JP5633225B2 - 感光性樹脂組成物、およびこれを用いた物品、及びレリーフパターンの製造方法 - Google Patents
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Description
半導体集積回路やプリント基板上の回路パターン形成は、素材表面へのレジスト剤の造膜、所定箇所への露光、エッチング等による不要箇所の除去、基板表面の洗浄作業等の煩雑で多岐に亘る工程を経て行われることから、回路パターンの製造工程を簡略化するために、露光、現像によるパターン形成後も必要な部分のレジストを絶縁材料としてそのまま残して用いることができる耐熱感光性材料が望まれている。これらの材料として、ポリイミドをベースポリマーとした耐熱感光性材料が提案されている。
式[IV]中、Aは、窒素原子又はメチン基(CH基)を表し、R8は、水素原子又はヒドロキシル基を表す。
一般式[VII]中、R9及びR10は夫々独立して、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表す。)
本発明によれば、従来、露光部と未露光部の間で溶解性のコントラストを取りにくかったポリイミド前駆体についても、溶解阻害剤、溶解抑制剤の適用なしで良好なパターン形状を得ることができる。
特に、本発明に係る感光性組成物は、主にパターン形成材料(レジスト)として用いられ、それによって形成されたパターンは、永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能する。本発明に係る感光性組成物は、例えば、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料を形成するのに適している。
上記レリーフパターンの製造方法においては、ポリイミド前駆体と、光塩基発生剤として一般式[1]で表される化合物を組み合わせて用いることにより、感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うネガ型パターン形成が可能である。
本発明によれば、従来、露光部と未露光部の間で溶解性のコントラストを取りにくかったポリイミド前駆体について、溶解阻害剤、溶解抑制剤の適用なしで良好なパターン形状を得ることができる。
なお、本発明において、一般式[1]で表される化合物の結合を開裂させる光、電磁波とは、光分解反応を引き起こすことが可能なものであればよく、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
(式[1]中、Arは、下記一般式[I]で示されるクマリニル基、及び下記一般式[II]で示されるアセナフテニル基からなる群より選ばれる何れかの基を表し、Y+は、下記一般式[III]で示される基、下記一般式[IV]で示される基、下記式[V]で示される基、下記式[VI]で示される基、及び下記一般式[VII]で示される基からなる群より選ばれる何れかの基を表し、Z−は、ハロゲンアニオン、ボレートアニオン、N,N-ジメチルカルバメートアニオン、N,N-ジメチルジチオカルバメートアニオン、チオシアネートアニオン、シアネートアニオン、安息香酸アニオン、又はベンゾイルぎ酸アニオンを表し、R1及びR2は夫々独立して、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
式[IV]中、Aは、窒素原子又はメチン基(CH基)を表し、R8は、水素原子又はヒドロキシル基を表す。
一般式[VII]中、R9及びR10は夫々独立して、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表す。)
一般式[1]におけるR1及びR2で示される炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、シクロノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基(ボルナン-χ-イル基)、アダマンチル基、メンチル基(メンタ-χ-イル基)等が挙げられ、なかでも、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基であるメチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましく、そのなかでも、炭素数1のアルキル基であるメチル基がより好ましい。
m又はnが0、すなわち置換基R3又はR4を導入していなくても良いが、クマニリル基又はアセナフテニル基に置換基を導入させることにより、溶剤溶解性を向上したり、感度を向上したり、吸収波長をより長波長側にシフトさせることができる。この吸収波長をシフトする程度(シフト値)は、置換基の種類によって相違する。このシフト値については、「有機化学のスペクトルによる同定法 第5版(R.M.Silverstein著、281頁、1993年東京化学同人発行)」に記載の表が参考となる。
上記のような触媒効果等の、発生した塩基性物質が与える効果が大きい点から、一般式[1]で表される化合物の電磁波の吸収に伴う解裂反応によって発生する塩基性物質は、より塩基性度が高いものが好ましい。そのような点から、前記一般式[1]におけるY+が、前記一般式[III]、前記一般式[IV]、前記式[V]、及び前記式[VI]で示される基からなる群より選ばれる何れかの基であることが好ましい。これらの中から、組み合わせる吸光団、組み合わせるポリイミド前駆体等や使用目的に合わせて、一般式[1]で表される化合物に要求される光分解性や触媒効果等のバランスを考慮し、適宜選択されることが好ましい。
本発明に用いるポリイミド前駆体は、なんらかの溶媒(有機溶剤、又は水溶液)に可溶なものであることが好ましい。溶媒(有機溶剤、又は水溶液)に可溶なものであると、ポリイミド前駆体の当該溶媒に対する溶解性を変化させることにより、その可溶な溶媒を現像液として用いて、適宜、有機溶剤、塩基性水溶液、酸性水溶液、又は中性水溶液による現像をすることが可能になる。
ここで、ある溶媒に可溶とは、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における当該溶媒に対する溶解速度が、100Å/sec以上を目安とする。当該溶解速度は1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。
例えば、塩基性水溶液に可溶なものは、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における0.1wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上である。当該溶解速度は1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。さらには、より一般的に用いられる現像液である2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。上記定義による溶解速度が100Å/secより小さい場合、現像時間が遅くなり作業性、生産性が悪くなると共に、露光部、未露光部間の溶解性コントラストが得にくくなる。
したがって、本発明の感光性樹脂組成物のある溶媒に対しての溶解速度は、25℃における当該溶媒に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。
単位時間当たりの溶解速度は、上記の方法と同様にして求められ、感光性樹脂組成物の塗膜にパターン露光を行い、露光後の加熱を行った後に、露光部、未露光部の溶解速度を、それぞれ求める。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存するポリイミド前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存するポリイミド前駆体のみが最終生成物へと反応しある溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、ポリイミド前駆体のある溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。よって、本発明に用いられるポリイミド前駆体としては、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進され、且つ、加熱により溶解性が、加熱前に比べて低く変化するポリイミド前駆体が好適に用いられる。
ポリアミック酸は、酸2無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
副次的な効果として、用いるポリイミド前駆体がポリアミック酸である場合、塩基性物質の触媒効果によりイミド化に要する温度が低くても充分な為、最終キュア温度を300℃未満、更に好ましくは250℃以下まで下げることが可能である。従来のポリアミック酸はイミド化するために最終キュア温度を300℃以上とする必要があった為、用途が制限されていたが、最終キュア温度を下げることが可能になったことによって、より広範囲の用途に適用が可能である。
ここで、全芳香族ポリイミド前駆体とは、芳香族酸成分と芳香族アミン成分の共重合、又は、芳香族酸/アミノ成分の重合により得られるポリイミド前駆体及びその誘導体である。また、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とはポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、後述する原料の具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(12)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以下の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体の透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、ポリイミド前駆体としてポリアミック酸を用いる場合には、ポリアミック酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
増感剤と呼ばれる化合物の具体例としては、チオキサントン及び、ジエチルチオキサントンなどのその誘導体、シアニン及び、その誘導体、メロシアニン及び、その誘導体、クマリン系及び、その誘導体、ケトクマリン及び、その誘導体、ケトビスクマリン、及びその誘導体、シクロペンタノン及び、その誘導体、シクロヘキサノン及び、その誘導体、チオピリリウム塩及び、その誘導体、キノリン系及び、その誘導体、スチリルキノリン系及び、その誘導体、チオキサンテン系、キサンテン系及び、その誘導体、オキソノール系及び、その誘導体、ローダミン系及び、その誘導体、ピリリウム塩及び、その誘導体等が挙げられる。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3−(2’−ベンゾイミダゾール)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
本発明ではこれらの増感剤を1種または2種以上使用することができる。
中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の極性溶媒が好適なものとして挙げられる。
また、上記増感剤の配合量はポリイミド前駆体の固形分100重量部に対して50重量部未満とすることが好ましく、30重量部未満とすることがより好ましい。また、最終的に得られる樹脂硬化物に求められる諸物性の低下を防ぐため、前記本発明に係る式[1]で表される化合物と増感剤の合計がポリイミド前駆体100重量部に対して50重量部以下であることが望ましい。
また、その他の任意成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜20重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、20重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。なお、感光性樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミドの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
また、本発明によれば、ポリイミド前駆体に前記本発明に係る式[1]で表される化合物を混合するだけという簡便な手法で感光性ポリイミド樹脂組成物を得ることができることから、コストパフォーマンスにも優れる。
さらには、電磁波の照射により発生した塩基性物質の触媒効果により、イミド化等の最終生成物への反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの不可や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射し、必要に応じて熱処理等の後処理を行って、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させた後、現像することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布し、所定のパターン状に電磁波を照射すると、露光部においてのみ、前記光塩基性物質が分解して塩基性物質を生成する。塩基性物質は、露光部のポリイミド前駆体の最終生成物への反応を促進する触媒として作用する。
熱処理等の後処理は、例えば、塩基性物質と共存する露光部のポリイミド前駆体に対してのみ、最終生成物へ反応させる処理とする。従って、熱処理をする場合には、例えば、塩基性物質が存在する露光部と、塩基性物質が存在しない未露光部とで、ポリイミド前駆体の環化率が異なるようになる温度で行うことが好ましい。
具体的には、例えば、120〜200℃で、1分〜20分加熱を行う。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、ホットプレートによる加熱などが挙げられるが、特に限定されない。
塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05重量%〜5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の他、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムなどの水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
また、有機溶剤としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを、単独であるいは2種類以上を組み合わせて添加してもよい。現像後は水にて洗浄を行う。この場合においてもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えても良い。
(1)3-(2-ブロモアセチル)-2H-1-ベンゾピランの合成(第一工程)
3-アセチルクマリン10.0g(53.1mmol;和光純薬工業(株)製)をジクロロメタン50mLに溶解させた溶液に、氷冷下で臭素9.3g(58.2mmol)を滴下し、同温度で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応で生じた結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥することにより、淡黄色結晶の3-(2-ブロモアセチル)-2H-1-ベンゾピラン14.1g(収率:99.4%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):4.90(2H,s,CH2Br),7.43-7.53(2H,m,ArH),7.80(1H,t,ArH),8.00(1H,d,ArH),8.84(1H,s,ArH)
上記(1)で得られた3-(2-ブロモアセチル)-2H-1-ベンゾピラン14.1g(52.8mmol)のうちの6.0g(22.5mmol)をアセトン600mLに溶解させた溶液に、アセトン50mLに溶解させた1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)3.0g(26.7mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応で生じた結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥することにより、白色結晶の1-[2-(2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-イル)-2-オキソエチル]-1-アゾニア-4-アザビシクロ[2.2.2]オクタン ブロミド8.50g(収率:99.6%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):3.05-3.13(6H,m,DABCO),3.57-3.61(6H,m,DABCO),5.00(2H,s,CH2),7.47-7.55(2H,m,ArH),7.82(1H,t,ArH),8.07(1H,d,ArH),8.92(1H,s,ArH)
上記(2)で得られた1-[2-(2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-イル)-2-オキソエチル]-1-アゾニア-4-アザビシクロ[2.2.2]オクタン ブロミド8.50g(22.4mmol)のうちの7.0g(18.5mmol)をメタノール600mLに溶解させた溶液に、40℃下でメタノール60mLに溶解させたテトラフェニルホウ酸ナトリウム6.9g(20.2mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、そこで生じた結晶をろ取した後、得られた結晶を乾燥することにより、黄色結晶の、上記式[4]で示される1-[2-(2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-イル)-2-オキソエチル]-1-アゾニア-4-アザビシクロ[2.2.2]オクタン テトラフェニルホウ酸塩9.49g(収率:82.7%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):3.09-3.13(6H,m,DABCO),3.57-3.60(6H,m,DABCO),5.00(2H,s,CH2),6.79(4H,t,BPh4),6.92(8H,t,BPh4),7.16-7.20(8H,m,BPh4),7.47-7.56(2H,m,ArH),7.82(1H,dt,ArH),8.06(1H,dd,ArH),8.92(1H,s,ArH)
(1)3-ヒドロキシ-1-[2-(2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-イル)-2-オキソエチル]-1-アゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタン ブロミドの合成(第二工程)
合成例1の(1)と同様にして得られた3-(2-ブロモアセチル)-2H-1-ベンゾピラン14.1g(52.8mmol)のうちの6.0g(22.5mmol)をアセトン600mLに溶解させた溶液に、アセトン300mLに溶解させた3-キヌクリジノール3.42g(26.9mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応で生じた結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥することにより、白色結晶の3-ヒドロキシ-1-[2-(2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-イル)-2-オキソエチル]-1-アゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタン ブロミド8.02g(収率:90.2%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):1.75-2.24(5H,m,quinuclidine),3.44-3.78(5H,m,quinuclidine),3.87-3.92(1H,m,quinuclidine),4.12-4.14(1H,m,quinuclidine),4.98(2H,s,CH2),5.61(1H,s,OH),7.47-7.56(2H,m,ArH),7.84(1H,t,ArH),8.07(1H,d,ArH),8.92(1H,s,ArH)
上記(1)で得られた3-ヒドロキシ-1-[2-(2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-イル)-2-オキソエチル]-1-アゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタン ブロミド8.02g(20.3mmol)のうちの7.0g(17.8mmol)をメタノール600mLに溶解させた溶液に、40℃下でメタノール60mLに溶解させたテトラフェニルホウ酸ナトリウム6.7g(19.6mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、そこで生じた結晶をろ取した後、得られた結晶を乾燥することにより、黄色結晶の、上記式[5]で示される3-ヒドロキシ-1-[2-(2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-イル)-2-オキソエチル]-1-アゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタン テトラフェニルホウ酸塩7.5g(収率:66.3%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):1.75-2.25(5H,m,quinuclidine),3.42-3.78(5H,m,quinuclidine),3.86-3.92(1H,m,quinuclidine),4.10-4.17(1H,m,quinuclidine),4.96(2H,s,CH2),5.61(1H,d,OH),6.79(4H,t,BPh4),6.92(8H,t,BPh4),7.16-7.20(8H,m,BPh4),7.46-7.55(2H,m,ArH),7.83(1H,dt,ArH),8.06(1H,dd,ArH),8.91(1H,s,ArH)
(1)1-アセナフテン-5-イル-2-ブロモ-エタノンの合成(第一工程)
5-アセチル-1,2-ジヒドロアセナフテン14.0g(71.3mmol;和光純薬工業(株)製)を酢酸エチル300mLに溶解させた溶液に、氷冷下で臭素12.0g(75.1mmol)を滴下し、同温度で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液に水200mLを加えて抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮することで生じた結晶を乾燥することにより、黄色結晶の1-アセナフテン-5-イル-2-ブロモ-エタノン19.6g(収率:99.9%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):3.36(4H,s,CH2),4.96(2H,s,CH2Br),7.41(2H,dd,ArH),7.62(1H,dd,ArH),8.29(1H,d,ArH),8.48(1H,d,ArH)
上記(1)で得られた1-アセナフテン-5-イル-2-ブロモ-エタノン19.6g(71.2mmol)のうちの13.0g(47.2mmol)をアセトン100mLに溶解させた溶液に、アセトン800mLに溶解させた3-キヌクリジノール7.20g(56.6mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応で生じた結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥することにより、黄色結晶の1-(2-アセナフテン-5-イル-2-オキソ-エチル)-3-ヒドロキシ-1-アゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタン ブロミド15.7g(収率:82.6%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):1.80-2.23(5H,m,quinuclidine),3.40(4H,s,CH2),3.52-3.82(5H,m,quinuclidine),3.95-4.00(1H,m,quinuclidine),4.15-4.22(1H,m,quinuclidine),5.22(2H,s,CH2),5.64(1H,d,OH),7.49-7.51(2H,dd,ArH),7.69(1H,dd,ArH),8.27(1H,d,ArH),8.55(1H,d,ArH)
上記(2)で得られた1-(2-アセナフテン-5-イル-2-オキソ-エチル)-3-ヒドロキシ-1-アゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタン ブロミド15.7g(39.0mmol)のうちの7.0g(17.4mmol)をメタノール400mLに溶解させた溶液に、40℃下でメタノール50mLに溶解させたテトラフェニルホウ酸ナトリウム6.55g(19.1mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応で生じた結晶をろ取した後、得られた結晶を乾燥することにより、黄色結晶の、上記式[6]で示される1-(2-アセナフテン-5-イル-2-オキソ-エチル)-3-ヒドロキシ-1-アゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタン テトラフェニルホウ酸塩9.24g(収率:82.8%)を得た。以下に1H-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ(ppm):1.81-2.24(5H,m,quinuclidine),3.41(4H,s,CH2),3.51-3.81(5H,m,quinuclidine),3.92-3.98(1H,m,quinuclidine),4.12-4.20(1H,m,quinuclidine),5.16(2H,s,CH2),5.65(1H,br,OH),6.79(4H,t,BPh4),6.92(8H,t,BPh4),7.17-7.20(8H,m,BPh4),7.48(1H,dd,ArH),7.68(1H,dd,ArH),8.24(1H,d,ArH),8.56(1H,d,ArH)
窒素置換した500mL4つ口セパラブルフラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(100mmol)および脱水N−メチルピロリドン200mLを入れ、氷浴下で撹拌して溶解させた。この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.4g(100mmol)を加え、氷浴下で2時間攪拌した。反応溶液をアセトンにより再沈殿し、濾取して得られた沈殿物を室温で8時間減圧乾燥することにより、ポリアミド酸(ポリイミド前駆体1)を白色固体として定量的に得た。
(1)紫外-可視吸収スペクトルの測定
合成例1〜3で得られた式[1]で表される化合物1〜3をそれぞれ、電子天秤を用いて秤量し、メスフラスコを用いることにより、濃度5×10−5mol/Lのアセトニトリル溶液を調製した。この溶液を石英セル((株)東新理興製、TOS−UV−10(1cm×1cm×4cm))に入れ、分光光度計(島津製作所社製UV−2550)により190〜800nmの波長範囲での紫外−可視吸収スペクトルを測定した。各々の化合物についての365nm(i線)におけるモル吸光係数(ε)を表1に示す。
モル吸光係数(ε)=(吸光度)/モル濃度(mol/L)/光路長(cm)
合成例1〜3で得られた化合物1〜3の100mgを、各々石英試験管に入れ、アセトニトリル1mLに溶解させた。次いで、この溶液を高圧水銀灯(ハンディキュアラブ100W;セン特殊光源製)で10分間光照射した。光照射前後の溶液のpHをpHメーターで測定し、pHがアルカリ性に傾いていること、すなわち、光照射により塩基性物質が遊離しているか否かを確認した。測定結果を表2に示す。
合成例1〜3で得られた式[1]で表される化合物1〜3について、石英製NMRチューブ中に電子天秤を用いて1.0mg秤量し、重アセトニトリル0.5mLを加え溶解させた。このサンプルに、高圧水銀灯(ウシオ電機社製SPOT CURE SP−III 250UA、ランプ型番:USH−255BY)の全波長を10J/cm2により照射し、照射前後のNMRスペクトルの比較を行うことにより、光分解性の評価を行った。10J/cm2照射時に光分解した割合を示した光分解性の評価結果を表3に示す。なお、合成例2の化合物2は、2J/cm2照射時に50%分解し、より感度が高いことが分かった。
合成例1〜3で得られた式[1]で表される化合物1〜3について、DTG−60(島津製作所製)を用いて30℃から600℃まで昇温速度10℃/minでTG−DTA測定を行った。5%重量減少温度を算出し、耐熱性の評価を行った。耐熱性の評価結果を表4に示す。
上記合成例1で得られた式[1]で表される化合物1を0.2g、上記ポリイミド前駆体1を1g、N−メチルピロリドン9gに溶解させ、本発明の感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物1)を得た。
実施例1における化合物1を、それぞれ合成例2〜3で得られた化合物2〜3に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物2〜3)を得た。
感光性樹脂組成物1〜3をそれぞれ、ガラス板上に乾燥後膜厚2μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本科研製、MA−1100)でi線換算で、2000mJ/cm2の紫外−可視光線照射を行い、その後、155℃のホットプレート上で10分間加熱したのち、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド 2.38%溶液にイソプロパノールを10wt%添加した溶液に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、それらのサンプルを300℃で1時間加熱しイミド化を行った。
この結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、良好なパターンを形成することできることが明らかとなった。
Claims (9)
- 下記一般式[1]で表される化合物、及びポリイミド前駆体を含有する、感光性樹脂組成物。
式[IV]中、Aは、窒素原子又はメチン基(CH基)を表し、R8は、水素原子又はヒドロキシル基を表す。
一般式[VII]中、R9及びR10は夫々独立して、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表す。) - 前記一般式[1]におけるArが、前記一般式[I]で示されるクマリニル基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式[1]におけるY+が、前記一般式[III]、前記一般式[IV]、前記式[V]、及び前記式[VI]で示される基からなる群より選ばれる何れかの基である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 更に、増感剤を含有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸である、請求項1乃至4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光塩基発生剤が365nm以上の波長の電磁波に対して光分解性を有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光塩基発生剤の5%重量減少温度が180℃以上である、請求項1乃至6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射し、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させた後、現像する、レリーフパターンの製造方法。
- 電磁波を照射後、加熱処理を行って、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶解性を選択的に低下させる、請求項8に記載のレリーフパターンの製造方法。
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