JP2010248057A - 光学ガラス、ならびにプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、光学素子およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化物換算のガラス組成において、Fe2O3、SnO2およびSb2O3を除くガラス質量に対して、2〜50質量%のB2O3および10〜60質量%のLa2O3を含み、かつTiO2含有量が0〜1質量%でありWO3含有量が0〜4質量%である光学ガラスであって、Fe2O3に換算して0ppm超20ppm以下のFeを含み、かつ外割でSnO2を0.01〜3質量%およびSb2O3を0〜0.1質量%含む光学ガラス。
【選択図】なし
Description
更に本発明は、上記光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、光学素子ならびにこれらの製造方法に関するものである。
特許文献1では、ガラスの着色機構について、ネットワーク形成成分が少なくTiO2を多量に含むホウ酸塩系ガラスでは、Tiイオンによる発色機能が高められることがガラスの着色の原因であると記載されている。しかし本発明者の検討の結果、高屈折率低分散のホウ酸ランタン系ガラスでは、特許文献1に記載されている着色機構とは別に、Feに起因する波長360nm〜370nm近辺での光吸収が強まることによる着色機構が存在することが明らかとなった。即ち、TiO2含有量を低減したとしても、特許文献1に記載の技術では、着色抑制が困難な組成系が存在するのである。
そこで本発明者は上記知見に基づき更に検討を重ねた結果、上記組成系における着色は所定量のSnO2を添加することにより低減できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
[1]酸化物換算のガラス組成において、Fe2O3、SnO2およびSb2O3を除くガラス質量に対して、2〜50質量%のB2O3および10〜60質量%のLa2O3を含み、かつTiO2含有量が0〜1質量%でありWO3含有量が0〜4質量%である光学ガラスであって、Fe2O3に換算して0ppm超20ppm以下のFeを含み、かつ外割でSnO2を0.01〜3質量%およびSb2O3を0〜0.1質量%含む光学ガラス。
[2]酸化物換算のガラス組成において、Fe2O3、SnO2およびSb2O3を除くガラス質量に対する質量%表示で、
B2O3 2〜50%、
SiO2 0〜30%、
La2O3 10〜60%、
Gd2O3 0〜30%、
Y2O3 0〜20%、
Ta2O5 0〜19%、
Nb2O5 0〜20%、
TiO2 0〜1%、
WO3 0〜4%、
ZrO2 0〜15%、
ZnO 0〜40%、
BaO、SrO、CaOおよびMgOを合計で0〜30%、
を含む[1]に記載の光学ガラス。
[3]Fe2O3に換算して0.05ppm以上20ppm以下のFeを含む[1]または[2]に記載の光学ガラス。
[4]波長200〜700nmの範囲において、厚さ10nmにおける外部透過率が70%となる波長λ70は400nm以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の光学ガラス。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子ブランク。
[7][1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
[8][1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスをプレス成形用ガラス素材に成形するプレス成形用ガラス素材の製造方法。
[9][5]に記載のプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する光学素子ブランクの製造方法。
[10][8]に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態でプレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する光学素子ブランクの製造方法。
[11][6]に記載の光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
[12][10]に記載の方法により光学素子ブランクを作製し、作製した光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
[13][5]に記載のプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
[14][8]に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
本発明は、酸化物換算のガラス組成において、Fe2O3、SnO2およびSb2O3を除くガラス質量に対して、2〜50質量%のB2O3および10〜60質量%のLa2O3を含む光学ガラスに関する。本発明の光学ガラスは、TiO2含有量が0〜1質量%でありWO3含有量が0〜4質量%あり、Fe2O3に換算して0ppm超20ppm以下のFeを含み、かつ外割でSnO2を0.01〜3質量%およびSb2O3を0〜0.1質量%含むものである。
また、ステンレスのように鉄を含む材料で作られた装置を用いてガラス原料を調合したり、原料を熔融装置に供給する場合、上記材料の摩耗によってFeが原料に混入することがある。本発明によれば、こうした場合でもガラスの着色を抑制し、均質な光学ガラスを提供することができる。また、ガラス製造装置にステンレスのような鉄を含む耐久性の高い材料を使用してもガラスの品質に悪影響を及ぼすおそれがなくなるため、装置の耐久性向上による生産性向上を図ることもできる。
更に本発明によれば、Sn化合物および任意に添加されるSb化合物の清澄作用により、残留泡のない均質な光学ガラスを得ることができる。特に、Sn化合物はSb化合物と比べてルツボの侵蝕性が少ないことから、Sn化合物を必須成分として着色を抑制しつつ十分な清澄効果が得られる量を添加してもルツボの侵蝕が促進されることもない。
B2O3 2〜50%、
SiO2 0〜30%、
La2O3 10〜60%、
Gd2O3 0〜30%、
Y2O3 0〜20%、
Ta2O5 0〜19%、
Nb2O5 0〜20%、
TiO2 0〜1%、
WO3 0〜4%、
ZrO2 0〜15%、
ZnO 0〜40%、
BaO、SrO、CaOおよびMgOを合計で0〜30%、
を含む光学ガラスを挙げることができる。
(1)ガラス原料にFe化合物を意図的に混合する。
(2)Feが混入したガラス原料を使用する。
(3)光学ガラス製造工程における装置からFeが混入する。
例えば、ガラス成分に対応する粉体状の複数種の化合物と添加剤としてSn化合物(例えばSnO2)を秤量し、ステンレス製容器に入れて、ステンレス製の攪拌具を用いて十分混合することにより、調合原料を得ることができる。この調合原料を用いて熔融ガラスを調製し、流出する熔融ガラスを鋳型に流し込んで成形し、得られたガラス成形品をアニールすることにより光学ガラスを得ることができる。熔融ガラスの調製は、例えば以下のように行うことができる。まず調合原料を原料供給装置にセットし、次いで原料を適量ずつガラス熔融容器に投入し、加熱、熔融、清澄、均質化、流出する。原料の投入はガラス熔融容器内のガラスが概ね一定量に保たれるよう、連続的にもしくは間欠的に行うことができる。
上記工程では、例えば原料調合時に用いられるステンレス製容器、攪拌具の原料に接触する面は、僅かながら原料との摩擦によって削られ、ステンレスの微粉末が原料に混入することがある。ステンレス中には鉄が含まれており、こうして原料にFeが混入する。また、原料供給装置でも鉄またはステンレスなどの鉄を含む合金で作られた部分が削れ、原料に鉄が混入することがある。予めガラス原料または添加剤に不純物として含まれる鉄の量から算出されるガラス中の鉄不純物量より、実測したガラス中の鉄不純物量が多くなる場合があるが、その差はガラス製造中に上記理由によって原料に混入した鉄に起因すると考えられる。超高純度原料を使用しても上記のように原料に鉄が混入することがあるが、こうした場合でも、本発明によれば所定量のSn化合物を原料に加えることによりガラスの着色を低減、抑制することができる。
上記の例では粉体状化合物を用いて原料を調合したが、粉体状化合物を用いる代わりにカレットを調合し、ガラスを熔融する場合も、Sn化合物の添加により同様の効果を得ることができる。
本発明のプレス成形用ガラス素材は、上記本発明の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材である。上記ガラス素材は、着色が抑制され、均質性が高いガラスからなるため、高品質な光学素子をプレス成形によって作製する際、非常に有用なものである。
例えば、清澄、均質化した熔融ガラスを鋳型に流し込んで急冷、成形して得たガラス成形体をアニールし、その成形体を切断または割断してガラス片に分割し、ガラス片を研削、研磨してプレス成形用ガラス素材とする。研磨によって表面を滑らかに仕上げたガラス素材は精密プレス成形用プリフォームとすることもできる。ガラス片をバレル研磨することにより、プレス成形後に成形品の表面を研削、研磨して光学素子とするための研磨用プレス成形品を作るためのガラス素材にすることもできる。
精密プレス成形用プリフォームの場合、表面に炭素含有膜など精密プレス成形時に成形型成形面に沿ってガラスの延びをよくするコートを形成してもよい。
本発明の光学素子ブランクは、上記本発明の光学ガラスからなる光学素子ブランクである。
光学素子ブランクとは、目的とする光学素子の形状に近似し、前記光学素子の形状に研削、研磨しろを加えたガラス物品であり、表面を研削、研磨することにより光学素子に仕上げられる光学素子母材である。本発明の光学素子ブランクは、本発明の光学素子ブランクの製造方法によって製造することができるが、熔融ガラスをプレス成形型を用いてプレス成形することにより得ることもできる。この場合、プレス成形型の成形面には窒化硼素などの粉末状離型剤を均一に塗布しておき、そこに熔融ガラスを供給してプレス成形することが、ガラスと成形型の融着を確実に防止できるほか、プレス成形型の成形面に沿ってガラスをスムーズに延ばすことができるため好ましい。
(1)本発明のプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する光学素子ブランクの製造方法;
(2)本発明のプレス成形用ガラス素材の製造方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態でプレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する光学素子ブランクの製造方法、
の2つの態様を含む。
本発明の光学素子は、上記本発明の光学ガラスからなる光学素子である。本発明の光学素子は、着色が低減され、残留泡を含まない均質なガラスからなるため、撮像用光学素子や投影用光学素子、光通信用光学素子、光記録媒体へのデータ書き込みや光記録媒体からにデータ読み出しに使用する光ピックアップレンズ、その他の光学素子として好適である。
撮像用光学素子、投影用光学素子としては、球面凸メニスカスレンズ、球面凹メニスカスレンズ、球面両凹レンズ、球面両凸メニスカスレンズ、球面平凸レンズ、球面平凹レンズ、非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凹レンズ、非球面両凸メニスカスレンズ、非球面平凸レンズ、非球面平凹レンズ、プリズムなどを例示することができる。これらの光学素子は、一眼レフカメラの交換レンズ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話搭載の撮像レンズ、パソコン搭載の撮像レンズ、監視カメラの撮像レンズ、車載カメラの撮像レンズ、液晶プロジェクタ搭載の投影レンズやプリズムなどに好適である。
光通信用光学素子としては光ファイバー同士、あるいは光ファイバーと光部品のカップリングレンズなどを例示することができる。
その他光学素子としては、回折格子、フレネルレンズ、光フィルターなどを例示することができる。
これら光学素子の表面には、必要に応じて反射防止膜や部分反射膜、高反射膜、波長依存性を有する反射膜などをコートすることもできる。
(1)本発明の光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法;
(2)本発明の光学素子ブランクの製造方法により光学素子ブランクを作製し、作製した光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法;
(3)本発明のプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法;
(4)本発明のプレス成形用ガラス素材の製造方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法、
の4つの態様を含む。
なお、実施例11および比較例6を除く実施例、比較例の光学ガラスを得るためのガラス原料は汎用の光学ガラス原料用化合物を用いて調合した。実施例5〜7、9、10および比較例2〜4では、ガラス原料に表1記載の量のFe2O3を添加した。実施例11および比較例6の光学ガラス原料は高純度の化合物を用いて調合した。すなわち、実施例11および比較例6の光学ガラス原料は高純度原料とした。
次いで、これらガラス原料をガラス熔融槽に導入しながら加熱、熔融し、得られた熔融ガラスを熔融槽と連結パイプで連結した清澄槽に流し、清澄を行った後、清澄槽に連結パイプで連結した作業槽に流し、攪拌して均質化した後、作業槽の底部に取り付けた流出パイプから流出させて鋳型に鋳込み、成形した。上記熔融槽、清澄槽、作業槽、各連結パイプ、流出パイプは白金合金製とした。
また、ガラス原料の混合装置、ガラス原料の熔融槽への投入装置は、耐久性に優れるステンレス製装置を用い、ガラス原料による摩耗を抑制するようにしたため、装置からのFe混入はないとみなすことができる。したがって、実施例5〜7、9、10および比較例2〜4以外の実施例および比較例については、ガラス原料中のFe量を測定し、測定値から算出した光学ガラス中のFe量(Fe2O3換算)を表1に示す。実施例5〜7、9、10および比較例2〜4については、添加したFe2O3量および上記と同様にガラス原料中のFe量から算出したFe量(Fe2O3換算)を表1に示す。
また、上記ガラスの作製において、熔融槽内のガラスの熔融温度を1100〜1400℃、熔融時間を1〜5時間、清澄槽内のガラスの温度(清澄温度)を1200〜1500℃、清澄時間を1〜6時間、作業槽内におけるガラスの温度を1000〜1300℃、ガラスの流出温度を900〜1300℃とした。なお、上記ガラス製造装置は、熔融槽から清澄槽へ、清澄槽から作業槽へ熔融ガラスが連続的に流れるようになっている。そのため、上記熔融時間、清澄時間は、それぞれ熔融槽、清澄槽にガラスが滞在する平均時間である。
成形して得られた光学ガラスをガラス転移温度付近で保持した後、−30℃/時の冷却スピードで徐冷した後、着色度λ80、λ70、λ5、屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度Tg、屈伏点Tsを測定するための試料を採取し、前記各特性を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、得られた光学ガラスには、結晶や残留泡は認められなかった。
(1)着色度λ80、λ70、λ5
厚さ10±0.1mmで光学研磨された互いに平行な平面を有するガラス試料を作製し、このガラス試料に、上記平面に対して垂直な方向から強度Iinの光線を入射し、透過光線の強度Ioutを測定し、強度比Iout/Iinをガラスの外部透過率と呼ぶ。波長200〜700nmの範囲において、外部透過率が80%となる波長をλ80、外部透過率が70%となる波長をλ70、外部透過率が5%となる波長をλ5とした。波長200〜700nmの範囲において、λ80以上の波長域で80%以上の外部透過率が得られ、λ70以上の波長域で70%以上の外部透過率が得られ、λ5以上の波長域で5%以上の外部透過率が得られる。なお、屈折率が高い光学ガラスでは、ガラス試料の表面における光線の反射率が高くなり、外部透過率が80%に達しない場合がある。こうした場合、λ80は測定できない、あるいは精度よく測定できないため、表1には示していない。
(2)屈折率nd、アッベ数νd
日本光学硝子工業会規格JOGIS「光学ガラスの屈折率の測定方法」に従い測定した。
(3)ガラス転移温度Tg、屈伏点Ts
熱機械分析装置を用いて、昇温速度4℃/分の条件下で測定した。
同様に、表1中のSn添加量、Fe混入量を除き、同じ組成であるその他の実施例と比較例との対比においても、Snを添加した実施例の光学ガラスのほうが、Snを添加しない比較例の光学ガラスより、λ80および/またはλ70が小さな値となり着色が抑制されていることが確認できる。
一方、比較例14〜16はTiO2含有量が1質量%超かつWO3含有量が4質量%超であり、Sn添加量、Sb添加量を除き同じ組成の光学ガラス、比較例17〜19はTiO2含有量が1質量%超でありSn添加量、Sb添加量を除き同じ組成の光学ガラス、比較例20〜22はWO3含有量が4質量%超でありSn添加量、Sb添加量を除き同じ組成の光学ガラスである。これら比較例では、Sn化合物の添加によるλ80ないしλ70の低下は確認されなかった。
以上の結果から、TiO2含有量が1質量%以下かつWO3含有量が4質量%以下である組成系において、Snを添加することによりFeに起因する着色を抑制する効果が得られることがわかる。
下記方法1−1または方法1−2により、上記各実施例の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を作製した。
表1に示す組成を有する光学ガラスを熔融し、鋳型に流し込んで急冷、成形して得たガラス成形体をアニールし、その成形体を切断または割断してガラス片に分割し、ガラス片を研削、研磨してプレス成形用ガラス素材を作製した。
表1に示す組成を有する光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材1個分の熔融ガラス塊を調製し、熔融ガラス塊に風圧を加え、浮上状態でプレス成形用ガラス素材に成形した。
下記方法2−1または方法2−2により、上記各実施例の光学ガラスからなる光学素子ブランクを作製した。
上記方法1−1または1−2により得られた各プレス成形用ガラス素材を加熱し、プレス成形型を用いてプレス成形し、光学素子ブランクを作製した。ガラス素材の加熱、プレス成形はともに大気中で行った。ガラス素材の表面には、窒化硼素などの粉末状離型剤を均一に塗布し、加熱、プレス成形した。プレス成形して得られた光学素子ブランクを成形型から取り出し、アニールして内部の歪を低減するとともに、屈折率などの光学特性が所望の値になるように微調整した。
表1に示す組成を有する光学ガラスからなる均質化した熔融ガラスを、プレス成形型を用いてプレス成形し、光学素子ブランクを作製した。プレス成形型の成形面には窒化硼素などの粉末状離型剤を均一に塗布しておき、そこに熔融ガラスを供給してプレス成形した。
下記方法3−1〜方法3−3により、上記各実施例の光学ガラスからなる光学素子を作製した。
上記方法2−1または2−2により得られた各光学素子ブランクを研削、研磨して各種球面レンズやプリズムを作製した。
表1に示す組成を有する光学ガラスを熔融し、鋳型に流し込んで急冷、成形して得たガラス成形体を切断、研削、研磨して作製した表面が滑らかな精密プレス成形用プリフォーム、または表1に示す組成を有する光学ガラスからなる熔融ガラス塊を調製し、浮上させながら成形した精密プレス成形用プリフォームを加熱して、プレス成形型を用いて精密プレス成形し、非球面レンズやマイクロレンズなどの各種光学素子を作製した。
表1に示す組成を有する光学ガラスを熔融し、鋳型に流し込んで急冷、成形して得たガラス成形体を切断、研削、研磨して各種球面レンズやプリズムを作製した。
なお、各光学素子の表面には必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
Claims (14)
- 酸化物換算のガラス組成において、Fe2O3、SnO2およびSb2O3を除くガラス質量に対して、2〜50質量%のB2O3および10〜60質量%のLa2O3を含み、かつTiO2含有量が0〜1質量%でありWO3含有量が0〜4質量%である光学ガラスであって、Fe2O3に換算して0ppm超20ppm以下のFeを含み、かつ外割でSnO2を0.01〜3質量%およびSb2O3を0〜0.1質量%含む光学ガラス。
- 酸化物換算のガラス組成において、Fe2O3、SnO2およびSb2O3を除くガラス質量に対する質量%表示で、
B2O3 2〜50%、
SiO2 0〜30%、
La2O3 10〜60%、
Gd2O3 0〜30%、
Y2O3 0〜20%、
Ta2O5 0〜19%、
Nb2O5 0〜20%、
TiO2 0〜1%、
WO3 0〜4%、
ZrO2 0〜15%、
ZnO 0〜40%、
BaO、SrO、CaOおよびMgOを合計で0〜30%、
を含む請求項1に記載の光学ガラス。 - Fe2O3に換算して0.05ppm以上20ppm以下のFeを含む請求項1または2に記載の光学ガラス。
- 波長200〜700nmの範囲において、厚さ10nmにおける外部透過率が70%となる波長λ70は400nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子ブランク。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラスをプレス成形用ガラス素材に成形するプレス成形用ガラス素材の製造方法。
- 請求項5に記載のプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する光学素子ブランクの製造方法。
- 請求項8に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態でプレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する光学素子ブランクの製造方法。
- 請求項6に記載の光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
- 請求項10に記載の方法により光学素子ブランクを作製し、作製した光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
- 請求項5に記載のプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
- 請求項8に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する光学素子の製造方法。
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