JP5543395B2 - 光学ガラス、プレス成形用ガラス素材および光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プレス成形用ガラス素材および光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、光学ガラス、プレス成形用ガラス素材および光学素子に関する。
近年、撮像装置のコンパクト化に伴い、高屈折率高分散ガラス製レンズの需要が高まっている。このようなレンズ材料としては、特許文献1、2に開示されているリン酸塩系の組成をベースとする高屈折率高分散光学ガラスが用いられている。
特開2006−111499号公報 特開2007−15904号公報
K. Balasubramanian, "Relativistic Effects in Chemistry Part A", John Wiley & Sons, New York, 1997.
高ズーム比、広角のレンズを提供するためには、屈折率ndが2.02以上、アッベ数が19以下となるような超高屈折率の高分散ガラスが有効である。
一方で、光学ガラスに求められる特性としては、カメラ設計者等、使用者から求められる光学特性、たとえば屈折率特性や透過率特性が挙げられるが、工業製品としての光学ガラスを生産性よく製造するためには、ガラスの製造工程の搬送における耐擦傷性を決定する機械的特性を一定の水準に高めることが不可欠となる。
例えば研磨によって光学素子の光学機能面を形成する場合、切削や研削といった機械加工によって、ガラス表面は弾性ひずみ、塑性ひずみ、およびクラック生成などをともないながら除去される。次に表面の除去量が少ない研磨工程および化学的エッチング工程によって、滑らかな光学機能面が形成される。
ここで光学ガラスの機械的強度が小さすぎると、切削や研削工程での表面の損傷が激し過ぎて、研磨工程で除去できないような傷が光学面に残存してしまう。または表面の除去量が相対的に小さい研磨工程や、ガラスを洗浄する超音波洗浄工程においても、ガラスが軟らかいために、粗大な砥粒の転がりや、超音波のキャビテーションといったわずかな機械的作用で傷が発生するなど、レンズ表面に傷がつく可能性が高まる。以上のことから、研磨工程を経るガラスでは機械的強度が高いことが必要となる。
精密プレス成形等によって光学機能面を形成する場合も、同様に機械的強度の向上が必要である。精密プレス成形に供する成形前駆体(プリフォーム)を研磨によって作る場合は、研磨によって作製されたレンズと同様の問題によってプリフォームに傷が発生し、それを精密プレス成形すると傷の一部または全部がレンズの光学機能面に残存する。
また、プリフォームを研磨せず溶融ガラスの滴下等によって成形した場合は、プリフォームの研磨工程を省略することができるが、プリフォームを洗浄したり、プレス成形型へ搬送・位置合わせする際にプリフォーム表面が洗浄治具、搬送器具、位置あわせ器具などに接触する工程数が増加する。その結果、プリフォーム表面に物理的な傷が発生する可能性が高まる。上記のように傷が発生したプリフォームを精密プレス成形すると光学素子の光学機能面に傷の一部または全部が残存する。
更に、研磨工程・精密プレス成形工程によらず、光学機能面を形成したガラスを徐冷・洗浄・芯取り・成膜・検査工程と経てレンズ製品とする際にも、これらの工程に用いられる器具との接触によって、光学機能面に傷がつくことがある。
このような問題は、光学ガラスの高屈折率高分散化に伴い顕著になってきている。
本発明は、上記問題を解決し、屈折率ndが2.02以上、アッベ数νdが19.0以下の高屈折率高分散特性を有しながら、高品質の光学素子の製造に適した機械的特性を有する光学ガラスを提供することを目的とする。さらに本発明の目的は、この光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材及び光学素子を提供することにある。加えて、本発明の目的は、この光学ガラスからのプレス成形用ガラス素材の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の手段を提供するものである。
[1]
酸化物ガラスであって、
カチオン%表示にて、
5+を14〜36%、
Bi3+を12〜34%、
Nb5+を12〜34%、
Ti4+を5〜20%、
6+を0〜22%
含み、
Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量が50%以上、
ヌープ硬度が370以上、屈折率ndが2.02以上、アッベ数νdが19.0以下であることを特徴とする光学ガラス。
[2]
+およびBa2+の合計含有量が16%以下である[1]に記載の光学ガラス。
[3]
+、Ba2+およびB3+の合計含有量を22%以下である[1]または[2]に記載の光学ガラス。
[4]
Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)に対するBi3+の含有量のカチオン比(Bi3+/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)が0.6以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の光学ガラス。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
[6]
[1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
[7]
[1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスを機械加工する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法。
[8]
[5]に記載のプレス成形用ガラス素材をプレス成形する工程を有する光学素子の製造方法。
[6]
[1]〜[4]のいずれかに記載の光学ガラスを機械加工する工程を備える光学素子の製造方法。
本発明によれば、屈折率ndが2.02以上、アッベ数νdが19.0以下の高屈折率高分散特性を持ちながら、高品質の光学素子の製造に適した機械的特性を有する光学ガラスを提供することができる。さらに本発明によれば、前記光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材および光学素子を提供することができる。
図1は、Ti、Nb、W、P、およびBiについて、Pを基準としてこれらのカチオン成分を相互に1カチオン%置換したときのモル体積とヌープ硬度の変化量を示すグラフである。 図2は、Li、Na、K、B、Mg、Ca、Sr、およびBaについて、Mgを基準としてこれらカチオン成分を相互に1カチオン%置換したときのモル体積とヌープ硬度の変化量を示すグラフである。
本発明者は前述の問題について鋭意検討したところ、次のような知見を得た。
高屈折率光学ガラスを実現するために必要なガラス成分を、各成分がガラスに与える特性の観点から分類すると、ガラスに所望の光学特性を付与する高屈折率高分散付与成分、ガラス形成を促進するが屈折率を低くするガラスネットワーク形成成分、およびガラスの溶解性を向上させるが屈折率をやや低くする修飾成分のように分類することができる。
高屈折率高分散ガラスは、ガラス成分としてBi、Ti、W、Nbなどの高屈折率高分散化成分を多量に導入する必要がある。特に最近は、高屈折率高分散性を与えつつ、ガラスの結晶化を抑制できるBiの含有量が多くなる傾向にあり、一方で、PやB、Siといったガラスネットワークを強固にする成分が減少する傾向にある。このようなガラス成分の変化によって、ガラスの機械的強度の低下が無視できなくなってきた。
ガラスの原子構造は、BiやPといった元素がガラス中で陽イオンとして存在し、これに酸素イオンやフッ素イオンなどといった陰イオンが各々の価数に応じて複数個配位し、一部のイオン群の間を、逆の電荷を持ったイオン群によって架橋する、あるいは特定のイオン群が結合を終端するという形を考えることができる。さらにその構造中にわずかなH2OやOH-、CO3 -やSO4 2-といったイオン群が存在することも考えられるが、主な構造は陽イオンと陰イオンの結合から成ると考えられる。したがってガラス構造の構成単位をBi−O、Bi−F、Bi−(SO4)などといった化学結合の集合から成ると考えることができる。したがってガラス内の結合の状態が、ガラスの機械的強度を決める要素となる。また価数n1を持つ陽イオンM1と価数n2を持つ陽イオンM2の置換は、ガラスが酸化物であればガラス中に平均n1本のM1−O結合の密度を減少させ平均n2本のM2−Oを増加させることになる。
本発明者は、高屈折率高分散性を有するビスマス−リン酸系ガラスが、MO6(M=Bi、Nb、W、Ti)の八面体と、MO4(M=P、B、Siなど)の4面体を主に頂点で連結したランダムネットワーク構造から成り、その非結合酸素にアルカリ金属成分あるいはアルカリ土類金属成分が結合するというガラス構造のモデルを考え、その上でガラスの硬度とガラスのモル体積との相関に注目し、ガラスのモル体積を指標としてガラスの硬度を高めることを見出した。
例えば、ガラスのネットワーク形成成分のうち占有体積の大きなPを、より占有体積の小さいBに置換したり、アルカリ金属成分のうちイオン半径の大きなKを、よりイオン半径の小さいNaやLiに置換したり、また高屈折率成分においてもイオン半径の大きいWを、よりイオン半径の小さいTiに置換したりすることにより、モル体積減少とともに硬度が上昇する。また、アルカリ金属成分であるNaを網目形成成分のBに置換、あるいは高屈折率のネットワーク形成成分であるNbなどに置換することによっても、硬度が上昇する。
さらに、高屈折率高分散ガラスにおいては、Biを増加させると、モル体積が減少するにもかかわらず硬度が低下するという傾向も見出した。この傾向は以下のように説明することができる。Biの導入によって酸化物ガラス中にBi−O結合が形成される際、重元素であるBiの相対論効果によって、Bi 6s2電子対のエネルギー準位が上昇してBi 6s2電子対が原子核上に孤立化するとともに、p軌道を主体とするBi−O結合性軌道の混成が弱められる(非特許文献1参照)。その結果、特定の方向の原子間距離が長く、結合角が大きくなるなど、BiO多面体構造にひずみが生じ、いわゆる立体化学的に活性な化学状態となる。以上のような重元素特有の特徴のために、Biをガラスに導入した際、BiO多面体が歪む効果によって単位体積に含まれる元素の数が増加してモル体積が減少し、同時に孤立原子対の存在を伴う原子間距離の拡大により、結合を切断するために要するエネルギーの少ない、すなわち機械的強度の増大に寄与しにくい結合が形成されたと考えることができる。
これらのことから、ガラス成分と硬度について、以下のような因果関係があることを見出した。
高屈折率高分散のビスマス−リン酸系ガラスの骨格となる陽イオン酸化物多面体を形成すると考えられるTi、Nb、W、P、およびBiをガラスの網目形成成分と見なし、Pを基準としてこれらの陽イオンを相互に1カチオン%置換したときのモル体積とヌープ硬度の変化量を図1に示す。
上記ガラスの骨格に対し修飾成分として働くと考えられるLi、Na、K、B、Mg、Ca、Sr、およびBaを、Mgを基準として相互に1カチオン%置換したときのモル体積とヌープ硬度の変化量を図2に示す。
図1、図2より、硬度を高める効果として、Ti≒>Nb>W>>Bi、Nb>Na、Li>Na>K、Na≒Ba≒B、Ca≒Sr>Mg>Ba、B>P、P>Biのような傾向があることがわかる。
ところで、ガラス材料の硬さを分類すると、押しこみ深さ、引っ掻き深さ、砥石研削硬さ、摩耗硬さの4種類が挙げられる。ヌープ硬度は、ビッカース硬度と同様にガラスの押し込み硬さを示す指標である。ガラス全般において、光学ガラスのように比較的硬く割れやすい材料では、くぼみのクラックは小さく、試験結果のばらつきが少ないとされている。そのため本発明において、ガラスの硬度はヌープ硬度により評価することとする。
以上に知見に基づき完成した本発明の光学ガラスは、酸化物ガラスであって、
カチオン%表示にて、
5+を14〜36%、
Bi3+を12〜34%、
Nb5+を12〜34%、
Ti4+を5〜20%、
6+を0〜22%
含み、
Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量が50%以上、
ヌープ硬度が370以上、屈折率ndが2.02以上、アッベ数νdが19.0以下であることを特徴とする。
本発明の光学ガラスは、屈折率ndが2.02以上、アッベ数νdが19.0以下と超高屈折率高分散特性を有しながら、光学ガラスからなるガラス製品の製造に適した機械的強度を有するという特長を備えている。
なおヌープ硬度の単位はMPaであるが、本発明が属する技術分野においてヌープ硬度の単位を省略する慣例になっていることから、本発明においてもヌープ硬度の単位を省略することとする。
[ガラス組成]
本発明の光学ガラスは基本的に酸化物ガラスであり、O2-がアニオンの主成分である。O2-の含有量は90〜100アニオン%を目安として考えればよい。O2-の含有量が上記範囲内であれば、他のアニオン成分としてF-、Cl-、Br-、I-、S2-、Se2-、N3-、NO3 -、あるいはSO4 2-などを含有させてもよい。その場合、F-、Cl-、Br-、I-、S2-、Se2-、N3-、NO3 -およびSO4 2-の合計含有量は、例えば、0〜10アニオン%とすることができる。O2-の含有量を95アニオン%超あるいは98アニオン%超あるいは99アニオン%超としてもよいし、99.5アニオン%以上あるいは100アニオン%としてもよい。
次に本発明の光学ガラスのカチオン成分について説明する。以下、特記しない限り、カチオン成分の含有量、合計含有量は、カチオン%表示とする。
5+は、ガラスネットワーク形成成分であり、酸化物ガラス中で共有結合性の高いP−O結合を形成してイオン間の結合距離の多様化に寄与し、ガラス状態を熱的に安定化させる効果を有する。またTi、Nb、Wらと酸素等を介した架橋結合を形成することでガラスの機械的強度を維持する成分である。一方でTi、Nb、Wと比較するとガラスの構造を疎にする傾向があるため、Ti、Nb、Wと比較すると硬度を低下させる働きをする。P5+の含有量が14%未満であると、前記効果を得ることが困難となり、P5+の含有量が36%を越えると屈折率が低下し、ガラスの結晶化傾向が増大する傾向を示すため、P5+の含有量を14〜36%とする。上記P5+の導入効果を得る上から、P5+の含有量の好ましい下限は18%、より好ましい下限は20%、さらに好ましい下限は22%、一層好ましい下限は24%、より一層好ましい下限は26%である。一方、高屈折率を維持する上からP5+の含有量の好ましい上限は31%、より好ましい上限は30%、さらに好ましい上限は29%、一層好ましい上限は28%である。
なお、P5+には、ガラスの熱的安定性改善によって、液相温度を低下させるとともに液相温度における粘度を上昇させ、高品質な光学ガラスの生産を容易にする効果もある。
Bi3+は、高屈折率高分散ガラスを得る上で必須の成分であり、適量を含有させることによりガラスの熱的安定性を改善する働きをする。また、ガラスの極性を変化させる作用を有する。しかし、ガラス中でBi−O結合が形成され、その酸素多面体が歪むことによりイオンの充填率は向上するが、Bi自体の内殻電子の存在によりBiの分極性が高まる結果、ガラス中のBi−Oの結合が弱くなる。このため高屈折率成分の中で最も硬度を低下させる働きをする。Bi3+の含有量が12%未満であると前記Bi3+の導入効果を得ることが困難となり、Bi3+の含有量が34%を超えると熱的安定性が低下するとともに、液相温度が上昇し、液相温度における粘度が低下する傾向を示し、高品質な光学ガラスを得る上から好ましくない。また、ガラスが黄色あるいは褐色に着色し、分光透過率特性における吸収端が長波長化する。したがって、Bi3+の含有量は12〜34%とする。Bi3+の導入効果を得る上から、Bi3+の含有量の好ましい下限は14%、より好ましい下限は16%、さらに好ましい下限は18%、一層好ましい下限は20%、より一層好ましい下限は22%、さらに一層好ましい下限は23%、なお一層好ましい下限は24%である。ガラスの熱的安定性を維持する上から、Bi3+の含有量の好ましい上限は32%、より好ましい上限は30%、さらに好ましい上限は29%、一層好ましい上限は28%、より一層好ましい上限は27%、さらに一層好ましい上限は26%である。
Nb5+は、ガラスを高屈折率高分散化する働きのある成分であり、Ti4+に次いで強固なNb−O結合を形成してガラスの強度を高める成分であるが、イオンの充填率はやや低下することから、Nb5+導入によるガラス強度の向上効果はTi4+よりは劣る。また、Bi3+およびTi4+と共存することにより、ガラスの熱的安定性を維持する働きがある。さらに、ガラスの化学的耐久性を高め、ガラスの機械的強度を高める働きをする。Nb5+の含有量が12%未満であると上記Nb5+の導入効果を十分に得ることが困難であり、Nb5+の含有量が34%を超えると、ガラスの熱的安定性が低下し、液相温度が著しく上昇し、液相温度における粘度が低下して高品質な光学ガラスの生産が難しくなる。また、Bi3+、Ti4+、W6+ほどではないが、Nb5+の導入により分光透過率特性における吸収端がやや長波長化する傾向を示す。Nb5+の導入効果を得る上から、Nb5+の含有量の好ましい下限は14%、より好ましい下限は16%、さらに好ましい下限は17%、一層好ましい下限は18%、より一層好ましい下限は19%である。一方、ガラスの熱的安定性を維持する上から、Nb5+の含有量の好ましい上限は30%、より好ましい上限は27%、さらに好ましい上限は25%、一層好ましい上限は24%、より一層好ましい上限は23%、さらに一層好ましい上限は22%である。
Ti4+は、Bi3+、Nb5+およびW3+とともに高屈折率高分散付与成分であるが、強固なTi−O結合を形成すると共にイオン充填率を高めることから、高屈折率高分散付与成分のうち、最もガラスの強度を高める働きが強い。また、ガラスの化学的耐久性を高める働きに加え、Bi3+およびNb5+と共存することによってガラスの熱的安定性を高める働きがあるが、過剰導入により溶解温度が上昇して溶解性が悪化したり、ガラスが着色する。Ti4+の含有量が5%未満であると十分なTi4+の導入効果を得ることが困難となり、Ti4+の含有量が20%を超えると熱的安定性が低下、結晶化傾向が増大するとともに、液相温度が著しく上昇、液相温度における粘度が低下して高品質な光学ガラスを生産することが困難になる。また、分光透過率特性における吸収端が長波長化し、ガラスが褐色に着色する傾向を示す。したがって、Ti4+の含有量を5〜20%とする。Ti4+の導入効果を十分得る上から、Ti4+の含有量の好ましい下限は6%、より好ましい下限は7%、さらに好ましい下限は8%である。また、ガラスの熱的安定性の維持、液相温度の上昇抑制、液相温度における粘度の維持、ガラスの着色抑制の観点から、Ti4+の含有量の好ましい上限は15%、より好ましい上限は13%、さらに好ましい上限は12%、一層好ましい上限は11%、より一層好ましい上限は10%である。
6+は、ガラスを高屈折率高分散化し、ガラスの化学的耐久性、機械的強度を高める働きをするが、Nb5+よりもイオンの充填率が低下することから、W6+導入によるガラス強度の向上効果はTi4+やNb5+よりも劣ることから、本発明におてW6+は任意成分とする。W6+の含有量が22%を超えるとガラスの熱的安定性が低下し、結晶化傾向が高まり、ガラスの分光透過率特性における吸収端が長波長化し着色する。したがって、W6+の含有量は0〜22%とする。W6+を適量導入することにより液相温度を低下させる効果があることから、W6+の含有量の好ましい下限は2%であり、より好ましい下限は3%であり、さらに好ましい下限は4%である。また、W6+の含有量の好ましい上限は18%、より好ましい上限は15%、さらに好ましい上限は12%、一層好ましい上限は10%、より一層好ましい上限は8%、さらに一層好ましい上限は6%である。
なお、所要の高屈折率高分散光学ガラスを得るためには、Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の各含有量を上記範囲にすることに加え、Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量を50%以上にする。Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量の好ましい下限は55%、より好ましい下限は57%、さらに好ましい下限は58%、一層好ましい下限は60%、より一層好ましい下限は62%、さらに一層好ましい下限は63%、なお一層好ましい下限は64%、特に好ましい下限は65%である。なお、ガラス原料の溶解性を保ちガラスの安定性を維持する上から、Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量を90%以下にすることが好ましく、80%以下にすることがより好ましく、70%以下にすることがさらに好ましい。
ガラスの強度の一層改善を行う上から、高屈折率高分散付与成分であるBi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の中でガラスの強度改善効果が最も小さいBi3+が高屈折率高分散付与成分の中に占める割合を制限することが好ましい。具体的には、Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)に対するBi3+の含有量のカチオン比(Bi3+/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)を0.6以下とすることが好ましい。上記比の下限は、0.25であることが好ましい。また上記比が0.6を超えると、ガラスの粘性が低下してガラスの熱的安定性が低下し失透を生じやすくなるとともに、ガラスの機械的強度も低下し、またガラスの吸収端が長波長側にシフトし可視光の透過性が悪化する傾向がある。上記比が0.25未満になると、ガラスの液相温度が上昇して結晶化傾向が増大し、均質性の高い高屈折率のガラスを形成することが困難となる傾向がある。比(Bi3+/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)の好ましい上限は0.55、より好ましい上限は0.5、さらに好ましい上限は0.45、一層好ましい上限は0.42、より一層好ましい上限は0.40、さらに一層好ましい上限は0.38であり、好ましい下限は0.25、より好ましい下限は0.28、さらに好ましい下限は0.30、一層好ましい下限は0.32、より一層好ましい下限は0.34、特に好ましい下限は0.36である。
また、ガラスの密度に対する屈折率を高め、かつ同一屈折率におけるガラスのアッベ数を減少させて高分散特性を高めようとする観点、およびガラスの液相温度における粘度の低下を抑制する上から、Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量に対するTi4+の含有量のカチオン比(Ti4+/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)を0.03〜0.33とすることが好ましい。上記比が0.03未満になると、ガラスの密度あたりの屈折率が低下し、また高分散特性が低下するうえガラスの液相温度上昇ないし粘性低下を招く傾向がある。また上記比が0.33を超えても、ガラスの溶解性が極めて悪化するとともにガラスの安定性が低下し、液相温度における粘度の低下も招く傾向がある。比(Ti4+/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)の好ましい下限は0.05、より好ましい下限は0.08、さらに好ましい下限は0.10、一層好ましい下限は0.12、より一層好ましい下限は0.14、特に好ましい下限は0.16であり、好ましい上限は0.33、より好ましい上限は0.30、さらに好ましい上限は0.25、一層好ましい上限は0.22、より一層好ましい上限は0.20である。なお、前記カチオン比を高めることはガラスの強度改善の観点からも好ましい。さらに、ガラスの還元傾向を抑え、着色を悪化させずにガラスの硬度を高める観点からは、Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量に対するTi4+とNb5+の合計含有量のカチオン比(Ti4++Nb5+)/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)を0.375〜0.70とすることが好ましい。比(Ti4++Nb5+)/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)の好ましい下限は0.40、より好ましい下限は0.42、さらに好ましい下限は0.44、一層好ましい下限は0.45、より一層好ましい下限は0.46であり、好ましい上限は0.65、より好ましい上限は0.60、さらに好ましい上限は0.55、一層好ましい上限は0.53、より一層好ましい上限は0.50である。
次に、他の任意成分について説明する。なお、本発明における各任意成分は、それら含有量をゼロとしてもよいし、0%超としてもよい。
アルカリ金属成分は任意成分であるが、イオン半径が小さいほど構造の引き締め効果が大きく硬度を増加させるため、硬度を高める上からはK+よりNa+、Na+よりLi+を導入することが好ましい。特にK+は硬度を低下させやすい。
Li+は、溶融性を改善し、溶融温度を低下させ、分光透過率特性における吸収端を短波長化するとともに、ガラス溶融中における上記高屈折率化成分の還元を抑制し、着色を抑制する働きをする。さらに、アルカリ金属成分の中では硬度を高める働きをするので、本発明の目的を損なわない範囲で導入することができる。しかし、Li+の含有量が7%を超えると屈折率が低下し、熱的安定性、液相温度における粘度も低下する傾向を示すため、Li+の含有量を0〜7%とすることが好ましい。Li+の含有量のより好ましい範囲は0〜5%、さらに好ましい範囲は0〜4%、一層好ましい範囲は0〜3%、より一層好ましい範囲は0〜2%、さらに一層好ましい範囲は0〜1%であり、含有させなくてもよい。Li+は、他のアルカリ金属成分Na+、K+と比べてイオン半径が小さいため、ガラス構造の引き締め効果により、アルカリ金属成分の中では比較的、屈折率を低下させる働きは弱い。
Na+は、ガラスの熱的安定性を大きく損なうことなしに、溶融性を改善し、溶融温度を低下させ、分光透過率特性における吸収端を短波長化するとともに、ガラス溶融中における上記高屈折率化成分の還元を抑制し、着色を抑制する働きをする。また、液相温度における粘度をやや低下させるものの、液相温度を低下させる働きもする。しかし、Na+の含有量が20%を超えると屈折率が低下し、熱的安定性、液相温度における粘度も低下する傾向を示すため、Na+の含有量を0〜20%とすることが好ましい。Na+の含有量の上限については、18%、16%、14%、12%、10%、8%、7%、6%、5%の順に好ましく、最も好ましい上限は4%である。Na+は、イオン半径がLi+とK+の間にあるため、ヌープ硬度を低下させる働き、および屈折率を低下させる働きはLi+よりも大きく、K+よりは小さい。Na+の含有量の好ましい下限は0.1%、より好ましい下限は0.5%、さらに好ましい下限は1%、一層好ましい下限は2%、より一層好ましい下限は3%である。
+も溶融性を改善し、溶融温度を低下させる働きをする。また、分光透過率特性における吸収端を短波長化するとともに、ガラス溶融中における上記高屈折率化成分の還元を抑制し、着色を抑制する働きもする。さらに、Li+、Na+と共存することにより熱的安定性を改善し、液相温度を低下させる働きもする。しかし、K+の含有量が10%を超えると屈折率が低下し、熱的安定性、液相温度における粘度が低下する傾向を示す。またK+はガラスの硬度を低下する働きをするため、K+の含有量を0〜10%とすることが好ましい。K+の含有量のより好ましい上限は7%、さらに好ましい上限は5%、一層好ましい上限は4%、より一層好ましい上限は3%、さらに一層好ましい上限は2%、特に好ましい上限は1%であり、含有させなくてもよい。
なお、液相温度における粘度の低下を抑制し、かつ高屈折率化成分の還元によるガラスの着色を抑制する上から、Li+、Na+およびK+の合計含有量を0〜20%の範囲にすることが好ましい。Li+、Na+およびK+の合計含有量の好ましい上限は15%、より好ましい上限は12%、さらに好ましい上限は10%、一層好ましい上限は7%、より一層好ましい上限は5%、さらに一層好ましい上限は4%、特に好ましい上限は3%である。分光透過率特性における吸収端の短波長化と、高屈折率化成分の還元による着色の抑制を優先する場合、上記範囲内でアルカリ金属成分を導入することが好ましく、その場合、Li+、Na+およびK+の合計含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は2%である。なお、Li+、Na+およびK+のいずれも含有させない場合は、吸収端の短波長化と粘性の向上のために、後述するB3+および/またはアルカリ土類金属成分を含有させることが好ましい。なお、アルカリ金属成分を含む場合でも、B3+および/またはアルカリ土類金属成分を含有させてよい。B3+の含有量については後述する。
アルカリ金属成分やアルカリ土類金属成分は、共有結合性の…O-P-O-Nb-O…のような架橋結合を切断し、代わりに…O-P-O-Naのようにして共有結合を終端させるため、ガラス融液の粘性を低下させる働きをする。ガラスの構造を終端させる度合いは、おおむね修飾成分のモル数と原子価の積で表すことができ、この値が小さいほど、同一温度における融液状態のガラスの粘性が上昇する。したがってアルカリ金属成分とアルカリ土類金属成分の合計含有量(R2O+R´O:ここで、R2Oは酸化物基準によるアルカリ金属成分の合計量、R´Oはアルカリ土類金属成分の合計量であり、R=Li、Na、Kであり、R´=Mg、Ca、Sr、Ba)は20モル%以下が望ましく、15モル%以下がより望ましく、13モル%以下がさらに望ましく、11モル%以下が一層望ましく、10モル%以下がより一層望ましく、8モル%以下がさらに一層好ましく、6モル%以下がなお一層好ましく、4モル%以下がさらになお一層好ましく、3モル%以下が特に望ましい。また、酸化物基準によるアルカリ金属成分とアルカリ土類金属成分の合計量を0モル%にすることもできる。ただしアルカリ金属成分あるいはアルカリ土類金属成分の合計量が少なくなりすぎると、Ti、Nb、Bi、Wといった還元されやすいイオンの還元による着色を抑制することが難しくなるので、酸化物基準にてアルカリ金属成分あるいはアルカリ土類金属成分の合計量は0.5モル%以上が好ましく、1モル%以上であることがより好ましく、2モル%以上であることがさらに好ましい。
アルカリ金属成分を導入する場合(Li+、Na+およびK+の合計含有量を0%超とする場合)、光学特性を維持しつつ、ガラスの熱的安定性を改善し、液相温度における粘度を上昇させ、ガラスの成形性を改善する上から、Li+の含有量を7%以下、Na+の含有量を20%以下、K+の含有量を10%以下としつつ、Li+、Na+およびK+の合計含有量に対するNa+の含有量のカチオン比((Li++Na+)/(Li++Na++K+))を0.2〜1とすることが好ましい。カチオン比((Li++Na+)/(Li++Na++K+))のより好ましい範囲は0.5〜1、さらに好ましい範囲は0.7〜1、一層好ましい範囲は0.8〜1、より一層好ましい範囲は0.85〜1、さらに一層好ましい範囲は0.9〜1、なお一層好ましい範囲は0.95〜1であり、1とすることもできる。
3+は、適量の導入によりアルカリ金属成分等よりも硬度を上昇させる効果がある。またガラスの熱的安定性を改善し、液相温度を低下させ、液相温度における粘度を増加させる働きをする。
しかし、過剰導入によってイオンの充填効率が低下し、構造を引き締める効果が弱くなって硬度が低下したり、熱的安定性が低下、液相温度が上昇、ガラスの着色が増加する傾向を示すため、B3+の含有量を0〜20%とすることが好ましい。B3+の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は2%、さらに好ましい下限は3%、一層好ましい下限は4%、より一層好ましい下限は5%である。B3+の含有量の好ましい上限は18%、より好ましい上限は16%、さらに好ましい上限は14%、より一層好ましい上限は13%、さらに一層好ましい上限は12%、なお一層好ましい上限は10%、さらになお一層好ましい上限は9%、特に好ましい上限は8%、最も好ましい上限は7%である。Si4+は屈折率を低下させるもののガラスの液相粘性を良く上昇させる働きをする一方で、過剰な導入はガラスの液相温度の上昇あるいはガラスの分相を招くため、Si4+の含有量の上限は5%とすることが好ましく、3%とすることがより好ましく、2%とすることがさらに好ましく、1.5%とすることが一層好ましく、1.2%とすることがより一層好ましい。Si4+の含有量の下限は0%であり、好ましい下限は0%超、より好ましい下限は0.1%、さらに好ましい下限は0.2%、いっそう好ましい下限は0.3%、より一層好ましい下限は0.4%、より一層好ましい下限は0.5%である。Si4+の導入方法は通常の酸化物原料によるものが主であるが、SiO2を主成分とする材質で作られた坩堝から混入させることもできる。
アルカリ土類金属成分も任意成分であるが、イオン半径が小さいほど硬度を増加させる。硬度の観点からは大きな差がないが、Mg2+、Ca2+、Sr2+と比較しBa2+は硬度を低下させやすい成分である。一方、Ba2+はガラスの結晶化を抑制してガラスの安定化に貢献するので、その分Ti4+等を多く含有することも可能になる。したがってBa2+は、Ti4+やNb5+を多く含有する場合に限り、間接的には硬度の維持や上昇に貢献する成分である。
Ba2+はガラスの熱的安定性を改善し、液相温度における粘度を上昇させるとともに、溶融性を改善し、分光透過率特性における吸収端を短波長化し、高屈折率化成分の還元によるガラスの着色を抑制する働きをする。しかし、Ba2+の含有量が15%を超えると屈折率が低下するとともにアッべ数が大幅に増大し、所要の光学特性を実現することが難しくなる傾向が生じるため、Ba2+の含有量を0〜15%の範囲にすることが好ましい。Ba2+の含有量の好ましい上限は12%、より好ましくは9%、さらに好ましくは6%、一層好ましくは0〜4%、より一層好ましくは0〜3%である。Ba2+の含有量の好ましい下限は0%であり、より好ましい下限は0.2%、さらに好ましい下限は0.5%、一層好ましい下限は1.0%、より一層好ましい下限は2.0%である。所要の光学特性を実現する上からはBa2+を含有させなくてもよい。
ヌープ硬度を本発明の範囲に制御するという観点からは、硬度を低下させる働きをするK+およびBa2+の合計含有量を16%以下とすることが好ましく、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは12%以下、一層好ましくは10%以下、より一層好ましくは8%以下、さらに一層好ましくは6%以下、最も好ましくは4%以下とする。屈折率、アッベ数などの光学特性や液相温度における粘度を維持した上でヌープ硬度を本発明の範囲に制御するという観点からは、K+、Ba2+およびB3+の合計含有量を22%以下とすることが好ましく、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは15%以下、一層好ましくは12%以下、より一層好ましくは10%以下、さらに一層好ましくは8%以下、最も好ましくは6%以下とする。
2.02以上の屈折率ndを維持しつつ、液相温度における粘度の低下を抑制する上から、P5+、Bi3+、Nb5+、Ti4+、W6+、Li+、Na+、K+、B3+、Si4+およびBa2+の合計含有量を90〜100%とすることが好ましく、95〜100%とすることがより好ましく、98〜100%とすることがさらに好ましく、99〜100%とすることが一層好ましい。前記合計含有量を100%としてもよい。
さらに、同様の観点から、P5+、Bi3+、Nb5+、Ti4+、W6+、Li+、Na+、K+、B3+およびSi4+の合計含有量を90〜100%とすることが好ましく、95〜100%とすることがより好ましく、98〜100%とすることがさらに好ましく、99〜100%とすることが一層好ましい。前記合計含有量を100%としてもよい。
上記カチオン成分以外に導入可能な成分としては、Sr2+、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Al3+等がある。このうち、Sr2+、Ca2+、Mg2+、Zn2+はいずれもガラスの溶解性を高める働きがあるものの、屈折率を低下させる働きがあるため、Sr2+、Ca2+、Mg2+、Zn2+の含有量はそれぞれ0〜5%の範囲とすることが好ましく、0〜3%の範囲とすることがより好ましく、0〜2%の範囲とすることがさらに好ましく、0〜1%の範囲とすることが一層好ましい。なお、Sr2+、Ca2+、Mg2+、Zn2+を含有させなくてもよい。
Al3+は屈折率を低下させ、かつガラスの液相温度を上昇させる働きをするため、Al3+の含有量は0〜5%の範囲とすることが好ましく、0〜3%の範囲とすることがより好ましく、0〜2%の範囲とすることがさらに好ましく、0〜1%の範囲とすることが一層好ましい。なお、Al3+を含有させなくてもよい。
その他、添加剤としてSb23やSnO2などのような清澄剤を添加しても良い。また、ガラスの清澄性や、ガラスとるつぼ材料との親和性を制御するために、NO3 -、CO3 -、SO4 2-、F-、Cl-、Br-、I-などのような分極性の高い陰イオンとその対イオンである陽イオンから構成される各種の塩などを添加してもよい。
上記清澄剤の中で好ましいものはSb23である。Sb23を用いる場合は、質量比によるSb23の外割り添加量を0〜10000ppmの範囲とすることが好ましい。なお、質量比による外割り添加量とは、ガラス成分の質量を基準とした割合で示す添加量である。Sb23は清澄効果があることに加え、ガラス溶融中、前述の高屈折率化成分を酸化状態にするとともに、この酸化状態を安定化する働きをする。しかし、外割り添加量が10000ppmを超えるとSb自体の光吸収により、ガラスが着色する傾向を示す。ガラスの透過率特性を改善するという観点から、Sb23の外割り添加量の好ましい上限は5000ppm、より好ましい上限は2000ppm、さらに好ましい上限は1100ppm、一層好ましい上限は900ppm、より一層好ましい上限は600ppmであり、好ましい下限は100ppm、より好ましい下限は200ppm、さらに好ましい下限は300ppmである。なお、Sbは添加剤であるため、ガラス成分とは異なり酸化物換算した値で添加量を示した。
なお、本発明の光学ガラスにおいて、Pb、As、Cd、Te、Tl、Seのカチオンはいずれも環境への負荷を配慮し、含有、添加しないことが望ましい。また、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr、Nd、Eu,Tb、Ho、Erのカチオンはいずれもガラスを着色したり、紫外光の照射により蛍光を発生するため、含有、添加しないことが望ましい。ただし、上記の含有、添加しないとは、ガラス原料やガラス溶融工程に由来する不純物としての混入までも排除するものではない。
さらにGa3+、Lu3+、In3+、Ge4+、Hf4+は、少量であれば含有しても構わないが、これら成分により有意義な効果が得られることはなく、いずれも高価な成分であることから、それぞれの含有量を0〜2%の範囲とすることが好ましく、0〜1%の範囲とすることがより好ましく、0%以上0.5%未満とすることがさらに好ましく、0%以上0.1%未満とすることが一層好ましく、ガラスの製造コストを抑える上から含有させないことが望ましい。
その他、本発明の光学ガラスの説明において明記していないカチオンについては各々、含有しなくてもよい、すなわち、0%としてもよい。ただし、ただし、上記の含有、添加しないとは、ガラス原料やガラス溶融工程に由来する不純物としての混入までも排除するものではない。
[屈折率、アッベ数]
本発明の光学ガラスの屈折率ndは2.02以上、アッベ数νdは19.0以下である。このように本発明の光学ガラスは、超高屈折率高分散特性を備えているため、高ズーム比、広角、コンパクトな光学系を構成するための光学素子の材料として好適である。なお、光学系の高機能化、コンパクト化により有効な光学素子に用いられる光学ガラスを提供するという観点から、屈折率ndが2.05超であることが好ましく、2.06以上であることがより好ましく、2.07以上であることがさらに好ましく、2.08以上であることが一層好ましく、2.09以上であることがより一層好ましい。アッベ数νdの好ましい上限は18.5、より好ましい上限は18.1、さらに好ましい上限は17.7、一層好ましい上限は17.4、より一層好ましい上限は17.2、さらに好ましい上限は17.1である。
屈折率ndの上限、アッベ数νdの下限は上記組成範囲によって自ずと定まるため、特に制限はないが、屈折率ndの上限は3.0、アッベ数νdの下限は5をそれぞれ目安とすることができる。また、ガラスの成形性を重視する場合は、屈折率ndの増加、アッベ数νdの減少によって、液相温度における粘度は減少傾向を示すので、屈折率ndの上限、アッベ数νdの下限については、前述のガラス組成範囲内で、液相温度における粘度が1dPa・s以上となる範囲で定まる。
[ヌープ硬度]
上記のようにビスマス−リン酸系の高屈折率高分散光学ガラスの機械加工や取り扱い時の加傷を防止する観点から、本発明の光学ガラスのヌープ硬度は370以上である。ヌープ硬度が370未満であるガラスでは、前述のように研削、研磨、切削などの機械加工時やガラス物品の取り扱い時の加傷が問題となる。ヌープ硬度を上記範囲にすることにより上記加傷を防止することができる。本発明におけるヌープ硬度の好ましい範囲は375以上、より好ましい範囲は380以上、さらに好ましい範囲は385以上、一層好ましい範囲は390以上、より一層好ましい範囲は395以上、さらに一層好ましい範囲は400以上、なお一層好ましい範囲は405以上、さらになお一層好ましい範囲は410以上、特に好ましい範囲は415以上、最も好ましい範囲は420以上である。一方、ヌープ硬度の上限については特に制限はなく、加傷の問題を回避するという観点のみからは高い方が好ましい。しかし、ガラス組成による制限と屈折率及びアッベ数による制限もあることから、ヌープ硬度は、最大でも、例えば、600程度であり、500以下であることが好ましい。
[摩耗度]
また、高屈折率高分散光学ガラスの研磨加工時の加傷を抑制し、研磨加工の制御性を高める観点から、本発明の光学ガラスの摩耗度は300以下である。摩耗度が300を超えるガラスでは、前述のように研削、切削などの機械加工時やガラス物品の取り扱い時の加傷に加え、研磨工程における加傷が顕著になるため、酸化セリウムをはじめとする研磨効率の高い研磨剤を使用すると、レンズの曲率を制御しながら研磨を行うことが困難になり、研磨性を低下させた酸化ジルコニウム研磨剤などにより時間をかけて研磨する必要があるため、研磨効率が低下する。本発明における摩耗度の好ましい範囲は280以下、より好ましい範囲は270以下、さらに好ましい範囲は260以下、一層好ましい範囲は250以下、より一層好ましい範囲は240以下、さらに一層好ましい範囲は230以下、なお一層好ましい範囲は220以下、さらになお一層好ましい範囲は210以下、特に好ましい範囲は200以下である。一方、摩耗度の下限については特に制限はないが、摩耗度が小さすぎても同一体積のガラスを研磨除去するための時間が増大して生産性が低下するため、摩耗度は、最小でも、例えば10以上であり、好ましくは30以上であり、より好ましくは50以上であることが好ましい。
本発明のビスマス−リン酸系の高屈折率高分散光学ガラスにおいて、前記の組成範囲でヌープ硬度を所望の値に制御するには、実施例に記載のガラスの組成とヌープ硬度を基準として、図1及び2に示す、各組成のヌープ硬度に与える影響を考慮して、所望のヌープ硬度を有するガラス組成を決定することができる。例えば、実施例1のガラスを基準(スタート)として所望のヌープ硬度を決めれば、それに基づいて、実施例1のガラス組成と図1及び2に示す、各組成のヌープ硬度に与える影響を考慮して、ガラス組成を決定できる。具体的には、実施例1のガラスのヌープ硬度406をさらに高めたい場合には、例えば、図1に示された成分を変動させる場合、Pを基準としてヌープ硬度を高める方向に作用する(図1の縦軸のヌープ硬度変化率が大きい)Tiを、例えば、この値が小さいWと置き換えることで、ヌープ硬度が高いガラスを得ることができる。例えば、実施例1におけるTi4+ 12モル%、W6+ 12モル%を、Ti4+を4モル%増やして16モル%とし、W6+を4モル%減らして8モル%とすると、ヌープ硬度は11上昇して417のガラスが得られる(実施例2参照)。また、図2に示された成分を変動させる場合、Mgを基準としてヌープ硬度を高める方向に作用する(図2の縦軸のヌープ硬度変化率が大きい)Caを、例えば、Mgと置き換えることで、ヌープ硬度が高いガラスを得ることができる。例えば、実施例17のガラス(ヌープ硬度405)におけるBa2+4.255モル%を、Ca2+4.255モル% で置換すると、ヌープ硬度は9上昇して414のガラスが得られる(実施例15参照)。
[液相温度、液相温度における粘度]
本発明の光学ガラスにおいて、良好な成形性を得る上から液相温度における粘度が1dPa・s以上であるものが好ましい。液相温度は、ガラスの高屈折率高分散化に伴い上昇傾向を示し、940℃以上の高温になりやすい。液相温度の上昇は、ガラス製造時の失透を防止するために溶融温度、成形温度の上昇をもたらす。その結果、成形時のガラスの粘性が著しく低下し、脈理が生じ、光学的均質性が著しく悪化してしまう。上記好ましい光学ガラスによれば、高屈折率高分散化に伴い液相温度が上昇しても、温度あたりの粘性値を高めることにより、ガラス成形時の脈理発生を抑制し、優れた光学的均質性を有する高品質な光学ガラスを提供することができる。
本発明において、液相温度における粘度の好ましい範囲は1.0 dPa・s以上、より好ましい範囲は1.4 dPa・s以上、さらに好ましい範囲は1.7 dPa・s以上、一層好ましい範囲は2.0 dPa・s以上、より一層好ましい範囲は2.2 dPa・s以上、さらに一層好ましい範囲は2.5 dPa・s以上、なお一層好ましい範囲は2.7 dPa・s以上、特に好ましい範囲は3.0dPa・s以上、最も好ましい範囲は3.2dPa・s以上である。液相温度における粘度の上限は特に限定されないが、20 dPa・sを目安として考えることができる。ただし、液相温度における粘度を過剰に高めても、屈折率の低下などの問題が生じるおそれがあるため、液相温度における粘度の上限を10dPa・sとすることが好ましく、7dPa・sとすることがより好ましい。
なお、本発明における液相温度の好ましい範囲は1100℃以下の範囲である。より好ましくは1050℃以下、さらに1030℃以下、1020℃以下、1000℃以下、990℃以下、980℃以下、970℃以下、960℃以下の順に好ましい。液相温度を前記範囲にすることで、溶融温度、成形温度の過度な上昇を抑制し、ガラス製造時、坩堝材料がガラスに溶け込んでガラスが着色したり、坩堝材が異物として混入してガラスの品質を低下することを防止することができる。また、溶融ガラスからの揮発を抑制し、揮発による組成変化、光学特性の変動を抑制することもできる。なお、液相温度の下限は、高融点の高屈折率成分を多く含有する観点から800℃以上、より好ましくは900℃以上を目安として考えることができ、上記のように940℃を目安として考えることもできる。
本発明における比重は-30℃/hrの徐冷速度で得られたガラスの比重により定義されるが、冷却速度に対する比重の変化量は、冷却速度を1/10にしたときの比重の増加分が0.005〜0.06%、より好ましくは0.01〜0.04%であるので、ガラスの冷却速度によっては以下の数値範囲を-30℃/時の冷却速度に調整して考えることもできる。比重の好ましい上限は6.0、より好ましい上限は5.7、さらに好ましい上限は5.5、一層好ましい上限は5.4、より一層好ましい上限は5.3である。好ましい下限には特に制限はないが、比重を過剰に低くすると、屈折率の低下などの問題が生じるおそれがあるため、比重の好ましい下限は3.0、より好ましい下限は4.0、さらに好ましい下限は4.5、一層好ましい下限は4.8、より一層好ましい下限は5.0である。
[光線透過性]
本発明の光学ガラスは超高屈折率高分散ガラスでありながら、デジタル式撮像装置の撮像光学系に用いられる光学素子の材料として好適な透過率特性をも備えている。
従来、感光フィルム式カメラのレンズ材料の開発では、良好な色再現性を得るため、高透過率が得られる波長域をいかにして短波長域まで拡大するかという点に注力がなされてきた。一般に、光学ガラスの分光透過率特性において、どこまで短波長の光を透過するかを示す指標として、外部透過率70%を示す波長であるλ70、外部透過率5%を示す波長であるλ5といった特定波長による指標が用いられている。
一般に波長400nm以下の紫外領域において、光学ガラスの分光透過率は透過波長が短いほど低下するので、λ70とλ5の間にはλ70>λ5という関係がある。これまで、ほとんどの光学ガラスにおける特定波長は400nm以下、すなわち紫外線領域にあり、透過率の低下を示すλ70やλ5は紫外領域の波長であることから可視光の透過率低下は問題にならなかった。しかしガラスを高分散化するほどλ70とλ5は長波長化し、また高分散ガラスの中でも屈折率を高めるほどλ70とλ5の長波長化が著しかった。高分散レンズ材料の開発、すなわち高分散光学ガラスの開発では、λ70>λ5の関係からλ70が波長400nm以上の可視領域にあることが多く、その結果ガラスが黄色〜褐色に着色する。このため、まずλ70の短波長化、すなわち着色の軽減が重要視されてきた。デジタルカメラ用の高分散レンズ材料もこの流れを汲み、λ70の短波長化が優先されている。
ところで、超高屈折率高分散ガラスの場合、中屈折率や中低分散のガラスと比較し、光線透過域の短波長吸収端は長波長化し、λ70に加えてλ5も可視領域に存在する。そのため、可視光線の透過率を高めるためにはλ70の短波長化とともにλ5の短波長化が極めて重要となる。これまで着色の軽減を目的として作られた超高屈折率高分散ガラスでは、主にλ70を短波長化していたため、λ5の短波長化については十分でなかった。このように、λ5の短波長化が十分でない撮像素子を使う場合、撮像素子に入射する限界波長が長波長化し、画像情報から紫色の情報や青色の情報が欠落し、色再現性が低下することになる。
なお、デジタルカメラでは画像信号をデジタル処理することにより、カラーバランスを電子的に補正することができる。したがって、一部の波長の情報が多少欠落しても、たとえば青色、緑色、赤色といった三原色の光の強度比を維持しながら、光を撮像素子に導くことによって、ある程度の色の再現は可能となる。しかし、三原色のうち、一部の光の透過率が著しく低下してこれらの強度比を保てなくなると、電子補正による色再現も困難になる。
本発明の光学ガラスのうち好ましいガラスは、λ5の短波長化に注目して作られているため、良好な色再現性を維持しつつ、超高屈折率高分散特性を活かして撮像光学系の高機能化、コンパクト化を可能にする。
[密度・比重]
近年、撮像レンズ、特に携帯撮像機器搭載のレンズ、車載カメラ用レンズやピックアップレンズのように、レンズが小型化する傾向にあるが、こうしたレンズでは、CCDなどの撮像素子や、読み取り媒体に対する焦点位置のずれを小さくする必要がある。このため、それぞれのモジュールは各種の防振機構を備え、様々な振動の周波数がモジュールの共振周波数から得られる一次共振点F0(Hz)を超えないよう設計されている。
ところが一次共振点F0は、モジュールの質量mの平方根√mに反比例するため、モジュールの重量が大きくなるとF0が減少してしまい、追加の防振機構が必要となり好ましくない。
また、カメラレンズはアクチュエータ等により精密な駆動を行うが、その駆動部の質量が増すことは機構部の駆動や位置決めにかかる機構部への負荷を増加させて消費電力を増加させるので、好ましくない。
以上の背景から、光学素子の超高屈折率化に際して、素材となる光学ガラスの密度の増大を抑えることが求められている。なお実質的には密度は重力加速度を一定とみなしたときのガラスの比重に比例するため、ガラスの密度の増大を抑えるためには、同一重力加速度下におけるガラスの比重の増大を抑えればよい。
したがって、高屈折率高分散化成分としてどのような元素を用いるか、各成分の成分比の決定は、ガラスの製造安定性、透過率特性、密度あるいは比重を考慮しながら行うことが望まれる。
ガラスの屈折率を高めるには、ガラスの分子屈折を高める必要がある。ガラスの分子屈折を決定するのは、イオンの中でも分極率の高い陰イオン、すなわち酸素イオンやフッ素イオンである。(本発明の光学ガラスは、酸化物ガラスであることから、陰イオンは主として酸素イオンである。)分子屈折は陰イオンの充填度に比例して増加するため、これらの充填度を高めることが有効である。なお陰イオンの充填度は、陰イオンの結合の相手となる陽イオンのイオン半径や原子価、配位数、外殻電子の配列等によって決まる。したがって、陽イオンのイオン半径、原子価、配位数、外殻電子の配列等が屈折率に影響する。
例えば、TaやNbは、光学ガラスの代表的な高屈折率成分であるLaよりも原子価が高いため、LaをTaやNbに置換することにより屈折率を高めることができる。Wは、Taよりも高原子価であり、高屈折率化に有効な成分である。Biの原子価はLaと同じであるが、自らの分極性が高いことにより高屈折率化に寄与し、単位陽イオン%あたりの屈折率を高める効果はNbやWよりも大きい。
Tiは、TaやNbと比べると酸素イオンの充填が不十分な元素ではあるが、特定波長に強い吸収(紫外吸収)を持つため、特定波長の屈折率(例えばf線やg線の屈折率といった、青色〜紫外領域の屈折率)を高めることができる。また、Ti原子自身の質量も小さいことから、ガラスの密度を高めずに屈折率を高める効果が大きい。
Nbは、Tiほどではないが、Nb自身の質量がWやBiよりも小さいため、ガラスの密度を高めずに屈折率を高められる成分である。またガラスへの導入によって特定波長に紫外吸収が現れるため、特定波長の屈折率を高め高分散化できる成分である。なおNbはTiと比較して、質量が大きいため密度増大を抑制する点においてはやや不利ではあるが、良好な透過率特性を得る上からは有利な成分である。
さらに、Bi、Nb、Ti、Wはガラス成分として共存することにより液相温度を低下させ、ガラスの安定性を増大させることから製造安定性の改善に寄与する。
こうした点を総合的に考慮し、所要の光学特性、ヌープ硬度が得られる範囲で組成を調整することにより高屈折率高分散ガラスでありながら密度の増大、すなわち比重の増大を抑制した光学ガラスを得ることができる。
[光学ガラスの製法]
本発明の光学ガラスは、溶融法により製造することができる。
例えば、所要の組成を有するガラスとなるように各成分に対応する化合物原料を秤量し、十分混合して調合原料とし、調合原料をルツボに入れて1100〜1200℃で攪拌しながら0.5〜4時間溶解を行った後、ガラス融液を所定の容器に流し出し、冷却、粉砕して、カレットを得る。ガラスの還元成分の還元を制御するため、溶解温度を調合原料の投入温度よりも低い液相温度LT〜1100℃の間、好ましくは液相温度LT+20℃〜1050℃の間とすることもできる。
次にこのカレットを貴金属製坩堝に投入し、液相温度LT〜1200℃に加熱し、攪拌して、溶融した。次いで液相温度LT〜1200℃で0.5〜6時間かけて溶融ガラスを清澄する。清澄後、ガラスの温度を清澄温度から液相温度LT〜1100℃、好ましくは液相温度LT〜1080℃、より好ましくは液相温度LT〜1050℃、さらに好ましくは液相温度LT〜1020℃、いっそう好ましくは液相温度LT〜1000℃に降温した後、ルツボ底部に接続したパイプから溶融ガラスを流出させ、あるいは鋳型に鋳込んで成形し、光学ガラスを得ることができる。
上記温度条件、ならびに各工程に要する時間は適宜、調整可能である。
また、光学特性が異なる複数種のカレットを上述の方法で作製し、これらカレットを所要の光学特性が得られるように調合して溶融、清澄、成形し、光学ガラスを作製することもできる。
[プレス成形用ガラス素材]
本発明のプレス成形用ガラス素材(以下、ガラス素材という)は、上記本発明の光学ガラスからなる。ガラス素材は、まず、本発明の光学ガラスが得られるように調合したガラス原料を加熱、溶融し、成形する。このようにして作製したガラス成形体を加工し、プレス成形品1個分の量に相当するガラス素材を作製する。このような方法以外でも溶融ガラスからプレス成形用ガラス素材を作る公知の方法を適用することができる。例えば、溶融ガラスを型に鋳込んで板状あるいはブロック状に成形し、アニールした後、機械加工、すなわち切断、研削、研磨を行って表面に傷のないガラス素材を得ることができる。
本発明のガラス素材は、ヌープ硬度が高いガラスからなるため、加工時およびガラス素材としての取り扱い時に加傷しにくいため、ガラス素材表面の傷がプレス成形後の光学素子表面、特に光学機能面に残存しやすい精密プレス成形用ガラス素材として好ましいものである。
またプレス成形後にプレス成形品に機械加工、すなわち研削、研磨を行い光学素子を作製する場合にも、機械加工によって加傷しにくいプレス成形品の製造を可能とする。
[光学素子]
本発明の光学素子は、上記本発明の光学ガラスからなる。
具体例としては、非球面レンズ、球面レンズ、あるいは平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズなどのレンズ、マイクロレンズ、レンズアレイ、回折格子付きレンズなどの各種レンズ、プリズム、レンズ機能付きプリズムなどを例示することができる。表面には必要に応じて反射防止膜や波長選択性のある部分反射膜などを設けてもよい。
本発明の光学素子は超高屈折率高分散特性を有するガラスからなるので、他のガラスからなる光学素子と組合せることにより、良好な色収差補正を行うことができる。さらに、ヌープ硬度の高いガラスを用いているため、傷つきにくいことから取り扱いが容易である。また光学素子を固定する際にも加傷しにくい。レンズの芯取り加工において、レンズ表面を両側から挟んで固定しても加傷しにくいという特長がある。
また、本発明の光学ガラスは撮像光学系を高ズーム比化、広角化、コンパクト化する上でも有効である。
さらに、超高屈折率高分散特性を備えながら、比重増大が抑えられたガラスを用いているため、光学素子の軽量化が可能となり、振動に対する焦点位置のズレ防止にも有効である。
さらに、分光透過率特性における吸収端を短波長化されたガラスの使用により、可視短波長域の画像情報の欠落を防止することができ、デジタル式撮像装置の色再現性改善にも有効である。
本発明の光学素子は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラなど各種カメラの撮像光学系、DVD、CDなどの光記録媒体へのデータ書き込み、読み出し用の光線を導く光学素子、例えば、光ピックアップレンズやコリメータレンズなどにも好適である。また、光通信用の光学素子としても好適である。
上記光学素子は、本発明の光学ガラスを加工し、表面を研磨する方法、本発明のプレス成形用ガラス素材を加熱、プレス成形して光学素子ブランクを製造し、この光学素子ブランクを研削、研磨する方法、本発明のプレス成形用ガラス素材を加熱、精密プレス成形して光学素子とする方法など、公知の方法により製造することができる。いずれの場合でも、高屈折率高分散光学ガラスからなるガラス物品でありながら、表面に傷がつきにくいガラスを用いることにより加傷による生産性低下という問題を解消することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳説する。
(実施例1)
表1に示すNo.1〜51の組成を有するガラスとなるように各成分に対応する化合物原料を秤量し、十分混合して調合原料とした。なお、表1に示すガラス組成は、カチオン%表示の値が基準であり、モル%表示、質量%表示の値はいずれもカチオン%表示を換算した値である。
次に調合原料を坩堝に入れて1100℃〜1200℃で攪拌しながら2〜5時間溶解を行った後、急冷、粉砕して、カレットを得た。
次にこのカレットを貴金属製坩堝に投入し、1000℃〜1100℃に加熱し、攪拌して、溶融した。次いで、1000℃〜1100℃で2〜6時間かけて溶融ガラスを清澄した。清澄後、ガラスの温度を清澄温度から液相温度LT〜1050℃に降温した後、坩堝底部に接続したパイプから溶融ガラスを流出させ、あるいは鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形した。
得られた各ガラスブロックに光線を入射させ、ガラス中の前記光線の光路を横から観察したところ、ガラス中に結晶などの異物は認められず、均質性の高い、高品質の光学ガラスを得ることができた。
得られた光学ガラスNo.1〜51について、屈折率nd、アッべ数νd、ヌープ硬度、摩耗度、液相温度、液相温度における粘度、ガラス転移温度、比重、λ70、λ5を、以下のようにして測定した。なお、空欄は未測定であることを示す。
(1)屈折率ndおよびアッべ数νd
日本光学硝子工業会規格JOGIS−01に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(2)ヌープ硬度
日本光学硝子工業会規格JOGIS−09に準じて実施した。厚さ2mm〜20mmの両面研磨されたガラスサンプルに対しKnoop圧子を押し込み、その圧痕の大きさから光学硝子のヌープ硬度を測定した。測定結果を表1に示す。
(3)摩耗度FA
測定面積が9cm2の試料を、水平に毎分60回転する鋳鉄製平面皿の中心より80mmの定位置に保持し、平均粒径20μmのアルミナ砥粒10gに水20mlを添加したラップ液を5分間一様に供給し、9.807Nの荷重をかけてラップし、ラップ前後の試料質量を秤量して摩耗質量mを求める。同様にして、日本光学硝子工業会規格で定められた標準試料(BSC7)の摩耗質量moを測定し、次式により算出する。
FA=[(m/d)/(mo/do)]×100
ここで、dは試料の比重、doは標準試料(BSC7)の比重である。
(4)液相温度LTおよび液相温度における粘度
ガラス試料を所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。粘度JIS規格 Z8803、共軸二重円筒形回転粘度計による粘度測定方法により粘度を測定した。
(5)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度は示差走査型熱量計DSC3300SAを用いて固体状態のガラスを昇温したときの吸熱カーブから測定した。この測定を用いたTgは日本光学硝子工業会規格JOGIS−08に基づいて測定したガラス転移温度Tgと対応関係を示す。測定結果を表1に示す。
(6)比重
日本光学硝子工業会規格JOGIS−05に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(7)λ70、λ5
λ70、λ5は次のようにして測定した。厚さ10mmの互いに平行かつ光学研磨された平面を有するガラス試料を用い、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定する。分光透過率は、光学研磨された一方の平面に垂直に強度Aの光線を入射し、他方の平面から出射する光線の強度Bを測定し、B/Aによって算出される。したがって、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。分光透過率が70%になる波長がλ70であり、分光透過率が5%になる波長がλ5である。測定結果を表1に示す。
さらに分子量及びモル体積は以下の要領で算出した。
8)分子量
陽イオンMと陰イオン(ここでは酸素)の構成比がそれぞれX:Yである酸化物 MxOyについて、Mの分子量×1と、陰イオン(ここでは酸素)の分子量×(y/x)の合計を、陽イオンベースの酸化物単位MOy/xの単位分子量(g/モル)とする。各元素について、{酸化物単位MOy/xの単位分子量(g/モル)×それぞれの陽イオンの含有量(カチオン%)}/100を足し合わせたものが分子量(g/モル)になる。
(9)モル体積
モル体積は、上記分子量(g/モル)を比重に密度の単位[g/cm3]をつけた量で割ったものがモル体積(cm3/モル)である。すなわち、分子量(g/モル)を室温における密度(g/cm3)で割ったものがモル体積(cm3/モル)である。
(注1)モル%、質量%の各表示による含有量、合計含有量、含有量比は酸化物基準である。
(注2)Sb2O3は質量%表示による外割り添加量のみを表示する。
(比較例1)
特許文献2の実施例3の組成を有するガラスを再現し、ヌープ硬度を測定したところ、ヌープ硬度の値は346であった。また、屈折率ndの測定値は2.017、アッベ数νdの測定値は19.3であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして光学ガラスNo.1〜51が得られるようにガラス原料を加熱、溶融、清澄、均質化し、得られた溶融ガラスを鋳型に流し込んで急冷し、ガラスブラックに成形した。次にガラスブロックをアニールした後、切断、研削してプレス成形用ガラス素材を作製した。
(実施例3)
実施例2において作製したプレス成形用ガラス素材を加熱、軟化し、プレス成形型を用いて公知の方法によりプレス成形し、レンズブランク、プリズムブランクなどの光学素子ブランクを作製した。
得られた光学素子ブランクは精密アニールが施され、所要の屈折率になるよう屈折率の精密調整を行った後、公知の研削、研磨法によりレンズやプリズムに仕上げる。研磨では、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどの砥粒を用いることができる。得られたレンズ、プリズムの光学機能面を検査したところ、加傷は認められなかった。このようにして高品質の光学素子を高い生産性のもとに提供することができる。
(実施例4)
次に実施例2において作製したプレス成形用ガラス素材の表面を研磨して精密プレス成形用のプレス成形用ガラス素材(プリフォーム)とした。プリフォーム表面を検査したところ、加傷は認められなかった。このプリフォームを加熱、精密プレス成形して非球面レンズを得た。精密プレス成形は公知の方法で行った。精密プレス成形で得た非球面レンズを両側から挟持し、公知の方法により芯取り加工を行って芯取りレンズを作製した。得られたレンズの光学機能面を検査したところ、加傷は認められず、芯取り加工時に挟持した箇所にも傷は認められなかった。このようにして高品質の光学素子を高い生産性のもとに提供することができる。
(実施例5)
実施例1と同様にして光学ガラスNo.1〜51が得られるようにガラス原料を加熱、溶融、清澄、均質化し、得られた溶融ガラスを鋳型に流し込んで急冷し、ガラスブラックに成形した。次にガラスブロックをアニールした後、切断、研削、研磨して球面レンズ、プリズムなどの光学素子を作製した。研磨では、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどの砥粒を用いることができる。
上記各種光学素子の光学機能面を検査したところ、加傷は認められなかった。
得られたレンズを用いて撮像光学系を構成したところ、色再現性のよい撮像装置を得ることができた。
また、得られたレンズを用いて携帯電話搭載の撮像ユニットや光ピックアップユニットを作製したところ、振動に対して焦点位置ズレの極めて少ないユニットを得ることができた。
本実施例の光学素子は、低分散ガラス製光学素子との組合せにより良好な色収差補正を可能にする。また、撮像装置をはじめ各種光学機器の高性能化、コンパクト化に有効である。
(比較例2)
比較例1において得られた特許文献2に記載の組成を再現したガラスを研削、研磨してレンズ形状に加工したところ、光学機能面に相当する面に加傷が認められ、レンズとしては使用できないものであった。この結果から、比較例1のガラスを用いて研削、研磨によってプリフォームを作製したとしてもプリフォーム表面が傷つき、仮にこのようなプリフォームを用いて精密プレス成形ができたとしても、プリフォーム作製時の傷が精密プレス成形品の表面に残存することは明らかである。

Claims (10)

  1. 酸化物ガラスであって、
    カチオン%表示にて、
    5+を14〜36%、
    Bi3+を12〜34%、
    Nb5+を12〜34%、
    Ti4+を5〜20%、
    6+を0〜22%
    含み、
    Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量が50%以上、
    ヌープ硬度が370以上、屈折率ndが2.02以上、アッベ数νdが19.0以下であることを特徴とするプレス成形用ガラス素材または光学素子に用いるための光学ガラス(但し、ガラスフリット及び基板上に形成されたガラス層に用いる場合を除く)
  2. +およびBa2+の合計含有量が16%以下である請求項1に記載の光学ガラス。
  3. +、Ba2+およびB3+の合計含有量を22%以下である請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. Bi3+、Nb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)に対するBi3+の含有量のカチオン比(Bi3+/(Bi3++Nb5++Ti4++W6+)が0.6以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  5. Zn 2+ の含有量がカチオン%表示にて0〜2%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子であって、前記光学素子がレンズ、プリズムまたはレンズ機能付きプリズムである、光学素子
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学ガラスを機械加工する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法。
  9. 請求項に記載のプレス成形用ガラス素材をプレス成形する工程を有する光学素子の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学ガラスを機械加工する工程を備える光学素子の製造方法。
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