WO2006100793A1

WO2006100793A1 - 樹脂混合用紙粉砕物、それを含有する環境配慮型樹脂組成物及びそれを使用した環境配慮型樹脂成形物

Info

Publication number: WO2006100793A1
Application number: PCT/JP2005/016129
Authority: WO
Inventors: Katsumi Onozuka; Yasuji Kazumori
Original assignee: Hokuetsu Paper Mills, Ltd.
Priority date: 2005-03-23
Filing date: 2005-09-02
Publication date: 2006-09-28
Also published as: JP2006265346A; TWI338015B; KR101092272B1; US20090236063A1; EP1862509B1; KR20080005919A; TW200634079A; CN101142283A; EP1862509A4; EP1862509A1; CN101142283B

Abstract

　本発明の目的は、樹脂と天然繊維混合物とからなる紙－樹脂組成物を製造する際に作業性が良好な紙粉砕物を提供し、該紙粉砕物を用いた環境配慮型紙－樹脂組成物の流動性を改善し、射出成形等の加工時の成形性を改善すること。また、黄変と臭気の発生を抑制すること。　本発明に係る樹脂混合用紙粉砕物は、広葉樹漂白化学パルプ７０～１００質量％、針葉樹漂白化学パルプ０～２０質量％及び無機填料０～２０質量％を含有し、ＩＳＯ白色度が７０％以上の中性若しくはアルカリ性の非顔料塗工紙を粉砕して得たことを特徴とする。また、それを含有する環境配慮型紙－樹脂組成物は、前記樹脂混合用紙粉砕物を５０質量％以上含有し、残分の主成分を合成樹脂とするか、或いは、前記樹脂混合用紙粉砕物と生分解性樹脂を主成分とすることを特徴とする。

Description

明細書

樹脂混合用紙粉砕物、それを含有する環境配慮型樹脂組成物及びそれを使用した環境配慮型樹脂成形物

技術分野

[0001] 本発明は、榭脂と天然繊維混合物とからなる紙ー榭脂組成物を製造する際に好適な紙粉砕物と該紙粉砕物を用いた環境配慮型紙ー榭脂組成物に関する。さらに詳しくは、該紙粉砕物は榭脂と複合する際の作業性を改善し、該紙粉砕物を配合した紙ー榭脂組成物が環境配慮型であると同時に従来の榭脂組成物に匹敵する品質を備えた組成物を提供する。また該紙ー榭脂組成物を使用して得られた成形物においては黄変が少なぐ臭いの発生を減少させた紙—榭脂組成物に関する。

背景技術

[0002] 従来、各種の合成樹脂からなる樹脂組成物及びそれらを使用した各種成形品が多量に製造及び使用されて、る。ポリエステル榭脂等一部の榭脂を使った成形物については回収、再生、再利用が進んでいるが、多くの榭脂成形物は焼却若しくは不燃物として廃棄処理されて、るのが現状である。前記榭脂組成物を焼却する場合には焼却時のカロリーが高いことから焼却炉を損傷する等の問題がある。

[0003] 上記問題点を解決する方法として、合成樹脂に加えて充填剤として木粉や紙粉砕物を加えた組成物 (例えば特許文献 1を参照。 )や合成樹脂にかえて自然状態で分解する生分解性榭脂の使用（例えば特許文献 2を参照。 )が環境的配慮の高まりの中で注目されており、一部実用化もされている。

[0004] 天然繊維と榭脂からなる組成物は公知であり、各種の提案がなされて、るが、使用する天然繊維材料、特に紙又はパルプの粉砕物にぉヽてその構成を特定した例はあまり多くな!/ヽ。榭脂配合用繊維材料を特定した技術としては塩素含有物質を極力減らした紙又はパルプの粉砕物の使用が提案されてヽる（例えば特許文献 3を参照。）。

[0005] 特許文献 1：特開 2001— 270508号公報

特許文献 2：特開 2002— 272573号公報特許文献 3：特開 2003 - 73988号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] しかし、榭脂配合用繊維材料として、紙又はパルプの粉砕物を使用する際の最大の問題点は、該粉砕物が非常に嵩高くなりやすい点にある。嵩高な粉砕物は、嵩比重が比較的高い樹脂と混練する際の作業性、生産性を著しく損ねるため、より嵩比重の高、粉砕物が望まれて、る。

[0007] また樹脂と紙粉砕物とを混合した組成物は、紙粉砕物の比率が増加するにつれ流動性が低下するため、紙としての分類に属するための 50質量％以上の配合が困難になることから、流動性が良好な紙粉砕物が望まれて、る。

[0008] しかし、これら 2つの課題を同時に達成できる技術的手段についての提案はほとんど知られていない。

[0009] また、合成樹脂と木粉力もなる組成物の問題点は、高温の熱が力かった場合には、木粉が変色して白、組成物の製造が難、ことがある。

[0010] 木粉にかえて紙を使用する場合には、使用する紙が漂白化学パルプを使用した上質系のものについては変色をかなり抑えることができ、白い紙ー榭脂組成物を得ることができる。さらに白さが必要な場合には、酸ィ匕チタンや炭酸カルシウムを配合することが通常行なわれる。これらの対策により、外観上の黄変は、ほとんど気にならない程度まで減少できるものの、水が紙ー榭脂組成物や成形物に力かると、水のかかった部分が局部的に黄変するという現象が発生することがわ力つた。その機構については必ずしも明確になっていないが、本発明者等が調査したところ、紙—榭脂組成物中の水溶性着色成分がその表面に付着した水の層中に抽出されることで起こり、この着色成分は使用した紙に由来することが判明した。このような現象が起こると成形物の品位'美観を著しく損ねることから、水が力かったり水に浸漬させたりしても黄変しない紙—榭脂組成物が望まれていた。しかし紙—榭脂組成物について黄変、特に水が介在する黄変現象について積極的にとりあげた文献は見当たらない。

[0011] さらに使用する紙によっては黄変のみならず、臭気が発生する場合もある。とりわけ成形時の熱により臭気が発生し、時には成形物にその臭気が残留するという問題が発生しその解決が望まれて！/、た。

[0012] そこで本発明の第一の目的は、榭脂と天然繊維混合物とからなる紙—榭脂組成物を製造する際に作業性が良好な紙粉砕物を提供することにある。また該紙粉砕物を用いた環境配慮型紙ー榭脂組成物の流動性を改善し、射出成形等の加工時の成形性を改善することにある。これらを達成することで紙粉砕物の配合率を高めることが可會になる。

[0013] 本発明の第二の目的は、紙を含有しながらも加工工程での熱による黄変、特に水が介在する黄変を著しく減少させると同時に臭気の発生を抑えた環境配慮型紙ー榭脂組成物を提供することにある。

[0014] さらに本発明の第三の目的は、前記環境配慮型紙ー榭脂組成物を使用した、紙を含有しながらも黄変が少なぐ特に水が力かっても黄変が少なぐ同時に臭気の発生が少な!ヽ環境配慮型成形物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0015] 本発明者らは、紙粉砕物に使用する紙の組成'形態と該紙粉砕物との関係、並びに榭脂と混合した際の作業性、そのとき得られた紙一榭脂組成物の品質との関係にっヽて鋭意検討を進めた結果、各種の紙の中から特定の組成 ·形態を有する紙を選定することで、上記目的を同時に達成できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明に係る榭脂混合用紙粉砕物は、広葉樹漂白化学パルプ 70〜： LOO質量％、針葉樹漂白化学パルプ 0〜20質量％及び無機填料 0〜20質量％を含有し、 ISO 白色度が 70%以上の中性若しくはアルカリ性の非顔料塗工紙を粉砕して得たことを特徴とする。

[0016] 本発明に係る榭脂混合用紙粉砕物では、前記無機填料として、炭酸カルシウム、タルク力選ばれる 1種以上を含有していることが好ましい。白色度が高ぐ粉砕機の刃の寿命に与える悪影響が少な、。

[0017] 本発明に係る榭脂混合用紙粉砕物では、見掛け嵩比重が 0. 1以上であることが好ましい。榭脂との複合ィ匕の作業性が良好となる。

[0018] 本発明に係る環境配慮型紙ー榭脂組成物は、前記榭脂混合用紙粉砕物を 50質量％以上含有し、残分の主成分が合成樹脂であることを特徴とする。ここで紙ー榭脂組成物とは、紙成分と榭脂成分とを混練により混合した混合物である。

[0019] また本発明に係る環境配慮型紙ー榭脂組成物は、前記榭脂混合用紙粉砕物と生分解性榭脂を主成分とすることを特徴とする。

[0020] 本発明に係る環境配慮型紙ー榭脂組成物では、ロジン系榭脂を含有させることが好ましい。組成物の流動性を改善し、柔軟性を付与できる。

[0021] 本発明に係る環境配慮型成形物は、前記環境配慮型紙ー榭脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする。

発明の効果

[0022] 本発明の榭脂混合用紙粉砕物は、榭脂と天然繊維混合物とからなる紙—榭脂組成物を製造する際に作業性が良好である。また該紙粉砕物を用いた環境配慮型紙ー榭脂組成物の流動性が良好であり、射出成形等の加工時の成形性が良い。そして、環境配慮型紙ー榭脂組成物において紙粉砕物の配合率を高めることが可能である。また、その榭脂混合用紙粉砕物を含有する本発明の環境配慮型紙—榭脂組成物は、紙を含有しながらも加工工程での熱による黄変、特に水が介在する黄変が著しく少ない。同時に臭気の発生が抑制されている。そして、その環境配慮型紙榭脂組成物を使用した本発明の環境配慮型成形物は、紙を含有しながらも黄変が少なぐ特に水が力かっても黄変が少なぐ同時に臭気の発生が少ないので、食品分野への適用等が可能である。

発明を実施するための最良の形態

[0023] 以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。

[0024] 本発明に係る榭脂混合用紙粉砕物は、広葉樹漂白化学パルプ 70〜： LOO質量％、針葉樹漂白化学パルプ 0〜20質量％及び無機填料 0〜20質量％を含有し、 ISO白色度が 70%以上の中性若しくはアルカリ性の非顔料塗工紙を粉砕して得られる。ここで本発明にお、て非顔料塗工紙とは、塗工層に顔料が含まれな、塗工紙又は非塗工紙である。

[0025] 本発明で使用する紙は、いわゆる上質紙に分類される紙若しくはその古紙であり、或いはノルプシートでも良い（以後、これらを総称して「紙」と呼ぶ。；)。本発明で使用する紙を構成するパルプは、漂白化学パルプであることが必要である。漂白化学パルプの種類は特に限定するものではなぐ通称 BSPや BKPといわれる漂白亜硫酸パルプや漂白クラフトパルプが使用される。未漂白の化学パルプの使用は避けることが好ましい。機械パルプゃセミケミカルパルプの使用は、たとえそれらが漂白されて Vヽるにしても避けることが好まヽ。またそれらを含有する中質紙に分類される紙の古紙も同様に使用を避けることが好ましい。力かる機械パルプの例としては GP、 TMP 、 CTMP及びそれらの漂白パルプが公知である力未漂白パルプ、機械パルプ及びセミケミカルパルプは、パルプ中にリグニンが著量残留しており、紙粉砕物と紙— 榭脂組成物の白色度が高い場合においてさえも、後の工程で黄変や臭気の原因となる。

[0026] 漂白化学パルプを構成する繊維は非常に重要である。繊維長は短!ヽほど好ましく、通常使用される繊維は広葉樹繊維である。本発明で使用する広葉樹漂白化学パルプの紙中配合率は、少なくとも 70質量％以上必要であり、さらに好ましくは 80質量 %以上であり、配合率が高いほど望ましい。 70質量％に満たない場合は、残部の構成材料によって影響が異なるが、嵩比重の増加や、榭脂との混合物での強度低下等の問題が発生する。一般に広葉樹繊維に比べて繊維長の長い針葉樹繊維が、紙の強度を付与する目的で配合される場合が多い。しかし、針葉樹繊維、すなわち本発明における針葉樹漂白化学パルプの配合は少な、ほど好ましぐ紙中配合率としては、多くとも 20質量％以下である。 20質量％を超えると紙粉砕物の嵩比重が小さくなり、榭脂との混練作業性が悪化し、得られた紙—榭脂組成物の流動性も低下する。

[0027] 無機填料の紙中含有率は 20質量％以下であることが必要である。 20質量％を超えると、紙—榭脂組成物の強度を低下させるとともに、粉砕機の刃の寿命に悪影響を与える。使用する無機填料の種類としては、白色度と刃の寿命カゝら炭酸カルシウム、タルク力選ばれる少なくとも一種が好ましい。炭酸カルシウムの使用は薬品による p H調整を行なわなくても中性紙が得られるため好適である。炭酸カルシウムの種類としては磨耗性の観点から軽質炭酸カルシウムが更に好まヽ。タルクを使用する利点は磨耗性が優れている点である。これらの填料は単独又は混合して使用できる。また、これら以外の無機填料の含有は少量であれば問題ないが、粉砕機の磨耗性に悪影響を与えな、ものが好ま、。

[0028] 使用する紙は、広葉樹漂白化学パルプ 70〜： LOO質量％、針葉樹漂白化学パルプ 0〜20質量％及び無機填料 0〜20質量％からなることが好ましいが、本発明の効果を阻害させない程度で紙力増強剤、サイズ剤、歩留まり向上剤、濾水剤等の各種添加剤を含有していても良い。また、各種澱粉類、表面サイズ剤等を使用し、サイズプレス、ゲートロール等の装置により、表面処理を行なっても良い。

[0029] 使用する紙の白色度は、 ISO白色度で 70%以上が必要である。白色度が 70%より低いと、水による黄変が発生する。さらに好ましくは ISO白色度 75%以上であり、高いほど好ましい。使用する紙自体の白色度が低いと、その後の紙ー榭脂組成物の製造時に白色度を上げる手段、例えば高白色の填料の添加等を行っても水による黄変の問題は回避できない。

[0030] 使用する紙は、中性若しくはアルカリ性の非顔料塗工紙が好ましい。紙が酸性であると、紙ー榭脂組成物を成型する際、金型を腐食させるなど悪影響を及ぼす場合がある。顔料塗工紙を使用した場合には、塗工層に使用される合成ノインダー、とりわけ各種のラテックスが加熱時の悪臭や有害ガス発生の原因となる。

[0031] 上記で特定される紙を粉砕して得られる紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 1以上であることが好ましい。上記の紙を用いれば、粉砕条件を制御することで比較的容易に見掛け嵩比重 0. 1の紙粉砕物が得られる。見掛け嵩比重が 0. 1に満たない場合は、榭脂との複合ィ匕の際の作業性を顕著に低下させる場合がある。

[0032] 前記紙粉砕物は、各種の榭脂と混練されて紙-樹脂組成物となるが、紙粉砕物の比率を 50質量％以上とすることで環境配慮型の紙ー榭脂組成物が得られる。また榭脂として生分解性榭脂を使用することで環境配慮型の紙ー榭脂組成物が得られる。

[0033] 本発明で使用する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン榭脂、ポリプロピレン榭脂、ポリスチレン榭脂、アクリロニトリル 'ブタジエン 'スチレン榭脂、アクリロニトリル'スチレン榭脂、ウレタン榭脂、ポリエステル榭脂、ポリカーボネート榭脂等やこれらの変性榭脂等の汎用榭脂である。これらの合成樹脂は、新規合成品でも使用済み成形物の粉砕物或ヽはリサイクル物でも良く、また単独若しくは混合物であっても良、。

[0034] 本発明に用いられる生分解性榭脂としては、例えば、ポリ乳酸系、ポリブチレンサクシネート系、ポリビニールアルコール系、酢酸セルロース系等の各種生分解性榭脂が使用でき、また単独若しくは混合物であっても良い。

[0035] 環境配慮型とするため、紙粉砕物と合成樹脂との混合割合は、両者の合計質量の 50質量％以下が合成樹脂となるように配合する。好ましい配合割合は、紙粉砕物 Z 合成樹脂 = 51Z49質量％〜70Z30質量％の範囲である。必要に応じて、流動性改良剤ゃ榭脂の酸ィ匕防止剤、帯電防止剤等の助剤を本発明の効果に影響を与えない範囲で添加しても良い。また紙—榭脂組成物に、白色度をあげる目的で、酸ィ匕チタンや炭酸カルシウムを少量添加しても良い。但し、これらの白色充填剤は紙—榭脂組成物の白色度を向上させ、外観上の黄変は改善されたかに見えるが、水が介在する黄変、即ち水浸漬による黄変には対する効果は無い。

[0036] 紙粉砕物と生分解性榭脂を主成分とする紙ー榭脂組成物とする場合には、 V、ずれもが生分解性であるために環境型とするための配合割合は限定されない。ここで、生分解性榭脂と天然有機物の合計量が 50質量％以上であれば生分解性プラスチック研究会が制度化した「グリーンブラ」に適合する。生分解性榭脂がポリ乳酸である場合、紙粉砕物を混合することで、ポリ乳酸単独に比べて射出成形物の引張強度、曲げ弾性率、熱変形温度が向上するという効果が期待できる。現実的には、紙粉砕物と生分解性榭脂の配合割合は、成形性と成形物の品質要求により考慮して決定される。通常、紙粉砕物 Ζ生分解性榭脂 = 20Ζ80質量％〜70Ζ30質量％の範囲である。また上記同様助剤、白色充填剤を適宜使用しても良い。

[0037] 本発明の紙粉砕物と生分解性榭脂にロジン系榭脂を加えると紙ー榭脂組成物の流動性が改善され、さらに柔軟性も付与できる。ロジン系榭脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンやこれらロジンの誘導体を使用することができる。誘導体としては、種々の安定化処理、エステル化処理、精製処理したものが用いられる。なかでもロジン類を各種アルコール類と反応処理したロジンエステルが好ましい。ロジンエステルの例としては重合ロジングリセリンエステル、トールオイルロジングリセリンエステル、ウッドロジングリセリンエステル、部分水添ガムウッドロジングリセリンエステル、ウッドロジンペンタエリスリートールエステル、部分水添ロジンメチルエステル、部分二量化ロジングリセリンエステルが挙げられる。 [0038] この場合のロジン系榭脂の配合率は、紙ー榭脂組成物中で 1質量％〜15質量％の範囲内であることが好ましい。 1質量％より低いと流動性改善及び柔軟化の効果が不十分となる。また 15質量％を超えると耐熱性を悪化させる場合がある。

[0039] 本発明の紙ー榭脂組成物の製造方法は、従来公知の方法が使用できる。例えば紙粉砕物と合成樹脂若しくは生分解性榭脂を所定の割合になるように計量後、ヘンシェルミキサー等で均一に混合し、これを 100〜200°Cの温度で混練機にて均質ィ匕する。その後、必要に応じて押し出し機のフィーダ一に連続的に供給し、ペレツトイ匕し、造粒することが好ましい。

[0040] 本発明の紙—榭脂組成物を用いた成形品は、ペレツトイ匕した本発明の紙—榭脂組成物を従来公知のプラスチック榭脂成形法と同様の成形法により成形することで得られる。本発明の環境配慮型紙ー榭脂組成物により成形される成形品としては、例えば、コップ、皿、食品用トレー、どんぶり、櫛、卷きボビン、ハンガー、カレンダーホルダー、歯ブラシがある。

実施例

[0041] 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「％」は特に断らない限り「質量部」及び「質量％」を示す。

[0042] (実施例 1)

広葉樹漂白クラフトパルプ (LBKP) 90質量％、填料としてタルク（商品名タルク KB ：カミタルク社製)を 10質量％含有し、 ISO白色度 80%である非塗工中性上質紙を、粉砕機（CSカッター： CONDUX社製）にて粉砕し、 100メッシュのスクリーンを通過させて実施例 1の紙粉砕物を得た。該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 15であった。次いで、該紙粉砕物 100質量部に対し、白色充填剤として酸ィ匕チタン (商品名タイべーク A-220:石原産業社製) 5質量部、変性ポリプロピレン (PP)榭脂（商品名ユーメックス 1010：サンノプコ社製） 5質量部、ポリプロピレン (PP)榭脂（商品名 J— 3054H P :出光石油化学社製） 90質量部を加え、ヘンシェルミキサーで均一に混合し、その後、押し出し機に投入してペレツトイ匕し、実施例 1の紙一榭脂組成物を得た。この紙 -榭脂組成物の一部を使って、射出成形機を用、シリンダー設定温度 180°Cにより評価用射出成形品を作製した。

[0043] (実施例 2)

広葉樹漂白クラフトパルプ (LBKP) 80質量％、針葉樹漂白クラフトパルプ (NBKP ) 10質量％、填料として炭酸カルシウム (商品名 TP121：奥多摩工業製)を 10質量 %含有し、 ISO白色度 83%である非塗工中性上質紙を用いて粉砕した以外は実施例 1と同様にして実施例 2の紙粉砕物及び紙-樹脂組成物を得た。なお、該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 12であった。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0044] (実施例 3)

広葉樹漂白クラフトパルプ (LBKP) 70質量％、針葉樹漂白クラフトパルプ (NBKP ) 15質量％、填料として炭酸カルシウム (商品名 TP121 :奥多摩工業製)を 15質量 %含有し、 ISO白色度 85%である非塗工中性上質紙を用いて粉砕した以外は実施例 1と同様にして実施例 3の紙粉砕物及び紙-樹脂組成物を得た。なお、該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 11であった。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0045] (実施例 4)

実施例 1におヽて得られた紙粉砕物 100質量部に対して、白色充填剤として酸ィ匕チタン (商品名タイペータ A— 220:石原産業社製) 5質量部、生分解性榭脂としてポリ乳酸 (PLA) (商品名レイシァ H— 100 :三井ィ匕学社製） 200質量部をカ卩え、ヘンシエルミキサーで均一に混合し、その後、押し出し機に投入し、ペレツトイ匕して実施例 4 の紙—榭脂組成物を得た。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0046] (実施例 5)

紙粉砕物として実施例 2の紙粉砕物を用いた以外は実施例 4と同様にして実施例 5 の紙—榭脂組成物を得た。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0047] (実施例 6)

紙粉砕物として実施例 3の紙粉砕物を用いた以外は実施例 4と同様にして実施例 6 の紙—榭脂組成物を得た。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0048] (実施例 7)

実施例 1におヽて得られた紙粉砕物 100質量部に対して、白色充填剤として酸ィ匕チタン (商品名タイペータ A— 220: 石原産業社製) 5質量部、ロジンエステル (商品名ラ外サイザ一 GP2001：荒川化学工業製) 20質量部、生分解性榭脂としてポリ乳酸（PLA) (商品名レイシァ H— 100 :三井化学社製） 180質量部をカ卩え、ヘンシェルミキサーで均一に混合し、その後、押し出し機に投入し、ペレツトイ匕して実施例 7の紙ー榭脂組成物を得た。この紙ー榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0049] (実施例 8)

紙粉砕物として実施例 2の紙粉砕物を用いた以外は実施例 7と同様にして実施例 8 の紙—榭脂組成物を得た。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0050] (実施例 9)

紙粉砕物として実施例 3の紙粉砕物を用いた以外は実施例 7と同様にして実施例 9 の紙—榭脂組成物を得た。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0051] (比較例 1)

広葉樹漂白クラフトパルプ (LBKP) 60質量％、針葉樹漂白クラフトパルプ (NBKP ) 30質量％、填料としてタルク（商品名タルク KB :カミタルク社製） 10質量％含有し、 I SO白色度 80%である非塗工中性上質紙を用い、粉砕した以外は実施例 1と同様にして比較例 1の紙粉砕物及び紙ー榭脂組成物を得た。なお、該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 08であった。この紙—榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0052] (比較例 2)

広葉樹漂白クラフトパルプ (LBKP) 80質量％、砕木パルプ (GP) 10質量％、填料としてタルク（商品名タルク KB :カミタルク社製） 10質量％含有し、 ISO白色度 70% である非塗工中性上質紙を用い、粉砕した以外は実施例 1と同様にして比較例 2の紙粉砕物及び紙ー榭脂組成物を得た。なお、該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 12 であった。この紙ー榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0053] (比較例 3)

広葉樹漂白クラフトパルプ (LBKP) 60質量％、砕木パルプ (GP) 30質量％、填料として炭酸カルシウム（商品名 TP121 :奥多摩工業製） 10質量％含有し、 ISO白色度 64%である非塗工中性上質紙を用い、粉砕した以外は実施例 1と同様にして比較例 3の紙粉砕物及び紙ー榭脂組成物を得た。なお、該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 11であった。この紙ー榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0054] (比較例 4)

広葉樹漂白クラフトパルプ (LBKP) 90質量％、填料としてタルク（商品名タルク KB ：カミタルク社製） 10質量％含有する原紙上に顔料塗工層を有する ISO白色度 78% の塗工紙を用い、粉砕した以外は実施例 1と同様にして比較例 4の紙粉砕物及び紙 —榭脂組成物を得た。なお、該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 15であった。この紙ー榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0055] (比較例 5)

新聞古紙を用い、粉砕した以外は実施例 1と同様にして比較例 5の紙粉砕物及び紙—榭脂組成物を得た。なお、該紙粉砕物の見掛け嵩比重は 0. 08であった。この紙ー榭脂組成物の一部を使って、実施例 1と同様に評価用射出成形品を作製した。

[0056] 上記実施例 1〜9、比較例 1〜5で用いた紙、得られた紙粉砕物及び紙ー榭脂組成物の評価は下記の方法で行、、その結果を表 1に示した。

[0057] < ISO白色度 >

日本電色工業製 PF— 10で測定した。操作方法は、メーカーの取扱い作業書に準じ、 JIS P 8148 : 2001「紙，板紙及びパルプ— ISO白色度 (拡散青色光反射率）の測定方法」に準拠し測定した。

[0058] <見掛け嵩比重 > 2Lのメスシリンダーに得られた紙粉砕物を入れ質量を測定し、容積当りの質量を算出した。

[0059] < MFR (Melt Flow Rate：溶融流れ速度） >

ASTM D1238 - 98「Standard Test Method

for Flow Rates of Thermoplastic s by Extrusion PlastometerJに準じて、単位: gZlO分、試験温度 = 190°C、試験加重 = 10kgの条件で測定した。

[0060] <混練作業性 >

ヘンシェルミキサーでの混合均一性を下記基準で評価した。

X：撹拌が視感にて不均一である。

〇：撹拌が視感にて良好である。

[0061] <試験片の作製 >

クロックナ一社製 F85にて多目的試験片 (JIS K 7139 A形)及び 80 X 80 X厚さ

3 (mm)のプレートを作製した。

<射出成形プレート色 >

成形した前記プレート (80 X 80 X厚さ 3 (mm) )を視感にて下記基準で判定した。

X X：明らかな黄色味あり。

X：黄色味ややあり。

〇：黄色味が無ぐ良好。

[0062] <射出成形臭気 >

成形した前記プレート (80 X 80 X厚さ 3 (mm) )の臭気を下記基準で判定した。

X X：紙やけ臭気、ラテックス分解ガス由来の異臭あり。

X：紙焼けの臭気がややある。

〇：臭気無ぐ良好。

[0063] <射出成形水黄変 >

成形した前記プレート (80 X 80 X厚さ 3 (mm) )力も切り出した射出成形品 50gを蒸留水 30mlに浸漬し、 35°Cで 2日間保持した。その後、ろ過し、水層について着色度合、を視感で評価した。視感評価は下記の基準で判定した。

X X：黄色。 X :淡黄色。

〇：無色。

[0064] <引張強度 >

JIS K 7162「プラスチック—引張特性の試験方法」に準じて測定した。

[0065] <曲げ強度 >

JIS K 7171「プラスチック一曲げ特性の試験方法」に準じて測定した。

[0066] <曲げ弾性率 >

[0067] < IZOD (アイゾット衝撃試験） >

JIS K 7110「プラスチック—アイゾット衝撃強さの試験方法」（ノッチなし）に準じて測定した。

[0068] <HDT(Heat Distortion Temperat：熱変形温度） >

JIS K 7191— 2「プラスチック一荷重たわみ温度の試験方法」に準じて測定した

[0069] [表 1]

*1 変性 PP: メックス 1010 (サンノプコ）

*2 ロジンエステル:ラクトサイザ GP2001(荒川化学工業)

*3 PP樹脂: J— 3054HP (出光石油化学）

*4 PLA:レイシァ H— 100(三井化学）

実施例分アニーリング処理

比較例 1は、 LBKPの含有量が少ない紙を用いたため、見掛け嵩比重が小さぐ混練作業性が劣った。比較例 2は、 GPを含有する紙を用いたため、その紙の ISO白色度が高くても、水による淡い黄変が生じた。比較例 3は、比較例 2よりもさらに GPを多く含有する紙を用いたため、 ISO白色度が低ぐプレート色が黄色味を帯び、また水による黄変が生じた。さらに成形時に紙焼けの臭気がやや感じられた。比較例 4は、顔料塗工層を有する紙を用いたため、成形時に紙やけ臭気、ラテックス分解ガス由来の異臭が感じられた。比較例 5は、新聞古紙を用いたため、混練作業性が劣り、プレート色が明らかな黄色味を帯び、また水による黄変が生じた。

一方、表 1の結果から明らかなように、実施例 1〜実施例 9では、榭脂と天然繊維混合物とからなる紙—榭脂組成物を製造する際に作業性が良好な紙粉砕物を得られる。また該紙粉砕物を用いた環境配慮型紙ー榭脂組成物においては流動性が改善され、射出成形等の加工時の成形性が改善される。これらにより紙粉砕物の配合率を 50質量％以上に高めることが可能になり、その結果より環境に優しい紙ー榭脂組成物の製造が可能となる。また紙粉砕物を含有しながらも加工工程での熱による黄変、特に水が介在する黄変を著しく減少させると同時に臭気の発生を抑えた環境配慮型紙ー榭脂組成物が得られ、食品分野への適用等商品価値を高めることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 広葉樹漂白化学パルプ 70〜： LOO質量％、針葉樹漂白化学パルプ 0〜20質量％及び無機填料 0〜20質量％を含有し、 ISO白色度が 70%以上の中性若しくはアルカリ性の非顔料塗工紙を粉砕して得たことを特徴とする榭脂混合用紙粉砕物。

[2] 前記無機填料として、炭酸カルシウム、タルク力も選ばれる 1種以上を含有して!/、ることを特徴とする請求項 1記載の榭脂混合用紙粉砕物。

[3] 見掛け嵩比重が 0. 1以上であることを特徴とする請求項 1又は 2記載の榭脂混合用紙粉砕物。

[4] 請求項 1、 2又は 3記載の榭脂混合用紙粉砕物を 50質量％以上含有し、残分の主成分が合成樹脂であることを特徴とする環境配慮型紙—榭脂組成物。

[5] 請求項 1、 2又は 3記載の榭脂混合用紙粉砕物と生分解性榭脂を主成分とすることを特徴とする環境配慮型紙ー榭脂組成物。

[6] ロジン系榭脂を含有させたことを特徴とする請求項 5記載の環境配慮型紙ー榭脂組成物。

[7] 請求項 4、 5又は 6記載の環境配慮型紙ー榭脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする環境配慮型成形物。