JP2648155B2 - 安定性に優れた流管式湿式紡糸法 - Google Patents

安定性に優れた流管式湿式紡糸法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、湿式紡糸法に関し、更に詳しくは、紡浴か
ら凝固しつつある糸条を凝固性流体と共にオリフィス又
は管を通じて取出す、謂ゆる流管式湿式紡糸法に関す
る。
〔従来の技術〕
湿式紡糸の一つの有用な形式として、紡糸用ドープを
紡糸口金より凝固性液体中に押出し、次いで凝固しつつ
ある糸条をオリフィス又は管(以下流管と総称する)に
導き、凝固性流体(以下凝固液と略称する)と共に凝固
浴から流出させる、謂ゆる流管式湿式紡糸法がある。
この方法は、流管に糸条を通すことが繁雑で工業的実
施面では問題があるものの、凝固液との抵抗を低くしつ
つ接触時間を長く設定できること、同時に流速が低く凝
固途上の糸条との接触抵抗が大きい凝固浴部分を短かく
して流速の速い流速部に糸条を導入して抵抗を減らすこ
とができることなどの利点があり、最も新しい技術であ
る液晶形成性アラミドドープの紡糸法(特公昭55−1417
0号公報他)や、セルロース誘導体の液晶ドープの紡糸
(特開昭52−96230号公報他)でも盛んに用いられてい
るところである。
しかしこれらの流管式湿式紡糸が、これらの特別な例
に限られ、工業的に普遍化されていない最大の理由は、
吐出された糸条形成ドープ流を極めて孔径の小さな流管
を貫通して走行させる、謂ゆる糸付け作業が困難であ
り、多大の労働力を要し、今日の高い労働生産要求にと
ても答えられないが故である。
これを容易にする一つの手段は、流管の口径を大にす
ることであるが、口径を大にすることは、凝固液の流出
量が多大となり、送液エネルギーの負担のみならず、紡
糸口金周辺の流れも乱れ、安定な紡糸が妨げられる為、
実施困難である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
流管式湿式紡糸法であって、糸立て時に、容易に吐出
された凝固しつつある糸条を凝固液と共に流管中に流入
させ、流管を貫通して取出すことが実現できれば、この
有用な紡糸技術の工業的実施が普及することが期待でき
る。
又、同様に、同一の凝固浴に複数群の糸条を吐出し、
各々別個の流管から取出せれば、装置の費用の低減の面
からも、工業的意義が大である。
本発明の目的は、流管式湿式紡糸法に於いて、紡糸開
始時に、容易に凝固しつつある糸条を、凝固液と共に流
管を貫通して糸通しさせる作業を容易にすることがで
き、又、糸条中の事故で切断した糸条も自動的に流管を
貫通して紡糸が継続することができる湿式紡糸法を提供
することにある。
〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的は、紡糸口金より凝固液中に紡糸用ドープ
を吐出し、次いで流管を通して該凝固液と共に紡糸浴か
ら凝固糸条を取出す流管式湿式紡糸法において、紡糸口
金面と流管入口の距離(L0とする)を5mmから60mmと
し、紡糸口金として各紡孔の紡孔軸が、流管の中心線上
の紡糸口金面から2/3L0から2L0の間の距離だけ離れた一
点で交差する如く穿孔されたものを用い、紡糸用ドープ
が該紡糸孔中の平均流速で表した吐出線速で350m/分以
上となるように吐出され、かつ流速を流れる凝固液の線
速度をドープの前記吐出速度よりも200m/分以上遅くな
い速度に維持して紡糸することを特徴とする流管式湿式
紡糸法によって達成される。
本発明の流管式湿式紡糸を実施する上で、紡糸用ドー
プの組成は限定されるものではなく、本発明の必要とす
る条件が工業的に実施できるものであれば良いが、上記
の如く、従来の紡糸の概念からは異常とも言える吐出線
速度、紡糸口金の背圧が極めて高くなる為、高剪断速度
下に粘性抵抗が激減する構造粘性を有する光学異方性ド
ープや、流動配向しやすい剛直鎖ポリマー又はウォーム
(虫)ライク鎖ポリマーといわれるポリマーの溶液が好
適である。
更に、同じ理由から、紡孔通過時の剪断速度下での見
掛けの粘度は、低い方が望ましく、好適には200ポアズ
以下であるが、それ以上であっても紡糸設備が十分な機
械強度をもって設計されていれば、本発明の実施は可能
である。
これらの本発明の実施に好適なドープの例としては、
ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと略
記)を濃硫酸に溶解した光学異方性ドープ(特公昭50−
8474号公報、特公昭59−14568号公報を参照)、セルロ
ース誘導体の光学異方性ドープ(特開昭52−96230号公
報参照)が挙げられる。
更に光学異方性ドープではないが、セルロースを銅−
アンモニア錯体溶液に溶解したドープ、N−メチルモル
ホリンオキサイド(以下NMMOと略称)と水の混合物に溶
解したドープ、セルロースザンテートのアルカリ水溶液
のドープ(謂ゆるビスコースドープ)も、本発明の実施
に好適であり、中でも、ビスコースドープは粘度が低
く、極めて高い吐出線速、例えば1000m/分以上まで安定
に吐出できる。又、NMMOと水のドープも、100℃前後ま
で温度を高めて使用でき、吐出時の粘度を低めることが
できる点で有利である。
本発明に用いる紡糸口金としては特に限定されるもの
ではないが、紡孔の直径は、少なくとも0.04mm以上が好
ましく、それ以下では、高速のドープ吐出により孔詰り
を生じやすく、又、孔の工作上も各孔穿孔精度が悪く問
題が多い。又、紡孔径は大きすぎると、一孔当りのドー
プ吐出量が大きすぎ、高吐出線速に対応した高速引取り
にも限界がある為、単糸当りのデニールが過大となり、
自ずと限界がある。大略0.20mm以下、更に好ましくは0.
10mm程度以下に選定される。
第1図は本発明の一つの態様を示したものであり、ド
ープ供給管1からスピンヘッド2に紡糸用ドープが供給
され、紡糸口金3から吐出され、紡糸浴7へ凝固液供給
管8から供給された凝固液と共に流管5を通って糸条6
として引出される。
紡糸口金面はこの図の例では凹面に加工されており、
紡孔は凹面に対して垂直に穿孔されている。
本発明の特徴の一つは、これらの紡孔が、その紡孔軸
が、流管5の中心線上の一点Aで交差するように設計さ
れていることである。現実には工作精度の点から完全に
一点で交差せぬことがあることは十分理解されるべきで
あり、大略紡糸口金面と流管入口の距離L0の10%以内又
は2〜3mm以内であれば、本発明の目標は達成される。
紡孔軸の交差点Aは、流管5の中心線上であって、紡
糸口金面とAとの距離lはL0の2/3倍から2倍である必
要がある。2/3倍より小さい場合には、流管に入る前の
糸条が相互に干渉し合って繊維の太さ斑になったり、円
滑な流管への流れ込みが実現されないし、2倍より大な
る時は、流管入口の管壁へのこすれが生じやすく、繊維
の損傷につながって、糸切れや、繊維性能の低下をもた
らし、好ましくない。
このような特別な紡糸口金の製造法としては、該交差
点を中心とする球面の一部を形成するように紡糸口金面
を凹面とし、その面に垂直に紡孔を穿孔してもよいし、
平面の紡糸口金面に所定の角度傾けて紡孔を穿孔し、必
要あれば更に紡糸口金面を研削して平面に仕上げてもよ
い。
本発明の特徴とするところは、従来の湿式紡糸(エア
ギャップ式湿式紡糸をも含めて)の常識をはるかに超え
る、350m/分以上、更に好ましくは450m/分以上といった
高い吐出線速でドープを紡糸口金から吐出させることで
ある。
このような超高速吐出の例は報告されておらず、知り
得た範囲では、PPTAの光学異方性ドープのエアギャップ
紡糸の例ではあるが、特開昭57−121612号公報に最高31
8m/分(実施例より算出)の例が1例見られるのみであ
る。
本発明の特徴とする吐出線速の上限は特に限定される
ものではなく、ドープの種類等によっても異なるが、安
定に直進的にドープが紡糸口金面から噴出されなくなる
までであれば、任意に設定されてよい。
本発明に用いる紡糸口金は当然、上記吐出線速による
背圧に耐える強度設定が考慮されればよく、その他の材
質や形状等については何ら制限するものではない。紡孔
の形状も特に制限するものではなく、謂ゆる異形断面糸
を紡糸する為に円形以外の形状であってもよい。
本発明の超高吐出線速で吐出されたドープは、静止し
た凝固液中であっても、吐出慣性力によって静止した液
体との摩擦抵抗に打勝って直進するが、一定距離直進し
た後、液の流れに漂流する現象を示す。この直進力を失
なわぬ間に流管の入口から流管中へ凝固した又は凝固途
上のドープを糸条として導入することが本発明を実施す
る上で肝要であり、流管の入口は、紡糸口金面から5mm
から60mmの範囲、更に好ましくは5mmから40mmの範囲に
選ばれるべきである。5mm以下では、流管に流れ込む凝
固液の影響が紡糸口金面に及び、吐出されたドープを乱
すことが考えられ、避けられるべきである。
本発明を実施する上で、適用できる紡孔群を形成する
紡孔の数や、群の形や広さとしては、流管の口径や形
状、凝固液の流管への流入速度等により異なり、特に制
限されるものではないが、紡孔群の面積が過大であれ
ば、紡孔軸の交差角度が大きくなりすぎ、流管入口での
こすれや、糸条同志の干渉の為に好ましくないことは容
易に理解されるところであって、通常の円周上に紡孔を
配列する場合には、最外周の紡孔配列円の径としては、
紡糸口金面から流管入口までの距離L0の2倍以下、好ま
しくはL0以下、さらに好ましくはL0の2/3以下、孔数と
しては1000孔以下、好ましくは150孔以下に選ばれる。
特別な場合として、流管をスリット状にし、紡孔群の配
列を数列の直線上に配置して長方形状とする場合では、
更に多くの紡孔数であっても本発明の効果が発揮でき
る。
流管の入口は好ましくは、紡糸口金面に正対し、紡孔
群の中心から紡糸口金面に立てた垂線上に位置すること
があるが、必ずしも正確にそれが守られなくとも本発明
の効果は期待できる。
本発明で言う流管とは、凝固浴から凝固しつつある糸
状を凝固液と共に流出させて取出す為の細管を総称して
おり、その内径、長さ、形状等については、何らの制限
もなく、用いるポリマー、ドープ性状、凝固機構等によ
り任意に最適のものが選ばれて良く、極端な場合は、凝
固浴に穿たれたオリフィスであっても良い。
流管の特別なものとしては、前述の如く、紡孔群を長
方形状に配置し、流管をスリット状とすることも可能で
ある。
流管の中心線の方向についても特に制限するものでは
なく、鉛直方向上又は下向き、水平方向、又はこの間の
任意の傾きであってもよい。
流管中を流れる糸状に随伴される凝固液の量又は線速
度についても特に制限されるものではなく、糸条の引取
り速度や、凝固浴中の凝固液圧力等により自ずと定まる
ものではある。しかし本発明の実施は好適な高速引取り
においては、糸条に無用の張力を発生されることは得策
ではなく、その観点からは、流管中での糸条と液との摩
擦抵抗を低くすることが好ましく、液の線速度と糸条速
度の差を200m/分以下に設定することが好ましい。
本発明の効果を有効に利用する実施態様として、第2
図の如く複数の紡孔群即ち紡糸口金11a〜11dと、それに
対応する複数の流管14a〜14dを同一の紡糸浴槽16a,16b
に設置し、同時に紡孔群から吐出された糸条12a〜12dを
各々に対応する流管14a〜14dから引出して、複数本のマ
ルチフィラメント15a〜15dを紡糸することも可能であ
り、本発明の特徴とする効果により、各々のマルチフィ
ラメントは、乱れることなく所定の対応する流管に導か
れ、又、紡糸中に部分的な単糸切断が生じても、各々所
定の流管に流入して、マルチフィラメント間の単糸混入
は発生しない。
この場合、紡孔群同志は、紡孔群の集合直径の少なく
とも1/2以上、好ましくは1倍以上の間隔を隔てて配置
されるべきであり、これ以下では、本発明の効果は得ら
れぬ場合がある。
本発明の方法により流管式湿式紡糸された糸条は、次
いで、各々のポリマーや糸条の性質、引出し速度に応じ
て任意の仕上げ工程に導かれ、繊維として完成される。
例えば、PPTA他の光学異方性ドープから得られた凝固
糸条は、紡糸されたまゝで既に繊維構造が完成されてい
る為、既に本発明者らが提案した特公昭55−9088号公報
の如く、コンベア上に堆積させて、水洗、給油、乾燥す
る方法が適用可能である。又、ビスコースレーヨンに本
発明を適用した場合は、従来のセントル方式でケーク状
に一旦捲取った後精錬仕上げされても良く、又、本発明
の安定な紡糸性を活かして、ネルソンロール方式他の連
続式精錬−乾燥装置により仕上げ処理されることも好ま
しい。
このような構成された本発明による湿式紡糸法では従
来にない超高吐出線速で、流管の中心線上の一点にて交
差する紡孔軸を持つ紡孔群から吐出されたドープは大き
な運動エネルギを持ち、静止した凝固液中でも液との抵
抗に打勝って、慣性力によって流管入口の方向に収束す
る如く直進する。更に、この直進状態が保たれる距離内
に設定された流管の開口部は、この慣性力の有効な間
に、流入する凝固液の流れの助けもあって、ドープ自体
の直進力によって、自ずと流管中に凝固しつつあるドー
プが流入することに有効である。
〔実施例〕
以下に実施例をもって本発明の実施態様の一部を例示
するが、例中特に断わらぬ限り、百分率は重量によるも
のである。
実施例1 実施例1に用いるポリマーとして低温溶液重合法によ
り次のようにPPTAポリマーを用意した。
特公昭53−43986号公報に示された重合装置中でN−
メチルピロリドン1000部に無水塩化カルシウム70部を溶
解し、次いでパラフェニレンジアミン48.6部を溶解し
た。8℃に冷却した後、テレフタル酸ジクロライド91.4
部を粉末状で一度に加えた。数分後に重合反応物はチー
ズ状に固化したので、特公昭53−43986号公報記載の方
法にしたがって重合装置より重合反応物を排出し、直ち
に2軸の密閉型ニーダーに移し、同ニーダー中で重合反
応物を微粉砕した。次に微粉砕物をヘンシェルミキサー
中に移し、ほぼ等量の水を加えてさらに粉砕した後、濾
過し、数回温水中で洗滌して、110℃の熱風中で乾燥し
た。98.5%硫酸中、0.2g/100mlの濃度で30℃にて測定し
たηinhが6.2の淡黄色のPPTAポリマー95部を得た。
前記PPTAポリマーを99.4%硫酸中に、ポリマー濃度が
17%になるように、70℃で2時間で溶解した。溶解は真
空下で行ない、溶解について2時間静置脱泡して、光学
異方性ドープを調整した。尚、光学異方性は偏光顕微鏡
のクロスニコル下の暗視野が、ドーププレパラートによ
り明視野となることで確認された。
このドープを第1図の装置を用いて湿式紡糸した。タ
ンタル製の紡糸口金の紡孔面は凹面であり、直径8mmの
円周上に25個の直径0.05mmの紡孔が、紡孔軸が紡糸口金
面から15mmの点で交差するように穿孔されていた。上記
のPPTAドープを60℃に加熱して紡糸口金に送り、吐出線
速、350m/分にて、35℃の30%硫酸中に押出した。
予め、紡孔面が平坦な他は同じ設計の紡糸口金を用い
て、同条件の凝固液を入れたガラス製のシリンダー中に
ドープを吐出させたところ、約30mmの直進性を示した。
流管の入口と紡糸口金面の距離を10mmとし、流管とし
ては、内径2mmφのガラス製毛細管を40mmの長さに切断
したものを用い、凝固液は、630ml/分の速度(流管中の
平均線速として200m/分)で供給した。
ドープの送液を開始すると同時に紡糸口金を紡糸浴に
装着したところ、吐出されたドープ流は吐出慣性と凝固
液の流れにより、自ずと流管に流入し、流管から糸条と
して引出された。
この糸条を引取りロールで700m/分で引き出して故意
に紡糸浴中で切断させたところ、再び自然にドープは流
管に流れ込み、糸条として引出された。
次いで、ドープの送り量を少なくし、吐出線速を250m
/分に下げた後、引取ロールで糸条を700m/分で引出して
故意に紡糸浴中で切断させたところ、切断された糸条が
流管入口を閉塞し、安定に紡糸できなかった。
更に、紡糸口金を同じ設計の新しいものに交換し、吐
出線速を300m/分に設定して、ドープの送液を開始する
と同時に紡糸口金を紡糸浴に装着したところ、吐出され
たドープ流は、その一部は流管入口に入ったものの、数
本の糸条は紡糸浴中に残り、やがて流管入口を閉塞し
て、全ての糸条が流管入口に貯ってしまい、紡糸が不可
能であった。
実施例2 紡糸口金面と流管入口の距離を15mmに変えた以外は実
施例1の条件(用いた紡糸口金においては紡孔軸が紡糸
口金面から15mmの点で交差する)に基づいて紡糸したと
ころ、同様に容易に凝固糸条が流管より引出された。
さらに該距離を35mmにしたところ、ドープは流管に流
れ込まずに紡浴内にとどまり、一部が流管の入口を閉塞
させ、本発明の効果は見られなかった。
実施例3 紡糸口を、タンタル製の紡孔面が平坦で、7mmの円周
上に0.045mmの紡孔が20個、その紡孔軸が紡糸口金面か
ら10mmの点で交差するように穿孔されたものに変え、吐
出線速を400m/分、紡糸口金と流管の入口の距離を8mmと
した他は実施例1の条件に基づいて紡糸した。ちなみ
に、ガラス製シリンダーの凝固液中に同じ条件でドープ
を吐出したところ、直進距離は約37mmであった。
実施例1と同様に紡糸を開始したところ、同様に何の
問題もなく円滑に流管を通ってPPTA糸条が排出された。
次いで流管から引出された凝固糸条に、−5℃に冷却
した30%硫酸を注液して、凝固により発生する熱を除去
しつつさらに凝固を進めた後、450m/分の速度で、特公
昭55−9088号公報記載の如く、ステンレス鋼製針金の平
織金網の無端ベルトよりなるコンベア上に堆積し、水、
稀アルカリ水溶液、水の順に洗滌し、次いで油剤のエマ
ルジョンを付与した後、140℃の熱風にて乾燥し、該コ
ンベアより取り上げて捲き取った。
約8時間紡糸を連続して実施し、この間、紡糸口金周
辺をビデオテープレコーダにて撮映録画し、その後、再
生して注意深く観察したところ、ドープの脱泡不十分に
よる気泡によると思われる単糸の紡糸口金表面での切断
が、延べ11回発生したことが認められたが、その都度、
問題なく流管入口に流入し、後の工程でも全くトラブル
なく、安定に連続して紡糸が可能であった。
得られたPPTA繊維は、ヤーンデニールが87デニールで
あり、ヤーン強度20.3g/d、伸度4.5%であった。
〔発明の効果〕
本発明の方法は前述のように構成されているので、本
発明の方法では、流管式湿式紡糸に於ける最大の作業性
阻害因である、流管の微細な鋼に紡出された繊維を導入
し貫通させるという作業が容易となり、更に紡糸中に紡
浴中で発生する糸切れ時にも、それを即座に流管に導き
流出させる為、それが紡浴内に浮遊し滞留して、流管を
閉塞する等の事故を生じないという利点が提供される。
従って、近年PPTAの高速紡糸通で有利さが見直されて
いる流管紡糸法が工業的に容易に実施され、種々の繊維
の紡糸法への活用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施態様を示す縦断面図であり、 第2図は、複数のマルチフィラメントを同時に紡糸した
本発明の実施態様を示す縦断面図である。 2は紡糸口金、4は吐出されたドープ、5は流管、6は
凝固糸条、11a〜11dは各々紡糸口金、14a〜14dはそれら
紡糸口金に対応する流管、12a〜12dは吐出されたドー
プ、15a〜15dは凝固糸条を示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紡糸口金より凝固液中に紡糸用ドープを吐
    出し、次いで流管を通して該凝固液と共に紡糸浴から凝
    固糸条を取出す流管式湿式紡糸法において、紡糸口金面
    と流管入口の距離(L0とする)を5mmから60mmとし、紡
    糸口金として各紡孔の紡孔軸が、流管の中心線上の紡糸
    口金面から2/3L0から2L0の間の距離だけ離れた一点で交
    差する如く穿孔されたものを用い、紡糸用ドープが該紡
    糸孔中の平均流速で表した吐出線速で350m/分以上とな
    るように吐出され、かつ流管を流れる凝固液の線速度を
    ドープの前記吐出速度よりも200m/分以上遅くない速度
    に維持して紡糸することを特徴とする流管式湿式紡糸
    法。
  2. 【請求項2】紡糸用ドープが、ポリパラフェニレンテレ
    フタアルアミドの光学異方性を示す濃硫酸溶液である特
    許請求の範囲第1項記載の流管式湿式紡糸法。
  3. 【請求項3】紡糸用ドープがセルロース誘導体の光学異
    方性を示す溶液である特許請求の範囲第1項記載の流管
    式湿式紡糸法。
  4. 【請求項4】紡糸用ドープがセルロースザンテートのア
    ルカリ水溶液ドープ、セルロースの銅−アンモニア錯体
    ドープ、セルロースのN−メチルモルホリンオキサイド
    と水の混合物のドープである特許請求の範囲第1項記載
    の流管式湿式紡糸法。
  5. 【請求項5】紡孔群の集合直径の1/2以上隔たって設置
    された複数の紡孔群と、ほぼその中心に対応する中心線
    を有する同数の複数群の流管を同一の紡糸浴に設置し、
    同時に紡孔群から吐出された糸条を各々に対応する流管
    より引出して、複数の独立したマルチフィラメントを紡
    糸することを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第4
    項のいずれかの1項に記載の流管式湿式紡糸法。
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