JPH06175557A - 体積位相型ホログラムの製造方法 - Google Patents

体積位相型ホログラムの製造方法

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JPH06175557A
JPH06175557A JP35043592A JP35043592A JPH06175557A JP H06175557 A JPH06175557 A JP H06175557A JP 35043592 A JP35043592 A JP 35043592A JP 35043592 A JP35043592 A JP 35043592A JP H06175557 A JPH06175557 A JP H06175557A
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hologram
meth
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JP35043592A
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Yasumasa Toba
泰正 鳥羽
Takeo Yamaguchi
岳男 山口
Madoka Yasuike
円 安池
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化学的安定性、耐環境性および感度に優れ、
かつ解像度、回折効率、透明性に優れたログラムの製造
法を提供する。 【構成】 (メタ)アクリル酸エステルの単重合体また
は共重合体(A)、重合可能なエチレン性不飽和結合を
少なくとも1個以上有する化合物(B)、3−ケトクマ
リン類(C)とジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体
(D)とからなる感光材料をホログラム露光後、光およ
び/または熱を加える体積位相型ホログラムの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学的安定性や耐環境
特性に優れ、且つ感度特性、解像度、回折効率および透
明性に特に優れた体積位相型ホログラムの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ホログラム記録用材料として、漂
白処理銀塩および重クロム酸ゼラチン系の感光材料が一
般に使用されてきた。しかし、これを用いたホログラム
材料は、ともに、複雑な湿式現像処理を必要とし、さら
に、解像度または耐環境特性、例えば耐湿性、耐候性に
劣るという問題点を有している。
【0003】解像度の問題点を解決すべく、フォトポリ
マーを用いたホログラム記録材料が提案されている。そ
のうち、高感度な感光材料として、ケトクマリン化合物
を光開始剤に用いた組み合わせが知られている。例え
ば、特開平2−216180はポリ(N−ビニルカルバ
ゾール)とケトクマリン化合物と過酸化物との組み合わ
せを、特開平3−185484はポリ(N−ビニルカル
バゾール)とケトクマリン化合物とトリアジン類との組
み合わせを、特開平3−148686はポリ(N−ビニ
ルカルバゾール)とケトクマリン化合物とフェニルグリ
シンとの組み合わせを、特開平2−216181はポリ
(N−ビニルピロリドン)とケトクマリン化合物と過酸
化物との組み合わせを、特開平3−259176はポリ
(N−ビニルピロリドン)とケトクマリン化合物とジア
リールヨードニウム塩との組み合わせを開示している。
しかし、ポリ(N−ビニルカルバゾール)は結晶化しや
すく透明な膜を再現性良く得ることが難しく、また、ポ
リ(N−ビニルピロリドン)は耐湿性に劣るという問題
点を有し、高回折効率、高透明性かつ耐候性を有するホ
ログラムは得られなかった。
【0004】ケトクマリン化合物とポリメタクリル酸メ
チルを組み合わせたホログラム記録用感光材料は、耐候
性、感度とも優れているが(特願平4−31590)、
例示の処理方法では、現像処理が煩雑であり、溶媒浸漬
操作時に生じる空隙やひび割れに起因する現像ムラや白
化が生じるという問題点があった。
【0005】一方、ホログラムの製造工程において複雑
なあるいは煩雑な湿式処理工程を必要としない、唯一の
処理工程として干渉露光のみでホログラムを製造するこ
とが可能なフォトポリマーを使ったホログラム記録材料
およびその製造法が開示されている。例えば、特開平2
−3081号公報はポリマーあるいはモノマーのどちら
か一方が芳香環あるいはハロゲン原子を含む置換基を有
する熱可塑性ポリマーと液体エチレン性モノマー、およ
び光開始剤から構成される光重合性組成物および屈折率
画像用エレメントを開示している。この公知技術に従え
ば、高回折効率、高解像度、耐環境特性および透明性に
優れたホログラムが製造されることが「Practic
al Holography IV」SPIE,第12
12巻、30頁(1990年)にて実証されている。し
かしながら、該ホログラム記録材料は、ホログラムの大
量複製、即ち露光時間の短縮化において重要な特性とな
る感度特性において、さらに高感度化が必要とされた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、化学的安定
性や耐環境特性に優れ、且つ感度特性、解像度、回折効
率および透明性に特に優れた体積位相型ホログラムの製
造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の諸
点を考慮し、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、
本発明に至ったものである すなわち、本発明は(メ
タ)アクリル酸エステルの単重合体、または2種以上の
(メタ)アクリル酸エステルの共重合体(A)、重合可
能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1個以上有する
化合物(B)、3−ケトクマリン類(C)およびジアリ
ールヨードニウム有機ホウ素錯体(D)からなる感光材
料を用いてホログラムを作成するにあたって、該感光材
料を、ホログラム露光したのち、光および/または熱を
加えることを特徴とする体積位相型ホログラムの製造方
法を提供する。重合可能なエチレン性不飽和結合を少な
くとも1個以上有する化合物(B)は、芳香環および/
またはハロゲン原子を有していてもよい。
【0008】本発明で使用する(メタ)アクリル酸エス
テルの単重合体、または2種以上の(メタ)アクリル酸
エステルの共重合体(A)の例としては、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブ
チル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘ
キシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシ
ル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−エチル
ブチル、1,3−ジメチルブチル、2−エチルヘキシ
ル、2−メチルペンチル、シクロヘキシル、アダマンチ
ル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、テトラヒドロ
フフルフリール、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキ
シブチル、トリフルオロエチル、テトラフルオロプロピ
ル、ヘプタデカフルオロデシル、オクタフルオロペンチ
ルなどのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステ
ルの単重合体、または、2種以上の共重合体などが挙げ
られる。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エス
テルを用いた場合には、さらに、ヒドロキシ基を酸無水
物、イソシアネート、エピクロルヒドリンなどで変性し
てもよい。また、2種以上の(メタ)アクリル酸エステ
ルの共重合体におけるアクリル酸エステルとメタクリル
酸エステルの比率は、メタクリル酸エステルがモル比で
30%以上になると、重合体が粘着性でなくなるので好
ましい。
【0009】また、本発明で使用する重合性エチレン性
不飽和結合を少なくとも1個以上有する化合物(B)と
しては、単官能または多官能ビニルモノマーの他にオリ
ゴマーを含むものであり、さらには高分子量化合物であ
ってもよく、またこれらの混合物であってもよい。次に
これらの化合物を例示する。
【0010】アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジア
セトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、N−ビニルカルバゾール等の高沸点ビニ
ルモノマー、さらには、脂肪族ポリヒドロキシ化合物、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオー
ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール
などのジあるいはポリ(メタ)アクリルエステル類、芳
香族ポリヒドロキシ化合物、例えば、ヒドロキノン、レ
ゾルシン、カテコール、ピロガロール等のジあるいはポ
リ(メタ)アクリルエステル、イソシアヌル酸のエチレ
ンオキシド変性(メタ)アクリレート、ビスフェノール
Aエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレートさらに
は、側鎖にヒドロキシ基やハロゲン化メチル基の如き反
応活性を有する官能基を持つ重合体とアクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸との高分
子反応によって得られるポリマーも好適に使用しうる。
このような高分子化合物としては、ポリビニルアルコー
ル、ビニルアルコールと酢酸ビニルとの共重合体、ポリ
エピクロルヒドリン、フェノキシ樹脂、ポリクロロメチ
ルスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トと種々(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、
フェノール樹脂などが挙げられる。さらには、(メタ)
アクリル化されたエポキシ樹脂、ポリエステル(メタ)
アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル化ウレタン
オリゴマー、アクロレイン化ポリビニルアルコール等を
あげることができる。
【0011】これらのうち、芳香環および/または、フ
ッ素、塩素、臭素、沃素などのハロゲン原子を有する化
合物が好ましい。この化合物は、(メタ)アクリル酸エ
ステルの単重合体または2種以上の(メタ)アクリル酸
エステルの共重合体との屈折率差が大きく、これにより
屈折率変調の大きな、すなわち回折効率の高いホログラ
ムが提供される。具体的には、2−フェノキシエチルア
クリレート、p−クロロフェノキシエチルアクレート、
p−ブロモフェノキシエチルアクレート、2−ナフチル
アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、テト
ラフルオロプロピルメタクレート、ビスフェノールAエ
チレンオキシド変性ジアクリレート、フタル酸エピクロ
ルヒドリン変性ジアクリレートなどが挙げられる。
【0012】本発明で使用の3−ケトクマリン類(C)
としては、一般式(1)
【化1】 (式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロ
ゲン原子、置換基を有しても良いアルキコシ基、ジアル
キルアミノ基、置換基を有しても良いアリール基あるい
は縮合されたベンゼン環を示し、R3は水素原子あるい
はシアノ基を示し、R4は低級アルキル基または置換基
を有しても良いアリール基を示す)で表わされる3−ケ
トクマリン類および、一般式(2)
【0013】一般式(2)
【化2】 (式中、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立に、水素
原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキコシ
基、ジアルキルアミノ基、置換基を有しても良いアリー
ル基あるいは縮合させたベンゼン環を示し、R9、R10
は水素原子あるいはシアノ基を示す)で表わされる3位
にカルボニル置換されたビスケトクマリン類から選ばれ
た少なくとも1種の化合物であり、クマリンのベンゼン
核にアルコキシ基またはジアルキルアミノ基が置換され
ていることが望ましい。
【0014】具体的には、一般式(1)で表わされる化
合物の例としては、3−チエノイルクマリン、3−(4
−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイルクマ
リン、3−(4−シアノベンゾイル)クマリン、3−チ
エノイル−7−メトキシクマリン、7−メトキシ−3−
(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル
−7−メトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾイ
ル)−7−メトキシクマリン、5,7−ジメトキシ−3
−チエノイルクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(4
−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−
5,7−ジメトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾ
イル)−5,7−ジメトキシクマリン、7−ジエチルア
ミノ−3−チエノイルクマリン、7−ジエチルアミノ−
3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾ
イル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミ
ノ−3−(4−シアノベンゾイル)クマリン、7−ジエ
チルアミノ−3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)ク
マリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルア
ミノクマリン、3−シンナモイル−7−ジエチルアミノ
クマリン、4−シアノ−3−シンナモイル−7−ジエチ
ルアミノクマリン、3−(p−ジエチルアミノシンナモ
イル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−アセチル−
7−ジエチルアミノクマリン、3−カルボキシ−7−ジ
エチルアミノクマリン、3−(4−カルボキシベンゾイ
ル)−7−ジエチルアミノクマリンが挙げられる。ま
た、さらに、クマリンベンゼン環に芳香環が縮合されて
いてもよい。次に、一般式(2)で表わされる化合物と
しては、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’
−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、5,7−
ジメトキシ−3,3’−カルボニルビスクマリン、5,
7,7’−トリメトキシ−3,3’−カルボニルビスク
マリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキ
シクマリン)、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ
エトキシクマリン)、7−ジエチルアミノ−3,3’−
カルボニルビスクマリン、7−ジエチルアミノ−5’,
7’−ジメトキシ−3,3’−カルボニルビスクマリ
ン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノク
マリン)、3,3’−カルボニルビス(ジュロリジノク
マリン)、3,3’−カルボニルビス(4−シアノ−7
−ジエチルアミノクマリン)等をあげることができる。
代表的な例として、化合物(a)ないし化合物(h)を
示す。
【0015】化合物(a)
【化3】
【0016】化合物(b)
【化4】
【0017】化合物(c)
【化5】
【0018】化合物(d)
【化6】
【0019】化合物(e)
【化7】
【0020】化合物(f)
【化8】
【0021】化合物(g)
【化9】
【0022】化合物(h)
【化10】
【0023】次に、本発明で使用するジアリールヨード
ニウム有機ホウ素錯体(D)は、一般式(3)
【化11】 (式中、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基また
はハロゲン原子を表し、R13、R14、R15およびR
16は、それおぞれ独立に、置換基を有しても良いアルキ
ル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有し
ても良いアルケニル基、置換基を有しても良いアルキニ
ル基、置換基を有しても良い脂環基より選ばれる基を示
し、R13、R14、R15およびR17の全てが同時に、置換
基を有しても良いアリール基となることはない。)で表
されるジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体(D)を
示し、置換基R11およびR12は、水素原子、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イ
ソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基な
どの低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ
基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの
低級アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、およびフッ
素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を表す。R
13、R14、R15およびR16のうち、置換基を有しても良
いアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec
−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシ
ル基等が、置換基を有しても良いアリール基としては、
フェニル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、
クメニル基等が、置換基を有しても良いアルケニル基と
しては、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル
基、1−ブテニル基等が、置換基を有しても良いアルキ
ニル基としては、エチニル基、1−ヘキシニル基、1−
プロピニル基等が、置換基を有しても良い脂環基として
は、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキ
セニル基、ノルボニル基、ボルニル基、メンチル基、ピ
ナニル基、アダマンチル基等が挙げられ、これらの脂環
基は、さらに他の置換基で置換されていても良く、その
様な置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エ
トキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、
p−トリル基、p−メトキシフェニル基等のアリール基
の他、p−トルエンスルホニル基、トリフルオロメチル
基が挙げられる。
【0025】その様なジフェニルヨードニウム有機ホウ
素錯体の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ジ
トリルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニ
ル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨード
ニウム、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウ
ム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウム等のn−
ブチルトリフェニルボレート錯体、sec−ブチルトリ
フェニルボレート錯体、tert−ブチルトリフェニル
ボレート錯体、n−ブチルトリス(p−メトキシフェニ
ル)ボレート錯体、メチルトリフェニルボレート錯体、
n−ブチルトリス(p−フルオロフェニル)ボレート錯
体等が例示される。代表的な化合物として化合物(i)
ないし化合物(k)を示す。
【0026】化合物(i)
【化12】
【0027】化合物(j)
【化13】
【0028】化合物(k)
【化14】
【0029】本発明で使用するホログラム記録用感光材
料は、(メタ)アクリル酸エステルの単重合体、または
2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体
(A)、重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも
1個有する化合物(B)、および3−ケトクマリン類
(C)とジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体(D)
からなる光重合開始剤を、任意の濃度で適当な溶媒中に
溶解させ、得られた溶液をガラス板等の基板上に皮膜状
に塗布して得ることができる。上記各成分の配合比に特
定の制限はないが、照射用レーザ光の透過率が1%以上
となるように3−ケトクマリン類(C)の濃度を調製す
ることが好ましい。さらに必要に応じて、各種添加剤、
例えば可塑剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、熱重合禁止
剤、レベリング剤等を添加してもよい。
【0030】(メタ)アクリル酸エステルの単重合体、
または2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合
体(A)の全感光材料中に占める量は、高回折効率を有
するホログラム記録を行なうためには、10〜90重量
%、好ましくは、30〜70重量%である。重合可能な
エチレン性不飽和結合を少なくとも1個以上有する化合
物(B)の使用量は、支持体である共重合体(A)10
0重量部に対し10〜200重量部、好ましくは40〜
150重量部である。上記範囲を逸脱すると高い回折効
率の維持および感度特性の向上が困難となるので好まし
くない。
【0031】本発明で使用する光重合開始剤のうち、一
般式(1)あるいは一般式(2)の3−ケトクマリン類
(C)は、メタクリル酸エステルの単重合体、またはメ
タクリル酸エステルと重合可能なエチレン性不飽和結合
を有する化合物との共重合体100重量部に対し、0.
1〜30重量部、好ましくは、0.5〜15重量部の範
囲で使用される。使用量は、感光層膜厚と、該膜厚の光
学密度によって制限を受ける。即ち、光学密度が2を越
さない範囲で使用することが好ましい。またジアリール
ヨードニウム有機ホウ素錯体(D)は、メタクリル酸エ
ステルの単重合体、またはメタクリル酸エステルと重合
可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合
体100重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましく
は1〜15重量部の範囲で使用される。
【0032】上記のような組成比のホログラム記録用感
光材料を適当な溶媒に溶解させた感光液をスピンコータ
ー、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いるこ
とによって、直接ガラス板、プラスチックフィルムなど
の基材上に感光膜を形成する。さらに、その上に、酸素
遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリ
オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リビニルアルコールまたはポリエチレンテレフタレート
などのプラスチック製のフィルムまたは板を貼合わせる
か、前記ポリマーの溶液を塗工してもよい。また、ガラ
ス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間お
よび/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるた
めに粘着剤または液状物質を存在させてもよい。
【0033】以上のようにして得られたホログラム記録
用感光材料によって形成された感光板またはフィルム
は、振動の影響を受けないようホルダーに固定した後、
ArイオンレーザーまたはHe−Cdレーザーなどの可
視光レーザーを照射し、ホログラム記録を行なう。図1
は、ホログラム作成用の二光束露光装置のブロック図で
ある。図中、1はアルゴンレーザー発信装置、2はミラ
ー、3はレンズ、4はスペイシャルフィルター、5はガ
ラス板、6は感光膜を示す。
【0034】ホログラム記録された感光板またはフィル
ムは、未露光部分または露光量の少ない部分の定着のた
め、光および/または熱を加えることを必要とする。光
は、可視光レーザーの他、カーボンアーク、高圧水銀
灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ラン
プ、タングステンランプなどの可視光および/または紫
外光を用いる。熱は、40℃から160℃の間で加熱す
るのが好ましい。ホログラム記録された感光板またはフ
ィルムに、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加
えてもよい。また、光および/または熱を加える前後
に、保護膜を剥離する操作をおこなってもよい。
【0035】
【作用】本発明で使用するホログラム記録用感光材料
は、(メタ)アクリル酸エステルの単重合体、または2
種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体
(A)、重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも
1個以上有する化合物(B)、3−ケトクマリン類
(C)とジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体(D)
とからなる。本発明において使用される3−ケトクマリ
ン類(C)は、ArイオンレーザーあるいはHe−Cd
レーザーなどの可視レーザー光源から発振される可視光
を効率良く吸収し、その分光増感作用によってジアリー
ルヨードニウム有機ホウ素錯体(D)を効率良く分解す
る。その結果フリーラジカルが発生し、ラジカル重合が
効果的に誘起されることになる。特に本発明において使
用されるジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体は、そ
の分子内に2つのフリーラジカル発生源を有するため
に、効果的にフリーラジカルを発生し、感度特性の向上
を招くことになる。
【0036】一方、ホログラム記録において、該光重合
性の感光材料にレーザー光を照射すると、該レーザー照
射部位中光干渉作用の強い部位においては、重合可能な
エチレン性不飽和結合を少なくとも1個以上有する化合
物(B)の重合反応が生じる。その際に、干渉作用の弱
い部位にある化合物(B)は、干渉作用の強い部位へ拡
散する。ホログラム露光された部位では、化合物(B)
の拡散による屈折率差が生じる。化合物(B)が芳香環
および/またはハロゲン原子を有する化合物である場
合、(メタ)アクリル酸エステルの単重合体、または2
種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体(A)
との屈折率が大きくなるため、屈折率差が大きく現れた
と推量される。未反応で残る化合物(B)は、ホログラ
ム記録後に光および/または熱を加えることにより重合
し、経時変化の少ないホログラムを与える。
【0037】
【実施例】以下実施例に基づき、本発明をより詳細に説
明する。以下の各例において、部は特に断わりのない限
り重量部を表わす。 実施例1 ポリメタクリル酸メチル (アルドリッチ社製、重量平均分子量71万) 100部 フェノキシエチルアクリレート (商品名PO−A、共栄社油脂化学工業(株)) 90部 化合物(a) 3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン) 2部 化合物(i) ジフェニルヨードニウム−n−ブチルトリフェニルボレート 5部 ジオキサン 900部
【0038】上記からなる感光液を100×125×3
mmのガラス板上に、感光液乾燥後の膜厚が7μmとな
るように3ミルアプリケーターを用いて塗布し、ホログ
ラム記録用感光板を作成した。さらに、3ミルアプリケ
ーターでポリビニルアルコールの5%水溶液を塗布し
た。この感光板に、図1に示すホログラム作成用光学系
でArイオンレーザーの488nmの光を用いてホログ
ラム露光を実施した後、更に二光束の一方を遮断してホ
ログラム露光と同じ露光時間に晒し、その後120℃オ
ーブンに1時間おいた。
【0039】回折効率は、日本分光工業(株)製ART
25C型分光光度計で測定した。該装置は、幅3mmの
スリットを有したフォトマルチメータを、試料を中心に
した半径20cmの円周上に設置できる。幅0.3mm
の単色光を試料に45度の角度で入射し、試料からの回
折光を検出した。正反射光以外で最も大きな値と、試料
を置かず直接入射光を受光したときの値との比を回折効
率とした。露光量3mJ/cm2 で回折効率70%の体
積位相型ホログラムが作製された。このホログラムを2
5℃、60%RHの環境下に180日間放置しても回折
効率の低下は認められなかった。
【0040】実施例2〜8 実施例1における3,3’−カルボニルビス(7−ジエ
チルアミノクマリン)を表1に示した化合物(b)〜
(h)のケトクマリン類に変えた他はて実施例1と同様
の操作で体積位相型ホログラムの作製を行なった時の結
果を表1に示した。なお、実施例7、8では、ヘリウム
カドミウムレーザ441nm光を用いた。得られたホロ
グラム特性を表1にまとめて示した。
【0041】実施例9 実施例1において、ジフェニルヨードニウム−n−ブチ
ルトリフェニルボレート(化合物i)をビス(p−te
rt−ブチルフェニル)ヨードニウム−n−ブチルトリ
フェニルボレート(化合物h)に変えた他は実施例1と
同様の方法で操作し、体積位相型ホログラムを作製し
た。得られたホログラム特性を表1に示した。
【0042】実施例10 実施例1において、ジフェニルヨードニウム−n−ブチ
ルトリフェニルボレート(化合物i)をビス(p−シア
ノフェニル)ヨードニウム−sec−ブチルトリフェニ
ルボレート(化合物k)に変えた他は実施例1と同様の
方法で操作し、体積位相型ホログラムを作製した。得ら
れたホログラム特性を表1に示した。
【0043】実施例11 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルを、メタクリ
ル酸メチルと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの共
重合体(モノマー比、10:1)に変えた他は、実施例
1と同様の操作により体積位相型ホログラム記録を行っ
たところ、露光量3mJ/cm2で、回折効率50%の
体積位相型ホログラムが作製された。25℃、相対湿度
60%の環境下に180日放置しても回折効率の低下は
認められなかった。
【0044】 表1 実施例 3-ケトクマリン シ゛アリール 回折効率 感度特性 保存性* 化合物 ヨート゛ニウム (%) (mJ/cm2 ) (日) 有機ホウ素錯体 1 化合物(a) 化合物(i) 70 3 >180 2 化合物(b) 化合物(i) 70 5 >180 3 化合物(c) 化合物(i) 70 3 >180 4 化合物(d) 化合物(i) 70 3 >180 5 化合物(e) 化合物(i) 70 6 >180 6 化合物(f) 化合物(i) 70 4 >180 7 化合物(g) 化合物(i) 55 10 >180 8 化合物(h) 化合物(i) 60 8 >180 9 化合物(a) 化合物(j) 70 4 >180 10 化合物(a) 化合物(k) 70 3 >180 *25℃、60%Rh保存後のホログラム回折効率の変化
【0045】比較例1 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルをポリ−N−
ビニルカルバゾールに変えた以外は実施例1と同様に操
作して、ホログラム記録を行なった。露光量10mJ/
cm2 でホログラム記録は可能であったが、その回折効
率は10%であった。
【0046】比較例2 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルをポリスチレ
ンに変えた以外は実施例1と同様に操作したが、体積位
相型ホログラムの作製はできなかった。
【0047】比較例3 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルをポリビニル
ピロリドンに変えた以外は実施例1と同様に操作して、
体積位相型ホログラムの作製を行なった。露光量1mJ
/cm2 でホログラム記録は可能であったが、その回折
効率は50%であった。しかし、ポリビニルピロリドン
の耐湿性不良のため、25℃、相対湿度60%の環境下
に1日保存後、ホログラム記録は完全に消失した。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、高感度で、化学的に安
定であり、かつ高解像度、高回折効率、高透明性を有す
る体積位相型ホログラムの簡便な製造方法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ホログラム作成用二光束露光装置のブ
ロック図を示す。
【符号の説明】
1:Arイオンレーザー発振装置 2:ミラー 3:レンズ 4:スペイシャルフィルター 5:ガラス板 6:感光膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/028 7/033

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステルの単重合
    体、または2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共
    重合体(A)、重合可能なエチレン性不飽和結合を少な
    くとも1個以上有する化合物(B)、3−ケトクマリン
    類(C)およびジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体
    (D)からなる感光材料を用いてホログラムを作成する
    にあたって、該感光材料をホログラム露光したのち、光
    および/または熱を加えることを特徴とする体積位相型
    ホログラムの製造方法。
  2. 【請求項2】 重合可能なエチレン性不飽和結合を少な
    くとも1個以上有する化合物(B)が、芳香環および/
    またはハロゲン原子を有することを特徴とする請求項1
    記載の体積位相型ホログラムの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0775706A2 (de) 1995-11-24 1997-05-28 Ciba SC Holding AG Borat Photoinitiatoren aus Polyboranen
WO2007139687A1 (en) * 2006-05-26 2007-12-06 Eastman Kodak Company Negative-working radiation-sensitive compositions and imageable materials
JP2010529490A (ja) * 2007-05-31 2010-08-26 イーストマン コダック カンパニー ネガ型画像形成性要素およびその使用方法
KR101328000B1 (ko) * 2011-05-24 2013-11-13 한국외국어대학교 연구산학협력단 싸이올 화합물 검출을 위한 쿠마린 유도체

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