明細書
高分子電解質、 並びに、 これを用いた高分子電解質膜、
膜一電極接合体及び燃料電池 技術分野
本発明は、 高分子電解質、 並びに、 これを用いた高分子電解質膜、 膜一電極接 合体及び燃料電池に関する。. 背景技術
固体高分子型の燃料電池におけるプロトン伝導膜として、 プロトン伝導性の高 分子電解質膜からなるプロトン伝導膜が用いられている。 近年では、 住宅用ゃ自 動車用等の用途における発電機として、 固体高分子型の燃料電池の実用化が期待. されており、 力 る燃料電池に対しては、 従来にも増して高い発電効率での運転 が可能であることが求められている。
高効率の運転を可能とするには、 プロトン伝導膜のプ tlトン伝導性を高める 方法があり、 高いプロトン伝導性を確保するためには、 プロトン伝導膜 _ (高分子 電解質膜) を十分に加湿する必要がある。 また、 燃料電池の動作時 (発電時) に は、 原料ガスの反応によって水が生じ、 これも高分子電解質膜に吸収される。'こ のため、 燃料電池の運転時には、 高分子電解質膜が膨潤状態となる。 一方、 停止 時には、 動作時のような水の発生がないため、 高分子電解質膜は、 含水量の低下 に伴って収縮する。 このように、 燃料電池における高分子電解質膜は、 燃料電池 の運転 ·停止に伴って膨張 ·収縮する。
例えば、 燃料電池を住宅で使用する場合には、 電力消費量の多い日中は燃料電 池を運転し、 電力消費量の少ない夜間は燃料電池を停止するような運転モードが 想定される。 また、 自動車の動力源として使用する場合には、 走行状態と停止状 態が頻繁に繰り返され、 それに応じて燃料電池も運転 ·停止することが想定され
しかしながら、 このような運転 ·停止が繰り返される使用条件においては、 高 分子電解質が繰り返し膨張'収縮することとなる。この場合、高分子電解質膜は、 その寸法変化に起因して、 当該膜自体の破れ等の劣化を生じ易くなるほか、 この 高分子電解質膜周辺の部材を破壊してしまうこともある。 このため、 従来の燃料 電池は、 高効率での運転を可能とするために高湿条件で使用する場合に、 耐久性 が不十分となる傾向にあった。
そこで、 このような不都合を回避するために、 低加湿での運転が可能であり、 吸水に伴う寸法変化が小さい高分子電界質膜として特開 2. 0 0 2 _·3 4 3 8 0号 公報に記載のものが開示されている。かかる高分子電解質膜は、比抵抗が 2 0 Ω · c m以下、 含水時の寸法変化率が一 5 %〜+ 5 %であり、 低抵抗でプロ卜ン伝導 性に優れ、 しかも含水時の寸法変化が小さいことが示されている。 発明の開示
しかしながら、,上記従来技術による高分子電解質膜を用いた場合には、 燃料電 池が十分な出力を発揮できないことも多く、 高効率の運転を確実に達成するのは 未だ困難な傾向にあった。 : . " そこで、 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、 高効率な燃料電池を 確実に得られる高分子電解質膜であって、 しかも含水に伴う寸祛変化が少ない高 分子電解質膜を形成し得る高分子電解質を提供することを目的とする。 本発明は また、 上記高分子電解質を用いた高分子電解質膜、 膜-電極接合体、 及び、 燃料 電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、 本発明の高分子電解質は、 イオン交換容量が 1 . 7 m e q Z g以上であり、 且つ、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N—メチルー 2 一ピロリドン、 ジメチルスルホキシド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 スルホ ラン及びァ—プチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒で 1 質量%溶液としたときの 4 0 °Cにおける還元粘度が 1 6 O m LZ g以上であるこ とを特徴とする。
上記従来技術による高分子電解質膜は、 上述の如く、 膜の比抵抗が 2 0 Ω · c mと低抵抗なものである。 この比抵抗は、 膜の面方向に沿って交流インピーダン ス法で測定された値である。 しかしながら、 本発明者らは、 燃料電池に用いる高 分子電解質膜 ついて詳細な検討を行ったところ、 燃料電池の運転効率を向上さ せるためには、 膜の抵抗として通常測定される面方向の抵抗ではなく、 厚さ方向 の抵抗が重要であることを見出した。これは、実際の燃料電池では、プロトンは、 プロトン伝導膜の面方向ではなく膜厚方向に流れるためであると考えられる。 そ して、 高分子電解質膜のなかには、 膜の面方向と膜厚方向とでプロトン伝導性に 異方性を有するものがあり、 このような高分子電解質膜においては、 上述したよ うな面方向の抵抗を低くするだけでは、 十分に高効率な燃料電池を提供すること ができない場合があることが判明した。
これに対し、 上記構成を有する本発明の高分子電解質は、 膜面方向のみならず 腠厚方向の抵抗が小さい高分子電解質膜をより確実に形成し得るものである。 こ のため、 かかる高分子電解質膜を用いることによって、 低加湿状態でも高効率で 運転することが可能な燃料電池を容易に提供することができる。 また、 本発明の 高分子電解質からなる高分子電解質膜は、 上記のように低加湿状態での燃料電池 の運転を可能とするものであることから、 もともと吸水による寸法変化が生じ難 い上、たとえ多量の水分を吸収したとしても寸法変化が極めて小さいものとなる。 このため、 かかる高分子電解質膜を備える燃料電池は、 運転 ·停止を繰り返した としても、高分子電解質膜の劣化に伴う破壊や性能低下等が生じ難いものとなる。 上記効果をより確実に得る観点からは、 本発明の高分子電解質は、 イオン交換 容量が 1 . 7 m e d Z g以上であり、 且つ、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N ーメチルー 2—ピロリドン及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる少 なくとも一種の溶媒で 1質量%溶液としたときの 4 0 °Cにおける還元粘度が 1 6 O m L Z g以上であるものであるとより好ましい。
上記本発明の高分子電解質は、 イオン伝導成分として、 イオン交換基を有する 第 1のセグメントと、 イオン交換基を実質的に有しない第 2のセグメントとを有
するブロック共重合体を含むものであると好ましい。 このようなブロック共重合 体は、 優れたプロトン伝導性を発現することができるため、 これを含む高分子電 '解質は、 膜厚方向の抵抗が更に小さい高分子電解質膜を形成し得る。 '
高分子電解質が上記のブロック共重合体を含む場合、 かかるプロック共重合体 5 において、 第 2のセグメントが 4 0 0 0 0以上の重量平均分子量を有していると 好ましい。 この場合、 当該高分子電解質を膜の形態とすると、 かかる膜は吸水 · 乾燥に伴う膜の膨潤 '収縮'(寸法変動) が蓍しく低くなるという効果が得られる ようになる。 また、 第 1のセグメントは、 そのイオン交換容量が 3 : 6 m e q . g以上であると好ましい。 これにより、 高分子竃解質全体のイオン交換容量が好 10 適な範囲となり易くなり、 より良好な膜厚方向のプロトン伝導性が得られるよう になる。 '
また >上記本発明の高分子電解質は、有機溶媒に可溶なものであると好ましい。 このような高分子電解質は、 熱架橋等の煩雑な操作を行う必要が無い簡便な製膜 ' . 工程で高分子電解質膜を製造することができる。
15 本発明はまた、上記本発明の高分子電解質からなる高分子電解質膜を提供する。
このような高分子電解質膜は、 上記の通り、 膜厚方向の抵抗が小さく、 しかも吸 水による寸法変化が小さいことから、 これを用いることで、 高効率且つ耐久性に 優れる燃料電池を得ることができる。 ·, ' 上記本発明の高分子電解質膜は、 8 0 °Cで水の吸着が飽和したときにおける所
20 定の面方向の長さを L wとし、 2 3 °C、 相対湿度 5 0 %で水の吸着が平衡に達し たときにおける前記所定の面方向の長さを L dとしたとき、 (Lw— L d ) /L dが 0 . 0 8以下であり、 且つ、 2 3 °Cにおける膜厚方向の膜抵抗が 0 . 1 Ω · c m2以下であると好ましい。
上述した従来技術の高分子電解質膜は、含水時の寸法変化率の小さいものであつ 5 たが、 かかる寸法変化率は、 常温 (2 5 °C) 付近における値であった。 しかし、 通常、 燃料電池は 7 0 °Cを超える温度で運転されるものであり、 上記従来の高分 子電解質膜は、 燃料電池の運転時においても吸水による寸法変化を十分に抑制し
得るかどうかは明らかでなかった。これに対し、上記本発明の高分子電解質膜は、 8 0 °Cにおいて吸水の寸法変化が十分 小さいものである。 このため、 かかる高 分子電解質膜は、通常燃料電池が使用される温度域においても寸法変化が小さく、 燃料電池の運転 '停止に伴う劣化を生じ難いものとなる。 さらに、 本発明の高分 子電解質膜は、 膜厚方向の膜抵抗が極めて小さいことから、 優れたプロトン伝導 性も有している。
本発明はまた、上記本発明の高分子電解質を用いた膜一電極接合体を提供する。 すなわち、 本発明の膜一電極接合体は、 高分子電解質膜と、 この高分子電解質膜 上に形成された触媒層とを備え、 高分子電解質膜が、 上記本発明の高分子電解質 を含有することを特徴とする。 また、 本発明の膜一電極接合体は、 高分子電解質 膜と、 この高分子電解質膜上に形成された触媒層とを備え、 触媒層が、 上記本発 明の高分子電解質と触媒とを含有することを特徴としてもよい。 このような膜— 電極接合体は、 高分子電解質膜及び, κ又は触媒層が本発明の高分子電解質を含む ことから、 プロ卜ン伝導性に優れており、 高効率で発電可能なほか、 運転 ·停止 に伴う寸法変化が小さく < 而す久性にも優れるものとなる。
さらに、本発明は、上記本発明の膜一電極接合体を備える燃料電池を提供する。 すなわち、 本発明の燃料電池は、 一対のセパレー夕と、 この一対のセパレ一夕間 に配置された膜一電極接合体とを備え、 膜一電極接合体が上記本発明の膜一電極 接合体であることを特徴とする。 このような膜一電極接合体は、 上記本発明の膜 一電極接合体を備えることから、 高効率で発電可能なほか、 優れた耐久性を有す るものとなる。 図面の簡単な説明
図 1 :好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。 符号の説明
1 0…燃料電池、 1 2…高分子電解質膜、 1 4 a, 1 4 b…触媒層、 1 6 a , 1 6 b…ガス拡散層、 1 8 a, 1 8 b…セパレ一夕、 2 0 ···Μ Ε Α。
発明を実施するための最良の形態
以下、 必要に応じて図面を参照しながら、 本発明の好適な実施形態について説明 する。
[高分子竃解質]
好適な実施形態に係る高分子電解質は、 イオン交換容量が 1. 7me dZg以 上であり、 且つ、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N—メチルーピ口リドン、 ジ メチルスルホキシド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 スルホラン及びァープチ ロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒で 1質量%溶液とした ときの 40°Cにおける還元粘度が 16 OmL /'g以上であるものである。
イオン交換容量が 1. 7me q/g以上である高分子電解質は、 膜厚方向の膜 抵抗が十分に小さく、 具体的には、 後述するように 0: 1 Ω · cm2以下の膜抵 抗を有する高分子電解質膜を提供することができる。 これは、 かかるイオン交換 '容量とすることで、 高分子電解質が、 イオン伝導に寄与するイオン交換基を十分 に有するようになるためであると考えられる。 高分子電解質膜の膜抵抗を更に小 さくする観点からは、 高分子電解質のイオン交換容量は、 1. 8me qノ g以上 とすることが好ましく、 1. 9me q/'g以上とすることがより好ましい。 ここ で、 高分子電解質のイオン交換容量は、 滴定法により測定することができる。'す なわち、 例えば、 まず、 高分子電解質におけるイオン交換基を酸処理などの方法 で完全にプロトン型に変換し、 その後、 この高分子電解質を所定の濃度及び容積 を有する水酸化ナトリゥム水溶液に浸漬して高分子電解質のイオン交換基をナト リゥム塩型に変換させた後、 この水酸化ナトリゥム溶液を所定濃度の希塩酸で滴 定することで求めることができる。
また、高分子電解質が、上記のように N, N—ジメチルホルムアミド(DMF)、 N—メチル—ピロリドン (NMP) 、 ジメチルスルホキシド (DMSO) 、 N, N—ジメチルァセトアミド (DMAc) 、 スルホラン及びァ—プチロラクトンか らなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒で 1質量%溶液としたときの 40°C
における還元粘度が 16 OmLZg以上であるものである場合、 かかる高分子電 解質は、 吸水による寸法変化が極めて小さい高分子電解質膜を形成し得るものと なる。 これは、. 上記の還元粘度.を有する高分子電解質は、 分子量が大きい重合体 によつて.構成されているため、 吸水により膨潤しようとする力に対抗する特性に 優れているためであると推測される。 高分子電解質膜の吸水時の寸法変化率を、 後述するような好適な水準となるように小さくするためには、 高分子電解質の還 元粘度は、 20 OmLZg以上であるとより好ましく、 220mLZg以上であ ると更に好ましい。 かかる還元粘度の値は、 公知の粘度計を用いて測定すること ができる。 ·
ここで、 還元粘度を測定する際の高分子電解質の 1質量%溶液における溶媒と しては、 DMF、 NMP又は DMSOが好ましい。
より具体的には、 還元粘度の測定に用いる溶媒は、 以下に示す順序で選択する とよい。
すなわち、 まず、,高分子電解質を DMFに溶解させ、 溶解しない場合は、 NMP に溶解させる。 DMF及び NMPの両方に溶解しない場合は、 次いで DMSOを 選択する。さらに、 DMF、 NMP及び DMSOのいずれにも溶解しない場合は、 DMA cを適用する。 さらにまた、 DMF、 NMP、 DMSO及び DMA cに溶 解しない場合は、 スルホランを選択する。 また、 これらのいずれにも溶解しない 場合は r一プチロラクトンを用いる。 そして、 本実施形態の高分子電解質は、 こ れらの溶媒のうちの少なくとも一種を用いた場合で上述した還元粘度が得られる ものであればよい。
さらに、 本実施形態の高分子電解質は、 所定の溶媒、 特に、 有機溶媒に可溶な ものであるとより好ましい。 高分子電解質を有機溶媒に溶解することにより簡便 な工程での製膜が可能となり、容易に高分子電解質を得ることができる。ここで、 高分子電解質を溶解し得る溶媒としては、 1質量%に相当する量の高分子電解質 'を十分に混合した後、 これを 1 mのフィルターでろ過したときに、フィルターに 残存する高分子電解質の残渣が 10質量%以下となるものが好ましく、 8質量%
以下となるものがより好ましく、 5質量%以下となるものが更に好ましい。 このような溶媒としては、 上述した還元粘度の測定に用いる溶媒や、 ジクロロ メタン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロェタン、 クロ口ベンゼン、 ジクロロべ ンゼン等のハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロ八 °ノール等のアルコー ル類、 エチレングリコールモノメチルエーテル、 エチレングリコールモノェチル エーテル、 プロピレングリコールモノメチルエーテル、 プロピレングリコールモ ノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられ、 これらの 2種以上を含む混合溶媒も適用できる。. '
なかでも、 DMF、 DMAc、 NMP、 DMSO、 ジクロ.ロメタン/"アルコール 混合溶媒等が高分子電解質の溶解性に優れる傾向にあるため好ましい。
本実施形態の高分子電解質は、 上述した特性を満たすものであれば特に制限は ないが.、 例えば、 イオン伝導成分として、 イオン伝導性を有する高分子化合物を 含むものが好ましい。 このような高分子化合物としては、. 主鎖に芳香環を有する とともに、 主鎖及び. 又は側鎖にイオン交換基を有する構造の芳香族高分子化合 ' 物が挙げられる。 この芳香族高分子化合物において、 イオン交換基の導入位置は 特に限定さ ず、 例えば、 主鎖を構成している芳香環に結合していてもよく、 主 鎖を構成する他の脂肪族基に結合していてもよく、 置換基を介レて主鎖に結合し ていてもよい。 なお、 芳香族高分子化合物の合成の容易さ等の観点から、 イオン 交換基は、 繰り返し単位における芳香環 (特にベンゼン環) に結合していると好 ましい。
イオン交換基としては、 例えば、 — S03H、 _COOH、 一 PO (OH) 2、 -POH (OH) 、 一 S02NHS02—、 一 Ph (OH) (Phはフエ二ル基を 表す) 等の陽イオン交換基、 _NH2、 一 NHR、 一 NRR' 、 一 NRR'R"+、 — NH3+等 (R、 R'及び R"は、 それぞれ独立に、 アルキル基、 シクロアルキル 基又はァリール基を示す) 等の陰イオン交換基等が挙げられる。 これらのイオン 交換基は、 その一部又は全部が対イオンとの塩を形成していてもよい。
なかでも、 イオン交換基としては、 陽イオン交換基が好ましく、 一 S〇3H、
一 P O (O H) 2、 - P O H (O H) 又は— S 02 NH S〇2—で表される基が好 ましく、 スルホン酸基 (一 S〇3 H) 又はホスホン酸基 (_ P O (OH) 2) がよ り好ましく、 スルホン酸基が更に好ましい。 なお、 高分子電解質を燃料電池の用 途に用いる場合には、 これらのカチオン交換基は、 実質的に全てが遊離酸の形態 5 をとっていることが好ましい。
より具体的には、イオン伝導性を有する芳香族高分子化合物としては、例えば、 ポリエーテルケトン、 ポリエーテルエーテルケトン、 ポリスルホン、 ポリェ一テ ルスルホン、 ポリエーテルエーテルスルホン、'ポリ (ァリーレンエーテル) 、 ポ リイミド、 ポリフエ二レン、 ポリ ( (4一フエノキシベンゾィル) 一 1, 4一フエ
10 二レン) 、 ポリフエ二レンスルフイ ド、 ポリフエ二ルキノキサレン等に上記のィ オン交^ 基が導入されたものや、 スルホアリール化ポリべンズイミダゾール、 ス ルホアルキル化ポリベンズィミダゾール、ホスホアルキル化ポリべンズィミダゾー ル (特開平 9— 1 1 0 9 8 2号公報参照) 、 或いは、 ホスホン化ポリ (フエニレ
'■ ンエーテル) (J,. Appl . Po lym.. Sc i . , 18, 1969 (1974) ) 等が挙げられる。
15 特に、 高分子電解質に含まれるイオン伝導性を有する高分子化合物としては、 イオン交換基を含む繰り返し単位と、. イオン交換基を有しない繰り返し単位を有 する交互共重合体又はランダム共重合体 (特開平 1 1一 1 1 6 6 7 9号公報参照) や、 イオン交換基を有するセグ ント (第 1のセグメント)'と、. イオン交換基を 実質的に有しないセグメント (第 2のセグメント) とを有するブロック共重合体
20 が好適である。これらのイオン交換基としては、上記と同様のものが挙げられる。
なかでも、 イオン伝導性を有する高分子化合物としては、 後者のブロック共重 合体が好ましい。 以下、 好適なブロック共重合体について説明する。
プロック共重合体は、 上記のように第 1及び第 2のセグメン卜を有するもので ある。 かかるブロック共重合体における 「セグメント」 とは、 当該ブロック共重
25 合体において所定の繰り返し単位が複数連結してなる構造単位をいう。 そして、 「ブロック共重合体」 とは、 2種以上のセグメントが直接又は連結基を介して結 合した状態の高分子化合物をいう。
このブロック共重合体において、 「イオン交換基を有する」 セグメントは、 当 該セグメントを主として構成している.繰り返し単位の多くがイオン交換基を有し ていることを意味する。 具体的には、 イオン交換基が、 第 1のセグメントを構成 している繰り返し単位 1個あたり平均して 0 . 5個以上含まれていることが好ま しく、 1 . 0個以上含まれているとより好ましい。
' また、 「イオン交換基を実質的に含有しない」 とは、 第 2のセグメントを主と して構成している繰り返し単位の多く力イオン交換基を有していないことを意味 し、 具体的には、 イオン交換基が、 当該セグメントを構成している繰り返し単位 1個あたり平均して 0 . 1個以下であり、 0 . 0 5個以下であると好ましく、 繰 り返し単位がイオン交換基を有していないと更に好ましい。
この.ようなブロック共重合体は、 例えば、 第 1のセグメントを形成するための イオン交換基を有するオリゴマー又はポリマ一 ズ第 1のセグメント前駆体) と、 第 2のセグメントを形成するためのイオン交換基を実質的に有しないオリゴマー 又はポリマー(第, 2のセグメン卜前駆体)とが結合することにより得られるプロッ ク共重合体であると好ま 'しい。
この場合、第 1のセグメント前駆体としては、芳香族高分子化合物が好ましく、 例えば、ポリフエ二レン、ポリフエ二レンエーテリレ、ポリフエ二レンスルフィ ド、 ポリエーテルケトン、 ポリエーテルスルホン又はこれらを構成する繰り返し単位 の共重合体であって、 これらの繰り返し単位中にイオン交換基が導入された化合 物が挙げられる。 第 1のセグメント前駆体である芳香族高分子化合物において、 イオン交換基の結合位置は特に限定されないが、 合成の容易さ等の観点から、 繰 り返し単位中の芳香環 (特にベンゼン環) に結合していると好ましい。
より具体的には、 第 1のセグメント前駆体としては、 下記一般式 (1 ) で表さ れる構造を有し、 且つ、 繰り返し単位の少なくとも一部に、 上述したようなィォ ン交換基が導入された化合物が挙げられる。 第 1のセグメント前駆体がこのよう な構造を有する場合、 第 1のセグメントも同様に下記一般式 (1 ) の構造を有す るものとなる。
-(■Ar -X11^- (1)
[式中、 Ar 11は、 炭素数 1〜20のアルキル基、 炭素数 1〜20のアルコキシ 基、 炭素数 6〜 20のァリール基又は炭素数 6〜 20のァリールォキシ基を有し ていてもよい 2価の芳香族基を示し、 X11は、 直接結合、 酸素原子、 硫黄原子、 カルボニル基又はスルホ二ル基を示し、 dは 5以上の整数である。 なお、 式 (1) で表される構造中、 複数の Ar 11及び X11は、 それぞれ同一でも異なっていても よい。 ] . . ■
上記—般式 (1) における Ar1 1 は、 2価の芳香族基であり、 芳香環を 1つ又 は複数含む価の基である。 該 2価の芳香族基としては、 例えば、 1, 3—フエ二 レン基、 1, 4一フエ二レン基等の 2価の単環性炭化水素芳香族基、 1, 3—ナ フタレ.ンジィル基、 1, 4一ナフタレンジィル基、 1, 5—ナフ夕レンジィル基、 1', 6—ナフタレンジィル基、 1, 7—ナフタレンジィル基、 2, 6—ナフタレ ンジィル基、 2,, 7—ナフタレ ジィル基等の 2価の縮環系芳香族基、 ピリジン ジィル基、 キノキサリンジィル基、 チォフェンジィ.ル基等の 2価の芳香族複素環 基等が挙げられる。 好ましくは 2価の単環性炭化水素芳香族基である。 ― また、 Ar 11は、 炭素数 1〜20のアルキル基、 炭素数 1〜20のアルコキシ 基、 炭素数 6〜20のァリール基、 炭素数 6〜 20のァリニルォキシ基又は炭素 数 2〜20のァシル基で置換されていてもよい。 また、 これらの置換基も更に置 換基を有していてもよい。
ここで、 炭素数 1〜20のアルキル基としては、 例えばメチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 イソプロピル基、 n—ブチル基、 s e c—ブチル基、 ィソプチ ル基、 n—ペンチル基、 2, 2—ジメチルプロピル基、 シクロペンチル基、 n— へキシル基、シクロへキシル基、 2—メチルペンチル基、 2—ェチルへキシル基、 ノニル基、 ドデシル基、 へキサデシル基、 ォクタデシル基、 ィコシル基等の炭素 数 1〜20のアルキル基のほか、 これらの基にフッ素原子、 ヒドロキシル基、 二 トリル基、 アミノ基、 メトキシ基、 エトキシ基、 イソプロピルォキシ基、 フエ二
ル基、 ナフチル基、 フエノキシ基、 ナフチルォキシ基等が置換され、 その総炭素 数が 2 0以下であるアルキル基等が挙げられる。
また、 炭素数 1〜2 0のアルコキシ基としては、 例えば、 メトキシ基、 ェトキ シ'基、 n—プロピルォキシ基、 イソプロピルォキシ基、 n—ブチルォキシ基、 s e c _ブチルォキシ基、 t e r t _ブチルォキシ基、 イソブチルォキシ基、 n— ペンチルォキシ基、 2, ' 2—ジメチルプロピルォキシ基、 シクロペンチルォキシ 基、 n—へキシルォキシ基;.シクロへキシルォキシ基、 2—メチルペンチルォキ シ基、 2—ェチルへキシルォキシ基、 ドデシルォキシ基、へキサデシ'ルォキシ基、 ィコシルォキシ基等の炭素数 1〜2 0のアルコキシ基のほか、 これらの基にフッ 素原子、 ヒドロキシル基、 二トリル基、 アミノ基、 メトキシ基、 エトキシ基、 ィ ソプロ.ピルォキシ基、'フエニル基、 ナフチル基、 フエノキシ基、 ナフチルォキシ 基等が置換され、 その総炭素数が 2 0以下であるアルコ.キシ基等が挙げられる。
'炭素数 6〜2 0のァリール基としては、 例えばフエニル基、 ナフチル基、 フエ ナントレニル基、,アントラセニル基等のァリール基のほか、 これらの基にフッ素 原子、 ヒドロキシル基、 二トリル基、 アミノ塞、 メ.トキシ基、 エトキシ基、 イソ プロピルォキシ基、 フエニル基、' ナフチル基、 フエノキシ基、 ナフチルォキシ基 等が置換され、 その総炭素数が 2 0以下であるァリール基等が挙げられる。 炭素数 6〜2 0のァリールォキシ基としては、 例えばフエノキシ基、 ナフチル ォキシ基、 フエナントレニルォキシ基、 アントラセニルォキシ基等のァリールォ キシ基や、 これらの基にフッ素原子、 ヒドロキシル基、 二トリル基、 アミノ基、 メトキシ基、 エトキシ基、イソプロピルォキシ基、 フエニル基、ナフチル基、 フエ ノキシ基、ナフチルォキシ基等が置換され、その総炭素数が 2 0以下であるァリ一 ルォキシ基等が挙げられる。
炭素数 2〜2 0のァシル基としては、 例えばァセチル基、 プロピオニル基、 ブ チリル基、 イソプチリル基、 ベンゾィル基、 1 一ナフトイル基、 2—ナフトイル 基等の炭素数 2〜 2 0のァシル基や、これらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、 二トリル基、 アミノ基、 メトキシ基、 エトキシ基、 イソプロピルォキシ基、 フエ
ニル基、 ナフチル基、 フエノキシ基、 ナフチルォキシ基等が置換され、 その総炭 素数が 20以下であるァシル基が挙げられる。
第 1のセグメント前駆体が上記一般式 (1) で表される構造を有する場合、 イオン交換基は、 A r 11で表される基に結合していること力好ましい。すなわち、 この場合、 上記一般式 (1) で表される構造は、 下記一般式 (8) で表される構 造であるとより好ましい。
[式中、及び X
11は上記と同義であり、 Ar
l laは炭素数 1〜20のアルキル基、 炭素数 1〜20のアルコキシ基、 炭素数 6〜 20のァリール基、 炭素数 6〜20 のァリールォキシ基又は炭素数 2〜20のァシル基を有していてもよい 2価の芳 香族基を示し、 Qはイオン交換基を含む基を示し、 .Qは 1から Ar
l laにおける
Qが結合可能な部位の数までの整数である。 ] '
また、 下記一般式 (8) 中の Qとしては、 下記一般式 (9 a) 〜 (9 f ) で表 ざれるようなイオン交換基を含む基が好適である。 ' 、 . .
[式 (9 a) 〜 (9 f) 中、 Zはイオン交換基を示し、 X9は— O—、 一 S—、 一 CO—又は一 S02—で表される基を示し、 b及び b 'はそれぞれ独立に 0〜 12の整数である。 ]
上記一般式 (8) で表される構造において、 Qで表されるイオン交換基を含む 基は、 A r 11 aで表される芳香族基中の芳香環に結合していることが好ましい。 A r l l aで表される基が芳香環を複数有する場合は、 複数の芳香環にイオン交換 基が結合していてもよい。
上記一般式 (8 ) で表される構造としては、 具体的には、 以下に示すものが挙 げられる。 すなわち、 まず、 X 1 1が直接結合である場合、 下記式 A— 1〜A— 1 4で表される構造が好適である。
A-1 A-2
また、 X 1 1が酸素原子である場合、 下記式 B— 1〜B— 1 4で表される構造が好 適である。
91
CSS8TC/900Zdf/X3d S而ム OOZ OAV
さらに、 A r l laが上記構造の繰り返される方向に複数の芳香環を有している場 合は、 下記式 C一 1〜(:一 12で表される構造が好適である。
1が硫黄原子である場合、 下記式 D— 1〜D— 6で表される構造
なお、 上記 A〜Dで示した構造中、 Qは上記と同様のイオン交換基を含む基で あり、 d' は 1又は 2を表わし、 は 0〜2の整数であって、 同一構造単位 中に複数の Q' ' がある場合、 それらは同一でも異なっていてもよいが、 それら 複数の T の合計が少なくとも 1以上となる数である。 また、 同一構造単位中に 複数の Qがある場合、 それは同一でも異なっていてもよい。 このような構造単位 が下記一般式 (l a) で表される構造単位で換算して、 d個、 すなわち 5個以上 連結してなるものが上記第 1のセグメント前駆体として好ましい。
(式中、 A r 11及び X11は上記と同義である。 )
第 1のセグメント前駆体としては、上述したなかでも、 (A— 1)、 (A— 2)、 (A_5)、 (A— 9)、 (A— 13)、 (B— l)、 (B—3)、 (B— 12)、
(B_ 14) 、 (C一 1) 、 (C一 4) 、 (C一 7) 、 (C— 10) 、 (C一 1 1)及び(C一 12)から選ばれる構造単位が連結してなるものが好ましく、 (A 一 1) 、 (A— 2) 、 (A— 5) 、 (A_9) 、 (A— 13) 、 (C— 4) 及び (C - 11) から選ばれる構造単位が連結してなるものがより好ましく、 (A— 1) 5 及びノ又は (C_ l 1) が構造単位が連結してなるものであると更に好ましい。
第 1のセグメント前駆体からなる第 1のセグメントは、 これらの構造を含むこと となるが、 上述の如く、 この第 1のセグメント中、 括弧内の構造単位の全てがィ オン交換基を有している必要はないが、 (0.' 5 Xd) 個以上の構造単位にィォ ン交換基を有していると好ましく、 d個の構造単位全てにイオン交換基を有して 10 いるとより好ましい。
かか.る第 1のセグメント前駆体は、 その重量平均分子量が、 2000以上であ ると好ましく、 4000以上であるとより好ましく、 6000以上であると更に 好ましく、 8000以上であると一層好ましく、 1000ひ以上であると特に好 ' . ましい。 第 1のセグメント前駆体の重量平均分子量が 2000以上であると、 得 15 られるブロック共重合体を含む高分子電解質のプロトン伝導性が良好となる。 な お、 かかる重量平均分子量の値は、 ゲル浸透クロマトグラフィーにより求めるこ とができる。 ..
また、 第 2のセグメント前駆体としては、 芳香族高分子' 合物が好ましく、' 例 えば、 ポリフエ二レン、 ポリフエ二レンエーテル、 ポリフエ二レンスルフイ ド、 20 ポリエーテルケトン、 ポリエーテルスルホン又はこれらを構成する繰り返し単位 の共重合体であって、 イオン交換基を実質的に含有しない化合物が好ましい。 こ こで、 「イオン交換基を実質的に含有しない」 とは、 上記と同様の定義である。 より具体的には、 第 2のセグメント前駆体としては、 下記一般式 (2) で表さ れる構造を有する化合物が挙げられる。
_LAr21_X21J_ (2)
25 \ 'ζ
[式中、 Ar21は、 炭素数 1〜20のアルキル基、 炭素数 1〜20のアルコキシ
基、 炭素数 6〜 20のァリール基又は炭素数 6〜 20のァリールォキシ基又は炭 素数 2〜20のァシル基を有していてもよい 2価の芳香族基を示し、 X21は、 直 接結合、 酸素原子、 硫黄原子、 力ルポニル基又はスルホ二ル基を示し、 zは 5以 上の整数である。 ]
上記一般式 (2) 中、 Ar21は、 更に、 炭素数 1〜20のアルキル基、 炭素 数 1〜20のアルコキシ基、 炭素数 6〜20の Tリール基、 炭素数 6〜 20のァ リ一ルォキシ基又は炭素数 2〜 20のァシル基を置換基として有していてもよく、 これらの置換基も更に置換基を有していてもよい。 この置換基としては、 上記 A r 11において例示したのと同様のものが挙げられる。
上記一般式(2)で表される構造としては、 具体的には下記式(F— 1) 〜 (F 一 22) で表されるものが例示できる。
eSS8lC/900Zdf/13d Sifo励 Z OAV
かかる第 2のセグメント前駆体は、 その重量平均分子量が、 2 0 0 0以上であ ると好ましく、 4 0 0 0以上であるとより好ましく、 6 0 0 0以上であると更に 好ましく、 8 0 0 0以上であると一層好ましく、 1 0 0 0. 0以上であると更に好 ましく、 4 0 0 0 0以上であるとより好ましく、 5 0 0 0 0以上であると一層好 ましく、 7 0 0 0 0以上であ'ると特に好ましい。 第 2のセグメント前駆体の分子 量が 2 0 0 0以上であると、 得られるブロック共重合体を含む高分子電解質のプ 口トン伝導性が良好となる。 なお、 かかる分子量の値は、 上記第 1のセグメント 前駆体と同様にして算出することができる。
ブロック共重合体を得るためには、 第 1のセグメント前駆体と第 2のセグメン ト前駆体とをブロック共重合させることが好ましく.、 かかるブロック共重合は、 例えば、 予め合成された 2つのセグ ント前駆体同士を反応させるか、 または、 一方のセグメント前駆体を合成し、 これに他方のセグメント前駆体を形成するた めの単量体を結合させた後、 当該単量体の重合を進行させることにより実施する ことができる。 これらのブロック共重合は、 2種以上の溶媒を含む混合溶媒中で 行うことが好ましい。 このような混合溶媒としては、 例えば、 比誘電率が異なる 2種以上の溶媒の組み合わせが挙げられる。
なかでも、 混合溶媒としては、 第 1のセグメント前駆体の良溶媒 (以下、 「第 1の良溶媒」 という) 及び第 2のセグメント前駆体の良溶媒 (以下、 「第 2の良 溶媒」 という) のうち少なくとも 1種を含むものが好ましく、 これらの両方を含 むものがより好ましい。 こうすることで、 2つのセグメント前駆体が良好に溶媒 に溶解された状態で反応することができ、 プロック共重合体が良好に得られるよ うになる。 なお、 第 1のセグメント前駆体又は第 2のセグメント前駆体を複数種
類用いる場合は、 第 1及び第 2の良溶媒としてそれぞれ複数種類を組み合わせて 用いてもよい。 ここで、 「第 1 (又は第 2 ) のセグメント前駆体の良溶媒」 とは、 ' 2 5 °Cにおいて当該高分子化合物を 5質量%以上の濃度で溶解し得る溶媒をいう ものとする。 なお、 第 1 (又は第 2 ) のセグメント前駆体が複数種類含まれてい る場合は、 それらの合計の溶解量 (g ) を基準とする。 また、 ここでいう 「溶解」 とは、 セグメント前駆体と溶媒とが均一な液相を形成した状態を意味する。 」 例えば、 混合溶媒中に第- 1の良溶媒が含まれている場合、 かかる良溶媒の含有 量は、 混合溶媒中、 1 0質量%以上であると好ましく、 2. 0質量 ¾以上であると より好ましく、 3 0質量%以上であると更に好ましく 4 0質量%以上であると特 に好ましい。また、第 2の良溶媒が含まれている場合、かかる良溶媒の含有量は、 混合溶媒中、 1 0質量%以上であると好ましく、 2 0質量。/。以上であるとより好 ましく.、 3 0質量%以上であると更に好ましく 4 0質量%以上であると特に好ま しい。 そして、 これらの両方を含む場合も、 両方の溶媒が上記条件を満たしてい ると更に好ましい。 混合溶媒中の第 1又は第 2の良溶媒の含有量が 1 0質量%未 満であると、 いずれかのセグメント前駆体が混合溶媒中に溶解され難くなり、 ブ 口ック共重合中に析出して良好にプロック共重合体が得られ難くなる傾向 ίこある。 また、 プロック共重合の際の混合溶媒中の第 1及び第 2のセグメント前駆体の 濃度、 すなわち、 1 0 0 X [ {第 1のセグメント前駆体の重量 (g ) } + {第 2 のセグメント前駆体の重量 (g ) } ] Z [ブロック共重合溶液の重量 (g ) ] の 値は、 1〜 5 0質量%とすることが好ましく、 3〜4 0質量%とすることがより 好ましく、 5〜3 0質量%とすることが更に好ましく、 7〜2 0質量%とするこ とが特に好ましい。 こうすれば、 ブロック共重合中も第 1及び第 2のセグメント 前駆体が混合溶媒に十分に溶解され、 良好にプロック共重合が進行するようにな る。
また、 第 1の良溶媒としては、 比誘電率が好ましくは 4 0 . 0以上である溶媒 が挙げられる。 また、 第 2の良溶媒としては、 比綉電率が好ましくは 4 0 . 0未 満である溶媒が挙げられる。 なお、 第 1及び第 2のセグメント前駆体の両方を良
好に溶解するためには、 両者の比誘電率の差は、 5 . 0以上であると好ましい。 この比誘電率の値を満たす第 1及び第 2の良溶媒を組み合わせた混合溶媒によれ 'ば、 第 1及び第 2のセグメント前駆体が十分に溶解され、 これらのプロック共重 合が良好に進行するようになる。
より具体的には、 第 1の良溶媒としては、 例えば、 アルコール系溶媒、 ェ一テ ル系溶媒、 スルホキシド系溶媒、 アミド系溶媒、 炭酸エステル類、 オリゴアルキ レングリコール類や、これらにフッ素置換基を導入してなる溶媒等が挙げられる。 これらの溶媒は、 第 1のセグメント前駆体の種類、 特に、 .当該化合物が有するィ オン交換基の種類に応じて適宜用いることが好ましい。
アルコール系溶媒としてはメタノール、 エタノール、 イソプロパノール、 ブ夕 ノール等が挙げられる。エーテル系溶媒としてはジェチルエーテル、ジブチルエー テル、 ジフエ二ルエーテル、 テトラヒドロフラン (T H F ) 、 ジォキサン、 ジォ キソラン、 エチレングリコールモノメチルエーテル、 エチレングリコールモノエ チルェ一テル、 プロピレンダリ ルモノメチルエーテル、 プロピレングリコ一 ルモノエチルエーテル等が挙げられる。
スルホキシド系溶媒としてはジメチルスルホキシド( D M S 0 )が挙げられる。 アミド系溶媒としては N, N—ジメチルァセトアミド (D MA c ) 、 N—メチル ァセトアミド、 N, N—ジメチルホルムアミド (DM F ) 、 N—メチルホルムァ ミド、 ホルムアミド、 N—メチルピロリドン (NM P ) 等が挙げられる。 . 炭酸エステル類としてはプロピレンカーボネート、 エチレンカーボネート、 ジ メチルカーボネート、 ジェチルカ一ポネート、 ェチルメチルカ一ボネート、 4一 トリフルォロメチル一 1 , 3—ジォキソラン _ 2 —オン、 1 , 2—ジ (メトキシ カルボニルォキシ) ェタン等が、 エステル類としてはギ酸メチル、 酢酸メチル、 ァープチロラクトン等が、 二トリル類としてはァセトニトリル、 プチロニトリル 等が、 オリゴアルキレングリコール類としてはオリゴ (エチレングリコ一ル) 、 オリゴ (プロピレングリコール) 、 オリゴ (ブチレングリコール) 等が挙げられ る。
上述したなかでも、 第 1の良溶媒としては、 アルコール系溶媒、 スルホキシド 系溶媒又はアミド系溶媒が好ましく、 スルホキシド系溶媒又はアミド系溶媒がよ り好ましく、 スルホキシド系溶媒が更に好ましく、 DM S Oが特に好ましい。 D M S 0は、 第 1のセグメン卜前駆体がイオン交換基としてスルホン酸基を有する 場合に、 当該化合物を良好に溶解し得るため特に好ましい。
また、 第 2の良溶媒としては、 ケトン系溶媒、 エーテル系溶媒、 ハロゲン系溶 媒、 スルホキシド系溶媒、 スルホン系溶媒、 アミド系溶媒、 炭酸エステル類、 ェ ステル類、 二トリル類、 オリゴアルキレングリコール類や、 これらにフッ素置換 基を導入してなる溶媒等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、 アセトン、 メチルイソプチルケトン、 メチルェチルケ トン、 ベンゾフエノン等が挙げられる。 エーテル系溶媒としてはジェチルェ一テ ル、 ジブチルエーテル、 ジフエニルエーテル、 テトラヒドロフラン (T H F ) 、 ジォキサン、 ジォキソラン、 エチレングリコールモノメチルェ一テル、 エチレン グリコールモノ:!チルエーテル、. プロピレングリコールモノメチルエーテル、 プ ロピレングリコールモノェチルェ一テル等が挙げら.れる。
ハロゲン系溶媒としてはクロ口ホルム、 ジクロロメタン、 1, 2—ジクロロェ タン、 1, 1, 2, 2—テトラクロロェタン、 クロ口ベンゼン、 ジクロロべンゼ ン等が、 スルホキシド系溶媒としては D M S Oが挙げられ 。 スルホン系溶媒と してはジフエニルスルホン、 スルホラン等が、 アミド系溶媒としては D MA c、 N—メチルァセ卜アミド、 D M F、 N—メチルホルムアミド、 ホルムアミド、 N M P等が挙げられる。
炭酸エステル類としてはプロピレンカーボネート、 エチレンカーボネート、 ジ メチルカーボネート、 ジェチルカーポネート、 ェチルメチルカ一ボネート、 4一 トリフルォロメチルー 1, 3—ジォキソラン _ 2 —オン、 1 , 2—ジ (メトキシ 力ルポニルォキシ) ェタン等が、 エステル類としてはギ酸メチル、 酢酸メチル、 ァープチロラクトン等が、 二トリル類としてはァセトニトリル、 プチロニトリル 等が、 オリゴアルキレングリコール類としてはオリゴ (エチレングリコール) 、
オリゴ (プロピレングリコール) 、 オリゴ (ブチレングリコール) 等が挙げられ る。
• 上述した中でも、第 2の良溶媒としては、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、 スルホン系溶媒又はアミド系溶媒が好ましく、 スルホキシド系溶媒又はアミド系 溶媒がより好ましく、 アミド系溶媒が更に好ましく、 NM Pが特に好ましい。 なお、 第 1の良溶媒と第 2の良溶媒とは、 それぞれが第 1及び第 2のセグメン ト前駆体に対して良溶媒である限り同種の構造を有するものであってもよいが、 この場合には、 同種の構造を有するもののうち、 特性等の異なる溶媒を組み合わ せて用いる。 具体的には、 アミド系溶媒は、 上述したとおり、 第 1及び第 2のセ グメント前駆体の両方の良溶媒であるが、 例えば、 第 1の良溶媒として D MA c を用い.る場合は、 第 2の良溶媒として D MA c以外の溶媒である D M Fや NM P 等を選択する。
第 1の良溶媒と第 2の良溶媒との好適な組み合わせとしては、 第 1の良溶媒が スルホキシド系溶媒であり、 第 2の良溶媒がアミド系溶媒である組み合わせが好 ましく、 具体的には、 第.1の良溶媒が D M.S Oであり、 第 2の良溶媒が NM Pで ある組み合わせが特に好ましい。 . . " , なお、 混合溶媒としては、 上述した第 1の良溶媒及び第 2の良溶媒のほか、 第 1及び第 2のセグメント前駆体の混合溶媒への溶解性を低下させない範囲で、'そ の他の溶媒を更に含有していてもよい。 このようなその他の溶媒としては、.例え ば、共沸脱水のためのベンゼン、 トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒や、 クロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒等が挙げ られる。
ブロック共重合体は、第 1のセグメント前駆体と第 2のセグメント前駆体とを、 好ましくは上述した混合溶媒中でプロック共重合させることにより得ることがで きる。 この場合、 ブロック共重合は、 はじめから混合溶媒中で行ってもよく、 単 一の溶媒中で開始させ、 途中で他の種類の溶媒を添加するようにして行ってもよ レ^ 但し、 得られるブロック共重合体の分子量分布等を均質化するためには、 反
応開始から混合溶媒を用いることが好ましい。
このようにして得られるブロック共重合体としては、 第 1のセグメント及び第 2のセグメントを下記表 1〜 5.に示すような組み合わせで有するものが好適であ る。 '下記表中の各セグメントの符号は、 上述した第 1及び第 2のセグメント前駆 体で例示した構造に対応し、 各セグメントがこれらの構造を有するものであるこ とを意味している。
ブロック共重合体 第 1のセグメント 第 2のセグメント
H-1 A-1 F— 1
H-2 . A-1 F-2
H-3 A-1 F-3
〇
H-4 A-1 F-4
H-5 A— 1 F-9 ..
H-6 ' A-1 F-10
H-7 A— 1 F— 17
H-8 A-1 F-18
H-9 A-1 F-19
■H— 10 A-1
H-11 A— 1 F— 21
H— 12 A-1 F— 22 ブロック共重合体 第 1のセグメント 第 2のセグメント
H— 13 A-5 F-1
H— 14 A— 5 F-2
H-15 A-5 F-3
.ェェ X工
ェ H-16 A-5 F-4
ωn i
ω寸
H-17 A- 5 F-9
H-18 A-5 F-10
H-19 A-5 F—17
H-20 A-5 F-18
H-21 " A-5 F-19
H— 22 A-5 F-20
A-5 F-21
A-5
ブロック共重合体 第 1のセグメント 第 2のセグメント
H— 25 ' A-9 F-1
A— 9 F-2
H— 2フ A-9 F-3
H— 28 A-9 F-4 · ·
A-9 . F-9
H— 30 A-9 F-10
H-31 A-9 F-17
H— 32 A-9 F-18
A-9 F-19
Η— 34 A-9 F-20
A-9 F-21
ェ
H-36 A— 9 -22 o
ブロック共重合体 第 1のセグメント 第 2のセグメント
C-11 F-1
C-11 F-2
H-51 C-11 F-3
H— 52 C-11 F-4
H— 53 C-11 F-9
C-11 F-10
ブロック共重合体としては、 上述した組み合わせの中でも、 (H— 2) (H — 6) 、 (H - 1 1) 、 (H - 1 2) 、 (H - 14) 、 (H— 18) 、 (H - 2 3)、 (H - 24)、 (H— 26)、 (H—30)、 (H— 35)、 (H - 36)、 (H— 38) 、 (H_42) 、 (H - 47) 、 (H— 48) 、 (H_ 50) 、 (H 一 54) (H-47) 又は (H—48) が特に好ましい。
高分子電解資を構成するプロック共重合体としては、 とりわけ、下記一般式( 1 0 a) 又は (1 0 b) で表される構造を有するものが好適である。 下記式中、 n 及び mは、 それぞれ独立に、 5 200の整数である。
とりわけ、 下記のブロック共重合体が好ましく用いられる。
こうして得られたプロック共重合体における第 1のセグメントと、 第 2のセグ メントとの質量組成比は、 特に制限はないが、 質量%を単位として、 第 1のセグ メント:第 2のセグメントが 3 : 97 70 : 30であると好ましく、 5 : 95 60 : 40であるとより好ましく、 10 : 90 50 : 50であるとさらに好 ましく、 20 : 80〜4 0 : 60であると特に好ましい。 イオン交換基を有する
セグメントの組成比が上記の範囲であると得られるブロック共重合体を用いた高 分子電解質膜が高度のプロトン伝導性を有し、耐水性も良好となるため好ましく、 かかるプロック共重合体はとりわけ燃料電池用高分子電解質膜として好適に機能 する。 ,
また、 第 1のセグメントの平均分子量は、 上記ボリスチレン換算の重量平均分 子量で、 2000以上であると好ましく、 4000以上であるとより好ましく、 6000以上であると更に好ましく、 8000以上であると一層好ましく、 10 000以上であると特に好ましい。 なお、 この上限値は 2.00000であると好 ましく、.100000であるとより好ましく、 50000であると更に好ましい。 一方、 第 2のセグメントの平均分子量は、 上記ポリスチレン換算の重量平均分子 量で、 .2000以上であると好ましく、 4000以上であるとより好ましく、 6 000以上であると更に好ましく、 8000以 であると一層好ましく、 1 00 00以上であると更に好ましく、 40000以上であるとより好ましく、 500 00以上である 一層好ましく、. 70000以上であると特に好ましい。 なお、 この上限値は 40000.0であると好ましく、 20,0000であるとより好まし く、 100000であると更に好ましい。 なお、 ブロック共重合体の各セグメン 卜の重量平均分子量は、 どちらか一方のセグメントを選択的に分解し、 残ったセ グメントの重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィ一 測定する方法、 など によって求めることができる。
ここで、 第 1及び第 2のセグメントの平均分子量の値は、 上述した第 1及び第 2 のセグメント前駆体の平均分子量に対応することから (COMPREHENSIVE POLYMER SCIENCE, TheSynthesis Characterization, React ions & Applications of Polymers SirGeof frey Al len Editor, Volume 6 Polymer React ions, Chapter ll,Heterochain BlockCopolymers pages 369-401, Pergaman Press pel (1989)参 照) 、 かかる値としては、 第 1及び第 2のセグメント前駆体の平均分子量の値を そのまま適用することができる。
かかる第 1のセグメントは、 そのイオン交換容量が、 3. eme qZg以上で
あると好ましく、 3. 7me qZg以上であるとより好ましく、 3. SmeqZ g以上であると更に好ましく、 3. 9me q z'g以上であると一層好ましく、 4. Ome q g以上であると特に好ましい。 第 1のセグメント前駆体のィォン交換 容量が 3. 6me qZ'g以上であると、 広い温度 ·湿度範囲で高分子電解質膜が 高いプロトン伝導度を示し、 その結果燃料電池の発電性能が向上するので、 好ま しい。 なお、 第 1のセグメントのイオン交換容量は、 ブロック共重合体において 第 2のセグメントを選択的に分解し、 その後残った第 1のセグメントを滴定法な どの測定方法で求める方法、 またブロッグ共重合体を NMR測定する方法、 など で求められる。 なお、 前述のように、 第 1のセグメントの分子構造が第 1のセグ メント前駆体の分子構造は同'じであるから、 第 1のセグメントのイオン交換容量 は、第 1のセグメント前駆体のイオン交換容量をそのまま適用することができる。 なお > 上記ブロック共重合体は、 上述の如く、.イオン交換基を有するセグメン トと、 イオン交換基を実質.的に有しないセグメントとを有するものである力 こ れらのセグメントを一つずつ有するブロック共重合体であってもよく、 いずれか 一方のセグメントを 2つ以上有するブロック共重合 であってもよく、 両方のセ グメントを 2つ以上有するマルチプ ック共重合体のいずれであってもよい。 また、 ブロック共重合体は、 上述した 2つのセグメント以外のセグメントを更 に有するものであってもよく、 例えば、 繰り返し単位 1個 ^たりのイオン交換基 の数が、 平均して 0. 1個よりも大きく 0. 5個よりも小さいセグメントを有し ていてもよい。 このようなセグメントは、 ブロック共重合の際、 かかるイオン交 換基の条件を満たす高分子化合物を原料として添加することで、 プロック共重合 体中に導入することができる。
以上、 高分子電解質に含まれるイオン伝導成分である、 イオン伝導性を有する 高分子化合物について説明したが、 本実施形態の高分子電解質は、 所望の特性に 応じて、 プロトン伝導性を著しく低下させない範囲で他の成分を含んでいてもよ レ。 このような他の成分としては、 通常の高分子に使用される可塑剤、 安定剤、 離型剤、 保水剤等の添加剤が挙げられる。
例えば、燃料電池において高分子電解質をプロトン伝導膜に適用する場合には、 燃料電池の動作中に、 プロトン伝導膜に隣接する触媒層において過酸化物が生成 し、 この過酸化物が拡散しながちラジカル種に変化し、 これがプロトン伝導膜を 構成している高分子電解質を劣化させることがある。 この場合、 かかる不都合を 回避するために、 高分子電解質には、 耐ラジカル性を付与し得る安定剤を添加す ることが好ましい。
このような安定剤としては、 例えば、 4, 4' ーブチリデンビス (2— t—ブ チル _ 5 _メチルフエノール) (住友化学(株)社製、 商品名:スミ'ライザ一 B BM—S) のようなフエノール系化合物、 , 2, 4, 8, 10—テトラ— t _プチ ルー 6_ [3— (3—メチルー 4ーヒドロキシー 5— t一ブチルフエニル) プロ ポキシ] ジベンゾ [d , f ] [1, 3, 2] ジォキサホスフエピン (住友化学(株) 社製、 商品名:スミライザ一 GP) のようなリン原子を含む化合物、 或いは、 ペン夕エリトリチルーテトラキス— (3—ドデシルチオプロピオネート) (住友 化学 (株) 社製、,商品名:スミライザ一 TP— D) のような硫黄原子を含む化 合物等の低分子化合物や、 これらの低分子化合物と同様の水酸基ゃリン原子を含 む官能基を有する高分子化合物が挙げられる。 ― なかでも、 安定剤としては、 特開 2003— 238678号公報ゃ特開 200 3- 282096号公報に記載のホスホン酸基等が芳香環に直锋結合した芳香族 系高分子ホスホン酸類が優れており、 好適に用いることができる。 なお、 これら の芳香族系高分子ホスホン酸類は、高分子電解質としても機能し得る。そのため、 例えば、 この芳香族系高分子ホスホン酸類と、 上述したようなスルホン酸基を有 する芳香族高分子化合物からなる組成物は、 高分子電解質として好適である。 このように高分子電解質に添加剤を添加する場合、その添加量は、総量中、 0. 1質量%〜50質量%であると好ましく、 3〜20質量%であるとより好ましく、 5〜 15質量%であると更に好ましい。 添加剤の添加量が上記の範囲であれば、 得られる高分子電解質膜の高度のプロトン伝導度を維持したまま、 かかる添加剤 による効果が十分に発揮されるため、 好ましい。
[高分子電解質膜]
' 次に、 好適な実施形態に係る高分子電解質膜について説明する。 本実施形態の 高分子電解質膜は、 上述した実施形態の高分子電解質を含み、 膜状の構造を有す るものである。 高分子電解質膜としては、 例えば、 高分子電解質が膜状に成形さ れたものや、 高分子電解質と所定の支持体とを複合化して得られた複合膜が挙げ られる。
前者の高分子電解質膜は、 例えば、 高分子電解質を所定の溶媒に溶解して溶液 とし、 これを基材の上に流延塗布した後、 溶媒を除去することにより製造するこ とができる。 高分子電解質膜の膜厚は、 溶液濃度や基板上への塗布厚を調整する ことにより制御できる。
溶媒,としては、 例えば、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァ セトアミド、 N—メチルー 2—ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒; ジクロロメタン、,クロ口ホルム、. 1, 2—ジクロロェタン、 クロ口ベンゼン、 ジ クロ口ベンゼン等のハロゲン系溶媒; メタノール、 ェ夕ノ ル、 プロパノール等 のアルコール類; ,ェチレングリコールモノメチルェ一テル、 エチレングりコール モノェチルェ一テル、 プロピレングリコールモノメチルエーテル、 プロピレング リコールモノェチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル; これらを 2種以上の混合した混合溶媒等が挙げられる。 なかでも、 ジメチルホル ムアミド、 ジメチルァセトアミド、 N—メチルピロリドン、 ジメチルスルホキシ ド、 ジクロロメタン/アルコール混合溶媒、 又は、 クロ口ホルム. Zアルコール混 合溶媒が、 高分子電解質の溶解性に優れるため好ましい。
溶液を塗布する基材としては、 溶媒に対する耐性があり、 製膜後に膜の剥離が 可能なものであればよく、例えば、 ガラス板、 P E T (ポリエチレンテレフタレ一 ト) フィルム、 ステンレス板、 ステンレスベルト、 シリコンウェハ、 4フッ化工 チレン板等が挙げられる。 これらの基材は、 必要に応じて、 表面に離型処理、 ェ ンボス加工、 つや消し加工等がなされていてもよい。
後者の複合膜は、 例えば、 上述したような高分子電解質の溶液を支持体に含浸 させることにより製造することができる。 支持体は、 高分子電解質膜の強度、 柔 軟性等を向上させるために用い.られる。支持体としては、これらの目的に応じて、 フイブリル形状や多孔膜形状等のものを制限なく適用できるが、 '燃料電池のプロ トン伝導膜として適用する場合には、 優れたプロトン伝導性を確保するために、 多孔膜を用いることが好ましい。
ここで、 多孔膜としては、 その膜厚が 1〜1 0 0 m、 好ましくは 3〜3 0 m、 より好ましくは 5〜2 0 i mであり、 孔径が 0 . 0 1〜: L 0 rm、 好ましく は 0 . 0 2〜 7 mであり、 空隙率は 2 0〜 9 8 %、 好ましくは 3 0〜 9 5 ¾で あるものが挙げられる。 '
この多孔膜の膜厚が薄すぎると、 高分子電解質膜の強度、 柔軟性、 耐久性等を 向上す.る効果が十分に得られなくなる場合がある。 一方、 膜厚が厚すぎると電気 ¾抗が高くなり、 得られた高分子電解質膜のプロトン伝導性が不十分となるおそ 'れがある。 .また、,孔径が小さすぎると、 高分子電解質の含浸が困難となる傾向に ' ある。 一方、 大きすぎると、 高分子電解質膜を補強する効果が十分に得られなく なる場合がある。 さらに、.空隙率が小さすぎると、 高分子電解質膜の抵抗が過度 に大きくなるおそれがあり、 大きすぎると多孔膜自体の強度が くなり、 補強効 果が十分に得られなくなる場合がある。 · · · 多孔膜の材質は、高分子電解質膜の耐熱性や物理的強度を向上させる観点から、 脂肪族系高分子又は含フッ素高分子が好ましい。 例えば、 脂肪族系高分子として は、 特に制限はないが、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 エチレン一プロピレン 共重合体等が挙げられる。 なお、 ここでいうポリエチレンとは、 ポリエチレンの 結晶構造を有するエチレン系のポリマーの総称であり、 例えば、 エチレンと他の モノマ一との共重合体も含むものとする。
この共重合体としては、 具体的には、 直鎖状低密度ポリエチレン (L L D P E ) と呼ばれる、 エチレンと α'—才レフインとの共重合体や超高分子量ポリエチレン 等が挙げられる。
また、 ここでいうポリプロピレンとは、 同様にポリプロピレンの結晶構造を有す るプロピレン系のポリマーの総称であり、 プロピレン系ブロック共重合体やラン ダム共重合体等を含むものである。
また、 '含フッ素高分子としては、 分子内に炭素—フッ素靖合を少なくとも 1個 有する公知の熱可塑性樹脂 (フッ素樹脂) が挙げられる。 なかでも、 脂肪族系高 分子の水素原子の大部分、 好ましくは全てがフッ素原子によって置換された構造 のものが好適である。
このような含フッ素高分子としては、 例えば、 ポリトリ.フルォロエチレン、 ポ リテトラフルォロエチレン、 ポリクロ口トリフルォロエチレン、 ポリ (テトラフ ルォロエチレン—へキサフルォロプロピレン) 、 ポリ (テ卜ラフルォロエチレン —ペルフルォロアルキルエーテル) 、 ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。 こ のうち.、 ポリテトラフルォロエチレン又はポリ (テトラフルォロエチレン一へキ サフルォロプロピレン) が好ましく、 ポリテ卜ラフルォロエチレンが特に好まし レ^ また、 これらの含フッ素高分子は、 良好な機械的強度を得る観点からは、 平 均分子量が 1 0万以上のものが好ましい。
このような構成を有する本実施形態の高分子電解質膜は、 以下に示す特性を具 備するものであると好ましい。 すなわち、 8 0 °Cにおいて水の吸着が飽和したと きの所定の一辺の長さを L wとし、 2 3 °C、 相対湿度 5 0 %において水の吸着が 平衡に達したときの上記一辺の長さを L dとしたとき、 (L w— L d ) /L dが 0 . 0 8以下であり、 且つ、 2 3 °Cにおける膜厚方向の膜抵抗が 0 . I Q ' c m 2以下であると好ましい。
ここで、 「8 0 °Cにおいて水の吸着が飽和したとき」 とは、 8 0 °Cにおいて高 分子電解質膜に水を十分に吸着させ、 それ以上の水の吸着が見られなくなった状 態をいう。 例えば、 高分子電解質膜を 8 0 °Cの水中に 1時間浸漬させることで、 「8 0 °Cにおいて水の吸着が飽和したとき」 に達することができる。 また、 「2 3 °C、 相対湿度 5 0 %において水の吸着が平衡に達したとき」 とは、 かかる条件 で高分子電解質膜を保管したときに、 水の吸着量がほぼ一定となり、 それ以上の
水の吸着 ·脱離が見られなくなった状態をいう。 具体的には、 上述した飽和状態 にある高分子電解質を、 23°C、相対湿度 50%で十分に乾燥させる.ことで、 「2 3°C、 相対湿度 5.0 %において水の吸着が平衡」 に達することができる。
さらに、 「所定の面方向の長さ」 とは、 高分子電解質膜の周縁部に設定した任 5 意の 2点間を結ぶ線分の長さをいい、 例えば、 高分子電解質膜の任意の一辺の長 さがこれに該当する。
このように、 (Lw— Ld) /Ld ( 「吸水寸法変化率」 という) が 0. 08 以下であると、 80°Cという燃料電池の動作条件に近い温度条件で水が飽和した ときと、 23°C、 相対湿度 50¾という通常状態のときとの高分子電解質膜の寸 10 法の差が極めて小さいため、 吸水による寸法変化に伴って当該高分子電解質膜が 破断する等の劣化が生じ難くなる。
また、 かかる高分子電解質膜を燃料電池のプロトン伝導膜に逾用した場合に、 当 高分子電解質膜の寸法変化に伴う隣接する触媒層等の破壊も生じ難くなる。 一
' . '方、 この吸水寸法変化率が 0. 08を超えると、 燃料電池の動作条件下における 15 ' 吸水に伴う寸法の変化が過度に大きくなり、 劣化が生じ易くなる。
このような効果をより良好に得る観点からは、 上述した高分子電解質腠の吸水 寸法変化率は 0. 05以下であるとより好ましく、 0. 04以下であると更に好 ましい。 なお、 このような吸水寸法変化率は、 高分子電解質膜における面方向の 任意の一箇所で成立すればよいが、 膜の耐久性を更に向上させる観点からは、 複 20 数箇所で成立しているとより好ましく、 殆どの箇所で成立していると更に好まし い。 具体的には、 所定の面方向と、 これとは異なる他の面方向の 2箇所で測定し たとき、 この 2箇所の吸水寸法変化率の差の絶対値が、 0. 03以下であると好 適である。
また、 本実施形態の高分子電解質膜は、 上記の如く、 23°Cにおける膜厚方向 25 の膜抵抗が 0. l Q ' cm2以下である。 ここで、 膜厚方向の膜抵抗とは、 lm o 1ZL硫酸中、 膜厚方向に沿って交流インピーダンス法により測定された単位 面積あたりの抵抗値をいう。 このような膜抵抗は、 例えば、 De s a 1 i n a t
i on l 47 (2002) 191— 196や、新実験化学講座 19 高分子化学(II) 992 p (日本化学会編、丸善)に記載された方法により測定することができる。 具体的には、 例えば、 硫酸水溶液で膨潤した高分子電解質を、 l cm2の開口部 を有するシリコンゴム (厚さ 200 /xm) の片面にカーボン電極を貼った測定用 5 セル 2個で挟み、 空孔を lmo し 硫酸で満たして、 交流インピーダンス法で 抵抗値を測定することにより得られる値である。
高分子電解質膜が上記のような膜抵抗を有するものであると、 燃料電池のプロ トン伝導膜に用いた場合に、 低加湿条件でも優れたプロ卜ン伝導性を示すものと なる。 このような高分子電解質膜をプロトン伝導膜として備える燃料電池は、 高
10 効率で発電が可能なものとなる。 より優れたプロトン伝導性を得る観点からは、 上記膜抵抗は、 0. 08 Ω · cm2以下であるとより好ましく、 0. 05Ω · ο m2以下であると更に好ましい。 , '
ところで、 高分子電解質膜は、 膜厚を薄くすることによつても膜抵抗を小さく
' . することが可能であるが、 薄くしすぎると膜の機械強度が弱くなつたり、' 原料ガ
15 スを遮断する特性が不十分になったりするため、 好ましくない。 高分子電解質膜 の好適な膜厚は、 23°C、 相対湿度 0 %の条件で 5 m以上であり、 より好ま しくは 10 m以上であり、 更に好ましくは 15 m以上である。 高分子電解質 膜が 5 mより厚いと、 ノ、ンドリング性が良好となるほか、 十分な膜強度が得ら れるため、 燃料電池中で破膜することが極めて少なくなる。 なお、 高分子電解質
20 膜の膜厚は、 23 °C、相対湿度 50 %の条件で 100 m以下であると好ましく、 50 m以下であると好ましい。 この膜厚が 100 mより薄いと、 0. 1 Ω · c m2以下の膜抵抗が得易くなる傾向にある。
[燃料電池]
25 次に、 上述した好適な実施形態の高分子電解質膜を備える燃料電池について説 明する。
図 1は、 好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。
図 1に示すように、 燃料電池 10は、 上述した好適な実施形態の高分子電解質膜 からなる高分子電解質膜 12 (プロ卜ン伝導膜) の両側に、 これを挾むように触 媒層 14 a, ,14 b、 ガス拡散層 16 a, 16 b及びセパレー夕 18 a , 18 b が順に形成されている。高分子電解質膜 12と、これを挟む一対の触媒層 14 a, 5 14bとから、 膜一電極接合体 (以下、 「MEA」 と略す) 20が構成されてい る。 .
高分子電解質膜 12に隣接する触媒層 14 a, 1.4 bは、 燃料電池における電 極層として機能する層であり、 これらのいずれか一方がアノード電極層となり、 他方が力ソ一ド.電極層となる。 かかる触媒層 14 a, 14 bとしては、 上述した 10 好適な実施形態に係る高分子電解質と触媒とを含む触媒組成物から形成されたも のが好適である。
触媒としては、 水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特 に制限はなく、 例えば、 韋金属、 貴金属合金、 金属錯体、 金属錯体を焼成してな ' . る金属錯体焼成物等が挙げられる。 なかでも、 触媒としては、 白金の微粒子が好
15 ましく、 触媒層 14 a, .14 bは、 活性炭や黒鉛等の粒子状または繊維状のカー ボンに白金の微粒子が担持されてな ¾ものであってもよい。 . ― ガス拡散層.16 a, 16 t^ 、MEA20の両側を挟むように設けられており、 触媒層 14 a, 14 bへの原料ガスの拡散を促進するものである。 このガス拡散 層 16 a, 16 bは、 電子伝導性を有する多孔質材料により構成されるものが好
20 ましい。 例えば、 多孔質性の力一ボン不織布や力一ボンべ一パーが、 原料ガスを 触媒層 14 a, 14 bへ効率的に輸送することができるため、 好ましい。
これらの高分子電解質膜 12、 触媒層 14 a, 14 b及びガス拡散層 16 a, 16 bから膜一電極 (触媒層) 一ガス拡散層接合体 (MEGA) が構成されてい る。 このような MEGAは、 例えば、 以下に示す方法により製造することができ
25 る。 すなわち、 まず、 高分子電解質を含む溶液と触媒とを混合して触媒組成物の スラリーを形成する。 これを、 ガス拡散層 16 a, 16 bを形成するための力一 ポン不織布や力一ボンペーパー等の上にスプレーやスクリーン印刷方法により塗
布し、 溶媒等を蒸発させることで、 ガス拡散層上に触媒層が形成された積層体を 得る。 そして、 得られた一対の積層体をそれぞれの触媒層が対向するように配置 するとともに、 その間に高分子電解質膜 1 2を配置し、 これらを圧着する。 こう して、 上述した構造の ME GAが得られる。 なお、 ガス拡散層上への触媒層の形 成は、 例えば、 所定の基材 (ポリイミド、 ポリ (テトラフルォロエチレン) 等) の上に触媒組成物を塗布 .乾燥して触媒層を形成した後、 これをガス拡散層に熱 プレスで転写することにより行うこともできる。
セパレータ 1 8 a, 1 8 bは、 電子伝導性を有する材料で形成されており、 か かる材料としては、 例えば、 カーボン、 榭脂モールドカーボン、 チタン、 ステン レス等が挙げられる。 かかるセパレー夕 1 8 a, 1 8 bは、 図示しないが、 触媒 層 1 4. a , 1 4 b側に、燃料ガス等の流路となる溝が形成されていると好ましい。 そして、 燃料電池 1 0は、 上述したような M E GA'を、 一対のセパレ一夕 1 8 a , 1 8 bで挟み込み、 これらを接合することで得ることができる。
なお、 本発明の燃料電池は、 必ずしも上述した構成を有するものに限られず、 その趣旨を逸脱しない範囲で適宜異なる構成を有していてもよい。 例えば、 上記 燃料電池 1 0では、 高分子電解質膜 .1 2及び触媒層 1 4 a , 1 4 bの両方に本発 明の高分子電解質が含まれて.いたが、 これに限定されず、 これらのいずれか一方 に含まれていればよい。 ただし、 高効率の燃料電池を得る観点からは、 これらの 両方に含まれていることが好ましい。
また、 燃料電池 1 0は、 上述した構造を有するものを、 ガスシール体等で封止 したものであってもよい。 さらに、 上記構造の燃料電池 1 0は、 直列に複数個接 続して、 燃料電池スタックとして実用に供することもできる。 そして、 このよう な構成を有する燃料電池は、 燃料が水素である場合は固体高分子形燃料電池とし て、 また燃料がメ夕ノール水溶液である場合は直接メタノ一ル型燃料電池として 動作することができる。 以下、 本発明を実施例により更に詳細に説明するが、 本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
[4, 4 ' ージフルォロジフエニルスルホン一 3, 3 ' 一ジスルホン酸ジカリウ 厶の合成]
まず、後述する各合成に用いる 4, 4'ージフルォロジフエニルスルホン一 3, 5 3' —ジスルホン酸ジカリウムを、 以下に示すようにして合成した。 すなわち、 まず、 攪拌機を備えた反応器に、 4, 4' —ジフルォロジフエニルスルホン 46 7 gと 30%発煙硫酸 3500 gとを加え、 100°Cで 5時間反応させた。 得ら れた反応混合物を冷却した後、 大量の氷水中に加え、 これに更に 5'0%水酸化力 リゥム水溶液 47 OmLを滴下した。 .
10 次いで、析出した固体を濾 ΪΜして集め、エタノールで洗浄した後、乾燥させた。
得られた固体を脱イオン水 6. 0Lに溶解させ、 50%水酸化カリウム水溶液を 加えて、 pH7. 5に調整した後、 塩ィ匕カリウム 460 gを加えた。 析出した固 体を濾過して集め、 エタノールで洗浄じた後、 乾燥させた。'
' . その後、,得られた固体を DMS02. 9 Lに溶解させ、 不溶の無機塩 濾過で
15 除き、 残渣を DMSO3.0 OmLでさらに洗浄した。 得られた濾液に酢酸ェチル Zエタノ一ル =24/1の溶液 6. 0Lを滴下し、 析出した固体をメタクールで 洗浄し、 100°Cで乾燥させて、 4, 4'ージフルォロジフエニルスルホン— 3, 3 ' —ジスルホン酸ジカリウムの固体 482 gを得た。 ·
[高分子電解質の合成]
20 (合成例 1 )
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフルォロ ジフエニルスルホン 65. 22 g、 2, 6—ジヒドロキシナフタレン (大日本ィ ンキ化学工業株式会社) 42. 63 g、 N—メチルピロリドン (NMP) 608 g、 トルエン 99 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間バブリ 25 ングした。 その後、 炭酸カリウムを 40. 45 g加え、 140°Cにて加熱撹拌し て共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマー J 1を 得た。 総加熱時間は 5時間とした。 得られたポリマー J 1の反応液は、 室温にて
放冷した後、 次の反応に用いた。
ポリマ一 J 1の重量平均分子量 (Mw) 及び数平均分子量 (Mn) をそれぞれ 測定したところ、 Mwは 8. 3 X 104であり、 Mnは 4. 6 X 104であった。 これらの値は、 下記条件でゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー (GPC) による測定を行い、 ポリスチレン換算を行うことによって算出された値である。 なお、 以下の実施例においても高分子化合物の Mw及び Mnは全て同様にして算 出した。
GPC条件
• GPC測定装置 TOSOH社製 HLC— 8220
'カラム Shod e x社製 AT— 80 Mを 2本直列に接続
.カラム温度 40°C
'移動相溶媒 DMAc (L i B rを 1 Ommo 1 Zdm3になるように添加) •溶媒流量 0. 5mL / 'm i n また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' —ジフ ルォロジフエニルスルホン一 3,. 3'.—ジスルホン酸ジカリウム 75. 37 g、 2, 5—ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム (三星化学工業株式会社) 3 2. 01 g、 ジメチルスルホキシド 602 g、 トルエン 95 g'を加え、 室温にて 撹拌しながらアルゴンガスを 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 2 0. 34 g加え、 140°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを 留去しながら加熱を続け、 ポリマー K1を得た。 総加熱時間は 14時間とした。 得られたポリマー K1の反応液は室温まで冷却し、 そのまま次の工程に用いた。 その後、 得られたポリマー K1の反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポリ マ一 J 1の全量及びジメチルスルホキシド (DMSO) 300 gを加えた後、 昇 温し、 150°Cで 84時間加熱撹拌した。
攪拌後の反応液を放冷した後、 この反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのま ま 1時間浸漬させた。 反応液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再度 2N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物を濾別し、 これを水洗した後、 95°Cの大量の熱水 (こ 1時間浸漬させ、生じた沈殿物を濾過して集めた。その後 80°Cで' 1晚乾燥させ、 ブロック共重合体である下記化学式(3)で表される高分子電解質を得た。なお、 下記式における 「b 1 o c k」 の記載は、 第 1のセグメント前駆体に由来するセ グメント及び第 2のセグメント前駆体に由来するセグメントをそれぞれ一つ以上 有することを表している。 なお、 第 1の高分子化合物に由.来するセグメントを構 成している構造単位から、 かかるセグメントにおけるイオン交換容量を計算して 求めると、 5.3me qZgであった。
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, -4' ージフルォロ ジフエニルスルホン 83. 70 g、 2, 6—ジヒドロキシナフタレン 55. 31 g、 NMP 606 g、 トルエン 102 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴン ガスを 1時間バブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 52. 44 g加え、 14 0°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続 け、 ポリマ一 J 2を得た。 総加熱時間は 16. 5時間とした。 ポリマ一 J 2の M wは 1. 1 X 105であり、 Mnは 5. 0 X 104であった。 得られたポリマ一 J 2の反応液は、 室温にて放冷した後、 次の反応に用いた。 また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフ
ルォロジフエニルスルホン— 3, 3 ' _ジスルホン酸ジカリウム 98. 53 g、 2, 5—ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム 40. O l g、 ジメチルスル ホキシド 600 g、 トルエン 9.4gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガス を 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 25. 43 g加え、 140°C にて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマー K 2を得た。 総加熱時間は 17時間とした。
ポリマ一 K2の Mwは 4. 6X 104であり、 Mnは 3. 1 X 104であった。 得 られたポリマー B 2の反応液は、 室温まで冷却した。
その後、 得られたポリマ一 K 2の反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポリ マー J 2の全量、 DMS0452 g及び NMP 255 gを加えた後、 昇温し、 1
50°Cで 49時間加熱撹拌した。
攪拌後の反応液を放冷した後、 この反応液を大量の' 2 N塩酸に滴下し、 そのま ま 1時間浸潰させた。 反応液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再度 2N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物を濾別し、 これを水洗した後、 95°Cの大量の熱水に 1時間浸潰させ、 生じた沈殿を濾過して集めた。 その後 80°Cで 1晚乾燥させ、 プロック共重合体である上記化学式く 3 )で表ざれる高分子電解質を得た。なお、 第 1の高分子化合物に由来するセグメントを構成している構造単位から、 かかる セグメントにおけるイオン交換容量を計算して求めると、 5.3me qZgであつ た。
'(合成例 3 )
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフルォロ ジフエニルスルホン 249. O l g, 2, 6—ジヒドロキシナフタレン 164.
60 g、 NMP 902 トルエン 294 gを加え、 室温にて撹拌しながらアル ゴンガスを 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 156. l g加え、
140°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱 を続け、 ポリマー J 3を得た。 総加熱時間は 18. 5時間とした。 ポリマー J 3
の Mwは 7. 4 X 104であり、 Mnは 4. 0 X 104であった。得られたポリマー J 3の反応液は室温にて放冷した後、 次の反応に用いた。
また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフ ルォロジフエニルスルホン一 3, 3' _ジスルホン酸ジカリウム 284. 3 g、 2, 5—ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム 120. O g、 ジメチルスル ホキシド 1778 g、 トルエン 279 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴン ガスを 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 76. 29 g加え、 14 0°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続 け、 ポリマー K 3を得た。 総加熱時間は 16時間とした。 ポリマ一 K3の Mwは 4. 9 X 104であり、 Mnほ 3. 0 X 104であった。 得られたポリマー K 3の 反応液は、 室温まで冷却した。
その後、 得られたポリマー K 3の反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポリ マ一 J 3の全量、 DMSO 610 g及び NMP 1790 gを加えた後、 昇温し、 150°Cで 39t¾間加熱撹拌した。
攪拌後の反応液を放冷した後、 この反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのま ま 1時間浸潰させた。 反応液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再度 2N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物を濾別し、 これを水洗した後、 95°Cの大量の熱水に 1時間浸漬させ、 生じた沈殿を濾過して集めた。 その後 80 °Cで 1晚乾燥させ、 プロック共重合体である上記化学式( 3 )で表される高分子電解質を得た。なお、 第 1の高分子化合物に由来するセグメントを構成している構造単位から、 かかる セグメントにおけるイオン交換容量を計算して求めると、 5.3me q/gであつ た。
(合成例 4)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフルォロ ジフエニルスルホン 40. 65 g、 2, 6—ジヒドロキシナフ夕レン 26. 69 g、 NMP 144 g、 トルエン 47 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガ
スを 1時間パブリングした。その後、炭酸カリウムを 24. 24 g加え、 100°C にて加熱撹拌して共沸脱水した。
その後、 トルエンを留去しなが.ら加熱を続け、 ポリマー J 4を得た。 総加熱時間 は Γ3. 5時間とした。ポリマー J 4の Mwは 1. 1 X 105であり、 Mnは 5. 6 X 104であった。 得られたポリマー J 4の反応液は、 室温にて放冷した後、 次の反応に用いた。
また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフ ルォロジフエニルスルホン— 3, 3 ' —ジスルホン酸ジカ.リウム 45. 79 g、 2, 5—ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム 20. O l g、 ジメチルスル ホキシド 285 g、 トルエン 45 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガス を 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 12. 71 g加え、 140°C にて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマ一 K 4を得た。 総加熱時間は 21時間とした。
ポリマ一 K4の は 8. 0 X 104であり、 Mnは 4. 5X 104であった。 得 られたポリマ一 K 4の反応液は、 室温まで冷却した.。
その後.、 得られたポリマ一 K4の^応液を撹拌しながら、 この反応液^、 ポリ マ一 j 4の全量、 DMSO 96 g及び NMP 286 gを加えた後、 昇温し、 15 0°Cで 41時間加熱撹拌した。 . ' 攪拌後の反応液を放冷した後、 この反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのま ま 1時間浸漬させた。 反応液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再度 2N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物を濾別し、 これを水洗した後、 95°Cの大量の熱水に 1時間浸漬させ、 生じた沈殿を濾過して集めた。 その後 80°Cで 1晚乾燥させ、 ブロック共重合体である上記化学式(3)で表される高分子電解質を得た。なお、 第 1の高分子化合物に由来するセグメントを構成している構造単位から、 かかる セグメントにおけるイオン交換容量を計算して求めると、 5.3me dZgであつ た。
(合成例 5)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 スミカェクセル PES 4003 P (住友化 学 (株) 製、 水酸基末端型のポリエーテルスルホン、 Mn=39000) 1 50 0. 0 g、 炭酸カリウム 25. 39 g、 N, N—ジメチルァセトアミド 6000 5 m 1、 及びトルエン 1000m lを加え、 1 50 °Cにて加熱撹拌して共沸脱水し た後、 トルエンを留去した。 その後、 得られた反応液を室温にて放冷した後、'こ れにデ力フルォロビフエニル(APOLLO S C I ENT I F I C社) 1 36. 42 gを加え、 50 で 1時間、 80 °Cで 2時間、 及び 10.0 °Cで 1峙間加熱撹拌 した。 .
10 得られた反応液を放冷した後、 この反応液を大量の濃塩酸./メタノール. ァセ トン (体積比 1Z20ノ 10) 混合溶液に滴下し、 混合溶液中に生じた沈殿物を ろ過して回収した。 この沈殿物を、 N, N—ジメチルァセトアミドに 14wt % の濃度となるように溶解させ、 得られた溶液を、 再度大量の濃塩酸. Zメタノール ' . Zアセトン (体積比 1./'20/ 1 0) 混合溶液に滴下した。 生じた沈殿を水洗し 15 た後、 80°Cにて乾燥させ、 下記化学式 (4) で表される化合物 J 5を得た。
また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 2, 5—ジヒド ロキシベンゼンスルホン酸カリウム 120. 4 g、 DMS0600 g, トルエン 20 120 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間バブリングした。
その後、 炭酸カリウムを 78. 63 g加え、 140°Cにて加熱撹拌し共沸脱水し て、 モノマ一 K5 1を含む溶液を得た。
さらに、 共沸蒸留装置を備えた別のフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' —ジフルォロジフエニルスルホン— 3, 3 ' —ジスルホン酸ジカリウム 256. 25 3 g、 DMSO 900 g、 トルエン 180 gを加え、 140 °Cにて加熱撹拌して
共沸脱水し、 モノマ一 K52を含む溶液を得た。
その後、 共沸蒸留装置を備えた別のフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 化合物 A 5の 40. 00 g、 DMSO 1800 g及びトルエン 300 gを加え、 140°C にて加熱撹拌して共沸脱水し、 ポリマー J 5を含む溶液を調製した。
5 それから、 室温にてモノマー K 51を含む溶液にモノマー K 52を含む溶液を 加え、 150°Cにて 6時間加熱撹拌した。得られた反応液を室温まで放冷した後、 この反応液に上記で調製したポリマ一 J 5を貪む溶液を加え、 80°Cで 10時間、 及び、 120°Cで 18時間加熱撹拌した。 反応後の溶液を室温で放冷した後、 生 成したポリマーを大量の水に沈殿させ、 その後沈殿物を濾別した。 得られた沈殿
10 物を大量の 1N塩酸に一晚浸漬し、 沈殿物を濾別して水洗した後、 95°Cの大量 の熱水に 30分浸漬させた。 こうして得られた沈殿物を再度熱水に 30分浸漬し . た後、..80°Cで 1晚乾燥させ、 ブロック共重合体である下記化学式 (5) で表さ れる高分子電解質を得た。 なお、 第 1の高分子化合物に由籴するセグメントを構
' . 成している構造単位から、 かかるセグメントにおけるイオン交換容量を計算して
(合成例 6 )
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフルォロ 20 ジフエニルスルホン— 3, 3 ' —ジスルホン酸ジカリウム 327. 3 g、 2, 5 —ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム 125.1 g、DMSO 1971 g、 トルエン 310 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間パブリン グした。 その後、 炭酸カリウムを 79. 47 g加え、 140°Cにて加熱撹拌して 共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマ一 K6を得 25 た。総加熱時間は 15時間とした。ポリマー K 6の Mwは 3. 6 X 104であり、
Mnは 2. 8X 104であった。 得られたポリマー K 6の反応液は、 室温まで冷 却して次の反応に用いた。
また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフ ルォロジフエニルスルホン 304. 6 g、 2, 6—ジヒドロキシナフ夕レン 20 6. 4 g、 DMS02228 g、 トルエン 350 gを加え、 室温にて撹拌しなが らアルゴンガスを 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 195. 7 g 加え、 140°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しなが ら加熱を続け、 ポリマー J 6を得た。 総加熱時間は 6時間とした。 'ポリマー J 6 の Mwは 3. 7X 104であり、 Mnは 2. 2X 104であった。得られたポリマー J 6の反応液は、 室温にて放冷した。
その.後、 得られたポリマー J 6の反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポリ マ一 K.6の全量及び NMP 50 OmLを加えた後、 2時間加熱攪拌した後、 温度 を 150°Cに昇温して 6時間撹拌した。
攪拌後の反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのまま 1時間浸漬させた。 反応 液中に生じた沈殿物を濾别した後、 再度 2 N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物 を濾別し、これを水洗した後、 95 °Cの大量の熱水に 1時間浸漬させた。そして、 得られた沈殿物を 80 °Cで 1晚乾燥させ、プロック共重合体である上記化学式( 3 ) で表される高分子電解質を得た。 なお、 第 1の高分子化合 に由来するセグメン トを構成している構造単位から、 かかるセグメントにおけるイオン交換容量を計 算して求めると、 5.3me d/gであった。
(合成例 7 )
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' —ジフルォロ ジフエニルスルホン— 3, 3 ' 一ジスルホン酸ジカリウム 313. 4g、 2, 5 —ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム 120.0 g、DMSO 1892 g、 トルエン 297 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間バブリン グした。 その後、 炭酸カリウムを 76. 29 g加え、 140°Cにて加熱撹拌して
共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマー K7を得 た。 総加熱時間は 14時間とした。 ポリマ一 K7の Mwは 3. 6 X 104、 Mn は 2. 8 X 104であった。 得られたポリマー K7の反応液は、 室温まで冷却し て次の反応に用いた。 また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフ ルォロジラエニルスルホン 292. 3 g、 2, 6—ジヒドロキシナフ夕レン 19 8. 2 g、 DMSO 1070 g、 NMP 1 G 70 , トルエン 34·8 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリ ゥムを 188. 0 g加え、 140°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 ト ルェンを留去しながら加熱を続け、 ポリマー J 7を得た。 総加熱時間は 5時間と した。 ポリマー J 7の Mwは 3. 7 X 104であり、 Mnは 2. 3 X 104であつ た。 得られたポリマー J 7を含む反応液は、 室温にて放冷した。
その後、 得られたポリマ一 J 7を含む反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポリマ一 K 7の全量を加えた後、 温度を 150°Cに昇温して 41時間撹拌した。 攪拌後の反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのまま 1時間浸漬させた。 反応 液中に生じた.沈殿物を濾別した後、 再度 2 N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物 を濾別し、これを水洗した後、.95°Cの大量の熱水に 1時間浸漬させた。そして、 得られた沈殿物を 80 °Cで 1晚乾燥させ、ブロック共重合体である上記化学式( 3 ) で表される高分子電解質を得た。 なお、 第 1の高分子化合物に由来するセグメン トを構成している構造単位から、 かかるセグメントにおけるイオン交換容量を計 算して求めると、 5.3me qZgであった。
(合成例 8 )
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフルォロ ジフエニルスルホン一 3, 3 ' —ジスルホン酸ジカリウム 313. 4g、 2, 5 —ジヒドロキシベンゼンスルホン酸力リウム 120.0 g、DMSO 1892 g、
トルエン 297 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間パブリン グした。 その後、 炭酸カリウムを 76. 29 g加え、 14 (TCにて加熱撹拌して 共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマー K8を得 た。 '総加熱時間は 14時間とした。 ポリマ一 K8の Mwは 3. 6 X 104、 Mn は 2. 7X 1 04であった。 得られたポリマ一 K8の反応液は、 室温まで冷却し て次の反応に用いた。 .
また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4''ージフ ルォロジフエニルスルホン 259. 4 g, 2,. 6—ジヒドロキシナフタレン 1 7 7. 8 g、 DMS0953 g、 NMP 953 g、 トルエン 3 10 gを加え、 室温 にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間パブリングした。 その後、 炭酸カリウム を 16.8. 6 g加え、' 140°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルェ ンを留去しながら加熱を続け、ポリマー J 8を得た。総加熱時間は 5時間とした。 ポリマ一 J 8の Mwは 3. 1 X 1 04であり、 Mnは 1. 9 X 104であった。 得 られたポリマー J 8を含む反応裤は、 室温にて放冷した。
その後、 得られたポリマ一 J 8を含む反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポリマー K 8の全量を加えた。 その後、.温度を 1 30°Cに昇温して 6. 5時間撹 拌し、 更に、 温度を 140°Cに昇温して 33. 5時間攪拌した。
攪拌後の反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのまま 1日 間浸漬させた。 反応 液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再度 2 N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物 を濾別し、 これを水洗した後、 95°Cの大量の熱水に 1時間浸漬させ、 生じた沈 殿物を濾過して集めた。そして、得られた沈殿物を 80°Cで 1晚乾燥させ、ブロッ ク共重合体である上記化学式 (3) で表される高分子電解質を得た。 なお、 第 1 の高分子化合物に由来するセグメントを構成している構造単位から、 かかるセグ メントにおけるイオン交換容量を計算して求めると、 5.3me q/gであった。
(合成例 9)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' —ジフルォロ
ジフエニルスルホン 40. 48 g、 2, 6—ジヒドロキシナフタレン 26. 25 g、 NMP 144 g、 トルエン 144.gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴン ガスを 1時間バブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 24. 14g加え、 1 0 0°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続 け、 ポリマー J 9を得た。 総加熱時間は 10時間とした。 ポリマー J 9の Mwは 2. 0 X 105であり、 Mnは 1. 0 X 105であった。 得られたポリマー J 9の 反応液は、 室温にて放冷した後、 次の反応に用いた。
また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' —ジフ ルォロジフエニルスルホン— 3, 3 ' ―ジスルホン酸ジカリウム 45. 57 g、 ' 2, 5—ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム 20. 02 g、 ジメチルスル ホキシド 284 g、 トルエン 45 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガス を 1時間バブリングした。 その後、 炭酸力リウムを Γ2. 71 g加え、 150 °C にて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマ一 K 9を得た。 総加熱時間は 37. 5時間とした。 ポリマー K9の Mwは 1. 2 X 105であり、 Mnは 5. 4 X 104であった。 得られたポリマー K 9の 反応液は、 室温まで冷却した。 . . ― . その後、 得られたポリマー K9の反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポリ マ一 J 9の全量、 DMSO 96 g及び NMP 280 gを加えた後、 昇温し、 15 0 で42. 5時間加熱撹拌した。
攪拌後の反応液を放冷した後、 この反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのま ま 1時間浸漬させた。 反応液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再度 2N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物を濾別し、 これを水洗した後、 95°Cの大量の熱水に 1時間浸漬させ、 生じた沈殿を濾過して集めた。 その後 80°Cで 1晚乾燥させ、 ブロック共重合体である上記化学式 (3) で表される高分子電解質を得た。
(合成例 10 )
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフルォロ
ジフエニルスルホン 40. 30 g、 2, 6—ジヒドロキシナフ夕レン 26. 25 g、 NMP 143 g、 DMS0143 g、 トルエン 47 gを加え、 室温にて撹拌 しながらアルゴンガス.を 1時間バブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 24. 03 g加え、 100°Cにて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去 しながら加熱を続け、 ポリマー J 10を得た。 総加熱時間は 12時間とした。 ポ リマー J 10の Mwは 1. 9 X 105であり、 は 9. 8 X 104であった。 得 られたポリマー J 10の反応液は、 窒温にて放冷した後、 次の反応に用いた。 また、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' —ジフ ルォロジフエニルスルホン _ 3, 3, 一ジスルホン酸ジカリウム 45. 26 g、 2, 5—ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム 20. O l g、 ジメチルスル ホキシ.ド 283 g、 トルエン 74 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガス を 1時間バブリングした。 その後、 炭酸力リゥムを 12. 71 g加え、 140°C にて加熱撹拌して共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去しながら加熱を続け、 ポリマー K10¾得た。 総加熱時間は 21時間とした。 ポリマー K10の Mwは 1. 3 X 105であり、 Mnは 5. 8 X 104であった。 得られたポリマー K 10 の反応液は、 室温まで冷却した。 .
その後、 得られたポリマー K 10の反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 ポ リマー J 10の全量、 DMSO 97 g及び NMP 285 gを加えた後、 昇温し、 150 °Cで 42. 5時間加熱撹拌した。
攪拌後の反応液を放冷した後、 この反応液を大量の 2 N塩酸に滴下し、 そのま ま 1時間浸漬させた。 反応液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再度 2 N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物を濾別し、 これを水洗した後、 95°Cの大量の熱水に 1時間浸漬させ、 生じた沈殿を濾過して集めた。 その後 80°Cで 1晚乾燥させ、 ブロック共重合体である上記化学式(3)で表される高分子電解質を得た。なお、 第 1の高分子化合物に由来するセグメントを構成している構造単位から、 かかる セグメントにおけるイオン交換容量を計算して求めると、 5.3me d/gであつ た。
(合成例 11)
窒素雰囲気下、 反応容器内に末端 C 1基を有するポリエーテルスルホン (住友 化学'製、 住化工クセル PES 5200 P、 Mn=5. 2 X 104, Mw= 8. 8 X 104) を 2. 10重量部、 2, 5—ジクロ口ベンゼンスルホン酸ナトリウム 5. 70重量部、 2, 2—ビビリジル 9. 32重量部、 ジメチルスルホキシド 1 42. 23重量部、 トルエン 55. 60重量部を入れ、 撹拌した。 次いで、 容器 内を 10 k P a前後まで減圧し、 内温 60〜 70 °Cで昇温し、 8時間還流脱水し た。 脱水後、. トルエンを留去し、 内温を 65°Cに保持した状態でビス (1, 5— シクロォクタジェン) ニッケル (0) 15. 407重量部を添加した。 添加後、 内温 70°Cで 5峙間撹拌した。 反応液を室温まで冷却した後、 メタノールにポリ マ一を析出させ、 さらに 6 N塩酸及び水で洗浄して、 ブロック共重合体である下 記化学式 (10 a) で表される高分子電解質を得た。 なお、 第 1の高分子化合物 に由来するセグ ントを構成している構造単位から、 かかるセグメントにおける イオン交換容量を計算して求めると、 6.4me q/gであった。
(合成例 12 )
アルゴン雰囲気下、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 DMSO200ml、 トルエン 80mL、 2, 5—ジクロ口ベンゼンスルホン酸ナトリウム 8. 5 g (3 4. 2mmo 1) 、 末端 C 1基を有するポリエーテルスルホン (住友化学製、 住 化工クセル PES 7600 P、 Mn=7. 9X 104, Mw= 1. 4 X 105) 2. 8 g、 及び、 2, 2' —ビピリジル 13. 4 g (86. lmmo l) を入れ、 攪 拌した。 次いで、 内温が 140°Cになるまで昇温した。 その温度で 5時間加熱還 流して、 共存する水を共沸脱水により取り除いた。 その後、 2時間かけてトルェ
ンを留去し、 70°Cまで放冷した 。 次いでビス (1, 5—シクロォクタジェン) ニッケル (0) 24. 1 g (87. 7mmo l ) を加え、 内温 70 °Cで 3時間の 加熱攪拌を行った。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマー を析'出させ、 更にこれを濾別した。 その後 6mo 1. L塩酸による洗浄 ·ろ過操 作を数回繰り返した後、 濾液が中性になるまで水洗を行い、 さらに減圧乾燥させ た。 これによりブロック共重合体である上記化学式 (1 0 a) で表される高分子 電解質 4. O gを得た。 なお、 第 1の高分子化合物に由来するセグメントを構成 している構造単位から、 かかるセグメン卜におけるイオン交換容量を計算して求 めると、 6.4me q. -gであった。
(合成例 1 3)
アルゴン雰囲気下、 共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 DMSOを 140m l、 トルェ.ン 60mL、 2, 5—ジクロ口ベンゼンスルホン酸ナトリウム 5. 2 g (2 1. Ommo 1) 、 末端 C 1基を有するポリエーテルスルホン (住友化学製、 住 化工クセル PES 31 00 P, Mn= 3. 0 X 104、 Mw=4. 9 X 1 04) 2. 8 g、 及び、 2, 2 ' ービピリジル 8. 8 g (56.. Ommo 1) 'を入れ、 攪拌 した。 次いで、 バス温を 1 50°Cまで昇温し、 トルエンを加熱留去することによ り系内の水分を共沸脱水した後、 65°Cに冷却した。 次いで、 ビス (1, 5—シ クロォクタジェン) ニッケル (0) 14. 7 g (53. 4mm'o 1 ) を加え、 · 7 0°Cに昇温し、 この温度で 5時間攪拌した。 放冷後、 反応液を大量のメタノール に注ぐことによりポリマーを析出させ、 更にこれを濾別した。 その後 6mo 1 / L塩酸による洗浄 ·ろ過操作を数回繰り返した後、 濾液が中性になるまで水洗を 行い、 減圧乾燥させた。 これによりブロック共重合体である上記化学式 (10 a) で表される高分子電解質 4. 8 gを得た。 なお、 第 1の高分子化合物に由来する セグメントを構成している構造単位から、 かかるセグメントにおけるイオン交換 容量を計算して求めると、 6.4me dZgであった。
(合成例 14)
減圧共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' ージフル
ォロジフエニルスルホン 16. 86 g、 2, 6—ジヒドロキシナフ夕レン 10.
91 g、 NMP 61 g、 DMS〇61 g,、 トルエン 42 gを加え、 室温にて撹拌 しながらアルゴンガスを 1時間バブリングした。 その後、 炭酸カリウムを 10.
10 g加え、 120°Cにて加熱撹拌して減圧共沸脱水した。 .その後、 トルエンを 5 留去しながら加熱を続け、ポリマー J 1 1を得た。総加熱時間は 10時間とした。
J 1 1の Mwは 7. 9 X 1 04であり、 Mnは 2. 8 X 1 04であった。 得られた J 1 1の反応液は、 室温にて放冷した後、 次の反応に用いた。
また、 減圧共沸蒸留装置を備えたフラスコに、 アルゴン雰囲気下、 4, 4' - ジフルォロジフエニルスルホン一 3, 3 ' 一ジスルホン酸ジカリウム 28. 4 7 10 g、 2, 6—ジヒドロキシナフタレン 9. 0 1 g、 ジメチルスルホキシド 1 65 g、 トルエン 48 gを加え、 室温にて撹拌しながらアルゴンガスを 1時間バブリ ングした。 その後、 炭酸カリウムを 8. 34g加え、 120°Cにて加熱撹拌して 8時間、 減圧共沸脱水した。 その後、 トルエンを留去し、 140°Cに昇温して 8 ' . 時間、 加熱を続け、 ポリマー K 1 1を得た。 1 1の1\4 は2.. 2 X 1 05であ 15 り、 Mnは 8. 0 X 104'であった。 得られた Kl 1.の反応液は、 室温まで冷却し た。 . . . .
,その後、 得られた J 1 1の反応液を撹拌しながら、 この反応液に、 K1 1の全 量、 DMSO 65 g及び NMP 135 gを加えた後、 昇温し、 1 35 °Cで 35時 間加熱撹拌した。 攪拌後の反応液を放冷した後、 この反応液を大量の 2 N塩酸に
20 滴下し、 そのまま 1時間浸漬させた。 反応液中に生じた沈殿物を濾別した後、 再 度 2 N塩酸中に 1時間浸漬させた。 沈殿物を濾別し、 これを水洗した後、 95°C の大量の熱水に 1時間浸漬させ、濾過して集めた。その後 80°Cで 1晚乾燥させ、 ブロック共重合体である下記式で表される高分子電解質を得た。 なお、 第 1の高 分子化合物に由来するセグメントを構成している構造単位から、 かかるセグメン
25 トにおけるイオン交換容量を計算して求めると、 3. 7me qZgであった。
[イオン交換容量及び還元粘度の測定]
合成例 1〜14·で得られた高分子電解質をそれぞれ用い、 以下に示すようにし ' てイオン交換容量及び還元粘度を測定した。
すなわち、 まず、 高分子電解質を、 N—メチルピロリドン (NMP) もしくは ジメチルスルホキシド (DMSO) に約 10〜30重量の濃度となるように溶解 して高分子電解質溶液を調製した。 この高分子電解質溶液を、 ガラス板上に塗り 広げた後、 S 0°Cで常圧乾燥することにより高分子電解質膜を得た。 得られた膜 を 2 N塩酸に 2時間浸潰した後、 イオン交換水で洗浄レて、 高分子電解質膜のィ オン交換基をプロトン型に変換した。次いで、ハロゲン水分率計を用い、 105°C でさらに乾燥させて、 プロトン型に変換された高分子電解質膜の絶乾重量を求め た。
その後、 この高分子電解質膜を 0. 1 mo 1 /L水酸化ナトリウム水溶液 5 m Lに浸漬した後、更に 5 Om.Lのイオン交換水を加え、 2時間放置した。その後、 この高分子電解質膜が浸漬された溶液に、 0. lmo Ι/L·の塩酸を徐々に加え ることで滴定を行い、 中和点を求めた。 そして、:高分子電解質膜の絶乾重量と上 記の中和に要した塩酸の量から、 高分子電解質膜のイオン交換容量を算出した。 また、 高分子電解質 0. l gを、 N—メチルピロリドンもしくはジメテルスル ホキシド 9. 9 gに溶解させ、 1 w t %溶液を調製し、 得られた溶液をウベロー デ型の粘度計を用いることにより、 40°Cにおける還元粘度 (mLノ g) を測定 した。 得られた結果はまとめて表 6に示す。
表 6
[添加剤の調製]
(調製例 1 )
特開 2005— 38834号公報の参考例に記載の方法に準拠し、 ジフエ二ル スルホン溶媒中、 炭酸ナトリウム存在下、 4, 4 'ージヒドロキシジフエニルス ルホン、 4, 4 '—ジヒドロキシビフエニル及び 4, 4 '—ジクロロジフエ二ル スルホンを 7 : 3 : 10のモル比で反応させることにより、 下記化学式 (7) で表
されるランダム共重合体を得た。
式中の括弧に付した数字は、 各繰り返し単位のモル比を表し、 このモル比は 1H 一 NMRにより求めた。 このランダム共重合体に対し、 ブロモ化、 ホスホン酸ェ ステル化及び加水分解を施し、 ビフエ二ル構造を含むュニット 1つに対してプロ モ基を約 0. 1個、 ホスホン酸基 (_P (O) (OH)
2で表される基) を約 1. '7個含む構造を有するホスホン酸基含有ポリマーを得た。 なお、 式中、 括弧に付 した数字は、 各繰り返し単位のモル比を示す。 .
(調製例 2)
溶 ^1某.としてジフエニルスルホンを用い、 炭酸カリウムの存在下、 4, 4' —ジ ヒドロキシジフエニルスルホン、 4, 4 ' —ジヒドロキシビフエニル及び 4, 4' '—ジクロロジフエニルスルホンを 4 : 6 : 10のモル比にて反応させることによ り、 下記化学式 (8) で表されるランダム共重合体を調製した。 なお、 式中、 括弧 に付した数字は、 各繰り返し単位のモル比を示す。
次いで、 この共重合体に対して、 特開 2003— 282096号公報に記載の 方法に準じてブロモ化及びホスホン酸エステル化処理を行った後、 更に加水分解 することにより、ビフエノール構造を含むュニット 1つに対してブロモ基を約 0. 2個、 ホスホン酸基 (一 Ρ (〇) (OH)
2で表される基) を約 1. 7個含む構 造を有するホスホン酸基含有ポリマーを得た。
[高分子電解質膜の製造]
(実施例 1 )
合成例 1で得られた高分子電解質を、 NM Pに約 3 0 w t %の濃度となるよう に溶解させて、 高分子電解質溶液を調製した。 次いで、 この高分子電解質溶液を ガラス板上に滴下した。 それかち、 ワイヤーコ一夕一を用いて高分子電解質溶液 をガラス板上に均一に塗り広げた。 この際、 0 . 3 mmクリアランスのワイヤ一 5 コ一夕一を用いて塗工厚みをコントロールした。 塗布後、 高分子電解質溶液を 8 0 °Cで常圧乾燥した。それから、得られた膜を 1 m 0 1 Z Lの塩酸に浸漬した後、 イオン交換水で洗浄し、 さらに常温乾燥することによって厚さ 3 2 ^ mの高分子 電解質膜を得た。 .
10 (実施例 2 )
合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 2で得られた高分子電解質 と調製例 2で得られたホスホン酸基含有ポリマーとの混合物 (高分子電解質:ホ スホン酸基含有ポリマー = 9 0 : 1 0、 重量比) を用いたこと以外は、 実施例 1
' . と同様にして厚さ 2 5 の高分子電解質膜を得た。
15
(実施例 3 ) . ―
, 合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 3で得られた高分子電解質 と調製例 2で得られたホスホン酸基含有ポリマーとの混合物 (高分子電解質:ホ スホン酸基含有ポリマ一 = 9 0 : 1 0、 重量比) を用いたこと以外は、 実施例 1 20 と同様にして厚さ 3 8 mの高分子電解質膜を得た。
(実施例 4 )
合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 4で得られた高分子電解質 を用いた以外は、 実施例 1と同様にして厚さ 2 4 mの高分子電解質膜を得た。
25
(実施例 5 ) ,
合成例 1 1で得られた高分子電解質を、 D M S〇に約 1 0 w t %の濃度となる
ように溶解させて、 高分子電解質溶液を調製した。 次いで、 この高分子電解質溶 液をガラス板上に滴下した。 それから、 ワイヤーコ一夕一を用いて高分子電解質 溶液をガラス板上に均一に塗り広げた。 この際、 0 . 5 mmクリアランスのワイ ヤーコ—夕一を用いて塗工厚みをコントロールした。 塗布後、 高分子電解質溶液
5 を 8 0 °Cで常圧乾燥した。 それから、 得られた膜を l m o し'' Lの塩酸に浸漬し た後、 イオン交換水で洗浄し、 さらに常温乾燥することによって厚さ 3 2 の 高分子電解質膜を得た。
(実施例 6 )
10 合成例 1 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 1 2で得られた高分子電 解質を用いたこと以外は、 実施例 5と同様にして厚さ 2 の高分子電解質膜 を得た.。
' . (実施例 7 ) , .
15 合成例 1 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 1 3で得られた高分子電解 質を用いたこと以外は、 実施例 5と同様にして厚さ 4 4 / mの高分子電解質膜を 得た。
(実施例 8 ) ■ · 合成例 1 4で得られた高分子電解質を、 N M Pに約 2 0 w t %の濃度となるよ 20 うに溶解させて、 高分子電解質溶液を調製した。 次いで、 この高分子電解質溶液 をガラス板上に滴下した。 それから、 ワイヤ一コ一夕一を用いて高分子電解質溶 液をガラス板上に均一に塗り広げた。この際、 0 . 3 mmクリアランスのワイヤ一 コ一夕一を用いて塗工厚みをコントロールした。 塗布後、 高分子電解質溶液を常 圧乾燥した。 それから、 得られた膜を l m o 1 ZLの塩酸に浸漬した後、 イオン 25 交換水で洗浄し、 さらに常温乾燥することによって厚さ 4 5 / mの高分子電解質 膜を得た。
(比較例 1 )
合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 5で得られた高分子電解質 と調製例 1で得られたホスホン酸基含有ポリマ一との混合物 (高分子電解質:ホ スホン酸基含有ポリマー = 9 5.: 5、 重量比) を用いた以外は、 実施例 1と同様 にして厚さ 2 8; mの高分子電解質膜を得た。
5
(比較例 2 )
合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 6で得られた高分子電解質 と調製例 2で得られたホスホン酸基含有ポリマーとの混合物 (高分子電解質:ホ スホン酸基含有ポリマー = 9 0 : 1 0、 重量比) を用いた以外は、 実施例 1と同 10 様にして厚さ 2 9 /x mの高分子電解質膜を得た。
(比較例 3 ) . '
合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 7で得られた高分子電解質 ' . 'を用いた以外は、,実施例 1と同様にして厚さ 2 9 mの高分子電解質膜を得た。 15 ' . .
(比較例 4 ) . .
,合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 8で得られた高分子電解質 を用いた以外は、 実施例 1と同様にして厚さ 2 9 mの高分子電解質膜を得た。
20 (比較例 5 )
合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 9で得られた高分子電解質 を用いた以外は、 実施例 1と同様にして厚さ 2 9 x mの高分子電解質膜を得た。
(比較例 6 )
25 合成例 1で得られた高分子電解質に代えて、 合成例 1 0で得られた高分子電解 質を用いた以外は、実施例 1と同様にして厚さ 4 2 mの高分子電解質膜を得た。
[特性評価]
実施例 1〜 8及び比較例 1〜 6の高分子電解質膜を用い、以下に示す方法に従つ +てこれらの膜抵抗及び吸水寸法変化率を測定した。 また、 各高分子電解質膜を用 いて以下に示すように燃料電池を作製して、 得られた燃料電池の発電性能を評価 5 した。 得られた結果を、 各実施例又は比較例で用いた高分子電解質のイオン交換 容量及び還元粘度とともにまとめて表に示す。 '
(膜抵抗の測定)
まず、 1 c m2の開口部を有するシリコンゴム(厚さ 2 0 0 u rn)の片面にカー 10 ボン電極を貼った測定用セルを 2つ準備し、 これらをカーボン電極同士が対向す るように配置した。そして、白金黒付白金電極は使用せずに、セルに直接インピ一 ダンス測定装置の端子を接続した。 . ' .
' . ' 次いで、 この 2つの測定用セルの間に、 実施例 1〜4及び比較例 1〜6の高分 15 子電解質膜をそれぞれセットして、 測定温度 2 3 °Cで、 2つの測定用セル間の抵 抗値を測定した。 . .
その後、 高分子電解質膜を除いて再度抵抗値を測定した。 そして、 高分子電解質 膜を有する状態と有しない状態とで得られた 2つの抵抗値の差に基づいて、 高分 子電解質膜の膜厚方向の膜抵抗を算出した。 なお、 高分子電解質膜の両側に接触 20 させる溶液としては、 l m o 1 の希硫酸を用いた。
(吸水寸法変化率の測定)
各高分子電解質膜を正方形に切り出し、 得られた膜を 8 0 °Cの水中に 1時間浸 漬した後、取り出した直後の一辺の長さ L wを測定した。それから、膜を 2 3で、 25 相対湿度 5 0 %の雰囲気で平衡吸水状態になるまで乾燥させ、 上記と同じ一辺の 長さ L dを測定した。 そして、 これらの値を用い、 吸水寸法変化率を、 1 0 0 X (L w- L d ) ZL dの式に基づいて算出した。
(膜 -電極接合体の作製及びその外観の評価)
. まず、 膜一電極接合体を製造するために必要な、 触媒インクを作製した。 巿舨 の 5'重量%ナフイオン溶液 (溶媒:水と低級アルコールの混合物) 6mLに 50 5 重量¾白金が担持された白金担持カーボン(S A 50 BK、ェヌ ·ィー 'ケムキヤッ ト製) を 0. 83 g投入し、 さらにエタノールを 13. 2mL加えた。 得られた 混合物を 1時間超音波処理したのち、 スターラーで 5時間攪拌し、 触媒インクを 得た。
続いて、 特開 2004-089976号公報に記載の方法に準拠し、 膜一電極接 10 合体を作製した。 すなわち、 上記実施例 1〜 7及び比較例 1〜 6の高分子電解質 膜の片面の中央部の 5.2 cm角の領域にスプレー法にて触媒インクを塗布した。 吐出口から膜までの距離は 6 cm、 ステージ温度は 7 '5°Cに設定した。 8回の重 ね塗りをした後、 ステージ上に 15分間放置して、 溶媒を除去し、 触媒層を形成 ' . させた。 もう一方の面にも同様に触媒インクを塗布し、 触媒層を形成した。 触媒 15 層の組成と塗布した重量から、片面あたり約 0. 6mgZcm2の白金が配置され . た、 膜一電極接合体を得た。 なお、 高分子電解質膜の皺の評価用には、 各実施例 又は比較例に.対応する高分子電解質膜の片面における 3. 6 cm角の領域に、 そ れぞれ上記と同様の方法で触媒インクを塗布して得られたサンプルを別途作製し た。 そして、 これらのサンプルにおける触媒層外周部の皺の有無を目視にて確認 20 した。 結果はまとめて表に示す。 なお、 膜一電極接合体に発生した皺は、 燃料電 池セル中で膜破れの原因になることがあるので、耐久性の観点から好ましくない。 市販の JAR I標準セルを用いて燃料電池セルを製造した。 すなわち、 各実施 例又は比較例の高分子電解質膜を用いて得られた膜—電極接合体の両外側に、 ガ ス通路用の溝を切削加工した力一ボン製セパレ一夕を配し、 さらにその外側に集 25 電体及びェンドプレートを順に配置し、 これらをポルトで締め付けることによつ て、 有効膜面積 25 cm2の燃料電池セルを組み立てた。
得られた各燃料電池セルを 80°Cに保ちながら、 アノードに加湿水素、 カソ一
ドに加湿空気をそれぞれ供給した。 この際、 セルのガス出口における背圧が 0. IMP aGとなるようにした。 各原料ガスの加湿は、 バブラ一にガスを通すこと で行い、水素用バブラ一の水温は 45 °C、空気用バブラ一の水温は 5 5°Cとした。 ここで、 水素のガス流量は 5 2 QmL.^m i n、 空気のガス流量は 1 6 6 5mL m i n 'とした。そして、電圧が 0. 2 Vとなるときの電流密度の値を測定して、 各燃料電池セルの発電性能を評価した。 電圧が 0. 2 Vとなるときの電流密度が 大きいほど、 燃料電池セルの発電性能が優れていることを示している。 表 7
高分子 膜抵抗 0.2V 触媒層外周部に 高分子電解 吸水寸法
電解質膜 (Ω · cm2 における おける
変化率
) 電流密度 皺の有無 実施例 1 合成例 1 0, 069 0.048 1.64
実施例 2 合成例 2 0.074 0.041 1.54
実施例 3. 合成例 3 0.067. 0.065 1.69
実施例 4 . 合成例 4 0.067 0.043 2.00
実施例 5 · 合成例 1 1 . 0.071 0.032 1.80
実施例 6 合成例 1 2 0.048 0.023 1.45
実施例 7 合成例 1 3 0.050 0.082 >2.00
実施例 8 合成例 1 4 0.078 0.076 1.85
比較例 1 合成例 5 5.0 0.034 測定できず
比較例 2 合成例 6 0.063 0.119 1.87 有 比較例 3 合成例 7 0.046 0.171 1.88 有 比較例 4 合成例 8 0.040 0.252 1.58 有 比較例 5 合成例 9 0.14 0.014 0.29
比較例 6 合成例 1 0 0.13 0.022 1.35
表 6、 7より、 イオン交換容量が 1 . 7 m e Q / g以上であり、 還元粘度が 1 6 O mL.Z g以上である高分子電解質を用いた実施例 1〜 8の高分子電解質膜は、 膜抵抗及び吸水寸法変化率の両方が小さいことが確認された。
一方、 これらの値のいずれか又は両方が上記範囲外である高分子電解質を用い た比較例 1〜 6の高分子電解質膜は、 膜抵抗又は吸水寸法変化率のいずれか又は 両方が、実施例 1〜 4の高分子電解質膜に比して極めて大きいこと力 認された。 本発明によれば、 高効率な燃料電池を確実に得ることができ、 しかも、 含水に 伴う寸法変化が少ない高分子電解質膜を形成し得る高分子電解質及び高分子電解 質膜を提供することが可能となる。また、かかる本発明の高分子電解質膜を備え、 高効率で発電可能であり、 しかも優れた耐久性を有する膜一電極接合体及び燃料 '電池を提供する ζとが可能となる。