JP2003084323A - 非線形光学材料、非線型光学材料用樹脂組成物、非線形光学材料の製造方法、およびそれを用いた光デバイス - Google Patents

非線形光学材料、非線型光学材料用樹脂組成物、非線形光学材料の製造方法、およびそれを用いた光デバイス

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JP2003084323A
JP2003084323A JP2001279203A JP2001279203A JP2003084323A JP 2003084323 A JP2003084323 A JP 2003084323A JP 2001279203 A JP2001279203 A JP 2001279203A JP 2001279203 A JP2001279203 A JP 2001279203A JP 2003084323 A JP2003084323 A JP 2003084323A
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JP2001279203A
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Toshio Nakayama
俊夫 中山
Yoshihiro Kawamonzen
善洋 川門前
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性が高く、配向緩和による特性の劣化が少
なく、同時に高い電気光学特性を有する電気光学材料を
提供する。 【解決手段】ポリイミドと、非線形光学物質あるいは非
線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤とから
なることを特徴とする電気光学材料である。さらに、ポ
リイミド前駆体あるいは低温硬化促進剤に感光性を付与
したことを特徴とするポリイミド非線形光学材料であ
る。非線形光学ポリイミド樹脂組成物を基板に塗布後、
一旦熱硬化処理を施した後、分極配向処理を伴う熱硬化
処理を行うことを特徴とするポリイミド非線形光学材料
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非線形光学材料、
前記非線形光学材料を製造する非線形光学材料用樹脂組
成物、および非線形光学材料の製造方法、ならびに前記
非線形光学材料を用いた光デバイスに関する。
【0002】本発明の光デバイスは、電気光学効果に基
づいて、電圧印加により屈折率、あるいは位相、あるい
は光強度の制御を行う機能を有する光デバイスに関す
る。前記光デバイスとしては以下のものが挙げられる。
【0003】本発明は、電気光学効果により動作する光
導波路デバイスに関し、前記導波路構造が、スラブ型導
波路、あるいは直線状導波路構造、あるいは均一Δβ型
もしくは反転Δβ型などの方向性結合器型導波路構造、
あるいは全反射型導波路構造、あるいはマッハツェンダ
ー型もしくはX交差型などの干渉器型導波路構造、ある
いはY分岐型もしくは非対称X分岐型などのデジタル
型、またはこれらの直列ないし並列結合の導波路構造、
または3次元的積層構造を有する、導波路型光デバイス
に関する。
【0004】本発明は、レーザープリンタ、デジタル複
写機、ファクシミリ、バーコードリーダー、POSシス
テムなどに内蔵されるレーザー光走査光学系に用いられ
る光偏向器に係り、特に電気光学効果を用いた光偏向器
に関する。
【0005】本発明は、光通信ネットワークにおけるク
ロスコネクトなどの網切り替えに用いられる、電気光学
効果により動作する光偏向器を用いて構成される、多入
力ポート・多出力ポートのマトリックス光スイッチに関
する。
【0006】本発明は、光記録媒体の光ヘッドに係り、
特にトラッキングエラーなどを電気的に高速に制御する
ための電気光学効果を用いた光偏光器を集積化した光デ
ィスク用光集積回路ヘッドに関する。
【0007】本発明は、マイクロ波・ミリ波を用いた移
動体通信システムや無線LANシステムに使用されるフ
ェーズドアレイアンテナ技術に係り、特に、送受信器と
アンテナ素子間の信号伝送に光伝送路を用い、伝送する
光信号の位相あるいは遅延時間を制御してアンテナの指
向性を制御するようにした、フェーズドアレイアンテナ
用光制御ビーム成形回路に関する。
【0008】本発明は、波長多重光通信ネットワークに
おいて、異なる波長の光を分波あるいは合波するために
必要となる透過波長を可変制御できる波長可変フィルタ
に関する。
【0009】本発明は、電気光学材料の電界強度に応じ
た複屈折率の変化を利用して、電気光学材料薄膜を被測
定電気回路に近接あるいは接触させて、電気光学効果に
よる入射光の偏光変調を観測することにより電界を検出
する電気光学型電界センサに関する。
【0010】本発明は、電界強度に応じて複屈折率変化
を生じる電気光学的に活性な化学基と、電荷輸送機能を
有する化学基とを機能成分として含み、照射光の干渉縞
を直接的に屈折率格子として記録するホログラフィック
光記録媒体に関する。本発明は、無線電波信号を光ファ
イバを用いて伝送する光アナログ伝送技術に係り、特に
レーザー光源と外部光変調器の組合わせで線形性を増大
させたアナログ光伝送用変調器に関する。
【0011】
【従来の技術】近年、光学式入出力機器、光データリン
ク、光−無線融合技術等の通信技術分野、光交換、光コ
ンピューター、および光インターコネクション等の光情
報処理分野においては、電気信号により屈折率を制御す
る電気プリズム、電気レンズ、また光の位相を制御する
移相器、また光強度を制御する光変調器や光の光路切換
えを行う光スイッチなどが不可欠になっている。また、
ホログラフィック光メモリ等の記録技術分野において
は、高効率のフォトリフラクティブ記録媒体が不可欠に
なっている。これらの電気光学効果を利用する光デバイ
スには、電場によって屈折率が変化する「電気光学効
果」を有する非線形光学材料が使用される。
【0012】有機高分子材料からなる非線形光学材料
は、誘電率が低いためにマイクロ波・ミリ波領域と光波
領域との速度不整合がなく、応答速度を大幅に改善でき
る可能性がある。しかも、非線形光学特性が広い波長域
にわたって高く、光学損傷に対しても強いため、有機高
分子材料からなる非線形光学材料は、高性能な光デバイ
ス材料として期待されている。さらに、スピンコート法
などにより容易に薄膜形成が可能であり、サイズの制限
も受けない。また、微細加工、成型加工等の加工性にも
優れることから、極めて安価に素子化ができるという大
きな利点を有する。
【0013】一方、電気光学効果のような二次非線形光
学効果は、反転対称性をもたない物質でしか発現しない
ため、ポリマーでは分子を一方向に配向させるポーリン
グ処理と呼ばれる分極配向処理を施す必要がある。一般
には、ガラス転移温度(Tg)付近の温度領域で電場を
かけることによりポーリング処理を行い、電場をかけた
まま常温に戻すことによって反転対称性が得られる。し
かしながら、このように非線形分子を配向させたポリマ
ー高分子では、ベースポリマーまたは主鎖となるポリマ
ーのTgが低いために、分子鎖の熱運動により配向性が
徐々に失われる配向緩和現象が起こり、非線形光学効果
が低下するという問題があった。従来、高分子導波路材
料として精力的に研究されてきたポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)を適用した非線形光学材料では、PM
MAのガラス転移温度が100℃程度と低いために、ポ
ーリング処理によって発現した非線形性が常温において
速やかに失われてしまうことが報告されている。他のポ
リマー材料にも多かれすくなかれ配向緩和の問題があ
り、ポリマー電気光学材料の実用化に対して大きな阻害
要因となっていた。
【0014】なお、ポリマーを使用した非線形光学材料
は、大きく3種類に分類される。第一は、非線形光学物
質をポリマーに分散させた分散型ポリマー、第二は側鎖
に非線形光学物質を化学的に結合させた側鎖型ポリマ
ー、第三は主鎖に非線形光学物質を取り入れた主鎖型ポ
リマーである。分散型ポリマーは、容易に非線形光学材
料を形成できる点では、複雑な有機合成プロセスを必要
とせずコスト的に非常に有利であるものの、多くの場
合、非線形光学物質のポリマーマトリックスに対する溶
解度が低いために高い非線形光学特性が得にくい。しか
も、非線形光学物質を多量に導入した場合には相分離に
より微結晶が析出して、光散乱による光伝播損失が増大
するという問題がある。このようなデメリットを基本的
に低減できる材料として、側鎖型ポリマーと主鎖型ポリ
マーとがある。
【0015】主鎖型ポリマーは、ポーリング処理による
非線形光学物質の配向制御の際に、ポリマー全体の主鎖
が再配向しなければならないため、処理温度が必然的に
高くなったり処理時間が長くなるという問題があるが、
安定性は非常に高い。一方の側鎖型ポリマーは、分子設
計・合成に多様性があり、ポーリング処理も比較的容易
であるというメリットを有しているが、主鎖型と比較す
ると配向緩和が生じやすいという問題がある。このよう
な理由により、従来、分散型ポリマーに加えて主鎖型お
よび側鎖型ポリマーについての研究が数多くなされてき
た。
【0016】これらポリマー材料系で配向緩和を低減す
る共通の方策として、ガラス転移温度の高い高分子を用
いることが有効であることが知られており、高耐熱性高
分子として知られるポリイミドなどの適用が注目されて
きた。Wu等は、ポリアミド酸に非線形光学効果の大き
い分子を分散させ、ポーリング処理を行いつつイミド化
することによって、ポリイミドをホストとする分散型非
線形光学高分子を得ている(J.W.Wu et a
l,Appl.Phys.Lett.58,225(1
991))。この分散型非線形光学高分子は、150℃
において10時間以上の加熱処理をしても、配向緩和に
よる非線形光学応答の低下を示さないものの、電気光学
定数が数pm/Vと小さく実用的ではなかった。
【0017】このように非線形光学性能が低い理由の一
つには、ポリイミドのイミド化処理温度が通常300℃
以上と高く、非線形光学材料がそのような高温条件下で
は昇華または分解してしまうことが挙げられている。電
気光学定数を増加させるための手段として、非線形感受
率の極めて高い分子を用いることが検討されてきたが、
一般に非線形感受率の高い分子ほど熱分解温度が低い傾
向がある。したがって、ポリイミドのように高温の熱処
理を必要とするポリマー材料では、高い非線形光学特性
を実現することは困難であった。
【0018】ポリイミドを低温で硬化させる技術として
は、脂肪族カルボン酸二無水物と第三級アミンとの混合
物で処理する方法が知られており、ポリイミド非線形光
学材料への適用例もある(Appl.Phys.Let
t.,59,2213(1991))。しかしながら、
この方法では、不溶性ポリイミドへの適用が困難である
こと、完全イミド化に対してはやはり300℃近傍での
加熱処理を必要とすることなど、問題点が多い。実際の
非線形光学材料に適用した例でも、きわめて低い電気光
学定数しか得られていない。
【0019】このように、様々な応用分野において、低
価格かつ高速・高効率な電気光学材料が求められている
にも係らず、ポリマーと非線形光学物質への要求を同時
に満たす材料は実現されておらず、当該分野の実用化へ
の大きな妨げとなっていた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、配向緩和が
ほとんど問題にならないような高い耐熱性と優れた非線
形光学特性とを有するポリマー電気光学材料を提供する
ことを目的とする。
【0021】また本発明は、配向緩和がほとんど問題に
ならないような高い耐熱性と優れた非線形光学特性とを
有する非線形光学材料を製造する方法を提供することを
目的とする。
【0022】さらに本発明は、従来にない高い安定性と
高い非線形光学特性を備えた非線形光学ポリイミド材料
を用いることによって初めて実用化が可能になる、種々
の電気光学デバイスを提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、感光性ポリイミドと、非線形光学物質あ
るいは非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進
剤とを含有することを特徴とする非線形光学材料であ
る。
【0024】本発明は、ポリイミドと、非線形光学物質
あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、感光性低温
硬化促進剤とを含有することを特徴とする非線形光学材
料である。
【0025】また、本発明は、感光性ポリイミド前駆体
と、非線形光学物質あるいは非線形光学機能を有する修
飾基と、低温硬化促進剤とを含有することを特徴とする
非線形光学材料用樹脂組成物である。また、本発明は、
ポリイミド前駆体と、非線形光学物質あるいは非線形光
学機能を有する修飾基と、感光性低温硬化促進剤とを含
有することを特徴とする非線形光学材料用樹脂組成物で
ある。
【0026】また、本発明は、前記非線形光学材料用樹
脂組成物膜を基板上に形成する工程と、前記膜を50℃
以上150℃以下の温度範囲で加熱処理するプリベーク
工程と、前記プリベークを施した樹脂組成物薄膜を10
0℃以上250℃以下で前硬化処理を行う工程と、前記
前硬化処理を行った膜に電場を印加しながら100℃以
上300℃以下の範囲で加熱する配向処理工程とを具備
することを特徴とする、非線形光学材料の製造方法であ
る。また、本発明は、電圧印加により屈折率、あるいは
位相、あるいは光強度の制御を行う機能を有する非線形
光学材料領域を有し前記非線形光学材料領域が前記非線
形光学材料を用いたことを特徴とする光デバイスであ
る。
【0027】また、本発明は、スラブ型導波路構造、あ
るいは直線状導波路構造、あるいは均一Δβ型もしくは
反転Δβ型などの方向性結合器型導波路構造、あるいは
全反射型導波路構造、あるいはマッハツェンダー型もし
くはX交差型などの干渉器型導波路構造、あるいはY分
岐型もしくは非対称X分岐型などのデジタル型、または
これらの直列ないし並列結合の導波路構造、または3次
元的積層構造を有する導波路型光デバイスにおいて、前
記導波路がポリイミドと、非線形光学物質あるいは非線
形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤とを含有
する非線形光学材料を用いたことを特徴とする導波路型
光デバイスである。
【0028】また、本発明は、薄膜で形成された光導波
路と、前記光導波路に光源からの光ビームを入射させる
手段と、前記光導波路上に設けた電極に与える入力電気
信号によって電気光学効果により前記光導波路の屈折率
を変化させ前記光ビームを偏向させる電気光学プリズム
と、偏向された光ビームを前記光導波路から出射させる
ための手段とを備える光学偏向器において、前記電気光
学効果を示す電気光学プリズムにポリイミドと、非線形
光学物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低
温硬化促進剤とを含有する非線形光学材料を用いたこと
を特徴とする光偏向素子である。
【0029】また、本発明は、複数の入力ポートから入
る入力光を、電気光学効果により動作する光偏向器を用
いて出射方向を制御し、複数の出力ポートのいずれかに
選択的に送出することによってスイッチング動作を行う
型のマトリックス光スイッチにおいて、前記電気光学効
果により動作する光偏向器にポリイミドと、非線形光学
物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬
化促進剤とを含有する非線形光学材料を用いたことを特
徴とするマトリックス光スイッチである。
【0030】また、本発明は、レーザー光源と、光検出
器と、光導波路上に伝播光を導波路外に取り出し光記録
媒体に集光し、かつ光記録媒体からの信号光を光導波路
内に結合するための集光グレーティングカップラと、再
結合された導波光を光検出器へ集光するグレーティング
ビームスプリッタと、集光スポットのトラッキングを制
御するための電気光学偏向器とを備える光ディスク用光
集積回路ヘッドにおいて、前記電気光学偏向器にポリイ
ミドと、非線形光学物質あるいは非線形光学機能を有す
る修飾基と、低温硬化促進剤とを含有する非線形光学材
料を用いたことを特徴とする光ディスク用光集積回路ヘ
ッドである。
【0031】また、本発明は、入力高周波信号を光信号
に変換するための電気光変換器と、前記電気光変換器か
ら出力される光信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送
路を介して伝送される光信号の位相を電気光学効果によ
り可変制御する光移相器と、移相量制御のための制御電
圧を前記光移相器に出力する制御電圧発生装置と、前記
光位相器で位相が制御された光信号を高周波信号に変換
するための光電気変換器と、前記光電気変換器から出力
される高周波信号を増幅する増幅装置と、アレイアンテ
ナ素子とを備える光制御フェーズドアレイアンテナにお
いて、前記光信号の位相を電気光学効果により可変制御
する光位相器にポリイミドと、非線形光学物質あるいは
非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤とを
含有する非線形光学材料を用いたことを特徴とするフェ
ーズドアレイアンテナである。
【0032】また、本発明は、入力高周波信号を光信号
に変換するための電気光変換器と、前記電気光変換器か
ら出力される光信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送
路を介して伝送される光信号の遅延量を電気光学効果光
スイッチによる光路切替によって制御する光遅延伝送回
路と、遅延量制御のための光路選択を行う制御電圧を前
記電気光学効果光スイッチに出力する制御電圧発生装置
と、前記光遅延伝送回路で遅延時間が制御された光信号
を高周波信号に変換するための光電気変換器と、前記光
電気変換器から出力される高周波信号を増幅する増幅装
置と、アレイアンテナ素子とを備える光制御フェーズド
アレイアンテナにおいて、前記光信号の遅延時間を制御
する電気光学効果光スイッチにポリイミドと、非線形光
学物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低温
硬化促進剤とを含有する非線形光学材料を用いたことを
特徴とするフェーズドアレイアンテナである。
【0033】また、本発明は、光の入出力接続手段、基
板上に形成された多段に接続されたマッハツェンダー導
波路フィルタ素子、ならびに各マッハツェンダー型フィ
ルタ素子の一方のアームに屈折率変調を与えるための電
極、およびそれらを駆動する制御電源とを備え、前記多
段接続されたマッハツェンダー型フィルタ素子のアーム
長は、入力側からアーム長の長い順にそれぞれ公比2の
等比数列を形成するように構成されている波長可変光フ
ィルタにおいて、前記マッハツェンダー型フィルタ素子
の屈折率変調を行う導波路にポリイミドと、非線形光学
物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬
化促進剤とを含有する非線形光学材料を用いたことを特
徴とする波長可変光フィルタである。
【0034】また、本発明は、透明な基板上に形成され
た電気光学薄膜と、前記電気光学薄膜に前記基板側から
光を照射するための光照射手段とを具備し、被測定電気
回路に前記電気光学薄膜を近接あるいは接触させて用い
る電気光学型電界センサにおいて、前記電気光学薄膜に
ポリイミドと、非線形光学物質あるいは非線形光学機能
を有する修飾基と、低温硬化促進剤とを含有する非線形
光学材料を用いたことを特徴とする電気光学型電界セン
サである。
【0035】また、本発明は、電荷発生材料、電荷輸送
材料および電気光学材料を含有する単独あるいは複数の
積層構造を備えるフォトリフラクティブ光記録媒体にお
いて、前記電気光学材料がにポリイミドと、非線形光学
物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬
化促進剤とを含有する非線形光学材料を用いたことを特
徴とするフォトリフラクティブ光記録媒体である。
【0036】また、本発明は、光の入出力接続手段、基
板上に形成された直列ないし並列に多段に接続されたマ
ッハツェンダー導波路素子、ならびに各マッハツェンダ
ー型素子にバイアスを付与するための電極ならびに、変
調電気信号を付与するための電極、およびそれらを駆動
する制御回路とを備えるアナログ光伝送用変調器におい
て、前記マッハツェンダー型素子の導波路にポリイミド
と、非線形光学物質あるいは非線形光学機能を有する修
飾基と、低温硬化促進剤とを含有する非線形光学材料用
いたことを特徴とするアナログ光伝送用変調器である。
【0037】本発明の非線形光学材料においては、ベー
スポリマとして耐熱性にきわめて優れるポリイミドを用
い、非線形光学物質あるいは非線形光学機能を有する修
飾基及び第3の成分として低温硬化促進剤を微量含有さ
せている点を特徴とするものである。
【0038】このような低温硬化促進剤を含有させる理
由は、ひとつはその製造方法にある。すなわち、従来ポ
リイミドはポリイミド前駆体(ポリアミド酸)のイミド
化プロセスにおいて一般に300℃以上という非常に高
い温度を必要としていたが、これが耐熱性に弱い非線形
光学物質を含む非線形光学材料への適用を難しくしてい
た。
【0039】なお、本発明者らは、ポリイミドの低温硬
化技術ならびにその感光性ポリイミド材料への適用(特
開平9−30225号公報、特開平7−138479号
公報、特開平9−297400号公報、特開平10−1
86659号公報、特開平11−72918号公報)を
すでに開発している。このポリイミド低温硬化技術の、
非線形光学材料への適用を鋭意検討した結果、本発明を
なすに至ったものである。 本発明によれば、従来の結
果どおりのポリイミドのイミド化を200℃以下の低温
で行えるという利点を生かすことができる。しかも、硬
化したポリイミド中には低温硬化促進剤が微量残留して
いるので、さらなる利点が得られることを見出した。す
なわち、非線形光学材料あるいは非線形光学デバイスと
して常温ないし高温条件に被爆された場合には、残留し
ている低温硬化促進剤が不完全イミド化部分のイミド化
を促進する。これによって、配向緩和現象を著しく抑制
する働きを示す。その結果、従来問題であった、常温あ
るいは高温条件下における非線形光学物質の配向緩和に
よる非線形光学特性の劣化を著しく低減できることが明
らかになった。
【0040】非線形光学材料中の低温硬化促進剤の適切
な含有量は、材料系によってさまざまであるが、少なく
とも1ppm程度存在していれば、上述した効果が得ら
れる。一方、低温硬化促進剤の含有量が多すぎる場合に
は、ポリイミドの可塑化が生じたり、非線形光学物質と
の相互作用がみられる場合があるので、低温硬化促進剤
の含有量は、1wt%程度以下に抑えることが望まれ
る。したがって、本発明の非線形光学材料における硬化
促進剤の含有量は1ppm以上1wt%以下が適切であ
る。さらに好ましい含有量の範囲は、1ppm〜100
0ppmである。こうした硬化促進剤の含有量は、質量
分析法などによって評価することが可能である。
【0041】このように硬化したポリイミド中に、硬化
促進剤を含有させ、ポリイミド非線形光学材料あるいは
それを用いたデバイスとなった後も、その作用を残留さ
せるという技術は過去には存在せず、本発明者らによっ
て初めて得られたものである。
【0042】本発明の非線形光学材料は、ポリアミド酸
に非線形光学物質を分散させ、さらに低温硬化促進剤を
配合して原料となる樹脂組成物を調製し、それをイミド
化したものが挙げられる。あるいは、非線形光学機能を
有する修飾基をポリアミド酸の構成原料であるジアミン
化合物あるいは酸無水物に化学的に結合させたもの、ポ
リアミド酸を低温硬化剤を用いて縮合閉環した後に予め
用意された官能基に非線形光学機能を有する修飾基を化
学的に結合させたもの、あるいは架橋性のポリアミド酸
に非線形光学物質を分散ないし化学的に修飾したものに
対して低温硬化剤を配合した樹脂組成物を調製しそれを
イミド化したものが挙げられる。
【0043】さらに本発明の非線形光学材料は、ポリイ
ミドホストあるいは低温硬化促進剤のいずれかあるいは
両方に感光性を付与したものを用いることを特徴とす
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0044】本発明の樹脂組成物ポリイミド前駆体(ポ
リアミド酸)とは、下記一般式(1)で表わされる繰り
返し単位を有する構造が挙げられる。
【0045】
【化1】
【0046】(上記一般式(1)中、φは4価の有機基
であり、Ψは2価の有機基を示す。) 前述の一般式(1)で表わされるポリアミド酸は、下記
一般式(2)で表わされるテトラカルボン酸二無水物
と、下記一般式(3)で表わされるジアミン化合物成分
とを有機溶媒中で反応させることにより合成することが
できる。
【0047】
【化2】
【0048】(上記一般式(2)中、φは4価の有機基
を示す。)
【0049】
【化3】
【0050】(上記一般式(3)中、Ψは2価の有機基
を示す。) 前記一般式(2)で表わされるテトラカルボン酸二無水
物において、4価の有機基φは、炭素数1〜30の脂肪
族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基お
よび複素環基、ならびに脂肪族炭化水素基、脂環式炭化
水素基、芳香族炭化水素基または複素環基が直接または
架橋基により相互に連結された多環式化合物基からなる
群から選択される。
【0051】一般式(2)で表わされるテトラカルボン
酸二無水物の具体例としては、例えばピロメリト酸二無
水物、3−フルオロピロメリト酸二無水物、3,6−ジ
フルオロピロメリト酸二無水物、3−(トリフルオロメ
チル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフル
オロメチル)ピロメリト酸二無水物、1,2,3,4−
ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,
2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、3,3”,4,4”−テルフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、3,3”’,4,4”’−クァテ
ルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3””,
4,4””−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、
1,1−エチリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、
2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水
物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸
二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタ
ル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無
水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチ
レン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−
4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,
3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン
−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,
3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペン
タメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−
4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフ
タル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二
無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水
物、1,3−ビス[2−(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス
[2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピ
ル]ベンゼン二無水物、ビス[3−(3,4−ジカルボ
キシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4
−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタ
ン二無水物、2,2−ビス[3−(3,4−ジカルボキ
シフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−
ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル]プロパン二無水物、2,2−ビス[3−(3,4−
ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2
−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェ
ニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペ
リレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ア
ントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8
−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、エチレン
テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタ
ンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカ
ルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−
テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,
4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カ
ルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−
ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス
(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、
1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチリデン
−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボ
ン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビ
ス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水
物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2
−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−
ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水
物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−
ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス
(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、
2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,
5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビ
ス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(ト
リフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、6,6´−ビス(トリフル
オロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス
(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−
テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,
5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(ト
リフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、オキシ−4,4’−ビス
(3−フルオロフタル酸)二無水物、オキシ−4,4’
−ビス(5−フルオロフタル酸)二無水物、オキシ−
4,4’−ビス(6−フルオロフタル酸)二無水物、オ
キシ−4,4’−ビス(3,5,6−トリフルオロフタ
ル酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス[3−(トリ
フルオロメチル)フタル酸]二無水物、オキシ−4,
4’−ビス[5−(トリフルオロメチル)フタル酸]二
無水物、オキシ−4,4’−ビス[6−(トリフルオロ
メチル)フタル酸]二無水物、オキシ−4,4’−ビス
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フタル酸]二無
水物、オキシ−4,4’−ビス[3,6−ビス(トリフ
ルオロメチル)フタル酸]二無水物、オキシ−4,4’
−ビス[5,6−ビス(トリフルオロメチル)フタル
酸]二無水物、オキシ−4,4’−ビス[3,5,6−
トリス(トリフルオロメチル)フタル酸]二無水物、ス
ルホニル−4,4’−ビス(3−フルオロフタル酸)二
無水物、スルホニル−4,4’−ビス(5−フルオロフ
タル酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(6−
フルオロフタル酸)二無水物、スルホニル−4,4’−
ビス(3,5,6−トリフルオロフタル酸)二無水物、
スルホニル−4,4’−ビス[3−(トリフルオロメチ
ル)フタル酸]二無水物、スルホニル−4,4’−ビス
[5−(トリフルオロメチル)フタル酸]二無水物、ス
ルホニル−4,4’−ビス[6−(トリフルオロメチ
ル)フタル酸]二無水物、スルホニル−4,4’−ビス
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フタル酸]二無
水物、スルホニル−4,4’−ビス[3,6−ビス(ト
リフルオロメチル)フタル酸]二無水物、スルホニル−
4,4’−ビス[5,6−ビス(トリフルオロメチル)
フタル酸]二無水物、スルホニル−4,4’−ビス
[3,5,6−トリス(トリフルオロメチル)フタル
酸]二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(3−フル
オロフタル酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス
(5−フルオロフタル酸)二無水物、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,
4’−ビス(6−フルオロフタル酸)二無水物、1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピ
リデン−4,4’−ビス(3,5,6−トリフルオロフ
タル酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス[3−
(トリフルオロメチル)フタル酸]二無水物、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデ
ン−4,4’−ビス[5−(トリフルオロメチル)フタ
ル酸]二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス[6−
(トリフルオロメチル)フタル酸]二無水物、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデ
ン−4,4’−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチ
ル)フタル酸]二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス
[3,6−ビス(トリフルオロメチル)フタル酸]二無
水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,
2−プロピリデン−4,4’−ビス[5,6−ビス(ト
リフルオロメチル)フタル酸]二無水物、1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−
4,4’−ビス[3,5,6−トリス(トリフルオロメ
チル)フタル酸]二無水物、9−フェニル−9−(トリ
フルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラ
カルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチ
ル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二
無水物およびビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン
−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などが挙
げられる。
【0052】これらのテトラカルボン酸二無水物は単独
で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。テ
トラカルボン酸二無水物は、全酸無水物成分のうち0.
8モル当量以上、好ましくは0.9モル当量以上用いら
れる。この理由は、テトラカルボン酸二無水物の配合量
が少なすぎる場合には、得られるポリイミドの耐熱性が
低下するためである。
【0053】前記一般式(3)で表わされるジアミン化
合物において、2価の有機基Ψは、炭素数1〜30の脂
肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基
および複素環基、ならびに脂肪族炭化水素基、脂環式炭
化水基、芳香族炭化水素基または複素環基が直接または
架橋基により相互に連結された多環式化合物基からなる
群より選択される。
【0054】一般式(3)で表わされるジアミン化合物
の具体例としては、例えば1,2−フェニレンジアミ
ン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレン
ジアミン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,4’−
ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3”−ジアミノテルフェニル、4,4”−ジアミノ
テルフェニル、3,3”’−ジアミノクァテルフェニ
ル、4,4”’−ジアミノクァテルフェニル、3,
3””−ジアミノキンクフェニル、4,4””−ジアミ
ノキンクフェニル、オキシ−3,3’−ジアニリン、オ
キシ−4,4’−ジアニリン、チオ−3,3’−ジアニ
リン、チオ−4,4’−ジアニリン、スルホニル−3,
3’−ジアニリン、スルホニル−4,4’−ジアニリ
ン、メチレン−3,3’−ジアニリン、メチレン−4,
4’−ジアニリン、1,2−エチレン−3,3’−ジア
ニリン、1,1−エチリデン−3,3’−ジアニリン、
1,1−エチリデン−4,4’−ジアニリン、1,3−
プロピレン−3,3’−ジアニリン、1,3−プロピレ
ン−4,4’−ジアニリン、1,2−エチレン−4,
4’−ジアニリン、2,2−プロピリデン−3,3’−
ジアニリン、2,2−プロピリデン−4,4’−ジアニ
リン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,
2−プロピリデン−3,3’−ジアニリン、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデ
ン−4,4’−ジアニリン、1,1,2,2,3,3−
ヘキサフルオロ−1,3−プロピレン−3,3’−ジア
ニリン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−
1,3−プロピレン−4,4’−ジアニリン、1,3−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3
−アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(4−
アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ア
ミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,3−ビス(4
−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,3−ビス
[2−(3−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼ
ン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−
プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(3−アミノ
フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−
アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス(3−
アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフ
ェニルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェ
ニルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニ
ルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフ
ェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス[2−(3
−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、4,
4’−ビス(3−アミノフェノシ)ビフェニル、4,
4’−ビス(4−アミノフェノシ)ビフェニル、ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテ
ル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4−ビス
[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼ
ン、1,4−ビス[2−(3−アミノフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル]
ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロ
ピル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロプロパン、5−フルオロ−1,3−フェニレ
ンジアミン、2−フルオロ−1,4−フェニレンジアミ
ン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミ
ン、2,4,5,6−ヘキサフルオロ−1,3−フェニ
レンジアミン、2,3,5,6−ヘキサフルオロ−1,
4−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノ−5,
5’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−
2,2’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ
−3,3’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジアミ
ノ−2,2’,4,4’,5,5’,6,6’−オクタ
フルオロビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,
3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェ
ニル、オキシ−5,5’−ビス(3−フルオロアニリ
ン)、オキシ−4,4’−ビス(2−フルオロアニリ
ン)、オキシ−4,4’−ビス(3−フルオロアニリ
ン)、スルホニル−5,5’−ビス(3−フルオロアニ
リン)、スルホニル−4,4’−ビス(2−フルオロア
ニリン)、スルホニル−4,4’−ビス(3−フルオロ
アニリン)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−
5−フルオロベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−5
−フルオロフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−
アミノ−5−フルオロフェノキシ)−5−フルオロベン
ゼン、5−(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレ
ンジアミン、2−(トリフルオロメチル)−1,4−フ
ェニレンジアミン、2,5−ビス(トリフルオロメチ
ル)−1,4−フェニレンジアミン、2,2’−ビス
(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニ
ル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’
−ジアミノビフェニル、オキシ−5,5’−ビス[3−
(トリフルオロメチル)アニリン]、オキシ−4,4’
−ビス[2−(トリフルオロメチル)アニリン]、オキ
シ−4,4’−ビス[3−(トリフルオロメチル)アニ
リン]、スルホニル−5,5’−ビス[3−(トリフル
オロメチル)アニリン]、スルホニル−4,4’−ビス
[2−(トリフルオロメチル)アニリン]、スルホニル
−4,4’−ビス[3−(トリフルオロメチル)アニリ
ン]、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−
(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,3−ビス[3−
アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベン
ゼン、1,3−ビス[3−アミノ−5−(トリフルオロ
メチル)フェノキシ]−5−(トリフルオロメチル)ベ
ンゼン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−5,
5’−ジアミノビフェニル、ビス(3−アミノフェノキ
シ)ジメチルシラン、ビス(4−アミノフェノキシ)ジ
メチルシラン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)−
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−
ビス(4−アミノフェニル)−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサン、メチレンジアミン、1,2−エタ
ンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタ
ンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキ
サンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オ
クタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−
デカンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキ
シ)エタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4
−ジアミノシクロヘキサン、ビス(3−アミノシクロヘ
キシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メ
タン、1,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)エタ
ン、1,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)エタ
ン、2,2−ビス(3−アミノシクロヘキシル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパ
ン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビス
(4−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビス(3−ア
ミノシクロヘキシル)スルホン、ビス(4−アミノシク
ロヘキシル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノシク
ロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレン
ジアミン、1,8−ジアミノナフタレン、2,7−ジア
ミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,5
−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,
5−ジアミノピラジン、2,4−ジアミノ−s−トリア
ジン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4
−ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンおよ
び1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,
3−テトラフェニルジシロキサンが挙げられる。
【0055】これらのジアミン化合物は単独で用いても
よいし、2種以上混合して用いてもよい。ジアミン化合
物は、全アミン化合物成分のうち0.8モル当量以上、
好ましくは0.9モル当量以上用いられる。この理由
は、ジアミン化合物の配合量が少なすぎる場合には得ら
れるポリイミドの耐熱性が低下するためである。
【0056】さらに、上述したような一般式(3)で表
わされるジアミン化合物とともに下記一般式(4)で表
わされるジアミン化合物、すなわちビス(アミノアルキ
ル)パーアルキルポリシロキサン化合物を配合してもよ
い。
【0057】
【化4】
【0058】(上記一般式(4)中、R1 は同一でも異
なっていてもよく、炭素数1〜5のアルキル基を示し、
qおよびrは1〜10の整数であり、pは正の整数であ
る。)前記一般式(4)で表わされるビス(アミノアル
キル)パーアルキルポリシロキサン化合物としては、例
えば、1,3−ビス(アミノメチル)−1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(2−アミ
ノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4
−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサン、1,3−ビス(5−アミノペンチル)−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス
(6−アミノヘキシル)−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシロキサン、1,3−ビス(7−アミノヘプチル)
−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3
−ビス(8−アミノオクチル)−1,1,3,3−テト
ラメチルジシロキサン、1,3−ビス(10−アミノデ
シル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、
1,5−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,
3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ビ
ス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5,
7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,11−ビ
ス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,5,5,
7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロ
キサン、1,15−ビス(3−アミノプロピル)−1,
1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,1
3,13、15,15−ヘキサデカメチルオクタシロキ
サン、および1,19−ビス(3−アミノプロピル)−
1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,1
1,13,13,15,15,17,17,19,19
−エイコサメチルデカシロキサンなどが挙げられる。
【0059】前記一般式(4)で表されるビス(アミノ
アルキル)パ−アルキルポリシロキサン化合物を配合す
ることにより、ポリイミド樹脂と例えばガラス基板やシ
リコン基板などの半導体基板との密着性、および接着性
を向上させることができる。しかしながら、この化合物
が過剰に配合されるとポリイミド樹脂の耐熱性が低下す
るおそれがあるため、その配合量は、ジアミン成分全体
に対して好ましくは0.02〜0.2モル当量、より好
ましくは0.05〜0.15モル当量である。
【0060】さらに上述した成分に加えてさらに、ポリ
アミド酸の重合度を制御するために、末端処理剤として
ジカルボン酸無水物またはモノアミン化合物を配合して
もよい。
【0061】ジカルボン酸無水物としては、例えば、マ
レイン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジメチルマレイ
ン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイ
ン酸無水物、プロピルマレイン酸無水物、ブチルマレイ
ン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ジクロロマレイ
ン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジブロモマレイ
ン酸無水物、フルオロマレイン酸無水物、ジフルオロマ
レイン酸無水物、(トリフルオロメチル)マレイン酸無
水物、ビス(トリフルオロメチル)マレイン酸無水物、
シクロブタンジカルボン酸無水物、シクロペンタンジカ
ルボン酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、
テトラヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒ
ドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水
物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水
物、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、エチルフ
タル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、フルオロフタ
ル酸無水物、ジフルオロフタル酸無水物、クロロフタル
酸無水物、ジクロロフタル酸無水物、ブロモフタル酸無
水物、ジブロモフタル酸無水物、ニトロフタル酸無水
物、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,
4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3−フェノキ
シフタル酸無水物、4−フェノキシフタル酸無水物、3
−(フェニルスルホニル)フタル酸無水物、4−(フェ
ニルスルホニル)フタル酸無水物、2,3−ビフェニル
ジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸
無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,
3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレ
ンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボ
ン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水
物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3
−ピリジンジカルボン酸無水物、3,4−ピリジンジカ
ルボン酸無水物、コハク酸無水物、ナジック酸無水物な
どが挙げられる。 また、モノアミン化合物としては、
例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミ
ン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、
ヘプチルアミン、オクチルアミン、1−(3−アミノプ
ロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキ
サン、ビニルアミン、アリルアミン、グリシン、アラニ
ン、アミノ酪酸、バリン、ノルバリン、イソバリン、ロ
イシン、ノルロイシン、イソロイシン、グルタミン、グ
ルタミン酸、トリプトファン、アミノクロトン酸、アミ
ノアセトニトリル、アミノプロピオニトリル、アミノク
ロトノニトリル、シクロプロピルアミン、シクロブチル
アミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、ア
ミノアダマンタン、アミノベンゾシクロブタン、アミノ
カプロラクタム、アニリン、クロロアニリン、ジクロロ
アニリン、ブロモアニリン、ジブロモアニリン、フルオ
ロアニリン、ジフルオロアニリン、ニトロアニリン、ジ
ニトロアニリン、トルイジン、キシリジン、エチルアニ
リン、アニシジン、フェネチジン、アミノアセトアニリ
ド、アミノアセトフェノン、アミノ安息香酸、アミノベ
ンズアルデヒド、アミノベンゾニトリル、アミノフタロ
ニトリル、アミノベンゾトリフルオリド、アミノスチレ
ン、アミノスチルベン、アミノアゾベンゼン、アミノジ
フェニルエーテル、アミノジフェニルスルホン、アミノ
ベンズアミド、アミノベンゼンスルホンアミド、アミノ
フェニルマレイミド、アミノフェニルフタルイミド、ア
ミノビフェニル、アミノテルフェニル、アミノナフタレ
ン、アミノアントラセン、アミノアントラキノン、アミ
ノフルオレン、アミノフルオレノン、アミノピロリジ
ン、アミノピペラジン、アミノピペリジン、アミノホモ
ピペリジン、アミノモルホリン、アミノベンゾジオキソ
ール、アミノベンゾジオキサン、アミノピリジン、アミ
ノピリダジン、アミノピリミジン、アミノピラジン、ア
ミノキノリン、アミノシンノリン、アミノフタラジン、
アミノキナゾリン、アミノキノキサリン、アミノピロー
ル、アミノイミダゾール、アミノピラゾール、アミノト
リアゾール、アミノオキサゾール、アミノイソオキサゾ
ール、アミノチアゾール、アミノイソチアゾール、アミ
ノインドール、アミノベンゾイミダール、アミノインダ
ゾール、アミノベンゾオキサゾール、アミノベンゾチア
ゾール、ベンジルアミン、フェネチルアミン、フェニル
プロピリアミン、フェニルブチルアミン、ベンズヒドリ
ルアミン、アミノエチル−1,3−ジオキソラン、アミ
ノエチルピロリジン、アミノエチルピペラジン、アミノ
エチルピペリジン、アミノエチルモルホリン、アミノプ
ロピルイミダゾール、およびアミノプロピルシクロヘキ
サン、アミノフェノール、2−(4−アミノフェニル)
−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げ
られる。
【0062】上述したようなジカルボン酸無水物および
モノアミン化合物の配合量は、用途、粘度等に応じて適
宜選択することができるが、例えば、テトラカルボン酸
二無水物またはジアミン化合物に対して0.02〜0.
4モル当量程度とすることが好ましい。
【0063】前述の一般式(1)で表わされるポリアミ
ド酸を合成する方法は、特に限定されないが、不活性ガ
ス雰囲気において有機極性溶媒中で無水の条件下に重合
させる方法が好ましい。
【0064】この反応時に用いられる有機極性溶媒とし
ては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミ
ド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベ
ンジル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−
メチル−ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプ
ロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエ
トキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、
ビス(2−エトキシエチル)エーテル、1,2−ビス
(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メ
トキシエトキシ)エチル]エーテル、1−アセトキシ−
2−メトキシエタン、1−アセトキシ−2−エトキシエ
タン、(2−アセトキシエチル)(2−メトキシエチ
ル)エーテル、(2−アセトキシエチル)(2−エトキ
シエチル)エーテル、3−メトキシプロピオン酸メチ
ル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,3
−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピリ
ジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、
γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、フェノール、ク
レゾール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノンおよびアセトニルアセ
トンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用い
てもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0065】反応温度は通常−20〜100℃、好まし
くは−5〜30℃であり、反応圧力は特に限定されず、
常圧で十分実施することができる。また反応時間はテト
ラカルボン酸二無水物の種類、反応溶媒の種類によって
異なるが、通常1〜24時間で十分である。このよう
に、本発明の感光性ポリマー樹脂組成物の成分であるポ
リアミド酸は、プロセスの煩雑さを何等伴うことなく容
易に合成することができ、製造工程において不純物が混
入することもない。
【0066】なお、このとき得られるポリアミド酸は、
30℃における0.5wt%のN−メチル−2−ピロリ
ドン溶液のインヒーレント粘度(対数粘度数)が、0.
3(dL/g)以上、さらには0.3(dL/g)以上
3.0(dL/g)以下であることが好ましい。この理
由は、ポリアミド酸のインヒーレント粘度が低すぎる、
すなわちポリアミド酸の重合度が低すぎる場合には、耐
熱性の十分なポリイミド樹脂を得ることができなくなる
おそれがあり、一方インヒーレント粘度が高すぎる、す
なわち重合度が高すぎる場合には、その取扱いが困難と
なるからである。
【0067】以上のようにして合成されたポリアミド酸
は、溶液のまま用いてもよい。また、ポリアミド酸溶液
を水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、アセトン等の貧溶媒に注入してポリマーを析出さ
せ、洗浄、乾燥して固体として回収した後に使用しても
よい。
【0068】本発明の非線形光学材料及び樹脂組成物に
用いる非線形光学物質としては、非線形光学材料の電気
光学定数を高くするために、超分子分極率βとダイポー
ルモーメントμの大きい分子が相応し、π共役鎖の両端
にドナー基、アクセプター基をもたせた分子構造のもの
が一般にはよいとされている。そのような分子として
は、4−(ジメチルアミノ)−4’−ニトロスチルベン
(DANS)、4[N−エチル−N−(2−ヒドロキシ
エチル)]アミノ−4’−ニトロスチルベン(DR
1)、DR19、DR13、DO1、DO3、4−(ジ
シアノビニル)−4−(ジアルキルアミノ)アゾベンゼ
ン(DCV)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル
−6−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピ
ラン(DCM)、4−トリシアノビニル−4’−(ジエ
チルアミノ)アゾベンゼン(TCV)、p−NA、p−
NMDA、MNA、1−(4−ニトロフェニル)−4−
[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジ
エン、ジ−[2−ヒドロキシエチル]アミノヘキサニル
スルホニルアゾスチルベン、および2’,5−ジアミノ
−4−(ジメチルアミノ)−4’−ニトロスチルベン
(DDANS)などが例として挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
【0069】これら非線形光学物質は、上述したように
ポリマーホストへ分散させた形態、あるいはポリマー側
鎖または主鎖に修飾基として化学的に結合させた形態に
よって本発明の非線形光学材料に取り込まれる。また、
その含有量は、用いる成分の種類や形態等に応じて適宜
決定することができる。 (感光性ポリイミド+低温硬化促進剤)ポリイミド前駆
体に感光性を付与する方法としては、(1)ポリイミド
前駆体に感光性化合物を混合する方法、(2)ポリイミ
ドにエステル結合を介して感光性基を導入する方法、
(3)光重合組成物を構成する方法などの一般的な方法
を用いることができる。
【0070】さらに詳しくは、(1)のポリイミド前駆
体に混合する感光性化合物としては、重クロム酸塩類、
芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲ
ン化合物、芳香族ニトロ化合物などが使用できる。より
好ましくは、オルトベンゾキノンジアジド化合物、オル
トナフトキノンジアジド化合物、オルトキノリンキノン
ジアジド化合物などの、オルトキノンジアジド化合物を
あげることができる。この場合は、露光部が光分解によ
り易溶化し、露光部のみを現像液で溶解するポジ型にな
る。この方法では、ポリイミド前駆体には感光性はな
く、露光部の感光剤が分子内転位反応を起こしてインデ
ンカルボン酸を生じ、アルカリ可溶になることを利用し
て、ポリイミド前駆体を同時にアルカリに溶解させる方
法である。感光剤の混合量は、ポリイミド前駆体100
重量部に対して、感光性化合物5〜50重量部を含有さ
せればよい。
【0071】(2)のポリイミド前駆体骨格に感光性基
を導入する方法としては、高分子反応によって感光基を
ペンダントさせる方法と、感光基を分子構造中に有する
モノマーを重合するか、あるいは重合することによって
骨格構造中に感光基を出現させる重合法の2種類があ
る。前者のエステル結合を介して導入する感光性基とし
ては、オレフィン基、シンナモイル基、シンナミリデン
アセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリ
ジン基、α-フェニルマレイミド基、フェニルアジド
基、スルホニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ
基、オルトキノンアジド基、クマリン基、フリルアクリ
ロイル基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン
基、ベンゾイン基、スチルベン基、ジチオカルバマート
基、ザンタート基、1,2,3−チアジアゾール基、シ
クロプロパン基、アザ−ジオキサビシクロ基などを用い
ることができる。また、後者の感光基を分子構造中に有
するモノマーとしては、前記同様の感光基を有するビニ
ル系モノマーが有用である。
【0072】(3)の光重合性組成物としては、モノマ
ーが直接光を吸収してラジカルとなって重合する直接光
重合系と、光重合開始剤がモノマーの吸収波長域外の光
を吸収して重合を開始する増感光重合系とがある。後者
に用いる光重合性モノマーとしては、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコール
ジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレ
ート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレー
ト、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド及びこれらのアクリレート、アクリルア
ミドをメタクリレート、メタクリルアミドに変えたも
の、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、
N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−
メチルジエタノールアミンジアクリレート、N−エチル
ジエタノールアミンジアクリレート、N−n−プロピル
ジエタノールアミンジアクリレート、N−n―プロピル
ジエタノールアミンジアクリレート、N−メチルジプロ
パノールジメタクリレート、N−エチルジプロパノール
ジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリ
レート、トリエタノールアミントリアクリレートなどを
用いることができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0073】光重合開始剤としては、カルボニル化合
物、アゾ化合物、有機イオウ化合物、酸化還元系、ハロ
ゲン化合物、感光色素類、有機金属化合物、金属カルボ
ニル類などが一般的に知られている。より具体的には、
ミヒラーズケトン、ベンジル、ベンゾインおよびその誘
導体、、ベンゾイル安息香酸誘導体、トリアジンおよび
その誘導体、トリハロメチル基を有するカルボニルメチ
レン複素環化合物、アクリジン誘導体、フェナジン誘導
体、キノキサリン誘導体、キナゾリン誘導体、アントラ
キノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン
誘導体、アセナフテン誘導体、アセトケトン誘導体、フ
ェニルケトン誘導体、ベンジルジエチルケタール、ジフ
ェニルジスルフィド、アントラセン、シクロヘキサノン
誘導体、1−フェニループロパンブタンジオンー2−
(オルトーベンゾイル)オキシム、オキサゾロン化合
物、N−エチルーN−(p−クロロフェニル)グリシ
ン、N−メチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン
などがあるが、これに限定されるものではない。これら
は、単独でも2種類以上組み合わせても使用することが
できる。光重合開始剤は、重合組成物中の不揮発成分の
合計量に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.
05〜10重量部の量で使用する。さらに、これらの重
合開始剤に、光開始助剤であるアミン類やアミノ酸を少
量併用することもできる。アミン類としてha,p−ジ
メチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息
香酸イソアミル、p−ジメチルベンゾニトリル、N,N
−ジメチルアントラニル酸エチルなどが挙げられる。ア
ミノ酸としては、N−メチル−N−(p−クロロフェニ
ル)グリシン、N−フェニルグリシン、N−エチルーN
−(p−クロロフェニル)グリシン、N−(nープロピ
ル)―N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−メチ
ルーN−(p−ブロモフェニル)グリシン、N−エチル
ーN−(p−ブロモフェニル)グリシン、N−(p−シ
アノフェニル)グリシン、N−(p−クロロフェニル)
グリシン、N−(p−ブロモフェニル)グリシンなどを
挙げることができる。
【0074】また、光感度を向上させる増感剤を添加し
てもよい。増感剤の具体的な例として、2,5−ビス
(4´−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、
2,6−ビス(4´−ジメチルアミノベンザル)シクロ
ヘキサノン、2,6−ビス(4´−ジメチルアミノベン
ザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス
(4´−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロ
ヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビス(ジエチ
ルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4´−ビス(ジメチ
ルアミノ)カルコン、4,4´−ビス(ジエチルアミ
ノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンイン
ダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、
2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチ
アゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレ
ン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4´−ジ
メチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4´
−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3´−カル
ボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フ
ェニル−N´−エチルエタノールアミン、N−フェニル
ジエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、
N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香
酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3
−フェニル−5−イソオキサゾロン、1−フェニル−5
−ベンゾイルチオーテトラゾール、1−フェニル−5−
エトキシカルボニルチオーテトラゾールなどが挙げられ
るが、特にこれらに限定されない。本発明ではこれらの
増感剤を1種または2種以上使用することができる。な
お、増感剤のなかには光重合開始剤としても作用するも
のがある。
【0075】増感剤を本発明の樹脂組成物に添加する場
合、その添加量は、ポリアミド酸の0.1〜30重量%
が好ましく、0.5〜15重量%がさらに好ましい。添
加量が大きすぎれば、ポリイミド前駆体膜を熱処理して
ポリイミド膜を形成する時に、膜厚の減少量が大きくな
りすぎる。また、添加量が小さすぎれば、光感度を向上
させる効果が発揮されない。
【0076】本発明の樹脂組成物の、保存時の熱的な安
定性を向上させるために、熱重合禁止剤を添加すること
もできる。熱重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロ
キノン、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジ
ン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチル
アミン、2、6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノー
ル、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられるが特
にこれらに限定されない。熱重合禁止剤を添加する場合
その添加量は、ポリアミド酸の0.1〜20重量%が好
ましく、0.5〜10重量%がさらに好ましい。添加量
が大きすぎれば、ポリイミド前駆体膜を熱処理してポリ
イミド膜を形成する時に、膜厚の減少量が大きくなりす
ぎる。また、添加量が小さすぎれば、保存時の熱的な安
定性を向上させる効果が発揮されない。
【0077】(ポリアミド酸+感光性低温硬化剤)ま
た、低温硬化促進剤に感光性を付与する方法としては、
(1)光照射によって低温硬化作用を発現させる方法
(ネガ型パターン)、(2)光照射によって低温硬化作
用を消失させる方法(ポジ型パターン)の二通りがあ
る。さらに詳しくは、(1)のネガ型パターンを形成す
るタイプの感光性低温硬化促進剤としては、光照射によ
り多量化して揮発点が上昇し、硬化促進作用を発生する
感光性低温硬化促進剤、光照射によってカルボキシル基
を生成することにより硬化促進作用を発生し、かつ少な
くとも一つの水酸基、置換もしくは非置換のアミノ基、
またはメルカプト基を有する芳香族炭化水素化合物また
は芳香族複素環化合物からなる感光性低温硬化促進剤、
光照射により脱離する保護置換基で置換された化合物を
含む感光性低温硬化促進剤、光照射によりオキシド基が
転移して効果促進作用を発生するN−オキシド化合物を
含む感光性低温硬化促進剤、光照射により酸を発生して
硬化促進作用を発生する感光性低温硬化促進剤、光照射
により酸を発生する光酸発生剤と酸と反応することによ
り硬化促進作用を発生する化合物に変化する潜在性低温
硬化促進剤などがあげられる。また、(2)のポジ型パ
ターンを形成するタイプの感光性低温硬化促進剤として
は、式(26)〜(30)で表されるフェノール性水酸
基を有しポリアミド酸のアルカリ現像液への溶解抑止効
果を有する低温硬化促進剤と光照射により光反応を起こ
してカルボキシル基を生成しアルカリ現像液へ溶解する
感光剤とからなる感光性低温硬化促進剤、同じく式(2
6)〜(30)で表されるフェノール性水酸基を有しポ
リアミド酸のアルカリ現像液への溶解抑止効果を有する
低温硬化促進剤と溶解抑止剤と、光照射により酸を発生
する化合物とからなる感光性低温硬化促進剤、光未照射
では低温硬化促進作用を有するが、光照射により硬化促
進作用を失活する化合物からなる感光性低温硬化促進剤
があげられる。
【0078】
【化5】
【0079】上記、感光性低温硬化促進剤についてさら
に詳しく説明する。第1に、(1)のネガ型パターンを
形成するタイプの感光性低温硬化促進剤のうち、光照射
により多量化して揮発点が上昇し、硬化促進作用を発生
する感光性低温硬化促進剤は、光照射により多量化して
揮発点が上昇し、熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)
を発生する化合物であり、具体的には、下記一般式(1
0)で表わされる含窒素複素環化合物が挙げられる。
【0080】
【化6】
【0081】上記一般式(10)中、Ar10は、ピリジ
ン型核窒素原子(−N=)をする置換または非置換の含
窒素芳香族複素環基であり、Mは、−O−基、−S−
基、−SO−基、−SO2−基、−CO−基、−COO
−基、−OCO−基または結合手を示し、R10は、少な
くとも1個以上のビニル基を有する置換または非置換の
脂肪族炭化水素基を示す。例えば、ピリジン型核窒素原
子(−N=)をする置換または非置換の含窒素芳香族複
素環基としては以下に示すような基が挙げられる。
【0082】
【化7】
【0083】(上記式中、−Z=は、=C(R11)−ま
たは=N−を示す。なお、互いに隣接するZは縮環して
いてもよい。−X−は、−O−基、−S−基、−Se−
基、−Te−基、または−N(R12)N−基を示す。こ
こで、R11およびR12は、置換または非置換の芳香族炭
化水素基、複素環基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水
素基、特性基または水素原子を示す。) Ar10として導入される非置換の含窒素芳香族複素環基
としては、例えば、ピリジル基、キノリル基、イソキノ
リル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル
基、ピリダジニル基、フタラジニル基、シンノリニル
基、ピリミジニル基、キナゾリニル基、ピラジニル基、
キノキサリニル基、1,3,5−トリアジニル基、1,
2,4,5−テトラジニル基、イミダゾリル基、ベンゾ
イミダゾリル基、ナフトイミダゾリル基、ピラゾリル
基、インダゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾ
リル基、ナフトオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、
ベンゾイソオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチア
ゾリル基、ナフトチアゾリル基、セレナゾリル基、ベン
ゾセレナゾリル基、テルラゾリル基、ベンゾテルラゾリ
ル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリ
アゾリル基、1,2,3,5−テトラゾリル基、および
ナフチジニル基などが挙げられる。
【0084】これらの含窒素芳香族複素環基に導入さ
れ、置換含窒素芳香族複素環化合物を構成する置換基と
しては、例えば、ジ置換アミノ基(ジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルア
ミノ基、ブチルメチルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジ
ベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ジフェニル
アミノ基、ジトリルアミノ基、ジキシリルアミノ基、メ
チルフェニルアミノ基、ベンジルメチルアミノ基な
ど)、モノ置換アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミ
ノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ter
t.-ブチルアミノ基、アニリノ基、アニシジノ基、フェ
ネチジノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、ピリジルア
ミノ基、チアゾリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ベン
ジリデンアミノ基など)、環状アミノ基(ピロリジノ
基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、1−
ピロリル基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、
1−トリアゾリル基など)、アシルアミノ基(ホルミル
アミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シ
ンナモイルアミノ基、ピリジンカルボニルアミノ基、ト
リフルオロアセチルアミノ基など)、スルホニルアミノ
基(メシルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、フェ
ニルスルホニルアミノ基、ピリジルスルホニルアミノ
基、トシルアミノ基、タウリルアミノ基、トリフルオロ
メチルスルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、
メチルスルファモイルアミノ基、スルファニルアミノ
基、アセチルスルファニルアミノ基など)、アミノ基、
ヒドロキシアミノ基、ウレイド基、セミカルバジド基、
カルバジド基、ジ置換ヒドラジノ基(ジメチルヒドラジ
ノ基、ジフェニルヒドラジノ基、メチルフェニルヒドラ
ジノ基など)、モノ置換ヒドラジノ基(メチルヒドラジ
ノ基、フェニルヒドラジノ基、ピリジルヒドラジノ基、
ベンジリデンヒドラジノ基など)、ヒドラジノ基、アミ
ジノ基、ヒドロキシ基、オキシム基(ヒドロキシイミノ
メチル基、メトキシイミノメチル基、エトキシイミノメ
チル基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒドロキシイミノ
プロピル基など)、アルコキシアルキル基(ヒドロキシ
メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基
など)、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、ニト
ロ基、ニトロソ基、オキシ基(メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ
基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、
チアゾリルオキシ基、アセトキシ基など)、チオ基(メ
チルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリジル
チオ基、チアゾリルチオ基など)、メルカプト基、ハロ
ゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード
基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル
基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基な
ど)、アミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカ
ルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカル
バモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキ
サモイル基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキ
シル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその
塩、チオカルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メ
チルチオカルボニル基、メチルチオチオカルボニル基な
ど)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル
基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、
トリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(チオホ
ルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジ
ンチオカルボニル基など)、スルフィン酸基およびその
塩、スルホン酸基およびその塩、スルフィニル基(メチ
ルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルス
ルフィニル基など)、スルホニル基(メシル基、エチル
スルホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホ
ニル基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルス
ルホニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル
基、スルファニリル基、アセチルスルファニリル基な
ど)、オキシスルホニル基(メトキシスルホニル基、エ
トキシスルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセト
アミノフェノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホ
ニル基など)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニ
ル基、エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニ
ル基、アセトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジ
ルチオスルホニル基など)、アミノスルホニル基(スル
ファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスル
ファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスル
ファモイル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミ
ノフェニルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル
基など)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エ
チルジメチルアンモニオ基、ジメチルスルフェニルアン
モニオ基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基
(フェニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基
など)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメ
チル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロ
メチル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ト
リフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタ
フルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、
アリール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素
環基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメ
チルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げ
ることができる。
【0085】なお、前記一般式(10)におけるAr10
としては、ピリジン型の核窒素原子(−N=)にプロト
ネーションした化学種の酸解離定数pKaがpH1〜1
0の間にある含窒素芳香族複素環基が好ましい。より具
体的には、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、
フェナントリジニル基、ピリダジニル基、フタラジニル
基、シンノリニル基、ピリミジニル基、キナゾリニル
基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリ
ル基、インダゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリ
ル基、ナフチリジニル基などの含窒素芳香族複素環基が
挙げられる。これらの含窒素芳香族複素環基は、前述し
たような各種特性基で置換されていてもよい。
【0086】なおここで、上述した一般式における−Z
=に導入され得るR11、および−X−に導入され得るR
12について詳細に説明する。
【0087】R11およびR12として導入される非置換の
芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環基、ナ
フタレン環基、アントラセン環基、フェナントレン環
基、テトラリン環基、アズレン環基、ビフェニレン環
基、アセナフチレン環基、アセナフテン環基、フルオレ
ン基、トリフェニレン環基、ピレン環基、クリセン環
基、ピセン環基、ペリレン環基、ベンゾピレン環基、ル
ビセン環基、コロネン環基、オバレン環基、インデン環
基、ペンタレン環基、ヘプタレン環基、インダセン環
基、フェナレン環基、フルオランテン環基、アセフェナ
ントリレン環基、アセアントリレン環基、ナフタセン環
基、プレイアデン環基、ペンタフェン環基、ペンタセン
環基、テトラフェニレン環基、ヘキサフェン環基、ヘキ
サセン環基、トリナフチレン環基、ヘプタフェン環基、
ヘプタセン環基およびピラントレン環基などが挙げられ
る。これらの芳香族炭化水素基は、前述の各種特性基で
置換されていてもよい。また、R11およびR12として導
入される非置換の複素環基としては、例えば、ピロール
環基、ピロリン環基、ピロリジン環基、インドール環
基、イソインドール環基、インドリン環基、イソインド
リン環基、インドリジン環基、カルバゾール環基、カル
ボリン環基、フラン環基、オキソラン環基、クマロン環
基、クマラン環基、イソベンゾフラン環基、フタラン環
基、ジベンゾフラン環基、チオフェン環基、チオラン環
基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾチオフェン環基、
ピラゾール環基、ピラゾリン環基、インダゾール環基、
イミダゾール環基、イミダゾリン環基、イミダゾリジン
環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾイミダゾリン環
基、ナフトイミダゾール環基、オキサゾール環基、オキ
サゾリン環基、オキサゾリジン環基、ベンゾオキサゾー
ル環基、ベンゾオキサゾリン環基、ナフトオキサゾール
環基、イソオキサゾール環基、ベンゾイソオキサゾール
環基、チアゾール環基、チアゾリン環基、チアゾリジン
環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾチアゾリン環基、
ナフトチアゾール環基、イソチアゾール環基、ベンゾイ
ソチアゾール環基、トリアゾール環基、ベンゾトリアゾ
ール環基、オキサジアゾール環基、チアジアゾール環
基、ベンゾオキサジアゾール環基、ベンゾチアジアゾー
ル環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環
基、ピペリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環
基、アクリジン環基、フェナントリジン環基、ベンゾキ
ノリン環基、ナフトキノリン環基、ナフチリジン環基、
フェナントロリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環
基、ピラジン環基、ピペラジン環基、フタラジン環基、
キノキサリン環基、キナゾリン環基、シンノリン環基、
フェナジン環基、ペリミジン環基、トリアジン環基、テ
トラジン環基、プテリジン環基、オキサジン環基、ベン
ゾオキサジン環基、フェノキサジン環基、チアジン環
基、ベンゾチアジン環基、フェノチアジン環基、オキサ
ジアジン環基、チアジアジン環基、ジオキソラン環基、
ベンゾジオキソール環基、ジオキサン環基、ベンゾジオ
キサン環基、ジチオラン環基、ベンゾジチオール環基、
ジチアン環基、ベンゾジチアン環基、ピラン環基、クロ
メン環基、キサンテン環基、オキサン環基、クロマン環
基、イソクロマン環基、トリオキサン環基、チアン環
基、トリチアン環基、モルホリン環基、キヌクリジン環
基、セレナゾール環基、ベンゾセレナゾール環基、ナフ
トセレナゾール環基、テルラゾール環基、およびベンゾ
テルラゾール環基などが挙げられる。これらの複素環基
は、前述した各種特性基で置換されていてもよい。
【0088】R11およびR12として導入される非置換の
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、sec.- ブチル基、tert.-ブチル基、ペンチル基、
tert.-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、
ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ビニル基、アリル基、イソプ
ロペニル基、プロペニル基、メタリル基、クロチル基、
ブテニル基、ペンテニル基、ブタジエニル基、エチニル
基、プロピニル基、ブチニル基、およびペンチニル基な
どの脂肪族炭化水素基が挙げられる。これらの脂肪族炭
化水素基は、前述の各種特性基で置換されていてもよ
い。
【0089】また、R11およびR12として導入される非
置換の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピ
ル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキ
シル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロ
ペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル
基、シクロオクテニル基、シクロペンタジエニル基、シ
クロヘキサジエニル基などの脂環式炭化水素基が挙げら
れる。これらの脂環式炭化水素基は、前述の各種特性基
で置換されていてもよい。
【0090】前記一般式(10)におけるMは、−O−
基、−S−基、−SO−基、−SO 2−基、−CO−
基、−COO−基、−OCO−基または結合手である。
10として導入される少なくとも1個以上のビニル基を
有する置換または非置換の脂肪族炭化水素基としては、
例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロ
ペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル
基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、2−
アセチルビニル基、2−ベンゾイルビニル基、2−カル
ボキシビニル基、2−(メトキシカルボニル)ビニル
基、2−(エトキシカルボニル)ビニル基、2−シアノ
ビニル基、2,2−ジアセチルビニル基、2,2−ジベ
ンゾイルビニル基、2,2−ジカルボキシビニル基、
2,2−ビス(メトキシカルボニル)ビニル基、2,2
−ビス(エトキシカルボニル)ビニル基、2,2−ジシ
アノビニル基、2−アセチル−2−(メトキシカルボニ
ル)ビニル基、2−アセチル−2−(エトキシカルボニ
ル)ビニル基、2−アセチル−2−シアノビニル基、2
−シアノ−2−(メトキシカルボニル)ビニル基、2−
シアノ−2−(エトキシカルボニル)ビニル基、アクリ
ロイルメチル基、アクリロイルエチル基、アクリロイル
プロピル基、メタクリロイルメチル基、メタクリロイル
エチル基、メタクリロイルプロピル基、ビニルオキシメ
チル基、ビニルオキシエチル基、ビニルオキシプロピル
基、アリルオキシメチル基、アリルオキシエチル基、ア
リルオキシプロピル基、アクリロイルオキシメチル基、
アクリロイルオキシエチル基、アクリロイルオキシプロ
ピル基、メタクリロイルオキシメチル基、メタクリロイ
ルオキシエチル基、メタクリロイルオキシプロピル基、
クロトノイルオキシメチル基、クロトノイルオキシエチ
ル基、クロトノイルオキシプロピル基などが挙げられ
る。
【0091】前記一般式(10)で表わされる含窒素複
素環化合物は、揮発温度が低いので、本来は熱硬化促進
能(脱水環化反応促進能)をほとんど有していない。し
かしながら、光を照射することによって、分子中の感光
性基(ビニル基)が分子間で光架橋して揮発温度が上昇
し、熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を発生する感
光性熱硬化促進剤である。これらの感光性熱硬化促進剤
は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよく、感
光性ポリマー樹脂の繰り返し単位1モル当量に対して
0.1モル当量以上、好ましくは1〜4モル当量用いら
れる。この理由は、感光性熱硬化促進剤の配合量が少な
すぎる場合には、樹脂層の感光性が不十分となり十分な
解像度が得られなくなり、逆に感光性熱硬化促進剤の配
合量が多すぎる場合には、膜減りが大きくなったり、き
れいな薄膜の形成が困難になるおそれがあるためであ
る。
【0092】第2に、(1)のネガ型パターンを形成す
るタイプの感光性低温硬化促進剤(以下、第2の感光性
低温硬化促進剤とする。)のうち、光照射によってカル
ボキシル基を生成することにより硬化促進作用を発生
し、かつ少なくとも一つの水酸基、置換もしくは非置換
のアミノ基、またはメルカプト基を有する芳香族炭化水
素化合物または芳香族複素環化合物からなる感光性低温
硬化促進剤は、具体的には、以下に示す一般式で表わさ
れる化合物から選択される。
【0093】
【化8】
【0094】(式中、Ar20,Ar26は、それぞれ2価
の置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または芳香族
複素環基、Ar21〜Ar25はそれぞれ1価の置換もしく
は非置換の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基、R
20は水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ
基、環状アミノ基またはメルカプト基、R21〜R31はそ
れぞれ置換または非置換アルキル基、R32〜R35はそれ
ぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置
換もしくは非置換アルキル基、メトキシ基、水酸基、1
級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、環状アミノ
基またはメルカプト基であり、これらが互いに結合して
環構造を形成していてもよいが、少なくとも1個は水酸
基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、環状
アミノ基またはメルカプト基、Xは水素原子またはハロ
ゲン原子を示す。) 第2の感光性熱硬化促進剤は、いずれも光を照射するこ
とにより分解してR20−Ar20−C(=O)・(R20
Ar20は上記と同義)なるラジカルを発生する。こ の
後こうしたラジカルは、直ちに大気中や感光性ポリマー
樹脂組成物中に混入した水分等を取り込んで芳香族カル
ボン酸化合物に変化する。ここで、感光性熱硬化促進剤
が2,2−ジメトキシ−2−フェニル−ヒドロキシアセ
トフェノンである場合と例にとり、第2の感光性熱硬化
促進剤における光反応を反応式で示す。
【0095】
【化9】
【0096】第2の感光性熱硬化促進剤が配合された樹
脂組成物においては、こうして生成した芳香族カルボン
酸化合物が、優れた熱硬化促進能(脱水環化反応促進
能)を有する。したがって、かかる樹脂組成物を含む樹
脂層にパターン光を照射した後、引き続いて50〜20
0℃程度の熱処理を施せば、露光部では上述したような
芳香族カルボン酸化合物が樹脂層中に生成していること
に起因し、ポリマー樹脂の脱水環化反応(熱硬化)が進
行する。一方、未露光部においては、ポリマー樹脂の脱
水環化反応(熱硬化)はほとんど進行しない。このた
め、露光部と未露光部の樹脂層の現像液に対する溶解性
の差を利用し、未露光部の樹脂層を現像液で選択的に溶
解・除去して所定のネガ型パターンを形成することがで
きる。
【0097】第2の感光性熱硬化促進剤は、上記一般式
で表わされる芳香族カルボン酸誘導体であれば特に限定
されない。ここで上記一般式中、Ar20として導入され
る芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナ
フチル基、アントラニル基、フェナチル基、ジフェニル
基等が挙げられ、芳香族複素環基としては、例えば、フ
リル基、チオニル基、イミダゾイル基、オキサゾイル
基、チアゾイル基、ピラゾイル基、ピロリジル基、ピリ
ミジル基、キノリジル基、イソキノジル基、カルバゾイ
ル基等が挙げられる。本発明においては、これら芳香族
炭化水素基および芳香族複素環基にR20として水素基、
1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、環状アミ
ノ基またはメルカプト基が導入され、さらに芳香族炭化
水素基、芳香族複素環基の水素原子が、ハロゲン原子、
シアノ基、ニトロ基、アルキル基、メトキシ基等からな
る群より選択される少なくとも1種により置換されてい
てもよい。
【0098】なお本発明では、上述したような芳香族炭
化水素基や芳香族複素環基が縮合環である場合は、感光
性熱硬化促進剤の感度向上のうえでR20としての水酸基
等が、光分解後にカルボン酸基に変換するカルボニル基
と同一の芳香環に導入されることが好ましい。またここ
でのR20は、こうしたカルボニル基に対しメタ位または
パラ位に導入されると、分子骨格上立体障害が少なくな
り好ましい。
【0099】さらに上記一般式中のR21〜R31として導
入される置換または非置換脂肪族炭化水素基や、その他
感光性熱硬化促進剤中の芳香族炭化水素基、芳香族複素
環基の水素原子を適宜置換する脂肪族炭化水素基は、炭
素数5以下であることが好ましい。これは、炭素数が6
を越えると、感光剤としての感度が低下する傾向がある
うえ、ポリイミド膜パターンを形成した際に感光剤の残
渣が多量に残留し、得られるポリイミド膜パターンの電
気的特性等を低下させるおそれがあるためである。具体
的に、第2の感光性熱硬化促進剤におけるR21〜R31
の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イ
ソプロピル基、イソブチル基およびペンチル基等が例示
される。
【0100】本発明において、これらの感光性熱硬化促
進剤は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよ
く、感光性ポリマー樹脂の繰り返し単位1モル当量に対
して0.1モル当量以上、好ましくは1〜4モル当量用
いられる。この理由は、感光性熱硬化促進剤の配合量が
少なすぎる場合には、樹脂層の感光性が不十分となり十
分な解像度が得られなくなり、逆に感光性熱硬化促進剤
の配合量が多すぎる場合には、膜減りが大きくなった
り、きれいな薄膜の形成が困難になるおそれがあるため
である。
【0101】第3の(1)のネガ型パターンを形成する
タイプの感光性低温硬化促進剤のうち、光照射により脱
離する保護置換基で置換された化合物を含む感光性低温
硬化促進剤をA群として、これについて以下に詳細に説
明する。
【0102】A群の感光性熱硬化促進剤としては、4種
類が挙げられる。
【0103】A群の感光性熱硬化促進剤の第1のもの
(aa1)は、下記一般式(11)で表わされる化合物
である。
【0104】
【化10】
【0105】(上記一般式(11)中、Ar11は、それ
ぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換
の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。
【0106】X11はそれぞれ同一でも異なっていてもよ
く、二価の有機基または単結合を示す。
【0107】Q11は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カ
ルボキシアルキル基、スルホ基、スルホアルキル基、置
換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のア
ミノアルキル基またはメルカプト基を示す。
【0108】R11はそれぞれ同一でも異なっていてもよ
く、光照射により脱離する保護置換基を示す。
【0109】i11は0〜4の整数、j11は1〜5の整
数、k11は0〜5の整数、m11およびn11は0〜4の整
数であり、j11とk11とm11とn11との和は2以上であ
る。)前記一般式(11)においてAr11として導入さ
れ得る非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベ
ンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基、フェ
ナントレン環基、テトラリン環基、アズレン環基、ビフ
ェニレン環基、アセナフチレン環基、アセナフテン環
基、フルオレン基、トリフェニレン環基、ピレン環基、
クリセン環基、ピセン環基、ペリレン環基、ベンゾピレ
ン環基、ルビセン環基、コロネン環基、オバレン環基、
インデン環基、ペンタレン環基、ヘプタレン環基、イン
ダセン環基、フェナレン環基、フルオランテン環基、ア
セフェナントリレン環基、アセアントリレン環基、ナフ
タセン環基、プレイアデン環基、ペンタフェン環基、ペ
ンタセン環基、テトラフェニレン環基、ヘキサフェン環
基、ヘキサセン環基、トリナフチレン環基、ヘプタフェ
ン環基、ヘプタセン環基およびピラントレン環基などが
挙げられる。 これらの芳香族炭化水素基に導入され、
置換芳香族炭化水素基を構成する置換基としては、例え
ば、ウレイド基、セミカルバジド基、カルバジド基、ジ
置換ヒドラジノ基(ジメチルヒドラジノ基、ジフェニル
ヒドラジノ基、メチルフェニルヒドラジノ基など)、モ
ノ置換ヒドラジノ基(メチルヒドラジノ基、フェニルヒ
ドラジノ基、ピリジルヒドラジノ基、ベンジリデンヒド
ラジノ基など)、ヒドラジノ基、アミジノ基、オキシム
基(ヒドロキシイミノメチル基、メトキシイミノメチル
基、エトキシイミノメチル基、ヒドロキシイミノエチル
基、ヒドロキシイミノプロピル基など)、アルコキシア
ルキル基(ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、
ヒドロキシプロピル基など)、シアノ基、シアナト基、
チオシアナト基、ニトロ基、ニトロソ基、オキシ基(メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒ
ドロキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピ
リジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、アセトキシ基な
ど)、チオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、フェニル
チオ基、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基など)、ハ
ロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード
基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル
基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基な
ど)、アミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカ
ルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカル
バモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキ
サモイル基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキ
シル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその
塩、チオカルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メ
チルチオカルボニル基、メチルチオチオカルボニル基な
ど)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル
基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、
トリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(チオホ
ルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジ
ンチオカルボニル基など)、スルフィニル基(メチルス
ルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフ
ィニル基など)、スルホニル基(メシル基、エチルスル
ホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホニル
基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルスルホ
ニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、
スルファニリル基、アセチルスルファニリル基など)、
オキシスルホニル基(メトキシスルホニル基、エトキシ
スルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセトアミノ
フェノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホニル基
など)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニル基、
エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニル基、
アセトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジルチオ
スルホニル基など)、アミノスルホニル基(スルファモ
イル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモ
イル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモ
イル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミノフェ
ニルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル基な
ど)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エチル
ジメチルアンモニオ基、ジメチルフェニルアンモニオ
基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基(フェ
ニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基な
ど)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメチ
ル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメ
チル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、トリ
フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフ
ルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、ア
リール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素環
基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメチ
ルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げる
ことができる。
【0110】また、前記一般式(11)にAr11として
導入され得る非置換の芳香族複素環基としては、例え
ば、ピロール環基、インドール環基、イソインドール環
基、カルバゾール環基、フラン環基、クマロン環基、イ
ソベンゾフラン環基、チオフェン環基、ベンゾチオフェ
ン環基、ジベンゾチオフェン環基、オキサジン環基、ベ
ンゾオキサジン環基、フェノキサジン環基、チアジン環
基、ベンゾチアジン環基、フェノチアジン環基、オキサ
ジアジン環基、チアジアジン環基、ベンゾジオキソール
環基、ベンゾジオキサン環基、ピラン環基、クロメン環
基、キサンテン環基、クロマン環基およびイソクロマン
環基などが挙げられる。これらの芳香族複素環基は、前
述の各種特性基で置換されていてもよい。
【0111】また、X11として導入される二価の有機基
としては、二価のオキシ基、チオ基、スルフィニル基、
スルホニル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オ
キシカルボニルオキシ基、パーアルキルポリシロキサン
ジイル基(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
−1,3−ジイル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサ
メチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、1,1,
3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサ
ン−1,7−ジイル基など)、置換もしくは非置換のイ
ミノ基(イミノ基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、
プロピルイミノ基、フェニルイミノ基など)、置換もし
くは非置換の脂肪族炭化水素基(メチレン基、エチレン
基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、エチリ
デン基、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン
基、ビニレン基、ジフルオロメチレン基、テトラフルオ
ロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフ
ルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、トリフ
ルオロエチリデン基、テトラフルオロエチリデン基、ヘ
キサフルオロプロピリデン基、オクタフルオロブチリデ
ン基、デカフルオロペンチリデン基など)、置換もしく
は非置換のアルキレンジオキシ基(メチレンジオキシ
基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ブチ
レンジオキシ基、ペンチレンジオキシ基、エチリデンジ
オキシ基、プロピリデンジオキシ基、ブチリデンジオキ
シ基、ペンチリデンジオキシ基など)、アゾ基、アゾキ
シ基、およびアゾメチン基などが挙げられる。
【0112】前記一般式(11)において、Q11として
導入され得る置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、
カルボキシ基、カルボキシアルキル基(カルボキシメチ
ル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基な
ど)、スルホ基、スルホアルキル基(スルホメチル基、
スルホエチル基、スルホプロピル基など)、置換もしく
は非置換のアミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、エチ
ルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ア
セチルアミノ基、メシルアミノ基、ヒドロキシアミノ基
など)、置換もしくは非置換のアミノアルキル基(アミ
ノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジメ
チルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチ
ルアミノプロピル基など)およびメルカプト基が挙げら
れる。
【0113】前記一般式(11)においてR11として導
入され得る光照射により脱離する保護置換基としては、
例えば、ニトロ基で置換されたベンジル基(2−ニトロ
ベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジニトロ
ベンジル基など)、アシル基(ホルミル基、アセチル
基、ベンゾイル基、ニトロベンゾイル基、ピリジンカル
ボニル基、トリフルオロアセチル基など)、アシルメチ
ル基(アセトニル基、フェナシル基、ニトロフェナシル
基、ピリジンカルボニルメチル基など)、置換もしくは
非置換のアルコキシカルボニル基(ベンジルオキシカル
ボニル基、2−フェニルイソプロポキシカルボニル基、
2−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル基、2,4−ジニトロベンジル
オキシカルボニル基、2−シアノメチルイソプロポキシ
カルボニル基、2−メチルスルホニルイソプロポキシカ
ルボニル基など)、スルホニル基(メシル基、フェニル
スルホニル基、トシル基、ピリジルスルホニル基、トリ
フルオロメチルスルホニル基、ジアゾフェノールスルホ
ニル基、ジアゾナフトールスルホニル基など)、および
スルホニルメチル基(フェニルスルホニルメチル基、ト
シルメチル基、ピリジルスルホニルメチル基、トリフル
オロメチルスルホニルメチル基など)が挙げられる。
【0114】A群の感光性熱硬化促進剤の第2のもの
(aa2)は、少なくとも1個の環状イミノ基(>N−
H)を光照射により脱離する保護置換基で置換した含窒
素複素環状ケトン化合物からなる感光性熱硬化促進剤で
ある。具体的には、置換もしくは非置換の、または縮環
もしくは非縮環のイミダゾロン、イミダゾリンジオン、
ピラゾロン、ピラゾリンジオン、チアゾロン、チアゾリ
ンジオン、ピリドン、ピリダジノン、ピリダジンジオ
ン、ピリミジノン、ピリミジンジオン、ピラジノン、ピ
ラジンジオンの少なくとも1個の環状イミノ基(>N−
H)を、光照射により脱離する保護置換基で保護した含
窒素複素環化合物である。 用いられ得る非置換の含窒
素複素環状ケトン化合物としては、例えば、2―イミダ
ゾロン、5−イミダゾロン、2−ベンゾイミダゾロン、
2,4−イミダゾリンジオン、3−ピラゾロン、5−ピ
ラゾロン、3,5−ピラゾリンジオン、3−インダゾロ
ン、2−チアゾロン、2−ベンゾチアゾロン、2−ピリ
ドン、4−ピリドン、2−キノロン、4−キノロン、1
−イソキノロン、3−イソキノロン、9−アクリジノ
ン、6−フェナントリジノン、3−ピリダジノン、4−
ピリダジノン、3,6−ピリダジンジオン、3−シンノ
リノン、4−シンノリノン、1−フタラジノン、1,4
−フタラジンジオン、2−ピリミジノン、4−ピリミジ
ノン、ウラシル、バルビツール酸、2−キナゾリノン、
4−キナゾリノン、2,4−キナゾリンジオン、2−ピ
ラジノン、2,4−ピラジンジオン、2−キノキサリノ
ンおよび2,3−キノキサリンジオンなどが挙げられ
る。
【0115】これらの非置換含窒素複素環状ケトン化合
物に導入されて、置換含窒素複素環状ケトン化合物を構
成する特性基としては、例えば、ジ置換アミノ基(ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、
エチルメチルアミノ基、ブチルメチルアミノ基、ジアミ
ルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ
基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジキシリ
ルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルメチル
アミノ基など)、モノ置換アミノ基(メチルアミノ基、
エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミ
ノ基、tert.-ブチルアミノ基、アニリノ基、アニシジノ
基、フェネチジノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、ピ
リジルアミノ基、チアゾリルアミノ基、ベンジルアミノ
基、ベンジリデンアミノ基など)、環状アミノ基(ピロ
リジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ
基、1−ピロリル基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾ
リル基、1−トリアゾリル基など)、アシルアミノ基
(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルア
ミノ基、シンナモイルアミノ基、ピリジンカルボニルア
ミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基など)、スルホ
ニルアミノ基(メシルアミノ基、エチルスルホニルアミ
ノ基、フェニルスルホニルアミノ基、ピリジルスルホニ
ルアミノ基、トシルアミノ基、タウリルアミノ基、トリ
フルオロメチルスルホニルアミノ基、スルファモイルア
ミノ基、メチルスルファモイルアミノ基、スルファニル
アミノ基、アセチルスルファニルアミノ基など)、アミ
ノ基、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基、セミカルバジ
ド基、カルバジド基、ジ置換ヒドラジノ基(ジメチルヒ
ドラジノ基、ジフェニルヒドラジノ基、メチルフェニル
ヒドラジノ基など)、モノ置換ヒドラジノ基(メチルヒ
ドラジノ基、フェニルヒドラジノ基、ピリジルヒドラジ
ノ基、ベンジリデンヒドラジノ基など)、ヒドラジノ
基、アミジノ基、オキシム基(ヒドロキシイミノメチル
基、メトキシイミノメチル基、エトキシイミノメチル
基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒドロキシイミノプロ
ピル基など)、ヒドロキシ基、オキシ基(メトキシ基、
エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエ
トキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキ
シ基、チアゾリルオキシ基、アセトキシ基)、チオ基
(メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリ
ジルチオ基、チアゾリルチオ基など)、アルコキシアル
キル基(ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒ
ドロキシプロピル基など)、シアノ基、シアナト基、チ
オシアナト基、ニトロ基、ニトロソ基、メルカプト基、
ハロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード
基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル
基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基な
ど)、アミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカ
ルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカル
バモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキ
サモイル基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキ
シル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその
塩、チオカルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メ
チルチオカルボニル基、メチルチオチオカルボニル基な
ど)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル
基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、
トリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(チオホ
ルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジ
ンチオカルボニル基など)、スルフィノ基およびその
塩、スルホ基およびその塩、スルフィニル基(メチルス
ルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフ
ィニル基など)、スルホニル基(メシル基、エチルスル
ホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホニル
基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルスルホ
ニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、
スルファニリル基、アセチルスルファニリル基など)、
オキシスルホニル基(メトキシスルホニル基、エトキシ
スルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセトアミノ
フェノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホニル基
など)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニル基、
エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニル基、
アセトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジルチオ
スルホニル基など)、アミノスルホニル基(スルファモ
イル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモ
イル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモ
イル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミノフェ
ニルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル基な
ど)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エチル
ジメチルアンモニオ基、ジメチルフェニルアンモニオ
基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基(フェ
ニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基な
ど)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメチ
ル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメ
チル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、トリ
フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフ
ルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、ア
リール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素環
基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメチ
ルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げる
ことができる。
【0116】また、上述したような置換または非置換の
含窒素複素環状ケトン化合物の少なくとも1個の環状イ
ミノ基(>NH−)を置換し得る、光照射により脱離す
る保護置換基としては、例えば、ニトロ基で置換された
ベンジル基(2−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジ
ル基、2,4−ジニトロベンジル基など)、アシル基
(ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ニトロベン
ゾイル基、ピリジンカルボニル基、トリフルオロアセチ
ル基など)、アシルメチル基(アセトニル基、フェナシ
ル基、ニトロフェナシル基、ピリジンカルボニルメチル
基など)、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル
基(ベンジルオキシカルボニル基、2−フェニルイソプ
ロポキシカルボニル基、2−ニトロベンジルオキシカル
ボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、
2,4−ジニトロベンジルオキシカルボニル基、2−シ
アノメチルイソプロポキシカルボニル基、2−メチルス
ルホニルイソプロポキシカルボニル基など)、スルホニ
ル基(メシル基、フェニルスルホニル基、トシル基、ピ
リジルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル
基、ジアゾフェノールスルホニル基、ジアゾナフトール
スルホニル基など)、スルホニルメチル基(フェニルス
ルホニルメチル基、トシルメチル基、ピリジルスルホニ
ルメチル基、トリフルオロメチルスルホニルメチル基な
ど)が挙げられる。
【0117】A群の感光性熱硬化促進剤の第3のもの
(aa3)は、下記一般式(12)で表わされる含窒素
複素環化合物である。
【0118】
【化11】
【0119】(上記一般式(12)中、Ar21は、ピリ
ジン型核窒素原子を有する、置換もしくは非置換の含窒
素芳香族複素環基を示す。
【0120】R21は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、光照射により脱離する保護置換基を示す。
【0121】n21は1〜5の整数を示す。
【0122】前記一般式(12)において、Ar21とし
て導入され得る、ピリジン型核窒素原子を有する非置換
の含窒素芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環
基、キノリン環基、イソキノリン環基、フェナントリジ
ン環基、フェナントロリン環基、ピリダジン環基、フタ
ラジン環基、シンノリン環基、ピリミジン環基、キナゾ
リン環基、ピラジン環基、キノキサリン環基、1,3,
5−トリアジン環基、1,2,4,5―テトラジン環
基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ナフ
トイミダゾール環基、ピラゾール環基、インダゾール環
基、オキサゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、ナフ
トオキサゾール環基、イソオキサゾール環基、ベンゾイ
ソオキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾー
ル環基、ナフトチアゾール環基、セレナゾール環基、ベ
ンゾセレナゾール環基、テルラゾール環基、ベンゾテル
ラゾール環基、1,2,3−トリアゾール環基、1,
2,4−トリアゾール環基、1,2,3,5−テトラゾ
ール環基、およびナフチリジン環基などが挙げられる。
【0123】これらの非置換含窒素芳香族複素環基に導
入されて置換含窒素芳香族複素環基を構成する特性基と
しては、例えば、前述の(aa2)における非置換含窒
素複素環状ケトン化合物に導入され得るものが挙げられ
る。
【0124】また、前記一般式(12)においてR21
して導入され得る、光照射により脱離する保護置換基と
しては、例えば、ニトロ基で置換されたベンジル基(2
−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−
ジニトロベンジル基など)、アシル基(ホルミル基、ア
セチル基、ベンゾイル基、ニトロベンゾイル基、ピリジ
ンカルボニル基、トリフルオロアセチル基など)、アシ
ルメチル基(アセトニル基、フェナシル基、ニトロフェ
ナシル基、ピリジンカルボニルメチル基など)、置換も
しくは非置換のアルコキシカルボニル基(ベンジルオキ
シカルボニル基、2−フェニルイソプロポキシカルボニ
ル基、2−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−ニ
トロベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジニトロベ
ンジルオキシカルボニル基、2−シアノメチルイソプロ
ポキシカルボニル基、2−メチルスルホニルイソプロポ
キシカルボニル基など)、スルホニル基(メシル基、フ
ェニルスルホニル基、トシル基、ピリジルスルホニル
基、トリフルオロメチルスルホニル基、ジアゾフェノー
ルスルホニル基、ジアゾナフトールスルホニル基な
ど)、スルホニルメチル基(フェニルスルホニルメチル
基、トシルメチル基、ピリジルスルホニルメチル基、ト
リフルオロメチルスルホニルメチル基など)が挙げられ
る。
【0125】A群の感光性熱硬化促進剤の第4のもの
(aa4)は、N−ヒドロキシ含窒素複素環状ケトン化
合物の少なくとも1個のN−ヒドロキシ基(>N−O
H)を、光照射により脱離する保護置換基で置換した含
窒素複素環化合物である。ここで、用いられ得るN−ヒ
ドロキシ含窒素複素環状ケトン化合物は、置換もしくは
非置換、または縮環もしくは非縮環とすることができ、
例えば、N−ヒドロキシピリドン、N−ヒドロキシピリ
ダジノン、N−ヒドロキシピリダジンジオン、N,N’
−ジヒドロキシピリダジンジオン、N−ヒドロキシピリ
ミジノン、N−ヒドロキシピリミジンジオン、N,N’
−ジヒドロキシピリミジンジオン、N−ヒドロキシピラ
ジノン、N−ヒドロキシピラジンジオン、N,N’−ジ
ヒドロキシピラジンジオン、N−ヒドロキシマレイミ
ド、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシナ
ジックイミドなどが挙げられる。
【0126】非置換の含窒素複素環化合物としては、例
えば、N−ヒドロキシ−2−ピリドン、N−ヒドロキシ
−4−ピリドン、N−ヒドロキシ−2−キノロン、N−
ヒドロキシ−4−キノロン、N−ヒドロキシ−1−イソ
キノロン、N−ヒドロキシ−3−イソキノロン、N−ヒ
ドロキシ−9−アクリジノン、N−ヒドロキシ−6−フ
ェナントリジノン、N−ヒドロキシ−3−ピリダジノ
ン、N−ヒドロキシ−4−ピリダジノン、N−ヒドロキ
シ−3,6−ピリダジンジオン、N,N’−ジヒドロキ
シ−3,6−ピリダジンジオン、N−ヒドロキシ−3−
シンノリノン、N−ヒドロキシ−4−シンノリノン、N
−ヒドロキシ−1−フタラジノン、N−ヒドロキシ−
1,4−フタラジンジオン、N,N’−ジヒドロキシ−
1,4−フタラジンジオン、N−ヒドロキシ−2−ピリ
ミジノン、N−ヒドロキシ−4−ピリミジノン、N−ヒ
ドロキシ−2,4−ピリミジンジオン、N,N’−ジヒ
ドロキシ−2,4−ピリミジンジオン、N−ヒドロキシ
−2−キナゾリノン、N−ヒドロキシ−4−キナゾリノ
ン、N−ヒドロキシ−2,4−キナゾリンジオン、N,
N’−ジヒドロキシ−2,4−キナゾリンジオン、N−
ヒドロキシ−2−ピラジノン、N−ヒドロキシ−2,4
−ピラジンジオン、N,N’−ジヒドロキシ−2,4−
ピラジンジオン、N−ヒドロキシ−2−キノキサリノ
ン、N−ヒドロキシ−2,3−キノキサリンジオン、
N,N’−ジヒドロキシ−2,3−キノキサリンジオ
ン、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシスクシ
ンイミド、N−ヒドロキシナジックイミド、N−ヒドロ
キシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタレン−1,2
−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシナフタレン−
2,3−ジカルボキシイミド、N,N’−ジヒドロキシ
ピロメリトジイミド、N,3−ジヒドロキシフタルイミ
ド、N,4−ジヒドロキシフタルイミド、N,N’−ジ
ヒドロキシビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカ
ルボキシジイミド、オキシ−4,4’−ビス(N−ヒド
ロキシフタルイミド)、スルホニル−4,4’−ビス
(N−ヒドロキシフタルイミド)、カルボニル−4,
4’−ビス(N−ヒドロキシフタルイミド)、メチレン
−4,4’−ビス(N−ヒドロキシフタルイミド)、
2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(N−ヒドロキ
シフタルイミド)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(N−
ヒドロキシフタルイミド)、N−ヒドロキシシクロヘキ
サン−1,2−ジカルボキシイミド、N,N’−ジヒド
ロキシシクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボ
キシジイミド、N−ヒドロキシエンドメチレンテトラヒ
ドロフタルイミド、およびN,N’−ジヒドロキシビシ
クロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6
−テトラカルボキシジイミドなどが挙げられる。
【0127】これらの非置換N−ヒドロキシ含窒素複素
環状ケトン化合物に導入され、置換N−ヒドロキシ含窒
素複素環状ケトン化合物を構成する特性基としては、例
えば、上述の(aa2)における非置換含窒素複素環状
ケトン化合物に導入され得るものが挙げられる。
【0128】また、上述したような置換または非置換の
N−ヒドロキシ含窒素複素環状ケトン化合物の少なくと
も1個のN−ヒドロキシ基(>N−OH)を保護し得
る、光照射により脱離する保護置換基としては、例え
ば、ニトロ基で置換されたベンジル基(2−ニトロベン
ジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジニトロベン
ジル基など)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、ベ
ンゾイル基、ニトロベンゾイル基、ピリジンカルボニル
基、トリフルオロアセチル基など)、アシルメチル基
(アセトニル基、フェナシル基、ニトロフェナシル基、
ピリジンカルボニルメチル基など)、置換もしくは非置
換のアルコキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニ
ル基、2−フェニルイソプロポキシカルボニル基、2−
ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル基、2,4−ジニトロベンジルオキ
シカルボニル基、2−シアノメチルイソプロポキシカル
ボニル基、2−メチルスルホニルイソプロポキシカルボ
ニル基など)、スルホニル基(メシル基、フェニルスル
ホニル基、トシル基、ピリジルスルホニル基、トリフル
オロメチルスルホニル基、ジアゾフェノールスルホニル
基、ジアゾナフトールスルホニル基など)、スルホニル
メチル基(フェニルスルホニルメチル基、トシルメチル
基、ピリジルスルホニルメチル基、トリフルオロメチル
スルホニルメチル基など)が挙げられる。
【0129】上述したA群の感光性熱硬化促進剤を構成
する化合物は、ヒドロキシ基またはイミノ基が光照射に
より脱離する保護置換基でブロックされているため、熱
硬化促進能(脱水環化反応促進能)をほとんど有してい
ない。しかしながら、光を照射することによって保護基
が脱離し、熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を発生
する感光性熱硬化促進剤である。
【0130】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー前駆
体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加すること
により、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)および現
像の工程により、微細なパターンを形成し得るネガ型感
光性樹脂組成物が得られる。
【0131】これらの感光性熱硬化促進剤は、単独で用
いても2種以上混合して用いてもよく、熱硬化性ポリマ
ーの繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル当量以
上配合することが好ましい。なお、感光性熱硬化促進剤
の配合量は、より好ましくは0.1〜4.0モル当量で
あり、最も好ましくは0.1〜2モル当量である。この
理由は、感光性熱硬化促進剤の配合量が少なすぎる場合
には、樹脂層の感光性が不十分となり十分な解像度が得
られなくなったり、逆に感光性熱硬化促進剤の配合量が
多すぎる場合には、膜減りが大きくなったり、きれいな
薄膜の形成が困難になるおそれがあるためである。
【0132】第4の(1)のネガ型パターンを形成する
タイプの感光性低温硬化促進剤のうち、光照射によりオ
キシド基が転移して効果促進作用を発生するN−オキシ
ド化合物を含む感光性低温硬化促進剤をB群として、こ
れについて以下に詳細に説明する。
【0133】B群の感光性熱硬化促進剤としては、2種
類が挙げられる。
【0134】B群の感光性熱硬化促進剤の第1のもの
(PS1)は、ピリジン型核窒素原子(=N−)を有す
る置換または非置換の含窒素芳香族複素環化合物のN−
オキシド化合物である。
【0135】非置換の含窒素芳香族複素環化合物のN−
オキシド化合物としては、例えば、ピリジン−N−オキ
シド、キノリン−N−オキシド、イソキノリン−N−オ
キシド、ジピリジル−N−オキシド、ジピリジル−N,
N’−ジオキシド、ジキノリル−N−オキシド、ジキノ
リル−N,N’−ジオキシド、ジイソキノリル−N−オ
キシド、ジイソキノリル−N,N’−ジオキシド、フェ
ナントリジン−N−オキシド、アクリジン−N−オキシ
ド、ベンゾキノリン−N−オキシド、フェナントロリン
−N−オキシド、フェナントロリン−N,N’−ジオキ
シド、ピリダジン−N−オキシド、ピリダジン−N,
N’−ジオキシド、ピリミジン−N−オキシド、ピリミ
ジン−N,N’−ジオキシド、ピラジン−N−オキシ
ド、ピラジン−N,N’−ジオキシド、フタラジン−N
−オキシド、フタラジン−N,N’−ジオキシド、シン
ノリン−N−オキシド、シンノリン−N,N’−ジオキ
シド、キナゾリン−N−オキシド、キナゾリン−N,
N’−ジオキシド、キノキサリン−N−オキシド、キノ
キサリン−N,N’−ジオキシド、ナフチリジン−N−
オキシド、ナフチリジン−N,N’−ジオキシド、フェ
ナジン−N−オキシド、フェナジン−N,N’−ジオキ
シド、オキサゾール−N−オキシド、ベンゾオキサゾー
ル−N−オキシド、チアゾール−N−オキシド、ベンゾ
チアゾール−N−オキシド、イミダゾール−N−オキシ
ド、イミダゾール−N,N’−ジオキシド、ベンゾイミ
ダゾール−N−オキシド、ベンゾイミダゾール−N,
N’−ジオキシド、ピラゾール−N−オキシド、ピラゾ
ール−N,N’−ジオキシド、インダゾール−N−オキ
シド、およびインダゾール−N,N’−ジオキシドなど
が挙げられる。
【0136】上述した非置換の含窒素芳香族複素環化合
物のN−オキシド化合物に導入され、置換含窒素芳香族
複素環化合物のN−オキシド化合物を構成する特性基と
しては、例えば、上述した(aa2)における非置換含
窒素複素環状ケトン化合物に導入され得るものが挙げら
れる。
【0137】前述の(PS1)のN−オキシド化合物
は、核窒素原子がオキシド基でブロックされているた
め、未露光状態では熱硬化促進能(脱水環化反応促進
能)を有していない。しかしながら、光を照射すること
によりN−オキシド基が隣接する核炭素原子に転移して
ヒドロキシ基を有する含窒素芳香族複素環化合物に変化
して、熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を発生する
感光性熱硬化促進剤である。例えば、キノリン−N−オ
キシドは、光照射により2−ヒドロキシキノリンに変化
して熱硬化促進能を発生する。
【0138】B群の感光性熱硬化促進剤の第2のもの
(PS2)は、下記一般式(26)で表わされるN−オ
キシド化合物である。
【0139】
【化12】
【0140】(上記一般式(13)中、Ar31は、ピリ
ジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジ
ン環基、フタラジン環基、シンノリン環基、ピリミジン
環基、キナゾリン環基、ピラジン環基、1,3,5―ト
リアジン環基、1,2,4,5−テトラジン環基、ピラ
ゾール環基、インダゾール環基、オキサゾール環基、ベ
ンゾオキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾ
ール環基、1,2,3−トリアゾール環基、1,2,4
−トリアゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、1,
2,3,5−テトラゾール環基、ならびに少なくとも1
個のヒドロキシ基、メルカプト基、置換もしくは非置換
のアミノ基または置換もしくは非置換のアミノアルキル
基で置換された、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アン
トラセン環基、フェナントレン環基、ビフェニル環基、
ピロール環基、インドール環基、イソインドール環基、
カルバゾール環基、フラン環基、クマロン環基、イソベ
ンゾフラン環基、チオフェン環基、ベンゾチオフェン環
基、ジベンゾチオフェン環基、オキサジン環基、ベンゾ
オキサジン環基、フェノキサジン環基、チアジン環基、
ベンゾチアジン環基、フェノチアジン環基、オキサジア
ジン環基、チアジアジン環基、ベンゾジオキソール環
基、ベンゾジオキサン環基、ピラン環基、クロメン環
基、キサンテン環基、クロマン環基、イソクロマン環基
を示す。
【0141】R31は、置換もしくは非置換の炭素数1〜
30の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭
化水素基または複素環基を示す。)前記一般式(13)
において、R31として導入される置換もしくは非置換の
脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素
基および複素環基としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、sec.−ブチル基、tert.-ブチル基、ペンチル基、
tert.-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、
ヘキシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、
プロペニル基、メタリル基、クロチル基、ブテニル基、
ペンテニル基、ブタジエニル基、エチニル基、プロピニ
ル基、ブチニル基、ペンチニル基、シクロプロピル基、
シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロペン
テニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、
シクロオクテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロ
ヘキサジエニル基、ベンゼン環基、ナフタレン環基、ア
ントラセン環基、フェナントレン環基、ビフェニル環
基、ピロール環基、インドール環基、イソインドール環
基、カルバゾール環基、フラン環基、クマロン環基、イ
ソベンゾフラン環基、チオフェン環基、ベンゾチオフェ
ン環基、ジベンゾチオフェン環基、オキサジン環基、ベ
ンゾオキサジン環基、フェノキサジン環基、チアジン環
基、ベンゾチアジン環基、フェノチアジン環基、オキサ
ジアジン環基、チアジアジン環基、ベンゾジオキソール
環基、ベンゾジオキサン環基、ピラン環基、クロメン環
基、キサンテン環基、クロマン環基、イソクロマン環
基、ピロリジン環基、イミダゾリジン環基、オキサゾリ
ジン環基、チアゾリジン環基、ピペラジン環基、ピペリ
ジン環基、およびモルホリン環基などが挙げられる。
【0142】前記一般式(13)で表わされる非置換の
N−オキシド化合物としては、例えば、α−(ピリジ
ル)−N−メチルニトロン、α−(ピリジル)−N−
(tert.-ブチル)ニトロン、α−(ピリジル)−N−フ
ェニルニトロン、α−(ピリダジニル)−N−メチルニ
トロン、α−(ピリダジニル)−N−(tert.−ブチル)
ニトロン、α−(ピリダジニル)−N−フェニルニトロ
ン、α−(ピリミジル)−N−メチルニトロン、α−
(ピリミジル)−N−(tert.−ブチル)ニトロン、α−
(ピリミジル)−N−フェニルニトロン、α−(ピラジ
ル)−N−メチルニトロン、α−(ピラジル)−N−(t
ert.−ブチル)ニトロン、α−(ピラジル)−N−フェ
ニルニトロン、α−(キノリル)−N−メチルニトロ
ン、α−(キノリル)−N−(tert.−ブチル)ニトロ
ン、α−(キノリル)−N−フェニルニトロン、α−
(チアゾリル)−N−メチルニトロン、α−(チアゾリ
ル)−N−(tert.−ブチル)ニトロン、α−(チアゾリ
ル)−N−フェニルニトロン、α−(ベンゾチアゾリ
ル)−N−メチルニトロン、α−(ベンゾチアゾリル)
−N−(tert.-ブチル)ニトロン、α−(ベンゾチアゾ
リル)−N−フェニルニトロン、α−(ジュロリジニ
ル)−N−メチルニトロン、α−(ジュロリジニル)−
N−(tert.-ブチル)ニトロン、α−(ジュロリジニ
ル)−N−フェニルニトロン、α−(ヒドロキシフェニ
ル)−N−メチルニトロン、α−(ヒドロキシフェニ
ル)−N−(tert.-ブチル)ニトロン、α−(ヒドロキ
シフェニル)−N−フェニルニトロン、α−(ジヒドロ
キシフェニル)−N−メチルニトロン、α−(ジヒドロ
キシフェニル)−N−(tert.-ブチル)ニトロン、α−
(ジヒドロキシフェニル)−N−フェニルニトロン、α
−(ヒドロキシメトキシフェニル)−N−メチルニトロ
ン、α−(ヒドロキシメトキシフェニル)−N−(ter
t.-ブチル)ニトロン、α−(ヒドロキシメトキシフェ
ニル)−N−フェニルニトロン、α−[(ジメチルアミ
ノ)フェニル]−N−メチルニトロン、α−[(ジメチ
ルアミノ)フェニル]−N−(tert.-ブチル)ニトロ
ン、α−[(ジメチルアミノ)フェニル]−N−フェニ
ルニトロン、α−(ヒドロキシナフチル)−N−メチル
ニトロン、α−(ヒドロキシナフチル)−N−(tert.-
ブチル)ニトロン、α−(ヒドロキシナフチル)−N−
フェニルニトロン、α−(ヒドロキシチエニル)−N−
メチルニトロン、α−(ヒドロキシチエニル)−N−
(tert.-ブチル)ニトロンおよびα−(ヒドロキシチエ
ニル)−N−フェニルニトロンなどが挙げられる。これ
らのN−オキシド化合物は、各種特性基で置換されてい
てもよい。導入され得る特性基としては、上述した(P
S1)における含窒素芳香族複素環化合物のN−オキシ
ド化合物に導入され得るものが挙げられる。
【0143】これらの(PS2)のN−オキシド化合物
は、熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を有していな
い。しかしながら、光を照射することにより、ニトロン
骨格[−CH=N(O)−]のN−オキシド基が隣接す
るメチン炭素に転移してアミド骨格[−CO−NH−]
に変化し、熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を発生
する感光性熱硬化促進剤である。例えば、α−(3−ピ
リジル)−N−フェニルニトロンは、光照射によりN−
フェニルニコチンアミドに変化して熱硬化促進能を発生
する。
【0144】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー前駆
体溶液に、(PS1)や(PS2)の感光性熱硬化促進
剤を添加することにより、塗布、露光、PEB(露光後
ベーク)、現像の工程により、微細なパターンを形成す
ることができるネガ型感光性樹脂組成物が得られる。
【0145】これらの感光性熱硬化促進剤は、単独で用
いても2種以上混合して用いてもよく、熱硬化性ポリマ
ーの繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル当量以
上の割合で配合することが好ましい。なお、感光性熱硬
化促進剤の配合量は、より好ましくは0.1〜4.0モ
ル当量、最も好ましくは0.1〜2.0モル当量であ
る。この理由は、感光性熱硬化剤の配合量が少なすぎる
場合には、樹脂層の感光性が不十分となり十分な解像度
が得られなくなり、逆に感光性熱硬化促進剤の配合量が
多すぎる場合には、膜減りが大きくなったり、きれいな
薄膜の形成が困難になるおそれがあるためである。第5
に、(1)のネガ型パターンを形成するタイプの感光性
低温硬化促進剤のうち、光照射により酸を発生して硬化
促進作用を発生する感光性低温硬化促進剤をC群とし
て、これについて以下に詳細に説明する。
【0146】C群の感光性熱硬化促進剤は、下記一般式
(14)で表わされるジアゾニウム塩、下記一般式(1
5)で表わされるヨードニウム塩、下記一般式(16)
で表わされるスルホニウム塩、下記一般式(17)で表
わされるホスホニウム塩、下記一般式(18)で表わさ
れるセレノニウム塩、下記一般式(19)で表わされる
スルホン酸エステル、下記一般式(20)で表わされる
スルホン化合物、および下記一般式(21)で表わされ
る有機ハロゲン化合物からなる群から選択された少なく
とも1種の化合物とすることができる。
【0147】
【化13】
【0148】(上記一般式中、R41〜R50は、置換もし
くは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳
香族炭化水素基、または複素環基、ならびに、脂肪族炭
化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、また
は複素環基が直接または架橋基により相互に連結された
化合物基を示す。
【0149】Ar41〜Ar46は、置換もしくは非置換の
芳香族炭化水素基、複素環基、ならびに、芳香族炭化水
素基または複素環基が直接または架橋基により相互に連
結された化合物基を示す。
【0150】X41-〜X45-は、ルイス酸対アニオンを示
す。
【0151】Y41およびY42は、置換もしくは非置換の
脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素
基、複素環基またはイミノ基、ならびに脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環
基が直接または架橋基により相互に連結された化合物基
を示す。
【0152】Y43は、メチレン基、エチリデン基、プロ
ピリデン基、ジアゾメチレン基、または単結合を示す。
【0153】Z41は、ポリクロロアルキル基またはポリ
ブロモアルキル基を示す。
【0154】n41は0または1である。
【0155】n42は1〜10の整数である。前記一般式
において、R41〜R50として導入され得る非置換の脂肪
族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル
基、 sec.-ブチル基、tert.-ブチル基、ペンチル基、te
rt.-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘ
キシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、
ノニル基、デシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペ
ニル基、プロペニル基、メタリル基、クロチル基、ブテ
ニル基、ペンテニル基、ブタジエニル基、エチニル基、
プロピニル基、ブチニル基、およびペンチニル基などが
挙げられる。
【0156】これらの脂肪族炭化水素基に導入され、置
換脂肪族炭化水素基を構成する置換基としては、例え
ば、ジ置換アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ブチ
ルメチルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジベンジルアミ
ノ基、ジフェネチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ
トリルアミノ基、ジキシリルアミノ基、メチルフェニル
アミノ基、ベンジルメチルアミノ基など)、モノ置換ア
ミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルア
ミノ基、イソプロピルアミノ基、tert.-ブチルアミノ
基、アニリノ基、アニシジノ基、フェネチジノ基、トル
イジノ基、キシリジノ基、ピリジルアミノ基、チアゾリ
ルアミノ基、ベンジルアミノ基、ベンジリデンアミノ基
など)、複素環状アミノ基(ピロリジノ基、ピペリジノ
基、ピペラジノ基、モルホリノ基、1−ピロリル基、1
−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、1−トリアゾリ
ル基など)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセ
チルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シンナモイルアミ
ノ基、ピリジンカルボニルアミノ基、トリフルオロアセ
チルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(メシルアミ
ノ基、エチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル
アミノ基、ピリジルスルホニルアミノ基、トシルアミノ
基、タウリルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニル
アミノ基、スルファモイルアミノ基、メチルスルファモ
イルアミノ基、スルファニルアミノ基、アセチルスルフ
ァニルアミノ基など)、アンモニオ基(トリメチルアン
モニオ基、エチルジメチルアンモニオ基、ジメチルフェ
ニルアンモニオ基、ピリジニオ基、キノリニオ基な
ど)、アミノ基、オキシアミノ基(メトキシアミノ基、
エトキシアミノ基、フェノキシアミノ基、ピリジルオキ
シアミノ基など)、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基、
セミカルバジド基、カルバジド基、ジ置換ヒドラジノ基
(ジメチルヒドラジノ基、ジフェニルヒドラジノ基、メ
チルフェニルヒドラジノ基など)、モノ置換ヒドラジノ
基(メチルヒドラジノ基、フェニルヒドラジノ基、ピリ
ジルヒドラジノ基、ベンジリデンヒドラジノ基など)、
ヒドラジノ基、アゾ基(フェニルアゾ基、ピリジルアゾ
基、チアゾリルアゾ基など)、アゾキシ基、アミジノ
基、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、ニトロ
基、ニトロソ基、オキシ基(メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、フ
ェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾ
リルオキシ基、アセトキシ基など)、オキシム基(ヒド
ロキシイミノメチル基、メトキシイミノメチル基、エト
キシイミノメチル基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒド
ロキシイミノプロピル基など)、アルコキシアルキル基
(ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキ
シプロピル基など)、ヒドロキシ基、チオ基(メチルチ
オ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリジルチオ
基、チアゾリルチオ基など)、メルカプト基、ハロゲン
基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)、カ
ルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル基(メト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシ
カルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基など)、ア
ミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカルバモイ
ル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカルバモイル
基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキサモイル
基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキシル基お
よびその塩、ジチオカルボキシル基およびその塩、チオ
カルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メチルチオ
カルボニル基、メチルチオチオカルボニル基など)、ア
シル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ア
クリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル基、ピリジ
ンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、トリフルオ
ロアセチル基など)、チオアシル基(チオホルミル基、
チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジンチオカル
ボニル基など)、スルフィノ基およびその塩、スルホ基
およびその塩、スルフィニル基(メチルスルフィニル
基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基な
ど)、スルホニル基(メシル基、エチルスルホニル基、
フェニルスルホニル基、ピリジルスルホニル基、トシル
基、タウリル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ス
ルファモイル基、メチルスルファモイル基、スルファニ
リル基、アセチルスルファニリル基など)、オキシスル
ホニル基(メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル
基、フェノキシスルホニル基、アセトアミノフェノキシ
スルホニル基、ピリジルオキシスルホニル基など)、チ
オスルホニル基(メチルチオスルホニル基、エチルチオ
スルホニル基、フェニルチオスルホニル基、アセトアミ
ノフェニルチオスルホニル基、ピリジルチオスルホニル
基など)、アミノスルホニル基(スルファモイル基、メ
チルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エ
チルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、フ
ェニルスルファモイル基、アセトアミノフェニルスルフ
ァモイル基、ピリジルスルファモイル基など)、ハロゲ
ン化アルキル基(クロロメチル基、ブロモメチル基、フ
ルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル
基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペン
タフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基な
ど)、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニ
ル基、アルキニル基など)、複素環基、有機ケイ素基
(シリル基、ジシラニル基、トリメチルシリル基、トリ
フェニルシリル基など)などを挙げることができる。
【0157】また、前記一般式において、R41〜R50
して導入され得る非置換の脂環式炭化水素基としては、
例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シク
ロオクチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル
基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロ
ペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、メンタニ
ル基、メンテニル基、メンタジエニル基、ノルボルナニ
ル基、ノルボルネニル基、およびカンファリル基などを
挙げることができる。
【0158】これらの非置換の脂環式炭化水素基に導入
され、置換脂肪族炭化水素基を構成する特性基として
は、例えば、上述の非置換脂肪族炭化水素基に導入され
得るものが挙げられる。
【0159】また、前記一般式において、R41〜R50
して導入され得る非置換の芳香族炭化水素基としては、
例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン
環基、フェナントレン環基、テトラリン環基、アズレン
環基、ビフェニレン環基、アセナフチレン環基、アセナ
フテン環基、フルオレン基、トリフェニレン環基、ピレ
ン環基、クリセン環基、ピセン環基、ペリレン環基、ベ
ンゾピレン環基、ルビセン環基、コロネン環基、オバレ
ン環基、インデン環基、ペンタレン環基、ヘプタレン環
基、インダセン環基、フェナレン環基、フルオランテン
環基、アセフェナントリレン環基、アセアントリレン環
基、ナフタセン環基、プレイアデン環基、ペンタフェン
環基、ペンタセン環基、テトラフェニレン環基、ヘキサ
フェン環基、ヘキサセン環基、トリナフチレン環基、ヘ
プタフェン環基、ヘプタセン環基およびピラントレン環
基などが挙げられる。
【0160】これらの非置換の芳香族炭化水素基に導入
され、置換芳香族炭化水素基を構成する特性基として
は、例えば、上述の非置換脂肪族炭化水素基に導入され
得るものが挙げられる。 また、前記一般式において、
41〜R50として導入され得る非置換の複素環基として
は、例えば、ピロール環基、ピロリン環基、ピロリジン
環基、インドール環基、イソインドール環基、インドリ
ン環基、イソインドリン環基、インドリジン環基、カル
バゾール環基、カルボリン環基、フラン環基、オキソラ
ン環基、クマロン環基、クマラン環基、イソベンゾフラ
ン環基、フタラン環基、ジベンゾフラン環基、チオフェ
ン環基、チオラン環基、ベンゾチオフェン環基、ジベン
ゾチオフェン環基、ピラゾール環基、ピラゾリン環基、
インダゾール環基、イミダゾール環基、イミダゾリン環
基、イミダゾリジン環基、ベンゾイミダゾール環基、ベ
ンゾイミダゾリン環基、ナフトイミダゾール環基、オキ
サゾール環基、オキサゾリン環基、オキサゾリジン環
基、ベンゾオキサゾール環基、ベンゾオキサゾリン環
基、ナフトオキサゾール環基、イソオキサゾール環基、
ベンゾイソオキサゾール環基、チアゾール環基、チアゾ
リン環基、チアゾリジン環基、ベンゾチアゾール環基、
ベンゾチアゾリン環基、ナフトチアゾール環基、イソチ
アゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、トリアゾー
ル環基、ベンゾトリアゾール環基、オキサジアゾール環
基、チアジアゾール環基、ベンゾオキサジアゾール環
基、ベンゾチアジアゾール環基、テトラゾール環基、プ
リン環基、ピリジン環基、ピペリジン環基、キノリン環
基、イソキノリン環基、アクリジン環基、フェナントリ
ジン環基、ベンゾキノリン環基、ナフトキノリン環基、
ナフチリジン環基、フェナントロリン環基、ピリダジン
環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、ピペラジン環
基、フタラジン環基、キノキサリン環基、キナゾリン環
基、シンノリン環基、フェナジン環基、ペリミジン環
基、トリアジン環基、テトラジン環基、プテリジン環
基、オキサジン環基、ベンゾオキサジン環基、フェノキ
サジン環基、チアジン環基、ベンゾチアジン環基、フェ
ノチアジン環基、オキサジアジン環基、チアジアジン環
基、ジオキソラン環基、ベンゾジオキソール環基、ジオ
キサン環基、ベンゾジオキサン環基、ジチオラン環基、
ベンゾジチオール環基、ジチアン環基、ベンゾジチアン
環基、ピラン環基、クロメン環基、キサンテン環基、オ
キサン環基、クロマン環基、イソクロマン環基、トリオ
キサン環基、チアン環基、トリチアン環基、モルホリン
環基、キヌクリジン環基、セレナゾール環基、ベンゾセ
レナゾール環基、ナフトセレナゾール環基、テルラゾー
ル環基、およびベンゾテルラゾール環基などが挙げられ
る。
【0161】これらの非置換の複素環基に導入され、置
換複素環基を構成する特性基としては、例えば、上述の
非置換脂肪族炭化水素基に導入され得るものが挙げられ
る。
【0162】また、前記一般式において、R41〜R50
して導入され得る脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基、または複素環基を相互に連結す
る架橋基としては、例えば、二価のオキシ基、チオ基、
スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、カルボ
ニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、パーアルキ
ルポリシロキサンジイル基(1,1,3,3−テトラメ
チルジシロキサン−1,3−ジイル基、1,1,3,
3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1,5−ジ
イル基、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチ
ルテトラシロキサン−1,7−ジイル基など)、置換も
しくは非置換のイミノ基(イミノ基、メチルイミノ基、
エチルイミノ基、プロピルイミノ基、フェニルイミノ基
など)、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基(メチ
レン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペン
チレン基、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン
基、ペンチリデン基、ビニレン基、ジフルオロメチレン
基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピ
レン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペン
チレン基、トリフルオロエチリデン基、テトラフルオロ
エチリデン基、ヘキサフルオロプロピリデン基、オクタ
フルオロブチリデン基、デカフルオロペンチリデン基な
ど)、置換もしくは非置換のアルキレンジオキシ基(メ
チレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジ
オキシ基、ブチレンジオキシ基、ペンチレンジオキシ
基、エチリデンジオキシ基、プロピリデンジオキシ基、
ブチリデンジオキシ基、ペンチリデンジオキシ基な
ど)、アゾ基、アゾキシ基、およびアゾメチン基などが
挙げられる。
【0163】また、前記一般式において、Ar41〜Ar
46として導入され得る、置換もしくは非置換の芳香族炭
化水素基、複素環基、ならびに芳香族炭化水素基または
複素環基が直接または架橋基により相互に連結された化
合物基としては、R41〜R50に導入され得る芳香族炭化
水素基として例示した非置換芳香族炭化水素基、置換芳
香族炭化水素基、非置換複素環基、置換複素環基、なら
びにこれらの芳香族炭化水素基または複素環基が直接ま
たは架橋基により相互に連結された化合物基が挙げられ
る。ここで、架橋基としては、前述のR41〜R50を相互
に連結する基として例示したものが挙げられる。
【0164】また、前記一般式において、X41-〜X45-
として導入されるルイス酸対アニオンとしては、例え
ばヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセ
ネート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオ
ロボーレート、ヘキサクロロアンチモネート、パークロ
レート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネ
ート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、プロ
パンスルホネート、ブタンスルホネート、ペンタンスル
ホネート、ヘキサンスルホネート、トリフルオロメタン
スルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘ
プタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタ
ンスルホネート、カンファースルホネート、ナフタレン
スルホネート、フェナントレンスルホネート、アントラ
センスルホネート、ジメトキシアントラセンスルホネー
ト、アントラキノンスルホネート、シクロヘキサンスル
ホネート、フルオロスルホネート、ジフルオロホスフェ
ート、クロライド、ブロマイド、フロオライド、ニトレ
ート、およびスルフェートなどが挙げられる。
【0165】また、前記一般式においてY41およびY42
として導入され得る置換もしくは非置換の芳香族炭化水
素基、複素環基、ならびに芳香族炭化水素基または複素
環基が直接または架橋基により相互に連結された化合物
基としては、R41〜R50に導入され得る芳香族炭化水素
基として例示した非置換芳香族炭化水素基、置換芳香族
炭化水素基、非置換複素環基、置換複素環基、ならび
に、これらの芳香族炭化水素基または複素環基が、直接
または架橋基により相互に連結された化合物基が挙げら
れる。ここで、架橋基としては、前述のR41〜R50を相
互に連結する基として例示したものが挙げられる。
【0166】前記一般式においてY41およびY42として
導入され得るイミノ基としては、例えば、置換もしくは
非置換のN−エチリデンアミノ基、N−プロピリデンア
ミノ基、N−ブチリデンアミノ基、N−ベンジリデンア
ミノ基、N−(ナフチルメチレン)アミノ基、N−(フ
ェナントリルメチレン)アミノ基、N−(アントリルメ
チレン)アミノ基、N−(ピリジルメチレン)アミノ
基、N−(キノリルメチレン)アミノ基、N−(フリル
メチレン)アミノ基、N−(チエニルメチレン)アミノ
基、N−(α−シアノベンジリデン)アミノ基、N−
(フェニルエチリデン)アミノ基、N−(ジフェニルメ
チレン)アミノ基、スクシンイミド基、グルタルイミド
基、マレイミド基、クロトンイミド基、フタルイミド
基、ナフタルイミド基、ナフタレン−2,3−ジカルボ
キシイミド基、シクロヘキサンジカルボキシイミド基、
シクロヘキセンジカルボキシイミド基、5−ノルボルネ
ン−2,3−ジカルボキシイミド基、およびピリジン−
2,3−ジカルボキシイミド基などが挙げられる。
【0167】また、前記一般式においてZ41として導入
され得るポリクロロアルキル基としては、例えば、トリ
クロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロ
プロピル基、トリクロロエチル基、トリクロロプロピル
基、およびペンタクロロプロピル基等が挙げられ、ポリ
ブロモアルキル基としては、例えば、トリブロモメチル
基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基、
トリブロモエチル基、トリブロモプロピル基、ペンタブ
ロモプロピル基などが挙げられる。
【0168】第5のネガ型感光性樹脂組成物において用
いられる光照射により酸を発生する感光性熱硬化促進剤
としては、光照射によりスルホン酸化合物を発生する化
合物が好ましい。特に、前記一般式(14)で表わされ
るジアゾニウム塩、前記一般式(15)で表わされるヨ
ードニウム塩、前記一般式(16)で表わされるスルホ
ニウム塩において、X41- 〜X43- としてスルホネート
イオンを導入した化合物、並びに、前記一般式(17)
で表わされるスルホン酸エステルおよび前記一般式(1
9)で表わされるスルホン化合物が最も好ましい。
【0169】C群の感光性熱硬化促進剤としては、例え
ば、ジアゾニウム化合物のスルホン酸塩、ヨードニウム
化合物のスルホン酸塩、スルホニウム化合物のスルホン
酸塩、ヒドロキシ化合物のスルホン酸エステル、N−ヒ
ドロキシ化合物のスルホン酸エステル、およびスルホン
化合物などが特に好ましい。
【0170】ジアゾニウム化合物としては、例えば、ベ
ンゼンジアゾニウム、ニトロベンゼンジアゾニウム、ジ
ニトロベンゼンジアゾニウム、クロロベンゼンジアゾニ
ウム、ジクロロベンゼンジアゾニウム、メトキシベンゼ
ンジアゾニウム、ジメトキシベンゼンジアゾニウム、ジ
メチルアミノベンゼンジアゾニウム、モルホリノベンゼ
ンジアゾニウム、ナフタレンジアゾニウム、およびアン
トラセンジアゾニウムなどが挙げられる。
【0171】ヨードニウム化合物としては、例えば、ジ
フェニルヨードニウム、フェニルトリルヨードニウム、
ジトリルヨードニウム、フェニルキシリルヨードニウ
ム、ジキシリルヨードニウム、クメニルフェニルヨード
ニウム、ジクメニルヨードニウム、メシチルフェニルヨ
ードニウム、ジメシチルヨードニウム、メトキシジフェ
ニルヨードニウム、およびジメトキシジフェニルヨード
ニウムなどが挙げられる。
【0172】スルホニウム化合物としては、例えば、ト
リフェニルスルホニウム、ジフェニルトリルスルホニウ
ム、フェニルジトリルスルホニウム、トリトリルスルホ
ニウム、ジフェニルキシリルスルホニウム、フェニルジ
キシリルスルホニウム、トリキシリルスルホニウム、ク
メニルジフェニルスルホニウム、ジクメニルフェニルス
ルホニウム、トリクメニルスルホニウム、メシチルジフ
ェニルスルホニウム、ジメシチルフェニルスルホニウ
ム、トリメシチルスルホニウム、メタオキシフェニルジ
フェニルスルホニウム、フェニルチオフェニルジフェニ
ルスルホニウム、ナフチルジメチルスルホニウム、ヒド
ロキシナフチルジメチルスルホニウム、ジヒドロキシナ
フチルジメチルスルホニウム、S−(ナフトイルメチ
ル)チオラニウムなどが挙げられる。
【0173】スルホネートイオンとしては、例えば、ベ
ンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、メタ
ンスルホネート、エタンスルホネート、プロパンスルホ
ネート、ブタンスルホネート、ペンタンスルホネート、
ヘキサンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネー
ト、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオ
ロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネ
ート、カンファースルホネート、ナフタレンスルホネー
ト、フェナントレンスルホネート、アントラセンスルホ
ネート、ジメトキシアントラセンスルホネート、アント
ラキノンスルホネート、シクロヘキサンスルホネート、
およびフルオロスルホネートなどが挙げられる。
【0174】ヒドロキシ化合物としては、例えば、ニト
ロフェノール、ジニトロフェノール、トリフルオロメチ
ルフェノール、ニトロベンジルアルコール、ジニトロベ
ンジルアルコール、ベンゾイン、1−ベンゾイル−1−
フェニルエチレングリコール、ベンゾイルメトキシメタ
ノール、ベンゾイルジメトキシメタノール、ジヒドロキ
シベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ナフトール、ジ
ヒドロキシナフタレン、ヒドロキシアントラセン、ジヒ
ドロキシアントラセン、ヒドロキシジメトキシアントラ
セン、ヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェ
ニル、ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジ
フェニルプロパン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ジヒドロキシジフェニルスルホン、ヒドロキシベンゾフ
ェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシ
ベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フ
ェノールフタレイン、およびクレゾールフタレインなど
が挙げられる。
【0175】N−ヒドロキシ化合物としては、例えば、
ベンズアルドキシム、ニトロベンズアルドキシム、ジニ
トロベンズアルドキシム、トリフルオロメチルベンズア
ルドキシム、メトキシベンズアルドキシム、ジメトキシ
ベンズアルドキシム、ジメチルアミノベンズアルドキシ
ム、ナフタレンアルドキシム、フェナントレンアルドキ
シム、アントラセンアルドキシム、ピリジンアルドキシ
ム、キノリンアルドキシム、フランアルドキシム、チオ
フェンアルドキシム、α−シアノベンズアルドキシム、
α−シアノ−4−メトキシベンズアルドキシム、アセト
フェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、N−ヒド
ロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシグルタルイミ
ド、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシクロト
ンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキ
シナフタルイミド、N−ヒドロキシナフタレン−2,3
−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシシクロヘキサン
ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシシクロヘキセンジ
カルボキシイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン
−2,3−ジカルボキシイミド、およびN’−ヒドロキ
シピリジン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げら
れる。
【0176】スルホン酸エステルとしては、例えば、ベ
ンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エ
ステル、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸
エステル、プロパンスルホン酸エステル、ブタンスルホ
ン酸エステル、ペンタンスルホン酸エステル、ヘキサン
スルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸エ
ステル、ペンタフルオロエタンスルホン酸エステル、ヘ
プタフルオロプロパンスルホン酸エステル、ノナフルオ
ロブタンスルホン酸エステル、カンファースルホン酸エ
ステル、ナフタレンスルホン酸エステル、フェナントレ
ンスルホン酸エステル、アントラセンスルホン酸エステ
ル、ジメトキシアントラセンスルホン酸エステル、アン
トラキノンスルホン酸エステル、およびシクロヘキサン
スルホン酸エステルなどが挙げられる。
【0177】また、スルホン化合物としては、例えば、
ジフェニルジスルホン、ジトリルジスルホン、ジキシリ
ルジスルホン、ジメトキシジフェニルジスルホン、ジニ
トロジフェニルジスルホン、ジクロロジフェニルジスル
ホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(トリ
ルスルホニル)メタン、ビス(キシリルスルホニル)メ
タン、ビス(メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビ
ス(キシリルスルホニル)メタン、ビス(メトキシフェ
ニルスルホニル)メタン、ビス(ニトロフェニルスルホ
ニル)メタン、ビス(クロロスルホニル)メタン、ビス
(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(トリルス
ルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)
ジアゾメタン、ビス(メトキシフェニルスルホニル)ジ
アゾメタン、ビス(ニトロフェニルスルホニル)ジアゾ
メタン、およびビス(クロロスルホニル)ジアゾメタン
などが挙げられる。
【0178】上述したC群の感光性熱硬化促進剤を構成
する化合物は、光照射前には熱硬化促進能(脱水環化反
応促進能)をほとんど有していない。しかしながら、光
を照射することによって酸を発生し、弱いながらも熱硬
化促進能(脱水環化反応促進能)を発生する感光性熱硬
化促進剤である。
【0179】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー前駆
体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加すること
により、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)および現
像の工程により、微細なパターンを形成し得るネガ型感
光性樹脂組成物が得られる。
【0180】これらの感光性熱硬化促進剤は、単独で用
いても2種以上混合して用いてもよく、熱硬化性ポリマ
ーの繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル当量以
上配合することが好ましい。なお、感光性熱硬化促進剤
の配合量は、より好ましくは0.2〜4.0モル当量で
あり、最も好ましくは1.0〜2.0モル当量である。
この理由は、感光性熱硬化促進剤の配合量が少なすぎる
場合には、樹脂層の感光性が不十分となり十分な解像度
が得られなくなったり、逆に感光性熱硬化促進剤の配合
量が多すぎる場合には、膜減りが大きくなったり、きれ
いな薄膜の形成が困難になるおそれがあるためである。
【0181】第6に、(1)のネガ型パターンを形成す
るタイプの感光性低温硬化促進剤のうち、光照射により
酸を発生する光酸発生剤と酸と反応することにより硬化
促進作用を発生する化合物に変化する潜在性低温硬化促
進剤をD群として、これについて以下に詳細に説明す
る。 D群の潜在性熱硬化促進剤としては、4種類が挙
げられる。
【0182】D群の潜在性熱硬化促進剤の第1のもの
(LCA1)は、下記一般式(22)で表わされる化合
物である。
【0183】
【化14】
【0184】(上記一般式(22)中、Ar61は、それ
ぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換
の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。
【0185】X61はそれぞれ同一でも異なっていてもよ
く、二価の有機基または単結合を示す。
【0186】Q61は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシアルキ
ル基、スルホ基、スルホアルキル基、置換もしくは非置
換のアミノ基、置換もしくは非置換のアミノアルキル基
またはメルカプト基を示す。
【0187】R61はそれぞれ同一でも異なっていてもよ
く、酸により脱離する保護置換基を示す。i61は0〜4
の整数、j61は1〜5の整数、k61は0〜5の整数、m
61およびn 61は0〜4の整数であり、j61とk61とm61
とn61との和は2以上である。)前記一般式(22)に
おいてAr61として導入され得る非置換の芳香族炭化水
素基としては、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環
基、アントラセン環基、フェナントレン環基、テトラリ
ン環基、アズレン環基、ビフェニレン環基、アセナフチ
レン環基、アセナフテン環基、フルオレン基、トリフェ
ニレン環基、ピレン環基、クリセン環基、ピセン環基、
ペリレン環基、ベンゾピレン環基、ルビセン環基、コロ
ネン環基、オバレン環基、インデン環基、ペンタレン環
基、ヘプタレン環基、インダセン環基、フェナレン環
基、フルオランテン環基、アセフェナントリレン環基、
アセアントリレン環基、ナフタセン環基、プレイアデン
環基、ペンタフェン環基、ペンタセン環基、テトラフェ
ニレン環基、ヘキサフェン環基、ヘキサセン環基、トリ
ナフチレン環基、ヘプタフェン環基、ヘプタセン環基お
よびピラントレン環基などが挙げられる。
【0188】これらの芳香族炭化水素基に導入され、置
換芳香族炭化水素基を構成する置換基としては、例え
ば、ウレイド基、セミカルバジド基、カルバジド基、ジ
置換ヒドラジノ基(ジメチルヒドラジノ基、ジフェニル
ヒドラジノ基、メチルフェニルヒドラジノ基など)、モ
ノ置換ヒドラジノ基(メチルヒドラジノ基、フェニルヒ
ドラジノ基、ピリジルヒドラジノ基、ベンジリデンヒド
ラジノ基など)、ヒドラジノ基、アミジノ基、オキシム
基(ヒドロキシイミノメチル基、メトキシイミノメチル
基、エトキシイミノメチル基、ヒドロキシイミノエチル
基、ヒドロキシイミノプロピル基など)、アルコキシア
ルキル基(ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、
ヒドロキシプロピル基など)、シアノ基、シアナト基、
チオシアナト基、ニトロ基、ニトロソ基、オキシ基(メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒ
ドロキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピ
リジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、アセトキシ基な
ど)、チオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、フェニル
チオ基、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基など)、ハ
ロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード
基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル
基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基な
ど)、アミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカ
ルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカル
バモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキ
サモイル基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキ
シル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその
塩、チオカルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メ
チルチオカルボニル基、メチルチオチオカルボニル基な
ど)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル
基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、
トリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(チオホ
ルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジ
ンチオカルボニル基など)、スルフィニル基(メチルス
ルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフ
ィニル基など)、スルホニル基(メシル基、エチルスル
ホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホニル
基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルスルホ
ニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、
スルファニリル基、アセチルスルファニリル基など)、
オキシスルホニル基(メトキシスルホニル基、エトキシ
スルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセトアミノ
フェノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホニル基
など)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニル基、
エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニル基、
アセトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジルチオ
スルホニル基など)、アミノスルホニル基(スルファモ
イル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモ
イル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモ
イル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミノフェ
ニルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル基な
ど)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エチル
ジメチルアンモニオ基、ジメチルフェニルアンモニオ
基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基(フェ
ニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基な
ど)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメチ
ル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメ
チル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、トリ
フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフ
ルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、ア
リール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素環
基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメチ
ルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げる
ことができる。以下、これらの特性基を(a)群の特性
基と称する。
【0189】また、前記一般式(22)にAr61として
導入され得る非置換の芳香族複素環基としては、例え
ば、ピロール環基、インドール環基、イソインドール環
基、カルバゾール環基、フラン環基、クマロン環基、イ
ソベンゾフラン環基、チオフェン環基、ベンゾチオフェ
ン環基、ジベンゾチオフェン環基、オキサジン環基、ベ
ンゾオキサジン環基、フェノキサジン環基、チアジン環
基、ベンゾチアジン環基、フェノチアジン環基、オキサ
ジアジン環基、チアジアジン環基、ベンゾジオキソール
環基、ベンゾジオキサン環基、ピラン環基、クロメン環
基、キサンテン環基、クロマン環基およびイソクロマン
環基などが挙げられる。これらの芳香族複素環基は、前
述の(a)群の各種特性基で置換されていてもよい。
【0190】また、X61として導入される二価の有機基
としては、二価のオキシ基、チオ基、スルフィニル基、
スルホニル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オ
キシカルボニルオキシ基、パーアルキルポリシロキサン
ジイル基(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
−1,3−ジイル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサ
メチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、1,1,
3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサ
ン−1,7−ジイル基など)、置換もしくは非置換のイ
ミノ基(イミノ基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、
プロピルイミノ基、フェニルイミノ基など)、置換もし
くは非置換の脂肪族炭化水素基(メチレン基、エチレン
基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、エチリ
デン基、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン
基、ビニレン基、ジフルオロメチレン基、テトラフルオ
ロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフ
ルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、トリフ
ルオロエチリデン基、テトラフルオロエチリデン基、ヘ
キサフルオロプロピリデン基、オクタフルオロブチリデ
ン基、デカフルオロペンチリデン基など)、置換もしく
は非置換のアルキレンジオキシ基(メチレンジオキシ
基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ブチ
レンジオキシ基、ペンチレンジオキシ基、エチリデンジ
オキシ基、プロピリデンジオキシ基、ブチリデンジオキ
シ基、ペンチリデンジオキシ基など)、アゾ基、アゾキ
シ基、およびアゾメチン基などが挙げられる。
【0191】前記一般式(22)において、Q61として
導入され得る置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、
カルボキシ基、カルボキシアルキル基(カルボキシメチ
ル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基な
ど)、スルホ基、スルホアルキル基(スルホメチル基、
スルホエチル基、スルホプロピル基など)、置換もしく
は非置換のアミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、エチ
ルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ア
セチルアミノ基、メシルアミノ基、ヒドロキシアミノ基
など)、置換もしくは非置換のアミノアルキル基(アミ
ノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジメ
チルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチ
ルアミノプロピル基など)およびメルカプト基が挙げら
れる。
【0192】前記一般式(22)において、R61として
導入され得る酸により脱離する保護置換基としては、例
えば、オキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エ
トキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキ
シカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、フェノキ
シカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニル基な
ど)、テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロ
ピラン−2−イル基、1,3−ジオキソラン−2−イル
基、1,3−ジオキサン−2−イル基、1−ヒドロキシ
アルキル基(ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチ
ル基、1−ヒドロキシプロピル基など)、1−アルコキ
シアルキル基(メトキシメチル基、エトキシメチル基、
1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−メ
トキシプロピル基、1−エトキシプロピル基など)、ア
シル基(ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ニト
ロベンゾイル基、ピリジンカルボニル基、トリフルオロ
アセチル基など)、アシルメチル基(ベンゾイルメチル
基、ニトロベンゾイルメチル基、ピリジンカルボニルメ
チル基など)が挙げられる。これらの保護置換基は、前
述した(a)群の各種特性基で置換されていてもよい。
【0193】D群の潜在性感光性熱硬化促進剤の第2の
もの(LCA2)は、下記一般式(23)で表わされる
含窒素複素環化合物である。
【0194】
【化15】
【0195】(上記一般式(23)中、Ar62は、ピリ
ジン型核窒素原子を有する、置換もしくは非置換の含窒
素芳香族複素環基を示す。
【0196】R62は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、酸により脱離する保護置換基を示す。
【0197】n62は1〜5の整数を示す。
【0198】前記一般式(23)において、Ar62とし
て導入され得る、ピリジン型核窒素原子を有する非置換
の含窒素芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環
基、キノリン環基、イソキノリン環基、フェナントリジ
ン環基、フェナントロリン環基、ピリダジン環基、フタ
ラジン環基、シンノリン環基、ピリミジン環基、キナゾ
リン環基、ピラジン環基、キノキサリン環基、1,3,
5−トリアジン環基、1,2,4,5―テトラジン環
基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ナフ
トイミダゾール環基、ピラゾール環基、インダゾール環
基、オキサゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、ナフ
トオキサゾール環基、イソオキサゾール環基、ベンゾイ
ソオキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾー
ル環基、ナフトチアゾール環基、セレナゾール環基、ベ
ンゾセレナゾール環基、テルラゾール環基、ベンゾテル
ラゾール環基、1,2,3−トリアゾール環基、1,
2,4−トリアゾール環基、1,2,3,5−テトラゾ
ール環基、およびナフチリジン環基などが挙げられる。
【0199】これらの非置換含窒素芳香族複素環基に導
入されて置換含窒素芳香族複素環基を構成する特性基と
しては、例えば、前述した(a)群の各種特性基が挙げ
られる。
【0200】また、前記一般式(23)においてR62
して導入され得る、酸により脱離する保護置換基として
は、例えば、オキシカルボニル基(メトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、
ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基な
ど)、テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロ
ピラン−2−イル基、1,3−ジオキソラン−2−イル
基、1,3−ジオキサン−2−イル基、1−ヒドロキシ
アルキル基(ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチ
ル基、1−ヒドロキシプロピル基など)、1−アルコキ
シアルキル基(メトキシメチル基、エトキシメチル基、
1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−メ
トキシプロピル基、1−エトキシプロピル基など)、ア
シル基(ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ニト
ロベンゾイル基、ピリジンカルボニル基、トリフルオロ
アセチル基など)、アシルメチル基(ベンゾイルメチル
基、ニトロベンゾイルメチル基、ピリジンカルボニルメ
チル基など)が挙げられる。これらの保護置換基は、前
述した(a)群の各種特性基で置換されていてもよい。
【0201】D群の潜在性熱硬化促進剤の第3のもの
(LCA3)は、少なくとも1個の環状イミノ基(>N
−H)を酸により脱離する保護置換基で置換した含窒素
複素環状ケトン化合物からなる潜在性熱硬化促進剤であ
る。具体的には、置換もしくは非置換の含窒素複素環状
ケトン化合物(縮環もしくは非縮環のイミダゾロン、イ
ミダゾリンジオン、ピラゾロン、ピラゾリンジオン、チ
アゾロン、チアゾリンジオン、ピリドン、ピリダジノ
ン、ピリダジンジオン、ピリミジノン、ピリミジンジオ
ン、ピラジノン、ピラジンジオン)の少なくとも1個の
環状イミノ基(>N−H)を、酸により脱離する保護置
換基で保護した含窒素複素環化合物である。
【0202】用いられ得る非置換の含窒素複素環状ケト
ン化合物としては、例えば、2―イミダゾロン、5−イ
ミダゾロン、2−ベンゾイミダゾロン、2,4−イミダ
ゾリンジオン、3−ピラゾロン、5−ピラゾロン、3,
5−ピラゾリンジオン、3−インダゾロン、2−チアゾ
ロン、2−ベンゾチアゾロン、2−ピリドン、4−ピリ
ドン、2−キノロン、4−キノロン、1−イソキノロ
ン、3−イソキノロン、9−アクリジノン、6−フェナ
ントリジノン、3−ピリダジノン、4−ピリダジノン、
3,6−ピリダジンジオン、3−シンノリノン、4−シ
ンノリノン、1−フタラジノン、1,4−フタラジンジ
オン、2−ピリミジノン、4−ピリミジノン、ウラシ
ル、バルビツール酸、2−キナゾリノン、4−キナゾリ
ノン、2,4−キナゾリンジオン、2−ピラジノン、
2,4−ピラジンジオン、2−キノキサリノンおよび
2,3−キノキサリンジオンなどが挙げられる。
【0203】これらの非置換含窒素複素環状ケトン化合
物に導入されて、置換含窒素複素環状ケトン化合物を構
成する特性基としては、例えば、ジ置換アミノ基(ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、
エチルメチルアミノ基、ブチルメチルアミノ基、ジアミ
ルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ
基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジキシリ
ルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルメチル
アミノ基など)、モノ置換アミノ基(メチルアミノ基、
エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミ
ノ基、tert.-ブチルアミノ基、アニリノ基、アニシジノ
基、フェネチジノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、ピ
リジルアミノ基、チアゾリルアミノ基、ベンジルアミノ
基、ベンジリデンアミノ基など)、環状アミノ基(ピロ
リジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ
基、1−ピロリル基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾ
リル基、1−トリアゾリル基など)、アシルアミノ基
(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルア
ミノ基、シンナモイルアミノ基、ピリジンカルボニルア
ミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基など)、スルホ
ニルアミノ基(メシルアミノ基、エチルスルホニルアミ
ノ基、フェニルスルホニルアミノ基、ピリジルスルホニ
ルアミノ基、トシルアミノ基、タウリルアミノ基、トリ
フルオロメチルスルホニルアミノ基、スルファモイルア
ミノ基、メチルスルファモイルアミノ基、スルファニル
アミノ基、アセチルスルファニルアミノ基など)、アミ
ノ基、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基、セミカルバジ
ド基、カルバジド基、ジ置換ヒドラジノ基(ジメチルヒ
ドラジノ基、ジフェニルヒドラジノ基、メチルフェニル
ヒドラジノ基など)、モノ置換ヒドラジノ基(メチルヒ
ドラジノ基、フェニルヒドラジノ基、ピリジルヒドラジ
ノ基、ベンジリデンヒドラジノ基など)、ヒドラジノ
基、アミジノ基、オキシム基(ヒドロキシイミノメチル
基、メトキシイミノメチル基、エトキシイミノメチル
基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒドロキシイミノプロ
ピル基など)、ヒドロキシ基、オキシ基(メトキシ基、
エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエ
トキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキ
シ基、チアゾリルオキシ基、アセトキシ基)、チオ基
(メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリ
ジルチオ基、チアゾリルチオ基など)、アルコキシアル
キル基(ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒ
ドロキシプロピル基など)、シアノ基、シアナト基、チ
オシアナト基、ニトロ基、ニトロソ基、メルカプト基、
ハロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード
基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル
基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基な
ど)、アミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカ
ルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカル
バモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキ
サモイル基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキ
シル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその
塩、チオカルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メ
チルチオカルボニル基、メチルチオチオカルボニル基な
ど)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル
基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、
トリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(チオホ
ルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジ
ンチオカルボニル基など)、スルフィノ基およびその
塩、スルホ基およびその塩、スルフィニル基(メチルス
ルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフ
ィニル基など)、スルホニル基(メシル基、エチルスル
ホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホニル
基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルスルホ
ニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、
スルファニリル基、アセチルスルファニリル基など)、
オキシスルホニル基(メトキシスルホニル基、エトキシ
スルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセトアミノ
フェノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホニル基
など)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニル基、
エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニル基、
アセトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジルチオ
スルホニル基など)、アミノスルホニル基(スルファモ
イル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモ
イル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモ
イル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミノフェ
ニルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル基な
ど)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エチル
ジメチルアンモニオ基、ジメチルフェニルアンモニオ
基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基(フェ
ニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基な
ど)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメチ
ル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメ
チル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、トリ
フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフ
ルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、ア
リール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素環
基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメチ
ルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げる
ことができる。以下、これらの特性基を(b)群の特性
基と称する。
【0204】また、上述したような置換または非置換の
含窒素複素環状ケトン化合物の少なくとも1個の環状イ
ミノ基(>NH−)を置換し得る、酸により脱離する保
護置換基としては、例えば、オキシカルボニル基(メト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシ
カルボニル基、ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカ
ルボニル基、フェノキシカルボニルオキシ基、ベンジル
オキシカルボニル基など)、テトラヒドロフラン−2−
イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、1,3−ジ
オキソラン−2−イル基、1,3−ジオキサン−2−イ
ル基、1−ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル
基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル
基など)、1−アルコキシアルキル基(メトキシメチル
基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エ
トキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキ
シプロピル基など)、アシル基(ホルミル基、アセチル
基、ベンゾイル基、ニトロベンゾイル基、ピリジンカル
ボニル基、トリフルオロアセチル基など)、アシルメチ
ル基(ベンゾイルメチル基、ニトロベンゾイルメチル
基、ピリジンカルボニルメチル基など)が挙げられる。
これらの保護置換基は、前述した(b)群の各種特性基
で置換されていてもよい。
【0205】D群の潜在性熱硬化促進剤の第4のもの
(LCA4)は、N−ヒドロキシ含窒素複素環状ケトン
化合物の少なくとも1個のN−ヒドロキシ基(>N−O
H)を、酸により脱離する保護置換基で置換した含窒素
複素環化合物である。ここで、用いられ得るN−ヒドロ
キシ含窒素複素環状ケトン化合物は、置換もしくは非置
換、または縮環もしくは非縮環とすることができ、例え
ば、N−ヒドロキシピリドン、N−ヒドロキシピリダジ
ノン、N−ヒドロキシピリダジンジオン、N,N’−ジ
ヒドロキシピリダジンジオン、N−ヒドロキシピリミジ
ノン、N−ヒドロキシピリミジンジオン、N,N’−ジ
ヒドロキシピリミジンジオン、N−ヒドロキシピラジノ
ン、N−ヒドロキシピラジンジオン、N,N’−ジヒド
ロキシピラジンジオン、N−ヒドロキシマレイミド、N
−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシナジック
イミドなどが挙げられる。
【0206】非置換の含窒素複素環化合物としては、例
えば、N−ヒドロキシ−2−ピリドン、N−ヒドロキシ
−4−ピリドン、N−ヒドロキシ−2−キノロン、N−
ヒドロキシ−4−キノロン、N−ヒドロキシ−1−イソ
キノロン、N−ヒドロキシ−3−イソキノロン、N−ヒ
ドロキシ−9−アクリジノン、N−ヒドロキシ−6−フ
ェナントリジノン、N−ヒドロキシ−3−ピリダジノ
ン、N−ヒドロキシ−4−ピリダジノン、N−ヒドロキ
シ−3,6−ピリダジンジオン、N,N’−ジヒドロキ
シ−3,6−ピリダジンジオン、N−ヒドロキシ−3−
シンノリノン、N−ヒドロキシ−4−シンノリノン、N
−ヒドロキシ−1−フタラジノン、N−ヒドロキシ−
1,4−フタラジンジオン、N,N’−ジヒドロキシ−
1,4−フタラジンジオン、N−ヒドロキシ−2−ピリ
ミジノン、N−ヒドロキシ−4−ピリミジノン、N−ヒ
ドロキシ−2,4−ピリミジンジオン、N,N’−ジヒ
ドロキシ−2,4−ピリミジンジオン、N−ヒドロキシ
−2−キナゾリノン、N−ヒドロキシ−4−キナゾリノ
ン、N−ヒドロキシ−2,4−キナゾリンジオン、N,
N’−ジヒドロキシ−2,4−キナゾリンジオン、N−
ヒドロキシ−2−ピラジノン、N−ヒドロキシ−2,4
−ピラジンジオン、N,N’−ジヒドロキシ−2,4−
ピラジンジオン、N−ヒドロキシ−2−キノキサリノ
ン、N−ヒドロキシ−2,3−キノキサリンジオン、
N,N’−ジヒドロキシ−2,3−キノキサリンジオ
ン、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシスクシ
ンイミド、N−ヒドロキシナジックイミド、N−ヒドロ
キシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタレン−1,2
−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシナフタレン−
2,3−ジカルボキシイミド、N,N’−ジヒドロキシ
ピロメリトジイミド、N,3−ジヒドロキシフタルイミ
ド、N,4−ジヒドロキシフタルイミド、N,N’−ジ
ヒドロキシビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカ
ルボキシジイミド、オキシ−4,4’−ビス(N−ヒド
ロキシフタルイミド)、スルホニル−4,4’−ビス
(N−ヒドロキシフタルイミド)、カルボニル−4,
4’−ビス(N−ヒドロキシフタルイミド)、メチレン
−4,4’−ビス(N−ヒドロキシフタルイミド)、
2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(N−ヒドロキ
シフタルイミド)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(N−
ヒドロキシフタルイミド)、N−ヒドロキシシクロヘキ
サン−1,2−ジカルボキシイミド、N,N’−ジヒド
ロキシシクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボ
キシジイミド、N−ヒドロキシエンドメチレンテトラヒ
ドロフタルイミド、およびN,N’−ジヒドロキシビシ
クロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6
−テトラカルボキシジイミドなどが挙げられる。
【0207】これらの非置換N−ヒドロキシ含窒素複素
環状ケトン化合物に導入されて、置換N−ヒドロキシ含
窒素複素環状ケトン化合物を構成する特性基としては、
例えば、上述の(b)群の各種特性基が挙げられる。
【0208】また、上述したような置換または非置換の
N−ヒドロキシ含窒素複素環状ケトン化合物の少なくと
も1個のN−ヒドロキシ基(>N−OH)を保護し得
る、酸により脱離する保護置換基としては、例えば、オ
キシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカ
ルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボ
ニル基、t−ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボ
ニル基、ベンジルオキシカルボニル基など)、テトラヒ
ドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イ
ル基、1,3−ジオキソラン−2−イル基、1,3−ジ
オキサン−2−イル基、1−ヒドロキシアルキル基(ヒ
ドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒド
ロキシプロピル基など)、1−アルコキシアルキル基
(メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシ
エチル基、1−エトキシエチル基、1−メトキシプロピ
ル基、1−エトキシプロピル基など)、アシル基(ホル
ミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ニトロベンゾイル
基、ピリジンカルボニル基、トリフルオロアセチル基な
ど)、アシルメチル基(ベンゾイルメチル基、ニトロベ
ンゾイルメチル基、ピリジンカルボニルメチル基など)
が挙げられる。これらの保護置換基は、前述した(b)
群の各種特性基で置換されていてもよい。
【0209】これらの潜在性感光性熱硬化促進剤は、単
独で用いても2種以上混合して用いてもよく、熱硬化性
ポリマーの繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル
当量以上配合することが好ましい。なお、潜在性熱硬化
促進剤の配合量は、より好ましくは0.1〜4.0モル
当量であり、最も好ましくは0.1〜2.0モル当量で
ある。この理由は、潜在性熱硬化促進剤の配合量が少な
すぎる場合には、樹脂層の感光性が不十分となり十分な
解像度が得られなくなったり、逆に潜在性熱硬化促進剤
の配合量が多すぎる場合には、膜減りが大きくなった
り、きれいな薄膜の形成が困難になるおそれがあるため
である。
【0210】D群の潜在性熱硬化促進剤の第4のもの
(LCA4)を用いた樹脂組成物に配合される光酸発生
剤としては、例えば、ジアゾニウム化合物のルイス酸
塩、ヨードニウム化合物のルイス酸塩、スルホニウム化
合物のルイス酸塩、ホスホニウム化合物のルイス酸塩、
セレノニウム化合物のルイス酸塩、ヒドロキシ化合物の
スルホン酸エステル、N−ヒドロキシ化合物のスルホン
酸エステル、スルホン化合物、ポリクロロアルキル基ま
たはポリブロモアルキル基を有する有機ハロゲン化合物
が挙げられる。
【0211】ジアゾニウム化合物としては、例えば、ベ
ンゼンジアゾニウム、ニトロベンゼンジアゾニウム、ジ
ニトロベンゼンジアゾニウム、クロロベンゼンジアゾニ
ウム、ジクロロベンゼンジアゾニウム、メトキシベンゼ
ンジアゾニウム、ジメトキシベンゼンジアゾニウム、ジ
メチルアミノベンゼンジアゾニウム、モルホリノベンゼ
ンジアゾニウム、ナフタレンジアゾニウム、およびアン
トラセンジアゾニウムなどが挙げられる。
【0212】ヨードニウム化合物としては、例えば、ジ
フェニルヨードニウム、フェニルトリルヨードニウム、
ジトリルヨードニウム、フェニルキシリルヨードニウ
ム、ジキシリルヨードニウム、クメニルフェニルヨード
ニウム、ジクメニルヨードニウム、メシチルフェニルヨ
ードニウム、ジメシチルヨードニウム、メトキシジフェ
ニルヨードニウム、およびジメトキシジフェニルヨード
ニウムなどが挙げられる。
【0213】スルホニウム化合物としては、例えば、ト
リフェニルスルホニウム、ジフェニルトリルスルホニウ
ム、フェニルジトリルスルホニウム、トリトリルスルホ
ニウム、ジフェニルキシリルスルホニウム、フェニルジ
キシリルスルホニウム、トリキシリルスルホニウム、ク
メニルジフェニルスルホニウム、ジクメニルフェニルス
ルホニウム、トリクメニルスルホニウム、メシチルジフ
ェニルスルホニウム、ジメシチルフェニルスルホニウ
ム、トリメシチルスルホニウム、メタオキシフェニルジ
フェニルスルホニウム、フェニルチオフェニルジフェニ
ルスルホニウム、ナフチルジメチルスルホニウム、ヒド
ロキシナフチルジメチルスルホニウム、ジヒドロキシナ
フチルジメチルスルホニウム、S−(ナフトイルメチ
ル)チオラニウムなどが挙げられる。
【0214】ホスホニウム化合物としては、例えば、テ
トラフェニルホスホニウム、テトラトリルホスホニウ
ム、テトラクメニルホスホニウム、テトラメシチルホス
ホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、およびナ
フチルトリメチルホスホニウムなどが挙げられる。
【0215】セレノニウム化合物としては、例えば、ト
リフェニルセレノニウム、ジフェニルトリルセレノニウ
ム、フェニルジトリルセレノニウム、トリトリルセレノ
ニウム、ジフェニルキシリルセレノニウム、フェニルジ
キシリルセレノニウム、トリキシリルセレノニウム、ク
メニルジフェニルセレノニウム、ジクメニルフェニルセ
レノニウム、トリクメニルセレノニウム、メシチルジフ
ェニルセレノニウム、ジメシチルフェニルセレノニウ
ム、トリメシチルセレノニウム、およびナフチルジメチ
ルセレノニウムなどが挙げられる。
【0216】ルイス酸対アニオンとしては、例えば、ヘ
キサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネー
ト、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロボ
ーレート、ヘキサクロロアンチモネート、パークロレー
ト、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネー
ト、メタンスルホネート、エタンスルホネート、プロパ
ンスルホネート、ブタンスルホネート、ペンタンスルホ
ネート、ヘキサンスルホネート、トリフルオロメタンス
ルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプ
タフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタン
スルホネート、カンファースルホネート、ナフタレンス
ルホネート、フェナントレンスルホネート、アントラセ
ンスルホネート、ジメトキシアントラセンスルホネー
ト、アントラキノンスルホネート、シクロヘキサンスル
ホネート、フルオロスルホネート、ジフルオロホスフェ
ート、クロライド、ブロマイド、フルオライド、ニトレ
ート、およびスルフェートなどが挙げられる。
【0217】ヒドロキシ化合物としては、例えば、ニト
ロフェノール、ジニトロフェノール、トリフルオロメチ
ルフェノール、ニトロベンジルアルコール、ジニトロベ
ンジルアルコール、ベンゾイン、1−ベンゾイル−1−
フェニルエチレングリコール、ベンゾイルメトキシメタ
ノール、ベンゾイルジメトキシメタノール、ジヒドロキ
シベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ナフトール、ジ
ヒドロキシナフタレン、ヒドロキシアントラセン、ジヒ
ドロキシアントラセン、ヒドロキシジメトキシアントラ
セン、ヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェ
ニル、ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジ
フェニルプロパン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ジヒドロキシジフェニルスルホン、ヒドロキシベンゾフ
ェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシ
ベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フ
ェノールフタレイン、およびクレゾールフタレインなど
が挙げられる。
【0218】N−ヒドロキシ化合物としては、例えば、
ベンズアルドキシム、ニトロベンズアルドキシム、ジニ
トロベンズアルドキシム、トリフルオロメチルベンズア
ルドキシム、メトキシベンズアルドキシム、ジメトキシ
ベンズアルドキシム、ジメチルアミノベンズアルドキシ
ム、ナフタレンアルドキシム、フェナントレンアルドキ
シム、アントラセンアルドキシム、ピリジンアルドキシ
ム、キノリンアルドキシム、フランアルドキシム、チオ
フェンアルドキシム、α−シアノベンズアルドキシム、
α−シアノ−4−メトキシベンズアルドキシム、アセト
フェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、N−ヒド
ロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシグルタルイミ
ド、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシクロト
ンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキ
シナフタルイミド、N−ヒドロキシナフタレン−2,3
−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシシクロヘキサン
ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシシクロヘキセンジ
カルボキシイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン
−2,3−ジカルボキシイミド、およびN’−ヒドロキ
シピリジン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げら
れる。
【0219】スルホン酸エステルとしては、例えば、ベ
ンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エ
ステル、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸
エステル、プロパンスルホン酸エステル、ブタンスルホ
ン酸エステル、ペンタンスルホン酸エステル、ヘキサン
スルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸エ
ステル、ペンタフルオロエタンスルホン酸エステル、ヘ
プタフルオロプロパンスルホン酸エステル、ノナフルオ
ロブタンスルホン酸エステル、カンファースルホン酸エ
ステル、ナフタレンスルホン酸エステル、フェナントレ
ンスルホン酸エステル、アントラセンスルホン酸エステ
ル、ジメトキシアントラセンスルホン酸エステル、アン
トラキノンスルホン酸エステル、2−ジアゾ−1−ナフ
トール−4−スルホン酸エステル、2−ジアゾ−1−ナ
フトール−5−スルホン酸エステル、およびシクロヘキ
サンスルホン酸エステルなどが挙げられる。
【0220】また、スルホン化合物としては、例えば、
ジフェニルジスルホン、ジトリルジスルホン、ジキシリ
ルジスルホン、ジメトキシジフェニルジスルホン、ジニ
トロジフェニルジスルホン、ジクロロジフェニルジスル
ホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(トリ
ルスルホニル)メタン、ビス(キシリルスルホニル)メ
タン、ビス(メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビ
ス(ニトロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス
(クロロスルホニル)メタン、ビス(フェニルスルホニ
ル)メタン、ビス(トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(メト
キシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(ニトロ
フェニルスルホニル)ジアゾメタン、およびビス(クロ
ロスルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられる。
【0221】また、ポリクロロアルキル基またはポリブ
ロモアルキル基を有する有機ハロゲン化合物としては、
例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス
(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−
フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,
3,5−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリ
アジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−
(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(ベン
ゾジオキソール−4−イル)−4,6−ビス(トリクロ
ロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−スチリル−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリ
アジン、2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−
(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジ
メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメト
キシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
1,3,5−トリアジン、2−(3,4,5−トリメト
キシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシスチリ
ル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5
−トリアジン、2−(4−プロポキシスチリル)−4,
6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジ
ン、2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(ト
リクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4
−ペントキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメ
チル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ジメチル
アミノスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−1,3,5−トリアジン、2−(4−ジエチルアミノ
スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,
3,5−トリアジン、2−(2−メチル−4−ジエチル
アミノスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−1,3,5−トリアジン、2−(2−フリルビニル)
−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−ト
リアジン、2−(5−メチル−2−フリルビニル)−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリ
アジン、および[4,6−ビス(トリクロロメチル)−
1,3,5−トリアジン−2−イルアミノエチル]トリ
メチルアンモニウム・メタンスルホネートなどが挙げら
れる。
【0222】これらの光酸発生剤は、単独で用いても2
種以上混合して用いてもよく、熱硬化性ポリマーの繰り
返し単位1モル当量に対して0.01モル当量以上の割
合で配合することが好ましい。なお、光酸発生剤の配合
量は、より好ましくは、0.02〜1.0モル当量、最
も好ましくは0.05〜0.5モル当量である。この理
由は、光酸発生剤の配合量が少なすぎる場合には潜在性
熱硬化促進剤の分解が不十分で十分な解像度が得られな
くなり、逆に光酸発生剤の配合量が多すぎる場合には、
膜減りが大きくなったり、きれいな薄膜の形成が困難に
なるおそれがあるためである。
【0223】上述したような潜在性熱硬化促進剤と、光
照射により酸を発生する光酸発生剤とを組み合わせるこ
とによって、感光性熱硬化促進剤の作用が生じる。
【0224】D群の潜在性熱硬化促進剤を構成する化合
物は、ヒドロキシ基またはイミノ基が酸により脱離する
保護置換基でブロックされているため、熱硬化促進能
(脱水環化反応促進能)をほとんど有していない。しか
しながら、光酸発生剤と併用した場合には、光を照射す
ることによって光酸発生剤から酸が発生し、潜在性熱硬
化促進剤の保護基が脱離して熱硬化促進能(脱水環化反
応促進能)を発生する感光性熱硬化促進剤である。
【0225】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー前駆
体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加すること
により、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)および現
像の工程により、微細なパターンを形成し得るネガ型感
光性樹脂組成物が得られる。
【0226】なお、上述したD群の潜在性熱硬化促進剤
の第4のもの(LCA4)を用いた樹脂組成物に配合さ
れる光酸発生剤として、以下に示すような酸発生型感光
性熱硬化促進剤を用いると、熱硬化促進能をさらに向上
させることができる。
【0227】酸発生型感光性熱硬化促進剤とは、光照射
により系内の水と反応して、熱硬化促進能を発生する化
合物とスルホン酸化合物とに分解・変化する化合物であ
る。この酸発生型感光性熱硬化促進剤としては、次の4
種類が挙げられ、それぞれについて詳細に説明する。
【0228】酸発生型感光性熱硬化促進剤の第1のもの
(PAC1)は、下記一般式(24)で表わされる化合
物である。
【0229】
【化16】
【0230】(上記一般式(24)中、Ar63は同一で
も異なっていてもよく、置換もしくは非置換の芳香族炭
化水素基または芳香族複素環基を示す。
【0231】Z63は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、二価の有機基または単結合を示す。
【0232】Q62は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、ヒドロキシル基、カルボキシ基、カルボキシアル
キル基、スルホ基、スルホアルキル基、置換もしくは非
置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアミノアルキル
基またはメルカプト基を示す。
【0233】R63は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式
炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。
【0234】sは0〜4の整数、tは1〜5の整数、u
は0〜5の整数、vおよびwは0〜4の整数であり、v
とwとの総和は2以下であり、tとuとvとwとの総和
は2以上である。) 前記一般式(24)において、Ar63としては、前述の
一般式(22)におけるAr61と同様の基を導入するこ
とができる。すなわち、一般式(22)にAr61として
導入され得る置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基ま
たは芳香族複素環基を、Ar63として導入することがで
きる。
【0235】Z63として導入され得る二価の有機基とし
ては、例えば、前述の一般式(22)のX61に導入され
得るものが挙げられる。
【0236】前記一般式(24)において、R63として
導入され得る非置換の脂肪族炭化水素基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、 sec.-ブチル基、tert.-
ブチル基、ペンチル基、tert.-ペンチル基、イソペンチ
ル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ビニル
基、アリル基、イソプロペニル基、プロペニル基、メタ
リル基、クロチル基、ブテニル基、ペンテニル基、ブタ
ジエニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、
およびペンチニル基などが挙げられる。これらの非置換
脂肪族炭化水素基は、上述した(a)群の各種特性基で
置換されていてもよい。
【0237】R63として導入され得る脂環式炭化水素基
としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプ
チル基、シクロオクチル基、シクロペンテニル基、シク
ロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニ
ル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル
基、メンタニル基、メンテニル基、メンタジエニル基、
ノルボルナニル基、ノルボルネニル基、およびカンファ
リル基などが挙げられる。これらの非置換脂環式炭化水
素基は、上述した(a)群の各種特性基で置換されてい
てもよい。
【0238】R63として導入され得る置換もしくは非置
換の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基としては、
前述のAr63に導入され得るものが挙げられる。
【0239】酸発生型感光性熱硬化促進剤の第2のもの
(PAC2)は、下記一般式(25)で表わされる含窒
素複素環化合物である。
【0240】
【化17】
【0241】(上記一般式(25)中、Ar64はピリジ
ン型核窒素原子(=N−)を有する、置換もしくは非置
換の含窒素芳香族複素環を示す。
【0242】R64は、それぞれ同一でも異なっていても
よく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式
炭化水素基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を
示す。
【0243】yは1〜5の整数である。) 前記一般式(25)において、Ar64としては、前述の
一般式(23)におけるAr62と同様の基を導入するこ
とができる。すなわち、一般式(23)においてAr62
として導入され得るピリジン型核窒素原子を有する置換
または非置換の含窒素芳香族複素環を、Ar64として導
入することができる。
【0244】R64としては、前述の一般式(24)にお
けるR63と同様の基を導入することができる。すなわ
ち、一般式(24)においてR63として導入され得る置
換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基、または芳香族複素環基を、一般
式(25)におけるR64として導入することができる。
【0245】酸発生型感光性熱硬化促進剤の第3のもの
(PAC3)は、少なくとも1個の環状イミノ基(>N
H)の水素基を、スルホニル基で置換したスルホン酸ア
ミド化合物である。具体的には、置換もしくは非置換の
含窒素複素環状ケトン化合物(縮環もしくは非縮環のイ
ミダゾロン、イミダゾリンジオン、ピラゾロン、ピラゾ
リンジオン、チアゾロン、チアゾリンジオン、ピリド
ン、ピリダジノン、ピリダジンジオン、ピリミジノン、
ピリミジンジオン、ピラジノン、ピラジンジオン)の少
なくとも1個の環状イミノ基(>N−H)の水素基を、
スルホニル基で保護した含窒素複素環化合物である。
【0246】用いられ得る非置換の含窒素複素環状ケト
ン化合物としては、例えば、2―イミダゾロン、5−イ
ミダゾロン、2−ベンゾイミダゾロン、2,4−イミダ
ゾリンジオン、3−ピラゾロン、5−ピラゾロン、3,
5−ピラゾリンジオン、3−インダゾロン、2−チアゾ
ロン、2−ベンゾチアゾロン、2−ピリドン、4−ピリ
ドン、2−キノロン、4−キノロン、1−イソキノロ
ン、3−イソキノロン、9−アクリジノン、6−フェナ
ントリジノン、3−ピリダジノン、4−ピリダジノン、
3,6−ピリダジンジオン、3−シンノリノン、4−シ
ンノリノン、1−フタラジノン、1,4−フタラジンジ
オン、2−ピリミジノン、4−ピリミジノン、ウラシ
ル、バルビツール酸、2−キナゾリノン、4−キナゾリ
ノン、2,4−キナゾリンジオン、2−ピラジノン、
2,4−ピラジンジオン、2−キノキサリノンおよび
2,3−キノキサリンジオンなどが挙げられる。
【0247】これらの非置換含窒素複素環状ケトン化合
物に導入されて、置換含窒素複素環状ケトン化合物を構
成する特性基としては、例えば、上述した(b)群の各
種特性基が挙げられる。
【0248】また、上述したような置換または非置換の
含窒素複素環状ケトン化合物の少なくとも1個の環状イ
ミノ基(>NH−)の水素基を置換し得るスルホニル基
としては、例えば、ベンゼンスルホニル基、p−トルエ
ンスルホニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニ
ル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ペ
ンタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基、トリフル
オロメタンスルホニル基、ペンタフルオロエタンスルホ
ニル基、ヘプタフルオロプロパンスルホニル基、ノナフ
ルオロブタンスルホニル基、カンファースルホニル基、
ナフタレンスルホニル基、フェナントレンスルホニル
基、アントラセンスルホニル基、ジメトキシアントラセ
ンスルホニル基、アントラキノンスルホニル基、2−ジ
アゾ−1−ナフトール−4−スルホニル基、2−ジアゾ
−1−ナフトール−5−スルホニル基、およびシクロヘ
キサンスルホニル基などが挙げられる。
【0249】酸発生型感光性熱硬化促進剤の第4のもの
(PAC4)は、N−ヒドロキシ含窒素複素環状ケトン
化合物の少なくとも1個のN−ヒドロキシ基(>N−O
H)の水素基を、スルホニル基で置換したスルホン酸エ
ステル化合物である。ここで、用いられ得るN−ヒドロ
キシ含窒素複素環状ケトン化合物は、置換もしくは非置
換、または縮環もしくは非縮環とすることができ、例え
ば、N−ヒドロキシピリドン、N−ヒドロキシピリダジ
ノン、N−ヒドロキシピリダジンジオン、N,N’−ジ
ヒドロキシピリダジンジオン、N−ヒドロキシピリミジ
ノン、N−ヒドロキシピリミジンジオン、N,N’−ジ
ヒドロキシピリミジンジオン、N−ヒドロキシピラジノ
ン、N−ヒドロキシピラジンジオン、N,N’−ジヒド
ロキシピラジンジオン、N−ヒドロキシマレイミド、N
−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシナジック
イミドなどが挙げられる。
【0250】非置換のN−ヒドロキシ含窒素複素環状ケ
トン化合物としては、例えば、N−ヒドロキシ−2−ピ
リドン、N−ヒドロキシ−4−ピリドン、N−ヒドロキ
シ−2−キノロン、N−ヒドロキシ−4−キノロン、N
−ヒドロキシ−1−イソキノロン、N−ヒドロキシ−3
−イソキノロン、N−ヒドロキシ−9−アクリジノン、
N−ヒドロキシ−6−フェナントリジノン、N−ヒドロ
キシ−3−ピリダジノン、N−ヒドロキシ−4−ピリダ
ジノン、N−ヒドロキシ−3,6−ピリダジンジオン、
N,N’−ジヒドロキシ−3,6−ピリダジンジオン、
N−ヒドロキシ−3−シンノリノン、N−ヒドロキシ−
4−シンノリノン、N−ヒドロキシ−1−フタラジノ
ン、N−ヒドロキシ−1,4−フタラジンジオン、N,
N’−ジヒドロキシ−1,4−フタラジンジオン、N−
ヒドロキシ−2−ピリミジノン、N−ヒドロキシ−4−
ピリミジノン、N−ヒドロキシ−2,4−ピリミジンジ
オン、N,N’−ジヒドロキシ−2,4−ピリミジンジ
オン、N−ヒドロキシ−2−キナゾリノン、N−ヒドロ
キシ−4−キナゾリノン、N−ヒドロキシ−2,4−キ
ナゾリンジオン、N,N’−ジヒドロキシ−2,4−キ
ナゾリンジオン、N−ヒドロキシ−2−ピラジノン、N
−ヒドロキシ−2,4−ピラジンジオン、N,N’−ジ
ヒドロキシ−2,4−ピラジンジオン、N−ヒドロキシ
−2−キノキサリノン、N−ヒドロキシ−2,3−キノ
キサリンジオン、N,N’−ジヒドロキシ−2,3−キ
ノキサリンジオン、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒ
ドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシナジックイミ
ド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフ
タレン−1,2−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ
ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド、N,N’−
ジヒドロキシピロメリトジイミド、N,3−ジヒドロキ
シフタルイミド、N,4−ジヒドロキシフタルイミド、
N,N’−ジヒドロキシビフェニル−3,3’,4,
4’−テトラカルボキシジイミド、オキシ−4,4’−
ビス(N−ヒドロキシフタルイミド)、スルホニル−
4,4’−ビス(N−ヒドロキシフタルイミド)、カル
ボニル−4,4’−ビス(N−ヒドロキシフタルイミ
ド)、メチレン−4,4’−ビス(N−ヒドロキシフタ
ルイミド)、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス
(N−ヒドロキシフタルイミド)、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,
4’−ビス(N−ヒドロキシフタルイミド)、N−ヒド
ロキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、
N,N’−ジヒドロキシシクロヘキサン−1,2,4,
5−テトラカルボキシジイミド、N−ヒドロキシエンド
メチレンテトラヒドロフタルイミド、およびN,N’−
ジヒドロキシビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン
−2,3,5,6−テトラカルボキシジイミドなどが挙
げられる。
【0251】これらの非置換N−ヒドロキシ含窒素複素
環状ケトン化合物は、上述した(b)群の各種特性基で
置換されていてもよい。
【0252】また、上述したような置換または非置換の
N−ヒドロキシ含窒素複素環状ケトン化合物の少なくと
も1個のN−ヒドロキシ基(>N−OH)の水素基を置
換し得るスルホニル基としては、例えば、ベンゼンスル
ホニル基、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニ
ル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブ
タンスルホニル基、ペンタンスルホニル基、ヘキサンス
ルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ペンタ
フルオロエタンスルホニル基、ヘプタフルオロプロパン
スルホニル基、ノナフルオロブタンスルホニル基、カン
ファースルホニル基、ナフタレンスルホニル基、フェナ
ントレンスルホニル基、アントラセンスルホニル基、ジ
メトキシアントラセンスルホニル基、アントラキノンス
ルホニル基、2−ジアゾ−1−ナフトール−4−スルホ
ニル基、2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホニル
基、およびシクロヘキサンスルホニル基などが挙げられ
る。
【0253】上述した(PAC1)〜(PAC4)の酸
発生型感光性熱硬化促進剤を構成する化合物は、ヒドロ
キシ基またはイミノ基がスルホニル基でブロックされて
いるため、光を照射しない状態では熱硬化促進能(脱水
環化反応促進能)をほとんど有していない。しかしなが
ら、光照射により系内の水と反応して熱硬化促進能(脱
水環化反応促進能)を発生する熱硬化促進剤とスルホン
酸化合物とに変化する化合物である。
【0254】こうした酸発生型感光性熱硬化促進剤と前
述の潜在性熱硬化促進剤とを併用した場合には、まず、
光照射により酸発生型感光性熱硬化促進剤からスルホン
酸化合物が発生して、潜在性熱硬化促進剤の保護基が脱
離する。次いで、熱硬化促進剤を発生するため、露光部
でさらに優れた熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を
発揮させることができる。
【0255】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー前駆
体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加すること
により、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)および現
像の工程により、微細なパターンを形成し得るネガ型感
光性樹脂組成物が得られる。
【0256】これらの酸発生型感光性熱硬化促進剤は、
単独で用いても2種以上混合して用いてもよく、熱硬化
性ポリマーの繰り返し単位1モル当量に対して0.01
モル当量以上配合することが好ましい。なお、酸発生型
感光性熱硬化促進剤の配合量は、より好ましくは0.0
2〜2.0モル当量であり、最も好ましくは0.05〜
1.0モル当量である。この理由は、酸発生型感光性熱
硬化促進剤の配合量が少なすぎる場合には、樹脂層の感
光性が不十分となり十分な解像度が得られなくなった
り、逆に酸発生型感光性熱硬化促進剤の配合量が多すぎ
る場合には、膜減りが大きくなったり、きれいな薄膜の
形成が困難になるおそれがあるためである。
【0257】前記感光性熱硬化促進剤を配合した樹脂組
成物の感度を増加させるために必要に応じて増感剤を配
合してもよい。増感剤としては、具体的には、アセトフ
ェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、2−メチルベン
ゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、アントロ
ン、1,9−ベンゾアントロン、アントラセン、ペリレ
ン、ピレン、ベンゾアントラセン、コロネン、フェナン
トレンキノン、ピレン−1,6−キノン、9−フルオレ
ノン、アントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノ
ン、アントアントロン、2−クロロベンゾアントラキノ
ン、2−ブロモベンゾアントラキノン、2−クロロ−
1,8−フタロイルナフタレン、ミヒラーケトン、4,
4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−
メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モ
ルホリノ−1−プロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸
エチル、アクリジン、シアノアクリジン、ニトロピレ
ン、1,8−ジニトロピレン、5−ニトロアセナフテ
ン、2−ニトロフルオレン、2−ターシャリーブチル−
9,10−アントラキノン、N−フェニルマレイミド、
9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,
10−ジメトキシアントラセン、フェノチアジン、チオ
キサントン、2−クロロチオキサントン、3,3’−カ
ルボニルビス[7−(ジエチルアミノ)クマリン]、3
−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)
クマリン、3−(2−ベンズイミダゾリル)−7−(ジ
エチルアミノ)クマリン、2,3,6,7−テトラヒド
ロ−1,1,7,7−テトラメチル−10−(ベンゾチ
アゾリル)−11−オキソ−1H,5H,11H−
[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン、
2−〔2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニ
ル〕ナフト[1,2−d]チアゾール、2−〔2−[6
−(1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,
2,4,7−テトラメチル)キノリル]エテニル〕ナフ
ト[1,2−d]チアゾール、3−エチル−5−[2−
(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリデン)エチ
リデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン、5−
[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−
2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−3−
エチル−2−チオキソ−4−オキサゾリジノン、2−
[7−(1,3−ジヒドロ−1,1,3,3−トリメチ
ル−2H−インドール−2−イリデン)−1,3,5−
ヘプタトリエニル]−3H−インドーリウム・ブチルト
リフェニルボーレート、2−{〔3−[(1,3−ジヒ
ドロ−1−エチル−3,3,5−トリメチル−2H−イ
ンドール−2−イリデン)メチル]−2−ヒドロキシ−
4−オキソ−2−シクロブテン−1−イリデン〕メチ
ル}−1−メチル−3,3,5−トリメチル−3H−イ
ンドーリウム(ベタイン)、アクリジンオレンジ、アク
リジンイエロー、ホスフィンR、ベンゾフラビン、およ
びセトフラビンTなどが挙げられる。
【0258】これらの増感剤は単独であるいは2種以上
混合して用いることができる。その配合量は、熱硬化性
ポリマーの繰り返し単位1モル当量に対して好ましくは
0.01モル当量以上、より好ましくは0.1モル当量
以上、最も好ましくは0.1〜5.0モル当量である。
この範囲を逸脱すると現像性や成膜性に悪影響を与える
おそれがある。
【0259】また、本発明の樹脂組成物においては、必
要に応じて染料、界面活性剤、密着性付与剤(例えば、
アミノシラン、エポキシシラン等のカップリング剤)、
アルカリ可溶性樹脂などを配合してもよい。アルカリ可
溶性樹脂の具体例としては、ポリ−p−ビニルフェノー
ル、ポリ−o−ビニルフェノール、ポリ−m−イソプロ
ペニルフェノール、mまたはp−クレゾールノボラック
樹脂、キシレゾールノボラック樹脂、p−ビニルフェノ
ールおよびメタクリル酸メチルの共重合体、p−イソプ
ロペニルフェノールおよび無水マレイン酸の共重合体、
ポリメタクリル酸等が挙げられる。
【0260】本発明の樹脂組成物は、ポリアミド酸など
の加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー前
駆体を有機溶媒に溶解して得られた溶液に、光照射によ
り熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を発生する硬化
促進剤を加えることによって容易に調製することができ
る。この際、必要に応じて適切な有機溶媒で希釈しても
よい。場合によっては、増感剤、染料、界面活性剤、お
よびアルカリ可溶性樹脂などを得られた混合溶液に加
え、所望により濾過などの方法で微細な不純物を除去し
て調合する。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、
煩雑な工程を何等伴うことなく容易に調製することがで
き、しかも得られる組成物中に不純物が混入することも
ない。
【0261】この際、使用される有機溶剤としては、例
えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,
N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリ
ドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベンジル−
2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−
ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプロラクタ
ム、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエ
タン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2
−エトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メト
キシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエト
キシ)エチル]エーテル、(2−アセトキシエチル)
(2−メトキシエチル)エーテル、(2−アセトキシエ
チル)(2−エトキシエチル)エーテル、3−メトキシ
プロピオン酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジ
オキサン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサ
ン、ピロリン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキ
シド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレ
ン、フェノール、クレゾール、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、
アセトニルアセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテー
ト、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブア
セテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、
キシレン、トルエン、クロロベンゼン、エチレングリコ
ール、およびプロピレングリコールなどが例示され、こ
れらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上混合
して用いてもよい。
【0262】次に、ネガ型感光性樹脂組成物を用いたパ
ターン形成方法を詳細に説明する。
【0263】まず、上述したように調製されたネガ型感
光性樹脂組成物を、スピンコート法などにより基板表面
に塗布し、ホットプレートによる加熱などを施して18
0℃以下、好ましくは120℃以下の温度で乾燥して樹
脂層を形成する。本発明の感光性樹脂組成物は、PEB
(露光後ベーク)により生じる露光部と未露光部との脱
水環化反応率の差を利用してパターニングするため、こ
の上限温度を越える温度で加熱した場合には樹脂層全体
が硬化して、解像度が低下してしまう。
【0264】次に、このようにして形成された樹脂層に
対し、例えば、所望のパターンを有するフォトマスクを
介して、可視光、赤外光、紫外光、EBまたはX線など
のエネルギー線を照射し、樹脂層の所望の領域に露光を
施す。なお、この際の露光方法としては、密着露光、投
影露光の何れの方式を用いてもよい。 上述のように露
光を施すことにより、樹脂層の露光部においては選択的
に感光性熱硬化促進剤の熱硬化促進能(脱水環化反応促
進能)が発生するので、露光後に熱処理を施しても未露
光部の樹脂層が硬化するのが妨げられる。すなわち、A
群の感光性熱硬化促進剤の場合は、ヒドロキシ基または
イミノ基をブロックしている保護置換基が脱離すること
によって、熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を発生
し、またB群の感光性熱硬化促進剤では、N−オキシド
基が転移することにより熱硬化促進能を有する化合物や
骨格が生成されて熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)
を発生する。C群の感光性熱硬化促進剤では、酸を発生
することによって、熱硬化促進能(脱水環化反応促進
能)を発生し、D群の潜在性熱硬化促進剤では、ヒドロ
キシ基またはイミノ基をブロックしている保護置換基
が、光酸発生剤から発生した酸により脱離することによ
って熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を発現する。
【0265】続いて露光中または露光後に樹脂層に対
し、ホットプレートなどを用いて50〜200℃の熱処
理を施す。樹脂層の露光部においては、感光性熱硬化促
進剤の熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)が発生して
いるので、例えば、ベースポリマーとしてポリイミド前
駆体であるポリアミド酸を用いた場合には、熱処理を施
すことによりポリアミド酸の脱水環化による熱硬化が進
行してポリイミド形成される。これに対し未露光部では
熱硬化はほとんど進まず、これによって露光部と未露光
部の現像液に対する溶解性に大きな差が生じる。なお、
この熱処理の温度は、80〜160℃がより好ましい。
所定の温度未満で樹脂層を加熱した場合には、感光性熱
硬化促進剤の硬化促進能を十分に発揮することができな
いので、露光部の熱硬化がほとんど進行しない。一方、
所定の温度よりも高温の場合には未露光部においても熱
硬化がかなり進行してしまう。いずれの場合も解像度の
低下を招き、微細なパターンを形成することが困難にな
る。また、熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが、通
常0.5〜60分程度であり、0.5〜30分程度がよ
り好ましい。これは、熱処理時間が短すぎる場合には露
光部の熱硬化がほとんど進行せず、逆に熱処理時間が長
すぎる場合には未露光部の熱硬化がかなり進行してしま
い、いずれの場合も解像度の低下を招き、微細なパター
ンを形成することが困難になるからである。 熱処理後
の樹脂層は、適切な現像液を用いて浸漬法、スプレー現
像法、パドル現像法などにより現像処理を施す。ここで
使用され得る現像液としては、有機溶剤系現像液または
アルカリ水溶液系現像液が挙げられる。有機溶剤系現像
液としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセ
トアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチ
ル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、
N−ベンジル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−ε−カプロラ
クタム、N−アセチル−ε−カプロラクタムなどの極性
有機溶媒を使用することができる。これらの溶媒は、単
独であるいはメタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ
および水などのポリマー樹脂の貧溶媒との混合液として
使用してもよい。
【0266】また、アルカリ水溶液系現像液としては、
例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テト
ラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、プロピル
アミン、ブチルアミン、モノエタノールエチレンジアミ
ン、トリメチレンジアミン、トリメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、ヒドラジン、トリメチルヒドロキシエチル
アンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ水溶液、
または、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リ
チウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニ
ウム、炭酸水素カリウム、リン酸アンモニウム、アンモ
ニアなどの無機アルカリ水溶液を使用することができ
る。これらの水溶液にメタノール、エタノール、2−プ
ロパノール、アセトン、エチレングリコール、エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコール、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、N−メチル
ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機
溶媒を混合したものも用いられ得る。
【0267】なお、有機溶媒で現像すると金属性不純物
の混入が少ないという利点があるものの、安全面、衛生
面および環境面から、現像液としてはアルカリ水溶液系
現像液を用いることが望ましい。さらに、アルカリ水溶
液で現像した場合には、得られるポリマー膜パターンの
膨潤も避けられる。
【0268】このような現像処理により未露光部の樹脂
層が溶解除去されて、ネガ型のポリマー膜パターンが形
成される。特に本発明の感光性樹脂組成物においては、
光の照射により熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を
発生する感光性熱硬化促進剤を配合していることに起因
して、例えば、ベースポリマーとしてポリイミド前駆体
であるポリアミド酸を用いた場合には、露光後の加熱処
理により樹脂層の露光部のみで選択的にポリアミド酸の
脱水環化反応が生じてポリイミドが形成され、不溶化す
る。一方、樹脂層の未露光部では硬化促進剤の熱硬化促
進能(脱水環化反応促進能)が生じていないので硬化は
進行せず、ポリアミド酸のままで存在する。
【0269】すなわち、適切な条件で露光後加熱を行な
うことにより、樹脂層の露光部にはポリイミドが形成さ
れ、一方未露光部にはポリアミド酸が残るため、樹脂層
の露光部と未露光部との現像液に対する溶解性に大きな
差異を設けることができる。したがって、現像処理の際
には未露光部のみが選択的に溶解除去され、高い解像度
で微細なパターンを形成することが可能となった。
【0270】なお、現像後の樹脂層に対しては、現像液
残渣などを除去する目的で、水、アルコール、アセトン
などを用いてリンス処理することが望ましい。さらに、
現像液やリンス液を乾燥するため、および樹脂中の一部
未硬化部分の硬化を完了せしめるために、120〜40
0℃の範囲内で加熱処理または真空加熱処理を施すこと
が望まれる。こうした加熱の際には、ポリアミド酸の環
化反応が完了するとともに、パターン中に残存する溶媒
成分や硬化促進剤の分解生成物が揮発あるいは昇華し
て、優れた電気的特性、熱特性、密着性等を有する所望
のポリイミド膜パターンが得られる。
【0271】本発明の方法によれば、フォトレジストを
別途使用することなく、パターン化されたポリイミド膜
を形成することができ、しかもアルカリ水溶液で現像可
能であるために、安全面や環境面等の問題も回避され
る。
【0272】さらに本発明では、上述したようなネガ型
のパターンをフォトリソグラフィーを利用した微細加工
技術に適用することもできる。具体的には、本発明のネ
ガ型感光性樹脂組成物を用いて、所定の基板上にパター
ンを形成した後、これをエッチングマスクとして常法に
従いドライエッチングまたはウェットエッチング剤によ
り基板の加工を行なう。なお、特に3μm以下の微細な
加工を行なう場合にはドライエッチング法が好ましい。
【0273】このときのウェットエッチング剤として
は、シリコン酸化膜をエッチング対象とする場合にはフ
ッ酸水溶液、フッ化アンモニウム水溶液等が用いられ、
アルミニウムをエッチング対象とする場合にはリン酸水
溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液等が用いられ、クロム系
膜をエッチング対象とする場合には硝酸セリウムアンモ
ニウム水溶液等が用いられる。ドライエッチング用ガス
としては、CF4 ,C26 ,CCl4 ,BCl3 ,C
2 ,HCl,H2 >等を挙げることができ、必要に応
じてこれらのガスを組み合わせて使用する。エッチング
の条件は、微細パターンが形成される物質の種類と感光
性樹脂組成物の組み合わせに基づいて反応槽内のウェッ
トエッチング剤の濃度、ドライエッチング用ガスの濃
度、反応温度、反応時間等を決定するが、特にその方法
等に制限されない。なおこのエッチング後には、基板上
に残存する本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成した
パターンを剥離剤(例えばヒドラジン水溶液)や酸素ガ
スプラズマ等を用いて除去すればよい。
【0274】本発明のパターン形成方法においては、ポ
リアミド酸を架橋することなく現像液に不溶化させてネ
ガ型のパターンを形成するものであるため、膜の体積収
縮による膜減りを回避して十分なパターン精度を確保す
ることが可能となる。しかも、ポリイミド前駆体として
のポリアミド酸の構造に特に制約がないことから、電気
的特性、熱特性、密着性等の優れたポリイミシ膜パター
ンを容易に形成でき、非常に有利である。したがって、
本発明の感光性樹脂組成物は、上述したような各種の電
子部品の絶縁膜等としてのみならず、所定の部材に微細
加工を施す際にも極めて有用なものである。また、
(2)のポジ型パターンを形成するタイプの感光性低温
硬化促進剤のうち、第一のものは式(26)〜(30)
で表されるフェノール性水酸基を有しポリアミド酸のア
ルカリ現像液への溶解抑止効果を有する低温硬化促進剤
と光照射により光反応を起こしてカルボキシル基を生成
しアルカリ現像液へ溶解する感光剤とからなる感光性低
温硬化促進剤であり、一般式(26)〜(30)で示さ
れる化合物またはその誘導体はいずれもフェノール性水
酸基を有する。これらの化合物は、ポリアミド酸のアル
カリ現像液への溶解性を抑止する作用を有する。
【0275】
【化18】
【0276】一般式(26)で示されるカルボン酸化合
物としては、例えばヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
一般式(27)で示されるカルボン酸化合物としては、
例えばヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルピ
ルビン酸、ヒドロキシけい皮酸などが挙げられる。一般
式(28)および(29)で示されるカルボン酸化合物
としては、例えばヒドロキシナフトエ酸が挙げられる。
一般式(30)で示されるカルボン酸エステルまたはカ
ルボン酸アミドとしては、ヒドロキシ安息香酸−N,N
−ジメチルアミノメチル、ヒドロキシ安息香酸−N,N
−ジエチルアミノメチル、ヒドロキシ安息香酸2−N,
N−ジメチルアミノエチル、ヒドロキシ安息香酸2−
N,N−ジエチルアミノエチル、ヒドロキシ安息香酸3
−N,N−ジメチルアミノプロピル、ヒドロキシ安息香
酸3−N,N−ジエチルアミノプロピル、ヒドロキシ安
息香酸2−N,N−ジメチルアミノプロピル、ヒドロキ
シ安息香酸2−N,N−ジエチルアミノプロピル、ヒド
ロキシ安息香酸1−メチル−2−N,N−ジメチルアミ
ノエチル、ヒドロキシ安息香酸1−メチル−2−N,N
−ジエチルアミノエチル、ヒドロキシ安息香酸4−N,
N−ジメチルアミノブチル、ヒドロキシ安息香酸4−
N,N−ジエチルアミノブチル、ヒドロキシ安息香酸3
−メチル−3−N,N−ジメチルアミノプロピル、ヒド
ロキシ安息香酸3−メチル−3−N,N−ジエチルアミ
ノプロピル、2−N,N−ジメチルアミノエチルヒドロ
キシ安息香酸アミド、2−N,N−ジエチルアミノエチ
ルヒドロキシ安息香酸アミド、3−N,N−ジメチルア
ミノプロピルヒドロキシ安息香酸アミド、3−N,N−
ジエチルアミノプロピルヒドロキシ安息香酸アミド、2
−N,N−ジメチルアミノプロピルヒドロキシ安息香酸
アミド、2−N,N−ジエチルアミノプロピルヒドロキ
シ安息香酸アミドなどが挙げられる。一般式(26)〜
(30)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物
において、水酸基は芳香環のオルト位、メタ位、パラ位
など、どの部位に結合していてもよい。また、一般式
(26)〜(30)で示される化合物の誘導体とは、こ
れらの化合物の芳香環の水素原子が、さらに水酸基、カ
ルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メ
チル基、エチル基、メトキシ基またはアミノ基で置換さ
れた化合物をいう。
【0277】なお、一般式(30)で示されるカルボン
酸エステルまたはカルボン酸アミドの合成方法は特に限
定されない。例えば、一般式(26)で示されるカルボ
ン酸と下記一般式(31)で示される第三級アミンと
を、触媒の存在下において加熱する方法を採用できる。
このときのカルボン酸に対する第三級アミンの配合割合
は、収率の点から、モル比で1:1〜6の範囲、さらに
好ましくは1:1〜3の範囲とする。用いられる触媒と
しては、硫酸、燐酸、塩酸またはp−トルエンスルホン
酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体などが挙げら
れる。加熱温度は、第三級アミンが還流する温度に設定
される。また加熱時間は1〜10時間、さらに好ましく
は2〜7時間である。
【0278】
【化19】
【0279】(2)のポジ型パターンを形成するタイプ
の感光性低温硬化促進剤のうち、第1のものを配合した
樹脂組成物(以下、第一の樹脂組成物)において、一般
式(26)〜(30)で示されるフェノール性水酸基を
有する化合物の配合量は、ポリアミド酸のカルボキシル
基に対して0.05〜3.0当量とすることが好まし
い。その配合量が0.05当量未満の場合、感光性能が
不十分になるおそれがある。逆に、その配合量が3.0
当量を越える場合、貯蔵時の粘度安定性が悪くなり、ま
た得られる塗布膜の現像時における膜べりが大きくな
る。さらにこれらの化合物の配合量は0.1〜2.0当
量であることがより好ましい。なお、ポリイミドが配合
される場合、さらにフェノール性水酸基を有する化合物
を、上記で規定される量に加えて、ポリイミドに対して
20重量%まで配合してもよい。
【0280】第一の発明において用いられる感光剤とし
ては、分子中にo−キノンジアジド基を少なくとも1個
有するo−キノンジアジド化合物または分子中にナフト
キノンジアジド基を少なくとも1個有するナフトキノン
ジアジド化合物のようなジアジド化合物などがあげられ
る。具体的には、以下の構造式で示される化合物(P−
1)〜(P−29)からなる群より選ばれた少なくとも
1種の化合物などを使用できる。これらの感光剤も、若
干ではあるが、ポリアミド酸のアルカリ現像液への溶解
性を抑止する作用を有する。
【0281】
【化20】
【0282】
【化21】
【0283】
【化22】
【0284】これら感光剤の中でも、前記(P−15)
のような2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンの
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、
前記(P−17)のような2,3,4,4’−テトラヒ
ドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジ
ドスルホン酸エステル類、前記(P−22)のような
2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベン
ゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸
エステル類は、本発明において特に好ましい感光剤であ
る。なお(P−17)の2,3,4,4’−テトラヒド
ロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド
スルホン酸エステルにおいて、1,2−ナフトキノンジ
アジドスルホン酸あるいはその誘導体による2,3,
4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンのエステル
化率は、通常前記ベンゾフェノン化合物における水酸基
総数の40〜100%となっている。換言すれば、2,
3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1分子
(水酸基数4)当たりの平均的ナフトキノンジアジドの
導入数は1.6〜4個であり、この感光剤はナフトキノ
ンジアジドの導入数が1,2,3または4のスルホン酸
エステルの混合物ということになる。また(P−22)
の化合物についても同様に、2,3,3’,4,4’,
5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン1分子(水酸基
数6)当たりの平均的ナフトキノンジアジドの導入数は
2.4〜6個であり、この感光剤はナフトキノンジアジ
ドの導入数が1,2,3,4,5または6のスルホン酸
エステルの混合物ということになる。
【0285】第一の樹脂組成物において感光剤の配合量
は、ポリアミド酸および必要に応じて配合されるポリイ
ミドの合計量に対して1〜50重量%であることが好ま
しい。感光剤の配合量が少なすぎるとポリアミド酸組成
物の感度が不十分となる。逆に、感光剤の配合量が多す
ぎるとパターン形成後の感光剤の残渣のため、得られる
ポリイミド膜の特性が低下するおそれがある。さらに好
ましい感光剤の配合量は5〜30重量%である。 (プロセス)また、第一の樹脂組成物には、必要に応じ
て増感剤、染料、界面活性剤、密着力付与剤、アルカリ
可溶性樹脂などを配合してもよい。密着力付与剤の具体
例としては、アミノシラン、エポキシシランなどのカッ
プリング剤などが挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の具
体例としては、ポリ−p−ビニルフェノール、ポリ−o
−ビニルフェノール、ポリ−m−イソプロペニルフェノ
ール、mまたはp−クレゾールノボラック樹脂、キシレ
ゾールノボラック樹脂、p−ビニルフェノールおよびメ
タクリル酸メチルの共重合体、p−イソプロペニルフェ
ノールおよび無水マレイン酸の共重合体、ポリメタクリ
ル酸などが挙げられる。
【0286】第一の樹脂組成物は、通常、有機溶媒に溶
解させた状態でワニスとして用いられる。有機溶媒とし
てはポリアミド酸、必要に応じて配合されるポリイミ
ド、一般式(26)〜(30)で示される化合物、およ
び感光剤の各成分を溶解するものであれば特に制限され
ない。具体的にはシクロヘキサノン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メチ
ルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセ
ロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなど
のセロソルブ系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イ
ソアミルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エ
チレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテルなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル
−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、
γ−ブチロラクトン、スルホラン、キシレン、トルエ
ン、クロロベンゼン、m−クレゾール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコールなどの溶媒を挙げることが
できる。これらの溶媒は単独で使用しても、2種以上を
混合して使用してもよい。
【0287】以下、第一の樹脂組成物を感光性樹脂組成
物として用い、ポリイミド膜パターンを形成する方法に
ついて説明する。一般的には、塗膜の形成、乾燥、露
光、アルカリ現像液による現像、加熱硬化という工程を
経て、ポリイミド膜パターンが形成される。なおここで
は感光剤として1,2−ナフトキノンジアジドスルホン
酸エステルを配合した組成物を用いた場合について説明
する。
【0288】まず、第一の樹脂組成物のワニスをろ過し
て微細な混入物を除去した後、回転塗布法やディッピン
グ法によって半導体基板上に塗布し、樹脂層を形成す
る。本発明の組成物は、有機溶媒に対する溶解性が優れ
ているため塗布性が改善されており、厚膜の形成に好適
である。
【0289】次に、この樹脂層を約60〜100℃で約
1〜30分間乾燥した後、この層に所望のパターンマス
クを介して、X線、可視光、赤外光、紫外光、エキシマ
レーザ光などのエネルギー線を照射する。このとき、樹
脂層の露光部では、下記のように感光剤の1,2−ナフ
トキノンジアジド部分(a)が光化学反応によってケテ
ン(b)に変化する。
【0290】
【化23】
【0291】次に前記露光後の樹脂層に対して、アルカ
リ現像液を使用し、スプレー法、パドル現像などにより
現像処理を行う。このアルカリ現像液としては例えば水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸
水素カリウム、リン酸アンモニウム、アンモニアなどの
無機アルカリの水溶液、またはプロピルアミン、ブチル
アミン、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、ト
リメチレンジアミン、トリメチルアンモニウムヒドロキ
シド、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド、水酸化トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム
などの有機アルカリ水溶液が挙げられる。また、これら
水溶液にメタノール、エタノール、2−プロパノール、
エチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソ
ルブ、ジエチレングリコール、エチルカルビトール、N
−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド
などの有機溶媒を混合したものも使用できる。このよう
に現像液として有機溶媒を使用せずにアルカリ水溶液を
用いれば、現像液によるパターンの膨潤を防止できる。
【0292】この現像処理において、樹脂層の未露光部
では、一般式(26)〜(30)で示される化合物およ
び1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが
組成物中の樹脂部分であるポリアミド酸のアルカリ溶解
性を抑止しているため、ポリマー単独の場合に比べ、現
像液に対する溶解性が低下している。このとき、前記一
般式(26)〜(30)の化合物のうちでも、特に一般
式(30)で示されるカルボン酸エステルまたはカルボ
ン酸アミドが配合されている場合には、ワニス中で下記
化学式(32)で示すように、カルボン酸誘導体のアミ
ノ基(N)と、ポリアミド酸のカルボキシル基(O)と
の間でイオン結合が生じる。したがって、化学反応を経
ることなく、実質的には側鎖にフェノール性水酸基を有
するポリアミド酸誘導体が生成するため、未露光部のア
ルカリ現像液への溶解性を抑止する効果が大きい。
【0293】
【化24】
【0294】なおここで、前記一般式(30)のカルボ
ン酸誘導体はワニス中、前記一般式(26)のカルボン
酸と前記一般式(31)の第三級アミンに分解すること
がある。ただし、本発明においてはポリアミド酸組成物
中にこのように第三級アミンが含有されても特にその感
光性能などが損なわれることはない。従って本願第一の
発明のポリアミド酸組成物では、前記一般式(30)の
カルボン酸誘導体の一部または全部がカルボン酸と第三
級アミンに分解していても何ら問題がない。
【0295】これに対し、樹脂層の露光部では、下記の
ようにケテン(b)が現像液中の水分によってさらにカ
ルボン酸(c)に変化する。このカルボン酸(c)にお
けるカルボキシル基は、前記アルカリ現像液中のアルカ
リ金属イオンまたはアンモニウムイオンなどと反応して
塩を形成するため、当該樹脂層の露光部は現像液に溶解
する。すなわち、この現像処理によって未露光部のみが
残存し、所定のパターンが形成される。したがって、本
願第一の発明のポリアミド酸組成物は、感光剤として
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを配
合した場合、一般的には、その露光部が現像液に対して
可溶化するポジ型感光材料として機能する。
【0296】
【化25】
【0297】なお現像処理後、樹脂層中の現像液残渣な
どを除去する目的で、水、アルコール、アセトンなどで
リンス処理し、引き続きベーク処理を施してもよい。
【0298】さらに現像処理後の所定のパターンを有す
る樹脂層を一定温度で加熱する。これによって塗膜中に
残存する溶媒成分が揮発し、また樹脂成分中のポリアミ
ド酸の環化によるイミド構造への変化が起こり、さらに
カルボン酸化合物や感光剤などが除かれる。こうして下
記反復単位(33)を有するポリイミド膜のパターンが
形成される。
【0299】
【化26】
【0300】この加熱工程では、室温から最終加熱温度
の150〜450℃まで徐々に温度を上げて加熱するこ
とが望ましい。この理由は、最終加熱温度が150℃未
満であると反復単位(33)を有するポリイミドの生成
時に、樹脂成分中のポリアミド酸がイミド化せず一部残
存し、熱安定性を阻害させる可能性があり、また450
℃を超えるとイミド化したポリマーが分解するおそれが
あるためである。
【0301】また、第一の樹脂組成物を用い、塗膜の形
成、乾燥、露光を行った後、熱処理を施し、さらにアル
カリ現像液による現像を行うという別の方法によりポリ
イミド膜パターンを形成してもよい。この方法におい
て、露光後に樹脂層に対して施す熱処理の条件は、温度
約90〜200℃好ましくは90〜140℃で約5秒〜
60分間である。この場合、組成物に配合される1,2
−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの種類によ
っては、前記樹脂層の露光部において、露光により生じ
たケテン(b)がさらにポリアミド酸またはポリイミド
中の活性水素と反応する結果、ポリマー鎖同士を架橋さ
せる。よって、この露光部では分子量が増大し、アルカ
リ現像液に対する溶解性が低くなる。一方、前記樹脂層
の未露光部では、上記熱処理によって1,2−ナフトキ
ノンジアジドスルホン酸エステルが一部分解する。この
ため、当該未露光部では、1,2−ナフトキノンジアジ
ドスルホン酸エステルが本来有する、ポリアミド酸のア
ルカリ溶解性を抑止する能力が低下または消失してお
り、アルカリ現像液に対して可溶化する。このため、現
像処理によって前記樹脂層の露光部のみが残存し、所定
のパターンが形成される。
【0302】したがって、第一の樹脂組成物は、感光剤
として1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステ
ルを配合し、かつ上述したような露光後の熱処理を含む
パターン形成プロセスに従った場合、その露光部が現像
液に対して不溶化するネガ型感光材料として機能する場
合がある。
【0303】以上のように第一の樹脂組成物を用いれ
ば、フォトレジストを使用せずに耐熱性に優れたシャー
プなレリーフパターンを有するパッシベーション膜など
を形成することができる。特にポリアミド酸を合成する
工程において脱水反応を必要としないためにゲル化を防
止でき、またパターン露光後の現像処理において現像液
としてアルカリ水溶液を用いるため現像液によるパター
ンの膨潤を防止できる。このため解像度の高いポリイミ
ド膜パターンを形成することが可能になる。さらに、ポ
リアミド酸を合成する工程においてポリアミド酸を高分
子化することが可能であるため、基板との十分な密着性
を有するポリイミド膜パターンを得ることができる。
【0304】また、第一の樹脂組成物は微細加工用フォ
トレジストに適用することも可能である。この場合に
は、上述したように基板上への樹脂層の形成、露光、現
像を順次行った後、必要に応じて得られた所定のパター
ンを有する樹脂層を90〜180℃で加熱ベーク処理
し、基板上に形成された樹脂層のパターンをエッチング
マスクとして常法にしたがってドライエッチングまたは
ウェットエッチングにより基板の加工を行う。なお、特
に3μm以下の微細なパターンを形成する場合にはドラ
イエッチング法が好ましい。このときのウェットエッチ
ング剤としては、シリコン酸化膜をエッチング対象とす
る場合にはフッ酸水溶液、フッ化アンモニウム水溶液な
どが用いられ、アルミニウムをエッチング対象とする場
合にはリン酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液などが用
いられ、クロム系膜をエッチング対象とする場合には硝
酸セリウムアンモニウム水溶液などが用いられる。ドラ
イエッチング用ガスとしては、CF4 ,C26 ,CC
4 ,BCl3 ,Cl2 ,HCl,H2 などを挙げるこ
とができ、必要に応じてこれらのガスを組み合わせて使
用する。エッチングの条件は、微細パターンが形成され
る物質の種類とポリアミド酸組成物の組み合わせに基づ
いて反応槽内のウェットエッチング剤の濃度、ドライエ
ッチング用ガスの濃度、反応温度、反応時間などを決定
するが、その方法などに特に制限されない。このような
エッチング後に、前記基板上に残存する本発明のポリア
ミド酸組成物からなる樹脂層のパターンを剥離剤(例え
ば和光純薬製HE−1)や酸素ガスプラズマなどを用い
て除去する。このように第一の樹脂組成物を微細加工用
フォトレジストに適用した場合にも、ポリイミド膜パタ
ーンの形成に用いた場合と全く同様に、解像度を向上で
きるという効果が得られる。また、(2)のポジ型パタ
ーンを形成するタイプの感光性低温硬化促進剤のうち、
第二のものは、一般式(1)で示されるポリアミド酸
と、式(26)〜(30)で表されるフェノール性水酸
基を有しポリアミド酸のアルカリ現像液への溶解抑止効
果を有する低温硬化促進剤と、溶解抑止剤と、光照射に
より酸を発生する化合物とを含有する。
【0305】一般式(1)で示される反復単位を有する
ポリアミド酸および一般式(26)〜(30)で示され
る化合物は、前に説明したものと同一であるのでここで
は説明を省略する。また、本願第二の発明のポリアミド
酸組成物においても、一般式(46)で示される反復単
位を有するポリイミド、および一般式(47)で示され
る反復単位を有するポリアミド酸を併用できることは第
一樹脂組成物と同様である。さらに、本願第二の発明の
ポリアミド酸組成物においても、必要に応じて増感剤、
染料、界面活性剤、密着性付与剤、アルカリ可溶性樹脂
を配合してもよい。
【0306】
【化27】
【0307】第二樹脂組成物の発明において用いられる
溶解抑止剤とは、一般式(26)〜(30)で示される
化合物が共存するとき、ポリアミド酸のアルカリ現像液
への溶解性を抑止する化合物であり、かつ酸に不安定な
基を有する化合物である。具体的には、感光剤として挙
げた前記ジアジド化合物(P−1)〜(P−29)、
(P−1)〜(P−29)においてXが−CO2C(C
33 ,−C(CH33 または−Si(CH33
である化合物、および以下の構造式で示される化合物
(P−30)〜(P−35)からなる群より選ばれた少
なくとも一種の化合物、すなわちtert−ブチル基も
しくはトリメチルシリル基を含有する芳香族化合物、ま
たは安息香酸フェニルなどを使用できる。
【0308】
【化28】
【0309】第二樹脂組成物の発明において、溶解抑止
剤の配合量はポリアミド酸および必要に応じて配合され
るポリイミドの合計量に対して1〜60重量%であるこ
とが好ましい。溶解抑止剤の配合量が少なすぎるとポリ
アミド酸組成物の感度が不十分となり、一方溶解抑止剤
が多すぎるとパターン形成後の溶解抑止剤の残渣のた
め、得られるポリイミド膜の特性が低下するおそれがあ
る。さらに好ましい溶解抑止剤の配合量は5〜30重量
%である。
【0310】第二樹脂組成物の発明において、光照射に
より酸を発生する化合物としては例えば、CF3 SO3
-,p−CH3phSO3-,p−NO2phSO3- (p
h:フェニレン基)などのアニオンを有するジアゾニウ
ム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム
塩などのオニウム塩、有機ハロゲン化合物、ナフトキノ
ンジアジド−4−スルホン酸エステルなどを挙げること
ができる。このうち有機ハロゲン化合物は、光照射によ
りハロゲン化水素酸を形成する化合物である。このよう
な化合物としては、米国特許第3515552号、米国
特許第3779778号及び西ドイツ特許公開公報第2
243621号に開示されたものが挙げられる。有機ハ
ロゲン化合物以外の化合物は、特開昭54−74728
号、特開昭55−24113号、特開昭55−7774
2号、特開昭60−3626号、特開昭60−1385
39号、特開昭56−17345号及び特開昭50−3
6209号に開示されている。このような化合物を具体
的に例示すると、ジ(p−tert−ブチルフェニル)
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネー
ト、ベンゾイントシレート、オルトニトロベンジルp−
トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリ
フルオロメタンスルホネート、トリ(tert−ブチル
フェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネー
ト、ベンゼンジアゾニウムp−トルエンスルホネート、
4−(ジ−n−プロピルアミノ)−ベンゾニウムテトラ
フロロボレート、4−p−トリル−メルカプト−2,5
−ジエトキシ−ベンゼンジアゾニウムヘキサフロロホス
フェート、テトラフロロボレート、ジフェニルアミン−
4−ジアゾニウムサルフェート、4−メチル−6−トリ
クロロメチル−2−ピロン、4−(3,4,5−トリメ
トキシスチリル)−6−トリクロロメチル−2−ピロ
ン、4−(4−メトキシスチリル)−6−(3,3,3
−トリクロロプロペニル)−2−ピロン、2−トリクロ
ロメチルベンズイミダゾール、2−トリブロモメチルキ
ノン、2,4−ジメチル−1−トリブロモアセチルベン
ゼン、4−ジブロモアセチル安息香酸、1,4−ビス−
ジブロモメチルベンゼン、トリス(ジブロモメチル)−
S−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフチル−2−
イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリア
ジン、2−(ナフチル−1−イル)−4,6−ビス−ト
リクロロメチル−S−トリアジン、2−(ナフチル−2
−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリ
アジン、2−(ベンゾピラン−3−イル)−4,6−ビ
ス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−メ
トキシ−アントラン−1−イル)−4,6−ビス−トリ
クロロメチル−S−トリアジン、2−(フェナント−9
−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリ
アジン、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン
酸エステルなどがある。
【0311】第二樹脂組成物において、光照射により酸
を発生する化合物の配合量は、ポリアミド酸および必要
に応じて配合されるポリイミドの合計量に対して0.0
1〜20重量%、さらには0.1〜10重量%であるこ
とが好ましい。その配合量が0.01重量%未満である
と十分な感光性能を付与できず、一方その配合量が20
重量%を越えるとパターン形成時における基板への塗布
性、塗膜の強度および基板との密着性が低下するおそれ
がある。
【0312】第二樹脂組成物は第一樹脂組成物ものと同
様に通常有機溶媒に溶解させた状態でワニスとして用い
られる。第二樹脂組成物を用いたポリイミド膜パターン
の形成は、一般的には、塗膜の形成、乾燥、露光、アル
カリ現像液による現像、加熱硬化という工程を経て行わ
れる。
【0313】露光工程を経た後の樹脂層の状態について
説明する。樹脂層の未露光部では、組成物中の樹脂成分
であるポリアミド酸が、溶解抑止剤との相互作用によっ
てアルカリ現像液に対して不溶化している。一方樹脂層
の露光部では、組成物中に含有された光照射により酸を
発生する化合物から酸が発生し、この酸により溶解抑止
剤が分解するため、溶解抑止剤の溶解抑止能が消滅し、
アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。したがっ
て、アルカリ現像液による現像処理を行うと、露光部が
現像液に溶解する一方未露光部が残存し、所定のパター
ンが形成される。すなわち第二樹脂組成物のポリアミド
酸組成物は、一般的にはその露光部が現像液に対して可
溶化するポジ型感光材料として機能する。
【0314】なお、露光後の樹脂層をホットプレート、
オーブンなどにより70〜120℃で30秒〜5分間熱
処理して、露光により生じた酸と溶解抑止剤との反応を
促進させた後、現像処理を行ってもよい。また現像処理
後、樹脂層中の現像液残渣などを除去する目的で、リン
ス処理およびベーク処理などを施してもよい。さらに現
像処理後の所定のパターンを有する樹脂層を一定温度で
加熱してイミド化し、ポリイミド膜のパターンを形成す
る。この加熱条件は、本願第一の発明の場合と同様であ
る。
【0315】以上のような第二樹脂組成物を用いた場合
にも、第一樹脂組成物の場合と全く同様に、高い解像度
でポリイミド膜パターンを形成することができる。しか
も、第二樹脂組成物のポリアミド酸組成物で用いられる
光照射により酸を発生する化合物は、一般的に少量のエ
ネルギー線の照射で酸を発生するため、第一樹脂組成物
に比べてより高い感度でポリイミド膜パターンの形成が
可能となる。(2)のポジ型パターンを形成するタイプ
の感光性低温硬化促進剤のうち、光照射により硬化促進
作用を失活する化合物からなる感光性低温硬化促進剤の
第1のタイプは、下記一般式(34)で表わされるア
ゾメチン化合物である。
【0316】
【化29】
【0317】上記一般式(34)中、Ar11は、ピリジ
ン型核窒素原子(−N=)を有し、かつ前記核窒素原子
に隣接する核炭素原子に結合手を有する、置換または非
置換の含窒素芳香族複素環基であり、例えば、以下に示
すような基が挙げられる。
【0318】
【化30】
【0319】(上記式中、−Z1=は、=C(R14)−
または=N−を示す。なお、互いに隣接するZ1 は縮環
していてもよい。−X1 −は、−O−、−S−、−Se
−、−Te−、または−N(R15)−を示す。
【0320】ここで、R14およびR15は、置換または非
置換の芳香族炭化水素基、複素環基、脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、特性基または水素原子を示
す。)Ar11として導入される非置換の含窒素芳香族複
素環基としては、例えば、2−ピリジル基、2−キノリ
ル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、6−
フェナントリジニル基、1,10−フェナントロリン−
2−イル基、3−ピリダジニル基、1−フタラジニル
基、3−シンノリニル基、2−ピリミジニル基、4−ピ
リミジニル基、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル
基、2−ピラジニル基、2−キノキサリニル基、1,
3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4,5−テ
トラジン−3−イル基、2−イミダゾリル基、4−イミ
ダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−ナフトイ
ミダゾリル基、3−ピラゾリル基、3−インダゾリル
基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、2−ベ
ンゾオキサゾリル基、2−ナフトオキサゾリル基、3−
イソオキサゾリル基、3−ベンゾイソオキサゾリル基、
2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、2−ベンゾチア
ゾリル基、2−ナフトチアゾリル基、2−セレナゾリル
基、2−ベンゾセレナゾリル基、2−テルラゾリル基、
2−ベンゾテルラゾリル基、1,2,3−トリアゾール
−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル
基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基、および
1,2,3,5−テトラゾール−4−イル基などが挙げ
られる。
【0321】これらの含窒素芳香族複素環基に導入さ
れ、置換含窒素芳香族複素環化合物を構成する置換基と
しては、例えば、ジ置換アミノ基(ジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルア
ミノ基、ブチルメチルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジ
ベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ジフェニル
アミノ基、ジトリルアミノ基、ジキシリルアミノ基、メ
チルフェニルアミノ基、ベンジルメチルアミノ基な
ど)、モノ置換アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミ
ノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ter
t.-ブチルアミノ基、アニリノ基、アニシジノ基、フェ
ネチジノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、ピリジルア
ミノ基、チアゾリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ベン
ジリデンアミノ基など)、環状アミノ基(ピロリジノ
基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、1−
ピロリル基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、
1−トリアゾリル基など)、アシルアミノ基(ホルミル
アミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シ
ンナモイルアミノ基、ピリジンカルボニルアミノ基、ト
リフルオロアセチルアミノ基など)、スルホニルアミノ
基(メシルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、フェ
ニルスルホニルアミノ基、ピリジルスルホニルアミノ
基、トシルアミノ基、タウリルアミノ基、トリフルオロ
メチルスルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、
メチルスルファモイルアミノ基、スルファニルアミノ
基、アセチルスルファニルアミノ基など)、アミノ基、
ヒドロキシアミノ基、ウレイド基、セミカルバジド基、
カルバジド基、ジ置換ヒドラジノ基(ジメチルヒドラジ
ノ基、ジフェニルヒドラジノ基、メチルフェニルヒドラ
ジノ基など)、モノ置換ヒドラジノ基(メチルヒドラジ
ノ基、フェニルヒドラジノ基、ピリジルヒドラジノ基、
ベンジリデンヒドラジノ基など)、ヒドラジノ基、アミ
ジノ基、ヒドロキシ基、オキシム基(ヒドロキシイミノ
メチル基、メトキシイミノメチル基、エトキシイミノメ
チル基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒドロキシイミノ
プロピル基など)、アルコキシアルキル基(ヒドロキシ
メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基
など)、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、ニト
ロ基、ニトロソ基、オキシ基(メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ
基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、
チアゾリルオキシ基、アセトキシ基など)、チオ基(メ
チルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリジル
チオ基、チアゾリルチオ基など)、メルカプト基、ハロ
ゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード
基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル
基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基な
ど)、アミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカ
ルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカル
バモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキ
サモイル基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキ
シル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその
塩、チオカルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メ
チルチオカルボニル基、メチルチオチオカルボニル基な
ど)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル
基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、
トリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(チオホ
ルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジ
ンチオカルボニル基など)、スルフィン酸基およびその
塩、スルホン酸基およびその塩、スルフィニル基(メチ
ルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルス
ルフィニル基など)、スルホニル基(メシル基、エチル
スルホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホ
ニル基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルス
ルホニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル
基、スルファニリル基、アセチルスルファニリル基な
ど)、オキシスルホニル基(メトキシスルホニル基、エ
トキシスルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセト
アミノフェノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホ
ニル基など)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニ
ル基、エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニ
ル基、アセトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジ
ルチオスルホニル基など)、アミノスルホニル基(スル
ファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスル
ファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスル
ファモイル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミ
ノフェニルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル
基など)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エ
チルジメチルアンモニオ基、ジメチルスルフェニルアン
モニオ基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基
(フェニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基
など)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメ
チル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロ
メチル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ト
リフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタ
フルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、
アリール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素
環基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメ
チルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げ
ることができる。
【0322】なお、前記一般式(34)におけるAr11
としては、ピリジン型の核窒素原子(−N=)にプロト
ネーションした化学種の酸解離定数pKaがpH1〜1
0の間にある含窒素芳香族複素環基が好ましい。より具
体的には、2−ピリジル基、2−キノリル基、1−イソ
キノリル基、3−イソキノリル基、6−フェナントリジ
ニル基、3−ピリダジニル基、1−フタラジニル基、3
−シンノリニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジ
ニル基、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、2
−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−ベンゾイ
ミダゾリル基、3−ピラゾリル基、3−インダゾリル
基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、2−ベンゾ
チアゾリル基などの含窒素芳香族複素環基が挙げられ
る。これらの含窒素芳香族複素環基およびこれらの含窒
素芳香族複素環基を前述したような各種特性基で置換し
た置換含窒素芳香族複素環基は、特に望ましい。
【0323】前記一般式(34)におけるR11は、置換
または非置換の芳香族炭化水素基、複素環基、脂肪族炭
化水素基、脂環式炭化水素基、アシル基または水素原子
である。
【0324】R11として導入される非置換の芳香族炭化
水素基としては、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環
基、アントラセン環基、フェナントレン環基、テトラリ
ン環基、アズレン環基、ビフェニレン環基、アセナフチ
レン環基、アセナフテン環基、フルオレン環基、トリフ
ェニレン環基、ピレン環基、クリセン環基、ピセン環
基、ペリレン環基、ベンゾピレン環基、ルビセン環基、
コロネン環基、オバレン環基、インデン環基、ペンタレ
ン環基、ヘプタレン環基、インダセン環基、フェナレン
環基、フルオランテン環基、アセフェナントリレン環
基、アセアントリレン環基、ナフタセン環基、プレイア
デン環基、ペンタフェン環基、ペンタセン環基、テトラ
フェニレン環基、ヘキサフェン環基、ヘキサセン環基、
トリナフチレン環基、ヘプタフェン環基、ヘプタセン環
基およびピラントレン環基などが挙げられる。これらの
芳香族炭化水素基は、前述の各種特性基で置換されてい
てもよい。
【0325】また、R11として導入される非置換の複素
環基としては、例えば、ピロール環基、ピロリン環基、
ピロリジン環基、インドール環基、イソインドール環
基、インドリン環基、イソインドリン環基、インドリジ
ン環基、カルバゾール環基、カルボリン環基、フラン環
基、オキソラン環基、クマロン環基、クマラン環基、イ
ソベンゾフラン環基、フタラン環基、ジベンゾフラン環
基、チオフェン環基、チオラン環基、ベンゾチオフェン
環基、ジベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、ピラ
ゾリン環基、インダゾール環基、イミダゾール環基、イ
ミダゾリン環基、イミダゾリジン環基、ベンゾイミダゾ
ール環基、ベンゾイミダゾリン環基、ナフトイミダゾー
ル環基、オキサゾール環基、オキサゾリン環基、オキサ
ゾリジン環基、ベンゾオキサゾール環基、ベンゾオキサ
ゾリン環基、ナフトオキサゾール環基、イソオキサゾー
ル環基、ベンゾイソオキサゾール環基、チアゾール環
基、チアゾリン環基、チアゾリジン環基、ベンゾチアゾ
ール環基、ベンゾチアゾリン環基、ナフトチアゾール環
基、イソチアゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、
トリアゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、オキサジ
アゾール環基、チアジアゾール環基、ベンゾオキサジア
ゾール環基、ベンゾチアジアゾール環基、テトラゾール
環基、プリン環基、ピリジン環基、ピペリジン環基、キ
ノリン環基、イソキノリン環基、アクリジン環基、フェ
ナントリジン環基、ベンゾキノリン環基、ナフトキノリ
ン環基、ナフチリジン環基、フェナントロリン環基、ピ
リダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、ピペラ
ジン環基、フタラジン環基、キノキサリン環基、キナゾ
リン環基、シンノリン環基、フェナジン環基、ペリミジ
ン環基、トリアジン環基、テトラジン環基、プテリジン
環基、オキサジン環基、ベンゾオキサジン環基、フェノ
キサジン環基、チアジン環基、ベンゾチアジン環基、フ
ェノチアジン環基、オキサジアジン環基、チアジアジン
環基、ジオキソラン環基、ベンゾジオキソール環基、ジ
オキサン環基、ベンゾジオキサン環基、ジチオラン環
基、ベンゾジチオール環基、ジチアン環基、ベンゾジチ
アン環基、ピラン環基、クロメン環基、キサンテン環
基、オキサン環基、クロマン環基、イソクロマン環基、
トリオキサン環基、チアン環基、トリチアン環基、モル
ホリン環基、キヌクリジン環基、セレナゾール環基、ベ
ンゾセレナゾール環基、ナフトセレナゾール環基、テル
ラゾール環基、およびベンゾテルラゾール環基などが挙
げられる。これらの複素環基は、前述した各種特性基で
置換されていてもよい。
【0326】R11として導入される非置換の脂肪族炭化
水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec.
- ブチル基、tert.-ブチル基、ペンチル基、tert.-ペン
チル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル
基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル
基、プロペニル基、メタリル基、クロチル基、ブテニル
基、ペンテニル基、ブタジエニル基、エチニル基、プロ
ピニル基、ブチニル基、およびペンチニル基などの脂肪
族炭化水素基が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素基
は、前述の各種特性基で置換されていてもよい。
【0327】また、R11として導入される非置換の脂環
式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シク
ロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シ
クロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロペンテニル
基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロ
オクテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサ
ジエニル基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。これ
らの脂環式炭化水素基は、前述の各種特性基で置換され
ていてもよい。
【0328】上記一般式(34)におけるR12は、−O
H基、−NH−R13基、または−COOH基である。R
13は、置換または非置換の芳香族炭化水素基、複素環
基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アシル基、
チオアシル基またはカルバモイル基である。
【0329】上述したアゾメチン化合物は、光照射前に
は熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を有している
が、光照射により熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)
を失活する化合物である。具体的には、このような化合
物に光を照射することにより光幾何異性化反応が生じて
分子内水素結合が形成される。こうして形成された分子
内水素結合によって、熱硬化促進能が失活する。
【0330】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー樹脂
前駆体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加する
ことにより、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)およ
び現像の工程により、微細なパターンを形成し得るポジ
型感光性ポリマー樹脂組成物が得られる。
【0331】これらの感光性熱硬化促進剤は、単独で用
いても2種以上混合して用いてもよく、感光性ポリマー
樹脂の繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル当量
以上配合することが好ましい。なお、感光性熱硬化促進
剤の配合量は、より好ましくは0.1〜4.0モル当量
であり、最も好ましくは0.1〜2.0モル当量であ
る。この理由は、感光性熱硬化促進剤の配合量が少なす
ぎる場合には、樹脂層の感光性が不十分となり十分な解
像度が得られなくなり、逆に感光性硬化促進剤の配合量
が多すぎる場合には、膜減りが大きくなったり、きれい
な薄膜の形成が困難になる可能性があるためである。
【0332】第2のタイプの感光性熱硬化促進剤は、下
記一般式(35)で表わされる含窒素複素環化合物であ
る。
【0333】
【化31】
【0334】前記一般式(35)におけるAr21は、ピ
リジン型核窒素原子(−N=)を有する置換または非置
換の含窒素芳香族複素環基であり、具体的には、以下で
示すような基が挙げられる。
【0335】
【化32】
【0336】上記式中、=Z2 −は、−C(R21)−基
または=N−基を示す。なお、互いに隣接する2つのZ
2 は、縮環していてもよい。ここで、R21は、置換また
は非置換の芳香族炭化水素基、複素環基、脂肪族炭化水
素基、脂環式炭化水素基、特性基または水素原子を示
す。
【0337】−X2 −は、−O−、−S−、−Se−ま
たは−Te−を示す。
【0338】Ar21として導入される非置換の含窒素芳
香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、キノリル
基、イソキノリル基、フェナントリジニル基、フェナン
トロリニル基、ピリダジニル基、フタラジニル基、シン
ノリニル基、ピリミジニル基、キナゾリニル基、ピラジ
ニル基、キノキサリニル基、1,3,5−トリアジニル
基、1,2,4,5−テトラジニル基、イミダゾリル
基、ベンゾイミダゾリル基、ナフトイミダゾリル基、ピ
ラゾリル基、インダゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾ
オキサゾリル基、ナフトオキサゾリル基、イソオキサゾ
リル基、ベンゾイソオキサゾリル基、チアゾリル基、ベ
ンゾチアゾリル基、ナフトチアゾリル基、セレナゾリル
基、ベンゾセレナゾリル基、テルラゾリル基、ベンゾテ
ルラゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,
4−トリアゾリル基、1,2,3,5−テトラゾリル
基、およびナフチジニル基などの含窒素芳香族複素環基
が挙げられる。
【0339】これらの含窒素芳香族複素環基に導入さ
れ、置換含窒素芳香族複素環化合物を構成する置換基と
しては、例えば、ジ置換アミノ基(ジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルア
ミノ基、ブチルメチルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジ
ベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ジフェニル
アミノ基、ジトリルアミノ基、ジキシリルアミノ基、メ
チルフェニルアミノ基、ベンジルメチルアミノ基な
ど)、モノ置換アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミ
ノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ter
t.-ブチルアミノ基、アニリノ基、アニシジノ基、フェ
ネチジノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、ピリジルア
ミノ基、チアゾリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ベン
ジリデンアミノ基など)、環状アミノ基(ピロリジノ
基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、1−
ピロリル基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、
1−トリアゾリル基など)、アシルアミノ基(ホルミル
アミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シ
ンナモイルアミノ基、ピリジンカルボニルアミノ基、ト
リフルオロアセチルアミノ基など)、スルホニルアミノ
基(メシルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、フェ
ニルスルホニルアミノ基、ピリジルスルホニルアミノ
基、トシルアミノ基、タウリルアミノ基、トリフルオロ
メチルスルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、
メチルスルファモイルアミノ基、スルファニルアミノ
基、アセチルスルファニルアミノ基など)、アミノ基、
ヒドロキシアミノ基、ウレイド基、セミカルバジド基、
カルバジド基、ジ置換ヒドラジノ基(ジメチルヒドラジ
ノ基、ジフェニルヒドラジノ基、メチルフェニルヒドラ
ジノ基など)、モノ置換ヒドラジノ基(メチルヒドラジ
ノ基、フェニルヒドラジノ基、ピリジルヒドラジノ基、
ベンジリデンヒドラジノ基など)、ヒドラジノ基、アミ
ジノ基、ヒドロキシ基、オキシム基(ヒドロキシイミノ
メチル基、メトキシイミノメチル基、エトキシイミノメ
チル基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒドロキシイミノ
プロピル基など)、アルコキシアルキル基(ヒドロキシ
メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基
など)、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、ニト
ロ基、ニトロソ基、オキシ基(メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ
基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、
チアゾリルオキシ基、アセトキシ基など)、チオ基(メ
チルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリジル
チオ基、チアゾリルチオ基など)、メルカプト基、ハロ
ゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード
基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル
基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基な
ど)、アミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカ
ルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカル
バモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキ
サモイル基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキ
シル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその
塩、チオカルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メ
チルチオカルボニル基、メチルチオチオカルボニル基な
ど)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル
基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、
トリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(チオホ
ルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジ
ンチオカルボニル基など)、スルフィン酸基およびその
塩、スルホン酸基およびその塩、スルフィニル基(メチ
ルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルス
ルフィニル基など)、スルホニル基(メシル基、エチル
スルホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホ
ニル基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルス
ルホニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル
基、スルファニリル基、アセチルスルファニリル基な
ど)、オキシスルホニル基(メトキシスルホニル基、エ
トキシスルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセト
アミノフェノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホ
ニル基など)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニ
ル基、エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニ
ル基、アセトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジ
ルチオスルホニル基など)、アミノスルホニル基(スル
ファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスル
ファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスル
ファモイル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミ
ノフェニルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル
基など)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エ
チルジメチルアンモニオ基、ジメチルスルフェニルアン
モニオ基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基
(フェニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基
など)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメ
チル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロ
メチル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ト
リフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタ
フルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、
アリール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素
環基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメ
チルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げ
ることができる。
【0340】なお、前記一般式(35)におけるAr21
としては、ピリジン型の核窒素原子(−N=)にプロト
ネーションした化学種の酸解離定数pKaがpH1〜1
0の間にある含窒素芳香族複素環基が好ましい。より具
体的には、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、
フェナントリジニル基、ピリダジニル基、フタラジニル
基、シンノリニル基、ピリミジニル基、キナゾリニル
基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリ
ル基、インダゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリ
ル基およびナフチリジニル基などの含窒素芳香族複素環
基が挙げられる。これらの含窒素芳香族複素環基、およ
びこれらの含窒素芳香族複素環基を前述したような各種
特性基で置換した置換含窒素芳香族複素環基が、特に望
ましい。
【0341】前記一般式(35)におけるR20は、下記
に示す(a−1)〜(a−8)から選択される基であ
る。
【0342】
【化33】
【0343】ここで、R21およびR22は、置換または非
置換の芳香族炭化水素基、複素環基、脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、ヒドロキシ基ま
たは水素原子であり、R21とR22とは互いに結合して脂
環式炭化水素基を形成していてもよい。R23,R24,R
25,R30およびR31は、置換または非置換の芳香族炭化
水素基、複素環基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素
基または水素原子、R26〜R28は、置換または非置換の
芳香族炭化水素基、複素環基、脂肪族炭化水素基または
脂環式炭化水素基、R29は、置換または非置換の芳香族
炭化水素基または芳香族複素環基であり、Xはハロゲン
基であり、Zは環状アミノ基である。
【0344】R21〜R31に導入される非置換の芳香族炭
化水素基としては、例えばベンゼン環基、ナフタレン環
基、アントラセン環基、フェナントレン環基、テトラリ
ン環基、アズレン環基、ビフェニレン環基、アセナフチ
レン環基、アセナフテン環基、フルオレン環基、トリフ
ェニレン環基、ピレン環基、クリセン環基、ピセン環
基、ペリレン環基、ベンゾピレン環基、ルビセン環基、
コロネン環基、オバレン環基、インデン環基、ペンタレ
ン環基、ヘプタレン環基、インダセン環基、フェナレン
環基、フルオランテン環基、アセフェナントリレン環
基、アセアントリレン環基、ナフタセン環基、プレイア
デン環基、ペンタフェン環基、ペンタセン環基、テトラ
フェニレン環基、ヘキサフェン環基、ヘキサセン環基、
トリナフチレン環基、ヘプタフェン環基、ヘプタセン環
基、およびピラントレン環基などの芳香族炭化水素基が
挙げられる。これらの芳香族炭化水素基は、前述の各種
特性基で置換されていてもよい。
【0345】R21〜R31として導入される非置換の複素
環基としては、例えば、ピロール環基、ピロリン環基、
ピロリジン環基、インドール環基、イソインドール環
基、インドリン環基、イソインドリン環基、インドリジ
ン環基、カルバゾール環基、カルボリン環基、フラン環
基、オキソラン環基、クマロン環基、クマラン環基、イ
ソベンゾフラン環基、フタラン環基、ジベンゾフラン環
基、チオフェン環基、チオラン環基、ベンゾチオフェン
環基、ジベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、ピラ
ゾリン環基、インダゾール環基、イミダゾール環基、イ
ミダゾリン環基、イミダゾリジン環基、ベンゾイミダゾ
ール環基、ベンゾイミダゾリン環基、ナフトイミダゾー
ル環基、オキサゾール環基、オキサゾリン環基、オキサ
ゾリジン環基、ベンゾオキサゾール環基、ベンゾオキサ
ゾリン環基、ナフトオキサゾール環基、イソオキサゾー
ル環基、ベンゾイソオキサゾール環基、チアゾール環
基、チアゾリン環基、チアゾリジン環基、ベンゾチアゾ
ール環基、ベンゾチアゾリン環基、ナフトチアゾール環
基、イソチアゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、
トリアゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、オキサジ
アゾール環基、チアジアゾール環基、ベンゾオキサジア
ゾール環基、ベンゾチアジアゾール環基、テトラゾール
環基、プリン環基、ピリジン環基、ピペリジン環基、キ
ノリン環基、イソキノリン環基、アクリジン環基、フェ
ナントリジン環基、ベンゾキノリン環基、ナフトキノリ
ン環基、ナフチリジン環基、フェナントロリン環基、ピ
リダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、ピペラ
ジン環基、フタラジン環基、キノキサリン環基、キナゾ
リン環基、シンノリン環基、フェナジン環基、ペリミジ
ン環基、トリアジン環基、テトラジン環基、プテリジン
環基、オキサジン環基、ベンゾオキサジン環基、フェノ
キサジン環基、チアジン環基、ベンゾチアジン環基、フ
ェノチアジン環基、オキサジアジン環基、チアジアジン
環基、ジオキソラン環基、ベンゾジオキソール環基、ジ
オキサン環基、ベンゾジオキサン環基、ジチオラン環
基、ベンゾジチオール環基、ジチアン環基、ベンゾジチ
アン環基、ピラン環基、クロメン環基、キサンテン環
基、オキサン環基、クロマン環基、イソクロマン環基、
トリオキサン環基、チアン環基、トリチアン環基、モル
ホリン環基、キヌクリジン環基、セレナゾール環基、ベ
ンゾセレナゾール環基、ナフトセレナゾール環基、テル
ラゾール環基、およびベンゾテルラゾール環基などの複
素環基が挙げられる。これらの複素環基は、前述した各
種特性基で置換されていてもよい。
【0346】また、R21〜R28,R30およびR31として
導入される非置換の脂肪族炭化水素基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、sec.- ブチル基、tert.-
ブチル基、ペンチル基、tert.-ペンチル基、イソペンチ
ル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ビニル
基、アリル基、イソプロペニル基、プロペニル基、メタ
リル基、クロチル基、ブテニル基、ペンテニル基、ブタ
ジエニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、
およびペンチニル基などの脂肪族炭化水素基が挙げられ
る。これらの脂肪族炭化水素基は、前述の各種特性基で
置換されていてもよい。
【0347】また、R21〜R28,R30およびR31として
導入される非置換の脂環式炭化水素基としては、例え
ば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオ
クチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、
シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロペン
タジエニル基、シクロヘキサジエニル基などの脂環式炭
化水素基が挙げられる。これらの脂環式炭化水素基は、
前述の各種特性基で置換されていてもよい。
【0348】R29として導入される非置換の芳香族複素
環基としては、例えば、ピロール環基、インドール環
基、イソインドール環基、カルバゾール環基、フラン環
基、クマロン環基、イソベンゾフラン環基、チオフェン
環基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾチオフェン環
基、ピラゾール環基、インダゾール環基、イミダゾール
環基、ベンゾイミダゾール環基、ナフトイミダゾール環
基、オキサゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、ナフ
トオキサゾール環基、イソオキサゾール環基、ベンゾイ
ソオキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾー
ル環基、ナフトチアゾール環基、イソチアゾール環基、
ベンゾイソチアゾール環基、トリアゾール環基、ベンゾ
トリアゾール環基、オキサジアゾール環基、チアジアゾ
ール環基、ベンゾオキサジアゾール環基、ベンゾチアジ
アゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジ
ン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、アクリジン
環基、フェナントリジン環基、ベンゾキノリン環基、ナ
フトキノリン環基、ナフチリジン環基、フェナントロリ
ン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環
基、ピペラジン環基、フタラジン環基、キノキサリン環
基、キナゾリン環基、シンノリン環基、フェナジン環
基、ペリミジン環基、トリアジン環基、テトラジン環
基、プテリジン環基、オキサジン環基、ベンゾオキサジ
ン環基、フェノキサジン環基、チアジン環基、ベンゾチ
アジン環基、フェノチアジン環基、オキサジアジン環
基、チアジアジン環基、ベンゾジオキソール環基、ベン
ゾジオキサン環基、ピラン環基、クロメン環基、キサン
テン環基、クロマン環基、イソクロマン環基、セレナゾ
ール環基、ベンゾセレナゾール環基、ナフトセレナゾー
ル環基、テルラゾール環基、ベンゾテルラゾール環基な
どの複素環基が挙げられる。これらの複素環基は、前述
した各種特性基で置換されていてもよい。
【0349】また、Xとして導入されるハロゲン基とし
ては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基
などが挙げられる。
【0350】Zとして導入される置換アミノ基として
は、例えば、ピロール−1−イル基、ピロリン−1−イ
ル基、ピロリジン−1−イル基、インドール−1−イル
基、イソインドール−2−イル基、インドリン−1−イ
ル基、イソインドリン−2−イル基、カルバゾール−9
−イル基、ピラゾール−1−イル基、ピラゾリン−1−
イル基、ピラゾリジン−1−イル基、イミダゾール−1
−イル基、イミダゾリン−1−イル基、イミダゾリジン
−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ピペリジン−
1−イル基、モルホリン−4−イル基、2−ピロリジノ
ン−1−イル基、2−ピペリジン−1−イル基、ピペラ
ジン−2,5−ジオン−1−イル基、ピロリジン−2,
5−ジオン−1−イル基、ピロール−2,5−ジオン−
1−イル基、イソインドール−1,3−ジオン−2−イ
ル基、ベンゾ[f]イソインドール−1,3−ジオン−
2−イル基、ピペリジン−2,5−ジオン−1−イル
基、ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオン−2
−イル基などが挙げられる。
【0351】なお、一般式(35)において、R20が前
述の(a−1),(a−2),(a−5),(a−7)
および(a−8)で表わされる基である含窒素複素環化
合物は、合成が容易であるとともに残留物も少なく、し
かも得られる感光性ポリマー樹脂組成物の感度が高いの
で特に好ましい。例えば、R20が(a−5)で表わされ
る含窒素複素環化合物は、ヘテロアリールカルボン酸ク
ロリドとニトロアリールメタノールとを反応させること
により合成することができる。
【0352】上述した含窒素複素環化合物は、光照射前
には熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を有している
が、光照射により熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)
を失活する化合物である。具体的には、このような化合
物に光を照射することにより光分解反応が生じて、側鎖
にカルボキシル基を有する含窒素複素環化合物が形成さ
れる。こうして形成された化合物によって熱硬化促進能
が失活する。
【0353】ポリアミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー樹脂
前駆体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加する
ことにより、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)およ
び現像の工程により、微細なパターンを形成し得るポジ
型感光性ポリマー樹脂組成物が得られる。
【0354】これらの感光性熱硬化促進剤は、単独で用
いても2種以上混合して用いてもよく、感光性ポリマー
樹脂の繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル当量
以上配合することが好ましい。なお、感光性熱硬化促進
剤の配合量は、より好ましくは0.1〜4.0モル当量
であり、最も好ましくは0.1〜2.0モル当量であ
る。この理由は、感光性硬化促進剤の配合量が少なすぎ
る場合には樹脂層の感光性が不十分で十分な解像度が得
られなくなり、逆に感光性硬化促進剤の配合量が多すぎ
る場合には膜減りが大きくなったり、きれいな薄膜の形
成が困難になるおそれがあるためである。
【0355】第3のタイプの感光性熱硬化促進剤は、縮
環もしくは非縮環の置換もしくは非置換のピリジンキノ
ンジアジド化合物またはキノリンキノンジアジド化合物
である。
【0356】ここで用いうる非置換のピリジンキノンジ
アジド化合物としては、例えば、ピリジン−3,4−キ
ノン−3−ジアジドが挙げられる。また、非置換のキノ
リンキノンジアジド化合物としては、キノリン−3,4
−キノン−3−ジアジド、キノリン−3,4−キノン−
4−ジアジド、キノリン−5,6−キノン−5−ジアジ
ド、キノリン−5,6−キノン−6−ジアジド、キノリ
ン−7,8−キノン−8−ジアジド、キノリン−7,8
−キノン−7−ジアジド、ベンゾ[f]キノリン−3,
4−キノン−3−ジアジド、ベンゾ[g]キノリン−
3,4−キノン−3−ジアジド、およびベンゾ[h]キ
ノリン−3,4−キノン−3−ジアジドが挙げられる。
【0357】これらのピリジンキノンジアジド化合物ま
たはキノリンキノンジアジド化合物に導入され、置換ピ
リジンキノンジアジド化合物または置換キノリンキノン
ジアジド化合物を構成する置換基としては、例えば、ジ
置換アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、
ジブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ブチルメチ
ルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジベンジルアミノ基、
ジフェネチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリル
アミノ基、ジキシリルアミノ基、メチルフェニルアミノ
基、ベンジルメチルアミノ基など)、モノ置換アミノ基
(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ
基、イソプロピルアミノ基、tert.-ブチルアミノ基、ア
ニリノ基、アニシジノ基、フェネチジノ基、トルイジノ
基、キシリジノ基、ピリジルアミノ基、チアゾリルアミ
ノ基、ベンジルアミノ基、ベンジリデンアミノ基な
ど)、環状アミノ基(ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピ
ペラジノ基、モルホリノ基、1−ピロリル基、1−ピラ
ゾリル基、1−イミダゾリル基、1−トリアゾリル基な
ど)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルア
ミノ基、ベンゾイルアミノ基、シンナモイルアミノ基、
ピリジンカルボニルアミノ基、トリフルオロアセチルア
ミノ基など)、スルホニルアミノ基(メシルアミノ基、
エチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ
基、ピリジルスルホニルアミノ基、トシルアミノ基、タ
ウリルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ
基、スルファモイルアミノ基、メチルスルファモイルア
ミノ基、スルファニルアミノ基、アセチルスルファニル
アミノ基など)、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、ウレ
イド基、セミカルバジド基、カルバジド基、ジ置換ヒド
ラジノ基(ジメチルヒドラジノ基、ジフェニルヒドラジ
ノ基、メチルフェニルヒドラジノ基など)、モノ置換ヒ
ドラジノ基(メチルヒドラジノ基、フェニルヒドラジノ
基、ピリジルヒドラジノ基、ベンジリデンヒドラジノ基
など)、ヒドラジノ基、アミジノ基、オキシム基(ヒド
ロキシイミノメチル基、メトキシイミノメチル基、エト
キシイミノメチル基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒド
ロキシイミノプロピル基など)、ヒドロキシ基、オキシ
基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基、ヒドロキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ
基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、アセトキ
シ基など)、チオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、フ
ェニルチオ基、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基な
ど)、アルコキシアルキル基(ヒドロキシメチル基、ヒ
ドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基など)、シア
ノ基、シアナト基、チオシアナト基、ニトロ基、ニトロ
ソ基、メルカプト基、ハロゲン基(フルオロ基、クロロ
基、ブロモ基、ヨード基)、カルボキシル基およびその
塩、オキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エト
キシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ピリジル
オキシカルボニル基など)、アミノカルボニル基(カル
バモイル基、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモ
イル基、ピリジルカルバモイル基、カルバゾイル基、ア
ロファノイル基、オキサモイル基、スクシンアモイル基
など)、チオカルボキシル基およびその塩、ジチオカル
ボキシル基およびその塩、チオカルボニル基(メトキシ
チオカルボニル基、メチルチオカルボニル基、メチルチ
オチオカルボニル基など)、アシル基(ホルミル基、ア
セチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ベンゾイ
ル基、シンナモイル基、ピリジンカルボニル基、チアゾ
ールカルボニル基、トリフルオロアセチル基など)、チ
オアシル基(チオホルミル基、チオアセチル基、チオベ
ンゾイル基、ピリジンチオカルボニル基など)、スルフ
ィン酸基およびその塩、スルホン酸基およびその塩、ス
ルフィニル基(メチルスルフィニル基、エチルスルフィ
ニル基、フェニルスルフィニル基など)、スルホニル基
(メシル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル
基、ピリジルスルホニル基、トシル基、タウリル基、ト
リフルオロメチルスルホニル基、スルファモイル基、メ
チルスルファモイル基、スルファニリル基、アセチルス
ルファニリル基など)、オキシスルホニル基(メトキシ
スルホニル基、エトキシスルホニル基、フェノキシスル
ホニル基、アセトアミノフェノキシスルホニル基、ピリ
ジルオキシスルホニル基など)、チオスルホニル基(メ
チルチオスルホニル基、エチルチオスルホニル基、フェ
ニルチオスルホニル基、アセトアミノフェニルチオスル
ホニル基、ピリジルチオスルホニル基など)、アミノス
ルホニル基(スルファモイル基、メチルスルファモイル
基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル
基、ジエチルスルファモイル基、フェニルスルファモイ
ル基、アセトアミノフェニルスルファモイル基、ピリジ
ルスルファモイル基など)、アンモニオ基(トリメチル
アンモニオ基、エチルジメチルアンモニオ基、ジメチル
スルフェニルアンモニオ基、ピリジニオ基、キノリニオ
基など)、アゾ基(フェニルアゾ基、ピリジルアゾ基、
チアゾリルアゾ基など)、アゾキシ基、ハロゲン化アル
キル基(クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメ
チル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジフル
オロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロ
エチル基、ヘプタフルオロプロピル基など)、炭化水素
基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニ
ル基など)、複素環基、有機ケイ素基(シリル基、ジシ
ラニル基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基
など)などを挙げることができる。
【0358】上述したピリジンキノンジアジド化合物ま
たはキノリンキノンジアジド化合物は、光照射前には熱
硬化促進能(脱水環化反応促進能)を有しているが、光
照射により熱硬化促進能(脱水環化反応促進能)を失活
する化合物である。具体的には、このような化合物に光
を照射することにより、まず、脱窒素反応が生じてケテ
ン化合物が発生する。このケテン化合物が周囲の水と反
応してピロールカルボン酸化合物またはシクロペンタピ
リジンカルボン酸化合物となることによって熱硬化促進
能が失活する。例えば、キノリン−3,4−キノン−3
−ジアジドは、光照射前には良好な熱硬化促進能を有す
る化合物であるが、この化合物に光を照射すると、ケテ
ン化合物を経て周囲の水と反応してインドール−3−カ
ルボン酸に変化して熱硬化促進能を失活する。
【0359】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー樹脂
前駆体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加する
ことにより、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)およ
び現像の工程により、微細なパターンを形成し得るポジ
型感光性ポリマー樹脂組成物が得られる。
【0360】これらの感光性熱硬化促進剤は、単独で用
いても2種以上混合して用いてもよく、感光性ポリマー
樹脂の繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル当量
以上配合することが好ましい。なお、感光性熱硬化促進
剤の配合量は、より好ましくは0.1〜4.0モル当量
であり、最も好ましくは0.1〜2.0モル当量であ
る。感光性熱硬化促進剤の配合量が少なすぎる場合に
は、樹脂層の感光性が不十分で十分な解像度が得られな
くなる。一方、感光性硬化促進剤の配合量が多すぎる場
合には、膜減りが大きくなったり、きれいな薄膜の形成
が困難になるおそれがあるためである。
【0361】第4のタイプの感光性熱硬化促進剤は、縮
環もしくは非縮環の置換もしくは非置換の2−ヒドロキ
シピリジン化合物のヒドロキシ基を、光照射により脱離
する保護置換基で置換した含窒素複素環化合物である。
【0362】ここで用い得る縮環または非縮環の非置換
の2−ヒドロキシピリジン化合物としては、例えば、2
−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン、1−
ヒドロキシイソキノリン、3−ヒドロキシイソキノリ
ン、6−ヒドロキシフェナントリジン、2−ヒドロキシ
ベンゾ[f]キノリン、2−ヒドロキシベンゾ[g]キ
ノリン、2−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン、1−ヒ
ドロキシベンゾ[f]イソキノリン、1−ヒドロキシベ
ンゾ[g]イソキノリン、1−ヒドロキシベンゾ[h]
イソキノリン、3−ヒドロキシベンゾ[f]イソキノリ
ン、3−ヒドロキシベンゾ[g]イソキノリン、および
3−ヒドロキシベンゾ[h]イソキノリンからなる群か
ら選択された少なくとも1種の含窒素複素環化合物が挙
げられる。
【0363】上述したような含窒素複素環化合物に導入
され、置換含窒素複素環化合物を構成する置換基として
は、例えば、ジ置換アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルアミノ
基、ブチルメチルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジベン
ジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ジフェニルアミ
ノ基、ジトリルアミノ基、ジキシリルアミノ基、メチル
フェニルアミノ基、ベンジルメチルアミノ基など)、モ
ノ置換アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プ
ロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、tert.-ブチル
アミノ基、アニリノ基、アニシジノ基、フェネチジノ
基、トルイジノ基、キシリジノ基、ピリジルアミノ基、
チアゾリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ベンジリデン
アミノ基など)、環状アミノ基(ピロリジノ基、ピペリ
ジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、1−ピロリル
基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、1−トリ
アゾリル基など)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ
基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シンナモ
イルアミノ基、ピリジンカルボニルアミノ基、トリフル
オロアセチルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(メ
シルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、フェニルス
ルホニルアミノ基、ピリジルスルホニルアミノ基、トシ
ルアミノ基、タウリルアミノ基、トリフルオロメチルス
ルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メチルス
ルファモイルアミノ基、スルファニルアミノ基、アセチ
ルスルファニルアミノ基など)、アミノ基、ヒドロキシ
アミノ基、ウレイド基、セミカルバジド基、カルバジド
基、ジ置換ヒドラジノ基(ジメチルヒドラジノ基、ジフ
ェニルヒドラジノ基、メチルフェニルヒドラジノ基な
ど)、モノ置換ヒドラジノ基(メチルヒドラジノ基、フ
ェニルヒドラジノ基、ピリジルヒドラジノ基、ベンジリ
デンヒドラジノ基など)、ヒドラジノ基、アミジノ基、
ヒドロキシ基、オキシム基(ヒドロキシイミノメチル
基、メトキシイミノメチル基、エトキシイミノメチル
基、ヒドロキシイミノエチル基、ヒドロキシイミノプロ
ピル基など)、アルコキシアルキル基(ヒドロキシメチ
ル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基な
ど)、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、ニトロ
基、ニトロソ基、オキシ基(メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、フ
ェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾ
リルオキシ基、アセトキシ基など)、チオ基(メチルチ
オ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリジルチオ
基、チアゾリルチオ基など)、メルカプト基、ハロゲン
基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)、カ
ルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル基(メト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシ
カルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基など)、ア
ミノカルボニル基(カルバモイル基、メチルカルバモイ
ル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカルバモイル
基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキサモイル
基、スクシンアモイル基など)、チオカルボキシル基お
よびその塩、ジチオカルボキシル基およびその塩、チオ
カルボニル基(メトキシチオカルボニル基、メチルチオ
カルボニル基、メチルチオチオカルボニル基など)、ア
シル基(ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ア
クリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル基、ピリジ
ンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、トリフルオ
ロアセチル基など)、チオアシル基(チオホルミル基、
チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジンチオカル
ボニル基など)、スルフィン酸基およびその塩、スルホ
ン酸基およびその塩、スルフィニル基(メチルスルフィ
ニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル
基など)、スルホニル基(メシル基、エチルスルホニル
基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホニル基、ト
シル基、タウリル基、トリフルオロメチルスルホニル
基、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、スル
ファニリル基、アセチルスルファニリル基など)、オキ
シスルホニル基(メトキシスルホニル基、エトキシスル
ホニル基、フェノキシスルホニル基、アセトアミノフェ
ノキシスルホニル基、ピリジルオキシスルホニル基な
ど)、チオスルホニル基(メチルチオスルホニル基、エ
チルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニル基、ア
セトアミノフェニルチオスルホニル基、ピリジルチオス
ルホニル基など)、アミノスルホニル基(スルファモイ
ル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイ
ル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイ
ル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミノフェニ
ルスルファモイル基、ピリジルスルファモイル基な
ど)、アンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、エチル
ジメチルアンモニオ基、ジメチルスルフェニルアンモニ
オ基、ピリジニオ基、キノリニオ基など)、アゾ基(フ
ェニルアゾ基、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基な
ど)、アゾキシ基、ハロゲン化アルキル基(クロロメチ
ル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメ
チル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、トリ
フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフ
ルオロプロピル基など)、炭化水素基(アルキル基、ア
リール基、アルケニル基、アルキニル基など)、複素環
基、有機ケイ素基(シリル基、ジシラニル基、トリメチ
ルシリル基、トリフェニルシリル基など)などを挙げる
ことができる。
【0364】また、上述したような置換または非置換の
特定の含窒素複素環化合物のヒドロキシ基を保護し得
る、光の照射により脱離する保護置換基としては、例え
ば、ニトロ基で置換されたベンジル基(2−ニトロベン
ジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジニトロベン
ジル基など)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、ベ
ンゾイル基、ニトロベンゾイル基、ピリジンカルボニル
基、トリフルオロアセチル基など)、アシルメチル基
(アセトニル基、フェナシル基、ニトロフェナシル基、
ピリジンカルボニルメチル基など)、置換もしくは非置
換のアルコキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニ
ル基、2−フェニルイソプロポキシカルボニル基、2−
ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル基、2,4−ジニトロベンジルオキ
シカルボニル基、2−シアノメチルイソプロポキシカル
ボニル基、2−メチルスルホニルイソプロポキシカルボ
ニル基など)、スルホニル基(メシル基、フェニルスル
ホニル基、トシル基、ピリジルスルホニル基、トリフル
オロメチルスルホニル基、ジアゾフェノールスルホニル
基、ジアゾナフトールスルホニル基など)、スルホニル
メチル基(フェニルスルホニルメチル基、トシルメチル
基、ピリジルスルホニルメチル基、トリフルオロメチル
スルホニルメチル基など)が挙げられる。
【0365】上述したような、光照射により脱離する保
護置換基でヒドロキシ基を置換した2−ヒドロキシピリ
ジン化合物は、光照射前には熱硬化促進能(脱水環化反
応促進能)を有しているが、光照射により熱硬化促進能
(脱水環化反応促進能)を失活する化合物である。具体
的には、このような化合物に光を照射することにより、
まず、保護置換基が脱離して、核窒素原子に隣接する核
炭素原子にヒドロキシ基が発生する。次いで、互変異性
により環状アミド化することによって熱硬化促進能が失
活する。
【0366】ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)などの
加熱により脱水環化して硬化する熱硬化性ポリマー樹脂
前駆体溶液に、これらの感光性熱硬化促進剤を添加する
ことにより、塗布、露光、PEB(露光後ベーク)およ
び現像の工程により、微細なパターンを形成し得るポジ
型感光性ポリマー樹脂組成物が得られる。
【0367】これらの感光性熱硬化促進剤は、単独で用
いても2種以上混合して用いてもよく、感光性ポリマー
樹脂の繰り返し単位1モル当量に対して0.1モル当量
以上配合することが好ましい。なお、感光性熱硬化促進
剤の配合量は、より好ましくは0.1〜4.0モル当量
であり、最も好ましくは0.1〜2.0モル当量であ
る。感光性熱硬化促進剤の配合量が少なすぎる場合に
は、樹脂層の感光性が不十分で十分な解像度が得られな
くなる。一方、感光性硬化促進剤の配合量が多すぎる場
合には、膜減りが大きくなったり、きれいな薄膜の形成
が困難になるおそれがあるためである。
【0368】これらのポジ型感光性樹脂組成物において
は、前記感光性硬化促進剤の感度を増加させるために必
要に応じて増感剤を配合してもよい。増感剤としては、
具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾ
イン、2−メチルベンゾイン、ベンゾインイソプロピル
エーテル、アントロン、1,9−ベンゾアントロン、ア
ントラセン、フェナントレンキノン、ピレン−1,6−
キノン、9−フルオレノン、1,2−ベンゾアントラキ
ノン、アントアントロン、2−クロロベンズアントラキ
ノン、2−ブロモベンズアントラキノン、2−クロロ−
1,8−フタロイルナフタレン、ミヒラーケトン、4,
4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−
メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モ
ルホリノ−1−プロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸
エチル、アクリジン、シアノアクリジン、ニトロピレ
ン、1,8−ジニトロピレン、5−ニトロアセナフテ
ン、2−ニトロフルオレン、2−ターシャリーブチル−
9,10−アントラキノン、およびN−フェニルマレイ
ミドなどが挙げられる。
【0369】これらの増感剤は単独であるいは2種以上
混合して用いることができる。その配合量は、感光性ポ
リマー樹脂の繰り返し単位1モル当量に対して好ましく
は0.01モル当量以上、より好ましくは0.1モル当
量以上、最も好ましくは0.1〜5モル当量である。こ
の範囲を逸脱すると現像性や成膜性に悪影響を与えるお
それがある。
【0370】また、これらのポジ型感光性樹脂組成物に
おいては、必要に応じて染料、界面活性剤、アルカリ可
溶性樹脂などを配合してもよい。
【0371】ポジ型感光性樹脂組成物は、ポリアミド酸
などの加熱により脱水環化する熱硬化性ポリマー樹脂前
駆体を有機溶媒に溶解して得られた溶液に、光照射によ
り熱硬化促進能を失活する感光性熱硬化促進剤を加える
ことにより容易に調製することができる。この際、必要
に応じて適切な有機溶媒で希釈してもよい。場合によっ
ては、増感剤、染料、界面活性剤、およびアルカリ可溶
性樹脂などを得られた混合溶液に加え、所望により濾過
などの方法で微細な不純物を除去して調合する。すなわ
ち、本発明の感光性ポリマー樹脂組成物は、煩雑な工程
を何等伴うことなく容易に調製することができ、しかも
得られる組成物中に不純物が混入することもない。
【0372】この際、使用される有機溶剤としては、例
えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,
N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリ
ドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベンジル−
2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−
ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプロラクタ
ム、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエ
タン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2
−エトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メト
キシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエト
キシ)エチル]エーテル、1−アセトキシ−2−メトキ
シエタン、1−アセトキシ−2−エトキシエタン、(2
−アセトキシエチル)(2−メトキシエチル)エーテ
ル、(2−アセトキシエチル)(2−エトキシエチル)
エーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、テトラヒ
ドロフラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラ
ン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピリジン、ピコリ
ン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラ
クトン、炭酸プロピレン、フェノール、クレゾール、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、アセトニルアセトンなどが例示
され、これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種
以上混合して用いてもよい。
【0373】次にポジ型感光性ポリマー樹脂組成物を用
いたパターン形成方法を詳細に説明する。
【0374】まず、上述したように調製されたポジ型感
光性ポリマー樹脂組成物を、スピンコート法などにより
基板表面に塗布し、ホットプレートによる加熱などを施
して180℃以下、好ましくは120℃以下の温度で乾
燥して樹脂層を形成する。本発明の感光性ポリマー樹脂
組成物は、未露光時に硬化促進能を有する感光性熱硬化
促進剤を含有しているため、この上限温度を越える温度
で加熱した場合には樹脂層全体が硬化して、解像度が低
下してしまう。
【0375】次に、このようにして形成された樹脂層に
対し、例えば、所望のパターンを有するフォトマスクを
介して、可視光、赤外光、紫外光、EBまたはX線など
のエネルギー線を照射し、樹脂層の所望の領域に露光を
施す。なお、この際の露光方法としては、密着露光、投
影露光の何れの方式を用いてもよい。
【0376】上述のように露光を施すことにより、樹脂
層の露光部においては感光性熱硬化促進剤の熱硬化促進
能が失活するので、露光後に熱処理を施しても露光部の
樹脂層が硬化するのが妨げられる。なお、第1から第4
の各感光性熱硬化促進剤における熱硬化促進能の失活の
メカニズムは、上述したとおりである。
【0377】続いて露光後の樹脂層に対し、ホットプレ
ートなどを用いて50〜200℃、好ましくは80〜1
60℃の熱処理を施す。この熱処理工程により、樹脂層
の未露光部では硬化促進剤の作用によってポリイミド前
駆体であるポリアミド酸の脱水環化による熱硬化が進行
してポリイミドが形成される。これに対し露光部では、
上述したように露光により感光性熱硬化促進剤の硬化促
進能が失活しているので、ほとんど熱硬化が進まず、そ
の結果、露光部と未露光部との溶解性に大きな差が生じ
る。なお、所定の温度未満で樹脂層を加熱した場合に
は、感光性熱硬化促進剤の硬化促進能を十分に発揮する
ことができないので未露光部の熱硬化がほとんど進行し
ない。一方、所定の温度より高温で樹脂層を加熱した場
合には露光部においても熱硬化がかなり進行してしま
う。いずれの場合も解像度の低下を招き、微細なパター
ンを形成することが困難になる。また、熱処理の時間
は、熱処理温度にもよるが、通常0.5〜60分程度で
あり、0.5〜30分程度がより好ましい。これは、熱
処理時間が短すぎる場合には未露光部の熱硬化がほとん
ど進行せず、逆に熱処理時間が長すぎる場合には露光部
の熱硬化がかなり進行してしまい、いずれの場合も解像
度の低下を招き、微細なパターンを形成することが困難
になるからである。
【0378】熱処理後の樹脂層は、適切な現像液を用い
て浸漬法、スプレー現像法、パドル現像法などにより現
像処理を施す。ここで使用され得る現像液としては、有
機溶剤系現像液またはアルカリ水溶液系現像液が挙げら
れる。有機溶剤系現像液としては、例えば、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシア
セトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチ
ル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチ
ルホスホルトリアミド、ジメチルスルホキシド、N−メ
チル−ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプロ
ラクタムなどの非プロトン性極性溶媒を使用することが
できる。これらの溶媒は、単独であるいはメタノール、
エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエン、
キシレン、メチルセロソルブおよび水などのポリマー樹
脂の貧溶媒との混合液として使用してもよい。
【0379】また、アルカリ水溶液系現像液としては、
例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テト
ラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、プロピル
アミン、ブチルアミン、モノエタノールエチレンジアミ
ン、トリメチレンジアミン、トリメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、ヒドラジン、トリメチルヒドロキシエチル
アンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ水溶液、
または、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リ
チウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニ
ウム、炭酸水素カリウム、リン酸アンモニウム、アンモ
ニアなどの無機アルカリ水溶液を使用することができ
る。これらの水溶液に、メタノール、エタノール、アセ
トン、2−プロパノール、エチレングリコール、エチル
セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコー
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、N−メ
チルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の
有機溶媒を混合したものも用いられ得る。なお、有機溶
媒で現像すると金属性不純物の混入が少ないという利点
があるものの、安全面、衛生面および環境面から、現像
液としてはアルカリ水溶液系現像液を用いることが望ま
しい。さらに、アルカリ水溶液で現像した場合には、得
られるポリイミド膜パターンの膨潤も避けられる。
【0380】このような現像処理により露光部の樹脂層
が溶解除去されて、ポジ型のポリイミド膜パターンが形
成される。特に本発明の感光性ポリマー樹脂組成物にお
いては、光の照射により硬化促進能が失活する感光性熱
硬化促進剤を配合していることに起因して、露光後の加
熱処理により樹脂層の未露光部のみで選択的にポリアミ
ド酸の脱水環化反応が生じてポリイミドが形成される。
一方、樹脂層の露光部では硬化促進剤の熱硬化促進能が
失活しているので硬化は進行せず、ポリアミド酸のまま
で存在する。
【0381】すなわち、適切な条件で露光後加熱を行な
うことにより、樹脂層の未露光部にはポリイミドが形成
され、一方、露光部にはポリアミド酸が残るため、露光
部と未露光部との現像液に対する溶解性に大きな差異を
設けることができる。したがって、現像処理の際には露
光部のみが選択的に溶解除去され、高い解像度で微細な
パターンを形成することが可能となった。
【0382】なお、現像後の樹脂層に対しては、現像液
残渣などを除去する目的で、水、アルコール、アセトン
などを用いてリンス処理することが望ましい。さらに、
現像液やリンス液を乾燥するため、および樹脂中の一部
未硬化部分の硬化を完了せしめるために、120〜40
0℃の範囲内で加熱処理または真空加熱処理を施すこと
が望まれる。
【0383】本発明の方法によれば、フォトレジストを
別途使用することなく、パターン化されたポリイミド膜
を形成することができ、しかもアルカリ水溶液で現像可
能であるために、安全面や環境面等の問題も回避され
る。 (非線形光学材料の製造方法)次に、本発明の感光性ポ
リイイミド非線形光学材料を用いて、パターン化された
非線形光学ポリイミドの作成方法について説明する。本
発明の感光性ポリイミドは、スピンナーを用いた回転塗
布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷な
どの方法により適当な基板上に塗布することが可能であ
る。塗布膜は、ホットプレート、ベークオーブン、赤外
線などの加熱手段により50〜150℃の温度で1分〜
数時間プリベークを行い、大部分の溶媒を除去させる。
この塗布膜にマスクを用いて、パターン化されたエネル
ギー線照射を行う。ここで、エネルギー線とは、X線、
電子線、紫外線、或いは可視光線があげられる。中で
も、波長範囲200〜500nmの短波長域の紫外―可
視光線が好ましい。次に、露光部或いは未露光部を現像
液で除去することにより、レリーフパターンを得る。
【0384】現像液は、ポリマーの構造に合わせて最適
なものを選択することができるが、アンモニア、テトラ
メチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエタノール
アミンなどのアルカリ水溶液を使用することができる。
また、ポリイミドの溶媒である、N−メチル−2−ピロ
リドン、N−アセチルー2−ピロリドン、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド
などを単独、あるいはメタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、水、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール、トルエン、キシレンなどの組成物との混合
液も使用することができる。現像は、現像液を塗布膜に
スプレーする、現像液中に浸漬する、あるいは、浸漬し
ながら超音波にかけるなどの方法によって行う。
【0385】現像により形成されたレリーフパターン
は、リンス液を用いて洗浄する。アルカリ水溶液を用い
る場合にはリンス液として水が好ましく用いられ、有機
溶媒現像の場合は現像液と混和性のよいメタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、酢酸ブチルなどが
使用される。上記処理によって得られたレリーフパター
ンはポリイミドの前駆体であり、加熱手段を用いて10
0〜300℃の温度で加熱することにより、パターン化
された非線形光学ポリイミド膜が形成される。本発明の
非線形光学ポリイミド材料は低温硬化促進剤を含有して
いるため、通常のイミド化温度よりもはるかに低い温度
でイミド化を行うことが可能であり、150〜200℃
で完全にイミド化させることが可能である。非線形光学
特性を発現させるためには、100〜200℃で一旦部
分的にイミド化を進行させた後、さらに電場印加下にお
いて100〜200℃で加熱ポーリング処理を行うこと
によって、パターン化された非線形光学ポリイミド膜を
得ることができる。
【0386】なお、本発明に係る光デバイスにおいて用
いられる非線形光学材料における低温硬化促進剤は、
(AC1)水溶液中でのプロトン錯体の酸解離指数pK
aが0〜8である置換もしくは非置換の含窒素複素環化
合物、(AC2)置換もしくは非置換のアミノ酸化合
物、および(AC3)分子量が1000以下であり、少
なくとも2個以上のヒドロキシル基を有する芳香族炭化
水素化合物または芳香族複素環化合物からなる群から選
択される少なくとも1種であってもよい。前記低温硬化
促進剤は、下記一般式(36)〜(45)で表される化
合物、およびその誘導体からなる群から選択される少な
くとも1種であるであることが望ましい。
【0387】
【化34】
【0388】(上記式(37)中、R21は炭素数1〜1
0のアルキレン基、エチニレン基、または−CH2CO
−である。)
【0389】
【化35】
【0390】(上記式(40)中、X21は−C(=O)
−O−または−C(=O)−NH−、R22は炭素数1〜
4のアルキレン基、R23およびR24はメチル基またはエ
チル基である。)
【0391】
【化36】
【0392】(上記式(43)中、R25は直接結合、−
O−、−SO2−、−CH2−、−C(CH3)2−または
−C(CF3)2−である。)
【0393】
【化37】
【0394】前記低温硬化促進剤は、前記一般式(3
6)〜(39)、(41)〜(45)で表される化合物
およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも
1種と、第三級アミン化合物とを含むことを特徴とする
ことが望ましい。
【0395】
【発明の実施の形態】以下、具体例を示して本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0396】(実施例1)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、感光剤として
オルトキノンジアジド化合物を、前記ポリアミド酸10
0重量部に対して30重量部の割合で配合した。さら
に、低温硬化促進剤としてのベンゾイミダゾールを、前
記ポリアミド酸の繰り返し単位1モル等量に対して2モ
ル等量の割合で添加してポリアミド酸組成物を調製し
た。さらに、非線形光学物質としてのディスパースレッ
ド1を、ポリアミド酸組成物に対して20重量部の割合
で加えて、本実施例の非線形光学材料の原料溶液を調製
した。
【0397】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、90℃で加
熱乾燥して膜厚2μmの薄膜を作製し、パターンマスク
を介して紫外線照射装置により紫外光を照射した。照射
面における紫外光強度は、約2mW/cm2であった。露光
後、現像液を用いて現像を行った結果、ポジ型のレリー
フパターンが得られた。ついで、このパターン膜を17
0℃で30分間加熱し脱水環化したところ、ほぼ100
%イミド化したポリイミド非線形光学材料が得られた。
質量分析の結果、得られたポリイミド中のベンズイミダ
ゾールの含有量は、約50ppmであった。
【0398】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、90℃で加熱乾燥し
て膜厚2μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
170℃で30分間加熱して、試料を作製した。
【0399】これに、反射偏光干渉光学系を用いて、波
長1300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、
r33=35pm/Vという高い値が得られた。また、こ
の試料を大気中100℃で継続的に加熱したところ、2
000時間経過後も初期の電気光学定数を維持し、極め
て安定な非線形光学材料が得られたことが確認された。
また、上記ポリアミド酸組成物に感光性物質を含有しな
い場合においても、上記と同様の硬化処理をおこなう
ことによって得られた非線形ポリイミド膜は、同様の電
気光学定数ならびに同様の熱的安定性を示すことがわか
った。
【0400】(実施例2)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、感光剤として
オルトキノンジアジド化合物を、前記ポリアミド酸10
0重量部に対して30重量部の割合で配合した。さら
に、フェノール性水酸基を有する芳香族カルボン酸化合
物からなる低温硬化促進剤としての3−ヒドロキシ安息
香酸を、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モル等量に
対して2モル等量の割合で添加してポリアミド酸組成物
を調製した。さらに、非線形光学物質としてのディスパ
ースレッド1を、ポリアミド酸組成物に対して20重量
部の割合で加えて、本実施例の非線形光学材料の原料溶
液を調製した。
【0401】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、90℃で加
熱乾燥して膜厚5μmの薄膜を作製し、パターンマスク
を介して紫外線照射装置により紫外光を照射した。照射
面における紫外光強度は、約500mJ/cm2であった。
露光後、現像液を用いて現像を行った結果、ポジ型のレ
リーフパターンが得られた。現像液としては、0.6w
t%テトラメチルアンモニウムヒドロキシ水溶液を用い
た。
【0402】ついで、このパターン膜を170℃で30
分間加熱し脱水環化したところ、ほぼ100%イミド化
したポリイミド非線形光学材料が得られた。質量分析の
結果、得られたポリイミド中の3−ヒドロキシ安息香酸
の含有量は、約70ppmであった。
【0403】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚2μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
170℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。これに、反射偏光光学系を用いて、波長
1300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r
33=33pm/Vという高い値が得られた。
【0404】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0405】(実施例3)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、感光剤として
オルトキノンジアジド化合物を、前記ポリアミド酸10
0重量部に対して30重量部の割合で配合した。さら
に、低温硬化促進剤としてのp−ヒドロキシベンズアル
デヒドを、前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モル等量
に対して2モル等量の割合で、またトリエチルアミンを
前記ポリアミド酸の繰り返し単位1モル等量に対して
0.3モル等量の割合で添加してポリアミド酸組成物を
調製した。さらに、非線形光学物質としてのディスパー
スレッド1を、ポリアミド酸組成物に対して20重量部
の割合で加えて、本実施例の非線形光学材料の原料溶液
を調製した。この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、露光・現像
工程により膜厚2μmの薄膜を作製し、テストパターン
マスクを介して紫外線照射装置により紫外光を照射し
た。照射面における紫外光強度は、約500mJ/cm2で
あった。露光後、現像液を用いて現像を行った結果、ポ
ジ型のレリーフパターンが得られた。現像液としては、
0.6wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシ水溶
液を用いた。
【0406】ついで、このパターン膜を160℃で30
分間加熱し脱水環化したところ、ほぼ100%イミド化
したポリイミド非線形光学材料が得られた。質量分析の
結果、得られたポリイミド中のp−ヒドロキシベンズア
ルデヒドの含有量は、約30ppmであった。
【0407】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。これに、反射偏光光学系を用いて、波長
1300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r
33=30pm/Vという高い値が得られた。また、この
試料を大気中100℃で継続的に加熱したところ、20
00時間経過後も初期の電気光学定数を維持し、極めて
安定な非線形光学材料が得られたことが確認された。
【0408】(実施例4)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射により
多量化して揮発点が上昇し熱硬化促進能を発生する感光
性低温硬化促進剤として、3−(2−アセチルビニル)
ピリジンを前記ポリアミド酸1モル等量に対して2モル
等量の割合で添加してポリアミド酸組成物を調製した。
さらに、非線形光学物質としてのディスパースレッド1
を、前記ポリアミド酸組成物に対して20重量部の割合
で加えて、本実施例の非線形光学材料の原料溶液を調製
した。
【0409】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、90℃で加
熱乾燥して膜厚5μmの薄膜を作製し、テストパターン
マスクを介して紫外線照射装置により紫外光を照射し
た。照射面における紫外光強度は、約300mJ/cm2で
あった。露光後、130℃で5分間加熱を行った後、現
像液を用いて現像を行った結果、ネガ型のレリーフパタ
ーンが得られた。ここで現像液としては、有機溶媒現像
液としてN−メチル−2−ピロリドン(75wt%)と
イソプロピルアルコール(25wt%)の混合溶媒を用
い、120秒間浸漬後、イソプロピルアルコールでリン
ス処理を行った。また、アルカリ現像液としては、2.
38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド
水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス処理を行
った。このパターン膜を150℃で30分間加熱し脱水
環化したところ、赤外吸収分光の結果、ほぼ100%イ
ミド化したポリイミド非線形光学材料が得られているこ
とが分かった。また、質量分析の結果、得られたポリイ
ミド中の3−(2−アセチルビニル)ピリジン含有量
は、約15ppmであった。
【0410】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、配向分極処理した試料を
作製した。
【0411】これに、反射偏光光学系を用いて、波長1
300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r33
=25pm/Vという高い値が得られた。
【0412】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0413】(実施例5)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射によっ
てカルボキシル基を生成することにより熱硬化促進能を
派生し、かつ少なくとも1つの水酸基、置換もしくは非
置換のアミノ基、またはメルカプト基を有する芳香族炭
化水素化合物あるいは芳香族複素環化合物からなる感光
性低温硬化促進剤として2,2−ジメトキシ−2−フェ
ニル−ヒドロキシアセトフェノンを、前記ポリアミド酸
1モル等量に対して3モル等量の割合で添加してポリア
ミド酸組成物を調製した。さらに、非線形光学物質とし
てのディスパースレッド1を、前記ポリアミド酸組成物
に対して20重量部の割合で加えて、本実施例の非線形
光学材料の原料溶液を調製した。
【0414】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、90℃で加
熱乾燥して膜厚2μmの薄膜を作製し、テストパターン
マスクを介して紫外線照射装置により紫外光を照射し
た。照射面における紫外光強度は、約200mJ/cm2で
あった。露光後、150℃で3分間加熱した後、現像液
を用いて現像を行った結果、ネガ型のレリーフパターン
が得られた。ここで現像液としては、有機溶媒現像液と
してN−メチル−2−ピロリドン(75wt%)とイソ
プロピルアルコール(25wt%)の混合溶媒を用い、
120秒間浸漬後、イソプロピルアルコールでリンス処
理を行った。また、アルカリ現像液としては、2.38
wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶
液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス処理を行っ
た。ついで、このパターン膜を160℃で30分間加熱
し脱水環化したところ、ほぼ100%イミド化したポリ
イミド非線形光学材料が得られた。質量分析の結果、得
られたポリイミド中の2,2−ジメトキシ−2−フェニ
ル−ヒドロキシアセトフェノンの含有量は、約35pp
mであった。
【0415】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。
【0416】これに、反射偏光光学系を用いて、波長1
300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r33
=30pm/Vという高い値が得られた。
【0417】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0418】(実施例6)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射により
脱離する保護置換基で置換された化合物を含む感光性低
温硬化促進剤として3‘−ヒドロキシ−5’−(2−ニ
トロベンジルオキシ)アセトフェノンを、前記ポリアミ
ド酸1モル等量に対して0.4モル等量の割合で添加し
てポリアミド酸組成物を調製した。さらに、非線形光学
物質としてのディスパースレッド1を、前記ポリアミド
酸組成物に対して20重量部の割合で加えて、本実施例
の非線形光学材料の原料溶液を調製した。
【0419】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、90℃で加
熱乾燥して膜厚5μmの薄膜を作製し、テストパターン
マスクを介して紫外線照射装置により紫外光を照射し
た。照射面における紫外光強度は、約300mJ/cm2で
あった。露光後、150℃で5分間加熱した後、現像液
を用いて現像を行った結果、ネガ型のレリーフパターン
が得られた。ここで現像液としては、アルカリ現像液と
して2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオ
キサイド水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス
処理を行った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結
果、ほぼ100%イミド化したポリイミド非線形光学材
料が得られていることが分かった。また、質量分析の結
果、得られたポリイミド中の3‘−ヒドロキシ−5’−
(2−ニトロベンジルオキシ)アセトフェノンの含有量
は、約30ppmであった。
【0420】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、試料を作製した。
【0421】これに、反射偏光光学系を用いて、波長1
300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r33
=35pm/Vという高い値が得られた。
【0422】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0423】(実施例7)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射により
オキシド基が転移して熱硬化促進能を発生する感光性低
温硬化促進剤として4−フェニルピリジン−N−オキシ
ドを、前記ポリアミド酸1モル等量に対して0.5モル
等量の割合で添加してポリアミド酸組成物を調製した。
さらに、非線形光学物質としてのディスパースレッド1
を、前記ポリアミド酸組成物に対して20重量部の割合
で加えて、本実施例の非線形光学材料の原料溶液を調製
した。
【0424】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、90℃で加
熱乾燥して膜厚5μmの薄膜を作製し、テストパターン
マスクを介して紫外線照射装置により紫外光を照射し
た。照射面における紫外光強度は、約500mJ/cm2で
あった。露光後、150℃で5分間加熱した後、現像液
を用いて現像を行った結果、ネガ型のレリーフパターン
が得られた。ここで現像液としては、アルカリ現像液と
して2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオ
キサイド水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス
処理を行った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結
果、ほぼ100%イミド化したポリイミド非線形光学材
料が得られていることが分かった。また、質量分析の結
果、得られたポリイミド中の4−フェニルピリジン−N
−オキシドの含有量は、約30ppmであった。
【0425】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。
【0426】これに、反射偏光光学系を用いて、波長1
300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r33
=33pm/Vという高い値が得られた。
【0427】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0428】(実施例8)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射により
酸を発生して熱硬化促進能を発生する感光性低温硬化促
進剤として4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスル
ホニウム・トリフルオロメタンスルホネートを、前記ポ
リアミド酸1モル等量に対して1モル等量の割合で添加
してポリアミド酸組成物を調製した。さらに、非線形光
学物質としてのディスパースレッド1を、前記ポリアミ
ド酸組成物に対して20重量部の割合で加えて、本実施
例の非線形光学材料の原料溶液を調製した。
【0429】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、90℃で加
熱乾燥して膜厚5μmの薄膜を作製し、テストパターン
マスクを介して紫外線照射装置により紫外光を照射し
た。照射面における紫外光強度は、約500mJ/cm2で
あった。露光後、150℃で5分間加熱した後、現像液
を用いて現像を行った結果、ネガ型のレリーフパターン
が得られた。ここで現像液としては、アルカリ現像液と
して2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオ
キサイド水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス
処理を行った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結
果、ほぼ100%イミド化したポリイミド非線形光学材
料が得られていることが分かった。また、質量分析の結
果、得られたポリイミド中の4−ヒドロキシ−1−ナフ
チルジメチルスルホニウム・トリフルオロメタンスルホ
ネートの含有量は、約50ppmであった。
【0430】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。
【0431】これに、反射偏光光学系を用いて、波長1
300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r33
=22pm/Vという高い値が得られた。
【0432】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0433】(実施例9)ピロメリト酸二無水物、オキ
シ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミド
酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに溶
解した。得られたポリアミド酸の溶液に、酸と反応して
熱硬化促進能を発生する化合物に変化する潜在型の感光
性低温硬化促進剤として、潜在性熱硬化促進剤である
2,3,4,4‘−テトラキス(t−ブトキシカルボニ
ルオキシ)ベンゾフェノンおよび光酸発生剤であるN−
(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタレン−
2,3−ジカルボキシイミドを、前記ポリアミド酸1モ
ル等量に対してそれぞれ1モル等量および0.2モル等
量の割合で添加してポリアミド酸組成物を調製した。さ
らに、非線形光学物質としてのディスパースレッド1
を、前記ポリアミド酸組成物に対して20重量部の割合
で加えて、本実施例の非線形光学材料の原料溶液を調製
した。
【0434】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、露光・現像
工程により膜厚5μmの薄膜を作製し、テストパターン
マスクを介して紫外線照射装置により紫外光を照射し
た。照射面における紫外光強度は、約500mJ/cm2で
あった。露光後、150℃で5分間加熱した後、現像液
を用いて現像を行った結果、ネガ型のレリーフパターン
が得られた。ここで現像液としては、アルカリ現像液と
して2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオ
キサイド水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス
処理を行った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結
果、ほぼ100%イミド化したポリイミド非線形光学材
料が得られていることが分かった。また、質量分析の結
果、得られたポリイミド中の2,3,4,4‘−テトラ
キス(t−ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾフェノン
残基の含有量は、約40ppmであった。
【0435】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、膜厚5μmのパター
ン化薄膜を形成した。この薄膜上にAl電極を蒸着し、
50V/μmの電場を印加しつつ160℃で30分間加
熱して、分極配向処理を行った試料を作製した。これ
に、反射偏光光学系を用いて、波長1300nmにおい
て電気光学定数を測定した結果、r33=28pm/Vと
いう高い値が得られた。また、この試料を大気中100
℃で継続的に加熱したところ、2000時間経過後も初
期の電気光学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材
料が得られたことが確認された。
【0436】(実施例10)ピロメリト酸二無水物、オ
キシ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−ア
ミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロ
キサンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミ
ド酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに
溶解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射によ
り熱硬化促進能を失活するアゾメチン系化合物の感光性
低温硬化促進剤として、2−ピリジンアルドキシムを、
前記ポリアミド酸1モル等量に対して1モル等量の割合
で添加してポリアミド酸組成物を調製した。さらに、非
線形光学物質としてのディスパースレッド1を、前記ポ
リアミド酸組成物に対して20重量部の割合で加えて、
本実施例の非線形光学材料の原料溶液を調製した。
【0437】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、膜厚5μm
の薄膜を作製し、テストパターンマスクを介して紫外線
照射装置により紫外光を照射した。照射面における紫外
光強度は、約300mJ/cm2であった。露光後、150
℃で5分間加熱した後、現像液を用いて露光部を除去し
現像を行った結果、ポジ型のレリーフパターンが得られ
た。ここで現像液としては、アルカリ現像液として2.
38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド
水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス処理を行
った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結果、ほぼ1
00%イミド化したポリイミド非線形光学材料が得られ
ていることが分かった。また、質量分析の結果、得られ
たポリイミド中の2−ピリジンアルドキシムの含有量
は、約40ppmであった。
【0438】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。これに、反射偏光光学系を用いて、波長
1300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r
33=30pm/Vという高い値が得られた。また、この
試料を大気中100℃で継続的に加熱したところ、20
00時間経過後も初期の電気光学定数を維持し、極めて
安定な非線形光学材料が得られたことが確認された。
【0439】(実施例11)ピロメリト酸二無水物、オ
キシ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−ア
ミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロ
キサンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミ
ド酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに
溶解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射によ
り熱硬化促進能を失活する一般式(3)で表される含窒
素複素環化合物からなる感光性低温硬化促進剤として、
2,2−ジメトキシ−2−フェニル−ピリジンケトン
を、前記ポリアミド酸1モル等量に対して1モル等量の
割合で添加してポリアミド酸組成物を調製した。さら
に、非線形光学物質としてのディスパースレッド1を、
前記ポリアミド酸組成物に対して20重量部の割合で加
えて、本実施例の非線形光学材料の原料溶液を調製し
た。
【0440】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、膜厚5μm
の薄膜を作製し、テストパターンマスクを介して紫外線
照射装置により紫外光を照射した。照射面における紫外
光強度は、約300mJ/cm2であった。露光後、150
℃で5分間加熱した後、現像液を用いて露光部を除去し
現像を行った結果、ポジ型のレリーフパターンが得られ
た。ここで現像液としては、アルカリ現像液として2.
38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド
水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス処理を行
った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結果、ほぼ1
00%イミド化したポリイミド非線形光学材料が得られ
ていることが分かった。また、質量分析の結果、得られ
たポリイミド中の2,2−ジメトキシ−2−フェニル−
ピリジンケトンの含有量は、約40ppmであった。
【0441】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。
【0442】これに、反射偏光光学系を用いて、波長1
300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r33
=32pm/Vという高い値が得られた。また、この試
料を大気中100℃で継続的に加熱したところ、200
0時間経過後も初期の電気光学定数を維持し、極めて安
定な非線形光学材料が得られたことが確認された。
【0443】(実施例12)ピロメリト酸二無水物、オ
キシ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−ア
ミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロ
キサンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミ
ド酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに
溶解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射によ
り熱硬化促進能を失活する縮環もしくは非縮環のピリジ
ンキノンジアジド化合物またはキノリンキノンジアジド
化合物からなる感光性低温硬化促進剤として、キノリン
−3,4−キノン−3−ジアジドを、前記ポリアミド酸
1モル等量に対して1モル等量の割合で添加してポリア
ミド酸組成物を調製した。さらに、非線形光学物質とし
てのディスパースレッド1を、前記ポリアミド酸組成物
に対して20重量部の割合で加えて、本実施例の非線形
光学材料の原料溶液を調製した。
【0444】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、膜厚5μm
の薄膜を作製し、テストパターンマスクを介して紫外線
照射装置により紫外光を照射した。照射面における紫外
光強度は、約250mJ/cm2であった。露光後、150
℃で5分間加熱した後、現像液を用いて露光部を除去し
現像を行った結果、ポジ型のレリーフパターンが得られ
た。ここで現像液としては、アルカリ現像液として2.
38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド
水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス処理を行
った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結果、ほぼ1
00%イミド化したポリイミド非線形光学材料が得られ
ていることが分かった。また、質量分析の結果、得られ
たポリイミド中のキノリン−3,4−キノン−3−ジア
ジドの含有量は、約45ppmであった。
【0445】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。これに、反射偏光光学系を用いて、波長
1300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r
33=35pm/Vという高い値が得られた。
【0446】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0447】(実施例13)ピロメリト酸二無水物、オ
キシ−4,4’−ジアニリン、1,3−ビス−(3−ア
ミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロ
キサンを1:0.95:0.05比で配合したポリアミ
ド酸を、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミドに
溶解した。得られたポリアミド酸の溶液に、光照射によ
り熱硬化促進能を失活する縮環もしくは非縮環の置換も
しくは非置換の2−ヒドロキシピリジン化合物のヒドロ
キシ基を、光照射により脱離する保護置換基で置換した
含窒素複素環化合物からなる感光性低温硬化促進剤とし
て、2−(2−ニトロベンジルオキシ)ピリジンを、前
記ポリアミド酸1モル等量に対して1モル等量の割合で
添加してポリアミド酸組成物を調製した。さらに、非線
形光学物質としてのディスパースレッド1を、前記ポリ
アミド酸組成物に対して20重量部の割合で加えて、本
実施例の非線形光学材料の原料溶液を調製した。
【0448】この原料溶液をSiO2層を形成したSi
ウェハ上にスピンコートして塗膜を形成し、膜厚5μm
の薄膜を作製し、テストパターンマスクを介して紫外線
照射装置により紫外光を照射した。照射面における紫外
光強度は、約250mJ/cm2であった。露光後、150
℃で5分間加熱した後、現像液を用いて露光部を除去し
現像を行った結果、ポジ型のレリーフパターンが得られ
た。ここで現像液としては、アルカリ現像液として2.
38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド
水溶液を使用し、60秒間浸漬後、水洗リンス処理を行
った。このパターン膜は、赤外吸収分光の結果、ほぼ1
00%イミド化したポリイミド非線形光学材料が得られ
ていることが分かった。また、質量分析の結果、得られ
たポリイミド中の2−(2−ニトロベンジルオキシ)ピ
リジンの含有量は、約35ppmであった。
【0449】次に、前述と同様の原料溶液をスピンコー
ト法によりITO基板上に塗布し、露光・現像工程によ
り膜厚5μmのパターン化薄膜を形成した。この薄膜上
にAl電極を蒸着し、50V/μmの電場を印加しつつ
160℃で30分間加熱して、分極配向処理を行った試
料を作製した。
【0450】これに、反射偏光光学系を用いて、波長1
300nmにおいて電気光学定数を測定した結果、r33
=28pm/Vという高い値が得られた。
【0451】また、この試料を大気中100℃で継続的
に加熱したところ、2000時間経過後も初期の電気光
学定数を維持し、極めて安定な非線形光学材料が得られ
たことが確認された。
【0452】(実施例14):光偏向器 光ビームの進行方向を変化させる光偏向器は、レーザー
プリンタ、デジタル複写機、ファクシミリ、バーコード
リーダー、POSシステムなどに内蔵されるレーザー光
走査光学系に用いられる重要な光デバイスである。従来
知られている光偏向器としては、機械式、音響光学式、
電気光学式がある。中でも電気光学偏向器は、電気光学
効果を利用して電気光学材料の屈折率を変化させ、この
電気光学材料を透過する光の偏向方向を変化させるプリ
ズム型光偏向素子が知られている。この電気光学偏向器
は、ピコ秒オーダーの応答時間を持ち、走査速度は高速
であるが、偏向角度をあまり大きくできない。又、素子
としてセラミックや単結晶を用いたバルク素子がある
が、寸法が大きく、また偏向角度を大きくするために
は、高電圧を印加する必要があるという問題があった。
【0453】すなわち、従来の電気光学偏向器に於いて
は、LiNbO3単結晶などの電気光学結晶やセラミックス
を用いるため、電極間距離が必然的に大きくなってしま
い、数百から数千Vという高電圧を印加しても偏向角度
を大きくできず、実用的な偏向角度を得ることはできて
いない。
【0454】本発明に係る電気光学効果を用いた光学偏
向器について、図1にしたがって説明する。
【0455】図1は電気光学偏向器の基本的構成を概略
的に示した図であり、基板141上に形成された電気光
学薄膜をコア層とする光導波路層142と、前記光導波
路層の上部に形成された屈折率制御電極143と、前記
光導波路層の基板面側に形成された全面電極144、こ
れらの電極間に電圧を印加して電気光学材料中に電界を
発生させるための駆動電源145、および光ビームの入
出力手段146とからなる。ここで、屈折率制御電極と
して、たとえば三角形状の電極を形成し、下部基板電極
との間に電圧を印加した場合、電極下方の三角柱部分の
屈折率が電気光学効果に基づいて変化し、この三角柱部
分がプリズムとして働くため、入射光の偏向が生じる。
【0456】電極に挟まれた電気光学材料(電極間距離
d)にVの電圧を印加したときに生じる屈折率変化量Δ
nは、電気光学薄膜の電気光学定数をr、屈折率をnと
すれば次式(14−1)で求められる。 Δn=(1/2)・n3・r・V/d (14−1) 又、図1に示した光学偏向器で、屈折率制御電極と全面
電極との間に電圧を印加してプリズム部の屈折率をΔn
だけ変化させた場合、この光学偏向器にプリズムの底辺
から入射し斜辺から出射する入射光の偏向角度θDは、
次式(14−2)で求められる。 θD=Δn×tanα=Δn×(L/W)
(14−2)ここで、 αはプリズムの頂
角(光入射面である三角プリズムの底辺と三角プリズム
の斜辺のなす角)である。Wは三角電極の底辺の長さ、
Lは三角電極の高さである。
【0457】従って、この光学偏向器で、三角電極と全
面電極との間に加える電圧を変化させれば、出射光の偏
向角度θDを連続的に制御することができる。又、図1
に示した光学偏向器を光の進行方向にN個直列に並べれ
ば、出射光の最終的な偏向角度θ(N)は θ(N)≒N×Δn×tanα と大きくすることができる。
【0458】また、電気光学材料内部の分極の方向を、
光路に沿って交互に逆向きに配列するように配置した周
期的分極反転構造を採用することにより、さらに偏向角
を大きくとることができる。
【0459】ここでは、実施例1に示した本発明に係る
低温硬化促進剤と感光性ポリイミド非線形光学材料から
なる組成物を用いて、上記電気光学プリズムを作製し、
その光偏向特性を調べた。実施例1と同様に、SiO2
層を形成したSiウェハ基板を用い、この基板上に下部
電極層としてCr層(200Å)、Au層(2000
Å)を順次積層したものを用い、スピンコート法により
クラッド層薄膜、実施例1に記載の非線形光学ポリイミ
ド前駆体組成物、さらにクラッド層薄膜を塗布形成し、
必要なパターンを露光・現像工程により形成した。この
上に、さらに上部電極層であるAu層(1000Å)を
マスクを介して形成し、三角形状(入射部底辺100μ
m×光軸方向長さ1mm)の上部電極を得た。これを、
実施例1にしたがって配向分極処理ならびに熱硬化処理
を行い、ポリイミド導波路層を得た。下部クラッド層、
コア層、上部クラッド層の厚さは、それぞれ3μm、2
μm、3μmであり、またコア電気光学ポリイミド層の
電気光学定数は35pm/Vであった。
【0460】この光偏向器に、三角プリズムの底辺側か
ら波長830nmのレーザー光を入射し、上部電極に5
0Vを印加したところ、ビーム光がおよそ0.5°偏向
することが確認された。
【0461】また、本素子を同様に、実施例7に示した
感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光学材料とからな
る組成物を用いて作製した場合にも、同様の結果が得ら
れた。
【0462】さらに、本素子を、感光性ポリイミド樹脂
組成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポリイミ
ド樹脂組成物を用いて形成し、通常のレジスト露光・エ
ッチング工程により作製した場合にも同様の結果が得ら
れた。
【0463】本発明の光学偏向器は、光学プリズムとし
て、配向緩和寿命、非線形光学定数ともに優れた電気光
学材料が使用しているため、実用的な光偏向器を提供す
ることができる。
【0464】(実施例15):マトリックス光スイッチ 光ファイバ通信ネットワークにおいて、需要に応じて光
伝送路の切り替えたりネットワークの回線障害回避を行
うマトリックス光スイッチはきわめて重要なキーデバイ
スである。従来のマトリックス光スイッチは、「バルク
型」と呼ばれる、プリズム、ミラー、ファイバーなどを
機械的に移動させて光路切り替えを行う機械式のもの
と、「導波路型」と呼ばれる音響光学効果を用い、音波
による光の回折を利用する音響光学方式のもの、平面光
回路板に形成したツリー状の導波路網で各分岐点に微小
ヒーターにより導波路材料の屈折率温度係数を利用して
変化させ結合状態を切り替える熱光学スイッチ方式のも
の、電気光学効果を用いた導波路型光スイッチを多数組
合わせて電気的に入出力を選択するものなどがあった。
【0465】導波路型光スイッチは、小型化、集積化、
スイッチング速度、量産性などには優れる。このうち導
波路型の構成法として、入力ポートと出力ポートとの間
に光偏向器を設けて、入力ポートから入った光を特定の
出力ポートへ偏向させる型のものがある。この方式で
は、光偏向器はポートの数分だけあればよく、しかも未
偏向成分は基本的にはないためクロストーク特性に優れ
るという特徴があり、とりわけ大規模なマトリックスス
イッチにおいて有利になる。
【0466】しかし、従来の電気光学偏向器に於いて
は、LiNbO3単結晶などの電気光学結晶やセラミックス
を用いるため、電極間距離が必然的に大きくなってしま
い、数百から数千Vという高電圧を印加しても偏向角度
を大きくできず、実用的な偏向角度を得ることはできて
いない。
【0467】そこで、ウェハ状の電気光学結晶中に拡散
型の光導波路を形成し、この光導波路を挟んで電極を設
けることにより、大きな偏向角度の得られる光学偏向器
の低電圧駆動化が図られている。しかし、この場合にお
いても電極間距離はウェハ厚相当(数百μm)になって
しまうため、依然として高電圧が必要になるという問題
があった。
【0468】本発明にかかるマトリックス光スイッチの
具体的実施態様を、図2にしたがって説明する。図2
は、本発明のN×Nマトリックス光スイッチの基本構成
を示す概略図であり、光信号の入力側にN個の電気光学
効果に基づいて光を偏向する第1の光偏向器151と、
前記第1の光偏向器に平行光を入射するためのN個の第
1の薄膜レンズ152と、光信号を前記第1の薄膜レン
ズに入射するためのN個の光入射手段153、および光
信号の出射側にN個の電気光学効果に基づいて光を偏向
する第2の光偏向器154と、前記第2の光偏向器から
の平行光を集束するためのN個の第2の薄膜レンズ15
5と、前記第2の薄膜レンズで集束された光を出射する
ためのN個の光出力手段156からなる。
【0469】本発明のN×Nマトリックス光スイッチの
動作についてさらに詳しく説明する。光ファイバなどか
らの光信号を第1の薄膜レンズ152でコリメートした
後、第1の光偏向器151に入射する。第1の光偏向器
151には制御信号にもとづいて制御用電源157から
電極に電圧が印加され、この印加電圧に応じてビームの
偏向角が決定され、出力ポートが選択される。第1の光
偏向器151から送出された平行ビームを受けた第2の
光偏向器154は制御電源から電極に電圧が印加されて
偏向角が調節され、対応する第2の薄膜レンズ155へ
出射する。第2の薄膜レンズ155では、同様に印加電
圧を調整することによって、光ファイバなどの出力端へ
光ビームを集束させる。このようにして、入力ポートか
ら出力ポートへの光路の切替えが実現される。
【0470】ここでは、実施例1に示した本発明に係る
ポリイミド非線形光学材料を用いて、上記2×2マトリ
ックス光スイッチを作製し、そのスイッチ特性を調べ
た。実施例1と同様に、SiO2層を形成したSiウェ
ハ基板を用い、この基板上に下部電極層としてCr層
(200Å)、Au層(2000Å)を順次積層したも
のを用い、スピンコート法によりクラッド層薄膜、実施
例1に記載の非線形光学ポリイミド前駆体組成物、さら
にクラッド層薄膜を塗布形成し、必要なパターンを露光
・現像工程により形成した。この上に、図2の構成と同
様に、レンズ部およびプリズム部に上部電極層であるA
u層(1000Å)をマスクを介して形成した。これ
を、実施例1にしたがって配向分極処理ならびに効果熱
処理を行い、ポリイミド導波路層を得た。
【0471】このマトリックス光スイッチに、入力ポー
トの一つから波長1320nmのレーザー光を入射し、
スイッチ上部電極に所定の電圧を順次印加したところ、
出力ビーム光の取り出しポートを印加電圧に応じて順次
変えることが可能であることを確認した。
【0472】このように、光偏向器アレイを用いたN×
Nマトリックス光スイッチにおいては、チャネル数Nの
1乗に比例してスイッチが増加するため、従来の導波路
マトリックススイッチのようにチャネル数Nの2乗に比
例して素子数が増加するものに比べて、構成が簡単、小
型化可能、低消費電力といった特徴、および導波路間の
クロスがないためにクロストークが大幅に改善されると
いった特徴を持っている。さらに、電気光学効果を使用
しているため、数nsecの応答時間が可能であり、光
信号の高速ルーティングに適している。
【0473】光偏向器を構成する電気光学材料に、本発
明にかかるポリイミド非線形光学材料を用いたことによ
り、従来使用されていたLiNbO3などの無機単結晶材料で
問題となる駆動電圧の高電圧化、これら材料の高誘電率
に基づく応答速度限界などが大幅に改善される。また、
従来の高分子電気光学材料で構成したものに比べると、
配向緩和現象に基づく寿命が著しく改善されたこと、ポ
リイミド材料の低熱膨張率性により周囲温度変化の影響
を受けにくくなるなどの特徴を有している。
【0474】また、本素子を同様に、実施例7に示した
感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光学材料とからな
る組成物を用いて作製した場合にも、同様の結果が得ら
れた。
【0475】さらに、本素子を感光性ポリイミド樹脂組
成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポリイミド
樹脂組成物を用いて形成し、通常のレジスト露光・エッ
チング工程により作製した場合にも同様の動作をするこ
とが確認できた。
【0476】(実施例16) (光ヘッド) 光ディスク、光磁気ディスクなどの光学式情報記録技術
分野において読取り/書込み光ヘッドに関し、光導波路
上に受光素子、集光素子、反射素子などを集積化するこ
とによって、多数の光学部品の精密位置合わせ工程を簡
略化し、小型薄型化、軽量化を可能とする光集積回路ヘ
ッドの研究が盛んに行われている。この光集積回路ヘッ
ドの基本的構成要素は、レーザー光源と、光検出器と、
光導波路上に伝播光を導波路外に取り出し光記録媒体に
集光し、かつ光記録媒体からの信号光を光導波路内に結
合するための集光グレーティングカップラと、再結合さ
れた導波光を光検出器へ集光するグレーティングビーム
スプリッタと、書込み動作中の光源の強度を変調する光
変調器からなる。すなわち、レーザーダイオードから出
射されたレーザー光は、光導波路を伝播し、ビームスプ
リッタを通過した後集光グレーティングカップラによっ
て回折され、光ディスク上に集光される。前記光ディス
クからの反射光は、前記集光グレーティングカップラに
よって再び前記光導波路に結合され、前記ビームスプリ
ッタによって2つの反射光束に分割され、フォトダイオ
ードにより検出される。
【0477】さらに、実際の光ヘッドにおいては、ディ
スクや回転機構の偏心に対して光ビームが目標のトラッ
クに追従できるようにするため、フォーカス方向とラジ
アル方向に可動な電気機械式のボイスコイルアクチュエ
ーターを搭載している。この機械移動式のアクチュエー
ターが光ヘッド全体の寸法やコストを増大させ、しかも
慣性のために光ヘッドの帯域が制限されるという問題が
あった。このため、機械駆動部を持たない、純粋に電気
制御方式である導波路型電気光学偏向器の使用が検討さ
れている(特開平06-222400)。しかし、無機結晶のLiNbO
3を用いるのでは駆動電圧が著しく高くなるという問題
があり、また有機非線形光学材料としてLB膜を使用する
のでは十分に良質な必要膜厚を得ることができず、また
従来から知られている電気光学ポリマーを使用するので
は配向緩和現象のために特性の安定した材料が得られ
ず、実質的に実用的な導波路型電気光学偏向器を構成で
きないという問題があった。
【0478】本発明にかかる光ディスク用集積回路光ヘ
ッドの具体的な実施の態様を、図3にしたがって説明す
る。図3は、本発明の光ディスク用集積回路光ヘッドの
基本的な構成を示す概略図である。本発明にかかる光デ
ィスク用集積回路光ヘッドは、レーザー光源161、基
板160上に形成されたスラブ導波路162、レーザー
光をディスクに集光させるための集光グレーティングカ
ップラ163、集光スポットのトラッキング制御を行う
ための電気光学光偏向器164、前記レーザー光を前記
電気光学偏向器に結合するためにコリメートし、かつ反
射光を2本の反射光束に分割し光検出器に集光させるた
めのグレーティングビームスプリッタ165、光検出器
166、およびこれらを制御するための電気制御系16
7を備えている。
【0479】本発明をさらに詳しく説明すると、図3の
光ディスク用集積回路光ヘッドは、基板および基板上に
形成されたクラッド層/コア層からなるスラブ導波路1
62からなる。レーザーダイオード161からのレーザ
ー光は、スラブ導波路162に結合され、グレーティン
グビームスプリッタ165によってコリメートされたレ
ーザー光が電気光学偏向器部分164を通過した後、集
光グレーティングカップラ163で導波路外に射出さ
れ、光記録媒体ディスク168上に集光される。光ディ
スク上のピット/ランドに係る情報記録情報ならびにト
ラッキングエラー信号、フォーカシングエラー信号を含
んだ反射光は、集光グレーティングカップラ163によ
って再びスラブ導波路162に戻り、グレーティングビ
ームスプリッタ165で2分割集束された後、それぞれ
の光検出器166に受光され、光ディスク上の記録情報
が電気信号に変換される。
【0480】光情報記録媒体ディスク168の回転ぶれ
によって、ディスクの半径方向にトラックの移動が生じ
た場合に、検出器166からのトラッキング誤差信号に
もとづいて、光偏向器164に対してトラッキング変位
を補償する方向にビームを偏向させるための電圧が印加
される。光偏向器164に電圧が印加されることによっ
て光ビームは偏向し、集光グレーティングカップラ16
3によって作られるビーム集光の位置は変移する。同様
にして、反射戻り光は集光グレーティングカップラ16
3によりスラブ導波路162に戻り、光偏向器164を
通ってグレーティングスプリッタ165により光検出器
166に集光される。このようにして、レーザー光源か
らの光スポットは、忠実にトラックを追随し、光情報記
録信号を確実に書込み/読み出しを行う。
【0481】ここでは、ポリイミドベースのスラブ導波
路に、上記電気光学偏向器の部分を実施例1に示した本
発明に係るポリイミド非線形光学材料を用いて作製し
た、トラッキング制御機構を備えた光ディスク用集積回
路光ヘッドについて述べる。前述のように、電気光学偏
向器の部分には、実施例1と同様に、SiO2層を形成
したSiウェハ基板を用い、この基板上に下部電極層と
してCr層(200Å)、Au層(2000Å)を順次
積層したものを用い、スピンコート法によりクラッド層
薄膜、実施例1に記載の非線形光学ポリイミド前駆体組
成物、さらにクラッド層薄膜を塗布形成し、必要なパタ
ーンを露光・現像工程により形成した。この上に、電気
光学プリズムの屈折率制御電極としての上部電極層であ
るAu層(1000Å)をマスクを介して形成した。こ
れを、実施例1にしたがって配向分極処理ならびに効果
熱処理を行い、ポリイミド電気光学偏向器を得た。さら
に、図3に示した基本素子構造にしたがって、グレーテ
ィングビームスプリッタ、グレーティングカップラを設
け、光ヘッドとした。
【0482】本光ヘッドを用いた読み取り実験におい
て、ディスク上の集光スポットサイズは約1.3μmで
あり、波長変動、周囲温度変動のない、安定な読取り動
作が確認できた。
【0483】上述したように本発明は、光ヘッドを構成
する数多くの光学部品を集積化することによって小型
化、軽量化、低コスト化が可能であり、集積光回路中に
電気光学偏向器を設けることによって、検出系の生成す
るトラッキングエラー信号により電気的にビームの集光
位置を制御することが可能であり、電気光学定数が大き
くかつ安定な非線形ポリイミド材料を導波路に用いるこ
とによって低電圧駆動が可能となり、制御回路系への負
担を低減するとともに、1チップ化などの低コスト化を
可能にした。
【0484】また、本素子を同様に、実施例7に示した
感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光学材料とからな
る組成物を用いて作製した場合にも、同様の結果が得ら
れた。
【0485】さらに、本素子を感光性ポリイミド樹脂組
成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポリイミド
樹脂組成物を用いて形成し、通常のレジスト露光・エッ
チング工程により作製した場合にも同様の動作が確認で
きた。
【0486】(実施例17):(位相制御フェーズドア
レイアンテナ) 移動体通信の急激な普及により、電波周波数資源が逼迫
すると共に、数多くの移動体端末に対し柔軟な機能対応
を可能とすることが求められており、フェーズドアレイ
アンテナ技術が注目を浴びている。フェーズドアレイア
ンテナにおいては、複数のアンテナ素子に制御された位
相および振幅分布を有する信号を供給するビーム成形回
路が必要である。しかし、アンテナ素子数が数十から数
百の大規模なアンテナを実現するためには、電気ビーム
成形回路では回路が複雑膨大になってしまうという問題
がある。また、各アンテナ素子へ送る信号の位相を正確
に制御するためには、同軸ケーブルによる給電では損失
や重量、ならびに近接ケーブル間の干渉が問題となる。
このような問題を解決するための方策として、光伝送回
路を用いる光ビーム成形回路がある。光ファイバ、光導
波路が有する、広帯域性、低損失性、軽量性などの特徴
から近年注目を浴びている。光ビ−ム成形回路の構成方
法としては、光の位相制御によりマイクロ波・ミリ波の
位相を制御する「光位相制御方式」と、光伝送路の光路
長による遅延時間を制御する「光遅延制御方式」とがあ
る。
【0487】光位相制御方式に用いる光移相器として
は、従来電気光学結晶LiNbO3基板を用いた導波路型移
相器が用いられている。しかし、LiNbO3単結晶基板の大
きさは限られており、アンテナ素子数の増大に伴って、
このウェハ上に大規模な光移相器アレイを作りつけるこ
とはほとんど不可能であった。また、光遅延制御方式に
おける光路長の制御方法としては、予め用意された長さ
の異なる分岐伝送路を光スイッチによって選択し、遅延
量を制御する方法が用いられている。いずれの場合も、
光ビ−ム成形回路が大規模化した際に移相器や光スイッ
チを多数必要となるため、アンテナの小型化、低価格化
が困難という問題があった。
【0488】本発明にかかる、光移相制御型のフェーズ
ドアレイアンテナ用ビーム形成光回路の実施の態様を、
その基本的な構成を示す図4(アンテナ素子数4)にし
たがって説明する。
【0489】図4のビーム形成光回路では、コヒーレン
トな光源としてのレーザーダイオードと、ビーム形成に
必要な光信号処理回路である、分岐導波路、合波導波
路、光周波数シフタ、光移相器ならびに各素子をつなぐ
導波路から構成される。
【0490】レーザーダイオード171から出力された
光信号は、ビーム形成回路基板172の入力端に入射さ
れ、第1の分岐導波路186で2分割された後、一方は
2段目の光分配器173へ出力されるとともに、他方の
光信号は光周波数シフタ174を通って第2の光分配器
173へ出力される。光周波数シフタ174において
は、入射された光信号は、送信装置175でベースバン
ド信号で変調されたマイクロ波信号の周波数分だけ周波
数遷移されて出力される。第2の光分配器173におい
ては、光信号はそれぞれ4分岐された後、それぞれに光
移相器176に入射される。ここでは、入射された光信
号は、フェーズドアレイアンテナのビーム方向を決定す
る情報で制御されている移相制御用可変電源177から
の信号に応じて、それぞれ位相シフトを受けた後出力さ
れる。一方、周波数シフタ174を通った光信号は、同
じく4分割されそれぞれに光移相器176に入力される
が、こちらは合波部に到達するまでの各光路差が等しく
なるように補正するための、位相補正用の光移相器であ
る。最終段の合波導波路178においては、位相シフト
された光信号と周波数シフトを受けた光信号が合波され
て、受光器187において2乗検波により元のマイクロ
波信号が再生され、各増幅器179を経てアンテナ素子
180へ出力され放射される。
【0491】図5は、光移相器の基本構成を示す図であ
る。基板181上にクラッド層/コア層/クラッド層の
順にそれぞれのポリマ膜が積層された導波路層182が
形成されており、この導波路上の一部に長さlの電極1
83が形成され、またこの電極と平行に距離dだけはな
れた場所に同じ長さlの電極184が形成される。この
2つの電極に直流電圧を印加する、位相制御用電源18
5が接続される。この電極間に電圧Vを印加すると、こ
の導波路を進行する光信号は次式(17−1)で示され
る位相量θだけ移相される。
【0492】 θ=(2π/λ)Δn・l=(π/λ)(n3・r・ΓV/d)・l (17−1) ここで、nはコア層電気光学ポリマの屈折率、rは電気
光学定数、Γは印加電圧低減係数である。
【0493】ここでは、コア層として、実施例1に示し
た本発明に係るポリイミド非線形光学材料を用いた光移
相器を作製し、その光移相制御特性を調べた。実施例1
と同様に、SiO2層を形成したSiウェハ基板を用
い、この基板上に下部電極層としてCr層(200
Å)、Au層(2000Å)を順次積層したものを用
い、スピンコート法によりクラッド層薄膜、実施例1に
記載の非線形光学ポリイミド前駆体組成物、さらにクラ
ッド層薄膜を塗布形成し、必要なパターンを露光・現像
工程により形成した。この上に、さらに上部電極層であ
るAu層(1000Å)をマスクを介して形成し、上部
電極を設けた。これを、実施例1にしたがって配向分極
処理ならびに効果熱処理を行い、非線形ポリイミド導波
路層からなる光移相器を得た。
【0494】この光移相器から構成されるビ−ム形成回
路に、波長1320nmのレーザー光を入射し、各光移
相器電極に所定の電圧を印加したところ、アンテナ素子
から放射される無線信号のビーム出力方向を制御できる
ことが確認された。
【0495】以上の例では、アンテナ素子は4素子であ
るが、さらに多数のアンテナ素子を使用する場合でも基
本的原理は同様である。また、このようなポリイミド非
線形光学材料を用いれば、大規模な光移相器アレイを作
りつけることも可能である。また、本素子を同様に、実
施例7に示した感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光
学材料とからなる組成物を用いて作製した場合にも、同
様の結果が得られた。さらに、本素子を感光性ポリイミ
ド樹脂組成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポ
リイミド樹脂組成物を用いて形成し、通常のレジスト露
光・エッチング工程により作製した場合にも同様の動作
が確認できた。
【0496】(実施例18):(時間遅延フェーズドア
レイアンテナ) 本発明にかかる、実時間遅延制御型のフェーズドアレイ
アンテナ用ビーム形成光回路の具体的な実施の態様を、
その基本的な構成を示す図6にしたがって説明する。図
6のビーム形成光回路では、コヒーレントな光源として
レーザーダイオードと、ビーム形成に必要な光信号処理
回路である、分岐導波路、合波導波路、光周波数シフ
タ、光遅延回路ならびに各素子をつなぐ導波路から構成
される。
【0497】レーザーダイオード191から出力された
光信号は、ビーム形成回路基板192の入力端に入射さ
れ、第1の分岐導波路1901で2分割された後、一方
は第2の光分配器193へ出力されるとともに、他方の
光信号は光周波数シフタ194を通って第2の光分配器
193へ出力される。光周波数シフタ194において
は、入射された光信号は、送信装置195でベースバン
ド信号で変調されたマイクロ波信号の周波数分だけ周波
数遷移されて出力される。第2の光分配器193におい
ては、光信号はそれぞれ4分岐された後、それぞれに光
遅延回路196に入射される。ここでは、入射された光
信号は、フェーズドアレイアンテナのビーム方向を決定
する情報で制御されている遅延時間制御電源197から
の信号に応じて、それぞれ時間遅延を受けた後出力され
る。一方、周波数シフタ194を通った光信号は、同じ
く4分割されそれぞれに光遅延回路196に入力される
が、こちらは合波部198に到達するまでの各光遅延量
が等しくなるように補正するための、遅延時間補正用の
光遅延回路である。最終段の合波導波路198において
は、時間遅延された光信号と周波数シフトを受けた光信
号が合波されて、受光器1902において2乗検波によ
り元のマイクロ波信号が再生され、各増幅器199を経
てアンテナ素子1900へ出力され放射される。
【0498】前記各光遅延回路は、図7に概念的に示す
ようないくつかの長さの異なる分岐導波路と各分岐導波
路を選択するための電気光学光スイッチからなる。たと
えば4種類の長さの異なる分岐導波路を用意し、各分岐
導波路への切換えを制御すると、全部で16種類の組合
わせの時間遅延を制御することができる。ここで、遅延
回路を選択するための光スイッチとして、電気光学効果
に基づくデジタル型光スイッチを用いた。コア層とし
て、実施例1に示した本発明に係るポリイミド非線形光
学材料を用いた光スイッチを作製し、その遅延時間制御
特性を調べた。実施例1と同様に、SiO2層を形成し
たSiウェハ基板を用い、この基板上に下部電極層とし
てCr層(200Å)、Au層(2000Å)を順次積
層したものを用い、スピンコート法によりクラッド層薄
膜、実施例1に記載の非線形光学ポリイミド前駆体組成
物、さらにクラッド層薄膜を塗布形成し、必要なパター
ンを露光・現像工程により形成した。この上に、さらに
上部電極層であるAu層(1000Å)をマスクを介し
て形成し、上部電極を設けた。これを、実施例1にした
がって配向分極処理ならびに効果熱処理を行い、非線形
ポリイミド導波路層からなるデジタル型光スイッチを得
た。
【0499】アレイ上に等間隔(距離d)で並んだアン
テナ素子から無線信号を放射して、所望のビームを形成
するためには、各アンテナ素子に給電される無線信号の
位相に一定の偏差θを与えればよい。このとき、ビーム
が形成される方向Dは、波数k(=2π/λ)を用いて
次式(18−1)で与えられる。 D=cos-1(θ/kd)−π/2 (18−1) これは、光ビーム形成回路に無線信号1波長分の位相遅
延を与えることができれば、任意の放射角を設定できる
ことを意味している。屈折率1.5の光導波路なら、長
さ1cmの伝送遅延で20GHzの無線信号を1波長
分、長さ10cmの伝送遅延で2GHzの無線信号を1
波長分、遅延させることができ、特性を十分満たす。ま
た、本回路はポリイミド非線形光学材料を用いているた
め低コスト化が可能である。
【0500】また、本素子を同様に、実施例7に示した
感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光学材料とからな
る組成物を用いて作製した場合にも、同様の結果が得ら
れた。
【0501】さらに、本素子を感リイミド樹脂組成物を
用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポリイミド樹脂組
成物を用いて形成し、通常のレジスト露光・エッチング
工程により作製した場合にも同様の動作が確認できた。
【0502】(実施例19)(波長可変光フィルタ) 波長多重光通信ネットワークにおいて、波長単位でのク
ロスコネクト機能やアド・ドロップ機能の実現が必須で
あるが、このように異なる波長の信号を分離したり合波
したりする光多重分岐回路においては、任意の波長を選
択するための波長可変光フィルタが重要な構成要素とな
る。たとえば、波長1.55μm帯のWDMシステムで
は、伝送波長帯域1.543μm〜1.556μmの中
に、周波数間隔100GHz(波長間隔0.8nm)の1
6チャンネル多重や、周波数間隔200GHz(波長間
隔1.6nm)の8チャンネル多重のシステムが検討さ
れてり、光波長フィルタとしてはこの間隔よりも十分狭
い透過帯域を持つことが必要である。
【0503】波長多重光信号から特定波長の信号を分離
するための波長可変光フィルタとしては、(1)ファブ
リペロー干渉型フィルタ、(2)グレーティング型フィ
ルタ、(3)モード変換型フィルタ、(4)マッハツェ
ンダー型フィルタ、(5)AWG型フィルタなどがあ
る。(1)のファブリペロー干渉型フィルタは、ファブ
リペローエタロンのキャビティギャップをピエゾ素子で
機械的に変化させたり、充填した液晶に電圧を印加して
屈折率を変化させることによって、透過波長を変化させ
る。バンド幅は任意設定可能であるが、応答速度が数m
secと遅い点が問題である。(2)のグレーティング
型フィルタは、屈折率分布グレーティングを書き込んだ
ファイバグレーティングに応力をかけたり温度を変化さ
せることによって、反射波長を可変させる。しかし、波
長可変とともにスペクトル形状が崩れ、可変幅も数nm
と小さい。(3)のモード変換型フィルタは、LiNbO3等
の電気光学効果を有する基板に櫛型電極を形成し、電圧
を印加することによって音響波を形成し、その音響波に
応じた特定波長の偏波を90度回転させることによって偏
光分離によりフィルタ機能を実現する。数μsecの応
答速度が得られるが、透過ピークの半値幅が非常に広い
ため消光比が低いという問題がある。(4)のマッハツ
ェンダー型フィルタは、移相器におけるブロードな波長
周期的透過特性を、カスケードに組合せることによって
狭帯域化するものであり、電気光学効果を利用するため
数nsecの応答速度が得られるが、LiNbO3基板を使用
することにより挿入損失が大きいこと、駆動電圧が高い
ことが問題である。(5)のアレイ導波路回折格子フィ
ルタは、少しずつ長さの異なる多数の光導波路アレイに
よる波長ごとの位相変化が、出口の扇状スラブ導波路で
回折角の変化に変換され、波長ごとに分離されて出射す
る現象を利用した素子である。波長の連続可変が不可で
あるほか、コストが高いといった問題がある。
【0504】今後の波長多重光ネットワークにおいて
は、たとえば波長ルータのような高速に透過透過帯域を
切り替えられる波長可変光フィルタが重要になると考え
られ、この点からは電気光学効果に基づく波長制御機能
が有望である。上記波長可変光フィルタのうち、電気光
学効果を利用するものとしては、(4)マッハツェンダ
ー型フィルタと(3)モード変換型フィルタがあるが、
後者は前述のように消光比が低いため高密度波長多重通
信用途には向かない。前者のマッハツェンダー型フィル
タも透過帯域を狭めるために、実際には干渉計を直列あ
るいは並列に連結させる構造を採用する。一般に光導波
路では急峻な曲がり構造を導入すると損失がきわめて大
きくなるため、前述のような連結構造を採用すると全体
的にサイズが大型化する。また、電気光学効果を示す材
料としては、従来無機単結晶LiNbO3が考えられていた
が、ウェハサイズが限られているために上記のような大
型集積構造の一体作り込みは困難であるという問題があ
った。
【0505】本発明にかかる、波長可変光フィルタの具
体的な実施の態様を図8にしたがって説明する。 図8
は、本発明の一実施例の基本的構成を概略的に示す図で
あり、光の入出力接続手段211、基板212上に形成
された多段に接続されたマッハツェンダー導波路フィル
タ素子213(この図の場合は3個直列接続)、ならび
に各マッハツェンダー型フィルタ素子の一方のアームに
屈折率変調を与えるための電極214、およびそれらを
駆動する制御電源215とからなり、前記多段接続され
たマッハツェンダー型フィルタ素子のアーム長は、入力
側からアーム長の長い順にそれぞれ公比2の等比数列を
形成するように構成されている。
【0506】さらにこの波長可変光フィルタの構成につ
いて詳しく説明する。個々のマッハツェンダーフィルタ
素子は、入力分岐部、出力分岐部、ならびにそれらを結
ぶ直線もしくは曲線導波路からなっており、図8の場合
はそれぞれ1×2対称Y分岐、2×1対称Y分岐、そし
て直線導波路で構成されている。前記直線もしくは曲線
導波路部分は異なる光路長に設定されている。すなわ
ち、同一素子の直線導波路の等価屈折率がそれぞれ異な
るように、予め導波路の形状あるいは材料を設計してお
いて、ある等価屈折率差Δnを与えるか、幾何学的な長
さを変えておく。
【0507】次に、本発明の波長可変光フィルタの動作
につき説明する。この波長可変光フィルタの光出力特性
は、次式(19−1)のように表される。 T=[sin2(ΔK・L・2N)]/[2N・sin2(ΔK・L)] (19−1) ここで、Tは透過率、Lは最も短いフィルタ素子の直線
導波路の長さ、Nはフィルタ素子の段数(この図の場合
は3)である。ΔK=2・π・Δn/λであり、Δnは
前記直線導波路の初期等価屈折率差を表す。この初期等
価屈折率差Δnは、導波路の形状、材料などによって設
計される。電極に電圧を印加していないときは、全ての
フィルタ素子のΔnは等しく、このときΔn=Δn0
する。この透過特性は、ある一定の波長間隔をもった周
期的な透過特性となり、その透過波長間隔は、次式(1
9−2)で表される。 Δλ=λ0 2/[2・Δn・L] (19−2) ここでλ0は、Δn=Δn0としたときの透過帯域のピー
ク波長を表す。
【0508】また、透過帯域の半値幅Δλwは、次式
(19−3)で表される。 Δλw=λ0 2/[2・Δn・L・2N] (19−3) したがって、このフィルタ素子全体のチャンネル数CH
=Δλ/Δλwは2Nとなる。ここで、電極に電圧を印
加すると、ΔnがΔn+δΔnに変化することによって
波長間隔Δλをほぼ一定に維持したまま、透過ピークが
移動する。その移動量Δλtは、次式(19−4)で表
される。 Δλt=[δΔn/Δn0]・λ0 (19−4) 以上のようにして、電圧印加により透過波長を可変制御
できる、波長可変光フィルタを実現できる。
【0509】ここでは、マッハツェンダー型フィルタ素
子のコア層として、実施例1に示した本発明に係るポリ
イミド非線形光学材料を用いた波長可変光フィルタを作
製し、その透過特性を調べた。実施例1と同様に、Si
O2層を形成したSiウェハ基板を用い、この基板上に
下部電極層としてCr層(200Å)、Au層(200
0Å)を順次積層したものを用い、スピンコート法によ
りクラッド層薄膜、実施例1に記載の非線形光学ポリイ
ミド前駆体組成物、さらにクラッド層薄膜を塗布形成
し、必要なパターンを露光・現像工程により形成した。
この上に、さらに上部電極層であるAu層(1000
Å)をマスクを介して形成し、上部電極を設けた。これ
を、実施例1にしたがって配向分極処理ならびに熱硬化
処理を行い、非線形ポリイミド導波路層からなる波長可
変光フィルタを得た。この波長可変フィルタに1.54
3μm〜1.556μm帯の波長多重信号を入力し、印
加電圧を制御することによって多重化された光信号を1
波長ごとに取り出すことができた。
【0510】さらに、最小直線導波路長Lの異なるフィ
ルター素子をカスケードに接続することによって、透過
波長間隔を拡大することもできる。また、本素子を同様
に、実施例7に示した感光性低温硬化剤とポリイミド非
線形光学材料とからなる組成物を用いて作製した場合に
も、同様の結果が得られた。さらに、本素子を感光性ポ
リイミド樹脂組成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配
合のポリイミド樹脂組成物を用いて形成し、通常のレジ
スト露光・エッチング工程により作製した場合にも同様
の動作が確認できた。
【0511】本発明によれば、従来のLiNbO3ウェハを
用いた波長可変光フィルタに比べ、サイズに制限を受け
ない分、多段の、すなわち透過特性のシャープなフィル
タを構成できると共に、大型化してもコストが増加しな
いという効果を奏する。
【0512】(実施例20):(電気光学電界センサ) 回路の試験を行う手段として電気光学材料を被測定回路
に近接または接触させて電界をカップルさせ、この被測
定回路から生じる電界を検出する方法が知られている。
電気光学材料は、電界に応じて複屈折率が変化するの
で、電気光学材料に光を照射すれば、電界変化を偏光変
化として、また偏光板を利用することにより光強度変化
として検出することができる。特に光源としてレーザ光
をパルス波として用い、電界変化をサンプリング検出す
ると、パルス幅に相当する時間分解能で電気信号を測定
することが可能であり、電気光学サンプリングと呼ばれ
ている。
【0513】このような回路試験用電界センサに用いら
れる電気光学材料として、従来は無機電気光学結晶が使
用されてきたが、これらの結晶は比誘電率が大きいため
に容量性負荷として被測定電気回路の回路動作に影響を
与えたり、またこれらの結晶にレーザー光を照射するこ
とによって複屈折率が時間的に変化するという光損傷の
問題があった。有機非線形材料を分散または結合させた
高分子材料は、無機結晶系の材料に比べ応答が速いほか
比誘電率が小さいため、高時間分解能,低擾乱という特
長が期待されているが、電気光学定数の大きくかつ安定
なものが得られていないために低感度であったり、配向
緩和現象のために特性が不安定であるという問題があっ
た。
【0514】本発明にかかる電気光学電界センサの具体
的な実施の態様を、図9にしたがって詳細に説明する。
図9に示す電気光学電界センサは本発明の一実施例を示
すための基本的な構成を示しており、透明な基板231
と、前記基板に形成された電気光学薄膜232と、前記
電気光学薄膜上に形成された反射膜233と、前記透明
基板の裏面から光を照射して前記電気光学薄膜を通過し
て前記反射膜で反射した光を前記透明基板を通して取り
出すための光の入出力手段234とからなり、前記電気
光学薄膜は被測定電子回路235に近接して設置されて
いる。
【0515】次に、本発明にかかる電気光学電界センサ
の動作原理についてさらに詳しく説明する。
【0516】電子回路の動作状態試験を行うために、電
気光学材料を被測定回路に近接させ、被測定回路の配線
に流れる電気信号が作るフリンジ電界236とカップル
させることにより、電気光学材料の複屈折率変調を光学
的に検出する手段が用いられている。電界変化を偏光変
化、あるいは偏光版との組合わせによって強度変化とし
て検出することができる。
【0517】ここでは、電気光学薄膜層として、実施例
1に示した本発明に係るポリイミド非線形光学材料を用
いた電気光学電界センサを作製し、その検出特性を調べ
た。実施例1と同様に、ガラス基板を用い、スピンコー
ト法により、実施例1に記載の非線形光学ポリイミド前
駆体組成物薄膜を塗布形成し、必要なパターンを露光・
現像工程により形成した。この上に、さらに反射層であ
るAu層(1000Å)をマスクを介して形成し、反射
膜を設けた。これを、実施例1にしたがって配向分極処
理ならびに熱硬化処理を行い、非線形ポリイミド導波路
層からなる電気光学電界センサを得た。本電気光学電界
センサをロジックICチップの表面に近接して配置し入力
レーザー光の変動を検出したところ、ICの動作状態に対
応する光変調信号がS/N比良く検出された。
【0518】また、本素子を同様に、実施例7に示した
感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光学材料とからな
る組成物を用いて作製した場合にも、同様の結果が得ら
れた。
【0519】さらに、本素子を感光性ポリイミド樹脂組
成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポリイミド
樹脂組成物を用いて形成し、通常のレジスト露光・エッ
チング工程により作製した場合にも同様の動作が確認で
きた。
【0520】本発明によれば、非線形光学材料が、電気
光学定数の大きくかつ安定なものであるために高感度で
あり、配向緩和が生じにくいため特性が安定な電気光学
電界センサが得られる。
【0521】(実施例21):フォトリフラクティブ光
記録媒体 従来の光熱相変化記録媒体または光磁気記録媒体に比較
してはるかに高密度で記録できる光記録媒体として、フ
ォトリフラクティブ光記録媒体が知られている。フォト
リフラクティブ効果とは、光照射により物質内に生じた
光キャリアがドリフトあるいは拡散してトラップに捕獲
され、このトラップされた空間電荷によって生じる電場
による電気光学効果に基づいて物質の屈折率変化が引き
起こされる現象を指す。照射光として、コヒーレントな
2つの光束の干渉による干渉縞を用いた場合には照射光
強度の周期に応じた空間電荷が格子状に形成され、した
がって屈折率変化格子が形成される。
【0522】従来、このようなフォトリフラクティブ物
質としてLiNbO3やBaTiO3などの無機結晶が用いられてい
たが、これらの無機結晶では感度と応答速度がトレード
オフの関係にあり、両方ともに改善させることが困難で
あった。また、結晶材料であるが故に、成型性、加工性
に劣るという問題もあった。そこで、これら無機結晶の
欠点を克服する材料として、有機フォトリフラクティブ
材料が種々検討されてきた。フォトリフラクティブ材料
の機能は、電気光学特性、電荷発生作用、電荷輸送性と
に分解して考えうることから、これらの機能を1物質で
全て備える「単一系」と、各機能ごとに異なる物質を組
合わせて構成する「分散系」の二つに分類されている。
単一系は、1種類の分子からなるために相分離を生じな
いという大きな特徴を有するが、3機能の構造を1分子
に組み込むために合成が難しいという問題がある。一
方、分散系は製造は容易であるが、3機能に対応する物
質を分子レベルで均一かつ安定に分散させることが難し
く、熱的安定性、経時的安定性に問題があった。
【0523】本発明にかかるフォトリフラクティブ光記
録媒体として、電荷発生材料、電荷輸送材料、ならびに
電気光学ポリマーからなる分散系フォトリフラクティブ
材料を作製した。ホール輸送材料として、ジエチルアミ
ノ−ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン(DE
H)を、電気光学ポリマーとして、実施例1に示した本
発明に係るポリイミド非線形光学材料を用いたフォトリ
フラクティブ光記録媒体を作製し、その特性を調べた。
実施例1と同様に、ITO層を形成したガラス基板を用
い、スピンコート法により前記DEHと実施例1に記載
の非線形光学ポリイミド前駆体組成物とからなる混合組
成物の薄膜を塗布形成し、必要なパターンを露光・現像
工程により形成した。さらに上部電極としてITO膜を
作製し、これを、実施例1にしたがって配向分極処理な
らびに熱硬化処理を行い、非線形ポリイミド導波路層か
らなるフォトリフラクティブ光記録媒体を得た。
【0524】フォトリフラクティブ光記録媒体の特性と
して、ニ光波結合による結合利得係数の測定を行った。
すなわち、フォトリフラクティブ光記録媒体に2つの光
ビームを照射して光強度分布の干渉縞を形成し、これに
電場を印加して前記光強度分布とは位相差を有する屈折
率格子を形成することによって回折ビームが生じるの
で、その回折効率を測定した。光源として、2本のHe
−Neレーザーを用いて測定した結果、回折効率として
10%が得られた。
【0525】また、本素子を同様に、実施例7に示した
感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光学材料とからな
る組成物を用いて作製した場合にも、同様の結果が得ら
れた。
【0526】さらに、本素子を感光性ポリイミド樹脂組
成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポリイミド
樹脂組成物を用いて形成した場合にも同様の動作が確認
できた。
【0527】本発明のフォトリフラクティブ光記録媒体
は、十分な屈折率変化が生じ、また、熱的安定性、経時
的安定性も満たすものである。
【0528】(実施例22):アナログ光伝送用変調器 無線信号を光ファイバを用いて光伝送する「アナログ光
伝送技術」は、CATVや電波不感知帯対策などに代表
される領域で実用化され、さらには移動体通信の無線伝
送変調方式などに左右されない統合無線ネットワーク構
築技術として研究が盛んになってきた。現状の変調周波
数は1GHz程度と低いが、将来は高速伝送や大容量伝
送などを実現するためにミリ波などの高い変調周波数が
用いられると考えられる。このような高い周波数では、
半導体レーザーの直接変調では波長チャーピングが問題
となるため、マッハツェンダ型あるいは方向性結合器型
などの外部光変調器を用いて光変調を行う。しかし、外
部変調器の非線形動作特性(光出力が電圧と直線関係に
ない)により、多チャンネルの信号を扱うサブキャリア
伝送では、3次相互変調歪(以下、IM3という。)に
より発生する信号成分がチャンネル帯域内に入って伝送
リンクのダイナミックレンジを低減するため、変調器の
非線形歪低減によるIM3成分の抑制が極めて重要な課
題となっていた。
【0529】マッハツェンダ型外部光変調器の場合は、
変調特性がコサイン2乗特性なので、IM3成分位相変
調指数mにより一意的に決定され、位相変調指数が大き
くするとIM3成分は大きくなる。一方で、受光器での
受信信号強度は光信号の変調度の2乗に比例するため、
受信信号強度を大きくするためには、位相変調指数はあ
まり小さくすることができない。このような問題を解決
するために次に示すいくつかの方法が提案されてきた。 (1)入力信号にプリディストーション(前置補償)を
行う方法。 (2)2つの光変調器を並列に接続してIM3成分をキ
ャンセルする方法。 (3)2つの光変調器を直列に接続してIM3成分をキ
ャンセルする方法。 (1)のプリディストーションを与える方法は、動作周
波数によって各種パラメータの最適化が不可欠であり、
さらに高周波数領域においてはそのような電子回路を構
成すること自体が困難あるいは高価格になるという問題
があった。また、(2)あるいは(3)の方法では上記
問題点は回避されるものの、マッハツェンダー型導波路
素子ユニットや方向性結合器型ユニットを、直列および
/または並列に複数接続する構成となるため、基板のサ
イズが大型化し、従来の電気光学結晶ウェハではサイズ
が制限されるために十分な特性をもった素子を作製でき
ないという問題があった。
【0530】本発明にかかる、アナログ光伝送用変調器
の具体的な実施の態様を図10にしたがって詳細に説明
する。図10に示すアナログ光伝送用変調器は、本発明
の一実施例を示す基本的な構成であり、光の入出力接続
手段220、基板221上に形成された直列に接続され
たマッハツェンダー導波路素子222、ならびに各マッ
ハツェンダー型素子にバイアスを与えるための電極22
3、および変調信号を与える電極224とが設置されて
いる。
【0531】次に、本発明にかかる電気光学電界センサ
の動作原理についてさらに詳しく説明する。
【0532】単独マッハツェンダー型素子で生じる3次
相互変調歪(IM3)は、次段のマッハツェンダー素子
の駆動バイアスおよび変調電圧信号の振幅ならびに位相
を制御することによって、ちょうど打ち消し合わせるこ
とが可能となる。
【0533】ここでは、マッハツェンダー型フィルタ素
子のコア層として、実施例1に示した本発明に係るポリ
イミド非線形光学材料を用いた波長可変光フィルタを作
製し、その透過特性を調べた。実施例1と同様に、Si
O2層を形成したSiウェハ基板を用い、この基板上に
下部電極層としてCr層(200Å)、Au層(200
0Å)を順次積層したものを用い、スピンコート法によ
りクラッド層薄膜、実施例1に記載の非線形光学ポリイ
ミド前駆体組成物、さらにクラッド層薄膜を塗布形成
し、必要なパターンを露光・現像工程により形成した。
この上に、さらに上部電極層であるAu層(1000
Å)をマスクを介して形成し、上部電極を設けた。これ
を、実施例1にしたがって配向分極処理ならびに熱硬化
処理を行い、非線形ポリイミド導波路層からなるアナロ
グ光伝送用変調器を得た。本素子の動作特性を調べたと
ころ、バイアスに対する直線応答領域が、単独マッハツ
ェンダー素子に比較して拡大しており、より大きなダイ
ナミックレンジが取れることがわかった。
【0534】また、本素子を同様に、実施例7に示した
感光性低温硬化剤とポリイミド非線形光学材料とからな
る組成物を用いて作製した場合にも、同様の結果が得ら
れた。
【0535】さらに、本素子を感光性ポリイミド樹脂組
成物を用いず、単なる低温硬化促進剤配合のポリイミド
樹脂組成物を用いて形成し、通常のレジスト露光・エッ
チング工程により作製した場合にも同様の動作が確認で
きた。
【0536】本発明によれば、従来のLiNbO3ウェ
ハ上に形成されるアナログ光伝送用変調器に比べ、サイ
ズに制限されない分素子の多段接続により非線形性の改
善が大幅に向上すると共に、サイズを増加してもコスト
が著しくは増加しないという効果を奏する。
【0537】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、高い耐熱性と優れた非線形光学特性をと有する電気
光学材料およびその製造方法が提供される。また本発明
によれば、電気光学ポリマーを用いた種々の高性能な非
線形光学デバイスが提供される。
【0538】本発明により、ポリイミドをベースポリマ
ーとしつつ約200℃以下でイミド化処理を実現するこ
とが可能となる。このように高Tgポリマーを使用する
ことで非線形光学物質の配向緩和を抑制するとともに、
高温プロセスによる非線形光学特性の劣化を防止するこ
とできる。その結果、配向緩和寿命、非線形光学定数と
もに優れた電気光学材料が使用できるようになり、従来
より動作原理は知られていても実用的に信頼性のあるま
た同時に高性能な電気光学材料がなかったために実現し
ていなかった種々の非線形光学デバイスが実現でき、そ
の工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光偏向器の基本的構成を示す
図。
【図2】 本発明に係るマトリックス光スイッチの基本
的構成を示す図。
【図3】 本発明に係る光情報記録媒体用光ヘッドの基
本的構成を示す図。
【図4】 本発明に係る位相制御型フェーズドアレイア
ンテナ用ビーム形成光回路を示す図。
【図5】 本発明に係る位相制御型フェーズドアレイア
ンテナ用ビーム形成光回路に用いる光移相器を示す図。
【図6】 本発明に係る遅延時間制御型フェーズドアレ
イアンテナ用ビーム形成光回路を示す図。
【図7】 本発明に係る遅延時間制御型フェーズドアレ
イアンテナ用ビーム形成光回路に用いる光遅延回路を示
す図。
【図8】 本発明に係る波長可変光フィルタを示す図。
【図9】 本発明に係る電気光学電界センサを示す図。
【図10】 本発明に係るアナログ光伝送用変調器を示
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01R 29/08 G02F 1/061 501 4J043 31/302 1/065 5J021 G02F 1/061 501 1/313 1/065 1/365 1/313 H01Q 3/30 1/365 G01R 15/07 C H01Q 3/30 31/28 L Fターム(参考) 2G025 AA00 AB11 2G132 AA00 AD01 AF15 AL11 2H079 AA02 AA08 AA12 AA14 BA01 BA03 CA05 CA12 DA07 EA03 EA04 EA05 GA04 GA05 2K002 AA02 AA04 AA07 AB05 AB06 AB07 AB09 BA06 CA06 DA06 DA07 DA08 EA14 FA27 HA02 HA03 HA05 HA16 4J002 CM041 EE037 EF037 EF097 EN027 EQ016 ES006 ET006 EU027 EU037 EU107 EU137 EU167 EU187 EU207 EU217 EU237 EV216 EW017 FD147 FD206 GP00 4J043 PA02 PA19 PC145 PC146 QB15 QB26 RA05 RA35 SA06 SB01 TA22 TB01 UA041 UA042 UA121 UA122 UA131 UA132 UA141 UA142 UA152 UA162 UA252 UA261 UA262 UA361 UA381 UA391 UA761 UB011 UB012 UB021 UB022 UB061 UB062 UB131 UB132 UB151 UB152 UB281 UB282 UB301 UB302 UB351 UB352 UB401 UB402 YA05 YB08 ZA51 ZA60 ZB21 ZB24 5J021 AA05 DB03 FA06 FA26 FA32

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】感光性ポリイミドと、非線形光学物質ある
    いは非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤
    とを含有することを特徴とする非線形光学材料。
  2. 【請求項2】ポリイミドと、非線形光学物質あるいは非
    線形光学機能を有する修飾基と、感光性低温硬化促進剤
    とを含有することを特徴とする非線形光学材料。
  3. 【請求項3】感光性ポリイミド前駆体と、非線形光学物
    質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化
    促進剤とを含有することを特徴とする非線形光学材料用
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】ポリイミド前駆体と、非線形光学物質ある
    いは非線形光学機能を有する修飾基と、感光性低温硬化
    促進剤とを含有することを特徴とする非線形光学材料用
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項3又は4記載の非線形光学材料用樹
    脂組成物膜を基板上に形成する工程と、前記膜を50℃
    以上150℃以下の温度範囲で加熱処理するプリベーク
    工程と、前記プリベークを施した樹脂組成物薄膜を10
    0℃以上250℃以下で前硬化処理を行う工程と、前記
    前硬化処理を行った膜に電場を印加しながら100℃以
    上300℃以下の範囲で加熱する配向処理工程とを具備
    することを特徴とする、非線形光学材料の製造方法。
  6. 【請求項6】電圧印加により屈折率、あるいは位相、あ
    るいは光強度の制御を行う機能を有する非線形光学材料
    領域を有し前記非線形光学材料領域が請求項1又は2記
    載の非線形光学材料を用いたことを特徴とする光デバイ
    ス。
  7. 【請求項7】スラブ型導波路構造、あるいは直線状導波
    路構造、あるいは均一Δβ型もしくは反転Δβ型などの
    方向性結合器型導波路構造、あるいは全反射型導波路構
    造、あるいはマッハツェンダー型もしくはX交差型など
    の干渉器型導波路構造、あるいはY分岐型もしくは非対
    称X分岐型などのデジタル型、またはこれらの直列ない
    し並列結合の導波路構造、または3次元的積層構造を有
    する導波路型光デバイスにおいて、前記導波路がポリイ
    ミドと、非線形光学物質あるいは非線形光学機能を有す
    る修飾基と、低温硬化促進剤とを含有する非線形光学材
    料を用いたことを特徴とする導波路型光デバイス。
  8. 【請求項8】薄膜で形成された光導波路と、前記光導波
    路に光源からの光ビームを入射させる手段と、前記光導
    波路上に設けた電極に与える入力電気信号によって電気
    光学効果により前記光導波路の屈折率を変化させ前記光
    ビームを偏向させる電気光学プリズムと、偏向された光
    ビームを前記光導波路から出射させるための手段とを備
    える光学偏向器において、前記電気光学効果を示す電気
    光学プリズムにポリイミドと、非線形光学物質あるいは
    非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤とを
    含有する非線形光学材料を用いたことを特徴とする光偏
    向素子。
  9. 【請求項9】複数の入力ポートから入る入力光を、電気
    光学効果により動作する光偏向器を用いて出射方向を制
    御し、複数の出力ポートのいずれかに選択的に送出する
    ことによってスイッチング動作を行う型のマトリックス
    光スイッチにおいて、前記電気光学効果により動作する
    光偏向器にポリイミドと、非線形光学物質あるいは非線
    形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤とを含有
    する非線形光学材料を用いたことを特徴とするマトリッ
    クス光スイッチ。
  10. 【請求項10】レーザー光源と、光検出器と、光導波路
    上に伝播光を導波路外に取り出し光記録媒体に集光し、
    かつ光記録媒体からの信号光を光導波路内に結合するた
    めの集光グレーティングカップラと、再結合された導波
    光を光検出器へ集光するグレーティングビームスプリッ
    タと、集光スポットのトラッキングを制御するための電
    気光学偏向器とを備える光ディスク用光集積回路ヘッド
    において、前記電気光学偏向器にポリイミドと、非線形
    光学物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低
    温硬化促進剤とを含有する非線形光学材料を用いたこと
    を特徴とする光ディスク用光集積回路ヘッド。
  11. 【請求項11】入力高周波信号を光信号に変換するため
    の電気光変換器と、前記電気光変換器から出力される光
    信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送路を介して伝送
    される光信号の位相を電気光学効果により可変制御する
    光移相器と、移相量制御のための制御電圧を前記光移相
    器に出力する制御電圧発生装置と、前記光位相器で位相
    が制御された光信号を高周波信号に変換するための光電
    気変換器と、前記光電気変換器から出力される高周波信
    号を増幅する増幅装置と、アレイアンテナ素子とを備え
    る光制御フェーズドアレイアンテナにおいて、前記光信
    号の位相を電気光学効果により可変制御する光位相器に
    ポリイミドと、非線形光学物質あるいは非線形光学機能
    を有する修飾基と、低温硬化促進剤とを含有する非線形
    光学材料を用いたことを特徴とするフェーズドアレイア
    ンテナ。
  12. 【請求項12】入力高周波信号を光信号に変換するため
    の電気光変換器と、前記電気光変換器から出力される光
    信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送路を介して伝送
    される光信号の遅延量を電気光学効果光スイッチによる
    光路切替によって制御する光遅延伝送回路と、遅延量制
    御のための光路選択を行う制御電圧を前記電気光学効果
    光スイッチに出力する制御電圧発生装置と、前記光遅延
    伝送回路で遅延時間が制御された光信号を高周波信号に
    変換するための光電気変換器と、前記光電気変換器から
    出力される高周波信号を増幅する増幅装置と、アレイア
    ンテナ素子とを備える光制御フェーズドアレイアンテナ
    において、前記光信号の遅延時間を制御する電気光学効
    果光スイッチににポリイミドと、非線形光学物質あるい
    は非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤と
    を含有する非線形光学材料を用いたことを特徴とするフ
    ェーズドアレイアンテナ。
  13. 【請求項13】光の入出力接続手段、基板上に形成され
    た多段に接続されたマッハツェンダー導波路フィルタ素
    子、ならびに各マッハツェンダー型フィルタ素子の一方
    のアームに屈折率変調を与えるための電極、およびそれ
    らを駆動する制御電源とを備え、前記多段接続されたマ
    ッハツェンダー型フィルタ素子のアーム長は、入力側か
    らアーム長の長い順にそれぞれ公比2の等比数列を形成
    するように構成されている波長可変光フィルタにおい
    て、前記マッハツェンダー型フィルタ素子の屈折率変調
    を行う導波路ににポリイミドと、非線形光学物質あるい
    は非線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤と
    を含有する非線形光学材料を用いたことを特徴とする波
    長可変光フィルタ。
  14. 【請求項14】透明な基板上に形成された電気光学薄膜
    と、前記電気光学薄膜に前記基板側から光を照射するた
    めの光照射手段とを具備し、被測定電気回路に前記電気
    光学薄膜を近接あるいは接触させて用いる電気光学型電
    界センサにおいて、前記電気光学薄膜にポリイミドと、
    非線形光学物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基
    と、低温硬化促進剤とを含有する非線形光学材料を用い
    たことを特徴とする電気光学型電界センサ。
  15. 【請求項15】電荷発生材料、電荷輸送材料および電気
    光学材料を含有する単独あるいは複数の積層構造を備え
    るフォトリフラクティブ光記録媒体において、前記電気
    光学材料がにポリイミドと、非線形光学物質あるいは非
    線形光学機能を有する修飾基と、低温硬化促進剤とを含
    有する非線形光学材料を用いたことを特徴とするフォト
    リフラクティブ光記録媒体。
  16. 【請求項16】 光の入出力接続手段、基板上に形成さ
    れた直列ないし並列に多段に接続されたマッハツェンダ
    ー導波路素子、ならびに各マッハツェンダー型素子にバ
    イアスを付与するための電極ならびに、変調電気信号を
    付与するための電極、およびそれらを駆動する制御回路
    とを備えるアナログ光伝送用変調器において、前記マッ
    ハツェンダー型素子の導波路にポリイミドと、非線形光
    学物質あるいは非線形光学機能を有する修飾基と、低温
    硬化促進剤とを含有する非線形光学材料を用いたことを
    特徴とするアナログ光伝送用変調器。
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