JP6638290B2 - 粉末状セルロース - Google Patents

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Description

本発明は、粉末状セルロースに関する。
粉末状セルロースは、増粘性、乳化安定性、保水性、吸油性、保形性等の特徴を有するため、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、ろ過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤等として、食品、医薬、化粧品、建材、窯業、ゴム、プラスチック等の幅広い分野で使用されている。
一般的な粉末状セルロースは、平均粒子径5〜50μm、見掛け比重0.10〜0.50g/cm3程度であり、平均粒子径が大きくなるにつれて、見掛け比重が小さくなる白色粒子である。粉末状セルロースに求められる物性は、その使用される用途によって、適宜選択されるものであるが、特に保水剤や保形剤、塗料や食品などの用途においては吸水性(保水性)が重要となる。
吸水性の高い粉末状セルロースを得るためには、粉末状セルロースと吸水性樹脂との複合体を得る方法などが知られている。(特許文献1)
特開2015−071125号公報
しかしながら、この様な吸水性樹脂との複合体では、高い吸水性を得ることができるものの、吸水性樹脂の影響により使用用途が限定されてしまう問題があった。
そこで、本発明においては、吸水性樹脂を用いることなく、吸水性に優れる粉末状セルロースを提供することを目的とする。
本願発明者らは鋭意努力の結果、以下の粉末状セルロースを用いることで本発明が達成できることを明らかにした。
(1)パルプ原料から得られる粉末状セルロースにおいて、該粉末状セルロースの平均粒子径が40〜90μm、平均重合度が700〜2500、結晶化度が60〜90%であることを特徴とする粉末状セルロース
(2)前記パルプ原料が、針葉樹由来パルプであることを特徴とする、(1)記載の粉末状セルロース。
(3)前記粉末状セルロースが、(加水処理後の重量(g)−加水処理前の重量(g))/加水処理前の重量(g)×100で示される吸水率が300%以上であることを特徴とする(1)〜(2)いずれかに記載の粉末状セルロース。
本発明によれば、吸水性樹脂を用いることなく、吸水性に優れる粉末状セルロースを提供することができる。
本発明で得られた粉状セルロースは、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、濾過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤等として、食品、医薬品、化粧品、建材、窯業、ゴム・プラスチック等の幅広い分野での使用が可能であり、特に食品用途に用いるに適する。
以下本発明の詳細を説明するが、特に記載のない場合「AA〜BB%」等という記載は、「AA%以上BB%以下」を表すものとする。
本発明は、パルプ原料から得られる粉末状セルロースにおいて、該粉末状セルロースの平均粒子径が40〜90μmで、平均重合度が700〜2500、結晶化度が60%以上〜90%以下であることを特徴とする粉末状セルロースに関する。
本発明において、使用するパルプ原料としては、広葉樹由来のパルプ、針葉樹由来のパルプ、リンター由来のパルプ、非木材由来のパルプなど特に限定されるものではないが、特に針葉樹由来のパルプを用いるのが好ましい。針葉樹由来のパルプは、広葉樹由来パルプと比較し、平均繊維長が長く、平均繊維幅が広いため、本発明の粉末状セルロースを得やすく、本発明に用いるのに優れている。
本発明における針葉樹由来パルプとしては、例えば、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、ロウソンヒノキ、ダグラスファー、シトカスプルース、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン及びこれらの関連樹種等から得られるパルプが例示される。これらの中で、好ましくはスギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒノキ、アカマツ、ダグラスファー、ラジアータマツであり、更に好ましくはエゾマツ、カラマツ、クロマツ、ダグラスファー、ラジアータマツである。これらの針葉樹由来パルプは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、本発明において、パルプ化法(蒸解法)は特に限定されるものではなく、サルファイト蒸解法、クラフト蒸解法、ソーダ・キノン蒸解法、オルガノソルブ蒸解法などを例示することができるが、これらの中では、環境面の点から、クラフトパルプが好ましい。
本発明のパルプ原料はスラリー状の湿式パルプ、又はスラリーを脱水・乾燥させシート状にした乾式パルプのどちらでもよく特に限定されるものではないが、取扱いの簡便さから乾式パルプ(パルプシート)を用いるのが好ましい。
本発明に用いられる粉末状セルロースは、前記パルプ原料を塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸で酸加水分解処理したパルプを粉砕処理、あるいは酸加水分解処理を施さないパルプを機械粉砕して得ることができる。
その様にして得られた粉末状セルロースは、平均粒子径が40〜90μmで、平均重合度が700〜2500、結晶化度が60〜90%であって、(加水処理後の重量(g)−加水処理前の重量(g))/加水処理前の重量(g)×100で示される吸水率性が300%以上であることが望ましい。
本発明において平均粒子径は40〜90μmが好ましく、50〜80μmの範囲がより好ましい。平均粒子径が大きいほど、吸水量は多くなるが、嵩高くなり、粉体流動性が悪化し粉末状セルロースとして適さない。一方で、平均粒子径を小さくすると、嵩が低く、粉体流動性に優れるが、吸水量が低下する。従って、40〜90μm以下の範囲がより好ましいものである。
本発明において平均重合度は700〜2500が好ましく、850〜2500の範囲がより好ましく、1300〜2500がさらに好ましい。平均重合度が高いと、樹脂等の充填剤として使用した場合、引張試験等の強度向上効果が大きく、濾過助剤用途で使用した場合も、圧密化されにくく、濾過速度が速い。一方で、重合度を小さくすると、上述の補強効果や、圧力をかけた時に潰れやすくなり、濾過速度が低下する。従って、700〜2500の範囲がより好ましい。
本発明において結晶化度は60〜90%が好ましく、70〜85%の範囲内がより好ましい。粉末状セルロースの結晶化度は、主に原料パルプと、製造方法に影響され、酸処理を行わずに、機械的な処理のみで製造した粉末状セルロースは、結晶化度が低くなる。結晶化度が低いと、吸水性は向上するが、60%以下では薬品耐性が低下するため、好ましくない。結晶化度が90%以上であれば、薬品耐性は高いが、吸水性は低下してしまう。従って、結晶化度は60〜90%の範囲が好ましい。
本発明において粉末状セルロースの平均繊維幅は20〜55μmが好ましく、25〜50μmがより好ましく、27〜40μmが更に好ましい。平均繊維幅が20μm未満であると粉末状セルロースの比表面積が小さくなり吸水性に優れない。平均繊維幅が55μm以上であると、平均粒子径を調整し難くなり、本発明に適さない。
本発明のパルプ原料に用いる平均繊維幅は25〜50μmが好ましく、25〜45μmが更に好ましく、28〜38μmがより好ましい。パルプ原料の平均繊維幅が上記範囲外であると、粉末状セルロースの平均繊維幅が上記好ましい範囲に入り難く、本発明に適さない。なお、前記パルプ原料は、湿式及び乾式のどちらを用いても良い。
本発明における粉末状セルロースに、機能性付与、もしくは機能性向上を目的に、粉末
状セルロースの原料とその他有機および/または無機成分を単独もしくは2種類以上任意
の割合で混合し、粉砕することも可能である。また、原料に使用する天然セルロースの重
合度を大幅に損なわない範囲で、化学的処理を施すことが可能である。
本発明において吸水率とは、過剰の蒸留水に粉末状セルロースを浸漬(加水処理)した際に、加水処理前後の粉末状セルロースの吸水率が300%以上であることが好ましい。具体的には、蒸留水20gに加水処理前の粉末状セルロース1g(温度25℃、湿度50%で3時間調湿)を分散させ、十分に撹拌させたスラリーを得たのち、該スラリーを1G1ガラスろ過器(東京ガラス機器、最大細孔100〜120μm)を用い20分間自然濾過し、フィルター上に残留した加水処理後の粉末状セルロースを得た。加水処理前後の粉末状セルロースより、(加水処理後の重量(g)−加水処理前の重量(g))/加水処理前の重量(g)×100で吸水率を示す。吸水率が300%以上であると、吸水(保水)剤に用いる粉末状セルロースとして好適である。
本発明の粉末状セルロースが、優れた吸水性を示すのは、以下の理由が考えられる。粉末状セルロースは、食品などの用途では食感等への影響から、平均粒子径が小さく粉体流動性が良好な製品が好まれており、そのため酸処理を行い、平均粒子径を調製し、平均重合度が低く、結晶化度が高いものが一般的に用いられており、そのような物を得るために平均繊維幅が15〜24μmである広葉樹由来パルプが用いられている。
しかし、本発明の粉末状セルロースは、粉体流動性や食品用途に用いる食感を確保できる平均粒子径でありつつも、平均重合度と結晶化度を本発明の範囲で選択することで、柔軟なセルロース粒子が折り重なられ高多孔性の吸水性に優れる粉末状セルロースを得ることができる。その様な物を得るためには、平均繊維長が広葉樹由来パルプに比べ長い針葉樹パルプを用いることができ、針葉樹由来パルプでは平均繊維幅も広葉樹由来パルプに比べ広い為、水を捕集しやすく、そのため本発明の粉末状セルロースは吸水性に優れると考えられる。
以下に具体的な製造方法を示すが、本発明は該方法に限定されるものではない。またパルプ原料は、流動状態でもシート状でも可能である。
(粉末状セルロースの製造1:酸加水分解処理及び粉砕処理)
パルプ漂白工程からの流動パルプを原料とする場合は、加水分解反応槽へ投入する前に
、濃度を高める必要があり、スクリュープレスやベルトフィルターなどの脱水機で濃縮さ
れ、反応槽へ所定量が投入される。パルプのドライシートを原料とする場合は、ロールク
ラッシャーなどの解砕機などでパルプをほぐした後、反応槽へ投入する。
次に、酸濃度0.10〜1.2Nに調整したパルプ濃度3〜10重量%(固形分換算)
の分散液を、温度80〜100℃、時間30分間〜3時間の条件で処理する。パルプの加
水分解処理後、脱水工程で加水分解処理されたパルプと廃酸とに固液分離される。加水分
解処理されたパルプはアルカリ剤を添加して中和し、洗浄される。その後、乾燥機で乾燥
され、粉砕機で規定の大きさに機械的に粉砕・分級される。
粉砕機としては、カッティング式ミル:メッシュミル(株式会社ホーライ製)、アトム
ズ(株式会社山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、カッターミル(東京ア
トマイザー製造株式会社製)、CSカッタ(三井鉱山株式会社製)、ロータリーカッター
ミル(株式会社奈良機械製作所製)、パルプ粗砕機(株式会社瑞光製)シュレッダー(神
鋼パンテック株式会社製)等、ハンマー式ミル:ジョークラッシャー(株式会社マキノ製
)、ハンマークラッシャー(槇野産業株式会社製)、衝撃式ミル:パルベライザ(ホソカ
ワミクロン株式会社製)、ファインインパクトミル(ホソカワミクロン株式会社製)、ス
ーパーミクロンミル(ホソカワミクロン株式会社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン株
式会社製)、ファインミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、CUM型遠心ミル(
三井鉱山株式会社製)、イクシードミル(槇野産業株式会社製)、ウルトラプレックス(
槇野産業株式会社製)、コントラプレックス(槇野産業株式会社製)、コロプレックス(
槇野産業株式会社製)、サンプルミル(株式会社セイシン製)、バンタムミル(株式会社
セイシン製)、アトマイザー(株式会社セイシン製)、トルネードミル(日機装株式会社
製)、ネアミル(株式会社ダルトン製)、HT形微粉砕機(株式会社ホーライ製)、自由
粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)、ニューコスモマイザー(株式会社奈良機械製作所
製)、ギャザーミル(株式会社西村機械製作所製)、スパーパウダーミル(株式会社西村
機械製作所製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、スーパーローター
(日清エンジニアリング株式会社製)、Npaクラッシャー(三庄インダストリー株式会
社製)、ウイレー粉砕機(株式会社三喜製作所製)、パルプ粉砕機(株式会社瑞光製)ヤ
コブソン微粉砕機(神鋼パンテック株式会社製)、ユニバーサルミル(株式会社徳寿工作
所製)、気流式ミル:CGS型ジェットミル(三井鉱山株式会社製)、ミクロンジェット
(ホソカワミクロン株式会社製)、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製
)、クロスジェットミル(株式会社栗本鐵工所製)、超音速ジェットミル(日本ニューマ
チック工業株式会社製)、カレントジェット(日清エンジニアリング株式会社製)、ジェ
ットミル(三庄インダストリー株式会社製)、エバラジェットマイクロナイザ(株式会社
荏原製作所製)、エバラトリアードジェット(株式会社荏原製作所製)、セレンミラー(
増幸産業株式会社製)ニューミクロシクトマット(株式会社増野製作所製)、クリプトロ
ン(川崎重工業株式会社製)、竪型ローラーミル:竪型ローラーミル(シニオン株式会社
製)、縦型ローラーミル(シェフラージャパン株式会社製)、ローラーミル(コトブキ技
研工業株式会社製)、VXミル(株式会社栗本鐵工所)、KVM型竪形ミル(株式会社アーステクニカ)、ISミル(株式会社IHIプラントエンジニアリング)等が例示される。これらの中では、微粉砕性に優れる、トルネードミル(日機装株式会社製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、自由粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)、ターボミル(フロイント産業株式会社製)を用いることが好ましい。
(粉末状セルロースの製造2:粉砕処理のみ)
酸加水分解処理を施していない前記パルプを原料にして、機械粉砕のみで粉体を製造す
る場合、粉砕機は、微粉砕性の高い、竪型ローラーミルを用いることが好ましい。本発明
において、竪型ローラーミルとは、ローラーミルに属する遠心式の竪型粉砕機のことであ
り、円盤状のターンテーブルと、竪型ローラーで磨り潰すようにして粉砕する。竪型ロー
ラーミルの最大の特徴は、微粉砕性に優れることであり、その理由として、ローラーとテ
ーブル間で原料を圧縮する力と、ローラーとテーブル間で発生する剪断力とで、原料を粉
砕することが挙げられる。従来から使用されている粉砕機としては、竪型ローラーミル(
シニオン株式会社製)、縦型ローラーミル(シェフラージャパン株式会社製)、ローラー
ミル(コトブキ技研工業株式会社製)、VXミル(株式会社栗本鐵工所)、KVM型竪形ミル(株式会社アーステクニカ)、ISミル(株式会社IHIプラントエンジニアリング)等が例示される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本願発明は記載される実施例に限定されるものではない。
<平均粒子径測定>
レーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー2000、スペクトリス株式会社、マルバーン事業本部社製)を使用した。測定に用いる試料を0.5g、100mlビーカーに採取し、0.5%ヘキサメタリン酸溶液60mlを加え、Dr. Hielscher Gmbh社の超音波処理装置で、出力20%の条件で2分間処理し、処理した試料を測定に用いた。測定原理としてはレーザー散乱法を用いており、粒度分布を蓄積分布として表し、蓄積分布が50%となる値を平均粒子径とした。
<重合度>
第16改正日本薬局方解説書、結晶セルロース確認試験(2)記載の銅エチレンジアミンを用いた粘度測定法により、セルロース重合度を求めた。
<吸水率>
蒸留水20gに加水処理前の粉末状セルロース1g(温度25℃、湿度50%に3時間調湿)を分散させ、十分に撹拌させたスラリーを得たのち、該スラリーを1G1ガラスろ過器(東京ガラス機器、最大細孔100〜120μm)、を用い20分間自然濾過し、加水処理後の粉末状セルロースを得た。濾過前後の重量差から、(加水処理後の重量(g)−加水処理前の重量(g))/加水処理前の重量(g)×100で示す粉末状セルロースの吸水率を得た。
<結晶化度>
結晶化度は、試料のX線回折を測定することで求めた。X線回折の測定は、適当量の試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD−6000、島津製作所製)を用いて測定した。結晶化度の算出は(L.Segal,J.J.Greely,etal,Text.Res.J.,29,786,1959)、および、Kamideらの手法(K.Kamide et al,Polymer J.,17,909,1985)を用いて行い、X線回折図の2θ=10°〜30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出した。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースの結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
<粉末セルロースの平均繊維幅>
日本電子株式会社の走査型電子顕微鏡(JSM−5310)を用いて、倍率200倍で各試料のSEM画像を撮影した。撮影したSEM画像中の繊維に対し、繊維1本について短軸方向(繊維幅方向)に3点の長さを測定し、繊維50本の平均値を平均繊維幅として算出した。平均値は、SEM画像のスケールバーを実測し、倍率から長さを算出した。
<原料パルプの平均繊維幅>
ファイバーテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて、原料パルプの平均繊維幅を測定した。本発明において、パルプの平均繊維幅とは、長さ加重平均繊維幅のことを示す。
<実施例1>
晒し木材パルプシート(針葉樹由来パルプNDSP、日本製紙(株)製、平均重合度1600、平均繊維幅33μm)を原料として、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、平均粒子径が72.3μm、平均重合度が1480、結晶化度が82.3%、平均繊維幅34μmの粉末状セルロースを得た。得られた粉末状セルロースの加水処理前の重量は1.02g、加水処理後の重量は6.24gであり、その吸水率は511%であった。
<実施例2>
晒し木材パルプシート(針葉樹由来パルプNDKP、日本製紙(株)製、平均重合度1550、平均繊維幅30μm)を原料として、ナイフミル(PS5‐10、パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、平均粒子径が64.7μm、平均重合度が1360、結晶化度が77.8%、平均繊維幅32μmの粉末状セルロースを得た。得られた粉末状セルロースの加水処理前の重量は1.01g、加水処理後の重量は5.15gであり、その吸水率は410%であった。
<実施例3>
晒し木材パルプシート(針葉樹由来パルプNBKP、日本製紙(株)製、平均重合度2800、平均繊維幅32μm)を原料として、ナイフミル(PS5‐10、パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、平均粒子径が81.7μm、平均重合度が2490、結晶化度が75.2%、平均繊維幅33μmのセルロース粉末を得た。得られた粉末状セルロースの加水処理前の重量は1.01g、加水処理後の重量は4.61gであり、その吸水率は356%であった。
<比較例1>
晒し木材パルプシート(広葉樹由来パルプLBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1450、平均繊維幅22μm)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.1Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、スーパーローターブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、平均粒子径が48.8μm、平均重合度が560、結晶化度が85.4%、平均繊維幅22μmの粉末状セルロースを得た。得られた粉末状セルロースの加水処理前の重量は1.01g、加水処理後の重量は3.12gであり、その吸水率は209%であった。
Figure 0006638290
本発明を満たさない比較例1の粉末状セルロースに比べ、実施例1〜3で示す通り本発明の粉末状セルロースは、吸水率が高く、吸水性に優れることが示される。

Claims (1)

  1. 針葉樹由来パルプ原料から得られる粉末状セルロースにおいて、該粉末状セルロースの平均粒子径が40〜90μm、平均重合度が700〜2500、結晶化度が60〜90%、平均繊維幅が27〜40μmであり、かつ(加水処理後の重量(g)−加水処理前の重量(g))/加水処理前の重量(g)×100で示される吸水率が300%以上であることを特徴とする粉末状セルロース。
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