JPH07268718A - 再生セルロース繊維の湿式紡糸法 - Google Patents

再生セルロース繊維の湿式紡糸法

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JPH07268718A
JPH07268718A JP5847094A JP5847094A JPH07268718A JP H07268718 A JPH07268718 A JP H07268718A JP 5847094 A JP5847094 A JP 5847094A JP 5847094 A JP5847094 A JP 5847094A JP H07268718 A JPH07268718 A JP H07268718A
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spinning
dope
flow
coagulating liquid
speed
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JP5847094A
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Inventor
Hideaki Tamaya
英明 玉屋
Kazunari Nishiyama
和成 西山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 物性の良好な糸切れの少ない長期に渡る紡糸
安定性に優れた高速湿式紡糸方法を提供する。 【構成】 凝固液供給部とこの供給部から一定距離をお
いた下流側に設けられた円錐放射状に穿孔された紡糸ノ
ズルからなる紡糸装置により、走行する柱状の凝固液流
の周囲から紡糸原液を吐出させた再生セルロース繊維の
湿式紡糸方法。 【効果】 糸立て作業性に優れ、かつ長期に渡る紡糸安
定性に優れた高速紡糸方法が提供され、生産性の向上が
図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紡糸口金から3級アミン
オキサイド系の紡糸ドープ(以下ドープと略称する)を
一旦空中に吐出し、次いで凝固液に導いて紡糸するとい
う、いわゆるエアギャップ式湿式紡糸に関する。高速紡
糸に適し、紡糸操作が容易で、かつ紡糸状態が安定した
エアギャップ紡糸に関する。
【0002】
【従来の技術】再生セルロース繊維の製造は一般に、ド
ープを液体の凝固浴を通した後に凝固液と分離し、精
練、薬液処理等の工程及び乾燥工程を通して製品とする
湿式紡糸法が通常行われている。従来から湿式紡糸法は
溶融紡糸法などと較べて紡糸速度が遅く、労働生産性や
設備生産性が低いという欠点があり、この欠点を解決す
るために種々の高速紡糸法の開発が試みられている。
【0003】紡糸口金からドープを一旦空気中または不
活性な非凝固性雰囲気中に吐出し、その後凝固液中に導
いてドープ流を凝固させるエアギャップ紡糸法は、吐出
されたドープ流が凝固されない雰囲気中で流動延伸され
るためにドープ流を細化、すなわち細デニール化しやす
いことや高速引き取りしやすいこと、また紡糸口金が凝
固液に浸漬されないために、各々を独立に温度設定でき
るなどの利点を有し、慣用の湿式紡糸法の一つとして古
くから多くの提案がある(例えば、特公昭31−831
3号公報、特公昭36−12711号公報、特公昭40
−26212号公報、特公昭42−815号公報な
ど)。
【0004】さらに、このエアギャップ紡糸の高速引き
取り性、すなわち高速紡糸性をさらに助長すると共に凝
固液と凝固糸条の走行摩擦抵抗を軽減して、凝固糸に加
わる損傷を避けようとするために、凝固糸条を凝固液と
共に紡糸浴に設けた流管をを通じて引き出すという、い
わゆる流管式湿式紡糸との組み合わせも、多く提案され
ている(例えば、特開昭53−78230号公報、特開
昭53−78231号公報、特開昭56−128312
号公報、特開昭57−121612号公報、特開昭59
−21709号公報、特開昭59−157316号公
報、特開昭60−94617号公報、特開昭61−10
2413号公報、特開昭61−47814号公報な
ど)。
【0005】また、エアギャップ法に特有の、主として
空気中に吐出されたドープ流を凝固液に導く糸立て作業
の難しさを軽減する工夫も提案されている(例えば、特
公昭61−22042号公報、特公平3−59161号
公報、特開平1−111005号公報など)。3級アミ
ンオキサイド系の紡糸ドープでは特にそのドープの温度
が高い、紡糸浴を出た後の延伸率が低く、したがって紡
糸浴からの引き取り速度そのものを速くせざるを得ない
などの面から、エアギャップ紡糸法が多く提案されてい
る(例えば、特公昭57−49656号公報、特公昭6
0−28848号公報、特開平4−308219号公
報、特開平4−308220号公報など)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のエアギャップ紡
糸法は流管紡糸法との組み合わせ等により、高速化の点
で好ましいものであるが、この様な流管による流動浴化
は、凝固液使用量が多くなることを防ぐためや、高速化
に伴って増加する凝固液から糸条を取り出す時の分離抵
抗を減少させるなどのために流管断面積を小さくして通
常使用されている。しかし、流管断面積を小さくすると
糸立て作業が難しくなるという問題が大きくなる。すな
わち、糸立て時には紡糸ノズルから吐出されたドープ流
が紡糸ノズル表面で塊状となりやすく、この塊をうまく
取り除きながら流管に導く必要があり、糸立て作業に熟
練を要すると共に、要する時間、労力が大幅に増加す
る。また、温度の高いドープや凝固液を使用する場合な
どは、作業上の安全性の面からも問題が大きい。
【0007】また、流管断面積を小さくすると、紡糸中
に凝固液面の揺れや凝固液中の異物により流管が塞がれ
やすく、糸切れを起こす危険性が高くなる。これは、単
にその錘の欠錘による生産性の低下だけでなく、エアギ
ャップ流管紡糸法では紡糸装置より溢れた紡糸原液や凝
固液が周囲の錘の糸条に接触し、多錘の糸切れにつなが
る。また、流管紡糸法のように流管のみが開放口である
様な紡糸法の場合には、流管の閉塞により高圧で吐出さ
れた紡糸原液が紡糸装置を破壊してしまうか、或いは凝
固液の配管中に逆流し配管内で固化し配管を塞いでしま
う。このように、流管断面積を小さくすることにより運
転管理に特別な留意が必要となってしまう。
【0008】これらの問題に対して、流管内を糸条が通
らない濡れ壁状凝固液流を用いたエアギャップ紡糸法が
提案されているが、この方法により流管詰まりの問題は
軽減できるが、凝固液流の速度を安定に上昇させること
が難しく、液乱れが増大して、ここに導入されるドープ
細流に大きな損傷を与えるようになる。そのため、この
ような方法では高速化と品質の安定の両立が難しくなる
問題があった。
【0009】これらは、いずれもエアギャップ紡糸を工
業的に実施する上で、紡糸開始と安定運転を維持管理す
るために多大の人手と時間を必要とし、また紡糸の中断
時の影響が大きくなりやすいなど、操業度を高める上で
問題が大きい。本発明らは、上記の問題を鋭意検討した
結果、糸立て作業が容易であり、長期に亘っての安定紡
糸が可能であり、繊維物性を損なうことなく高い紡糸速
度で紡糸できる3級アミンオキサイド系ドープの湿式紡
糸方法を見いだし、本発明をなすにいたった。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、実
質的にセルロースと3級アミンオキサイドと水の混合物
からなるドープを湿式紡糸するにあたり、凝固液を柱状
に形成するように流出させ、該凝固液流の進行方向に対
する下流側に該凝固液流から隔離して設置された紡糸ノ
ズルから上記ドープを吐出させ、一旦空中を走行させた
後、該凝固液流に合流させて紡糸することを特徴とする
再生セルロース繊維の湿式紡糸法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
いう「柱状」とは、管を通して空間中に吐出された、液
量、速度および進行方向が制御された液流を総称するも
のを言う。本発明にいう「実質的にセルロースと3級ア
ミンオキサイドと水の混合物」とは、ドープの成分の全
てがセルロースと3級アミンオキサイドと水のみから成
るもののみを言うものではなく、セルロースや3級アミ
ンオキサイドの製造工程で混入した微量の残留物やセル
ロースの解重合や分解で生成した、例えばヘミセルロー
スといわれるものなどが少量含まれているもの、さらに
溶剤の分解やセルロースの解重合を防止したり、繊維の
光沢や風合いなど調整するために安定剤や添加剤を少量
添加、または混合されたものも含むものを言う。
【0012】本発明の湿式紡糸法の特徴は、柱状をなし
て流動する凝固液流に対し、該凝固液流の進行方向に対
する下流側に設置された紡糸ノズルに穿孔された紡孔よ
り吐出された紡糸原液細流を合流させる点にある。これ
を実施態様の一例を示す図1を引用し詳細に説明する。
まず、凝固液は凝固液供給部1より供給され、流管2よ
り所望の速度に設定された柱状の液流として吐出され
る。
【0013】本発明にいう吐出角度θは、凝固液流6の
流れ方向と紡孔4の軸線の方向がなす角度をいう。紡糸
原液は、流管2の下流側に設置された紡糸ノズル3の紡
孔4より吐出角度θで吐出され、ドープ細流7として一
旦空間を走行させた後、合流点8で凝固液流6に合流さ
れ、凝固液流6と共に走行しつつ凝固を受ける。通常用
いられているエアギャップ紡糸法では、紡糸ノズルは凝
固液槽や流管の上方にあって、紡糸ノズルから吐出され
たドープ細流は上から下方へ自由落下あるいは引っ張ら
れて凝固液と接触するように配置されるのが一般的であ
るのに対し、本発明の湿式紡糸法では紡糸ノズルは流管
の下方に、紡孔は凝固液流の側方に位置するように設置
され、空中を走行するドープ細流は凝固液の走行方向に
対して大きな角度を有した形状に走行する。
【0014】紡糸ノズルから吐出されたドープ細流は、
その吐出線速度が十分に大きい場合は、直接凝固液流ま
でほぼ紡孔の軸線に沿って走行し、凝固液柱に傾いた角
度で接触し、その後液柱の移動方向に沿って走行する。
吐出線速度の大きさによって、表面に付着した状態で走
行する場合や、液柱の内部まで侵入する場合があるが、
いずれであっても紡糸状態は極めて安定である。一方、
吐出線速度が小さい場合は、紡孔から下方へ垂れる状態
になるが、一旦液柱に接触させさえすれば、その後は自
動的に液柱に沿って整然と走行する状態になる。このと
き、液柱の速度が低い場合には、紡孔からのドープ細流
は液柱の軸線に対して垂直になるような位置へ空中を走
行する。これは、ドープ細流の液柱との接触点において
表面張力が均等になるように作用するためと推定され、
特公昭61−22042号公報で示されている現象と同
様なことが観察される。いずれの状態の場合において
も、紡糸状態は極めて安定であり、エアギャップ部分の
ドープ細流の揺れや乱れが極めて起きにくい状態を保つ
ことができる。
【0015】本発明の湿式紡糸法は、通常エアギャップ
紡糸法での凝固液の流速が低いゾーンが全く無く、ドー
プ細流を大きな流速を持った凝固液に直切接触させて走
行させることができることから、凝固液との速度差によ
る流動抵抗が大幅に軽減でき、高速度化が容易になると
共に、凝固糸条への損傷が抑えられる。また、流動配向
性の高いドープなどの高速紡糸の際に特に起き易い傾向
にある過度に高い弾性率や、フィブリル化しやすくなる
などの糸の欠点を軽減する目的の条件設定が容易に採用
できるようになる。つまり、高速で走行させるにもかか
わらずドープ細流や凝固初期の糸条にかかる張力が極め
て小さくできるため、凝固を遅らせてノズルや空中での
剪断配向や流動配向を緩和し、かつ、低ドラフト率で高
速走行させて紡糸することが可能になる。
【0016】紡孔軸は製作精度などの事情によって完全
に一定にはならないことがあるが、本発明の方法によれ
ば、この製作精度の許容範囲も広く、大略15度以内の
誤差であれば目的を達する。また、凝固液柱と紡口の芯
出しの精度も通常のエアギャップ紡糸や浸漬紡糸に比べ
てその許容範囲が広く採れることも本発明の特徴であ
る。従来の紡糸方法では、ノズルと流管の芯合わせの精
度は、その紡糸性を左右する重要な因子であり、この精
度が高速度での紡糸の安定性を大きく左右し、厳密な製
作精度と取付精度が必要な上に運転管理にも多大の時間
と労力を要していたが、本発明においては、数mm程度
の変化があっても紡糸の安定性に影響がない。
【0017】本発明の湿式紡糸法では、ノズルが液柱の
外側に離れて位置しているために、糸切れやノズル詰ま
りなどのトラブル時の流管の閉塞事故などが無くなり、
運転管理上もその労力が大幅に軽減される。本発明の湿
式紡糸法では、凝固液流6は流管2を介して供給される
が、該流管2の形状、寸法、材質には特別の制約は無
く、凝固液流6の所望速度、紡糸原液の性質、紡糸速
度、デニール等を勘案して適切なものを選べばよい。ま
た、流管2は管状でなく液流の断面の大きさを規制する
ためのオリフィスであってもよく、その断面は円形、楕
円形、長方形、またはスリット状等であってもよい。
【0018】流管2より吐出された凝固液流6は吐出さ
れた直後は連続した柱状をしていることが好ましいが、
徐々に断続化し、更に末端では液滴化する。流管2の下
流側に設けられた紡糸ノズル3からこの凝固液流6に向
かい紡糸原液細流7を合流させる際には、合流点8は凝
固液流6が実質的に連続柱状状態の位置であることが紡
糸原液細流7と凝固液流6の均一な接触を行なうために
も好ましい。流管2の下端から合流点8までの距離を短
く設定すると一層好ましい。流管2から吐出された凝固
液流6が実質的に連続である距離は、採用された凝固液
の性質、凝固液速度等によって異なるため紡糸条件に合
わせて距離を設定することが肝要である。液流の連続化
状態はストロボ発光器等を用いることなどにより容易に
観察することができる。例えば、粘度が約1cpの水の
場合、流速1000m/分では1000mm程度までは
実質的に連続流とすることができる。
【0019】本発明における紡孔4は、凝固液流6に合
流すべく穿孔される。例えば、円状に配置される場合
は、図2(a)に示すように穿孔面が円錐面の内面を形
成するように穿孔される。紡孔4の配列は、円状、正方
形状、長方形状、三角形状、あるいはそれらの多重穿孔
等、流管2の断面形状に合わせて選ばれればよい。ま
た、孔数は目的とする単糸数、デニールに応じて設定さ
れればよい。穿孔される紡孔4の断面形状は、円形はも
ちろん異形糸製造用の異形断面でも構わない。紡孔の大
きさは、紡糸原液の種類、原液濃度、延伸倍率などによ
り適切な値に設定されればよいが、紡糸時の孔詰まりな
どの面からは、例えば円形の場合はその直径が30μm
以上あることが好ましい。
【0020】ノズルの先端が突起状になった構造のもの
を用いると糸立て時やドープ中の異物などによるドープ
細流のノズル面への付着やドープ細流同志の接着を防ぐ
ためにも好ましい。更に、本発明における紡糸ノズル3
は紡孔穿孔面の上方部分に、凝固液流6を通過させるた
めの開口部を有した構造になっている。この開口部を通
して、流動する凝固液流6に対し、紡孔4より吐出され
たドープ細流7を合流させる。
【0021】ドープ細流7の吐出線速度は、設定紡糸速
度、設定凝固液流速度、紡糸原液の種類や粘度、また凝
固液の粘度等により決めればよい。ドープの紡孔通過時
の剪断速度下での見かけ粘度は、低い方が吐出線速度を
容易に上げやすいので好ましく、300ポイズ以下のも
のが好適である。それ以上であっても紡糸設備が十分な
機械強度をもって設計されていれば本発明の実施は可能
である。
【0022】次に、吐出角度θの大きさを採用する条件
に合わせて選択することにより本発明の効果を更に高め
ることが出来る。例えば、ドープの吐出線速度が大きい
場合は、θが小さい方がドープ細流7の凝固液流6方向
の速度成分が大きくなり、糸物性及び高速化に有利であ
る。反面、紡孔から吐出されたドープ流が空中を走行す
る距離が大きくなるので合流点の不揃いが起こりやすく
なる。また、例えばドープの吐出線速度、凝固液の流速
がともに小さい条件で紡糸する場合には、θが小さい方
が糸立て作業はやりやすい。この場合は紡糸中のドープ
細流と凝固液柱とのなす角度はθの大きさより大きくな
る傾向になる。
【0023】したがって、θの値はドープの性質や紡糸
速度、凝固液の速度などの条件に合わせて適切な値に設
定されるとよい。しかし、θが90゜を超えて設定され
る場合は、凝固液流6の進行方向に逆行してドープ細流
7を吐出することになるので好ましくない。0゜≦θ≦
90゜の範囲で設定されることが通常好ましい。凝固液
流の速度を高い値に設定して高速で紡糸する場合には1
5゜≦θ≦75゜の範囲で設定されるとより好ましい。
【0024】また、紡孔4と合流点8の間の空間走行距
離は、ドープの吐出角度や紡孔4の穿孔位置、ドープの
吐出線速度、凝固液速度などに応じて変化するが、孔数
が多くなったり、空間走行距離が長くなる程、各孔から
吐出されたドープ細流7の進行方向のずれが拡大しやす
く、合流点8のずれによる単糸間の物性ばらつきが生じ
易くなる傾向になるので、これらも勘案して条件設計す
るとよい。
【0025】本発明に用いる装置の一例を図1に示す。
凝固液流を供給するための凝固液供給部1が設置され、
該凝固液供給部1には流管2を付設し、凝固液注の大き
さと速度を設定する。さらに、凝固液流6の進行方向に
対して下流側に紡糸ノズル3が、凝固液流6を外周側か
ら取り囲むように設けられるとよい。紡糸ノズル3の縦
断面図の一例を図2(a)に、また、該紡糸ノズル3の
横断面図、および斜視図を(b)、(c)に示す。紡糸
ノズル3は凝固液流6を外周側から取り囲むようにした
ものであれば、図2のように凝固液流管と一体化したも
のでもよく、また凝固液流6を取り囲むようにいくつか
の紡糸ノズルを組み合わせて構成してもよい。流管2の
形状、紡糸ノズル3の設置距離、紡糸ノズル3の構造、
紡孔4の孔形状、孔配列、吐出角度θの設計について
は、紡糸条件や糸のスペックに合わせて設定されてよ
い。
【0026】また、本発明に用いる凝固液や紡糸原液は
公知の方法で製造されたものを用いることができ、特に
延伸率を小さくして紡糸する条件などに顕著な効果があ
る。またドープ組成、温度等の条件は常用される条件を
採ることができる。本発明に用いるドープの溶剤である
3級アミンオキサイドとして、例えばN−メチルモルフ
ォリン−N−オキサイド(以下NMMOと略称する)、
N,N−ジメチル−エタノールアミン−N−オキサイ
ド、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン−N−オキ
サイド、N,N,N−トリエチルアミン−N−オキサイ
ド、N−メチルピペリジン−N−オキサイド、N,N−
ジメチルベンジルアミン−N−オキサイド、2(2−ヒ
ドロキシプロポキシ)−N−エチル−N,N−ジメチル
アミン−N−オキサイドなど種々のものが用いられる。
これらの3級アミンオキサイドは単独または2種類以上
混合されて特定の濃度の水と混合された系でセルロース
ドープの溶剤として用いられてよい。これらの中でNM
MOはセルロースの溶剤として安定性や溶解性も比較的
高く好ましい溶剤の一つである。
【0027】
【実施例】本発明を具体的な実施例でさらに詳しく説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、特に断らない限り百分率は重量によるもので
ある。
【0028】
【実施例1】セルロース(溶解パルプ、重合度約80
0)を60%NMMO水溶液に懸濁し、次いで90℃に
加温しながら脱気と共に水分を減圧下で除去しNMMO
濃度を上昇させると同時に溶解して、ポリマー濃度が1
3%、NMMO濃度が76%の紡糸原液を調整した。溶
解後のドープ中のセルロースの重合度は440であっ
た。ギアポンプにてフィルターを経て紡糸ノズル3に送
り紡糸した。フィルターはSUS 316製の焼結不織
布であって、5μmまで濾別除去されるものを用いた。
凝固液は40℃の水を用いた。図1に示す紡糸装置を用
い、紡糸ノズル3としてはSUS 316製の直径0.
08mmφの紡孔4が50個円周上に穿孔されており、
吐出角度θが45゜、紡孔4の穿孔された円の直径(図
中D1 )が15mmのものを用いた。また流管2として
は断面が円形であり、その内径3.0mmφのガラス管
を10mmに切断したものを用い、流管2下端からノズ
ルまでの距離は50mmとなるように取り付けた。紡糸
原液の紡孔吐出速度を100m/分、凝固液流速度を4
00m/分に設定し、合流点8より1000mm自由落
下させた後、凝固液流より550m/分の速度で糸条を
引き出した。引き出された糸条は、特公昭55−908
8号公報に記載のごとく、ステンレス鋼針金の平織金網
の無端ベルトよりなるコンベア上に糸山状に堆積された
状態で精練、給油された後、乾燥され、コンベア上から
引き取られ、巻き取られた。得られた繊維は、ヤーンデ
ニールが70デニール、強度4.0g/d、伸度13
%、初期モジュラス110g/dであり、従来のNMM
Oのエアギャップ紡糸と遜色ない物性を示した。紡糸中
におけるドープ細流の凝固液柱との接触位置の変動は肉
眼では全く認められない程に安定した状態で紡糸を継続
することができた。また、糸立て作業は極めて容易であ
り技能の習熟も不要であるとともに、従来の流管式エア
ギャップ紡糸法での流管の閉塞事故に対する対応作業や
管理業務からも開放された。
【0029】
【比較例1】特開昭60−94617号公報、図1に記
載のエアギャップ流管紡糸用の紡糸装置を用い、セルロ
ースのNMMOドープの紡糸を行なった。紡糸原液、凝
固液は実施例1と同一のものを使用した。紡糸ノズルは
直径0.08mmφの紡孔が50個穿孔されたものを使
用した。紡糸原液吐出速度は100m/分に設定し、引
き出された糸条を550m/分で凝固液から引き出し、
実施例1と同様の後処理を行った。得られた繊維は、7
2デニール、強度2.7g/d、伸度7%、初期モジュ
ラス190g/dであり、本発明例よりも低い値を示し
た。
【0030】糸立ての際には、紡孔から吐出されたドー
プ細流の先端が大きくなって流管をを閉塞しやすく、糸
立てに技能習熟と数回の操作の繰り返しが必要であっ
た。また、紡糸途中に途切れたドープ細流が原因となっ
て流管を閉塞する切れ糸も発生しやすく、安定した紡糸
を12時間以上継続することが困難であった。
【0031】
【実施例2】実施例1と同様にして、ポリマー濃度が8
%、NMMO濃度が80%の紡糸原液を調整した。溶解
後のドープ中のセルロースの重合度は410であった。
凝固液は60℃の30%のNMMO水溶液を用い、紡糸
ノズル3は直径0.10mmφの紡孔4が50個円周上
に穿孔されており、吐出角度θが30゜、紡孔4の穿孔
された円の直径(図中D1 )が15mmのものを用い
た。また流管2としては断面が円形であり、その内径
3.0mmφのガラス管を10mmに切断したものを用
い、流管2下端からノズルまでの距離は50mmとなる
様に取り付けた。紡糸原液の紡孔吐出速度を400m/
分、凝固液流速度を750m/分に設定し、合流点8よ
り2500mm自由落下させた後、凝固液流より140
0m/分の速度で糸条を引き出し、実施例1と同様の後
処理を行った。得られた繊維は、100デニール、強度
3.6g/d、伸度12%であった。紡糸中におけるド
ープ細流は安定した状態で紡糸を継続することができ
た。また、高速化したにもかかわらず糸立て作業は低速
度の場合と同様に極めて容易であった。
【0032】
【発明の効果】本発明の湿式紡糸法は、実質的に連続状
態の柱状の凝固液流に対し、周囲より紡糸原液を吐出さ
せることができるので、凝固初期の凝固液による流動抵
抗が大きく軽減され高速化が容易に行なえる。また、本
発明の湿式紡糸法により、従来の流管紡糸法やエアギャ
ップ流管紡糸法等のような糸条が狭い流管内を通過する
高速湿式紡糸法が抱えていた糸立て作業性や流管詰まり
に起因する糸切れ等の問題点が解決される。さらに、紡
糸部での配向を抑えつつ高速で紡糸することが容易にな
り、3級アミンオキサイドと水との混合物のような流動
配向性の高いドープなどの高速紡糸時に起きやすい過度
に高い過大な弾性率を下げる条件などが適宜採用できる
ようになる。その結果、糸物性に優れ、かつ長期間安定
紡糸が可能な高速紡糸方法が提供され、湿式紡糸の生産
性を高める上で有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式紡糸法の一実施態様を模式的に示
す断面図。
【図2】本発明の紡糸ノズル3の実施例の一例(なおド
ープ供給口は省略してある)(a)は縦断面図、(b)
は横断面図、(c)は斜視図。
【符合の説明】
1 凝固液供給部 2 流管 3 紡糸ノズル 4 紡孔 5 紡糸原液供給口 6 凝固液流 7 ドープ細流 8 合流点 10 凝固液供給口 θ 吐出角度 D1 紡孔配列円直径

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にセルロースと3級アミンオキサ
    イドと水の混合物からなるドープを湿式紡糸するにあた
    り、凝固液を柱状に形成するように流出させ、該凝固液
    流の進行方向に対する下流側に該凝固液流から隔離して
    設置された紡糸ノズルから上記ドープを吐出させ、一旦
    空中を走行させた後、該凝固液流に合流させて紡糸する
    ことを特徴とする再生セルロース繊維の湿式紡糸法。
JP5847094A 1994-03-29 1994-03-29 再生セルロース繊維の湿式紡糸法 Withdrawn JPH07268718A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997024476A1 (de) * 1995-12-27 1997-07-10 Lenzing Aktiengesellschaft Verfahren zur herstellung cellulosischer fasern sowie vorrichtung zur durchführung des verfahrens
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