JP5617880B2 - パターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物及びパターン形成方法 - Google Patents
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Description
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、類似の加工工程を有し、低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾ−ルや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾ−ル等も精力的に研究されている。
前者は、溶媒溶解性に優れる前駆体を用いることで加工特性に優れ、後者は、高温の熱処理等が必要とされるイミド化のプロセスをパターン形成後に行う必要が無いという利点があり、それぞれの用途に応じて使い分けられている。
前駆体を利用するタイプのポリイミドのパターニングをする手段としても、種々の手法が提案されている。その代表的な手法は、以下の2つに大別される。
(2) ポリイミド前駆体自身に感光性部位を結合や配位させて導入し、その作用によりパターン形成する手法、または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターン形成する手法。さらには、感光性部位の導入と感光性成分の混合の両方を組み合わせた手法。
(a) ポリイミドの前駆体のポリアミド酸に、電磁波の露光前は溶解抑止剤として作用し、露光後は、カルボン酸を生成し溶解促進剤となる、ナフトキノンジアジド誘導体を混合し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(b) ポリイミドの前駆体のポリアミド酸に、電磁波の露光によりイミド化の触媒作用を示す塩基性物質となるニフェジピン誘導体等の化合物を混合し、露光後に、適度な温度で加熱することにより、露光部に発生した塩基性物質の作用で露光部は部分的にイミド化されるため、現像液に対する溶解性が低下し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、完全にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(c) ポリイミド前駆体としてラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する骨格を結合させたものを用い、そこに光ラジカル発生剤を混合することで露光部に架橋構造を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
(d) ポリイミド前駆体のポリアミド酸と塩基性部位を有する化合物を混合し、電磁波の照射によりラジカルイオン対を形成させることで、現像液に対する溶解性を変化させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
及び、
(e) ポリイミドの前駆体のポリアミド酸に、光酸(または光塩基)発生剤と架橋剤を混合し、露光後、加熱することで露光によって発生した酸(または塩基)の作用によって架橋を進行させ、現像液に対する溶解性が低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくしパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法、などの手法が提案されている。
一方、(2)のグループに属する手法では、ポリイミド前駆体(または、ポリイミド前駆体樹脂組成物)自身がパターン形成能を有するため、(1)のグループで用いたようなレジスト層が必要なく、プロセスが大幅に簡便になるという特徴があるが、ポリイミド前駆体自身が露光波長を十分に透過しないと、感光性成分に電磁波が届かず感度の低下や、パターンが形成できない等の問題が発生するため、露光波長に対し透過率の高い骨格を選ぶ必要がある。
また、(2)の(a)、(b)、(d)、(e)の手法に用いられてきた従来のポリアミック酸は、一般に室温において主鎖の加水分解されやすく、分子量が低下し、溶液の粘度が低下する。粘度が経時的に変化すると塗布時の膜厚ムラやイミド化後の物性の変化が起こり、安定的な製品の生産が難しいという課題がある。特に(d)の手法は、塩基性化合物を混合させる為、さらに加水分解されやすく、保存安定性等に大きな問題を抱えている。
ポリイミド前駆体の吸収の原因は、電荷の移動によるものと言われており、最近では、特にその分子内の電荷移動が着色に大きく関わっていると報告されている(非特許文献1)。 つまり、分子内の電荷移動をなくすことで、吸収をより短波長領域にシフトさせたポリイミド前駆体を作ることができる。この原理に基づき、これまでにポリイミド前駆体の吸収を短波長化させる手法として、大きく2つの手法が提案されている。
一つは、通常、芳香族骨格が多いポリイミド前駆体の骨格内に脂肪族構造、特に脂環構造を導入し、骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害し、吸収の短波長化を図るというものである。特に、原料であるジアミンに脂環骨格を導入することが効果的であるといわれている。(非特許文献1、特許文献1)
もう一つは、ポリイミド前駆体骨格内にフッ素を導入し、骨格内の電子状態を電荷移動しにくくすることで透明性を付与するものである。(特許文献2)
特に、上記(2)の(d)の手法を用いた感光性ポリイミドは、簡便に調整できる、比較的感度が高いといった特徴を持つ一方で、塩基性化合物が溶液中に混合されていることから、さらに加水分解されやすく、室温保管時の粘度の経時変化が大きい、安定的に用いることができないと言った課題を有する為、室温保管時の保存安定性の改善が大きく望まれていた。
加えて、さらなる高感度化のために、露光波長におけるポリイミド前駆体自身のUV吸収の低減も求められていた。
また、本発明の別の目的は、電磁波に対して短波長領域でも高い透過率を有し、且つ、保存安定性に優れ、高感度な感光性樹脂組成物として用いることができる上記ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて、該ポリイミド前駆体樹脂組成物から誘導されるポリイミド樹脂組成物から形成されるか又は該ポリイミド前駆体樹脂組成物を含有する様々な製品や部材を提供することにある。
本発明に用いられるポリイミド前駆体は、このような分子構造の空間配置を有するため、ポリイミド前駆体分子鎖上のπ共役が阻止され、より短波長に吸収を有するポリイミド前駆体となる。また、これらのポリイミド前駆体から最終的に得られるポリイミドは芳香族ポリイミドゆえの耐熱性を有する。また、その構造にもよるが、多くのジアミンとの組み合わせにおいて400nm以上に吸収を有さず構造の選択の幅が広い。その結果、吸収波長に制限されることなく、低熱膨張や低吸湿、低誘電率や低誘電正接など、求める物性に応じて、骨格を選択できる。
また、最終的にイミド結合を形成するカルボニル基とアミド基が、π共役構造となっている同一の芳香族環に結合していない為、ポリイミド前駆体となった場合にそれらの間の距離が立体的に離れることから、従来のポリアミド酸等に比べ保存安定性が良好である。
また、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、そのメカニズムから、ポリイミド前駆体の合成に用いるジアミンの種類によらず透明性を維持でき、従来のフッ素や脂環骨格を導入する方法では最終的にポリイミドとなったときに避けられなかった、耐熱性、寸法安定性等のポリイミド本来の物性が低下する問題や、コスト高となる問題を解消することができ、従来の芳香族ポリイミドと同等の耐熱性を有するポリイミドの塗膜、フィルム或いは成形品を得ることできる。
特に本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、最終的に得られるポリイミドが耐熱性、寸法安定性、絶縁性等のポリイミド本来の特性を備えているにもかかわらず、吸収波長が短波長化していることから高感度であり、従来用いることができなかった短い波長の電磁波の適用が可能になる為、より微細なパターンを形成できる。
以下、このような本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物の各構成について順に詳細に説明する。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来されるポリイミド前駆体も、分子内閉環反応可能なアミド基とカルボキシル基が、同じベンゼン環に結合している為、それら2種の置換基の位置が固定されており、逆反応が進行しやすい。
また、酸無水物由来の2つのベンゼン環を結ぶ単結合は自由回転が可能であり、それらがπ共役構造を形成することが可能である為、低波長領域の電磁波の透過率が低い場合が多い。
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来されるポリイミド前駆体も、分子内閉環反応可能なアミド基とカルボキシル基は、同一のベンゼン環に結合しており、逆反応が進行しやすい。
また、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来されるポリイミド前駆体は、酸無水物由来の2つの芳香環は立体的に共役しにくいが、その前駆体から誘導されるポリイミドは、5員環のイミド構造を有することから着色が大きく、さらに、分子鎖が屈曲性の構造である為、膨張率を低下させにくく、適用できる用途が限定される。
特に、酸成分として芳香族酸二無水物を用いるだけでなく、ジアミン成分も芳香族ジアミンを用いる全芳香族ポリイミドの場合には、共役構造がポリイミド分子鎖上の広い範囲に亘り広がりやすいので、着色現象を生じやすい。
本発明に用いられるポリイミド前駆体は、このような分子構造の空間配置を有するため、最終的なイミド化物は芳香族ポリイミドゆえの耐熱性を有しながら、ポリイミド前駆体分子鎖上のπ共役が阻害され、吸収波長がより短波長化したポリイミド前駆体となる。
さらに、原料の2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ピレンの酸化反応などの比較的簡単な合成手法により得ることができるため、安価に入手が可能であるというメリットも有する。
水素原子以外にR1〜R6の位置に導入し得る1価の有機基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、アリル基等が挙げられる。R1〜R6は、互いに同一であっても異なっていても良い。R1〜R6のうちの2つ又は3つ以上の基、特に、R1〜R3のうちの2つ又は3つ、及び/又は、R4〜R6のうちの2つ又は3つは、互いに結合して環状構造を形成していても良い。
エチレン性不飽和結合含有基とは、エチレン性不飽和結合を1つ以上有する置換基であり、具体的に例示すると、アリルオキシ基、2−アクリロイルオキシエチルオキシ基、2−メタクリロイルオキシプロピルオキシ基、2−アクリロイルオキシエチルアミノ基、2−メタクリロイルオキシエチルアミノ基、2−アクリロイルオキシプロピルアミノ基、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルオキシ基、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−ペンテニルオキシ基、2−アクリロイルオキシエチル・ジメチルアンモニウム基、2−メタクリロイルオキシプロピル・トリメチルアンモニウム基およびその誘導体が挙げられる。
例えば、本発明に用いられるポリイミド前駆体は、式(1a)又は式(1b)以外の構造を持つ繰り返し単位を含んでいてもよいし、アミド構造の繰り返し単位(ポリアミドの繰り返し単位)のようなイミド構造ではない繰り返し単位を含んでいても良い。
式(1a)又は式(1b)以外の構造を持つ繰り返し単位としては、例えば、下記式(2)で表すものが挙げられる。
2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び/又はその誘導体と併用できる酸二無水物は、耐熱性の観点から芳香族酸二無水物が好ましいが、目的の物性に応じて、酸二無水物全体の50モル%、好ましくは30モル%を超えない範囲で2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物以外の酸二無水物を用いても良い。
剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(4)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、本発明に用いられるポリイミド前駆体、および、それより誘導されるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
反応溶液の温度は、溶液の凝固点以上の温度において低ければ低いほど高分子量体が得られるが、反応中に80℃以上にならないことが好ましく、40℃以上にならないことが特に好ましい。また、分子量10000以上の高分子量体を得るには10℃以下を維持することが好ましい。
冷却下1〜20時間程度撹拌した後、撹拌した脱水されたジエチルエーテルに反応液を滴下し再沈殿し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得る。そのポリアミド酸を再びN−メチルピロリドン等の有機極性溶媒に溶解し、ガラスなどの基板上に塗布乾燥し、ポリアミド酸の塗膜を成形できる。また、それを加熱することでポリイミドの塗膜が得られる。
436nm、405nm、365nmは、一般的に感光性樹脂の露光に利用される高圧水銀ランプの発光波長であり、248nm、193nmはそれぞれKrF,ArFといったレ−ザ−の発光波長である。これらの波長に対して透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少なく、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィ−(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
例えば、本発明に用いられるポリイミド前駆体から得られるポリイミドの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフロ−の工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフロ−の工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
本発明に用いられるアミンとしては、具体的には、N−フェニルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジエチルアミノベンゼン、ジアザビシクロオクタン、キヌクリジン、キヌクリジノール等が挙げられる。
また、その他の任意成分の配合割合は、ポリイミド前駆体樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜30重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、30重量%を超えると、樹脂組成物の特性が最終生成物に反映されにくい。なお、ポリイミド前駆体樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマ−成分も固形分に含まれる。
本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物のイミド化後のガラス転移温度は、耐熱性の観点からは高ければ高いほど良く、120℃以上であることが好ましく、光導波路のように熱成形プロセスが考えられる用途においては、120℃〜380℃程度のガラス転移温度を示すことが好ましく、200℃〜380℃程度のガラス転移温度を示すことがさらに好ましい。
また、本発明に係るポリイミド前駆体樹脂組成物のイミド化後の線熱膨張係数は、寸法安定性の観点から、70ppm/℃以下が好ましく、60ppm/℃以下が更に好ましく、40ppm/℃以下がより更に好ましい。半導体素子の用いる場合等で、シリコンウェハ上形成する場合には、密着性、基板のそりの観点から20ppm/℃以下がさらに好ましい。
ピレン 15g(74mmol)を2L(リットル)のなすフラスコへ入れ、ジクロロメタン320mlに溶解させた。完全に溶解したら、アセトニトリル320mlと蒸留水480mlを加え、撹拌した。そこへ酸化剤の過よう素酸ナトリウム150gと触媒の3塩化ルテニウム650mgを加え、室温で22時間撹拌した。反応終了後、沈殿物を濾過し、その沈殿物をアセトンで抽出、濾過した。抽出したアセトンを濃縮し乾燥させた後、ジクロロメタンで4時間還流を行い、それを濾過し粉末を得た。その粉末が完全に白色になるまでアセトンによる抽出とジクロロメタンによる還流を繰り返し、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸を10.2g得た。
得られた2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸を無水酢酸で3時間還流後、溶媒を留去し、得られた固形物を0.8mmHg(106.4Pa)の圧力で230℃の条件で昇華精製することで目的物である2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(2,2’,6,6’−BPDA)の白色粉末を得た。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 1.20g(6mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、5mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した2,2’,6,6’−BPDA 1.77g(6mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を2.81g(前駆体1)を得た。
1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン 2.92g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、32.2mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した2,2’,6,6’−BPDA 2.94g(10mmol)を添加し、添加終了後、脱水されたNMPを5ml加え、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテル2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を5.61g(前駆体2)を得た。
(比較製造例1)
ジアミノジフェニルエーテル 2.00g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、23.8mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分したピロメリット酸二無水物 2.18g(10mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、脱水されたアセトン2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を3.99g(比較前駆体1)を得た。
(比較製造例2)
ジアミノジフェニルエーテル 2.00g(10mmol)を100mlの3つ口フラスコに投入し、28.0mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ30分おきに、10等分した3,3’,4,4’−BPDA 2.94g(10mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で1時間撹拌し、その溶液を、アセトン2Lに滴下することによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を4.69g(比較前駆体2)を得た。
上記前駆体1、2、及び、比較前駆体1、2の20重量%NMP溶液を、スピンコ−ト法を用いて、ガラス上に塗布し、100℃に設定されたホットプレ−ト上で、10分間加熱し、厚み3.5±0.1μmの塗膜を得た。その塗膜の透過率を、分光測定装置(SHIMADZU製UV−2550 (PC)S GLP)にて測定を行った。
その結果、表1に示すように、前駆体1、前駆体2は良好な透過率を示した。それに対し、比較前駆体1、および比較前駆体2は特に、波長の低い領域において透過率が低いことが明らかになった。
上記前駆体1、2の、0.5wt%NMP溶液を調整し、23℃で保管したときの分子量の変化を求めた。ただし、この実験では前駆体1のみ、実施例1で開示されている合成条件を、原料と溶媒の量、使用器具等を2倍にスケ−ルアップして合成したサンプルを用いた。分子量の変化について結果を表2に示す。
溶液の調整に用いたNMPは、脱水されたものではない通常のものを用いた。
測定条件は以下のとおり
装置 : 東ソー製HLC−8120 GPC system
カラム : TSK gels α−M ×2
溶媒 : 0.03mol/Lの濃度で臭化リチウムとリン酸をそれぞれ溶解させたNMP
温度 : 40℃
フロ−レ−ト : 500μl/min
以上の結果より、本発明に用いられるポリイミド前駆体は、保管中に置いて安定した重量平均分子量を示し、通常のポリアミック酸で問題となっている室温での保管中の分子量低下に対して、本発明に用いられるポリイミド前駆体の構造が有効であることがわかる。
前駆体2の20wt%NMP溶液をガラス上にスピンコ−トし、100℃10分で乾燥させた後、窒素雰囲気下、室温から300℃まで10℃/分で昇温し、その後300℃で1時間保持し、ポリイミドフィルム2aを得た。(厚み10±1.5μm)
上記のフィルムを、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数3Hz、昇温速度5℃/minで動的粘弾性測定を行い、tanδからガラス転移温度(Tg)を求めた。その結果、ガラス転移温度は315℃であった。
上記のフィルムを、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、昇温速度10℃/minで、引っ張り加重は2gで測定を行った。
その結果、線熱膨張係数は61.6であった。
製造例2で得られた前駆体2を11.7g、ジメチルアミノメチルメタクリレ−トを6.3g、及び、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン 180mgのNMP溶液を濃度20wt%となるように調製した(ポリイミド前駆体樹脂組成物1)。このポリイミド前駆体樹脂組成物1は、23℃で7日保管後の、23℃における粘度が、初期粘度の±10%の範囲に収まっており、良好な保存安定性を示した。なお、粘度は、東機産業製 粘度計TVE−22HTにより測定した。
製造例2で得られた前駆体2を11.7g、2,2’−フェニルイミノジエタノールを7.24g、及び、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン 180mgのNMP溶液を濃度20wt%となるように調製した(ポリイミド前駆体樹脂組成物2)。このポリイミド前駆体樹脂組成物2は、23℃で7日保管後の、23℃における粘度が、初期粘度の±10%の範囲に収まっており、良好な保存安定性を示した。
上記ポリイミド前駆体樹脂組成物1、およびポリイミド前駆体樹脂組成物2を、クロムめっきされたガラスのクロム上にスピンコ−ト法によって塗布し、100℃のホットプレ−ト上で10分間乾燥させ、1.25μmの厚みの塗膜を得た。
それを、手動露光装置(大日本スクリ−ン株式会社製、MA−1200)を用い露光を行った。高圧水銀ランプからの光は、フィルタ−を用いずそのまま照射し、露光を行った。
その後、マグネティックスタ−ラ−によってゆっくり撹拌された0.1wt%TMAH水溶液に30秒浸漬した後、蒸留水に10秒浸漬しリンスを行い、乾燥させた。
そのサンプルを窒素雰囲気下300℃、1時間、オ−ブンによって加熱したところ、それぞれのサンプルとも良好な形状のポリイミドパターンを得た。
ポリイミド前駆体樹脂組成物2をガラス上にスピンコ−トし、100℃10分で乾燥させた後、窒素雰囲気下、室温から300℃まで10℃/分で昇温し、その後300℃で1時間保持し、ポリイミドフィルム2bを得た。(厚み10±1.5μm)
(動的粘弾性評価)
ポリイミドフィルム2bを、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数3Hz、昇温速度5℃/minで動的粘弾性測定を行い、tanδからガラス転移温度(Tg)を求めた。
その結果、ガラス転移温度は350℃であった。
ポリイミドフィルム2bを、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、昇温速度10℃/minで、引っ張り加重は2gで測定を行った。
その結果、線熱膨張係数は64.8であった。
また、本発明に用いたポリイミド前駆体は、保存安定性と、電磁波の透過性に優れることから、感光性樹脂組成物へ適用した場合に、高感度で保存安定性に優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (8)
- 下記式(1a)又は(1b)で表される繰り返し単位のいずれか、又は、両方を有するポリイミド前駆体、および、エチレン性不飽和結合を有しないアミンを含有し、前記ポリイミド前駆体はエチレン性不飽和結合含有基を含まず、前記ポリイミド前駆体及び前記アミンとは異なる光硬化性成分を含まない、パターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 前記ポリイミド前駆体に含まれる、前記式(1a)又は(1b)で表される繰り返し単位の合計量が、前記ポリイミド前駆体の高分子骨格を構成する繰り返し単位の50モル%以上を占める、請求項1又は2に記載のパターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 前記ポリイミド前駆体を厚み1μmのフィルムに成膜した時に、少なくとも436nm,405nm、365nm、248nm、193nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が20%以上である、請求項1乃至3のいずれかに記載のパターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 前記ポリイミド前駆体が、全芳香族ポリイミド前駆体の繰り返し単位である、請求項1乃至4のいずれかに記載のパターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 436nm、405nm、又は365nmの波長の電磁波のうちいずれか1つの波長の電磁波に対して吸収を有する化合物を、更に含有する、請求項1乃至5のいずれかに記載のパターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 前記アミンが、3級アミンである、請求項1乃至6のいずれかに記載のパターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至7のいずれかに記載のパターン形成用感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を塗布、乾燥して得た塗膜に、パターン状に露光後、露光部は溶解しないが未露光部を溶解する現像液を用いて未露光部のみ溶解する、パターン形成方法。
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