JP5421214B2 - 重合体粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと10〜60重量%の(メタ)アクリル酸アリルを含んでなる重合性ビニルモノマー100重量部を0.05〜0.5重量部のイオン変性ビニルアルコール存在下の水性媒体中で界面活性剤を添加することなく乳化重合する重合体粒子の製造方法である。
通常は、単独で用いられるが、同一のイオン性を有するものであれば、2種類以上を組み合わせてもよい。この中でも、液滴および重合体粒子の安定性の点からアニオン変性PVAとしては、スルホン酸基変性ポリビニルアルコールが、カチオン変性PVAとしては、アミノ基変性ポリビニルアルコールが好ましい。
ここでいうモノマー液滴径とは、水性媒体中に分散している重合性ビニルモノマーの液滴の直径を意味する。すなわち、水性媒体中に重合性ビニルモノマーを加え、十分に分散させた反応液を光学顕微鏡で観察し、そのうち明瞭に写る液滴の直径を30個測定し、その算術平均値をモノマー液滴径とした。
ここでいう重合安定性は、次式により算出される凝集物生成率(%)を意味する。この凝集物生成率(%)が小さいほど、重合安定性が良いことを示すものである。したがって、この凝集生成率(%)は、0.5%未満であることが好ましい。すなわち、得られた重合体粒子の水系分散液全量を目開き100μmのステンレス篩に通し、篩上の残存物を50℃で24時間乾燥させた後、残存物の重量(Wa)を秤量し、次式により凝集物生成率(%)を算出した。
凝集物生成率=(Wa/重合性ビニルモノマー使用量)×100
ここでいう平均粒子径は、動的光散乱法と呼ばれる方法を利用して測定した粒子径を意味する。すなわち、乳化重合で得られた重合体粒子の水系分散液をイオン交換水で希釈(例えば200倍に)することで0.1wt%に調製し、25℃においてレーザー光を照射し、重合体粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定する。検出された重合体粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、平均粒子径を算出するためのキュムラント解析法により求めた平均粒子径である。この種の平均粒子径は、市販の測定装置で簡便に測定可能であり、本実施例ではマルバーン社から市販されている「ゼータサイザ−ナノZS」を測定に使用している。
上述の市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析できる。
ここでいう水分吸着量は、重合体粒子を恒温恒湿環境下に所定時間保管し、保管前後の重量変化量から算出した値を意味する。すなわち、重合体粒子をあらかじめ55℃で24時間乾燥させ、この乾燥重合体粒子1gを温度20℃、かつ相対湿度80%の雰囲気下に1時間保管した後、重合体粒子の重量(g)を秤量する。この値をW80とし、(1)式から算出して求めた値を重合体粒子の水分吸着量率σ80(%)とした。
水分吸着量率σ80(%)=(W80−1)×100・・・・(1)
同様の方法で温度20℃、かつ相対湿度40%で1時間保管した後、重合体粒子の重量(g)を秤量し、この値をW40として、(1)式のW80をW40に入れ替えて、算出し、求めた値を水分吸着量率σ40とした。次に、下記の(2)式により、相対湿度40%と80%との間の重量で測定した水分吸着量率の変化率(Tと表記)を算出した。
T=[(σ40−σ80)/σ40]×100
ここで、変化率Tが小さいほど、高湿度下でも水分を吸着しにくく、湿度環境の変化に対して安定であり、50以上では湿度の変化に極めて不安定である。
重合体粒子1gとトルエン10gを20mlの遠沈管に添加し、よく振り混ぜ室温で24時間放置後、6000回転で5分間遠心分離した後の重合体粒子の状態を観察した。ここで、遠沈管底部に重合体粒子が堆積していない場合を溶解していると判断した。
5L容量のオートクレーブに、水2600重量部にピロリン酸マグネシウム26重量部を分散させ、亜硝酸ナトリウム0.13重量部、フォスファノールLO−529(東邦化学社製)1.3重量部を溶解させた。そこへ、アゾビスイソブチロニトリル10.4重量部、t−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエート3.9重量部を溶解させたスチレン910重量部、メタクリル酸ブチル390重量部の混合溶液を加え、ホモジナイザーで4000rpmで分散させた後、ナノマイザーシステムLA−33(ナノマイザー(株)製)により処理圧0.5MPaで処理して分散液を得た。得られた分散液を450rpmの攪拌回転数で攪拌しつつ、60℃で6時間にわたって加熱した。その後スルファミン酸1.3重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸Na2.6重量部を溶解させた水100重量部を加え、110℃まで加熱して更に1時間に宜って攪拌を続けながら重合を行った。その後室温まで冷却し、脱水・乾燥を行うことでトナー用粒子を得た。得られたトナー用粒子の平均粒子径は10μmであった。
上記方法で擬似トナー0.5gと標準キャリアN−02(日本画像学会製)9.5gを50ccのポリプロピレン製容器に投入し、密閉した後、200回上下に振ることで混合した。その後容器を開封して、20℃、相対湿度60%の恒温恒湿下において24時間静置させた。次に、サンプル0.2gを秤量し、400メッシュの篩網が入った測定試料室に投入することでブローオフ帯電量を測定した。なお、この種のブローオフ帯電量は、市販の測定装置で簡便に測定可能であり、本実施例では京セラケミカル社製から市販されているTB−203を使用した。測定は20℃、相対湿度60%の恒温恒湿下において測定し、ブローには窒素ガスを使用し、ブロー圧10kPa、吸引圧は9kPaとした。
この擬似トナーのブローオフ帯電量の測定値から、以下の基準で帯電性を評価した。
尚、下記のブローオフ帯電量の基準値は、絶対値である。
○:優れた帯電性を有する(ブローオフ帯電量 20〜40μC/g)
×:帯電性に劣る(ブローオフ帯電量 20μC以下/g)
撹拌機、還流冷却器、および温度計を備えた5Lのオートクレーブ中で、カチオン性の変性ポリビニルアルコール0.8重量部((株)クラレ製:CM−318、アミノ基変性PVA)を脱酸素したイオン交換水3200重量部に溶解し、メタクリル酸メチル(MMA)640重量部、メタクリル酸アリル(AMA)160重量部、を供給し、ホモジナイザー(特殊機化工業(株):T.K.HOMOMIXER MARK II)により攪拌し、モノマー液滴径が500μmの分散液を調製した。この分散液中に2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(和光純薬工業(株)製V−50;10時間の半減期を得るための分解温度:56℃)4重量部を添加して分散液を70℃に加熱し、70℃にて3時間にわたって攪拌を続けながら乳化重合を行なった後、室温まで冷却しスプレードライで乾燥して重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.324μm、凝集物生成率が0.2%、水分吸着量の変化率が20%であり、耐溶剤性にも優れていた。この製造方法によれば、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性に優れた重合体粒子を非常に安定的に得られることがわかった。
カチオン性の変性ポリビニルアルコールを0.4重量部とし、モノマー液滴径を5μmに変更したこと以外は案施例1と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.501μm、凝集物生成率が0.1%、水分吸着量の変化率が15%であり、耐溶剤性にも優れていた。この製造方法によれば、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性に優れた重合体粒子を非常に安定的に得られることがわかった。
カチオン性の変性ポリビニルアルコールを0.8重量部に変更したこと以外は案施例2と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.431μm、凝集物生成率が0.0%、水分吸着量の変化率が20%であり、耐溶剤性にも優れていた。この製造方法によれば、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性に優れた重合体粒子を非常に安定的に得られることがわかった。
カチオン性の変性ポリビニルアルコールを4.0重量部に変更したこと以外は案施例2と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.398μm、凝集物生成率が0.0%、水分吸着量の変化率が25%であり、耐溶剤性にも優れていた。この製造方法によれば、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性に優れた重合体粒子を非常に安定的に得られることがわかった。また、上記重合体粒子を電子写真用トナー外添剤として使用して擬似トナーを作製し、ブローオフ帯電量を測定したところ、+29μC/gであり、優れた帯電性を有していた。
モノマー液滴径を100μmに変更したこと以外は案施例1と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.350μm、凝集物生成率が0.1%、水分吸着量の変化率が20%であり、耐溶剤性にも優れていた。この製造方法によれば、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性に優れた重合体粒子を非常に安定的に得られることがわかった。
メタクリル酸メチル(MMA)を480重量部に、メタクリル酸アリル(AMA)を320重量部に、モノマー液滴径を50μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.345μm、凝集物生成率が0.2%、水分吸着量の変化率が17%であり、耐溶剤性にも優れていた。この製造方法によれば、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性に優れた重合体粒子を非常に安定的に得られることがわかった。
カチオン性の変性ポリビニルアルコール0.8重量部を、アニオン性の変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:L−3266、スルホン酸基変性PVA)0.8重量部に、モノマー液滴径を50μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.332μm、凝集物生成率が0.1%、水分吸着量の変化率が20%であり、耐溶剤性にも優れていた。この製造方法によれば、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性に優れた重合体粒子を非常に安定的に得られることがわかった。上記重合体粒子を電子写真用トナー外添剤として使用して擬似トナーを作製し、ブローオフ帯電量を測定したところ、−30μC/gであり、優れた帯電性を有していた。
カチオン性の変性ポリビニルアルコールを0.16重量部に、モノマー液滴径を100μmに変更したこと以外は、実施例5と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.375μm、凝集物生成率が5.1%、水分吸着量の変化率が12%であり、耐溶剤性を有していた。この製造方法では、水分吸着量の変化率が小さく、耐溶剤性を有する重合体粒子は得られるものの、重合安定性が極めて悪い。
カチオン性の変性ポリビニルアルコールを8.0重量部に変更したこと以外は、比較例1と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.301μm、凝集物生成率が0.1%、水分吸着量の変化率が50%であり、耐溶剤性を有していた。この製造方法では、重合安定性が良好で耐溶剤性を有する重合体粒子は得られるものの、水分吸着量の変化率が非常に大きくなることがわかった。上記重合体粒子を電子写真用トナー外添剤として使用して擬似トナーを作製し、ブローオフ帯電量を測定したところ、+15μC/gであり、帯電性に劣っていた。
メタクリル酸メチル(MMA)を796重量部に、メタクリル酸アリル(AMA)を4重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子を得た。得られた重合体粒子は平均粒子径が0.324μm、凝集物生成率が0.1%、水分吸着量の変化率が22%であり、重合体粒子が溶剤に溶解し、耐溶剤性を有していなかった。この製造方法では、重合安定性が良好で水分吸着量の変化率が小さい重合体粒子は得られるものの、耐溶剤性を有する粒子は得られず、荷電制御剤等を吸収するのでトナー外添剤としては不適当である。
メタクリル酸メチル(MMA)を240重量部に、メタクリル酸アリル(AMA)を560重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に実施したが、重合安定性が悪く、目的とする粒子は得られなかった。
Claims (2)
- (メタ)アクリル酸エステル系モノマーと10〜60重量%の(メタ)アクリル酸アリルを含んでなる重合性ビニルモノマー100重量部を0.05〜0.5重量部のイオン変性ビニルアルコール存在下の水性媒体中で界面活性剤を添加することなく乳化重合する重合体粒子の製造方法。
- 請求項1の製造方法であって、
前記重合性ビニルモノマーの液滴径が5.0〜500μmの状態を得た後に、重合性ビニルモノマーを重合させることを特徴とする重合体粒子の製造方法。
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