JP5329281B2 - 塗布液及び当該塗布液を用いるシリカ系被膜の形成方法 - Google Patents
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Description
本発明の塗布液は、シロキサンポリマー(A)と、特定の塩基発生剤(B)と、を含有する。
本発明に用いるシロキサンポリマー(以下、「(A)成分」ともいう。)は、特に限定されず、Si−O−Si結合を有するポリマーであればよい。このシロキサンポリマーの中でも、アルコキシシランの加水分解縮合物を好適に用いることができる。アルコキシシランとしては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(a)で表される化合物を挙げることができる。
(a1)n=0の場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができ、
(a2)n=1の場合、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリプロポキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリプロポキシシラン、モノプロピルトリメトキシシラン、モノプロピルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、モノフェニルトリエトキシシラン等のモノフェニルトリアルコキシシラン等を挙げることができ、
(a3)n=2の場合、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジフェニルジアルコキシシラン等を挙げることができる。
本発明に用いる塩基発生剤(B)は、下記一般式(I)で表される。
本発明の塗布液は、本発明の効果を害さない範囲で、他の成分を含有することができる。本発明の塗布液に含有される他の成分としては、例えば、界面活性剤、溶剤等を挙げることができる。
本発明の塗布液には、界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤の存在により、基板に対する塗布性、展開性を向上させることが可能となる。
本発明の塗布液は、塗布性及び膜厚均一性を向上させる目的で、溶剤を含むことが好ましい。この溶剤としては、従来より一般的に使用されている有機溶剤が使用できる。具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノールのような一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネートのようなアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのような多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのような多価アルコール誘導体;酢酸、プロピオン酸のような脂肪酸;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトン等を挙げることができる。これらの中でも、アルコール系、グリコール系の溶剤が好ましく用いられる。また、これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂、添加剤等を配合することが可能である。
本発明のシリカ系被膜の形成方法は、本発明の塗布液を基板上に塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、前記塗膜を加熱する加熱工程と、前記加熱工程後の塗膜を焼成してシリカ系被膜を形成する焼成工程と、を有する。本発明のシリカ系被膜の形成方法は、本発明の塗布液を用いるため、非常に緻密なシリカ系被膜を形成することができる。
塗布工程とは、本発明の塗布液を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程である。基板上に塗布液を塗布し塗膜を形成する方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、スリットコート法等、任意の方法を用いることができるが、通常スピンコート法が用いられる。
照射工程とは、塗布工程で基板上に形成した塗膜に対し、紫外線を照射する工程である。上記塗膜に紫外線を照射することで、焼成時に起こるポリシロキサン内の水酸基同士の縮合前に、塩基発生剤から塩基を発生させ、シロキサンポリマー中のSi−Hの水素原子、アルコキシ基を水酸基に変換することができる。上記縮合前にシロキサンポリマーのSi−Hの水素原子、アルコキシ基を水酸基に変換することで、より緻密Si−O−Siネットワークを持つシリカ系被膜を形成できる。塩基発生剤の分解(塩基発生)温度は通常200〜250℃である。このため、紫外線照射を行わなくとも上記反応は起こる。しかし、最初から高温(200℃以上)で加熱してしまうと、被膜の上層から固化してしまい、底部まで酸素が透過しなくなる。その結果、底部での上記反応に悪影響が及ぶ可能性がある。以上の通り本発明では照射工程を行うことが好ましい。
加熱工程とは、上記塗布工程後に基板上に形成される塗膜を加熱する工程である。加熱工程は、塗膜から溶剤等を揮発させ、塗膜を乾燥させるために行う。この加熱の際にポリシロキサン内に含まれる水酸基同士の縮合反応が進む。
焼成工程とは、加熱後の塗膜を焼成しシリカ系被膜を形成する工程である。焼成工程では、ポリシロキサン内に含まれる水酸基同士の縮合反応が進み緻密なSi−O−Siネットワークが形成される。上記加熱工程や加熱しながら行う上記照射工程中でも、ポリシロキサンに含まれる水酸基同士の縮合反応は進むが、本工程で上記縮合反応はさらに進む。
溶剤としてプロピレングリコールジメチルエーテルで固形分濃度を調整したトリアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とするスピンオンガラス材料(OCD T−12 1500−V(商品名):東京応化工業(株)製、SiO2換算固形分濃度:15質量%)に対し、上記塩基発生剤(I−d)(和光純薬工業(株)製)をスピンオンガラス材料中の固形分に対して1質量%となるように添加して、塗布液を製造した。幅100nm、深さ300nmの溝を形成したTEG(Test Elementary Group)基板上に、塗布液をコーター(SS8261NUU:東京応化工業(株)製)を用いて回転数1000rpmにて塗布し、TEG基板上に塗膜を形成した。
塩基発生剤を、上記構造式(I−d)で表される化合物から上記構造式(I−a)で表される化合物(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリカ系被膜を形成した。
塩基発生剤を、上記構造式(I−d)で表される化合物から上記構造式(I−i)で表される化合物(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリカ系被膜を形成した。
塩基発生剤を、上記構造式(I−d)で表される化合物から上記構造式(I−k)で表される化合物(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリカ系被膜を形成した。
塩基発生剤を用いなかった以外は実施例1と同様にしてシリカ系被膜を形成した。
塩基発生剤を、上記構造式(I−d)で表される化合物から下記構造式(II)で表される化合物に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリカ系被膜を形成した。
成膜性評価は、FT−IR(FTIR−615(商品名):日本分光株式会社製)を用いて行った。実施例1及び比較例1の加熱工程後の塗膜及びシリカ系被膜のSi−H結合のピーク面積により評価を行った。なお、FT−IRのチャートにおいて、880cm−1近辺のピークが問題となるSi−H結合を示す。実施例1のFT−IRのチャートを図1に示す。図1(a)中の太線で囲んだ部分の拡大図を図1(b)に示す。比較例1のFT−IRのチャートを図2に、比較例2のFT−IRのチャートを図3に示す。図2、3についても図1と同様に、(b)には、(a)の太線で囲んだ部分の拡大図を示す。なお、2250cm−1近辺のSi−Hのピークは、いずれのFT−IRのチャートからも確認されず問題とならなかった。
Claims (5)
- シロキサンポリマー(A)と、下記一般式(I)で表される塩基発生剤(B)と、を含有し、
前記シロキサンポリマー(A)が下記一般式(a)で表されるアルコキシシランの加水分解縮合物である塗布液。
- 前記R4がアントラセン環である請求項1に記載の塗布液。
- 前記塩基発生剤(B)の含有量は、前記シロキサンポリマー(A)のSiO2換算質量に対して、0.1〜20質量%である請求項1又は2に記載の塗布液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の塗布液を基板上に塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の塗膜を焼成してシリカ系被膜を形成する焼成工程と、を有するシリカ系被膜の形成方法。 - 前記塗布工程と前記加熱工程との間に、前記塗膜に対して、紫外線を照射する照射工程をさらに有する請求項4に記載のシリカ系被膜の形成方法。
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