JP2022160302A - 粉末状セルロース、その用途及び製造方法 - Google Patents

粉末状セルロース、その用途及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロースの誘導体化などの変質を行わずとも、樹脂組成物等に適度な物性を確保できる粉末状セルロースを提供すること。【解決手段】平均粒子径が5~150μmであり、下記式(1)で表される超音波水中残存率が60~120%である粉末状セルロース。式(1):超音波水中残存率(%)=[湿式測定(超音波照射あり)の体積累計50%粒子径/湿式測定(超音波照射なし)の体積累計50%粒子径]×100さらに、見掛け比重が0.1~0.28g/mlであることを特徴とする粉末状セルロース。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末状セルロース、その用途及び製造方法に関する。
粉末状セルロースは、増粘性、乳化安定性、保水性、吸油性、保形性等の特徴を有する。そのため、粉末状セルロースは、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、ろ過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤等の用途として、食品、医薬、化粧品、建材、窯業、ゴム、プラスチック等の幅広い分野で使用されている。中でも、近年は環境意識の高まりから、ゴムやプラスチック分野への展開が期待されており、そのような用途に適する粉末状セルロースが求められている。
そのような樹脂組成物へのセルロースの利用としては、樹脂との親和性を高めるためにセルロースを変質する方法が行われている。
例えば、特許文献1には樹脂組成物としての良好な物性を得るために、セルロース含有原料をセルロース親和性部位を持つポリマーの存在下で粉砕処理することで得られる低結晶性セルロース複合体を用いることが開示されている。
また特許文献2では、セルロースをエステル化し鎖状構造を付加したセルロース誘導体が開示されている。
特開2018-104702号公報 特開2018-59125号公報
しかしながら、このようなセルロースの変質を行うには、多量のエネルギーや化学物質を用いる必要があり、環境負荷の低減するために要望されるバイオプラスチックに用いるには改善が求められていた。
またセルロースの変質に用いる化学物質などが微量成分として、樹脂組成物に混入されてしまうため、純度の高いバイオプラスチックを得る際の懸念点となっていた。
そこで本発明では、セルロースの誘導体化などの変質を行わずとも、樹脂組成物等に適度な物性を確保できる粉末状セルロースを提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1]平均粒子径が5~150μmであり、下記式(1)で表される超音波水中残存率が60~120%である粉末状セルロース。
式(1):
超音波水中残存率(%)=[湿式測定(超音波照射あり)の体積累計50%粒子径/湿式測定(超音波照射なし)の体積累計50%粒子径]×100
[2]見掛け比重が0.1~0.28g/mlであることを特徴とする、[1]に記載の粉末状セルロース。
[3]粉末状セルロースの下記式(2)で表される水中残存率が、60~120%である、[1]~[2]いずれかに記載の粉末状セルロース。
式(2):
水中残存率(%)=[湿式測定(超音波照射なし)の体積累計50%粒子径/乾式測定の体積累計50%粒子径]×100
[4]乾式測定の粒子径分布のスパンが、9.0以下である、[1]~[3]いずれか1項に記載の粉末状セルロース。
[5]湿式測定(超音波あり)の粒子径分布のスパンが、3.0以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の粉末状セルロース。
[6][1]~[5]のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含む工業用添加剤。
[7][1]~[5]のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含む樹脂組成物。
[8][1]~[5]のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含むゴム組成物。
[9][1]~[5]のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含む成型体。
本発明によれば、セルロースの誘導体化などの変質を行わずとも、樹脂組成物等に適度な物性を確保できる粉末状セルロースを提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、本明細書中、「AA~BB」の表記は、AA以上BB以下を示すものとする。
[粉末状セルロース]
本発明の粉末状セルロースは、以下の物性を有することが好ましく、通常は以下の物性のうち所定の平均粒子径及び超音波水中残存率を少なくとも有する。
<粒子径分布、平均粒子径、粒子径分布のスパン>
粉末状セルロースの粒子径分布は、体積蓄積分布の積算値が10%、0%、90%となるときの粒子径分布(10%径、50%径、90%径、それぞれ、D.10、D.50、D.90)として表すことができる。本明細書において粒子径分布は、測定原理としてレーザー散乱法を用いて、湿式測定(超音波照射あり)、湿式測定(超音波照射なし)、又は乾式測定にて得られる値でる。
粒子径分布のスパンは、粒子径分布の広さを示す数値である。粉末状セルロースの形状に影響するものと推測され、本発明においては粉末状セルロースの粒子形状(球状、棒状、折れ曲がった棒状など)や、繊維凝集などの状態を総合的に表す指標といえる。粒度分布のスパンが適切な範囲である粉末状セルロースは、適度な繊維長、繊維幅を有し、樹脂組成物等に混錬した際に、樹脂等との混錬性が高まるほか、組成物中で繊維が適度に分散することで強固な構造体を構成することができ、樹脂組成物等の物性の良好なバランスで発揮することができる。
粒子径分布のスパンは、各方法により得られるD.10、D.50、D.90を下記式(3)に代入して算出する。
式(3):粒子径分布のスパン=((D.90)-(D.10))/(D.50)
-湿式測定(超音波照射なし)の条件-
本明細書において湿式条件(超音波照射なし)とは、試料に加水後超音波照射を行わずにそのまま粒子径を測定する条件を言う。湿式条件(超音波照射なし)のD.10、D.50、D.90、スパンの好ましい範囲は以下のとおりである。D.10は、通常5μm以上、、好ましくは8.0μm以上、より好ましくは10.0μm以上である。上限は、通常25.0μm以下、好ましくは20.0μm以下、より好ましくは15.0μm以下である。
D.50(平均粒子径)は、通常、5.0μm以上、10.0μm以上、20.0μm以上、好ましくは30.0μm以上、より好ましくは35.0μm以上である(但し、D.10よりも大きい値である)。これにより、粉末状セルロースの凝集性の上昇及びこれに起因する粉体流動性の低下を抑制でき、作業性の悪化を抑制できる。上限は、通常150.0μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは80.0μm以下、更に好ましくは65.0μm以下である。これにより、樹脂組成物等と混錬した際に、表面のざらつきなどのない良好な表面性を得ることができる。
D.90は、通常、100.0μm以上、好ましくは120.0μm以上、より好ましくは130μm以上、更に好ましくは135.0である(但し、D.50よりも大きい値である)。上限は、250.0μm以下、好ましくは220μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは195μm以下である。
粒子径分布のスパンは、通常1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.2以上、更に好ましくは2.5以上である。上限は、通常5.0以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。
-湿式測定(超音波照射あり)-
本明細書において湿式条件(超音波照射あり)とは、試料に加水後超音波照射を行ってから粒子径を測定する条件を言う。湿式(超音波あり)の場合のD.10、D.50、D.90、スパンの好ましい範囲は以下のとおりである。
D.10は、通常1.0μm以上、3.0μm以上又は5.0μm以上、好ましくは7.0μm以上又は8.0μm以上、より好ましくは9.0μm以上、更に好ましくは10.5μm以上である。上限は、通常20.0μm以下又は18.0μm以下、好ましくは15.0以下、より好ましくは13.0μm以下である。
D.50は、通常5以上、10.0μm以上又は15.0μm以上、好ましくは20.0μm以上、より好ましくは25.0μm以上、更に好ましくは30.0μm以上又は35.0μm以上である(但し、D.10よりも大きい値である)。上限は、通常70.0μm以下、好ましくは60.0μm以下、より好ましくは50.0μm以下である。
D.90は、通常、50.0μm以上、好ましくは80.0μm以上、より好ましくは100.0μm以上、更に好ましくは120.0μm以上である(但し、D.50よりも大きい値である)。上限は、300.0μm以下、好ましくは250.0μm以下、より好ましくは220.0μm以下、更に好ましくは200.0μm以下である。
粒子径分布のスパンは、通常2.0以上、好ましくは2.4以上、より好ましくは2.8以上、更に好ましくは3.0以上又は3.2以上である。上限は、通常5.0以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。
-乾式測定-
本明細書において乾式測定とは、試料に加水せずそのまま粒子径を測定する条件を言う。乾式測定の場合のD.10、D.50、D.90、スパンの好ましい範囲は以下のとおりである。
D.10は、通常1.0μm以上、3.0μm以上、好ましくは5.0μm以上、より好ましくは7.0μm以上、更に好ましくは10.0μm以上である。上限は、通常30.0μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは20.0μm以下、更に好ましくは18.0μm以下である。
D.50は、通常5.0μm以上、10.0μm以上、好ましくは20.0μm以上、より好ましくは25.0μm以上である(但し、D.10よりも大きい値である)。上限は、通常100.0μm以下、好ましくは80.0μm以下、より好ましくは70.0μm以下である。
D.90は、通常、90.0μm以上、好ましくは100.0μm以上、より好ましくは150.0μm以上、更に好ましくは170.0μm以上である(但し、D.50よりも大きい値である)。上限は、300.0μm以下、より好ましくは280.0μm以下である。
粒子径分布のスパンは、通常1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3.0以上である。上限は、通常9.0以下、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.5以下である。
上記の範囲を満たすことにより、樹脂組成物等に混錬した際に、樹脂分などとの混錬性が増し、さらに組成物中で均一に分散することができ、そのような樹脂組成物からなる成形体などに期待される機械的な物性を良好に発揮することができる。
<超音波水中残存率>
粉末状セルロースの超音波水中残存率は、通常120%以下、好ましくは110%以下、より好ましくは100%以下である。下限は、通常60%以上、好ましくは65%以上である。超音波残存率が上記の範囲であることにより、樹脂組成物等との混錬処理の際にも、粉末状セルロースはその形状を維持しやすいため、得られる樹脂組成物やその成型体中で骨材としての作用を発揮し、硬度や引張性などの機械的な物性を発揮しやすくなると期待される。
超音波残存率は、粉末状セルロースの超音波照射後のサイズの、照射前のサイズに対する比率(%)であり、前記のD.50から下記式(1)に代入して算出する。
式(1):
超音波水中残存率(%)=[湿式測定(超音波照射あり)のD.50/湿式測定(超音波照射なし)のD.50]×100
<水中残存率>
粉末状セルロースの水中残存率は、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上である。上限は、通常120%以下、好ましくは110%以下、より好ましくは100%以下である。
水中残存率が、上記範囲であることで、樹脂組成物等との混錬処理の際にも、粉末状セルロースはその形状を維持しやすいため、得られる樹脂組成物やその成型体中で骨材としての作用を発揮し、硬度や引張性などの機械的な物性を発揮しやすくなると期待される。
水中残存率は、粉末状セルロースの湿式処理後のサイズの、処理前のサイズに対する比率(%)であり、前記のD.50から下記式(2)に代入して算出する。
式(2):
水中残存率(%)=[湿式測定(超音波照射なし)のD.50/乾式測定のD.50]×100
<長径/短径比(L/D)>
粉末状セルロースの長径/短径比(L/D)は、通常3.5~7.0であり、好ましくは3.5~6.5であり、より好ましくは4.0~6.0である。
L/Dは、粉末状セルロースの形状に影響するものと推測され、粉末状セルロースの粒子形状(球状、棒状、折れ曲がった棒状など)、繊維凝集等の状態を総合的に表す指標といえる。L/Dが、前述する好ましい範囲であると、適度な繊維長、及び繊維幅を有し、樹脂組成物等に混錬した際に骨材として期待される効果を発揮しやすい。
L/Dは、以下の条件で算出した値である。光学顕微鏡を用いて、粉末状セルロースを100倍の倍率で観察し、無作為に選んだ140本の粉末状セルロースのL及びDを計測し、それぞれのL/Dを算出する。算出したL/Dのうち、上下それぞれ20の値を除いた合計100個の粉末状セルロースの平均値として算出する。なお、長径(L)とは、光学顕微鏡で観察した粉末状セルロースの繊維幅の最大長をいう。また、短径(D)とは、光学顕微鏡で観察した粉末状セルロースの繊維幅の長径と直交する最小値をいう。粉末状セルロースが折れ曲がり構造をとる場合、Lは、折れ曲がった状態での繊維幅の最大長である。Lは、通常35以上、好ましくは40以上、より好ましくは41以上である。上限は、通常60以下、好ましくは55以下、より好ましくは53以下である。Dは、通常6以上、好ましくは7以上、より好ましくは8以上である。上限は、15以下であればよく、特に限定されない。L/Dと共にLが上記範囲内であることで、より崩壊性が向上するので好ましい。L/Dの測定は、粉末状セルロースの、赤外線水分計(ケット科学研究所製、FD-720型、1g、105℃)で測定した粉体水分が3.0~4.0%であることを確認してから行う。
[粉末状セルロースの製造方法]
粉末状セルロースの製造方法としては、セルロース原料から粉末状セルロースを得る方法であれば特に限定されないが、例えば、少なくとも粉砕処理を含む方法が挙げられる。また、セルロースの重合度を低減させるためや不純物を減少させるために酸加水分解処理を行うこともできる。
<セルロース原料>
セルロース原料は、通常は天然由来のセルロースであり、パルプが好ましく、木材由来のパルプがより好ましい。木材由来のパルプとしては、例えば、広葉樹由来のパルプ、針葉樹由来のパルプが挙げられる。木材由来のパルプの調製方法としては、例えば、パルプ化法(蒸解法)による処理を含む方法が挙げられる。パルプ化法(蒸解法)による処理により着色物質であるリグニンが溶解して取り除かれ、白色度の高いパルプを得ることができる。パルプ化法(蒸解法)としては、例えば、サルファイト蒸解法、クラフト蒸解法、ソーダ・キノン蒸解法、オルガノソルブ蒸解法が挙げられ、環境面から、クラフトパルプが好ましい。
パルプの調製方法においては、パルプ化法(蒸解法)に加え、さらに漂白処理を行うことが好ましい。これにより、白色度のより高いパルプが得られる。漂白処理方法としては、例えば、任意に通常の方法で脱リグニンしたパルプに対し、塩素処理(C)、二酸化塩素漂白(D)、アルカリ抽出(E)、次亜塩素酸塩漂白(H)、過酸化水素漂白(P)、アルカリ性過酸化水素処理段(Ep)、アルカリ性過酸化水素・酸素処理段(Eop)、オゾン処理(Z)、キレート処理(Q)、及びこれらの2以上の処理の組み合わせを施す方法が挙げられる。2以上の処理の組み合わせ(シーケンス)としては、例えば、D-E
/P-D、C/D-E-H-D、Z-E-D-PZ/D-Ep-D、Z/D-Ep-D-P、D-Ep-D、D-Ep-D-P、D-Ep-P-D、Z-Eop-D-D、Z/D-Eop-D、Z/D-Eop-D-E-D(シーケンス中の「/」は、「/」の前後の処理を洗浄なしで連続して行なうことを意味する)が挙げられる。漂白処理は、上記の例に限定されることなく、一般的に使用される方法でもよい。漂白処理を経たパルプは、通常は流動状態(流動パルプ)である。パルプの白色度は、ISO 2470に基づいて、80%以上が好ましい。
<酸加水分解処理>
酸加水分解処理を行う場合には、その酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が挙げられる。酸濃度は、特に限定されないが、重合度及び白色度の維持の観点から、従来の粉末状セルロース製造の酸加水分解処理の際の酸濃度より低いことが好ましく、0.4~2.0Nがより好ましく、0.5~1.5Nがより好ましい。酸加水分解処理の反応条件は特に限定されないが、反応温度は通常80~100℃、反応時間は通常30分~3時間である。
酸加水分解処理に先立ち、セルロース原料について前処理を行ってもよい。例えば、セルロース原料のスラリー化(分散液の調製)、セルロース原料濃度の調整が挙げられる。セルロース原料の濃度は、通常、分散液に対し3~10重量%(固形分換算)である。セルロース原料が漂白処理を経た流動パルプの場合、通常、加水分解前にパルプ濃度を高める処理を行うことが多い。セルロース原料濃度の調整(濃縮)には、スクリュープレス、ベルトフィルター等の脱水機を用いてもよい。酸加水分解処理は、セルロース原料のスラリーに対して行われてもよいが、シート状のセルロース原料に対し行われてもよい。セルロース原料がパルプのドライシートの場合、通常、パルプをほぐしてから酸加水分解処理を行う。パルプをほぐす際には、ロールクラッシャー等の解砕機を用いてもよい。
<中和・洗浄・脱液・乾燥処理>
加水分解処理後、得られる処理物は、粉砕処理の前に適宜前処理を経る。前処理としては例えば、中和、洗浄、脱液、乾燥処理が挙げられ、中和、洗浄、脱液、乾燥処理をこの順に行うことが好ましい。中和処理は、アルカリ剤を添加して行えばよい。脱液処理は通常は固液分離処理であり、加水分解処理物から廃酸を分離できる。さらに、加水分解物は、乾燥(脱水)処理を経てもよい。これにより、固形分濃度を調整でき、粉末状セルロースの物性値の制御が容易にできる。固形分濃度は、通常、15%以上、好ましくは20%以上に調整される。
<粉砕処理>
粉砕処理は、本発明の粉末状セルロースを得るために、原料となるパルプを直接機械的に粉砕処理しても良いし、酸加水分解などを経た処理物を機械的に粉砕する処理であってもよい。なお本発明の粉末状セルロースは、適度な平均粒径、超音波水中残存率、さらに見掛け比重を達成するためには、粒子をある程度粗めに保持する必要があるため、酸加水分解処理を行わない方が調整は容易である。また粉砕と同時、又は粉砕後に、分級処理を行ってもよい。
粉砕機としては、以下を例示できる。
カッティング式ミル:メッシュミル(株式会社ホーライ製)、アトムズ(株式会社山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、カッターミル(東京アトマイザー製造株式会社製)、CSカッタ(三井鉱山株式会社製)、ロータリーカッターミル(株式会社奈良機械製作所製)、ターボカッター(フロイント産業株式会社製)、パルプ粗砕機(株式会社瑞光製)、及びシュレッダー(神鋼パンテック株式会社製)等。
ハンマー式ミル:ジョークラッシャー(株式会社マキノ製)、ハンマークラッシャー(槇野産業株式会社製)、及びマイクロパルペライザ(ホソカワミクロン社製)。
衝撃式ミル:パルベライザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインインパクトミル(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン株式会社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、CUM型遠心ミル(三井鉱山株式会社製)、イクシードミル(槇野産業株式会社製)、ウルトラプレックス(槇野産業株式会社製)、コントラプレックス(槇野産業株式会社製)、コロプレックス(槇野産業株式会社製)、サンプルミル(株式会社セイシ製)、バンタムミル(株式会社セイシン製)、アトマイザー(株式会社セイシン製)、トルネードミル(日機装株式会社製)、ネアミル(株式会社ダルトン製)、HT形微粉砕機(株式会社ホーライ製)、自由粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)、ニューコスモマイザー(株式会社奈良機械製作所製)、ターボミル(フロイント産業株式会社製)、ギャザーミル(株式会社西村機械製作所製)、スパーパウダーミル(株式会社西村機械製作所製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング株式会社製)、Npaクラッシャー(三庄インダストリー株式会社製)、ウイレー粉砕機(株式会社三喜製作所製)、パルプ粉砕機(株式会社瑞光製)、ヤコブソン微粉砕機(神鋼パンテック株式会社製)、及びユニバーサルミル(株式会社徳寿工作所製)。
気流式ミル:CGS型ジェットミル(三井鉱山株式会社製)、ミクロンジェット(ホソカワミクロン株式会社製)、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、クロスジェットミル(株式会社栗本鐵工所製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、カレントジェット(日清エンジニアリング株式会社製)、ジェットミル(三庄インダストリー株式会社製)、エバラジェットマイクロナイザ(株式会社荏原製作所製)、エバラトリアードジェット(株式会社荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業株式会社製)、ニューミクロシクトマット(株式会社増野製作所製)、及びクリプトロン(川崎重工業株式会社製)。
竪型ローラーミル:竪型ローラーミル(シニオン株式会社製)、縦型ローラーミル(シェフラージャパン株式会社製)、ローラーミル(コトブキ技研工業株式会社製)、VXミル(株式会社栗本鐵工所)、KVM型竪形ミル(株式会社アーステクニカ)、及びISミル(株式会社IHIプラントエンジニアリング)。
これらの中では、所望の物性値を維持しつつ微粉砕性に優れることから、竪型ローラーミル、メッシュミルが好ましい。
粉砕処理、又は必要に応じて行う分級処理の条件は、所望の粉末状セルロースが得られるように適宜設定できる。例えば、粉砕条件(例えば、処理時間、投入量)と粉末状セルロースの所望の物性とから作成した検量線を参照して、処理条件を調整できる。
粉砕処理の際、必要に応じて、少なくとも1つの他の成分(例えば、有機成分、無機成分)を原料パルプや酸加水分解処理物とともに粉砕処理に供してもよいが、本発明の目的とするところによれば、他の成分はなるべく少量に抑える(若しくは添加しない)ことが望ましい。
粉末状セルロースは、必要に応じて、化学的処理が施されていてもよいが、本発明の粉末状セルロースはそれ自体で樹脂組成物等との良好な混錬性が期待できるため、必須ではない。
〔粉末状セルロースの用途〕
粉末状セルロースは、樹脂組成物、ゴム組成物等の工業用添加剤として用いることができる。これにより、それらにより得られる成型体は良好な機械物性を示すことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本願は勿論、かかる実施例に限定されるものではない。本願の実施例における試験方法を、次に示す。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。
<粒子径分布、平均粒子径、粒子径分布のスパン>
レーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000、スペクトリス社マルバーンパナリティカル事業部)を用いた。測定原理としてレーザー散乱法を用いて、乾式測定、湿式測定(超音波照射あり)、及び湿式測定(超音波照射なし)による粒子径分布を測定した。粒度分布を体積蓄積分布として表した場合に、体積蓄積分布の積算値が10%、50%、90%である値を、それぞれ粒子径分布D.10、D.50、D.90とした。湿式(超音波照射なし)のD.50を平均粒子径とした。また、前記の式(3)により、粒子径分布のスパンを算出した。
乾式測定は、供給口内に、散乱強度が1%未満となるように試料を添加して以下の条件で行った。
・分散ユニット:Aero5
・空気圧:2bar
・フィードレート:25
湿式測定は、3500rpmで攪拌されている水中の測定部に、散乱強度が10%程度になるように試料を添加して行った。超音波を照射する場合、下記条件に基づいて水中の試料に超音波を当ててから湿式測定を行った。
・モード:連続
・強度:100%
・時間:600秒
粒子径分布の解析は、いずれの測定条件の場合も以下の条件で行った。
・解析:汎用
・解析感度:強調
・光散乱モデル:Mie理論
<超音波水中残存率、水中残存率>
超音波水中残存率及び水中残存率は、上記測定値、並びに前記式(1)及び(2)から算出した。
<粉末状セルロースの調製>
<実施例1>
無塩素漂白パルプを、メッシュミル(ホーライ社製、HA8‐2542‐25E型)を用いて機械的に適宜粉砕・分級を行い、平均粒子径46.5μm、見掛け比重0.22g/mlの粉末状セルロースを得た。
<実施例2>
無塩素漂白パルプを、メッシュミル(ホーライ社製、HA8‐2542‐25E型)を用いて機械的に適宜粉砕・分級を行い、平均粒子径46.9μm、見掛け比重0.16g/mlの粉末状セルロースを得た。
<実施例3>
無塩素漂白パルプを、メッシュミル(ホーライ社製、HA8‐2542‐25E型)を用いて機械的に適宜粉砕・分級を行い、平均粒子径39.7μm、見掛け比重0.18g/mlの粉末状セルロースを得た。
各サンプルの物性値、測定値を表1に示す。
Figure 2022160302000001

Claims (9)

  1. 平均粒子径が5~150μmであり、下記式(1)で表される超音波水中残存率が60~120%である粉末状セルロース。
    式(1):
    超音波水中残存率(%)=[湿式測定(超音波照射あり)の体積累計50%粒子径/湿式測定(超音波照射なし)の体積累計50%粒子径]×100
  2. 見掛け比重が0.1~0.28g/mlであることを特徴とする、請求項1に記載の粉末状セルロース。
  3. 粉末状セルロースの下記式(2)で表される水中残存率が、60~120%である、請求項1~2いずれかに記載の粉末状セルロース。
    式(2):
    水中残存率(%)=[湿式測定(超音波照射なし)の体積累計50%粒子径/乾式測定の体積累計50%粒子径]×100
  4. 乾式測定の粒子径分布のスパンが、9.0以下である、請求項1~3いずれか1項に記載の粉末状セルロース。
  5. 湿式測定(超音波あり)の粒子径分布のスパンが、3.0以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粉末状セルロース。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含む工業用添加剤。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含む樹脂組成物。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含むゴム組成物。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載の粉末状セルロースを含む成型体。
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