JP5053972B2 - 熱硬化性ソルダーレジスト用組成物、ソルダーレジスト形成用フィルム、ソルダーレジストの形成方法及び回路基板 - Google Patents

熱硬化性ソルダーレジスト用組成物、ソルダーレジスト形成用フィルム、ソルダーレジストの形成方法及び回路基板 Download PDF

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Description

本発明はプリント基板等の回路基板表面に、保護及び絶縁性確保のために設けられるソルダーレジストに関し、特に、ポリベンゾオキサジンを含むことにより、高絶縁性、良好な電気的特性、物理的特性に優れた熱硬化性ソルダーレジスト組成物、ソルダーレジスト形成用フィルム、ソルダーレジストの形成方法、及び該ソルダーレジストを用いた回路基板に関する。
回路基板は絶縁材料上に形成された配線パターンを有し、近年は小型化のために基板が複層構造となっている場合がほとんどである。この基板の最表面はソルダーレジストといわれる保護膜で被覆されている。ソルダーレジストは、本来、基板表面に設けられた回路の保護、回路外部との絶縁などの目的で設けられている。同時に、回路基板作製工程において、ソルダーレジストの一部を何らかの方法で除去して基板回路を露出させ、その後部品を実装したり、外部配線への接続を行ったりする。この際、ソルダーレジストを用いると、ハンダが配線間に付着して短絡する、いわゆるハンダブリッジを防止することが出来る。すなわち、ソルダーレジストは回路保護という役割だけではなく、部品実装や配線とりだし工程などの製造工程にも密着した種々の機能を期待されている。
近年の各種コンピュータ、デジタルディスプレイ、デジタル家電、カーエレクトロニクス、電子エンターテイメント機器などの普及・発展に伴い、電子回路基板保護層であるソルダーレジストへの要求がより厳しくなっている。特に、近年の回路狭ピッチ化に伴い、ソルダーレジストにはより高い絶縁性、良好な電気的特性(低誘電率・低誘電損失など)や、過酷な条件での使用にも耐える耐久性能が求められ始めている。
一般的なソルダーレジストには、複数の種類がある。
一つはポリイミドやポリエステルのフィルムに接着剤が設けられたもので、これを回路基板に貼り付ける(フィルムタイプソルダーレジストと呼ばれる場合がある)。フィルムタイプのソルダーレジストは、元々均一なフィルムであるために、ピンホールなどの欠損も起こりにくく、物性調整等も容易なため、安定したソルダーレジストとして用いることが出来る。このようなソルダーレジストは、部品実装や配線取り出しが必要な場合、ソルダーレジストの該当部分を切り取り、貼り付け時に切り取り部が該当する回路上に位置するように位置合わせを行って貼り付ける。しかしながら、貼り付けの位置精度を確保するのが困難であるため、実際には粗いパターンの基板に限定される。フィルムの材料としてはポリイミド、PET等が一般的に用いられる。
また、もう一つのタイプは、熱硬化性樹脂を表面に塗布した後、硬化させるものがある。熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、可溶性ポリイミド等が用いられる場合が多い。特にエポキシ樹脂の技術は成熟しており、比較的低価格であるため、各種物性の制御も可能であり、ソルダーレジストとして好適に用いられている。このタイプの場合、部品実装や配線取り出し部は印刷によりその部分を除外してソルダーレジスト組成物を塗布したり、マスクを設けてその上から均一に塗布する工程が行われる。印刷の場合には、印刷精度に限界があるため、粗いパターン等に用いられる場合が多い。また、マスクを設ける工程は、工程が複雑になるため、実際にはあまり行われていない。
近年の狭ピッチ回路に対応した方法として、感光性材料を用いたソルダーレジストがある。感光性ソルダーレジストは高品質回路基板の標準的なソルダーレジストであり、最も
開発が盛んに行われている材料系である。感光性ソルダーレジストも大きく分けて2種類有り、フィルムタイプで回路基板上にラミネートして用いるタイプ、液状で回路基板に塗布するタイプがある。感光性ソルダーレジストの材料は主としてエポキシアクリレート樹脂を主としたものと、感光性ポリイミドを主としたものがある。両者とも炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液で現像が可能な、ネガ型のフォトレジストが主流である。感光性ソルダーレジストを用いて回路基板上にソルダーレジストを設けるための概略工程は以下の通りである。すなわち、洗浄した回路基板上に感光性ソルダーレジストを塗布またはラミネートし、その後、部品実装や配線とりだし部分が遮光できるフォトマスクを介して紫外線などを照射し、所望の部分のみ光硬化させる。マスクの位置合わせ精度は、前述のフィルム切り取りや印刷等に比べて非常に良好であり、このために、高性能な狭ピッチ基板においてはもっぱらこの方法が用いられている。その後、炭酸ナトリウム水溶液などの現像液で処理し、マスクした部分を洗い流し、開口部を形成する。パターン形成された感光性ソルダーレジストを熱処理し、硬化・安定化させる。特にエポキシアクリレート系の樹脂においてはこの熱処理により、残存カルボン酸をエポキシ基等で封止することを目的として行われるため、重要である。この熱処理工程によりソルダーレジストとしては完成であり、その後、レジストスカムの処理・洗浄、導体及びソルダーレジストの表面処理工程、ハンダ付け、実装工程へと進む。
上記のように、高性能基板に対しては感光性ソルダーレジストが用いられるが、前述したように近年の回路基板、ひいてはソルダーレジストに対する要求の高さから、感光性ソルダーレジストが必ずしも全ての要求を満たさない場合が出てきている。問題となる品質としては、絶縁性、電気的特性等が挙げられる。
ソルダーレジストに絶縁性が必要であることは自明であるが、特に最近、絶縁性に関してはより厳しい要求がなされている。すなわち、回路基板上の配線が狭ピッチになるにしたがい、配線間のスペースが狭くなり、このため、ごく近距離で配線同士が隣り合う場合が増えてきている。近距離で配線同士が隣り合った場合、絶縁性能が高くなければ配線間で信号のコンタミネーションや、最悪の場合は短絡が起こってしまう。感光性ソルダーレジストは、前述したようにアルカリ水溶液にて現像することが一般的に行われている。アルカリ水溶液にて現像するためには、感光性ソルダーレジスト組成物中にカルボン酸等の酸基を有する事が必要になる。例えば、エポキシアクリレート系の樹脂においては、酸基としてカルボン酸を有することが一般的であり、カルボン酸は最終的な熱処理にてエポキシ基と反応させ、封止するが、この封止が完全に行われないために、最終的なソルダーレジスト中にもカルボン酸が残留している。このカルボン酸がイオン伝導を起こすため、高度な絶縁性を確保することは本質的に困難である。特に高温高湿度で絶縁性を評価すると、極端に絶縁性が低くなり、配線間の絶縁が取れなくなるケースが多い。これを回避する方法として、感光性ソルダーレジスト組成物中に、カルボン酸に対して十分なエポキシ化合物を含有させ、熱処理によりカルボン酸をエポキシにより封止する事が考えられるが、エポキシ基を多量に含ませた同組成物は現像性が悪化し、細線への対応が困難となるため、実際には困難である。感光性ポリイミドを用いた場合でも同様に問題となる。例えば、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸を感光性ソルダーレジスト組成物として用いる場合、残留のカルボン酸が問題となり、また、ポリイミド自体が分子鎖同士の電荷移動錯体を形成するために吸水性があり、その結果、絶縁性は低下する。有機溶剤等による現像が可能なソルダーレジストの場合、このような問題が生じない可能性もあるが、溶剤を多量に使用する工程は環境負荷の原因となり、設備の面から見ても有機溶剤による現像処理は困難である。
また、電気的特性、具体的には誘電率、誘電損失についても、現在の感光性ソルダーレジストでは満足する性能は得られない。すなわち、前述したように、感光性ソルダーレジスト組成物は、現像性を確保するために酸などの極性基を有しており、これは熱処理により硬化・安定化してもその極性基は依然としてソルダーレジスト中に存在する。このため、誘電率、誘電損失は低く抑えることが困難であり、その結果、高周波を回路に印加した場合、伝達遅延が起こったり、信号損失が生じたりする。
特開平11−282155 特開2001−290268 特開2001−296435 特開2002−234932 特開2006−343384 特開昭62−114288 特開2003−017849 特開2003−101244
前述したように、狭ピッチの基板に対応でき、且つ、高絶縁性、良好な電気的特性(低誘電率、低誘電損失)等各種物性を満足するソルダーレジストが強く望まれている。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、非感光性・非現像性のポリベンゾオキサジンを原料とした熱硬化型ソルダーレジスト組成物を用いて形成したソルダーレジストは、絶縁性、電気特性、耐久性が極めて良好であることを見いだし、本発明に至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明のソルダーレジスト用組成物の詳細
本第1の発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物は、ソルダーレジスト組成物中に重量平均分子量が1,000以上のポリベンゾオキサジン樹脂を含有し、かつ前記ポリベンゾオキサジン樹脂100重量部に対して、エポキシ樹脂を3〜100重量部含むことを特徴とする。
なお、本発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物は、その用途に特に制限されるものではないが、主として特に電子回路基板の最外層に配置されるソルダーレジストを形成する熱硬化性ソルダーレジスト用組成物として用いられる。
1)ベンゾオキサジンの概要
本発明において、熱硬化性ソルダーレジスト用組成物の原料の一つとして、重量平均分子量が1,000以上のポリベンゾオキサジン樹脂を用いる。
ここで、ベンゾオキサジンとは、式(5)に示す基本構造を有する構造体を指す。
式中、Rは任意の有機基を示す。
上記ベンゾオキサジンは、例えば、フェノール、一級アミン、2当量のホルムアルデヒドを反応させることにより、容易に得ることが出来る。
このベンゾオキサジン化合物は熱によりオキサジン環が開裂し、それと同時に近傍のベンゾオキサジンユニットと結合を生じ、結果として三次元架橋構造を形成する。式(5)に示したベンゾオキサジンの開環・架橋構造を式(6)に示す。
式(6)に示したように、オキサジン間の酸素−炭素間の結合が切断し、別のベンゾオキサジンユニットの芳香族環と結合を生じる。この際、結合は、芳香環の酸素原子から見てパラ位、オルト位に対して生じることが多い。このような結合が生じることにより、ベンゾオキサジンは三次元架橋構造化する。
この熱硬化反応において、ベンゾオキサジンは以下の特徴を有する。
まず第一に、架橋反応において、脱離するものがないという特徴である。この架橋反応は結合のつなぎ換えのみであり、水、ガス、その他有機物などを発生しない。このため、膜中に低分子量不純物による絶縁性能の悪化、回路基板汚染、気泡発生、ソルダーレジストの剥がれがない。また、原料に用いる材料が基本的にハロゲンフリーであるため、ベンゾオキサジンもほとんどハロゲンを含まない。これは合成段階でエピクロロヒドリンを用いているエポキシ材料と大きく異なる点である。これらはソルダーレジストとして極めて好ましい物性である。
第二に、架橋反応において、硬化収縮が少ないという特徴が挙げられる。ベンゾオキサジンの基本構造である式(5)の構造と、架橋反応後の式(6)の構造を比較すると、基本的な構造は極めて類似している。これは、開環した後のフェノール性水酸基と、同様に開環後に生じる三級アミンは分子内水素結合を生じ、擬似的な六員環を形成するためである。即ち、ベンゾオキサジン分子の構造は硬化前後でほとんど変化がない。硬化において、分子間で結合が生じるため、若干の硬化収縮はあるが、他の硬化性材料に対しては硬化収縮が極めて少ないという特徴がある。このため、硬化後の膜中残留応力が少なく、例えば基板が反ったり、ソルダーレジストが剥がれたりすることがない。これもソルダーレジストとして好ましい物性である。
第三に、架橋反応後の構造において、極性が少ないため、吸水率が低く、かつ、電気的特性が良好であるという特徴が挙げられる。これは特に、本発明の技術と大きく関連している。ベンゾオキサジンは架橋後にフェノール性水酸基、三級アミンといった極性基を生じる。これはそのままであれば吸水性が高くなり、電気的特性も悪化するが、上記第二の特徴にて記載したように、フェノール性水酸基と三級アミンは水素結合を形成するため、それぞれの極性は打ち消しあい、実質的に大きな極性を生じない。このため、硬化後は前述のように低吸水、低誘電率、低誘電正接の硬化体を形成する。これは高周波回路基板用のソルダーレジストとして、非常に好ましい特徴といえる。
前述したように、ベンゾオキサジンは、ソルダーレジスト原料として用いると非常に有効な材料であるが、ベンゾオキサジンの基本構造体をそのまま用いるといくつかの課題が存在する。
課題の一つは、ベンゾオキサジン化合物は比較的低分子の構造体であるため、熱硬化を行う際、溶解すると粘度の低い液体となるため、膜として形状保持することが困難であるというものである。ソルダーレジストを形成する場合、材料の安定性・耐久性を向上させるために架橋させることが好ましい。ソルダーレジスト形成工程の詳細は後述するが、配線取り出しや部品実装部分のソルダーレジストをあらかじめ取り除いておき、その後熱硬化する工程が一般的である。しかしながら、比較的低分子量のベンゾオキサジンを用いた場合、熱硬化時に溶融し、溶融物の粘度が低いためにソルダーレジストが流れてしまい、回路を露出させても再度被覆されてしまう場合がある。
また、別の課題として、不完全な架橋体を形成してしまうという課題がある。ベンゾオキサジンは、オキサジン環が開裂し、他のベンゾオキサジン分子のベンゼン環に結合する反応により架橋する。基本構造に近い低分子量のベンゾオキサジンでは、架橋がある程度進行すると、分子が動きにくくなるため、その後開環反応が起こっても架橋に関与せず、不完全な架橋構造になってしまうことがある。この場合、脆くなったり、耐久性が低下したりする可能性がある。
2)本発明で用いるポリベンゾオキサジンの詳細
本発明のソルダーレジストの原料として用いるベンゾオキサジン化合物は、既述の通り、重量平均分子量が1,000以上のポリベンゾオキサジン樹脂であり、好ましくは、2価のフェノール化合物、2価の一級アミン化合物、及びホルムアルデヒドより合成されるベンゾオキサジンが繰り替えし単位となるポリベンゾオキサジンから成る。
本発明において好適に用いるポリベンゾオキサジンの具体的な構造は、下記式(1)に示される構造である。
式中、X1は有機基を表し、X2は有機基、酸素、SO2、又は結合を表し、R1は水素、炭素6原子以下の有機基、ハロゲン基を示す。また、nは3〜100の範囲の整数であり、mは0〜3の整数である。
ここで、有機基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの直鎖アルキル基、又はイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基などの分岐アルキル基、あるいはこれらアルキル基の一部の水素がフッ素、塩素、臭素などのハロゲンにより置換されたハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
本発明のソルダーレジスト組成物において、上記式(1)で示されるポリベンゾオキサジンを用いることにより、ベンゾオキサジンの低汚染性、低硬化収縮、低吸水、良好な電気特性などの利点を維持しつつ、課題であった形状保持性、架橋密度を解決することが出来る。
即ち、低分子量のベンゾオキサジンは硬化温度までに融解することが多く、また、融解した場合には低粘度の溶融液体となるために形状保持が困難となる。これに対して、ポリベンゾオキサジンを用いた場合には、硬化温度までに融解しないか、融解した場合でも分子量が大きいために低粘度の液体にはならない。このため、形状保持性は著しく改善される。
また、低分子量のベンゾオキサジンは架橋密度が高く、前述したように結果として不完全な硬化体になる可能性が高いのに対し、ポリベンゾオキサジンではあらかじめベンゾオキサジンの複数ユニットが結合した形を取っている。このため、一部のベンゾオキサジンの架橋が不完全であっても、架橋結合の欠損になりにくく、結果として脆さや耐久性の低下を回避することが可能となる。
本発明のソルダーレジストで用いるポリベンゾオキサジンの重量平均分子量は、1,000以上であり、より好ましくは2,000〜300,000、更に好ましくは5,000〜100,000である。ここで言う重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定可能な標準ポリスチレン換算重量平均分子量である。
重量平均分子量が1,000未満では、上述した低分子量ベンゾオキサジンの課題が十分に回避できない。この課題回避は分子量が大きくなるほどより効果的である。しかしながら、分子量を極端に大きくすると、希釈剤に溶解した際に粘度が高くなりすぎ、フィルム化や基板に塗布することが困難となったり、熱をかけた際の溶融粘度が高くなり過ぎて基板へのラミネートが困難となる。また、高分子量のベンゾオキサジン樹脂は、合成時の反応制御も難しくなるため、上述した範囲が適当な重量平均分子量である。
重量平均分子量を上記好ましい範囲にするためには、置換基X1、X2にもよるために一概に言えないが、式(1)におけるベンゾオキサジン繰り返し単位数nを制御すればよい。繰り返し単位数nを制御するためには、合成時の2価フェノール及び2価アミンの投入比率、反応時間、反応温度などにより制御することが出来る。単官能フェノール又は単官能アミンを加えることによっても分子量の制御ができる。
本発明のソルダーレジストの原料であるポリベンゾオキサジン樹脂の典型的な合成方法は以下の通りである。
所望の構造を有する2価のフェノール、2価のアミン、過剰量のホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドを混合し、必要に応じて更に溶媒を加え、80〜130℃で1〜6時間加熱する。この結果、ほぼ定量的に式(1)に示したベンゾオキサジン化合物を得ることが出来る。得られた化合物は、必要に応じて精製し、本発明のソルダーレジスト原料として供される。
上記2価のフェノール類としては特に限定されず、フェノール基を2含有するものであれば特に限定されない。最も単純な例としては、例えば、フェノールが2分子結合した4,4’−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
以下、2価のフェノール類を例示するが、本発明において、これらに限定されることはなく、フェノール基を2含有しているものであれば特に制限はない。
上記2価のフェノール類としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを好適に用いることができる。また、フェノールがアルキル基を介して結合されたビスフェノールA又はビスフェノールFも好適に用いることができる。更に、フェノールがSO2を介して結合されたビスフェノールS、又はフェノールがエーテル基を介して結合された4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテルも好適に用いることができる。
また、更に、フェノールがアラルキル基で結合された4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノールも好適に用いることができる。
上記4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノールの市販品としては、三井化学製のビスフェノールP、及び東京化成社製の「α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン」の化合物名で販売されているもの等が挙げられる。上記4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノールの市販品としは、三井化学製のビスフェノールM等が挙げられる。
ここで、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノールを用いた場合、式(1)中のX2は下記の式(4)で表される構造となる。X2として下記の式(4)を用いた場合、ソルダーレジストとしての耐熱性、堅牢性、低吸水性を発現できるため、好ましい実施形態の一例である。
その他の2価のフェノールとしては、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、もしくは1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、もしくは2,6−ビス((2−ヒドロキシフェニル)メチル)フェノール等のように、連結部を除いて分子内にベンゼン環を二つ有し、ベンゼン環一つに対してOH基が一つ結合している化合物、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、もしくは2,7−ジヒドロキシナフタレンのように、分子内に一つのナフタレン環を有し、ナフタレン環に対して二つのOH基が結合した化合物、又は1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、もしくは1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)のように分子内に一つのベンゼン環を有し、ベンゼン環に対してOH基が二つ結合した化合物等が挙げられる。
上記2価のフェノールは、芳香族環のその他の部位は種々の置換基、たとえば炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐を含む脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族基で置換されていてもよい。このような化合物としては特に限定されないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、又は2−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール等が挙げられる。
又更に、2価のフェノールとしてアルキレン基を含むものを用いても良い。アルキレン基を含むフェノールはアルキレンジオールから容易に合成できる。合成方法の一例として、アルキレンジオールに対し、ヒドロキシ安息香酸を酸触媒下反応させ、エステル化することにより、対応するフェノールを合成する方法が挙げられる。
アルキレンジオールとしては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、又は末端ヒドロキシポリブタジエン、末端ヒドロキシポリイソプレン若しくはそれらの水素添加物、ポリオレフィン系ポリオール等であることが、より好ましい。
例えば、アルキレンジオールの具体的な例として、日本曹達株式会社製のブタジエンオリゴマー末端ジオール化合物であるGI−1000(製品番号)が挙げられる。これを用いると、エチルカルボキシル基を介してフェノール基間を下記の式(2)の構造で結合した構造となる。即ち、式(1)中のX2に下記の水素添加ポリブタジエン構造が含有されたものとなる。
式中m、nは0以上の整数を表し、m+nは3〜100の範囲内である。1,4−重合体と1,2−重合体はブロック状に結合していても、ランダム状に結合していても良い。
このような長鎖アルキル基をポリベンゾオキサジン中に導入することにより、ソルダーレジストに対し、良好な電気的特性、適度な可撓性、反り防止、低吸水性などの機能を発現させることが出来、好ましい実施形態の一例である。
また、ここで用いる前記2価のアミンとしては、一級ジアミン類であれば特に限定されない。以下、本発明のポリベンゾオキサジンの原料として好適に用いることが出来る一級ジアミン類を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記2価のアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノペンタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、などの脂肪族アルキレン基を有するものを好適に用いることができる。これらアルキレンジアミンは対応するアルキレンジエンから容易に合成することができる。また、ドデカン以上の長鎖アルキレンジアミンを合成することも可能である。
上記アルキレンジアミンを用いて合成されたポリベンゾオキサジンをソルダーレジスト材料として用いた場合、低吸水性、可撓性、良好な電気特性を得ることが出来る。
また、上記2価のアミンとしては、1,4−シクロヘキシルアミン、1,3−シクロヘキシルアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、1,8−ジアミノ−p−メンタン、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、又は、1,3−ジアミノアダマンタンなどの脂肪族環状ジアミンも好適に用いることができる。
これら脂肪族環状ジアミンを用いて合成されたポリベンゾオキサジンをソルダーレジスト材料として使用した場合、ソルダーレジストの堅牢性、耐久性、耐熱性を高めることができ、電気特性も良好となる。
さらに、上記2価のアミンとしては、芳香族ジアミンも用いることが出来る。芳香族ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、又は1,5−ジアミノナフタレン等が挙げられる。
さらに、上記2価のアミンとしては、芳香族環とアルキル基又はエーテル基等を有するアラルキルジアミンも好適に用いることができる。アラルキルジアミンの例としては、ビス(4−アミノ)フェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−メチレンジアニリン、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4(4’−アミノフェニルオキシ)フェニル)プロパン(BAPP)、1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2,2−ジメチルメチル)ベンゼン(ビスアニリンM)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[(3−アミノフェノキシ)フェニル]ビフェニル、ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、又はビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等が挙げられる。
これらアラルキルジアミンを用いて合成されたポリベンゾオキサジンをソルダーレジストとして用いた場合、強度、耐久性及び耐熱性を高めることができる。
この中で、例えば1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2,2−ジメチルメチル)ベンゼンを用いた場合、構造式(1)のX1は以下の構造となる。
X1がこのような構造体をソルダーレジストとして用いた場合、前述のように強度、耐久性及び耐熱性を高めることができるため、好ましい実施形態の一つである。
今まで述べてきたX1、X2の構造は、複数種の2価フェノールあるいはジアミンを混合して合成した、共重合体を形成していても良い。この場合は、それぞれの置換基の持つ特性を勘案してポリベンゾオキサジンの物性を制御することにより、より好ましい物性を持つソルダーレジストを実現することが出来る。
一例として、化合物式(1)におけるX1に1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2,2−ジメチルメチル)ベンゼン、X2に4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール及び水素添加ポリブタジエン構造(日本曹達製GI−1000にヒドロキシ安息香酸を反応させたもの)を有する構造体を共存させた場合、以下の式(7)の様なポリベンゾオキサジンが得られる。
式中、m、n、x、yは繰り返し単位数を表す。x、yは0以上の整数を表し、m+nは3〜100の範囲内である。1,4−重合体と1,2−重合体はブロック状に結合していても、ランダム状に結合していても良い。m、nは1以上の整数を表し、分子量300,000を超えない範囲の数値である。[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]含有部分と水素添加ポリブタジエン構造含有部分はブロック状に存在していてもランダム状に存在していても良い。
また、式(7)中の繰り返し単位数m、nの異なる複数のベンゾオキサジン樹脂を併用して用いても良い。併用すると、アルキレンによる可撓性とアラルキルによる耐熱性、強度を適宜調整することが可能であり、好ましい使用形態の一つである。
式(7)においては、2価フェノールを2種類用いた例を示したが、3種類以上のフェノールを用いても良く、また、2種類以上のジアミンを用いても良い。それぞれのポリベンゾオキサジン中の含有量は、合成時の原料投入量により調整することが出来る。この化合物(7)は、水素添加ポリブタジエン構造の比率を制御することにより、絶縁性、耐熱性、可撓性、堅牢性、電気的特性、低吸水性などに優れたソルダーレジストの原料を形成できる、好適な実施形態の一例である。
ソルダーレジスト組成物にベンゾオキサジン化合物を導入することは既にいくつか例が知られている。
たとえば、特許文献1においてはポリイミド系樹脂からなる感光性レジストに対し、ベンゾオキサジンが導入されている。しかしながら、特許文献1におけるベンゾオキサジンの効果はポリイミドの硬化促進剤として導入されているものであって、ポリイミドを主剤としてベンゾオキサジンは少量加えられているにすぎない。従って、前述したようなベンゾオキサジンの効果を期待しているものではなく、技術的思想及び効果は全く異なるものである。同様の技術として特許文献2,特許文献3も挙げられるが、これらも同様、ポリイミドとの複合であり、かつ、ベンゾオキサジンは少量成分であり、かつ、ベンゾオキサジンは比較的低分子量のもの、即ち繰り返し単位のないものが用いられており、これらも本発明とは大きく異なる。
又更に、特許文献4,特許文献5において、エポキシアクリレート系樹脂からなる感光性レジストに対し、ベンゾオキサジンが導入されている。エポキシアクリレート系レジストはカルボン酸基を有し、炭酸ナトリウム水溶液のようなアルカリ水溶液により現像可能なネガ型レジストであるが、現像後、レジストとして用いる際、カルボン酸が残留すると絶縁性、吸水性、耐薬品性、電気的特性等において望ましい性能が得られないため、最終的に熱硬化性材料とカルボン酸を反応させることによりカルボン酸を封止することが一般的に行われている。カルボン酸封止は一般的にエポキシ化合物により行われるのが一般的であるが、これら文献においては、ベンゾオキサジンを熱硬化剤として用いている。これら文献においても、ベンゾオキサジンは少量用いられているにすぎず、また、繰り返し単位のない低分子量のものが用いられている。これは技術的には必然であって、もし、ポリベンゾオキサジンを熱硬化剤として用いた場合には、ポリベンゾオキサジンはアルカリ水溶液に不溶であるため、結果として現像性能が低下する。従って、低分子量のベンゾオキサジンを少量加えることがこれら文献において述べられている。しかしながら、このような方法ではベンゾオキサジンの本来有する特性を発揮することが出来ず、本発明のソルダーレジスト組成物とは技術的思想、性能等が大きく異なる。
以上、述べて来たように、本発明は特定の構造を有するポリベンゾオキサジンを用いた熱硬化性ソルダーレジスト組成物であり、ベンゾオキサジンの特徴を活かしつつ、絶縁性、電気的特性、低吸水性、耐熱性等に優れたソルダーレジストを実現することが出来る。
3)熱硬化性ソルダーレジスト用組成物及び形態
本発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物は、前述したベンゾオキサジンの特性を活かすため、ソルダーレジスト組成物の固形分100重量部に対してポリベンゾオキサジン樹脂は50重量部以上含有することが好ましい。50重量部未満の含有量においても、エポキシやポリイミドなどの他の熱硬化性ソルダーレジストよりも電気的特性は良好であるが、よりベンゾオキサジンの効果を発揮させるためには50重量部以上含有することが望ましく、更に好ましくは70重量部以上が好ましい。
本第1の発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物は、有機樹脂として、エポキシ樹脂を、前記ポリベンゾオキサジン樹脂100重量部に対して、3〜100重量部含んでいる。
エポキシ樹脂は、耐熱性、堅牢性、安定性から従来より電子回路基板に用いられており、本発明のソルダーレジスト組成物の添加剤としても好適に用いることが出来る。エポキシ樹脂の種類等については特に制限はなく、公知のものを用いて良い。エポキシ樹脂は、硬化収縮が小さい、耐熱性がよい、揮発分が少ないという点で好適に用いられる。
具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、トリスフェノールメタングリシジルエーテル、ナフトールノボラックグリシジルエーテル、ナフトールアラルキルグリシジルエーテル、シクロペンタジエン-フェノールグリシジルエーテル、ビフェニレン−フェノールグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型、あるいはその重合体であるフェノキシ樹脂、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、リモネンジエポキシド、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂、あるいは脂肪族エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジルアミノフェノールなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されることなく、ソルダーレジストとしての特性を失わない範囲であれば公知のエポキシ樹脂を用いることが出来る。これらエポキシ樹脂は一般にエピクロロヒドリンを用いて合成する場合が多いため、遊離塩素を含有している場合が多い。このような遊離塩素等不純物を水洗など任意の方法で除いたエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
エポキシ樹脂の選択あるいは配合量の決定は、ソルダーレジスト物性への影響などを勘案し、前記含有量の範囲内で適宜決定する。また、必要に応じて複数のエポキシ樹脂を併用しても良い。
また、本発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物中に、硬化剤を含んでいても良い。ベンゾオキサジンの硬化剤は一般的にカルボン酸基やフェノール基のような活性プロトンを有するもの、ルイス酸、メルカプト化合物などを用いることが出来る。このうち、ルイス酸や酸解離定数の低いプロトン酸などは絶縁性を低下させる傾向があるため、出来るだけ用いないか、もしくは少量用いることが好ましい。
硬化剤として好適に用いることが出来るのはフェノール類(フェノール性硬化剤)である。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、トリメチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ナフトール、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、3,3’−エチレンジオキシジフェノール、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエン−フェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック等が挙げられるが、本発明で用いる硬化剤はこれらに限定されることはなく、また、複数の硬化剤を併用しても良い。
また、本発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物中には希釈剤を含んでいても良い。希釈剤としては公知の溶媒の中から選択して用いることが出来る。溶媒の選択は、組成物が均一に混合することが出来、また、必要に応じて揮発することが出来れば特に制限はない。具体例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの環状脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、γブチルラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドンなどのピロリドン類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられるが、本発明の希釈剤はこれに限定されることはない。
希釈剤の選定は、前述のように材料が混合可能であることが必須要件であるが、さらに、ソルダーレジストの形態により、希釈剤の沸点を適宜調整する必要がある。一般的には低沸点溶媒は安定した塗工が困難であり、一方、高沸点溶媒は乾燥に時間やエネルギーがかかったり、乾燥途上に硬化が起こったりするため好ましくない。塗工安定性と乾燥の効率を勘案して選択することが重要である。希釈剤は複数混合して用いても良い。
さらに、本発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記成分とともに、着色剤、充填材、レベリング剤、界面活性剤又は密着性改良剤を用いてもよい。
このうち充填材の一つとして無機充填材が挙げられる。無機充填剤は温度変化による線膨張係数が低いため、ソルダーレジストの線膨張係数を低下させることが可能となる。具体的な無機添加剤としては、シリカ、クレイ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
これら無機添加剤のうち、特に好ましく用いることが出来るものとして、シリカが挙げられる。シリカは粒径等の異なる種々のものが容易に入手可能であり、かつ、比較的安価に入手可能である。
無機添加剤は平均粒径が0.1〜10μmとすることが好ましい。より好ましくは、平均粒径は1〜5μmである。平均粒径が0.1以上であるとソルダーレジスト用組成物の流動性を保ちソルダーレジスト層の厚さを薄く形成することが出来る。平均粒径が10μm以下であると表面平滑性に優れたソルダーレジスト層を形成することが出来る。
ソルダーレジスト層の形成時の平坦性を確保する観点からは5重量%以上とすることが好ましく、露光・現像により開口を形成する際に無機絶縁性フィラー残りを生じ難くするという観点からは50重量%以下とすることが好ましい。従って、無機絶縁性フィラー含有量は感光性樹脂組成物100重量%に対して5〜20重量%の範囲にすることが好ましい。
これら無機添加剤は表面をシランカップリング剤等により有機化処理されているものが特に好ましく用いることが出来る。更に好ましくは、有機基が反応性を有するものが好ましい。好ましいシランカップリング剤としてはエポキシ基を有するものが挙げられる。
本発明のソルダーレジストの形態としては、フィルム、液状のいずれでもかまわない。
液状の場合には、上記組成混合物を希釈剤にて適度な濃度とし、提供することが出来る。この際、固形分濃度はそれぞれの使用形態によって適宜調整されるため、一概には言えないが、固形分濃度は通常10〜70重量%が好ましく用いることが出来る。
一方、フィルム形態とする場合には、上記組成物をフィルム、シート、板などの基材(基材フィルム)上に公知の方法で塗布、希釈剤を揮散することによりフィルム状のソルダーレジストとすることが出来る。基材はその後のラミネート工程を勘案するとフィルムが好ましい。塗布方法としては、ドクターブレード、カーテンコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、ロールコートなど、塗料や基材に応じた塗布方法を選択する。
基材上に設けられるソルダーレジストの厚みは3〜200μmが好ましい。3μ未満では回路の保護という目的に対して十分な強度を確保できない可能性がある。200μm以上では配線の取り出しや部品実装の際、ソルダーレジスト表面から回路への段差が大きすぎ、接続の際の信頼性確保が困難となる。
2.本発明の熱硬化性ソルダーレジストの形成方法
本発明のソルダーレジスト用組成物は熱硬化性の樹脂組成物であり、それ自体では感光性を有さず、いわゆるフォトレジストとしての機能を有さない。従来の技術で述べたように、感光性(アルカリ現像性)を有することは、すなわち、本質的に絶縁性、電気特性を犠牲にすることに他ならないと考えたためである。しかしながら、ソルダーレジストはその使用目的上、ソルダーレジストの一部を除去して配線を露出せしめ、露出した配線に対してハンダ付けを行ったり、部品実装を行ったり、配線取り出しを行わなければならない。
本発明のソルダーレジストにおいて、このような部分的な回路露出はフォトレジスト法以外の既存の方法を用いてもよい。既存の方法とは、従来の技術で述べた印刷法、マスク法、配線取り出し部分を切り取る方法などを指す。しかしながら、これら従来の方法はいずれも高精細パターンには対応が困難であるという課題がある。
これに対し、本発明のソルダーレジストにおいては、レーザー加工によりソルダーレジストの配線取り出し部分のレジスト樹脂を取り出す方法を好ましく用いることができる。
レーザー加工によりソルダーレジストの一部を除去し、配線を露出せしめる技術は既に公知である。たとえば、特許文献6において、ソルダーレジストとしてUV硬化樹脂、エポキシ樹脂、感光性レジストインク、感光性レジストフィルムを用い、レーザー加工にて所望の部分のソルダーレジストを除去し、部品実装や配線とりだしをおこなう発明が開示されている。
レーザー加工によるソルダーレジスト除去は、従来の感光性ソルダーレジストの露光・現像プロセスに対して、現像液の排出などが抑えられ環境負荷も小さく、ドライプロセスのため製造装置も比較的簡易且つ、洗浄などの工程も大きく削減できる。
このような状況でありながら、レーザー加工プロセスが限定的にしか行われてこなかった理由は、レーザーによる加工精度が十分ではなかったこと、レーザー出力が大きくなかったため加工時間がかかること、産業上で用いようとした場合、高価なレーザー加工装置が新たに必要であること、等が挙げられる。
しかしながら、近年、状況は一変し、ソルダーレジストのレーザー加工が現実的な選択肢の一つとなりつつある。これは、一つはレーザー加工技術が大幅に進歩し、加工精度の向上、加工時間の短縮が図られたこと、更に、基板自体のビア形成でレーザーを用いることが一般的となり、多くの基板メーカーがレーザー装置を導入済みであること、等が挙げられる。
このような中、特許文献6以降、特に最近、ソルダーレジストのレーザー加工について数多くの発明が開示されている。
これら、ソルダーレジストのレーザー加工は種々発明が開示されているが、材料に関する発明は極めて少ないといえる。 具体的には、特許文献7,特許文献8等が挙げられる。
特許文献7はソルダーレジスト組成物の吸収波長に特徴を有し、特許文献8はソルダーレジスト中に導入した顔料に特徴を有した発明となっている。これら発明中には、ソルダーレジストの材料としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシアクリレート樹脂が例示されている。特許文献7の実施例はエポキシアクリレート樹脂、特許文献8はカーボンブラックを含有したポリオレフィン樹脂となっている。
これら開示されている発明においては、例えば上記特許文献7、特許文献8に代表されるように、全て従来の絶縁材料、あるいはソルダーレジスト材料の中から選択されている。すなわち、レーザー加工が可能であり、同時に絶縁性、電気特性などトータルで材料設計が可能であるにも関わらず、従来から用いられている絶縁材料、ソルダーレジスト材料そのものか、もしくはそれに近いものが選ばれているのが実情である。特許文献6にて開示された発明において、材料面から見た最も重要なポイントは、従来のソルダーレジスト材料等にとらわれることなく、レーザーの加工性を確保できれば、ソルダーレジストとして最善の材料を選択することが可能な点である。しかしながら、従来の発明では、この技術思想を活かしたものは見られない。
本発明のソルダーレジスト組成物の主成分であるポリベンゾオキサジンは紫外線の吸光係数が大きく、紫外線レーザーを用いたレーザーアブレーションにおいて、極めて加工性が良好であるという特徴を有する。即ち、本発明のソルダーレジスト組成物を用いることによりレーザー加工性を確保しつつ、ソルダーレジストとしての最善の材料を提案することが出来る。
具体的なソルダーレジストの形成方法について以下に詳述する。
ソルダーレジスト組成物が液状の場合、保護する電子回路基板等の回路基板上に組成物を塗布する。塗布する方法は公知の方法を用いれば良く、例えば、ドクターブレード、カーテンコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、ロールコートなど、目的に応じた塗布方法を選択する。塗工の際に、配線あるいは実装部分を設けるために、マスクを用いたり、部分印刷を行ったりしても良い。塗布後、必要に応じて希釈剤を揮発させ、固体のソルダーレジストとして膜を形成させる。この希釈剤の乾燥は、150℃以下の温度で行うことが好ましく、100℃以下で行うことが好ましい。150℃以上の乾燥では、ポリベンゾオキサジンなどの硬化が起こる可能性があり、乾燥と同時に硬化が起こると膜の物性が安定しない可能性がある。乾燥時間は特に制限はないが短時間の方が好ましい。加熱方法は特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線乾燥など、公知の方法を用いて良い。
塗工乾燥厚みは3〜200μmが好ましい。3μ未満では回路の保護という目的に対して十分な強度を確保できない可能性があり、また、200μm以上では配線の取り出しや部品実装の際、ソルダーレジスト表面から回路への段差が大きすぎ、接続の際の信頼性確保が困難となる。
その後、得られた回路基板上に設けられたソルダーレジストの回路取り出し、部品実装部分を必要に応じて穿孔する。穿孔は前述のようにレーザーを用いることが好ましく、特に炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーなどが好ましく用いることが出来るが、これらに限定されるものではない。なお、レーザー穿孔と印刷などの他のパターン形成方法とを併用しても良い。
穿孔された後、必要に応じて洗浄あるいは表面処理を行い、その後100℃〜250℃の温度をかけ、熱硬化することによりソルダーレジストを安定化させる。硬化温度は100℃以下の場合、ソルダーレジスト組成物の貯蔵安定性が低下したり、また、希釈剤の乾燥時に硬化が起こったりするため、100℃以上になるように硬化剤等で調整することが好ましい。一方、硬化に250℃以上必要である場合、回路基板にダメージを与えるため、好ましくない。加熱方法は赤外線加熱、熱風加熱など、公知の方法から適宜選択して良い。ソルダーレジストの安定化(硬化)完了後、次の工程に進めることが出来る。
なお、レーザーによる穿孔は硬化後に行ってもかまわないが、加工性が低下する可能性がある。
一方、ソルダーレジストがフィルム状の場合、回路基板上にソルダーレジストを設ける際にはプレスあるいはラミネートを行う。プレス、ラミネートは気泡などが入らないように、真空下で行うことが好ましい。また、プレス、ラミネート温度及び圧力には特に制限はないが、通常60〜120℃、またラミネート圧力は0.5MPa以下で行うのが一般的である。プレスやラミネートは、公知のラミネーターや真空プレス機を用いて行って良い。なお、プレス、ラミネートに先立ち、回線取り出しや部品実装部分に相当するフィルム部分を切り取っておいても良く、マスク等でソルダーレジストが転写されないようにしておいても良い。
プレス、ラミネート等により回路基板上にソルダーレジストの層が形成された後は、上記液状品と同様にレーザー加工、硬化を行う。
以上のようにして、本発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物を用いた回路基板が形成される。得られたソルダーレジスト被覆回路基板は、ソルダーレジストの良好な絶縁特性、電気特性を反映し、高周波等を取り扱っても良好な性能を発揮する。
本発明のソルダーレジストの形成方法においては、ソルダーレジスト形成用フィルムを電子回路用基板に熱ラミネートして基板に密着させた後、レーザー加工を行って開口部を設けることが好ましい。レーザー加工後、更に100〜250℃にて熱硬化することが好ましい。また、熱ラミネート後に、レーザー加工を行っても良い。
本発明の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物は、希釈剤により固形分濃度が10〜70重量%に調整されたものが好ましい。本発明のソルダーレジストの形成方法においては、上記のソルダーレジスト用組成物を電子回路基板上に印刷または塗布し、加熱により希釈剤を揮発させて製膜後、更に100〜250℃にて熱硬化することが好ましい。このソルダーレジストの形成方法において、製膜後、レーザー加工により開口部を設けることが好ましい。
本発明によれば、前述した方法を用いて形成したソルダーレジストを有することを特徴とする電子回路基板が提供される。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
〔GPC測定〕
島津製高速液体クロマトグラフシステムを使用し、THFを展開媒として、カラム温度40℃、流速1.0ml/分で測定を行った。検出器として「RID−10A」を用い、カラムはShodex製「KF−804L」(排除限界分子量400,000)を2本直列につないで使用した。標準ポリスチレンとして、東ソー製「TSKスタンダードポリスチレン」を用い、重量平均分子量Mw=354,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,050、500のものを使用して較正曲線を作成し、分子量の計算を行った。
(合成例1)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、末端ヒドロキシ化液状ブタジエンオリゴマーの水素添加物(日本曹達製「NISSO−PB GI−1000」)32.44g(水酸基価69.2[KOHmg/g]、GPCによる単分散標準ポリスチレン換算の数平均分子量Mn=2,380)、p−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬製)6.62g(0.048mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)1.0g、ジエチレングリコールジメチルエーテル100ml、トルエン100mlを混合し均一な溶液とした。これを180℃のオイルバスにつけ、窒素ガスを導入しながら4時間反応させた。反応中生成してくる水分を共沸により除去した。その後、系内を弱減圧にして溶媒を少しずつ除去しながら反応を進め、ほぼ揮発分を取り去ることにより、琥珀色の粘調な液体が得られた。
これを150mlのトルエンで希釈して蒸留水で3回洗浄し、水相を分離した後、減圧下でトルエンを留去して、琥珀色の透明粘調液状物を得た。
上記生成物についてGPC測定を行ったところ、数平均分子量Mn=2,460であった。
(合成例2)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、上記で得られた化合物21.76g(数平均分子量による計算値0.0088mol)、ビスフェノールM(三井化学製)20.21g(0.058mol)、ビスアニリンM(三井化学製)24.12g(0.07mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)9.64g、キシレン90ml、イソブタノール10mlを混合した。この溶液を加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら還流下で6時間反応させることにより、琥珀色の透明粘調液を得た。この溶液を少量サンプリングしてGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=4,500、重量平均分子量Mw=20,300であった。さらに、上記溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を除去することにより、黄色ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂を重クロロホルム(CDCl3)に溶解し、1H−NMR測定(日本電子(株)社製ECX−400)を行うことにより、式(7)に示したポリベンゾオキサジン樹脂であることを確認した(式中、m:nは約9:1)。
合成例2で得られた樹脂の50wt%トルエン溶液4.5g、ビフェニレンフェノールグリシジルエーテル(日本化薬社製、NC−3000H)の50wt%トルエン溶液を1.0g、1,2−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)エタン(東京化成製)の50wt%トルエン溶液0.5gを混合し、アプリケータを用いて離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にキャストし、80℃オーブンにて30分乾燥させた。得られたPET基材付きフィルム状ソルダーレジストを、配線パターンを形成した回路基板上に真空プレス(井元製作所製)を用いて100℃、0.1MPaにて1分間プレスし、回路基板に積層した。基材フィルムを剥離し、180℃オーブンにて2時間熱処理し、硬化を行った。前記配線パターンを形成した回路基板は、銅箔厚12μmの銅張FR−4基板をエッチングして、幅40μm、長さ10mm、間隔40μmの凹部が20個並んだものを用いた。
積層は均一に行われ、また、回路パターンを欠損無く、かつ、平坦にカバーすることが出来た。ソルダーレジスト層の厚みは22μmであった。
また、エキシマレーザー(波長308nm)2ショットにて穿孔可能であることを確認した。
実施例1で形成したPET基材付きフィルム状ソルダーレジストを、180℃オーブンにて2時間処理した後、基材フィルムを剥離した。得られたフィルム状ソルダーレジストの硬化体は、茶色であり、厚みは25μmであった。フィルムの特性は以下の通りであった。
絶縁抵抗(三菱化学製、ハイレスタUP、JIS−K6911準拠)
6.3×1016Ω・cm
電気的特性(アジレントテクノロジー社製、E8801A、1GHz)
誘電率2.82 誘電正接0.005
実施例1の組成物溶液に、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン社製、E807)の50wt%トルエン溶液を1.0g添加した。
実施例1と同様にしてPET基材付きフィルム状ソルダーレジストを作成し、回路基板に積層した(温度80℃、圧力0.1MPa)後、基材フィルムを剥離し、180℃オーブンにて2時間熱処理し、硬化をおこなった。
実施例1と同様、積層は均一に行われ、また、回路パターンを欠損無く、かつ、平坦にカバーすることが出来た。ソルダーレジスト層の厚みは23μmであった。
またエキシマレーザーにより穿孔可能であることを確認した。
実施例3で形成したPET基材付きフィルム状ソルダーレジストを、180℃オーブンにて2時間処理した後、基材フィルムを剥離した。得られたフィルム状ソルダーレジストの硬化フィルムは、茶色であり、厚みは25μmであった。硬化フィルムの特性は以下の通りであった。
絶縁抵抗(同上)
1.1×1015Ω・cm
電気的特性(同上)
誘電率2.86 誘電正接0.007
実施例1で作製した溶液を、アプリケータを用いて回路基板上に直接塗布し、80℃オーブンにて30分乾燥後、更に180℃オーブンにて2時間熱処理し、硬化を行った。
ソルダーレジストは均一に塗布され、また、回路パターンを欠損無く、かつ、平坦にカバーすることが出来た。ソルダーレジスト層の厚みは12μmであった。
また、エキシマレーザー(波長308nm)2ショットにて穿孔可能であることを確認した。
(合成例3)
撹拌幾、冷却管、水分分離器、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコ中で、合成例1で得られた化合物38.0g(数平均分子量による計算値0.02mol)、ビスフェノールM(三井化学製)34.7g(0.10mol)、ビスアニリンM(三井化学製)41.4g(0.12mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学製、91.6%)16.5g(0.5mol)、トルエン135ml、イソブタノール15mlを混合した。この溶液を加熱し、発生する水分を共沸により除去しながら還流下で8.5時間反応させることにより、琥珀色の透明粘調液を得た。この溶液を少量サンプリングしてGPC測定を行い、分子量を評価したところ、数平均分子量Mn=6,000、重量平均分子量Mw=35,000であった。さらに、上記溶液の一部をとり、減圧下で溶媒を除去することにより、黄色ゴム状樹脂を得た。得られた樹脂をCDCl3に溶解し、1H−NMR測定(日本電子(株)社製ECX−400)を行うことにより、式(7)に示したポリベンゾオキサジン樹脂であることを確認した(式中、m:nは約5:1)。
合成例3で得られた樹脂の50wt%トルエン溶液1.92g、ビスフェノールAグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン製、製品名エピコート828US)の50wt%トルエン溶液を0.1g、1,2−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)エタン(東京化成製)の50wt%トルエン溶液0.48g、エポキシシランカップリング剤処理を行ったシリカ微粒子(アドマテックス社、製品名アドマファインSC1050-MJD)を混合し、アプリケータを用いて離型処理されたPETフィルム上にキャストし、80℃オーブンにて30分乾燥させた。得られたPET基材付きフィルムをそのまま、180℃オーブンにて2時間熱処理し、硬化し、基材フィルムを剥離し、フィルム状のソルダーレジストの硬化フィルムを得た。硬化フィルムの厚みは30μmであった。
体積固有抵抗:
1.0×1016Ω・cm
電気的特性(同上)
誘電率 3.00 誘電正接 0.010
PET基材付きフィルム(未硬化品)を、回路基板上に真空プレス(井元製作所製)を用いて100℃、0.1MPaにて1分間プレスし、回路基板に積層した。基材フィルムを剥離し、180℃オーブンにて2時間熱処理し、硬化を行った。
積層は均一に行われ、また、電子回路パターンを欠損無く、かつ、平坦にカバーすることが出来た。ソルダーレジスト層の厚みは26μmであった。
また、エキシマレーザー(波長308nm)2ショットにて穿孔可能であることを確認した。
実施例にて明らかなとおり、本発明のソルダーレジストは、一般のエポキシアクリレート系樹脂や感光性ポリイミド樹脂からなる感光性レジスト(抵抗値 1012〜1013Ω・cm)に対して圧倒的に絶縁性が高いものとなった。電気的特性も、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシアクリレート樹脂がいずれも誘電率3.0を大きく超えているのに対し、極めて良好な電気的特性を示すことが明らかとなった。
このことから、本発明のソルダーレジスト組成物は高周波・高精細回路基板において好適に用いることが出来ることが明らかである。

Claims (16)

  1. ソルダーレジスト組成物中に重量平均分子量が2,000〜300,000であるポリベンゾオキサジン樹脂を含有し、かつ
    前記ポリベンゾオキサジン樹脂100重量部に対して、エポキシ樹脂を3〜100重量部含むことを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  2. 請求項1に記載のソルダーレジスト用組成物であって、組成物中の固形分の100重量部に対して、前記ポリベンゾオキサジン樹脂を50重量部以上含有することを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  3. 請求項1に記載のソルダーレジスト用組成物であって、前記ポリベンゾオキサジン樹脂が以下の式(1)で表されることを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
    (式中、X1は有機基を表し、X2は有機基、酸素、SO2、又は結合を表し、R1は水素、炭素6原子以下の有機基、又はハロゲン基を示す。また、nは3〜100の範囲の整数であり、mは0〜3の整数である。)
  4. 請求項に記載のソルダーレジスト用組成物であって、X2が以下の式(2)で表される水素添加ポリブタジエン構造を含有することを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
    (式中、m、nは0以上の整数を表し、m+nは3〜100の範囲内である。1,4−重合体と1,2−重合体はブロック状に結合していても、ランダム状に結合していても良い。)
  5. 請求項に記載のソルダーレジスト用組成物であって、X1が以下の式(3)で表されるアラルキル構造を含有することを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  6. 請求項に記載のソルダーレジスト用組成物であって、X2が以下の式(4)で表されるアラルキル構造を含有することを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  7. 請求項1に記載のソルダーレジスト用組成物であって、該組成物がポリベンゾオキサジン樹脂以外に無機充填剤を含有することを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  8. 前記無機充填剤がエポキシ基を含有するシランカップリング剤により処理された無機充填剤であることを特徴とする請求項に記載の熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  9. 請求項1に記載のソルダーレジスト用組成物であって、該組成物がフェノール性硬化剤を含むことを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  10. 請求項1に記載のソルダーレジスト用組成物が基材フィルム上に3〜200μmの厚さに設けられたことを特徴とするソルダーレジスト形成用フィルム。
  11. 請求項10に記載のソルダーレジスト形成用フィルムを電子回路用基板に熱ラミネートして基板に密着させた後、更に100〜250℃にて熱硬化することを特徴とするソルダーレジストの形成方法。
  12. 請求項11に記載のソルダーレジストの形成方法において、熱ラミネート後、レーザー加工により開口部を設けることを特徴とするソルダーレジストの形成方法。
  13. 請求項1に記載のソルダーレジスト用組成物が希釈剤により固形分濃度が10〜70重量%に調整されたことを特徴とする熱硬化性ソルダーレジスト用組成物。
  14. 請求項13に記載のソルダーレジスト用組成物を回路基板上に印刷または塗布し、加熱により希釈剤を揮発させて製膜後、更に100〜250℃にて熱硬化することを特徴とするソルダーレジストの形成方法。
  15. 請求項14に記載のソルダーレジストの形成方法において、製膜後、レーザー加工により開口部を設けることを特徴とするソルダーレジストの形成方法。
  16. 請求項111214、又は15のいずれかの方法を用いて形成したソルダーレジストを有することを特徴とする回路基板。
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