JP6448119B2 - 異形微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
単官能モノマーとしては、ラジカル重合可能な二重結合を1分子中に1個のみ有するモノマーであれば特に限定されないが、有用性を考慮すると、(メタ)アクリル系モノマー、スチレン系モノマーが好ましく、2種以上の単官能モノマーを併用しても構わない。特に、表面に凹凸のある粒子が得られやすいことから、(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーには(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリル系モノマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。中でも、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレート(MMA)が特に好ましい。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−、m−またはp−クロロスチレン等が挙げられ、これらの2種以上混合して用いてもよい。
多官能モノマーは、1分子中に2個以上のラジカル重合可能な二重結合を有する化合物である。多官能モノマーは、重合中の懸濁粒子の海島構造を拘束する作用を有するのではないかと考えられる。具体的な多官能モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の多官能スチレン系モノマー;(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系モノマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。中でも、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、ジビニルベンゼン(DVB)が好ましい。
マクロモノマーは、懸濁粒子中で相分離(海島)構造を発現させるための必須モノマーである。マクロモノマーは、東亞合成株式会社から市販されており、セグメントがポリメチルメタクリレート系のAA−6(Mn6000)、セグメントがブチルアクリレート系のAB−6(Mn6000)、セグメントがスチレン75質量%/アクリロニトリル25質量%のAN−6Sがあり、いずれも使用可能である。理由は定かではないが、セグメントがスチレンであるAS−6では、ポリスチレンはポリメチルメタクリレートやポリブチルアクリレートよりも凝集力が弱いために相分離を起こさず、表面に多数の凹凸を有する異形微粒子は得られなかった。AN−6Sを用いた場合に、表面に凹凸を有する異形微粒子が得られる理由としては、極性が他のモノマーよりも高いアクリロニトリルのセグメントがあるため、相分離を起こしやすいと考えられる。
モノマー混合物中には、その他のモノマーを含めてもよく、このようなその他のモノマーとしては、上記した(メタ)アクリル系モノマーと共重合が可能なビニル系モノマーであれば特に限定されない。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマーが挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。これらのその他のモノマーは、モノマー混合物100質量%中、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0質量%が特に好ましい。
本発明の製造方法は、上記した必須モノマー(単官能モノマー、多官能モノマーおよびマクロモノマー)を含むモノマー混合物を、反応容器に一括で仕込み、懸濁重合を行うものである。以下、懸濁重合に用いる各成分について説明する。
水は、懸濁重合の場を提供する媒体として用いる。安価かつ安全であり、油溶性モノマーの懸濁重合には最適である。重合熱の除去にも適している。
油溶性重合開始剤としては、従来公知の油溶性の過酸化物やアゾ系化合物が使用できる。例えば、過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド(LPO)、オクタノイルパーオキサイド、オルソクロロベンゾイルパーオキサイド、オルソメトキシベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。また、アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601、和光純薬社製)等が挙げられる。
懸濁液中の油滴を安定化させるためには、少量の界面活性剤を使用することが好ましい。なお、ポリビニルアルコール等の高分子安定剤は使用しないことが好ましい。高分子安定剤は異形微粒子の表面に残留して、粒子の表面特性を変性させてしまうことがあるからである。また、界面活性剤が多すぎても加熱乾燥時の着色の原因となるので、界面活性剤は、モノマー混合物100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲で使用することが好ましい。0.1質量部より少ないと、懸濁液の安定性を保つことが難しくなるおそれがある。5質量部を超えると着色の要因となるおそれがある。より好ましい範囲は、0.1〜2質量部である。
懸濁重合方法に際しては、懸濁液を作るために、水、界面活性剤、モノマー混合物および油溶性重合開始剤を容器へ添加する。このときの各成分の添加順序は特に限定されない。一例を挙げれば、次の通りである。まず、容器に水と界面活性剤を仕込む。界面活性剤は水に溶解させてから仕込んでもよいし、容器の中でよく撹拌して溶解させてもよい。次に、この容器に、すべてのモノマーを混合したモノマー混合物を油溶性重合開始剤とともに容器に一括添加する。もちろんこの順序は逆でもよく、強制撹拌の前にこれらの原料が容器の中に仕込まれていればよい。また、予め、モノマー混合物に油溶性重合開始剤を溶解させておくことが好ましい。
本発明の製造方法で得られる異形微粒子は、SPM(走査型プローブ顕微鏡)から得られる算術平均粗さ(Ra)が5nm以上であることが好ましい。より好ましくは10nm以上である。Raが5nmより小さいと、表面に微細な凹凸が多数形成されておらず、樹脂との密着性が悪くなるおそれがある。
本発明の製造方法で得られる異形微粒子は、光拡散体として様々な用途、例えば、LCD等に用いられる光拡散シートや導光板、あるいは、PDF、ELディスプレイおよびタッチパネル等に用いられる光学用樹脂に含有させる光拡散剤やアンチブロッキング剤等の添加剤として有用である。また、各種フィルム用のアンチブロッキング剤、滑剤等としても好適に用いられる。
下記例で得られた粒子0.03gを、1%界面活性剤水溶液(「ハイテノール(登録商標)N−08」;第一工業製薬社製)5mlに分散させた後、精密粒度分布測定装置(「コールターマルチサイザー3」;ベックマン・コールター社製)を用いて、体積平均径の測定を行った。アパーチャーは50μmとした。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、倍率10,000倍以上で樹脂粒子を撮影して、表面の凹凸を観察した。
走査透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、倍率10,000倍〜30,000倍で樹脂粒子の断面を撮影した。
粒子の表面をレーザー顕微鏡一体型SPM(SFT−3500;島津製作所製)で分析し、一辺が500nmの正方形領域における算術平均粗さRaを求めた。
ポリプロピレン樹脂を2枚のガラス板で挟みながら190℃で10分間加熱し、膜厚0.5mmのフィルムを作製した。フィルムの上に粒子を適量散布し、190℃で5分加熱した。室温まで冷却した後、フィルム同士を手でこすり合わせて、フィルム表面をSEMで観察して、粒子の脱落の有無を以下の基準で判断した。
○:粒子が脱落した痕跡なし
△:粒子が脱落した痕跡が少しあり
×:粒子が脱落した痕跡多数あり
フラスコに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(「ハイテノール(登録商標)NF−08」;第一工業製薬社製)2部を溶解させておいた脱イオン水溶液100部を仕込んだ。メチルメタクリレート(MMA)60部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)30部、マクロモノマーAA−6(東亞合成社製)10部、ラウリルパーオキサイド(LPO)2部をよく撹拌しておき、この混合物を上記フラスコに加えた。T.K.ホモミクサー(懸垂型;プライミクス社製)を用いて、5000rpmで3分間撹拌して、均一な懸濁液とした。この懸濁液を、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器、温度計および滴下ロートを備えたフラスコに移し入れ、脱イオン水450部をさらに加えた。次いで、窒素ガスを吹き込みながら、フラスコ内の液温が75℃になるまで加熱して、フラスコを75℃で保温した。このとき、自己発熱により液温が上昇した後、75℃に戻った時点を重合開始とし、2時間撹拌を続けた後、冷却した。重合が終了した後の粒子の体積平均径は4.89μm、体積基準の変動係数CV値は30.2%であった。
重合に用いた成分の組成や量を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして、粒子を作製した。特性評価結果を併せて表1に示す。なお、TMPTMAは、トリメチロールプロパントリメタクリレートであり、DVB810はジビニルベンゼン80%とエチルベンゼン20%の混合物で新日鐵住金化学社製であり、BAはブチルアクリレート、Stはスチレン、AN−6Sはスチレン75質量%/アクリロニトリル25質量%からなるスチレン−アクリロニトリル系マクロモノマー、AB−6はブチルアクリレート系マクロモノマー、V−601は和光純薬社製の重合開始剤であり、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)である。なお、実施例4と参考例1で得られた各粒子のFE−SEM写真を図3および図4に示した。参考例1では多官能モノマーの量が少なかったため、異形微粒子にはならなかった。
重合に用いた成分の組成や量を表1に示したように変更し、ホモミクサーの回転数を6000rpmにした以外は実施例1と同様にして、粒子を作製した。特性評価結果を併せて表1に示す。参考例2も、参考例1と同様に、多官能モノマーの量が少なかったため、異形微粒子にはならなかった。
重合に用いた成分の組成や量を表1に示したように変更し、ホモミクサーの回転数を8000rpmにした以外は実施例1と同様にして、粒子を作製した。特性評価結果を併せて表1に示す。
重合に用いた成分の組成や量を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして、粒子を作製した。特性評価結果を併せて表1に示す。
Claims (4)
- 表面に微細な凹凸を多数有する異形微粒子を製造する方法であって、
単官能モノマー、多官能モノマー、マクロモノマーを含むモノマー混合物を反応容器に一括仕込みし、懸濁重合を行い、
前記モノマー混合物100質量%のうち、前記多官能モノマーが15〜45質量%、前記マクロモノマーが5〜35質量%であり、
前記マクロモノマーが、メチル(メタ)アクリレート系マクロモノマー、ブチル(メタ)アクリレート系マクロモノマー、スチレン−アクリロニトリル系マクロモノマーのいずれか1種以上であることを特徴とする異形微粒子の製造方法。 - 単官能モノマーが、(メタ)アクリル系モノマーを1種以上含む請求項1に記載の異形微粒子の製造方法。
- 得られる異形微粒子の体積平均径が1〜30μmである請求項1または2に記載の異形微粒子の製造方法。
- 得られる異形微粒子表面の算術平均粗さ(Ra)が5nm以上、比表面積(mm2/g)と体積平均径(μm)との積が7以上である請求項1〜3のいずれかに記載の異形微粒子の製造方法。
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