JP5269651B2 - 感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂を含有してなる感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路配線基板に関するものであり、詳しくは、プリント配線基板用レジスト組成物やその硬化膜形成のために適したシロキサン含有ポリアミド酸樹脂を含有する感光性樹脂組成物及びこれを用いた回路配線基板に関する。
近年、紫外線硬化型の感光性樹脂組成物は高生産性、低公害性、省エネルギー性などのさまざまな理由により塗料、接着剤、レジストなど幅広い分野で多用されている。プリント配線板加工分野においても、ソルダーレジストインクなどのさまざまなインク方式のカバー材が従来のスクリーン印刷方式から紫外線硬化型組成物に置き変わりつつある。
また、電子技術の著しい進歩による高密度化ならびに軽量化が進むにつれて、従来のリジット(硬質)基板からフレキシブル基板に代替が進みつつある。通常、感光性樹脂をカバー材として用いる場合、硬化後のカバー材の特性として、リジット基板に用いられるカバー材には柔軟性はそれほど求められていなかった。しかし、フレキシブル基板に用いられるカバー材には、フレキシブル基板の特性を生かすために、カバー材も柔軟性のより高いものが要求される。カバー材の柔軟性が低い場合、基板に積層した際に反りや反発力が生じやすく、また屈曲性が低い等の問題があり、従来のカバー材の材質では、フレキシブル基板への適用に限界があるという問題があった。
そこで、特許文献1には、エポキシ樹脂と不飽和基含有モノカルボン酸及び無水カルボン酸との反応生成物である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂と光重合開始材等を含有する硬化性感光材料が報告されている。しかしながら、このような材料では、十分な柔軟性や可とう性が担保されていないため耐折性に乏しく、また、表面実装部品を半田付けする工程(リフロー工程)において行われる加熱工程を経ると基板が反るという不具合が生じており、その改善が求められてきた。このため、特許文献2にみられるような、低弾性を発現する成分としてシロキサンポリイミドを主成分とした組成物が提案された。このような組成物では加工後の基板の反りが低減される利点を有するものの、高価であることや、組成物の室温保存安定性が悪いといった問題がある。また、特許文献3では、特定のシロキサン部位及び不飽和基を有した芳香族部位を含有したポリアミド酸樹脂を含有してなる感光性組成物が報告されている。しかしながら、特許文献3の組成物は、硬化後の基板の反りは低減されるものの、リフロー工程後における基板の反りを抑制する効果については、十分満足できるものではなく、改善の余地が残されていた。また、特許文献4では、末端テトラカルボン酸シロキサンイミドオリゴマーと、アクリル樹脂、熱硬化性樹脂等を混合してなる感光性樹脂組成物が報告されている。しかし、この特許文献4の技術は、感光性樹脂組成物中に配合するために、水を含む溶媒中でテトラカルボン酸とシロキサンジアミンをイミド化させて、あらかじめ末端テトラカルボン酸シロキサンイミドオリゴマーを調製しておく必要があり、工程が多く複雑であるという欠点があった。
また、近年、安全面から材料の難燃性に対する要求が高まってきている。その一方で、RoHS指令、WEEE指令に代表されるように、環境面から、従来用いられてきたハロゲンを含む難燃剤を含有しないノンハロゲン化が要求されるようになっている。しかし、従来のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂を含有する感光性樹脂組成物では、十分な難燃性が得られていないのが実情である。
特開平7−207211号公報 特開2004−294882号公報 特開2008−70477号公報 特開2008−197545号公報
本発明の第1の目的は、硬化物が可とう性を備え、基板に積層した場合に反りの発生を極力抑制することが可能であり、望ましくは優れた難燃性をも具備した感光性樹脂組成物を提供することであり、第2の目的は、前記感光性樹脂組成物を用いることにより、屈曲性や耐熱性に優れ、硬化又は加工の際に高温処理を必要としない絶縁皮膜を備えた回路配線基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のジアミンと酸無水物を重合して得られるポリアミド酸樹脂を含有する感光性樹脂組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、下記成分(A)〜(C)、
(A)シロキサン含有ポリアミド酸樹脂、
(B)二官能の(メタ)アクリレート、及び
(C)光重合開始剤
を含有する感光性樹脂組成物であって、
(A)成分は、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、シロキサンジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン変性率が85〜100%の範囲内のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂であり、(A)成分100重量部に対し、(B)成分を5〜60重量部、(C)成分を0.5〜20重量部含有することを特徴とする。
また、本発明の難燃性感光性樹脂組成物は、下記成分(A)〜(D)、
(A)シロキサン含有ポリアミド酸樹脂、
(B)二官能の(メタ)アクリレート、
(C)光重合開始剤、及び
(D)有機ホスフィン酸の金属塩
を含有する難燃性感光性樹脂組成物であって、
(A)成分は、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、シロキサンジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン変性率が85〜100%の範囲内のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂であり、(A)成分100重量部に対し、(B)成分を5〜60重量部、(C)成分を0.5〜20重量部、(D)成分を20〜40重量部含有することを特徴とする。
ここで、本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)は、好ましくは(A)成分の原料であるジアミン成分が、シロキサンジアミンと、ラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミンと、を含有し、全ジアミン成分100モルに対し、シロキサンジアミンを85〜95モル含有するものであり、より好ましくは、(B)成分が、水酸基を有する二官能の(メタ)アクリレートである。
また、本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)は、溶剤に溶解してなるワニス状の感光性樹脂組成物(又はワニス状の難燃性感光性樹脂組成物)としてもよく、さらに、このワニス状の感光性樹脂組成物(又はワニス状の難燃性感光性樹脂組成物)を、基材フィルム上に塗布、乾燥してなるフィルム状の感光性樹脂組成物(又はフィルム状の難燃性感光性樹脂組成物)としてもよい。
また、本発明の回路配線基板は、上記感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)を、導体層がパターニングされた回路配線基板上に皮膜形成した後、露光、現像、硬化してネガ型の絶縁皮膜を形成してなるものである。
本発明の感光性樹脂組成物は、その硬化物が高い柔軟性と可とう性を有するので、該硬化物が積層された基板は、耐折り曲げ性、屈曲性に優れているとともに、リフロー工程後においても反りを防止できる。従って、本発明の感光性樹脂組成物は、柔軟性が要求されるフレキシブルプリント配線板製造用のソルダーレジストやメッキレジスト等として好ましく用いることができる。
また、本発明の感光性組成物は、室温での保存安定性が高く、200℃以下の低温域で硬化可能であることから、金属配線への影響も低減できる。さらに、本発明の感光性組成物は、紫外線を用いた回路加工の後、希アルカリ水溶液での現像も可能である点で、ソルダーレジスト材料やメッキレジスト材料等のフレキシブルプリント配線板製造用レジストとしての用途に好適である。
また、本発明の感光性樹脂組成物に、さらに有機ホスフィン酸の金属塩を含有することにより、優れた難燃性を有する難燃性感光性樹脂組成物とすることができる。
以下、本発明の感光性樹脂組成物について説明し、次にフィルム状の感光性樹脂組成物及びこれを用いた本発明の回路配線基板を説明するが、共通する部分は同時に説明する。まず、本発明の感光性樹脂組成物の各構成要素について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分を含有する。(A)成分は、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂であり、(B)成分は二官能の(メタ)アクリレートであり、(C)成分は光重合開始剤である。
本発明に用いる(A)成分は、原料として、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、シロキサンジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン変性率が85〜100%の範囲内のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂である。ここで、「シロキサン変性率」は、(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂に含まれるシロキサンユニットの存在量を示す指標であり、「原料中の全ジアミン成分100モルに対するシロキサンジアミンの仕込みモル数を百分率で示した値」と定義される。つまり、シロキサン変性率が85〜100%の範囲内である(A)成分は、原料として、全ジアミン成分100モルに対し、シロキサンジアミンを85〜100モル含有するジアミン成分を使用してなるものである。なお、上記シロキサンユニットは、シロキサンジアミンからアミド結合部分を除いたシロキサン結合(Si−O−Si)を有するシロキサンジアミンの残基である。
(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂におけるシロキサンユニットの割合を増加させることによって、感光性樹脂組成物の硬化物を積層した基板の反りが低減できる。このため、本発明では、シロキサン変性率を85%以上とする。異なる2種類のフィルムを積層した場合、熱収縮時に発生する応力や硬化収縮の発生によって反りが発生するが、柔軟なシロキサンユニットを豊富に存在させることによって、硬化物の弾性率を低下させ、応力を低減させ得るものと考えられる。シロキサン変性率が85%未満では反りの抑制効果が十分に得られない。また、シロキサンユニットを増加させることによって、シロキサン含有ポリアミド酸の架橋点減少による硬化収縮を低減させる効果もあると考えられる。
(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、アミド酸結合の一部がイミド化していてもよい。但し、良好なアルカリ現像性を確保するために、そのイミド化率は50%未満、好ましくは30%未満が望ましい。なお、ポリアミド酸のイミド化率は、例えば、日本分光製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT/IR620(商品名)」を用い、透過法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1,000cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1,720cm−1のイミド基由来の吸光度から算出される。
(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂を製造するために使用される芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,2'’,3,3’-、2,3,3’,4’-又は3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-、1,2,4,5-、1,4,5,8-、1,2,6,7-又は1,2,5,6-ナフタレン-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-、2,2’,3,3’-又は2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”-、2,3,3”,4”-又は2,2”,3,3”-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物などを挙げることができる。有利には、ピロメリット酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が例示されるが、これらの中でも、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物は、単独でもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。
(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂を製造するために使用されるジアミン成分としては、シロキサンジアミン、およびラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミンを挙げることができる。シロキサンジアミンとしては、下記一般式(1)で表されるシロキサンジアミンが好ましい。
Figure 0005269651
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、平均繰り返し単位nは1〜30の数を示す。)
式(1)において、R〜Rは独立して炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示すが、好ましくはメチル基、エチル基又はフェニル基である。Rは炭素数2〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示すが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基又はフェニレン基である。また、平均繰り返し単位nは1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12である。平均繰り返し単位nが30を超えると耐薬品及び回路パターンとの密着性が低下するおそれがある。
このようなシロキサンジアミンとしては、例えば、ω, ω’−ビス(2-アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、ω, ω’−ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ω, ω’−ビス(4-アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω, ω’−ビス(3-アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、ω, ω’−ビス(3-アミノプロピル)ポリメチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらは単独でも良いし、2種類以上混合して用いることもできる。
本発明に用いる(A)成分は、分子内に重合可能なラジカル重合性の不飽和結合を有することにより、光又は光重合開始剤の作用によって架橋可能となるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂であることが望ましい。このようなシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、原料として芳香族テトラカルボン酸二無水物を含む酸無水物成分と、シロキサンジアミン及びラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂であることが有利である。この場合、(A)成分のシロキサン変性率(つまり、原料のジアミン成分中のシロキサンジアミンの仕込みモル数の比率)は、85〜95%の範囲内が好ましく、90〜93%の範囲内がより好ましい。別の観点から、ラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミンは、全ジアミン成分100モルに対し、5〜15モルが好ましく、7〜10モルの範囲がより好ましい。柔軟なシロキサンジアミンの変性率を上げると、硬化物が低弾性化し応力が下がる。同時に、架橋部位であるラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミンの比率が減少するため、(メタ)アクリレートとの架橋点が減少し、硬化収縮が低減するものと考えられる。一方で、シロキサン変性率が95%を超えると、硬化物の耐アルカリ性が低下する傾向となる。この傾向は、シロキサン変性率が高くなるほど、シロキサン含有ポリアミド酸の架橋密度が低下し、アルカリ侵食が生じやすくなることによるものと考えられる。
ラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミンは、シロキサン結合(Si−O−Si)を含まない芳香族ジアミンであり、下記一般式(2)で表される芳香族ジアミンが好ましい。
Figure 0005269651
(式中、Rは単結合又は2価の基を示し、RはCH=CH−R−で表される基を示し、Rは単結合又はエステル結合、炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示す。)
式(2)において、Rは2価の基又は直結合を示すが、単結合、CH、C(CH)及びSOから選択されるいずれかであることが好ましい。RはCH=CH−R−で表される基であり、Rは単結合、エステル結合、炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示すが、Rはビニル基であることが反応性の点では好ましい。式(2)で表される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、2,2’‐ジビニル−4,4’‐ジアミノ−ビフェニル等が挙げられる。
また、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂を構成するために使用される芳香族ジアミン成分として、前記のラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミン以外の芳香族ジアミンを併用することができる。具体的には、例えば4,4’−ジアミノフェニルエタン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’-ジジアミノフェニルスルフィド、4,4’-ジジアミノフェニルスルフォン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,7-ジアミノフルオレン、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、ヒドロキシアミノビフェニル等が挙げられる。このような芳香族ジアミンの使用量は、全ジアミン成分100モルに対して、0〜15モルが好ましく、より好ましくは7〜10モルの範囲がよい。この割合が15モルを超える場合は、芳香族ジアミンが過剰となり、反りの増大が懸念される。
本発明に使用される(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂の製造方法の一例について説明する。まず、芳香族テトラカルボン酸二無水物を溶媒中に加え、溶解する。これを攪拌しながら、窒素雰囲気下、氷冷下で、シロキサンジアミンを含む2種以上のジアミンを徐々に加える。この後2〜8時間攪拌して反応させることによってシロキサン含有ポリアミド酸樹脂を得る。このような方法で得られるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、重合度が異なる混合物である。なお、ジアミンの添加方法を変えるなどして、ランダム重合型又はブロック重合型のポリアミド酸樹脂としてもよい。
上記反応を行う溶媒としては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂の調製にあたっては、酸無水物成分とジアミン成分は、ほぼ等モル量加えることが望ましい。また、反応は室温以下、好ましくは0℃付近で行うことにより、イミド化を進行させず重合させることができる。ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸二無水物などの酸無水物成分の使用割合を変化させることにより、重合度を変化させることができる。
このようにして得られる(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、後述の(B)二官能の(メタ)アクリレート、並びに(C)光重合開始剤と混合して感光性樹脂組成物とされる。この(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、硬化後であっても可とう性を有するため柔軟性が要求される用途に使用でき、感光性樹脂組成物の樹脂成分として好適に用いることができる。また、(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、末端又は側鎖にカルボキシル基を有するため、アルカリ水溶液による現像にも適する。
本発明の感光性樹脂組成物は、光架橋剤として(B)二官能の(メタ)アクリレートを必須成分として含有する。(B)成分の二官能の(メタ)アクリレートは、その分子骨格に直鎖又は分岐鎖の炭素数2以上のアルキレン基又はフェニレン基を有するものが好ましく、このような有機基が存在することにより、感光性樹脂組成物としての架橋密度を低下させるので、硬化物の応力が下がると考えられる。また、(メタ)アクリレートの官能基数を二官能とすることによって、反応点が減少し、収縮低減及び弾性率低下によって応力が低減するものと考えられる。
(B)成分として使用し得る二官能アクリレートとしては、例えば、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、ビス(アクリロキシエトキシ)テトラブロモビスフェノールA、トリプロピレングリコールジアクリレート等がある。
また、(B)成分による架橋密度低下に伴って生じやすいアルカリ耐性の低下を抑制するという観点から、(B)成分は、水酸基を有する二官能の(メタ)アクリレートであることが好ましい。水酸基を有する二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,7−ヘプタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート等を挙げることができる。このような水酸基を有する二官能(メタ)アクリレートとしては、市販品が入手可能であり、例えば1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレートとして、日本化薬株式会社製の[KAYARAD R−167(商品名)]などが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、(B)成分は、(A)成分100重量部に対して、5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜30重量部配合することがよい。使用する(メタ)アクリレートは単独でもよいし、種類が異なる(メタ)アクリレートを2種類以上混合して用いてもよい。
光架橋剤としては、(B)成分以外の多官能(例えば三官能以上)の(メタ)アクリレートを配合することもできる。このような多官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート等を例示できる。(B)成分以外の(メタ)アクリレートを併用する場合、全(メタ)アクリレートの配合量は、(A)成分100重量部に対して、10〜60重量部が好ましく、15〜50重量部がより好ましく、20〜30重量部が更に好ましい。別の観点から、(B)成分は、全(メタ)アクリレート100重量部に対して、好ましくは20重量部以上、より好ましくは50〜80重量部がよい。上記下限より少ないと、十分な光硬化性が得られず、また上記上限を超えると、解像性、密着性が低下し、反りが大きくなる傾向にある。(B)成分が有する架橋密度を低下させる効果によって、同時に、硬化物のアルカリ侵食に対する耐性が低下する傾向となるので、(B)成分以外の多官能の(メタ)アクリレートを併用することが望ましい。
(C)成分の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、チオキサソン、2−クロロチオキサソン、2−メチルチオキサソン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の種々の光重合開始剤が使用可能である。光重合開始剤の好ましい使用量は、(A)成分100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。上記下限より少ないと、十分な光硬化性が得られず、また上限を超えると、解像性が低下する傾向にある。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記成分(A)〜(C)を必須成分とするが、他の樹脂、(メタ)アクリレート等のモノマーからなる樹脂成分(ここで、「樹脂成分」にはモノマーを含む)、増感剤、難燃補助剤、溶剤等を必要により加えることができる。このような組成物とすることにより、感光性樹脂組成物としてより優れた特性を有するものとなるだけでなく、その用途も拡大する。なお、本発明の感光性樹脂組成物において、溶剤を加えてワニスの状態とした場合は「ワニス状の感光性樹脂組成物」と記すことがあるが、特に区別する必要がないときは、「感光性樹脂組成物」との表記で代表する。また、本発明の感光性樹脂組成物において、各成分(溶剤を除く)の配合量又は配合割合についての説明は、特に注記しない限り溶剤を含まない状態を意味するものとする。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記成分(A)〜(C)に加え、更に、難燃剤として、(D)有機ホスフィン酸の金属塩を混合することにより、難燃性感光性樹脂組成物とすることができる。この難燃性感光性樹脂組成物では、(A)成分のシロキサン変性率が85%以上であることにより、(D)成分の難燃剤としての効果が発揮されるようになる。
本発明で用いる(D)成分の有機ホスフィン酸の金属塩は、5価のリンに2つの有機基が結合しているリン酸の金属塩であり、下記式(3)で表される。式(3)において、2つの有機基R9及びR10は、互いに同じか又は異なる、直鎖状の又は枝分かれした炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基若しくはトリル基であり、金属種MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及びKからなる群より選択される少なくとも1種である有機ホスフィン酸の金属塩が好ましい。なお、Mが2価以上の場合は、下記式(3)中のMは、1/価数を乗じた数で酸素原子と結合しているものとする。また、難燃効果を向上させるため、(D)成分中のリン含有率を高めることが好ましく、具体的には、2つの有機基R9及びR10は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、また、感光性樹脂組成物の難燃性及び可とう性を向上させ、並びに金属塩としての水への溶解性を抑制させるため、金属種Mは、Alであることが特に好ましい。
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また、(D)成分の有機ホスフィン酸の金属塩は、硬化前の感光性樹脂組成物において固体粒子状に分散し、硬化後においても固体粒子状のまま存在するフィラーである。この平均粒径は0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜5μmの範囲がより好ましい。平均粒径が10μmを超えると感光性樹脂組成物の可とう性や現像の解像度が低下する傾向にあり、0.1μm未満であると十分な難燃性を発現するために使用量が増加し、経済的に不利である。なお、上記フィラーの平均粒径は、レーザー回折法によって測定される平均粒径であり、例えば、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置「SALD―2000(商品名)」を用いて測定することができる。また、上記フィラーとしては、市販品が入手可能であり、例えば、クラリアントジャパン株式会社製のホスフィン酸アルミニウム塩「エクソリットOP930(商品名)」、「エクソリットOP935(商品名)」、「エクソリットOP940(商品名)」等が挙げられる。
本発明の難燃性感光性樹脂組成物において、有機ホスフィン酸の金属塩の含有量は、(A)成分100重量部に対し、20〜40重量部含有することが好ましく、20〜30重量部がより好ましい。上記下限より少ないと、十分な難燃性が得られず、また上記上限を超えると、硬化物の耐薬品性、引張特性及び可とう性が低下する傾向にある。
また、本発明の感光性樹脂組成物(または難燃性感光性樹脂組成物)において、増感剤を配合することも有利であり、この場合、増感剤としてはベンゾフェノン等が使用できる。増感剤は(A)成分100重量部に対して、0.01〜2重量部添加することが好ましく、0.05〜0.5重量部添加することがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物(または難燃性感光性樹脂組成物)は、各種有機溶剤等により粘度等を調整することができる。用いるにあたって好ましい有機溶剤を例示すると、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ペグミア)、乳酸エチルあるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。溶剤の使用量は感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、10〜100重量部の範囲が好ましい。なお、溶剤を10重量%以上含み常温で液状を示す感光性樹脂組成物は、ワニス状の感光性樹脂組成物という。また、ポリアミド酸樹脂製造の際に反応溶媒として使用される有機溶剤が残存する場合は、この溶剤を含めて溶剤量を計算する。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物(または難燃性感光性樹脂組成物)には、エポキシ等のカルボキシ基と反応する成分を加えることもできるが、その添加量は、室温保存安定性を損なわないように感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、10重量部未満が好ましく、5重量部未満がより好ましい。
また、感光性樹脂組成物(または難燃性感光性樹脂組成物)をソルダーレジストとして使用する場合には、必要に応じて例えばフタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等の公知顔料をソルダーレジストとしての諸特性を損なわない範囲で添加することができる。その場合の顔料の好ましい添加量は、感光性樹脂組成物(固形分)に対して1〜20重量%である。更に、本発明の感光性樹脂組成物(または難燃性感光性樹脂組成物)には必要に応じて公知のフィラーを添加することが可能であり、感光性塗料としての用途にも応用が可能である。
本発明の感光性樹脂組成物の固形分(モノマーを含み、溶剤を除く)の好ましい組成は、次のとおりである。例えば、(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂:56〜90重量%、好ましくは62〜86重量%、(B)成分の二官能の(メタ)アクリレート等のモノマーからなる樹脂成分:9〜33重量%、好ましくは10.4〜27.9重量%、(C)成分の光重合開始剤:0.5〜11重量%、好ましくは0.8〜6.3重量%、増感剤:0〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、他の樹脂、(メタ)アクリレート等のモノマーからなる樹脂成分:0〜26.4重量部、好ましくは1.3〜6.2重量部とすることができる。
また、本発明の難燃性感光性樹脂組成物の固形分(モノマーを含み、溶剤を除く)の好ましい組成は次のとおりである。例えば、(A)成分のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂:56〜90重量%、好ましくは62〜86重量%、(B)成分の二官能の(メタ)アクリレート等のモノマーからなる樹脂成分:6.6〜33重量%、好ましくは10.4〜27.9重量%、(C)成分の光重合開始剤:0.5〜11重量%、好ましくは0.8〜6.3重量%、(D)成分の有機ホスフィン酸の金属塩:10〜26重量%、好ましくは12〜20重量%、増感剤:0〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、他の樹脂、(メタ)アクリレート等のモノマーからなる樹脂成分:0〜26.4重量部、好ましくは1.3〜6.2重量部とすることができる。
本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)においては、樹脂成分に上記各種添加物や溶剤を、好ましくは上記比率で配合し、均一に混合することによって柔軟性ならびに諸特性を発現させることができる。そして、本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)は、粘性液体、ワニス状、インク状の形態や、これらを基材フィルム上に塗布、乾燥して得られるフィルム状、シート状等の形態とすることができる。
[回路配線基板への適用]
本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)は、公知の方法に従って使用することができるが、回路配線基板に適用する場合には、スクリーン印刷機やコーターを用いて回路配線基板に5〜100μmの厚さ、好ましくは10〜40μmの厚さで直接塗工することが可能である。塗工された組成物は、50〜120℃の温度で適度に予備乾燥し、その後、所定のマスクパターンを形成したフォトマスクを用いて選択的に露光し、アルカリ水溶液にて現像することにより未露光部を除去し、例えば120〜200℃の温度で20〜120分間熱処理を行うことにより、残存した露光部を硬化させ、パターニングされたネガ型の絶縁被膜とすることが可能である。本発明の感光性樹脂組成物を光重合させる際の光の波長は、例えば200〜400nmの範囲内であり、特に300〜400nmの範囲内の波長の光を用いることが好ましい。
ここで、本発明の感光性樹脂組成物を現像可能なアルカリ水溶液としては、例えば炭酸ナトリウム溶液、炭酸カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸水素ナトリウム溶液、水酸化テトラメチルアンモニウムを使用することができる。アルカリ水溶液の濃度は、例えば、炭酸ナトリウムの場合は0.1〜10重量%とすることができる。このように、本発明の感光性樹脂組成物は、希アルカリ水溶液による現像が可能であるため、環境汚染や火災の防止の点で有利である。
また、本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)は、あらかじめフィルム状に形成しておき、それを回路配線基板にラミネートする方法も採用することができる。ラミネートにより得られた回路配線基板は、上記と同様の露光、現像、熱硬化を行うことによりパターニングし、ネガ型の絶縁被膜とすることができる。
このように、本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)を回路配線基板に塗布又はラミネートして得られた回路配線基板と感光性樹脂層とを有する積層体は、当該感光性樹脂組成物の硬化物(絶縁被膜)が柔軟性に優れることから、屈曲性に優れ、かつ反りの発生が少ないため、例えばソルダーレジストやメッキレジストなどとして、特にフレキシブル配線基板の加工に好ましく用いることができる。その他、本発明の感光性樹脂組成物(又は難燃性感光性樹脂組成物)を用いた回路配線基板は、硬化物の耐熱性、耐メッキ性、耐湿性等の特性のバランスがよいことから、これらの特性が要求される各種の用途に適している。
[フィルム状感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、予め離型処理されたPETフィルム等の基材に、例えば5〜100μmの厚さ、好ましくは10〜50μmの厚さで感光性樹脂組成物の溶液を塗工し、50〜210℃、好ましくは80〜140℃で仮乾燥を行うことによって、フィルム状感光性樹脂組成物とすることが可能である。なお、フィルム状感光性樹脂組成物を回路配線基板に適用する場合には、ラミネーターを用い、配線基板に熱圧着する方法が一般的であり、その場合のラミネート温度は20〜100℃の温度範囲が好ましい。
以上のように、本発明の感光性樹脂組成物は、二重結合などのラジカル重合性の不飽和結合とカルボン酸およびその誘導基を有するため、光又は熱等で重合して三次元構造を有する硬化物を形成する性質を有する。そして、この硬化物中にはアルキル鎖及びアミド結合部位とともに、式(1)で示されるシロキサンジアミンに由来するシロキサンユニットを豊富に含むため、柔軟性が保持される。これらのことから、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物には、通常の感光性樹脂を、単独であるいは混合して硬化させた硬化物に比べて、優れた耐熱性、耐湿性、耐メッキ性、可撓性が付与される。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
[光硬化性の評価方法]
光硬化性の評価は、以下の方法で行った。感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が25μmとなるように基材上にキャストし、評価用マスクを用いて露光機(株式会社ハイテック製、高圧水銀灯)を用いて365nmの波長の光で露光した。現像は1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃、40〜200秒で行い、高圧リンスにて洗浄を行った。露光量が500mJ以下で、膜減りすることなく、径500μmのビアホールが解像できた場合を「良」とし、できなかったものを「不可」とした。
[アルカリ現像液溶解性の評価方法]
アルカリ現像液溶解性の評価は、以下の方法で行った。感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が25μmとなるように基材上にキャストし、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30℃で処理した後、高圧リンスにて洗浄を行い、感光性樹脂層が300秒以内に完全に溶解した場合を「良」とし、できなかったものを「不可」とした。
[タック性の評価方法]
タック性の評価は、以下の方法で行った。感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が25μmとなるように基材上にキャストしたものについて、表面にべたつきがないものを「良」、べたつきがあるものを「不可」とした。
[難燃性の評価方法]
難燃性の評価は、以下の方法で行った。銅箔の厚さが12μm、ポリイミド樹脂層の厚さが25μmのフレキシブル基板(新日鐵化学株式会社製;商品名エスパネックス)の銅箔をエッチングして除去した。残ったポリイミドフィルムに、厚さ25μmの感光性樹脂フィルム(感光性樹脂組成物をフィルム状に塗布、乾燥させたもの)を真空ラミネートで貼り合わせ、50mm×200mmの短冊状にカットした積層フィルムを試験片とした。この試験片を用いて、UL−94規格(米国Underwriters Laboratories, Inc)に基づく燃焼試験による難燃性の度合のレベルによって評価した。試験に合格し、かつ、最初の接炎後の燃焼時間が3秒以内のものを「良」、4秒以上10秒以下で試験自体には合格なものを「可」、試験に不合格なものを「不可」とした。
[引張り伸度の評価方法]
引張り伸度の評価は、以下の方法で行った。25μmのフィルム状感光性樹脂組成物に100mJの光をあて、160℃で1時間硬化させたものを幅12.7mm、長さ60mmにカットして試験片とした。この試験片を引張試験器(RTA―250)を用いて、チャック間距離40mmにて、荷重25N、速度5.0mm/分の条件で長さ方向に引張り、測定をおこなった。元のチャック間距離を基準にし、破断するまで伸長した距離の割合を伸度とし、10%未満を「不可」、10〜20%を「可」、20%以上を「良」とした。
[反りの評価方法]
反りの評価は、以下の方法で行った。銅箔の厚さが12μm、ポリイミド樹脂層の厚さが25μmのフレキシブル基板(新日鐵化学株式会社製;商品名エスパネックス)の銅箔をエッチングして除去した。残ったポリイミドフィルムに、厚さ25μmの感光性樹脂フィルム(フィルム状の感光性樹脂組成物)を真空ラミネートで貼り合わせ、50mm×50mmの正方形にカットした積層フィルムとした。この積層フィルムの感光性樹脂層を160℃で1時間かけて硬化させ、さらにIR(赤外線式)リフロー炉(最高温度:260℃、最高温度保持時間:10秒)を通過させた。その後、平らな板上に試験片のポリイミドフィルムが下面になるように置き、フィルムの4隅の反り上がっている高さの平均を測定し、5mm以下を「良」、5mmを超える場合を「不可」とした。
[耐酸性の評価方法]
耐酸性の評価は、以下の方法で行った。銅箔の厚さが12μm、ポリイミド樹脂層の厚さが25μmのフレキシブル基板(新日鐵化学株式会社製;商品名エスパネックス)に、厚さ25μmの感光性樹脂フィルム(フィルム状の感光性樹脂組成物)を真空ラミネートで貼り合わせ、20mm×20mmの正方形にカットした積層フィルムとした。この積層フィルムの感光性樹脂層を160℃で1時間かけて硬化させ、試験片とした。この試験片を、2N塩酸水溶液中に、試験片の硬化樹脂層が下面になるように15分間浮かべた後、硬化樹脂層の表面を目視で観察し、荒れや剥がれがない場合を「良」、荒れや剥がれがある場合を「不可」とした。
[耐アルカリ性の評価方法]
耐アルカリ性の評価は、以下の方法で行った。銅箔の厚さが12μm、ポリイミド樹脂層の厚さが25μmのフレキシブル基板(新日鐵化学株式会社製;商品名エスパネックス)に、厚さ25μmの感光性樹脂フィルム(フィルム状の感光性樹脂組成物)を真空ラミネートで貼り合わせ、20mm×20mmの正方形にカットした積層フィルムとした。この積層フィルムの感光性樹脂層を160℃で1時間かけて硬化させ、試験片とした。この試験片を2N水酸化ナトリウム水溶液中に、硬化樹脂層が下面になるように15分間浮かべた後、硬化樹脂層の表面を目視で観察し、荒れや剥がれがない場合を「良」、荒れや剥がれがある場合を「不可」とした。
合成例1
窒素注入管を装備した反応器中で、式(2)のRが単結合、パラ位にアミノ基が位置し、メタ位にビニル基が位置するジアミン{2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノ-ビフェニル(VAB)}の7.1g(0.03モル)を368.4gのN−メチルピロリドン(NMP)に溶解し、式(1)における、R〜RがCH、RがCで、nが7〜8、アミン等量415のシロキサンジアミン(信越化学社製:KF−8010)を255.2g(0.303モル)加えて攪拌した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)の19.7g(0.067モル)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)の86.4g(0.267モル)およびN−メチルピロリドンの164.9gをこの順に加え、窒素雰囲気下室温中で5時間攪拌することによって目的であるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液を得た。このシロキサン含有ポリアミド酸樹脂1のNMP溶液(樹脂濃度:40.0重量%)の25℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定したところ6,800cPa・sであった。なお、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1のシロキサン変性率は91%である。
合成例2
窒素注入管を装備した反応器中で、VABの3.0g(0.013モル)を202.3g のNMPに溶解し、式(1)における、R〜RがCH、RがCで、nが7〜8、アミン等量415のシロキサンジアミン(信越化学社製:KF−8010)を141.7g(0.17モル)加えて攪拌した後、BPDAの10.7g(0.036モル)、BTDAの46.9g(0.145モル)およびNMPの101.2gをこの順に加え、窒素雰囲気下室温中で5時間攪拌することによって目的であるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂2の溶液を得た。このシロキサン含有ポリアミド酸樹脂2のNMP溶液(樹脂濃度:40.0重量%)の25℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定したところ5,600cPa・sであった。なお、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂2のシロキサン変性率は93%である。
合成例3
窒素注入管を装備した反応器中で、VABの1.2g(0.005モル)を290.9g のNMPに溶解し、式(1)における、R〜RがCH、RがCで、nが7〜8、アミン等量415のシロキサンジアミン(信越化学社製:KF−8010)を209.0g(0.249モル)加えて攪拌した後、BPDAの15.0g(0.051モル)、BTDAの65.7g(0.20モル)およびNMPの145.4gをこの順に加え、窒素雰囲気下室温中で5時間攪拌することによって目的であるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂3の溶液を得た。このシロキサン含有ポリアミド酸樹脂3のNMP溶液(樹脂濃度:40.0重量%)の25℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定したところ4,500cPa・sであった。なお、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂3のシロキサン変性率は98%である。
合成例4
窒素注入管を装備した反応器中で、286.4gのNMPに、式(1)における、R〜RがCH、RがCで、nが7〜8、アミン等量415のシロキサンジアミン(信越化学社製:KF−8010)を207.5g(0.247モル)加えて攪拌した後、BPDAの14.6g(0.049モル)、BTDAの64.3g(0.198モル)およびNMPの143.2gをこの順に加え、窒素雰囲気下室温中で5時間攪拌することによって目的であるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂4の溶液を得た。このシロキサン含有ポリアミド酸樹脂4のNMP溶液(樹脂濃度:40.0重量%)の25℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定したところ3,900cPa・sであった。なお、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂4のシロキサン変性率は100%である。
合成例5
窒素注入管を装備した反応器中で、VABの7.1g(0.030モル)を155.8gのNMPに溶解し、式(1)における、R〜RがCH、RがCで、nが7〜8、アミン等量415のシロキサンジアミン(信越化学社製:KF−8010)を99.6g(0.120モル)加えて攪拌した後、BPDAの8.9g(0.030モル)、BTDAの38.9g(0.120モル)およびNMPの77.9gをこの順に加え、窒素雰囲気下室温中で5時間攪拌することによって目的であるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂5の溶液を得た。このシロキサン含有ポリアミド酸樹脂5のNMP溶液(樹脂濃度:40.0重量%)の25℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定したところ7,600cPa・sであった。なお、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂5のシロキサン変性率は80%である。
実施例1
合成例1で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液(シロキサン含有ポリアミド酸樹脂として100重量部。以下、同じ)に対して、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:R−551)20重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:PET−30)10重量部、光重合開始剤(Ciba Specialty Chemicals Inc.製、商品名:OXE−02)1重量部を配合し、ワニス状の感光性樹脂組成物を得た。これを予め離型処理されたPETフィルム上に塗工し、120℃で8分間乾燥させることで、フィルム状感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:HX−620)20重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:NPGDA)20重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD R−167)20重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液の代わりに、合成例2で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂2の溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液の代わりに、合成例2で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂2の溶液を使用したこと、及びビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(R−167)20重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表1に示す。
実施例7
実施例1において、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液の代わりに、合成例3で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂3の溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表2に示す。
実施例8
実施例1において、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液の代わりに、合成例3で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂3の溶液を使用したこと、及びビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(R−167)20重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表2に示す。
実施例9
実施例1において、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液の代わりに、合成例4で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂4の溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表2に示す。
実施例10
実施例1において、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液の代わりに、合成例4で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂4の溶液を使用したこと、及びビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(R−167)20重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表2に示す。
実施例11
実施例1において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(R−167)15重量部配合したこと、及びペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30)10重量部配合の代わりに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30)15重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表2に示す。
実施例12
実施例1において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(R−167)10重量部配合したこと、及びペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30)10重量部配合の代わりに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30)20重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表2に示す。
実施例13
合成例1で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液(シロキサン含有ポリアミド酸樹脂として100重量部)に対して、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:R−551)20重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:PET−30)10重量部、光重合開始剤(Ciba Specialty Chemicals Inc.製、商品名:OXE−02)1重量部、イントメッセント系難燃剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブFP−2100)40重量部を配合し、ワニス状の感光性樹脂組成物を得た。これを予め離型処理されたPETフィルム上に塗工し、120℃で8分間乾燥させることで、フィルム状感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表3に示す。
実施例14
実施例13において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD R−167)20重量部配合したこと以外は実施例13と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表3に示す。
実施例15
実施例13において、イントメッセント系難燃剤(FP−2100)40重量部配合の代わりに、ホスフィン酸のアルミニウム塩(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:エクソリットOP935、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、リン含有量23%、平均粒径2μm)30重量部配合したこと以外は実施例13と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表3に示す。
実施例16
実施例13において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)20重量部配合の代わりに、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(R−167)20重量部配合したこと、及びイントメッセント系難燃剤(FP−2100)40重量部配合の代わりに、ホスフィン酸のアルミニウム塩(OP935)30重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表3に示す。
比較例1
実施例1において、シロキサン含有ポリアミド酸樹脂1の溶液の代わりに、合成例5で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂5の溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表4に示す。
比較例2
実施例1において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド平均4モル付加物のジアクリレート(R−551)を使用しなかったこと、及びペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30)10重量部配合の代わりに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30)30重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得、フィルム状の感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表4に示す。
比較例3
合成例5で得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂5の溶液(シロキサン含有ポリアミド酸樹脂として100重量部。以下、同じ)に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30)30重量部、光重合開始剤(OXE−02)1重量部、ホスフィン酸のアルミニウム塩(OP935)30重量部配合し、ワニス状の感光性樹脂組成物を得た。これを予め離型処理されたPETフィルム上に塗工し、120℃で8分間乾燥させることで、フィルム状感光性樹脂組成物とした。この感光性樹脂組成物の配合割合と特性の評価結果を表4に示す。
以上の結果をまとめて、表1〜4に示す。なお、表中の「部」は重量部を意味する。
Figure 0005269651
Figure 0005269651
Figure 0005269651
Figure 0005269651
上記表1〜表4に示されるように、シロキサン変性率が85〜100%の範囲内のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂と二官能の(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を含有する実施例1〜16の感光性樹脂組成物の硬化物を積層した基板では、リフロー処理と同等な条件で加熱を行っても、反りが抑制され、さらに、光硬化性、溶解性、タック性、引張り伸度、耐酸性などの特性も良好であり、回路配線基板のカバー材としての用途に適していることが確認された。特に、(B)成分として水酸基を有する二官能の(メタ)アクリレート化合物を使用した実施例4、6、11、12、14および16では、耐アルカリ性にも優れており、配線基板の製造過程で必要な、配線への無電解金メッキ処理工程などの処理の際に表面あれが発生しにくいことがわかった。さらに、(A)〜(C)成分に加え、難燃剤として有機ホスフィン酸の金属塩を配合した感光性樹脂組成物を使用した実施例15および16では、硬化物が難燃性に優れていることが示された。
一方、シロキサン変性率が80%のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂を使用した比較例1および比較例3、二官能以外のアクリレート化合物を用いた比較例2では反りが大きく発生した。また、比較例3の感光性樹脂組成物では、実施例15および16と同じ難燃剤を配合しても十分な難燃性が得られなかった。
以上、本発明の実施の形態を述べたが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (6)

  1. 下記成分(A)〜(D)、
    (A)シロキサン含有ポリアミド酸樹脂、
    (B)二官能の(メタ)アクリレート、
    (C)光重合開始剤、及び
    (D)有機ホスフィン酸の金属塩
    を含有する難燃性感光性樹脂組成物であって、
    (A)成分は、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、シロキサンジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン変性率が85〜100%の範囲内のシロキサン含有ポリアミド酸樹脂であり、(A)成分100重量部に対し、(B)成分を5〜60重量部、(C)成分を0.5〜20重量部、(D)成分を20〜40重量部含有することを特徴とする難燃性感光性樹脂組成物。
  2. (A)成分の原料であるジアミン成分が、シロキサンジアミンと、ラジカル重合性の不飽和結合を有する芳香族ジアミンと、を含有し、全ジアミン成分100モルに対し、シロキサンジアミンを85〜95モル含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性感光性樹脂組成物。
  3. (B)成分が、水酸基を有する二官能の(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項2に記載の難燃性感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性感光性樹脂組成物を、溶剤に溶解してなるワニス状の難燃性感光性樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載のワニス状の難燃性感光性樹脂組成物を、基材フィルム上に塗布、乾燥してなるフィルム状の難燃性感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性感光性樹脂組成物を、パターニングされた導体層を有する回路配線基板上に被膜として形成した後、露光、現像、硬化してネガ型の絶縁被膜を形成してなる回路配線基板。
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