JP6955323B2 - 架橋アクリル系有機微粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の表面領域を有する架橋アクリル系有機微粒子に関するものである。
粒子表面が複数の領域に仕切られた粒子として、ヤヌス粒子が知られている(特許文献1〜3など)。ヤヌスとは、ローマ神話に登場する2つの顔を持つ神であり、ヤヌス粒子とは多面性を有する粒子を指す。
特許文献1には、電気伝導性基体粒子の表面に、電気化学的に材料を析出させた改変部と、非改変部とを形成した粒子が開示されている。しかし、本文献に記載の方法は電気化学的な材料として無機成分を析出させる必要があり、電気的析出部位を制御するのが難しく、製造が困難である。
特許文献2には、2種のポリマーを含む有機溶媒溶液を分散させ、互いに異なるポリマーを含む材料からなる2つの表面領域を有する液滴を得て、溶媒を除去することで2領域微粒子が製造できることが開示されている。しかし、この特許文献2の方法は、液滴中で2種類のポリマー領域に分離すること(いわゆるミクロ相分離すること)を2領域形成の駆動力としている。そのため、異なる2種類のポリマーはいずれも有機溶媒に溶解する必要があり、そうすると該ポリマーに架橋構造を導入できなくなる。そのため特許文献2の方法から得られる粒子は、強度が不十分となり、粒子形状を維持することが困難である。
特許文献3には、ブロックコポリマーなどの2種以上の成分を1分子として有する有機材料を相分離(すなわち、ブロック部分の集合相ごとに分離)させ、一方の相(ブロック集合相)に配位子を存在させておくことで、そこに特定の金属を配位させる無機−有機ハイブリッド粒子が開示されている。しかし、この方法では、表面を仕分けるには、特定の金属の存在が必須となり、有機成分のみの非金属系の材料に適用することができない。また特許文献2と同様、架橋構造を有しておらず、有機溶媒の存在下や耐熱性が求められる用途において、粒子形状を維持する上で強度が不十分である。
特表2014−508215号公報 特開2006−225525号公報 特開2010−185023号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、複数の表面領域を有し、かつ、金属を配位させることなく十分な耐溶剤性、及び耐熱性を兼ね備えた有機粒子を提供できる技術を確立することにある。
本発明者らは、前記課題を解決する為に鋭意検討したところ、粒子がアクリル系有機粒子とすれば、金属配位が不要となり、かつ該粒子を架橋しつつ表面を2つ以上の領域に仕切ることで、十分な耐溶剤性、及び耐熱性を兼ね備えることになることを見出し、本発明を完成した。本発明は以下の通りである。
(1)粒子表面が2つ以上の領域に仕切られている架橋アクリル系有機微粒子。
(2)遷移金属を含有しない前記(1)に記載の架橋アクリル系有機微粒子。
(3)架橋性モノマーに由来する構造単位を有する前記(1)又は(2)に記載の架橋アクリル系有機微粒子。
(4)架橋性モノマーに由来する構造単位が、有機微粒子中、0質量%超、80質量%以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の架橋アクリル系有機微粒子。
(5)単官能(メタ)アクリレート系モノマー単位と単官能スチレン系モノマー単位とを有する、これらモノマーの共重合体である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の架橋アクリル系有機微粒子。
(6)体積平均粒子径が0.1〜30μmである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の架橋アクリル系有機微粒子。
(7)単官能(メタ)アクリレート系モノマー、架橋性モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、及び炭化水素系有機溶媒を水中で混合し、懸濁又は乳化重合する前記(1)〜(6)のいずれかに記載の架橋アクリル系有機微粒子の製造方法。
本発明によれば、複数の表面領域を有する強度に優れた有機粒子を、金属を配位させることなく提供できる。
図1は本発明の有機微粒子の一例を示す概略斜視図である。 図2は本発明の有機微粒子の他の例を示す概略指図である。 図3は実施例で得られた有機微粒子3の走査型電子顕微鏡写真(倍率8,500倍)の第1の例である。 図4は実施例で得られた有機微粒子3の走査型電子顕微鏡写真(倍率6,000倍)の第2の例である。 図5は実施例で得られた有機微粒子3の走査型電子顕微鏡写真(倍率8,000倍)の第3の例である。 図6は実施例で得られた有機微粒子4の走査型電子顕微鏡写真(倍率8,500倍)である。
(1)有機微粒子
本発明の有機微粒子は、金属化合物や無機化合物を用いた合成法や、有機溶剤に高分子を溶解させる工程を必要とせず、単量体からの重合反応で合成される有機物のみで構成された粒子であって、粒子表面が2つ以上の領域に仕分けられている点に特徴がある。表面に複数の領域を有することで、一つの粒子に異なる個性を付与することができ、個性に応じて粒子の適用範囲を広げることが可能となる。
図1は、本発明の有機微粒子の一例を示す概略斜視図である。図1の有機微粒子1は、外観が互いに異なる第1の領域11と第2の領域12とに仕切られている。この粒子表面には、両領域11、12を仕分ける境界線21が1つ存在し、この境界線21は、無端状乃至閉環状である。
外観が異なる領域の数は2より大きくてもよい。図2は、第1の領域11、第2の領域12、及び第3の領域13の3つの領域を有する有機微粒子1を示す概略斜視図である。この図示例の有機微粒子1では、各領域を仕分ける境界線21、22が2つ存在し、両境界線は交わることがなく、それぞれ独立して無端状乃至閉環状になっている。
領域の数の上限は特に限定されないが、例えば、4以下、好ましくは3以下であり、領域の数が2であるのが最も好ましい。また境界線の数は、領域の数と同じであってもよいが、領域の数よりも1つ少ないのが好ましい。また各境界線は、互いに共有点を有していてもよいが、共有点を有さず、独立しているのが好ましい。
なお本発明の有機微粒子は、集合物であってもよい。一つ一つを区別して微粒子を取り扱うことは少なく、通常、集合物として取り扱うためである。集合物としてみたとき、本発明の有機微粒子は、2つ以上の領域を有する微粒子を含んでいる限り、領域の数が2未満の(すなわち、領域区分のない)粒子を一部に含んでいてもよい。領域区分のない粒子の割合は、有機微粒子中、5割以下(個数基準)、好ましくは3割以下(個数基準)、より好ましくは1割以下(個数基準)である。粒子の割合は、走査型電子顕微鏡で観察することによって決定できる。
最小領域の大きさは、粒子表面全体中、例えば、10面積%以上、好ましくは15面積%以上である。最小領域の大きさの最大値は、100面積%を領域数で除した商であり、例えば領域数が2の時の最小領域の大きさは50面積%以下である。
本発明の有機微粒子の表面を仕分ける各領域は、上述した図示例では、外観が互いに異なっているが、外観は異なっていなくてもよい。外観が異なっていなくても、無端状乃至閉環状の境界線が存在することで、各領域に分けることが可能であり、本発明は、このような態様の粒子も含む。外観が異なっているか否かは、例えば、微粒子表面を走査型電子顕微鏡で観察した時に、表面粗さが異なって見えるか否かによって決定できる。
本発明の有機微粒子の形状は特に限定されず、球形、楕円体(ラグビーボール型)、2つ以上の球形体又は楕円体が合体した形状、前記各形状の一部が陥没乃至欠失した形状、前記各形状の一部又は全部が収縮した形状などのいずれであってもよいが、球形、楕円体(ラグビーボール型)であるのが好ましく、球形であるのがより好ましい。
本発明の有機微粒子の体積平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは20μm以下である。
また体積平均粒子径の変動係数は、例えば、10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上であり、例えば、60%以下、好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下である。
本発明の有機微粒子は、単官能(メタ)アクリレート系モノマー単位と架橋性モノマー単位とを有する共重合体である。単官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のモノアルキル(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のモノ環状エーテル含有(メタ)アクリレート類;等が挙げられる。これら単官能(メタ)アクリレート系モノマーは、1種又は2種以上を使用できる。
単官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、モノアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく、(メタ)アクリル酸C1-4アルキルがより好ましく、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、単官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、単官能メタクリル系モノマーが好ましい。
単官能(メタ)アクリレート系モノマーに由来する構造単位は、有機微粒子中、例えば、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、例えば、100質量%未満、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下、特に好ましくは55質量%以下である。
架橋性モノマーとしては、1分子中にエチレン性炭素−炭素二重結合を2個以上有するモノマーが挙げられ、エチレン性炭素−炭素二重結合の数は、2〜6個であることが好ましく、より好ましくは2〜3個、特に好ましくは2個である。
前記エチレン性炭素−炭素二重結合は、架橋性モノマーにおいてビニル基(エテニル基)、或いは(メタ)アクリロイル基として含まれていることが好ましく、(メタ)アクリロイル基として含まれていることがより好ましく、メタクリロイル基として含まれていることがさらに好ましい。
また、2個以上のエチレン性炭素−炭素二重結合は、架橋性モノマーにおいて、芳香族性炭化水素環などの環状基;鎖状の炭化水素鎖、ポリアルキレンオキシ基などの鎖状基などの連結基を介して結合していることが好ましい。なおエチレン性炭素−炭素二重結合が(メタ)アクリロイル基として含まれている場合、この(メタ)アクリロイル基にさらに酸素原子が結合した(メタ)アクリロイロキシ基が前記連結基に結合するのが好ましい。
以上の様な架橋性モノマーには、例えば、架橋性(メタ)アクリレート系モノマー;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、N,N−ジビニルアニリンなどの架橋性芳香族系モノマー(好ましくは架橋性スチレン系モノマー);ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤等が挙げられ、架橋性(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。
架橋性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基が、アルキレングリコール等のジオール化合物;トリオール化合物;テトラオール化合物等のポリオール化合物とエステル結合を形成して結合した化合物が好ましい。前記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール等のアルキレングリコールが好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
前記架橋性(メタ)アクリレート系モノマーは、2官能以上であれば、3官能モノマー、4官能モノマー、5官能モノマー、6官能モノマーなどのいずれであってもよい。2官能の架橋性(メタ)アクリレート系モノマーとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等のアルケンジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位の繰り返し数は、例えば2〜150);等が挙げられる。また、3官能の架橋性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられ、4官能の架橋性(メタ)アクリレート系モノマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、6官能の架橋性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら架橋性(メタ)アクリレート系モノマーは、1種又は2種以上を使用できる。中でも、架橋性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、2〜6官能架橋性(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、より好ましくは2〜4官能架橋性(メタ)アクリレート系モノマーであり、さらに好ましくは2官能架橋性(メタ)アクリレート系モノマーであり、アルカンジオールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、(メタ)アクリロイル基としては、メタクリロイル基が好ましい。
架橋性モノマーに由来する構造単位は、単官能(メタ)アクリレート系モノマーに由来する構造単位100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、例えば、2000質量部以下、好ましくは1500質量部以下、より好ましくは1000質量部以下である。
また架橋性モノマーに由来する構造単位は、有機微粒子中、例えば、0質量%超であり、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
単官能(メタ)アクリレート系モノマーに由来する構造単位と架橋性モノマーに由来する構造単位の合計は、全モノマーに由来する構造単位100質量%中、例えば、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、例えば、100質量%未満、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
本発明の有機微粒子は、前記単官能(メタ)アクリレート系モノマーが、他の単官能モノマーと共重合した共重合体であることが好ましく、特にランダム共重合体であることが好ましい。本発明によれば、ブロック共重合体としなくても粒子表面を2つ以上の領域に仕切ることが可能であり、このような粒子を簡便に製造可能である。
前記他の共重合性単官能モノマーとしては、スチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系モノマー;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー;アクリロニトリル等のニトリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;N−ビニルピロリドン;ポリブタジエン等が挙げられ、スチレン系モノマーが好ましい。
前記スチレン系モノマーとしては、スチレン;α−メチルスチレン等のα置換スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、p−tert−ブチルスチレン等のアルキルスチレン;p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;p−フェニルスチレン等のアリールスチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン化スチレン;等が挙げられ、1種又は2種以上を使用できる。中でも、スチレン、アルキルスチレン、ハロゲン化スチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
他の共重合性単官能モノマーは、単官能(メタ)アクリレート系モノマー100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは75質量部以上、特に好ましくは90質量部以上であり、例えば、2000質量部以下、好ましくは1500質量部以下、より好ましくは1000質量部以下、さらに好ましくは500質量部以下、特に好ましくは300質量部以下である。
他の共重合性単官能モノマーに由来する構造単位は、有機微粒子中、例えば、0質量%超、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
本発明の有機微粒子を形成する共重合体は、実質的に1種のポリマーであってもよく、2種以上のポリマーの混合物であってもよい。ここで実質的に1種のポリマーであるとは、一つの共重合反応から得られたポリマーなどのように、共重合組成が実質的に同じであると見なせる一群のポリマーを指し、分子量分布を有する場合のように異なる分子量の集合物であっても1種のポリマーに該当する。1種のポリマーであるか、2種以上のポリマーであってもそのうち1種のポリマーの割合が高いのが好ましい。2種以上のポリマーである場合、最大割合のポリマーは、全共重合体中、例えば、60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。本発明によれば、実質的に1種のポリマーである場合、及び2種以上のポリマーであってもそのうちの1種のポリマーの割合を高めた様な場合ですら2つ以上の領域に仕切ることができ、実質的に2種のポリマーの相分離を利用しなくてもよい。そのため、表面に2つ以上の領域を有する粒子を簡便に製造できる。
本発明の有機微粒子は、耐熱性に優れているのが好ましい。粒子の熱分解開始温度は、例えば、250℃以上、好ましくは260℃以上、より好ましくは270℃以上であり、例えば、320℃以下、好ましくは310℃以下、より好ましくは300℃以下である。
また本発明の微粒子は、有機微粒子であって、遷移金属を実質的に含有しない。含有しない遷移金属には、例えば、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os、Cuなどの金属単体、CdS、CeSe、CeTe、ZnSなどの金属化合物、Fe23などの金属酸化物、Ag/Au、Au/Ptなどの合金が挙げられる。遷移金属の量は、有機微粒子中、例えば、1000ppm以下(質量基準)、好ましくは100ppm以下(質量基準)、より好ましくは10ppm以下(質量基準)である。本発明の微粒子は、その好ましい態様では、遷移金属以外の金属、例えば、Na、Kなどのアルカリ金属及びCaなどのアルカリ土類金属なども含有しない。遷移金属以外の金属の量は、有機微粒子中、例えば、1000ppm以下(質量基準)、好ましくは100ppm以下(質量基準)、より好ましくは10ppm以下(質量基準)である。
(2)製造方法
架橋アクリル系有機微粒子の表面に2つ以上の領域が形成されるメカニズムの詳細は不明であるものの、単官能(メタ)アクリレート系モノマー、架橋性モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、及び炭化水素系有機溶媒を水中で混合し、懸濁又は乳化重合すれば、2つ以上の領域を有する微粒子が製造される。
前記単官能(メタ)アクリレート系モノマー及び架橋性モノマーは、本発明の有機微粒子を形成する他のモノマーと共に使用可能である。これら他のモノマーの種類や割合は、上述した通りである。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤(特に熱重合開始剤)が好ましい。重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、オルトクロロベンゾイルパーオキシド、オルトメトキシベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、クメンヒドロパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等の過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物系重合開始剤(好ましくは油溶性アゾ重合開始剤)が挙げられる。中でも、アゾ化合物系重合開始剤が好ましい。
重合開始剤は、全モノマー100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン系重合禁止剤;セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシ−4−イル)(EC3314A)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−1−オキシル(4H−TEMPO)等のN−オキシル化合物系重合禁止剤;N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩(クペロン)等のN−ニトロソ化合物系重合禁止剤;有機酸銅塩やフェノチアジン等が挙げられる。N−オキシル化合物系重合禁止剤が、粒子表面に2つ以上の領域を形成するのに特に有用である。
重合禁止剤は、重合開始剤100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
炭化水素系有機溶媒としては、ペンタン、2−メチルブタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、ドデカンなどの脂肪族飽和炭化水素系溶媒、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカリンなどの脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらは1種又は2種以上が使用できる。好ましくは脂肪族飽和炭化水素系溶媒であり、より好ましくは炭素数が5〜10程度、特に好ましくは炭素数が5〜7程度の脂肪族飽和炭化水素系溶媒である。
炭化水素系有機溶媒の量は、全モノマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下であり、さらに好ましくは40質量部以下である。
なお前記炭化水素系有機溶媒は、他の溶媒と組み合わせて用いてもよい。他の溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノール等のアルコール溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール等のグリコール溶媒;グリセリン、ヘキサントリオール等のトリオール溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート溶媒;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン溶媒;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;スルホラン等のスルホン溶媒;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モルホリン、N−エチルモルホリン等の複素環溶媒;等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種又は2種以上が使用できる。
水を除く全溶媒100質量%中、炭化水素系有機溶媒の割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
前記懸濁重合又は乳化重合では、界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤などが挙げられ、これらは単独で用いても、適宜組み合わせて用いてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩;等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアルキルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
両性界面活性剤は、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド等である。
中でも、重合安定性、懸濁安定性が良好である観点から、アニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩がより好ましい。
界面活性剤の量は、全モノマー100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
前記重合では、必要に応じて、沈降防止剤、防カビ剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の他の添加剤を使用してもよい。
各成分の混合タイミングは適宜設定でき、例えば、遅くとも重合反応を実質的に開始させる前に(例えば、重合温度に昇温する前に)、少なくとも単官能(メタ)アクリレート系モノマー及び架橋性モノマーを含む原料モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、及び炭化水素系有機溶媒を共存させておくのが好ましく、さらに界面活性剤も共存させておくのがより好ましい。さらに好ましくは、単官能(メタ)アクリレート系モノマー及び架橋性モノマーを含む原料モノマー、重合開始剤、炭化水素系有機溶媒、及び界面活性剤を水中で強く攪拌乃至分散して水中油滴を形成した後に、重合禁止剤を加えて混合し、その後、重合温度に昇温して重合を開始する。
強撹拌・分散装置としては、例えば、マイルダー(荏原製作所製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)等の高速せん断タービン型分散機;ピストン型高圧式均質化機(ゴーリン社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社製)等の高圧ジェットホモジナイザー;超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製)等の超音波式乳化分散機;アトライター(三井鉱山社製)等の媒体撹拌分散機;コロイドミル(日本精機製作所製)等の強制間隙通過型分散機等を用いることができる。なお、これら強撹拌・分散の前に、通常のパドル翼等で予備撹拌しておいてもよい。
強撹拌・分散時の撹拌速度は、例えばT.K.ホモミクサーを使用した場合は3000rpm以上が好ましく、4000rpm以上がより好ましい。撹拌速度が大きいほど、得られる粒子の直径を小さくできる。また、撹拌時間は、通常5〜60分であることが好ましい。撹拌時間が長いほど、粒子径を小さくすることができ、粒子径分布を狭くすることができる。また、撹拌時間が前記範囲にあると、液温の上昇を防ぐことができ、重合反応の制御が容易となる。
強撹拌・分散時の液温は、重合温度よりも低く、水系液全体の凝固温度よりも高いことが好ましい。例えば、40℃未満、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下であり、例えば、−10℃以上、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上である。
重合温度は、重合開始剤の種類に応じて適宜設定でき、例えば、40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、例えば、120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。より適切には、重合開始剤の10時間半減期温度より、例えば5〜20℃程度高い温度で重合を実施し(第1段階)、さらに温度を高くして重合を完結(第2段階)させることが好ましい。第1段階の重合温度が前記範囲にあると、重合開始剤の分解が適度に進行し、得られる有機重合体粒子における重合開始剤の残存量が低減されると同時に、重合安定性も良好である。例えば、使用する重合開始剤がジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(10時間半減期温度:66℃[トルエン中])の場合、第1段階の重合温度は71〜81℃とすることが好ましい。また第2段階の重合温度は、前記第1段階の重合温度よりも例えば5〜20℃程度高いことが好ましい。
重合時間は、5〜600分であることが好ましく、10〜300分であることがより好ましい。重合時間が前記範囲にあると、重合度を適度に高め、粒子の機械的特性を向上できる。重合雰囲気は、窒素雰囲気、希ガス雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。
得られた微粒子を含む反応液を、必要に応じて濃縮又は固液分離し、溶媒を除去(予備乾燥)しておいてもよい。濃縮又は固液分離する方法としては、例えば、沈降濃縮、ろ過、遠心分離(デカンタ)、湿式ふるい分け、液体サイクロン等が挙げられる。液体から分離された微粒子は、適宜乾燥させておくことが好ましい。乾燥の際には、乾燥温度80〜100℃(好ましくは85〜95℃)で、10時間以上(好ましくは12時間以上)乾燥させる。乾燥後の粒子は、凝集していてもよい。凝集している場合でも、粒子表面の外観状態を維持したまま粉砕することが可能である。
粉砕手段は、凝集の状態に応じて適宜選択でき、例えば、ハンマーミル、ジェットミル、ビーズミルなどの乾式粉砕手段を使用してもよい。ジェットミルとしては、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転式機械式ミル等が挙げられ、好ましくは流動層式ジェットミル、特に気流式ジェットミルである。気流式ジェットミルを用いる場合の粉砕圧は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上であり、例えば、3MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下である。
(3)用途
本発明の有機微粒子の用途は特に限定されないが、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等の各種フィルムのアンチブロッキング剤や滑り性付与剤;光拡散フィルム、光拡散板、導光板、防眩フィルム等に用いられる光拡散剤などに使用するのが好ましい。
なおいずれの用途に使用する場合でも、本発明の有機微粒子は、熱可塑性樹脂に予め分散し、マスターバッチ化して使用することが可能である。マスターバッチで使用する熱可塑性樹脂は、各用途でのマトリックス樹脂と同じであることが好ましい。
マスターバッチ中の本発明の有機微粒子の含有量は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
前記マスターバッチには、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの酸化防止剤を配合してもよい。酸化防止剤の量は、マスターバッチ中、例えば0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、例えば、5質量%以下、好ましく3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
また本発明の有機微粒子を光拡散剤として使用する場合、通常、該微粒子を含む塗布液を、フィルム、板等の基材に塗布して光拡散性を持たせる。この塗布液には、通常、マトリックス樹脂及び溶剤が含まれる。マトリックス樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が好ましいが、光硬化性樹脂であってもよい。溶剤としては、トルエンなどの芳香族系溶剤;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤;アルコール系溶剤;エステル系溶剤;ケトン系溶剤;アミド系溶剤などが適宜使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実施例で得られた有機微粒子の評価項目と評価方法は、以下の通りである。
(1)粒子径、変動係数(CV値)
界面活性剤(「ハイテノール(登録商標)N−08」、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、第一工業製薬(株)製)を濃度1%で含むイオン交換水8gに有機微粒子0.025gを分散させ、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター(株)製の「コールターマルチサイザーIII」、アパーチャ50μm)を使用して、30,000個の有機重合体粒子の粒子径を測定し、質量基準の平均粒径および粒子径の変動係数を求める。
粒子径の変動係数(%)=(σ/d50)×100
ここで、σは粒子径の標準偏差、d50は、質量基準の平均粒子径を示す。
(2)粒子表面構造
有機微粒子の表面を倍率500倍〜10,000倍、加速電圧2kVの条件で、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影する。粒子表面が、2以上の領域を有するか否かを確認し、領域の数をカウントする。
(3)熱分解開始温度
熱分析装置(DTG−50M、(株)島津製作所)を使用して、試料量15mg、昇温速度10℃/分(最高到達温度500℃)、空気流量20mL/分の条件で有機微粒子の熱分解開始温度を測定する。まず、精密天秤を使用して、既定のアルミカップに15mgの試料を計り取り、このアルミカップを熱分析装置の所定の位置にセットし、規定流量(20mL/分)の空気が流れるように調整し、装置の状態が安定した後、昇温を開始する。この時に得られるTG曲線のベースライン(水平線部)の延長線と、質量減少部分(右下がりの斜線部)の接線との交点を有機微粒子の熱分解開始温度とする。
(4)マスターバッチ適用性
有機微粒子10部と、ポリプロピレンペレット(ノバテック(登録商標)FY4、日本ポリプロ(株)製)90部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(Irganox(登録商標)1010、BASF社製)0.5部、リン系加工熱安定剤(Irgafos(登録商標)168、BASF社製)0.5部とを、同方向回転二軸混練押出機((HK−25D)(株)パーカーコーポレーション製)を用いて混合して210〜220℃で溶融混練をし、水冷しストランドを得る。適宜切断することで有機微粒子が10質量%入ったポリプロピレンマスターバッチを作製する。得られたマスターバッチを目視で確認し、作製時の加熱溶融の影響による着色有無を確認する。
(5)光拡散フィルム適用性
・光拡散フィルムの作製
アクリル系樹脂22部、評価対象とする有機微粒子27部、酢酸ブチル39部をディスパーにて混合分散した溶液を、厚さ100μmのポリエステルフィルム(PET東洋紡(株)製のコスモシャインA−4300)表面上にバーコーターを用いて塗布し乾燥させて光拡散フィルムを得る。
・光拡散フィルムの評価
バックライトユニットとして、シャープ(株)製液晶テレビ「AQUOS LC−37AD」に用いられているバックライトユニットを用いる。このバックライトユニットは、光源及び光拡散板を有している。このバックライトユニットの光拡散板上に各例の光拡散フィルムを載置し、この光拡散フィルムから50cm離れた位置に輝度計を設置し、任意の9か所で正面輝度を測定し、輝度ムラを評価する。
・輝度ムラの評価基準
○ :輝度ムラなし
△ :わずかに輝度ムラあり
× :輝度ムラあり
実施例1
原料混合液調整工程:
ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(商品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」、第一工業製薬(株)製)3.6部を脱イオン水221部に溶解した(第1溶液)。別に、粒子形成用モノマーとしてのメタクリル酸メチル(MMA)54部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)54部、及びスチレン(St)72部に、重合開始剤としての油溶性アゾ重合開始剤であるジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)3.6部(モノマー合計質量に対し2.0質量%)を溶解した後、添加剤(炭化水素系溶媒)としてのn−ヘキサン36部を加えた(第2溶液)。第1溶液と第2溶液とを混合し、T.K.ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)により4000rpmで8分間撹拌して均一な懸濁液(原料混合液)とした。
重合工程:
撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えたフラスコに前記均一懸濁液(原料混合液)を移し入れた。重合禁止剤としての4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.5部を脱イオン水450部で希釈した水溶液を追加し、次いで窒素ガスを吹き込みながら反応溶液が65℃になるまで加熱した。65℃で反応容器を保温し、自己発熱により温度上昇が70℃を超えピークを確認した。重合のピークを確認後に重合溶液の内温を75℃に調整し、この温度で1.5時間撹拌を続けた後、重合液をさらに85℃まで昇温させて2時間撹拌した後に重合反応を完了させた。その後反応液(懸濁液)を冷却し、濾過して重合生成物を濾取し、これを熱風乾燥機(ヤマト科学(株)製)を用い、85℃で15時間乾燥して有機微粒子を得た。有機微粒子は乾燥により凝集したので、スーパージェットミルSJ−500(日清エンジニアリング(株)製)を使用し、常温下で粉砕圧0.3MPaにて粉砕した。これにより凝集のない有機微粒子1を得た。上述の粉砕工程後の乾燥有機微粒子は球形であり、体積平均粒子径は10μm、変動係数は35%であった。
実施例2〜7
モノマー、開始剤、添加剤、重合禁止剤を表1に記載の通りに変更する以外は実施例1と同様にして有機微粒子2〜7を得た。
比較例1〜2
モノマー、開始剤、添加剤、重合禁止剤を表1に記載の通りに変更する以外は実施例1と同様にして比較有機微粒子1〜2を得た。
Figure 0006955323
上記のようにして得られた有機微粒子1〜7及び比較有機微粒子1〜2を上述の観点から評価した。結果を下記表2及び図3〜6に示す。図3〜5は有機微粒子3の走査型電子顕微鏡写真(図3:倍率8,500倍、図4:6,000倍、図5:8,000倍)であり、図6は有機微粒子4の走査型電子顕微鏡写真(倍率8,500倍)である。なお各図の(a)は、電子顕微鏡写真をそのまま示したものであり、各図の(b)は粒子の外形と領域の境界を白線で明示したものである。図3〜5に示す様に、有機微粒子3は、領域数が2つの微粒子と、領域数が3つの微粒子の混合物である。
Figure 0006955323
1 有機微粒子
11、12、13 領域
21,22 境界線

Claims (5)

  1. 粒子の架橋表面が、有機微粒子の表面を倍率500倍〜10,000倍、加速電圧2kVの条件で、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認される境界線により2つ以上の領域に仕切られており、該境界線は共有点を有さずに独立して閉環状であり、且つ該境界線は架橋表面に形成されたものであり、
    架橋性モノマーに由来する構造単位、単官能(メタ)アクリレート系モノマー単位及びスチレン系モノマー単位を有する球形(該球形は、2つ以上の球形体又は楕円体が合体した形状を含まない)であって、
    非架橋重合体を含まない非中空架橋アクリル系有機微粒子。
  2. 遷移金属を含有しない請求項1に記載の非中空架橋アクリル系有機微粒子。
  3. 前記架橋性モノマーに由来する構造単位が、有機微粒子中、0質量%超、80質量%以下である請求項1または2に記載の非中空架橋アクリル系有機微粒子。
  4. 体積平均粒子径が0.1〜30μmである請求項1〜3のいずれかに記載の非中空架橋アクリル系有機微粒子。
  5. 単官能(メタ)アクリレート系モノマー、架橋性モノマー、スチレン系モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、及び炭化水素系有機溶媒を水中で混合し、懸濁又は乳化重合する請求項1〜4のいずれかに記載の非中空架橋アクリル系有機微粒子の製造方法。
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