JP2004325980A - 貯蔵安定性の良い感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、良好なパターンが得られ、さらにアルカリへの溶解性の経時変化の小さい感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用方法を提供する。
【解決手段】(A)重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、並びに(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分とする感光性樹脂組成物、これから作製される感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、並びに(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分とする感光性樹脂組成物、これから作製される感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用を提供する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、かつ良好なパターン形状が得られる、感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用に関する。特に、可溶性ポリイミド、(メタ)アクリル系化合物、及び特定の添加剤を必須成分とする、感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高機能化、小型化、軽量化に伴い、これら電子機器に用いられる電子部品に対しても、さらなる小型化、軽薄化が要求されている。そのため、プリント配線板上での半導体素子などの高密度実装や、配線の微細化、プリント配線板の多層化等を行うことにより、電子部品の高機能化や高性能化を図ることが求められている。また、配線の微細化に対応するためには、配線を保護するためにより高い電気絶縁性を有する絶縁材料が必要である。
【0003】
ところで、上記プリント配線板を作製する際には、種々の用途で感光性材料が用いられる。すなわち、プリント配線板の基板上へパターン化された回路(パターン回路)の形成や、プリント配線板表面やパターン回路を保護するための保護層の形成、多層のプリント配線板の層間絶縁層の形成等に、感光性材料が使用されている。このような用途に用いられる感光性材料として、液状の感光性材料や、フィルム状の感光性材料がある。このうち、フィルム状の感光性材料は、液状の感光性材料に比べて、膜厚の均一性や作業性に優れているといった利点を備えている。そのため、パターン回路の形成に用いるパターン回路用レジストフィルム、上記保護層の形成に用いる感光性カバーレイフィルム、上記層間絶縁層の形成に用いる感光性ドライフィルムレジスト等、その用途に応じて、種々のフィルム状感光性材料も用いられている。
【0004】
上記感光性カバーレイフィルムや感光性ドライフィルムレジスト(以下、両者を感光性ドライフィルムレジストと総称する)としては、ポリイミド樹脂を含有してなるもの(例えば、特許文献1参照)、アクリル系樹脂を含有してなるもの(例えば、非特許文献1参照)、エポキシ樹脂を含有してなるもの(例えば、非特許文献2参照)等が知られている。
【0005】
一方、水系現像が可能な感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストとしては、カルボキシル基を導入したアクリル系樹脂をベースポリマーとして用いる感光性ドライフィルムレジストが従来から知られているが、耐熱性、電気絶縁性、耐アルカリ性、残膜率が低く、現像プロセスウィンドウが狭い等、実用に供するには多くの問題点を有していた。
【0006】
また、これらの感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストは、通常0℃〜10℃の冷蔵庫中で貯蔵されるが、使用時に室温で放置すると、例えば、感光性樹脂組成物ワニスの粘度が上昇したり、感光性ドライフィルムレジストの現像液(例えば、アルカリ水溶液)に対する溶解性(現像性)が変化したりする問題があった。このような変化が起きると上記パターンの現像条件が日々変化するため、プリント配線板などの生産性が低下するという問題もあった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−335619号公報(公開日:平成13(2001)年12月4日)
【0008】
【非特許文献1】
日立化成テクニカルレポートNo.37(2001−7)
【0009】
【非特許文献2】
「光硬化技術実用ガイド」(2002)市村国宏 テクノネット社
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題が解決され、特に貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、かつ良好なパターン形状が得られる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、感光性樹脂組成物の材料として、重合性官能基を有する可溶性ポリイミド、(メタ)アクリル系化合物、さらに特定の添加剤を必須成分として用いれば、貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、良好なパターンが得られ、さらに現像液に対する溶解性の経時変化を小さくすることが可能であることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の第1は、(A)重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、並びに(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分とする感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
好ましい実施態様は、上記(A)成分の重合性官能基が、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、上記の感光性樹脂組成物に関する。
【0014】
更に好ましい実施態様は、上記(C)成分が、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ニトロソアミン系化合物、芳香族アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、上記いずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0015】
更に好ましい実施態様は、感光性樹脂組成物のワニスを室温で7日間放置した場合の粘度上昇率が0%以上20%以下であることを特徴とする上記いずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0016】
本発明の第2は、上記いずれかに記載の感光性樹脂組成物から作製される感光性ドライフィルムレジストに関する。
【0017】
好ましい実施態様は、現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いるとともに、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下における溶解時間が、20秒〜180秒の範囲であることを特徴とする、上記の感光性ドライフィルムレジストに関する。
【0018】
更に好ましい実施態様は、現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用い、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下における溶解時間の変化量が、室温で7日間放置した前後で、±20%の範囲内であることを特徴とする、上記いずれかに記載の感光性ドライフィルムレジストに関する。
【0019】
本発明の第3は、上記いずれかに記載の感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護フィルムとして用いることを特徴とする、プリント配線板に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る、(A)重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、さらに(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分とする感光性樹脂組成物を用いれば、従来の問題点を解決でき、貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、かつ良好なパターン形状を得られる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストを提供できる。なお、本発明の感光性ドライフィルムレジストは、本発明の感光性樹脂組成物から作製されるものである。
【0021】
本発明に係る感光性樹脂組成物には、上記(A)、(B)、(C)成分以外の、(D)その他の成分が含有されていてもよい。例えば、必要に応じて、感光性ドライフィルムレジストに接着性、耐熱性、耐屈曲性等の諸物性を付与するような各種添加剤を含有してもよい。
【0022】
一般に、感光性樹脂組成物は、1種類以上のポリマー成分と1種類以上のオリゴマー成分を含有しているが、本発明においては、当該感光性樹脂組成物の中で含有重量の最も大きいポリマー成分をベースポリマーと称する。なお、本発明では、ベースポリマーとして(A)重合性官能基を有する可溶性ポリイミドを用い、(A)、(B)、(C)成分以外のポリマーは(D)その他の成分に含有されるものとみなす。以下、各成分について、詳細に説明する。
【0023】
<(A)可溶性ポリイミド>
本発明においては、(A)成分として、可溶性ポリイミドを用いることにより、得られる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストに、耐熱性、耐屈曲性、優れた機械特性、電気絶縁性、耐薬品性を付与することができる。
【0024】
なお、可溶性ポリイミドとは、有機溶媒に溶解するポリイミドであれば特に限定されるものではないが、有機溶媒100gに対して、20℃で1.0g以上の溶解性を示すものが好ましい。より望ましくは20℃で5.0g以上の溶解性を示し、さらに望ましくは、20℃で10g以上の溶解性を示すものがよい。有機溶媒100gに対する20℃での溶解性が1.0g未満であると、所望する厚みにて、感光性ドライフィルムレジストフィルムを形成することが困難になる場合がある。
【0025】
上記有機溶媒としては、特に限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等を例示することができる。
【0026】
本発明においては、ある程度の厚みの感光性ドライフィルムレジストを得るため、テトラヒドロフラン100gに対して、20℃で1.0g以上の溶解性を示す可溶性ポリイミドであることが好ましい。
【0027】
さらに、上記可溶性ポリイミドは、重量平均分子量の下限値が5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。一方、重量平均分子量の上限値は、100000以下であることが好ましく、80000以下であることがより好ましく、50000以下であることが特に好ましい。上記重量平均分子量が5000未満であると、これを用いて作製される感光性ドライフィルムレジストにベタツキが生じやすく、フィルムの取り扱い性が悪化し、さらに硬化後のフィルムの耐屈曲性に劣るという傾向があり好ましくない。逆に、重量平均分子量が100000を超えると、可溶性ポリイミドの溶液の粘度が高くなるため使用しにくく、また作製される感光性ドライフィルムレジストの現像性が低下するという問題がある。なお、上記可溶性ポリイミドの重量平均分子量は、液体クロマトグラフィー(GPC)、具体的には、例えば、東ソー社製高速GPC(製品名HLC−8220GPC)により測定することが可能である。
【0028】
なお、重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を有する可溶性ポリイミドとしては、例えば、カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドを合成し、それを変性することにより合成することができる。まず、カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドの製造方法について説明し、さらに変性方法について説明する。
【0029】
<カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド>
本発明で用いる可溶性ポリイミドは、水系現像を可能とするために、側鎖にカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドであることが好ましい。以下、カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドの製造方法について詳細に説明する。
【0030】
<ポリイミドの製造方法>
上記カルボキシル基及び/又は水酸基を含有するポリイミド樹脂は、その前駆体であるポリアミド酸から得ることができる。このポリアミド酸は、有機溶媒中でジアミンと酸二無水物と反応させることにより得られる。具体的には、例えば、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気中において、ジアミンを有機溶媒中に溶解させる、或いはスラリー状に拡散させて、ジアミン溶液とする。一方、酸二無水物は、有機溶媒に溶解させる、或いはスラリー状に拡散させた状態とした後、あるいは固体の状態で、上記ジアミン溶液中に添加すればよい。
【0031】
以下、上記ポリイミドの製造方法を説明するために、ポリアミド酸の合成方法、及びポリアミド酸を脱水閉環してイミド化を行い、ポリイミドを得る方法について詳細に説明する。
【0032】
<ポリアミド酸の合成>
本発明において、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有するポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を合成するために用いられるジアミンとしては、特に限定されるものではないが、後述する水系現像を可能とするために、1分子中に1つ以上のカルボキシル基及び/又は水酸基を有するジアミンを原料の少なくとも一部として用いることが好ましい。また、耐熱性や耐薬品性の点から、1分子中に1つ以上の芳香環を有する芳香族系ジアミンを原料の少なくとも一部として用いることが好ましい。特に、1分子中に1つ以上のカルボキシル基及び/又は水酸基を有する芳香族系ジアミンを原料の一部として用いれば、得られる感光性ドライフィルムレジストに、耐熱性と水系現像性を付与することができる点から、好ましい。水系現像についての詳細は後述するが、アルカリ水溶液で現像できることを示す。
【0033】
水酸基及び/又はカルボキシル基を含有する芳香族系ジアミンとしては、1分子中に1つ以上の水酸基及び/又はカルボキシル基を含有する芳香族系ジアミンであれば特に限定されないが、特に、次の一般式(1):
【0034】
【化1】
(式中、R1は水酸基又はカルボキシル基、R2は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は−COOR3(R3は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を示す。)であり、Xは−O−、―CO−、−COO−、−SO2−、−(単結合)、−CH2−、−C(CH3)2−、又は−C(CF3)2−を示し、m及びpは、各々m+p=4を満たす0以上の整数、n及びqは、各々n+q=4を満たし、かつnは0以上の整数、かつqは0以上の整数、rは0〜10の整数である。)
で表される芳香族系ジアミンを可溶性ポリイミドの原料の一部として用いることが好ましい。
【0035】
カルボキシル基を含有する芳香族系ジアミンとしては、例えば、3,5−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル化合物類;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類;4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)フェニル]プロパン等のビス(ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン化合物等を例示することができる。
【0036】
特に好ましいカルボキシル基含有芳香族系ジアミンとしては、
【0037】
【化2】
が例示され得る。
【0038】
また、水酸基を含有する芳香族系ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、2,2’−ジアミノビスフェノールA、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(群栄化学(株)製、製品名bis−AP−AF)、ビス(2−ヒドロキシ−3−アミノ−5−メチルフェニル)メタン、2,6−ジ{(2−ヒドロキシ−3−アミノ−5−メチルフェニル)メチル}−4−メチルフェノール、2,6−ジ{(2−ヒドロキシ−3−アミノ−5−メチルフェニル)メチル}−4−ヒドロキシ安息香酸プロピル等の化合物を挙げることができる。
【0039】
特に好ましい水酸基含有芳香族系ジアミンの構造式としては、
【0040】
【化3】
が例示され得る。
【0041】
上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するジアミン以外に他のジアミンを原料の一部として同時に用いてもよい。例えば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、シロキサン構造の両末端にアミノ基を含有する反応性シリコーン(以下、シリコンジアミンと称する)、[ビス(4−アミノ−3−カルボキシ)フェニル]メタンなどを挙げることができる。上記ジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、ポリアミド酸を合成するために用いられる酸二無水物としては、カルボン酸二無水物であれば特に限定されないが、耐熱性を向上させる点から、芳香環を1〜4個有する酸二無水物または脂環式の酸二無水物を用いることが好ましい。また、有機溶媒への溶解性が高いポリイミドを得るためには、芳香環を2個以上有する酸二無水物を少なくとも一部用いることが好ましく、芳香環を4個以上有する酸二無水物を少なくとも一部として用いることがより好ましい。
【0043】
上記の酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−2,5,3’,5’−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−(ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン)等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。上記酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
上記酸二無水物のうち、耐熱性の点から、特に、(2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート)−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等の芳香環を2個以上有する酸二無水物を一部用いることが好ましい。
【0045】
上記ジアミンと酸二無水物とを用いてポリアミド酸を合成する場合、上記ジアミンと酸二無水物とを、それぞれ少なくとも1種類ずつ用いて反応を行えばよい。すなわち、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有するジアミンを少なくとも一部として含むジアミン成分と、上記酸二無水物とを用いて、上述したように、有機溶媒中で重合反応を行うことにより、水酸基及び/又はカルボキシル基を分子鎖中に1つ以上含有するポリアミド酸を得ることができる。
【0046】
このとき、ジアミン1種と酸二無水物1種が実質上等モルであれば、酸成分1種及びジアミン成分1種のポリアミド酸が得られる。また、2種以上の酸二無水物成分及び2種以上のジアミン成分を用いる場合、複数のジアミン成分全量のモル比と複数の酸二無水物成分全量のモル比とを、実質上等モルに調整しておけば、ポリアミド酸共重合体を任意に得ることもできる。
【0047】
上記ジアミンと酸二無水物の反応(ポリアミド酸の合成反応)の温度条件は、特に限定されないが、反応溶液の急激な粘度上昇を抑える点から、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは0〜50℃がよい。また、反応時間は30分〜50時間の範囲で任意に設定すればよい。
【0048】
さらに、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒としては、有機極性溶媒であれば特に限定されるものではない。しかしながら、上記ジアミンと酸二無水物との反応が進行するにつれてポリアミド酸が生成し、反応液の粘度が上昇する。また、後述するように、ポリアミド酸を合成して得られるポリアミド酸溶液を、減圧下で加熱して、有機溶媒の除去とイミド化を同時に行うことができる。そのため、上記有機溶媒としては、ポリアミド酸を溶解でき、かつ、なるべく沸点の低いものを選択することが工程上有利である。
【0049】
具体的には、ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンやN−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。
【0050】
また、生成するポリアミド酸の重量平均分子量は、1000〜100000であることが望ましい。重量平均分子量が1000未満では、ポリアミド酸を用いて最終的に得られるポリイミド樹脂の分子量も低くなり、該ポリイミド樹脂をそのまま用いても、得られる感光性フィルム層が脆くなる傾向にある。これに対し、重量平均分子量が100000を越えると、得られるポリアミド酸溶液の粘度が高くなる傾向にあり、取扱いが困難となる場合がある。
【0051】
<ポリアミド酸のイミド化>
次に、上記ポリアミド酸を用いて、ポリイミドを得るために、上記ポリアミド酸をイミド化する方法について説明する。イミド化は、ポリアミド酸を脱水閉環することによって行われる。この脱水閉環は、共沸溶媒を用いた共沸法、熱的手法または化学的手法によって行うことができる。
【0052】
共沸溶媒を用いた共沸法は、ポリアミド酸溶液にトルエン、キシレン等の共沸溶媒を加え共沸により水を積極的に系外へ除去すればよい。
【0053】
熱的手法による脱水閉環は、ポリアミド酸溶液を加熱して行えばよい。あるいは、ガラス板、金属板、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のフィルム状支持体に、ポリアミド酸溶液を流延または塗布した後、80℃〜300℃の範囲内で熱処理を行えばよい。さらに、フッ素系樹脂でコートしたような離型処理を施した容器に直接ポリアミド酸溶液を入れ、減圧下で加熱乾燥することによって、ポリアミド酸の脱水閉環を行うこともできる。このような熱的手法によるポリアミド酸の脱水閉環により、イミド化することができる。
【0054】
なお、上記各処理の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量や加熱温度により異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分〜5時間の範囲で行うことが好ましい。
【0055】
一方、化学的手法による脱水閉環は、上記ポリアミド酸溶液に、脱水剤と、必要に応じて触媒として、例えば、触媒量の第3級アミンとを加えて、加熱処理を行えばよい。なお、この加熱処理は、上記の熱的手法にて行った加熱処理を指すものとする。これにより、イミド化することができる。
【0056】
化学的手法にて用いた上記脱水剤としては、一般的には、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物が用いられる。また、上記第3級アミンとしては、ピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、イミダゾ−ル、ピコリン等を用いればよい。
【0057】
なお、本発明のポリイミドがフェノール性水酸基を有する場合には、脱水剤として加える酸無水物と水酸基との反応が考えられるため、用いる酸無水物は化学量論的にイミド化に必要な最低限の量にすることが好ましい。
【0058】
上記のようにして合成した可溶性ポリイミドのうち、カルボキシル基を含有する可溶性ポリイミドは、カルボキシル基1個あたりの重量平均分子量(以下、カルボキシル基当量という)が、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、1000以下であることが最も好ましい。また、水酸基を含有する可溶性ポリイミドは、水酸基1個あたりの重量平均分子量(以下、水酸基当量という)は、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、1000以下であることが最も好ましい。
【0059】
カルボキシル基当量又は水酸基当量が5000を超えると、該ベースポリマーを用いた感光性ドライフィルムレジストの水系現像が困難になる傾向がある。上記可溶性ポリイミドのカルボキシル基当量又は水酸基当量は、該ベースポリマーの原料の分子量及び仕込み量の重量比より計算して求めることが可能である。
【0060】
<重合性官能基を含有する可溶性ポリイミド>
本発明で用いる可溶性ポリイミドは、後述する露光処理において、可溶性ポリイミドと(メタ)アクリル系化合物とを架橋反応させるため、若しくは可溶性ポリイミド分子同士を架橋反応させるために、重合性官能基を含有することを特徴とするが、中でも原料の入手容易性と反応性の点から、ビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基を含有することがより好ましい。なお、上記可溶性ポリイミドは、前述した官能基以外の炭素間不飽和結合を有する官能基を有していてもよい。
【0061】
例えば、側鎖にビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基を含有するポリイミドは、前述したカルボキシル基及び/又は水酸基を含有するポリイミドに、その水酸基若しくはカルボキシル基と反応可能な官能基、例えばエポキシ基を有し、かつビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基を有する化合物を反応させ、変性すればよい。
【0062】
上記の1分子中にエポキシ基及びビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基の両方を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0063】
また、上記のその他の炭素間不飽和結合を有する化合物としては、例えば、1分子中にエポキシ基及び炭素間三重結合を有する化合物が例示され、例えば、プロパルギルグリシジルエーテル、グリシジルプロピオネ−ト、エチニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0064】
このようにして得られた上記重合性官能基を含有する可溶性ポリイミドは、良好な硬化性や接着性を有している。
【0065】
<(B)(メタ)アクリル系化合物>
次に(B)成分である(メタ)アクリル系化合物について説明する。本発明に係る感光性樹脂組成物中に前記(B)成分を含有することにより、作製される感光性ドライフィルムレジストの熱加工時での粘弾性を下げ、熱ラミネート時の流動性を付与することができる。すなわち、比較的低温での熱ラミネートが可能となり、回路の凹凸を埋め込むことができる。具体的には、ポリイミドフィルムや電解銅箔の光沢面に対して150℃以下での熱ラミネートも可能となる。
【0066】
本発明において(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる化合物を示す。なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを指すものとする。
【0067】
上記(メタ)アクリル系化合物は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせてもよい。本発明における感光性樹脂組成物に含有される(メタ)アクリル系化合物の総重量は、(A)成分である可溶性ポリイミド100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内で用いることが好ましく、5〜80重量部の範囲内で用いることがより好ましく、10〜50重量部の範囲内で用いることがさらに好ましい。可溶性ポリイミド100重量部に対して、100重量部を超える(メタ)アクリル系化合物を用いると、感光性ドライフィルムレジストの耐熱性が低下し、ラミネート処理時に、(メタ)アクリル系化合物がしみ出してしまう可能性がある。
【0068】
前記(B)成分である(メタ)アクリル系化合物として、1分子中に少なくとも1つ以上のエポキシ基及び1つ以上の(メタ)アクリル基を含有するエポキシ(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。このようなエポキシ(メタ)アクリレートを用いることにより、得られる感光性ドライフィルムレジストの耐加水分解性及び銅箔への接着強度を向上させることが可能となる。
【0069】
1分子中に少なくとも1つ以上のエポキシ基及び1つ以上の(メタ)アクリル基を含有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、グリシジルメタクリレート等のグリシジル化合物、NKオリゴEA−1010、EA−6310(新中村化学製)等を挙げることができる。
【0070】
また、前記の(メタ)アクリル系化合物として、上記のエポキシ(メタ)アクリレートのほかに、ウレタン(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、及び上記以外の(メタ)アクリル化合物を用いることができる。
【0071】
前記(B)成分として、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに柔軟性を付与することができる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、アロニックスM−1100、M−1310(東亞合成製)、カラヤッドUX−4101(日本化薬製)等を挙げることができる。
【0072】
前記(B)成分として、例えば、イミド(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストを貼り合わせる基材(例えば、ポリイミドフィルム、銅箔等)への密着性を向上させることができる。イミド(メタ)アクリレートとしては特に限定されないが、例えばアロニックスTO−1534、TO−1429、TO−1428(東亞合成製)を挙げることができる。
【0073】
さらに、前記(B)成分として、上記に示した以外の(メタ)アクリル化合物を用いることができる。上記(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されないが、後述する光照射による架橋密度を向上するためには、少なくとも2つ以上の炭素間二重結合を有する多官能の(メタ)アクリル化合物を用いることが望ましい。また、得られる感光性ドライフィルムレジストに耐熱性を付与するために、1分子中に芳香環及び/又は複素環を少なくとも1つ有する化合物を用いることが好ましい。
【0074】
1分子中に芳香環及び/又は複素環を少なくとも1つ有し、かつ炭素間二重結合を少なくとも2つ有する(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されないが、例えば、アロニックスM−210、M−211B(東亞合成社製)、NKエステルABE−300、A−BPE−4、A−BPE−10、A−BPE−20、A−BPE−30、BPE−100、BPE−200(新中村化学製)等のビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、アロニックスM−208(東亞合成製)等のビスフェノールF EO変性(n=2〜20)ジ(メタ)アクリレート、デナコールアクリレートDA−250(ナガセ化成製)、ビスコート#540(大阪有機化学工業製)等のビスフェノールA PO変性(n=2〜20)ジ(メタ)アクリレート、デナコールアクリレートDA−721(ナガセ化成製)等のフタル酸PO変性ジアクリレート等を挙げることができる。さらに、芳香環は含まないが、アロニックスM−215(東亞合成製)等のイソシアヌル酸 EO 変性ジアクリレートやアロニックスM−315(東亞合成製)、NKエステルA−9300(新中村化学製)等のイソシアヌル酸 EO 変性トリアクリレートなどを挙げることができる。
【0075】
なお、上記EO変性とは、エチレンオキサイド変性部位を有することを示し、PO変性とは、プロピレンオキサイド変性部位を有することを示す。
【0076】
上記(メタ)アクリル化合物のうち、1分子内のエチレンオキサイド変性(EO変性)部位の繰り返し単位(―(CH2CH2O)−)の数、または、1分子内のプロピレンオキサイド変性(PO変性)部位の繰り返し単位(―(CH(CH3)CH2O)−)の数が10以上である(メタ)アクリル化合物を用いることが特に好ましい。上記の繰り返し単位を10以上有することにより、作製される感光性ドライフィルムレジストにラミネート処理時の熱流動性を付与することができ、さらにアルカリ水溶液への溶解性を向上することもできる。
【0077】
上記のようなEO変性部位の繰り返し単位、または、PO変性部位の繰り返し単位の数を10以上有してなる(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されないが、例えば、NKエステル A−BPE−10、A−BPE−20、A−BPE−30、BPE−100、BPE−200(新中村化学製)等のビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF EO変性(n=10〜20)ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA PO変性(n=10〜20)ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0078】
このようなEO変性部位の繰り返し単位、またはPO変性部位の繰り返し単位の数を10以上有してなる(メタ)アクリル化合物は、本発明の感光性樹脂組成物に含有されるすべての(メタ)アクリル系化合物の総重量に対して、少なくとも10重量部含有されていることが好ましく、少なくとも20重量部以上含有されていることがより好ましい。
【0079】
<(C)重合禁止剤、安定剤、酸化防止剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、(A)成分である可溶性ポリイミド及び/又は(B)成分である(メタ)アクリル系化合物に含有される、例えばビニル基、アクリル基、メタクリル基等の重合性官能基が、感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストの貯蔵中に架橋反応するのを防止するため、(C)成分として、重合禁止剤、安定剤、酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する。
【0080】
前記重合禁止剤としては、重合禁止剤、重合抑制剤として一般的に用いられているものであれば特に限定されない。安定剤としては、熱安定剤、光安定剤として一般に知られているものであれば、特に限定されない。酸化防止剤としては、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤として一般的に用いられているものであれば特に限定されない。
【0081】
上記の重合禁止剤、安定剤、酸化防止剤は、それぞれ別個の化合物であるとは限らず、例えば、1つの化合物が重合禁止剤としても酸化防止剤としても用いられる場合もあり得る。
【0082】
本発明における(C)成分である重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる添加剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノン(和光純薬(株)製、製品名DOHQ)、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ハイドロキノン(和光純薬(株)製、製品名DHHQ)等のハイドロキノン系化合物;p−ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン、t−ブチルベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン化合物;ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス1010)、N,N’−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス1098)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス3114)、ヒドロキシフェノールベンゾトリアゾール(旭電化工業(株)製、製品名アデカAO−20)等のヒンダードフェノール系化合物;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名TINUVIN P)等のベンゾトリアゾ−ル系化合物;N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン(和光純薬(株)製、製品名Q−1300)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)等のニトロソアミン系化合物;フェノチアジン、ジチオベンゾイルスルフィド、ジベンジルテトラスルフィド等の有機硫黄化合物;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピぺリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネ−ト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス144)等のヒンダードアミン系化合物;p−フェニレンジアミン(通称パラミン)、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス168)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォネート(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックスP−EPQ)等のリン系化合物などが挙げられる。
【0083】
特に、熱的な安定性の点から、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ニトロソアミン系化合物、芳香族アミンであることが好ましい。これらの化合物を用いることにより、前記重合性官能基の架橋反応を防ぐことができるため、感光性樹脂組成物の貯蔵中にその感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液の粘度の上昇を抑えることができ、感光性ドライフィルムレジストの貯蔵安定性を向上できるだけでなく、酸化防止効果もあるので樹脂の劣化を防ぐことができ、感光性樹脂組成物から作製される硬化後の感光性ドライフィルムレジストの長期耐熱性や耐加水分解性を向上させることができる。
【0084】
<(D)その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、上記(A)、(B)、(C)成分以外に、必要に応じて(D)その他の成分が含有されていてもよい。その他の成分としては、エポキシ樹脂、難燃剤、硬化促進剤及び/又は硬化剤、光反応開始剤及び/又は増感剤を挙げることができる。
【0085】
<エポキシ樹脂>
必要に応じてエポキシ樹脂を用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに銅箔やポリイミドフィルム等への接着性を向上することができる。
【0086】
上記エポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えば、製品名エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1004、エピコート1005、エピコート1007、エピコート1010、エピコート1100L(以上、油化シェル(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;製品名エピコート5050、エピコート5051、エピコート5051H等(以上、油化シェル(株)製)等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;製品名ESCN−220L、ESCN−220F、ESCN−220H、ESCN−220HH、180H65(以上、油化シェル(株)製)等のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;製品名1032H60(油化シェル(株)製)、EPPN−502H(日本化薬(株)製)、製品名ESN−375等のナフタレンアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ESN−185(新日鐵化学(株)製)等のノボラック型エポキシ樹脂;製品名YX4000H等のビフェノール型エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0087】
また、上記の他、ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラックグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等であってもよい。
【0088】
上記エポキシ樹脂のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いればよい。
【0089】
なお、上記エポキシ樹脂は、(A)成分100重量部に対し1〜100重量部の範囲内で用いることが好ましく、1〜50重量部がより好ましく、2〜30重量部の範囲内で用いることが特に好ましい。
【0090】
上記エポキシ樹脂の使用量が1重量部未満であると、得られる感光性ドライフィルムレジストの接着性が低下する場合がある。一方、100重量部を超えると耐熱性及び耐屈曲性の低下を引き起こす可能性がある。
【0091】
<難燃剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、得られる感光性ドライフィルムレジストに難燃性を付与するために、難燃剤を含有してもよい。上記難燃剤としては、特に限定されないが、リン酸エステル、縮合リン酸エステル等のリン系化合物、リン原子及び窒素原子を分子内に有するリン−窒素含有化合物、含臭素(メタ)アクリル化合物等の含臭素有機化合物、芳香族環の含有率が高いシリコーン化合物を挙げることができる。これら難燃剤のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
上記難燃剤は、上記(A)成分である可溶性ポリイミド及び(B)成分である(メタ)アクリル系化合物の総重量100重量部に対し、1〜100重量部の範囲内で用いることが好ましく、1〜50重量部の範囲内で用いることがより好ましく、1〜40重量部の範囲内で用いることが特に好ましい。
【0093】
上記難燃剤が、可溶性ポリイミド及び(メタ)アクリル系化合物の総重量100重量部に対して1重量部未満であると、十分な難燃効果が得られないために好ましくない。逆に、100重量部を超えると、Bステージ状態(半硬化の状態を言う。)の感光性ドライフィルムレジストにベタツキが見られたり、熱圧着時に樹脂がしみ出しやすくなったりする場合があり、さらに硬化物の物性に悪影響を与える傾向があるために好ましくない。
【0094】
<硬化促進剤、硬化剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物の添加剤としてエポキシ樹脂を用いた場合、作製される感光性ドライフィルムレジストの硬化を効率良く行うために、必要に応じて感光性樹脂組成物に硬化促進剤及び/又は硬化剤を添加してもよい。このような硬化促進剤、硬化剤としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂の硬化を効率良く行うためには、イミダゾ−ル系化合物、酸無水物、第3級アミン類、ヒドラジン類、芳香族アミン類、フェノール類、トリフェニルホスフィン類、有機過酸化物などを挙げることができる。これらの硬化促進剤及び/又は硬化剤のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
上記硬化促進剤及び/又は硬化剤は、(A)成分である可溶性ポリイミド100重量部に対し0.1〜20重量部の範囲内で用いることが好ましく、0.5〜20重量部の範囲内で用いることがより好ましく、0.5〜15重量部の範囲内で用いることが特に好ましい。上記硬化促進剤及び/又は硬化剤の添加量が可溶性ポリイミド100重量部に対して0.1重量部未満であると、エポキシ樹脂の硬化が十分に行われず、20重量部を超えると耐熱性の低下を引き起こす可能性がある。
【0096】
<光反応開始剤、増感剤>
作製される感光性ドライフィルムレジストに現像性を付与するために、必要に応じて、上記(D)他の成分として、光反応開始剤及び/又は増感剤を含有していてもよい。光反応開始剤及び/又は増感剤を添加してなる感光性ドライフィルムレジストを露光した場合に、露光領域にて架橋反応や重合反応を促進することができる。これにより、露光領域と未露光領域とで、感光性ドライフィルムレジストのアルカリ水溶液への溶解性を十分に異なるようにすることができ、それゆえに、感光性ドライフィルムレジスト上にパターンを好適に現像することが可能になる。
【0097】
上記光反応開始剤としては、ラジカル発生剤、光カチオン発生剤、光塩基発生剤、光酸発生剤等を挙げることができる。
【0098】
上記ラジカル発生剤としては、g線程度の長波長の光によりラジカルを発生するものが好ましく、特に限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のケトン化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物、ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン化合物を挙げることができる。特に、感度を上げる点から、ホスフィンオキサイド化合物やチタノセン化合物を用いることが好ましい。
【0099】
また、上記光カチオン発生剤としては、例えば、ジメトキシアントラキノンスルフォン酸のジフェニルヨードニウム塩等のジフェニルヨードニウム塩類、トリフェニルスルフォニウム塩類、ピリリニウム塩類、トリフェニルオニウム塩類、ジアゾニウム塩類等を挙げることができる。なお上記塩類の他、カチオン硬化性の高い脂環式エポキシやビニルエーテル化合物を混合することが好ましい。
【0100】
さらに、上記光塩基発生剤としては、ニトロベンジルアルコールやジニトロベンジルアルコールとイソシアナートの反応により得られるベンジルアルコール−ウレタン化合物、ニトロ−1−フェニルエチルアルコールやジニトロ−1−フェニルエチルアルコールとイソシアナートの反応により得られるフェニルアルコール−ウレタン化合物、ジメトキシ−2−フェニル−2−プロパノールとイソシアナートの反応により得られるプロパノ−ル−ウレタン化合物等を挙げることができる。
【0101】
また、光酸発生剤としては、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、オニウム塩等のスルホン酸を発生させる化合物、ナフトキノンジアジド等のカルボン酸を発生させる化合物を挙げることができる。あるいは、ジアゾニウム塩や、ビス(トリクロロメチル)トリアジン類等の化合物は、光の照射によりスルホン基を生成させることができるので、これら化合物も好ましく用いることができる。
【0102】
一方、上記増感剤としては、特に限定されないが、ミヒラケトン、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン等を挙げることができる。
【0103】
上記光反応開始剤及び/又は増感剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いればよい。
【0104】
上記光反応開始剤及び/又は増感剤の使用量は、上記(A)成分である可溶性ポリイミド及び(B)成分である(メタ)アクリル系化合物の総重量100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜10重量部の範囲内であることがより好ましい。上記光反応開始剤及び/又は増感剤の使用量が可溶性ポリイミドと(メタ)アクリル系化合物との総重量100重量部に対して、0.001重量部未満、或いは10重量部を超えると、増感効果が得られにくく、現像性に対して悪い影響を及ぼす可能性がある。
【0105】
また、ラジカル発生剤と増感剤とを組み合わせて用いることもできる。特に、効果的に感度を上げられる点から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のパーオキサイドと3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンとの組み合わせが好ましい。
【0106】
<感光性樹脂組成物の調製方法と感光性ドライフィルムレジストの作製方法>続いて、感光性樹脂組成物の調製方法及び感光性ドライフィルムレジストの作製方法について説明する。感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布・乾燥して作製できる。
【0107】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
まず、本発明の感光性樹脂組成物の調製方法について説明する。本発明の感光性樹脂組成物は(A)可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤、更に必要に応じて(D)その他の成分をある割合で混合したものであり、それを有機溶媒に均一に溶解させた溶液を感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液という。上記有機溶媒としては、感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解することができる有機溶媒であれば、特に限定されるものではない。上記有機溶媒としては、例えば、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。これらの有機溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、後の工程にて、上記有機溶媒の除去を行うので、上記感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解し、できるだけ沸点の低いものを選択することが、製造工程上、有利である。
【0108】
<感光性樹脂組成物のワニスの粘度>
上記のように調製した感光性樹脂組成物のワニスは、固形分重量比(Sc)が30%になるように調整し、そのワニスの粘度をB型粘度計で測定する。本発明における感光性樹脂組成物のワニスの粘度は2〜20ポイズであることが好ましい。粘度が2ポイズ未満であると、所望の厚みの感光性ドライフィルムレジストを得ることが困難になる。他方で、粘度が20ポイズを超えると、ワニスの取扱性が悪くなり、加工性に劣る傾向にある。
【0109】
本発明における感光性樹脂組成物のワニスは、調製直後の粘度に対して、該ワニスを室温で7日間放置した場合の粘度の上昇率が0%以上20%以下であることが好ましい。上記感光性樹脂組成物のワニスの粘度の上昇率が20%を超えると、ワニスの取扱性が悪くなったり、ワニスを支持体フィルム上に塗布して感光性ドライフィルムレジストを作製する際の塗布・乾燥条件等が異なるため、生産性の面から好ましくない。一方で、ワニスの粘度が減少すると、感光性ドライフィルムレジストを作製する際の塗布・乾燥条件等が異なるため、生産性の面から好ましくない。
【0110】
<感光性ドライフィルムレジストの製造方法>
続いて、例えば、上記の感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布した後、加熱及び/又は熱風吹き付けを行う。これによって、上記有機溶媒を除去し、感光性樹脂組成物がフィルム状となった感光性ドライフィルムレジストを得る。このように形成された感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ)で保ったものである。それゆえ、熱ラミネート処理等の熱圧着処理を行う場合には適度な流動性を持ち、プリント配線板のパターン回路の埋め込みを好適に行うことができる。また、パターン回路を埋め込んだ後、露光処理、熱圧着処理、加熱キュアを行うことによって、完全に硬化させることができる。
【0111】
上記加熱及び/又は熱風吹き付けを行うことによって、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を乾燥する際の温度は、感光性樹脂組成物に含有される、例えば、(メタ)アクリル基、エポキシ基などの硬化性基が反応しない程度の温度であればよい。具体的には、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることが特に望ましい。また、乾燥時間は有機溶媒を除去することが可能な範囲内で、より短い時間とすることが好ましい。
【0112】
上記支持体フィルムの材料としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。上記支持体フィルムのうち、ある程度の耐熱性を有し、比較的安価に手に入る点から、PETフィルムが多く用いられる。なお、支持体フィルムの感光性ドライフィルムレジストとの接合面については、密着性と剥離性を向上させるために表面処理されているものを用いてもよい。
【0113】
また、支持体フィルムの厚みは5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内であることがより好ましい。支持体フィルムの厚みが5μm未満であると、支持体フィルムにしわが生じて、操作性が低下する傾向がある。また、支持体フィルムの厚みが50μmを超えると、感光性ドライフィルムレジストを巻き取り難くなるという問題が生じる。
【0114】
上記のように作製された感光性ドライフィルムレジストの表面は、さらに、その表面にエポキシ樹脂層を形成してもよい。このエポキシ樹脂層は、銅箔への接着性を向上させるために、設けられる。上記エポキシ樹脂層は、エポキシ樹脂を溶解させた有機溶媒溶液を用いて、薄い層状となるように形成される。なお、上記有機溶媒溶液には、さらに硬化剤が溶解していてもよい。
【0115】
また、上記感光性ドライフィルムレジストの使用前に、空気中のゴミや塵が付着することや、乾燥によって品質が劣化することを防止するために、感光性ドライフィルムレジストには保護フィルムを積層することが好ましく、該保護フィルムは、感光性ドライフィルムレジストの使用時に剥離するようにすることが好ましい。つまり、本実施の形態の感光性ドライフィルムレジストは、使用時に剥離できるような保護フィルムを積層しておくことが好ましい。
【0116】
従って、保護フィルムは、感光性ドライフィルムレジスト面に10℃〜50℃の温度でラミネートして積層することが好ましい。なお、ラミネート処理時の温度が50℃よりも高くなると、保護フィルムの熱膨張を招き、ラミネート処理後の保護フィルムにしわやカールが生じることになる。
【0117】
上記保護フィルムは使用時には剥離するため、保護フィルムと感光性ドライフィルムレジストとの接合面は、保管時には適度な密着性を有し、かつ剥離性に優れていることが好ましい。
【0118】
保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアルコールフィルム(EVAフィルム)、「ポリエチレンとエチレンビニルアルコールの共重合体フィルム」(以下(PE+EVA)共重合体フィルムと略す)、「PEフィルムと(PE+EVA)共重合体フィルムの貼り合せ体」、もしくは「(PE+EVA)共重合体とポリエチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」(片面がPEフィルム面であり、もう片面が(PE+EVA)共重合体フィルム面であるフィルムとなる)等を挙げることができる。
【0119】
上記PEフィルムは安価であり、表面の滑り性に優れているという長所がある。また、(PE+EVA)共重合体フィルムは、感光性ドライフィルムレジストへの適度な密着性と剥離性とを備えている。このような保護フィルムを用いることにより、保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、支持体フィルムの3層を有する三層構造シートをロール状に巻き取った場合に、その表面の滑り性を向上することができる。
【0120】
<感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間>
本発明における感光性ドライフィルムレジストは、Bステージ(半硬化)状態において、アルカリ溶解性を示すことにより、水系現像を可能としている。ここで、水系現像とは、塩基性化合物が溶解したアルカリ性水溶液を現像液として用いてパターンの現像が可能であることを示す。また、感光性ドライフィルムレジストの現像液としては、塩基性化合物が溶解した水溶液もしくは有機溶媒溶液が一般的であるが、環境への影響から、有機溶媒は用いないほうが好ましく、水溶液で現像可能であることが好ましい。
【0121】
本発明において、アルカリへの溶解時間とは、現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いるとともに、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下において、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストが溶解除去されるのに必要な時間を示す。ここで、スプレー現像機とは、現像液をスプレー状にしてサンプルに噴射する装置であれば特に限定されない。
【0122】
本発明における感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間は、20秒〜180秒の範囲であることが好ましい。前記アルカリへの溶解時間が20秒未満であると、良好なパターンが得られる工程幅が狭くなり作業性が低下する場合があり、逆に、アルカリ溶解時間が180秒を超えると、現像時間がかかりすぎて生産性が低下する傾向がある。
【0123】
さらに、作製した感光性ドライフィルムレジストを室温で7日間放置した前後で、前記アルカリへの溶解時間の変化量が±20%の範囲内であることが好ましく、更には±10%の範囲内であることがより好ましい。前記溶解時間の変化量が±20%の範囲を超えると、後述する現像工程において、良好なパターンを効率良く得るための現像時間が変化するため、生産性の点から好ましくない。
【0124】
<プリント配線板の作製>
本発明にかかる感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として形成してなるプリント配線板を作製する手法について説明する。プリント配線板として、パターン回路が形成されてなる銅箔(以下、回路付きCCLと記載)を用いる場合を例に挙げて説明するが、多層のプリント配線板を形成する場合にも、同様の手法により層間絶縁層を形成することができる。
【0125】
まず、上記にて説明した保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、支持体フィルムを有してなる三層構造シートから保護フィルムを剥離する。以下では、保護フィルムが剥離されたものを支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストと記載する。そして、感光性ドライフィルムレジストと回路付きCCLとが対向するように、該回路付きCCLを、支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストにて覆い、熱圧着によって貼り合せる。この熱圧着による貼り合わせは、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、熱ロールラミネート処理等によって行えばよく、特に限定されるものではない。
【0126】
上記貼り合わせを、熱ラミネート処理、熱ロールラミネート処理(以下、ラミネート処理と記載)によって行う場合、処理温度は、ラミネート処理が可能である下限の温度(以下、圧着可能温度)以上であればよい。具体的には、上記圧着可能温度は、50〜150℃の範囲内であることが好ましく、60〜120℃の範囲内であることがより好ましく、80〜120℃の範囲内であることが特に好ましい。
【0127】
上記処理温度が150℃を超えると、ラミネート処理時に、感光性ドライフィルムレジストに含まれる重合性官能基の架橋反応が生じ、感光性ドライフィルムレジストの硬化が進行してしまう。一方、上記処理温度が50℃未満であると、感光性ドライフィルムレジストの流動性が低く、パターン回路を埋め込むことが困難となる場合がある。さらに、銅回路付きCCLの銅回路や該銅回路付きCCLのベースフィルムとの接着性が低下してしまう。
【0128】
上記の熱圧着処理によって、回路付きCCL上に感光性ドライフィルムレジストが積層され、さらに支持体フィルムが積層されたサンプルが得られる。次いで、この貼り合わせサンプルについてパターン露光及び現像を行う。パターン露光及び現像に際しては、上記貼り合わせサンプルの支持体フィルム上にフォトマスクパターンを配置し、該フォトマスクを介して露光処理を行う。その後、支持体フィルムを剥離して現像処理を行うことにより、フォトマスクパターンに応じた穴(ビア)が形成される。
【0129】
なお、上記支持体フィルムは、露光処理後に剥離しているが、回路付きCCL上に支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストが貼り合わせられた後に、すなわち、露光処理を行う前に剥離してもよい。感光性ドライフィルムレジストを保護する点からは、露光処理が完了した後に剥離することが好ましい。
【0130】
ここで露光に用いる光源としては、300〜430nmの光を有効に放射する光源が好ましい。この理由は、感光性ドライフィルムレジストに含有され得る光反応開始剤が、通常450nm以下の光を吸収して機能するためである。
【0131】
露光処理に続いて、現像処理を行う。上記現像処理に用いる現像液としては、塩基性化合物が溶解した塩基性水溶液を用いればよい。上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アミン化合物等を挙げることができる。上記塩基性化合物は1種を用いてもよいし、2種以上の化合物を用いてもよい。
【0132】
上記塩基性水溶液に含有される塩基性化合物の濃度は、0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましいが、感光性ドライフィルムレジストの耐アルカリ性の点から、0.1〜5重量%の範囲内とすることがより好ましい。
【0133】
なお、現像処理の方法としては、特に限定されないが、塩基性溶液中に現像サンプルを入れて攪拌する方法や、現像液をスプレー状にして現像サンプルに噴射する方法等が挙げられる。
【0134】
本発明においては、特に、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストが高濃度のアルカリ水溶液への耐薬品性に劣るため、液温40℃に調整した1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を現像液に用い、スプレー現像機を用いて行う現像処理が好ましい。
【0135】
ここで、感光性ドライフィルムレジストのパターンが描けるまでの現像時間は、パターンが描ける時間であればよいが、180秒以下の時間で現像できることが好ましく、90秒以下の時間で現像できることがより好ましく、60秒以下の時間で現像できることが最も好ましい。現像時間が180秒を超えると生産性の点から好ましくない。
【0136】
パターンを描くための現像時間は、前述した感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間の1〜2倍程度の時間であることが一般的である。
【0137】
上記のように露光・現像処理が施された後、感光性ドライフィルムレジストに対して、加熱キュアを行うことにより、感光性ドライフィルムレジストが完全に硬化する。これにより、硬化した感光性ドライフィルムレジストは、プリント配線板の絶縁保護膜となる。
【0138】
また、多層のプリント配線板を形成する場合には、プリント配線板の保護層を層間絶縁層とし、該層間絶縁層上に、さらにスパッタリングや鍍金、もしくは銅箔との貼り合わせ等を行った後、パターン回路を形成し、上記のように感光性ドライフィルムレジストをラミネートすればよい。これにより、多層のプリント配線板を作製することができる。
【0139】
なお、本実施の形態では、感光性ドライフィルムレジストを、プリント配線板の絶縁保護材料または層間絶縁材料として用いる場合について説明したが、上記の用途以外に用いることも可能である。
【0140】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0141】
感光性樹脂組成物の調製及び感光性ドライフィルムレジストの作製、及びその物性の評価は次のようにして行った。
【0142】
[感光性樹脂組成物の調製及び感光性ドライフィルムレジストの作製]
(1)可溶性ポリイミドの重量平均分子量の測定
感光性樹脂組成物の調製に用いる(A)重合性官能基を有する可溶性ポリイミドの重量平均分子量は、東ソー社製高速GPC(製品名HLC−8220GPC)を用いて以下の条件で測定した。
展開溶媒:DMF(0.036M LiBr, 0.019M リン酸)
カラム温度:40℃、カラムShodex(KD−805−M 2本)
検出器:PI、PEO標準
流量:0.6ml/min
【0143】
(2)感光性樹脂組成物の調製
ジオキソランに(A)重合性官能基を有する可溶性ポリイミドを溶解させ、その固形分重量%(Sc)=30%として、可溶性ポリイミドのワニスを調製した。この可溶性ポリイミドのワニスに対して、(B)(メタ)アクリル系化合物、(C)重合禁止剤、安定剤、及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤、更に必要に応じて(D)その他の成分を混合・攪拌し、最終的な固形分重量%(Sc)=50%となるように感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液(ワニス)を調製した。ここで固形分重量とは、有機溶媒以外の材料、すなわち(A)、(B)、(C)及び(D)成分の総重量を示し、液体の材料であっても固形分に含めるものとする。
【0144】
(3)感光性ドライフィルムレジストの作製
上記の感光性樹脂組成物のワニスを、乾燥後の厚み(感光性ドライフィルムレジストの厚み)が20〜25μmになるように支持体フィルムに塗布した。支持体フィルムとしては、PETフィルム(東レ(株)製ルミラー、厚み25μm)を用いた。その後、支持体フィルム上の塗布層を100℃、2分間の条件で乾燥することによって、ジオキソランを除去した。これにより、感光性ドライフィルムレジスト/PETフィルム(支持体フィルム)からなる2層構造シートを得た。なお、感光性ドライフィルムレジスト層はBステージ状態にある。
【0145】
続いて、上記2層構造シートにおける感光性ドライフィルムレジスト層の上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、GF−1、厚み40μm)をロール温度20℃、ニップ厚75000Pa・mの条件でロールラミネートして、保護フィルム/感光性ドライフィルムレジスト/PETフィルムの三層を有する三層構造シートを得た。
【0146】
[感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価]
上記のようにして調製された感光性樹脂組成物のワニス及び作製された感光性ドライフィルムレジストについて、次に示す各項目の物性、▲1▼ワニスの粘度、▲2▼感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間、▲3▼現像性、▲4▼耐加水分解性について評価を行った。
【0147】
<ワニスの粘度>
固形分重量%(Sc)=50%となるように感光性樹脂組成物のワニスを調製した直後に、該ワニスの初期粘度(A0)を、B型粘度計(東京計器(株)製、B型粘度計(形式BS))を用いて測定した。続いて、該ワニスを蓋付きのガラス製のサンプル管に入れて室温で7日間貯蔵し、貯蔵後のワニスの粘度(A1)を、同様にB型粘度計を用いて測定した。粘度上昇率(%)は、100×(A1−A0)÷A0により求められる。
【0148】
<アルカリへの溶解時間>
まず、電解銅箔(三井金属(株)製、厚み38μm)を10重量%の硫酸水溶液で1分間ソフトエッチング(銅箔表面の防錆剤を除去する工程である)し、水洗い後、エタノール、アセトンで表面を洗ってから乾燥させた。感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、前記電解銅箔(ソフトエッチング後)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。次いで、PETフィルムを剥離した後、未露光のまま、スプレー現像機(サンハヤト(株)製エッチングマシーンES−655D)を用いて、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)、スプレー圧0.85MPa、で現像時間20〜180秒間の条件で現像処理を行った。現像後のサンプルは、蒸留水により洗浄して、現像液を除去し、乾燥させた。
【0149】
感光性ドライフィルムレジストが貼り合わされた銅箔光沢面から、感光性ドライフィルムレジストが完全に溶解除去されるのに必要な最短の現像時間、すなわちアルカリへの溶解時間の初期値(t0)が20〜180秒間の範囲で溶解するものを合格とした。20秒未満若しくは180秒を超えるものは不合格とした。
【0150】
次に、作製した感光性ドライフィルムレジストを、三層構造シートの状態で、室温で7日間放置し、再びアルカリへの溶解時間(t1)を調べた。アルカリへの溶解時間の変化量(%)は、100×(t1−t0)/t0で求められる。この変化量が、±20%の範囲内でれば合格とし、その範囲を超えている場合には不合格とした。
【0151】
<現像性>
上記と同じ方法で、感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、電解銅箔(ソフトエッチング後)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。この積層体のPETフィルムの上に、100×100μm角及び200×200μm角の微細な四角を描いたマスクパターンをのせ、波長400nmの光を300mJ/cm2だけ露光した。このサンプルのPETフィルムを剥離した後、スプレー現像機(サンハヤト(株)製エッチングマシーンES−655D)を用いて、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)、スプレー圧0.85MPa、現像時間30秒間〜180秒間の条件で現像した。現像によって形成したパターンは、蒸留水により洗浄して、現像液を除去し、乾燥させた。光学顕微鏡で観察して少なくとも200×200μm角の四角が現像できていれば合格とした。
【0152】
<耐加水分解性>
銅箔付きポリイミドフィルム(新日鐵化学(株)製、製品名エスパネックス、ポリイミドフィルムの厚み25μm、銅箔の厚み18μm)の銅箔面、レジストフィルム(旭化成(株)製、サンフォート)を用いて、ライン/スペース=50/50μmの間隔でラインが20本並行に並んだパターンを形成して、回路付きCCLを得た。保護フィルムを剥離した感光性ドライフィルムレジストを、この回路付きCCLの櫛型パターン部分の上を被覆するように重ねて、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。この貼り合わせサンプルの感光性ドライフィルムレジスト面に波長400nmの光を300mJ/cm2露光した後、PETフィルムを剥離し、180℃で2時間キュアして硬化させた。
【0153】
硬化後の「回路付きCCL/感光性ドライフィルムレジスト」サンプルを2cm角サイズに切り取り、プレッシャークッカー試験機(平山製作所(株)製小型プレッシャークッカー試験機、型番PC305S)に投入し、121℃/2気圧/24時間の条件で耐加水分解性試験を行った。試験終了後、サンプルを取り出し、表面の水滴を拭き取った後、感光性ドライフィルムレジストの異常や、感光性ドライフィルムレジストに被覆された銅のラインの変色などを目視及び顕微鏡にて観察した。
【0154】
プレッシャークッカー試験機に投入前と比較して感光性ドライフィルムレジストの変色や劣化がなく、かつ銅のラインの変色等が全く見られないものを合格とした。また、感光性ドライフィルムレジストが不透明になったもの、脆くなりボロボロになったもの、サンプルを屈曲させると感光性ドライフィルムレジストがCCLより剥がれてしまうもの、銅のラインが褐色などに変色しているものは不合格とした。
【0155】
(実施例1)
<(A)メタクリル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
原料として、(2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエ−ト)−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(以下、ESDAとも言う。)、2,2’ジアミノビスフェノールA(群栄化学(株)製、製品名DAM−1、以下(化4)に示す)、シリコンジアミン(信越シリコーン(株)製、製品名KF−8010)を用い、重合用溶媒としてはN,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFとも言う。)を用いた。
【0156】
【化4】
【0157】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにジアミンDAM−1を69.7g (0.27mol)、DMF100g を入れ、DAM−1のDMF溶液を調製した。次に上記DMF溶液に、シリコンジアミンKF−8010を24.9g (0.03mol)添加し激しく攪拌した。溶液が均一になった後、さらに、ESDA173g (0.30mol)をDMF300gに溶解させた溶液を加えて約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し241.0gの水酸基を有するポリイミドを得た。
【0158】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当する。また、重量平均分子量を測定した結果45000であり、これを基に水酸基当量を計算した結果475であった。
【0159】
(ポリイミドの変性)
次に、上記の可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにグリシジルメタクリレート(以下、GMAとも言う。)を10.82g(0.076mmol)、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖の水酸基をGMA変性し、イミド側鎖にメタクリル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0160】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物のワニスを調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)メタクリル基を含有する可溶性ポリイミド:
上記可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・50重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位;m+n≒4)ジアクリレート(東亞合成(株)製アロニックスM−211B)・・・・・40重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・10重量部
(C)重合禁止剤
・N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)・・・・・0.0005重量部
(D)その他の成分:光反応開始剤
ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6’−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア784)・・・・・0.1重量部
【0161】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は7.0ポイズ、7日間放置後は8.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は14.3%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後も30秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0162】
(実施例2)
<(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
実施例1で合成した可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた。このジオキソラン溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにエポキシ基を有するアクリル化合物(新中村化学(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)を30.50g、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖の水酸基を変性し、イミド側鎖にアクリル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0163】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例1において、(A)成分として上記のアクリル基を含有する可溶性ポリイミドを用いること以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物のワニスを調製し、感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0164】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は9.0ポイズ、7日間放置後は10.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は11.1%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は40秒、7日間放置後も40秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0165】
(実施例3)
<(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
原料として、上記の酸二無水物ESDA、以下(化5)に示すジアミン(和歌山精化(株)製、製品名MBAA)、シリコンジアミンKF−8010を用い、重合用溶媒としてはDMFを用いた。
【0166】
【化5】
【0167】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにジアミンMBAAを76.9g (0.21mol)、DMF100g を入れ、MBAAのDMF溶液を調製した。次に該DMF溶液に、シリコンジアミンKF−8010を74.7g(0.09mol)加えて激しく攪拌した。上記溶液が均一になった後、ESDA173g (0.30mol)をDMF300gに溶解した溶液を添加し約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、285.6gのカルボキシル基を含有するポリイミドを得た。
【0168】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当する。また、重量平均分子量を測定した結果27000であり、これを基にカルボキシル基当量を計算した結果745であった。
【0169】
(ポリイミドの変性)
次に、上記の可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにエポキシ基を有するアクリル化合物(新中村化学(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)を30.50g、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖のカルボキシル基を変性し、イミド側鎖にアクリル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0170】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミド:
上記可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・65重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・エポキシアクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)・・25重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・10重量部
(C)ハイドロキノン系酸化防止剤
・ハイドロキノン・・・・・0.5重量部
(D)その他の成分:
光反応開始剤として、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア819)・・・・・1重量部
硬化剤として、
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)・・・・・3重量部
【0171】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は10.0ポイズ、7日間放置後は10.5ポイズであった。従って、粘度上昇率は5.0%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は60秒、7日間放置後も60秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間90秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0172】
(実施例4)
<(A)ビニル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
ポリイミドの原料として、前記のESDA、以下(化6)に示すアミノ基含有フェノール誘導体(群栄化学(株)製、製品名DAM−R1)、及びシリコンジアミンKF−8010を用い、重合用溶媒としてはDMFを用いた。
【0173】
【化6】
【0174】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにジアミンDAM−R1を185g (0.27mol)、DMF100gを入れ、DAM−R1のDMF溶液を調製した。次に上記DMF溶液に、シリコンジアミンKF−8010を24.9g (0.03mol)加え激しく攪拌した。溶液が均一になった後、ESDA173g (0.30mol)をDMF300gに溶解した溶液を添加し、約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、345gの水酸基を有するポリイミドを得た。
【0175】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当する。また、重量平均分子量を測定した結果72000であり、これを基に水酸基当量を計算した結果418であった。
【0176】
(ポリイミドの変性)
次に、上記の可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにグリシジルビニルエーテルを15.20g、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖の水酸基を変性し、イミド側鎖にビニル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0177】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
次に、以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)ビニル基を含有する可溶性ポリイミド:
・実施例3で合成した可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・40重量部
・水酸基を含有する可溶性ポリイミド:上記可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・20重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・20重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒10)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−10)・・・・・20重量部
(C)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
・ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス259)・・・・・0.5重量部
(D)その他の成分:光反応開始剤
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア819)・・・・・1重量部
【0178】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は7.0ポイズ、7日間放置後は8.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は14.3%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は60秒、7日間放置後は70秒であった。従って、変化量は16.7%であり合格。
現像性:現像時間90秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0179】
(実施例5)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミド:
・実施例3のアクリル基を含有する可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・40重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・エポキシアクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)・・・・・10重量部
・ビスフェノールAタイプのエポキシアクリレート(ダイセルUCB(株)製、製品名Ebecryl 3700)・・・・・30重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・10重量部
(C)重合禁止剤
・N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)・・・・・0.0005重量部
(D)その他の成分:
エポキシ樹脂として、
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東亞合成(株)製エピコート828)・・・・・10重量部
光反応開始剤として、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア819)・・・・・3重量部
硬化剤として、
・4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DDM)・・・・・1重量部
【0180】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は12.0ポイズ、7日間放置後は13.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は8.3%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後も30秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0181】
(比較例1)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例1において(C)重合禁止剤を使用しない他は、実施例1と全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0182】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は7.0ポイズ、7日間放置後は24.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は242.9%であり不合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後は180秒で、変化量は500%であり不合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0183】
このように、重合性官能基を含有する可溶性ポリイミドをベースポリマーとして用い、重合禁止剤を用いない場合は、現像性や耐加水分解性は良好であるが、ワニスの粘度上昇が非常に大きく、アルカリへの溶解時間も急激に長くなり、ワニスや感光性ドライフィルムレジストの貯蔵安定性が非常に劣る結果となった。
【0184】
(比較例2)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例3で合成した可溶性ポリイミドで変性前のものを(A)成分として使用し、重合禁止剤を使用しない他は、実施例3と全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0185】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は10.0ポイズ、7日間放置後は15.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は50.0%であり不合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は60秒、7日間放置後は100秒で、変化率は66.7%であり不合格。
現像性:現像時間90秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像でき合格。
耐加水分解性:銅の変色が見られ、不合格。
【0186】
このように、カルボキシル基を含有するが重合性官能基は含有しない可溶性ポリイミドをベースポリマーとして用い、重合禁止剤を用いない場合には、現像性は良好であるが、(B)成分が反応してしまうため、ワニスの粘度上昇が大きく、ワニスや感光性ドライフィルムレジストの貯蔵安定性が劣る結果となった。また、耐加水分解性も劣った。しかし、ワニスの粘度上昇やアルカリへの溶解時間の変化量は、重合性官能基を含有する可溶性ポリイミドを使用した比較例1と比べると小さかった。
【0187】
(比較例3)
<ベースポリマーの合成>
ポリイミドの原料として、上記のESDA、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン(以下、BAPS−Mと示す)、シリコンジアミンKF−8010を用いた。
【0188】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにESDA173g (0.30mol)、DMF300gを入れ、ESDAのDMFワニスを調製した。次に上記DMFワニスに、BAPS−M86.5g (0.20mol)をDMF100gに溶解した溶液を添加し、激しく攪拌した。溶液が均一になった後、シリコンジアミンKF−8010を83.5g (0.10mol)加え、1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、315gのポリイミドを得た。
【0189】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当するが、イミド側鎖に水酸基若しくはカルボキシル基を有さない。また、重量平均分子量を測定した結果45000であった。
【0190】
上記可溶性ポリイミド15gをジオキソラン35gに溶解させ、固形分重量%(Sc)= 30%のワニスを作製した。
【0191】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例1の(A)成分の代わりに上記で合成したポリイミドをベースポリマーとして用いること以外は、全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0192】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は9.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は12.5%であり合格。
アルカリへの溶解時間:現像処理を180秒間行っても溶解せず、不合格。
現像性:180秒間現像処理を行っても、感光性ドライフィルムレジストの厚みが現像前の25μmから現像後に22μmに減少するだけで、100×100μm角の穴、200×200μm角の穴はともに現像できておらず、感光性ドライフィルムレジストがサンプル全面に溶け残っており不合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0193】
このように、重合性官能基並びにカルボキシル基若しくは水酸基を含有しないポリイミドをベースポリマーとして用いるとワニスの粘度の貯蔵安定性や耐加水分解性は良好であるが、アルカリ溶解性及び現像性が劣った。
【0194】
(比較例4)
比較例3において、(C)成分を用いずに、感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストを作製し、その物性評価を行った。その結果、ワニスの粘度が、初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は12.0ポイズであり、粘度上昇率は50.0%で不合格であった以外は、比較例3と同じ結果となった。
【0195】
このように、重合性官能基並びにカルボキシル基若しくは水酸基を含有しないポリイミドをベースポリマーとして用いる場合にも、耐加水分解性は良好であるが、(B)成分が反応してしまうため重合禁止剤を用いなくてもワニスの粘度変化は大きく、またアルカリ溶解性及び現像性も劣った。ただし、比較例1に示すような重合性官能基を含有するポリイミドを用いる場合に比較して、ワニスの粘度上昇は小さかった。
【0196】
(比較例5)
<ベースポリマーの合成>
原料として、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、及びメタクリル酸のモノマーを用いた。これらのモノマー成分を、公知の方法を用いて共重合し、カルボキシル基含有共重合体を得た。この際の各モノマー成分の重合比は、メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/メタクリル酸=60/10/10/20(重量基準)とした。
【0197】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例3の(A)成分の代わりに上記で合成したアクリル系共重合体をベースポリマーとして用いること以外は、実施例3と全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0198】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は9.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は12.5%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後も30秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間40秒で100×100μm角の穴、200×200μm角の穴ともに現像できており合格。
耐加水分解性:銅のラインは変色ないが、感光性ドライフィルムレジストが脆くなり、サンプルを屈曲させると感光性ドライフィルムレジストがCCLより剥がれてしまうため、不合格。
【0199】
このように、アクリル系共重合体をベースポリマーとして用いると、アルカリへの溶解時間の変化量は小さく、現像性は良好であるが、耐加水分解性に劣った。
【0200】
(比較例6)
実施例3の(A)成分の代わりに比較例5において合成したアクリル系共重合体をベースポリマーとして用い、更に(C)成分を全く用いないこと以外は、実施例3と同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0201】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は10.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は25.0%であり不合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後は50秒であり、変化量が66.7%であるため不合格。
現像性:現像時間40秒で100×100μm角の穴、200×200μm角の穴ともに現像できており合格。
耐加水分解性:銅のラインは変色ないが、感光性ドライフィルムレジストが脆くなり、サンプルを屈曲させると感光性ドライフィルムレジストがCCLより剥がれてしまうため、不合格。
【0202】
このように、アクリル系共重合体をベースポリマーとして用い、重合禁止剤を全く用いないと、現像性は良好であるが、ワニスの粘度変化やアルカリへの溶解時間の変化量が大きく、耐加水分解性も劣った。
【0203】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストは、アルカリ水溶液での水系現像が可能であり、感光性樹脂組成物のワニスの貯蔵中の粘度上昇を抑制することができる。また、アルカリへの溶解性の経時変化を小さくすることができ、さらに硬化後の感光性ドライフィルムレジストの耐加水分解性を向上させることができる。
【0204】
従って、本発明は、FPC等のプリント配線板を製造する産業、例えば電子部品用の樹脂材料を製造する樹脂産業分野に好適に用いることができるだけではなく、このようなプリント配線板を用いる電子機器の産業分野に好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、かつ良好なパターン形状が得られる、感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用に関する。特に、可溶性ポリイミド、(メタ)アクリル系化合物、及び特定の添加剤を必須成分とする、感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高機能化、小型化、軽量化に伴い、これら電子機器に用いられる電子部品に対しても、さらなる小型化、軽薄化が要求されている。そのため、プリント配線板上での半導体素子などの高密度実装や、配線の微細化、プリント配線板の多層化等を行うことにより、電子部品の高機能化や高性能化を図ることが求められている。また、配線の微細化に対応するためには、配線を保護するためにより高い電気絶縁性を有する絶縁材料が必要である。
【0003】
ところで、上記プリント配線板を作製する際には、種々の用途で感光性材料が用いられる。すなわち、プリント配線板の基板上へパターン化された回路(パターン回路)の形成や、プリント配線板表面やパターン回路を保護するための保護層の形成、多層のプリント配線板の層間絶縁層の形成等に、感光性材料が使用されている。このような用途に用いられる感光性材料として、液状の感光性材料や、フィルム状の感光性材料がある。このうち、フィルム状の感光性材料は、液状の感光性材料に比べて、膜厚の均一性や作業性に優れているといった利点を備えている。そのため、パターン回路の形成に用いるパターン回路用レジストフィルム、上記保護層の形成に用いる感光性カバーレイフィルム、上記層間絶縁層の形成に用いる感光性ドライフィルムレジスト等、その用途に応じて、種々のフィルム状感光性材料も用いられている。
【0004】
上記感光性カバーレイフィルムや感光性ドライフィルムレジスト(以下、両者を感光性ドライフィルムレジストと総称する)としては、ポリイミド樹脂を含有してなるもの(例えば、特許文献1参照)、アクリル系樹脂を含有してなるもの(例えば、非特許文献1参照)、エポキシ樹脂を含有してなるもの(例えば、非特許文献2参照)等が知られている。
【0005】
一方、水系現像が可能な感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストとしては、カルボキシル基を導入したアクリル系樹脂をベースポリマーとして用いる感光性ドライフィルムレジストが従来から知られているが、耐熱性、電気絶縁性、耐アルカリ性、残膜率が低く、現像プロセスウィンドウが狭い等、実用に供するには多くの問題点を有していた。
【0006】
また、これらの感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストは、通常0℃〜10℃の冷蔵庫中で貯蔵されるが、使用時に室温で放置すると、例えば、感光性樹脂組成物ワニスの粘度が上昇したり、感光性ドライフィルムレジストの現像液(例えば、アルカリ水溶液)に対する溶解性(現像性)が変化したりする問題があった。このような変化が起きると上記パターンの現像条件が日々変化するため、プリント配線板などの生産性が低下するという問題もあった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−335619号公報(公開日:平成13(2001)年12月4日)
【0008】
【非特許文献1】
日立化成テクニカルレポートNo.37(2001−7)
【0009】
【非特許文献2】
「光硬化技術実用ガイド」(2002)市村国宏 テクノネット社
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題が解決され、特に貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、かつ良好なパターン形状が得られる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにその利用方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、感光性樹脂組成物の材料として、重合性官能基を有する可溶性ポリイミド、(メタ)アクリル系化合物、さらに特定の添加剤を必須成分として用いれば、貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、良好なパターンが得られ、さらに現像液に対する溶解性の経時変化を小さくすることが可能であることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の第1は、(A)重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、並びに(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分とする感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
好ましい実施態様は、上記(A)成分の重合性官能基が、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、上記の感光性樹脂組成物に関する。
【0014】
更に好ましい実施態様は、上記(C)成分が、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ニトロソアミン系化合物、芳香族アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、上記いずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0015】
更に好ましい実施態様は、感光性樹脂組成物のワニスを室温で7日間放置した場合の粘度上昇率が0%以上20%以下であることを特徴とする上記いずれかに記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0016】
本発明の第2は、上記いずれかに記載の感光性樹脂組成物から作製される感光性ドライフィルムレジストに関する。
【0017】
好ましい実施態様は、現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いるとともに、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下における溶解時間が、20秒〜180秒の範囲であることを特徴とする、上記の感光性ドライフィルムレジストに関する。
【0018】
更に好ましい実施態様は、現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用い、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下における溶解時間の変化量が、室温で7日間放置した前後で、±20%の範囲内であることを特徴とする、上記いずれかに記載の感光性ドライフィルムレジストに関する。
【0019】
本発明の第3は、上記いずれかに記載の感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護フィルムとして用いることを特徴とする、プリント配線板に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る、(A)重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、さらに(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分とする感光性樹脂組成物を用いれば、従来の問題点を解決でき、貯蔵安定性に優れ、水系現像が可能で、かつ良好なパターン形状を得られる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストを提供できる。なお、本発明の感光性ドライフィルムレジストは、本発明の感光性樹脂組成物から作製されるものである。
【0021】
本発明に係る感光性樹脂組成物には、上記(A)、(B)、(C)成分以外の、(D)その他の成分が含有されていてもよい。例えば、必要に応じて、感光性ドライフィルムレジストに接着性、耐熱性、耐屈曲性等の諸物性を付与するような各種添加剤を含有してもよい。
【0022】
一般に、感光性樹脂組成物は、1種類以上のポリマー成分と1種類以上のオリゴマー成分を含有しているが、本発明においては、当該感光性樹脂組成物の中で含有重量の最も大きいポリマー成分をベースポリマーと称する。なお、本発明では、ベースポリマーとして(A)重合性官能基を有する可溶性ポリイミドを用い、(A)、(B)、(C)成分以外のポリマーは(D)その他の成分に含有されるものとみなす。以下、各成分について、詳細に説明する。
【0023】
<(A)可溶性ポリイミド>
本発明においては、(A)成分として、可溶性ポリイミドを用いることにより、得られる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストに、耐熱性、耐屈曲性、優れた機械特性、電気絶縁性、耐薬品性を付与することができる。
【0024】
なお、可溶性ポリイミドとは、有機溶媒に溶解するポリイミドであれば特に限定されるものではないが、有機溶媒100gに対して、20℃で1.0g以上の溶解性を示すものが好ましい。より望ましくは20℃で5.0g以上の溶解性を示し、さらに望ましくは、20℃で10g以上の溶解性を示すものがよい。有機溶媒100gに対する20℃での溶解性が1.0g未満であると、所望する厚みにて、感光性ドライフィルムレジストフィルムを形成することが困難になる場合がある。
【0025】
上記有機溶媒としては、特に限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等を例示することができる。
【0026】
本発明においては、ある程度の厚みの感光性ドライフィルムレジストを得るため、テトラヒドロフラン100gに対して、20℃で1.0g以上の溶解性を示す可溶性ポリイミドであることが好ましい。
【0027】
さらに、上記可溶性ポリイミドは、重量平均分子量の下限値が5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。一方、重量平均分子量の上限値は、100000以下であることが好ましく、80000以下であることがより好ましく、50000以下であることが特に好ましい。上記重量平均分子量が5000未満であると、これを用いて作製される感光性ドライフィルムレジストにベタツキが生じやすく、フィルムの取り扱い性が悪化し、さらに硬化後のフィルムの耐屈曲性に劣るという傾向があり好ましくない。逆に、重量平均分子量が100000を超えると、可溶性ポリイミドの溶液の粘度が高くなるため使用しにくく、また作製される感光性ドライフィルムレジストの現像性が低下するという問題がある。なお、上記可溶性ポリイミドの重量平均分子量は、液体クロマトグラフィー(GPC)、具体的には、例えば、東ソー社製高速GPC(製品名HLC−8220GPC)により測定することが可能である。
【0028】
なお、重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を有する可溶性ポリイミドとしては、例えば、カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドを合成し、それを変性することにより合成することができる。まず、カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドの製造方法について説明し、さらに変性方法について説明する。
【0029】
<カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド>
本発明で用いる可溶性ポリイミドは、水系現像を可能とするために、側鎖にカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドであることが好ましい。以下、カルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドの製造方法について詳細に説明する。
【0030】
<ポリイミドの製造方法>
上記カルボキシル基及び/又は水酸基を含有するポリイミド樹脂は、その前駆体であるポリアミド酸から得ることができる。このポリアミド酸は、有機溶媒中でジアミンと酸二無水物と反応させることにより得られる。具体的には、例えば、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気中において、ジアミンを有機溶媒中に溶解させる、或いはスラリー状に拡散させて、ジアミン溶液とする。一方、酸二無水物は、有機溶媒に溶解させる、或いはスラリー状に拡散させた状態とした後、あるいは固体の状態で、上記ジアミン溶液中に添加すればよい。
【0031】
以下、上記ポリイミドの製造方法を説明するために、ポリアミド酸の合成方法、及びポリアミド酸を脱水閉環してイミド化を行い、ポリイミドを得る方法について詳細に説明する。
【0032】
<ポリアミド酸の合成>
本発明において、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有するポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を合成するために用いられるジアミンとしては、特に限定されるものではないが、後述する水系現像を可能とするために、1分子中に1つ以上のカルボキシル基及び/又は水酸基を有するジアミンを原料の少なくとも一部として用いることが好ましい。また、耐熱性や耐薬品性の点から、1分子中に1つ以上の芳香環を有する芳香族系ジアミンを原料の少なくとも一部として用いることが好ましい。特に、1分子中に1つ以上のカルボキシル基及び/又は水酸基を有する芳香族系ジアミンを原料の一部として用いれば、得られる感光性ドライフィルムレジストに、耐熱性と水系現像性を付与することができる点から、好ましい。水系現像についての詳細は後述するが、アルカリ水溶液で現像できることを示す。
【0033】
水酸基及び/又はカルボキシル基を含有する芳香族系ジアミンとしては、1分子中に1つ以上の水酸基及び/又はカルボキシル基を含有する芳香族系ジアミンであれば特に限定されないが、特に、次の一般式(1):
【0034】
【化1】
(式中、R1は水酸基又はカルボキシル基、R2は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は−COOR3(R3は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を示す。)であり、Xは−O−、―CO−、−COO−、−SO2−、−(単結合)、−CH2−、−C(CH3)2−、又は−C(CF3)2−を示し、m及びpは、各々m+p=4を満たす0以上の整数、n及びqは、各々n+q=4を満たし、かつnは0以上の整数、かつqは0以上の整数、rは0〜10の整数である。)
で表される芳香族系ジアミンを可溶性ポリイミドの原料の一部として用いることが好ましい。
【0035】
カルボキシル基を含有する芳香族系ジアミンとしては、例えば、3,5−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル化合物類;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類;4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)フェニル]プロパン等のビス(ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン等のビス[(−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン化合物等を例示することができる。
【0036】
特に好ましいカルボキシル基含有芳香族系ジアミンとしては、
【0037】
【化2】
が例示され得る。
【0038】
また、水酸基を含有する芳香族系ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、2,2’−ジアミノビスフェノールA、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(群栄化学(株)製、製品名bis−AP−AF)、ビス(2−ヒドロキシ−3−アミノ−5−メチルフェニル)メタン、2,6−ジ{(2−ヒドロキシ−3−アミノ−5−メチルフェニル)メチル}−4−メチルフェノール、2,6−ジ{(2−ヒドロキシ−3−アミノ−5−メチルフェニル)メチル}−4−ヒドロキシ安息香酸プロピル等の化合物を挙げることができる。
【0039】
特に好ましい水酸基含有芳香族系ジアミンの構造式としては、
【0040】
【化3】
が例示され得る。
【0041】
上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するジアミン以外に他のジアミンを原料の一部として同時に用いてもよい。例えば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、シロキサン構造の両末端にアミノ基を含有する反応性シリコーン(以下、シリコンジアミンと称する)、[ビス(4−アミノ−3−カルボキシ)フェニル]メタンなどを挙げることができる。上記ジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、ポリアミド酸を合成するために用いられる酸二無水物としては、カルボン酸二無水物であれば特に限定されないが、耐熱性を向上させる点から、芳香環を1〜4個有する酸二無水物または脂環式の酸二無水物を用いることが好ましい。また、有機溶媒への溶解性が高いポリイミドを得るためには、芳香環を2個以上有する酸二無水物を少なくとも一部用いることが好ましく、芳香環を4個以上有する酸二無水物を少なくとも一部として用いることがより好ましい。
【0043】
上記の酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−2,5,3’,5’−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−(ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン)等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。上記酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
上記酸二無水物のうち、耐熱性の点から、特に、(2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート)−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等の芳香環を2個以上有する酸二無水物を一部用いることが好ましい。
【0045】
上記ジアミンと酸二無水物とを用いてポリアミド酸を合成する場合、上記ジアミンと酸二無水物とを、それぞれ少なくとも1種類ずつ用いて反応を行えばよい。すなわち、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有するジアミンを少なくとも一部として含むジアミン成分と、上記酸二無水物とを用いて、上述したように、有機溶媒中で重合反応を行うことにより、水酸基及び/又はカルボキシル基を分子鎖中に1つ以上含有するポリアミド酸を得ることができる。
【0046】
このとき、ジアミン1種と酸二無水物1種が実質上等モルであれば、酸成分1種及びジアミン成分1種のポリアミド酸が得られる。また、2種以上の酸二無水物成分及び2種以上のジアミン成分を用いる場合、複数のジアミン成分全量のモル比と複数の酸二無水物成分全量のモル比とを、実質上等モルに調整しておけば、ポリアミド酸共重合体を任意に得ることもできる。
【0047】
上記ジアミンと酸二無水物の反応(ポリアミド酸の合成反応)の温度条件は、特に限定されないが、反応溶液の急激な粘度上昇を抑える点から、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは0〜50℃がよい。また、反応時間は30分〜50時間の範囲で任意に設定すればよい。
【0048】
さらに、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒としては、有機極性溶媒であれば特に限定されるものではない。しかしながら、上記ジアミンと酸二無水物との反応が進行するにつれてポリアミド酸が生成し、反応液の粘度が上昇する。また、後述するように、ポリアミド酸を合成して得られるポリアミド酸溶液を、減圧下で加熱して、有機溶媒の除去とイミド化を同時に行うことができる。そのため、上記有機溶媒としては、ポリアミド酸を溶解でき、かつ、なるべく沸点の低いものを選択することが工程上有利である。
【0049】
具体的には、ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンやN−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。
【0050】
また、生成するポリアミド酸の重量平均分子量は、1000〜100000であることが望ましい。重量平均分子量が1000未満では、ポリアミド酸を用いて最終的に得られるポリイミド樹脂の分子量も低くなり、該ポリイミド樹脂をそのまま用いても、得られる感光性フィルム層が脆くなる傾向にある。これに対し、重量平均分子量が100000を越えると、得られるポリアミド酸溶液の粘度が高くなる傾向にあり、取扱いが困難となる場合がある。
【0051】
<ポリアミド酸のイミド化>
次に、上記ポリアミド酸を用いて、ポリイミドを得るために、上記ポリアミド酸をイミド化する方法について説明する。イミド化は、ポリアミド酸を脱水閉環することによって行われる。この脱水閉環は、共沸溶媒を用いた共沸法、熱的手法または化学的手法によって行うことができる。
【0052】
共沸溶媒を用いた共沸法は、ポリアミド酸溶液にトルエン、キシレン等の共沸溶媒を加え共沸により水を積極的に系外へ除去すればよい。
【0053】
熱的手法による脱水閉環は、ポリアミド酸溶液を加熱して行えばよい。あるいは、ガラス板、金属板、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のフィルム状支持体に、ポリアミド酸溶液を流延または塗布した後、80℃〜300℃の範囲内で熱処理を行えばよい。さらに、フッ素系樹脂でコートしたような離型処理を施した容器に直接ポリアミド酸溶液を入れ、減圧下で加熱乾燥することによって、ポリアミド酸の脱水閉環を行うこともできる。このような熱的手法によるポリアミド酸の脱水閉環により、イミド化することができる。
【0054】
なお、上記各処理の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量や加熱温度により異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分〜5時間の範囲で行うことが好ましい。
【0055】
一方、化学的手法による脱水閉環は、上記ポリアミド酸溶液に、脱水剤と、必要に応じて触媒として、例えば、触媒量の第3級アミンとを加えて、加熱処理を行えばよい。なお、この加熱処理は、上記の熱的手法にて行った加熱処理を指すものとする。これにより、イミド化することができる。
【0056】
化学的手法にて用いた上記脱水剤としては、一般的には、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物が用いられる。また、上記第3級アミンとしては、ピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、イミダゾ−ル、ピコリン等を用いればよい。
【0057】
なお、本発明のポリイミドがフェノール性水酸基を有する場合には、脱水剤として加える酸無水物と水酸基との反応が考えられるため、用いる酸無水物は化学量論的にイミド化に必要な最低限の量にすることが好ましい。
【0058】
上記のようにして合成した可溶性ポリイミドのうち、カルボキシル基を含有する可溶性ポリイミドは、カルボキシル基1個あたりの重量平均分子量(以下、カルボキシル基当量という)が、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、1000以下であることが最も好ましい。また、水酸基を含有する可溶性ポリイミドは、水酸基1個あたりの重量平均分子量(以下、水酸基当量という)は、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、1000以下であることが最も好ましい。
【0059】
カルボキシル基当量又は水酸基当量が5000を超えると、該ベースポリマーを用いた感光性ドライフィルムレジストの水系現像が困難になる傾向がある。上記可溶性ポリイミドのカルボキシル基当量又は水酸基当量は、該ベースポリマーの原料の分子量及び仕込み量の重量比より計算して求めることが可能である。
【0060】
<重合性官能基を含有する可溶性ポリイミド>
本発明で用いる可溶性ポリイミドは、後述する露光処理において、可溶性ポリイミドと(メタ)アクリル系化合物とを架橋反応させるため、若しくは可溶性ポリイミド分子同士を架橋反応させるために、重合性官能基を含有することを特徴とするが、中でも原料の入手容易性と反応性の点から、ビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基を含有することがより好ましい。なお、上記可溶性ポリイミドは、前述した官能基以外の炭素間不飽和結合を有する官能基を有していてもよい。
【0061】
例えば、側鎖にビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基を含有するポリイミドは、前述したカルボキシル基及び/又は水酸基を含有するポリイミドに、その水酸基若しくはカルボキシル基と反応可能な官能基、例えばエポキシ基を有し、かつビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基を有する化合物を反応させ、変性すればよい。
【0062】
上記の1分子中にエポキシ基及びビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基の両方を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0063】
また、上記のその他の炭素間不飽和結合を有する化合物としては、例えば、1分子中にエポキシ基及び炭素間三重結合を有する化合物が例示され、例えば、プロパルギルグリシジルエーテル、グリシジルプロピオネ−ト、エチニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0064】
このようにして得られた上記重合性官能基を含有する可溶性ポリイミドは、良好な硬化性や接着性を有している。
【0065】
<(B)(メタ)アクリル系化合物>
次に(B)成分である(メタ)アクリル系化合物について説明する。本発明に係る感光性樹脂組成物中に前記(B)成分を含有することにより、作製される感光性ドライフィルムレジストの熱加工時での粘弾性を下げ、熱ラミネート時の流動性を付与することができる。すなわち、比較的低温での熱ラミネートが可能となり、回路の凹凸を埋め込むことができる。具体的には、ポリイミドフィルムや電解銅箔の光沢面に対して150℃以下での熱ラミネートも可能となる。
【0066】
本発明において(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる化合物を示す。なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを指すものとする。
【0067】
上記(メタ)アクリル系化合物は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせてもよい。本発明における感光性樹脂組成物に含有される(メタ)アクリル系化合物の総重量は、(A)成分である可溶性ポリイミド100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内で用いることが好ましく、5〜80重量部の範囲内で用いることがより好ましく、10〜50重量部の範囲内で用いることがさらに好ましい。可溶性ポリイミド100重量部に対して、100重量部を超える(メタ)アクリル系化合物を用いると、感光性ドライフィルムレジストの耐熱性が低下し、ラミネート処理時に、(メタ)アクリル系化合物がしみ出してしまう可能性がある。
【0068】
前記(B)成分である(メタ)アクリル系化合物として、1分子中に少なくとも1つ以上のエポキシ基及び1つ以上の(メタ)アクリル基を含有するエポキシ(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。このようなエポキシ(メタ)アクリレートを用いることにより、得られる感光性ドライフィルムレジストの耐加水分解性及び銅箔への接着強度を向上させることが可能となる。
【0069】
1分子中に少なくとも1つ以上のエポキシ基及び1つ以上の(メタ)アクリル基を含有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、グリシジルメタクリレート等のグリシジル化合物、NKオリゴEA−1010、EA−6310(新中村化学製)等を挙げることができる。
【0070】
また、前記の(メタ)アクリル系化合物として、上記のエポキシ(メタ)アクリレートのほかに、ウレタン(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、及び上記以外の(メタ)アクリル化合物を用いることができる。
【0071】
前記(B)成分として、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに柔軟性を付与することができる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、アロニックスM−1100、M−1310(東亞合成製)、カラヤッドUX−4101(日本化薬製)等を挙げることができる。
【0072】
前記(B)成分として、例えば、イミド(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストを貼り合わせる基材(例えば、ポリイミドフィルム、銅箔等)への密着性を向上させることができる。イミド(メタ)アクリレートとしては特に限定されないが、例えばアロニックスTO−1534、TO−1429、TO−1428(東亞合成製)を挙げることができる。
【0073】
さらに、前記(B)成分として、上記に示した以外の(メタ)アクリル化合物を用いることができる。上記(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されないが、後述する光照射による架橋密度を向上するためには、少なくとも2つ以上の炭素間二重結合を有する多官能の(メタ)アクリル化合物を用いることが望ましい。また、得られる感光性ドライフィルムレジストに耐熱性を付与するために、1分子中に芳香環及び/又は複素環を少なくとも1つ有する化合物を用いることが好ましい。
【0074】
1分子中に芳香環及び/又は複素環を少なくとも1つ有し、かつ炭素間二重結合を少なくとも2つ有する(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されないが、例えば、アロニックスM−210、M−211B(東亞合成社製)、NKエステルABE−300、A−BPE−4、A−BPE−10、A−BPE−20、A−BPE−30、BPE−100、BPE−200(新中村化学製)等のビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、アロニックスM−208(東亞合成製)等のビスフェノールF EO変性(n=2〜20)ジ(メタ)アクリレート、デナコールアクリレートDA−250(ナガセ化成製)、ビスコート#540(大阪有機化学工業製)等のビスフェノールA PO変性(n=2〜20)ジ(メタ)アクリレート、デナコールアクリレートDA−721(ナガセ化成製)等のフタル酸PO変性ジアクリレート等を挙げることができる。さらに、芳香環は含まないが、アロニックスM−215(東亞合成製)等のイソシアヌル酸 EO 変性ジアクリレートやアロニックスM−315(東亞合成製)、NKエステルA−9300(新中村化学製)等のイソシアヌル酸 EO 変性トリアクリレートなどを挙げることができる。
【0075】
なお、上記EO変性とは、エチレンオキサイド変性部位を有することを示し、PO変性とは、プロピレンオキサイド変性部位を有することを示す。
【0076】
上記(メタ)アクリル化合物のうち、1分子内のエチレンオキサイド変性(EO変性)部位の繰り返し単位(―(CH2CH2O)−)の数、または、1分子内のプロピレンオキサイド変性(PO変性)部位の繰り返し単位(―(CH(CH3)CH2O)−)の数が10以上である(メタ)アクリル化合物を用いることが特に好ましい。上記の繰り返し単位を10以上有することにより、作製される感光性ドライフィルムレジストにラミネート処理時の熱流動性を付与することができ、さらにアルカリ水溶液への溶解性を向上することもできる。
【0077】
上記のようなEO変性部位の繰り返し単位、または、PO変性部位の繰り返し単位の数を10以上有してなる(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されないが、例えば、NKエステル A−BPE−10、A−BPE−20、A−BPE−30、BPE−100、BPE−200(新中村化学製)等のビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF EO変性(n=10〜20)ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA PO変性(n=10〜20)ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0078】
このようなEO変性部位の繰り返し単位、またはPO変性部位の繰り返し単位の数を10以上有してなる(メタ)アクリル化合物は、本発明の感光性樹脂組成物に含有されるすべての(メタ)アクリル系化合物の総重量に対して、少なくとも10重量部含有されていることが好ましく、少なくとも20重量部以上含有されていることがより好ましい。
【0079】
<(C)重合禁止剤、安定剤、酸化防止剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、(A)成分である可溶性ポリイミド及び/又は(B)成分である(メタ)アクリル系化合物に含有される、例えばビニル基、アクリル基、メタクリル基等の重合性官能基が、感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストの貯蔵中に架橋反応するのを防止するため、(C)成分として、重合禁止剤、安定剤、酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する。
【0080】
前記重合禁止剤としては、重合禁止剤、重合抑制剤として一般的に用いられているものであれば特に限定されない。安定剤としては、熱安定剤、光安定剤として一般に知られているものであれば、特に限定されない。酸化防止剤としては、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤として一般的に用いられているものであれば特に限定されない。
【0081】
上記の重合禁止剤、安定剤、酸化防止剤は、それぞれ別個の化合物であるとは限らず、例えば、1つの化合物が重合禁止剤としても酸化防止剤としても用いられる場合もあり得る。
【0082】
本発明における(C)成分である重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる添加剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノン(和光純薬(株)製、製品名DOHQ)、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ハイドロキノン(和光純薬(株)製、製品名DHHQ)等のハイドロキノン系化合物;p−ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン、t−ブチルベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン化合物;ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス1010)、N,N’−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス1098)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス3114)、ヒドロキシフェノールベンゾトリアゾール(旭電化工業(株)製、製品名アデカAO−20)等のヒンダードフェノール系化合物;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名TINUVIN P)等のベンゾトリアゾ−ル系化合物;N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン(和光純薬(株)製、製品名Q−1300)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)等のニトロソアミン系化合物;フェノチアジン、ジチオベンゾイルスルフィド、ジベンジルテトラスルフィド等の有機硫黄化合物;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピぺリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネ−ト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス144)等のヒンダードアミン系化合物;p−フェニレンジアミン(通称パラミン)、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス168)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォネート(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックスP−EPQ)等のリン系化合物などが挙げられる。
【0083】
特に、熱的な安定性の点から、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ニトロソアミン系化合物、芳香族アミンであることが好ましい。これらの化合物を用いることにより、前記重合性官能基の架橋反応を防ぐことができるため、感光性樹脂組成物の貯蔵中にその感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液の粘度の上昇を抑えることができ、感光性ドライフィルムレジストの貯蔵安定性を向上できるだけでなく、酸化防止効果もあるので樹脂の劣化を防ぐことができ、感光性樹脂組成物から作製される硬化後の感光性ドライフィルムレジストの長期耐熱性や耐加水分解性を向上させることができる。
【0084】
<(D)その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、上記(A)、(B)、(C)成分以外に、必要に応じて(D)その他の成分が含有されていてもよい。その他の成分としては、エポキシ樹脂、難燃剤、硬化促進剤及び/又は硬化剤、光反応開始剤及び/又は増感剤を挙げることができる。
【0085】
<エポキシ樹脂>
必要に応じてエポキシ樹脂を用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに銅箔やポリイミドフィルム等への接着性を向上することができる。
【0086】
上記エポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えば、製品名エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1004、エピコート1005、エピコート1007、エピコート1010、エピコート1100L(以上、油化シェル(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;製品名エピコート5050、エピコート5051、エピコート5051H等(以上、油化シェル(株)製)等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;製品名ESCN−220L、ESCN−220F、ESCN−220H、ESCN−220HH、180H65(以上、油化シェル(株)製)等のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;製品名1032H60(油化シェル(株)製)、EPPN−502H(日本化薬(株)製)、製品名ESN−375等のナフタレンアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ESN−185(新日鐵化学(株)製)等のノボラック型エポキシ樹脂;製品名YX4000H等のビフェノール型エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0087】
また、上記の他、ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラックグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等であってもよい。
【0088】
上記エポキシ樹脂のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いればよい。
【0089】
なお、上記エポキシ樹脂は、(A)成分100重量部に対し1〜100重量部の範囲内で用いることが好ましく、1〜50重量部がより好ましく、2〜30重量部の範囲内で用いることが特に好ましい。
【0090】
上記エポキシ樹脂の使用量が1重量部未満であると、得られる感光性ドライフィルムレジストの接着性が低下する場合がある。一方、100重量部を超えると耐熱性及び耐屈曲性の低下を引き起こす可能性がある。
【0091】
<難燃剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、得られる感光性ドライフィルムレジストに難燃性を付与するために、難燃剤を含有してもよい。上記難燃剤としては、特に限定されないが、リン酸エステル、縮合リン酸エステル等のリン系化合物、リン原子及び窒素原子を分子内に有するリン−窒素含有化合物、含臭素(メタ)アクリル化合物等の含臭素有機化合物、芳香族環の含有率が高いシリコーン化合物を挙げることができる。これら難燃剤のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
上記難燃剤は、上記(A)成分である可溶性ポリイミド及び(B)成分である(メタ)アクリル系化合物の総重量100重量部に対し、1〜100重量部の範囲内で用いることが好ましく、1〜50重量部の範囲内で用いることがより好ましく、1〜40重量部の範囲内で用いることが特に好ましい。
【0093】
上記難燃剤が、可溶性ポリイミド及び(メタ)アクリル系化合物の総重量100重量部に対して1重量部未満であると、十分な難燃効果が得られないために好ましくない。逆に、100重量部を超えると、Bステージ状態(半硬化の状態を言う。)の感光性ドライフィルムレジストにベタツキが見られたり、熱圧着時に樹脂がしみ出しやすくなったりする場合があり、さらに硬化物の物性に悪影響を与える傾向があるために好ましくない。
【0094】
<硬化促進剤、硬化剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物の添加剤としてエポキシ樹脂を用いた場合、作製される感光性ドライフィルムレジストの硬化を効率良く行うために、必要に応じて感光性樹脂組成物に硬化促進剤及び/又は硬化剤を添加してもよい。このような硬化促進剤、硬化剤としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂の硬化を効率良く行うためには、イミダゾ−ル系化合物、酸無水物、第3級アミン類、ヒドラジン類、芳香族アミン類、フェノール類、トリフェニルホスフィン類、有機過酸化物などを挙げることができる。これらの硬化促進剤及び/又は硬化剤のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
上記硬化促進剤及び/又は硬化剤は、(A)成分である可溶性ポリイミド100重量部に対し0.1〜20重量部の範囲内で用いることが好ましく、0.5〜20重量部の範囲内で用いることがより好ましく、0.5〜15重量部の範囲内で用いることが特に好ましい。上記硬化促進剤及び/又は硬化剤の添加量が可溶性ポリイミド100重量部に対して0.1重量部未満であると、エポキシ樹脂の硬化が十分に行われず、20重量部を超えると耐熱性の低下を引き起こす可能性がある。
【0096】
<光反応開始剤、増感剤>
作製される感光性ドライフィルムレジストに現像性を付与するために、必要に応じて、上記(D)他の成分として、光反応開始剤及び/又は増感剤を含有していてもよい。光反応開始剤及び/又は増感剤を添加してなる感光性ドライフィルムレジストを露光した場合に、露光領域にて架橋反応や重合反応を促進することができる。これにより、露光領域と未露光領域とで、感光性ドライフィルムレジストのアルカリ水溶液への溶解性を十分に異なるようにすることができ、それゆえに、感光性ドライフィルムレジスト上にパターンを好適に現像することが可能になる。
【0097】
上記光反応開始剤としては、ラジカル発生剤、光カチオン発生剤、光塩基発生剤、光酸発生剤等を挙げることができる。
【0098】
上記ラジカル発生剤としては、g線程度の長波長の光によりラジカルを発生するものが好ましく、特に限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のケトン化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物、ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン化合物を挙げることができる。特に、感度を上げる点から、ホスフィンオキサイド化合物やチタノセン化合物を用いることが好ましい。
【0099】
また、上記光カチオン発生剤としては、例えば、ジメトキシアントラキノンスルフォン酸のジフェニルヨードニウム塩等のジフェニルヨードニウム塩類、トリフェニルスルフォニウム塩類、ピリリニウム塩類、トリフェニルオニウム塩類、ジアゾニウム塩類等を挙げることができる。なお上記塩類の他、カチオン硬化性の高い脂環式エポキシやビニルエーテル化合物を混合することが好ましい。
【0100】
さらに、上記光塩基発生剤としては、ニトロベンジルアルコールやジニトロベンジルアルコールとイソシアナートの反応により得られるベンジルアルコール−ウレタン化合物、ニトロ−1−フェニルエチルアルコールやジニトロ−1−フェニルエチルアルコールとイソシアナートの反応により得られるフェニルアルコール−ウレタン化合物、ジメトキシ−2−フェニル−2−プロパノールとイソシアナートの反応により得られるプロパノ−ル−ウレタン化合物等を挙げることができる。
【0101】
また、光酸発生剤としては、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、オニウム塩等のスルホン酸を発生させる化合物、ナフトキノンジアジド等のカルボン酸を発生させる化合物を挙げることができる。あるいは、ジアゾニウム塩や、ビス(トリクロロメチル)トリアジン類等の化合物は、光の照射によりスルホン基を生成させることができるので、これら化合物も好ましく用いることができる。
【0102】
一方、上記増感剤としては、特に限定されないが、ミヒラケトン、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン等を挙げることができる。
【0103】
上記光反応開始剤及び/又は増感剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いればよい。
【0104】
上記光反応開始剤及び/又は増感剤の使用量は、上記(A)成分である可溶性ポリイミド及び(B)成分である(メタ)アクリル系化合物の総重量100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜10重量部の範囲内であることがより好ましい。上記光反応開始剤及び/又は増感剤の使用量が可溶性ポリイミドと(メタ)アクリル系化合物との総重量100重量部に対して、0.001重量部未満、或いは10重量部を超えると、増感効果が得られにくく、現像性に対して悪い影響を及ぼす可能性がある。
【0105】
また、ラジカル発生剤と増感剤とを組み合わせて用いることもできる。特に、効果的に感度を上げられる点から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のパーオキサイドと3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンとの組み合わせが好ましい。
【0106】
<感光性樹脂組成物の調製方法と感光性ドライフィルムレジストの作製方法>続いて、感光性樹脂組成物の調製方法及び感光性ドライフィルムレジストの作製方法について説明する。感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布・乾燥して作製できる。
【0107】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
まず、本発明の感光性樹脂組成物の調製方法について説明する。本発明の感光性樹脂組成物は(A)可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤、更に必要に応じて(D)その他の成分をある割合で混合したものであり、それを有機溶媒に均一に溶解させた溶液を感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液という。上記有機溶媒としては、感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解することができる有機溶媒であれば、特に限定されるものではない。上記有機溶媒としては、例えば、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。これらの有機溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、後の工程にて、上記有機溶媒の除去を行うので、上記感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解し、できるだけ沸点の低いものを選択することが、製造工程上、有利である。
【0108】
<感光性樹脂組成物のワニスの粘度>
上記のように調製した感光性樹脂組成物のワニスは、固形分重量比(Sc)が30%になるように調整し、そのワニスの粘度をB型粘度計で測定する。本発明における感光性樹脂組成物のワニスの粘度は2〜20ポイズであることが好ましい。粘度が2ポイズ未満であると、所望の厚みの感光性ドライフィルムレジストを得ることが困難になる。他方で、粘度が20ポイズを超えると、ワニスの取扱性が悪くなり、加工性に劣る傾向にある。
【0109】
本発明における感光性樹脂組成物のワニスは、調製直後の粘度に対して、該ワニスを室温で7日間放置した場合の粘度の上昇率が0%以上20%以下であることが好ましい。上記感光性樹脂組成物のワニスの粘度の上昇率が20%を超えると、ワニスの取扱性が悪くなったり、ワニスを支持体フィルム上に塗布して感光性ドライフィルムレジストを作製する際の塗布・乾燥条件等が異なるため、生産性の面から好ましくない。一方で、ワニスの粘度が減少すると、感光性ドライフィルムレジストを作製する際の塗布・乾燥条件等が異なるため、生産性の面から好ましくない。
【0110】
<感光性ドライフィルムレジストの製造方法>
続いて、例えば、上記の感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布した後、加熱及び/又は熱風吹き付けを行う。これによって、上記有機溶媒を除去し、感光性樹脂組成物がフィルム状となった感光性ドライフィルムレジストを得る。このように形成された感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ)で保ったものである。それゆえ、熱ラミネート処理等の熱圧着処理を行う場合には適度な流動性を持ち、プリント配線板のパターン回路の埋め込みを好適に行うことができる。また、パターン回路を埋め込んだ後、露光処理、熱圧着処理、加熱キュアを行うことによって、完全に硬化させることができる。
【0111】
上記加熱及び/又は熱風吹き付けを行うことによって、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を乾燥する際の温度は、感光性樹脂組成物に含有される、例えば、(メタ)アクリル基、エポキシ基などの硬化性基が反応しない程度の温度であればよい。具体的には、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることが特に望ましい。また、乾燥時間は有機溶媒を除去することが可能な範囲内で、より短い時間とすることが好ましい。
【0112】
上記支持体フィルムの材料としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。上記支持体フィルムのうち、ある程度の耐熱性を有し、比較的安価に手に入る点から、PETフィルムが多く用いられる。なお、支持体フィルムの感光性ドライフィルムレジストとの接合面については、密着性と剥離性を向上させるために表面処理されているものを用いてもよい。
【0113】
また、支持体フィルムの厚みは5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内であることがより好ましい。支持体フィルムの厚みが5μm未満であると、支持体フィルムにしわが生じて、操作性が低下する傾向がある。また、支持体フィルムの厚みが50μmを超えると、感光性ドライフィルムレジストを巻き取り難くなるという問題が生じる。
【0114】
上記のように作製された感光性ドライフィルムレジストの表面は、さらに、その表面にエポキシ樹脂層を形成してもよい。このエポキシ樹脂層は、銅箔への接着性を向上させるために、設けられる。上記エポキシ樹脂層は、エポキシ樹脂を溶解させた有機溶媒溶液を用いて、薄い層状となるように形成される。なお、上記有機溶媒溶液には、さらに硬化剤が溶解していてもよい。
【0115】
また、上記感光性ドライフィルムレジストの使用前に、空気中のゴミや塵が付着することや、乾燥によって品質が劣化することを防止するために、感光性ドライフィルムレジストには保護フィルムを積層することが好ましく、該保護フィルムは、感光性ドライフィルムレジストの使用時に剥離するようにすることが好ましい。つまり、本実施の形態の感光性ドライフィルムレジストは、使用時に剥離できるような保護フィルムを積層しておくことが好ましい。
【0116】
従って、保護フィルムは、感光性ドライフィルムレジスト面に10℃〜50℃の温度でラミネートして積層することが好ましい。なお、ラミネート処理時の温度が50℃よりも高くなると、保護フィルムの熱膨張を招き、ラミネート処理後の保護フィルムにしわやカールが生じることになる。
【0117】
上記保護フィルムは使用時には剥離するため、保護フィルムと感光性ドライフィルムレジストとの接合面は、保管時には適度な密着性を有し、かつ剥離性に優れていることが好ましい。
【0118】
保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアルコールフィルム(EVAフィルム)、「ポリエチレンとエチレンビニルアルコールの共重合体フィルム」(以下(PE+EVA)共重合体フィルムと略す)、「PEフィルムと(PE+EVA)共重合体フィルムの貼り合せ体」、もしくは「(PE+EVA)共重合体とポリエチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」(片面がPEフィルム面であり、もう片面が(PE+EVA)共重合体フィルム面であるフィルムとなる)等を挙げることができる。
【0119】
上記PEフィルムは安価であり、表面の滑り性に優れているという長所がある。また、(PE+EVA)共重合体フィルムは、感光性ドライフィルムレジストへの適度な密着性と剥離性とを備えている。このような保護フィルムを用いることにより、保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、支持体フィルムの3層を有する三層構造シートをロール状に巻き取った場合に、その表面の滑り性を向上することができる。
【0120】
<感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間>
本発明における感光性ドライフィルムレジストは、Bステージ(半硬化)状態において、アルカリ溶解性を示すことにより、水系現像を可能としている。ここで、水系現像とは、塩基性化合物が溶解したアルカリ性水溶液を現像液として用いてパターンの現像が可能であることを示す。また、感光性ドライフィルムレジストの現像液としては、塩基性化合物が溶解した水溶液もしくは有機溶媒溶液が一般的であるが、環境への影響から、有機溶媒は用いないほうが好ましく、水溶液で現像可能であることが好ましい。
【0121】
本発明において、アルカリへの溶解時間とは、現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いるとともに、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下において、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストが溶解除去されるのに必要な時間を示す。ここで、スプレー現像機とは、現像液をスプレー状にしてサンプルに噴射する装置であれば特に限定されない。
【0122】
本発明における感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間は、20秒〜180秒の範囲であることが好ましい。前記アルカリへの溶解時間が20秒未満であると、良好なパターンが得られる工程幅が狭くなり作業性が低下する場合があり、逆に、アルカリ溶解時間が180秒を超えると、現像時間がかかりすぎて生産性が低下する傾向がある。
【0123】
さらに、作製した感光性ドライフィルムレジストを室温で7日間放置した前後で、前記アルカリへの溶解時間の変化量が±20%の範囲内であることが好ましく、更には±10%の範囲内であることがより好ましい。前記溶解時間の変化量が±20%の範囲を超えると、後述する現像工程において、良好なパターンを効率良く得るための現像時間が変化するため、生産性の点から好ましくない。
【0124】
<プリント配線板の作製>
本発明にかかる感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として形成してなるプリント配線板を作製する手法について説明する。プリント配線板として、パターン回路が形成されてなる銅箔(以下、回路付きCCLと記載)を用いる場合を例に挙げて説明するが、多層のプリント配線板を形成する場合にも、同様の手法により層間絶縁層を形成することができる。
【0125】
まず、上記にて説明した保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、支持体フィルムを有してなる三層構造シートから保護フィルムを剥離する。以下では、保護フィルムが剥離されたものを支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストと記載する。そして、感光性ドライフィルムレジストと回路付きCCLとが対向するように、該回路付きCCLを、支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストにて覆い、熱圧着によって貼り合せる。この熱圧着による貼り合わせは、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、熱ロールラミネート処理等によって行えばよく、特に限定されるものではない。
【0126】
上記貼り合わせを、熱ラミネート処理、熱ロールラミネート処理(以下、ラミネート処理と記載)によって行う場合、処理温度は、ラミネート処理が可能である下限の温度(以下、圧着可能温度)以上であればよい。具体的には、上記圧着可能温度は、50〜150℃の範囲内であることが好ましく、60〜120℃の範囲内であることがより好ましく、80〜120℃の範囲内であることが特に好ましい。
【0127】
上記処理温度が150℃を超えると、ラミネート処理時に、感光性ドライフィルムレジストに含まれる重合性官能基の架橋反応が生じ、感光性ドライフィルムレジストの硬化が進行してしまう。一方、上記処理温度が50℃未満であると、感光性ドライフィルムレジストの流動性が低く、パターン回路を埋め込むことが困難となる場合がある。さらに、銅回路付きCCLの銅回路や該銅回路付きCCLのベースフィルムとの接着性が低下してしまう。
【0128】
上記の熱圧着処理によって、回路付きCCL上に感光性ドライフィルムレジストが積層され、さらに支持体フィルムが積層されたサンプルが得られる。次いで、この貼り合わせサンプルについてパターン露光及び現像を行う。パターン露光及び現像に際しては、上記貼り合わせサンプルの支持体フィルム上にフォトマスクパターンを配置し、該フォトマスクを介して露光処理を行う。その後、支持体フィルムを剥離して現像処理を行うことにより、フォトマスクパターンに応じた穴(ビア)が形成される。
【0129】
なお、上記支持体フィルムは、露光処理後に剥離しているが、回路付きCCL上に支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストが貼り合わせられた後に、すなわち、露光処理を行う前に剥離してもよい。感光性ドライフィルムレジストを保護する点からは、露光処理が完了した後に剥離することが好ましい。
【0130】
ここで露光に用いる光源としては、300〜430nmの光を有効に放射する光源が好ましい。この理由は、感光性ドライフィルムレジストに含有され得る光反応開始剤が、通常450nm以下の光を吸収して機能するためである。
【0131】
露光処理に続いて、現像処理を行う。上記現像処理に用いる現像液としては、塩基性化合物が溶解した塩基性水溶液を用いればよい。上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アミン化合物等を挙げることができる。上記塩基性化合物は1種を用いてもよいし、2種以上の化合物を用いてもよい。
【0132】
上記塩基性水溶液に含有される塩基性化合物の濃度は、0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましいが、感光性ドライフィルムレジストの耐アルカリ性の点から、0.1〜5重量%の範囲内とすることがより好ましい。
【0133】
なお、現像処理の方法としては、特に限定されないが、塩基性溶液中に現像サンプルを入れて攪拌する方法や、現像液をスプレー状にして現像サンプルに噴射する方法等が挙げられる。
【0134】
本発明においては、特に、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストが高濃度のアルカリ水溶液への耐薬品性に劣るため、液温40℃に調整した1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を現像液に用い、スプレー現像機を用いて行う現像処理が好ましい。
【0135】
ここで、感光性ドライフィルムレジストのパターンが描けるまでの現像時間は、パターンが描ける時間であればよいが、180秒以下の時間で現像できることが好ましく、90秒以下の時間で現像できることがより好ましく、60秒以下の時間で現像できることが最も好ましい。現像時間が180秒を超えると生産性の点から好ましくない。
【0136】
パターンを描くための現像時間は、前述した感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間の1〜2倍程度の時間であることが一般的である。
【0137】
上記のように露光・現像処理が施された後、感光性ドライフィルムレジストに対して、加熱キュアを行うことにより、感光性ドライフィルムレジストが完全に硬化する。これにより、硬化した感光性ドライフィルムレジストは、プリント配線板の絶縁保護膜となる。
【0138】
また、多層のプリント配線板を形成する場合には、プリント配線板の保護層を層間絶縁層とし、該層間絶縁層上に、さらにスパッタリングや鍍金、もしくは銅箔との貼り合わせ等を行った後、パターン回路を形成し、上記のように感光性ドライフィルムレジストをラミネートすればよい。これにより、多層のプリント配線板を作製することができる。
【0139】
なお、本実施の形態では、感光性ドライフィルムレジストを、プリント配線板の絶縁保護材料または層間絶縁材料として用いる場合について説明したが、上記の用途以外に用いることも可能である。
【0140】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0141】
感光性樹脂組成物の調製及び感光性ドライフィルムレジストの作製、及びその物性の評価は次のようにして行った。
【0142】
[感光性樹脂組成物の調製及び感光性ドライフィルムレジストの作製]
(1)可溶性ポリイミドの重量平均分子量の測定
感光性樹脂組成物の調製に用いる(A)重合性官能基を有する可溶性ポリイミドの重量平均分子量は、東ソー社製高速GPC(製品名HLC−8220GPC)を用いて以下の条件で測定した。
展開溶媒:DMF(0.036M LiBr, 0.019M リン酸)
カラム温度:40℃、カラムShodex(KD−805−M 2本)
検出器:PI、PEO標準
流量:0.6ml/min
【0143】
(2)感光性樹脂組成物の調製
ジオキソランに(A)重合性官能基を有する可溶性ポリイミドを溶解させ、その固形分重量%(Sc)=30%として、可溶性ポリイミドのワニスを調製した。この可溶性ポリイミドのワニスに対して、(B)(メタ)アクリル系化合物、(C)重合禁止剤、安定剤、及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤、更に必要に応じて(D)その他の成分を混合・攪拌し、最終的な固形分重量%(Sc)=50%となるように感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液(ワニス)を調製した。ここで固形分重量とは、有機溶媒以外の材料、すなわち(A)、(B)、(C)及び(D)成分の総重量を示し、液体の材料であっても固形分に含めるものとする。
【0144】
(3)感光性ドライフィルムレジストの作製
上記の感光性樹脂組成物のワニスを、乾燥後の厚み(感光性ドライフィルムレジストの厚み)が20〜25μmになるように支持体フィルムに塗布した。支持体フィルムとしては、PETフィルム(東レ(株)製ルミラー、厚み25μm)を用いた。その後、支持体フィルム上の塗布層を100℃、2分間の条件で乾燥することによって、ジオキソランを除去した。これにより、感光性ドライフィルムレジスト/PETフィルム(支持体フィルム)からなる2層構造シートを得た。なお、感光性ドライフィルムレジスト層はBステージ状態にある。
【0145】
続いて、上記2層構造シートにおける感光性ドライフィルムレジスト層の上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、GF−1、厚み40μm)をロール温度20℃、ニップ厚75000Pa・mの条件でロールラミネートして、保護フィルム/感光性ドライフィルムレジスト/PETフィルムの三層を有する三層構造シートを得た。
【0146】
[感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価]
上記のようにして調製された感光性樹脂組成物のワニス及び作製された感光性ドライフィルムレジストについて、次に示す各項目の物性、▲1▼ワニスの粘度、▲2▼感光性ドライフィルムレジストのアルカリへの溶解時間、▲3▼現像性、▲4▼耐加水分解性について評価を行った。
【0147】
<ワニスの粘度>
固形分重量%(Sc)=50%となるように感光性樹脂組成物のワニスを調製した直後に、該ワニスの初期粘度(A0)を、B型粘度計(東京計器(株)製、B型粘度計(形式BS))を用いて測定した。続いて、該ワニスを蓋付きのガラス製のサンプル管に入れて室温で7日間貯蔵し、貯蔵後のワニスの粘度(A1)を、同様にB型粘度計を用いて測定した。粘度上昇率(%)は、100×(A1−A0)÷A0により求められる。
【0148】
<アルカリへの溶解時間>
まず、電解銅箔(三井金属(株)製、厚み38μm)を10重量%の硫酸水溶液で1分間ソフトエッチング(銅箔表面の防錆剤を除去する工程である)し、水洗い後、エタノール、アセトンで表面を洗ってから乾燥させた。感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、前記電解銅箔(ソフトエッチング後)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。次いで、PETフィルムを剥離した後、未露光のまま、スプレー現像機(サンハヤト(株)製エッチングマシーンES−655D)を用いて、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)、スプレー圧0.85MPa、で現像時間20〜180秒間の条件で現像処理を行った。現像後のサンプルは、蒸留水により洗浄して、現像液を除去し、乾燥させた。
【0149】
感光性ドライフィルムレジストが貼り合わされた銅箔光沢面から、感光性ドライフィルムレジストが完全に溶解除去されるのに必要な最短の現像時間、すなわちアルカリへの溶解時間の初期値(t0)が20〜180秒間の範囲で溶解するものを合格とした。20秒未満若しくは180秒を超えるものは不合格とした。
【0150】
次に、作製した感光性ドライフィルムレジストを、三層構造シートの状態で、室温で7日間放置し、再びアルカリへの溶解時間(t1)を調べた。アルカリへの溶解時間の変化量(%)は、100×(t1−t0)/t0で求められる。この変化量が、±20%の範囲内でれば合格とし、その範囲を超えている場合には不合格とした。
【0151】
<現像性>
上記と同じ方法で、感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、電解銅箔(ソフトエッチング後)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。この積層体のPETフィルムの上に、100×100μm角及び200×200μm角の微細な四角を描いたマスクパターンをのせ、波長400nmの光を300mJ/cm2だけ露光した。このサンプルのPETフィルムを剥離した後、スプレー現像機(サンハヤト(株)製エッチングマシーンES−655D)を用いて、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)、スプレー圧0.85MPa、現像時間30秒間〜180秒間の条件で現像した。現像によって形成したパターンは、蒸留水により洗浄して、現像液を除去し、乾燥させた。光学顕微鏡で観察して少なくとも200×200μm角の四角が現像できていれば合格とした。
【0152】
<耐加水分解性>
銅箔付きポリイミドフィルム(新日鐵化学(株)製、製品名エスパネックス、ポリイミドフィルムの厚み25μm、銅箔の厚み18μm)の銅箔面、レジストフィルム(旭化成(株)製、サンフォート)を用いて、ライン/スペース=50/50μmの間隔でラインが20本並行に並んだパターンを形成して、回路付きCCLを得た。保護フィルムを剥離した感光性ドライフィルムレジストを、この回路付きCCLの櫛型パターン部分の上を被覆するように重ねて、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。この貼り合わせサンプルの感光性ドライフィルムレジスト面に波長400nmの光を300mJ/cm2露光した後、PETフィルムを剥離し、180℃で2時間キュアして硬化させた。
【0153】
硬化後の「回路付きCCL/感光性ドライフィルムレジスト」サンプルを2cm角サイズに切り取り、プレッシャークッカー試験機(平山製作所(株)製小型プレッシャークッカー試験機、型番PC305S)に投入し、121℃/2気圧/24時間の条件で耐加水分解性試験を行った。試験終了後、サンプルを取り出し、表面の水滴を拭き取った後、感光性ドライフィルムレジストの異常や、感光性ドライフィルムレジストに被覆された銅のラインの変色などを目視及び顕微鏡にて観察した。
【0154】
プレッシャークッカー試験機に投入前と比較して感光性ドライフィルムレジストの変色や劣化がなく、かつ銅のラインの変色等が全く見られないものを合格とした。また、感光性ドライフィルムレジストが不透明になったもの、脆くなりボロボロになったもの、サンプルを屈曲させると感光性ドライフィルムレジストがCCLより剥がれてしまうもの、銅のラインが褐色などに変色しているものは不合格とした。
【0155】
(実施例1)
<(A)メタクリル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
原料として、(2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエ−ト)−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(以下、ESDAとも言う。)、2,2’ジアミノビスフェノールA(群栄化学(株)製、製品名DAM−1、以下(化4)に示す)、シリコンジアミン(信越シリコーン(株)製、製品名KF−8010)を用い、重合用溶媒としてはN,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFとも言う。)を用いた。
【0156】
【化4】
【0157】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにジアミンDAM−1を69.7g (0.27mol)、DMF100g を入れ、DAM−1のDMF溶液を調製した。次に上記DMF溶液に、シリコンジアミンKF−8010を24.9g (0.03mol)添加し激しく攪拌した。溶液が均一になった後、さらに、ESDA173g (0.30mol)をDMF300gに溶解させた溶液を加えて約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し241.0gの水酸基を有するポリイミドを得た。
【0158】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当する。また、重量平均分子量を測定した結果45000であり、これを基に水酸基当量を計算した結果475であった。
【0159】
(ポリイミドの変性)
次に、上記の可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにグリシジルメタクリレート(以下、GMAとも言う。)を10.82g(0.076mmol)、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖の水酸基をGMA変性し、イミド側鎖にメタクリル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0160】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物のワニスを調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)メタクリル基を含有する可溶性ポリイミド:
上記可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・50重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位;m+n≒4)ジアクリレート(東亞合成(株)製アロニックスM−211B)・・・・・40重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・10重量部
(C)重合禁止剤
・N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)・・・・・0.0005重量部
(D)その他の成分:光反応開始剤
ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6’−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア784)・・・・・0.1重量部
【0161】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は7.0ポイズ、7日間放置後は8.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は14.3%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後も30秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0162】
(実施例2)
<(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
実施例1で合成した可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた。このジオキソラン溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにエポキシ基を有するアクリル化合物(新中村化学(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)を30.50g、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖の水酸基を変性し、イミド側鎖にアクリル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0163】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例1において、(A)成分として上記のアクリル基を含有する可溶性ポリイミドを用いること以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物のワニスを調製し、感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0164】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は9.0ポイズ、7日間放置後は10.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は11.1%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は40秒、7日間放置後も40秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0165】
(実施例3)
<(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
原料として、上記の酸二無水物ESDA、以下(化5)に示すジアミン(和歌山精化(株)製、製品名MBAA)、シリコンジアミンKF−8010を用い、重合用溶媒としてはDMFを用いた。
【0166】
【化5】
【0167】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにジアミンMBAAを76.9g (0.21mol)、DMF100g を入れ、MBAAのDMF溶液を調製した。次に該DMF溶液に、シリコンジアミンKF−8010を74.7g(0.09mol)加えて激しく攪拌した。上記溶液が均一になった後、ESDA173g (0.30mol)をDMF300gに溶解した溶液を添加し約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、285.6gのカルボキシル基を含有するポリイミドを得た。
【0168】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当する。また、重量平均分子量を測定した結果27000であり、これを基にカルボキシル基当量を計算した結果745であった。
【0169】
(ポリイミドの変性)
次に、上記の可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにエポキシ基を有するアクリル化合物(新中村化学(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)を30.50g、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖のカルボキシル基を変性し、イミド側鎖にアクリル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0170】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミド:
上記可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・65重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・エポキシアクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)・・25重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・10重量部
(C)ハイドロキノン系酸化防止剤
・ハイドロキノン・・・・・0.5重量部
(D)その他の成分:
光反応開始剤として、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア819)・・・・・1重量部
硬化剤として、
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)・・・・・3重量部
【0171】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は10.0ポイズ、7日間放置後は10.5ポイズであった。従って、粘度上昇率は5.0%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は60秒、7日間放置後も60秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間90秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0172】
(実施例4)
<(A)ビニル基を含有する可溶性ポリイミドの合成>
ポリイミドの原料として、前記のESDA、以下(化6)に示すアミノ基含有フェノール誘導体(群栄化学(株)製、製品名DAM−R1)、及びシリコンジアミンKF−8010を用い、重合用溶媒としてはDMFを用いた。
【0173】
【化6】
【0174】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにジアミンDAM−R1を185g (0.27mol)、DMF100gを入れ、DAM−R1のDMF溶液を調製した。次に上記DMF溶液に、シリコンジアミンKF−8010を24.9g (0.03mol)加え激しく攪拌した。溶液が均一になった後、ESDA173g (0.30mol)をDMF300gに溶解した溶液を添加し、約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、345gの水酸基を有するポリイミドを得た。
【0175】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当する。また、重量平均分子量を測定した結果72000であり、これを基に水酸基当量を計算した結果418であった。
【0176】
(ポリイミドの変性)
次に、上記の可溶性ポリイミド60gをジオキソラン140gに溶解させた溶液に、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)を0.001g加え、さらにグリシジルビニルエーテルを15.20g、トリエチルアミン0.38g(3.8mmol)を加えて、60℃で8時間攪拌した。このようにして、ポリイミドの側鎖の水酸基を変性し、イミド側鎖にビニル基を含有する可溶性ポリイミドを合成した。
【0177】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
次に、以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)ビニル基を含有する可溶性ポリイミド:
・実施例3で合成した可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・40重量部
・水酸基を含有する可溶性ポリイミド:上記可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・20重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・20重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒10)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−10)・・・・・20重量部
(C)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
・ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名イルガノックス259)・・・・・0.5重量部
(D)その他の成分:光反応開始剤
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア819)・・・・・1重量部
【0178】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は7.0ポイズ、7日間放置後は8.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は14.3%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は60秒、7日間放置後は70秒であった。従って、変化量は16.7%であり合格。
現像性:現像時間90秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0179】
(実施例5)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)アクリル基を含有する可溶性ポリイミド:
・実施例3のアクリル基を含有する可溶性ポリイミド(固形分で換算)・・・・・40重量部
(B)(メタ)アクリル系化合物
・エポキシアクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名NKオリゴEA−1010)・・・・・10重量部
・ビスフェノールAタイプのエポキシアクリレート(ダイセルUCB(株)製、製品名Ebecryl 3700)・・・・・30重量部
・ビスフェノールA EO変性(エチレンオキサイド変性部位の繰り返し単位m+n≒30)ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA−BPE−30)・・・・・10重量部
(C)重合禁止剤
・N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬(株)製、製品名Q−1301)・・・・・0.0005重量部
(D)その他の成分:
エポキシ樹脂として、
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東亞合成(株)製エピコート828)・・・・・10重量部
光反応開始剤として、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア819)・・・・・3重量部
硬化剤として、
・4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DDM)・・・・・1重量部
【0180】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は12.0ポイズ、7日間放置後は13.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は8.3%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後も30秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0181】
(比較例1)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例1において(C)重合禁止剤を使用しない他は、実施例1と全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0182】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は7.0ポイズ、7日間放置後は24.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は242.9%であり不合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後は180秒で、変化量は500%であり不合格。
現像性:現像時間60秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像できており合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0183】
このように、重合性官能基を含有する可溶性ポリイミドをベースポリマーとして用い、重合禁止剤を用いない場合は、現像性や耐加水分解性は良好であるが、ワニスの粘度上昇が非常に大きく、アルカリへの溶解時間も急激に長くなり、ワニスや感光性ドライフィルムレジストの貯蔵安定性が非常に劣る結果となった。
【0184】
(比較例2)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例3で合成した可溶性ポリイミドで変性前のものを(A)成分として使用し、重合禁止剤を使用しない他は、実施例3と全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0185】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は10.0ポイズ、7日間放置後は15.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は50.0%であり不合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は60秒、7日間放置後は100秒で、変化率は66.7%であり不合格。
現像性:現像時間90秒で100×100μm角の穴及び200×200μm角の穴が現像でき合格。
耐加水分解性:銅の変色が見られ、不合格。
【0186】
このように、カルボキシル基を含有するが重合性官能基は含有しない可溶性ポリイミドをベースポリマーとして用い、重合禁止剤を用いない場合には、現像性は良好であるが、(B)成分が反応してしまうため、ワニスの粘度上昇が大きく、ワニスや感光性ドライフィルムレジストの貯蔵安定性が劣る結果となった。また、耐加水分解性も劣った。しかし、ワニスの粘度上昇やアルカリへの溶解時間の変化量は、重合性官能基を含有する可溶性ポリイミドを使用した比較例1と比べると小さかった。
【0187】
(比較例3)
<ベースポリマーの合成>
ポリイミドの原料として、上記のESDA、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン(以下、BAPS−Mと示す)、シリコンジアミンKF−8010を用いた。
【0188】
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500mlのセパラブルフラスコにESDA173g (0.30mol)、DMF300gを入れ、ESDAのDMFワニスを調製した。次に上記DMFワニスに、BAPS−M86.5g (0.20mol)をDMF100gに溶解した溶液を添加し、激しく攪拌した。溶液が均一になった後、シリコンジアミンKF−8010を83.5g (0.10mol)加え、1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり真空オーブンで200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、315gのポリイミドを得た。
【0189】
このポリイミドは、テトラヒドロフラン100g(20℃)に50g以上溶解したので、本発明で定義する可溶性ポリイミドに該当するが、イミド側鎖に水酸基若しくはカルボキシル基を有さない。また、重量平均分子量を測定した結果45000であった。
【0190】
上記可溶性ポリイミド15gをジオキソラン35gに溶解させ、固形分重量%(Sc)= 30%のワニスを作製した。
【0191】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例1の(A)成分の代わりに上記で合成したポリイミドをベースポリマーとして用いること以外は、全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0192】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は9.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は12.5%であり合格。
アルカリへの溶解時間:現像処理を180秒間行っても溶解せず、不合格。
現像性:180秒間現像処理を行っても、感光性ドライフィルムレジストの厚みが現像前の25μmから現像後に22μmに減少するだけで、100×100μm角の穴、200×200μm角の穴はともに現像できておらず、感光性ドライフィルムレジストがサンプル全面に溶け残っており不合格。
耐加水分解性:異常なく合格。
【0193】
このように、重合性官能基並びにカルボキシル基若しくは水酸基を含有しないポリイミドをベースポリマーとして用いるとワニスの粘度の貯蔵安定性や耐加水分解性は良好であるが、アルカリ溶解性及び現像性が劣った。
【0194】
(比較例4)
比較例3において、(C)成分を用いずに、感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストを作製し、その物性評価を行った。その結果、ワニスの粘度が、初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は12.0ポイズであり、粘度上昇率は50.0%で不合格であった以外は、比較例3と同じ結果となった。
【0195】
このように、重合性官能基並びにカルボキシル基若しくは水酸基を含有しないポリイミドをベースポリマーとして用いる場合にも、耐加水分解性は良好であるが、(B)成分が反応してしまうため重合禁止剤を用いなくてもワニスの粘度変化は大きく、またアルカリ溶解性及び現像性も劣った。ただし、比較例1に示すような重合性官能基を含有するポリイミドを用いる場合に比較して、ワニスの粘度上昇は小さかった。
【0196】
(比較例5)
<ベースポリマーの合成>
原料として、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、及びメタクリル酸のモノマーを用いた。これらのモノマー成分を、公知の方法を用いて共重合し、カルボキシル基含有共重合体を得た。この際の各モノマー成分の重合比は、メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/メタクリル酸=60/10/10/20(重量基準)とした。
【0197】
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例3の(A)成分の代わりに上記で合成したアクリル系共重合体をベースポリマーとして用いること以外は、実施例3と全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0198】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は9.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は12.5%であり合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後も30秒で変化なく(変化量0%)合格。
現像性:現像時間40秒で100×100μm角の穴、200×200μm角の穴ともに現像できており合格。
耐加水分解性:銅のラインは変色ないが、感光性ドライフィルムレジストが脆くなり、サンプルを屈曲させると感光性ドライフィルムレジストがCCLより剥がれてしまうため、不合格。
【0199】
このように、アクリル系共重合体をベースポリマーとして用いると、アルカリへの溶解時間の変化量は小さく、現像性は良好であるが、耐加水分解性に劣った。
【0200】
(比較例6)
実施例3の(A)成分の代わりに比較例5において合成したアクリル系共重合体をベースポリマーとして用い、更に(C)成分を全く用いないこと以外は、実施例3と同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
【0201】
<物性の評価結果>
得られた感光性樹脂組成物のワニス及び感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
ワニスの粘度:初期粘度は8.0ポイズ、7日間放置後は10.0ポイズであった。従って、粘度上昇率は25.0%であり不合格。
アルカリへの溶解時間:初期値は30秒、7日間放置後は50秒であり、変化量が66.7%であるため不合格。
現像性:現像時間40秒で100×100μm角の穴、200×200μm角の穴ともに現像できており合格。
耐加水分解性:銅のラインは変色ないが、感光性ドライフィルムレジストが脆くなり、サンプルを屈曲させると感光性ドライフィルムレジストがCCLより剥がれてしまうため、不合格。
【0202】
このように、アクリル系共重合体をベースポリマーとして用い、重合禁止剤を全く用いないと、現像性は良好であるが、ワニスの粘度変化やアルカリへの溶解時間の変化量が大きく、耐加水分解性も劣った。
【0203】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストは、アルカリ水溶液での水系現像が可能であり、感光性樹脂組成物のワニスの貯蔵中の粘度上昇を抑制することができる。また、アルカリへの溶解性の経時変化を小さくすることができ、さらに硬化後の感光性ドライフィルムレジストの耐加水分解性を向上させることができる。
【0204】
従って、本発明は、FPC等のプリント配線板を製造する産業、例えば電子部品用の樹脂材料を製造する樹脂産業分野に好適に用いることができるだけではなく、このようなプリント配線板を用いる電子機器の産業分野に好適に用いることができる。
Claims (8)
- (A)重合性官能基を含有し、かつカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミド、(B)(メタ)アクリル系化合物、並びに(C)重合禁止剤、安定剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分とする感光性樹脂組成物。
- 上記(A)成分の重合性官能基が、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 上記(C)成分が、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ニトロソアミン系化合物、芳香族アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 感光性樹脂組成物のワニスを室温で7日間放置した場合の粘度上昇率が0%以上20%以下であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1乃至4に記載の感光性樹脂組成物から作製される感光性ドライフィルムレジスト。
- 現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いるとともに、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下における溶解時間が、20秒〜180秒の範囲であることを特徴とする、請求項5記載の感光性ドライフィルムレジスト。
- 現像液として、40℃、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用い、現像手段としてスプレー現像機を用いた場合に、スプレー圧0.85MPaの条件下における溶解時間の変化量が、室温で7日間放置した前後で、±20%の範囲内であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の感光性ドライフィルムレジスト。
- 請求項5乃至7に記載の感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護フィルムとして用いることを特徴とする、プリント配線板。
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