JP2023039557A - 粉末状セルロース - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明によれば、錠剤等の成形体とした際に、成形性の良好な粉末状セルロースを提供することを課題とする。【解決手段】平均重合度が100~700、重量平均粒子径が30μmより大きく、250μm以下、見掛け比容積が2~15cm3/gである粉末状セルロースであって、さらに1%NaOH水溶液抽出時の全有機炭素量(%)-純水抽出時の全有機炭素量(%)で定義される残留不純物由来の有機炭素量が0.3を超え、0.6%以下であり、粒度分布シャープネスが1.0を超え1.5未満であることが好ましい粉末状セルロース。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末状セルロース及びそれを用いた成形体に関する。
粉末状セルロースは、増粘性、乳化安定性、保水性、吸油性、保形性等の特徴を有する。そのため、粉末状セルロースは、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、ろ過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤等の用途として、食品、医薬、化粧品、建材、窯業、ゴム、プラスチック等の幅広い分野で使用されている。中でも、安全性が高いことから、食品添加剤、錠剤賦形剤の用途において汎用されている。
粉末状セルロースの製造方法には、大別すると、化学的処理を用いた製造方法と、機械的処理を用いた製造方法の2つがある。化学的処理を用いた製造方法は、セルロース原料に硫酸、塩酸等の鉱酸を用いて加水分解処理を施し、必要に応じて粉砕処理を施す製造方法である。具体的には、120~160℃の高温下、20~45分間希酸で酸加水分解し、粉末状セルロースを得る方法(特許文献1)、2.5規定(以下、規定はNと省略)の塩酸で約15分間酸加水分解し、粉末状セルロースを得る方法(特許文献2)、各種濃度の塩酸水溶液で高温処理し、粉末状セルロースを得る方法(特許文献3)がある。
粉末状セルロースを食品添加剤又は錠剤賦形剤として用いる場合に求められる特性の1つとして、成形物が良好な成形性や崩壊性を有していることが挙げられる。例えば、特許文献4には、粉末状セルロースの流動性に関し記載されている。
米国特許第3954727号明細書 米国特許第3141875号明細書 特開昭53-127553号公報 特許第5982874号公報
しかしながら、各文献には、粉末状セルロースの物性と、得られる成形体の成形性について特段記載されていない。
本発明は、成形体とした際に、成形性が良好な粉末状セルロースを提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]~[4]を提供する。
[1]平均重合度が100~700、重量平均粒子径が30μmより大きく、250μm以下、見掛け比容積が2~15cm3/gである粉末状セルロース。
[2]1%NaOH水溶液抽出時の全有機炭素量(%)-純水抽出時の全有機炭素量(%)で定義される残留不純物由来の有機炭素量が0.3を超え、0.6%以下である、[2]に記載の粉末状セルロース。
[3]粒度分布シャープネスが1.0を超え、1.5未満である、[1]~[2]いずれかに記載の粉末状セルロース。
[4][1]~[3]のいずれか1に記載の粉末状セルロース粉末を含む成形体。
本発明によれば、錠剤等の成形体とした際に、成形性の良好な粉末状セルロースを提供できる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、本明細書中、「AA~BB」の表記は、AA以上BB以下を示すものとする。
[粉末状セルロース]
本発明の粉末状セルロースは、平均重合度が100~700、重量平均粒子径が30μmより大きく、250μm以下、見掛け比容積が2~15cm3/gである。さらに、1%NaOH水溶液抽出時の全有機炭素量(%)-純水抽出時の全有機炭素量(%)で定義される残留不純物由来の有機炭素量が0.3を超え、0.6%以下であり、粒度分布シャープネスが0.5を超え、1.5未満である。
そのような本発明の粉末状セルロースの平均重合度は100~700が重要であり、好ましくは100~600、さらに好ましくは150~500である。平均重合度が本範囲であることで、成形性の良好な粉末状セルロースを得ることができる。
粉末状セルロースの重量平均粒子径は30μmより大きく、250μm以下である。粉末状セルロースが本範囲であることで、成形性の他、流動性も向上するため好ましい。
粉末状セルロースの見掛け比容積は、2~15cm3/gであり、好ましくは2~13cm3/gである。見掛け比容積が2cm3/g以上であると成形性が向上する。繊維性による弾性回復が発現するため、上限はせいぜい15cm3/gである。
本発明の粉末状セルロースは、1%NaOH抽出時の全有機炭素量(%)-純粋抽出時の全有機炭素量(%)で定義される残留不純物由来の有機炭素量が0.3を超え、0.6%以下である。残留不純物由来の有機炭素量は0.35%以上が好ましく、0.55%以下が好ましい。残留不純物由来の有機炭素量が本範囲であることで、錠剤などの成形体としたときの残留不純物(ヘミセルロース等)の効果により成形性が向上する。
なお本発明でいう残留不純物由来の有機炭素量とは、粉末状セルロース(5g)中から純水(80mL)により抽出されるセルロース粉末5gに対する全有機炭素(TOC)量と、セルロース粉末(5g)中から1%水酸化ナトリウム水溶液(80mL)により抽出されるセルロース粉末5gに対するTOC量との差(%)で定義する。
本発明の粉末状セルロースは、粒度分布シャープネスが1.0を超えて1.5未満である。好ましくは1.1~1.4である。この値が1.0に近いほど単分散となり好ましい。1.5以下とすることで、粒度分布がシャープとなり、成形体とした際のばらつき少なく好ましい。
本発明でいう粒度分布シャープネスとは、ロータップ式篩振盪機(セイシン企業社製DuraTap)、JIS標準篩(Z8801-1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより測定したセルロース粉体の粒度分布より算出される積算重量10%粒径(D10)、積算重量50%粒径(D50)、積算重量90%粒径(D90)を用いて下式より算出される値である。
粒度分布シャープネス=[(D50/D10)+(D90/D50)]/2
[粉末状セルロースの製造方法]
粉末状セルロースの製造方法としては、セルロース原料から粉末状セルロースを得る方法であれば特に限定されないが、例えば、少なくとも粉砕処理を含む方法が挙げられ、不純物が少ない粉末状セルロースが得られやすい点で、酸加水分解処理をさらに行う方法が好ましい。
<セルロース原料>
セルロース原料は、通常は天然由来のセルロースであり、パルプが好ましく、木材由来のパルプがより好ましい。木材由来のパルプとしては、例えば、広葉樹由来のパルプ、針葉樹由来のパルプが挙げられる。木材由来のパルプの調製方法としては、例えば、パルプ化法(蒸解法)による処理を含む方法が挙げられる。パルプ化法(蒸解法)による処理により着色物質であるリグニンが溶解して取り除かれ、白色度の高いパルプを得ることができる。パルプ化法(蒸解法)としては、例えば、サルファイト蒸解法、クラフト蒸解法、ソーダ・キノン蒸解法、オルガノソルブ蒸解法が挙げられ、環境面から、クラフトパルプが好ましい。
パルプの調製方法においては、パルプ化法(蒸解法)に加え、さらに漂白処理を行うことが好ましい。これにより、白色度のより高いパルプが得られる。漂白処理方法としては、例えば、任意に通常の方法で脱リグニンしたパルプに対し、塩素処理(C)、二酸化塩素漂白(D)、アルカリ抽出(E)、次亜塩素酸塩漂白(H)、過酸化水素漂白(P)、アルカリ性過酸化水素処理段(Ep)、アルカリ性過酸化水素・酸素処理段(Eop)、オゾン処理(Z)、キレート処理(Q)、及びこれらの2以上の処理の組み合わせを施す方法が挙げられる。2以上の処理の組み合わせ(シーケンス)としては、例えば、D-E/P-D、C/D-E-H-D、Z-E-D-PZ/D-Ep-D、Z/D-Ep-DP、D-Ep-D、D-Ep-D-P、D-Ep-P-D、Z-Eop-D-D、Z/D-Eop-D、Z/D-Eop-D-E-D(シーケンス中の「/」は、「/」の前後の処理を洗浄なしで連続して行なうことを意味する)が挙げられる。漂白処理は、上記の例に限定されることなく、一般的に使用される方法でもよい。漂白処理を経たパルプは、通常は流動状態(流動パルプ)である。パルプの白色度は、ISO 2470に基づいて、80%以上が好ましい。
<酸加水分解処理>
酸加水分解処理に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が挙げられる。酸濃度は、特に限定されないが、重合度及び白色度の維持の観点から、従来の粉末状セルロース製造の酸加水分解処理の際の酸濃度より低いことが好ましく、0.4~2.0Nがより好ましく、0.5~1.5Nがより好ましい。酸濃度が0.4N未満であると、酸によるセルロースの解重合が抑制されセルロースの重合度の低下を軽減できるが、微細化が困難となる場合がある。一方、2.0Nを超えると、セルロースの解重合が進み微細化が容易となるため、粉体流動性は向上するが、重合度の低下に伴い錠剤硬度が低下する(成形した際に、崩壊しやすくなる)場合がある。酸加水分解処理の反応条件は特に限定されないが、反応温度は通常80~100℃、反応時間は通常30分~3時間である。
酸加水分解処理に先立ち、セルロース原料について前処理を行ってもよい。例えば、セルロース原料のスラリー化(分散液の調製)、セルロース原料濃度の調整が挙げられる。セルロース原料の濃度は、通常、分散液に対し3~10重量%(固形分換算)である。セルロース原料が漂白処理を経た流動パルプの場合、通常、加水分解前にパルプ濃度を高める処理を行うことが多い。セルロース原料濃度の調整(濃縮)には、スクリュープレス、ベルトフィルター等の脱水機を用いてもよい。酸加水分解処理は、セルロース原料のスラリーに対して行われてもよいが、シート状のセルロース原料に対し行われてもよい。セルロース原料がパルプのドライシートの場合、通常、パルプをほぐしてから酸加水分解処理を行う。パルプをほぐす際には、ロールクラッシャー等の解砕機を用いてもよい。
<中和・洗浄・脱液・乾燥処理>
加水分解処理後、得られる処理物は、粉砕処理の前に適宜前処理を経る。前処理としては例えば、中和、洗浄、脱液、乾燥処理が挙げられ、中和、洗浄、脱液、乾燥処理をこの順に行うことが好ましい。中和処理は、アルカリ剤を添加して行えばよい。脱液処理は通常は固液分離処理であり、加水分解処理物から廃酸を分離できる。さらに、加水分解物は、乾燥(脱水)処理を経てもよい。これにより、固形分濃度を調整でき、粉末状セルロースの物性値の制御が容易にできる。固形分濃度は、通常、15%以上、好ましくは20%以上に調整される。乾燥は、気流式乾燥機を用いることが好ましい。これにより、加水分解後の処理物がケーキ状固体、スラリー、溶液等の態様にかかわらず、これらを気流中に分散しながら高速の熱風を当てることができ、かつ、ドライヤー内部の減圧効果を利用でき、瞬時に乾燥できる。また、熱風に触れる時間が極めて短いため、製品温度を低く保つことができ、熱に敏感な製品や融点の低い製品の乾燥に最適である。気流式乾燥機による乾燥の条件は特に限定されず、適宜設定できるが、一例を挙げると以下のとおりである。出口乾燥温度は、通常80~180℃、好ましくは90℃~160℃である。給気量は、通常150~350m3/h、好ましくは160~320m3/hである。
一方、噴霧乾燥機を用いる場合、噴霧し熱風で瞬時に乾燥させ顆粒物を生成する。そのため、水分量が少ない固形状・半固形状の対象物の乾燥には適さないことが多く、気流式乾燥機による乾燥よりも粒子が瞬間的に高熱に暴露されやすく、製品への影響が懸念される。
<粉砕処理>
粉砕処理は、前工程を経た処理物を機械的に粉砕する処理である。粉砕と同時、又は粉砕後に、分級処理を行ってもよい。
粉砕機としては、以下を例示できる。
カッティング式ミル:メッシュミル(株式会社ホーライ製)、アトムズ(株式会社山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、カッターミル(東京アトマイザー製造株式会社製)、CSカッタ(三井鉱山株式会社製)、ロータリーカッターミル(株式会社奈良機械製作所製)、ターボカッター(フロイント産業株式会社製)、パルプ粗砕機(株式会社瑞光製)、及びシュレッダー(神鋼パンテック株式会社製)等。
ハンマー式ミル:ジョークラッシャー(株式会社マキノ製)、ハンマークラッシャー(槇野産業株式会社製)、及びマイクロパルペライザ(ホソカワミクロン社製)。
衝撃式ミル:パルベライザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインインパクトミル(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン株式会社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、CUM型遠心ミル(三井鉱山株式会社製)、イクシードミル(槇野産業株式会社製)、ウルトラプレックス(槇野産業株式会社製)、コントラプレックス(槇野産業株式会社製)、コロプレックス(槇野産業株式会社製)、サンプルミル(株式会社セイシン製)、バンタムミル(株式会社セイシン製)、アトマイザー(株式会社セイシン製)、トルネードミル(日機装株式会社製)、ネアミル(株式会社ダルトン製)、HT形微粉砕機(株式会社ホーライ製)、自由粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)、ニューコスモマイザー(株式会社奈良機械製作所製)、ターボミル(フロイント産業株式会社製)、ギャザーミル(株式会社西村機械製作所製)、スパーパウダーミル(株式会社西村機械製作所製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング株式会社製)、Npaクラッシャー(三庄インダストリー株式会社製)、ウイレー粉砕機(株式会社三喜製作所製)、パルプ粉砕機(株式会社瑞光製)、ヤコブソン微粉砕機(神鋼パンテック株式会社製)、及びユニバーサルミル(株式会社徳寿工作所製)。
気流式ミル:CGS型ジェットミル(三井鉱山株式会社製)、ミクロンジェット(ホソカワミクロン株式会社製)、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、クロスジェットミル(株式会社栗本鐵工所製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、カレントジェット(日清エンジニアリング株式会社製)、ジェットミル(三庄インダストリー株式会社製)、エバラジェットマイクロナイザ(株式会社荏原製作所製)、エバラトリアードジェット(株式会社荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業株式会社製)、ニューミクロシクトマット(株式会社増野製作所製)、及びクリプトロン(川崎重工業株式会社製)。
竪型ローラーミル:竪型ローラーミル(シニオン株式会社製)、縦型ローラーミル(シェフラージャパン株式会社製)、ローラーミル(コトブキ技研工業株式会社製)、VXミル(株式会社栗本鐵工所)、KVM型竪形ミル(株式会社アーステクニカ)、及びISミル(株式会社IHIプラントエンジニアリング)。
これらの中では、微粉砕性に優れることから、ジョークラッシャー(株式会社マキノ製)、パルベライザ(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン株式会社製)、トルネードミル(日機装株式会社製)、自由粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)、ターボミル(フロイント産業株式会社製)、スパーパウダーミル(株式会社西村機械製作所製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、又はカレントジェット(日清エンジニアリング株式会社製)が好ましい。
粉砕処理、又は必要に応じて行う分級処理の条件は、所望の粉末状セルロースが得られるように適宜設定できる。例えば、粉砕条件(例えば、処理時間、投入量)と粉末状セルロースの所望の物性とから作成した検量線を参照して、処理条件を調整できる。
粉砕処理の際、必要に応じて、少なくとも1つの他の成分(例えば、有機成分、無機成分)を酸加水分解処理物とともに粉砕処理に供してもよい。これにより、粉末状セルロースに機能性を付与、又は機能性を向上させることができる。他の成分の配合量は、適量適宜選定すればよい。
粉末状セルロース製造の際には、必要に応じて、化学的処理を行ってもよい。化学的処理は、セルロース原料の重合度を大幅に損なうおそれのない処理を適宜選択できる。化学的処理の時期としては、例えば、酸加水分解処理の前、粉砕処理と同時等が挙げられるが、特に限定されない。
〔粉末状セルロースの用途〕
粉末状セルロースは、高い流動性を持つため成形体の賦形剤として用いることができる。これにより、成形体は良好な成形性を示すことができ、有効成分とともに粉末状セルロースを含む成型体は、良好な徐放性を示すことができる。成形体の剤型としては、例えば、錠剤が挙げられる。
粉末状セルロースは、さらに食品添加剤として用いることができる。これにより、食品の物性を改良し、又は品質を向上させることができる。食品としては、例えば、シュレッドチーズ、フライ製品、パン粉、ハムやソーセージのケーシングやそれらのピックル液、チキンサラダ、粉末調味料、練り製品、人工米、グミ製品、スープ類、ハンバーグ、餃子、焼き菓子、ソフトクリーム、から揚げ、パン、ドーナッツ、ホイップクリーム等の加工食品が挙げられる。
粉末状セルロースの他の用途としては、例えば、衛生用品/化粧品添加剤(例えば、洗顔剤、歯磨剤、ファンデーション用)、工業用添加剤(例えば、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の樹脂用)、ろ過助剤(例えば、レアメタル、食品用)、塗料/接着剤添加剤(例えば、ウレタン塗料用)、飼料(例えば、ペットフード、釣り餌)が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本願は勿論、かかる実施例に限定されるものではない。本願の実施例における試験方法を、次に示す。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。
<重量平均粒子径(μm)>
粉体試料の重量平均粒径はロータップ式篩振盪機(セイシン企業社製、DurTap)、JIS標準篩(Z8801-1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、累積重量50%粒径として表した。
<見掛け比容積(cm3 /g)>
100cm3 のガラス製メスシリンダーに、2~3分かけて粗充填し、粉体層上面を筆のような軟らかい刷毛で水平にならしその容積を読みとりこれを粉体試料の重量で除して求めた。粉体の重量は容積が70-100cm3程度になるように適宜決定した。
<平均重合度>
第16改正日本薬局方解説書、結晶セルロース確認試験(2)記載の銅エチレンジアミンを用いた粘度測定法により、セルロース重合度を求めた。結晶セルロースの確認試験(2)記載の方法で計測ができない範囲については、例えばパルプ・ポリマー用全自動粘度測定システムRPV-1(RHEOTEK製)を用い、極限粘度を計測し、「VISCOSITY MEASUREMENTS OF CELLULOSE/SO2-AMINE DIMETHYLSULFOXIDE SOLUTION」(磯貝ら著、1998)に記載の〔η〕=0.909×DP0.85(文献中の式(2))の式から導く方法などが挙げられる。
<残留不純物由来の有機炭素量(%)>
粉末状セルロース(W:mg、5000mgを目安)に純水又は1%NaOH水溶液80mLを加えて、ビーカー中で10分間攪拌(スターラー使用)後、吸引ろ過(定量分析用ろ紙、5C、直径110mmを使用)により粉末状セルロースを除去しろ液を得た。ろ液全量の体積(mL)を測定(水を用いた場合の全量をVH2O、1%NaOH水溶液を用いた場合の全量をV1%NaOHとする)後、塩酸で酸性(pH2~3)とし、全有機炭素計(島津製作所製、TOC-L、TC-IC法を使用)で全有機炭素量(TOC)を測定した。純水を用いた場合のTOCをTOCH2O、1%NaOH水溶液を用いた場合のTOCをTOC1%NaOHとする。残留不純物由来の有機炭素量は下式により算出した。
・残留不純物由来の有機炭素量(%)=1%NaOH水溶液抽出時の全有機炭素量(%)-純水抽出時の全有機炭素量(%)
・1%NaOH水溶液抽出時の全有機炭素量(%):
(TOC1%NaOH(mg/L)×V1%NaOH(mL)/1000/W(mg))×100
・純水抽出時の全有機炭素量(%):
(TOCH2O(mg/L)×VH2O(mL)/1000/W(mg))×100
<粒度分布シャープネス>
重量平均粒子径で測定した粒度分布から、積算重量10%粒径(D10)、積算重量50粒径(D50)、積算重量90%粒径(D90)を求め、下式より算出した。
粒度分布シャープネス=[(D50/D10)+(D90/D50)]/2
<錠剤硬度>
粉末状セルロース100%の錠剤は、以下のようにして作製した。試料0.3gを、臼(市橋精機(株)製、直径8mm)に入れ、直径8mmの杵(市橋精機(株)製)で圧縮した。粉末状セルロース100%を40MPaで圧縮し、その応力を10秒間保持し、錠剤を作製した。圧縮機は、エナパック社製、HANDTAB-100を使用した。
作製した錠剤を、シュロインゲル硬度計(フロイント産業社製、MT50型)を用いて、破壊したときの荷重を測定した。荷重は、錠剤の直径方向に加えた。試料5個の平均値で算出した。
<錠剤崩壊性>
粉末状セルロース100%の錠剤は、以下のようにして作製した。試料0.3gを、臼(市橋精機社製、直径8mm)に入れ、直径8mmの杵(市橋精機社製)で圧縮した。粉末状セルロース100%を5MPaで圧縮し、その応力を10秒間保持し、錠剤を作製した(圧縮機はエナパック社製、HANDTAB-100を使用した)。
作製した錠剤を試験管に入れ、純水20mlを加えた。振動機(アドバンテック東洋社製、振とう機TBK型)で3時間振動した後、75μm(JIS規格Z8801ワイヤー)を通過させ、残渣を回収した。残渣を105℃で乾燥し、重量を求め、作製した錠剤の重量に対する割合を求めた。測定は3回行い、その平均値を算出した。錠剤崩壊性が40%以下の場合良好、40%超65%以下の場合やや良好、65%超の場合不良、とそれぞれ判断できる。
<粉末状セルロースの調製>
<実施例1>
無塩素漂白パルプを、パルプ濃度5.5%、塩酸濃度1.0Nにおいて95℃で2時間、加水分解反応させた。加水分解反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、工業用水で洗浄した後、脱液した。これを、固形分が25%以上になるように脱水し、出口乾燥温度100℃、給気量270m3/hで1時間、気流式乾燥機にて送風乾燥し、酸加水分解処理パルプを得た。得られた酸加水分解処理パルプを、ハンマーミル(ホソカワミクロン社製、マイクロパルペライザAP-S型)を用いて機械的に適宜粉砕・分級を行い、重量平均粒子径56.7μm、平均重合度465、見掛け比容積6.5cm3 /g、残留不純物由来の有機炭素量0.45、粒度分布シャープネス1.4の粉末状セルロース1を得た。
<実施例2>
塩酸濃度を1.1N、気流式乾燥機の出口乾燥温度を85℃、給気量を270m3/hとし、粉砕をより強めに実施したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、重量平均粒子径42.2μm、平均重合度230、見掛け比容積3.8cm3 /g、残留不純物由来の有機炭素量0.37、粒度分布シャープネス1.2の粉末状セルロースを得た。
Figure 2023039557000001

Claims (4)

  1. 平均重合度が100~700、重量平均粒子径が30μmより大きく、250μm以下、見掛け比容積が2~15cm3/gである粉末状セルロース。
  2. 1%NaOH水溶液抽出時の全有機炭素量(%)-純水抽出時の全有機炭素量(%)で定義される残留不純物由来の有機炭素量が0.3を超え、0.6%以下である、請求項1に記載の粉末状セルロース。
  3. 粒度分布シャープネスが1.0を超え、1.5未満である、請求項1~2いずれかに記載の粉末状セルロース。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の粉末状セルロース粉末を含む成形体。
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