明 細 書
針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法に関する。
背景技術
[0002] 高アスペクト比を有するミクロンサイズの粒子またはフイラ一は、充填剤や検体として 電子'電気材料、光学材料、建築材料、生物'医薬材料、化粧料等の種々の分野で 使用されている。
一般に汎用されている高アスペクト比を有する粒子の多くは、金属酸化物等の無機 材料力 なるものである。
このような無機材料は、比重が有機物に比べて大きいため、フィルムや成形品等の 使用用途によっては均一に分散させることが難しいだけでなぐ樹脂と馴染みにくい ことから、成形品や、その性能に不都合が生じる場合があった。
[0003] ところで、近年、榭脂粒子の開発が進むにつれ、従来汎用されていた粉砕法およ び溶液重合法等から得られる不定形または球状粒子とは異なる、円板状や扁平状な どの特異な形状を有する榭脂粒子が開発されて!ヽる (特許文献 1:特公平 6 - 5380 5号公報、特許文献 2 :特開平 5— 317688号公報、特許文献 3 :特開 2000— 3845 5号公報等)。
[0004] これらの粒子は、隠蔽性、白色度、光拡散性等の各特性において、従来の球状粒 子よりも優れて 、ることから、静電荷現像剤 (特許文献 4:特開平 8 - 202074号公報 )、情報記録紙等の紙用の塗料 'コーティング剤(特許文献 5:特開平 2— 14222号 公報)、接着剤 (特許文献 6:特許第 2865534号公報)、光拡散シート (特許文献 7: 特開 2000— 39506号公報)などの様々な分野に応用されている。
その一方で、いずれの粒子も板状ではあるものの、タルク,マイ力等の無機化合物 力 なる板状粒子と比較した場合、滑り性、集光性、光拡散性等の顕著な向上は未 だ達成できていない。
[0005] そこで、これらの特性を向上すベぐ最近、境界線を基準に二つの曲面で形成した
特異的な形状を有する榭脂粒子が報告され (特許文献 8 :国際公開第 01Z070826 号パンフレット)、この榭脂粒子を用いて、滑り性、集光性、光拡散性等の向上が検討 されている。
これら各特性は、粒子の大きさやアスペクト比にも大きく左右されるものである力 特 許文献 8の方法では、高アスペクト比かつミクロンサイズの粒子を製造することは困難 であり、大きさおよび形状の両面において、さらなる改良が求められている。
[0006] また、高アスペクト比を有する有機物粒子は、例えば、溶融、紡糸および切断の各 工程力もなる機械的手法により製造することも可能であるが、この方法では、粒子サ ィズをミクロンサイズまで小さくすることは技術的に困難であるだけでなぐ量産化する 場合には時間と労力を要する。しかも、このような機械的方法では、中央部分が太く 両極に向かうにつれて細くなるような高精度の楕円球状粒子を、破断面の無い状態 で得ることは困難である。
[0007] 以上のように、光散乱性および集光性等の光学特性、滑り性等の摩擦特性、付着 性、固着性、成形品の耐衝撃強度および引張り強度等の材料力学上の特性、現像 剤の荷電性を維持したままでのクリーニング特性、塗料の艷消し性、隠蔽性等の様 々な特性を向上し得る可能性を持つ、高アスペクト比かつミクロンサイズの滑らかな 球面を有する楕円球状有機物粒子は、現在までのところ知られていない。
[0008] 特許文献 1 :特公平 6— 53805号公報
特許文献 2:特開平 5— 317688号公報
特許文献 3:特開 2000 - 38455号公報
特許文献 4:特開平 8 - 202074号公報
特許文献 5 :特開平 2— 14222号公報
特許文献 6:特許第 2865534号公報
特許文献 7:特開 2000— 39506号公報
特許文献 8 :国際公開第 01Z070826号パンフレット
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光散乱性および集光性等
の光学特性、滑り性等の摩擦特性などの向上を図ることができる、高アスペクト比を 有する針状または楕円球状有機ポリマー粒子の効率的な製造方法およびこの製造 方法に適した高分子安定剤を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、イオン性官能 基含有高分子化合物からなる高分子安定剤の存在下で、重合性基を有する第 1の 有機モノマーとこれと重合可能な第 2の有機モノマーとを溶液重合させることで、 1つ の連続する曲面を有する針状または楕円球状有機ポリマー粒子をィ匕学的に簡便か つ効率的に、収率よく製造し得ることを見出した。
すなわち、本発明者らが先に示した特願 2004— 59358号記載の楕円球状有機ポ リマー粒子の製造方法と同様の 2種類の有機モノマーを用いた溶液重合法による針 状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造法おいて、上述の高分子安定剤を添カロ することで、針状または楕円球状の形態を有する有機ポリマー粒子の粒子全体に占 める割合が著しく向上することを見出し、本発明を完成した。
[0011] したがって、本発明は、
1.重合性基を有する第 1の有機モノマーと、これと重合可能な第 2の有機モノマーと を、別途調製した第 1のイオン性官能基を含有する高分子化合物からなる高分子安 定剤の存在下で溶液重合させることを特徴とする針状または楕円球状有機ポリマー 粒子の製造方法、
2.前記第 1のイオン性官能基が、対イオンを有する塩であることを特徴とする 1の針 状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法、
3.前記対イオンを有する塩が、金属塩であることを特徴とする 2の針状または楕円球 状有機ポリマー粒子の製造方法、
4.前記第 1の有機モノマーが、前記第 1のイオン性官能基と同一の電荷を有する第 2のイオン性官能基を有することを特徴とする 1〜3のいずれかの針状または楕円球 状有機ポリマー粒子の製造方法、
5.前記第 1のイオン性官能基を有する高分子化合物がァニオン性高分子化合物で あり、前記第 1の有機モノマーがァ-オン性有機モノマーであることを特徴とする 4の
針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法、
6.少なくとも水を含む溶媒中で溶液重合させることを特徴とする 1〜5のいずれかの 針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法、
7.長径 (L )と短径 (D )とから算出されるァスぺ外比 (P ) =長径 (L )Z短径 (D )と
1 1 1 1 1 した場合、下記式力 算出されるアスペクト比 1. 2以上の針状化粒子数 (A ) %が、
1.2
40%以上である針状または楕円球状有機ポリマー粒子が得られることを特徴とする 1 〜6のいずれかの針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法、
(A ) % = { [ (P )≥ 1. 2を満たす粒子数] / [総粒子数] } X 100
1.2 1
8.前記アスペクト比 (P )の平均 (P )が、 (P )≥1. 5である針状または楕円球状有
1 la la
機ポリマー粒子が得られることを特徴とする 7の針状または楕円球状有機ポリマー粒 子の製造方法、
9.イオン性官能基含有高分子化合物からなることを特徴とする針状または楕円球状 有機ポリマー粒子製造用高分子安定剤、
10.イオン性官能基が、対イオンを有する塩であることを特徴とする 9の針状または 楕円球状有機ポリマー粒子製造用高分子安定剤、
11.対イオンを有する塩が、金属塩であることを特徴とする 10の針状または楕円球 状有機ポリマー粒子製造用高分子安定剤、
12.重量平均分子量が、 500〜3, 000, 000であることを特徴とする 9〜11の針状 または楕円球状有機ポリマー粒子製造用高分子安定剤
を提供する。
発明の効果
本発明の針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法によれば、イオン性官 能基含有高分子化合物からなる高分子安定剤を用いて 2種類の有機モノマーを溶 液重合させる方法であるから、 1つの連続する曲面を有する針状または楕円球状有 機ポリマー粒子を、簡便かつ効率的に、収率よく得ることができる。
また、本発明の製法によって得られた針状または楕円球状有機ポリマー粒子は、 1 つの連続する曲面を有するとともに、高いアスペクト比を有しているから、高い光の拡 散性を有するだけでなぐ光の透過性が高い状態で光を拡散することができる。
また、主成分が有機成分であり、粒子径を小さくすることができる結果、細密充填が 可能となるため、光の拡散性や屈折率の変更が極めて容易になる。したがって、本 発明の針状または楕円球状有機ポリマー粒子は、光拡散用シート用の添加剤として 好適に利用できる。
[0013] 有機ポリマー粒子であり、無機粒子に比べて比重が小さいから、榭脂の添加剤とし て用いた場合、被添加物である榭脂中での分散性および樹脂との親和性に優れる ため、フィルム等の榭脂成形品の機械的物性向上を図ることができる。
また、主成分が有機成分であるから、粒子表面を容易に無機または有機コーティン グ処理することができる結果、機能性のカプセルを作製することができ、し力もイオン 性官能基を有する粒子であるから、この官能基を修飾することで、多機能な粒子を作 製することができる。
さらに、主成分が有機成分であるから、顔料、染料等を用いた着色が容易に行え、 塗料やトナー材料など着色材料分野にも応用できる。
[0014] このような高アスペクト比の針状または楕円球状有機ポリマー粒子は、メツキ加工処 理ゃ真空放電蒸着等することにより、電磁波シールド用のフィラー、プラスチック材等 に導電性を付与する導電性フィラー、並びに液晶ディスプレイパネルの電極と駆動 用 LSIとの接続、 LSIチップの回路基板への接続、およびその他の微小ピッチの電 極端子間を接続するための導電材料等の導電素材に用いられる導電性粒子として、 新たな応用が可能である。さらにこの針状または楕円球状有機ポリマー粒子は高ァ スぺタト比を有し、しカゝもミクロンサイズとすることも容易であるから、充填剤や検体等 として、電子,電気材料、光学材料、建築材料、生物,医薬材料、化粧料等様々な分 野で応用可能である。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]実施例 4で得られた楕円球状有機ポリマー粒子の SEM写真を示す図である。
[図 2]実施例 5で得られた楕円球状有機ポリマー粒子の SEM写真を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法は、重合性基を
有する第 1の有機モノマーと、これと重合可能な第 2の有機モノマーとを、別途調製し た第 1のイオン性官能基を含有する高分子化合物力 なる高分子安定剤の存在下 で溶液重合させることを特徴とするものである。
[0017] ここで、高分子化合物が有する第 1のイオン性官能基は、ァ-オン性官能基、カチ オン性官能基のどちらでもよい。ァニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル 基、スルホン酸基、リン酸基、フ ノール性水酸基およびこれらの塩などが挙げられる 。カチオン性官能基としては、アミノ基、イミダゾール基、ピリジン基、アミジノ基および これらの塩などが挙げられる。
中でも、汎用品が多ぐ種類が豊富であり、かつ得られる針状または楕円球状有機 ポリマー粒子の大きさ、形状等を効率良く制御できることから、ァ-オン性官能基が 好適である。特に、高分子化合物への導入が容易であるとともに、安定性および安 全性に優れていることから、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基およびこれらの誘 導体力も選ばれる一種以上の官能基であることが好ましい。
[0018] これらの第 1のイオン性官能基の対イオンとしては、ァ-オン性官能基に対しては 金属カチオン、アンモ-ゥムカチオン、ピリジ-ゥムカチオン、ホスホ-ゥムカチオン等 が挙げられ、カチオン性官能基に対しては塩ィ匕物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲンィ匕 物イオンなどが挙げられる。
ァ-オン性官能基を用いる場合、製造コストを低減し得る上、種類が豊富であり、し 力も楕円状粒子の精度、大きさ、形状等を効率良く制御できることから、対イオンとし て、特に、金属カチオンが好適である。
[0019] 金属カチオンとしては、リチウム,ナトリウム,カリウム,ルビジウム,セシウム等のアル カリ金属カチオン、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,ノ リウム等のアルカリ土 類金属カチオン、アルミニウム等のその他の非遷移金属カチオン、亜鉛,銅,マンガ ン,ニッケル,コバルト,鉄,クロム等の遷移金属等の酸化物、水酸化物、炭酸化物 等の遷移金属含有カチオンが挙げられる。
[0020] 第 1の有機モノマーが有する重合性基としては、重合可能な官能基であれば、特に 限定されるものではなぐ炭素 炭素不飽和結合 (二重結合、三重結合)、水酸基、 アミノ基、エポキシ基、チオール基、イソシァネート基、ォキサゾリン基、カルポジイミド
基等の反応性官能基が挙げられる。
また、第 1の有機モノマーは、高分子安定剤が有する第 1のイオン性官能基と同一 の電荷を有する第 2のイオン性官能基を有するものであることが好まし 、。このような 第 2のイオン性官能基を有する第 1の有機モノマーを用いることで、より一層得られる 粒子のアスペクト比を高め、理想的な針状または楕円球状有機ポリマー粒子を効率 的に得ることができる。
[0021] このような第 2のイオン性官能基としては、特に限定はなぐ上記第 1のイオン性官 能基で述べたァニオン性官能基、カチオン性官能基の中から、第 1のイオン性官能 基と電荷が同一であるものを適宜選択して使用すればよいが、上述と同様の理由か ら、双方ともにァニオン性官能基を用いることが好ま 、。
なお、第 1のイオン性官能基と同様、第 2のイオン性官能基も対イオンを有する塩で あることが好ましい。対イオンとしては、上述と同様のものが挙げられる力 この場合も 金属カチオンが好適である。
第 1のイオン性官能基と第 2のイオン性官能基との組み合わせとして好適なものは、 例えば、スルホン酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、スルホン酸カリ ゥム、カルボン酸カリウムおよび硫酸カリウム力 なる群力 選ばれる同一官能基の組 み合わせまたは異種官能基の組み合わせが挙げられる。
[0022] 上記第 1の有機モノマーとしては、上述した重合性基を有するものであれば、特に 限定されるものではない。
重合性基のみを有するモノマーとしては、例えば、スチレン、 0ーメチルスチレン、 m—メチルスチレン、 p—メチルスチレン、 exーメチノレスチレン、 p ェチルスチレン、 2 , 4 ジメチルスチレン、 p— n—ブチルスチレン、 ρ tーブチルスチレン、 ρ— n キシルスチレン、 p— n—ォクチルスチレン、 ρ— n—ノニルスチレン、 ρ— n—デシルス チレン、 p— n—ドデシルスチレン、 ρ—メトキシスチレン、 p フエ-ルスチレン、 p ク ロノレスチレン、 3, 4ージクロルスチレンなどのスチレン系モノマー、ビニルメチルエー テル、ビニルェチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系モ ノマー、ビニルメチルケトン、ビニルへキシルケトン、メチルイソプロぺニルケトンなどの ビ-ルケトン系モノマー、フッ化ビュル、フッ化ビ-リデン、テトラフルォロエチレン、へ
キサフルォロプロピレン等が挙げられる。
[0023] 重合性基およびァ-オン性官能基を有するモノマーとしては、例えば、モノカルボ ン酸系モノマー、ジカルボン酸系モノマー、スルホン酸系モノマー、硫酸エステル系 モノマー、フエノール性水酸基含有モノマー、リン酸系モノマー等が挙げられる。 モノカルボン酸系モノマーとしては、 (メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケィ皮酸、マレイ ン酸モノ Cl〜8アルキルエステル、ィタコン酸モノ Cl〜8アルキルエステル、ビュル 安息香酸およびこれらの塩などが挙げられる。
ジカルボン酸系モノマーとしては、(無水)マレイン酸、 α メチル(無水)マレイン酸 、 a フエ-ル(無水)マレイン酸、フマル酸、ィタコン酸およびこれらの塩などが挙げ られる。
[0024] スルホン酸系モノマーとしては、エチレンスルホン酸,ビュルスルホン酸, (メタ)ァリ ルスルホン酸等のアルケンスルホン酸、スチレンスルホン酸, a—メチルスチレンスル ホン酸等の芳香族スルホン酸、 Cl〜10アルキル (メタ)ァリルスルホコハク酸エステ ル、スルホプロピル (メタ)アタリレート等のスルホ C2〜6アルキル (メタ)アタリレート、メ チルビ-ルスルフォネート, 2 ヒドロキシ— 3— (メタ)アタリロキシプロピルスルホン酸 , 2— (メタ)アタリロイルァミノ 2, 2 ジメチルエタンスルホン酸, 3— (メタ)アタリロイ ルォキシエタンスルホン酸, 3— (メタ)アタリロイルォキシ— 2 ヒドロキシプロパンス ルホン酸, 2— (メタ)アクリルアミド— 2—メチルプロパンスルホン酸, 3— (メタ)アタリ ルアミド 2—ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和エステル およびこれらの塩などが挙げられる。
[0025] 硫酸エステル系モノマーとしては、ポリオキシプロピレンモノメタタリレート硫酸エステ ル化物等の(メタ)アタリロイルポリオキシアルキレン(重合度 2〜 15)硫酸エステルお よびこれらの塩などが挙げられる。
フエノール性水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシスチレン、ビスフエノール Aモ ノアリルエーテル、ビスフエノール Aモノ(メタ)アクリルエステルおよびこれらの塩など が挙げられる。
リン酸基系モノマーとしては、 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリロイルホスフェート,フ ェ-ル— 2—アタリロイロキシェチルホスフェート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキ
ル燐酸モノエステル、ビュルリン酸などが挙げられる。
なお、この場合、塩としては、ナトリウム塩,カリウム塩等のアルカリ金属塩、トリエタノ ールァミン等のアミン塩、テトラ C4〜 18アルキルアンモ-ゥム塩等の 4級アンモ-ゥ ム塩などが挙げられる。
[0026] 一方、重合性基およびカチオン性官能基を有するモノマーとしては、 1級アミノ基含 有モノマー、 2級ァミノ基含有モノマー、 3級ァミノ基含有モノマー、第 4級アンモ-ゥ ム塩基含有モノマー、複素環含有モノマー、ホスホ-ゥム基含有モノマー、スルホ- ゥム基含有モノマー、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられる。
1級ァミノ基含有モノマーとしては、(メタ)ァリルアミン,クロチルァミン等の C3〜67 ルケ-ルァミン、アミノエチル (メタ)アタリレート等のアミノ C2〜6アルキル (メタ)アタリ レート、ビュルァ-リン, p アミノスチレン等の芳香環および 1級アミノ基を有するモノ マー、エチレンジァミン、ポリアルキレンポリアミンなどが挙げられる。
2級ァミノ基含有モノマーとしては、 t ブチルアミノエチルメタタリレート,メチルアミ ノエチル (メタ)アタリレート等の Cl〜6アルキルアミノ C2〜6アルキル (メタ)アタリレー ト、ジ (メタ)ァリルアミン等の C6〜 12のジァルケ-ルァミン、エチレンィミン、ジァリル ァミンなどが挙げられる。
[0027] 3級ァミノ基含有モノマーとしては、 N, N ジメチルアミノエチル (メタ)アタリレート, N, N ジェチルアミノエチル (メタ)アタリレート, N, N ジメチルァミノプロピル (メタ )アタリレート, N, N ジェチルァミノプロピル (メタ)アタリレート, N, N ジブチルァ ミノェチル (メタ)アタリレート、 N— t ブチルアミノエチル (メタ)アタリレート、 N, N— ジメチルアミノブチル (メタ)アタリレート等のジ Cl〜4アルキルアミノ C2〜6アルキル( メタ)アタリレート、 N, N ジメチルアミノエチル (メタ)アクリルアミド, N, N ジメチル ァミノプロピル (メタ)アクリルアミド等のジ Cl〜4アルキルアミノ C2〜6アルキル (メタ) アクリルアミド、 N, N ジメチルアミノスチレン等の芳香環と 3級ァミノ基とを有するモ ノマーなどが挙げられる。
[0028] 第 4級アンモ-ゥム塩基含有モノマーとしては、 Cl〜 12アルキルク口ライド,ジアル キル硫酸,ジアルキルカーボネート,ベンジルクロライド等の 4級化剤を用いて 3級ァ ミンを 4級化したものが挙げられる。
例えば、 2— (メタ)アタリロイルォキシェチルトリメチルアンモ -ゥムクロライド, 2- ( メタ)アタリロイルォキシェチルトリメチルアンモ -ゥムブロマイド, (メタ)アタリロイルォ キシェチルトリェチルアンモ -ゥムクロライド, (メタ)アタリロイルォキシェチルジメチル ベンジルアンモ -ゥムクロライド, (メタ)アタリロイルォキシェチルメチルモルホリノアン モ -ゥムクロライド等のアルキル (メタ)アタリレート系第 4級アンモ-ゥム塩、(メタ)ァク リロイルアミノエチルトリメチルアンモ -ゥムクロライド, (メタ)アタリロイルアミノエチルト リメチルアンモ -ゥムブロマイド, (メタ)アタリロイルアミノエチルトリェチルアンモ-ゥ ムクロライド, (メタ)アタリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモ -ゥムクロライド等 のアルキル (メタ)アクリルアミド系第 4級アンモ-ゥム塩、ジメチルジァリルアンモ-ゥ ムメチルサルフェート,トリメチルビ-ルフエ-ルアンモ -ゥムクロライド、テトラブチル アンモ-ゥム(メタ)アタリレート、トリメチルベンジルアンモ -ゥム(メタ)アタリレート、 2 - (メタクリロイルォキシ)ェチルトリメチルアンモ-ゥムジメチルホスフェート等のその 他の第 4級アンモ-ゥム塩基含有モノマーが挙げられる。
[0029] 複素環含有モノマーとしては、 N—ビュルカルバゾール, N—ビュルイミダゾール, N ビュル— 2, 3 ジメチルイミダゾリン, N—メチル—2 ビュルイミダゾリン, 2 ビ ニルピリジン, 4 ビニルピリジン、 N—メチルビニルピリジン、ォキシェチルー 1ーメ チレンピリジン等が挙げられる。
ホスホ-ゥム基含有モノマーとしては、グリシジルトリブチルホスホン等が挙げられる スルホ -ゥム基含有モノマーとしては、 2—アタリロキシェチルジメチルスルホン、グ リシジルメチルスルホ -ゥム等が挙げられる。
スルホン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、 2—アクリルアミドー 2—メチル プロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミドーアルカンスルホン酸、 2—スルホェチ ル (メタ)アタリレートなどのスルホアルキル (メタ)アタリレート等が挙げられる。
上記カチオン性官能基を有するモノマーは、塩酸塩,リン酸塩等の無機酸塩、ギ酸 塩,酢酸塩等の有機酸塩として用いることもできる。
なお、以上の説明において「C」は炭素数を意味する。
[0030] 特に、第 1の有機モノマーは水溶性のモノマーであることが好ましい。水溶性モノマ
一を用いることで、得られる楕円球状有機ポリマー粒子の粒子径をより小さくすること が可能となる。
水溶性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸,エチレンスルホン酸,ビニルス ルホン酸, (メタ)ァリルスルホン酸,スチレンスルホン酸, α—メチルスチレンスルホン 酸, 2 ヒドロキシ— 3— (メタ)アタリロキシプロピルスルホン酸, 2— (メタ)アタリロイル ァミノ 2, 2 ジメチルエタンスルホン酸, 3— (メタ)アタリロイルォキシェタンスルホ ン酸, 3— (メタ)アタリロイルォキシ— 2 ヒドロキシプロパンスルホン酸, 2— (メタ)ァ クリルアミド— 2—メチルプロパンスルホン酸, 3— (メタ)アクリルアミド— 2 ヒドロキシ プロパンスルホン酸、およびこれらの塩;ポリオキシプロピレンモノメタタリレート硫酸ェ ステル化合物等の (メタ)アタリロイルポリオキシアルキレン (重合度 2〜 15)硫酸エス テルおよびこれらの塩; 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリロイルホスフェート;アクリル アミド,エチレンジァミン, Ν, Ν—ジメチルアミノエチル (メタ)アタリレート; 2— (メタ)ァ クリロイルォキシェチルトリメチルアンモ -ゥムクロライド, 2- (メタ)アタリロイルォキシ ェチルトリメチルアンモ -ゥムブロマイド, (メタ)アタリロイルォキシェチルトリエチルァ ンモ -ゥムクロライド, (メタ)アタリロイルアミノエチルトリメチルアンモ -ゥムクロライド 等のその他の第 4級アンモ-ゥム塩基含有モノマー; 2 ビュルピリジン, 4 ビュル ピリジン、 2 アクリルアミド 2—メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
[0031] これらの中でも、(メタ)アクリル酸,エチレンスルホン酸,ビュルスルホン酸, (メタ)ァ リルスルホン酸,スチレンスルホン酸, α—メチルスチレンスルホン酸, 2—ヒドロキシ —3— (メタ)アタリロキシプロピルスルホン酸, 2— (メタ)アタリロイルァミノ一 2, 2 ジ メチルエタンスルホン酸, 3—(メタ)アタリロイルォキシエタンスルホン酸, 3—(メタ)ァ クリロイルォキシー 2—ヒドロキシプロパンスルホン酸、およびこれらの塩;ポリオキシプ ロピレンモノメタタリレート硫酸エステルイ匕合物等の (メタ)アタリロイルポリオキシアル キレン(重合度 2〜 15)硫酸エステルおよびこれらの塩がより好まし!/、。
なお、以上で説明したァ-オン性官能基を有するモノマーおよびカチオン性官能 基を有するモノマーは、それぞれ 1種単独でまたは 2種以上組み合わせて用いること ができる。
[0032] 上述の第 1の有機モノマーと重合可能な第 2の有機モノマーとしては、第 1の有機
モノマーが有する重合性基に応じて適宜なモノマーを選択すればよく、重合性基が 炭素 炭素不飽和結合の場合、例えば、(i)スチレン、 0—メチルスチレン、 m—メチ ノレスチレン、 p—メチルスチレン、 α—メチノレスチレン、 ρ ェチルスチレン、 2, 4 ジ メチルスチレン、 ρ—η—ブチルスチレン、 p—t—ブチルスチレン、 p—n キシルス チレン、 p—n—ォクチルスチレン、 p—n—ノ-ルスチレン、 p—n—デシルスチレン、 ρ— n—ドデシルスチレン、 ρ—メトキシスチレン、 p フエ-ルスチレン、 p クロルスチ レン、 3, 4—ジクロルスチレンなどのスチレン系モノマー、(ii)アクリル酸メチル、アタリ ル酸ェチル、アクリル酸 n—ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アタリ ル酸へキシル、アクリル酸 2—ェチルへキシル、アクリル酸 n—ォクチル、アクリル酸ド デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸 2—クロルェチルアタリ ル酸フヱニル、 α クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ェチル、 メタクリル酸 η—ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸へ キシル、メタクリル酸 2—ェチルへキシル、メタクリル酸 η—ォクチル、メタクリル酸ドデ シル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステル系 モノマー、(iii)酢酸ビュル、プロピオン酸ビュル、安息香酸ビュル、酪酸ビュルなど のビュルエステル系モノマー、(iv)アクリロニトリル、メタタリ口-トリルなどの(メタ)ァク リル酸誘導体、(V)ビュルメチルエーテル、ビュルェチルエーテル、ビュルイソブチル エーテルなどのビュルエーテル系モノマー、(vi)ビュルメチルケトン、ビュルへキシ ルケトン、メチルイソプロべ-ルケトンなどのビ-ルケトン系モノマー、(vii) N—ビュル ピロール、 N ビュルカルバゾール、 N ビュルインドール、 N ビニルピロリドンなど の N—ビュル化合物、(viii)フッ化ビュル、フッ化ビ-リデン、テトラフルォロエチレン 、へキサフルォロプロピレン、またはアクリル酸トリフルォロェチル、アクリル酸テトラフ ルォロプロビレルなどのフッ素アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマ 一等が挙げられる。
また、第 1の有機モノマーの重合性基が、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール 基、イソシァネート基、ォキサゾリン基、カルポジイミド基等の反応性官能基の場合に は、第 2の有機モノマーの官能基としてこれらの反応性基と反応可能な基、例えば、 水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、イソシァネート基、ォキサゾリン基、カル
ポジイミド基などを用いることもできる。
なお、これらの第 2の有機モノマーは、 1種単独で、または 2種類以上組み合わせて 用!/、ることができる。
[0034] 特に第 2の有機モノマーは、疎水性のモノマーであることが好ましい。疎水性モノマ 一を用いることで、得られる楕円球状有機ポリマー粒子のアスペクト比をより高め、理 想的な楕円球状に近づけることが可能となる。
疎水性モノマーとしては、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー等が好まし い。これらの疎水性モノマーは、それぞれ 1種単独でまたは 2種以上組み合わせて用 いることができる。また、疎水性モノマーでないその他の第 2の有機モノマー 1種以上 と組み合わせて用いることもできる。
[0035] 第 1の有機モノマー、第 2の有機モノマーとしては、特に、下記の a群から選ばれる 少なくとも 1種と、 β群力 選ばれる少なくとも 1種との組み合わせを好適に採用する ことができる。
(1)第 1の有機モノマー α群
スチレン系スルホン酸塩、スチレン系カルボン酸塩、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)ァク リル酸エステル系カルボン酸塩、(メタ)アクリル酸エステル系スルホン酸塩、ビュル系 スルホン酸塩、ビュル系カルボン酸塩、(メタ)アクリル系スルホン酸塩、(メタ)アクリル 系カルボン酸塩
(2)第 2の有機モノマー j8群
スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー
[0036] 本発明の針状または楕円球状有機ポリマー粒子は、重合性基を有する第 1の有機 モノマーと、これと重合可能な第 2の有機モノマーとを、予め別途調製した第 1のィォ ン性官能基を有する高分子化合物からなる高分子安定剤の存在下で溶液重合させ ることで製造することができる。高分子安定剤を用いずに溶液重合を行うと、イオン性 官能基を有しない有機モノマーを原料とした場合に球状粒子となり易ぐまた、イオン 性官能基を有するモノマーを用いた場合でも、針状または楕円球状有機ポリマー粒 子の収率が低下する。
溶液重合としては、(1)水溶液中で行う乳化または懸濁重合、(2)非水系有機溶媒
中または水と非水系有機溶媒との混合溶媒中、分散剤の存在下で行う分散重合、(
3)上記(1)または(2)とシード法を組み合わせる方法などが挙げられる力 粒子径が 制御し易ぐ洗浄などの後工程で処理が容易となるという点から、分散重合を用いる ことが好ましい。
[0037] 本発明の針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造にあたり、上記第 1の有機 モノマーと、第 2の有機モノマーとの使用比率は、特に限定されるものではなぐ例え ば、質量比で第 1の有機モノマー:第 2の有機モノマー = 1: 99〜99: 1とすることがで きる。得られる粒子のアスペクト比をより高め、理想的な形状に近づけるということを考 慮すると、これらの使用比率は、第 1の有機モノマー:第 2の有機モノマー = 5 : 95〜 50: 50力好ましく、 10: 90〜40: 60力 ^より好まし!/ヽ。
[0038] また、高分子安定剤の添加量は、重合成分の合計質量に対し、 1〜200質量%が 好ましぐ 3〜: LOO質量%がより好ましぐ 8〜70質量%がより一層好ましい。添カロ量 力 1質量%未満であると、添加した効果が不充分となり、針状または楕円球状有機 ポリマー粒子の収率が低下する場合があり、一方、 200質量%を超えると、反応溶液 の粘度が高くなりすぎる等により、針状または楕円球状有機ポリマー粒子とはならず 球状粒子となる虞がある。
反応溶液の粘度(25°C)は、特に限定されるものではないが、反応効率の向上およ び針状または楕円球状有機ポリマー粒子の収率を向上させるため、 B型粘度型によ る粘度を 0. 1-50, OOOcPとすること力 子ましく、 50〜5, OOOcPとすること力 ^より好 ましい。
[0039] さらに、反応溶液中における、第 1の有機モノマーと第 2の有機モノマーとの合計の 含有量 (以下、重合成分含有量という)は、得られる粒子のアスペクト比をより高め、 理想的な針状または楕円球状の粒子を収率よく製造するという点から、全反応溶液 中 1〜80質量%とすることが好ましぐより好ましくは 5〜50質量%、さらに好ましくは 10〜30質量%である。
すなわち、重合成分含有量が、 80質量%を超えると、当該成分が過剰となりすぎて 溶液中でのバランスが崩れ、球状粒子となり易ぐその結果、単分散化した針状また は楕円球状粒子を高収率で得ることが困難になる。一方、 1質量%未満であると、目
的とする形状の粒子は得られるものの、反応が完結するまでに長時間を要し、実用 的ではない。
[0040] 重合時の反応温度は、使用する溶媒の種類によっても変わるものであり、一概には 規定できないが、通常、—100〜200°C程度であり、好ましくは 0〜150°C、さらに好 ましくは40〜100。。でぁる。
また、反応時間は、粒子の針状ィ匕または楕円球状ィ匕がほぼ完結するのに要する時 間であれば特に限定されるものではなぐモノマー種およびその配合量、イオン性官 能基の種類、溶液の粘度およびその濃度等に大きく左右されるが、 目的の粒子を理 想的な形状で、かつ、効率的に製造することを考慮すると、例えば、 40〜100°Cの場 合、 2〜24時間、好ましくは 8〜16時間程度がよい。
また、反応溶液中の溶存酸素量は、特に限定されるものではないが、得られる粒子 のアスペクト比をより高め、理想的な針状または楕円球状の粒子を収率よく製造する という点から、窒素置換、攪拌等の脱気操作により重合反応開始時には lOmgZL以 下に抑えることが好ましぐより好ましくは 6mgZL以下、さらに好ましくは 3. 5mg/L 以下である。
[0041] 重合反応に使用する溶媒としては、一般的に汎用されている各種溶媒力 重合成 分の溶解能などに応じて適宜選択して用いればょ 、。
使用可能な溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、 1 プロパノール、 2 プロパノール、 1ーブタノール、 2—ブタノール、イソブチルアルコール、 t ブチル アルコール、 1—ペンタノール、 2 ペンタノール、 3 ペンタノール、 2—メチル 1 ーブタノ一ノレ、イソペンチルアルコール、 t—ペンチルアルコール、 1一へキサノール 、 2—メチルー 1 ペンタノール、 4ーメチルー 2 ペンタノール、 2 ェチルブタノ一 ル、 1一へプタノール、 2 へプタノール、 3 へプタノール、 2—ォクタノール、 2 ェ チノレー 1一へキサノーノレ、ベンジノレアノレコーノレ、シクロへキサノーノレ等のァノレコーノレ 類;メチルセ口ソルブ、ェチノレセロソノレブ、イソプロピルセロソルブ、ブチノレセロソノレブ 、ジエチレンブリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メ チルェチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノン等のケトン類;酢酸ェチ ル、酢酸ブチル、プロピオン酸ェチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタ
ン、 2—メチルブタン、 n—へキサン、シクロへキサン、 2—メチルペンタン、 2, 2—ジメ チルブタン、 2, 3 ジメチルブタン、ヘプタン、 n オクタン、イソオクタン、 2, 2, 3— トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシク 口へキサン、ェチルシクロへキサン、 p—メンタン、ジシクロへキシル、ベンゼン、トルェ ン、キシレン、ェチルベンゼン等の脂肪族または芳香族炭化水素類;四塩ィ匕炭素、ト リクロロエチレン、クロ口ベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;ェ チルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メ チラール、ジェチルァセタール等のァセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂 肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルァミン、モノエタノールァミン、ピリジ ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、 N—メチルー 2—ピロリドン、ァセトニ トリル等の硫黄、窒素含有有機化合物類;イオン性液体等が挙げられる。これらの溶 媒は、 1種単独で、または 2種類以上混合して用いることができる。
[0042] イオン性液体としては、カチオンおよびァ-オンを含んで構成されるイオン性の液 体であれば特に限定されるものではない。カチオンとしては、例えば、 1ーェチルー 3 ーメチルイミダゾリゥムイオン、 1ーブチルー 3—メチルイミダゾリゥムイオン、 1, 2, 3— トリメチルイミダゾリゥムイオン、 1, 2 ジメチルー 3 ェチルイミダゾリゥムイオン、 1, 2 ジメチルー 3 プロピルイミダゾリゥムイオン、 1ーブチルー 2, 3 ジメチルイミダ ゾリゥムイオン、 N—プロピルピリジ-ゥムイオン、 N—ブチノレピリジ-ゥムイオン、 1 ブチルー 4 メチルピリジ-ゥムイオン、 1ーブチルー 2, 4 ジメチルピリジ-ゥムィォ ン等が挙げられる。ァ-オンとしては、例えば、 BF―、 PF―、 AsF―、 SbF―、 A1C1―、
4 6 6 6 4
HSO―、 CIO―、 CH SO―、 CF SO―、 CF CO―、 (CF SO ) N―、 Cl—、 Br―、 Γ等が挙
4 4 3 3 3 3 3 2 3 2 2
げられる。
[0043] 特に上記第 1および第 2のモノマーを容易に分散または溶解し得るとともに、これら の共重合性を向上し得るという点から、水、水溶性有機溶媒または水と水溶性有機 溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。特に、水および水溶性有機溶媒力もなる 混合溶媒を用いることが好ましい。このような混合溶媒を用いることで、第 1および第 2 の有機モノマーを容易に分散または溶解させることができ、より小さな粒子径を有す る楕円球状有機ポリマー粒子を得ることができる。
使用可能な水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、 2—プロパ ノーノレ、エチレングリコーノレ、プロピレングリコーノレ、メチノレセロソノレブ、ェチノレセロソ ルブ、プロピルセルソルブ、メチルセ口ソルブアセテート、ェチルセ口ソルブァセテー ト、メチルカルビトール、ェチルカルビトール、ブチルカルビトール、ェチルカルビトー ルアセテート、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、 N—メチルー 2—ピ 口リドン、ァセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は、 1種単独で、または 2種類以 上混合して用いることができる。
[0044] 上記混合溶媒の混合割合は任意であり、例えば、質量比で水:水溶性有機溶媒 = 1 : 99〜99 : 1の範囲とすることができる力 上記第 1および第 2のモノマーを容易に 分散または溶解させるとともに、これらの共重合性を向上させ、より小さな粒子径で高 アスペクト比の粒子をより効率的に得るためには、好ましくは 10 : 90〜70 : 30、特に 2 0: 80〜50: 50とすることが好まし!/、。
なお、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒に溶解する範囲内であれば、疎水性有機 溶媒を適量混合しても構わな ヽ。
[0045] ラジカル重合反応を行う際に用いられる重合開始剤としては、公知の種々の重合 開始剤を用いることができ、例えば、過酸化べンゾィル、タメンノヽイド口パーオキサイド 、 tーブチルノヽイド口パーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ-ゥム等の過酸 化物、ァゾビスイソブチ口-トリル、ァゾビスメチルブチ口-トリル、ァゾビスイソバレロ 二トリル、 2, 2' —ァゾビス(2—アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、 2, 2' —ァゾビ ス(N, N' —ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、 2, 2' —ァゾビス一 2 —シァノプロパン— 1—スルホン酸ニナトリウム等のァゾ系化合物などの、各種油溶 性、水溶性、イオン性の重合開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は、 1種単独 で、または 2種類以上混合して用いることができる。
[0046] 本発明の針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法において、反応系内 で第 1の有機モノマーおよび第 2の有機モノマー力 生じる高分子化合物とは別に調 製され添加される高分子安定剤は、上述のように、第 1のイオン性官能基を含有する 高分子化合物からなるものである。
この場合、イオン性官能基の導入方法としては、特に限定されるものではなぐ非ィ
オン性モノマーを重合してなる高分子化合物を後から変性してイオン性官能基を導 入する方法、イオン性官能基を含有するモノマーを重合してイオン性官能基含有高 分子化合物を製造する方法が挙げられる。これらのうち、イオン性官能基導入の確実 性および容易性、並びに製造コストの低減ィ匕を図るとともに、当該高分子安定剤を用 いることで高アスペクト比の針状または楕円球状有機ポリマー粒子を収率よく得るた めに、後者の方法で高分子安定剤を製造することが好まし 、。
[0047] イオン性官能基を含有するモノマーの重合により、イオン性官能基含有高分子化 合物を製造する方法の具体例として、イオン性官能基および重合性基を有する有機 モノマー (A)と、これと重合可能な有機モノマー(B)とを塊状重合または溶液重合さ せる方法が挙げられる。
有機モノマー (A)としては、ァ-オン性官能基を有するモノマー、カチオン性官能 基を有するモノマーのどちらであってもよい。また、有機モノマー (A)が有する重合性 基としては、重合可能な基であれば特に限定されるものではなぐ炭素 炭素不飽 和結合 (二重結合、三重結合)、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、イソシ ァネート基、ォキサゾリン基、カルポジイミド基等の反応性官能基が挙げられる。
[0048] ァ-オン性官能基を有する有機モノマー (A)としては、上述の第 1の有機モノマー で例示したァ-オン性官能基含有モノマーと同様のモノマー、例えば、モノカルボン 酸系モノマー、ジカルボン酸系モノマー、スルホン酸系モノマー、硫酸エステル系モ ノマー、フエノール性水酸基含有モノマー、リン酸系モノマー等が挙げられる。
一方、カチオン性官能基を有する有機モノマー ( としても、上述の第 1の有機モノ マーで例示したァ-オン性官能基含有モノマーと同様のモノマー、例えば、 1級アミ ノ基含有モノマー、第 4級アンモ-ゥム塩基含有モノマー、複素環含有モノマー、ホ スホ-ゥム基含有モノマー、スルホ -ゥム基含有モノマー、スルホン酸基含有重合性 不飽和モノマーなどが挙げられる。
有機モノマー (B)としては、上述の第 2の有機モノマーで例示した重合性基を有す る各種モノマーが挙げられる。
[0049] 有機モノマー (A)および有機モノマー(B)としては、特に、下記の α群から選ばれ る少なくとも 1種と、 13群力 選ばれる少なくとも 1種との組み合わせを好適に採用す
ることがでさる。
(1)有機モノマー (A) : α群
スチレン系スルホン酸塩、スチレン系カルボン酸塩、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)ァク リル酸エステル系カルボン酸塩、(メタ)アクリル酸エステル系スルホン酸塩、ビュル系 スルホン酸塩、ビュル系カルボン酸塩、(メタ)アクリル系スルホン酸塩、(メタ)アクリル 系カルボン酸塩
(2)有機モノマー (B) : J8群
スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー
[0050] 本発明の高分子安定剤の製造にあたり、上記有機モノマー (A)と、有機モノマー( B)との使用比率は、特に限定されるものではなぐ例えば、質量比で有機モノマー( A):有機モノマー(B) = l : 99〜99 : 1とすることができる。高分子安定剤を使用して 得られる有機ポリマー粒子のアスペクト比をより高め、理想的な形状に近づけるという ことを考慮すると、これら各モノマーの使用比率は、有機モノマー (A):有機モノマー (B) = 3 : 97〜50: 50力好ましく、 5: 95〜35: 65力 ^より好まし!/ヽ。
[0051] 本発明の高分子安定剤の重合温度は、モノマーの種類、使用する溶媒の種類によ つても変わるものであり、一概には規定できないが、通常、— 100〜200°C程度であ り、好ましくは 0〜150°C、さらに好ましくは 40〜100°Cである。
また、反応時間は、目的の高分子安定剤生成反応がほぼ完結するのに要する時 間であれば特に限定されるものではなぐモノマーの種類およびその配合量、イオン 性官能基の種類、溶液の粘度およびその濃度等に大きく左右されるが、目的とする 高分子安定剤を理想的な分子量で、かつ、効率的に製造することを考慮すると、例 えば、 40〜100°Cの場合、 2〜72時間、好ましくは 10〜36時間程度がよい。なお、 必要に応じて重合停止剤、重合禁止剤、重合抑制剤等を適量添加することもできる
[0052] 溶液重合に使用する溶媒としては、上述した各種溶媒を用いることができる力 この 場合も、有機モノマー (A)および有機モノマー (B)を容易に分散または溶解し得ると ともに、これらの共重合性を向上し得るという点から、水、水溶性有機溶媒または水と 水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。ここで、水溶性有機溶媒とし
ては、上記と同様のものが挙げられ、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒とする場合 の各溶媒の混合比率も上述と同様である。
また、ラジカル重合に用いられる重合開始剤も上記と同様のものが挙げられる。
[0053] 本発明の高分子安定剤を構成する高分子化合物の重量平均分子量は、通常 500 〜3, 000, 000程度である力 好まし <は、 1, 000〜1, 000, 000、より好まし <は、 5, 000〜500, 000、最良は 10, 000〜200, 000程度である。重量平均分子量力 、上記範囲にある高分子安定剤を用いることで、得られる有機ポリマー粒子のァスぺ タト比を向上でき、より理想的な形状を有する粒子を高効率で得ることができる。 なお、この重量平均分子量は、光散乱光度計による測定値 (絶対分子量)である。 また、高分子安定剤の官能基当量は、理想的な形状を有する粒子を高効率で得る と ヽぅ点、力ら、 100〜5, 000である力 好ましくは、 200〜3, 500、より好ましくは、 3 00〜2, 500である。
さらに、高分子安定剤を構成する高分子化合物一分子あたりのイオン性官能基個 数は、通常、平均で 1個以上であるが、得られる有機ポリマー粒子のアスペクト比を向 上でき、より理想的な形状を有する粒子を高効率で得るという点から、高分子化合物 一分子あたりのイオン性官能基個数は平均で 2個以上、好ましくは 3個以上、より好ま しくは 5個以上になるように調整するとよ 、。
なお、「当量」とは、化学反応における物質の量的関係に基づいて化合物ごとに割 り当てた一定量を示すものであり、例えば、本発明においては、 1分子あたり(高分子 の場合は平均)の官能基 lmol当たりの化学式量を表す。
[0054] 本発明の針状または楕円球状有機ポリマー粒子の製造方法を行う際には、重合方 法に応じてその他の (高分子)分散剤、安定剤、乳化剤 (界面活性剤)等を、重合成 分の合計質量に対し、 0. 01〜50質量%の適宜な量で配合することもできる。
分散剤および安定剤としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビ -ルフヱノール (メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン (メタ)アクリル酸ェ ステル共重合体、スチレン ビュルフエノールー(メタ)アクリル酸エステル共重合体 等のポリスチレン誘導体;ポリ (メタ)アクリル酸、ポリ (メタ)アクリルアミド、ポリアクリロ- トリル、ポチェチル (メタ)アタリレート、ポリブチル (メタ)アタリレート等のポリ(メタ)ァク
リル酸誘導体;ポリメチルビ-ルエーテル、ポリェチルビ-ルエーテル、ポリブチルビ -ルエーテル、ポリイソブチルビ-ルエーテル等のポリビュルアルキルエーテル誘導 体;セノレロース、メチノレセノレロース、酢酸セノレロース、硝酸セノレロース、ヒドロキシメチ ノレセノレロース、ヒドロキシェチノレセノレロース、ヒドロキシプロピノレセノレロース、カノレボキ シメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビュルアルコール、ポリビュルブチラ ール、ポリビュルホルマール、ポリ酢酸ビュル等のポリ酢酸ビュル誘導体;ポリビュル ピリジン、ポリビュルピロリドン、ポリエチレンィミン、ポリ 2—メチルー 2—ォキサゾリ ン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩ィ匕ビュル、ポリ塩ィ匕ビユリデン等のポリハロゲン 化ビュル誘導体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン誘導体等の各種疎水性 または親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは 1種単独で、または 2種以上 組み合わせて用いることができる。
[0055] 乳化剤(界面活性剤)としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル 塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ァ ルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク 酸塩等のァ-オン系乳化剤;アルキルアミン塩、第 4級アンモ-ゥム塩、アルキルベタ イン、ァミンオキサイド等のカチオン系乳ィ匕剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル 、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルァリルエーテル 、ポリオキシエチレンアルキルフエ-ルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリ ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノ-オン系乳化剤等が 挙げられる。これらは 1種単独で、または 2種以上組み合わせて用いることができる。
[0056] 本発明においては、重合反応の際に、得られる粒子の用途などに応じて、重合成 分の合計質量に対し、 0. 01〜80質量%の適宜な量で架橋剤を配合することもでき る。
架橋剤としては、ジビュルベンゼン、ジビュルナフタレン等の芳香族ジビュル化合 物;エチレングリコールジアタリレート、エチレングリコールジメタタリレート、トリエチレ ングリコールジメタタリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、 1, 3 ブチレ ングリコールジメタタリレート、トリメチロールプロパントリアタリレート、トリメチロールプロ パントリメタクリレート、 1, 4 ブタンジオールジアタリレート、ネオペンチルグリコール
ジアタリレート、 1, 6 へキサンジオールジアタリレート、ペンタエリスリトールトリアタリ レート、ペンタエリスリトールテトラアタリレート、ペンタエリスリトールジメタタリレート、ぺ ンタエリスリトールテトラメタタリレート、グリセロールァクロキシジメタタリレート、 N, N— ジビュルァ-リン、ジビュルエーテル、ジビニルスルフイド、ジビニルスルフォン等の化 合物が挙げられる。これらは 1種単独で、または 2種以上組み合わせて用いることが できる。
なお、得られた粒子は、シード重合することでコア シェル構造を有するものや、そ の他の反応性官能基等を導入した複合粒子とすることもでき、その用途などに応じて 、適宜な形態とすることができる。
[0057] また、重合反応の際に、得られる粒子の用途などに応じて、触媒 (反応促進剤)を 配合することができる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適宜な量、例えば 、重合成分の合計質量に対し、 0. 01〜20質量%とすることができる。
触媒としては、正触媒であれば特に限定されるものではなぐ公知のもの力 適宜 選択して使用することができる。具体例としては、ベンジルジメチルァミン、トリェチル ァミン、トリブチルァミン、ピリジン、トリフエ-ルァミン等の 3級ァミン類;トリェチルベン ジルアンモ -ゥムクロライド、テトラメチルアンモ -ゥムクロライド等の第 4級アンモ-ゥ ム化合物類;トリフエ-ルホスフィン、トリシクロホスフィン等のホスフィン類;ベンジルト リメチルホスホ-ゥムクロライド等のホスホ-ゥム化合物類; 2—メチルイミダゾール、 2 ーメチルー 4ーェチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;水酸化カリウム、水酸 化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸ィ匕物類;炭酸ナトリウム、炭酸リチ ゥム等のアルカリ金属炭酸塩類;有機酸のアルカリ金属塩類;三塩ィ匕ホウ素、三弗化 ホウ素、四塩化錫、四塩ィ匕チタン等のルイス酸性を示すハロゲンィ匕物類またはその 錯塩類等の触媒が挙げられる。これらは 1種単独で、または 2種以上組み合わせて用 いることがでさる。
[0058] また、重合反応の際に、得られる針状または楕円状粒子の大きさ、形状、品質等を 調整する目的として、水またはその他の極性溶媒に溶解し得、陽イオンと陰イオンと に電離してその溶液が電気伝導性を示す化合物 (イオンィ匕合物)を添加することも可 能である。
具体例としては、塩類、無機酸、無機塩基、有機酸、有機塩基、イオン性液体等が 挙げられる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適宜な量、例えば、重合成 分の合計質量に対し、 0. 01〜80質量%とすることができる。
[0059] 以上説明した本発明の製造方法は、第 1のイオン性官能基を有する高分子化合物 力 なる高分子安定剤の存在下で溶液重合を行う方法であり、粒子径を制御可能な 方法であるため、精密に形状、粒子径等の設計が可能であり、その結果、破断面 (ま たは境界線)がなぐ一つの連続した滑らかな曲面で覆われ、比較的高いアスペクト 比を有する針状または楕円球状有機ポリマー粒子が収率よく得られるものである。 すなわち、上記製法によれば、粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して 得られる投影二次元図の長径 (L )と短径 (D )とから算出されるアスペクト比 (P ) =
1 1 1 長径 (L )Z短径 (D )が、 (P )≥l. 2を満たす 1つの連続する曲面を有するイオン性
1 1 1
官能基含有針状または楕円球状有機ポリマー粒子が、下記針状化粒子数 (A ) %
1.2 で少なくとも 40%得られ、 50%以上得られることもあり、 70%以上得られることもある 。なお、「1つの連続する曲面」とは、境界線や破断等のない、滑らかな曲面をいう。
[0060] [針状化指数の算出法]
走査電子顕微鏡 (S— 4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製、以下、 SEMという) を用い、測定可能な倍率(300〜: LO, 000倍)で写真を撮影し、ランダムに n= 300 個抽出し、抽出した各粒子を二次元化し、各粒子の長径 (L )および短径 (D )を測
1 1 定し、アスペクト比(P )を算出するとともに、下記式力も各アスペクト比における針状
1
ィ匕粒子数 (A ) %、(A ) %、(A ) %、(A ) %および (A ) %を求める。
' 1.5 1.8 2.0 2.5
(A ) % = { [ (P )≥ 1. 2を満たす粒子数] / [総粒子数] } X 100
1.2
(A ) % = { [ (P )≥ 1. 5を満たす粒子数] / [総粒子数] } X 100
1.5
(A ) % = { [ (P )≥ 1. 8を満たす粒子数] / [総粒子数] } X 100
1.8
(A ) % = { [ (P )≥ 2. 0を満たす粒子数] / [総粒子数] } X 100
2.0
(A ) % = { [ (P )≥ 2. 5を満たす粒子数] / [総粒子数] } X 100
2.5
[0061] 実用的な面からいうと、針状化粒子指数 (A ) %が、 25%以上、好ましくは 30%以
1.8
上、より好ましくは 50%以上であり、さらには、針状化粒子指数 (A ) %が 25%以上
2.0
、好ましくは 30%以上、より好ましくは 50%以上である。
また、針状または楕円球状有機ポリマー粒子の光の拡散性能および組成物化した 場合における当該粒子の形状の維持 (硬度)という観点から、本発明で得られる粒子 は、ランダムに 300個抽出した場合、投影二次元図の長径 (L )と短径 (D )とから算
1 1
出されるアスペクト比 (P ) =長径 (L )Z短径 (D )の平均 (P )が、 (P )≥1. 5を満
1 1 1 la la
たすことが好ましぐ実用的な面からは、(P )≥1. 8、より好ましくは 1. 8≤(P )≤2
la la
0、より一層好ましくは 2. 0≤ (P )≤12、さらに好ましくは 2. 2≤ (P )≤8を満たすこ
la la
とが理想である。
[0062] さらに、本発明の針状または楕円球状有機ポリマー粒子の長軸方向と直交する方 向から光を照射して得られる投影二次元図における長径 (L )は、通常、 0. 001〜1
1
0000 μ mであり、 0. 05〜: L0000 μ m力 S好まし <、 0. 1〜: L000 μ m力 Sより好まし <、 0. 5〜500 111カ¾りー層好ましく、 1〜200 111カ最適でぁる。
長径 (L )が 10000 m超える粒子を作製することもできるが、紡糸等を用いた機 械的手法で作製可能な領域であり、そのメリットは少ない。一方、長径 (L )が 0. 001
1
μ m未満であると、粒子径が小さすぎるために、他の粒子と凝集し易くなり、単分散 化した粒子が得られな 、可能性が高 、。
[0063] なお、本発明の製法により得られた針状または楕円球状有機ポリマー粒子には、さ らに、別の微粒子を物理的、化学的に付加して複合粒子とすることもできる。
具体的には、(1)粒子製造時に微粒子を取り込ませる、(2)粒子作製後に粒子表 面に存在するイオン性官能基の極性を利用して付加する、(3)付加重合、重縮合、 付加縮合等の化学的結合により付加する、などの方法が挙げられる。
ここで、別の微粒子とは、母粒子となる針状または楕円球状有機ポリマー粒子よりも 小さい粒子であれば有機物、無機物の制限はない。好ましい粒径は、針状または楕 円球状有機ポリマー粒子の大きさにもよる力 通常、 0. 01〜: LOOO /z m程度である。
[0064] 有機粒子としては、本発明の粒子の製造に用いられる重合性モノマー力 なる粒 子、硬化性粒子、有機顔料等が挙げられる。
無機粒子としては、銅粉、鉄粉、金粉、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、 酸化ケィ素、酸化錫、酸化銅、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン、炭酸カル シゥム、水酸化マグネシウム、水酸ィ匕アルミニウムなどの金属、金属酸化物、水和金
属酸化物、無機顔料等の無機粒子が挙げられる。
なお、これらの微粒子は、市販品をそのまま用いてもよぐ予めカップリング剤等の 表面処理剤で表面修飾したものを用いてもょ ヽ。
[0065] 特に、得られた針状または楕円球状有機ポリマー粒子を光学用途に用いる場合に は、屈折率の制御や、光拡散性の向上を目的として、粒径 0. 01〜500 mの酸ィ匕 金属微粒子、中でも酸ィ匕チタン、酸化亜鉛、酸ィ匕ケィ素等を付加させることが好まし い。これらは 1種単独で、または 2種類以上組み合わせて用いることができる。
この酸化金属微粒子の付加は、本発明の製法を実施する際に、当該微粒子を、重 合成分全体に対して 0. 1〜50質量%配合して反応を行うことで、得られる針状また は楕円球状有機ポリマー粒子内に当該微粒子を物理的 'ィ匕学的吸着等により取り込 ませるなどにより行うことができる。
実施例
[0066] 以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する力 本発明 は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下において重量平均分子量 は、光散乱光度計 (SLS— 6000、大塚電子 (株)製)による室温(15〜28°C)での測 定値 (絶対分子量)である。
[0067] [1]高分子安定剤の作製
[実施例 1]高分子安定剤溶液 1
1000mlフラスコに下記に示したィ匕合物を下記割合で混合してなる混合物を一括し て仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機中にて窒素気流下、オイルバス 温度 70°Cで約 24時間加熱をして、メタクリル酸 2—ヒドロキシェチル 'メタクリロイロキ シェチルスルホン酸ナトリウム共重合榭脂溶液 (榭脂分 40質量%、理論上の官能基 当量約 2, 160)を得た。得られた榭脂の重量平均分子量は 87, 000であった。
メタクリル酸 2 -ヒドロキシェチル(2— HEMA) 270g
メタタリロイロキシェチルスルホン酸ナトリゥム
(アントツタス MS— 2N、 日本乳化剤 (株)製) 30g
メタノーノレ 450g
ァゾビスイソブチ口-トリル(AIBN) 3g
[0068] [実施例 2]高分子安定剤溶液 2
1000mlフラスコに下記に示したィ匕合物を下記割合で混合してなる混合物を一括し て仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機中にて窒素気流下、オイルバス 温度 60°Cで約 24時間加熱をして、メタクリル酸 2—ヒドロキシェチル · p—スチレンス ルホン酸ナトリウム共重合榭脂溶液 (榭脂分 30質量%、理論上の官能基当量約 617 )を得た。得られた榭脂の重量平均分子量は 65, 000であった。
メタクリル酸 2 -ヒドロキシェチル(2— HEMA) 130g
メタクリロイロキシェチルスルホン酸ナトリウム 70g
メタノーノレ 326. 7g
水 (蒸留水) 140g
ァゾビスイソブチ口-トリル(AIBN) 2g
[0069] [実施例 3]高分子安定剤溶液 3
メタクリロイロキシェチルスルホン酸ナトリウムをメタクリル酸カリウムに変更した以外 は、実施例 1と同様の方法でメタクリル酸 2—ヒドロキシェチル ·メタクリル酸カリウム共 重合榭脂溶液 (榭脂分 30質量%、理論上の官能基当量約 1, 240)を得た。得られ た榭脂の重量平均分子量は 57, 000であった。
[0070] [比較例 1]高分子安定剤溶液 4
メタクリロイロキシェチルスルホン酸ナトリウムを省いた以外は、実施例 1と同様の方 法でメタクリル酸 2—ヒドロキシェチル単一重合榭脂溶液 (榭脂分 40質量%)を得た。 得られた榭脂の重量平均分子量は 62, 000であった。
上記実施例 1〜3、および比較例 1で得られた高分子安定剤溶液における高分子 安定剤の第 1のイオン性官能基の種類、重量平均分子量、含有官能基当量、反応 溶媒を表 1にまとめて示す。
[0071] [表 1]
问; ナ イオン性 平均分子量 3 f吕(!匕 ¾
溶媒
安定化剤 官能 & (MW) 甴里
スルホン
実施例 1 1 87,000 2, 160 メタノール
ナトリウム
スルホン 水:メタノール
実施例 2 2 65,000 617
ナトリウム =3 : 7(質量比) カルホ"ン
実施例 3 3 57,000 1 ,240 メタノール
カリウム
比較例 1 4 なし 62,000 130(ΟΗ) メタノール
[0072] [2]針状または楕円球状有機ポリマー粒子の作製
[実施例 4]
300mlフラスコに下記に示したィ匕合物を下記割合で混合してなる混合物を一括し て仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後 (溶存酸素量 2. 831mgZL)、撹拌機中 にて窒素気流下、オイルバス温度 75°Cで約 15時間加熱をして、スチレン ·ρ—スチレ ンスルホン酸ナトリウム共重合粒子溶液を得た。なお、溶存酸素量は、溶存酸素計( オービスフェアラボラトリーズ製溶存酸素計 Model3600)を用いて、加熱を開始する 前の室温(15〜28°C)において、直接混合溶液内で測定した(以下も同様である)。
スチレン 30. 7g
p—スチレンスノレホン酸ナトリウム 5. 42g
メタノーノレ 101. 63g
水 60. 38g
ァゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 2. 07g
高分子安定剤溶液 1 17. 58g
[0073] 次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使って水—メタノール混合溶液 (質量 比 3 : 7)で 3〜5回程度、洗浄一ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
得られた粒子 300個を SEMにてランダムに抽出して形状を観察し、長径 (L )、短
1 径 (D )、アスペクト比 (P )を測定し、針状化粒子数を算出したところ、下記のとおりで
1 1
あった。また、平均アスペクト比(P )は 2. 58であった。得られた針状または楕円球
la
状粒子の SEM写真を図 1に示す。
針状化粒子数 (A ) : 90%
針状化粒子数 (A ) : 85%
1.5
針状化粒子数 (A ) : 78%
1.8
針状化粒子数 (A ) : 61%
2.0
針状化粒子数 (A ) : 31%
2.5
[0074] [実施例 5]
高分子安定剤溶液 1を高分子安定剤溶液 2に変更するとともに、下記の組成にした 以外は、実施例 4と同様な方法で粒子溶液を得た。なお、窒素にて溶存酸素を置換 した後の溶存酸素量は 2. 774mgZLであった。
スチレン 30. 7g
p—スチレンスノレホン酸ナトリウム 5. 42g
メタノーノレ 100. 7g
水 55. 48g
ァゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 2. 07g
高分子安定剤溶液 2 23. 33g
得られた粒子 300個を SEMにてランダムに抽出して形状を観察し、長径 (L )、短
1 径 (D )、アスペクト比 (P )を測定し、針状化粒子数を算出したところ、下記のとおりで
1 1
あった。また、平均アスペクト比(P )は 2. 42であった。得られた針状または楕円球 la
状粒子の SEM写真を図 2に示す。
針状化粒子数 (A
1 .2 ) : 96%
針状化粒子数 (A ) : 91%
1 .5
針状化粒子数 (A ) : 76%
1 .8
針状化粒子数 (A ) : 60%
2 .0
針状化粒子数 (A ) : 33%
[0076] [実施例 6]
高分子安定剤溶液 1を高分子安定剤溶液 3に変更した以外は、実施例 4と同様の 方法で粒子を得た。なお、窒素にて溶存酸素を置換した後の溶存酸素量は 2. 847 mgZLであった。得られた粒子 300個を SEMにてランダムに抽出して形状を観察し 、長径 (L )、短径 (D )、アスペクト比 (P )を測定し、針状化粒子数を算出したところ、
下記のとおりであった。また、平均アスペクト比(P )は 1. 91であった。
針状化粒子数 (A ) :86%
1 .2
針状化粒子数 (A ) :65%
1 .5
針状化粒子数 (A ) :47%
1 .8
針状化粒子数 (A ) :35%
2 .0
針状化粒子数 (A ) :17%
[比較例 2]
高分子安定剤溶液 1を高分子安定剤溶液 4に変更した以外は、実施例 4と同様の 方法で粒子を得た。なお、窒素にて溶存酸素を置換した後の溶存酸素量は 2. 852 mgZLであった。 SEMにて得られた粒子 300個をランダムに抽出し形状を観察し、 長径 (L )、短径 (D )、アスペクト比 (P )を測定し、針状化粒子数を算出したところ、
1 1 1
下記のとおりであった。また、平均アスペクト比(P )は 1. 29であった。
針状化粒子数 (A ) :24
1 2
針状化粒子数 (A ) :11
1 5
針状化粒子数 (A ) :9°
1 8
針状化粒子数 (A ) :7
2 0 °A
針状化粒子数 (A ) :2
2 5 °A
[比較例 3]
高分子安定剤溶液をポリビニルピロリドン (K— 30、関東化学 (株)製)に変更した以 外は、実施例 4と同様な方法で粒子を得た。なお、窒素にて溶存酸素を置換した後 の溶存酸素量は 2. 791mgZLであった。 SEMにて得られた粒子 300個をランダム に抽出し形状を観察し、長径 (L )、短径 (D )、ァスぺ外比 (P )を測定し、針状化粒
1 1 1
子数を算出したところ、下記のとおりであった。また、平均アスペクト比(P )
laは 1. 36 であった。
針状化粒子数 (A ) :33%
1.2
針状化粒子数 (A ) :25%
1.5
針状化粒子数 (A ) :23%
1.8
針状化粒子数 (A ) :21%
針状化粒子数 (A ) : 8%
2.5
上記実施例 4〜6および比較例 2, 3で得られた粒子の針状化粒子数を表 2にまと めて示す。
[表 2]
表 2に示されるように、イオン性官能基を有する高分子化合物を高分子安定剤とし て用いた実施例 4〜6の製法では、比較例 2, 3の製法に比べ、高いアスペクト比を有 する針状または楕円球状有機ポリマー粒子が収率よく得られていることがわ力る。