JP5413425B2 - 高透明性ポリイミド前駆体、及びポリイミド前駆体樹脂組成物 - Google Patents
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Description
好適には、本発明は、紫外領域の電磁波に対して透明性に優れるポリイミド前駆体に関し、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材の材料(例えば、光学製品、光学部品の成形材料、絶縁材料、層形成材料又は接着剤など)として好適に利用することが出来ることに加えて、イミド化後の耐熱性と透明性に優れる高透明性ポリイミド前駆体に関し、さらには、当該高透明性ポリイミド前駆体から誘導される高透明性ポリイミド、当該高透明性ポリイミド前駆体を含有する樹脂組成物、及び、当該高透明性ポリイミド前駆体、当該高透明性ポリイミド又は当該樹脂組成物を用いて作製した物品にも関するものである。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、類似の加工工程を有し、低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
前者は、溶媒溶解性に優れる前駆体を用いることで加工特性に優れ、後者は、高温の熱処理等が必要とされるイミド化のプロセスをパターン形成後に行う必要が無いという利点があり、それぞれの用途に応じて使い分けられている。
前駆体を利用するタイプのポリイミドのパターニングをする手段としても、種々の手法が提案されている。その代表的な手法は、以下の2つに大別される。
(2) ポリイミド前駆体自身に感光性部位を結合や配位させて導入し、その作用によりパターン形成する手法、または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターン形成する手法。さらには、感光性部位の導入と感光性成分の混合の両方を組み合わせた手法。
(a) ポリイミドの前駆体のポリアミド酸に、電磁波の露光前は溶解抑止剤として作用し、露光後は、カルボン酸を生成し溶解促進剤となる、ナフトキノンジアジド誘導体を混合し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(b) ポリイミドの前駆体のポリアミド酸に、電磁波の露光によりイミド化の触媒作用を示す塩基性物質となるニフェジピン誘導体等の化合物を混合し、露光後に、適度な温度で加熱することにより、露光部に発生した塩基性物質の作用で露光部は部分的にイミド化されるため、現像液に対する溶解性が低下し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、完全にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(c) ポリイミド前駆体としてラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する骨格を結合させたものを用い、そこに光ラジカル発生剤を混合することで露光部に架橋構造を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(d) ポリイミド前駆体のポリアミド酸と塩基性部位を有するラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する骨格を混合することで、両者をイオン結合させ、そこに光ラジカル発生剤を混合することで露光部に架橋構造を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
及び、
(e) ポリイミドの前駆体のポリアミド酸に、光酸(または光塩基)発生剤と架橋剤を混合し、露光後、加熱することで露光によって発生した酸(または塩基)の作用によって架橋を進行させ、現像液に対する溶解性が低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくしパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法、などの手法が提案されている。
一方、(2)のグループに属する手法では、ポリイミド前駆体(または、ポリイミド前駆体樹脂組成物)自身がパターン形成能を有するため、(1)のグループで用いたようなレジスト層が必要なく、プロセスが大幅に簡便になるという特徴があるが、ポリイミド前駆体自身が露光波長を十分に透過しないと、感光性成分に電磁波が届かず感度の低下や、パターンが形成できない等の問題が発生するため、露光波長に対し透過率の高い骨格を選ぶ必要がある。
より微細なパターンを形成したいという市場の要求に伴い、露光波長も436nmから405nm、365nmへと段階的に短波長化している。これらの手法に用いられるポリイミド前駆体は、その化学構造によって吸収波長が異なるが、一般に450nm付近から短波長側にかけては吸収を有する場合が多い。特に芳香族構造を多く有し、それらの一部、または、大部分が共役状態にあるものについては、その傾向が強い。また、それらの吸収を小さくする為に工夫されたものについても、400nm以下の波長に吸収を有する場合が多く、より微細な加工が可能である365nm以下の波長による露光に対応させる為、より短い波長に対する透過率を向上させるために検討がされてきた。
ポリイミド前駆体の吸収の原因は、電荷の移動によるものと言われており、最近では、特にその分子内の電荷移動が着色に大きく関わっていると報告されている(非特許文献1)。 つまり、分子内の電荷移動をなくすことで、吸収をより短波長領域にシフトさせたポリイミド前駆体を作ることができる。この原理に基づき、これまでにポリイミド前駆体の吸収を短波長化させる手法として、大きく2つの手法が提案されている。
一つは、通常、芳香族骨格が多いポリイミド前駆体の骨格内に脂肪族構造、特に脂環構造を導入し、骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害し、吸収の短波長化を図るというものである。特に、原料であるジアミンに脂環骨格を導入することが効果的であるといわれている。(非特許文献1、特許文献1)
もう一つは、ポリイミド前駆体骨格内にフッ素を導入し、骨格内の電子状態を電荷移動しにくくすることで透明性を付与するものである。(特許文献2)
特許文献4には、実施例に2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いたポリイミドが記載されているが、ここではポリイミドはポリマー重合容器へのポリマーの付着を防ぐ保護膜として用いられており、その保護膜を施した重合容器で製造されたポリマーの初期着色性について述べられているものの、ポリイミド前駆体そのものの物性について何ら述べられていない。
列挙であり実際の合成例は記載されていないため、具体的な物性を知ることはできない。
特許文献6には、ポリイミド微粒子の製造方法が開示されており、ここにも原料の代表例として2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が記載されているが、化合物名の単なる列挙であり実際の合成例は記載されていないため、具体的な物性を知ることはできない。
特許文献8には、光導電性高分子の製造方法が開示されており、ここにも原料の代表例として2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が記載されているが、化合物名の単なる列挙であり実施例としては記載されていないため、具体的な物性を知ることはできない。
前記第一の手法では、脂環式構造は、芳香族構造に比べ酸化されやすく、空気中で加熱すると酸化により着色をしてしまうという問題がある。その為、脂環式構造を導入したポリイミドは、不活性雰囲気下での加熱が推奨されている。また、脂環式構造を導入したポリイミドは、芳香族ポリイミドに比べ熱分解温度も低いため、耐熱性に劣る。さらに、線熱膨張係数が大きくなり、金属、金属酸化物あるいはシリコンウェハ等の熱膨張率の小さな物質と界面を形成する場合には、熱履歴がかかることによって反りの発生や密着不良などの原因となる。
本発明は、これらの目的のうち少なくともひとつを解決するものである。
本発明に係る高透明性ポリイミド前駆体は、このような分子構造の空間配置を有するため、ポリイミド前駆体分子鎖上のπ共役が阻止され、より短波長に吸収を有するポリイミド前駆体となる。また、これらのポリイミド前駆体から最終的に得られるポリイミドは芳香族ポリイミドゆえの耐熱性を有する。また、その構造にもよるが、多くのジアミンとの組み合わせにおいて400nm以上に吸収を有さず構造の選択の幅が広い。その結果、吸収波長に制限されることなく、低熱膨張や低吸湿、低誘電率や低誘電正接など、求める物性に応じて、骨格を選択できる。
また、最終的にイミド結合を形成するカルボニル基とアミド基が、π共役構造となっている同一の芳香族環に結合していない為、ポリイミド前駆体となった場合にそれらの間の距離が立体的に離れることから、従来のポリアミド酸等に比べ保存安定性が良好である。
高透明性ポリイミド前駆体が、その分子内に上記したような反応性部位を有する場合には、放射線、特に短波長領域の電磁波によるパターニングを行うことが可能である。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物の好ましい一形態においては、前記高透明性ポリイミド前駆体が、その分子内に440nm以下の波長を有する放射線の照射によって、ポリイミド前駆体樹脂組成物を硬化させるか、ポリイミド前駆体樹脂組成物の溶解性を変化させる感光性部位を有する高透明性ポリイミド前駆体であるか、及び/又は、該感光性部位を有する感光性成分をさらに含有するポリイミド前駆体樹脂組成物が提供される。これらは、ポリイミド前駆体樹脂組成物中に単独で含有されても良いし、または2種以上を同じポリイミド前駆体樹脂組成物に含有させても良い。
ポリイミド前駆体樹脂組成物が感光性部位を有する高透明性ポリイミド前駆体、及び/又は、該感光性部位を有する感光性成分を含有する場合には、放射線、特に短波長領域の電磁波、更には400nm以下の波長の電磁波によるパターニングを行うことが可能である。
従って、本発明の高分子化合物前駆体に感光性部位を導入するか、又は、該高分子化合物前駆体と感光性成分を用いて樹脂組成物を調製し、それらを、高感度であり、より短波長の電磁波によって露光が可能な感光性樹脂材料として用いることができる。
このような手段によれば、分子内に他の化学構造や置換基を導入することによって光の吸収波長領域が短波長化する場合と比べて、最終生成物である高分子化合物が本来備えている有用な特性を低下させずに、優れた透明性が得られる。
そのメカニズムから、反応するジアミンの種類によらず透明性を維持でき、従来のフッ素や脂環骨格を導入する方法では最終的にポリイミドとなったときに避けられなかった、耐熱性、寸法安定性等のポリイミド本来の物性が低下する問題や、コスト高となる問題を解消することができ、従来の芳香族ポリイミドと同等の耐熱性を有するポリイミドの塗膜、フィルム或いは成形品を得ることできる。
ドの分子設計を行い、高耐熱という特徴を有する芳香族ポリイミド、特に好ましくは全芳
香族ポリイミドの前駆体でありながら、フッ素を導入せずに高い透明性を有するポリイミド前駆体を発明するに至った。つまり、電磁波の吸収の原因となるポリイミド前駆体分子鎖上でのπ共役をひき起こさないようにする為に、異なったπ平面を有する芳香族環に結合するアミド結合とカルボン酸および、その誘導体によってイミド結合を形成するようなメカニズムを導入し、ポリイミド前駆体の分子鎖のπ電子の共役構造を、骨格の立体配座を制御することで断ち切るという考え方をポリイミド前駆体に適用した。
分子内反応により最終生成物の高分子骨格を構成する繰り返し単位を形成する第1の官能基と第2の官能基を有し、
分子内のπ電子軌道により形成される共役状態の少なくとも一部が、分子の立体構造により切断され、又は希薄となり、少なくとも436nm、405nm、365nm、248nm及び193nmの波長のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、共役状態が切断されず希薄ともならなかったと仮定した場合に予想される透過率よりも大きいことを特徴とするものである。
なお、本発明の高分子化合物前駆体は、0℃〜50℃の範囲で、分子内のπ電子軌道により形成される共役状態の少なくとも一部が、分子の立体構造により切断され、又は希薄となるものであり、通常20℃における、立体配座によって共役状態を見積もり、判断できる。
一般に不飽和結合が単結合を介して連結している場合にπ共役構造が見受けられる。その場合、単結合は不飽和結合間の相互作用により2重結合性を有する。単結合を介して連結されている不飽和結合のπ結合に関与する電子(π電子)は、共通のπ電子の軌道を有すると安定となる。その為、本来単結合であるべき結合上に存在するようになった電子も含めて、同一平面状に存在するようになる。
さらに、広義にはπ共役構造を示すものとして、不飽和結合がアミノ基や、エーテル基等の非共有電子対を有する原子で構成されるような官能基で連結されているものも挙げられる。
これらの例も含め、これまで公知であるすべてのπ共役構造を有する構造に対して、本発明は適用可能である。
π共役構造の典型例としては、芳香族構造が挙げられる。本発明における芳香族構造とは、一般的な芳香族と定義される化学構造であり、その中にはベンゼンやナフタレンのように、その構造内に含まれる不飽和結合が環状に連結し、π共役し平面構造となった芳香族環状構造を含む。
このように、通常であれば形成されるはずの共役状態の少なくとも一部を切断又は希薄にすることによって、高分子化合物前駆体の分子内に存在するπ電子軌道の安定化を阻害する。すなわち、π電子軌道の一体化による分子内での電荷移動が阻害される。
その結果、長波長領域の吸収がなくなり、または、小さくなり、電磁波に対してより短波長領域まで高い透過率を示す高分子化合物前駆体となる。
具体的には、単結合の両端にある2つの不飽和結合のπ電子の軌道が、同一平面状にない状態のことをいい、一般にその平面同士の角度が0度から90度に近づくほど相互作用しにくくなり、90度となったとき、最も相互作用がしにくくなると考えられている。
2つのπ電子の軌道は、一般に同一平面状にあるときがもっとも相互作用しやすく安定であると思われ、2つのπ電子の軌道の角度が直行するときが相互作用が最も希薄で不安定であると思われる。安定な電子軌道は低エネルギーの電磁波、つまり長波長の電磁波によって励起されるようになる為、その部分の吸収が大きくなる。つまり、π電子の軌道の安定化を阻害する程度が大きければ大きいほど、本来の吸収波長よりも単波長側へ吸収波長がシフトする。
高分子化合物の分子内において、共役状態が分子の立体構造により切断又は希薄にされるかどうかは、当該高分子化合物又はそれに類似するモデル化合物の分子軌道計算の結果から推測することが出来る。
例えば、後述する高透明性ポリイミド前駆体のモデル化合物に該当する2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルは、2位および,2’位に導入された2つのメチル基によってベンゼン環の間にある単結合の自由回転が阻害されメチル基が導入されていない、4,4’−ジアミノビフェニルと比較して共役しにくくなっている。
望ましくは、本発明の高分子化合物前駆体は、分子内のπ電子軌道により形成される共役状態の少なくとも一部が分子の立体構造により切断され、又は希薄となることにより、436nm、405nm、365nmのいずれか一つの波長の電磁波に対する透過率が、共役状態が切断されず希薄ともならなかったと仮定した場合に予想される透過率よりも大きいことが、一般的に感光性樹脂の露光等に利用される高圧水銀ランプの発光波長の感度が高くなる点から好ましい。
ここで、少なくとも436nm、405nm、365nm、248nm及び193nmの波長のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が共役状態が切断されず希薄ともならなかったと仮定した場合に予想される透過率よりも大きくなったかどうかは、当該高分子化合物前駆体又はそれに類似するモデル化合物の共役状態が切断されていない立体配置を有する構造について、MM2やAM1、PM5といった分子力学的、分子軌道的計算によって推測される吸収波長領域及び/又は強度の概算値と、当該高分子化合物前駆体の実測値とを比較することで確認できる。なお、類似するモデル化合物としては、例えば、高分子化合物前駆体の繰り返し単位を取り出して、繰り返し単位の末端に水素を配置した構造が挙げられる。
また、比較対象となる化合物が存在しない場合は、少なくともπ共役構造の切断、および/または、希薄になった状態が、分子力学的、分子軌道的計算結果の最安定構造であることが確認でき、且つ、当該高分子化合物前駆体は436nm、405nm、365nm、248nm及び193nmの波長のうち少なくとも1つの波長の電磁波に対して透過率が目安として厚み1μmのフィルムに成膜した時に、簡易的には厚み1μm〜5μm程度のフィルムに成膜した時に20%以上あることが確認できれば良い。すなわち、分子内のπ電子軌道により形成される共役状態の少なくとも一部が、分子の立体構造により切断され、又は希薄となる場合には、共役構造による電子状態の安定化が抑制されることで電子の軌道のエネルギー準位が上がる。その為、より大きなエネルギーを有する電磁波(波長の短い電磁波)しか吸収できなくなり、結果的に、その構造が有する吸収のうち、エネルギー準位の低い電子軌道に由来する長波長側の吸収がなくなる。それ故、π共役構造の切断、および/または、希薄になった状態は、共役状態が切断されず希薄ともならなかったと仮定した場合に比べ、通常は、より短い波長の電磁波まで透過することが可能、すなわち、光の吸収波長領域が短波長側にシフトすると考えられる。
本発明によれば、分子内に他の化学構造やフッ素等の置換基を導入することによって電磁波の透過率を高める場合と比べて、高分子化合物前駆体から誘導される最終生成物である高分子化合物が本来備えている有用な特性を低下させずに、優れた感度が得られる。
透過率は膜厚が厚いほど低くなるものであるため、本発明に係る高分子化合物前駆体の高透明性の効果は、膜厚が厚い場合に、より顕著に現れる。本発明に係る高分子化合物前駆体は、更に厚み2μm以上、具体的には3μm、5μm、10μmのフィルムに成膜した時であっても、少なくとも436nm、405nm、365nm、248nm及び193nmの波長のうち1つの波長の電磁波に対する透過率、望ましくは436nm、405nm、365nmの全ての波長の電磁波に対する透過率が、20%以上、更に30%以上、より更に50%以上であることが好ましい。
具体的には、芳香族構造が分子構造全体の50重量%以上を占める高分子化合物前駆体は、通常であれば分子内のπ電子軌道により共役状態が形成されやすいものの典型例であるが、本発明に係る高分子化合物は、芳香族構造が分子構造全体の50重量%以上を占める場合であっても、光の吸収波長領域を短波長化することができる。
芳香族構造が全体の50重量%以上を占めているかどうかを確認する手法は特に限定されないが、例えば、固体・液体の1H−、及び13C−NMRスペクトル(核磁気共鳴スペクトル)あるいは、赤外分光スペクトル、ガスクロマトグラフィーといった手法を用いることができる。
かかる観点から、本発明に属する好ましい態様の一つとしては、π電子軌道を含む不飽和結合と単結合が交互に連続する前記部分が、高分子化合物前駆体の高分子骨格を構成する2つ以上の繰り返し単位の連鎖構造を含み、該連鎖構造の途中で共役状態を切断又は希薄にした高分子化合物が挙げられる。
かかる観点から、本発明に属する他の好ましい態様としては、高分子化合物前駆体の高分子骨格を構成する繰り返し単位の50モル%以上が、該高分子化合物前駆体の高分子骨格の一部となる芳香族環又は芳香族環を含む縮合環を含む繰り返し単位によって占められ、該高分子骨格の一部となる該芳香族環又は該縮合環の間の共役状態の少なくとも一部が、分子の立体構造により切断され、又は希薄となった高分子化合物前駆体が挙げられる。
この場合、前記高分子化合物前駆体の一部となる芳香族環又は芳香族環を含む縮合環を含む前記繰り返し単位の量に対する、共役状態を切断又は希薄にする前記分子の立体構造のモル比が、50%以上であることが好ましい。
このような第1の官能基及び第2の官能基としては、分子内閉環反応によって互いに結合しあって高分子骨格の一部となる環状構造を形成する官能基を挙げられる。
例えば、第1の官能基がアミド基であり、第2の官能基がカルボキシル基である場合には、ポリイミド骨格を形成し、第1の官能基がアミド基であり、第2の官能基がヒドロキシル基である場合には、ポリオキサゾール骨格を形成し、第1の官能基がアミド基であり、第2の官能基がアミノ基である場合には、ポリイミダゾール骨格を形成する。
ポリオキサゾール骨格の基本骨格であるオキサゾール骨格が形成される反応を下記式(5)に、また、ポリイミダゾール骨格の基本骨格であるイミダゾール骨格が形成される反応を下記式(6)に示す。
これら3種の化合物としては、主に用いられている耐熱性の必要とされる用途には、芳香族骨格を多く含むものを用いる。一方で、芳香族構造を多く含むことによって生じる共役構造によって、長波長領域まで吸収を有し、露光光源に対する透過率が低く感度低下を招いている。
同一のπ電子軌道を含む不飽和結合と単結合が交互に連続する部分に、第1の官能基と第2の官能基が存在する場合には、それらは同一平面状に存在し接近しあった一定の位置関係に固定されるので、反応条件を調節しない状態、例えば長期の保存や加熱によって副反応が進行し、高分子鎖の切断やゲル化を生じるなど、保存安定性が悪い場合がある。これに対して、分子内の第1の官能基が結合している第1の位置と、第2の官能基が結合している第2の位置の間に通常であれば形成されるであろう共役状態が、分子の立体構造により切断又は希薄にされる場合には、第1の官能基と第2の官能基が立体的に離れることから、保存時においては副反応の進行が阻止される。その結果、高分子化合物前駆体の保存安定性が向上する。そして、高分子化合物前駆体を最終生成物である高分子化合物に誘導したい時には、反応条件を調節することにより、本来必要とされる分子内反応のみ進行させることが出来る。
より具体的な例として、高分子化合物前駆体が、異なるπ平面を有する芳香族環に直接又は他の原子を介して結合するカルボキシル基同士で無水物基を形成している酸無水物から誘導される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体である場合には、前駆体から酸無水物への逆反応が抑制されるので、保存安定性が向上する。
本発明に係る高分子化合物前駆体は、逆反応が進行しにくくなるように立体構造を制御することにより、良好な保存安定性を有する。具体的に保存安定性としては、高分子化合物前駆体が0.5重量%以上溶解する、実質的に水を含む良溶媒を用いた0.5重量%溶液を23℃で25時間保存した後の、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel permiation chromatography:GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量の変化率が20%以下、更に10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。更にまた、上記0.5重量%溶液を23℃で50時間、150時間、300時間保存した後のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量の変化率が20%以下、更に10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。ここで、重量平均分子量の変化率とは、保存前の重量平均分子量に対する、保存前と保存後の重量平均分子量の差(保存前と保存後の重量平均分子量の差/保存前の重量平均分子量)をいう。また、”実質的に水を含む”とは、上記良溶媒が空気中の水を含有しやすい性質の場合に脱水されていない状態を意味し、溶媒中の含水率が0.001重量%〜10重量%、更に0.005重量%〜1重量%程度である状態をいう。
この場合には、第1の官能基を有する第1の芳香族環と第2の官能基を有する第2の芳香族環を両方とも含む繰り返し単位が、前記高分子化合物前駆体の高分子骨格を構成する繰り返し単位の50モル%以上を占めていることが好ましい。
また、他の方法としては、高分子化合物前駆体の分子内に、440nm以下の波長を有する電磁波に吸収を有する化合物の作用によって活性化され、高分子化合物前駆体それ自体が硬化するか、又は、高分子化合物前駆体それ自体の溶解性を変化させる作用を発現する反応性部位(すなわち、間接的な感光性部位)を導入する方法がある。
また、他の方法としては、上記したような感光性部位を導入していない高分子化合物前駆体と感光性部位を有する感光性成分を混合して、感光性の高分子化合物前駆体樹脂組成物を調製し、用いても良い。
さらに、感光性部位を導入した高分子化合物前駆体と、感光性成分を混合して、感光性の高分子化合物前駆体樹脂組成物を調製し、用いても良い。
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来されるポリイミド前駆体も、分子内閉環反応可能なアミド基とカルボキシル基が、同じベンゼン環に結合している為、それら2種の置換基の位置が固定されており、逆反応が進行しやすい。
また、酸無水物由来の2つのベンゼン環を結ぶ単結合は自由回転が可能であり、それらがπ共役構造を形成することが可能である為、低波長領域の電磁波の透過率が低い場合が多い。
2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来されるポリイミド前駆体も、分子内閉環反応可能なアミド基とカルボキシル基は、同一のベンゼン環に結合しており、逆反応が進行しやすい。
また、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来されるポリイミド前駆体は、酸無水物由来の2つの芳香環は立体的に共役しにくいが、その前駆体から誘導されるポリイミドは、5員環のイミド構造を有することから着色が大きく、さらに、分子鎖が屈曲性の構造である為、膨張率を低下させにくく、適用できる用途が限定される。
特に、酸成分として芳香族酸二無水物を用いるだけでなく、ジアミン成分も芳香族ジアミンを用いる全芳香族ポリイミドの場合には、共役構造がポリイミド分子鎖上の広い範囲に亘り広がりやすいので、着色現象を生じやすい。
本発明に係る高透明性ポリイミド前駆体は、このような分子構造の空間配置を有するため、最終的なイミド化物は芳香族ポリイミドゆえの耐熱性を有しながら、ポリイミド前駆体分子鎖上のπ共役が阻害され、吸収波長がより短波長化したポリイミド前駆体となる。
水素原子以外にR1〜R6の位置に導入し得る1価の有機基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、アリル基等が挙げられる。R1〜R6は、互いに同一であっても異なっていても良い。R1〜R6のうちの2つ又は3つ以上の基、特に、R1〜R3のうちの2つ又は3つ、及び/又は、R4〜R6のうちの2つ又は3つは、互いに結合して環状構造を形成していても良い。
式(1a)又は式(1b)中のR7およびR8は、水素原子および/または、1価の有機基であり、その具体例としては、1価の有機基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、アリル基、エチレン性不飽和結合含有基等が挙げられる。R7〜R8は、互いに同一であっても異なっていても良く、各繰り返し単位ごとに複数種が混合していても良い。
エチレン性不飽和結合含有基とは、エチレン性不飽和結合を1つ以上有する置換基であり、具体的に例示すると、アリルオキシ基、2‐アクリロイルオキシエチルオキシ基、2‐メタクリロイルオキシプロピルオキシ基、2‐アクリロイルオキシエチルアミノ基、2‐メタクリロイルオキシエチルアミノ基、2‐アクリロイルオキシプロピルアミノ基、2‐ヒドロキシ‐3‐メタクリロイルオキシプロピルオキシ基、2‐ヒドロキシ‐3‐アクリロイルオキシプロピルオキシ基、2‐ヒドロキシ‐4‐ペンテニルオキシ基、2‐アクリロイルオキシエチル・ジメチルアンモニウム基、2‐メタクリロイルオキシプロピル・トリメチルアンモニウム基およびその誘導体が挙げられる。
R9、R10はそれぞれ独立に、水素原子、及び/又は1価の有機基である。その具体例としては、1価の有機基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、アリル基、エチレン性不飽和結合含有基等が挙げられる。R7〜R8は、互いに同一であっても異なっていても良く、各繰り返し単位ごとに複数種が混合していても良い。
例えば、本発明のポリイミド前駆体は、式(1a)又は式(1b)以外の構造を持つ繰り返し単位を含んでいてもよいし、アミド構造の繰り返し単位(ポリアミドの繰り返し単位)のようなイミド構造ではない繰り返し単位を含んでいても良い。
2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と併用できる酸二無水物は、耐熱性の観点から芳香族酸二無水物が好ましいが、目的の物性に応じて、酸二無水物全体の50モル%、好ましくは30モル%を超えない範囲で2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物以外の酸二無水物を用いても良い。
剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4―ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(4)により表されるものがある。具体例としてには、ベンジジン等が挙げられる。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、本発明のポリイミド前駆体、および、それより誘導されるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
反応溶液の温度は、溶液の凝固点以上の温度において低ければ低いほど高分子量体が得られるが、反応中に80℃以上にならないことが好ましく、40℃以上にならないことが特に好ましい。また、分子量10000以上の高分子量体を得るには10℃以下を維持することが好ましい。
冷却下1〜20時間程度撹拌した後、撹拌した脱水されたジエチルエーテルに反応液を滴下し再沈殿し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得る。そのポリアミド酸を再びN−メチルピロリドン等の有機極性溶媒に溶解し、ガラスなどの基板上に塗布乾燥し、ポリアミド酸の塗膜を成形できる。また、それを加熱することでポリイミドの塗膜が得られる。
本発明のポリイミド前駆体の高透明性の効果は、膜厚が厚い場合に、より顕著に現れる。本発明のポリイミド前駆体は、更に厚み2μm以上、具体的には3μm、5μm、10μmのフィルムに成膜した時であっても、少なくとも436nm、405nm、365nm、248nm及び193nmの波長のうち1つの波長の電磁波に対する透過率、望ましくは436nm、405nm、365nmの全ての波長の電磁波に対する透過率が、20%以上、更に30%以上、より更に50%以上であることが好ましい。
436nm、405nm、365nmは、一般的に感光性樹脂の露光に利用される高圧水銀ランプの発光波長であり、248nm、193nmはそれぞれKrF,ArFといったレーザーの発光波長である。これらの波長に対して透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少なく、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
本発明に係るポリイミド前駆体は、逆反応が進行しにくい為、良好な保存安定性を有する。具体的に保存安定性としては、実質的に水を含むN−メチルピロリドンを用いた0.5重量%溶液を23℃で25時間保存した後の、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量の変化率が20%以下、更に10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。更にまた、上記0.5重量%溶液を23℃で50時間、150時間、300時間保存した後のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量の変化率が20%以下、更に10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。なお、”実質的に水を含む”とは、前述のようにN−メチルピロリドンが脱水されていない状態を意味し、N−メチルピロリドン中の含水率が0.001重量%〜10重量%、更に0.005重量%〜1重量%である状態をいう。
例えば、本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミドの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
このようなエチレン性不飽和結合を有する光硬化性化合物を用いる場合には、さらに光ラジカル発生剤を添加してもよい。光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン等のアセトフェノン;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリ-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン及び2-アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン及び2,4-ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる
また、本発明のポリイミド前駆体にN-フェニルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N-ジエチルアミノベンゼン、ジアザビシクロオクタン等の3級アミンを加えても、紫外線吸収によってポリイミド前駆体と電荷移動錯体を形成し、現像液への溶解性に変化を与えることができる。(「最新ポリイミド」P.340〜341 2002年 エヌ・ティー・エス社刊)
或いは、電磁波の吸収によって酸、塩基を発生させる感光性成分或いは、電磁波の吸収によって他の作用を発現する感光性成分を加え、本発明のポリイミド前駆体には、これらの感光性成分の作用により反応する間接的な感光性部位を導入することにより、樹脂組成物を調製しても良い。
光によって酸を発生させる化合物としては、1,2-ベンゾキノンジアジドあるいは1,2-ナフトキノンジアジド構造を有する感光性ジアゾキノン化合物があり、米国特許明細書第2,772,972号、第2,797,213号、第3,669,658号に提案されている。例えば、フェノール化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がエステルとして結合したもの、アミノ化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がアミドとして結合したものなどが挙げられ、上記ナフトキノンジアジドスルホン酸としては、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸が挙げられる。
具体的には、例えば、以下のものを例示できる。
0.5重量部を下回ると良好なパターンが得られず、40重量部を越えると得られたパターン又は加熱処理を加えたものの膜物性が低下する場合がある。具体的には、膜強度や耐熱性、柔軟性が低下する場合が多い。さらには、加熱処理後の膜厚の減少も顕著となる。
光によって塩基を発生させる化合物としては、例えば2,6-ジメチル-3,5-ジシアノ-4-(2’-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2’-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2’,4’-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンなどが例示できる。これらは、活性光線に曝されると分子構造が分子内転移を経てピリジン骨格を有する構造に変化して塩基性を呈するようになり、その後の150℃以上での加熱処理によって、ポリイミド前駆体のイミド化が進行し、溶解性が低下し、良好なネガ型パターン形成ができる。
ピレン 15g(74mmol)を2L(リットル)のなすフラスコへ入れ、ジクロロメタン320mlに溶解させた。完全に溶解したら、アセトニトリル320mlと蒸留水480mlを加え、撹拌した。そこへ酸化剤の過よう素酸ナトリウム150gと触媒の3塩化ルテニウム650mgを加え、室温で22時間撹拌した。反応終了後、沈殿物を濾過し、その沈殿物をアセトンで抽出、濾過した。抽出したアセトンを濃縮し乾燥させた後、ジクロロメタンで4時間還流を行い、それを濾過し粉末を得た。その粉末が完全に白色になるまでアセトンによる抽出とジクロロメタンによる還流を繰り返し、2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸を10.2g得た。
得られた2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸を無水酢酸で3時間還流後、溶媒を留去し、得られた固形物を0.8mmHg(106.4Pa)の圧力で230℃の条件で昇華精製することで目的物である2,2’,6,6’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(2,2’,6,6’-BPDA)の白色粉末を得た。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 1.20g(6mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、5mlの脱水されたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した2,2’,6,6’-BPDA 1.77g(6mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を2.81g(前駆体1)を得た。
50mlのナスフラスコに実施例1で合成した前駆体400mgと、脱水されたNMP 4mlを入れ撹拌した。そこへ、無水酢酸2mlを加え、100℃で24時間撹拌した。その溶液を、ジエチルエーテルによって再沈殿し、白色の粉末を370mg得た(ポリイミド1)。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は64000であった。
50mlのナスフラスコに実施例1で合成した前駆体400mgと、脱水されたNMP 4mlを入れ撹拌した。そこへ、トリフルオロ酢酸無水物2mlを加え、100℃で24時間撹拌した。その溶液を、ジエチルエーテルによって再沈殿し、白色の粉末を370mg得た(ポリイミド2)。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は13000であった。
実施例1で合成した前駆体400mgを脱水されたNMPに15重量%になるように溶解させ、直接ガラス上にスピンコートし、140℃に温められたホットプレート上で30分乾燥させた。その後、空気中、オーブンにより300℃で1時間加熱を行い、NMPに不溶のポリイミドを得た(ポリイミド3)。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 1.20g(6mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、5mlのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、室温で撹拌した。そこへ、2,2',6,6'-BPDA 1.77g(6mmol)を一度に添加した。添加と共に大きな発熱が見受けられた。添加終了後、5時間撹拌し、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、薄褐色の粉末2.12gを得た(前駆体2)。
50mlのナスフラスコに実施例1で合成した前駆体400mgと、脱水されたNMP 4mlを入れ撹拌した。そこへ、無水酢酸2mlを加え、100℃で24時間撹拌した。その溶液を、ジエチルエーテルによって再沈殿し、薄茶色の粉末を350mg得た(ポリイミド4)。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は6800であった。
パラフェニレンジアミン 1.08g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、22.1mlの脱水されたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した2,2’,6,6’-BPDA 2.94g(10mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテル2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を2.91g(前駆体3)を得た。
1、4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン 2.92g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、32.2mlの脱水されたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した2,2',6,6'-BPDA 2.94g(10mmol)を添加し、添加終了後、脱水されたNMPを5ml加え、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテル2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を5.78g(前駆体4)を得た。
1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン 2.92g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、32.2mlの脱水されたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した2,2',6,6'-BPDA 2.94g(10mmol)を添加し、添加終了後、脱水されたNMPを5ml加え、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテル2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を5.61g(前駆体5)を得た。
ジアミノジフェニルエーテル 2.00g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、23.8mlの脱水されたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分したピロメリット酸2無水物 2.18g(10mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、脱水されたアセトン2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を3.99g(比較前駆体1)を得た。
ジアミノジフェニルエーテル 2.00g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、28.0mlの脱水されたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した3,3’,4,4’-BPDA 2.94g(10mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、アセトン2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を4.69g(比較前駆体2)を得た。
日本電子製 JNM-LA400WB を用い、DMSO−d3を溶媒とし前駆体1の、1H-NMR、13C-NMR及び、C-Hの2次元のスペクトルを測定した。その結果、2,2',6,6'-BPDA由来の芳香族のプロトンのシグナルから、以下のように、異なる芳香族環にアミド結合を有するtrans-体と同一の芳香族環にアミド結合を有するcis-体の2種の異性体であることが示唆された。
上記前駆体1の15重量%NMP溶液を用いて、スピンコート法によりガラス上に形成し、その塗膜の透過率を、分光測定装置(SHIMADZU製UV-2550 (PC)S GLP)にて測定を行った。前駆体1の溶液は、スピンコートし、140℃のホットプレート上で30分乾燥させ、15.9μmの塗膜を得た。
その結果、図2に示すように、436nmで99%、405nmで98%、365nmで91%と良好な透過率を示した。
上記前駆体1、3、4、5、及び、比較前駆体1、2の20重量%NMP溶液を、スピンコート法を用いて、ガラス上に塗布し、100℃に設定されたホットプレート上で、10分間加熱し、平均厚み3.5μmの塗膜を得た。その塗膜の透過率を、分光測定装置(SHIMADZU製UV-2550 (PC)S GLP)にて測定を行った。
その結果、図4及び表1に示すように、前駆体1、前駆体3、前駆体4、前駆体5は良好な透過率を示した。それに対し、比較前駆体1、および比較前駆体2は特に、波長の低い領域において透過率が低いことが明らかになった。
具体的には、Lambert-Beerの法則によれば、透過率Tは、
Log10(1/T)=kcb
(k=物質固有の定数、c=濃度、b=光路長)で表される。
フィルムの透過率の場合、膜厚が変化しても密度が一定であると仮定するとcも定数となるので、上記式は、定数fを用いて
Log10(1/T)=fb
(f=kc)と表すことができる。ここで、ある膜厚の時の透過率がわかれば、各物質の固有の定数fを求めることができる。例えば、前駆体3は、365nmにおいて3.5μmのときの透過率が64.1%なので、Log10(1/0.641)=f×3.5となり、前駆体3の365nmにおける固有の定数fは0.00552と計算できる。
従って、T=1/100.00552・b の式を用いて、bに目標の膜厚、例えば1μmであれば1を代入すれば、前駆体3の365nm における1μmの時の透過率を、T=0.882と求めることができる。
上記前駆体1、3、4、5の、0.5wt%NMP溶液を調整し、23℃で保管したときの分子量の変化を求めた。ただし、この実験では前駆体1のみ、実施例1で開示されている合成条件を、原料と溶媒の量、使用器具等を2倍にスケールアップして合成したサンプルを用いた。分子量の変化について結果を表4に示す。
溶液の調整に用いたNMPは、脱水されたものではない通常のものを用いた。
測定条件は以下のとおり
装置 : 東ソー製HLC-8120 GPC system
カラム : TSK gels α−M ×2
溶媒 : 0.03mol/Lの濃度で臭化リチウムとリン酸をそれぞれ溶解させたNMP
温度 : 40℃
フローレート : 500μl/min
以上の結果より、本発明のポリイミド前駆体は、保管中に置いて安定した重量平均分子量を示し、通常のポリアミック酸で問題となっている室温での保管中の分子量低下に対して、本発明のポリイミド前駆体の構造が有効であることがわかる。
上記のポリイミド1のNMP溶液を、ガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、140℃のホットプレート上で30分乾燥させた後、剥離し、膜厚5μmのフィルムを得た。同様に、前駆体1の15重量%NMP溶液をガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、140℃のホットプレート上で30分乾燥させた後、剥離し得たフィルムを、空気中、オーブンにより300℃1時間加熱を行い、厚さ45μmのポリイミドフィルムを得た。(ポリイミド3)
上記のフィルムを、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数3Hz、昇温速度5℃/minで動的粘弾性測定を行った。
その結果、図3に示すように、双方とも350℃付近にtanδのピークを有することからこれらのポリイミドのTg(ガラス転移温度)は350℃であるといえる。また、Tg以上の貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E’’)の挙動からポリイミド1はTg以上でゴム状領域(E’とE’’が一定となる領域)を取る為、架橋体である事が示唆され、ポリイミド3はE’とE’’が、Tg以上の温度でそのまま低下していることから非架橋体である事が示唆される。これらのことから、本発明のポリイミド前駆体より形成されるポリイミドは、耐熱性に優れるといえる。
上記のフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線熱膨張係数は、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって測定した。測定条件は、評価サンプルの観測長を15mm、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。ポリイミド1は引っ張り加重1g、ポリイミド3は引っ張り加重5gで測定を行った。
その結果、50℃〜100℃における線熱膨張係数はポリイミド1が27ppm、ポリイミド3が25ppmとなった。また、フィルムの膨張の変曲点は双方とも315℃であった。
前駆体3、4、5の20wt%NMP溶液をガラス上にスピンコートし、100℃10分で乾燥させた後、窒素雰囲気下、室温から300℃まで10℃/分で昇温し、その後300℃で1時間保持し、ポリイミドフィルム3a、4a、5aを得た。(厚み10±1.5μm)
これらのフィルムの動的粘弾性評価と、線熱膨張係数評価を上記と同様の条件(引っ張り加重は2g)で行い、Tgと線熱膨張係数を求めた。結果を表5に示す。
前駆体5に対して、下記感光性物質1を20wt%となるように添加し、固形分が20wt%となるようにNMPに溶解させた感光性樹脂組成物を調整した。(感光性樹脂組成物1)
上記感光性樹脂組成物1を、クロムめっきされたガラスのクロム上にスピンコート法によって塗布し、100℃のホットプレート上で10分間乾燥させ、厚みの異なる2通りの(1.25μmと2.8μm)厚みの塗膜を得た。
それを、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)を用い露光を行った。高圧水銀ランプからの光は、I線パスフィルターを用いて、365nmの光のみを取り出し、露光を行った。
露光量を種々変更し、マグネティックスターラーによってゆっくり撹拌された0.1wt%TMAH水溶液に30秒浸漬した後、蒸留水に10秒浸漬しリンスを行い、乾燥させた後の規格化膜厚と露光量の関係をプロットし、感度を求めた。
その結果、感度は、図5に示すように膜厚2.8μmの時に120mJ/cm2で、膜厚1.25μmの時に110mJ/cm2で残膜が0となり、非常に良好な感度を示した。これは、前駆体の透過率が良好である為、光源からの光を効率的に感光性物質が利用できたことによる結果と思われる。
さらに、上記感光性樹脂組成物1を用いてパターンを形成した。
上記感光性評価と同様の手法で、厚み2μmの塗膜を作成し、フォトマスクを介して150mJ/cm2、365nmの波長の電磁波のみを照射した後、マグネティックスターラーによってゆっくり撹拌された0.1wt%TMAH水溶液に30秒浸漬した後、蒸留水に10秒浸漬しリンスを行い、乾燥させた。
そのサンプルを窒素雰囲気下300℃、1時間、オーブンによって加熱しパターンを顕微鏡で確認した。
その結果、図6に示すように、ラインアンドスペースで8μm/8μmまで解像し、ベーク後の膜厚は1.1μmであった。
また、ガラス上に上記の手法で塗布した、感光性樹脂組成物1の塗膜を、窒素雰囲気下300℃、1時間加熱したものを、24時間、蒸留水に浸漬しガラスより剥離し得たフィルム(厚み10μm)の動的粘弾性評価と熱機械的分析の結果、Tgは、350℃となり、線熱膨張係数は63.9ppmとなった。
感光化前のデータ(前駆体5)と比較すると、線熱膨張係数は2ppm弱大きくなったが、Tgは上昇した。これは、感光性物質1が熱により分解するときにカルベン等の高反応性の物質となり、高分子鎖の架橋部位になる等の効果によるものではないかと推測される。
また、本発明のポリイミド前駆体は、保存安定性と、電磁波の透過性に優れることから、感光性樹脂組成物へ適用した場合に、高感度で保存安定性に優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (12)
- 下記式(1a)又は(1b)で表される繰り返し単位のいずれか、又は、両方を有し、実質的に水を含むNーメチルピロリドンを溶媒に用いた0.5重量%溶液を23℃で25時間保存した後の、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量の変化率が20%以下であり、重量平均分子量が10000以上である、高透明性ポリイミド前駆体。
- 下記式(2)で表される繰り返し単位をさらに有する、請求項1に記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- 前記式(1a)又は(1b)で表される繰り返し単位の合計量が、前記高透明性ポリイミド前駆体の高分子骨格を構成する繰り返し単位の50モル%以上を占める、請求項1又は2に記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- 少なくとも436nm,405nm、365nm、248nm、193nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時に20%以上である、請求項1乃至3のいずれかに記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- 436nm、405nm、及び365nmの全ての波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時に20%以上である、請求項1乃至4のいずれかに記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- イミド化後の400nm〜800nmの間の光の透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時に、各波長において85%以上である、請求項1乃至5のいずれかに記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- イミド化後のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- イミド化後の線熱膨張係数が70ppm以下であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- 全芳香族ポリイミド前駆体の繰り返し単位である、請求項1乃至8のいずれかに記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- 440nm以下の波長を有する電磁波の照射によって、高透明性ポリイミド前駆体それ自体が硬化するか、又は、高透明性ポリイミド前駆体それ自体の溶解性を変化させる作用を発現するか、又は、440nm以下の波長を有する電磁波に吸収を有する化合物の作用によって、高透明性ポリイミド前駆体それ自体が硬化するか、又は、高透明性ポリイミド前駆体それ自体の溶解性を変化させる作用を発現する部位を、分子内に有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の高透明性ポリイミド前駆体。
- 前記請求項1乃至10のいずれかに記載された高透明性ポリイミド前駆体を含有するポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 前記高透明性ポリイミド前駆体が、その分子内に440nm以下の波長を有する放射線の照射によって、ポリイミド前駆体樹脂組成物を硬化させるか、ポリイミド前駆体樹脂組成物の溶解性を変化させる感光性部位を有する高透明性ポリイミド前駆体であるか、及び/又は、該感光性部位を有する感光性成分をさらに含有する、請求項11に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
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