JP4756350B2 - 感光性樹脂組成物、物品、及びネガ型パターン形成方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、物品、及びネガ型パターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、解像性に優れ、低コストで、高分子前駆体の構造上適用可能な選択肢の範囲が広い感光性樹脂組成物に関し、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材の材料(例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤など)として好適に利用することが出来る高分子前駆体樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
さらには、解像性に優れ、低コストで、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体の構造上適用可能な選択肢の範囲が広い感光性樹脂組成物に関し、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材の材料(例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤など)として好適に利用することが出来るポリイミド又はポリベンゾオキサゾールの前駆体樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
高分子材料は、加工が容易、軽量などの特性から身の回りのさまざまな製品に用いられている。1955年に米国デュポン社で開発されたポリイミドは、耐熱性に優れることから航空宇宙分野などへの適用が検討されるなど、開発が進められてきた。以後、多くの研究者によって詳細な検討がなされ、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すことが明らかとなり、航空宇宙分野にとどまらず、電子部品の絶縁材料等への適用が進められた。現在では、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとしてさかんに利用されてきている。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、類似の加工工程を適用され、低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
ポリイミドは、ジアミンと酸二無水物から合成される高分子である。ジアミンと酸二無水物を溶液中で反応させることで、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)となり、その後、脱水閉環反応を経てポリイミドとなる。一般に、ポリイミドは溶媒への溶解性に乏しく加工が困難なため、前駆体の状態で所望の形状にし、その後、加熱を行うことでポリイミドとする場合が多い。ポリイミド前駆体は熱や水に対し不安定な場合が多く、保存安定性がよくない。この点を考慮し、分子構造に溶解性に優れた骨格を導入し、ポリイミドとした後に溶媒に溶解して成形又は塗布できるように改良が施されたポリイミドも開発されたが、これを用いる場合には前駆体方式に比べ耐薬品性や、基板との密着性に劣る傾向にある。そのため、目的に応じて前駆体を用いる方式と溶媒溶解性ポリイミドを用いる方式とが使い分けられている。
また、技術の進歩に従いポリイミドを所望の形状にパターニングしたいとの要求も出てきた。その為、紫外線等の電磁波を用い、露光・現像等のプロセスを通してパターン形成できるポリイミドも開発された。ポリイミドをパターニングするためには、いくつかの手法が提案されている。
その一つがポリイミド前駆体の状態で露光と現像によるパターニングを行い、その後、熱処理等によりイミド化を行ってポリイミドのパターンを得る方法である。もう一つは、それ自体は感光性を持たないポリイミド自身の上に有機物や金属等でレジストパターンを形成し、その開口部をヒドラジン、無機アルカリ、有機アルカリ等の溶液や有機極性溶媒、またはそれらの混合物で処理して分解又は溶出させることにより、パターンを得る方法である。
前者は、溶媒溶解性に優れる前駆体を用いることで加工特性に優れ、後者は、高温の熱処理等が必要とされるイミド化のプロセスをパターン形成後に行う必要が無いという利点があり、それぞれの用途に応じて使い分けられている。
20世紀後半から目覚しい発展を遂げてきた半導体分野において、現在、主に前駆体を利用するタイプのパターニング可能なポリイミドが用いられている。それは、シリコンウェハ上にポリイミドを形成するため、イミド化に必要な300℃〜400℃という高温の熱処理にも基板が耐えられることが、その理由の一つとして挙げられる。
前駆体を利用するタイプのポリイミドをパターニングする手段としても、種々の手法が提案されている。その代表的な手法は、以下の2つに大別される。
(1) ポリイミド前駆体自身にはパターニング能力がなく、感光性樹脂層をその表面に形成し、その感光性樹脂のパターンによってポリイミド前駆体がパターニングされる手法。
(2) ポリイミド前駆体自身に感光性部位を結合や配位させて導入し、その作用によりパターン形成する手法、または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターン形成する手法。さらには、感光性部位の導入と感光性成分の混合の両方を組み合わせた手法。
上記(1)のグループに属する手法の代表的なものとして、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸がアルカリ溶液に可溶であることを利用し、その塗膜上にアルカリ現像可能なレジストを塗布し、所望の形状に電磁波を照射後、レジストの現像と同時に、現像によって現れたレジストの開口部から露出したポリアミック酸も現像液に溶出させパターンを形成した後、ポリアミック酸が不溶なアセトン等の有機溶媒で表面のレジスト層を剥離し、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得るものがある。
一方、上記(2)のグループに属する手法の代表的なものとして:
(a) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、電磁波の露光前は溶解抑止剤として作用し、露光後は、カルボン酸を生成し溶解促進剤となる、ナフトキノンジアジド誘導体を混合し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;特開昭52一13315
(b) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、電磁波の露光により塩基性物質となるジヒドロピリジン誘導体等の化合物を混合し、露光後に、適度な温度で加熱することにより、露光部に発生した塩基性物質の作用で露光部の現像液に対する溶解性が向上し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでポジ型のパターン形成を行い、その後、完全にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法(特許文献1);
(c) ポリイミド前駆体としてラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する骨格を結合させたものを用い、そこに光ラジカル発生剤を混合することで露光部に架橋構造を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法(特許文献2);
(d) ポリイミド前駆体のポリアミック酸と塩基性部位を有するラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物を混合することで、両者をイオン結合させ、そこに増感剤を混合することで露光部にラジカル対を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法(特許文献3);
及び、
(e) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光酸(または光塩基)発生剤と架橋剤を混合し、露光後、加熱することで露光によって発生した酸(または塩基)の作用によって架橋を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくしてパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法、
(f) ポリイミド前駆体のポリイソイミドに、光塩基発生剤としてo−ニトロベンジルカルバメートを混合し、露光後、加熱することで露光によって発生した塩基の作用によってポリイソイミドからポリイミドへの異性化を進行させることで、有機溶剤に対する溶解速度のコントラストを大きくしてパターンを得る方法(特許文献4):
などが提案されている。
上記(1)のグループに属する手法は、プロセスが煩雑になるものの、用いるポリイミド前駆体の組成の自由度が大きく、また、感光性成分等を混合していないため最終的なポリイミドにはポリイミド以外の不純物を含まず、信頼性が高いという特徴がある。
一方、(2)のグループに属する手法では、ポリイミド前駆体(または、ポリイミド前駆体樹脂組成物)自身がパターン形成能を有するため、(1)のグループで用いたようなレジスト層が必要なく、プロセスが大幅に簡便になるという特徴があるが、ポリイミド前駆体自身が露光波長を十分に透過しないと、感光性成分に電磁波が届かず、感度の低下やパターンが形成できない等の問題が発生するため、露光波長に対し透過率の高い分子骨格を選ぶ必要がある。
その中でも(2)のグループに属する(f)の手法は、有機溶媒に可溶なポリイソイミドという特殊な構造をした高分子前駆体を用いなければならないものの、高分子前駆体に、光酸(または塩基)発生剤をある一定比率で混合するだけで、簡便に感光性ポリイミドを得ることができるという利点がある。一方で、特許文献4に開示されているものは、用いている光塩基発生剤が、N−{[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジンなどのo−ニトロベンジルウレタン化合物という、合成ステップが多いものを用いている為、光塩基発生剤のコストが高いという点に問題があった。さらには、ポリイソイミドは有機溶媒に可溶であるが水溶液には不溶であるので、現像液が有機溶媒に限定されており、現像液の選択の幅が小さいという問題もあった。また用いられている、光塩基発生剤に対する増感反応は提案されておらず、露光光源の光に波長に合わせて、その光を充分吸収できるように光塩基発生剤の構造そのものを変化させる必要があり、更なるコストアップの原因となっていた。
一方、電磁波を吸収することで本来、中性の化合物が塩基性に変化する光塩基発生剤は、主に、エポキシ樹脂の光硬化の用途に対して適用されてきた。光塩基発生剤より生成した塩基の作用によりエポキシ基の開環重合が開始され、分子量が増大したり架橋構造となったりすることで、耐溶剤性や耐熱性、表面硬度を向上させる目的で用いられるものである。
そのような目的の為、種々の塩基発生剤が提案されてきた。オキシムエステルを光塩基発生材として用いた、エポキシ樹脂の光硬化反応は既に報告されている(Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.15 2002 145-152)。
オキシムエステルは、以下のような反応機構により本来中性である化合物が塩基性を示すものと考えられており、電磁波の吸収によりオキシムエステル部位の窒素と酸素の間の共有結合が解裂し、脱炭酸反応を伴い1級アミンを生成する反応機構が提案されている。
Figure 0004756350
特開平6−43648号公報 特開昭61−293204公報 特公昭59−52822公報 特開平8−95246公報
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、高分子前駆体の種類を問わず大きな溶解性コントラストを得られ、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができ、しかも安価な感光性樹脂組成物を提供するものである。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、下記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)からなる光塩基発生剤と、高分子前駆体を含有することを特徴とする。
Figure 0004756350
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。R3及びR4が連結して、ウレタン結合構造の窒素と共に環状構造を形成する炭化水素基である。
上記オキシムエステル誘導体(A1)は、電磁波を吸収すると分子内の式(1)で表される構造の共有結合が切断されて脱炭酸が起こり、各種転移反応の結果、塩基性物質を発生させるので、塩基性物質の触媒作用によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、例えばポリイミド前駆体等に対して、非常に有効な感光性成分として作用する。従って、本発明によれば、塩基性物質の触媒作用によって、高分子前駆体の最終生成物への反応が促進されるために、塩基性物質と共存する高分子前駆体と、塩基性物質と共存しない高分子前駆体との間に反応温度や溶解性等に差が生じる。本発明ではこの塩基性物質の有無による差を利用して、高分子前駆体を塩基性物質の作用によって最終生成物への反応を促進させた状態で、例えば加熱により、現像液に対する溶解性を低く変化させることにより、現像が可能になる。
本発明によれば、オキシムエステル誘導体(A1)は高感度の光塩基発生剤として機能するため、感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上の電磁波照射部位と非照射部位の間での溶解性差を大きくでき、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができる。
また、本発明において塩基性物質を発生させる当該オキシムエステル誘導体(A1)の分子内解裂反応部位は、式(1)であって、脱炭酸により切断される化学結合は全て共有結合であるから、分子内解裂反応部位が酸と塩基とのイオン結合を有する塩の構造を含む場合とは異なり、感光性樹脂組成物中にさらに別の塩を配合する場合でもイオン交換を起こさない。それゆえ、当該オキシムエステル誘導体(A1)の塩基性物質を発生させる能力は、組み合わされる他の成分の影響による低下を起こしにくく、当該オキシムエステル誘導体(A1)を用いる感光性樹脂組成物は、処方設計の自由度が高い。
オキシムエステル化合物、オキシムウレタン化合物は、オキシム化合物とカルボン酸または、無水カルボン酸やカルボン酸クロライド等の誘導体との反応、またはオキシム化合物とイソシアネート化合物との反応のように、1段階の反応で得られる。これらの反応は、副生成物を発生させにくく、反応条件を調整することで高収率化も可能である為、安価に入手することができる。
また、オキシムエステル化合物、オキシムウレタン化合物はクマリン等の化合物による増感反応が確認されており、塩基発生剤自身の構造を変化させることなく、増感剤の添加のみで、露光光源の発光波長を利用できる利点がある。
本発明の感光性樹脂組成物は、安価に入手可能オキシムウレタン化合物と必要に応じて増感剤を添加するのみで得ることができる為、安価に入手できる。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる高分子前駆体としては、それ自体が塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進される化合物、中でも、それ自体が塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進され、且つ加熱により溶解性が変化する化合物が好適に用いられる。
主にパターニングに用いられる高圧水銀ランプからの発光を、より効率的に利用する為には、300nmより大きい領域に吸収を持たせることが効果的である。そのようにして高感度を達成する点から、前記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)のR1またはR2のうち少なくとも1つが、芳香族基であることが好ましい。この場合の芳香族基とは、環状不飽和有機化合物基のことを言い、R1またはR2に芳香族基が置換している状態というのは、環状不飽和有機化合物が直接共有結合でR1またはR2が結合している炭素に結合している状態のことを言う。
この場合、環状不飽和有機化合物とは、複素芳香族化合物も含む。
上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)においては、R3及びR4のうち少なくとも1つの、窒素原子と結合している末端原子は、SP3軌道を有する炭素原子であることが高感度を達成する点から、さらには、露光部未露光部の溶解性コントラストを大きくする観点から好ましく、R3及びR4が2つとも、そうであることがさらに好ましい。
上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)においては、さらに、R3、及びR4が連結して、ウレタン結合構造の窒素と共に環状構造を形成する炭化水素基であることが、高感度を達成する点から、さらには、露光部未露光部の溶解性コントラストを大きくする観点から好ましい。
上記のような場合には、電磁波の照射により発生する塩基性物質の塩基性が強くなり、触媒作用が大きくなる為、より少量の塩基性物質の量で高分子前駆体の現像液に対する溶解性の差を創出しやすくなる。つまりは、本発明の電磁波の吸収に伴う分子内解裂反応により、塩基性物質を生成する中性の化合物自身の感度が低い場合でも、発生した塩基性物質の触媒効果が大きい為、見た目の感度は向上し、高感度の感光性樹脂組成物を得ることが可能になる。
一般的な露光光源である高圧水銀灯の波長は、436nm、405nm、365nmであり、KrFレーザーの波長は248nmであることから、前記オキシムエステル誘導体(A)は、436nm、405nm、365nm、248nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長に吸収を有することが好ましい。さらには、本発明に用いられる高分子前駆体は、400nm以下の波長領域に吸収を有する場合が多い為、436nm、405nmのいずれかの波長に対して吸収を有するものであることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態においては、感光性樹脂組成物に増感色素を添加することにより、照射感度を向上させることができる。
本発明の一実施形態においては、感光性樹脂組成物の高分子前駆体として、ポリアミック酸のようなポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を用いることができる。
本発明によれば、従来、露光部と未露光部の間で溶解性のコントラストを取りにくかったポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体についても、溶解阻害剤、溶解抑制剤の適用なしで良好なパターン形状を得ることができる。
さらに本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いるネガ型パターン形成方法を提供するものでもある。本発明に係るネガ型パターン形成方法は、上記感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射し、必要に応じて後処理(通常は、加熱処理)を行って前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させた後、当該溶解性が低下する溶媒を現像液として用いて現像することを特徴とする。
上記ネガ型パターン形成方法においては、高分子前駆体と、光塩基発生剤として上記オキシムエステル誘導体(A1)とを組み合わせて用いることにより、感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うネガ型パターン形成が可能である。
以上に述べたように、本発明によれば、高分子前駆体に、上記オキシムエステル誘導体(A)を混合するという簡便な手法で、高分子前駆体の種類を問わず大きな溶解性コントラストを得られ、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができ、しかも安価な感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記オキシムエステル誘導体(A)、特に上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)が光塩基発生剤として機能することで、多種多様な高分子前駆体を組み合わせて用いることができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
具体的には、本発明に係る感光性樹脂組成物は、高分子前駆体として、種々の用途へ応用展開されているポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を適用することで、より幅広い用途に適用可能な感光性ポリイミド樹脂組成物又は感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物として利用できる。
また、現像液も特に限定されず、高分子前駆体に合わせて適宜、有機溶剤、塩基性水溶液、酸性水溶液、中性水溶液等を用いることができる。
本発明において塩基性物質を発生させる当該オキシムエステル誘導体(A)の分子内解裂反応部位は、式(1’)であって、脱炭酸により切断される化学結合は全て共有結合であるから、分子内解裂反応部位が酸と塩基とのイオン結合を有する塩の構造を含む場合とは異なり、感光性樹脂組成物中にさらに別の塩を配合する場合でもイオン交換を起こさない。それゆえ、当該オキシムエステル誘導体(A)の塩基性物質を発生させる能力は、組み合わされる他の成分の影響による低下を起こしにくく、当該オキシムエステル誘導体(A)を用いる感光性樹脂組成物は、処方設計の自由度が高い。
また、上記本発明に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面に電磁波を照射して、照射部位を選択的に難溶化させた後、当該感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うネガ型パターン形成が可能である。この方法は、パターン形成のプロセスが簡素であるというメリットを有する。中でも塩基性水溶液を用いる場合には、自然環境に対する負荷や労働衛生上の悪影響が小さい。
さらに、上記本発明に係る感光性樹脂組成物は、広範な構造の高分子前駆体を選択できる為、それによって得られる高分子は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の機能を付与することが可能であることから、これら高分子が適用されている公知の全ての部材や塗膜として好適である。
特に、本発明に係る感光性樹脂組成物は、主にパターン形成材料(レジスト)として用いられ、それによって形成されたパターンは、永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する要素として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材、又は建築材料を形成するのに適している。
加えて、上記感光性樹脂組成物の1形態である感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物、及び感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂組成物は、広範な構造のポリイミド又はポリベンゾオキサゾールの前駆体を選択できる為、それによって得られる硬化物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等のポリイミド及びポリベンゾオキサゾールが特徴的に有する機能を付与することが可能であることから、ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールが適用されている公知の全ての部材用のフィルム、塗膜又は3次元構造物として好適である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明において、電磁波とは、化合物の分子内解裂反応を引き起こすことが可能なものであればよく、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、下記式(1’)で表わされる構造を含むオキシムエステル誘導体(A)と、高分子前駆体を含有することを特徴とする。
Figure 0004756350
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。)
本発明者は、以前よりポリアミック酸は、塩基性物質による触媒作用によってイミド化反応が開始される温度を下げることが可能なことを見出しており、それを利用した塩基性水溶液現像が可能なパターニング手法を提案してきた(本出願時において未公開である特願2005-105443)。
一方、オキシムエステル誘導体は、下記反応式に従って、電磁波の吸収により分子内解裂反応を起こし、アミンを発生させることが報告されている(Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.15 2002 145-152)。
Figure 0004756350
本発明者は、オキシムエステル誘導体の上記分子内解裂反応に注目し、研究を進めたところ、以下の知見を得た。
上記オキシムエステル誘導体は中性の化合物であるが、電磁波を吸収することで分子内解裂し、アミンまたはヒドラジンを生成すると、塩基性を示す。一方、ポリイミド前駆体は、アミンの触媒作用によって、イミド化反応が開始される温度を下げることができる。つまり、ポリイミド前駆体を、オキシムエステル誘導体と共存させておき、電磁波の照射により中性から塩基性へと変換することで、電磁波の照射された部位は、より低温でイミド化を進行させることができる。
オキシムエステル誘導体と、ポリイミド前駆体とを含有する感光性樹脂組成物を用いてパターンを得るには、パターンを残したい場所に電磁波を照射した後、アミンが存在する場所ではイミド化が進行するが、アミンの存在していない場所ではイミド化が進行しない温度によって加熱を行う。その結果、アミンが存在する場所、すなわち、電磁波を照射した場所のみイミド化が進行し溶解性が低下する為、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で現像することで、パターンを得ることができる。その後、目的に応じて、更に加熱硬化を行って、ポリイミドパターンとすることができる。
さらに、オキシムエステル誘導体は、置換基として芳香環を導入することで長波長側へ吸収波長をシフトさせることができ、透過性の高い高分子前駆体との組み合わせで高感度化が期待できる。
電磁波の吸収に伴いアミンを発生させる化合物としては、カルボン酸とアミンからなる塩も存在する。カルボン酸とアミンからなる、ある種の塩は、光脱炭酸反応により分解してアミンを発生させる。しかし、光塩基発生剤の分子内解裂反応部位がイオン結合を有する塩の構造を含む場合には、感光性樹脂組成物中にさらに別の塩を配合するとイオン交換を起こし、光塩基を発生させる能力が低下するおそれがある。
これに対し、オキシムエステル誘導体のように、光塩基発生剤の分子内解裂反応部位に含まれる化学結合が全て共有結合である場合には、塩基性物質を発生させる能力は、組み合わされる他の成分の影響による低下を起こしにくい。それゆえ、感光性樹脂組成物は、処方設計の自由度が高くなる。
さらには、オキシムエステル誘導体は、オキシム化合物とカルボン酸クロライドとの反応やオキシム化合物とイソシアネート化合物との反応により簡便に合成することができる為、低コスト化が可能である。
以上の知見から、発明者らは、式(1’)のように共有結合で結合しあう原子だけで構成されている分子内解裂反応部位を有するオキシムエステル誘導体(A)を、光塩基発生剤として用いることにより、当該オキシムエステル誘導体(A)が、電磁波の吸収に伴いアミンを発生させ、発生したアミンを触媒としてポリイミド前駆体のイミド化を行うことにより露光部を硬化させて、露光部と未露光部の間に現像液に対する溶解性の差を付与できることを見出した。
このオキシムエステル誘導体(A)は、ポリイミド前駆体のイミド化を促進するだけでなく、ポリイミド前駆体と同様に、塩基性物質が最終生成物に変化する反応に触媒作用を示す高分子前駆体や、塩基性物質の作用によって目的とする反応が進行する系を含む組成物に対して、非常に有効な感光性成分として作用する。
本発明は、高分子前駆体にオキシムエステル誘導体(A)を混合するだけの簡便な手法で、そして安価に感光性樹脂組成物を調製することができる。また、適用できる高分子前駆体の選択範囲が広く、その感光性高分子前駆体樹脂組成物とその環化物の特性を生かすことが出来る分野において広く応用される。特にその代表例である感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物、感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂組成物、及び、それらの環化物の特性を生かすことが出来る分野において好適に応用される。
本発明において、好適なオキシムエステル誘導体(A)としては、下記式(1”)で表わされる構造(オキシムウレタン骨格を有する構造)を含んでいるものを例示できる。
Figure 0004756350
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。)
中でも、上述のスキームIにおける(Ia)やスキームIIにおける(IIa)の反応による塩基性物質の発生よりも、スキームIIにおける(IIb)の反応による塩基性物質の発生の方がより効率的に発生し、より感度を向上させることから、(IIb)の反応による塩基性物質の発生が可能なように下記式(1”)で表わされる構造(オキシムウレタン骨格を有する構造)を分子内解裂反応部位(a)として含んでいるものがより好ましい。
上記オキシムエステル誘導体(A)の好ましいものとして、下記式(1)で表されるオキシムウレタン骨格を有するオキシムエステル誘導体(A1)を用いることができる。
Figure 0004756350
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。)
式(1’)、式(1”)及び式(1)におけるR1、R2の位置には、水素原子以外に、1価の有機基が導入されていてもよい。R1とR2は互いに同一であっても異なっていても良い。また、R3とR4が互いに結合して環状構造を形成していても良い。
R1、R2の位置に導入できる他の1価の有機基としては、炭化水素骨格を有する基が挙げられ、それらは、ヘテロ原子等の炭化水素以外の結合や置換基を含んでいてもよいし、そのようなヘテロ原子の部分が芳香環に組み込まれて複素環となっていても良い。炭化水素骨格を有する基としては、例えば、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和アルキルエーテル基、アリールエーテル基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、さらには、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格上にハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。
また、式(1’)、式(1”)及び式(1)におけるR1、R2としては、炭素数が1〜25程度であることが好ましい。
また、式(1’)、式(1”)及び式(1)におけるR1、R2のうちいずれかの位置に導入される置換基の構造を変化させることにより、吸収する光の波長を調整することが可能であり、吸収させたい波長に応じて最適な置換基を導入することで所望の波長を吸収させるようにすることもできる。
特に、R1、R2は、吸収波長を調整する観点から比較的自由に置換基の種類を選択して導入することが可能である。R1、R2を適宜選択することにより、電磁波を効率的に吸収して、より分子内解裂を起こしやすくして、高感度を達成することができる。
中でも、長波長側の電磁波を吸収できるようにする観点から、π電子を有している構造が好ましく、具体的には、芳香族基、ビニル基などが挙げられる。これらの置換基は、さらに置換基を有していても良い。この置換基に含まれるπ電子は長く共役しているほど、長波長側に吸収を有し、露光波長によって適宜、その構造を選択できる。
露光時の光源が高圧水銀灯である場合、吸収波長の観点、耐熱性の観点から、更に具体的には300nmより大きい領域に吸収を持たせる為には、置換基R1及び、R2のうちの少なくとも1つが芳香族基であることが好ましい。
この場合の芳香族基とは、環状不飽和有機化合物基のことを言い、R1またはR2に芳香族基が置換している状態というのは、環状不飽和有機化合物が直接共有結合でR1またはR2が結合している炭素に結合している状態のことを言う。この場合、環状不飽和有機化合物とは、ヘテロ原子を含む複素芳香族化合物も含む。
環状不飽和有機化合物基を具体的に例示すると、置換又は無置換のフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基の他、フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、(チオ)キサンテニル基、(チオ)キサントニル基、クマリル基、アントラキノリル基等の複素芳香族化合物等が挙げられるが特に限定されない。
この環状不飽和有機化合物基には置換基が導入されていても良く、具体的にはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、不飽和アルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられるが特に限定されない
その中でも、芳香族基に対してアルコキシ基、アミド基、ジメチルアミノ基等の導入が、吸収波長の長波長化の点から効果的であるが、置換基が導入されるオキシムエステル誘導体(A1)のpHを考慮しながら選択する必要がある。そういった観点から総合すると、アルコキシ基がもっとも効果的である。
所望の波長に対して吸収波長をシフトさせる為に、どのような置換基を導入したら良いかという指針として、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products(A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法 第5版(R.M.S
ilverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。
これらの置換基は、合成上どの段階で導入されてもよく、オキシムエステル誘導体とした後に、導入されても良いし、もともと導入された原料を出発物質として合成を行っても良いし、中間体の状態で導入しても良く、特に限定されない。
式(1)で表される上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)のR3及びR4の位置には、水素原子以外に、1価の有機基が導入されていてもよい。R3とR4は互いに同一であっても異なっていても良い。また、R3とR4が互いに結合して環状構造を形成していても良い。
R3、R4の位置に導入し得る1価の有機基としては、水素原子のほかに、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基、又はフェニル、ナフチル等の芳香族基、或いは、これらを組み合わせた、ベンジル、フェネチル等の芳香族基を置換基として有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基、トリル、クメニル等の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を置換基として有する芳香族基、更には環状飽和炭化水素基等が挙げられる。なお、不飽和炭化水素には、炭素−炭素2重結合のほか、炭素−炭素3重結合が含まれる。
また、R3、R4の位置に導入し得る1価の有機基としては、上記で挙げたような炭化水素基の炭化水素鎖中にヘテロ原子等の炭化水素以外の結合や、置換基を含んだような炭化水素骨格を有する基であってもよい。また、R3、R4の位置に導入し得る1価の有機基は、特に、炭素数が1〜20程度、好ましくは炭素数が1〜8程度であることが好ましい。これらは、直鎖でも分岐鎖でも環状でも良い。また、R4とR8が連結し環状になっていても良い。
炭化水素骨格を有する基に含まれるヘテロ原子等の炭化水素以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、アシル結合、オキシム結合など、また置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、不飽和アルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられるが特に限定されない。
R3、R4の位置に導入される置換基によって、オキシムエステル誘導体から発生するアミンやヒドラジンの熱物性や塩基性度が異なる。より塩基性度の高いアミンやヒドラジンの方が、イミド化等の脱水縮合反応に対する触媒作用が強く、より少量の添加で、より低い温度での脱水縮合反応が可能となる。つまりは、オキシムエステル誘導体(A1)自身の電磁波に対する感度が低い場合でも、発生した塩基性物質の触媒効果が大きい為、見た目の感度は向上する。
上記のような触媒効果が大きい点から、オキシムエステル誘導体(A1)の電磁波の吸収に伴う解裂反応によって発生する塩基性物質は脂肪族アミン、または脂肪族ヒドラジンが好ましい。その中でも、塩基性の観点からは2級の脂肪族アミンが好ましく、オキシムエステル誘導体の合成の容易さの観点からは1級の脂肪族アミンが好ましい。これまでの検討の結果から、脂肪族アミンでは1級アミンと2級アミンでは、触媒作用の差がわずかである為、合成が簡便な1級の脂肪族アミンを発生させるオキシムエステル誘導体の方がより実用的である。
このような脂肪族アミンを発生させ、高感度を達成し、さらには、露光部未露光部の溶解性コントラストを大きくする観点から、上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)のR3及びR4のうち少なくとも1つの、窒素原子と結合している末端原子が、SP3軌道を有する炭素原子であることが好ましい。中でも、R3及びR4が2つとも、窒素原子と結合している末端原子が、SP3軌道を有する炭素原子であることが好ましい。
このような窒素原子と結合している末端原子がSP3軌道を有する炭素原子となるような置換基としては、具体的には、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ベンジル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
更に、上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)のR3及びR4のうち少なくとも1つが、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、及び、環状脂肪族炭化水素基よりなる群から選択される1種以上の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。中でも、R3及びR4が2つとも、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、及び、環状脂肪族炭化水素基よりなる群から選択される1種以上の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。なお、当該好適に用いられる脂肪族炭化水素基は、芳香族基等の置換基を有していても良く、或いは、炭化水素鎖中にヘテロ原子等の炭化水素以外の結合を含んでいても良い。また、R3及びR4が互いに連結していても良い。
一方、分子内解裂反応化合物は、低分子量のもののほうが、同じ重量で考えたときのモル数が大きくなる。電磁波の吸収によって発生した塩基性物質の触媒効果は、塩基性物質の分子の数に比例するので、電磁波に対する感度が同じものの場合、より低分子量の分子内解裂反応化合物の方が、より少量の添加で充分な触媒効果を発揮できるだけの塩基性物質を発生させることができる。つまりこの点からは、上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)のR3及びR4が連結して、ウレタン結合構造の窒素と共に環状構造を形成する炭化水素基であると、オキシムウレタン化合物を低分子量化できるので好ましい。さらには、発生するアミンが、2級のアミンとなり、しかも分子サイズが小さく拡散しやすいので感度も向上する。R3及びR4の具体的な構造としては、例えば下記式のような構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004756350
また、本発明のオキシムエステル誘導体(A)としては、分子内に2箇所以上下記式(1’)で表わされる構造(オキシムエステル骨格を有する構造)を含んでいる化合物や、下記式(1”)で表わされる構造(オキシムウレタン骨格を有する構造)を含んでいる化合物を用いても良い。例えば、下記式(2)のような分子内解裂によってジアミノ化合物を生成するような化合物や、下記式(3)及び式(4)のようなオキシム由来の部位を2つ有する骨格に、2つウレタン結合が結合した化合物などが例示されるが、特に限定されるものではない。
Figure 0004756350
(式(2)中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。Xは、2価のアミン残基である。)
(式(3)中、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。Yは2価の有機基である。)
(式(4)において、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。Yは2価の有機基である。)
上記式(2)において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ式(1)のR1及びR2と同様のものを用いることができる。また、Xは2価のアミン残基であり、例えば、ピペラジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミン等のアミンの残基が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、式(3)及び式(4)において、R9及びR10は、それぞれ式(1)のR1及びR2と同様のものを用いることができる。また、式(3)中のR11、R12、R13及びR14は、それぞれ式(1)のR3及びR4と同様のものを用いることができる。
また、Yは2価の有機基であり、エチレン基のような2価の飽和又は不飽和アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基のようなアリーレン基や、上記アルキレン基とアリーレン基が組み合わされてなるもの、更にそれらに置換基が結合したもの等が用いられる。また、それらはヘテロ原子を持つ、エーテル結合やエステル結合、アミド結合等の結合を主鎖内に有していても良い。
本発明に用いられるオキシムエステル誘導体(A)としては、以下のような化合物が例示できるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004756350
Figure 0004756350
本発明に用いられるオキシムエステル誘導体(A)の分子内解裂によって発生する塩基性物質としては、n−ブチルアミン、ベンジルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミンやオクチルアミンなどの第一級アミン類、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンのような第2級アミン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン類、ジエチレントリアミンなどのトリアミン、その他テトラミン化合物、ベンジルアミンなどのアミンが例示されるが、本発明に開示されている条件に当てはまるものであれば特に限定されない。
また、オキシムエステル誘導体(A1)のようなオキシムエステル誘導体(A)は、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜の乾燥時に行う、加熱の温度において分解しないことが好ましい。更には、露光後、現像前に行う加熱(露光により発生させた塩基性物質の作用により露光部のイミド化を選択的に促進させる作業)時にも分解しないことが好ましい。具体的には、オキシムエステル誘導体(A1)のようなオキシムエステル誘導体(A)を加熱して初期の重量から5%重量が減少したときの温度(5%重量減少温度)が100℃以上であることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物が、製品として用いられる場合、感光性樹脂組成物中に不純物が残存しないことが好ましいので、オキシムエステル誘導体(A)及び、電磁波の吸収によって発生したその分解物は現像後に行う加熱のプロセス(例えば高分子がポリイミド前駆体の場合、イミド化のプロセス)で分解、または揮発してしまうことが好ましい。具体的には、オキシムエステル誘導体(A1)のようなオキシムエステル誘導体(A)又は、電磁波の吸収によって発生したその分解物を加熱して初期の重量から50%重量が減少したときの温度(50%重量減少温度)が400℃以下であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いる高分子前駆体とは、それ自身が高分子であり、分子内閉環反応等の分子内反応によって最終的に目的の物性を示す高分子となる物質のことをいい、好ましくは、分子内閉環反応の際に、水分子、および/またはアルコール分子の脱
離を伴って環状構造を有する繰り返し単位を形成するものをいう。
さらに、本発明に用いる高分子前駆体は、なんらかの溶媒(有機溶剤、又は水溶液)に可溶なものであることが好ましい。溶媒(有機溶剤、又は水溶液)に可溶なものであると、高分子前駆体の当該溶媒に対する溶解性を変化させることにより、その可溶な溶媒を現像液として用いて、適宜、有機溶剤、塩基性水溶液、酸性水溶液、又は中性水溶液による現像をすることが可能になる。
ここで、ある溶媒に可溶とは、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における当該溶媒に対する溶解速度が、100Å/sec以上を目安とする。当該溶解速度は1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。
例えば、塩基性水溶液に可溶なものは、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における0.1wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上である。当該溶解速度は1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。さらには、より一般的に用いられる現像液である2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。上記定義による溶解速度が100Å/secより小さい場合、現像時間が遅くなり作業性、生産性が悪くなると共に、露光部、未露光部間の溶解性コントラストが得にくくなる。
したがって、本発明の感光性樹脂組成物のある溶媒に対しての溶解速度は、25℃における当該溶媒に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。
上記溶解速度を測定する具体的手順としては、無アルカリガラス等の基板上に形成された高分子前駆体の塗膜を、25℃に調温され、撹拌された現像液(0.1重量%TMAH水溶液または、2.38重量%TMAH水溶液等の塩基性水溶液、有機溶剤等)に一定時間、浸漬し、蒸留水でリンス後、乾燥させた後で測定した膜厚と、初期膜厚との差を、膜減り量とし、その膜減り量を、現像液に浸漬した時間で割ったものが、25℃における単位時間当たりの溶解速度ということになる。
また、露光部と未露光部の間に十分な溶解性コントラストを得るために、感光性樹脂組成物を、実際に所定の感光パターン形成プロセスにおいて用いた時に、パターン状露光、及び、必要に応じて後工程(通常は加熱工程)を行って得られる、現像工程前における未露光部位と露光部位の現像液に対する溶解性の比(未露光部位の現像液に対する単位時間当たりの溶解速度/露光部位の現像液に対する単位時間当たりの溶解速度)が、10以上であることが好ましい。
単位時間当たりの溶解速度は、上記の方法と同様にして求められ、感光性樹脂組成物の塗膜にパターン露光を行い、露光後の加熱を行った後に、露光部、未露光部の溶解速度を、それぞれ求める。
本発明においては、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体が典型的に用いられる。ここで、高分子前駆体が、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進される態様には、高分子前駆体が塩基性物質の作用のみによって最終生成物に変化する態様のみならず、塩基性物質の作用によって高分子前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基性物質の作用がない場合に比べて低下するような態様が含まれる。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応しある溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、高分子前駆体のある溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。よって、本発明に用いられる高分子前駆体としては、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進され、且つ、加熱により溶解性が、加熱前に比べて低く変化する高分子前駆体が好適に用いられる。
本発明における高分子前駆体としては、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体が特に好適に用いられる。ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、そのメカニズムからどのようなポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体であっても用いることができ、2種以上の別々に合成した高分子前駆体の混合物でも良い。
ここで、ポリイミド前駆体としては、ポリアミック酸が好適に用いられ、ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリアミドアルコールが好適に用いられる。
ポリアミック酸は、酸2無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体のように、塩基の触媒作用によって熱硬化温度が低下する高分子前駆体を用いる場合には、先ず、そのような高分子前駆体、及びオキシムエステル誘導体(A)を組み合わせた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上のパターンを残したい部分に電磁波を照射する。すると、照射部には、塩基性物質が発生し、その部分の熱硬化温度が選択的に低下する。次に、照射部は熱硬化するが、非照射部は熱硬化しない処理温度で加熱し、照射部のみ硬化させる。次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で非照射部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
本発明においては、オキシムエステル誘導体(A)が、高感度の光塩基発生剤として機能し、感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上の電磁波照射部位と非照射部位の間での溶解性差を大きくできるので、有機溶媒ではなく、塩基性水溶液を用いる場合でも優れた現像性が得られる。
副次的な効果として、用いる高分子前駆体がポリアミック酸である場合、塩基性物質の触媒効果によりイミド化に要する温度が低くても充分な為、最終キュア温度を300℃未満、更に好ましくは250℃以下まで下げることが可能である。従来のポリアミック酸はイミド化するために最終キュア温度を300℃以上とする必要があった為、用途が制限されていたが、最終キュア温度を下げることが可能になったことによって、より広範囲の用途に適用が可能である。
また、ポリイミド前駆体に関して、最終的に得られるポリイミドの耐熱性及び寸法安定性の要求が厳しい用途に対しては、酸二無水物由来の部分が芳香族構造を有し、さらにジアミン由来の部分も芳香族構造を含む全芳香族ポリイミド前駆体であることが好ましい。それゆえジアミン成分由来の構造も芳香族ジアミンから誘導される構造であることが好ましい。
ここで、全芳香族ポリイミド前駆体とは、芳香族酸成分と芳香族アミン成分の共重合、又は、芳香族酸/アミノ成分の重合により得られるポリイミド前駆体及びその誘導体である。また、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とはポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、後述する原料の具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
本発明のポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のポリイミド前駆体に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無
水物を用いると、ポリイミド前駆体の透明性が向上する。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなる。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(5)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
Figure 0004756350
(aは1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位または、パラ位に結合する。)
さらに、上記式(5)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
次に、本発明で用いられるオキシムエステル誘導体(A1)、および、ポリイミド前駆体を合成する手法をこれより具体的に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のオキシムエステル誘導体(A1)は、例えば、以下に記載する1段階の反応スキームにより得ることができる。この反応スキームによれば、アセトフェノンオキシムを出発原料とし、これにトリエチルエミン触媒下、フェニル酢酸クロライドを反応させて目的物を得られる。
また、別の手法としては、アセトフェノンオキシムを出発原料とし、これにジブチル錫ジアセテート触媒下、フェニルイソシアネートを反応させて目的物を得る手法などが例示される。これらの反応は、副生成物を発生させにくく、反応条件を調整することで高収率化も可能である為、安価に入手することができる。
但し、最終的に本発明記載の構造が得られるのであれば、合成ルートはこれに限定されない。
Figure 0004756350
このようにして得られる本発明のオキシムエステル誘導体(A1)は、イミド化のための光塩基発生の機能を十分に発揮させるために、露光波長の少なくとも一部に対して吸収を有する必要がある。一般的な露光光源である高圧水銀灯の波長としては、436nm、405nm、365nmがある。また、KrFレーザーの波長は248nmである。
かかる観点から、オキシムエステル誘導体(A1)及びその他のオキシムエステル誘導体(A)は、少なくとも436nm、405nm、365nm、248nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長の電磁波に対して吸収を有するものであることが好ましい。
特に本発明に用いられる高分子前駆体が、芳香族成分を含有する高分子である場合は、高分子前駆体のUV吸収が長波長領域まで存在する場合が多いので、オキシムエステル誘導体(A1)の吸収波長は、高分子前駆体が光を充分に透過する波長領域、具体的には、436nm、405nmに存在していることがさらに好ましい。
この場合、吸収を有するとは、アセトニトリル等の溶液に溶解させた状態での、各波長におけるモル吸光係数が300以上であればよく、500以上であればさらに好ましい。
一方、ポリイミド前駆体を合成するには、例えば、アミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドンなどの有機極性溶媒に溶解させた溶液を冷却しながら、そこへ等モルの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を徐々に加え撹拌し、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
ポリイミド前駆体は、感光性樹脂組成物とした際の感度を高め、マスクパターンを正確に再現するパターン形状を得るために、1μmの膜厚のときに、露光波長のいずれかに対して少なくとも5%以上の透過率を示すことが好ましく、15%以上の透過率を示すことが更に好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体の透過率が高いということは、それだけ、照射光のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、さらに好ましくは15%、さらに好ましくは50%以上である。
波長が248nmであるKrFレーザーで露光する場合には、248nmにおける透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、さらに好ましくは15%、さらに好ましくは50%以上である。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミドとした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、公知の手法により得られる分子量であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値が例示される。この場合、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、オキシムエステル誘導体(A)と、ポリイミド前駆体と、溶媒だけの単純な混合物であってもよいが、さらに適宜、増感剤、光又は熱硬化性成分、ポリイミド前駆体以外の非重合性バインダー樹脂等のその他の成分を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。本発明で用いるオキシムエステル誘導体(A)は、分子内開裂部位が塩の構造を含んでいないので感光性樹脂組成物に配合される他の成分による塩基発生能力の低下を起こしにくいので、処方設計の自由度が高い。
高分子前駆体を透過する波長の電磁波をオキシムエステル誘導体(A)が充分吸収できる様にし、感度を向上させたい場合に、増感剤の添加が効果を発揮する場合がある。
特に、高分子前駆体の吸収が360nm以上の波長にもある場合には、増感剤の添加による効果が大きい。増感剤と呼ばれる化合物の具体例としては、チオキサントン及び、ジエチルチオキサントンなどのその誘導体、シアニン及び、その誘導体、メロシアニン及び、その誘導体、クマリン系及び、その誘導体、ケトクマリン及び、その誘導体、ケトビスクマリン、及びその誘導体、シクロペンタノン及び、その誘導体、シクロヘキサノン及び、その誘導体、チオピリリウム塩及び、その誘導体、キノリン系及び、その誘導体、スチリルキノリン系及び、その誘導体、チオキサンテン系、キサンテン系及び、その誘導体、オキソノール系及び、その誘導体、ローダミン系及び、その誘導体、ピリリウム塩及び、その誘導体等が挙げられる。
シアニン、メロシアニン及び、その誘導体の具体例としては、3,3’−ジカルボキシエチル−2,2’チオシアニンブロミド、1−カルボキシメチル−1’−カルボキシエチル−2,2’−キノシアニンブロミド、1,3’−ジエチル−2,2’−キノチアシアニンヨ−ジド、3−エチル−5−[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリデン)エチリデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジン等が挙げられる。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3−(2’−ベンゾイミダゾール)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
さらに他にはベンゾフェノン、アセトフェノン、アントロン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、1,2−ベンズアンスラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、p,p’−テトラエチルジアミノベンゾフェノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、2,5−ビス−(4’−ジエチルアミノベンザル)−シクロペンタン、2,6−ビス−(4’−ジエチルアミノベンザル)−シクロヘキサノン、2,6−ビス−(4’−ジメチルアミノベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、2,6−ビス−(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4’−ビス−(ジメチルアミノ)−カルコン、4,4’−ビス−(ジエチルアミノ)−カルコン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、1,3−ビス−(4’−ジメチルアミノベンザル)−アセトン、1,3−ビス−(4’−ジエチルアミノベンザル)−アセトン、N−フェニル−ジエタノールアミン、N−p−トリル−ジエチルアミン、などが挙げられ、
これらは、オキシムエステル誘導体(A)との組み合わせによって、特に優れた効果を発揮する為、オキシムエステル誘導体(A)の構造によって最適な増感作用を示す増感剤が適宜選択される。この場合、増感色素自身が塩基性でない、すなわちpHが7以下の化合物であることが好ましい。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、前駆体としてポリアミック酸を用いる場合には、ポリアミック酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、オキシムエステル誘導体(A)の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分を加えても良い。
また、本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体(固形分)は、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、30重量%以上、50重量%以上含有することが好ましい。また、前記オキシムエステル誘導体(A)は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分100重量部に対し、通常、0.1〜95重量部、好ましくは0.5〜60重量部、さらに好ましくは1〜40重量部の範囲内で含有させることが好ましい。0.1重量部未満であると添加の効果を得られにくく、95重量部を超えると最終的に得られる樹脂硬化物に求められる諸物性を満たしにくくなる。
また、その他の任意成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。なお、感光性樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、さまざまなコーティングプロセスや成形プロセスに用いられて、フィルムや3次元的形状の成形物を作製することができる。
本発明の感光性樹脂組成物より得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールは、耐
熱性、寸法安定性、絶縁性等の本来の特性も損なわれておらず、良好である。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールのガラス転移温度は、耐熱性の観点からは高ければ高いほど良いが、光導波路のように熱成形プロセスが考えられる用途においては、120℃〜450℃程度のガラス転移温度を示すことが好ましく、200℃〜400℃程度のガラス転移温度を示すことがさらに好ましい。ここで本発明におけるガラス転移温度は、感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールをフィルム形状にすることが出来る場合には、動的粘弾性測定によって、tanδ(tanδ=損失弾性率(E’’)/貯蔵弾性率(E’))のピーク温度から求められる。動的粘弾性測定としては、例えば、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数3Hz、昇温速度5℃/minにより行うことができる。感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールをフィルム形状にできない場合には、示差熱分析装置(DSC)のベースラインの変曲点の温度で判断する。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの寸法安定性の観点から、線熱膨張係数は60ppm以下が好ましく、40ppm以下がさらに好ましい。半導体素子等の製造プロセスにおいてシリコンウェハ上に膜を形成する場合には、密着性、基板のそりの観点から20ppm以下がさらに好ましい。ここで、本発明における線熱膨張係数とは、本発明で得られる感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールのフィルムの熱機械的分析装置(TMA)によって求めることができる。熱機械的分析装置(例えばThermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2として得られる。
以上に述べたように、本発明に係る感光性樹脂組成物は、オキシムエステル誘導体(A)、特に上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)が、高感度の光塩基発生剤として機能することで、多種多様な高分子前駆体を適用することができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
また、本発明によれば、高分子前駆体にオキシムエステル誘導体(A)を混合するだけという簡便な手法で感光性樹脂組成物を得ることができることから、コストパフォーマンスにも優れる。
さらには、電磁波の照射により発生したアミンの触媒効果により、イミド化に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの不可や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、印刷インキ、接着剤、充填剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、3次元造形、光学部材等、樹脂材料が用いられる公知の全ての分野・製品に利用できる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野・製品、例えば、塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられ、本発明に係る感光性樹脂組成物又はその熱硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料いずれかの物品が提供される。
特に、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する感光性樹脂組成物は、主にパターン形成材料(レジスト)として用いられ、それによって形成されたパターンは、ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材又は電子部材を形成するのに適している。
次に、本発明に係るネガ型パターン形成方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射し、必要に応じて熱処理等の後処理を行って、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させた後、当該溶解性が低下する溶媒を現像液として用いて現像することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布し、所定のパターン状に電磁波を照射すると、露光部においてのみ、オキシムエステル誘導体(A)が解裂して塩基性物質が生成する。塩基性物質は、露光部の高分子前駆体の最終生成物への反応を促進する触媒として作用する。
塩基性物質により、露光部の高分子前駆体が直接的に最終生成物へ反応して、露光部の高分子前駆体のみ、ある溶媒に対する溶解性が選択的に低下される場合には、露光後に特に後処理なく、溶解性が低下していない未露光部のみを当該溶解性が低下される溶媒を現像液として用いて溶解することにより、現像することが可能になる。
露光工程に用いられる露光方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良くステッパー、スキャナー、アライナー、密着プリンター、レーザー、電子線描画等、公知のあらゆる手段を用いることができる。
本発明に係るネガ型パターン形成方法においては、露光工程と現像工程の間に、必要に応じて熱処理などの後処理を行っても良い。ここでの後処理は、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の、ある溶媒に対する溶解性を選択的に低下させるための処理である。
熱処理等の後処理は、例えば、塩基性物質と共存する露光部の高分子前駆体のみに対して、最終生成物へ反応させる処理とする。従って、熱処理をする場合には、例えば、塩基性物質が存在する露光部と、塩基性物質が存在しない未露光部とで、高分子前駆体の環化率が異なるようになる温度で行うことが好ましい。
例えば、ポリイミド前駆体をイミド化率する場合、この段階での熱処理の好ましい温度範囲は、通常60℃〜180℃程度である。熱処理温度が60℃より低いと、イミド化の効率が悪く、現実的なプロセス条件で露光部、未露光部のイミド化率の差を創出することが難しくなる。一方、熱処理温度が180℃以上であると、電磁波の吸収に伴う分子内解裂反応により、塩基性物質を生成する中性の化合物が熱分解したり、アミンが存在していない未露光部でもイミド化が進行したりして、露光部と未露光部の溶解性の差が出にくい。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、ホットプレートによる加熱などが挙げられるが、特に限定されない。
現像工程に用いられる現像液としては、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤、酸性水溶液、中性水溶液など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05重量%〜5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、その他、1級、2級、3級アミンの水溶液、水酸化物イオンとアンモニウムイオンの塩の水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、シュウ酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独もしくは組み合わせて用いられる。また、パターン形状を良くするためにこれら有機溶媒と水や、塩基性、酸性水溶液を組み合わせて、混合溶媒として用いても良い。
酸性水溶液としては、pHが7より小さい溶液であれば特に限定されないが、例えば、乳酸や酢酸、シュウ酸、リンゴ酸等有機酸の水溶液、塩酸や硫酸、硝酸、リン酸の水溶液などが挙げられる。
(製造例1)
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコ中、アセトフェノンオキシム1.35g(10mmol)を脱水ジメチルアセトアミド50mLに溶解し、触媒量のジブチルすずジアセテートを加え、撹拌した。そこへ、ベンジルイソシアネート 1.33g(10mmol)を添加し、105℃で7時間加熱攪拌を行った。
その後、蒸留水500mlによって再沈殿を行い、沈殿物を回収した後、カラムクロマトグラフィーによって生成し、1.6gの目的の感光性物質1を得た。
Figure 0004756350
(製造例2)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 1.20g(6mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、5mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつピロメリット酸2無水物 1.31g(6mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を2.11g(ポリイミド前駆体1)を得た。
(実施例1)
上記ポリイミド前駆体1を400mgと、上記感光性物質1を80mgとを、NMP 3mlに溶解させ、本発明の感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物1)を得た。
(比較例1)
上記ポリイミド前駆体1 400mgのみをNMP 3mlに溶解させて、比較例の感光性樹脂組成物(比較感光性樹脂組成物1)を得た。
(試 験)
(1)吸収波長と透過率
感光性物質1の1.0×10−4mol/Lアセトニトリル溶液におけるUV吸収、および、ポリイミド前駆体1のガラス上に作成した4.11μmの透過率を、分光測定装置(SHIMADZU製UV-2550 (PC)S GLP)を用いて測定した。
その結果感光性物質1のUV吸収スペクトルは、吸収の裾が350nm付近まで伸びていた。また、ポリイミド前駆体1の透過スペクトルを図2に示す。
ポリイミド前駆体の透過率は、表1のとおりとなり、365nmにおいても10%以上の透過率を示した。
Figure 0004756350
(2)熱硬化温度
感光性樹脂組成物1(実施例1)及び比較感光性樹脂組成物1(比較例1)を、それぞれクロムめっきされたガラス板上に最終膜厚2μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で2分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)でh線換算で、10J紫外線照射を行った。この塗膜を、日本分光製IR310及び、アズワン社製 HOTPLATE EC-1200を用い、室温から昇温速度5℃/minで加熱を350℃まで行いながら赤外分光スペクトルを測定した。
加熱にしたがって前駆体由来のスペクトルが消失し、加熱によって生成したポリイミド由来のピークが現れた。イミド化の進行状況を確認する為に、測定前の前駆体由来の1663cm−1のピーク面積を1としたときに、加熱過程でのピーク面積の減少量をイミド化率と換算しプロットした。(測定前の状態がイミド化率0%、ピークが完全に消失したときをイミド化率100%とした。)
その結果は図2に示した通りである。感光性樹脂組成物1は、感光性樹脂組成物2に比べて前駆体の減少がより低温で起こっており、両サンプルのイミド化率の差が175℃付近で最大となることがわかった。
(3)パターン形成−1
感光性樹脂組成物1(実施例1)を、ガラス板上に最終膜厚2μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)により、所定パターンを有するフォトマスクを介して、h線換算で5J紫外線照射を行い、その後、160℃のホットプレート上で5分加熱したのち、2.38wt%TMAH水溶液に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、それらのサンプルを300℃で1時間加熱しイミド化を行った。
この結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、塩基性水溶液現像により良好なパターンを形成することできることが明らかとなった。
(4)パターン形成−2
感光性樹脂組成物1(実施例1)を、ガラス板上に最終膜厚2μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)により、所定パターンを有するフォトマスクを介して、h線換算で5J紫外線照射を行い、その後、160℃のホットプレート上で5分加熱したのち、N-メチルピロリドンとイソプロパノールを重量比で8:2に混合した混合溶液に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、それらのサンプルを300℃で1時間加熱しイミド化を行った。
この結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、有機溶剤現像により良好なパターンを形成することできることが明らかとなった。
実施例で用いたポリイミド前駆体の透過スペクトルを示すグラフである。 実施例及び比較例の感光性樹脂組成物に紫外線照射した後の処理温度と、ポリイミド前駆体のイミド化率との関係を示すグラフである。

Claims (16)

  1. 下記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)からなる光塩基発生剤と、高分子前駆体を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
    Figure 0004756350
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素又は1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、それら2つが結合して環状構造を形成していても良い。R3及びR4が連結して、ウレタン結合構造の窒素と共に環状構造を形成する炭化水素基である。
  2. 前記高分子前駆体は、それ自体が塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進されるものである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記高分子前駆体は、それ自体が塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進され、且つ、加熱により溶解性が変化するものである、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記式(1)中のR1及びR2のうち少なくとも1つが芳香族基又はビニル基を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)のR1及びR2のうち少なくとも1つが芳香族基である、請求項1乃至4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 上記式(1)で表されるオキシムエステル誘導体(A1)のR3及びR4のうち少なくとも1つの、窒素原子と結合している末端原子が、SP3軌道を有する炭素原子である、請求項1乃至5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記のオキシムエステル誘導体(A1)が、436nm、405nm、365nm、248nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長に吸収を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  8. 増感色素を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記高分子前駆体がポリイミド前駆体である請求項1乃至のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸である請求項に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記高分子前駆体がポリベンゾオキサゾール前駆体である請求項1乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  12. 塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられる請求項1乃至11のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  13. 前記請求項1〜12のいずれかに記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料いずれかの物品。
  14. 前記請求項1〜12のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射し、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させた後、当該溶解性が低下する溶媒を現像液として用いて現像することを特徴とする、ネガ型パターン形成方法。
  15. 電磁波を照射後、加熱処理を行って、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させることを特徴とする、請求項14に記載のネガ型パターン形成方法。
  16. 電磁波を照射後、現像前に加熱処理を行って、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させることを特徴とする、請求項15に記載のネガ型パターン形成方法。
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