JP2019100932A - 光偏向素子の性能評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マルチ光導波路を用いた光偏向素子における各光導波路の初期位相と電気光学定数を直接的に測定できる光偏向素子の性能評価装置を提供する。【解決手段】性能評価装置は、レーザ光を偏光する偏光子と、偏光子に接続される光偏向素子の光入射端にニアフィールドで光学的に結合される光出射端を有する第1光ファイバと、光偏向素子の光出射端にニアフィールドで光学的に結合される光入射端を有する第2光ファイバと、第2光ファイバからレーザ光が入射される波長板と、偏光子とクロスニコルの関係で波長板の出力側に配置される検光子と、検光子の出射光に含まれる、光導波路で付与された位相差を相殺する位相補償器と、位相補償器の出射光を検出する光検出部と、光検出部の検出光の出力を検出する出力検出部と、光導波路に印加する電圧を制御する制御部と、電圧の印加による光導波路におけるレーザ光の位相の変化量を演算する演算部とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、光偏向素子の性能評価装置に関する。
光を偏向する素子として、機械的な動作原理に基づくMEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)がすでに開発されている。一方、機械的な動作を伴わないで電気的に偏向動作させる偏向素子として、光フェーズドアレイが急速に期待を集めるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
光フェーズドアレイは、従来の機械的な偏向素子と異なり、発生した光ビームの偏向動作に加えて、光の収束や発散が自在に行える。一方、これら、光の偏向、収束、発散を行うためには、光フェーズドアレイの個々のチャンネル光導波路(0ptical channel waveguide、略称としてチャンネルまたは光導波路と表記)ごとに搭載された位相シフタについて、位相補正を行ってフィードバック制御を行わなければならない(例えば、特許文献2参照)。
さらに光フェーズドアレイの位相制御を行うためには、光フェーズドアレイを構成するチャンネル毎に、電気的な光の位相制御行う必要がある。電気的に光の位相を変調する手段としては、液晶、熱光学効果、電気光学(EO:electro-optic)効果がある。中でも、EO効果は、10GHz以上の超高速応答性があるため、光フェーズドアレイの位相シフタとして好適である。
一方、EO効果を使ったデバイスの性能指標として、電気光学定数がある。例えばEO効果を発現する材料として、EOポリマーの場合、電気光学効果による屈折率n変化の大きさを表す電気光学定数(EO定数:ポッケレス定数)rは、変調する印加電界Eとして、次式(1)で表される。
また、電場Eを印加したときの屈折率n(E)は、さらに次式(2)で近似することができる。
電気光学定数rは、通常r13、r33などの表記などテンソル量として記述される。
従来までにEO 定数の測定方法としては、マイケルソン(Michelson) 干渉法やマッハツェンダー(Mach-Zehnder) 干渉法のように2つの光路に分かれた位相差から検出する位相検出法とセナルモン(Senarmont)法のように互いに直交した二つの直線偏光の間の印加電界による位相差を検出する位相差検出法とに大別されている(例えば、特許文献3参照)。
セナルモン法では、リターダであるバビネソレイユ(Babinet-Soleil)補償板や1/4波長板などによって偏光の補償を行いながら位相差を検出し、位相差の外部電界(実際には、素子に印加する電圧)特性からEO効果の性能指数である電気光学定数を算出する(例えば、特許文献3参照)。
セナルモン法による位相差評価については、一種のエリプソメトリー(ellipsometry)法と考えることもできる。特に反射型エリプソメトリー(reflection ellipsometry)法を使った方法による電気光学定数の測定法としては、C.C. TengとH. T. Manらによって開発されたTeng-Man法が被測定試料の準備および測定手法の簡便さから広く用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
この手法では、ガラス基板/透明電極/EO材料/金属電極の試料を用意し、試料に対して45°に偏光したレーザ光をガラス基板側から入射させる。ここで、EO材料は、例えばEOポリマーなど電気光学効果を有する材料を想定している。また、その際、試料内部からの信号を含まないガラス基板表面からの光反射の影響を除去するため、アパチャー(細孔)を使って空間的にガラス基板表面からの反射光をブロックすることで、測定精度を高めている。
一方、最近になって、山田らのグループによって、Teng-Man法による反射型に代えて、試料の透過光を利用し、しかもアパチャーを設けることなく測定精度の高い電気光学定数の測定法が開発された(例えば、非特許文献2参照)。
この透過型の手法は、アパチャーを設けていないことを特徴とし、ガラス基板と試料間による多重反射や試料内部での多重反射の影響を受けないため、従来のTeng-Man法に比べて高い測定精度を持つEO定数の算出が可能となっている。
これらの算出法は、EO材料について、材料固有の性能を測定するためには有効な手段であって、ガラス基板/透明電極/EO材料/金属電極などのスラブ型、または結晶を用いたバルク型と呼ばれるデバイスのEO定数を求めるのに用いられてきた。これらスラブ型やバルク型の光変調デバイスは実用化されているものの、近年では高速性動作が期待できる光導波路構造を持つデバイス、特に光導波のコア径が2μm程度のデバイスも多く開発されるようになってきた。
光導波路型として最も単純な光変調素子は、Mach-Zehnder型素子であって、2本の光導波路から構成されたデバイスを基本構造とする。このデバイスの場合間の光干渉を利用した光変調器に代表されるように、干渉効果を利用した光出力の出力特性から直接電気光学定数を求めることができる。すなわち、2つの導波路間の位相差成分が直接光出力強度に反映されるため、光出力のオン、オフを与える印加電圧の値から半波長電圧(πの位相差を与える最小駆動電圧)Vπを求めることで、簡単にしかも高精度に電気光学定数を求めることができる。
一方、最近になって2本以上の光導波路をもつマルチ光導波路を用いたデバイスも開発されるようになってきた。この技術は、例えば光フェーズドアレイに代表されるように、光出力ビームの偏向方向に加えて、光ビーム形状が制御できるなど、その出力光ビームの高い制御性が注目されている。
マルチ光導波路を使った光偏向位素子の場合、その光出力特性は、2つの導波路間の単純な干渉効果とは異なって、複数の光導波路を伝搬した光による合成ビームが出力される。このため、個別の導波路1本1本の初期位相と各導波路に埋め込まれた位相シフタ(EO素子)の電気光学定数を求めることが求められる。現在までに、光導波路の1本1本の印加電圧を個別に制御しながら、マルチ光導波路の合成ビームの出力形状を測定することで、各光導波路の初期位相と電気光学定数を算出する方法が提案されている。この手法によれば、マルチ光導波路出力の合成ビームの形状をモニタしながら、個別の光導波路の位相を制御して、全体最適化によって主ビーム(メインローブ)が効率的に形成されるようなフィードバック制御を確立することができるとされている。
特表2016−508235号公報 特表2015−509207号公報 特開平1−074434号公報
C. C. Teng and H. T. Man; Simple reflection technique for measuring the electro‐optic coefficient of poled polymers Appl. Phys. Lett. 56, 1734 (1990) Toshiki Yamada, and Akira Otomo. Transmission ellipsometric method without an aperture for simple and reliable evaluation of electro-optic properties under various ambient conditions Optics Express Vol. 21, No. 24, 29240.
光導波のコア径が2μm程度のマルチ光導波路を用いた光フェーズドアレイも多く開発されるようになってきた。従来の電気光学定数を算出する方法は、マルチ光導波路の出射端から出力された光の合成ビームの評価を前提としている。また、光学領域の出力についても、合成光ビームが観察できるフランフォーファー領域での光ビームが前提である。バルク型位相変調素子やMach-Zehnder型素子では、位相変調された後の光ビームを検出し、その出力特性から電気光学定数を算出している。
また、マルチ光導波路からの光ビーム形成についても、現在までに報告されている電気光学定数の評価手法は、マルチ光導波路出力の合成ビームの形状をモニタしながら、個別の光導波路の位相を制御することで、全体最適化によって主ビーム(メインローブ)が効率的に形成されるようなフィードバック制御をかけることである。このため、光導波路の本数が増えるにつれて、個別に制御しなければならない制御パラメータは激増してしまう。
具体的には、光ビーム形状解析装置のモニタ上の座標(x、y)での光強度を測定し、N本からなるマルチ光導波路の場合、n本目(1≦n≦N)の光導波路の個別の電圧を最小印加電圧Vminから最大印加電圧Vmaxまで印加電圧を変化させながら、モニタの座標(x、y)での光強度をモニタする。その際、各光導波路の印加電圧を変化させることで所望の主ビーム(メインローブ)が位相整合によって形成されるように最適化し、設計値との誤差が最小化するまで、個々の光導波路の印加電圧について何回もフィードバック制御をかける必要がある。
もう一つの課題は、マルチ光導波路の初期位相の測定(把握)が不可欠になる点である。バルク型位相変調素子やMach-Zehnder型素子では入力チャネル数が2以下であったのに比べて、本方式では初期位相のバラつきが出力特性に大きな影響を与えてしまう。すなわちマルチ光導波路では、1つの光入力から複数の光導波路に光を分岐させるために使用するY分岐の多段化やMMI(マルチモード干渉:Multimode Interference)カップラの入力部への挿入によって、マルチ光導波路の初期位相を考慮したデバイス駆動が必要になる。特にMMIを使用したマルチ光導波路では、チャンネル数が多くなると、初期位相はマルチチャンネル光導波路の中心部分のチャンネルと端部でのチャンネルとの初期位相の差が大きくなり(−πからπまでの位相で大きく変化する場合があるため)初期位相を確定できないと位相整合のとれた出力をもつマルチ光導波路による光フェーズドアレイの駆動はできなくなる。また、マルチ光導波路の初期位相についても、従来は、マルチ光導波路出力の合成ビームの形状をモニタしながら算出していた。つまり、個別の光導波路の位相を制御して、全体最適化のフィードバック制御を行いながら、設計値との誤差が最小化するまで何回もフィードバック制御をかけつつEO定数と初期位相成分の分離を行って初期位相を決定する必要があった。
そこで、マルチ光導波路を用いた光フェーズドアレイを有する光偏向素子における各光導波路の初期位相と電気光学定数を直接的に測定できる光偏向素子の性能評価装置を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態の光偏向素子の性能評価装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光を偏光する偏光子と、前記偏光子の光出射端に接続される第1光入射端と、電気光学効果で入射光を偏向する光偏向素子の光導波路の光入射端にニアフィールド(Near field)で光学的に結合される第1光出射端とを有する第1光ファイバと、前記光偏向素子の光出射端にニアフィールドで光学的に結合される第2光入射端と、前記第2光入射端から入射されるレーザ光を出射する第2出射端とを有する第2光ファイバと、前記第2光ファイバの前記第2出射端から出射されるレーザ光が入射され、前記光導波路で付与された位相差を相殺する波長板と、前記偏光子とクロスニコルの関係を満たすように前記波長板の出力側に配置される検光子と、前記検光子から出射されるレーザ光を検出する光検出部と、前記光検出部によって検出されるレーザ光の出力を検出する出力検出部と、前記光偏向素子の光導波路に印加する位相変調用の電圧を制御する電圧制御部と、前記波長板から出射されるレーザ光の位相と、前記波長板がレーザ光に付与する位相差とから、前記位相変調用の電圧の印加による前記光導波路におけるレーザ光の位相の変化量を検出する演算部とを含む。
マルチ光導波路を用いた光フェーズドアレイを有する光偏向素子における各光導波路の初期位相と電気光学定数を直接的に測定できる光偏向素子の性能評価装置を提供することができる。
光偏向素子100を示す図である。 光偏向素子の性能評価装置200を示す図である。 光偏向素子の性能評価装置200を示す図である。 光偏向素子の性能評価装置200の一部を示す図である。 変調電圧Vの振幅値Vを様々な値に変えたときのPD270の出力電流Iの振幅値Iの特性を示す図である。 実施の形態の変形例による光偏向素子の性能評価装置200Aを示す図である。
以下、本発明の光偏向素子の性能評価装置を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態>
図1は、光偏向素子100を示す図である。図1では、XYZ座標系を定義する。図1(A)には光偏向素子100の平面図(XY平面図)を示し、図1(B)には斜視図を示す。
光偏向素子100は、下部電極110、クラッド層120、コア層130、クラッド層140、及び上部電極150を含む。
下部電極110は、酸化シリコン(SiO2)層を形成した図示しないシリコン(Si)ウェハ基板の表面に形成される。なお、基板は、シリコン基板に限られず、例えば、樹脂等の絶縁体製の基板であってもよい。
下部電極110は、基板の表面の全体に形成される電極である。下部電極110は、上部電極150に電圧を印加してコア層130の屈折率を制御する際に、基準電位点となる電極である。
下部電極110は、基板上面と同一の形状であって、一例として長方形の上面形状を有する基板を用いた場合には、クラッド層120の下面(Z軸負方向側の面)の全体に設けられる長方形の下部電極110を示す。下部電極110は、例えば、基板の表面全面に、クロム(Cr)層をスパッタ法によって成膜により形成すればよい。クロム層の厚さは、一例として100nmである。
ここでは、下部電極110がクロム層である形態について説明するが、下部電極110は、上部電極150との間で、クラッド層120、コア層130、及びクラッド層140に電圧を印加できる電極であればよい。このため、下部電極110は、クロム層以外の金属層によって構成される金属電極をはじめ、酸化インジウム・酸化亜鉛In23-ZnO(IZO:Indium Zinc Oxide)薄膜や酸化 スズ添加酸化インジウムIn23−SnO(ITO:Indium Tin Oxide)薄膜であってもよい。
クラッド層120、下部電極110のZ軸正方向側の面に配置される。クラッド層120は、平面視で矩形状であり、平面視のサイズは下部電極110と等しい。クラッド層120の厚さは、一例として0.5μmである。
クラッド層120は、コア層130よりも屈折率の低いポリマー材料や無機材料で形成されていればよい。クラッド層120は、例えば、ポリマー材料をスピンコート法でポリマー薄膜を作製し、低屈折の無機材料である酸化ケイ素(SiO2)をゾル・ゲル法やスパッタリング法により、下部電極110のZ軸正方向側の上面に形成される。
コア層130は、電気光学ポリマー(EOポリマー)で形成され導波路130A、分岐部130B、分岐導波路131〜138を有する。このコア層130は、クラッド層120に重ねて配置される、多モード干渉 (Multi-Mode Interference, MMI)型の導波路である。
導波路130Aは、Y軸負方向側の端部に光入射端130A1を有し、光入射端130A1と分岐部130Bとを接続する1本の光導波路である。分岐部130Bは平面視で矩形状であり、1本の光入射端130A1と8本の分岐導波路131〜138とを接続する。分岐部130Bは、光入射端130A1から入射する光を8個に分けて分岐導波路131〜138に出力する。分岐導波路131〜138は、分岐部130BからY軸正方向側の端部まで伸延し、8個の光出射端から8本の光を出射する。分岐導波路131〜138は、Y軸方向の途中から、互いの間のピッチが狭くなるように折り曲げられている。分岐導波路131〜138の出射端から出射される8本の光は、出射された後に合成されて1本の光ビームになる。
なお、導波路130Aと分岐導波路131〜138とは、X軸方向において、導波路130Aが分岐導波路134と135との中心に位置するように配置されている。また、導波路130AはY軸に平行に伸延しており、分岐導波路131〜138は、X軸方向に等間隔で配置され、Y軸に沿って伸延している。このため、導波路130AのY軸に平行な中心軸は、分岐導波路134と135とのX軸方向における中心を通っている。また、分岐導波路131〜134と、分岐導波路135〜138とは、導波路130AのY軸に平行な中心軸を対称軸として線対称に配置されている。
コア層130の厚さは、一例として1μmである。コア層130は、EOポリマー材料で構成される。EOポリマー材料としては、例えば、屈折率n = 1.7、電気光学定数r = 70 pm/Vの非線形光学ポリイミドであるトリシアノフラン(TCF)を用いることができる。なお、コア層130の材料は、クラッド層120及び140よりも屈折率の高いEO材料であれば、他の材料を用いてもよい。
クラッド層120の上にコア層130を積層した後、フォトレジストを塗布し導波路のパターンを作製した。架橋性EOポリマーは、光照射または熱処理後に溶媒に不溶となり、フォトレジストの溶媒や現像液にも耐性があることから、コア層130用の架橋性EOポリマーの上に直接フォトレジストを塗布しパターニングできる。次に、反応性イオンエッチング(RIE)でフォトレジストがない部分のコア層130を削り取りフォトレジストを剥離後に、クラッド層140を塗布することにより、分岐導波路131〜138によるチャンネル導波路が形成される。
コア層130は、クラッド層120及び140によって覆われる。コア層130のうち光偏向素子100の外表面に表出するのは、光入射端130A1と、分岐導波路131〜138の光出射端(8個)のみであり、その他の面はクラッド層120及び140によって覆われる。
クラッド層140は、コア層130のZ軸正方向側に重ねて配置される。クラッド層140は、クラッド層120と等しい平面視のサイズを有するため、クラッド層120のZ軸正方向側の面のうち、コア層130が存在しない部分においては、クラッド層120と直接的に接合される。クラッド層140は、例えば、スピンコート法でクラッド層用のポリマー材料の薄膜を作製することによって形成される。なお、クラッド層140は、コア層より屈折率が低ければ、コア層と同様EOポリマーであっても良く、クラッド層140の厚さは、一例として0.5μmである。
また、上述のような厚さに設定したクラッド層120、コア層130、及びクラッド層140の合計の厚さdは、2μmである。
上部電極150は、電極151〜158、及び、配線151A〜158Aを有する。電極151〜158は、それぞれ、平面視で分岐導波路131〜138の上(Z軸正方向側)に重ねて配置される。上部電極150としては、IZO薄膜を厚さ200 nmをスパッタリング法で形成し、さらにドライエッチングにより電極パターンを形成した。
電極151〜158は、それぞれ、分岐導波路131〜138の屈折率を制御するための屈折率制御電極である。電極151〜158には、それぞれ、配線151A〜158Aが接続される。電極151〜158には、それぞれ異なる電圧を印加することができるように構成されている。電極151〜158に印加する電圧を制御して、分岐導波路131〜138を伝搬する光の位相を制御することにより、分岐導波路131〜138から出射される8本の光の合成光を偏向することができる。このため、分岐導波路131〜138のうち、電極151〜158と重なっている部分を位相シフタと称す。
このような上部電極150は、例えば、クラッド層140のZ軸正方向側の面の一面に、IZO薄膜を形成し、不要部分(電極151〜158、及び、配線151A〜158Aが存在しないY軸方向正方向側の部分)をドライエッチングすることによって形成される。なお、電極151〜158の厚さは、一例として200nmである。
さらに上部電極150形成後、EO効果を発現させる手法として、EOポリマー分子を一方向に配向させるポーリング処理が行われる。この手法は、EOポリマーのガラス転移温度(Tg)付近の温度まで光偏向素子100を加熱し、さらに上部電極150と下部電極110間に電圧を印加し、EOポリマーに一方向の電界をかけたまま常温に戻すことで、Z軸方向にEOポリマーの色素分子が配向することでEO効果を発現させる。
以上のような構成の光偏向素子100では、コア層130の分岐部130Bは、分岐導波路131〜138に出力される光の位相を揃える機構を備えていないため、分岐部130Bから分岐導波路131〜138に分岐された光には位相差が生じる。また、MMIによらずY分岐などスターカプラを使った分岐導波路の場合でも、一般的には光導波路の形状加工の精度があるため、程度の差こそあれ位相差を生じる。従って、分岐導波路131〜138の出力端で生じる位相差は、MMI130Bの分岐導波路131〜138に分岐する際に生じた位相差に加えて、さらに分岐導波路131〜138を伝搬する間に生じた光の位相差にも影響される。
なお、光偏向素子100は、距離計測装置、立体ディスプレイ、レーザーライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)等に用いることができる。
図2及び図3は、光偏向素子の性能評価装置200を示す図である。また、図4は、光偏向素子の性能評価装置200の一部を示す図である。図4には、光学顕微鏡で得た写真を示す。以下では、光偏向素子の性能評価装置200を性能評価装置200と称す。
図2には、光偏向素子の性能評価装置200とともに、光偏向素子100を示す。図2には、光偏向素子100の上部電極150に電圧を供給する変調電圧源160と、変調電圧源160と配線151A〜158Aとの間に設けられるスイッチ170A、170Bとを示す。変調電圧源160は、スイッチ170A、170Bを介して、上部電極150の電極151〜158のいずれかに、独立的に正弦波電圧を出力する。これにより、分岐導波路131〜138を個別に位相制御することができる。スイッチ170Aは、変調電圧源160と配線151A〜154Aとの間に設けられ、スイッチ170Bは、変調電圧源160と配線155A〜158Aとの間に設けられる。スイッチ170A、170Bは、変調電圧源160と、配線151A〜158Aとの間を独立的に接続するスイッチである。スイッチ170A、170Bを用いることにより、変調電圧源160から出力される電圧を配線151A〜158Aを介して電極151〜158に独立的に印加することができる。
ただし、光偏向素子100の性能指数を検出する際には、スイッチ170A又は170Bを介して、電極151〜158のうちのいずれか1つ(性能指数の検出対象になる分岐導波路131〜138のうちのいずれか1つに対応する電極)に対して電圧を供給する。スイッチ170A、170Bの制御も含めて、このような制御は制御部290によって行われる。
性能評価装置200は、レーザ光源(Laser)210、偏光子220、光ファイバ230、光ファイバ240、リターダ250、検光子260、PD(Photo Diode)270、ロックインアンプ280、及び制御部290を含む。
レーザ光源210は、可視光から赤外光までの任意の波長のレーザ光源であって、波長に比例して作製する導波路のサイズは変わる。ここでは一例として、レーザ光の波長を1.55μmとする。
偏光子220は、レーザ光源210と光ファイバ230との間に設けられており、Z軸と45°の角度なす方向に設定することで、レーザ光源210から入射されるレーザ光の直線偏光成分を透過する。偏光子220は、検光子260とクロスニコルの関係を満たすように構成されている。
光ファイバ230は、第1光ファイバの一例であり、レンズ部231と入射端232とを有する。光ファイバ230は、入射光の偏波を保持できるレンズ付きのファイバであり、先球PMF(Polarization Maintaining Fiber:偏波保持ファイバ)である。レンズ部231は、光偏向素子100の導波路130Aの光入射端130A1にニアフィールドで光学的に結合される第1光出射端の一例であり、入射端232は、偏光子の光出射端に接続される第1光入射端の一例である。
光ファイバ240は、第2光ファイバの一例であり、レンズ部241と出射端242とを有する。光ファイバ240は、光ファイバ230と同様に、入射光の偏波を保持できるレンズ付きのファイバであり、先球PMFである。
レンズ部241は、光偏向素子100の分岐導波路131〜138のうちの任意の1つの光出射端にニアフィールドで光学的に結合される第2光入射端の一例である。ここで、レンズ部241を分岐導波路131〜138のうちの任意の1つの光出射端にニアフィールドで光学的に結合させるとは、レンズ部241と分岐導波路(131〜138)の光出射端との間の距離が分岐導波路131〜138の各々の間隔(例えば、6μm)に比べて十分に小さく、かつ、レンズ部241に測定対象になる分岐導波路から入射する光以外に、他の分岐導波路の光が入射しない状態にすることである。他の分岐導波路の光が入射しない状態にするためのニアフィールドで光学的に結合させる条件については、光出射端の間隔をd(上記の例では6μm)、レンズ部の先端から光出射端までの距離をpとしたとき、次式(3)が成立するようにするのが好適である。
図4には、一例として、レンズ部241を分岐導波路133の光出射端にニアフィールドで光学的に結合させた状態を示す。出射端242は、第2光入射端から入射されるレーザ光を出射する第2出射端の一例であり、リターダ250に接続される。
光ファイバ240は、レンズ部241が導波路131〜138のうちの任意の1つの光出射端にニアフィールドで光学的に結合するように、図示しない移動装置によって移動され、位置決めが行われる。レンズ部241が結合される光出射端を有する導波路(131〜138のうちの1つ)は、性能評価装置200によって性能指数である電気光学定数rが検出される。
リターダ250は、光ファイバ240と検光子260との間に設けられる波長板又は位相補償器の一例である。リターダ250は、位相差(リタデーション)を0〜2πで可変できる光学素子であって、液晶可変リターダやバビネソレイユ補償板を用いることができる。リターダ250は、導波路(131〜138のうちの性能指数の検出対象になる1つの導波路)の上部にある電極(151〜158のうちの対応する1つ)に電圧を印加していない状態で、導波路中をレーザ光が伝搬する間に生じた位相差を相殺するように、伝搬光に位相差を付与する。リターダ250が付与する位相差は、導波路131〜138の各々に電極151〜158から電圧を印加していない状態で導波路131〜138がレーザ光に付与する位相差を測定し、その位相を相殺する位相に設定すればよい。
検光子260は、リターダ250とPD270との間に設けられ、リターダ250から入射されるレーザ光の直線偏光成分を透過する。検光子260は、偏光子220とクロスニコルの関係を満たすように構成されている。
PD270は、検光子260の出力側に設けられており、検光子260が出力するレーザ光を光電変換して、レーザ光の強度に応じた大きさの電流を出力する。PD270が出力する電流は、ロックインアンプ280に入力される。
ロックインアンプ280は、変調電圧源160が出力する正弦波電圧に同期してPD270が出力する電流を検出する。ロックインアンプ280は、制御部290によって制御され、検出した電流値を表すデータは、制御部290に入力される。ロックインアンプ280は、出力検出部の一例である。
制御部290は、変調電圧源160とロックインアンプ280の制御を行う。より具体的には、制御部290は、変調電圧源160が出力する電圧値を制御するとともに、ロックインアンプ280にPD270が出力する電流を取り込む制御を行う。また、制御部290は、初期位相と電気光学定数の演算を行う。制御部290は、変調電圧源160が出力する電圧値の振幅値に対するPD270が出力する電流の振幅値の特性を表すデータを生成し、この特性の傾きから電気光学定数を演算する。制御部290のうち、変調電圧源160が出力する電圧値を制御する部分は、電圧制御部の一例である。また、制御部290のうち、初期位相と電気光学定数の演算を行う部分は、演算部の一例である。
次に、性能指数の求め方について説明する。マルチ光導波路への入射光における光の電界ベクトルEは、次式(4)で表すことができる。ここで、Eは電界ベクトルEの初期値、Kは伝搬ベクトルであり、2π/λ(λはレーザ光の波長)は波数のスカラー、ベクトルpは位置ベクトルである。
ここで、Y軸方向に伝搬する光を考え、光の進行方向をY軸の負から正の方向にとると、K・p=ωNy/cとなる。Nは複素屈折率であって、屈折率nと消光係数κを用いて、N=n+iκと表す。
その際、図2及び図3に示すような偏光子220を用いて、Z軸から45°傾いた方向に直線偏光された光が光ファイバ230を通して光偏向素子100の光フェーズドアレイを構築する導波路130Aに入射する。入射した光は、導波路130Aの中を伝搬し、分岐部130B(MMI)を経て、分岐導波路131〜138の位相シフタ(電極151〜158がある部分)を通過する。分岐導波路131〜138のうちの性能指数の検出対象となる1つの出射端で、光ファイバ240を通り、リターダ250を経る。光偏向素子100の出射光は楕円偏光になるが、入射方向と偏波成分を直交させた検光子260を通過し、PD270で光強度(電流値I)に変換される。ここで、位相シフタに電圧を印加しないときに光偏向素子100から出射される光のもつ静的位相差をΔφ、光偏向素子100の位相シフタによる電圧を印加することで生じた位相の変化量(動的位相差)をΔθとすると、PD270が出力する光強度(電流値I)は次式(5)で表される。
なお、静的位相差Δφとは、電極151〜158に電圧を印加しない場合に、偏光子220を用いてZ方向と45°の角度をなす直線偏光を光偏向素子100に入射させた場合に、光偏向素子100とリターダ250によって生じた出射光に生じたX偏光とZ偏光の相対的な位相差である。このため、静的位相差Δφは、リターダ250(バビネソレイユ板)による補償によって光に付与される位相差Δφrを含む。また、動的位相差Δθとは、電極151〜158のうち、性能指数の検出対象となる分岐導波路(131〜138のうちの1つ)に対応する1つの電極に電圧を印加する場合に、光偏向素子100において電気光学効果(EO効果)によって生じた出射光に生じたX偏光とZ偏光の相対的な位相差である。この位相差は、分岐導波路131〜138のいずれを通るかで異なる。
また、式(5)において、Iは、偏光子230、光偏向素子100、リターダ250、検光子260の全ての素子を透過した光の強度が最大値となるように、偏光子230と検光子260の角度を調整し、光出力を最大とするときのPD270を流れる電流値である。また、Δφ0は、静的位相差Δφからリターダ250による補償によって光に付与される位相差Δφrを引いた位相差(初期位相)である。すなわち、位相差Δφ0は、電極151〜158に電圧を印加しない場合に、偏光子220を用いてZ方向と45°の角度をなす直線偏光を電極151〜158に電圧を印加しない場合に、光偏向素子100の出射光とに生じるX偏光とZ偏光の相対的な位相差である。この位相差は、分岐導波路131〜138のいずれを通るかで異なる。また、式(5)から分かるように、PDの出力は、X偏光とZ偏光の位相差の半分の角度だけ偏光面が回転した直線偏光の成分を検出していることになる。
ここで、EOポリマーを使った光偏向素子100の位相シフタの電気光学定数r13とr33を用いた変調を行う場合には、動的位相差Δθは、次式(6)で表すことができる。
ここで、nは常光に対する屈折率、nは異常光に対する屈折率、dは上部電極150と下部電極110との間で特にEOポリマーの厚みに相当する等価距離、Vは電極(151〜158)において、位相シフタに印加する電圧のうち、特にEOポリマーに印加される電圧である。ここで、式(5)および(6)中の(V/d)はEOポリマーに印加される電界強度を表しているので、EOポリマーを含むポリマー材料からなるクラッド/コア/クアッド構造の場合には、比抵抗がクラッドとコアとでが同等と見なせるため、等価距離dを上部電極150と下部電極間110の間の距離とし、電圧Vを電極(151〜158)に印加する電圧とすることができる。さらに、式(5)および(6)中r33とr13は、電気光学定数である。ここで、n=n=n、及び、r33=3r13が成立することとすると、動的位相差Δθは、次式(7)で表すことができる。
ただし、lは、位相シフタの電極(151〜158)の分岐導波路(131〜138)に沿った(Y軸方向の)長さ、dは、上部電極150と下部電極110との間の等価距離、λは、光偏向素子100に使用するレーザ光の波長である。
ここで、式(5)において次式(8)の関係が成り立つようにリターダ250の補償量を調整して、光学バイアスを印加する。光学バイアスとは、位相シフタに電圧を印加しない状態において光偏向素子100に生じた位相差Δφ0と、リターダ250による補償によって光に付与される位相差Δφrとの和である。
式(8)が成立するようにするには、位相シフタに電圧を印加しない状態はΔθ=0にできるため、リターダ250(バビネソレイユ板)の位相の補償量を調整し(実際は、バビネソレイユ板の位相調整つまみを回転させ)、リターダ250の出力が0(ゼロ)になる位置(Δφ0+Δφ=0になる位置)と、さらに次に出力が0(ゼロ)になる位置(Δφ0+Δφ=2πになる位置)とを計測する。そして、これら2つの位置の中間位置にリターダ250の位相調整つまみを調整すれば、リターダ250の最大出力が得られる位置(Δφ0+Δφ=πが成立する位置)を求めることができる。さらに、出力が0(ゼロ)になる位置と、最大出力が得られる位置との中間位置にリターダ250の位相調整つまみを調整すれば、式(8)が成立するようにリターダ250を調整することができる。
また、式(8)が成立する際には、次式(9)が成り立つため、式(10)の近似式が成り立つ。
また、光偏向素子100の位相シフタの変調電圧Vは、次式(11)で表すことができる。変調電圧Vは正弦波状の交流電圧であり、Vmは変調電圧Vの最大振幅値である。変調電圧Vは、電極151〜158のうち、性能指数の検出対象となる分岐導波路(131〜138のうちの1つ)に対応する1つの電極に個別に印加する電圧である。
変調電圧Vとして用いる正弦波電圧の角速度をωとすると、式(5)、(7)、(10)、(11)から、PD270の出力する電流値Iの振幅値Iは、次式(12)で与えられる。
また、光偏向素子100の出射光に生じた位相差Δφと、リターダ250による補償によって光に付与された位相差Δφとが、Δφ+Δφ=πを満たすようにリターダ250(バビネソレイユ)の補償量を設定しているので、電極(151〜158)から位相シフタに電圧を印加しなければ、Δθ=0となるため、式(5)から電流値Iを求めることができる。
また、また式(12)において、変調電圧Vの振幅値Vを様々な値に変えたときのPD270が出力する電流値Iの振幅値Iの傾きから電気光学定数r33を求めることができる。これについては、図5を用いて後述する。
また、光偏向素子100の出射光に生じた位相差Δφ0と、リターダ250による補償によって光に付与された位相差Δφrと、Δφ0+Δφ=0となるようにリターダ250の補償量を調整したときのリターダ250の補償量とから、分岐導波路131〜138の各出射端に生じる位相差を個別に算出することができる。
図5は、変調電圧Vの振幅値Vを様々な値に変えたときの振幅値Iの特性を示す図である。図5には、電気光学定数r33が異なる4つの光偏向素子において、振幅値Vを変えることによって得たV−I特性を示す。図5に示すように、電気光学定数r33は、V−I特性の傾きから、10pm/V、25pm/V、48pm/V、78pm/Vと求まる。このように、変調電圧Vの振幅値Vを様々な値に変えることによって得るV−I特性の傾きから、電気光学定数r33を求めることができる。
ここで、制御部290がロックインアンプ280で検出される電流値を表すデータを式(5)に代入し、式(6)〜式(12)を用いて演算を行い、さらに、変調電圧Vの振幅値Vを様々な値に変えたときの振幅値Iの傾きを求めれば、制御部290が電気光学定数r33を求めることができる。
このようにして求める電気光学定数は、光偏向素子100の光入射端130A1と、分岐導波路131〜138の各々とに、それぞれ、光ファイバ230と光ファイバ240とをニアフィールドで光学的に結合させて得る位相差Δφ0及び静的位相差Δφと、リターダ250の位相差Δφrとを用いて演算される。光ファイバ240を分岐導波路131〜138の各々の出射端に光学的に結合させる際には、調芯装置を用いて光ファイバ240のレンズ部241が分岐導波路131〜138の各々の出射端に光学的に結合するように位置決めを行えばよい。
従って、高感度で高精度に電気光学定数を計測することが可能になる。このため、実施の形態によれば、マルチ光導波路を用いた光フェーズドアレイを有する光偏向素子100における各光導波路の初期位相と電気光学定数を直接的に測定できる光偏向素子の性能評価装置200を提供することができる。
光フェーズドアレイの偏向制御や収束を満足する駆動を実現するためには、光フェーズドアレイが形成する光ビームの位相整合条件を満足させる必要がある。その際、各チャンネルの初期位相および電気光学定数の検出は、整合条件を満たす駆動を実現するために不可欠となる。
従来、光フェーズドアレイの初期位相と電気光学定数の測定については、光フェーズドアレイからの複数のチャンネルからの出力の光干渉パターンの形状からから測定していた。この方法では、光干渉パターンが複数のチャンネルの出力の干渉によって形成されているため、干渉パターンから各チャンネルの初期位相と電気光学定数を逆算する必要がある。
その際、算出過程で(途中で)の予測された干渉パターンと実際に測定された干渉パターン(合成ビーム)実測値とが、誤差範囲に収まるまで(整合性が取れるまで)何回も測定のフィードバックを繰り返す必要があった。この従来の手法は、電気光学定数や初期位相を間接的に予測手法であるため、光フェーズドアレイのチャンネル数が増えると激増してしまうという欠点があった。
これに対して、実施の形態の光偏向素子の性能評価装置200では、初期位相と電気光学定数をチャンネルごとに個別に計測する。このため、各チャンネルの初期位相と電気光学定数の検出方法としては、各チャンネルの位相変化量を直接計測することができるために、迅速な測定が可能となる。
また、チャンネル毎の出力光を偏波保持の先球ファイバ(光ファイバ230、240)を用いることによって電界による位相の変化量をチャンネル毎に直接測定ことができる。これにより従来法に比べて測定時間が減少するとともに、この測定をロックイン検出(同期検出)で行うことで、測定精度を向上させることができる。
なお、クラッド層120、コア層130、クラッド層140としてEOポリマー以外に無機EO材料LiNbO3等を用いることが可能である。このような無機EO材料については、結晶の対称性に応じて式(6)に示す動的位相差Δθの定義を変えれば、同様に電気光学定数を計測することができる。
例えば、立方晶系結晶(対称性:23、4バー3m)や熱電効果等の等方性材料では、動的位相差Δθを次式(13)のように定義すればよい。
また、一軸性性結晶(対称性:3m)でr22=-r12の関係を有する結晶では、動的位相差Δθを次式(14)のように定義すればよい。
このように、位相差を生じる材料の対称性を考慮して、適宜動的位相差Δθの定義を変えることで、熱電光学材料や無機結晶材料についても適用することが可能となる。
また、図2及び図3に示す光偏向素子の性能評価装置200は、図6に示すように変形してもよい。図6は、実施の形態の変形例による光偏向素子の性能評価装置200Aを示す図である。光偏向素子の性能評価装置200Aは、図2及び図3に示す光偏向素子の性能評価装置200に対して、光チョッパ295と光チョッパコントローラ295Aを追加した構成を有する。
光チョッパ295は、レーザ光源210と偏光子220との間に設けられており、光チョッパコントローラ295Aによって制御される。光チョッパコントローラ295Aは、ロックインアンプ280がPD270から入力される電流値に基づいて同期動作(ロックイン動作)を行うと、光チョッパ295にレーザ光源210から出射されるレーザ光を通過させる。光チョッパコントローラ295Aは、位相シフタの変調周波数で同期動作を行って、レーザ光源210から出射されるレーザ光を通過させる。
このような光チョッパ295を用いると、PD270で検出される電流値のSN比が改善されるので、測定精度をさらに向上させることができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態の光偏向素子の性能評価装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
100 光偏向素子
110 下部電極
120 クラッド層
130 コア層
130A 導波路
130A1 光入射端
130B 分岐部
131〜138 分岐導波路
140 クラッド層
150 上部電極
151〜158 電極
160 変調電圧源
170A、170B スイッチ
200、200A 光偏向素子の性能評価装置
210 レーザ光源
220 偏光子
230 光ファイバ
231 レンズ部
232 入射端
240 光ファイバ
241 レンズ部
242 出射端
250 リターダ
260 検光子
270 PD
280 ロックインアンプ
290 制御部
295 光チョッパ
295A 光チョッパコントローラ

Claims (4)

  1. レーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されるレーザ光を偏光する偏光子と、
    前記偏光子の光出射端に接続される第1光入射端と、電気光学効果で入射光を偏向するマルチ光導波路を用いた光偏向素子の光導波路の光入射端にニアフィールドで光学的に結合される第1光出射端とを有する第1光ファイバと、
    前記光偏向素子の光出射端にニアフィールドで光学的に結合される第2光入射端と、前記第2光入射端から入射されるレーザ光を出射する第2出射端とを有する第2光ファイバと、
    前記第2光ファイバの前記第2出射端から出射されるレーザ光が入射され、前記光導波路で付与された位相差を相殺する波長板と、
    前記偏光子とクロスニコルの関係を満たすように前記波長板の出力側に配置される検光子と、
    前記検光子から出射されるレーザ光を検出する光検出部と、
    前記光検出部によって検出されるレーザ光の出力を検出する出力検出部と、
    前記光偏向素子の光導波路に印加する位相変調用の電圧を制御する電圧制御部と、
    前記波長板から出射されるレーザ光の位相と、前記波長板がレーザ光に付与する位相差とから、前記位相変調用の電圧の印加による前記光導波路におけるレーザ光の位相の変化量を検出する演算部と
    を含む、光偏向素子の性能評価装置。
  2. 前記演算部は、前記位相変調用の電圧に対する前記レーザ光の出力の特性の傾きから電気光学定数を導出する、請求項1記載の光偏向素子の性能評価装置。
  3. 前記出力検出部は、前記レーザ光源から出射されるレーザ光に同期して、前記レーザ光の出力を検出する、請求項1又は2記載の光偏向素子の性能評価装置。
  4. 前記レーザ光源と前記偏光子との間に設けられ、前記出力検出部によって検出されるレーザ光の出力に同期して動作する光チョッパをさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項記載の光偏向素子の性能評価装置。
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