JP7076192B2 - 光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子 - Google Patents
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Description
θg,F=(ng-nF)/(nF-nC)・・・・・・(1)
また、本発明は、高屈折率及び高分散を有し、且つ色収差の補正に好ましく用いられる光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供することにある。
具体的には、本発明は以下のものを提供する。
La2O3成分を0%超~35.0%、
TiO2成分を0%超~45.0%、及び
BaO成分を0%超~45.0%
含有し、
SiO2成分とB2O3成分の合計量が5.0%以上30.0%以下であり、
TiO2/(TiO2+BaO)の質量比が0.10以上0.90以下であり、
屈折率(nd)が1.80以上、アッベ数(νd)が35以下、部分分散比(θg,F)が0.57以上の範囲の光学定数を有する光学ガラス。
SiO2成分 0~30.0%、及び
B2O3成分 0~30.0%
である(1)記載の光学ガラス。
ZnO成分 0~30.0%、
Y2O3成分 0~15.0%、
Nb2O5成分 0~25.0%、
Yb2O3成分 0~15.0%、
Gd2O3成分 0~15.0%、及び
Bi2O3成分 0~10.0%、
である(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(La2O3+Nb2O5+Gd2O3+Yb2O3)の質量和が0超40.0%以下である(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
Ln2O3成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の合計が0%超50.0%以下である(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
TiO2/(La2O3+Nb2O5+Gd2O3+Yb2O3)の質量比が0超5.00以下である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%以下である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が0%超45.0%以下である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
ZrO2成分 0~20.0%、
WO3成分 0~10.0%、
Ta2O5成分 0~10.0%、
MgO成分 0~15.0%、
CaO成分 0~30.0%、
SrO成分 0~30.0%、
Li2O成分 0~15.0%、
Na2O成分 0~15.0%、
K2O成分 0~15.0%、
P2O5成分 0~10.0%、
GeO2成分 0~10.0%、
Al2O3成分 0~15.0%、
Ga2O3成分 0~15.0%、
TeO2成分 0~10.0%、
SnO2成分 0~3.0%、及び
Sb2O3成分 0~1.0%
を含有する(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
また、本発明によれば、高屈折率及び高分散を有し、且つ色収差の補正に好ましく用いられる光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供できる。
本発明によれば、La2O3成分、TiO2成分及びBaO成分を併用しながら、各成分の含有量を調整することによって、ガラスにおいて高屈折率及び高分散化が図られながらも、ガラスの安定性が高められる。このため、高屈折率及び高分散を有し、且つ生産コストの低い光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供できる。
また、各成分の含有量を調整することによって、高屈折率及び高分散化が図られながらも、ガラスの部分分散比がより一層高められる。このため、高屈折率及び高分散を有し、且つ色収差の補正に好ましく用いられる光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供できる。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は特に断りがない場合は、全て酸化物基準のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物基準」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解されて酸化物に変化すると仮定した場合に、当該酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
La2O3成分は、ガラスの屈折率を高め、分散を小さくする成分である。特に、La2O3成分を0%超含有することで、所望の高屈折率を得ることができる必須成分である。従って、La2O3成分分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは2.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは4.5%を下限とする。
一方、La2O3成分の含有量を35.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高め、アッベ数を小さくでき、ガラスの比重の増加を抑えられ、且つ生産コストを低くすることができる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは35.0%、より好ましくは24.0%、さらに好ましくは21.0%、さらに好ましくは18.0%を上限とする。
La2O3成分は、原料としてLa2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の
整数)等を用いることができる。
一方で、TiO2成分の含有量を45.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。また、TiO2成分の過剰な含有による失透を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは45.0%、より好ましくは38.0%、さらに好ましくは35.0%、さらに好ましくは32.0%を上限とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
他方で、BaO成分の含有量を45.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減することができる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは45.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは32.0%、さらに好ましくは30.0%を上限とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2等を用いることができる。
特に、この和を5.0%以上にすることで、B2O3成分やSiO2成分の欠乏による耐失透性の低下を抑えられる。従って、質量和(B2O3+SiO2)は、好ましくは5.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは13.0%、さらに好ましくは15.0%を下限とする。
一方で、この和を30.0%以下にすることで、これらの成分の過剰な含有による屈折率の低下が抑えられるので、所望の高屈折率を得易くできる。従って、質量和(B2O3+SiO2)は、好ましくは30.0%、より好ましくは24.0%、さらに好ましくは22.0%を上限とする。
一方で、この質量比を0.90以下にすることで、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められ、且つ失透を抑えられる。従って、質量比TiO2/(TiO2+BaO)は、好ましくは0.90、より好ましくは0.80、さらに好ましくは0.75を上限とする。
他方で、SiO2成分の含有量を30.0%以下にすることで、SiO2成分を熔融ガラス中に熔解し易くし、高温での熔解を回避することができる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは28.0%、さらに好ましくは23.0%、さらに好ましくは18.0%、さらに好ましくは16.0%を上限とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6等を用いること
ができる。
他方で、B2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、アッベ数を小さくでき、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは28.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは23.0%、さらに好ましくは20.0%を上限とする。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
他方で、ZnO成分の含有量を30.0%以下にすることで、屈折率の低下や失透を低減できる。また、これにより熔融ガラスの粘性が高められるため、ガラスへの脈理の発生を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは23.0%、さらに好ましくは17.0%、さらに好ましくは14.0%を上限とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF2等を用いることができる。
Y2O3成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、アッベ数を小さくでき、且つガラスの耐失透性を高められる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
Y2O3成分は、原料としてY2O3、YF3等を用いることができる。
一方で、Nb2O5成分の含有量を25.0%以下にすることで、Nb2O5成分の過剰な含有によるガラスの耐失透性の低下や、可視光の透過率の低下を抑えることができ、且つアッベ数を小さくすることができる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは18.0%、さらに好ましくは13.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
一方で、Yb2O3成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、生産コストを抑えることができる。従って、Yb2O3成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
Yb2O3成分は、原料としてYb2O3等を用いることができる。
一方で、希土類元素の中でも特に高価なGd2O3成分を15.0%以下に低減することで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価な光学ガラスを作製できる。また、これによりガラスのアッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Gd2O3成分の含有量は、それぞれ好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
Gd2O3成分は、原料としてGd2O3、GdF3等を用いることができる。
一方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、生産コストを抑えることができ、且つガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。また、これによりガラスのアッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
一方で、0%超含有することで、所望の高屈折率を得ることができる。従って、好ましくは0%超、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは8.0%下限とする。
特に、この質量和を0%超にすることで、ガラスの屈折率を高められるため、高屈折率ガラスを得易くできる。また、これにより着色を低減できる。従って、Ln2O3成分の含有量の質量和は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは5.0%を下限とする。
他方で、この質量和を50.0%以下にすることで、耐失透性を高められ、生産コストを抑えることができ、且つガラスのアッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Ln2O3成分の含有量の質量和は、好ましくは50.0%、より好ましくは40.0%未満、さらに好ましくは31.0%、さらに好ましくは26.0%、さらに好ましくは21.0%を上限とする。
一方で、この質量比を5.0以下にすることで、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められ、且つ失透を抑えられる。従って、質量比TiO2/(La2O3+Nb2O5+Gd2O3+Yb2O3)は、好ましくは5.00、より好ましくは4.00、さらに好ましくは3.00、さらに好ましくは2.80を上限とする。
他方で、この和を0%超にすることで、ガラス原料の熔融性やガラスの安定性を高められる。従って、RO成分の合計含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは20.0%超を下限としてもよい。
一方で、ZrO2成分を20.0%以下にすることで、ZrO2成分の過剰な含有によるガラスの耐失透性の低下を抑えられる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
一方で、WO3成分の含有量を10.0%以下にすることで、WO3成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高めることができる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
一方で、高価なTa2O5成分を10.0%以下に低減することで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価な光学ガラスを作製できる。また、Ta2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストをも低減できる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。特に、より安価な光学ガラスを作製する観点では、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは4.0%、より好ましくは3.0%を上限とし、さらに好ましくは1.0%未満とし、最も好ましくは含有しない。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
一方で、MgO成分の含有量を15.0%以下にすることで、これらの成分の過剰な含有による、屈折率の低下や耐失透性の低下を抑えられる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
MgO成分は、原料としてMgCO3、MgF2等を用いることができる。
他方で、CaO成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減することができる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは16.0%、さらに好ましくは13.0%を上限とする。
CaO成分は、原料としてCaCO3、CaF2等を用いることができる。
他方で、SrO成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減することができる。従って、SrO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは17.0%、さらに好ましくは15.0%を上限とする。
SrO成分は、原料としてSrCO3、SrF2等を用いることができる。
他方で、Li2O成分、Na2O成分又はK2O成分の含有量を低減することで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つ失透を低減できる。特に、Li2O成分の含有量を低減することで、ガラスの部分分散比の低下を抑えられる。従って、Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分のうち少なくともいずれかの含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分は、原料としてLi2CO3、LiNO3、LiF、Na2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6、K2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
一方で、Al2O3成分及びGa2O3成分の各々の含有量を15.0%以下にすることで、これらの過剰な含有によるガラスの耐失透性の低下を抑えられる。従って、Al2O3成分及びGa2O3成分の各々の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Al2O3成分及びGa2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3、Ga2O3、Ga(OH)3等を用いることができる。
しかしながら、TeO2は白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とし、さらに好ましくは含有しない。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が10.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは含有しない。
他方で、SnO2成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を生じ難くできる。また、SnO2成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)との合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは含有しない。
SnO2成分は、原料としてSnO、SnO2、SnF2、SnF4等を用いることが
できる。
他方で、Sb2O3成分の含有量を1.0%以下にすることで、過度の発泡を生じ難くでき、且つ、熔解設備(特にPt等の貴金属)との合金化を低減できる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗熔融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて900~1400℃の温度範囲で1~5時間熔融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1200℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、成形型を用いて成形することにより作製される。ここで、成形型を用いて成形されたガラスを得る手段としては、熔融ガラスを成形型の一端に流下するのと同時に、成形型の他端側から成形されたガラスを引き出す手段や、熔融ガラスを金型に鋳込んで徐冷する手段が挙げられる。
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び高分散を有する。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.80、より好ましくは
1.85、さらに好ましくは1.90を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは2.20以下、より好ましくは2.10以下、さらに好ましくは2.05未満であってもよい。
また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは15.0以上、より好ましくは20.0以上、さらに好ましくは21.0以上、さらに好ましくは22.0以上を下限とし、好ましくは35.0以下、より好ましくは30.0以下、さらに好ましくは27.0未満を上限とする。
本発明の光学ガラスは、このような屈折率及びアッベ数を有するため、光学設計上有用
であり、特に高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設
計の自由度を広げることができる。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ70)は、好ましくは520nm、より好ましくは510nm、さらに好ましくは500nm、さらに好ましくは490nmを上限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ5)は、好ましくは400nm、より好ましくは390nm、さらに好ましくは380nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
また、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、アッベ数(νd)との関係において、好ましくは(θg,F)≧(-0.00162×νd+0.6450)の関係を満たす。
このように、本発明の光学ガラスでは、希土類元素成分を多く含有する従来公知のガラスよりも高い部分分散比(θg,F)を有する。そのため、ガラスの高屈折率及び高分散化を図りながらも、この光学ガラスから形成される光学素子を、色収差の補正に好ましく用いることができる。
ここで、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、好ましくは(-0.00162×νd+0.6450)、より好ましくは(-0.00162×νd+0.6470)、さらに好ましくは(-0.00162×νd+0.6500)を下限とする。他方で、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)の上限は、特に限定されないが、概ね(-0.00162×νd+0.6800)以下、より具体的には(-0.00162×νd+0.6700)以下、さらに具体的には(-0.00162×νd+0.6650)以下であることが多い。本発明で特定される組成のガラスでは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)がこの関係を満たすものであっても、安定なガラスを得られる。
ここで、NSL7とPBM2は株式会社オハラ社製の光学ガラスであり、PBM2のアッベ数(νd)は36.3,部分分散比(θg,F)は0.5828、NSL7のアッベ
数(νd)は60.5、部分分散比(θg,F)は0.5436である。
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスから作製したプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
また、部分分散比が高められることで、光学素子を光学系における色収差の補正に有用に用いられるため、例えば光学素子をカメラに用いた場合は撮影対象物をより正確に表現でき、光学素子をプロジェクタに用いた場合は所望の映像をより高精彩に投影できる。
部分分散比は、C線(波長656.27nm)における屈折率nC、F線(波長486.13nm)における屈折率nF、g線(波長435.835nm)における屈折率ngを測定し、(θg、F)=(ng-nF)/(nF-nC)の式により算出した。
なお、本測定に用いたガラスは、徐冷降温速度を-25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(νd)が35.0以下、より具体的には30.0以下であるとともに、このアッベ数(νd)は15.0以上、より詳細には20.0以上であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)がアッベ数(νd)との間で(θg,F)≧(-0.00162νd+0.6450)の関係を満たし、より具体的には(θg,F)≧(-0.00162νd+0.6500)の関係を満たしていた。そして、本願の実施例のガラスについての部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)の関係は、図2に示されるようになった。
これらのことから、本発明の実施例の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)が大きく、この光学ガラスによって得られる光学素子は色収差の補正に有用であることが明らかになった。
Claims (10)
- 酸化物基準の質量%で、
La2O3成分を0%超~24.0%、
TiO2成分を17.0%超~45.0%、及び
BaO成分を0%超~45.0%
Nb2O5成分を0~10.0%
含有し、
SiO2成分とB2O3成分の合計量が10.0%以上30.0%以下であり、
Ln2O3成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の合計が5.0%以上26.0%以下、
TiO2/(TiO2+BaO)の質量比が0.30以上0.80以下であり、
TiO2/(La2O3+Nb2O5+Gd2O3+Yb2O3)の質量比が0.8以上3.00以下、
屈折率(nd)が1.85以上、アッベ数(νd)が35.0以下、部分分散比(θg,F)が0.57以上の範囲の光学定数を有する光学ガラス。 - 酸化物基準の質量%で、
SiO2成分 0~30.0%、及び
B2O3成分 0~30.0%
である請求項1記載の光学ガラス。 - 酸化物基準の質量%で、
ZnO成分 0~30.0%、
Y2O3成分 0~15.0%、
Yb2O3成分 0~15.0%、
Gd2O3成分 0~15.0%、及び
Bi2O3成分 0~10.0%、
である請求項1又は2記載の光学ガラス。 - 酸化物基準の質量%で、
(La2O3+Nb2O5+Gd2O3+Yb2O3)の質量和が0超40.0%以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。 - 酸化物基準の質量%で、
Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。 - 酸化物基準の質量%で、
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Ba、からなる群より選択される1種以上)の質量和が0%超45.0%以下である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。 - 酸化物基準の質量%で、
ZrO2成分 0~20.0%、
WO3成分 0~10.0%、
Ta2O5成分 0~10.0%、
MgO成分 0~15.0%、
CaO成分 0~30.0%、
SrO成分 0~30.0%、
Li2O成分 0~15.0%、
Na2O成分 0~15.0%、
K2O成分 0~15.0%、
P2O5成分 0~10.0%、
GeO2成分 0~10.0%、
Al2O3成分 0~15.0%、
Ga2O3成分 0~15.0%、
TeO2成分 0~10.0%、
SnO2成分 0~3.0%、及び
Sb2O3成分 0~1.0%
を含有する請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。 - 請求項1から7のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム材。
- 請求項1から7のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項9に記載の光学素子を備える光学機器。
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