JP5386789B2 - 光塩基発生剤、感光性樹脂組成物、及びネガ型パターン形成方法 - Google Patents
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Description
さらには、解像性に優れ、低コストで、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体の構造上適用可能な選択肢の範囲が広い感光性樹脂組成物に関し、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材の材料(例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤など)として好適に利用することが出来るポリイミド又はポリベンゾオキサゾールの前駆体樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
さらに、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、類似の加工工程を適用され、低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
従って、比較的高波長領域である400nm以上の波長領域、例えばg線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)領域に、光反応活性を有する塩基発生剤の実現は、各種光反応に応用可能であり望まれている。
また、本発明の第二の目的は、高感度で、高分子前駆体の種類を問わず大きな溶解性コントラストを得られ、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の上記(1A)〜(1C)で表される光塩基発生剤は、電磁波を照射するとカルバメート結合の光脱炭酸反応によって結合が開裂し、塩基性物質であるアミンを発生させる。本発明の上記(1A)〜(1C)で表される光塩基発生剤は、上記特定の構造を有することにより、400nm以上の波長領域に光反応活性を有し得るため、各種光硬化反応を行う化合物の吸収波長と重なることなく、感度良く光硬化反応を引き起こすことが可能である。後述するようなi線(波長:365nm)領域に広い吸収帯を有している芳香族環を基本骨格に有するポリイミド前駆体のような高分子前駆体に対しても、紫外−可視光照射時において、g線(波長:436nm)もしくはh線(波長:405nm)の少なくともいずれか一方の波長領域の光を用いることにより露光部において光化学反応を十分に進行させることが可能となり、高感度な感光性樹脂組成物を達成することができる。
特に前記本発明の上記式(1A)〜(1C)で表されるナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する化合物は、400nm以上の波長領域において光反応活性を有する光塩基発生剤として機能するため、i線(波長:365nm)領域に広い吸収帯を有している芳香族環を基本骨格に有するポリイミド前駆体のような高分子前駆体に対しても、高感度の光塩基発生剤として機能するので、感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上の電磁波照射部位と非照射部位の間での溶解性差を大きくでき、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができる。
本発明によれば、従来、露光部と未露光部の間で溶解性のコントラストを取りにくかったポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体についても、溶解阻害剤、溶解抑制剤の適用なしで良好なパターン形状を得ることができる。
上記ネガ型パターン形成方法においては、高分子前駆体と、光塩基発生剤として上記式(1A)〜(1C)で表されるようなナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する化合物とを組み合わせて用いることにより、感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うネガ型パターン形成が可能である。
また、本発明によれば、高分子前駆体に添加剤を混合するという簡便な手法で、感光性樹脂組成物を調製し用いることができる。本発明に係る感光性樹脂組成物に含まれる本発明に係る上記式(1A)〜(1C)で表されるナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する化合物は、電磁波の吸収に伴う脱炭酸反応により塩基性物質を遊離する光塩基発生剤として機能し、塩基が触媒として作用する反応を有する種々の高分子前駆体に適用することができる。従って、本発明に係る感光性樹脂組成物は、パターン形成プロセスに制限を受けることなく、最終的な高分子の構造を広範囲から選択することができる。
またさらに、本発明に係る感光性樹脂組成物は、高分子前駆体として、種々の用途へ応用展開されているポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を適用することで、より幅広い用途に適用可能で、耐熱性、機械特性に優れる感光性ポリイミド樹脂組成物又は感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物として利用できる。
特に、本発明に係る上記式(1A)〜(1C)で表されるナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する光塩基発生剤は、400nm以上の波長領域に光反応活性を有する。そのため、i線(波長:365nm)領域に強い吸収を持つ一般的なポリアミド酸においても、g線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)の少なくともいずれか一方の領域の光を用いることにより、効率的に露光を行うことが可能であり、感度面の向上ならびに厚膜化に大きな効果を発揮する。
本発明によれば、従来、露光部と未露光部の間で溶解性のコントラストを取りにくかったポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体についても、溶解阻害剤、溶解抑制剤の適用なしで良好なパターン形状を得ることができる。
特に、本発明に係る感光性樹脂組成物は、主にパターン形成材料(レジスト)として用いられ、それによって形成されたパターンは、永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材、又は建築材料を形成するのに適している。
加えて、上記感光性樹脂組成物の1形態である感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物、及び感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂組成物は、広範な構造のポリイミド又はポリベンゾオキサゾールの前駆体を選択できる為、それによって得られる硬化物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等のポリイミド及びポリベンゾオキサゾールが特徴的に有する機能を付与することが可能であることから、ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールが適用されている公知の全ての部材用のフィルム、塗膜又は3次元構造物として好適である。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルであることを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
また、本発明において、ナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する化合物の脱炭酸反応を引き起こす電磁波とは、脱炭酸反応を引き起こすことが可能なものであればよく、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
まず、光塩基発生剤について説明する。
本発明に係る光塩基発生剤は、下記式(1A)〜(1C)で表される光塩基発生剤である。
炭化水素骨格を有する基に含まれるヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合など、また置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、不飽和アルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられるが特に限定されない。
また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐でも環状でも良い。
特に、その芳香族環上の置換基Raは、感度を向上させたり、吸収波長を調整する観点から比較的自由に置換基の種類を選択して導入することが可能である。これにより、組み合わせる高分子前駆体の吸収波長も考慮しながら、感光性樹脂組成物の感度を向上させることが可能である。
Rcの位置に導入し得る1価の有機基としては、例えば、置換又は無置換の飽和又は不飽和アルキル基、置換又は無置換の芳香族基が挙げられる。これらの1価の有機基は、有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、特に、炭素数が1〜20程度、好ましくは炭素数が1〜12程度であることが好ましい。これらは、直鎖でも分岐鎖でも環状でも良い。また、Rcの2つが連結し環状になっていても良い。
炭化水素骨格を有する基に含まれるヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合など、また置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、不飽和アルキルエーテル基、アリールエーテル基、不飽和アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられるが特に限定されない。
上記のような触媒効果等の、発生した塩基性物質が与える効果が大きい点から、上記式(1A)〜(1C)で表される化合物の電磁波の吸収に伴う解裂反応によって発生する塩基性物質は、脂肪族アミンが好ましい。その中でも、塩基性の観点からは2級の脂肪族アミンが好ましい。しかしながら脂肪族1級アミンを用いた場合でも、芳香族アミンを用いた場合に比べて、十分な触媒効果を得ることができる。そのため、脂肪族アミンの中でも、更に、5%重量減少温度や50%重量減少温度、熱分解温度といった熱物性や、溶解性といった他の物性面や、合成の簡便性やコストといった観点から、アミンを適宜選択することが望ましい。
このような窒素原子と直接結合している原子がSP3軌道を有する炭素原子となるような置換基としては、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、及び、環状脂肪族炭化水素基、又はこれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基が挙げられる。なお、当該脂肪族炭化水素基は、芳香族基等の置換基を有していても良く、或いは、炭化水素鎖中にヘテロ原子等の炭化水素以外の結合を含んでいても良い。好適なものとして、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数7〜26のフェノキシアルキル基、炭素数7〜26のアリールアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
ここでRcが上記環状脂肪族炭化水素基又は上記シクロアルキル基を有する場合には、Rcの2つが連結して環状になって、Rcが結合している窒素原子を含む複素環構造を形成している場合を含む。
また、Rcの2つが連結して環状になって、Rcが結合している窒素原子を含む複素環構造を形成している場合の複素環構造としては、例えば、アジリジン(3員環)、アゼチジン(4員環)、ピロリジン(5員環)、ピペリジン(6員環)、アゼパン(7員環)、アゾカン(8員環)等が挙げられる。これら複素環構造には直鎖又は分岐のアルキル基等の置換基を有していても良く、例えば、アルキル置換体として、メチルアジリジンなどのモノアルキルアジリジン、ジメチルアジリジンなどのジアルキルアジリジン、メチルアゼチジンなどのモノアルキルアゼチジン、ジメチルアゼチジンなどのジアルキルアゼチジン、トリメチルアゼチジンなどのトリアルキルアゼチジン、メチルピロリジンなどのモノアルキルピロリジン、ジメチルピロリジンなどのジアルキルピロリジン、トリメチルピロリジンなどのトリアルキルピロリジン、テトラメチルピロリジンなどのテトラアルキルピロリジン、メチルピペリジンなどのモノアルキルピペリジン、ジメチルピペリジンなどのジアルキルピペリジン、トリメチルピペリジンなどのトリアルキルピペリジン、テトラメチルピペリジンなどのテトラアルキルピペリジン、ペンタメチルピペリジンなどのペンタアルキルピペリジン等が挙げられる。
例えば、まず、ナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にアルデヒド基かヒドロキシメチル基を有する化合物を、下記のような合成方法(例えばHelvetica Chimica Acta 1980 63 2364−9)や試薬によって得る。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記本発明に係る下記式(1A)〜(1C)で表される光塩基発生剤、及び高分子前駆体を含有することを特徴とする。
特に上記式(1A)〜(1C)で表されるようなナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する化合物は、400nm以上の波長領域において光反応活性を有する光塩基発生剤として機能するため、i線(波長:365nm)領域に広い吸収帯を有している芳香族環を基本骨格に有するポリイミド前駆体のような高分子前駆体に対しても、紫外−可視光照射時において、g線(波長:436nm)もしくはh線(波長:405nm)の少なくともいずれか一方の波長領域の光を用いることにより露光部において光化学反応を十分に進行させることが可能となり、高感度な感光性樹脂組成物を達成することができる。
本発明によれば、上記式(1A)〜(1C)で表されるようなナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する化合物が高感度の光塩基発生剤として機能するため、感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上の電磁波照射部位と非照射部位の間での溶解性差を大きくでき、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができる。
ここで、ある溶媒に可溶とは、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における当該溶媒に対する溶解速度が、100Å/sec以上を目安とする。当該溶解速度は1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。
例えば、塩基性水溶液に可溶なものは、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における0.1wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上である。当該溶解速度は1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。さらには、より一般的に用いられる現像液である2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。上記定義による溶解速度が100Å/secより小さい場合、現像時間が遅くなり作業性、生産性が悪くなると共に、露光部、未露光部間の溶解性コントラストが得にくくなる。
したがって、本発明の感光性樹脂組成物のある溶媒に対しての溶解速度は、25℃における当該溶媒に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、1000Å/sec以上であることがさらに好ましい。
単位時間当たりの溶解速度は、上記の方法と同様にして求められ、感光性樹脂組成物の塗膜にパターン露光を行い、露光後の加熱を行った後に、露光部、未露光部の溶解速度を、それぞれ求める。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応しある溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、高分子前駆体のある溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。よって、本発明に用いられる高分子前駆体としては、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進され、且つ、加熱により溶解性が、加熱前に比べて低く変化する高分子前駆体が好適に用いられる。
ここで、ポリイミド前駆体としては、下記式(2)で表されるようなポリアミック酸が好適に用いられ、ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、後述するようなポリアミドアルコールが好適に用いられる。
なお、R1の4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R2の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
副次的な効果として、用いる高分子前駆体がポリアミック酸である場合、塩基性物質の触媒効果によりイミド化に要する温度が低くても充分な為、最終キュア温度を300℃未満、更に好ましくは250℃以下まで下げることが可能である。従来のポリアミック酸はイミド化するために最終キュア温度を300℃以上とする必要があった為、用途が制限されていたが、最終キュア温度を下げることが可能になったことによって、より広範囲の用途に適用が可能である。
ここで、全芳香族ポリイミド前駆体とは、芳香族酸成分と芳香族アミン成分の共重合、又は、芳香族酸/アミノ成分の重合により得られるポリイミド前駆体及びその誘導体である。また、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とはポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、後述する原料の具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(3)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
なお、R3の2価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R4の4価はアミン及びヒドロキシル基と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
4,4’−ジカルボキシジフェニルアミド、1,4−フェニレンジエタン酸、1,1−ビス(4−カルボキシフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、5−t−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,2−ビス−(p−カルボキシフェニル)プロパン、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)二安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、もしくはこれらの酸ハロゲン化物、およびヒドロキシベンゾトリアゾール等との活性エステル体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
露光波長に対してポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体などの高分子前駆体の透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み5μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、更に好ましくは15%、より更に好ましくは50%以上である。
波長が248nmであるKrFレーザーで露光する場合には、248nmにおける透過率が、厚み5μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、更に好ましくは15%、より更に好ましくは50%以上である。
中でも、前記本発明に係る光塩基発生剤と組み合わせる点から、少なくとも436nm、405nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み5μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、更に好ましくは15%、より更に好ましくは50%以上であることが望ましい。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体などの高分子前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、前駆体としてポリアミド酸を用いる場合には、ポリアミド酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
増感剤と呼ばれる化合物の具体例としては、チオキサントン及び、ジエチルチオキサントンなどのその誘導体、シアニン及び、その誘導体、メロシアニン及び、その誘導体、クマリン系及び、その誘導体、ケトクマリン及び、その誘導体、ケトビスクマリン、及びその誘導体、シクロペンタノン及び、その誘導体、シクロヘキサノン及び、その誘導体、チオピリリウム塩及び、その誘導体、キノリン系及び、その誘導体、スチリルキノリン系及び、その誘導体、チオキサンテン系、キサンテン系及び、その誘導体、オキソノール系及び、その誘導体、ローダミン系及び、その誘導体、ピリリウム塩及び、その誘導体等が挙げられる。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3−(2’−ベンゾイミダゾール)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
本発明ではこれらの増感剤を1種または2種以上使用することができる。
中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の極性溶媒が好適なものとして挙げられる。
また、上記増感剤の配合量は高分子前駆体の固形分100重量部に対して50重量部未満とすることが好ましく、30重量部未満とすることがより好ましい。また、最終的に得られる樹脂硬化物に求められる諸物性の低下を防ぐため、前記本発明に係る式(1A)〜(1C)で表される光塩基発生剤と増感剤の合計がポリイミド前駆体100重量部に対して50重量部以下であることが望ましい。
また、その他の任意成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。なお、感光性樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
また、本発明によれば、高分子前駆体に前記本発明に係る式(1A)〜(1C)で表される光塩基発生剤を混合するだけという簡便な手法で感光性樹脂組成物を得ることができることから、コストパフォーマンスにも優れる。
さらには、電磁波の照射により発生したアミンの触媒効果により、イミド化等の最終生成物への反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの不可や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布し、所定のパターン状に電磁波を照射すると、露光部においてのみ、上記式(1A)〜(1C)で表されるナフタレン骨格にニトロ基とそのオルト位にカルバメート結合とを有する化合物が解裂して塩基性物質が生成する。塩基性物質は、露光部の高分子前駆体の最終生成物への反応を促進する触媒として作用する。
熱処理等の後処理は、例えば、塩基性物質と共存する露光部の高分子前駆体のみに対して、最終生成物へ反応させる処理とする。従って、熱処理をする場合には、例えば、塩基性物質が存在する露光部と、塩基性物質が存在しない未露光部とで、高分子前駆体の環化率が異なるようになる温度で行うことが好ましい。
具体的には、例えば、120〜200℃で、1分〜20分加熱を行う。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、ホットプレートによる加熱などが挙げられるが、特に限定されない。
塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05重量%〜5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の他、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムなどの水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
また、有機溶剤としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを、単独であるいは2種類以上を組み合わせて添加してもよい。現像後は水にて洗浄を行う。この場合においてもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えても良い。
現像後は必要に応じて水または貧溶媒でリンスを行い、80〜100℃で乾燥しパターンを安定なものとする。このレリーフパターンを、耐熱性のあるものとするために180〜500℃、好ましくは200〜350℃の温度で数十分から数時間加熱することによりパターン化された高耐熱性樹脂層が形成される。
(実施例1)
(1)窒素雰囲気下、ディーン・スターク装置を装着した100mL三口フラスコ中、1−ニトロ−2−ナフトアルデヒド2.01g(10mmol)を脱水2−プロパノール30mLに溶解し、アルミニウムイソプロポキシド0.67g(3.3mmol, 0.33eq.)を加え7時間加熱還流を行った。途中溶媒の蒸発減少に伴い、2−プロパノール20mLを3回追加した。0.4N塩酸50mLにて反応を停止した後、クロロホルムにより抽出を行い、溶媒を減圧留去することにより1−ニトロ−2−ナフタレンメタノールを1.75g(8.6mmol、収率86%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm): 8.04(d,J=8.8Hz, 1H),7.93(d,J=6.8Hz,2H),7.86(d,J=8.8Hz,2H),7.70−7.59(m,3H),4.85(d,J=5.9Hz,2H),2.17(br s, 1H).
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm): 8.27(dt,J=9.6, 2.8Hz,2H),8.07(d,J=8.3Hz,1H),7.96(dd,J=7.3, 2.0Hz,1H),7.88(dd,J=8.5,1.2Hz,2H),7.72−7.64(m,3H),5.53(s,2H).
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm): 7.99(d,J=8.8Hz,1H),7.92(d,J=7.8Hz,1H),7.82(d,J=8.3Hz,1H), 7.66−7.57(m,1H),5.36(s,2H),4.31(m,2H),1.77−1.43(m,6H),1.21(d,J=7.3Hz,6H).
窒素雰囲気下、50mL三口フラスコ中、3−ニトロ−2−ナフタレンメタノール0.25g(1.2mmol)を脱水ジメチルアセトアミド7mLに溶解しトリエチルアミン0.35mL(2.5mmol, 2.0eq.)を加えた。氷浴下で、p−ニトロフェニルクロロフォルメイト0.28g(1.4mmol)を加えた後、室温で3日間攪拌した。反応液を水500mLに注ぎ込み、クロロホルムにて抽出を行い、硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより得た、3−ニトロ−2−ナフタレンメチル−p−ニトロフェニルカルボネート粗製物0.19gを、窒素雰囲気下、50mLなすフラスコ中で、脱水ジメチルアセトアミド10mLに溶解し、2,6−ジメチルピペリジン0.54mL(4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.037g (0.28mmol)を加え90℃で15時間加熱攪拌した。反応溶液を2%炭酸水素ナトリウム水溶液200mLに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより、下記式で表されるN−{[(3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン(以後、「3,2−NNCDP」と略称する場合がある)0.068g(0.20mmol、収率17%(2steps))を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm): 8.06(s,1H),7.97(d,J=6.8Hz,1H),8.96(s,1H),7.90(d,J=8.3Hz,1H),7.68(dd,J=7.6,7.6Hz,1H),7.62(dd,J=7.6,7.6Hz,1H),5.64(s,2H),4.41−4.31(m,2H),1.78−1.46(m,6H),1.24(d,J=6.8Hz,6H).
窒素雰囲気下、50mL三口フラスコ中、6,7−ジメトキシ−3−ニトロ−2−ナフタレンメタノール0.040g(0.15mmol)を脱水ジメチルアセトアミド5mLに溶解しトリエチルアミン0.04mL(0.30mmol, 2.0eq.)を加えた。氷浴下で、p−ニトロフェニルクロロフォルメイト0.033g(0.16mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応液を水200mLに注ぎ込み、クロロホルムにて抽出を行い、硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより得た、3−ニトロ−2−ナフタレンメチル−p−ニトロフェニルカルボネート粗製物を、窒素雰囲気下、50mLなすフラスコ中で、脱水ジメチルアセトアミド2mLに溶解し、2,6−ジメチルピペリジン0.08mL(0.6mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール8.0mg(0.06mmol)を加え90℃で17時間加熱攪拌した。反応溶液を2%炭酸水素ナトリウム水溶液50mLに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより、下記式で表されるN−{[(6,7−ジメトキシ−3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン(以後、「6,7−ジメトキシ3,2−NNCDP」と略称する場合がある)8.9mg(0.022mmol、収率15%(2steps))を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm): 8.50(s,1H),7.79(s,1H),7.21(s,1H),7.14(d,1H), 5.62(s,2H),4.40−4.31(m,2H),1.85−1.43(m,6H),1.23(d,J=6.8Hz,6H).
特開2006−189591号公報の記載に従い、Macromolecules A.Mochizuki, Vol.28,No.1,1995に記載の方法により、下記式で表される[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル−2,6−ジメチルピペリジン(以後、「DNCDP」と略称する場合がある)を合成した。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ(ppm): 7.71(s,1H),7.01(s,1H),5.55(s,2H),4.43−4.36(m,2H),3.96(s,3H),3.95(s,3H),1.86−1.46(m,6H),1.25(d,J=6.8Hz,6H)
(1)吸収波長
実施例1の1,2−NNCDP、実施例2の3,2−NNCDP、実施例3の6,7−ジメトキシ3,2−NNCDP、及び比較例1のDNCDPを、それぞれアセトニトリルに溶解し、濃度を1.0×10−4mol/Lに調製した。石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、紫外可視分光光度計(UV−2550(株式会社島津製作所製))により吸収スペクトル測定を行った。
測定結果を図1、及び図2に示す。
ポリエチレングリコールに対し、実施例1の1,2−NNCDP、実施例2の3,2−NNCDP、及び比較例1のDNCDPを、20重量%添加した混合物のクロロホルム溶液をクロムめっきされたガラス板上に最終膜厚1μmになるようにスピンコートし、40℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。そこへ、高圧水銀灯から露光を行いながら分解挙動を赤外分光スペクトルにより追跡した。具体的には、露光により化合物が分解されると脱炭酸されて消失する、カルボニル基を追跡した。化合物のカルボニル基の1700cm−1付近のピーク面積を1としたときに、露光過程でのピーク面積の減少量をプロットした図を図3に示す。露光量はi線換算で示した。
窒素置換した500mL4つ口セパラブルフラスコに、オキシジアニリン44.5g(222mmol)および脱水N−メチル−2−ピロリドン250mLを入れ、氷浴下で撹拌して溶解させた。この溶液にピロメリット酸二無水物48.5g(222mmol)を加え、氷浴下で2時間攪拌した。反応溶液をアセトンにより再沈殿し、濾取して得られた沈殿物を室温で8時間減圧乾燥することにより、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体1)を白色固体として定量的に得た。
上記製造例1で得られたポリイミド前駆体1 0.3gと、上記実施例1で得られたN−{[(1−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン 0.045gとを、ジメチルアセトアミド2.7gに溶解させ、本発明の感光性樹脂組成物(感光性樹脂組成物1)を得た。
上記製造例1で得られたポリイミド前駆体1 0.3gのみをジメチルアセトアミド2.7gに溶解させて、比較例の感光性樹脂組成物(比較感光性樹脂組成物1)を得た。
(1)熱硬化温度
実施例1で得られた光塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物1を用いて、露光して光塩基発生剤からアミンを発生させた塗膜と、露光せずに光塩基発生剤からアミンを発生させなかった塗膜を比較し、アミンの存在の有無によるポリイミド前駆体のイミド化率の差を観測した。
感光性樹脂組成物1をクロムめっきされたガラス板上に最終膜厚1μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)でi線換算で、2J/cm2紫外−可視光線照射を行った。この塗膜および未露光の塗膜を、日本分光製IR−610及び、アズワン社製、HOTPLATE EC−1200を用い、室温から5℃/minで加熱を350℃まで行いながら赤外分光スペクトルを測定した。
加熱にしたがって前駆体由来のスペクトルが消失し、加熱によって生成したポリイミド由来のピークが現れた。イミド化の進行状況を確認する為に、測定前の前駆体由来の1663cm−1のピーク面積を1としたときに、加熱過程でのピーク面積の減少量をプロットした。
感光性樹脂組成物1(実施例1)を、ガラス板上に最終膜厚2μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。そこへ、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)でi線換算で、2J/cm2紫外−可視光線照射を行い、その後、170℃のホットプレート上で5分加熱したのち、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド 2.38%溶液にイソプロパノールを10wt%添加した溶液に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、それらのサンプルを300℃で1時間加熱しイミド化を行った。
この結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、良好なパターンを形成することできることが明らかとなった。
Claims (11)
- 下記式(1A)〜(1C)のいずれかで表され、発生する塩基性物質が脂肪族アミン又は脂環族アミンである光塩基発生剤。
- 400nm以上の波長の電磁波の吸収を有する、請求項1に記載の光塩基発生剤。
- 前記請求項1又は2に記載の光塩基発生剤、及び高分子前駆体を含有する、感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体は、それ自体が塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進されるものである、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体は、それ自体が塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進され、且つ、加熱により溶媒に対する溶解性が変化するものである、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
- 更に、増感剤を含有する請求項3乃至5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体がポリイミド前駆体である請求項3乃至6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記ポリイミド前駆体がポリアミック酸である請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体がポリベンゾオキサゾール前駆体である請求項3乃至6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記請求項3乃至9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射し、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶媒に対する溶解性を選択的に低下させた後、前記溶媒を現像液として用いて現像する、ネガ型パターン形成方法。
- 電磁波を照射後、加熱処理を行って、前記塗膜又は成形体の電磁波照射部位の溶媒に対する溶解性を選択的に低下させる、請求項10に記載のネガ型パターン形成方法。
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