少ないことを意味する。λ70を430nm以下にすることにより、カラーバランスの優れた撮像光学系あるいは投射光学系を構成する光学素子を提供することができる。撮像光学系あるいは投射光学系では、諸々の収差を補正するため、複数枚のレンズを用いる。そのため、着色したガラスからなるレンズを用いると光学系全体の透過光量が低下してしまうという問題がある。特に一眼レフカメラの交換レンズでは、口径が大きいことからレンズの肉厚が厚く、着色したガラスを用いると透過光量の低下が著しくなる。本発明の光学ガラスを用いてレンズを作製すれば、高屈折率低分散ガラスでありながら着色が極めて少ないため、レンズ1枚としても光学系全体としても透過光量を十分確保することができる。さらに、着色の少ないことと、高屈折率低分散性を備えることがあいまって、撮像光学系や投射光学系をコンパクトにすることもできる。こうしたことから、本発明の光学ガラスは、撮像光学系や投射光学系を構成する光学素子材料として好適であり、特に一眼レフカメラの交換レンズを構成する光学素子用材料として好適である。
こうした要求に応えるためには、λ70が上記範囲のある光学ガラスが必要であるが、さらに、本発明の光学ガラスにおいて、好ましい着色度の範囲はλ70が425nm以下の範囲であり、より好ましい着色度の範囲はλ70が420nm以下の範囲であり、さらに好ましい着色度の範囲はλ70が415nm以下の範囲であり、一層好ましい着色度の範囲はλ70が410nm以下の範囲であり、より一層好ましい着色度の範囲はλ70が405nm以下の範囲である。なお、λ70の下限は、屈折率などのガラスの特性や組成によって自ずと定まる。
なお、λ70以外の着色度としてはλ80、λ5もある。λ80は透過率80%を示す波長、λ5は透過率5%を示す波長である。
(液相温度におけるガラスの粘性)
高屈折率ガラス、特に高屈折率低分散ガラスは、熔融ガラス成形時の失透を防止するため、全般的に熔融ガラス流出、成形時の温度を高くする。そのため、流出、成形時の粘性が非常に低く、高品質のガラスを高い生産性のもとに製造することが難しい。
例えば、ガラス流出温度が高いと、高温のガラス表面から特定の揮発しやすいガラス成分が揮発してガラス表面が変質する。その結果、ガラス表面に脈理と呼ばれる光学的に不均質な部分ができてしまう。また、流出、成形時の粘性が低いと流出したガラスの表面が内部に巻き込まれ、ガラス内部に脈理が生じてしまう。また、流出時の温度が高いと高温のガラスと接触する鋳型が熱的に劣化、消耗しやすくなる。
高屈折率低分散ガラスにおいて、液相温度における粘性を確保できれば、熔融ガラスの成形性を改善することができ、高品質のガラスを高い生産性のもとに供給することができる。また、液相温度の上昇抑制も高品質ガラスの生産性向上にとって有利に働く。
こうした理由から、本発明において、液相温度における粘度が1dPa・s以上の光学ガラスであることが好ましい。前記粘性特性を付与することにより、高屈折率低分散ガラスの熔融ガラス成形性を飛躍的に改善することができる。上記成形性を一層改善する上から、液相温度における粘度を1.2dPa・s以上とすることが好ましく、1.4dPa・s以上とすることがより好ましく、1.6dPa・s以上とすることがさらに好ましく、2.0dPa・s以上とすることが一層好ましく、2.5dPa・s以上とすることが一層好ましい。液相温度における粘度の上限は上記ガラス組成範囲から自ずと制限されるが、目安として30dPa・s以下と考えればよい。
また、前述の観点から本発明の光学ガラスにおいて、液相温度を1300℃以下にすることが好ましく、1280℃以下にすることがより好ましく、1250℃以下にすることがさらに好ましい。液相温度の下限もガラス組成から自ずと制限されるが、目安として1000℃以上と考えればよい。
(ガラス転移温度)
本発明の光学ガラスは、複数の高屈折率付与成分をバランスよく導入し、特定の高屈折率付与成分の含有量が突出して多くならないようにしている。また、ZnOを必須成分として導入しているため、高屈折率低分散ガラスとしてはガラス転移温度を低く抑えることができる。
本発明の光学ガラスにおいてガラス転移温度の好ましい範囲は710℃以下、より好ましい範囲は700℃以下、さらに好ましい範囲は695℃以下である。ガラス転移温度を低く抑えることにより、ガラスのアニール温度の上昇を抑えることができ、アニール設備の熱的劣化、消耗を抑制することができる。また、ガラスを再加熱、軟化してプレス成形する際の加熱温度も低く抑えることができるため、プレス成形型などのプレス成形設備の熱的劣化、消耗を抑制することができる。アニール炉やアニール炉内でガラスを移動する装置、プレス成形装置などにはステンレス鋼が用いられる場合が多い。ステンレス鋼の変形温度は700℃付近であるため、ガラス転移温度を上記範囲、特に700℃以下、好ましくは695℃以下に抑えることにより、上記各工程におけるステンレス鋼の変形を防止することができる。
ガラス転移温度の下限はガラス組成から自ずと制限されるが、目安として650℃以上と考えればよい。
(再加熱時の耐失透性)
本発明の光学ガラスは、ガラスを再加熱して成形する際の耐失透性にも優れている。本発明の光学ガラスの好ましいものでは、ガラス試料を600℃〜800℃で、10分間ガラスを保持し(一次熱処理)、その後820℃〜900℃に昇温し、当該温度にて10分間保持(二次熱処理)した後でもガラス内部に結晶の析出は認められない。図1は、後記する実施例1で得たガラスの一次熱処理および二次熱処理(再加熱)の温度とガラス内部に析出した結晶数密度の関係を示すものである。図1より、再加熱時の結晶数密度が極めて低く、耐失透性が極めて優れたガラスであることがわかる。なお、上記テストを行う場合、ガラス試料としては、切断、研磨により得たものが好ましく、例えば、大きさ15×15×15mmのものを用いることができる。なお、結晶析出の有無は、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で拡大観察することにより行うことができる。
また、切断、バレルを施したガラス試料(試料重量=6.05 g)を用いて、例えば図2に示す加熱スケジュールに従い、再加熱しプレス成形を行ったところ、プレス成形したガラスの内部に結晶の析出は確認されなかった。
このように、本発明の光学ガラスは耐失透性に優れているため、高品質なプレス成形品を成形できるプレス成形用ガラス素材の材料として好適である。
(光学ガラスの製造方法)
次に本発明の光学ガラスの製造方法について説明する。例えば、粉体状の化合物原料、すなわち、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物などを目的のガラス組成に対応して秤量、調合して得られる未ガラス化原料、あるいは、化合物原料を粗熔融(ラフメルト)して得られるカレット原料を目的のガラス組成に対応して秤量、調合したガラス化原料を用いて、白金合金製の熔融容器内に供給した後、これを加熱、熔融する。上記原料を完全に熔融して熔融ガラス(ガラス融液)を得た後、この熔融ガラスの温度を上昇させて清澄を行う。清澄した熔融ガラスを攪拌器を用いて攪拌、均質化し、ガラス流出パイプに連続供給、流出し、急冷、固化してガラス成形体を得る。
得られたガラス成形体をアニールし、成形体内部の歪を低減もしくは除去し、必要に応じて屈折率を微調整して、光学素子の材料もしくはプレス成形用ガラス素材用の材料とする。
次に本発明のプレス成形用ガラスゴブについて説明する。
[プレス成形用ガラスコブ]
本発明のプレス成形用ガラスゴブは上記した本発明の光学ガラスからなることを特徴とする。ゴブの形状は、目的とするプレス成形品の形状に応じてプレス成形しやすい形状にする。また、ゴブの質量もプレス成形品に合わせて設定する。本発明においては、安定性の優れたガラスを使用しているので、再加熱、軟化してプレス成形してもガラスが失透しにくく、高品質の成形品を安定して生産することができる。
プレス成形用ガラスゴブの製造例は以下のとおりである。
第1の製造例においては、流出パイプの下方に水平に配置した鋳型にパイプから流出する熔融ガラスを連続的に鋳込み、一定の厚みを有する板状に成形する。成形されたガラスは鋳型側面に設けた開口部から水平方向へと連続して引き出される。板状ガラス成形体の引き出しはベルトコンベアによって行う。ベルトコンベアの引き出し速度を一定にしてガラス成形体の板厚が一定になるように引き出すことにより、所定の厚み、板幅のガラス成形体を得ることができる。ガラス成形体はベルトコンベアによりアニール炉内へと搬送され、徐冷される。徐冷したガラス成形体を板厚方向に切断あるいは割断し、研磨加工を施したり、バレル研磨を施してプレス成形用ガラスゴブにする。
第2の製造例においては、上記鋳型の代わりに円筒状の鋳型内に熔融ガラスを鋳込んで円柱状のガラス成形体を成形する。鋳型内で成形されたガラス成形体は鋳型底部の開口部から一定の速度で鉛直下方に引き出される。引き出し速度は鋳型内での熔融ガラス液位が一定になるように行えばよい。ガラス成形体を徐冷した後、切断もしくは割断して、研磨加工またはバレル研磨を施してプレス成形用ガラスゴブとする。
第3の製造例においては、流出パイプの下方に円形のターンテーブルの円周上に複数個の成形型を等間隔に配置した成形機を流出パイプの下方に設置し、ターンテーブルをインデックス回転し、成形型の停留位置の一つを成形型に熔融ガラスを供給する位置(キャスト位置という)として熔融ガラスを供給し、供給した熔融ガラスをガラス成形体に成形した後、キャスト位置とは異なる所定の成形型の停留位置(テイクアウト位置)からガラス成形体を取り出す。テイクアウト位置をどの停留位置にするかは、ターンテーブルの回転速度、ガラスの冷却速度などを考慮して定めればよい。キャスト位置における成形型への熔融ガラスの供給は、流出パイプのガラス流出口から熔融ガラスを滴下し、ガラス滴を上記成形型で受ける方法、キャスト位置に停留する成形型をガラス流出口に近づけて流出する熔融ガラス流の下端部を支持し、ガラス流の途中にくびれを作り、所定のタイミングで成形型を鉛直方向に急降下することによりくびれより下の熔融ガラスを分離して成形型上に受ける方法、流出する熔融ガラス流を切断刃で切断し、分離した熔融ガラス塊をキャスト位置に停留する成形型で受ける方法などにより行うことができる。
成形型上でのガラスの成形は公知の方法を用いればよい。中でも成形型から上向きにガスを噴出してガラス塊に上向きの風圧を加え、ガラスを浮上させながら成形すると、ガラス成形体の表面にシワができたり、成形型との接触によってガラス成形体にカン割れが発生するのを防止することができる。
ガラス成形体の形状は、成形型形状の選択や上記ガスの噴出の仕方により、球状、回転楕円体状、回転対象軸を1つ有し、該回転対象軸の軸方向を向いた2つの面が共に外側に凸状である形状等にすることができる。これらの形状はレンズなどの光学素子あるいは光学素子ブランクをプレス成形するためのガラスゴブに好適である。このようにして得られたガラス成形体はそのまま、あるいは表面を研磨あるいはバレル研磨してプレス成形用ガラスゴブにすることができる。
[光学素子]
次に本発明の光学素子について説明する。
本発明の光学素子は、上記した本発明の光学ガラスからなることを特徴とする。本発明の光学素子は、高屈折率低分散特性を有し、Ta25やGeO2などの高価な成分の含有量が少量またはゼロに抑えられているので、低コストにて光学的な価値の高い各種レンズ、プリズムなどの光学素子を提供することができる。
レンズの例としては、レンズ面が球面または非球面である、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種レンズを示すことができる。
こうしたレンズは、高屈折率高分散ガラス製のレンズと組み合わせることにより色収差を補正することができ、色収差補正用のレンズとして好適である。また、光学系のコンパクト化にも有効なレンズである。
さらに本発明の光学素子は、着色度λ70が430nm以下の光学ガラスにより構成されるので、高い光線透過率が求められる撮像光学系、特に交換レンズ(例えば、一眼レフカメラの交換レンズ)や、投射光学系に組み込む光学素子として好適である。
また、プリズムについては、屈折率が高いので撮像光学系に組み込むことにより、光路を曲げて所望の方向に向けることによりコンパクトで広い画角の光学系を実現することもできる。
なお本発明の光学素子の光学機能面には、反射防止膜などの光線透過率を制御する膜を設けることもできる。
[光学素子ブランクの製造方法]
次に本発明の光学素子ブランクの製造方法について説明する。
本発明の光学素子ブランクの製造方法には、以下に示す2つの態様がある。
(第1の光学素子ブランクの製造方法)
本発明の第1の光学素子ブランクの製造方法は、研削、研磨により光学素子に仕上げられる光学素子ブランクの製造方法において、上記した本発明のプレス成形用ガラスゴブを加熱、軟化してプレス成形することを特徴とする。
本発明によれば、再加熱時の耐失透性が優れた上記本発明の光学ガラスからなるゴブを用いるため、ガラスを失透させずに光学素子ブランクを生産することができる。また、着色の少ないガラスを用いるため、透過光量が十分でカラーバランスの優れた光学素子を得るためのブランクを生産することもできる。
光学素子ブランクは、目的とする光学素子の形状に、研削、研磨により除去する加工しろを加えた光学素子の形状に近似する形状を有するガラス成形体である。
光学素子ブランクを作製するにあたり、該ブランクの形状を反転した形状の成形面を有するプレス成形型を用意する。プレス成形型は上型、下型そして必要に応じて胴型を含む型部品によって構成され、上下型の成形面、あるいは胴型を使用する場合は胴型成形面を前述の形状にする。
次にプレス成形用ガラスゴブの表面に窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布し、加熱、軟化してから予熱された下型に導入し、下型と対向する上型とでプレスし、光学素子ブランクに成形する。
次に光学素子ブランクを離型してプレス成形型から取り出し、アニール処理する。このアニール処理によってガラス内部の歪を低減し、屈折率などの光学特性が所望の値になるようにする。
ガラスゴブの加熱条件、プレス成形条件、プレス成形型に使用する材料などは公知のものを適用すればよい。以上の工程は大気中で行うことができる。
(第2の光学素子ブランクの製造方法)
本発明の第2の光学素子ブランクの製造方法は、研削、研磨により光学素子に仕上げられる光学素子ブランクの製造方法において、ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスをプレス成形し、上記した本発明の光学ガラスからなる光学素子ブランクを作製することを特徴とする。
上型、下型、必要に応じて胴型を含む型部品によりプレス成形型を構成する。前述のように光学素子ブランクの表面形状を反転した形状にプレス成形型の成形面を加工する。
下型成形面上に窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布し、前述の光学ガラスの製造方法にしたがい熔融した熔融ガラスを下型成形面上に流出し、下型上の熔融ガラス量が所望の量になったところで熔融ガラス流をシアと呼ばれる切断刃で切断する。こうして下型上に熔融ガラス塊を得た後、上方に上型が待機する位置に熔融ガラス塊ごと下型を移動し、上型と下型とでガラスをプレスし、光学素子ブランクに成形する。
次に光学素子ブランクを離型してプレス成形型から取り出し、アニール処理する。このアニール処理によってガラス内部の歪を低減し、屈折率などの光学特性が所望の値になるようにする。
ガラスゴブの加熱条件、プレス成形条件、プレス成形型に使用する材料などは公知のものを適用すればよい。以上の工程は大気中で行うことができる。
第2の光学素子ブランクの製造方法もガラスを失透させずにブランクを生産することができる。また、透過光量が十分確保された光学素子を得るためのブランクを提供することもできる。
次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、2つの態様に大別することができる。
本発明の光学素子の製造方法の第一の態様(光学素子の製法Iという。)は、上記した本発明の方法で光学素子ブランクを作製し、該光学素子ブランクを研削、研磨することを特徴とする。研削、研磨は公知の方法を適用することができる。光学素子の製法Iは球面レンズやプリズムなどの製造に好適である。
本発明の光学素子の製造方法の第二の態様(光学素子の製法IIという。)は、上記本発明のプレス成形用ガラスゴブを加熱し、精密プレス成形する光学素子の製造方法である。精密プレス成形には公知のプレス成形型を使用し、公知の成形方法を適用することができる。光学素子の製法IIは非球面レンズやマイクロレンズ、回折格子などの製造に好適である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何等限定されるものではない。
(実施例1)
まず、表1〜表6に示す組成を有するガラスNo.1〜22が得られるように、原料として炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸などを用い、各原料粉末を秤量して十分混合し、調合原料とし、この調合原料を白金製坩堝に入れて1200〜1400℃で1〜3時間、加熱、熔融し、清澄、撹拌して均質な熔融ガラスした。この熔融ガラスを予熱した鋳型に流し込んで急冷し、ガラス転移温度近傍の温度で2時間保持した後、徐冷してガラスNo.1〜22の各光学ガラスを得た。いずれのガラス中にも結晶の析出は認められなかった。
なお、各ガラスの特性は、以下に示す方法で測定した。測定結果を表1〜表6に示す。
(1)屈折率ndおよびアッベ数νd
1時間あたり30℃の降温速度で冷却した光学ガラスについて測定した。
(2)ガラス転移温度Tg
熱機械分析装置を用いて、昇温速度4℃/分の条件下で測定した。
(3)液相温度LT
ガラスを所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。
(4)液相温度における粘度
粘度JIS規格 Z8803、共軸二重円筒形回転粘度計による粘度測定方法により粘度を測定した。
(5)比重
アルキメデス法により測定した。
(6)λ70、λ80、λ5
互いに対向する2つの光学研磨された平面を有する厚さ10±0.1mmのガラス試料を用いて分光透過率を測定し、その結果から算出した。
(7)部分分散比Pg,F
屈折率nF、nc、ngを測定し、それらの結果から算出した。
(実施例2)
次に実施例1のNo.1〜22の各光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブを次のようにして作製した。
まず、上記各ガラスが得られるようにガラス原料を調合し、白金製坩堝に投入し、加熱、熔融し、清澄、撹拌して均質な熔融ガラスを得た。次に、熔融ガラスを流出パイプから一定流量で流出し、流出パイプの下方に水平に配置した鋳型に鋳込み、一定の厚みを有するガラス板を成形した。成形されたガラス板を鋳型側面に設けた開口部から水平方向へと連続して引き出し、ベルトコンベアにてアニール炉内へと搬送し、徐冷した。
徐冷したガラス板を切断あるいは割断してガラス片を作り、これらガラス片をバレル研磨してプレス成形用ガラスゴブにした。
なお、流出パイプの下方に円筒状の鋳型を配置し、この鋳型内に熔融ガラスを鋳込んで円柱状ガラスに成形し、鋳型底部の開口部から一定の速度で鉛直下方に引き出した後、徐冷し、切断もしくは割断してガラス片を作り、これらガラス片をバレル研磨してプレス成形用ガラスゴブを得ることもできる。
(実施例3)
実施例2と同様に熔融ガラスを流出パイプから流出し、成形型で流出する熔融ガラス下端を受けた後、成形型を急降下し、表面張力によって熔融ガラス流を切断し、成形型上に所望の量の熔融ガラス塊を得た。そして、成形型からガスを噴出してガラスに上向きの風圧を加え、浮上させながらガラス塊に成形し、成形型から取り出してアニールした。それからガラス塊をバレル研磨してプレス成形用ガラスゴブとした。
(実施例4)
実施例3で得た各プレス成形用ガラスゴブの全表面に窒化ホウ素粉末からなる離型剤を均一に塗布した後、上記ゴブを図2に示す加熱スケジュールで加熱、軟化してプレス成形し、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種レンズ、プリズムのブランクを作製した。
(実施例5)
実施例2と同様にして熔融ガラスを作り、熔融ガラスを窒化ホウ素粉末の離型剤を均一に塗布した下型成形面に供給し、下型上の熔融ガラス量が所望量になったところで熔融ガラス流を切断刃で切断した。
こうして下型上に得た熔融ガラス塊を上型と下型でプレスし、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種レンズ、プリズムのブランクを作製した。
(実施例6)
実施例4、5で作製した各ブランクをアニールした。アニールによってガラス内部の歪を低減し、屈折率などの光学特性が所望の値になるようにする。
次に各ブランクを研削、研磨して凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種レンズ、プリズムを作製した。得られた光学素子の表面には反射防止膜をコートしてもよい。
(実施例7)
実施例2と同様にしてガラス板および円柱状ガラスを作製し、得られたガラス成形体をアニールして内部の歪を低減するとともに、屈折率などの光学特性が所望の値になるようした。
次にこれらガラス成形体を切断、研削、研磨して凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種レンズ、プリズムのブランクを作製した。得られた光学素子の表面に反射防止膜をコートしてもよい。
(実施例8)
実施例2で作製したガラスゴブを加熱、軟化し、プレス成形型を用いて精密プレス成形し、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズなど各種非球面レンズを作製した。得られたレンズの表面に反射防止膜をコートしてもよい。
本発明は、安定供給が可能であり、かつ着色が極めて少なく、優れたガラス安定性を有する高屈折率低分散性を備える光学ガラスであって、プレス成形用ガラスゴブ、光学素子ブランクおよび光学素子に好適である。

Claims (22)

  1. 質量%表示で、
    SiO2を5〜12%、
    23を9〜15%、
    La23を32〜55%、
    La23、Gd23およびY23を合計で56.32〜65%(Gd23を0.1%以上含む)、
    ZnOを1〜8%、
    TiO2およびNb25を合計で1〜20%(TiO2およびNb25をそれぞれ0.1%以上含む)、
    ZrO2を0.5〜15%、
    Ta25 を0〜12%、
    GeO2を0〜5%、
    含み、
    23の含有量に対するSiO2の含有量の質量比(SiO2/B23)が0.3〜1.0、La23、Gd23およびY23の合計含有量に対するGd23およびY23の合計含有量の質量比(Gd23+Y23)/(La23+Gd23+Y23)が0.05〜0.6であり、
    屈折率ndが1.90〜2.0、アッベ数νdが32〜38、かつ着色度λ70が430nm以下であることを特徴とする光学ガラス。
  2. Li2O、Na2OおよびK2Oをいずれも含まない請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 質量%表示で、Gd23を0.1〜25%含む請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. 質量%表示で、
    TiO2を0.1〜15%、
    Nb25を0.1〜15%、
    含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  5. ZrO2を0.5〜15質量%含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  6. Ta25の含有量が0〜10質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  7. Geフリーガラスである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  8. 23の含有量に対するSiO2の含有量の質量比(SiO2/B23)が0.3〜0.9である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  9. La23、Gd23およびY23の合計含有量に対するGd23およびY23の合計含有量の質量比(Gd23+Y23)/(La23+Gd23+Y23)が0.1〜0.5である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  10. Gd23とY23の合計含有量に対するGd23の含有量の質量比(Gd23)/(Gd23+Y23)が0.1〜1である請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  11. 着色度λ70が425nm以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  12. 液相温度が1300℃以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  13. ガラス転移温度が710℃以下である請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  14. ガラス転移温度が650℃以上である請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  15. ガラス転移温度が681℃以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  16. 比重が4.94〜5.24である請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ。
  18. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
  19. 研削、研磨により光学素子に仕上げられる光学素子ブランクの製造方法において、
    請求項17に記載のプレス成形用ガラスゴブを加熱、軟化してプレス成形することを特徴とする光学素子ブランクの製造方法。
  20. 研削、研磨により光学素子に仕上げられる光学素子ブランクの製造方法において、
    ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスをプレス成形し、請求項1〜16のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子ブランクを作製することを特徴とする光学素子ブランクの製造方法。
  21. 請求項19または20に記載の方法により光学素子ブランクを作製し、該光学素子ブランクを研削、研磨することを特徴とする光学素子の製造方法。
  22. 請求項17に記載のプレス成形用ガラスゴブを加熱し、精密プレス成形する光学素子の製造方法。
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