JPH07218938A - 加工性に優れた非線形光学材料 - Google Patents

加工性に優れた非線形光学材料

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JPH07218938A
JPH07218938A JP1457094A JP1457094A JPH07218938A JP H07218938 A JPH07218938 A JP H07218938A JP 1457094 A JP1457094 A JP 1457094A JP 1457094 A JP1457094 A JP 1457094A JP H07218938 A JPH07218938 A JP H07218938A
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JP1457094A
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Yoshio Hayashi
善夫 林
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な非線形光学材料を提供する 【構成】 光反応性の有機マトリックス中に金属微粒子
を分散させた非線形光学材料を作製する。特に、光反応
性の有機マトリックスを用いて各種の形状の回路形成が
可能となる。 【効果】 非線形光学材料の作製が容易にでき、特に光
パターン露光あるいは光ビーム走査により高精細な回路
形成が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新しい非線形光学材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、非線形光学効果を有する媒質とし
て金属・酸化物微粒子を添加したガラスが注目されてい
る。例えばガラス内に添加されている金属微粒子が存在
している場合、金属微粒子と媒質の誘電率により決定さ
れるプラズマ周波数において非線形光学定数が大きくな
ることが明きらかとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、非線形光学用媒
質として検討されていたものは無機ガラスがその大半で
あり、ゾル・ゲル法等の煩雑な加工工程や各種の高温処
理工程が要求されていた。しかも、材料そのものの非線
形光学効果は確認できたとしても、実際の光回路、光素
子を作製するためには種々の形態への加工が必要であり
その加工性が大きな障壁となっていた。
【0004】これに対し有機マトリックス系の微粒子分
散材料が加工性の容易性から注目され、新しい材料の出
現が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、粒径が1nm
以上100nm以下の金属微粒子が有機マトリックス中
に独立して分散している金属微粒子分散体であって、該
有機マトリックスが光反応性であることを特徴とする非
線形光学材料を提供するものである。即ち本発明は、有
機マトリックスの存在下で金属酸化剤を還元することに
よって、非線形光学効果が好適に発現できるように適当
なサイズ、粒子形状の金属微粒子が有機マトリックス中
に実質的に非連続的に独立して分散できるようにしたこ
とと、さらにこの有機マトリックスに光反応性を付与
し、光パターン露光によりあるいは光ビームを走査露光
して実際の回路、素子の形状に加工できるようにしたこ
とに特徴がある。特に注目すべきは、金属酸化剤を還元
する反応と光反応とを実質的に独立して制御することが
可能なことである。例えば予め加熱操作により作製した
金属微粒子分散体を含有している有機マトリックスを塗
布、乾燥したシートを適当な露光手段によりパターン化
することもできるし、逆の操作手順で、例えば金属塩酸
化剤を含有した有機マトリックスを予め塗布、乾燥し、
シートを得たのちこれを適当な露光手段でパターン化
し、その後加熱することによっても本発明物を得ること
が可能である。
【0006】本発明において金属微粒子の粒径は1nm
以上100nm以下が好ましく、さらに好ましくは2n
m以上50nm以下になるようにコントロールすること
である。金属微粒子の粒径が100nmより大きくなる
と、散乱が起こりやすくなり、光透過率が低下するため
高性能な素子作製が難しくなる。また粒径が1nmより
小さくなると、光学非線形性の発現が不十分となる。こ
の粒子制御は成長する粒子の個数の制御と成長性の制御
によって可能であり、例えば金属塩酸化剤の含有比率、
加熱温度、加熱時間、金属塩酸化剤の反応性、有機マト
リックスの種類、有機溶媒の有無などで変化させること
ができる。特に有機マトリックス中で自由に金属塩酸化
剤が拡散できるように、例えば有機マトリックスのガラ
ス転移温度以上に加熱したり、あるいは反応溶媒の存在
下で反応を起こし金属微粒子を形成できるようにする。
【0007】さらに積極的に粒径サイズ、粒径分布、粒
子濃度分布を制御するためにはより積極的に金属微粒子
の成長反応を加速できる触媒核の形成を行うことが重要
になる。この反応を起こすためのコントロールは金属微
粒子の成長反応を加速できる触媒核の形成を所定の方法
で処理することによって行われる。この触媒核は金属塩
酸化剤の金属種あるいはその金属種より貴な金属種の金
属原子数数個程度を含む集合体、あるいは金属クラスタ
ーであり、また単独の金属種である必要はなく、複合系
や酸化物、硫化物などであってもよい。例えば金属塩酸
化剤が金属銀塩酸化剤の場合、この触媒核になる金属種
は金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、水銀
などの金属及び銀金属自体である。
【0008】この触媒核形成方法としては金属塩酸化剤
より貴な金属を極微量添加する方法や、極少量の強い還
元剤を添加し金属塩酸化剤の一部を還元して極微量の触
媒核を形成する方法や、あるいはX線、紫外線、可視光
線、電子線などを照射し金属塩酸化剤の一部を分解させ
る方法などをとることができる。この触媒核存在下に金
属塩酸化剤が反応すると、金属微粒子の内核には触媒核
が存在し、そのまわりに還元反応または分解反応で金属
微粒子が成長していくことになる。この触媒核による成
長反応の加速は微粒子形状のコントロールおよび微粒子
同士のシンタリングによる成長を回避できるため、また
低温での微粒子形成が可能となるため金属微粒子分散系
の非線形光学材料を得るうえで極めて有用である。
【0009】本発明に用いられる金属塩酸化剤の金属種
は、有機マトリックス中あるいは有機溶媒中で還元ある
いは分解して微粒子が形成されればどのような金属種で
あってもよいが、好ましくは、銀、金、銅、テルル、パ
ラジウム、ロジウム、ビスマス、スズ、コバルト、ニッ
ケル、鉛、クロム、チタンなどの金属種である。さらに
好ましくは銀、金、パラジウム、コバルト、ニッケルな
どの金属種である。また、金属単体の金属微粒子だけで
はなく、合金の微粒子や内核、外殻を有する多層からな
る微粒子でもよい。さらに金属微粒子はハロゲン化物、
硫化物、酸化物等に変換された半導体系微粒子になって
いてもよい。
【0010】本発明に用いられる金属塩酸化剤は通常の
有機金属塩、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、スル
フィン酸塩などのほか、有機金属錯体や有機金属キレー
ト化合物や、熱あるいは還元剤により分解あるいは還元
されうる無機金属塩などの群から選択することができ
る。非線形光学材料として高い透過性、透明性を得るた
めに有機溶媒に可溶な有機金属塩や無機金属塩が好まし
い。さらに好ましくは有機溶媒に可溶で、かつ有機マト
リックスに可溶な有機金属塩や無機金属塩がよい。金属
種の代表的な具体例として銀金属を挙げるとすれば、銀
金属塩酸化剤として酢酸銀、しゅう酸銀、安息香酸銀、
ステアリン酸銀、パルミチン酸銀、ベヘン酸銀、ラウリ
ン酸銀などの各種カルボン酸銀や、トリフルオロ酢酸
銀、ペンタフルオロプロピオン酸銀、ヘプタフルオロ−
n−酪酸銀などのパーフルオロカルボン酸銀、フェニル
ジアゾスルホン酸銀、スルフィン酸銀などの硫黄含有銀
塩、サッカリン酸銀、ベンゾトリアゾール銀などの窒素
含有化合物、テノイルトリフルオロアセトン、ヘプタフ
ルオロブタノイルピバロイルメタン、ヘキサフルオロア
セチルアセトン、アセチルアセトナート、5−クロロサ
リチルアルドキシムなどのキレート化剤と銀とのキレー
ト化合物、ジエチルチオカルバメート銀、あるいは前出
の銀塩、あるいは硝酸銀、チオシアン酸銀、シアン酸銀
などの無機銀塩とイミダゾール、ピリジン、フェニルメ
チルスルフィドなどの配位子との銀錯体をその一例とし
て挙げることができる。
【0011】更に好ましい銀塩としては、酢酸銀、ベヘ
ン酸銀、ステアリン酸銀、ペンタフルオロ−n−酪酸銀
などのパーフルオロカルボン酸銀を挙げることができ
る。又、上記の銀金属の代わりに先に述べた他の金属を
用いた金属塩を用いることができる。無機金属塩の好ま
しいものの一例を挙げれば、塩化金酸ナトリウム、塩化
金酸、塩化金、三臭化金、硝酸銀、塩化銀、臭化銀、ヨ
ウ化銀、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、
臭化テルル、塩化テルル、塩化パラジウムなどを挙げる
ことができる。
【0012】本発明の有機マトリックスとしてはポリマ
ー単独系からなる有機マトリックス、もしくはポリマ
ー、プレポリマー、オリゴマー、モノマー、多官能性架
橋剤、光反応開始剤、増感剤等から選択された多成分系
からなる有機マトリックスの何れであってもよい。本発
明の有機マトリックスが光反応性を有するためには、有
機マトリックス全体の系の中に、光架橋反応、光重合反
応、光変性反応、光解重合反応などを起こし得る官能基
を有する必要がある。すなわち、単独のポリマーが光反
応性の官能基を持っているかどうかではなく、有機マト
リックス全体で露光によって溶解度、接着性、流動性、
親油/親水性等の極性の変化が発現する必要がある。ま
た、本発明の有機マトリックスの光反応性とは、可視
光、紫外光のほか、Deep紫外光、電子線、X線に対
する感受性をも包含するものである。有機マトリックス
として用いられる材料については例えば、フォトポリマ
ー懇話会編、工業調査会発行の「フォトポリマーハンド
ブック」(1989年発行)等に記載されている広範な
材料から選択可能である。
【0013】本発明の有機マトリックスの例の中で、光
架橋反応するものの具体的な1例としては、重クロム酸
塩、ジアゾニウム塩、水溶性アジド化合物などの架橋成
分とゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン、カゼインなどの親水性ポリマーとを組み合わせ
た系、芳香族ビスジアジド化合物−環化ゴム系、ノボラ
ック樹脂−アジド化合物系、ビニルフェノール−アジド
化合物系、ポリ桂皮酸ビニル、ポリ(シンナミリデン酢
酸ビニル)、ポリ(α−シアノシンナミリデン酢酸)、
ポリ(シンナミリデンピルビン酸)などの光二量化型架
橋ポリマー系、クロルメチル化ポリスチレンなどのクロ
ルメチル基を側鎖に有するポリマー、ポリ(ビニル−p
−アジドベンゾエート)などの側鎖に芳香族アジド基を
有するポリマーなどを挙げることができる。
【0014】本発明の有機マトリックスの例の中で、光
重合するものの具体的な1例としては、アクリル基、メ
タクリル基の重合反応を利用するものが最も一般的であ
る。この系では、単官能モノマー、多官能モノマー、プ
レポリマー及び光開始剤を目的に合わせて適宜混合して
用いることができる。単官能モノマーとしては2−エチ
ルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラ
ヒドロキシフルフリルアクリレート、フェノキシエチル
アクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、
ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピ
レングリコールモノアクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒ
ドロキシフルフリルメタクリレート、フェノキシエチル
メタクリレート、ノニルフェノキシエチルメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリ
プロピレングリコールモノメタクリレート、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、グリシジルメタ
クリレート、3−クロロ−2−オキシプロピルメタクリ
レート、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル
などのエチレン性単量体を挙げることができる。多官能
モノマーとしてはヘキサンジオールジアクリレート,ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリ
コールジアクリレート、トリプロピレングリコールジア
クリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールアジペートのジアクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、プロピオン酸・ジペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、ヘキサンジオー
ルジメタクリレート,ネオペンチルグリコールジメタク
リレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ト
リプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアジペ
ートのジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトー
ルトリメタクリレート、N,N’−メチレンビスアクリ
ルアミド、N,N’−m−フェニレンビスアクリルアミ
ドなどを挙げることができる。プレポリマーとしては、
多塩基酸と多価アルコールとから得られる種々のポリエ
ステル末端にアクリル酸、メタクリル酸を導入したポリ
エステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートや
エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂をアクリル
酸、メタクリル酸で変性したエポキシアクリレート、エ
ポキシメタクリレートや、ポリエーテル、ポリエステ
ル、1,2−ポリブタジエンなどのソフトセグメントを
ウレタン結合を介してプレポリマー化しその末端にアク
リロイル基、メタクリロイル基を導入したウレタンアク
リレート、ウレタンメタクリレートや、油変性アクリレ
ートにアクリロイル基、メタクリロイル基を導入したア
ルキッド樹脂アクリレート、アルキッド樹脂メタクリレ
ートや、スピラン樹脂アクリレート、シリコン樹脂アク
リレートなどを挙げることができる。光重合系の有機マ
トリックスには一般的に光重合開始剤が添加される。光
重合開始剤の代表的なものとしては、光を吸収し活性ラ
ジカル種を生成するものを用いることができる。この例
としては、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、
α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、
α,α−ジメトキシ−α−モルホリノ−p−メチルチオ
フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、チオキサ
ントン、キノン、チオアクリドンや2種類の化合物を組
み合わせた例として、1,3−ジ(t−ブチルジオキシ
カルボニル)ベンゼンや3,3’,4,4’−テトラキ
ス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノンな
どのパーオキシ酸エステルとミヒラーケトンなどの芳香
族アミン、キサンテン、チオピリリウム、メロシアニ
ン、キノリン、クマリン、ケトクマリンなどの色素との
組み合わせや、ヨードニウム塩とアクリジンオレンジ、
ベンゾフラビン、メロシアニン、シアニン、キサンテン
色素等との組み合わせや、アルキルほう酸塩とシアニ
ン、ローダミン、サフラニン、マラカイトグリーン、メ
チレンブルーなどの色素との組み合わせや、鉄−アレー
ン錯体とドナー型色素との組み合わせや、ビスイミダゾ
ールとメルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾ
オキサゾールなどの水素供与体との組み合わせや、N−
アリールグリシンとキサンテン、チオキサンテン、ケト
クマリン系色素との組み合わせなどを挙げることができ
る。
【0015】光重合を行わせる有機マトリックス系のも
う一つの例として、光カチオン系を挙げることができ
る。この代表的なモノマー、プレポリマーとしてはエポ
キシ基を含有する広範な化合物や、ビニルエーテル類、
トリオキサントリメチレンオキシドなどカチオン重合性
として知られている官能基を含有する化合物から選択す
ることができる。例えば、種々のエポキシ価を有するビ
スフェノール型のエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ
樹脂、グリシジルエーテル誘導体に代表され、反応性希
釈剤として用いられている各種エポキシモノマーや、ポ
リエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリウ
レタン、ポリブタジエン等の末端をエポキシ基で変性し
た各種プレポリマーなどをその一例として挙げることが
できる。この光カチオン重合系の開始剤としては、光に
より強酸を生成できるタイプが一般的で、例えば、ジア
ゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリール
スルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、シラノ
ール/アルミニウム錯体、ベンゾイントシレート、o−
ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸のp−
ニトロベンジルエステル、p−ニトロベンジル−9,1
0−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、鉄−
アレーン錯体などを挙げることができる。
【0016】本発明の有機マトリックスの例の中で、光
変性反応するものの具体的な1例としては、溶解性を制
御できる物質、例えば、o−ナフトキノンジアジドスル
ホン酸エステル、5−ジアゾメルドラム酸、ジアゾメド
ン、o−ニトロベンジルカルボン酸エステル、p−ニト
ロベンジル−9,10−ジアルコキシアントラセン−2
−スルホネートなどを挙げることができる。これらの化
合物は適当なポリマー中に溶解され、有機マトリックス
の溶解性の制御を行うことができる。光変性反応を行う
別の系として、ポリマーの側鎖に溶解性を制御すること
のできる官能基を導入したものを挙げることができる。
このポリマーの例としては、光フリース転位で溶解性が
変化するポリ(p−ホルミルオキシスチレン)や、ポリ
(o−ニトロベンジルメタクリレート),ポリ(o−ニ
トロベンジル−p−ビニルベンゼンスルホネート−スチ
レン共重合体),ポリ(p−ニトロベンジル−p−ビニ
ルベンゼンスルホネート−スチレン共重合体)などを挙
げることができる。
【0017】本発明の有機マトリックスの例の中で、光
解重合反応するものの具体的な1例としては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリメチルイソプロペニルケトン、
メチルメタクリレート−3−メタクリロキシイミノ−2
−ブタノン共重合体、メチルメタクリレート−インダノ
ン共重合体、ポリグルタルイミド、ポリ(オレフィンス
ルホン)などを挙げることができる。
【0018】本発明の有機マトリックスには、前述のモ
ノマー、プレポリマー、光反応開始剤のほかに、ポリメ
チルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルホルマ
ール、ポリビニルブチラール、ホリカーボネート等のポ
リマー成分や、アセトン、メチルエチルケトン、エタノ
ール、ブタノール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、
エチレングリコール、エチルセロソルブ、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール
等の有機溶媒、あるいはジオクチルフタレート等の可塑
剤成分を添加することができる。
【0019】本発明の有機マトリックスの中で特に好ま
しい材料は、光回路あるいは光素子の形態に加工された
あとの有機マトリックス成分が疎水性になるものであ
る。また、目的とする回路あるいは素子の形態にあわせ
て、有機マトリックスは選択できる。例えば、厚い膜厚
が要求される場合には、光重合性の有機マトリックスが
選択でき、また、フレキシブルな回路が要求される場合
には、ゴム弾性を有するウレタンアクリレート系が選択
できる。高密度加工が要求される場合には、特にLSI
用レジスト材料として知られているものが有用である。
また、耐熱性、信頼性が要求される場合には、エポキシ
系材料、ポリイミド系材料が好ましい。特に、ポリアミ
ド酸に感光性の化合物を配合したり、ポリアミド酸ベー
スをメタクロイル基やアジド基等の感光性基で変性した
感光性ポリイミドは、耐熱性の回路、素子を形成するの
に有用である。
【0020】本発明の非線形光学材料を構成する金属微
粒子を形成するために、金属塩酸化剤を還元する還元剤
を必要に応じて添加することができる。還元剤の代表的
な例を挙げれば、p−メトキシフェノール、p−フェニ
ルフェノールなどのモノヒドロキシベンゼン類、ハイド
ロキノン、t−ブチルヒドロキノンナドノポリヒドロキ
シベンゼン類、α−ナフトール、β−ナフトールなどの
ナフトール類、フェニルヒドロキシルアミン、ベンジル
ヒドロキシルアミンなどのヒドロキシルアミン類、ピラ
ゾリドン誘導体、p−フェニレンジアミンなどのフェニ
レンジアミン類、N−メチル−p−アミノフェノールな
どのアミノフェノール類、p−(p−トルエンスルファ
ミド)フェノールなどのスルファミドフェノール類や、
ヒドロキシ基がt−ブチル基やシクロヘキシル基などの
かさ高い置換基で立体的に阻害されているいわゆるヒン
ダードフェノール類などがある。
【0021】ヒンダードフェノール類は還元剤の中で最
も有用なものであり、その化合物の例としては、2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−
メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、2,6−メチレンビス(2−ヒドロキシ−3−t
−ブチル−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノー
ル、1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−シメチ
ルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン、2,
2’−エチレンビス(4,6−ジメチル−1−シクロヘ
キシフェノールなどを挙げることができる。例えば、金
属微粒子の粒径をコントロールする界面活性剤や酸化剤
などを利用することができる。
【0022】本発明の有機マトリックスの好適な使用量
は金属塩酸化剤100重量部あたり30ないし1000
0重量部であり、好ましくは500ないし5000重量
部である。本発明の非線形光学材料の作製方法は通常次
のような二つの方法で作製される。まず、第一の方法は
つぎのような手順である。金属塩酸化剤、有機マトリッ
クス成分に必要に応じて有機溶媒を加えた溶液組成物を
作製し、この溶液を撹はんしながら、40℃ないし15
0℃に加熱し、金属塩酸化剤を還元して金属微粒子を生
成せしめる。このとき、有機マトリックス成分中のポリ
マーもしくはプレポリマーの存在が、金属微粒子の凝集
を防止する。この金属微粒子生成過程に必要に応じて前
述の触媒核を添加してもよい。得られた金属微粒子含有
溶液は、適当な基板、例えばガラス、石英ガラス、アル
ミナ、シリコン、窒化アルミ等の無機基板、あるいはポ
リエステルフィルム、ポリイミドフィルムのような有機
基板の上に塗布され、乾燥される。この工程までは実質
的に有機マトリックス材料が光反応を起こさないように
安全光の存在下で取り扱うことが好ましい。つぎに得ら
れたシートに有機マトリックスが光反応を起こす波長の
光を露光する。この方法は可視光線、紫外線等をネガを
介して密着露光、近接露光するか、レーザービームある
いは電子線ビーム等のビーム光による描画する方法を用
いることができる。適当な手段で露光されたシートは
水、アルカリ性水、酸性水、界面活性剤含有水あるいは
適当な有機溶媒等からなる現像液で洗浄され目的とする
パターンの非線形光学材料が得られる。
【0023】もう一つの作製方法は次のようである。ま
ず、金属塩酸化剤、有機マトリックス成分に必要に応じ
て有機溶媒を加えた溶液組成物を作製し、その溶液組成
物を安全光の下で、適当な基板、例えばガラス、石英ガ
ラス、アルミナ、シリコン、窒化アルミ等の無機基板、
あるいはポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムの
ような有機基板の上に塗布し、乾燥する。次に、得られ
たシートに有機マトリックスが光反応を起こす波長の光
を露光する。この方法は可視光線、紫外線等をネガを介
して密着露光、近接露光するか、レーザービームあるい
は電子線ビーム等のビーム光による描画する方法を用い
ることができる。適当な手段で露光されたシートは水、
アルカリ性水、酸性水、界面活性剤含有水あるいは適当
な有機溶媒等からなる現像液で洗浄され目的とするパタ
ーンを得ることができる。この工程で、露光条件をコン
トロールすれば、一部の金属塩酸化剤が還元され金属微
粒子を形成することも可能である。またこの露光工程で
金属微粒子の生成を制御できる前述の触媒核を形成する
ことも可能である。この工程の次に、得られた目的とす
るパターンを加熱処理することによって本発明の非線形
光学材料を得ることができる。好ましい加熱温度は60
℃ないし200℃の範囲である。
【0024】本発明の非線形光学材料は、微細加工性に
優れ、複雑な形状や、線幅や直線性などの高い寸法精度
が要求される形状などの種々の形状に加工できる。ま
た、本発明の非線形材料は作製手順を選択できること、
また穏和な加工条件を選択できることなどから、種々の
光学素子デバイスを作るために他の加工手段や他の材料
とを組み合わせる必要がある場合、極めて取扱い易い材
料である。
【0025】本発明で作製可能な光学素子デバイスは特
に制約を受けない。例えば、既に多くの刊行物に記載さ
れている光学素子の作製が可能であり、その一例として
は、光コンピュータ技術(トリップス、1989);石
原著、光コンピュータ(岩波書店、1989);光技術
コンタクト、27巻,No.7,416(1989);
応用物理,第59巻第2号,155(1990);H.
M.Gibbs著,”Optical Bistabi
lity:ControllingLight by
Light”(Academic Press,198
5)などに記載されている3次の非線形光学特性を利用
した素子を挙げることができる。本発明の非線形光学材
料は3次の非線形光学特性を利用して、例えば、第3高
調波発振、DC−SHG,カー効果、光双安定性、光混
合などにより、波長変換素子、光トランジスタ、光スイ
ッチ、超高速光シャッター、光メモリ、光演算素子、リ
アルタイムホログラム等へ応用することができる。
【0026】
【実施例】
【0027】
【実施例1】下記の成分からなる塗工液を作製した。 ヘプタフルオロ酪酸銀 32g ポリプロピレングリコールジメタクリレート 122g 2−エチルヘキシルメタクリレート 35g 2−ブタノン 25g ベンゾインエチルエーテル 3g この塗工液を平均孔径0.2μmのフィルターを通して
ろ過した後、石英基板上にスピンコータによって乾燥後
1.5μmになるように塗布し、黄色の安全光の下で乾
燥した。この感光性基板は0.7μmピッチに刻まれた
回折格子部分とそれに続く導波路部分が形成されるよう
にg線ステッパーにより露光し、次いでエタノール−界
面活性剤含有水溶液からなる現像液で未露光部を洗浄除
去して回折格子が刻まれた基板を得た。得られた基板は
乾燥窒素中、室温で8時間乾燥したのち、90℃に加熱
して、さらに2時間放置した。この加熱の前後で基板は
無色から、淡黄色に変化し、ヘプタフルオロ酪酸銀の赤
外吸収スペクトルの消失が観測された。
【0028】得られた回折格子の部分をグレーティング
カップラーとし色素レーザーパルスを入射させた。10
μJのパルスエネルギーで、400fs以下の応答速度
で、スイッチ動作の基本特性として入射光強度依存性の
結合効率が観測された。
【0029】
【実施例2】下記の成分からなる塗工液を作製した。 トリフルオロ酢酸銅 32g 感光性ポリイミド(パイメル、G-6246-S;旭化成) 100g この塗工液を用い、感光性ポリイミド用現像液を用いる
以外は実施例1と同様にしてグレーティングカップラー
を有する光学材料を作製した。この光学材料は最終的な
処理として390℃にまで加熱硬化せしめた。
【0030】この材料も、光スイッチ動作の基本特性と
して入射光強度依存性の結合効率が観測できた。
【0031】
【実施例3】実施例1の塗工液に2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェノール8gを添加し、安全光の下で
約60℃で10時間攪拌し続けた。この間塗工液は、徐
々に黄色に着色し、黄色透明の溶液が得られた。この反
応液にはヘプタフルオロ酪酸銀の赤外吸収スペクトルが
消失しており、銀塩から銀微粒子が生成していることが
確認できた。この反応液を平均孔径0.2μmのフィル
ターを通してろ過した後、石英基板上にスピンコータに
よって乾燥後1.5μmになるように塗布し、黄色の安
全光の下で乾燥した。この感光性基板は0.7μmピッ
チに刻まれた回折格子部分とそれに続く導波路部分が形
成されるようにg線ステッパーにより露光し、次いでエ
タノール−界面活性剤含有水溶液からなる現像液で未露
光部を洗浄除去して回折格子が刻まれた基板を得た。
【0032】得られた回折格子の部分をグレーティング
カップラーとし色素レーザーパルスを入射させた。10
μJのパルスエネルギーで、400fs以下の応答速度
で、スイッチ動作の基本として入射光強度依存性の結合
効率が観測された。
【0033】
【実施例4】実施例2の塗工液を用い、各種のスイッチ
導波路の作製を試みた。方向性結合器、マッハツェンダ
ー干渉計、分岐結合器の何れのスイッチ導波路でも、ス
イッチ機能が確認できた。例えば、方向性結合器では、
弱励起時(0.1mJ/cm2)の入射光に対しては50%づ
つ二つの導波路に分岐した出力光が、強励起時(8mJ/c
m2)には光強度で8:2に変化するのが観測された。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、金属微粒
子が有機マトリックス中に存在した非線形光学材料を提
供するものであり、その材料選択の自由度の大きさ、加
工性の容易性から、広範な非線形光学素子、部品に用い
ることができる。特に光反応性のマトリックスの特性を
活かして、高精細な光学素子が作製できる利点は大きい
ものがある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径が1nm以上100nm以下の金属
    微粒子が有機マトリックス中に独立して分散している金
    属微粒子分散体であって、該有機マトリックスが光反応
    性であることを特徴とする非線形光学材料
  2. 【請求項2】 請求項1の非線形光学材料であって、金
    属微粒子が金属塩酸化剤を還元して形成されることを特
    徴とする請求項1記載の非線形光学材料
  3. 【請求項3】 請求項1の非線形光学材料であって、光
    反応性の有機マトリックスが、光重合反応、光架橋反
    応、光変性反応、もしくは光解重合反応をおこし得る官
    能基を含有し、少なくとも露光手段と加熱手段により回
    路形成できることを特徴とする非線形光学材料
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002510866A (ja) * 1998-04-01 2002-04-09 マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー 量子ドット白色及び着色発光ダイオード
JP2003084323A (ja) * 2001-09-14 2003-03-19 Toshiba Corp 非線形光学材料、非線型光学材料用樹脂組成物、非線形光学材料の製造方法、およびそれを用いた光デバイス

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