JP6115023B2 - 塩化ビニル樹脂ラテックスおよびその製造方法 - Google Patents

塩化ビニル樹脂ラテックスおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塩化ビニル樹脂ラテックスおよびその製造方法に関する。
塩化ビニル系樹脂は安価でかつ品質バランスに優れているため、繊維処理、塗料など種々の分野で利用されている。塩化ビニル系樹脂からなる水性塗工液は、溶剤系と比較し有機溶剤を使用しないため大気汚染の問題、作業者の安全衛生の問題、火災の問題等がなく、近年利用が広がっている。
塩化ビニル樹脂ラテックスは、必要に応じて水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリでpHを6〜10に調整するが、pHが低下していく問題がある(非特許文献1)。重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、一価又は二価のリン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等のpH緩衝剤を添加することで、pH低下を抑制することが可能であるが、ラテックスの機械安定性が低下する問題点があった。
また、平均粒径0.15μmのラテックスを得る方法が記載されているが(特許文献1)、このラテックスはシードミクロ懸濁重合法に使用されるものであり、機械安定性については十分でなかった。
室井宗一 著、高分子ラテックスの化学、高分子刊行会、1970年、p.184
特開2003−301083号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ラテックスの機械安定性が良好であり、アルカリ中和後のpH低下が抑制された、pHが3.2〜10であるラテックスおよびその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討を重ねた結果、塩化ビニルホモポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物0.20〜10.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部となるように、重合中にスルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物、高級脂肪酸塩を添加することで、ラテックスのpH低下を防止できることを見出した。すなわち、本発明は、塩化ビニルホモポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物0.20〜10.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有し、塩化ビニルホモポリマーの平均粒子径が0.12μm以下であり、pH3.2〜10であり、高級脂肪酸塩が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選択される高級脂肪酸とカリウム、ナトリウム、アンモニア、トリエタノールアミンのいずれかとの塩である、塩化ビニル樹脂ラテックス、並びにその製造方法である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の塩化ビニル樹脂ラテックスは、塩化ビニルホモポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物0.20〜10.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有するものである。
塩化ビニルホモポリマーは、塩化ビニル単量体を単独で重合させたものである。
塩化ビニル単量体を重合させる方法としては、例えば、乳化重合、溶液重合、気相重合等が挙げられる。
スルホン酸塩を有する化合物としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩類;アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルフォン酸塩類;アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩類等が挙げられ、硫酸エステル塩を有する有機化合物としては、例えば、ラウリル硫酸エステルナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類等が挙げられる。スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物の含有量としては、0.20〜10.0重量部である。0.20重量部未満の場合は、ラテックスが不安定となり、10.0重量部を超える場合は、塩化ビニル樹脂の不純物となる。好ましくは、1.0〜5.0重量部である。
高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等とアルカリとの塩が挙げられる。入手のしやすさから、ナトリウム、カリウム、アンモニア、トリエタノールアミンとの塩が好ましい。高級脂肪酸塩の含有量は0.05〜2.5重量部である。0.05重量部未満の場合は、アルカリ中和後のpH変化が大きく、2.5重量部を超える場合は、pHが10より高くなる。好ましくは、0.1〜2.3重量部である。
本発明の塩化ビニル樹脂ラテックス中の塩化ビニルホモポリマーの平均粒子径は、0.12μm以下である。平均粒子径が0.12μmを超えると機械安定性に劣る。好ましくは0.11μm以下であり、さらに好ましくは0.10μm以下である。
本発明の塩化ビニル樹脂ラテックスは、pH3.2〜10である。pH3.2未満であるとアルカリ中和後のpHが低下し、10を超えると高級脂肪酸塩が多量に添加する必要があり塩化ビニル樹脂の不純物となる。好ましくは、pH4〜9.8である。
本発明の塩化ビニル樹脂ラテックスは、連鎖移動剤、還元剤、緩衝剤、乳化剤(スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物、及び高級脂肪酸塩以外のもの)等を含有してもよい。
本発明の塩化ビニル樹脂ラテックスは、水を分散媒とし、塩化ビニル単量体を重合する際に、塩化ビニル単量体100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物0.20〜10.0重量部を使用して、乳化重合することによって得られる。スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物が0.20重量部未満の場合は、重合が不安定となり、10.0重量部を超える場合は、あわ立ちが問題となる。スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物は、重合開始前、重合中に適時添加する。高級脂肪酸塩は、重合の開始前、重合中のいずれで添加しても問題なく、重合中に高級脂肪酸塩を逐次又は分割添加で添加することも可能である。ただし、高級脂肪酸塩を重合の開始前に全量添加すると、平均粒子径が0.12μmを超え、得られたラテックスが機械安定性に劣る。高級脂肪酸塩を添加する場合は、得られたラテックスのアルカリ中和後のpH変化をより抑制するために、塩化ビニル単量体100重量部に対して、高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を添加することが好ましい。
重合開始剤は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性開始剤、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシピバレート、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の油溶性開始剤等を挙げることができる。
重合温度は、特に限定するものではないが、30〜100℃が好ましく、40〜80℃がさらに好ましい。
重合時間は、特に限定するものではないが、3〜24時間が好ましい。
塩化ビニル単量体の重合率は、全単量体に対して80〜97重量%であることが好ましい。
重合の終了は、容器内の圧力を常圧、さらに減圧し、単量体を回収することにより行う。重合禁止剤を添加して重合を終了させてもよい。
必要に応じ、重合終了後のラテックスに、塩化ビニルホモポリマー100重量部に対して0.20〜10.0重量部を含有するように、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物を追加添加することができる。また、必要に応じ、重合終了後のラテックスに、塩化ビニルホモポリマー100重量部に対して、0.05〜2.5重量部を含有するように、高級脂肪酸塩を追加添加することができる。
本発明の塩化ビニル樹脂ラテックスを製造する際に、重合の安定化やスケール発生量の低減を目的として連鎖移動剤、還元剤、緩衝剤、乳化剤(スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物、及び高級脂肪酸塩以外のもの)等を添加することもできる。
本発明では、機械安定性が良好であり、pH低下が抑制された塩化ビニル樹脂ラテックスを提供することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
平均粒子径、固形分濃度、pH、ラテックスの機械安定性、アルカリ中和後のラテックスpH変化の測定は、以下の通りである。
<平均粒子径>
塩化ビニル樹脂ラテックスをレーザー透過率が84〜86%となるように水を添加して濃度調整を行った測定用試料を、レーザー回折/散乱式粒径測定装置(商品名LA−920、堀場製作所(株)製)を用いて、メジアン径を測定し、平均粒子径とした。
<固形分濃度>
塩化ビニル樹脂ラテックス5gをアルミ皿にとり、重量を測定後、40℃の乾燥機で24hr乾燥して水分を蒸発させた。その後、乾燥物の重量を測定し、重量比から固形分濃度を算出した。
<pH>
pHメーター(商品名D−12、堀場製作所(株)製)を用いて、濃度調整をせず室温にて塩化ビニル樹脂ラテックスのpHを測定した。
<ラテックスの機械安定性>
ラテックス250gにクロロホルム1.25g、消泡剤3gを入れ、ホモジナイザー(IKA社製ULTRA−TURRAX T−50 T−50 basic)で6400rpm撹拌し、ラテックス全体が増粘するまでの時間を測定する。
<アルカリ中和後のラテックスpH変化>
塩化ビニル樹脂ラテックスを1wt%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整し、さらに水で希釈し固形分を30重量%に調整した。そのうち500gを透明なガラス瓶に入れ、40℃で2ヶ月間静置し、ラテックスのpHを測定した。
実施例1
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ラウリン酸カリウム15g(単量体に対して0.1重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、ラウリン酸カリウム:0.11重量部)。ラテックスのpHは4.2、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは8.5とpHの低下はわずかであった。
実施例2
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ラウリン酸カリウム75g(単量体に対して0.5重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、ラウリン酸カリウム:0.56重量部)。ラテックスのpHは8.3、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは9.0とpHの低下はわずかであった。
実施例3
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、15重量%ラウリン酸カリウム100g(単量体に対して2.0重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、ラウリン酸カリウム:2.22重量部)。ラテックスのpHは9.6、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは9.2とpHの低下はわずかであった。
実施例4
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ステアリン酸カリウム75g(単量体に対して0.5重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、ステアリン酸カリウム:0.56重量部)。ラテックスのpHは8.3、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは9.0とpHの低下はわずかであった。
実施例5
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ラウリン酸カリウム75g(単量体に対して0.5重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.56重量部、ラウリン酸カリウム:0.56重量部)。ラテックスのpHは8.2、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは8.9とpHの低下はわずかであった。
実施例6
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ラウリン酸カリウム75g(単量体に対して0.5重量部)、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液125g(単量体に対して2.50重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:5.33重量部、ラウリン酸カリウム:0.56重量部)。ラテックスのpHは8.4、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは9.1とpHの低下はわずかであった。
実施例7
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ラウリン酸カリウム7.5g(単量体に対して0.05重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、ラウリン酸カリウム:0.06重量部)。ラテックスのpHは3.3、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。1wt%水酸化ナトリウムでラテックスのpHを10に調整し、pH変化を測定したところ、pHは7.8とpHの低下はわずかであった。
実施例8
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液162g(単量体に対して1.08重量部)と5重量%ラウリン酸カリウム水溶液57g(単量体に対して0.38重量部)を290分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収した。これに5重量%濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム40.5g(単量体に対して0.27重量部)、5重量%濃度のラウリン酸カリウム13.5g(単量体に対して0.09重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.06重量部、ラウリン酸カリウム:0.53重量部)。ラテックスのpHは8.4、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。1wt%水酸化ナトリウムでラテックスのpHを10に調整し、pH変化を測定したところ、pHは7.7とpHの低下はわずかであった。
比較例1
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部)。ラテックスのpHは3.0、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは4.1と大幅にpHが低下した。
比較例2
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ラウリン酸カリウム3g(単量体に対して0.02重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、ラウリン酸カリウム:0.02重量部)。ラテックスのpHは3.1、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、20分以上であり良好な結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは4.7と大幅にpHが低下した。
比較例3
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液15g(単量体に対して0.10重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、5重量%ラウリン酸カリウム75g(単量体に対して0.50重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.11重量部、ラウリン酸カリウム:0.56重量部)。ラテックスのpHは8.2、平均粒子径を測定したところ0.14μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、3分と非常に劣った結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは8.9と低下は僅かであった。
比較例4
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、10重量%炭酸カリウム7.5g(単量体に対して0.10重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、炭酸カリウム:0.11重量部)。ラテックスのpHは6.2、平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、10分と劣った結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは9.0とpHの低下はわずかであった。
比較例5
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830g、塩化ビニル単量体750g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75g(単量体に対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、重合開始後60分後より、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270g(単量体に対して1.80重量部)を360分間かけて連続添加した。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、15重量%ラウリン酸カリウム150g(単量体に対して3.0重量部)を追加添加し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:2.56重量部、ラウリン酸カリウム:3.33重量部)。ラテックスのpHは10.5とpH10を超えていた。平均粒子径を測定したところ0.1μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ20分以上と良好な結果であったが、上記したように、得られたラテックスのpHが10を超えていた。
比較例6
1m3オートクレーブ中に脱イオン水400kg、塩化ビニル単量体350kg、16重量%ラウリン酸カリウム水溶液2kg(単量体に対して0.09重量部)及び16重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液5kg(単量体に対して0.23重量部)を仕込み、温度を54℃に上げて重合反応を開始した。そして、圧力が低下した後、未反応塩化ビニル単量体を回収し、塩化ビニル樹脂ラテックスを得た(塩化ビニルホモポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.25重量部、ラウリン酸カリウム:0.10重量部)。ラテックスのpHは4.1、平均粒子径を測定したところ0.15μmであった。
ラテックスの機械安定性を評価したところ、7分と劣った結果であった。アルカリ中和後のラテックスpH変化を評価したところ、pHは8.3とpHの低下はわずかであった。

Claims (5)

  1. 塩化ビニルホモポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物0.20〜10.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有し、塩化ビニルホモポリマーの平均粒子径が0.12μm以下であり、pH3.2〜10であり、高級脂肪酸塩が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選択される高級脂肪酸とカリウム、ナトリウム、アンモニア、トリエタノールアミンのいずれかとの塩である、ことを特徴とする塩化ビニル樹脂ラテックス。
  2. スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物が、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩及びジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル樹脂ラテックス。
  3. スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物が、スルホン酸又は硫酸エステルを有する有機化合物と、カリウム、ナトリウム、アンモニア、トリエタノールアミンのいずれかとの塩であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塩化ビニル樹脂ラテックス。
  4. 塩化ビニル単量体を水性媒体中で重合する際に、塩化ビニル単量体100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物0.20〜10.0重量部の存在下で乳化重合することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の塩化ビニル樹脂ラテックスの製造方法
  5. 塩化ビニル単量体を水性媒体中で重合する際に、塩化ビニル単量体100重量部に対して、高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を、重合中、重合終了後のいずれかで添加することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の塩化ビニル樹脂ラテックスの製造方法。
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