JP4581320B2 - 粉末状セルロースおよびその製造法 - Google Patents
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Description
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然セルロースを発程底原料とし、天然セルロースの有する品質を損なわず、粉体流動性に優れた粉末状セルロースおよびその製造法に関する物である。
【0003】
【従来の技術】
従来、粉末状セルロースは、増粘性、乳化安定性、保水性、吸油性、保形性等の特徴を有するため、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、ろ過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤等として、食品、医薬、化粧品、建材、窯業、ゴム、プラスチック等の幅広い分野で使用されている。
【0004】
【0005】
一般に、粉末状セルロースを得る方法としては化学的処理と機械的処理による方法が知られている。化学的処理としてはセルロース原料に硫酸または塩酸等の鉱酸を作用させ加水分解反応を行い、粉末状セルロースを得る方法が公知であり、例えば120〜160℃で20〜45分間希酸、特に1%硫酸で酸加水分解し、粉末状セルロースを得る方法(例えば、特許文献1参照。)、2.5規定塩酸で約15分間酸加水分解し、粉末状セルロースを得る方法(例えば、特許文献2参照。)、各種濃度の塩酸水溶液で高温処理し、粉末状セルロースを得る方法(例えば、特許文献3参照。)等がある。酸加水分解法で得られる粉末状セルロースの特徴としては、嵩密度が大きく、コンパクトで粉体流動性に優れ、また、酸濃度を適宜コントロールする事により、粉末状セルロースの嵩密度を容易に調節できる等の利点を有している。しかしながら、酸加水分解法では、セルロースと酸が接触することにより、低重合度のオリゴマーまたはグルコースが生じるため、酸加水分解後に回収される酸不溶解残渣の量、即ち粉末状セルロースの収率が低いこと、酸によるセルロースの解重合が起きるため、得られる粉末状セルロースの平均重合度が小さくなってしまうこと、さらには、発生した低重合度のオリゴマーまたはグルコースは活性汚泥処理を行って廃棄しなければならないという問題を有していた。さらに、酸加水分解法による粉末状セルロースは通常、原料パルプスラリー調製工程、酸加水分解反応工程、中和工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程、粉砕工程を経て製造されるため、製造工程が非常に煩雑であり、かつ、反応工程では塩酸等の鉱酸、中和工程では水酸化ナトリウム等のアルカリを使用する薬品コスト、および乾燥工程におけるエネルギーコストが生じるという問題を有していた。一方、機械的処理としては公知の分級および/または粉砕技術が利用されている。機械的処理では、原料のロスが殆どないために、高収率であること、酸またはアルカリ等の薬品を使用しないので、薬品によるセルロースの解重合が起きないこと、薬品コストが生じない等の利点を有している。しかしながら、機械的処理では、嵩密度の調節が困難であり、場合によっては機械的処理によってセルロース繊維が毛羽立ち、嵩密度が悪化し(嵩高くなる)、粉体流動性が劣るという問題が生じていた。さらに、機械的処理ではセルロースの持つ靭性のため、微細化するのが非常に困難であった。つまり、化学的処理と機械的処理では、上述したように、その長所と短所が相反する関係にあった。
【0006】
【0007】
機械的処理の改善策として、ボールミルでセルロースおよび/またはエーテル基を有するその誘導体を細粉砕する方法(例えば、特許文献4参照。)や、前処理としてボールミルまたはペレット圧縮成型機において硬化または脆化を行い、それをジェットミルまたはピンディスクミルまたは衝撃ミルで粉砕して、セルロースエーテルまたはセルロースから微粉を製造する方法(例えば、特許文献5参照。)が知られている。しかしながら、これらの方法ではボールミルのような媒体ミルを使用するため、媒体成分の混入が懸念される。さらに、ボールミルで処理することによって天然セルロースが有するセルロースI型結晶構造が崩れ、アモルファスな構造へと変化してしまうという問題があった。すなわち、天然セルロースの有する品質および構造(高重合度、高セルロースI型結晶化度)を有しつつ、粉体流動性に優れた粉末状セルロースおよびその製造法は現状見出されていなかった。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3,954,727号明細書の請求の範囲
【特許文献2】
米国特許第3,141,875号明細書の請求の範囲
【特許文献3】
特開昭53-127553号公報の特許請求の範囲
【特許文献4】
特開昭51-83655号公報の特許請求の範囲
【特許文献5】
特開昭57-92001号公報の特許請求の範囲
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために創案されたものであり、天然セルロースを発程原料とし、天然セルロースの有する品質を損なわず、粉体流動性に優れた粉末状セルロースの製造法を提供するためになされたものである。
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、セルロースI型の結晶化度が50%以上かつ、平均重合度が500以上であると共に、100メッシュ不通過割合が20重量%以下かつ、嵩密度が0.15g/ml以上である晒木材パルプ、晒非木材パルプ、精製リンターのいずれかを原料とした粉末状セルロースは、天然セルロースの有する品質を損なわず、粉体流動性に優れていることを見出し、本発明をなすに至った。また、それは、カッティング式ミルおよび衝撃式ミルおよび/または気流式ミルにより製造できる。
【0012】
【0013】
本発明における粉末状セルロースは、晒木材パルプ、晒非木材パルプ、精製リンターから得ることができる。
【0014】
【0015】
本発明における粉末状セルロースは、セルロースI型の結晶化度が50%以上、好ましくは60%以上、かつ、重合度が500以上、好ましくは600以上、かつ、100メッシュ不通過割合が20重量%以下、好ましくは15重量%以下、かつ、嵩密度が0.15g/ml以上、好ましくは0.20g/ml以上でなければならない。セルロースのI型結晶化度が50%未満であれば、天然セルロースの結晶構造が大きく変化し、アモルファスな構造体となる。即ち、天然セルロースとは異なる構造を示すことになるために好ましくない。また、平均重合度が500未満であると樹脂充填剤や建築材料に使用した際に、強度発現性が劣るために好ましくない。また、100メッシュ不通過割合が20重量%を超えると、粉末状セルロースに占める繊維形態の長いものの割合が増すので、それらが絡み合いやすくなり、粉体流動性が悪化するために好ましくない。さらに、嵩密度が0.15g/ml未満では粉体流動性が悪化すること、一定容積の容器に充填できる粉末状セルロースの重量が減少し、輸送費が割高となってしまうという問題が生じる。
【0016】
【0017】
本発明における機械的処理では、カッティング式ミルおよび衝撃式ミルおよび/または気流式ミルを単独あるいは併用して、さらには、同機種で数段処理することができる。カッティング式ミルとしては、メッシュミル(株式会社ホーライ製)、アトムズ(株式会社山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、カッターミル(東京アトマイザー製造株式会社製)、CSカッタ(三井鉱山株式会社製)、ロータリーカッターミル(株式会社奈良機械製作所製)、ターボカッター(ターボ工業株式会社製)、パルプ粗砕機(株式会社瑞光製)シュレッダー(神鋼パンテック株式会社製)等が例示される。一方、ジョークラッシャー(株式会社マキノ製)、ハンマークラッシャー(槇野産業株式会社製)のようなハンマー式ミルでは、嵩密度の大きい粉体流動性に優れた粉末状セルロースを得ることが困難である。また、衝撃式ミルとしては、パルベライザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインインパクトミル(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン株式会社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、CUM型遠心ミル(三井鉱山株式会社製)、イクシードミル(槇野産業株式会社製)、ウルトラプレックス(槇野産業株式会社製)、コントラプレックス(槇野産業株式会社製)、コロプレックス(槇野産業株式会社製)、サンプルミル(株式会社セイシン製)、バンタムミル(株式会社セイシン製)、アトマイザー(株式会社セイシン製)、トルネードミル(日機装株式会社製)、ネアミル(株式会社ダルトン製)、HT形微粉砕機(株式会社ホーライ製)、自由粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)、ニューコスモマイザー(株式会社奈良機械製作所製)、ターボミル(ターボ工業株式会社製)、ギャザーミル(株式会社西村機械製作所製)、スパーパウダーミル(株式会社西村機械製作所製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング株式会社製)、Npaクラッシャー(三庄インダストリー株式会社製)、ウイレー粉砕機(株式会社三喜製作所製)、パルプ粉砕機(株式会社瑞光製)ヤコブソン微粉砕機(神鋼パンテック株式会社製)、ユニバーサルミル(株式会社徳寿工作所製)等が例示される。一方、ロールミル、ローラーミル、媒体ミル、媒体撹拌ミルでは嵩密度を上げる効果は優れてはいるものの、天然セルロースの有するセルロースI型の結晶構造が崩れ、アモルファスな構造へと変化してしまうため好ましくない。また、凍結粉砕機では嵩密度を上げる効果は優れてはいるものの、動力費が割高となってしまうことや、設備が煩雑となってしまうため好ましくない。気流式ミルとしては、CGS型ジェットミル(三井鉱山株式会社製)、ミクロンジェット(ホソカワミクロン株式会社製)、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、クロスジェットミル(株式会社栗本鐵工所製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、カレントジェット(日清エンジニアリング株式会社製)、ジェットミル(三庄インダストリー株式会社製)、エバラジェットマイクロナイザ(株式会社荏原製作所製)、エバラトリアードジェット(株式会社荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業株式会社製)ニューミクロシクトマット(株式会社増野製作所製)、クリプトロン(川崎重工業株式会社製)等が例示される。
【0018】
【0019】
本発明では、粉末状セルロースを得るための粉砕原料となる天然セルロースの状態に特に制限は無いが、工業生産を考慮すると、シート状もしくはロール状のパルプを用いることが好ましい。また、場合により、粒度をコントロールするために公知の分級工程を経ても問題ない。
【0020】
【0021】
本発明における粉末状セルロースに、機能性付与もしくは機能性向上を目的とし、その他有機および/または無機成分を単独もしくは複数、任意の割合で混合しても、本発明の方法により微細化することも勿論できる。
【0022】
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0024】
【0025】
<参考例1>晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、結晶化度80%、平均重合度1500)を原料として、ナイフミル(PS5−10、パルマン社製)にて、原料仕込み量100kg、供給速度2.5kg/min、回転数2000rpm、ナイフミルスクリーンφ0.5mm使用の条件で粉砕し、99kgの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度80%、平均重合度1500、100メッシュ不通過割合15重量%、嵩密度0.18g/mlであった。
【0026】
【0027】
<参考例2>参考例1より得られた粉末状セルロース(結晶化度80%、平均重合度1500、嵩密度0.18g/ml)を原料として、ナイフミル(PS5−10、パルマン社製)にて、原料仕込み量100kg、供給速度2.0kg/min、回転数2000rpm、ナイフミルスクリーンφ0.3mm使用の条件で粉砕し、99kgの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度79%、平均重合度1450、100メッシュ不通過割合5重量%、嵩密度0.25g/mlであった。
【0028】
【0029】
<実施例3>参考例1より得られた粉末状セルロース(結晶化度80%、平均重合度1500、嵩密度0.18 g/ml)を原料として、ターボミル(T400型、ターボ工業株式会社製)にて、原料仕込み量60kg、供給速度2.0kg/min、回転数3000rpm、スクリーン無の条件で粉砕し、59kgの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度79%、平均重合度1450、100メッシュ不通過割合2重量%、嵩密度0.26g/mlであった。
【0030】
【0031】
<実施例4>参考例1より得られた粉末状セルロース(結晶化度80%、平均重合度1500、嵩密度0.18 g/ml)を原料として、トルネードミル(250型、日機装株式会社製)にて、原料仕込み量30kg、供給速度0.5kg/min、回転数4500rpm、スクリーン無の条件で粉砕し、29kgの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度78%、平均重合度1450、100メッシュ不通過割合1重量%、嵩密度0.38g/mlであった。
【0032】
【0033】
<実施例5>
実施例3より得られた粉末状セルロース(結晶化度79%、平均重合度1450、嵩密度0.26g/ml)を原料として、シングルトラックジェットミル(STJ-200、(株)セイシン企業製)にて、原料仕込み量3kg、供給速度0.1kg/min、プッシャーノズル圧力0.7Mpa、グラインディングノズル圧力0.7Mpa、風量3.15m3/minの条件で粉砕し、2.9kgの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度78%、平均重合度1400、100メッシュ不通過割合1重量%、嵩密度0.40g/mlであった。
【0034】
【0035】
<比較例1>参考例1同様、晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、結晶化度80%、平均重合度1500)を原料として、鬼歯クラッシャー(RC−600、槇野産業株式会社製)にて、原料仕込み量100kg、供給速度5.0kg/min、回転数10rpmの条件で粉砕した。しかしながら、粉砕品はこぶし大のパルプシート破片となるのみで、粉末状セルロースは得られなかった。回収した99kgのパルプシート破片は、結晶化度80%、平均重合度1500、100メッシュ不通過割合100重量%、嵩密度については破片状のため、測定できなかった。
【0036】
【0037】
<比較例2>参考例1より得られた粉末状セルロース(結晶化度80%、平均重合度1500、嵩密度0.18 g/ml)を原料として、バッチ式振動ミル(MB3型、中央化工機株式会社製)にて、原料仕込み量45g(0.25L)、振動数1000cpm、振幅8mm、ボール径30mm、ボール充填率80%の条件で30分間粉砕し、40gの塊状セルロースを得た。さらに、得られた塊状セルロースをシングルトラックジェットミル(STJ−200、(株)セイシン企業製)を用いて、実施例5と同様の条件にて解砕し、40gの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度45%、平均重合度480、100メッシュ不通過割合5重量%、嵩密度0.30g/mlであった。
【0038】
【0039】
<比較例3>
粉砕時間を90分に変更した以外は比較例2と同様の方法で粉砕し、37gの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度15%、平均重合度400、100メッシュ不通過割合3重量%、嵩密度0.40g/mlであった。
【0040】
【0041】
<比較例4>
晒し木材パルプシート(NBSP、日本製紙(株)製、結晶化度82%、平均重合度1200)を原料として、原料仕込み量40g(パルプスラリー濃度5%)、0.5規定塩酸で90℃・40分間酸加水分解し、34gの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度85%、平均重合度400、100メッシュ不通過割合3重量%、嵩密度0.33g/mlであった。
【0042】
【0043】
<比較例5>
晒し木材パルプシート(NBSP、日本製紙(株)製、結晶化度82%、平均重合度1200)を原料として、原料仕込み量40g(パルプスラリー濃度5%)、0.1規定塩酸で90℃・20分間酸加水分解し、35gの粉末状セルロースを得た。尚、得られた粉末状セルロースは、結晶化度83%、平均重合度800、100メッシュ不通過割合40重量%、嵩密度0.13g/mlであった。
【0044】
【0045】
<比較例6>
市販の粉末状セルロースとして、「KCフロックW-300G」(日本製紙株式会社製)を用いた。尚、「KCフロックW-300G」は、結晶化度92%、平均重合度370、100メッシュ不通過割合1重量%、嵩密度0.40g/mlであった。
【0046】
【0047】
【表1】
【0048】
【0049】
(試験法)
<結晶化度>
セルロースI型の結晶化度は、試料のX線回折を測定することで求めた。X線回折の測定は、適当量の試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(RAD-2Cシステム、理学電気社製)を用いた。セルロースI型の結晶化度の算出はSegalらの手法(L.Segal,J.J.Greely etal,Text.Res.J.,29,786,1959)、およびKamideらの手法(K.Kamide et al,Polymer J.,17,909,1985)を用いて行い、X線回折測定から得られた回折図の2θ=4°〜32°の回折強度をベースラインとして、002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出した。
χc=(I002C−Ia)/I002C×100
χc:セルロースI型の結晶化度(%)
I002C:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
<平均重合度>
第13改正日本薬局方解説書、結晶セルロース確認試験(3)記載の銅エチレンジアミンを用いた粘度測定法によって平均重合度を求めた。
<100メッシュ不通過割合>
JIS Z 8815に準拠し、ロータップ型篩振とう機(株式会社岩田工業製)および100メッシュ篩(東京スクリーン株式会社製、目開き150μm)を用いて、100メッシュ篩上の残存試料重量を測定し、100メッシュ不通過割合を算出した。すなわち、この値が小さくなるほど、粉末状セルロースに占める繊維形態の長いものの割合が少ないことを意味する。
<嵩密度>
パウダテスタ(PT-N型、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定し、Pack Densityの値を嵩密度とした。すなわち、この値が大きくなるほど、コンパクトになることを意味する。
【0050】
【0051】
<粉体流動性試験>パウダテスタ(PT−N型、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定し、Angle Reposeの値を安息角とし、粉体流動性の指標とした。すなわち、この値が小さくなるほど粉体流動性に優れることを意味する。
<充填剤適性試験>参考例1〜2、実施例3〜5、比較例1〜6より得られた粉末状セルロースを、乾燥重量30部と、ポリブチレンサクシネート・アジペート(商品名:ビオノーレ#3001、融点94℃、昭和高分子(株)製)70部をラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて温度110℃で混練した。混練後熱圧プレス機を用いて下記の条件で熱圧成形し、厚さ300μmのフィルムを作製して試料とし、下記の条件で引張り強度(kgf/cm)を測定し、機械的強度とした。試験結果を表2に示す。
【0052】
【0053】
・熱圧プレス条件
温度 :110℃
圧力 :6.0MPa
保持時間:約3分
【0054】
<混練性>
粉末状セルロースとポリブチレンサクシネート・アジペートの混練状態を目視で判定した。
○:良好
△:やや不良
×:不良
【0055】
<引張り強度>
試験機 :引張り試験機(テンシロン、東洋製機製)
スピード :100mm/min
ロードセル:100kg
スパン :30mm
温度 :23℃
湿度 :50%
【0056】
【表2】
【0057】
【0058】
【発明の効果】
本発明の粉末状セルロースは、天然セルロースの有する結晶構造および品質を損なわず、粉体流動性に優れたものである。また、その製造法は特定の粉砕機を用いた機械的処理によるものなので、収率が高く、簡便に製造可能である。
Claims (1)
- カッティング式ミルおよび衝撃式ミルおよび/または気流式ミルを併用することを特徴とするセルロースI型の結晶化度が50%以上かつ、平均重合度が500以上であると共に、100メッシュ不通過割合が20重量%以下かつ、嵩密度が0.15g/ml以上である晒木材パルプ、晒非木材パルプ、精製リンターのいずれかを原料とした粉末セルロースの製造法。
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