JP5330023B2 - 重合体粒子の水性分散液の製造方法 - Google Patents
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ところで、重合体粒子の水性分散液は、乳化重合、懸濁重合、シード重合、分散重合、乳化分散重合等の方法により製造できる。これら方法は、重合体粒子の粒子径や、重合体粒子を使用する目的・用途に応じて選択されている。
上記方法の内、乳化重合では、水性媒体中、界面活性剤の存在下、水溶性重合開始剤により重合性ビニル系モノマーの重合を行うことで重合体粒子の水性分散液が得られることが知られている。
特に、0.05μmを下回るような重合体粒子の水性分散液を製造する方法として、水性媒体中、界面活性剤、及び重合開始剤存在下において重合性ビニル系モノマーを滴下供給する方法が知られている(特開平5−209007号公報:特許文献1、特開2007−99897号公報:特許文献2)。
かくして本発明によれば、水性媒体中、アニオン性界面活性剤、及び水溶性重合開始剤の存在下で重合性ビニル系モノマーを乳化重合させて重合体粒子を得る工程を含み、
前記水性媒体がpH7.0を超えてpH10.0以下であり、前記アニオン性界面活性剤が前記重合性ビニル系モノマー100重量部に対して0.3重量部以上〜5.0重量部以下において使用され、
前記重合性ビニル系モノマーを水性媒体中に滴下供給することにより重合して得られる0.01μm以上〜0.05μm以下の平均粒子径であることを特徴とする重合体粒子の水性分散液の製造方法が提供される。
本発明で使用できる重合性ビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、好ましくはスチレン系モノマー、(メタ)アクリルエステル系モノマー等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等が挙げられる。(メタ)アクリルエステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
上記重合性ビニル系モノマーは、単独でも、組み合わせて使用してもよい。
他のモノマーとしては、例えば、二官能性重合性ビニルモノマーが挙げられる。具体的には、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート(アルキレンは炭素数2以上〜4以下の範囲が好ましい)等が挙げられる。二官能性重合性ビニルモノマーの混合割合は、重合性ビニル系モノマー100重量部に対して10重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以上〜5重量部以下であることがより好ましい。
上記水性媒体は、水、水と水溶性有機溶媒(例えば、低級アルコール)との混合物等が挙げられる。この内、廃水処理の問題が少ない水が好ましい。
特に本発明ではポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩を使用することが好ましい。このような反応性のアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩として第一工業製薬社から商品名「アクアロンKH−10」、「アクアロンKH−1025」、「アクアロンHS−10」や、花王社から商品名「ラテムルPD−104」などとして市販されている。
アニオン性界面活性剤は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
前記水溶性重合開始剤にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、過酸化水素、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、第一鉄塩などの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いるレドックス系開始剤を併用しても良い。
そのため、得られた重合体粒子は、塗料の粘度調整剤、印刷インクのバインダー、粘着剤、化粧品添加剤、トナー添加剤、光拡散剤、液晶スペーサ等の用途に適している。
ここでいう平均粒子径は、動的光散乱法あるいは光子相関法と呼ばれる方法を利用して測定した粒子径を意味する。すなわち、0.1vol%に調製した重合体粒子の水性分散液に25℃においてレーザー光を照射し、重合体粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定する。検出された重合体粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、平均粒子径を算出するためのキュムラント解析法により求めた平均粒子径である。この種の平均粒子径は、市販の測定装置で簡便に測定可能であり、本実施例ではマルバーン社から市販されている「ゼータサイザーナノZS」を測定に使用している。
上述の市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析できる。
重合体粒子の水性分散液50mLを密閉容器に入れ、55℃で20日間放置した。放置後の水性分散液の状態を目視、および重合体粒子の平均粒子径の測定にて確認し、次のような基準で評価した。
◎・・・(保存安定性が非常に優れている)水性分散液の外観に変化がなく、重合体粒子の平均粒子径の変化が±0.01μm未満である。
○・・・(保存安定性に優れている)容器壁面に凝集物が付着しているが、重合体粒子の平均粒子径の変化が±0.01μm未満である。
×・・・(保存安定性が悪い)水性分散液の粘度が上昇しゲル化した状態である、およびまたは、平均粒子径の変化が±0.01μm以上である。
1L容量の3口セパラブルフラスコに、pH8.0に調整したイオン交換水350重量部、アニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製:商品名「アクアロンKH1025(25%水溶液)」)3.2重量部(界面活性剤は重合性ビニル系モノマー100重量部に対して2重量部)を供給し、250rpmの攪拌回転数で攪拌しつつ、80℃に加熱した。次に、水溶性重合開始剤として過硫酸カリウム0.4部を供給した後、メタクリル酸メチル40重量部を1時間に亘って滴下供給した。滴下供給終了後、80℃にて2時間に亘って攪拌を続けながらさらに乳化重合を行なった。その後、乳化液を室温まで冷却することで重合体粒子の水性分散液を得た。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.041μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.043μmであった。
pH9.5に調整したイオン交換水を使用したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.039μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.039μmであった。
pH7.5に調整したイオン交換水を使用したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.045μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.045μmであった。
アニオン性界面活性剤を1.6重量部(重合性ビニル系モノマー100重量部に対して1重量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.046μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.048μmであった。
アニオン性界面活性剤を4.8重量部(重合性ビニル系モノマー100重量部に対して3重量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.032μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.032μmであった。
水溶性重合開始剤として過硫酸アンモニウムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.041μmであり、保存安定性に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.046μmであった。
メタクリル酸メチルを38重量部とし、更にエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を2重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.039μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.041μmであった。
メタクリル酸メチルの代わりにスチレンとしたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.043μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.043μmであった。
アニオン性界面活性剤を0.8重量部(重合性ビニル系モノマー100重量部に対して0.5重量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.047μmであり、保存安定性に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.048μmであった。
アニオン性界面活性剤をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとしたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.040μmであり、保存安定性が非常に優れるものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.042μmであった。
pH4.0に調整したイオン交換水を使用したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.042μmであったが、保存安定性が悪いものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.098μmであった。
pH12に調整したイオン交換水を使用したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
この場合、重合中に凝集が生じたことによる水性分散液の粘度上昇のため、重合の進行が不可となり、重合を中断した。
アニオン性界面活性剤を0.16重量部(重合性ビニル系モノマー100重量部に対して0.1重量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた水性分散液中の重合体粒子の平均粒子径は0.078μmと目的の重合体粒子は得られず、保存安定性も非常に悪いものであった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.175μmであった。
メタクリル酸メチルを滴下供給せずに、一括で供給したこと以外は実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散液を得た。
得られた重合体粒子の水性分散液の保存安定性は非常に優れるものであったが、重合体粒子の平均粒子径は0.081μmであり、目的の重合体粒子は得られなかった。55℃、20日間放置後の平均粒子径は、0.081μmであった。
Claims (3)
- 水性媒体中、アニオン性界面活性剤及び水溶性重合開始剤の存在下で重合性ビニル系モノマーを乳化重合させて重合体粒子を得る工程を含み、
前記水性媒体がpH7.0を超えてpH10.0以下であり、
前記アニオン性界面活性剤が前記重合性ビニル系モノマー100重量部に対して0.3重量部以上〜5.0重量部以下使用され、
前記重合性ビニル系モノマーを水性媒体中に滴下供給することにより重合して得られる0.01μm以上〜0.05μm以下の平均粒子径であることを特徴とする重合体粒子の水性分散液の製造方法。 - 前記水溶性重合開始剤が過硫酸金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の重合体粒子の水性分散液の製造方法。
- 前記水性分散液における固体分濃度を3重量%以上〜15重量%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の重合体粒子の水性分散液の製造方法。
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