明 細 書
可とう性光導波路及び光-電気複合配線板用積層板
技術分野
[0001] 本発明は、ポリイミド樹脂系の材料から形成される可とう性を有する光導波路及びこ の光導波路を形成した光-電気複合配線板用積層板に関するものである。
背景技術
[0002] 近年においては、高速で大容量のデータ通信が可能な光通信技術の進歩が著しく 、その光通信網も拡大を続けている。光通信技術は、現在、長距離通信や地域内で の中距離通信に用いられているが、今後は、機器内部や機器間での光信号伝送が 適用されるようになってくる。
[0003] 携帯用機器や小型機器などにおいては、各種部品が密に配置されているので、部 品間の狭い隙間を縫うようにして配線しなければならない。そのため、電気配線として はフレキシブルプリント配線板が広く用いられている。同様に、これら機器内部や機 器間などの短距離で光信号を伝送するためには、フレキシブルな光導波路からなる 光配線板(光回路配線板)が望まれて!/、る。
[0004] したがって、これらフレキシブル光導波路からなる光配線板とフレキシブルプリント 配線板からなる電気配線板が一体化したフレキシブルな光-電気複合配線板の開発 が期待されている。
[0005] 光-電気複合配線板に使用されるいくつかの光導波路材料が提案されている。
特許文献 1:特開 2006-22317号公報
特許文献 2:特開 2004-149724号公報
特許文献 3:特開 2005-43497号公報
[0006] 特許文献 1は、光硬化型及び熱硬化型エポキシ樹脂フィルムを硬化して形成して なる光導波路を教えている。この光導波路材料は、硬化反応による架橋構造が形成 されることから、可とう性が不十分であり、特に携帯電話等のヒンジ部のような耐繰り 返し屈曲性が必要な部分には適用しづらい。また、エポキシ樹脂特有の吸水率の高 さから、高温-高湿状態での特性が悪化することが懸念される。
[0007] 特許文献 2は、ポリイミド樹脂を用いた光導波路を提案して!/、る。この光導波路材料 は、ポリイミド構造にフッ素を含有していることから、フレキシブルプリント配線基板との 複合化を行った場合に、フレキシブル基板との界面での密着性に劣ることが懸念さ れる。また、フッ素系材料は、一般的に高価であり、実用化する際にはコスト面におい て不利である。特許文献 3は、上部クラッド層を 2層とした光導波路を提案しているが 、無機系材料であるため柔軟性に劣る。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フレキシブルな光-電気複合 配線板の実用化可能にするため、柔軟性 (低弾性)、かつ低吸水性のポリイミド樹脂 から形成された光導波路及びこの光導波路を備え、繰り返し屈曲性、信頼性に優れ た光-電気複合配線板用積層板を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0009] 本発明者らは、特定の構造を有するポリイミド樹脂を用いることにより、上記目的を 達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0010] すなわち、本発明は、クラッド層とコア層を有する光導波路において、クラッド層力 s 下記一般式(1)及び (2)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂を主成分とした 光導波路材料を用いて形成されたことを特徴とする可とう性を有する光導波路である
( 2 )
(但し、 Ar及び Arは独立に式 (3)で表される 4価の芳香族基を示し、 Arは式 (4)又は
1 2 3
式 (5)で表される 2価の芳香族基を示し、 Rは独立に炭素数 1〜6の 1価の炭化水素基
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を示し、 Rは独立に炭素数 2〜6の 2価の炭化水素基を示し、 Rは独立に炭素数 1〜6
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の 1価の炭化水素基を示し、 X及び Yは独立に単結合又は炭素数 1〜15の 2価の炭化 水素基、 0、 S、 CO、 SO若しくは CONHから選ばれる 2価の基を示し、 mは 1〜50の数 を示し、 nは独立に 0〜4の整数を示し、 p及び qは各構成単位の存在モル比を示し、 p は 0·05〜0·99の範囲であり、 qは 0·01〜0·95の範囲である)
[0011] 本発明の光導波路は、次のいずれ力、 1以上を満足することが好ましい。
1) コア層が、クラッド層とは屈折率の異なる上記光導波路材料を用いて形成された こと。
2) ポリイミド樹脂の弾性率力 S、 0.2〜3.0Gpaの範囲にあること。
3) コア層及びクラッド層を形成する光導波路材料の屈折率差 Δが 0.01以上であるこ と。
4) 光導波路が、コア層とコア層周囲を覆うクラッド層を有し、クラッド層の屈折率がコ ァ層よりも低いこと。
[0012] また、本発明は、上記の光導波路を、フレキシブル銅張積層板上に、又はフレキシ ブル配線板上に形成したことを特徴とする光-電気複合配線板用積層板又は光-電
気複合フレキシブル配線板である。ここで、フレキシブル銅張積層板は回路形成前 の積層体を意味し、フレキシブル配線板は回路が形成された配線板を意味する。回 路はフレキシブル銅張積層板の銅箔層をエッチングすることにより形成することがで きる。
[0013] 本発明の光導波路は、コア層とクラッド層を有する。クラッド層は、上記一般式(1) 及び(2)で表される構造単位を有するポリイミド樹脂(以下、シロキサン変性ポリイミド 樹脂とも!/、う)を主成分とした光導波路材料を用いて形成される。
[0014] 本発明で使用するシロキサン変性ポリイミド樹脂は、上記一般式(1)及び (2)で表 される構造単位を有する。
[0015] 一般式(1)及び(2)において、 Ar及び Arは独立に式 (3)で表される 4価の芳香族
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基を示し、 Arは式 (4)又は式 (5)で表される 2価の芳香族基を示し、 Rは独立に炭素数
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2〜6の 2価の炭化水素基を示し、 Rは独立に炭素数 1〜6の 1価の炭化水素基を示し
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、 mは 1〜50の数を示す。ここで、一つの構成単位中に複数の R、 R等が存在する場
3 4
合は、それぞれ上記の範囲で独立に変化してもよい。また、一分子中に複数の構成 単位が存在する場合 Ar、 Ar、 Ar、 R〜Rは、それぞれ上記の範囲で独立に変化し
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てもよい。また、シロキサン変性ポリイミド樹脂が複数の分子からなる場合も、各分子 ごとにそれぞれ上記の範囲で独立に変化してもよい。更に、これらは以下に説明する
Y及び X、 R及び n等についても同様である。
1
[0016] 式 (3)、式 (4)及び式 (5)において、 X及び Yは独立には単結合又は、炭素数 1〜15の 2 価の炭化水素基、 0、 S、 CO、 SO又は CONHから選ばれる 2価の基を示し、 Rは独立
2 1 に炭素数 1〜6の 1価の炭化水素基を示し、 nは 0〜4の整数を示す。上記のように、 Ar
3 は式 (4)で表される 2価の芳香族基であっても、式 (5)で表される 2価の芳香族基であつ てもよぐ一分子中又は複数の分子中にその両者を有してもよい。
[0017] Ar及び Arは式 (3)で表される 4価の基である力 ポリイミド樹脂は通常、芳香族テト
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ラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸類とジァミンとの反応によって合 成されるので、 Ar及び Ar芳香族テトラカルボン酸類の残基ということができる。した
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がって、 Ar〜Arは合成に使用される芳香族テトラカルボン酸類説明することによつ
1 2
て理解される。しかし、本発明で使用するシロキサン変性ポリイミド樹脂は、かかる合
成方法によって得られるポリイミド樹脂には限定されない。また、 Ar及び ΑΓは、同一
1 2 であっても異なってもよぐ Ar又は Arが複数の 4価の基からなってもよい。
1 2
[0018] 式(3)において、 Yは単結合、炭素数 1〜15の 2価の炭化水素基、 0、 S、 CO、 SO又 は CONHから選ばれる 2価の基を示す。好ましくは、単結合又は 0、 CO及び SOから 選ばれる 2価の基を示す。 2価の炭化水素基としては炭素数 1〜6のアルキレン基(ァ ルキリデン基を含む意味である)、フエ二レン基が好ましく挙げられる。
[0019] 好まし!/、Ar及び ΑΓを与える芳香族テトラカルボン酸類を酸二無水物で代表して説
1 2
明する。
[0020] 具体的には、 2,2',3,3'-、 2,3,3',4'-又は 3,3',4,4'-ベンゾフエノンテトラ力ノレボン酸二 無水物、 3,3',4,4'-ビフエニルテトラカルボン酸二無水物、 2,3',3,4,-ビフエニルテトラ カルボン酸二無水物、 2,2',3,3'-ビフエニルテトラカルボン酸二無水物、 3,3',4,4'-ジ フエニルスルホンテトラカルボン酸無水物、 3,3',4,4'-ジフエ二ルエーテルテトラカル ボン酸二無水物、 2,3',3,4'-ジフエニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス (2,3 -ジカルボキシフエニル)エーテル二無水物等が好ましく挙げられる。また、 3,3",4,4" -、 2,3,3",4"-又は 2,2",3,3"-ρ-テルフエニルテトラカルボン酸二無水物、 2,2-ビス (2, 3-又は 3,4-ジカルボキシフエニル) -プロパン二無水物、ビス (2,3-又は 3.4-ジカルボキ シフエニル)メタン二無水物、ビス (2,3-又は 3,4-ジカルボキシフエニル)スルホン二無 水物、 1, 1-ビス (2,3-又は 3,4-ジカルボキシフエニル)エタンニ無水物も挙げられる。
[0021] Ar及び Arを与える芳香族テトラカルボン酸類と共に、他のテトラカルボン酸類を使
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用することもできる。他のテトラカルボン酸類を使用する場合の使用量は、全芳香族 テトラカルボン酸類に対して 50モル%以下、好ましくは 20モル%以下である。
[0022] 力、かる他のテトラカルボン酸類を酸二無水物として例示する。ピロメリット酸二無水 物、 2,3,5,6-シクロへキサン二無水物、 2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物 、 1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、 1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸 二無水物、 4,8-ジメチル -1,2,3,5,6,7-へキサヒドロナフタレン- 1,2,5,6-テトラカルボン 酸二無水物、 2,6-又は 2,7-ジクロロナフタレン- 1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、 2 ,3,6,7- (又は 1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン- 1,4,5,8- (又は 2,3,6,7-)テトラカルボン 酸二無水物、 2,3,8,9-, 3,4,9, 10-, 4,5,10,11_又は 5,6, 11, 12-ペリレン-テトラカルボン
酸二無水物、シクロペンタン- 1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン- 2,3,5,6- テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン- 2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チォフエ ン -2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、 4,4-ビス(2,3-ジカルボキシフエノキシ)ジフエ ニルメタン二無水物、 1,2,7,8-, 1,2,6,7-又は 1,2,9, 10-フエナンスレン-テトラカルボン 酸二無水物、 2,3,6,7—アントラセンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることもできる
[0023] 一般式 (1)にお!/、て、 Arで表される 2価の芳香族基は、ジァミンの残基と!/、うことがで
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きる。したがって、 Ar又は式 (4)及び式 (5)における X、 R及び nは、合成に使用される
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ジァミンを説明することによって理解される。また、一般式 (1)で表される構成単位は、 この 2価の芳香族基が異なる複数種の構成単位からなってもよい。
[0024] Xは上記 Yと同じであること力 Sできる力 S、異なってもよい。 Xとしては、上記 Yで説明し たものが挙げられる。好ましくは、単結合、又は 0、 S、 CO、 SO CONH、 CH、 C(CH ) 及び 9,9'-フルォレニル基から選ばれる 2価の基である。また、 9,9'-フルォレニル基 は下記式で表される。
[0025] Xを含む 2価の芳香族基において、 Rは独立に炭素数 1〜6の 1価の炭化水素基を
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示すが、好ましくは炭素数 1〜6のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基又は フエニル基である。更に好ましくは、炭素数 1〜3のアルキル基、ビュル基又はフエ二 ル基である。 nは 0〜4の整数を示す力 好ましくは 0〜2であり、より好ましくは 0である。
[0026] Arが式 (5)で表される 2価の芳香族基の場合、好まし!/、Arを与えるジァミンを説明
3 3
する。
[0027] 具体的には、 2,2-ビス- [4- (4-アミノフエノキシ)フエニル]プロパン、 2,2-ビス- [4- (3
-アミノフエノキシ)フエニル]プロパン、ビス [4- (4-アミノフエノキシ)フエ二ノレ]スルホン 、ビス [4- (3—アミノフエノキシ)フエ二ノレ]スルホン、ビス [4- (4-ァミノフエノキシ)]ビフ ェニル、ビス [4- (3-アミノフエノキシ)ビフエニル、ビス [1- (4-ァミノフエノキシ)]ビフエ ニル、ビス [1- (3-ァミノフエノキシ)]ビフエニル、ビス [4- (4-アミノフエノキシ)フエニル ]メタン、ビス [4- (3-アミノフエノキシ)フエニル]メタン、ビス [4- (4-アミノフエノキシ)フ ェニノレ]エーテル、ビス [4- (3-アミノフエノキシ)フエ二ノレ]エーテル、ビス [4- (4-ァミノ フエノキシ)]ベンゾフエノン、ビス [4- (3-ァミノフエノキシ)]ベンゾフエノン、ビス [4,4'- (4-アミノフエノキシ) ]ベンズァユリド、ビス [4,4'- (3-アミノフエノキシ) ]ベンズァユリド 、 9,9-ビス [4- (4-アミノフエノキシ)フエニル]フルオレン、 9,9-ビス [4- (3-アミノフエノ キシ)フエニル]フルオレン等が挙げられる。
[0028] Arが式 (4)で表される 2価の芳香族基の場合、好まし!/、Arを与えるジァミンを説明
3 3
する。
[0029] 具体的には 4,4, -メチレンジ- 0-トルィジン、 4,4, -メチレンジ- 2,6-キシリジン、 4,4, - メチレン- 2,6-ジェチルァニリン、 4,4, -ジアミノジフエニルプロパン、 3,3, -ジアミノジフ ェニルプロパン、 4,4, -ジアミノジフエニルェタン、 3,3, -ジアミノジフエニルェタン、 4,4, -ジアミノジフエニルメタン、 3,3, -ジアミノジフエニルメタン、 4,4, -ジアミノジフエニルス ノレフイド、 3,3, -ジアミノジフエニルスルフイド、 4,4, -ジアミノジフエニルスルホン、 3,3, - ジアミノジフエニルスルホン、 4,4, -ジアミノジフエニルエーテル、 3,3, -ジアミノジフエ二 ノレエーテル、 3,4'-ジアミノジフエニルエーテル、ベンジジン、 3,3, -ジアミノビフエ二ノレ 、 3,3,_ジメチル -4,4, -ジアミノビフエニル、 3,3, -ジメトキシベンジジン、 4,4' '-ジァミノ- p-テルフエニル、 3,3"-ジァミノ- p -テルフエニル、 9,9-ビス (4 -ァミノフエ二ノレ) -9H-フ ノレオレン等が挙げられる。
[0030] これらの中でも、 4,4,-ジアミノジフエニルエーテル (DAPE)、 2,2-ビス- [4- (4-アミノフ エノキシ)フエ二ノレ]プロパン、 2,2-ビス- [4- (3-アミノフエノキシ)フエ二ノレ]プロパン、 9, 9-ビス (4-ァミノフエ二ノレ) -9H-フルオレン、 1,3-ビス(4-アミノフエノキシ)ベンゼン (TPE -R)などが好ましく用いられる。上記以外の他の芳香族ジァミンも少量 (50モル%以下 、好ましくは 20モル0 /0以下)であれば併用することができる。また、 2,2'-ジビュル- 4,4' -ジァミノ-ビフエニルのように、ビュル基等の不飽和基が置換したジァミンも好ましく
用いられる。
[0031] 力、かる他の芳香族ジァミンとしては、例えば、 m-フエ二レンジァミン、 P-フエ二レンジ ァミン、 2,6-ジァミノピリジン、 1,4-ビス(4-アミノフエノキシ)ベンゼン、 1,3-ビス(4-アミ ノフエノキシ)ベンゼン、 4,4'- [ 1,4-フエ二レンビス( 1-メチルェチリデン) ]ビスァニリン 、 4,4'- [1,3-フエ二レンビス(1-メチルェチリデン)]ビスァニリン、ビス (p-アミノシクロへ キシル)メタン、ビス (p- β -ァミノ- 1-ブチルフエ二ノレ)エーテル、ビス (p- β -メチノレ- δ - ァミノペンチノレ)ベンゼン、 ρ-ビス (2-メチル -4-ァミノペンチノレ)ベンゼン、 ρ-ビス(1, 1- ジメチル -5-ァミノペンチノレ)ベンゼン、 1,5-ジァミノナフタレン、 2,6-ジァミノナフタレン 、 2,4-ビス( β -ァミノ- 1-ブチル)トルエン、 2,4-ジァミノトルエン、 m-キシレン- 2,5-ジァ ミン、 p-キシレン- 2,5-ジァミン、 m-キシリレンジァミン、 p-キシリレンジァミン、 2,6-ジァ ミノピリジン、 2,5-ジァミノピリジン、 2,5-ジァミノ- 1,3,4-ォキサジァゾール、ピぺラジン 等を挙げること力 Sでさる。
[0032] 一般式 (2)にお!/、て、末端が Rであるシロキサン構造を含む 2価の基は、ジァミンの
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残基ということ力 Sできる。したがって、シロキサン構造を含む 2価の基又は一般式 (2)の R、 R及び mは上記と同様に合成に使用されるシロキサン構造を含むジァミン説明す
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ることによって理解される。また、一般式 (2)で表される構成単位は、このシロキサン構 造を含む 2価の基が異なる複数種の構成単位からなってもよい。
[0033] 一般式(2)のシロキサン構造を含む 2価の基において、 mは;!〜 50、好ましくは 5〜3 0の数を示す。この数値力 未満であると低弾性率化(屈曲特性)が小さぐ 50を超え るとテトラカルボン酸二無水物との反応性が低下し、重合物の分子量が低下するた め、屈曲特性が低下する。 Rは炭素数 2〜6の 2価の炭化水素基を示す力 S、好ましく
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は炭素数 2〜6のアルキレン基である。 Rは炭素数 1〜6のアルキル基又はフエニル基
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を示す力、好ましくはメチル基又はフエニル基である。
[0034] 好ましいシロキサン構造を含むジァミンとしては、例えば、 ω , ω '-ビス (2-アミノエチ ω , ω '-ビス (4-ァミノフエニル)ポリジメチルシロキサン、 ω , ω '-ビス (3-ァミノプロピル )ポリジフエニルシロキサン、 ω , ω '_ビス (3-ァミノプロピノレ)ポリメチルフエニルシロキ サンなどが挙げられる。
[0035] 本発明で使用するシロキサン変性ポリイミド樹脂は、一般式 (1)と (2)で表される構成 単位を有する力 一般式 (1)で表される構成単位の存在モル比 qは 0·01〜0·95、好ま しくは 0·5〜0·8の範囲である。一般式 (2)で表される構成単位の存在モル比 ρは 0.05〜 0.99、好ましくは 0.1〜0.8の範囲である。この存在モル比は、シロキサン変性ポリイミド 樹脂は、一般式 (1)と (2)で表される構成単位のみからなる場合であっても、他の構成 単位を有する場合であっても上記範囲にあることが好ましい。なお、他の構成単位を 有する場合は、 p+qは 0.5以上、好ましくは 0.8以上であること力 Sよい。また、 p/(p+q)は 0 .1〜0.8の範囲であることが好ましい。本発明で使用するシロキサン変性ポリイミド樹 脂は、その弾性率力 S0.2〜3.0Gpa、好ましくは 0.3〜3.0Gpaの範囲にあることがよい。 また、ガラス転移点(Tg)は 120°C以上、好ましくは 140〜300°Cの範囲にあることがよ い。
[0036] 本発明では、光導波路のコア層をシロキサン変性ポリイミドから形成することもでき る力 コア層にはフォトリソ法により任意の形状にパターユング可能な感光性材料を 用いることが有利である。このような感光性材料としては、下記一般式(6)及び一般 式(7)で表される構成単位を有するポリアミック酸樹脂と不飽和結合を有するモノマ 一及び光重合開始剤を主成分とする感光性樹脂組成物を硬化して得られる樹脂が 挙げられる。本発明の光導波路のコア層は、この感光性樹脂組成物を硬化して得ら れた樹脂あることも好ましい。以下、この硬化して得られた樹脂をシロキサン変性架橋 型ポリイミド樹脂ともいう。
[0038] 上記一般式(6)又は一般式(7)中、 Ar、 Ar、 Ar、 R及び Rは、上記一般式(1)及
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び(2)と同様の意味を有する力 S、一般式(6)の Ar (式 (4)又は式 (5)で表される 2価の
3
芳香族基)中の R又は一般式(7)中の Rの一部をアルケニル基とし、光重合性を付
1 4
与すること力望ましい。アルケニル基としては、 CH =CH-R -で表される基があり、 R
2 6 6 は直結合、炭素数 1〜6のアルキレン基又はフエ二レン基を示す力 直結合であるこ とが反応性の点では好ましレ、。
[0039] 不飽和結合を有するモノマーとしては、光重合性を有するモノマーが使用でき、透 明性や屈折率等の点で、多官能アタリレート等のアタリレート類が好ましく例示される 。その使用量はポリアミック酸樹脂 100重量部に対し 1〜50重量部、好ましくは 5〜4 0重量部の範囲がよい。
[0040] シロキサン変性ポリイミド樹脂は、公知の方法で合成することができる。例えば、有 機溶媒中で、 1種以上の芳香族テトラカルボン酸二無水物と 2種以上のジァミンをほ ぼ等モルの割合で反応させることにより得られる。
[0041] シロキサン含有ポリイミド樹脂の製造方法の一例について説明する。まず、芳香族 酸二無水物を溶媒中に加え、溶解する。これを攪拌しながら、窒素雰囲気下、氷冷 下で、シロキサンジァミンを含む 2種以上のジァミンを徐々に加える。この後 2〜8時 間攪拌して反応させることによってシロキサン含有ポリアミック酸樹脂溶液を得ること 力できる。上記溶媒としては、芳香族ポリアミック酸成分とシロキサン成分の双方に対 して不活性である必要がある。この種の溶媒として代表的なものは、ジエチレングリコ ールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールジェチルエーテル、テトラ ヒドロフラン等のエーテル系溶媒や、 N,N—ジメチルホルムアミド、 N,N—ジメチルァセ トアミド、 N-メチル -2-ピロリドン、 N-シクロへキシル -2-ピロリドン等のアミド系溶媒等 があり、これらの溶媒はその 1種以上を使用できる力 ジグライム系溶媒を 10重量% 以上、好ましくは 30重量%以上含有する溶媒が好適である。
[0042] 得られたシロキサン含有ポリアミック酸樹脂を、加熱処理又は脱水剤で処理すること により、脱水閉環して、シロキサン含有ポリイミド樹脂とする。前記加熱処理は、例え ば、窒素雰囲気中、 70〜350°Cで 2〜5時間加熱することにより行われる。より好ましく は、窒素雰囲気中、 150°Cで 30分、 250°Cで 30分、 320°Cで 1時間の条件で段階的に
加熱される。また、ジァミンとテトラカルボン酸無水物との組み合わせを選ぶことにより 、溶剤に可溶なポリイミド樹脂を得ることができ、予め、脱水閉環した後、溶剤に溶解 して溶液としても良!/、。シロキサン含有ポリアミック酸樹脂の溶液粘度(ジメチルァセト アミド溶液:濃度 25wt%)は 2000〜50000cPa' sの範囲とすることがよ!/、。
[0043] この際、反応原料の添加順序を調整することによりブロック型又はランダム型のシロ キサン変性ポリイミド樹脂を得ることができる。また、シロキサン構造を含むジァミンの 使用量を変化させることにより、シロキサン変性ポリイミド樹脂の屈折率を制御すること が可能である。すなわち、シロキサン構造を含むジァミンの使用量を増やして一般式 ( 2)や一般式 (7)で表される構成単位を増加させると、屈折率が低下するとレ、う現象が 見出された。
[0044] 本発明の光導波路は、コア層とクラッド層を有する。通常、クラッド層はコア層の周 囲を覆い、クラッド層の光屈折率がコア層より低い。本発明の光導波路は、少なくとも クラッド層が上記シロキサン変性ポリイミド樹脂を主成分として含む光導波路材料から 形成される。コア層は上記シロキサン変性ポリイミド樹脂を含まない光導波路材料か ら形成されてもよいが、柔軟性を与えるためにこのシロキサン変性ポリイミド樹脂、好 ましくはその前駆体である感光性のポリアミック酸樹脂から生成するシロキサン変性 架橋型ポリイミド樹脂を樹脂の主成分として含む光導波路材料力 形成されることが よい。なお、シロキサン変性架橋型ポリイミド樹脂は、その不飽和基が他の不飽和基 を有するモノマー又は樹脂と反応して生じるポリイミド樹脂をいう。この場合は、一般 式 (2)で表される構成単位の存在モル比が多いシロキサン変性ポリイミド樹脂を含む 光導波路材料からクラッド層を形成し、少なレ、シロキサン変性ポリイミド樹脂又はシロ キサン変性架橋型ポリイミド樹脂 (存在モル比及びポリイミド樹脂含有量の計算は、前 駆体である感光性のポリアミック酸樹脂を基準として行う)を含む光導波路材料からコ ァ層を形成する。以下、クラッド層を形成する光導波路材料をクラッド材と、コア層を 形成する光導波路材料をコア材ともいう。そして、シロキサン変性ポリイミド樹脂を含 む光導波路材料の屈折率は 1.45〜1.65の範囲にあることが好ましぐクラッド材とコア 材の屈折率差 Δは 0.01以上、好ましくは 0.02以上あること力 Sょレ、。
[0045] 本発明のシロキサン変性ポリイミド樹脂を含む光導波路材料は、シロキサン変性ポ
リイミド樹脂を 50wt%以上、好ましくは 60wt%以上含むことがよい。シロキサン変性ポ リイミド樹脂以外の他の配合材料としてはポリアタリレート、エポキシ樹脂等の透明樹 脂ゃ微粉状のシリカ等のフィラーなどがある。
[0046] コア層の形成に好ましく使用される感光性樹脂組成物は、上記一般式(6)及び一 般式(7)で表される構成単位を有するポリアミック酸樹脂と光重合開始剤を主成分と し、必要によりアタリレート等のモノマー(重合性の樹脂成分であってもよい)、増感剤 及び溶剤等を含む。そして、この感光性樹脂組成物(好ましくはその溶液)を使用し、 これを光硬化及びイミド化して光導波路を形成する方法が好ましい。なお、この場合 、光重合後はシロキサン含有ポリアミック酸樹脂のビュル基の少なくとも一部力 他の モノマー又は樹脂の不飽和基と反応する力 S、硬化後の樹脂はシロキサン変性架橋型 ポリイミド樹脂という。
[0047] ここで、使用し得るアタリレートとしては、例えば、 2-ェチルへキシルアタリレート、 2- クリロイルホスフェート、 2-メトキシエトキシェチルアタリレート、 2-エトキシェトキシェチ ルアタリレート、テトラヒドロフルフリールアタリレート、フエノキシェチルアタリレート、ィ ソデシルアタリレート、ステアリルアタリレート、ラウリルアタリレート、グリシジルアタリレ ート、ァリルアタリレート、エトキシアタリレート、メトキシアタリレート、 Ν,Ν'-ジメチルアミ ノエチルアタリレート、ベンジルアタリレート、 2-ヒドロキシェチルアタリロイルホスフエー ト、ジシクロペンタジェニルアタリレート、ジシクロペンタジェンエトキシアタリレート等の モノアタリレートや、ジシクロペンテュルアタリレート、ジシクロペンテニル才キシェチル アタリレート、 1,3-ブタンジオールジアタリレート、 1,4-ブタンジオールジアタリレート、 1 ,6-ブタンジオールジアタリレート、ジエチレングリコールジアタリレート、ネオペンチノレ グリコールジアタリレート、ポリエチレングリコール 200ジアタリレート、ポリエチレングリ コール 400ジアタリレート、ポリエチレングリコール 600ジアタリレート、ジエチレングリ コールジアタリレート、ネオペンチルグリコールジアタリレート、ヒドロキシビバリン酸ェ ステルネオペンチルグリコールジアタリレート、トリエチレングリコールジアタリレ一ト、 ビス (アタリロキシエトキシ)ビスフエノーノレ Α、ビス (アタリロキシエトキシ)テトラブロモビス フエノーノレ Α、トリプロピレングリコールジアタリレート、トリメチロールプロパントリアタリ
レート、ペンタエリスリトーノレトリアタリレート、トリス (2-ヒドロキシェチル)イソシァネート、 ペンタエリスリトールテトラアタリレート、ジペンタエリスリトールへキサアタリレート、ジぺ ンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアタリレート等の多官能アタリレートを用いること が可能である。
[0048] 上記感光性樹脂組成物において、アタリレートは、シロキサン含有ポリアミック酸樹 脂 100重量部に対して、 1〜50重量部、好ましくは 5〜40重量部の範囲とすることがよ い。
[0049] 光重合開始剤としては、例えば、ァセトフエノン、 2,2-ジメトキシァセトフエノン、 P-ジ メチルアミノアセトフエノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルェ ーテノレ、ベンゾインェチノレエーテノレ、ベンゾインイソプロピノレエーテノレ、ベンゾイン n プロピノレエーテノレ、ベンゾインイソプロピノレエーテノレ、ベンゾイン n-プ、チノレエーテ ノレ、ベンジルジメチルケタール、チォキサソン、 2-クロロチォキサソン、 2-メチルチオ キサソン、 2-ヒドロキシ -2-メチル -1-フエニル -1-オン、 1-(4-イソプロピルフエニル) -2- ヒドロキシ -2-メチルプロパン- 1-オン、メチルベンゾィルフォーメート、 1-ヒドロキシシク 口へキシルフェニルケトン等の種々の光重合開始剤が使用可能である。光重合開始 剤の好ましい使用量は、シロキサン含有ポリアミック酸樹脂 100重量部に対して、 1〜2 0重量部、好ましくは 1〜10重量部であることがよい。
[0050] また、増感剤を配合することも有利であり、この場合、増感剤としてはべンゾフエノン 等の種々のァミンが使用できる。増感剤はシロキサン含有ポリアミック酸樹脂 100重量 部に対して、 0.01〜2重量部、好ましくは 0.05〜0.5重量部であること力 Sよい。
[0051] シロキサン変性ポリイミド樹脂又はこれを主成分とする樹脂組成物は、溶液として使 用する場合は、感光性樹脂組成物と同様に非感光性のポリアミック酸樹脂組成物の 溶液として使用すること力 S好ましい。また、これらの感光性又は非感光性樹脂組成物 は、各種有機溶剤等により粘度等を調整することができる。用いるにあたって好まし い有機溶剤を例示すると、トリエチレングリコールジメチルエーテル (トリグライム)、ジ エチレングリコーノレジメチノレエーテノレ (ジグライム)、ジメチノレアセトアミド、 N-メチルピロ リドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ぺグミア)、乳酸ェチルあ るいはこれらの混合溶媒が挙げられる。溶剤の使用量は樹脂組成物の固形分 100重
量部に対して、 10〜100重量部の範囲が好ましい。なお、溶剤を 10重量%以上含み 常温で液状を示す樹脂組成物は、ワニス状の樹脂組成物という。また、ポリアミック酸 樹脂製造の際に反応溶媒として使用される有機溶剤が残存する場合は、溶剤として 計算する。
[0052] また、光導波路の特性を悪化させない範囲で、上記以外に下記のような他の樹脂 を併用すること力できる。すなわち、エポキシ樹脂としては、 1分子内にエポキシ基を 複数有するものであれば特に限定されるものではなぐ市販されている液体エポキシ 樹脂や固体エポキシ樹脂を適宜使用することができる。エポキシ樹脂の具体例として は、脂環式エポキシ樹脂、ビスフエノール A型エポキシ樹脂、ビスフエノール F型ェポ キシ樹脂、ビスフエノール S型エポキシ樹脂、ビフエニル骨格を有するビフエニル型 エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジェン骨格を有する ジシクロペンタジェン型エポキシ樹脂、フエノールノポラック型エポキシ樹脂、クレゾ一 ルノポラック型エポキシ樹脂、トリフエニルメタン型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ 樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシァヌレート等を挙げることができ、 これらの中から 1種以上を使用することができる。その添加量は、ポリイミド樹脂又は ポリアミック酸樹脂 100重量部に対して、 40重量部未満、好ましくは 30重量部以下がよ い。
[0053] また、本発明の光導波路用材料を形成する樹脂、樹脂組成物又はこれらの前駆体 樹脂を含む樹脂溶液には必要に応じて、チクソトロピー材、無機フィラー、消泡剤等 を光導波路の特性を損なわなレ、範囲で添加することもできる。上記樹脂組成物から 形成される本発明の光導波路用材料は、前記シロキサン変性ポリイミド前駆体がイミ ド化して生じるシロキサン変性ポリイミド樹脂又はシロキサン変性架橋型ポリイミド樹脂 を主成分としてなるものである。ここで、主成分とするとは 50wt%以上、好ましくは 60w t%以上含むことをいう。より好ましくは、主成分 100重量部に対し、エポキシ樹脂又は アタリレートを 15〜35重量部含むことがよ!/、。
[0054] 本発明の光導波路は、下部クラッド層上に所定幅と厚みのコア層を形成し、これを 覆うように上部クラッド層を設けるなどの方法によりフィルム状の光導波路を得ることが できる。本発明の光-電気複合配線板用積層体は、フレキシブル銅張積層板上に下
部クラッド層を設け、下部クラッド層上に所定幅と厚みのコア層を形成し、これを覆うよ うに上部クラッド層を設けるなどの方法により得られる。また、本発明の光-電気複合 配線板用積層体の銅箔を回路加工することにより、光-電気複合配線板を得ることが できる。
図面の簡単な説明
[0055] [図 1]光導波路の製造フローシートを示す。
[図 2]光導波路の製造フローシートを示す。
[図 3]光導波路の製造フローシートを示す。
[図 4]光導波路の製造フローシートを示す。
[図 5]光-電気複合配線板用積層板の製造フローシートを示す。
[図 6]光-電気複合配線板用積層板の製造フローシートを示す。
符号の説明
[0056] 1 :基板、 2 :下部クラッド層、 3 :コア層、 4 : (フォト)マスク、 5 :上部クラッド層、 6 :光導波 路、 7 :フレキシブル配線用積層板、 8 :銅箔層、 9 :ポリイミド層、 10 :光-電気複合配線 板用積層板
発明を実施するための最良の形態
[0057] 次に、光導波路の形成方法について、そのフローシートを示す図;!〜 5を参照し説 明する。
[0058] 例えば、ガラスなどの基板 1にクラッド材となる組成物の溶液(クラッド材用溶液とレ、う )を塗布し、 50〜120°Cの温度で適度に予備乾燥し、得られたフィルムを基板から剥 離し、剥離したフィルムを再度基板に耐熱テープ等で仮止めし、その後 120〜200°C の温度で 20〜120分の熱処理により硬化させることでフィルム状の下部クラッド層 2を 得る(図 1)。
[0059] 次に、図 2に示すように下部クラッド層 2に、コア材となる組成物の溶液(コア材用溶 液という)をスクリーン印刷等により所定のコア層形状に形成し、 120〜200°Cの温度で 20〜 120分の熱処理により硬化させることでコア層 3を得る。コア層を形成するコア材 は、下部クラッド層 2を形成するクラッド材よりも屈折率が高レ、。
[0060] あるいは、図 3に示すように下部クラッド層 2に、コア材用溶液 3 'を塗布し、 50〜120
°cの温度で適度に予備乾燥し、その後、所定のマスクパターンを形成したフォトマス ク 4を用いて選択的に露光し、未露光部をアルカリ水溶液にて現像し、 120〜200°Cの 温度で 20〜120分の熱処理により硬化させることでコア層 3を形成することもできる。 また、感光性基を含有するポリイミド樹脂からなるコア材用組成物を予備乾燥して得 られたフィルムを下部クラッド層 2上にラミネートし、選択露光、現像、硬化させることで コア層を形成することもできる。
[0061] 次に、図 4に示すように、このコア層上に、下部クラッド層 2形成に用いたものと同じ クラッド材用溶液を塗布し、 120〜200°Cの温度で 20〜120分の熱処理により硬化させ 上部クラッド層 5を形成し、その後基板 1から剥離することで本発明のフィルム状の光 導波路 6を得ること力 Sできる。下部クラッド層 2と上部クラッド層 5は同じ材料であり、且 つ両者はコア層のない部分で接しているため、一体化して図面では境界が判然とし ない。
また、前記下部クラッド層を形成する際に得られる予備乾燥後のフィルムを前記コ ァ層上にラミネートし、所定の温度にて熱処理することで上部クラッド層を形成するこ ともできる。
[0062] このようにして得られた光導波路の大部分を構成するクラッド層が可とう性を有した 材料であるため、数万回以上の繰り返し屈曲処理した後の光伝搬性の指標である光 伝搬損失の増加量は 0.02dB未満程度と非常に低い値と期待される。
[0063] 次に、本発明の可とう性を有する光-電気複合配線用積層板の製造方法について 、図 5及び 6を参照して説明する。フレキシブル配線用積層板 7は銅箔層 8とポリイミド 層 9とを有する。ポリイミド層 9上に、上記と同様にして下部クラッド層 2を設け、次にコ ァ層 3を形成し、それを覆うように上部クラッド層 5を設けることにより、光-電気複合配 線用積層板 10を得る。図 5の例は、コア層 3を露光、現像、熱硬化等により所定のコア 層形状に形成する方法であり、図 6の例は、コア層 3をスクリーン印刷等により所定の コア層形状に形成する方法である。
また、前記光導波路の形成方法にて得られたフィルム状の光導波路 6を、必要によ り接着剤層を介して、フレキシブル配線用積層板 7のポリイミド層 9面に接着させること で光-電気複合配線用積層板 10を得ることもできる。
実施例
[0064] 以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本実施例で用いた略 号は、以下の化合物を示す
BTDA : 3,3',4,4,-ベンゾフエノンテトラカルボン酸二無水物
ODPA: 3,3',4,4'-ジフエニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
DSDA : 3,3',4,4'_ジフエニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
BPDA : 3,3',4,4,-ビフエニルテトラカルボン酸二無水物
BAPP: 2,2-ビス- [4- (4-アミノフエノキシ)フエ二ノレ]プロパン
DAPE:ジアミノジフエニルエーテル
DVDABP: 2,2'-ジビュル- 4,4'-ジァミノ -ビフエニル
PSX-1 :数平均分子量約 750のポリジメチルシロキサンジァミン (一般式 (2)のジァミン 残基部分において、 Rが- CH、 Rが- (CH ) -で、 mが 7〜8)
PSX-2:数平均分子量約 850のビュル基含有ポリジメチルシロキサンジァミン(一般式 ( 2)のジァミン残基部分において、 Rカ CH又は- CH=CH、 Rカ (CH ) -で、 mが 7〜
8、一分子中に平均 1個のビュル基を有する)
BAFL: 9,9-ビス(4-ァミノフエ二ノレ) -9H-フルオレン
DMAC:ジメチルァセトアミド
EOCN:クレゾールノポラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量 191g/eq)
BrenS:臭素化ノポラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量 275g/eq)
SR-350:トリメチロールプロパントリメタクリレート(日本化薬製)
Irg369:光重合開始剤(チバガイギー製)
[0065] 製造例 1
窒素注入管を装備した反応器中で DSDA35.8g(0.1mol)を DMAC290gに溶解させ、 反応器を氷冷した。これに 60g(0.08mol)の PSX-1を、窒素雰囲気下で 1時間かけて滴 下した。更に、 BAPPを 8.2g(0.02mol)加え、滴下終了後、反応器内の温度を室温に戻 し、窒素雰囲気下で 5時間攪拌することによってシロキサン含有ポリアミック酸樹脂溶 液を得た。このシロキサン含有ポリアミック酸樹脂のジメチルァセトアミド溶液 (樹脂濃 度: 25.1wt%)の 25°Cにおける粘度を、 E型粘度計を用いて測定したところ 2500cPa' s
であった。更に、このシロキサン含有ポリアミック酸樹脂溶液 (シロキサン含有ポリアミ ック酸樹脂として 100重量部)に対して、 EOCN 20重量部を配合し樹脂組成物の溶液 を得た。
[0066] 製造例 2〜3
製造例 1と同様な方法を用いて、表 1に示す樹脂原料を使用してシロキサン含有ポ リアミック酸樹脂溶液を得た。更に、このシロキサン含有ポリアミック酸樹脂溶液中の 樹脂 100重量部に対して、 BrenS 30重量部、ァエロジル 5重量部、シリカゾル 5重量部 及び消泡剤 10重量部を配合し樹脂組成物の溶液を得た。
[0067] 製造例 4〜6
製造例 1と同様な方法を用いて、表 1に示す樹脂原料を使用してシロキサン含有ポ リアミック酸樹脂溶液を得た。更に、得られたシロキサン含有ポリアミック酸樹脂溶液 の樹脂 100重量部に対して、表 1に示す添加物を配合し感光性樹脂組成物の溶液を 得た。
[0068] 製造例 7〜8
シロキサンジァミンを用いないこと以外は製造例 1と同様な方法を用いて、表 1に示 す樹脂原料及び添加物を使用して反応及び配合を行うことで樹脂組成物の溶液を 得た。
[0069] 製造例 9
製造例 1と同様な方法を用いて、表 1に示す樹脂原料を使用してシロキサン含有ポ リアミック酸樹脂溶液を得た。更に、得られたシロキサン含有ポリアミック酸樹脂溶液 の樹脂 100重量部に対して、表 1に示す添加物を配合し感光性樹脂組成物の溶液を 得た。
[0070] 上記のように得られた各樹脂組成物の溶液を以下の所定の条件にてフィルム化し た。
[0071] 製造例 10
ガラス基板上に、製造例 1〜 3及び 7〜 8で得られた樹脂組成物の溶液をバーコ一 ターにて塗布し、 120°C-20分予備乾燥し、得られたフィルムをガラス基板から剥離さ せた。更に、剥離したフィルムを耐熱テープ (カプトン製)を用いてガラス基板上に貼
り付けた後、 180°C-30分で硬化させて 20 H m厚のフィルムを形成した。
[0072] 製造例 11
ガラス基板上に製造例 4〜6及び 9で得られた感光性樹脂組成物の溶液をバーコ 一ターにて塗布し、 120°C-20分予備乾燥し、得られたフィルムをガラス基板から剥離 させた。更に、剥離したフィルムを、耐熱テープ (カプトン製)を用いてガラス基板上に 貝占り付けた後、露光機 (ハイテック、高圧水銀灯)を用いてフィルムに UV光を照射し、 180°C-30分で硬化させて 20 μ m厚のフィルムを形成した。
[0073] 上記の方法によって得られたフィルムの特性は次のようにして評価した。
1)屈折率:各フィルム(20 m厚)の 630nmでの屈折率を測定した。更に、屈曲試験機 を用いて、屈曲角度 170° 、回転数 60rpmの条件下で 10万回の屈曲処理を行った後 の屈折率を測定した。
2)光線透過率:各フィルム(20 m厚)の 850nmでの光線透過率を測定した。更に、 1) の屈折率測定と同様な方法にて行った屈曲処理後の光線透過率を測定した。
3) Tg :各フィルムの動的粘弾性測定を行い、 tan δのピーク温度を Tgとした。
4)弾性率:引張試験機 Autogragh AG-500A (島津製作所製)にて各フィルムの引張 弾性率を測定した。
5)吸水率: JIS規格に従い、各フィルムの吸水率を測定した。
[0074] 樹脂原料の種類と量、ポリアミック酸樹脂の溶液粘度、ポリアミック酸樹脂溶液に配 合した添加物の種類と量 (ポリアミック酸樹脂溶液中の樹脂 100重量部に対する重量 部)及びフィルム特性を表 1に示す。
[0075] [表 1]
[0076] 表 1に示すように、シロキサン変性ポリイミド樹脂からなる光導波路材料は、シロキサ ン成分の含有量によって屈折率差が広範囲にて制御可能でかつ光線透過率が高く 、かつ繰り返し屈曲処理前後で屈折率及び光線透過率の変化は小さい。一方、シロ キサン成分を含有してレ、なレヽポリイミド樹脂からなる光導波路材料は、屈折率差が小 さぐかつ光線透過率が低!/、ため光導波路としては適さなレ、。
[0077] 実施例 1
ガラス基板上に製造例 1で得た樹脂組成物の溶液をクラッド層形成用としてスクリー ン印刷機にて塗布し、 120°C-20分予備乾燥し、得られたフィルムをガラス基板から剥 離させた。更に、剥離したフィルムを、耐熱テープ (カプトン製)を用いてガラス基板上 に貼り付けた後、 180°C-30分で硬化させることで 20 m厚の下部クラッド層を形成し た。
次に、このフィルム状のクラッド層をスクリーン印刷機にセットし、製造例 2で得られ た樹脂組成物の溶液をコア層形成用として、所定の印刷パターン (コア層のパターン )が形成された印刷版を介してこのクラッド上の所定の箇所に塗布し、その後 180°C-3 0分で硬化させることで、クラッド上にコア層(サイズ:膜厚 20 m、幅 100 m)を形成 した。
次に、このコア層上に、下部クラッド層形成用に用いたと同じ樹脂組成物の溶液を スクリーン印刷機にて塗布し、 180°C-30分で硬化させることで 20 m厚の上部クラッド を形成した。その後、仮止めしていた耐熱テープを剥がしフィルム状の光導波路を得 た。
[0078] 実施例 2
製造例 3で得た樹脂組成物の溶液をコア層形成用として用いた以外は、実施例 1と 同様な方法によりフィルム状の光導波路を得た。
[0079] 実施例 3
ガラス基板上に製造例 1で得た樹脂組成物の溶液をスクリーン印刷機にて塗布し、 120°C-20分で予備乾燥し、得られたフィルムをガラス基板から剥離させた。更に、剥 離したフィルムを、耐熱テープ (カプトン製)を用いてガラス基板上に貼り付けた後、 1 80°C-30分で硬化させることで 20 m厚の下部クラッド層を形成した。
次に、このフィルム上に製造例 4で得た感光性樹脂組成物の溶液をスクリーン印刷 機により塗布し、 120°C-10分の予備乾燥し、その後、所定のマスクパターンを形成し たフォトマスクを用いて露光機 (ハイテック、高圧水銀灯)を用いて露光した。その後、 1 %炭酸ソーダ水溶液を用いて、 30°C、 150秒の条件にて現像を行い、 180°Cの温度 で 30分の熱処理により硬化させることでコア層を形成した。
次に、このコア層上に、製造例 1で得た樹脂組成物の溶液を塗布し、 180°C-30分で 硬化させることで 20 m厚の上部クラッド層を形成した。その後、仮止めしていた耐熱 テープを剥がしフィルム状の光導波路を得た。
[0080] 実施例 4
製造例 5で得た樹脂組成物の溶液をコア層形成用として用いた以外は、実施例 3と 同様な方法によりフィルム状の光導波路を得た。
[0081] 実施例 5
製造例 6で得た樹脂組成物の溶液をコア層形成用として用いた以外は、実施例 3と 同様な方法によりフィルム状の光導波路を得た。
[0082] 実施例 6
フレキシブルプリント配線板用の積層体 (新日鐵化学製フレキシブル銅張積層板; ESPANEX片面タイプ:ポリイミド膜厚 25 01、銅箔 18 m)のポリイミド面に、製造例 1で得られた樹脂組成物の溶液をスクリーン印刷機を用いて塗布し、 120°Cで予備乾 燥、更に 180°C_30分で硬化させることで 20 m厚の下部クラッド層を形成した。
次に、製造例 2で得られた樹脂組成物の溶液を、所定の印刷パターンが形成され た印刷版を介してこのクラッド上の所定の箇所に塗布し、 180°C-30分で硬化させるこ とで、クラッド上にコア層を形成した(サイズ:膜厚 20 m、幅 100 01)。
次に、このコア層上に、製造例 1で得られた樹脂組成物の溶液を塗布し、 180°C-30 分で硬化させることで 20 m厚の上部クラッド層を形成し、フレキシブル基板上に光 導波路が形成されたフレキシブル光-電気複合配線板用積層体を得た。
[0083] 実施例 7
上記フレキシブルプリント配線板用の積層体のポリイミド面に、製造例 1で得られた 樹脂組成物の溶液をスクリーン印刷機を用いて塗布し、 120°Cで予備乾燥、更に 180
°C_30分で硬化させることで 2011 m厚の下部クラッド層を形成した。
次に、製造例 4で得られた感光性樹脂組成物の溶液を上記下部クラッド面に塗布 し、 120°C-10分の予備乾燥し、その後、所定のマスクパターンを形成したフォトマスク を用いて露光機 (ハイテック、高圧水銀灯)を用いて露光した。未露光部を 1 %炭酸ソ ーダ水溶液を用いて、 30°C、 150〜200秒で現像を行い、 180°Cの温度で 30分の熱処 理により硬化させることでコア層を形成した(サイズ:膜厚 20 m、 幅 100 m)。 次に、このコア層上に、製造例 1で得られた樹脂組成物の溶液を塗布し、 180°C-30 分で硬化させることで 20 m厚の上部クラッド層を形成し、フレキシブル基板上に光 導波路が形成されたフレキシブル光-電気複合配線板用積層体を得た。
[0084] 実施例 8
実施例 7にお!/、て、製造例 4の感光性樹脂組成物に代えて製造例 9の感光性樹脂 組成物の溶液を使用した以外は同様に行!/、、フレキシブル基板上に光導波路が形 成されたフレキシブル光-電気複合配線板用積層体を得た。
産業上の利用の可能性
[0085] ポリイミド樹脂から形成された光導波路とフレキシブル銅張積層板との複合化により 、繰り返し屈曲性に優れた信頼性の高!/、フレキシブルな光-電気複合配線板が実用 化可能となる。