明 細 書
磁気記録媒体用支持体および磁気記録媒体
技術分野
[0001] 本発明は、磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体を用 Vヽた磁性層を有する磁気記録媒体とに関する。
背景技術
[0002] 二軸延伸ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性およ び表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体など の支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの磁気記録媒体 は、機材の軽量化、小型化、大容量ィ匕のため高密度化が要求されている。高密度記 録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有用である。しか しながら、記録トラックを小さくすると、テープ走行時における熱やテープ保管時の温 湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。 したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善 に対する要求がますます強まって 、る。
[0003] この観点から、支持体には、強度、寸法安定性の点で二軸延伸ポリエステルフィル ムよりも優れた剛性の高い芳香族ポリアミドが用いられることがある。し力しながら芳香 族ポリアミドは高価格でコストがかかり、汎用記録媒体の支持体としては現実的では ない。
[0004] 一方、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエス テルフィルムにお 、ても、延伸技術を用いて高強度化した磁気記録媒体用支持体が 開発されている。し力しながら、温度や湿度に対する寸法安定性などの厳しい要求を 満足することは 、まだ困難である。
[0005] また、温度や湿度に対する寸法安定性を向上するために、ポリエステルフィルムの 片面または両面に金属などの補強層を設ける方法 (特許文献 1)が開示されている。 しかしながら、補強層が金属の場合、金属結合のため導電性が高く光を反射する性 質を持つ。そのため、磁性層を塗布する際の膜厚管理に透過光を用いているものの
、金属の補強膜の影響で光が透過しないという問題がある。そのため膜厚管理が困 難となり、磁性層の膜厚にバラツキが生じ、エラーレートの多い磁気テープとなり易い 。また、導電性が高いため静電気や漏れ電流によって磁気テープに電流が流れてし まい、その電流のために磁気ヘッドがショートしたり、故障することがある。さらに、金 属は酸ィ匕物と比較して、強度が弱ぐポリエステルフィルムの膨張 ·収縮を抑制する効 果が小さいという問題もある。一方、補強層が酸化物やその他の化合物の場合、ィォ ン結合のため、硬いがもろく延性がない性質を持つ。そのため、張力によって割れを 生じたり、湾曲による割れが生じたりする。また、酸ィ匕物は吸湿性をもっため、湿度に 対する寸法安定性向上効果が小さぐ補強層自体の吸湿膨張により寸法安定性を 悪ィ匕させる場合もある。
[0006] そこで、鋭意検討した結果、金属を完全に酸ィ匕させるのではなぐ補強層の酸化度 を制御することで寸法安定性が飛躍的に向上し、上記の多くの課題を解決することを 見出した。
[0007] なお、酸化度を制御した酸化金属層を蒸着する技術はガスバリア性フィルムで開示 されている(特許文献 2)。しかし、この文献に記載のフィルムはガスノ《リアが目的の包 装材料用フィルムであり、透明性が問われるため、蒸着膜厚が 40nm以下と薄ぐポリ エステルフィルムの膨張 ·収縮を抑制する効果が小さい。また、酸ィ匕度を制御して 50 nm以上の酸化金属層を蒸着するには、アルミニウムの蒸発量を増加する必要があり 、それに合わせて酸素導入量も増やす必要がある。しかしながら、この文献に記載の 方法では図 3に示すような真空蒸着装置を用いるので厚膜ィ匕が困難である。すなわ ち、この真空蒸着装置 111においては、真空チャンバ 112の内部をポリエステルフィ ルムが卷出しロール部 113から冷却ドラム 116を経て卷取りロール部 118へと走行す る。このときに、るつぼ 123内の金属材料 119を電子銃 120から照射した電子ビーム 121で加熱蒸発させるとともに、酸素供給ノズル 124から酸素ガスを導入し、蒸発し た金属を酸ィ匕反応させながら冷却ドラム 116上のポリエステルフィルムに蒸着する。 しかしながら、酸素供給ノズル 124が冷却ドラム 116に近いため、酸素導入量を増や すとその酸素ガスの吹出流によって金属蒸気が飛ばされ、酸化度を制御することが 難しい。また、金属と酸素が反応する空間が小さいこともあり、 50nm以上といった金
属酸化物の蒸着膜を形成することが難しぐ形成された蒸着膜は不安定なものとなり やすい。そして不安定な蒸着膜は構造欠陥を多く生成させ寸法安定性の悪ィヒを招く 。さらに、これらのガスバリア性フィルムは包装材料用途であるため、ベースフィルム の厚みが 10 m以上と厚ぐまた表面が平滑ではないため、容易に蒸着ができるの に対し、磁気記録媒体用支持体に用いられるポリエステルフィルムは一般的に厚み が薄ぐ平滑であるために、これらの方法のように工夫無く蒸着すると熱による変形な どにより、蒸着中にフィルム破れが多発する。
特許文献 1:特開平 7— 272247号公報
特許文献 2:特開昭 62— 220330号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明の目的は、上記の問題を解決し、寸法安定性に優れ、クラックしにく 、磁気 記録媒体用支持体を提供することにある。詳しくは、磁気記録媒体とした際に環境変 化による寸法変化が少なぐクラック発生やエラーレートも少ない、走行耐久性に優 れた高密度磁気記録媒体とすることができる支持体を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0009] 上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(5)を特徴とするものである。
(1)ポリエステルフィルムの両面に金属系酸ィ匕物を含む層(M層)が設けられ、これら M層の厚みがそれぞれ 50〜200nmである磁気記録媒体用支持体であって、該磁 気記録媒体用支持体の全光線透過率が 0〜75%であり、各表面の表面抵抗率が 1 X 102〜1 X 1013[ Ω ]であることを特徴とする磁気記録媒体用支持体。
(2)少なくとも一方の表面の中心線平均粗さ Raが 0. 5〜: LOnmである、上記(1)に 記載の磁気記録媒体用支持体。
(3)長手方向のヤング率が 5〜13GPaである、上記(3)に記載の磁気記録媒体用支 持体。
(4)前記ポリエステルフィルムの厚みが 2〜6 μ mである、上記(1)〜(3)の!、ずれか に記載の磁気記録媒体用支持体。
(5) M層の金属元素濃度が 10〜70at. %である、上記(1)〜(4)のいずれかに記
載の磁気記録媒体用支持体。
(6) M層の金属結合している金属原子の存在比が l〜20at. %である、上記(1)〜 (5)の ヽずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
(7) M層の金属系酸ィ匕物が酸ィ匕アルミニウムであり、水酸基と結合しているアルミ- ゥム原子の存在比が 0〜60at. %である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の磁気 記録媒体用支持体。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体の少なくとも片面に 磁性層が設けられた磁気記録媒体。
発明の効果
[0010] 本発明の磁気記録媒体用支持体は、寸法安定性に優れクラックも発生しにくい支 持体であって、特に磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が小さぐクラ ック発生、エラーレートが少な!/、高密度磁気記録媒体とすることができる支持体を得 ることがでさる。
発明を実施するための最良の形態
[0011] 本発明の磁気記録媒体用支持体は、ポリエステルフィルムの両方の表面上に金属 系酸化物を含む層(M層)が形成されてなる。金属系酸化物とは、例えば、 Cu、 Zn、 Al、 Si、 Fe、 Ag、 Ti、 Mg、 Sn、 Zr、 In、 Cr、 Mn、 V、 Ni、 Mo、 Ce、 Ga、 Hf、 Nb、 T a、 Y、 Wなどの金属成分を酸ィ匕させたものであって、組成分析を行った場合の平均 組成における酸素原子含有量が lOat. %以上となっているものをいう。なお、 at. % とは、 atomic%の略であり、 atomic%とは原子数 100個当たりの該原子数の個数を 示したものである。
[0012] 上記の金属系酸化物は、全光線透過率や表面抵抗率が後述するような範囲内で あれば両表面で異なる金属成分を含んでいても良ぐまた、複数種の金属成分を混 合して含んで 、ても構わな 、が、より好ましくは両表面で同一種の金属成分を含む 方が良い。中でも、金属系酸化物は、酸化度の制御性、寸法安定性、生産性、環境 性の観点から、アルミニウム、銅、亜鉛、銀、珪素元素の少なくとも一種を含んでいる ことが好ましぐより好ましくはアルミニウム元素が主成分となっていることが好ましい。
[0013] M層の金属元素濃度は 10〜70at. %であることが好ましい。金属元素濃度が 10a
t. %より少ないと、金属原子に対して酸素原子が多すぎるため、不完全な構造 (金属 原子や酸素原子が未結合で存在する)を取りやすぐ補強する効果が小さくなり寸法 安定性が低下してしまう。 70at. %より多い場合、ほぼ金属の特性を持っため、導電 性によるショートの問題や強度が低く寸法安定性が低いなどの問題がある。より好ま しくは 20〜60at. %であり、さらに好ましくは 30〜50at. %である。金属元素濃度は 金属蒸発量と酸素ガス導入量力 制御することができる。金属元素濃度を小さくする には、金属蒸発量を少なくし、酸素ガス導入量を多くすればよぐ金属元素濃度を大 きくするにはその逆にすればよい。
[0014] また、 M層の金属結合している金属原子の存在比は l〜20at. %であることが好ま しい。金属結合の存在比が lat. %より小さいと、たとえ上述するような金属元素濃度 であっても靭性のある金属結合が少ないためクラックが起こりやすい。 20at. %ょり大 き 、と、たとえ上述するような金属元素濃度であっても金属の特性を持っため導電性 によるショートの問題が起こりやすくなる。金属結合している金属原子は吸湿しないた め、構造欠陥を作りに《寸法安定性の悪ィ匕を防ぐことができる。より好ましくは 2〜1 5at. %、さらに好ましくは 3〜: LOat. %である。金属結合の存在比は金属の蒸発量と 酸素ガス導入量力 制御することができるが金属元素濃度よりもさらにミクロな構造を 示した組成であり、酸化反応の制御が重要となる。金属結合の存在比は金属と酸素 ガスの反応効率が影響するため、酸素ガス導入の方法が重要となる。酸素ガス導入 方法は蒸着源の真横から金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給することが好まし い。これは、金属蒸気と酸素ガスの反応が促進され、酸化反応が完了した状態でポリ エステルフィルムに到達するため、過剰な酸素ガスを取り込んで金属結合存在比が 小さくなつたり、酸素ガスと反応できずに金属原子同士が結合し、金属結合存在比が 大きくなつてしまったりすることがなくなる。また、金属蒸気や酸素ガスを高エネルギー 化することで反応が促進されるため、電子ビーム蒸着法により金属蒸気を高工ネルギ 一化し、プラズマ処理などで酸素ガスを高エネルギー化することが好ま Uヽ。
[0015] M層の金属成分は上述にあるようにアルミニウム元素が好ましぐ M層は酸化アルミ -ゥムであることが好ましい。さらに酸ィ匕アルミニウム中のアルミニウムの結合状態は、 水酸基と結合して 、るアルミニウム原子の存在比が 0〜60at. %であることが好まし
、。一般的に酸ィ匕アルミニウムは水蒸気を吸湿して水和物 (Al (OH) )を形成する。
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本願では水和物も酸ィ匕アルミニウムとして考える。水酸基と結合して ヽるとはアルミ二 ゥム原子が吸湿して水和物になっていることを表し、光電子分光法 (XPS)にてアルミ
-ゥムの結合状態を分析することで存在比を測定することができる。水和物の形成に より部分的に体積変化が起こり M層内にひずみができ構造欠陥が発生する。水和物 形成は寸法安定性を悪ィ匕させる要因となるため、 60at. %以下であることが好ましい 。より好ましくは 50at. %以下、さらに好ましくは 40at. %以下である。水酸基と結合 しているアルミニウム原子の存在比を小さくさせるには、水和物を形成させないこと、 すなわち水分を吸湿させな 、ことが好まし 、。アルミニウム原子と酸素原子がしっかり 結合していて、未結合のアルミニウム原子や酸素原子を減らし、不完全な構造をなく すように形成することで水分の吸湿を防ぐことができる。不完全な構造はな 、ことが好 ましいが、形成時に生成してしまった場合は強制的に一気に吸湿させ、 M層全体か ら未結合のアルミニウムや酸素原子をなくすことが好ましい。つまり、 M層形成後は未 結合原子をなくすための強制加湿処理を行うことが好ましい。加湿処理を行わず、未 結合原子が残存していると、部分的に吸湿が起こり、その吸湿による体積変化などで M層に構造欠陥を作りやすくなる。構造欠陥はさらなる吸湿を発生させる原因ともな り、加湿処理を行わない場合より、水酸基と結合しているアルミニウム原子の存在比 が高くなつてしまう場合もある。
[0016] また、 M層を形成する時にポリエステルフィルムが吸湿していると、形成時の熱負荷 などによりポリエステルフィルム力 水分が放出され、 M層の中に水分を取り込むこと となり、水和物を形成してしまうことがある。 M層を形成する前にポリエステルフィルム 内の水分量を減らしておくことが好まし 、。
[0017] M層の厚みは、それぞれ 50〜200nmである必要がある。 M層の厚みが 50nmより 小さい場合、補強効果が小さぐ寸法安定性が改善されない。 M層の厚みの下限は 、好ましくは 60nm、より好ましくは 70nmである。一方、 M層の厚みが 200nmより大 きい場合は、クラックを生じやすく寸法安定性が悪化しやすい。また走行を繰り返す ことで剥離や脱落が発生し易ぐ結果として寸法安定性が悪ィ匕する傾向にある。また 、全光線透過率や表面抵抗率を本発明の範囲内にするには酸素の導入量を増やす
必要がある力 真空製膜装置を使って 200nm以上の厚みの M層を形成しょうとする と、真空度が低下してしまい金属蒸気が蒸発しにくく不安定になる。その結果、 M層 が不完全な構造になり、寸法安定性、走行耐久性の悪い磁気記録媒体となってしま う。また、スパッタ法では酸素導入量が多いとターゲットの表面を酸ィ匕させてしまい、 スパッタによる金属原子の飛び出しが不安定となる。その結果、真空蒸着法と同様、 不完全な構造になってしまい、寸法安定性、走行耐久性の悪い磁気記録媒体となつ てしまう。 M層の厚みの上限は、好ましくは 180nm、より好ましくは 150nmである。好 ましい範囲としては、 60〜180nm、より好ましい範囲としては、 70〜150nmである。
[0018] 本発明の磁気記録媒体用支持体は、全光線透過率力^〜 75%である必要がある。
75%より高い場合、酸ィ匕が進みすぎているため、 M層が硬く脆くなり、張力や湾曲に よってクラックを生じやすぐまた、酸ィ匕物の吸湿膨張が起こり易く寸法安定性が劣る 傾向にある。全光線透過の下限は、より好ましくは 1%であり、さらに好ましくは 5%で ある。一方、上限は 70%が好ましぐさらに好ましくは 65%である。なお、本発明の支 持体としては全光線透過率が 0%のものも包含される。これは、支持体が、上記した ような金属成分を少しだけ酸化させた金属系酸化物を含む層を有する場合、表面抵 抗率が後述するような範囲になるものの、全光線透過率が 0%、すなわち、検出限界 以下という場合があるからである。より好ましい範囲としては、 1〜70%、より好ましい 範囲としては、 5〜65%である。
[0019] 本発明の磁気記録媒体用支持体は、表面抵抗率が 1 X 102〜1 X 1013 Ωであり、 好ましくは 1. Ο Χ 102〜9. 9 Χ 1012 Ωである。表面抵抗率とは、表面比抵抗(Ω Ζ口 )とも表記される特性値であり、純粋な表面抵抗 (面積によって変わる抵抗値)ゃ線抵 抗 (導線などの抵抗)とは異なるものである。表面抵抗率が 1. 0 Χ 102 Ωより低い場合 、導電性が高すぎるため、静電気や漏れ電流によって磁気テープに電流が流れてし まい、その電流のために磁気ヘッドがショートし故障する危険性がある。表面抵抗率 の下限は、好ましくは 1. 0 Χ 104 Ωであり、より好ましくは 1. 0 Χ 105 Ωである。一方、 表面抵抗率が 1 X 1013 Ω、特に 9. 9 Χ 1012 Ωより高い場合、透過率が高い場合と同 様に酸ィ匕が進みすぎているために、クラックの発生や寸法安定性の悪ィ匕の傾向があ る。表面抵抗率の上限は、好ましくは 9. Θ Χ ΙΟ^ Ω、より好ましくは 9. 9 X 1010 Q -C
ある。好ましい範囲としては、 1. 0 Χ 104〜9. Θ Χ ΙΟ^ Ω、より好ましい範囲としては、 1. 0 X 105〜9. 9 X 1010 Ωである。なお、磁性層を設ける側の表面 (Α)と磁性層を 設けない側の表面、すなわちバックコート層側の表面 (Β)とでは、表面抵抗率の値が 同じでもよ 、が、バックコート層側の表面 (Β)の表面抵抗率が低 、方が好ま 、。
[0020] そして、本発明の磁気記録媒体用支持体において、磁性層を設ける側の表面 (Α) の中心線平均粗さ Raが 0. 5nm〜10nmであることが好ましい。磁性層を設ける側の 表面 (A)の Raが 0. 5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送口 ールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとし て用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい 。また、 Raが 10nmより大きい場合は、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に 、電磁変換特性が低下することがある。磁性層を設ける側の表面 (A)の Raの下限は 、より好ましくは 2nm、さらに好ましくは 3nmであり、上限は 9nm、さらに好ましくは 8n mである。より好ましい範囲としては、 2〜9nm、さらに好ましい範囲としては、 3〜8n mである。
[0021] 一方、バックコート層側の表面(B)の中心線平均粗さ Raは 3〜30nmであることが 好ましい。ノ ックコート層側の表面(B)の Raが 3nmより小さい場合は、フィルム製造、 加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすこ とがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ 走行性が低下することがある。また、 Raが 30nmより大きい場合は、フィルムロールや パンケーキとして保管する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、電磁変換特性 が低下する傾向がある。ノ ックコート層側の表面(B)の Raの下限は、より好ましくは 5 nm、さらに好ましくは 7nmであり、上限は 20nm、さらに好ましくは 15nmである。より 好ましい範囲としては、 5〜20nm、さらに好ましい範囲としては 7〜15nmである。
[0022] 本発明の磁気記録媒体用支持体は、幅方向の湿度膨張係数が 3〜: LOppmZ %RHであることも好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒 体への加工工程や磁気記録媒体の記録再生時の高湿条件での寸法安定性の観点 力も好ましい。幅方向の湿度膨張係数の上限は、より好ましくは 8ppmZ%RH、さら に好ましくは 7ppmZ%RHである。幅方向の湿度膨張係数の下限はより好ましくは
— lppmZ%RH、さらに好ましくは OppmZ%RHである。より好ましい範囲としては 、 一 l〜8ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては 0〜7ppm/%RHである。
[0023] 本発明の磁気記録媒体用支持体は、長手方向のヤング率が 5〜13GPaであること が好ましい。長手方向のヤング率が 5GPaより小さい場合、テープドライブ内での長 手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記 録トラックずれという問題が発生しやすい。長手方向のヤング率の下限は、より好まし くは 6GPa、さらに好ましくは 7GPaである。一方、長手方向のヤング率が 13GPaより 大きい場合、幅方向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり、幅方向 のヤング率が不足し、エッジダメージの原因となる。長手方向のヤング率の上限は、 より好ましくは 12GPa、さらに好ましくは l lGPaである。より好ましい範囲としては、 6 〜12GPa、さらに好ましい範囲としては 7〜: L lGPaである。
[0024] 本発明の磁気記録媒体用支持体は、幅方向のヤング率が 5〜13GPaの範囲であ ることが好ましい。幅方向のヤング率が 5GPaより小さい場合、エッジダメージの原因 となったりすることがある。幅方向のヤング率の下限は、より好ましくは 6GPa、さらに 好ましくは 7GPaである。一方、幅方向のヤング率が 13GPaより大きい場合、長手方 向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり長手方向の張力により変形 しゃすくなつたり、スリット性が悪ィ匕することがある。幅方向のヤング率の上限は、より 好ましくは 12GPa、さらに好ましくは l lGPaである。より好ましい範囲としては、 6〜1 2GPa、さらに好ましい範囲としては 7〜: L lGPaである。
[0025] なお、本発明において、支持体の長手方向とは、一般的に MD方向といわれる方 向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の長手方向と同じ方向を指し、支持体 の幅方向とは、一般的に TD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造 工程時の幅方向と同じ方向を指す。
[0026] 本発明にお 、て、ポリエステルフィルムとは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族 ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分ゃジオール成分を構成単位( 重合単位)とするポリマーで構成されたものである。
[0027] 芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、 1, 4 ナフタレンジカルボン酸、 1, 5 ナフタレンジカルボン酸、 2, 6 ナフタレンジ
カルボン酸、 4, 4'ージフエ-ルジカルボン酸、 4, 4'ージフエ-ルエーテルジカルボ ン酸、 4, 4'—ジフエ-ルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ま しくは、テレフタル酸、フタル酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸を用いることができる 。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロへキサンジカルボン酸等を用い ることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、 セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを 用いてもよぐ二種以上を併用してもよい。
[0028] ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、 1, 2 プロパンジオール、 1, 3 プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、 1, 3 ブタンジオール、 1, 4ーブタ ンジオール、 1, 5 ペンタンジオール、 1, 6 へキサンジオール、 1, 2 シクロへキ サンジメタノール、 1, 3 シクロへキサンジメタノール、 1, 4 シクロへキサンジメタノ ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアノレキレングリコール、 2, 2
,一ビス(4' - β—ヒドロキシエトキシフエ-ル)プロパン等を用いることができ、なかで も、エチレングリコール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、 ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコ 一ル等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよぐ二種 以上を併用してもよい。
[0029] ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フエ-ル等の単官能化合物が 共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリト ール、 2, 4 ジォキシ安息香酸、等の 3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせ ずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、 ジオール成分以外に、 ρ ヒドロキシ安息香酸、 m—ヒドロキシ安息香酸、 2, 6 ヒド ロキシナフトェ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸および p ァミノフエノール、 p— ァミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重 合せしめることがでさる。
[0030] ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ま しい。また、これらの共重合体、および変性体でもよぐ他の熱可塑性榭脂とのポリマ ーァロイでも良い。ここでいうポリマーァロイとは高分子多成分系のことであり、共重合
によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでも良い。 特に、上記ポリエステル榭脂とポリイミド系榭脂のポリマーァロイは混合割合によつて 耐熱性 (ガラス転移温度)を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計がで きるため好まし ヽ。ポリマーの混合割合は NMR法 (核磁気共鳴法)や顕微 FT—IR 法 (フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
[0031] ポリイミド系榭脂としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有す るものが好ましい。
[0032] [化 1]
[0033] ただし、式中の R1は、
[0034] [化 2]
剛 [SSOO]
(k)
[0036] などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた 種もしくは二種以上の基を表している。また、式中の R2は、
[0037] [化 4]
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一 種もしくは二種以上の基を表して 、る。
[0039] 溶融成形性やポリエステルとの親和性などの点から、下記一般式で示されるような 、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが特に好まし 、。
[0040] [化 5]
[0041] (ただし、上記式中 R3は、 6〜30個の炭素原子を有する 2価の芳香族または脂肪族 残基、 R4は 6〜30個の炭素原子を有する 2価の芳香族残基、 2〜20個の炭素原子 を有するアルキレン基、 2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および 2 〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン 基からなる群より選択された 2価の有機基である。 )
上記 、 R4としては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができ る。
[0042] [化 6]
[0043] 本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、 2, 2 ビ ス [4 (2, 3 ジカルボキシフエノキシ)フエ-ル]プロパン二無水物と m—フエ-レン ジァミン、または p フエ-レンジァミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し 単位を有するポリマーが好まし ヽ
[0044] [化 7]
[0045] または
[0046] [化 8]
[0047] (nは 2以上の整数、好ましくは 20〜50の整数)
このポリエーテルイミドは、 "ウルテム"(登録商標)の商品名で、ジーィ一プラスチッ タス社より入手可能である。
[0048] 本発明にお 、て、ポリエステルフィルムは 2層以上の積層構成であることが好まし ヽ 。特に、本発明の支持体は、磁気記録媒体に用いるため、一方の表面には、優れた 電磁変換特性を得るための平滑さが求められ、他方の表面には、製膜'加工工程で の搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するための粗さが求められる。 そのため、ポリエステルフィルムを 2層以上の積層構成にすることが好ましい。
[0049] ポリエステルフィルムには、その表面に易滑性ゃ耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付 与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイ力、酸化チタン、炭酸カルシ ゥム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、 硫酸バリウム、アルミナ、ジルコユア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系榭脂、 熱硬化榭脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル 重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子 (いわゆる内部粒子)などが添 カロされていてもよい。粒子の粒径は TEMなどによって調べることができ、粒子の添加 量は X線マイクロアナライザーや熱分解ガスクロマト質量分析などによって調べること
ができる。
[0050] 本発明において、支持体としての厚みは、用途に応じて適宜決定できる力 通常磁 気記録媒体用途では 2〜7 mが好ましい。この厚みが 2 mより小さい場合、磁気 テープにした際に電磁変換特性が低下することがある。一方、この厚みが 7 mより 大きい場合は、テープ 1卷あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化 、高容量ィ匕が困難になる場合がある。したがって、高密度磁気記録媒体用途の場合 、厚みの下限は、好ましくは 3 μ m、より好ましくは 4 μ mであり、上限は、好ましくは 6 . 5 m、より好ましくは 6 μ mである。より好まし!/ヽ範囲としては 3〜6. 5 m、より好ま しい範囲としては 4〜6 μ mである。
[0051] また、本発明の支持体を構成するポリエステルフィルムの厚みは、 2〜6 μ mである ことが好ましい。この厚みが 2 /z mより小さい場合は、磁気テープにした際にテープに 腰がなくなるため、電磁変換特性が低下することがある。ポリエステルフィルムの厚み の下限は、より好ましくは 3 μ m、さらに好ましくは 4 μ mである。一方、ポリエステルフ イルムの厚みが 6 μ mより大きい場合は、テープ 1卷あたりのテープ長さが短くなるた め、磁気テープの小型化、高容量ィ匕が困難になる場合がある。ポリエステルフィルム の厚みの上限は、より好ましくは 5. 8 /ζ πι、さらに好ましくは 5. である。より好ま しい範囲としては 3〜5. 8 m、さらに好ましい範囲としては 4〜5. 6 mである。
[0052] 上記したような本発明の磁気記録媒体用支持体は、たとえば次のように製造される
[0053] まず、支持体を構成するポリエステルフィルムを製造する。ポリエステルフィルムを 製造するには、たとえばポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から 吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フ ィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好 ましい。また、ポリエステルフィルムの表面に易滑性ゃ耐摩耗性、耐スクラッチ性など を付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイ力、酸化チタン、炭酸力 ルシゥム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシゥ ム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコユア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系榭 脂、熱硬化榭脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエス
テル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子 (いわゆる内部粒子)など を添加することも好ましい。さらに、本発明を阻害しない範囲内であれば、各種添カロ 剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止 剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料 、染料、などが添加されてもよい。
[0054] 続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸ェ 程は、特に限定されないが、各方向において 2段階以上に分けることが好ましい。す なわち再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度の フィルムが得られ易 、ために好まし 、。
[0055] 延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸 延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時 二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが 包含される。
[0056] 特に同時二軸延伸法を用いることが好ましい。逐次二軸延伸法に比べて同時二軸 延伸法は、製膜工程で長手方向、幅方向に結晶が均一に成長するため、安定して 高倍率に延伸しやすい。なお、ここでいう同時二軸延伸とは、長手方向と幅方向の延 伸が同時に行われる工程を含む延伸方式である。必ずしも、すべての区間で長手方 向と幅方向が同時に延伸されている必要はなぐ長手方向の延伸が先にはじまり、そ の途中から幅方向にも延伸を行い(同時延伸)、長手方向の延伸が先に終了し、残り を幅方向のみ延伸するような方式でもよい。延伸装置としては、例えば同時二軸延伸 テンターなどが好ましく例示され、中でもリニアモータ駆動式の同時二軸テンターが 破れなくフィルムを延伸する方法として特に好ましい。
[0057] 次に、上記のようにして得られたポリエステルフィルムの両面に金属系酸ィ匕物を含 む層(M層)を設ける。このとき、全光線透過率と表面抵抗率の値を上述のとおりとす るために、金属系酸化物の酸化状態を制御する。 M層の形成方法としては物理蒸 着法や化学蒸着法を用いることができる。ポリエステルフィルムへの物理蒸着法には 真空蒸着法、スパッタリング法があり、特に酸化度の制御しやすさから真空蒸着法が 好ましぐさらに金属蒸気の高エネルギー化が可能な電子ビーム蒸着法が好ましい。
[0058] M層を構成する金属系酸ィ匕物の酸ィ匕度を制御するには、基本的には金属蒸発量 と酸素ガス導入量を制御する必要がある。金属蒸発量が一定であれば、酸素ガス導 入量を減らせば酸ィ匕度が低くなり、酸素ガス導入量を増やせば酸ィ匕度が高くなる。 逆に酸素ガス導入量が一定であれば、金属蒸発量を減らせば酸ィ匕度が高くなり、金 属蒸発量を増やせば酸化度が低くなる。
[0059] このとき、酸素ガスは、蒸着源の真横から金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給 することが好ましい。金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給することで、酸素ガス による金属蒸気の乱れが少なくなり、所望の厚みや酸化度に制御し易くなる。また、 酸素ガスと金属蒸気の反応空間が大きくなるため、ポリエステルフィルム上に達する までに酸化反応が完了し、安定した構造欠陥のない蒸着膜を製膜することが可能と なり、寸法安定性が向上する。冷却ドラムに近い一般的な酸素供給ノズル位置(図 3 、 124)ではガス流が金属蒸気と垂直に当たるため、所望の厚みに制御しづらぐ特 に厚膜化が困難となる。さらに、反応空間が小さくなるため金属原子が不完全な酸化 反応でポリエステルフィルムに到着するため、不完全な構造になり、寸法安定性を悪 化させる。それ以外にもポリエステルフィルムへの堆積始めと堆積終わりの部分に酸 素供給ノズルがあるため、ポリエステルフィルムとの界面や M層の表面で酸素濃度が 高くなる層構造になりやすい。 M層中に異組成の層があると、構造が乱れやすく寸法 安定性が低下する傾向がある。
[0060] 逆に本願でおこなう酸素供給ノズルの位置は、必然的に冷却ドラム力 離れる方向 となるため、未反応の酸素ガスがチャンバ内に充満して減圧度を低下させやすぐま た、るつぼ内の溶融金属の表面を酸ィ匕させるため通常は採用されない。特に、 50η m以下の薄い膜形成では金属蒸気量が少ないため、問題が顕著となり、細かい酸ィ匕 度制御は困難となる。しかし、本願では 50nm以上の厚膜で酸ィ匕度制御を行うため、 金属蒸気量が多ぐ酸素ガスとよく反応し減圧度を下げる未反応酸素ガスが発生しな い。また、るつぼ表面で溶融、蒸発がすぐに行われるため表面酸化の問題を回避で きる。
[0061] 全光線透過率は、酸ィ匕度が高いほど高くなるため、蒸着時の酸素ガス導入量や酸 素ガス供給ノズルの位置、金属成分の蒸発量、フィルム搬送速度を調整することで制
御することができる。具体的には、酸化度を高くして全光線透過率を高める場合は、 酸素ガス導入量を増やし反応できる酸素ガスを増やしたり、酸素ガス供給ノズルの位 置を反応しやすい位置に設置し反応を進め易くしたり、金属成分の蒸発量を減らし 酸素濃度を高めたり、フィルム搬送速度を遅くして反応時間を長くしたりすることで制 御する。特に酸素ガス導入量の影響が大きい。
[0062] 表面抵抗率も、酸ィ匕度が高いほど高くなるため、全光線透過率と同様に、蒸着時の 酸素ガス導入量や酸素ガス供給ノズルの位置、金属成分の蒸発量、フィルム搬送速 度を調整することで制御することができる。特に金属の蒸発量やフィルム搬送速度の 影響が大きい。
[0063] 全光線透過率や表面抵抗率は M層内の金属元素濃度と相関があるが、金属元素 濃度が同じでも金属原子の結合状態によっても変化する。特に金属 金属結合の 存在比が影響する。
[0064] また、支持体の表面の中心線平均粗さ Raを上記範囲内とするためには、ポリエステ ルフィルムの表面粗さを変更することで制御できる。金属成分の種類や M層の膜厚、 酸ィ匕度を変更することでも制御できる。ポリエステルフィルムの表面粗さは不活性粒 子の粒径を大きくするか、添加量を増やすことで粗くすることができる。表面を粗くす れば、支持体表面の中心線平均粗さ Raも大きくなる。また、 M層の膜厚を厚くするこ とでも支持体表面の中心線平均粗さ Raは大きくなる。 M層の厚みを厚くすると M層 の構造が柱状構造になりやすぐその結果、局部的に堆積成長した柱状構造が表面 を粗くする。さらに上記したように酸ィ匕度を高めることでも、支持体表面の中心線平均 粗さ Raを大きくすることができる。中でも M層の厚みの影響が大き 、。
[0065] 支持体の湿度膨張係数は、 M層の金属成分の種類や厚み、酸化度、金属元素濃 度、金属原子の結合状態などで制御することができる。
[0066] 支持体の長手方向のヤング率は、ポリエステルフィルムの長手方向のヤング率でほ とんど決まる。一方、支持体の幅方向のヤング率も、ポリエステルフィルムの幅方向の ヤング率でほとんど決まる。したがって、ポリエステルフィルムの長手方向、幅方向の ヤング率を制御すればよい。ポリエステルフィルムのヤング率は、延伸倍率や延伸温 度によって制御できる。基本的には、総面積延伸倍率を高くしたり、延伸温度を低く
すれば、製造したポリエステルフィルムのヤング率は高くなる。
また、支持体のヤング率は、 M層を構成する金属成分の種類や M層の厚み、酸ィ匕度 によっても制御できる。 M層自体の強度を高ぐ膜厚を厚くすることで支持体のヤング 率を高めることができる。
[0067] 磁気記録媒体の寸法安定性は支持体の湿度膨張係数やヤング率が影響を与える 。特に湿度膨張係数の影響が大きい。つまり、 M層の組成制御が寸法安定性向上に きわめて重要である。
[0068] なお、本発明にお 、ては、ポリエステルフィルムやそのポリエステルフィルムを用い て得られた支持体に、必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理、ラミ ネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、などの任意の加工を行っても よい。
[0069] 以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)を ポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願は PETフィルム を用いた支持体に限定されるものではなぐ他のポリマーを用いたものものでもよい。 例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン 2, 6 ナフタレンジカルボキシ レートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高 温で押出や延伸を行えばよ!/ヽ。
[0070] まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のい ずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを 原料とし、直接エステルイ匕反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたは オリゴマーを得、さらにその後の三酸ィ匕アンチモンやチタンィ匕合物を触媒に用いた重 縮合反応によってポリマーを得るプロセス、 (2)ジメチルテレフタレートとエチレンダリ コールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸 化アンチモンやチタンィ匕合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプ ロセスである。ここで、エステルイ匕は無触媒でも反応は進行する力 エステル交換反 応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等 の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に 、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
[0071] フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレンダリ コールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコー ルを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不 活性粒子の合成時に得られる水ゾルゃアルコールゾル状態の粒子をー且乾燥させ ることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接 PE Tペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、 PETに練り込む方法も有効 である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性 粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有 しない PETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
[0072] 次に、得られた PETのペレットを、 180°Cで 3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度 が低下しな 、ように窒素気流下あるいは減圧下で、 270〜320°Cに加熱された押出 機に供給し、スリット状のダイ力 押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸 フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例 えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材力 なるフィルターを用 いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプ を設けてもよい。フィルムを積層する場合には、 2台以上の押出機およびマ-ホール ドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
[0073] 次に、この未延伸フィルムを同時二軸延伸テンターに導いて、長手および幅方向に 同時に二軸延伸を行う。延伸速度は長手、幅方向ともに 100〜20, 000%Z分の範 囲で行うの力 子ましい。より好ましくは、 500-10, 000%/分、さらに好ましくは 2, 0 00〜7, 000%Z分である。延伸速度が 100%Z分よりも小さい場合には、フィルム が熱にさらされる時間が長くなるため、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因 となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率 が低下することがある。また、 20, 000%Z分よりも大きい場合には、延伸時点で分 子間の絡み合いが生成しやすくなり、延伸性が低下して、高倍率の延伸が困難とな ることがある。
[0074] また、 1段目の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なる力 未延伸フィル ムのガラス転移温度 Tgを目安として決めることができる。長手方向および幅方向それ
ぞれの 1段目の延伸工程における温度は、 Tg〜Tg + 30°Cの範囲であることが好ま しぐょり好ましくは丁8 + 5で〜丁8 + 20ででぁる。上記範囲より延伸温度が低い場合 には、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、再延伸性が低下して、高倍率に 安定して延伸することが困難となることがある。また、上記範囲よりも延伸温度が高い 場合には、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、 十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下することがある。
[0075] 延伸倍率は、用いるポリマーの種類や延伸温度によって異なり、また多段延伸の場 合も異なるが、総面積延伸倍率 (総縦延伸倍率 X総横延伸倍率)が、 20〜40倍の 範囲になるようにすることが好ましい。より好ましくは 25〜35倍である。長手方向、幅 方向の一方向の総延伸倍率としては、 2. 5〜8倍が好ましぐより好ましくは、 3〜7倍 である。延伸倍率が上記範囲より小さい場合には、延伸ムラなどが発生しフィルムの 加工適性が低下することがある。また、延伸倍率が上記範囲より大きい場合には、延 伸破れが多発して、生産性が低下する場合がある。なお、各方向に関して延伸を多 段で行う場合、 1段目の長手、幅方向それぞれにおける延伸倍率は、 2. 5〜5倍が 好ましぐより好ましくは 3〜4倍である。また、 1段目における好ましい面積延伸倍率 は 8〜16倍であり、より好ましくは、 9〜14倍である。これらの延伸倍率の値は、特に 同時二軸延伸法を採用する場合に好適な値であるが、逐次二軸延伸法でも適用で きる。
[0076] 本発明のポリエステルフィルムの製造方法が多段延伸、すなわち再延伸工程を含 む場合、 2段目の延伸温度は Tg+40°C〜Tg+ 120°Cが好ましぐさらに好ましくは Tg + 60°C〜Tg+ 100°Cである。(なお、 3段の延伸を行う場合、 2段目の延伸温度 としては上記温度範囲の中でも比較的低!、延伸温度とする方がょ 、)。延伸温度が 上記範囲を外れる場合には、熱量不足や結晶化の進みすぎによって、フィルム破れ が多発して生産性が低下したり、十分に配向を高めることができず、強度が低下する 場合がある。さらに 3段目の延伸を行う場合には、 3段目の延伸温度は 2段目の延伸 温度よりも高ぐ後述する熱処理の温度よりも低いことが好ましい。なお、 3段目の延 伸を行うとはヤング率や熱的寸法安定性が向上し易い。
[0077] また、再延伸を行う場合の一方向における延伸倍率は、 1. 05〜2. 5倍が好ましく
、より好ましくは 1. 2〜1. 8倍である。再延伸の面積延伸倍率としては、 1. 4〜4倍が 好ましぐより好ましくは 1. 9〜3倍である。さらに 3段目の延伸を行う場合には、 3段 目の延伸倍率 (一方向)は、 1. 05〜: L 2倍が好ましぐ面積延伸倍率は 1. 1〜1. 4 が好ましい。
[0078] 続、て、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処 理条件は、ポリマーの種類によっても異なる力 熱処理温度は、 150°C〜230°Cが好 ましぐ熱処理時間は 0. 5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。さらに、蒸着適性を向 上させるために、熱処理温度は 160°C〜190°Cの比較的低温で行うことが好ましぐ 熱処理時間も 0. 5〜2秒の比較的短時間で行うことが好ましい。こうすることでポリエ ステルフィルムの冷却ドラムへの密着性が向上し、熱によるシヮゃ破れなどを回避す ることができる。また、作製されたポリエステルフィルムは水分を吸湿しないように、低 湿度の環境下で保存することが好ましぐ輸送時などもできるだけ吸湿を防ぐような梱 包が好まし 、。ポリエステルフィルムの吸湿は M層形成時に悪影響を及ぼすためで ある。
[0079] 次に、上記のようにして得られたポリエステルフィルムの両面に金属系酸ィ匕物を含 む層(M層)を設ける方法を説明する。
[0080] ポリエステルフィルム表面に M層を形成するには、たとえば図 2に示すような真空蒸 着装置を用いる。この真空蒸着装置 11においては、真空チャンバ 12の内部をポリエ ステルフィルムが卷出しロール部 13から冷却ドラム 16を経て卷取りロール部 18へと 走行する。そのときに、るつぼ 23内の金属材料 19を電子銃 20から照射した電子ビ ーム 21で加熱蒸発させるとともに、酸素供給ノズル 24から酸素ガスを導入し、蒸発し た金属を酸ィ匕反応させながら冷却ドラム 16上のポリエステルフィルムに蒸着する。本 発明は両面に M層が必要なため、片方の表面(1面目)に金属系酸化物を蒸着した 後卷取りロール部 18から片面蒸着ポリエステルフィルムを取り外し、それを卷出し口 ール部 13にセットし同じように反対側の表面(2面目)に金属系酸ィ匕物を蒸着する。 なお、この真空蒸着装置 11は、酸ィ匕度を容易に制御できるように、酸素供給ノズル 2 4を蒸着源であるるつぼ 23の真横に設置し、かつ、金属蒸気と酸素ガスとが同じ方向 に流れるようにしている。その結果、金属蒸気と酸素ガスとの反応空間も大きくなつて
いる。
[0081] ここで、真空チャンバ 12の内部は 1. O X 10_8〜1. O X 102Paに減圧することが好 ましい。さらに緻密で劣化部分の少ない M層を形成させるために好ましくは、 1. O X
10一6〜 1. O X 10_1Paに減圧することが好ましい。
[0082] 冷却ドラム 16は、その表面温度を 40〜60°Cの範囲内にすることが好ましい。より 好ましくは 35〜30°C、さらに好ましくは 30〜0°Cである。
[0083] 電子ビーム 21は、その出力が 2. 0〜8. OkWの範囲内のもので行うのが好ましい。
より好ましくは 3. 0〜7. OkW、さらに好ましくは 4. 0〜6. OkWの範囲内である。なお
、直接ルツボを加熱することで金属材料 19を加熱蒸発させてもょ 、。
[0084] 酸素ガスは、ガス流量制御装置 26を用いて 0. 5〜: LOLZminの流量で真空チャン ノ 12内部に導入する。より好ましくは 1. 5〜8LZmin、さらに好ましくは 2. 0〜5LZ mmである。
[0085] 真空チャンバ 12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送速度は 20〜200mZ minが好ましい。より好ましくは 30〜: LOOmZmin、さらに好ましくは 40〜80mZmin である。搬送速度が 20mZminより遅すぎる場合、上記のような M層厚みに制御する ためには金属の蒸発量をかなり小さくする必要がある。そのため、酸素ガス導入量も 減らす必要がでてくるために、酸ィ匕度の制御が非常に難しくなる。搬送速度が 200m Zminより速くなると、冷却ドラムとの接触時間が短くなるため熱による破れやシヮが 発生し、生産性が損なわれる。また、金属蒸気と酸素ガスとが不充分な反応状態で 成膜されやすぐ酸化度の制御が難しくなる。
[0086] 真空チャンバ 12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送張力は 50〜 150NZ mが好ましい。より好ましくは 70〜120NZm、さらに好ましくは 80〜: LOON/mであ る。ただし、 2面目の蒸着時には搬送張力を 1面目より弱めることが好ましい。 2面目 の搬送張力は 1面目の搬送張力より 5〜30NZm低いことが好ましぐより好ましくは 7〜25NZm低ぐさらに好ましくは 10〜20NZm低いことが好ましい。これは、 1面 目の蒸着時にポリエステルフィルムが熱負荷を受け収縮しょうとする力を失うため、 2 面目の蒸着時に 1面目と同様の搬送張力で走行させると、熱による破れやシヮが発 生し、生産性が損なわれる力もである。さらに、ポリエステルフィルムの表面粗さが面
によって異なる場合は、先に粗い方の面を蒸着することが好ましい。これは 2面目蒸 着時に冷却ドラムへの密着性を高めるためである。蒸着は片面ずつ行っても良いし、 両面を 1工程で行っても良い。
[0087] 蒸着後、 M層を安定化させ、緻密性を高めるためには、真空蒸着装置内を常圧に 戻して、卷取ったフィルムを巻き返すことが好ましい。特に、未結合原子を減らすため に加湿巻き返しを行うことが水蒸気と M層が接触する機会が長くなるため好ましい。 加湿巻き返しは 20〜40°Cで 60〜80%RHで行うことが好ましい。さらに 20〜50°C の温度で 1〜3日間エージングすることが好ましぐさらに好ましくは湿度 60%以上の 結露しな 、程度の環境下でエージングすることが好ま 、。
[0088] 次に、磁気記録媒体を製造する方法を説明する。上記のようにして得られた磁気記 録媒体用支持体を、たとえば 0. l〜3m幅にスリットし、速度 20〜300mZmin、張 力 50〜300N/mで搬送しながら、一方の面 (A)に磁性塗料および非磁性塗料を エタストルージョンコーターにより重層塗布する。なお、上層に磁性塗料を厚み 0. 1 〜0. 3 mで塗布し、下層に非磁性塗料を厚み 0. 5〜1. 5 mで塗布する。その後 、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度 80〜130 °Cで乾燥させる。次いで、反対側の面(B)にバックコートを厚み 0. 3〜0. 8 mで塗 布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレン ダー装置 (スチール/ナイロンロール、 5段)を用い、温度 70〜120°C、線圧 0. 5〜5 kNZcmで行う。その後、 60〜80°Cにて 24〜72時間エージング処理し、 1Z2イン チ(1. 27cm)幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキ力 特 定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
[0089] ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
(磁性塗料の組成)
•強磁性金属粉末 : 100重量部
•変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
'変成ポリウレタン : 10重量部
•ポリイソシァネート : 5重量部
• 2—ェチルへキシルォレート : 1. 5重量部
'パルミチン酸 : 1重量部
•カーボンブラック : 1重量部
'アルミナ : 10重量部
•メチルェチルケトン : 75重量部
.シクロへキサノン : 75重量部
.トノレェン : 75重量部
(バックコートの組成)
•カーボンブラック(平均粒径 20nm) : 95重量部
•カーボンブラック(平均粒径 280nm): 10重量部
'アルミナ : 0. 1重量部
'変成ポリウレタン : 20重量部
•変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
.シクロへキサノン : 200重量言
•メチルェチルケトン : 300重量部
.トノレェン : 100重量部
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバッ クアップ用途 (LT04や LT05など)や映像などのデジタル画像の記録用途などに好 適に用いることができる。
[0090] (物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。例え ば、磁気テープ力も本願の支持体を取り出すためには、メチルェチルケトンを用いて 磁性層やバックコート層を拭き剥がすことで評価が可能となる。
(1) M層の厚み
下記条件にて断面観察を行い、得られた合計 9点の厚み [nm]の平均値を算出し、 M層の厚み [nm]とする。
[0091] 測定装置:透過型電子顕微鏡 (TEM) 日立製 H— 7100FA型
測定条件:加速電圧 lOOkV
測定倍率: 20万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 : TD— ZD断面
測定回数: 1視野につき 3点、 3視野を測定する。
(2)組成分析
下記条件にて、深さ方向の組成分析を行う。炭素濃度が 50at. %を越える深さを M層とポリエステルフィルムとの界面とし、表層から界面までを等分に 5分割し、それ ぞれの区間の中央点を測定点として組成分析を行う。得られた各測定点の組成から 平均値を算出し、本発明における平均組成とする。
[0092] 測定装置: X線光電子分光機 Quantera-SXM 米国 PHI社製
励起 X線: monochromatic ΑΙΚ α 1, 2線(1486. 6eV)
X線径 : 100[ ^ πι]
光電子脱出角度: 45°
ラスター領域: 2 X 2 [mm]
Arイオンエッチング: 2. 0[kV] 1. 5 X 10—7 [Torr]
スパッタ速度: 3. 68nm/min (Si O換算値)
2
テータ処理: 9— point smoothing
ピークの結合エネルギー値力 元素情報が得られ、各ピークの面積比を用いて組 成を定量化 (at. %)する。さらに、金属元素のピークは結合状態 (メタル—酸素,メタ ルー水酸基,メタル メタルなど)によってそれぞれ結合状態のピークへ分割ができ 、それぞれの結合状態のピークの面積比力 結合状態の存在比を定量化 [at. %] することができる。例えば、 M層の金属成分がアルミニウムの場合、金属結合 (A1—A 1)、アルミニウム—酸素結合 (Al O )、アルミニウム—酸素—水酸基結合 (AIOOH)
2 3
、アルミニウム—水酸基結合 (Al(OH) )の 4種類に分割することができる。本願の水
3
酸基と結合するアルミニウムの存在比は 4つめのアルミニウム一水酸基結合 (Α1 (ΟΗ ) )の存在比のことである。
3
[0093] なお、結合状態のピーク分割につ!、ては B.Vincent Crist著 Handbook of Monochro matic XPS Spectra (2000年 10月、 Wiley社発行)を参考にして行う。
(3)全光線透過率
JIS—K7105 (1981)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。 5回の測定結 果の平均値を本発明における全光線透過率とする。
[0094] 測定装置:直読ヘーズメーター HGM— 2DP (C光源用) スガ試験機社製
光源 :ハロゲンランプ 12V、 50W
受光特性: 395〜745nm
測定環境:温度 23°C湿度 65%RH
測定回数: 5回測定する。
(4)表面抵抗率
表面抵抗率の範囲によって、測定可能な装置が異なるため、まず i)の方法で測定 を行い、表面抵抗率が低すぎて測定不可能なサンプルを ii)の方法で測定する。 5回 の測定結果の平均値を本発明における表面抵抗率とする。
[0095] i)高抵抗率測定 JIS— C2151 (1990)に準拠し、下記測定装置を用いて測定 する。
[0096] 測定装置:デジタル超高抵抗 Z微小電流計 R8340 アドバンテスト (株)製
印加電圧: 100V
印加時間: 10秒間
測定単位: Ω
測定環境:温度 23°C湿度 65%RH
測定回数: 5回測定する。
[0097] ii)低抵抗率測定
JIS-K7194 (1994)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
[0098] 測定装置:ロレスター EP MCP-T360 三菱化学製
測定環境:温度 23°C湿度 65%RH
測定回数: 5回測定する。
(5)中心線平均粗さ Ra
触針式表面粗さ計を用いて下記条件にて中心線平均粗さ Raを測定する。フィルム 幅方向に 20回走査して測定を行 、、得られた結果の平均値を本発明における中心 線平均粗さ Raとする。
[0099] 測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器 ET— 10
触針先端半径: 0. δ μ ηι
触針荷重 :5mg
測定長 : lmm
カットオフ値: 0. 08mm
測定環境 :温度 23°C湿度 65%RH
(6)湿度膨張係数
下記条件にて測定を行!、、 3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張 係数とする。
[0100] 測定装置:大食インダストリ一製テープ伸び試験機
試料サイズ:幅 1 Omm X試長間 200mm
荷重: 10g
測定回数: 3回
測定温度: 30°C
測定湿度: 40%RHで 6時間保持し寸法を測定し、昇湿速度 1 [%RHZ分]で 80 %RHまで昇湿し、 80%RHで 6時間保持したあと寸法変化量 Δ L [mm]を測定した 。次式カゝら湿度膨張係数 [PpmZ%RH]を算出した。
[0101] 湿度膨張係数 [ppm/%RH] = 106 X { ( Δ L/200) / (80— 40) }
(7)ヤング率
ASTM - D882 ( 1997)に準拠して測定する。なお、インストロンタイプの引張試験 機を用い、条件は下記のとおりとする。 5回の測定結果の平均値を本発明におけるャ ング率とする。
[0102] 測定装置:オリエンテック (株)製フィルム強伸度自動測定装置
"テンシロン AMF/RTA— 100"
試料サイズ:幅 1 Omm X試長間 1 OOmm
引張り速度: 200mmZ分
測定環境:温度 23°C、湿度 65%RH
測定回数: 5回測定し、平均値から算出する。
(8)固有粘度
オルトクロロフェノール中、 25°Cで測定した溶液粘度から下式に基づ 、て計算する
[0103] η /C = [ r? ] +K[ r
sp ? r- C
ここで、 η sp = (溶液粘度 Z溶媒粘度)— 1、 Cは溶媒 100mlあたりの溶解ポリマー 重量 (gZlOOml、通常 1. 2)、 Kはハギンス定数 (0. 343とする)である。また、溶液 粘度、溶媒粘度はォストワルド粘度計を用いて測定する。
(9)ガラス転移温度 (Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、 JIS K7121 ( 1987)に従って決定する。
[0104] 装置 : TA Instrument社製温度変調 DSC
測定条件:
加熱温度 : 270〜570K (RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅: ± 1Κ
温度変調周期: 60秒
昇温ステップ: 5Κ
試料直直 : 5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器 (22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器 ( 18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出する。
[0105] ガラス転移温度 = (補外ガラス転移開始温度 +補外ガラス転移終了温度) /2
( 10)耐クラック性
引張試験機を使用し、ある特定の伸び量で引張った後、微分干渉顕微鏡にて表面 状態を観察する。条件は下記のとおりとする。
[0106] 引張試験機
測定装置:オリエンテック (株)製フィルム強伸度自動測定装置
"テンシロン AMF/RTA— 100"
試料サイズ:幅 1 Omm X試長間 1 OOmm、
引張り速度: io%Z分
引張り伸度: 0. 5%〜10% (所定の伸度になった時点で引っ張り試験機を停止さ せる)
測定環境:温度 23°C、湿度 65%RH
微分干渉顕微鏡
測定装置:ライカ DMLB HC ライカマイクロシステムズ (株)製
観察倍率: 1, 000倍
伸度 0. 9%のサンプルを作製し無作為に 10視野を観察し、クラックが 8力所以上観 察される場合をクラック有りとする。クラックがない場合は伸度を大きくし、クラック発生 が観察できる伸度のサンプルまで観察し、次の基準で耐クラック性を評価する。 Xを 不合格とする。
◎:伸び 5%以上でクラックが発生した場合
〇:伸び 2%以上 5%未満でクラックが発生した場合
△:伸び 1%以上 2%未満でクラックが発生した場合
X:伸び 1%未満でクラックが発生した場合
(11)幅寸法測定
lm幅にスリットした支持体を、張力 20kgZmで搬送させ、支持体の一方の表面 (A )に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエタストルージョンコーターにより重層 塗布し (上層が磁性塗料で、塗布厚 0. 2 /ζ πι、下層が非磁性塗料で塗布厚 0. 9 m )、磁気配向させ、乾燥温度 100°Cで乾燥させる。次いで反対側の表面 (B)に下記 組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置 (スチール Zナイロン口 ール、 5段)で、温度 85°C、線圧 200kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上 記テープ原反を 1Z2インチ(1. 27cm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次い で、このパンケーキから長さ 200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。 (磁性塗料の組成)
•強磁性金属粉末 : 100重量部
〔Fe : Co :Ni:Al:Y: Ca = 70 : 24 : l : 2 : 2 : l (重量比)〕
〔長軸長: 0. 09 ^ m,軸比: 6、保磁力: 153kAZm (l, 9220e)、飽和磁化: 146A
mVkg (146emu/g)、 BET比表面積: 53m2 Zg、 X線粒径: 15nm〕
•変成塩化ビニル共重合体 (結合剤) : 10重量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量: 3. 1重量%、スルホン酸基含有 : 8 X 10 5当量 Zg)
•変成ポリウレタン (結合剤) : 10重量部
(数平均分子量: 25, 000、スルホン酸基含有量: 1. 2 X 10—4当 g、ガラス転移 点: 45°C)
•ポリイソシァネート (硬化剤) :
(日本ポリウレタン工業 (株)製コロネート L (商品名)
.2 ェチルへキシルォレート(潤滑剤) -. 5重量部
'パルミチン酸 (潤滑剤) 重量部
•カーボンブラック (帯電防止剤) 1重量部
(平均一次粒子径: 0. 018 /z m)
•アルミナ (研磨剤) : 10重量部
アルミナ、平均粒子径: 0. 18 ^ m)
•メチルェチルケトン 75重量部
'シクロへキサノン : 75重量部
•トルエン : 75重量部
(非磁性塗料の組成)
'変成ポリウレタン : 10重量部
(数平均分子量: 25, 000、スルホン酸基含有 ί . 2 X 10—4当: g、ガラス転移 点: 45°C)
•変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量: 3. 1重 %、スルホン酸基含有量:8 X 10
5当量 Zg)
•メチルェチルケトン 75重量部
'シクロへキサノン : 75重量部
•トルエン : 75重量部
•ポリイソシァネート :
(日本ポリウレタン工業 (株)製コロネート L (商品名) )
.2 ェチルへキシルォレート(潤滑剤) -. 5重量部
'パルミチン酸 (潤滑剤) : 重量部
(バックコートの組成)
•カーボンブラック
(帯電防止剤、平均一次粒子径 0. 018 ^ m)
•カーボンブラック 10重量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径 0.
•アルミナ : 0. 1重量部
アルミナ、平均粒子径: 0. 18 ^ m)
•変成ポリウレタン 20重量部
(数平均分子量: 25, 000、スルホン酸基含有 2 X 10—4当: ガラス転移 点: 45°C)
•変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
(平均重合度: 280、エポキシ基含有 3. 1重量%、スルホン酸基含有量: 8 X 10—
5、 シクロへキサノン : 200重量部
メチルェチルケトン : 300重量部
トルエン : 100重量部
カセットテープのカートリッジ力 テープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図 1のよう に作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図 1に示すシート幅 測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ 9をフ リーロール 5〜8上にセットしつつ荷重検出器 3に固定し、端部に荷重となる分銅 4を 吊す。この磁気テープ 9にレーザー光 10を発振すると、レーザー発振器 1から幅方向 に線状に発振されたレーザー光 10が磁気テープ 9の部分だけ遮られ、受光部 2に入 り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。 3回の測定結果 の平均値を本発明における幅とする。
[0107] 測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
レーザー発振器 1、受光部 2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製 LS— 5040 荷重検出器 3:ロードセル NMB社製 CBE1— 10K
恒温恒湿槽:(株)カトー社製 SE— 25VL—A
荷重 4:分銅 (長手方向)
試料サイズ:幅 lZ2inchX長さ 250mm
保持時間:5時間
測定回数: 3回測定する。
(幅寸法変化率)
2つの条件でそれぞれ幅寸法 (1 , 1 )を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。
A B
次の基準で寸法安定性を評価する。 Xを不合格とする。
[0108] A条件: 10°C10%RH 張力 1. ON
B条件: 29°C80%RH 張力 0.6N
幅寸法変化率[卯!11]=106 ((1 1 )/\ )
B A A
◎:幅寸法変化率が 0 [ppm]以上 500 [ppm]未満
〇:幅寸法変化率が 500 [ppm]以上 800 [ppm]未満
X:幅寸法変化率が 800 [ppm]以上
(12)エラーレート
上記(11)で作製したカセットテープを、市販の IBM社製 LTOドライブ 3580— LI 1 を用いて 23°C50%RHの環境で記録 ·再生 (記録波長 0.55 m)することで評価す る。エラーレートはドライブ力も出力されるエラー情報 (エラービット数)から次式にて 算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。 Xを不合格とする。
[0109] エラーレート = (エラービット数) / (書き込みビット数)
◎;エラーレートが 1.0X10—6未満
〇;エラーレートが 1.0X10—6以上、 1.0X10—5未満
△;エラーレートが 1.0X10—5以上、 1. OXIO—4未満
X;エラーレートが 1. OXIO—4以上
実施例
[0110] 次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテ レフタレートを PET、ポリ(エチレン 2, 6 ナフタレンジカルボキシレート)を PENと 表記する。
[0111] (参考例 1)
テレフタル酸ジメチル 194重量部とエチレングリコール 124重量部とをエステル交 換反応装置に仕込み、内容物を 140°Cに加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌 しながら酢酸マグネシウム 4水塩 0. 1重量部および三酸化アンチモン 0. 05重量部を 加え、 140〜230°Cでメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、 リン酸トリメチルの 5重量0 /0エチレングリコール溶液を 1重量部(リン酸トリメチルとして 0. 05重量部)添加した。
[0112] トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下 する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が 230°C に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内 容物の温度が 230°Cに達したら、反応内容物を重合装置へ移行した。
[0113] 移行後、反応系を 230°Cから 290°Cまで徐々に昇温するとともに、圧力を 0. lkPa まで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに 60分とした。最終温度、 最終圧力に到達した後、 2時間 (重合を始めて 3時間)反応させたところ、重合装置の 撹拌トルクが所定の値 (重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装 置にて固有粘度 0. 62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示 した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストラ ンド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度 0. 62のポリエチレンテレフタレート の PETペレット Xを得た。
[0114] (参考例 2)
280°Cに加熱された同方向回転タイプのベント式 2軸混練押出機に、参考例 1にて 作製した PETペレット Xを 98重量部と平均径 0. 3 μ mの球状架橋ポリスチレン粒子 の 10重量%水スラリーを 20重量部(球状架橋ポリスチレンとして 2重量部)供給し、ベ ント孔を lkPa以下の真空度に保持し水分を除去し、平均径 0. 3 mの球状架橋ポリ スチレン粒子を 2重量0 /0含有する固有粘度 0. 62の PETペレット Yを得た。
[0115] (参考例 3)
平均径 0. 3 mの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径 0. 8 mの球状架橋 ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例 2と同様の方法にて、平均径 0. の 球状架橋ポリスチレン粒子を 2重量%含有する固有粘度 0. 62の PETペレット Zを得 た。
[0116] (参考例 4)
2, 6 ナフタレンジカルボン酸ジメチル 100重量部とエチレングリコール 60重量部 の混合物に、酢酸マンガン · 4水和物塩 0. 03重量部を添加し、 150°Cの温度力ら 24 0°Cの温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が 17 0°Cに達した時点で三酸ィ匕アンチモン 0. 024重量部を添加した。また、反応温度が 220°Cに達した時点で 3, 5 ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホ- ゥム塩 0. 042重量部(2mmol%に相当)を添カ卩した。その後、引き続いてエステル 交換反応を行い、トリメチルリン酸 0. 023重量部を添加した。次いで、反応生成物を 重合装置に移し、 290°Cの温度まで昇温し、 30Paの高減圧下にて重縮合反応を行 V、、重合装置の撹拌トルクが所定の値 (重合装置の仕様によって具体的な値は異な るが、本重合装置にて固有粘度 0. 65のポリエチレン 2, 6 ナフタレートが示す値 を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応 を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度 0. 65のポリ エチレン 2, 6 ナフタレートペレット X,を得た。
[0117] (参考例 5)
280°Cに加熱された同方向回転タイプのベント式 2軸混練押出機に、参考例 4にて 作製したペレット X'を 98重量部と平均径 0. 3 μ mの球状架橋ポリスチレン粒子の 10 重量%水スラリーを 20重量部(球状架橋ポリスチレンとして 2重量部)供給し、ベント 孔を lkPa以下の真空度に保持し水分を除去し、平均径 0. 3 mの球状架橋ポリス チレン粒子を 2重量0 /0含有する固有粘度 0. 65の PENペレット Y,を得た。
[0118] (参考例 6)
平均径 0. 3 mの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径 0. 8 mの球状架橋 ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例 5と同様の方法にて、平均径 0. の
球状架橋ポリスチレン粒子を 2重量0 /0含有する固有粘度 0. 65の PENペレット Z,を 得た。
[0119] (実施例 1)
押出機 M、 N2台を用い、 280°Cに加熱された押出機 Mには、参考例 1、 2で得られ た PETペレット X98重量部、 PETペレット Y2重量部を 180°Cで 3時間減圧乾燥した 後に供給し、同じく 280°Cに加熱された押出機 Nには、参考例 1〜3で得られた PET ペレット X89. 5重量部、 PETペレット Y10重量部、および PETペレット ZO. 5重量部 を 180°Cで 3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを 2層積層するべく Tダイ中で 合流させ (積層比 M (A面側) ZN (B面側) = 7ZD、表面温度 25°Cのキャストドラム に静電荷を印カ卩させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
[0120] この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用 いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度 90°C、延伸速度 6, 00 0%で 3. 5倍 X 3. 5倍延伸し、 70°Cまで冷却した。続いて、温度 165°Cで長手方向 および幅方向に同時に 1. 4 X 1. 4倍に再延伸した。さらに幅方向に 1. 05倍の延伸 を行いながら温度 175°Cで 1秒間熱処理後、幅方向に 2%の弛緩処理を行い、厚さ 5 μ mの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。作製した二軸配向ポリエステルフィ ルムは 25°C30%RHにて保管した。
[0121] 次に、図 2に示す真空蒸着装置 11の卷出しロール部 13に得られたポリエステルフ イルムをセットし、 1. 5 X 10_3Paの真空度にした後に、— 20°Cの冷却ドラム 16を介し てポリエステルフィルムを搬送速度 60mZmin、搬送張力 100Nで走行させた。この とき、 99. 99重量0 /0のアルミニウムを電子ビーム(出力 5. lkW)で加熱蒸発させ、さ らに蒸発源であるるつぼ 23の真横に設置した酸素供給ノズル 24から酸素ガスを 2. OLZminで金属蒸気と同じ方向に供給し、酸化アルミの蒸着薄膜層(厚み lOOnm) をフィルムの B面側の層の上に形成して卷取った。次に搬送張力を 80Nにしたこと以 外は同様にしてフィルムの A面側の層の上に酸ィ匕アルミの蒸着薄膜層を設けた。両 面を蒸着した後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、卷取ったフィルムを 25°C80%R Hで加湿巻き返し、 40°Cの環境で 2日間エージングして、磁気記録媒体用支持体を 得た。
[0122] 得られた磁気記録媒体用支持体を評価したところ、表 1〜3に示すように、ポリエス テルフィルムの両面に酸化アルミ層を持ち、蒸着膜厚や光線透過率や表面抵抗率 が本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小 さく優れた特性を有して 、た。
[0123] (実施例 2)
蒸着工程での搬送速度を 70mZmin、酸素ガス導入量を 1. OL/min,電子ビー ム出力を 5. 3kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用 支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープ として使用した際に優れた特性を有していた。
[0124] (実施例 3)
蒸着工程での搬送速度を 90mZmin、酸素ガス導入量を 3. 2L/min,電子ビー ム出力を 6. lkWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用 支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープ として使用した際に優れた特性を有していた。
[0125] (実施例 4)
蒸着工程での搬送速度を 30mZmin、酸素ガス導入量を 6. OL/min,電子ビー ム出力を 3. 8kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用 支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープ として使用した際に優れた特性を有していた。
[0126] (実施例 5)
蒸着工程での搬送速度を 120mZmin、酸素ガス導入量を 2. OL/min,電子ビ ーム出力を 5. lkWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体 用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テー プとして使用した際に優れた特性を有していた。なお、本実施例は、実施例 1に対し て、搬送速度を速めたものであるが、搬送速度が速くなると M層が薄くなり、その結果 、全光線透過率や表面比抵抗が高くなつている。
[0127] (実施例 6)
蒸着工程での搬送速度を 25mZmin、酸素ガス導入量を 2. OL/min,電子ビー
ム出力を 5. lkWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用 支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープ として使用した際に優れた特性を有していた。なお、本実施例は、実施例 1に対して 搬送速度を遅くしたものであるが、搬送速度が遅くなると M層が厚くなり、その結果、 全光線透過率や表面比抵抗が低くなつて 、る。
[0128] (実施例 7)
押出機を 2台使わずに、 280°Cに加熱された押出機 Mに、参考例 1〜3で得られた PETペレット X89. 5重量部、 PETペレット Y10重量部および PETペレット ZO. 5重 量部を 180°Cで 3時間減圧乾燥した後に供給し、単層で二軸配向ポリエステルフィル ムを作製したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。 得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜 3に示すように磁気テープとして使用した 際に優れた特性を有して!/ヽた。
[0129] (実施例 8)
二軸延伸する際の延伸倍率を、 1段目 2. 0倍 X 3. 5倍、 2段目 1. 2 X 1. 4倍、 3段 目幅方向に 1. 05倍と変更した以外は実施例 1と同様にして磁気記録媒体用支持体 を得た。
[0130] 得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した 際に優れた特性を有して!/ヽた。
[0131] (実施例 9)
290°Cに加熱された同方向回転タイプのベント式 2軸混練押出機に、参考例 1で得 られた PETペレット X50重量0 /0と GE Plastics社製のポリエーテルイミド" UltemlO 10" (固有粘度 0. 68)のペレット 50重量0 /0を供給し、ブレンドチップ (I)を作製した。
[0132] 押出機 M、 N2台を用い、 295°Cに加熱された押出機 Mには、参考例 1、 2で得られ た PETペレット X88重量0 /0、 PETペレット Y2重量0 /0と、ブレンドチップ(I) 10重量0 /0 を 180°Cで 3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく 295°Cに加熱された押出機 Nに は、参考例 1〜3で得られた PETペレット X79. 5重量0 /0、 PETペレット Y10重量0 /0、 PETペレット ZO. 5重量%と、ブレンドチップ(1) 10重量%を180でで 3時間減圧乾 燥した後に供給した。 2層積層するべく Tダイ中で合流させ (積層比 M (A面側) ZN (
B面側) =5Zl)、表面温度 25°Cのキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷 却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、リニアモータ式ク リップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に 同時に、温度 95°C、延伸速度 6, 000%で 3. 5倍 X 3. 5倍延伸し、 70°Cまで冷却し た。続いて、温度 170°Cで長手方向および幅方向に同時に 1. 4 X 1. 4倍に再延伸 した。さらに幅方向に 1. 05倍の延伸を行いながら温度 175°Cで 1秒間熱処理後、幅 方向に 2%の弛緩処理を行い、厚さ 5 mの二軸配向ポリエステルフィルムを作製し た。
[0133] 上記したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得 られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際 に優れた特性を有して 、た。
[0134] (実施例 10)
押出機 M、 N2台を用い、 280°Cに加熱された押出機 Mには、参考例 4、 5で得られ た PENペレット X' 98重量部、 PENペレット Y' 2重量部を 180°Cで 3時間減圧乾燥し た後に供給し、同じく 280°Cに加熱された押出機 Nには、参考例 4〜6で得られた PE Nペレット X' 89. 5重量部、 PENペレット Y' 10重量部、および PENペレット Z' 0. 5 重量部を 180°Cで 3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを 2層積層するべく Tダ ィ中で合流させ (積層比 M (A面側) ZN (B面側) = 7/1)、表面温度 25°Cのキャス トドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した
[0135] また、得られた未延伸フィルムをリニアモータ式クリップを有する同時二軸テンター を用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度 135°C、延伸速度 6, 000%で 4. 0倍 X 4. 0倍延伸し、 70。Cまで冷却した。続いて、温度 180。Cで長 手方向および幅方向に同時に 1. 2 X 1. 2倍に再延伸した。さらに幅方向に 1. 05倍 の延伸を行 、ながら温度 195°Cで 1秒間熱処理後、幅方向に 2%の弛緩処理を行 、 、厚さ 5 μ mの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
[0136] 上記したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得 られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際
に優れた特性を有して 、た。
[0137] (実施例 11)
押出条件を制御してポリエステルフィルムの厚みを 6. 1 μ mにしたこと以外は実施 例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支 持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた
[0138] (実施例 12)
押出条件を制御してポリエステルフィルムの厚みを 4. 0 mにしたこと以外は実施 例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支 持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた
[0139] (実施例 13)
二軸延伸する際の延伸倍率を、 1段目 3. 5倍 X 3. 5倍、 2段目 1. 2倍 X I. 6倍、 3 段目幅方向に 1. 05倍と変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒 体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テ ープとして使用した際に優れた特性を有していた。
[0140] (実施例 14)
二軸延伸する際の延伸倍率を、 1段目 3. 5倍 X 3. 5倍、 2段目 1. 2倍 X I. 6倍、 3 段目幅方向に 1. 05倍と変更したこと以外は実施例 9と同様の方法にて磁気記録媒 体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テ ープとして使用した際に優れた特性を有していた。
[0141] (実施例 15)
未延伸フィルムを二軸延伸する際に、長手方向および幅方向に同時に、温度 125 。C、延伸速度 6, 000%で 3. 5倍 X 4. 2倍延伸し、 70°Cまで冷却した。続いて、温度 180°Cで長手方向および幅方向に同時に 1. 1 X 1. 4倍に再延伸した。さらに幅方 向に 1. 05倍の延伸を行いながら温度 195°Cで 1秒間熱処理後、幅方向に 2%の弛 緩処理を行い、厚さ 5 μ mの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
[0142] 上記したこと以外は実施例 10と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得
られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際 に優れた特性を有して 、た。
[0143] (実施例 16)
二軸延伸する際の延伸倍率を、 1段目 3. 5倍 X 3. 5倍、 2段目 1. 6倍 X I . 2倍、 3 段目幅方向に 1. 05倍と変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒 体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テ ープとして使用した際に優れた特性を有していた。
[0144] (実施例 17)
二軸延伸する際の延伸倍率を、 1段目 3. 5倍 X 3. 5倍、 2段目 1. 6倍 X I . 2倍、 3 段目幅方向に 1. 05倍と変更したこと以外は実施例 9と同様の方法にて磁気記録媒 体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テ ープとして使用した際に優れた特性を有していた。
[0145] (実施例 18)
未延伸フィルムを二軸延伸する際に、長手方向および幅方向に同時に、温度 125 °C、延伸速度 6, 000%で 4. 2倍 X 3. 5倍延伸し、 70°Cまで冷却した。続いて、温度 180°Cで長手方向および幅方向に同時に 1. 4 X 1. 1倍に再延伸した。さらに幅方 向に 1. 05倍の延伸を行いながら温度 195°Cで 1秒間熱処理後、幅方向に 2%の弛 緩処理を行い、厚さ 5 μ mの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
[0146] 上記したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得 られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際 に優れた特性を有して 、た。
[0147] (実施例 19)
未延伸フィルムを二軸延伸する際に、ロール式延伸機にて長手方向に 2段で、速 度 20, 000%Z分、温度 90°Cで 3. 0倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向 に速度 2, 000%Z分、温度 100°Cで 3. 0倍延伸した。続いて、ロール式延伸機で 長手方向に 1段で、温度 140°Cで 1. 7倍に再延伸した。続いて、テンターを用いて幅 方向に温度 170°Cで 1. 5倍再延伸した。その後、定長下で温度 190°C1秒間熱処 理した後、幅方向に 2%の弛緩処理を行い、厚さ 5 mの二軸配向ポリエステルフィ
ルムを作製した。
[0148] 上記したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得 られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際 に優れた特性を有して 、た。
[0149] (実施例 20)
蒸着工程での金属材料をアルミニウム 50重量%と銅 50重量%との混合物へ変更 し、搬送速度を 60mZmin、酸素ガス導入量を 2. OL/min,電子ビーム出力を 5. 5 kWとしたこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得ら れた磁気記録媒体用支持体は表 1〜 3に示すように磁気テープとして使用した際に 優れた特性を有していた。
[0150] (実施例 21)
ポリエステルフィルムの両表面に 2層構成の蒸着薄膜層を設けた。すなわち、まず、 蒸着工程での金属材料を 99. 99重量%シリカに変更し、搬送速度を 50mZmin、 酸素ガス導入量を 1. OL/min,電子ビーム出力を 5. OkWとした以外は実施例 1〖こ 記載の方法にて厚み 180nmのシリカ層を形成した。ついで、このシリカ層の上に、金 属材料を 99. 99重量%のアルミニウムに変更し、搬送速度 60mZmin、酸素ガス導 入量 2. OL/min,電子ビーム出力を 4. OkWと変更した以外は実施例 1に記載の方 法にて厚み 20nmの酸ィ匕アルミニウム層を形成した。
[0151] 上記したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体支持対を得た。得ら れた磁気記録媒体用支持体は表 1〜 3に示すように磁気テープとして使用した際に 優れた特性を有していた。
[0152] (実施例 22)
蒸着工程での金属材料を 99. 99重量%銅へ変更し、搬送速度を 60mZmin、酸 素ガス導入量を 3. OL/min,電子ビーム出力を 6. 5kWとしたこと以外は実施例 1と 同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は 表 1〜 3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有して 、た。
[0153] (実施例 23)
蒸着工程での金属材料を 99. 9999重量%亜鉛へ変更し、搬送速度を 60mZmi
n、酸素ガス導入量を 2. 5LZmin、電子ビーム出力を 5. 8kWとしたこと以外は実施 例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支 持体は表 1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた
[0154] (実施例 24)
M層を蒸着後、加湿巻き返しを行わな力つたこと以外は実施例 4と同様の方法にて 磁気記録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示す ように実施例 4と比較して水酸基と結合するアルミニウム原子の存在比が大きくなり、 湿度膨張係数が若干悪化して!/ヽる。
[0155] (実施例 25)
作製した二軸配向ポリエステルフィルムを 25°C65%RHで保管したこと以外は実施 例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。ポリエステルフィルム内に吸 湿した水分が M層形成時放出され、表 1〜3に示すように、実施例 1と比較して水酸 基と結合するアルミニウム原子の存在比が大きくなり、湿度膨張係数が若干大きくな り寸法安定性が悪化して ヽる。
[0156] (実施例 26)
電子銃 20からの電子ビーム 21を使わずに、るつぼ 23に誘導加熱コイルを巻き付 け直接加熱する方法で M層を形成すること以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記 録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように実 施例 1と比較して金属結合するアルミニウム原子の存在比が大きくなり、エラーレート が若干悪ィ匕している。
[0157] (実施例 27)
電子銃 20からの電子ビーム 21を使わずに、るつぼ 23に誘導加熱コイルを巻き付 け直接加熱する方法で M層を形成すること以外は実施例 3と同様の方法にて磁気記 録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表 1〜3に示すように実 施例 3と比較して金属結合するアルミニウム原子の存在比が小さくなり、耐クラック性 が若干低下している。
[0158] [表 1]
表 1】
A面 B面 A面 B面
A面 Rs B面 Ra 蒸着 H 金属材料 酸素濃度 酸素濃度 蒸着厚み 蒸着厚み ベ一スフイルム
(厚み jU m)
[at.%] [at.%] [nmj [nmj [nm] [nm] 実施例 1 両面 AI 58 58 100 100 PET(5.0) 5 1 10 実施例 2 両面 AI 50 50 100 100 PET(5.0) 5 10 実施例 3 両面 一 AI 60 60 100 100 PET(5.0) 5 10
¾施例 4 ιΦώ AI : 62 62 100 100 > PET(5.0) 5 10 実施例 5 AI 58 58 50 50 PET(5.0) 5 10 実施例 6 両面 AI 61 61 200 200 ΡΕΤ(5·0) 5 10 〕〕〔 〔 実施例 7 両面 AI 58 58 100 100 PET(5.0) 15 15 実施例 8 li^H AI 58 58 100 100 PETC5.0) 5 )0 実施例 9 IS AI 58 58 100 100 PET/PEK5.0) 5 10 実施例 1 0 両面 AI 58 58 100 100 PEN(5.0) 5 10 実施例 1 1 両面 AI 58 58 100 100 PET(6.0) 5 10 実施例 1 2 両面 AI 58 58 100 100 PET(4.0) 5 10 実施例 1 3 両面 AI 58 58 100 100 PET(5.0) 5 10 実施例 1 4 両面 AI 58 58 100 100 PET/PEK5.0) 5 10 実施例 1 5 両面 AI 58 58 100 100 PEN(5.0) 5 10 実施例 1 6 両面 ― AI 58 58 100 100 PETC5.0) 5 10 実施例 1 7 AI 58 58 100 100 PET/PEK5.0) 5 10 実施例 1 8 両面 AI 58 58 100 100 PEN(5.0) 5 10 実輕 1 9 兩 [S AI 58 58 100 100 PETC5.0) 5 10 実施例 20 両面 Al+Cu 40 40 100 100 PET(5.0) 5 10 実施例 21 [^面 Si/AI 60 60 200 200 PETC5.0) 5 10 実施例 22 両 O Cu 40 40 100 100 PETC5.0) 5 10 実施例 23 lif on Zn _ 40 40 100 100 PETC5.0) 5 10 実施例 24 両面 AI 62 62 100 100 PEK5.0) 5 10 実施例 25 両面 AI [ 58 58 100 100 PET(5.0) 5 To 実施例 26 両面 AI 58 58 100 100 PET(5.0) 5 10 実施例 27 両面 AI 60 60 100 100 PETC5.0) 5 10
表面抵抗率の値の表記において、「10~nJ とあるのは「10の 乗」を意味する。
(比較例 1)
蒸着工程で酸素ガスを供給しないこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録
媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は酸化アルミ層を持たず、ま た、表 4〜6に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0162] (比較例 2)
蒸着工程での搬送速度を 10mZmin、酸素ガス導入量を 12. OL/min,電子ビ ーム出力を 3. 2kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体 用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、表 4〜6に示すように、光線透 過率が 90%で表面抵抗率が 1013 Ωであり、また磁気テープとして使用した際に劣る 特性であった。
[0163] (比較例 3)
蒸着工程での搬送速度を 220mZmin、酸素ガス導入量を 1. OL/min,電子ビ ーム出力を 5. 3kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体 用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、表 4〜6に示すように、表面抵 抗率が 101 Ωであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0164] (比較例 4)
蒸着工程での搬送速度を 40mZmin、酸素ガス導入量を 10. OL/min,電子ビ ーム出力を 8. 9kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体 用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、表 4〜6に示すように、表面抵 抗率が 1013 Ωであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0165] (比較例 5)
蒸着工程での搬送速度を 30mZmin、酸素ガス導入量を 15. OL/min,電子ビ ーム出力を 4. 3kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体 用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、表 4〜6に示すように、光線透 過率が 80%であり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0166] (比較例 6)
蒸着工程での搬送速度を 180mZmin、酸素ガス導入量を 5. OL/min,電子ビ ーム出力を 1. 3kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体 用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、表 4〜6に示すように、蒸着厚 みが 40nmであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0167] (比較例 7)
蒸着工程での搬送速度を 10mZmin、酸素ガス導入量を 4. OL/min,電子ビー ム出力を 3. 3kWと変更したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用 支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、表 4〜6に示すように、蒸着厚み 力 S250nmであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0168] (比較例 8)
両面ではなく片面だけに蒸着したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録 媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、蒸着膜が片面のみであ り、また表 4〜6に示すように、磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0169] (比較例 9)
図 3に示す真空蒸着装置を用 、たこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録 媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は、本発明の範囲内の蒸着 厚み、光線透過率、表面抵抗率に制御しょうとしても、酸素供給ノズルの位置が不適 切であったためそのようには制御できず、表 4〜6に示すように磁気テープとして使用 した際に劣る特¾であった。
[0170] (比較例 10)
押出機 M、 N2台を用い、 280°Cに加熱された押出機 Mには、参考例 1、 2で得られ た PETペレット X90重量部、 PETペレット Y10重量部を 180°Cで 3時間減圧乾燥し た後に供給し、同じく 280°Cに加熱された押出機 Nには、参考例 1〜3で得られた PE Tペレット X85重量部、 PETペレット Y12重量部、 PETペレット Z3重量部を 180°Cで 3時間減圧乾燥した後に供給し厚さ 5 μ mの二軸配向ポリエステルフィルムを作製し た。また、蒸着時の搬送速度 15mZmin、酸素ガス導入量 2. 8L/min,電子ビーム 出力を 5. 7kWとした。
[0171] 上記したこと以外は実施例 1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得 られた記録媒体用支持体は、表 4〜6に示すように、蒸着厚みが 230nmであり、また 、磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
[0172] [表 4]
表 4】
A面 B面 A面 B面
面 Ra B面 Ra 素濃度 酸素濃度 蒸着厚み 蒸着厚み ベースフィルム Α
蒸着 H 金属材料 酸
(厚み/ m)
[at.%] [at.%] [nm] [nmj [nm] [nm] 比較例 1 両面 AI 0 0 100 100 PETC5.0) 5 10 比較例 2 両面 AI 65 65 100 100 PET(5.0) 5 10 比 例 3 両面 AI 20 20 60 60 PET(5.0) 5 10 比較例 4 両 AI 64 64 180 180 PETC5.0) 5 10 比較例 5 両£ AI 61 61 100 100 PETC5.0) 5 10 比較例 6 AI 56 56 40 40 PETC5.0) 5 10 比較例 7 両 AI 60 60 250 250 PET(5.0) 5 10 比較例 8 片面 AI 61 100 PET(5.0) 5 10 比較例 9 両面 AI 60 60 40 40 ΡΕΤ(5·0) 5 10 比較例 1 0 両面 AI 61 61 230 230 ΡΕΤ(5·0) 12 35
【表 5】
全光線 A面 B面 幅方向 長手方向 幅方向
透過率 表面抵抗率 表面抵抗率 湿度膨張係数 ヤング率 ヤング率 寸法安定性 耐クラック性 エラ一レート
[%] [Ω] [Ω] [ppm/%RH] [GPa] [GPa]
比較例 1 0 2x 10"0 1 X10"0 12 6.5 6.5 X L ◎ X 比較例 2 90 7Χ10Ί3 6x 10Ί3 13 8 8 X X Δ 比較例 3 10 3Χ10Ί 5x 10Ί 11 6.8 6.8 X 〇 X 比較例 4 70 2 10Ί3 3Χ10Ί3 12 9 9 X X Δ 比較例 5 80 1 Χ10Ί0 2Χ10Ί0 11 7.8 7.8 X X △ 比較例 6 30 7X1CT5 7Χ10Λ5 10 6.5 6-5 X Δ Δ 比較例 7 30 8x10^5 9x1(T5 11 9.5 9.5 X X Δ 比較例 8 70 1 Χ10Ί6 5Χ10Ί0 12 7 7 X o X 比較例 9 70 3Χ10Ί1 4Χ10Ί1 12 7 7 X X Δ 比較例 10 75 4Χ10Ί2 7 10Ί2 11 10.5 10.5 X X X 表面抵抗率の値の表記において、 Π0Λη」とあるのは「10の1"»乗」を蕙味する。
sffi0174
【表 6】
A面 B面 A面 B面
A面 B面
金属結合する 金属結合する 水酸基と結合する 水酸基と結合する 金) ¾'農, 金厲 度
蒸着面 金属材料 金属原子の存在比 金属原子の存在比 アルミニウムの存在比 アルミニウムの存在比
[at.%] [at.%] [at.%] [at.% ] [at.%] [at.%] 比較例 1 両面 AI 100 100 100 100 0 0 比較例 2 両 o AI 35 35 0.8 0.9 63 63 比較例 3 両面 AI 80 80 29 27 42 42 比較例 4 両^ Ai 36 36 0.8 0.8 65 65 比較例 5 両 AI 39 39 1.8 1.9 67 67 比較例 6 雨面 AI 44 44 3.6 3.6 40 40 比較例 7 両 AI 40 40 2 2 61 61 比較例 8 片面 AI 39 1.8 38 比較例 9 両面 AI 40 40 1 J 1.7 70 70 比較例 1 0 両 [£ AI 39 39 1.5 1.5 68 68
図面の簡単な説明
[図 1]幅寸法を測定する際に用いるシート幅測定装置の模式図である。
[図 2]本発明の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。
[図 3]従来の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。 符号の説明
1 :レーザー発振器
2 :受光部
3 :荷重検出器
4 :荷重
5 :フリーロール
6 :フリーロール
7 :フリーロール
8 :フリーロール
9 :磁気テープ
10: :レーザー光
11: :真空蒸着装置
12: :真空チャンバ
13: :卷出しロール部
14: :ポリエステルフィルム
15: :ガイドロール
16: :冷却ドラム
17: :蒸着チャンノ
18: :卷取りロール部
19: :金属材料
20: :電子銃
21: :電子ビーム
22: :酸素ガスボンベ
23:るつぼ
24:酸素供給ノズル 25:マスク
26:ガス流量制御装置
111 :真空蒸着装置
112 :真空チャンバ
113 :卷出しロール部
114 :ポリエステノレフィ/レム
115 :ガイドロール
116 :冷却ドラム
117 :蒸看チャンノ
118: :卷取りロール部
119: :金属材料
120: :電子銃
121: :電子ビーム
122: :酸素ガスボンベ
123: :るつぼ
124: :酸素供給ノズル
125:マスク
126:ガス流量制御装置