JP2014009113A - 光学ガラスおよびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】高屈折率ガラスでありながら、優れた熔融性を示す光学ガラスを提供する。
【解決手段】屈折率ndが2.02以上であり、かつ粘度が1.0dPa・sとなる温度が1100℃以下であることを特徴とする光学ガラス。また液相温度が1100℃以下であり、ガラス成分中にカチオン成分として、P5+を10カチオン%以上、ならびにTi4+、Nb5+、Bi3+、W6+およびTe4+を合計で50カチオン%以上含むことを特徴とする光学ガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、高屈折率の光学ガラスおよびその製造方法、前記光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材および光学素子、ならびに前記光学素子の製造方法に関する。
撮像光学系や投射光学系の高機能化、コンパクト化にとって、特許文献1に記載されている光学ガラスのように屈折率の高い光学ガラスからなる光学素子は有効である。
特開2012−91989号公報
一般的な光学ガラスの製造工程では、石英製坩堝などの耐火物製熔融容器を用いて化合物原料(バッチ原料)を粗熔解してカレット原料を作製し、次にカレット原料を白金または金などの貴金属製熔融容器を用いて熔融、清澄、均質化し、得られた熔融ガラスを成形して光学ガラスを得る。熔融後に行われる清澄は、熔融ガラス中の泡を除くために行われる工程であり、熔融ガラスを昇温させて粘度を低下させ、ガラス中の泡切れを促進させる。
ガラスの屈折率を高めるために高屈折率成分の含有量を増加させていくと、ガラスの熔融性を改善する働きのあるリン酸成分、ホウ酸成分、アルカリ金属成分、2価金属成分などの含有量が相対的に低下する。その結果、ガラスの熔融性は悪化傾向を示す。そのため、従来の高屈折率ガラスでは、熔融性に劣るガラス原料を完全に融液化するために、熔融温度を高くする、熔融時間を長くするなどの措置がとられていた。しかし、熔融温度を高くして熔融された従来の高屈折率ガラスは、ガラスの着色やガラス中に異物が発生する現象が見られ、光学素子材料として好適な光学ガラスを得ることは困難であった。
かかる状況下、本発明は、高屈折率ガラスでありながら、優れた熔融性を示す光学ガラスを提供することを目的とする。
光学ガラスの一般的な製造工程では、カレット原料を熔解して融液化した後、融液の温度を上昇させて清澄を行い、清澄後に融液の温度を下げてからガラスを流出、成形する。カレット原料の作製における粗熔解は、バッチ原料が熔融する過程で激しい侵蝕性を示すことから、石英などの耐火物製の熔融器具を用いて行われる。しかし、カレット原料を熔解、清澄、均質化する工程では耐火物製容器を用いると耐火物がガラス中に溶け込み、均質な熔融ガラスを得ることが難しく、屈折率などの光学特性も変動してしまうため、白金、金などの貴金属製の容器を用いることが好ましい。
しかし、ガラス融液の温度が高くなると、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+、Te4+などの高屈折率成分が還元されてガラスの着色(所謂、還元色)が増大したり、ガラス熔融容器を構成する白金、金などの金属材料がイオンとしてガラスに溶け込み、ガラスを着色させたりガラス中の異物を増加させる現象が発生してしまう。
上記の貴金属製容器を用いて行う一連の工程のうち、ガラス融液の温度は清澄時が最も高い。そこで本発明者は、高屈折率ガラスの清澄時のガラス融液の温度を低くすべく鋭意検討を重ねた。その結果、屈折率ndを2.0を超える範囲、具体的には2.02以上としつつ、清澄温度が1100℃以下になるような粘性特性、具体的には、粘度が1.0dPa・sとなる温度が1100℃以下となる粘度特性を付与することにより、ガラスの着色および異物の増加を抑制しつつ、泡切れ不良のない高屈折率ガラスを得ることができることを見出した。清澄はガラス融液の気泡が浮上し融液から排出されやすいよう、熔融ガラスの粘度が1.0dPa・s程度となる温度で行うことが好ましい。したがって、熔融ガラスの粘度が1.0dPa・sとなる温度が低いほど、清澄を低温で行うことが可能となるため、ガラス融液を高温にすることに起因する着色や異物発生を抑制することが可能となる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]屈折率ndが2.02以上であり、かつ粘度が1.0dPa・sとなる温度が1100℃以下であることを特徴とする光学ガラス。
[2]液相温度における粘度が1.0dPa・s以上である[1]に記載の光学ガラス。
[3]液相温度が1100℃以下である[1]または[2]に記載の光学ガラス。
[4]屈折率ndとアッベ数νdとが下記関係式(1)を満たす[1]〜[3]のいずれかに記載の光学ガラス。
νd<39.0−10×nd ・・・・・ (1)
[5]ガラス成分中にカチオン成分として、P5+を10カチオン%以上含む[1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラス。
[6]ガラス成分中にカチオン成分として、Ti4+、Nb5+、Bi3+、W6+およびTe4+を合計で50カチオン%以上含む[1]〜[5]のいずれかに記載の光学ガラス。
[7]ガラス原料を加熱により熔融し、得られた熔融ガラスを清澄し、清澄した熔融ガラスを成形することを含む光学ガラスの製造方法において、
前記ガラス原料を、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学ガラスが得られるように調合することを特徴とする光学ガラスの製造方法。
[8]前記熔融を、白金、白金合金、金または金合金を用いて作製した熔融ガラス容器を用いて行う[7]に記載の光学ガラスの製造方法。
[9][1]〜[6]のいずれかに記載の光学ガラスよりなるプレス成形用ガラス素材。
[10][1]〜[6]のいずれかに記載の光学ガラスよりなる光学素子。
[11][1]〜[6]のいずれかに記載の光学ガラスを加工することにより、または[7]もしくは[8]に記載の方法により光学ガラスを作製し、作製した光学ガラス加工することにより、光学素子を得る光学素子の製造方法。
本発明によれば、光学ガラスの高屈折率化と熔融性の改善を両立することができる。したがって、屈折率ndが2.02以上でありながら、清澄温度の上昇が抑制された光学ガラスの提供が可能となる。優れた熔融性を有する光学ガラスによれば、ガラス清澄温度を過剰に高くすることなく均質がガラスを得ることができるので、熔融容器を構成する貴金属などの材料が熔融ガラスに溶け込むことによるガラスの着色や、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+などの高屈折率付与成分が熔融中に還元されることによる着色の増大を抑制することができる。
さらに本発明によれば、上記光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子、例えば撮像光学系、投射光学系などの光学系のコンパクト化、高機能化に適した光学素子、およびそれらの製造方法を提供することができる。
光学ガラス
本発明の光学ガラスは、屈折率ndが2.02以上であり、かつ粘度が1.0dPa・sとなる温度が1100℃以下である。
以下、本発明の光学ガラスについて詳説する。
清澄時の泡切れを促進する上から、熔融ガラスの清澄温度はガラスの粘度が1.0dPa・sを示す温度程度とすることが好ましい。金属製熔融容器中で行うプロセスにおいて、ガラスの温度は清澄時に最も高くなることから、粘度が1.0dPa・sを示す温度を1100℃以下にすることにより、十分な清澄性を維持しつつガラス熔融工程を1100℃以下で行うことが可能になる。その結果、熔融ガラスにより白金、金などの金属製熔融容器が侵蝕されにくくなり、白金イオン、金イオンなどの溶け込みによるガラスの着色増大や、高屈折率成分の還元による着色増大を抑制することができる。このようにして、泡切れが十分になされ光学的に均質な、着色の少ない光学ガラスを得ることができる。また、清澄温度の上昇を抑制することにより、熔融ガラスからの揮発を抑制し、揮発による組成変化、光学特性の変動を抑制することもできる。
ガラス融液状態において粘度が1.0dPa・sを示す温度の好ましい範囲は1080℃以下、より好ましい範囲は1060℃以下、さらに好ましい範囲は1050以下,さらに一層好ましい範囲は1040℃以下、より一層好ましい範囲は1030℃以下、さらにより一層好ましい範囲は1020℃以下である。1.0dPa・sを示す温度の下限は、800℃を目安と考えればよい。
次に本発明の光学ガラスの好ましい態様を幾つか説明する。これらの態様は任意の組み合わせが可能である。
第1の好ましい態様は、液相温度における粘度が1.0dPa・s以上の光学ガラスである。液相温度における粘度が1.0dPa・s以上であることにより、ガラス製造中の結晶化を防止しつつ、ガラスの成形が容易になる。
なお液相温度におけるガラスの粘度は1.5dPa・s以上であることがより好ましく、2.0dPa・s以上であることがさらに好ましく、2.5dPa・s以上であることが一層好ましく、3.0dPa・s以上であることがより一層好ましく、3.5dPa・s以上がさらに一層好ましい。
液相温度におけるガラスの粘度の上限に特に制限はないが、ガラスの光学特性などの改善を図る上から、100dPa・s以下であることが好ましく、30dPa・s以下であることがより好ましく、20dPa・s以下であることがさらに好ましい。
第2の好ましい態様は、液相温度が1100℃以下である光学ガラスである。液相温度が1100℃以下であることにより、ガラスの着色低減、異物混入の抑制、ガラスの成形性の改善を図りつつ、より確実にガラスの失透を防止することができる。液相温度のより好ましい上限は1050℃、さらに好ましい上限は1000℃、一層好ましい上限は980℃、より一層好ましい上限は960℃、さらに一層好ましい上限は950℃、なお一層好ましい上限は940℃、特に好ましい上限は930℃、最も好ましい上限は920℃である。
なお、液相温度の下限は、高融点の高屈折率成分を多く含有する観点から800℃以上、より好ましくは850℃以上を目安として考えることができる。
第3の好ましい態様は、屈折率ndとアッベ数νdとが下記関係式(1)を満たす光学ガラスである。
νd<39.0−10×nd ・・・・・ (1)
ガラスの高屈折率高分散化により、低分散ガラス製の光学素子と組み合わせて色収差補正機能の優れた光学素子材料を提供することができる。
屈折率ndとアッベ数νdのより好ましい範囲は下記関係式(2)を満たす範囲であり、さらに好ましい範囲は下記関係式(3)を満たす範囲であり、一層好ましい範囲は下記関係式(4)を満たす範囲であり、より一層好ましい範囲は下記関係式(5)を満たす範囲である。
νd<38.80−10×nd ・・・・・ (2)
νd<38.60−10×nd ・・・・・ (3)
νd<38.40−10×nd ・・・・・ (4)
νd<38.20−10×nd ・・・・・ (5)
このように屈折率、分散が極めて高いガラスは、高ズーム比化、広角化、コンパクト化に好適な光学素子材料である。屈折率ndの上限は3.0を目安とすることができる。
なお、光学系の高機能化、コンパクト化により有効な光学素子に用いられる光学ガラスを提供するという観点から、屈折率ndの好ましい下限は2.03、より好ましい下限は2.05、さらに好ましい下限は2.07である。
ガラスの熔融性、熱的安定性を維持する上から、屈折率ndの好ましい上限は2.3、より好ましい上限は2.2、さらに好ましい上限は2.18、一層好ましい上限は2.16である。
ガラスの熔融性、熱的安定性を維持する上から、アッベ数νdの好ましい下限は14、より好ましい下限は15、さらに好ましい下限は16である。
以下、ガラス組成について説明する。本発明の光学ガラスはO2−がアニオンの主成分である酸化物ガラスであることが好ましい。O2−の含有量は90〜100アニオン%を目安として考えればよい。O2−の含有量が上記範囲内であれば、他のアニオン成分としてF、Cl、Br、I、S2−、Se2−、N3−、NO 、またはSO 2−などを含有させてもよい。その場合、F、Cl、Br、I、S2−、Se2−、N3−、NO 、またはSO 2−の合計含有量は、例えば、0〜10アニオン%とすることができる。O2−の含有量を100アニオン%としてもよい。
以下、特記しない限り、カチオン成分の含有量、合計含有量は、カチオン%表示とする。
第4の好ましい態様は、ガラス成分として、P5+を10カチオン%以上含む光学ガラスである。P5+の含有量が10カチオン%以上であることにより、ガラスの熱的安定性、熔融性を改善することができる。
5+は、ガラスネットワーク形成成分であり、液相温度を低下させるとともに粘度が1.0dPa・sを示す温度の上昇を抑制する働きをする成分でもある。P5+の含有量が40%を越えると屈折率が低下し、ガラスの結晶化傾向が増大する傾向を示すため、P5+の含有量を40%以下とすることが好ましい。P5+の含有量のより好ましい下限は12%であり、さらに14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%の順に下限値が大きくなるほど一層好ましい。一方、P5+の含有量のより好ましい上限は38%であり、さらに35%、33%、31%、30%、29%、28%の順に上限値が小さくなるほど一層好ましい。
第5の好ましい態様は、ガラス成分として、Ti4+、Nb5+、Bi3+、W6+およびTe4+を合計で50%以上含む光学ガラスである。
Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+、Te4+は、いずれも屈折率を高める働きがあり、屈折率ndを2.02以上にするために、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+およびTe4+の合計含有量を50%以上とすることが好ましい。より屈折率の高いガラスを得る上から、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+およびTe4+の合計含有量のより好ましい下限は55%であり、以下、56%、57%、58%、59%、60%の順により大きい値ほど下限値としてより一層好ましい。Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+およびTe4+の合計含有量が過剰になるとガラスの熱的安定性が低下するため、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+およびTe4+の合計含有量の上限を75%とすることが好ましい。以下、72%、70%、68%、66%の順により小さい値ほど上限値としてより一層好ましい。
Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+のうち、ガラス融液の粘度が1.0dPa・sを示す温度を低くする上で有利な作用が得られる成分は、W6+、Bi3+である。したがって、本発明では、ガラス融液の粘度が1.0dPa・sを示す温度の上昇を抑制するために、W6+およびBi3+の合計含有量に対するTi4+およびNb5+の合計含有量のカチオン比((Ti4++Nb5+)/(W6++Bi3+))を1.3以下とすることが好ましい。清澄温度の上昇を抑え、ガラスの着色増大を抑制する上から、カチオン比((Ti4++Nb5+)/(W6++Bi3+))を1.2以下の範囲にすることがより好ましい。以下、1.15、1.10、1.05、1.00、0.90の順により小さい値ほど上限値としてより一層好ましい。
前述のように、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+、Te4+は、熔融性への影響に差異があるものの、それぞれが共存することによって、一方の成分がガラス化しても、残りの成分が熔解せずガラス中に残存する、または全ての成分をガラス化させようとすると他の成分がガラスの着色を悪化させるなど、全般的にガラスの熔融性を悪化させる傾向がある。
一方、B3+、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+はガラスの熔融性を改善する働きがある。
第6の好ましい態様では、高屈折率特性を維持するため、B3+、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計含有量の上限をTi4+、Nb5+、W6+、Bi3+およびTe4+の合計含有量との比により規定する。すなわち、第6の好ましい態様は、B3+、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計含有量が、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+およびTe4+の合計含有量の1/3以下である光学ガラスである。
なお、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+およびTe4+の合計含有量に対するB3+、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計含有量のカチオン比((B3++Li+Na+K+Rb+Cs+Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)/(Ti4++Nb5++W6++Bi3++Te4+))の好ましい上限は3/10、より好ましい上限は1/4、さらに好ましい上限は9/40であり、好ましい下限は1/5、より好ましい下限は1/6、さらに好ましい下限は3/20、4/30である。
第7の好ましい態様は、熔融性改善に有効なLi、Na、K、RbおよびCsを合計で0%超含有する光学ガラスである。
屈折率ndが2.02以上であり、熔融性の優れた光学ガラスを得る上から、第6の好ましい態様と第7の好ましい態様を組み合わせた態様が一層好ましい態様となる。
以下の説明は、第4〜第7の好ましい態様に共通する説明である。
Ti4+は、ガラスを高屈折率高分散化する働きのある成分であり、Bi3+およびNb5+と共存することにより、ガラスの熱的安定性を維持する働きのある任意成分である。従って、含有量が0%であることもできる。また、ガラスの化学的耐久性を高め、ガラスの機械的強度を高める働きをする。Ti4+の含有量が15%を超えると熱的安定性が低下し、結晶化傾向が増大するとともに、熔融性が悪化し、液相温度が著しく上昇する。また、分光透過率特性における吸収端が長波長化し、ガラスが褐色に着色する傾向を示す。したがって、Ti4+の含有量を0〜15%とすることが好ましい。Ti4+の含有量のより好ましい上限は14%、さらに好ましい上限は13%、一層好ましい上限は12%、より一層好ましい上限は11%、さらに一層好ましい上限は10%である。Ti4+の含有量のより好ましい下限は2%、さらに好ましい下限は3%、一層好ましい下限は4%、より一層好ましい下限は5%、さらに一層好ましい下限は6%、7%、8%、である。
Nb5+は、ガラスを高屈折率高分散化する働きのある成分であり、Bi3+およびTi4+と共存することにより、ガラスの熱的安定性を維持する働きのある任意成分である。また、ガラスの化学的耐久性を高め、ガラスの機械的強度を高める働きをする。熱的安定性を維持しつつ所望の高屈折率高分散特性を得る上から、Nb5+の含有量が10%以上であるとことが好ましく、12%以上であるとことがより好ましく、13%以上、14%以上、15%以上、であることがさらに好ましい。一方、Nb5+の含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、液相温度が著しく上昇するとともに分光透過率特性における吸収端がやや長波長化する傾向を示す。しがって、Nb5+の含有量を24%以下とすることが好ましい。以下、23%、22%、21%、20%、19%の順により小さい値ほど上限値としてより一層好ましい。
6+は、ガラスを高屈折率高分散化し、ガラスの化学的耐久性、機械的強度を高める働きをする働きのある任意成分である。従って、含有量が0%であることもできる。W6+の含有量が多くなりすぎるとガラスの熱的安定性が低下し、液相温度が上昇傾向を示すとともに、ガラスが青灰色を呈し、分光透過率特性における吸収端も長波長化する。したがって、W6+の含有量を19%以下とすることが好ましい。W6+の含有量のより好ましい上限は18%である。以下、17%、16%、15%、14%、13%、12%の順により小さい値ほど上限値としてより一層好ましい。
Bi3+は、高屈折率高分散化成分であり、適量を含有させることによりガラスの熱的安定性を改善する働きをする。Bi3+の含有量が多すぎると熱的安定性が低下するとともに、液相温度が上昇するとともに、ガラスが褐色に着色し、分光透過率特性における吸収端が長波長化する。したがって、Bi3+の含有量を33%以下とすることが好ましい。以下、32%、31%、30%、29%、28%の順により小さい値ほど上限値としてより一層好ましい。Bi3+の含有量の好ましい下限は16%であり、以下、17%、18%、19%、20%の順により大きい値ほど下限値としてより一層好ましい。
Te4+は、ガラスを高屈折率高分散化し、ガラスの熱的安定性を改善する働きがある。ガラスの熱的安定性を考慮するとTe4+の含有量を0〜4%とすることが好ましいが、環境への影響に配慮するとTe4+の含有量は少ないほうが好ましく、その含有範囲を0〜2%とすることがより好ましく、0〜1%とすることがさらに好ましい。なおTe4+を含有させなくてもよい。
Liは、熔融性を改善し、熔融温度を低下させ、ガラスが粘度1.0dPa・sを示す温度を低下させるために有効な成分であり、分光透過率特性における吸収端を短波長化するとともに、ガラス熔融中における上記高屈折率化成分の還元を抑制し、着色を抑制する働きをする。しかし、Liの含有量が過剰になると屈折率が低下し、熱的安定性が低下する傾向を示すため、Liの含有量を5%以下とすることが好ましい。Liの含有量のより好ましい上限は4%、より好ましい上限は3%、さらに好ましい上限は2%、一層好ましい上限は1%である。Liの含有量の好ましい下限は0%、より好ましい下限は0.1%である。なお、ガラスの安定性を重要視する場合は、Liを含有させなくてもよい。
Naは、ガラスの熱的安定性を大きく損なうことなしに、熔融性を改善し、熔融温度を低下させ、分光透過率特性における吸収端を短波長化するとともに、ガラス熔融中における上記高屈折率化成分の還元を抑制し、着色を抑制する働きをする。また、液相温度を低下させる働きもする。しかし、Naの含有量が過剰になると屈折率が低下し、熱的安定性が低下する傾向を示す。高屈折率特性を維持しつつガラスの熔融性、熱的安定性を改善する上から、Naの含有量を0〜15%とすることが好ましい。Naの含有量の上限については、13%、10%、8%、6%の順により小さい値ほど上限値としてより一層好ましい。Naは、イオン半径がLiとKの間にあるため、屈折率を低下させる働きはLiよりも大きく、Kよりは小さい。Naの含有量の好ましい下限は0%、より好ましい下限は0.5%、さらに好ましい下限は1.0%、一層好ましい下限は1.5%、より一層好ましい下限は2.0%である。
も熔融性を改善し、熔融温度を低下させる働きをする。また、分光透過率特性における吸収端を短波長化するとともに、ガラス熔融中における上記高屈折率化成分の還元を抑制し、着色を抑制する働きもする。さらに、Li、Naと比べ熱的安定性を改善し、液相温度を低下させる働きもする。しかし、Kの含有量が過剰になると屈折率が低下し、熱的安定性が低下する傾向を示すため、Kの含有量を0〜15%とすることが好ましい。Kの含有量のより好ましい上限は13%、さらに好ましい上限は10%であり、より一層好ましい上限は8%、さらには6%である。
Rbも熔融性を改善する働きがあり、任意成分としてガラスに導入することができる。しかし、他のアルカリ金属成分と比較し高価であることから、Rbの含有量を0〜2%とすることが好ましく、0〜1%とすることがより好ましく、0〜0.5%とすることがさらに好ましい。
Csは少量の導入によりガラスが安定化するため、任意成分としてガラスに導入することができる。しかし、他のアルカリ金属成分と比較し高価であることから、Csの含有量を0〜5%とすることが好ましく、0〜3%とすることがより好ましく、0〜2%、0〜1%とすることがさらに好ましい。
なおRb、Csは、含有させなくてもよい。
熔融性を改善し、白金、金などの侵蝕を抑制する上から、Li、NaおよびKの合計含有量を0%超とすることが好ましく、0.2%以上とすることがより好ましく、0.5%以上とすることがさらに好ましく、1.0%以上とすることが一層好ましく、1.5%以上とすることがより一層好ましく、2.0%以上とすることがさらに一層好ましく、2.5%以上とすることがなお一層好ましい。また、上記アルカリ金属成分の導入は、高屈折率化成分の還元によるガラスの着色を抑制する上からも好ましい。
高屈折率特性、ガラスの熱的安定性を維持する上から、Li、NaおよびKの合計含有量を15%以下にすることが好ましく、12%以下にすることがより好ましく、10%以下にすることがさらに好ましく、8%以下にすることが一層好ましく、6%以下にすることがより一層好ましく、5%以下にすることがさらに一層好ましく、4%以下にすることがなお一層好ましい。
3+は、適量の導入によりガラスの熱的安定性、熔融性を改善し、粘性を高め、液相温度を低下させる働きをする。しかし、B3+の粘性を高める効果によってガラスが清澄可能な温度が上昇し、その結果製造されるガラスの着色度が悪化する傾向にある。また含有量が過剰になると屈折率が低下し、ガラスの再加熱に伴う熱的安定性が低下、液相温度が上昇、高屈折率化成分の還元によるガラスの着色を促進する傾向を示すため、本発明においてB3+はできるだけ含有量を少なくすべき成分である。すなわちB3+の含有量を0〜8%とすることが好ましい。B3+の含有量のより好ましい上限は6%、さらに好ましい上限は4%、一層好ましい上限は2%、より一層好ましい上限は1%である。B3+の含有量の好ましい下限は0%以上であり、清澄粘性を低下させる観点からはB3+を含まないことが好ましい。
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+は、いずれもガラスの熔融性を高める働きがある。しかし、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+は、これら成分の含有量を多くすると屈折率が低下傾向を示すため、Mg2+の含有量を0〜4%の範囲にすることが好ましく、0〜2%の範囲にすることがより好ましく、0〜1%の範囲にすることがさらに好ましく、Ca2+の含有量を0〜4%の範囲にすることが好ましく、0〜2%の範囲にすることがより好ましく、0〜1%の範囲にすることがさらに好ましく、Sr2+の含有量を0〜4%の範囲にすることが好ましく、0〜2%の範囲にすることがより好ましく、0〜1%の範囲にすることがさらに好ましく、Zn2+の含有量を0〜4%の範囲にすることが好ましく、0〜2%の範囲にすることがより好ましく、0〜1%の範囲にすることがさらに好ましい。
なお、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+を含有させなくてもよい。
Ba2+はガラスの熱的安定性を改善し、熔融性を改善し、分光透過率特性における吸収端を短波長化し、高屈折率化成分の還元によるガラスの着色を抑制する働きをする。しかし、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+ほどではないが、高屈折率特性維持の観点からは、その含有量が過剰ではないことが望ましい。この点から、Ba2+の含有量を0〜10%の範囲にすることが好ましい。Ba2+の含有量の上限はより好ましくは8%、さらに好ましくは7%、より一層好ましくは6%、さらに一層好ましくは5%である。Ba2+の含有量のより好ましい下限は0%、さらに好ましい下限は1%、一層好ましい下限は2%、より一層好ましい下限は3%、さらに一層好ましい下限は4%である。なお光学特性の観点からはBa2+を含有させなくてもよい。
Si4+は屈折率を低下させる成分である。また、過剰な導入はガラスの液相温度の上昇あるいはガラスの分相を招くため、Si4+の含有量は0〜4%とすることが好ましく、0〜2%とすることがより好ましく、0〜1%とすることがさらに好ましい。Si4+の導入方法は通常の酸化物原料によるものが主であるが、SiOを主成分とする材質で作られた坩堝(石英製坩堝)から混入させることもできる。
Al3+は屈折率を低下させ、かつガラスの液相温度を上昇させる働きをするため、Al3+の含有量は0〜3%の範囲とすることが好ましく、0〜1%の範囲とすることがより好ましい。なお、Al3+を含有させなくてもよい。
2.02を超える屈折率ndを維持しつつ、ガラスの熔融性、熱的安定性を維持する上から、P5+、Bi3+、Nb5+、Ti4+、W6+、Li、Na、K、B3+、Si4+およびBa2+の合計含有量を90〜100%とすることが好ましく、95〜100%とすることがより好ましく、98〜100%とすることがさらに好ましく、99〜100%とすることが一層好ましい。前記合計含有量を100%としてもよい。
本発明の光学ガラスには清澄剤を添加することもできる。清澄剤の中で好ましいものはSbである。Sbを用いる場合は、質量比によるSbの外割り添加量を0〜10000ppmの範囲とすることが好ましい。尚、質量比による外割り添加量とは、ガラス成分の質量を基準とした割合で示す添加量である。Sbは清澄効果があることに加え、ガラス熔融中、前述の高屈折率化成分を酸化状態にするとともに、この酸化状態を安定化する働きをする。しかし、外割り添加量が10000ppmを超えるとSb自体の光吸収により、ガラスが着色する傾向を示す。ガラスの透過率特性を改善するという観点から、Sbの外割り添加量の好ましい上限は5000ppm、より好ましい上限は2000ppm、さらに好ましい上限は1100ppm、一層好ましい上限は900ppm、より一層好ましい上限は600ppm、さらに一層好ましい上限は400ppmであり、好ましい下限は0ppm、より好ましい下限は50ppm、さらに好ましい下限は100ppm、一層好ましい下限は150ppm、より一層好ましい下限は200ppmである。なお、Sbは添加剤であるため、本発明では、ガラス成分とは異なり酸化物換算した値で添加量を示す。
本発明の光学ガラスにおいて、Pb、As、Cd、Tl、Seのカチオンはいずれも環境への負荷を配慮し、含有、添加しないことが望ましい。また、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Erのカチオンはいずれもガラスを着色したり、紫外光の照射により蛍光を発生するため、含有、添加しないことが望ましい。ただし、上記の含有、添加しないとは、ガラス原料やガラス熔融工程に由来する不純物としての混入までも排除するものではない。
Ga3+、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Lu3+、In3+、Ge4+、Hf4+は、少量であれば含有しても構わないが、これら成分により有意義な効果が得られることはなく、いずれも高価な成分であることから、それぞれの含有量を0〜2%の範囲とすることが好ましく、0〜1%の範囲とすることがより好ましく、0%以上0.5%未満とすることがさらに好ましく、0%以上0.1%未満とすることが一層好ましく、ガラスの製造コストを抑える上から含有させないことが望ましい。
[着色度]
一般に、光学ガラスの分光透過率特性において、どこまで短波長の光を透過するかを示す指標として、外部透過率70%を示す波長であるλ70、外部透過率5%を示す波長であるλ5といった特定波長による指標が用いられている。
λ70とは、波長280〜700nmの範囲において光線透過率が70%になる波長のことである。ここで、光線透過率とは、10.0±0.1mmの厚さに研磨された互いに平行な面を有するガラス試料を用い、前記研磨された面に対して垂直方向から光を入射して得られる分光透過率、すなわち、前記試料に入射する光の強度をIin、前記試料を透過した光の強度をIoutとしたときのIout/Iinのことである。分光透過率には、試料表面における光の反射損失も含まれる。また、上記研磨は測定波長域の波長に対し、表面粗さが十分小さい状態に平滑化されていることを意味する。λ5は、λ70について前記した方法で測定される光線透過率が5%となる波長である。
前述の通り従来の高屈折率ガラスは熔融、清澄において着色しやすい傾向があるが、本発明の光学ガラスの好ましい態様では、屈折率ndが2.02以上でありながら、550nm以下のλ70を実現することができる。λ70のより好ましい範囲は520nm以下、さらに好ましい範囲は500nm以下、一層好ましい範囲は490nm以下、より一層好ましい範囲は480nm以下、さらに一層好ましい範囲は470nm以下、なお一層好ましい範囲は460nm以下である。λ70の下限は特に限定されるものではないが、380nmをλ70の下限の目安として考えればよい。
λ5の好ましい範囲は450nm以下、より好ましい範囲は430nm以下、さらに好ましい範囲は410nm以下、一層好ましい範囲は400nm以下、より一層好ましい範囲は395nm以下、さらに一層好ましい範囲は390nm以下である。λ5の下限は特に限定されるものではないが、300nmをλ5の下限の目安として考えればよい。
本発明によれば、着色が少ないというだけでなく、白金や金など熔融容器を構成する金属材料のイオン化による混入や金属粒子としての混入が極めて少ない光学ガラスの提供が可能である。
[比重]
本発明において、比重は−30℃/時の徐冷速度で得られたガラスの比重により定義される。本発明の光学ガラスの比重の好ましい上限は6.5、より好ましい上限は5.9、さらに好ましい上限は5.8、一層好ましい上限は5.7、より一層好ましい上限は5.65である。好ましい下限には特に制限はないが、比重を過剰に低くすると、屈折率の低下などの現象が発生するおそれがあるため、比重の好ましい下限は3.0、より好ましい下限は4.0、さらに好ましい下限は4.5、一層好ましい下限は4.8、より一層好ましい下限は5.0である。
光学ガラスの製造方法
本発明の光学ガラスの製造方法は、ガラス原料を加熱により熔融し、得られた熔融ガラスを清澄し、清澄した熔融ガラスを成形することを含み、前記ガラス原料を、前記した本発明の光学ガラスが得られるように調合する。
以下、本発明の光学ガラスの製造方法の具体的貸与について説明するが、本発明は下記態様に限定されるものではない。
例えば、所要の組成を有するガラスとなるように各成分に対応する化合物原料を秤量し、十分混合して調合原料とし、調合原料を坩堝に入れて1050〜1250℃で攪拌しながら0.5〜3時間熔融を行った後、ガラス融液を所定の容器に流し出し、冷却、粉砕して、カレットを得る。
次に、得られたカレットを白金、白金合金、金、金合金などの貴金属製の坩堝に投入し、液相温度LT〜LT+80℃、好ましくは液相温度LT〜LT+50℃に加熱し、攪拌して、熔融した。次いでガラスが1.0dPa・sを示す温度±50℃、好ましくはガラスが1.0dPa・sを示す温度±20℃で0.5〜3時間かけて熔融ガラスを清澄する。清澄後、ガラスの温度を清澄温度から液相温度LT〜LT+80℃、好ましくは液相温度LT〜LT+50℃、より好ましくは液相温度LT〜LT+40℃、さらに好ましくは液相温度LT〜LT+30℃に降温した後、坩堝底部に接続したパイプから熔融ガラスを流出させ、または鋳型に鋳込んで成形し、光学ガラスを得ることができる。なお、金製の貴金属製坩堝を使う際の設定温度は金の融点より低い1050℃以下とする。
上記温度条件、ならびに各工程に要する時間は適宜、調整可能である。
また、光学特性が異なる複数種のカレットを上述の方法で作製し、これらカレットを所要の光学特性が得られるように調合して熔融、清澄、成形し、光学ガラスを作製することもできる。
プレス成形用ガラス素材
本発明のプレス成形用ガラス素材(以下、ガラス素材という)は、前記した本発明の光学ガラスからなる。本発明のガラス素材を得るためには、例えば、まず本発明の光学ガラスが得られるように調合したガラス原料を加熱、熔融し、成形する。このようにして作製したガラス成形体を加工し、プレス成形品1個分の量に相当するガラス素材を作製する。このような方法以外でも熔融ガラスからプレス成形用ガラス素材を作る公知の方法を適用することができる。
光学素子、光学素子の製造方法
本発明の光学素子は、前記した本発明の光学ガラスからなる。
本発明の光学素子の製造方法は、前記した本発明の光学ガラスを加工することにより、または前記した本発明の光学ガラスの製造方法により光学ガラスを作製し、作製した光学ガラスを加工することにより、光学素子を得る。
光学素子の具体例としては、非球面レンズ、球面レンズ、または平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズなどのレンズ、マイクロレンズ、レンズアレイ、回折格子付きレンズなどの各種レンズ、プリズム、レンズ機能付きプリズムなどを例示することができる。表面には必要に応じて反射防止膜や波長選択性のある部分反射膜などを設けてもよい。
本発明の光学素子は超高屈折率特性を有する光学ガラスからなるので、他のガラスからなる光学素子と組合せることにより、良好な色収差補正を行うことができる。また、撮像光学系を高ズーム比化、広角化、コンパクト化する上でも有効である。さらに、超高屈折率特性を備えながら、組成調整により比重増大を抑制することができるため、光学素子の軽量化が可能となり、振動に対する焦点位置のズレ防止にも有効である。
さらに、分光透過率特性における吸収端が短波長化されたガラスの使用により、可視短波長域の画像情報の欠落を防止することができ、デジタル式撮像装置の色再現性改善にも有効である。
本発明の光学素子は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラなど各種カメラの撮像光学系、DVD、CDなどの光記録媒体へのデータ書き込み、読み出し用の光線を導く光学素子、例えば、光ピックアップレンズやコリメータレンズなどにも好適である。また、光通信用の光学素子としても好適である。
光学素子を得るための加工は、精密プレス成形、研削、研磨、等の公知の方法により行うことができる。例えば、本発明の光学ガラスを成形して得られた成形体の表面を研磨する方法、本発明のプレス成形用ガラス素材を加熱しプレス成形して光学素子ブランクを製造し、この光学素子ブランクを研削および研磨する方法、本発明のプレス成形用ガラス素材を加熱し精密プレス成形して光学素子とする方法など、公知の方法により、光学素子を製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示すNo.1〜14の組成を有するガラスとなるように各成分に対応する化合物原料を秤量し、十分混合して調合原料とした。なお、表1に示すガラス組成は、カチオン%表示の値が基準である。なお、No.1〜14の組成を有する酸化物ガラスのアニオン成分は、全量、O2−である。
次に調合原料を石英製坩堝に入れて1100℃〜1200℃で攪拌しながら0.5〜1.5時間熔解を行った後、急冷、粉砕して、カレットを得た。
次に、得られたカレットを白金製または金製の貴金属製坩堝に投入し、液相温度LT+20℃〜LT+80℃に加熱し、攪拌して、熔融した。次いで、ガラスが1.0dPa・sを示す温度±50℃、好ましくはガラスが1.0dPa・sを示す温度±20℃で0.5〜3時間かけて熔融ガラスを清澄した。清澄後、ガラスの温度を清澄温度から液相温度LT〜LT+60℃に降温した後、坩堝底部に接続したパイプから熔融ガラスを流出させ、または鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形した。なお、金製の貴金属製坩堝を使う際の設定温度は金の融点より低い1050℃以下とした。
得られた各ガラスブロックに光線を入射させ、ガラス中の前記光線の光路を横から観察したところ、ガラス中に結晶などの異物は認められず、均質性の高い、高品質の光学ガラスが得られたことが確認された。
得られた光学ガラスNo.1〜14について、屈折率nd、アッベ数νd、液相温度、粘度1.0dPa・sを示す温度、ガラス転移温度、比重、λ70、λ5を、以下のようにして測定した。
(1)屈折率ndおよびアッベ数νd
日本光学硝子工業会規格JOGIS−01に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(2)液相温度LTおよび粘度1.0dPa・sを示す温度
ガラス試料を所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。粘度JIS規格 Z8803、共軸二重円筒形回転粘度計による粘度測定方法により粘度を測定し、粘度1.0dPa・sを示す温度を求めた。
(3)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度は示差走査型熱量計DSC3300SAを用いて固体状態のガラスを昇温したときの吸熱カーブから測定した。この測定方法により測定されるTgは日本光学硝子工業会規格JOGIS−08に基づいて測定したTgと対応関係を示す。測定結果を表1に示す。
(4)比重
日本光学硝子工業会規格JOGIS−05に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(5)λ70、λ5
λ70、λ5は次のようにして測定した。厚さ10mmの互いに平行かつ光学研磨された平面を有するガラス試料を用い、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定する。分光透過率は、光学研磨された一方の平面に垂直に強度Aの光線を入射し、他方の平面から出射する光線の強度Bを測定し、B/Aによって算出される。したがって、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。分光透過率が70%になる波長がλ70であり、分光透過率が5%になる波長がλ5である。測定結果を表1に示す。
Figure 2014009113
Figure 2014009113
(実施例2)
実施例1と同様にして光学ガラスNo.1〜14が得られるようにガラス原料を加熱、熔融、清澄、均質化し、得られた熔融ガラスを鋳型に流し込んで急冷し、ガラスブラックに成形した。次にガラスブロックをアニールした後、切断、研削してプレス成形用ガラス素材を作製した。
(実施例3)
実施例2において作製したプレス成形用ガラス素材を加熱、軟化し、プレス成形型を用いて公知の方法によりプレス成形し、レンズブランク、プリズムブランクなどの光学素子ブランクを作製した。
得られた光学素子ブランクは精密アニールを施し所要の屈折率になるよう屈折率の精密調整を行った後、公知の研削、研磨法によりレンズやプリズムに仕上げた。
(実施例4)
実施例2において作製したプレス成形用ガラス素材の表面を研磨して精密プレス成形用のプレス成形用ガラス素材とし、このガラス素材を加熱し精密プレス成形して非球面レンズを得た。精密プレス成形は公知の方法で行った。
このようにして、各種レンズ、プリズムなどの光学素子を作製した。
実施例3、4で得られたレンズを用いて撮像光学系を構成したところ、色再現性のよい撮像装置を得ることができた。
また、得られたレンズを用いて携帯電話搭載の撮像ユニットや光ピックアップユニットを作製したところ、振動に対して焦点位置ズレの極めて少ないユニットを得ることができた。
本実施例の光学素子は、低分散ガラス製光学素子との組合せにより良好な色収差補正を可能にする。また、撮像装置をはじめ各種光学機器の高性能化、コンパクト化に有効である。
本発明は、色収差補正用の光学素子材料として好適な高い屈折率を有する光学ガラスを提供することができ、更には当該光学ガラスを用いてプレス成形用ガラス素材および光学素子を提供することができる。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]屈折率ndが2.02以上であり、かつ粘度が1.0dPa・sとなる温度が1100℃以下であることを特徴とする光学ガラス。
[2]ガラス成分中にカチオン成分として、Te 4+ を0〜4カチオン%含む請求項1に記載の光学ガラス。
]液相温度における粘度が1.0dPa・s以上である[1]または[2]に記載の光学ガラス。
]液相温度が1100℃以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の光学ガラス。
]屈折率ndとアッベ数νdとが下記関係式(1)を満たす[1]〜[]のいずれかに記載の光学ガラス。
νd<39.0−10×nd ・・・・・ (1)
]ガラス成分中にカチオン成分として、P5+を10カチオン%以上含む[1]〜[]のいずれかに記載の光学ガラス。
]ガラス成分中にカチオン成分として、Ti4+、Nb5+、Bi3+、W6+およびTe4+を合計で50カチオン%以上含む[1]〜[]のいずれかに記載の光学ガラス。
]ガラス原料を加熱により熔融し、得られた熔融ガラスを清澄し、清澄した熔融ガラスを成形することを含む光学ガラスの製造方法において、
前記ガラス原料を、[1]〜[]のいずれかに記載の光学ガラスが得られるように調合することを特徴とする光学ガラスの製造方法。
]前記熔融を、白金、白金合金、金または金合金を用いて作製した熔融ガラス容器を用いて行う[]に記載の光学ガラスの製造方法。
10][1]〜[]のいずれかに記載の光学ガラスよりなるプレス成形用ガラス素材。
11][1]〜[]のいずれかに記載の光学ガラスよりなる光学素子。
12][1]〜[]のいずれかに記載の光学ガラスを加工することにより、または[8]もしくは[]に記載の方法により光学ガラスを作製し、作製した光学ガラス加工することにより、光学素子を得る光学素子の製造方法。

Claims (11)

  1. 屈折率ndが2.02以上であり、かつ粘度が1.0dPa・sとなる温度が1100℃以下であることを特徴とする光学ガラス。
  2. 液相温度における粘度が1.0dPa・s以上である請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 液相温度が1100℃以下である請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. 屈折率ndとアッベ数νdとが下記関係式(1)を満たす請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
    νd<39.0−10×nd ・・・・・ (1)
  5. ガラス成分中にカチオン成分として、P5+を10カチオン%以上含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  6. ガラス成分中にカチオン成分として、Ti4+、Nb5+、Bi3+、W6+およびTe4+を合計で50カチオン%以上含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  7. ガラス原料を加熱により熔融し、得られた熔融ガラスを清澄し、清澄した熔融ガラスを成形することを含む光学ガラスの製造方法において、
    前記ガラス原料を、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラスが得られるように調合することを特徴とする光学ガラスの製造方法。
  8. 前記熔融を、白金、白金合金、金または金合金を用いて作製した熔融ガラス容器を用いて行う請求項7に記載の光学ガラスの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラスよりなるプレス成形用ガラス素材。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラスよりなる光学素子。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラスを加工することにより、または請求項7もしくは8に記載の方法により光学ガラスを作製し、作製した光学ガラス加工することにより、光学素子を得る光学素子の製造方法。
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