WO2006132083A1

WO2006132083A1 - 密封装置

Info

Publication number: WO2006132083A1
Application number: PCT/JP2006/310296
Authority: WO
Inventors: Go Kanzaki; Hiroki Matsui; Naoto Kobayashi; Satoshi Yamanaka
Original assignee: Nok Corporation
Priority date: 2005-06-07
Filing date: 2006-05-24
Publication date: 2006-12-14
Also published as: US20090127796A1; EP1890061A1; KR20080018920A

Abstract

　相対回転する二部材のうちの一方である内周側取付部材に取り付けられる内周側密封部材２と、他方である外周側取付部材に取り付けられる外周側密封部材３との組み合わせよりなる密封装置１において、ラビリンスによるシール能力を一層高めることができ、もって泥水等のダストが浸入するのを有効に抑えることができる密封装置を提供することを目的とする。この目的達成のため、内周側密封部材２の金属環４における外周部位に外周筒部４ｃを設け、外周筒部４ｃの外周面と外周側密封部材３との間、外周筒部４ｃの先端面と外周側密封部材３との間および外周筒部４ｃの内周面と外周側密封部材３との間に、一連の長いラビリンス空間８，９，１０を設けることにした。

Description

明細書

密封装置

技術分野

[0001] 本発明は、密封技術に係る密封装置に関するものである。本発明の密封装置は例えば、ハブベアリングシールとして自動車関連分野に用いられ、または汎用機械等に用いられる。

背景技術

[0002] 従来から、図 5に示すような密封装置 51が知られており、この密封装置 51は、相対回転する二部材 (例えばベアリングの内輪および外輪) 61, 62のうちの一方である内周側取付部材 (例えば内輪) 61に取り付けられるスリンガー部材 52と、他方である外周側取付部材 (例えば外輪) 62に取り付けられるリップシール部材 53との組み合わせにより構成されている。

[0003] スリンガー部材 52は、金属材よりなり、筒状部 52aの軸方向一端に環状の径方向立ち上がり部 52bを一体成形して断面略 L字形に形成され、筒状部 52aをもって内周側取付部材 (例えば内輪) 61の外周面に嵌着されて、る。リップシール部材 53は、同じく断面略 L字形を呈する金属環 54にゴム状弾性体製のシールリップ 55を複数 (図では 3つのリップ)被着したものであって、金属環 54をもって外周側取付部材 (例えば外輪) 62の内周面に嵌着されて、る。

[0004] また、スリンガー部材 52における径方向立ち上がり部 52bの先端（図上上端）は僅かな径方向間隙 cを介してリップシール部材 53と対向しており、よってここに、外部 A の泥水等のダストが密封装置 51の内部 Bに侵入するのを抑えるためのラビリンスシーノレ 56力 S設けられている。

[0005] 上記構成の密封装置 51は、上記したようにスリンガー部材 52における径方向立ち上がり部 52bの先端とこれに対向するリップシール部材 53との間に泥水等のダストの侵入を抑えるラビリンスシール 56が設けられているので、このラビリンスシール 56によるシール作用によってある程度の耐ダスト性を発揮することが可能とされている力ラビリンスシール 56の軸方向長さが極端に短いことから、そのシール性能があまり高くない不都合がある。

[0006] また、従来、図 6に示すように、スリンガー部材 52の外周部位に外周筒部 52cを一体成形してこの外周筒部 52cの外周面全長をラビリンス空間とすることより、ラビリンスシール 56の軸方向長さを大きく設定する技術が開発されているが、これとて依然として長さが不十分であることから、ラビリンスシール 56によるシール性能は未だ不十分である (特許文献 1)。

[0007] 特許文献 1 :実開平 3— 59562号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] 本発明は以上の点に鑑み、上記従来技術と比較してラビリンスシールによるシール性能を一層高めることができ、もって泥水等のダストが浸入するのを極めて有効に抑えることができる密封装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009] 上記目的を達成するため、本発明の請求項 1による密封装置は、相対回転する二部材のうちの一方である内周側取付部材に取り付けられる内周側密封部材と、前記二部材のうちの他方である外周側取付部材に取り付けられる外周側密封部材との組み合わせよりなる密封装置であって、前記内周側密封部材は、前記内周側取付部材に固定される金属環を有し、前記外周側密封部材は、前記外周側取付部材に固定される金属環と、前記金属環に被着されて前記内周側密封部材の金属環に摺動自在に密接するゴム状弾性体製のシールリップとを有する密封装置において、前記内周側密封部材の金属環における外周部位に外周筒部を設け、前記外周筒部の外周面と前記外周側密封部材との間、前記外周筒部の先端面と前記外周側密封部材との間および前記外周筒部の内周面と前記外周側密封部材との間に、一連のラビリンス空間を設けたことを特徴とするものである。

[0010] また、本発明の請求項 2による密封装置は、相対回転する二部材のうちの一方である内周側取付部材に取り付けられる内周側密封部材と、前記二部材のうちの他方である外周側取付部材に取り付けられる外周側密封部材との組み合わせよりなる密封装置であって、前記内周側密封部材は、前記内周側取付部材に固定される金属環を有し、前記外周側密封部材は、前記外周側取付部材に固定される金属環と、前記金属環に被着されて前記内周側密封部材の金属環に摺動自在に密接するゴム状弾性体製のシールリップとを有する密封装置にお!、て、前記内周側密封部材の金属環における外周部位に外周筒部を設け、前記外周筒部の外周面にその先端部から基端部へかけて漸次拡径する傾斜面を設けるとともに、対応する傾斜面を前記外周側密封部材に設け、前記傾斜面によってラビリンス空間を設けたことを特徴とするものである。

[0011] また、本発明の請求項 3による密封装置は、相対回転する二部材のうちの一方である外周側取付部材に取り付けられる外周側密封部材と、前記二部材のうちの他方である内周側取付部材に取り付けられる内周側密封部材との組み合わせよりなる密封装置であって、前記外周側密封部材は、前記外周側取付部材に固定される金属環よりなり、前記内周側密封部材は、前記内周側取付部材に固定される金属環と、前記金属環に被着されて前記外周側密封部材の金属環に摺動自在に密接するゴム状弾性体製のシールリップとを有する密封装置にお!、て、前記外周側密封部材の金属環における内周部位に内周筒部を設け、前記内周筒部は前記内周側密封部材に対し非接触であって、前記内周筒部と前記内周側密封部材との間にラビリンス空間が設けられて、ることを特徴とするものである。

[0012] 更にまた、本発明の請求項 4による密封装置は、上記した請求項 3の密封装置において、内周筒部の外周面と内周側密封部材との間、前記内周筒部の先端面と前記内周側密封部材との間および前記内周筒部の内周面と前記内周側密封部材との間にラビリンス空間が一連に設けられていることを特徴とするものである。

[0013] 上記構成を備えた本発明の請求項 1による密封装置においては、内周側密封部材の金属環に設けられる外周筒部の外周側のみでなぐ先端側および内周側にもそれぞれラビリンス空間が設けられることから、これらのラビリンス空間によるラビリンスシールの長さを従来よりも長く設定することが可能とされる。

[0014] また、上記構成を備えた本発明の請求項 2による密封装置においては、外周筒部の外周側に設定されるラビリンス空間が軸方向にストレートな形状ではなぐ傾斜面状 (テーパー状または円錐面状）に形成されることから、密封装置の回転時、遠心力の作用によるシール機能 (泥水押し戻し作用）を発揮することが可能とされる。

[0015] また、上記構成を備えた本発明の請求項 3による密封装置においては、外周側密封部材の金属環における内周部位に内周筒部が設けられ、この内周筒部が内周側密封部材に対し非接触であるとともに内周側密封部材との間にラビリンス空間を設けるものとされるために、このラビリンス空間による非接触式のラビリンスシールがシールリップによる接触式のリップシールの後背側に配置されることになり、よってラビリンスシールが担当するシール負担を軽減することが可能とされる (密封装置外部の泥水等のダストから見て、手前側にリップシールが配置され、その後ろ側にラビリンスシールが配置されるため、リップシールが一次シールを担当し、ラビリンスシールが二次シールを担当する。したがって二次シールのラビリンスシールは、一次シールのリップシールを漏れたダストのみをシール対象とするため、少な、量のダストであればこれを十分にシールすることができるとの考え方)。

[0016] また、請求項 4に記載したように、このラビリンス空間を、内周筒部の外周面と内周側密封部材との間、内周筒部の先端面と内周側密封部材との間および内周筒部の内周面と内周側密封部材との間に一連のものとして設けると、内周筒部の内周面と内周側密封部材との間のみに設ける場合よりも、ラビリンスシールの長さを長く設定することが可能となる。ラビリンスシールはその長さに応じてシール性能が高められるので、これによりシール性能を高めることが可能とされる。

発明の効果

[0017] 本発明は、以下の効果を奏する。

[0018] すなわち、本発明の請求項 1による密封装置においては、内周側密封部材の金属環に設けられる外周筒部の外周面と外周側密封部材との間、外周筒部の先端面と外周側密封部材との間および外周筒部の内周面と外周側密封部材との間に一連のラビリンス空間が設けられることから、これら複数のラビリンス空間によるラビリンスシールの長さが従来よりも長く設定されている。したがってこれに伴って、ラビリンスによるシール性能を一層高めることができ、泥水等のダストが浸入するのを有効に抑えることがでさる。

[0019] また、本発明の請求項 2による密封装置においては、内周側密封部材の金属環に設けられる外周筒部にその先端部から基端部へかけて漸次拡径する傾斜面が設けられるとともに外周側密封部材に対応する傾斜面が設けられ、この両傾斜面によって傾斜面状のラビリンス空間が設けられることから、この傾斜面状のラビリンス空間は、ラビリンスシール作用のほかに、遠心力を利用するシール作用を発揮する。したがつて、ラビリンスによるシール性能を一層高めることができ、泥水等のダストが浸入するのを有効に抑えることができる。

[0020] また、本発明の請求項 3による密封装置においては、外周側密封部材の金属環における内周部位に内周筒部が設けられ、この内周筒部が内周側密封部材に対し非接触であるとともに内周側密封部材との間にラビリンス空間を設けるものとされるために、ラビリンス空間による非接触式のラビリンスシールがシールリップによる接触式のリップシールの後背側に配置され、ラビリンスシールが担当するシール負担を軽減することが可能とされている。したがって、ラビリンスシールのシール性能とシール対象の量との関係にお、て前者のシール性能が相対的に高められることから、これをもつてラビリンスによるシール性能を一層高めることができ、泥水等のダストが浸入するのを有効に抑えることができる。

[0021] 更にまた、本発明の請求項 4による密封装置においては、ラビリンス空間が、内周筒部の外周面と内周側密封部材との間、内周筒部の先端面と内周側密封部材との間および内周筒部の内周面と内周側密封部材との間に一連のものとして設けられるために、ラビリンスシールの長さを長く設定することが可能となり、これによりシール性能を一層高めることができる。

図面の簡単な説明

[0022] [図 1]本発明の第一実施例に係る密封装置の要部断面図

[図 2]本発明の第二実施例に係る密封装置の要部断面図

[図 3]本発明の第三実施例に係る密封装置の要部断面図

[図 4]本発明の第四実施例に係る密封装置の要部断面図

[図 5]従来例に係る密封装置の装着状態を示す断面図

[図 6]他の従来例に係る密封装置の要部断面図

符号の説明 [0023] 1, 21 密封装置

2, 23 内周側密封部材

3, 22 外周側密封部材

4 スリンガー部材 (金属環）

4a, 6a, 24a, 26a 筒状部

4b. 6b, 24b. 26b 径方向立ち上力り部

4c 外周筒部

4d, 7h 外周面

5, 25 リップシール咅附

6, 24， 26 金属環

7, 27 ゴム状弾性体

7a, 27c 外周ゴム部

7b, 27b 先端ゴム部

7c, 27a 内周ゴム部

7d, 27d 端面ゴム部

7e, 7f, 27e, 27f シーノレリップ

7g, 27g 膨出部

7i, 27h 内周面

8, 9, 10, 12， 28, 29, 31 ラビリンス空間

11, 30 ラビリンスシーノレ

24c 内周筒部

発明を実施するための最良の形態

[0024] つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。

[0025] 第一実施例…

図 1は、本発明の第一実施例に係る密封装置 1の要部断面を示している。当該実施例に係る密封装置 1は、自動車関連分野においてハブベアリング用シール (ノ、ブシール）として用いられるものであって、以下のように構成されている。尚、当該実施例は本願の請求項 1に係る発明につ V、ての実施例である。 [0026] すなわち先ず、当該密封装置 1は、相対回転する二部材のうちの一方の部材であるベアリング内輪（内周側取付部材、図示せず）に取り付けられてベアリング内輪とともに回転する内周側密封部材 2と、二部材のうちの他方の部材であるベアリング外輪 (外周側取付部材、図示せず)に取り付けられて非回転の外周側密封部材 3とを有している。

[0027] 内周側密封部材 2は、金属環の一種であるスリンガー部材 (以下、単にスリンガーとも称する） 4によって構成されて、る。

[0028] このスリンガー 4は、板金等の金属材よりなり、筒状部 4aの軸方向一方（図上右方）の端部に径方向外方（図上上方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部) 4b を一体成形したものであって、前者の筒状部 4aをもってベアリング内輪の外周面に嵌着される。

[0029] 一方、外周側密封部材 3は、リップシール部材 (以下、単にリップシールとも称する） 5によって構成されており、このリップシール 5は、金属環 6と、この金属環 6に被着 (加硫接着）されたゴム状弾性体 7との組み合わせにより構成されて、る。

[0030] 金属環 6は、板金等の金属材よりなり、筒状部 6aの軸方向他方（図上左方)の端部に径方向内方（図上下方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部） 6bを一体成形したものであって、前者の筒状部 6aをもってベアリング外輪の内周面に嵌着される。

[0031] ゴム状弾性体 7は、金属環 6の筒状部 6aの先端外周面に被着された外周ゴム部 7a と、筒状部 6aの先端面に被着された先端ゴム部 7bと、筒状部 6aの内周面に被着された内周ゴム部 7cと、金属環 6の径方向立ち上がり部 6bの内側端面に被着された端面ゴム部 7dと、この端面ゴム部 7dに支持されてスリンガー 4の径方向立ち上がり部 4 bの内側端面に摺動自在に密接するシールリップ (サイドリップ) 7eと、同じく端面ゴム部 7dに支持されてスリンガー 4の取付部 4aの外周面に摺動自在に密接するシールリップ（ラジアルリップ） 7fとを一体に有して!/、る。

[0032] また、スリンガー 4における最外周部位であって径方向立ち上がり部 4bの先端には、軸方向他方へ向けて外周筒部 4cがー体成形されており、これによりスリンガー 4は全体として断面略コ字状に形成されて！ヽる。 [0033] また、この外周筒部 4cの内周側に位置して、リップシール 5のゴム状弾性体 7における端面ゴム部 7dには、軸方向一方へ向けて環状の膨出部 7gがー体成形されており、この膨出部 7gは筒状の外周面 7hを有している。

[0034] したがって、上記構成によると、外周筒部 4cの外周面と内周ゴム部 7cの内周面との間、外周筒部 4cの先端面と端面ゴム部 7dの内側端面との間および外周筒部 4cの内周面と膨出部 7gの外周面 7hとの間にそれぞれ微小間隙のラビリンス空間 8, 9, 10 が形成され、この 3箇所のラビリンス空間 8, 9, 10が、断面略コ字状を呈して、一連に連続するよう構成されているために、このラビリンス空間 8, 9, 10によるラビリンスシール 11の全長が従来よりも長く設定されている。したがって、このようにラビリンスシール 11の全長が従来よりも長く設定されて、ることにより、ラビリンスシール 11によるシール性能を一層高めることができ、泥水等のダストが密封装置 1内、延いてはベアリング内へ浸入するのを有効に抑えることができる。

[0035] 第二実施例 · · ·

図 2は、本発明の第二実施例に係る密封装置 1の要部断面を示している。当該実施例に係る密封装置 1は、自動車関連分野においてハブベアリング用シール (ノ、ブシール）として用いられるものであって、以下のように構成されている。尚、当該実施例は本願の請求項 2に係る発明につ、ての実施例である。

[0036] すなわち先ず、当該密封装置 1は、相対回転する二部材のうちの一方の部材であるベアリング内輪（内周側取付部材、図示せず）に取り付けられてベアリング内輪とともに回転する内周側密封部材 2と、二部材のうちの他方の部材であるベアリング外輪 (外周側取付部材、図示せず)に取り付けられて非回転の外周側密封部材 3とを有している。

[0037] 内周側密封部材 2は、金属環の一種であるスリンガー部材 (以下、単にスリンガーとも称する） 4によって構成されて、る。

[0038] このスリンガー 4は、板金等の金属材よりなり、筒状部 4aの軸方向一方（図上右方）の端部に径方向外方（図上上方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部) 4b を一体成形したものであって、前者の筒状部 4aをもってベアリング内輪の外周面に嵌着される。 [0039] 一方、外周側密封部材 3は、リップシール部材 (以下、単にリップシールとも称する） 5によって構成されており、このリップシール 5は、金属環 6と、この金属環 6に被着 (加硫接着）されたゴム状弾性体 7との組み合わせにより構成されて、る。

[0040] 金属環 6は、板金等の金属材よりなり、筒状部 6aの軸方向他方（図上左方)の端部に径方向内方（図上下方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部） 6bを一体成形したものであって、前者の筒状部 6aをもってベアリング外輪の内周面に嵌着される。

[0041] ゴム状弾性体 7は、金属環 6の筒状部 6aの先端外周面に被着された外周ゴム部 7a と、筒状部 6aの先端面に被着された先端ゴム部 7bと、筒状部 6aの内周面に被着された内周ゴム部 7cと、金属環 6の径方向立ち上がり部 6bの内側端面に被着された端面ゴム部 7dと、この端面ゴム部 7dに支持されてスリンガー 4の径方向立ち上がり部 4 bの内側端面に摺動自在に密接するシールリップ (サイドリップ) 7eと、同じく端面ゴム部 7dに支持されてスリンガー 4の取付部 4aの外周面に摺動自在に密接するシールリップ（ラジアルリップ） 7fとを一体に有して!/、る。

[0042] また、スリンガー 4における最外周部位であって径方向立ち上がり部 4bの先端には、軸方向他方へ向けて外周筒部 4cがー体成形されており、当該実施例では特にこの外周筒部 4cが、その先端部から基端部へかけて漸次拡径する傾斜面状 (テーパ一面状もしくは円錐面状）に形成されている。方向としては、軸方向他方（図上左方）力も一方（図上右方)へかけて漸次拡径する向きである。またこれに合わせて、リップシール部材 5におけるゴム状弾性体 7の内周ゴム部 7cの内周面 7iも、軸方向他方から一方へかけて漸次拡径する傾斜面状に形成されており、これにより外周筒部 4cの外周面 4dと内周ゴム部 7cの内周面 7iとの間に、軸方向他方力も一方へかけて漸次拡径する傾斜面状のラビリンス空間 12が形成され、これによりラビリンスシール 11が構成されている。この傾斜面状のラビリンス空間 12は例えば、上記第一実施例にて示した軸方向ストレート形状のラビリンス空間 8と比較して、その長さを長く設定することができるものでもある。

[0043] 上記構成の密封装置 1において、回転側のスリンガー 4がベアリング内輪とともに高速で回転すると、傾斜面状のラビリンス空間 12内において、遠心力の作用による泥水押し戻し機能が発揮される。ラビリンス空間 12に浸入してきた泥水はこの押し戻し機能によって外側方向（矢印方向）に押し戻される。したがって、上記ラビリンス空間 12によるラビリンスシール効果にカ卩えて、この遠心力による泥水押し戻し効果が発揮されることから、総じて当該密封装置 1のシール能力を高めることができ、よって泥水等のダストが密封装置 1内、延いてはベアリング内へ浸入するのを有効に抑えることができる。

[0044] 尚、傾斜面状のラビリンス空間 12の断面形状は、図示したような斜めストレート形状のほか、円弧状に形成されても良い。

[0045] また、外周筒部 4cまたは Zおよび内周ゴム部 7cの内周面 7iに突起または溝を設けても良い。前記突起または溝の形状としては、軸方向と平行のものにして振り切り効果を向上したり、軸方向に対して傾斜させたり、螺旋状にしてねじ状とすることにより、ボンビング作用によるシール効果を期待することもできる。

[0046] 第三実施例 · · ·

図 3は、本発明の第三実施例に係る密封装置 21の要部断面を示している。当該実施例に係る密封装置 21は、自動車関連分野においてハブベアリング用シール (ノ、ブシール）として用いられるものであって、以下のように構成されている。尚、当該実施例は本願の請求項 3に係る発明につ、ての実施例である。

[0047] すなわち先ず、当該密封装置 21は、相対回転する二部材のうちの一方の部材であるベアリング外輪 (外周側取付部材、図示せず）に取り付けられて非回転の外周側密封部材 22と、二部材のうちの他方の部材であるベアリング内輪（内周側取付部材、図示せず）に取り付けられてベアリング内輪とともに回転する内周側密封部材 23とを有している。

[0048] 外周側密封部材 22は、金属環 24の単品によって構成されており、この金属環 24 は、板金等の金属材よりなり、筒状部 24aの軸方向一方（図上左方)の端部に径方向内方（図上下方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部） 24bを一体成形したものであって、前者の筒状部 24aをもってベアリング外輪の内周面に嵌着される。

[0049] 一方、内周側密封部材 23は、リップシール部材 (以下、単にリップシールとも称する ) 25によって構成されており、このリップシール 25は、金属環 26と、この金属環 26に被着 (加硫接着）されたゴム状弾性体 27との組み合わせにより構成されて、る。

[0050] 金属環 26は、板金等の金属材よりなり、筒状部 26aの軸方向他方（図上右方)の端部に径方向外方（図上上方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部） 26bを一体成形したものであって、前者の筒状部 26aをもってベアリング内輪の外周面に嵌着される。

[0051] ゴム状弾性体 27は、金属環 26の筒状部 26aの先端内周面に被着された内周ゴム部 27aと、筒状部 26aの先端面に被着された先端ゴム部 27bと、筒状部 26aの外周面に被着された外周ゴム部 27cと、金属環 26の径方向立ち上がり部 26bの内側端面に被着された端面ゴム部 27dと、この端面ゴム部 27dに支持されて外周側密封部材 2 2の金属環 24における筒状部 24aの内周面に摺動自在に密接するシールリップ (ラジアルリップ） 27eと、同じく端面ゴム部 27dに支持されて外周側密封部材 22の金属環 24における径方向立ち上がり部 24bの内側端面に摺動自在に密接するシールリップ (サイドリップ） 27fとを一体に有してヽる。

[0052] また、外周側密封部材 22の金属環 24における最内周部位であって径方向立ち上力 Sり部 24bの先端には、軸方向一方へ向けて内周筒部 24cがー体成形されており、これにより金属環 24は全体として断面略コ字状に形成されている。

[0053] この内周筒部 24cは、内周側密封部材 23に近接配置されるものの内周側密封部材 23に対して非接触とされており、この内周筒部 24cの先端面と端面ゴム部 27dの内側端面との間および内周筒部 24cの内周面と外周ゴム部 27cの外周面との間にそれぞれ微小間隙のラビリンス空間 28, 29が形成され、この 2箇所のラビリンス空間 28 , 29が、断面略 L字状を呈して、一連に連続するよう構成され、これにより該部にラビリンスシール 30が形成されている。

[0054] 上記構成の密封装置 21においては、外周側密封部材 22の金属環 24における内周部位に内周筒部 24cが設けられ、この内周筒部 24cが内周側密封部材 23に対し非接触であるとともに内周側密封部材 23との間にラビリンス空間 28, 29を設けるものとされるために、このラビリンス空間 28, 29による非接触式のラビリンスシール 30がシールリップ 27e, 27fによる接触式のリップシールの後背側に配置され、ラビリンスシール 30が担当するシール負担を実質軽減することが可能とされている。したがって、ラビリンスシール 30のシール性能とシール対象の量との関係において前者のシール性能が相対的に高められることから、これをもってラビリンスによるシール性能を一層高めることができ、泥水等のダストが浸入するのを有効に抑えることができる。

[0055] また、ラビリンス空間 28, 29が内周筒部 24cの先端面と端面ゴム部 27dの内側端面との間および内周筒部 24cの内周面と外周ゴム部 27cの外周面との間に 2箇所設けられ、この 2箇所のラビリンス空間 28, 29が断面略 L字状を呈して一連に連続するよう構成されているために、このラビリンス空間 28, 29によるラビリンスシール 30の全長が従来よりも長く設定されている。したがって、このようにラビリンスシール 30の全長が従来よりも長く設定されていることにより、ラビリンスシール 30によるシール性能を一層高めることができ、泥水等のダストが密封装置 21内、延いてはベアリング内へ浸入するのを有効に抑えることができる。

[0056] 第四実施例 · · ·

図 4は、本発明の第四実施例に係る密封装置 21の要部断面を示している。当該実施例に係る密封装置 21は、自動車関連分野においてハブベアリング用シール (ノ、ブシール）として用いられるものであって、以下のように構成されている。尚、当該実施例は本願の請求項 4に係る発明につ、ての実施例である。

[0057] すなわち先ず、当該密封装置 21は、相対回転する二部材のうちの一方の部材であるベアリング外輪 (外周側取付部材、図示せず）に取り付けられて非回転の外周側密封部材 22と、二部材のうちの他方の部材であるベアリング内輪（内周側取付部材、図示せず）に取り付けられてベアリング内輪とともに回転する内周側密封部材 23とを有している。

[0058] 外周側密封部材 22は、金属環 24の単品によって構成されており、この金属環 24 は、板金等の金属材よりなり、筒状部 24aの軸方向一方（図上左方)の端部に径方向内方（図上下方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部） 24bを一体成形したものであって、前者の筒状部 24aをもってベアリング外輪の内周面に嵌着される。

[0059] 一方、内周側密封部材 23は、リップシール部材 (以下、単にリップシールとも称する ) 25によって構成されており、このリップシール 25は、金属環 26と、この金属環 26に被着 (加硫接着）されたゴム状弾性体 27との組み合わせにより構成されて、る。 [0060] 金属環 26は、板金等の金属材よりなり、筒状部 26aの軸方向他方（図上右方)の端部に径方向外方（図上上方)へ向けて環状の径方向立ち上がり部（平面部） 26bを一体成形したものであって、前者の筒状部 26aをもってベアリング内輪の外周面に嵌着される。

[0061] ゴム状弾性体 27は、金属環 26の筒状部 26aの先端内周面に被着された内周ゴム部 27aと、筒状部 26aの先端面に被着された先端ゴム部 27bと、筒状部 26aの外周面に被着された外周ゴム部 27cと、金属環 26の径方向立ち上がり部 26bの内側端面に被着された端面ゴム部 27dと、この端面ゴム部 27dに支持されて外周側密封部材 2 2の金属環 24における筒状部 24aの内周面に摺動自在に密接するシールリップ (ラジアルリップ） 27eと、同じく端面ゴム部 27dに支持されて外周側密封部材 22の金属環 24における径方向立ち上がり部 24bの内側端面に摺動自在に密接するシールリップ (サイドリップ） 27fとを一体に有してヽる。

[0062] また、外周側密封部材 22の金属環 24における最内周部位であって径方向立ち上力 Sり部 24bの先端には、軸方向一方へ向けて内周筒部 24cがー体成形されており、これにより金属環 24は全体として断面略コ字状に形成されている。

[0063] また、この内周筒部 24cの外周側に位置して、リップシール 25のゴム状弾性体 27 における端面ゴム部 27dには、軸方向一方へ向けて環状の膨出部 27gがー体成形されており、この膨出部 27gは筒状の内周面 27hを有して、る。

[0064] したがって、上記構成によると、上記第三実施例と同じ作用効果を発揮するほか、内周筒部 24cの外周面と膨出部 27gの内周面 27hとの間、内周筒部 24cの先端面と端面ゴム部 27dの内側端面との間および内周筒部 24cの内周面と外周ゴム部 27cの外周面との間にそれぞれ微小間隙のラビリンス空間 28, 29, 31が形成され、この 3 箇所のラビリンス空間 28, 29, 31が、断面略コ字状を呈して、一連に連続するよう構成されているために、このラビリンス空間 28, 29, 31によるラビリンスシール 30の全長が上記第三実施例の場合よりも一層長く設定される。したがって、このようにラビリンスシール 30の長さが長く設定されるのに伴ってシール性能を一層高めることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 相対回転する二部材のうちの一方である内周側取付部材に取り付けられる内周側密封部材（2)と、前記二部材のうちの他方である外周側取付部材に取り付けられる外周側密封部材 (3)との組み合わせよりなる密封装置（1)であって、

前記内周側密封部材 (2)は、前記内周側取付部材に固定される金属環 (4)を有し前記外周側密封部材 (3)は、前記外周側取付部材に固定される金属環 (6)と、前記金属環 (6)に被着されて前記内周側密封部材 (2)の金属環 (4)に摺動自在に密接するゴム状弾性体製のシールリップ (7e) (7f)とを有する密封装置（1)にお、て、前記内周側密封部材 (2)の金属環 (4)における外周部位に外周筒部 (4c)を設け前記外周筒部 (4c)の外周面と前記外周側密封部材 (3)との間、前記外周筒部 (4 c)の先端面と前記外周側密封部材 (3)との間および前記外周筒部 (4c)の内周面と前記外周側密封部材 (3)との間に、一連のラビリンス空間（8) (9) (10)を設けたことを特徴とする密封装置。

[2] 相対回転する二部材のうちの一方である内周側取付部材に取り付けられる内周側密封部材（2)と、前記二部材のうちの他方である外周側取付部材に取り付けられる外周側密封部材 (3)との組み合わせよりなる密封装置（1)であって、

前記内周側密封部材 (2)は、前記内周側取付部材に固定される金属環 (4)を有し前記外周側密封部材 (3)は、前記外周側取付部材に固定される金属環 (6)と、前記金属環 (6)に被着されて前記内周側密封部材 (2)の金属環 (4)に摺動自在に密接するゴム状弾性体製のシールリップ (7e) (7f)とを有する密封装置において、前記内周側密封部材 (2)の金属環 (4)における外周部位に外周筒部 (4c)を設け前記外周筒部 (4c)の外周面 (4d)にその先端部から基端部へかけて漸次拡径する傾斜面を設けるとともに、対応する傾斜面を前記外周側密封部材 (3)に設け、前記傾斜面によってラビリンス空間（12)を設けたことを特徴とする密封装置。相対回転する二部材のうちの一方である外周側取付部材に取り付けられる外周側密封部材（22)と、前記二部材のうちの他方である内周側取付部材に取り付けられる内周側密封部材（23)との組み合わせよりなる密封装置（21)であって、

前記外周側密封部材 (22)は、前記外周側取付部材に固定される金属環 (24)よりなり、

前記内周側密封部材 (23)は、前記内周側取付部材に固定される金属環（26)と、前記金属環（26)に被着されて前記外周側密封部材 (22)の金属環（24)に摺動自在に密接するゴム状弾性体製のシールリップ (27e) (27f)とを有する密封装置 (21) において、

前記外周側密封部材（22)の金属環（24)における内周部位に内周筒部（24c)を設け、

前記内周筒部（24c)は前記内周側密封部材 (23)に対し非接触であって、前記内周筒部（24c)と前記内周側密封部材 (23)との間にラビリンス空間（28) (29)が設けられてヽることを特徴とする密封装置。

請求項 3の密封装置において、

内周筒部 (24c)の外周面と内周側密封部材 (23)との間、前記内周筒部 (24c)の先端面と前記内周側密封部材 (23)との間および前記内周筒部（24c)の内周面と前記内周側密封部材 (23)との間にラビリンス空間（28) (29) (31)がー連に設けられて Vヽることを特徴とする密封装置。