JP6588287B2 - 有機重合体粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機重合体粒子に関する。
樹脂フィルムは、各種の包装資材として広く用いられている。樹脂フィルムは、ロール状、或いは重ねた状態で保管するとフィルム同士のブロッキングが生じ、滑りにくくなったり剥離しにくくなったりする場合がある。こうしたブロッキングを防止するためにアンチブロッキング剤が用いられている。なお本明細書において単にフィルムと表現する場合には、特に断りのない限り樹脂フィルムを示す。
アンチブロッキング剤としては、フィルムの透明性を維持し、かつ傷付きを抑制する観点から樹脂微粒子が広く用いられており、特に、中央部と表面とで独立した機能をもたせることが可能な樹脂粒子が志向されている。例えば、光学的特性や機械的特性を確保するための内部特性と、樹脂成分との親和性を確保するための表面特性を有する樹脂粒子が知られている。
このような樹脂粒子としては、例えば、特許文献1には、スチレンと2エチルヘキシルアクリレートとジビニルベンゼンから中央部を形成してポリオレフィンとの屈折率差を所定範囲としつつ、スチレンとジビニルベンゼンから表面層を形成してポリオレフィンとの溶解度パラメータ差を所定範囲とした微粒子等が提案されている。
特許第3358520号公報
上記引用文献に記載の粒子では、重合率が十分ではなく、得られた粒子中に未反応のモノマー(特にスチレン)が残存してしまう場合があった。こうした残存スチレンモノマーをなくす観点から、本発明者らが検討したところ、スチレンに代えて、特定のアルキル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸のアルキルエステル)を用いて形成された重合体は、樹脂(特にポリオレフィン樹脂)との親和性が良好であるとの知見を得た。ところが本発明者らの検討によれば、外層にアルキル(メタ)アクリレートを用いたのみでは外層形成時の重合安定性が低下するとともに凝集物が発生し、このような凝集物を含む粒子を用いて製造した樹脂フィルムには欠点が生じてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィルムとの親和性を維持しつつ、残存モノマーを低減するとともに、凝集物の発生を抑制し、欠点の少ない樹脂フィルムを製造することができる有機重合体粒子の提供を課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討する中で、外層のみならず、基部にも特定のアルキル(メタ)アクリレート系モノマーを用いて得られる重合体を使用してみた。そうすると、基部と外層との相溶性を向上することができるため重合安定性が確保され、その結果、凝集物の発生を防ぎつつモノマー残存量も抑制することができ、且つ樹脂フィルムとの親和性をも達成できる有機重合体粒子が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る有機重合体粒子は、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位と架橋性モノマー(C2)単位とアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)単位とを有する共重合体を含む基部と、基部の表面に設けられており、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位と、架橋性モノマー(S2)単位とを有する共重合体を含む外層とを有する事を特徴とする。
前記基部を構成する共重合体のハンセン溶解度パラメータの水素結合項は、3.9(MPa0.5)以下であることが好ましい。
また、前記基部を構成する共重合体中、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位の割合は3質量%以上、60質量%以下であることが好ましい。前記外層を構成する共重合体中、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位の割合は70質量%以上、99質量%以下であることが好ましい。
前記基部を構成する架橋性モノマー(C2)単位は、架橋性(メタ)アクリレート系モノマー単位であることが好ましい。また前記外層を構成する架橋性モノマー(S2)単位は、架橋性(メタ)アクリレート系モノマー単位であることが好ましい。
前記架橋性モノマー(C2)単位の割合は、基部を構成する共重合体中、3質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。前記架橋性モノマー(S2)単位の割合が、外層を構成する共重合体中、1質量%以上、30質量%以下であることが好ましい。
前記外層を構成する共重合体中、ビニル基含有芳香族系モノマー単位の割合は10質量%以下であることが好ましい。
アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)、及びアルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)の合計残存量は、有機重合体粒子中、1500ppm以下(質量基準)であることが好ましい。
有機重合体粒子の質量平均粒子径は、0.1μm以上、15μm以下であることが好ましい。
また、有機重合体粒子は、樹脂フィルム用アンチブロッキング剤として用いられるものであることが好ましい。前記樹脂フィルムはポリオレフィン樹脂フィルムであることが好ましい。
前記有機重合体粒子と、樹脂とを含むマスターバッチも本発明の範囲に包含される。
本発明の有機重合体粒子は、基部と外層の両方に特定のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー単位を含み、かつ基部と外層との相溶性が高められているため、凝集物の発生を防ぎつつモノマー残存量も抑制され、且つ樹脂フィルムとの親和性を達成することができる。
1.有機重合体粒子
本発明の有機重合体粒子は、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位と架橋性モノマー(C2)単位とアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)単位とを有する共重合体を含む基部の表面に、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位と、架橋性モノマー(S2)単位とを有する共重合体を含む基部を被覆する外層が設けられていることを特徴とする。
なお本明細書においてモノマー単位とは、重合体中におけるそのモノマーに由来する構造単位を意味するものとする。
前記外層は、特定の樹脂成分との親和性を合わせることを目的に形成される層である。形状は特に限定されず、平滑であっても良く、凹凸や突起を有していても良い。そして外層が上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位を含むことにより、樹脂(特に、ポリオレフィン樹脂)と有機重合体粒子との親和性を高めることができる。さらに外層のみならず基部にも上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位を用いることで、基部と基部を被覆する外層との相溶性を高めることができ、もって重合安定性を高めることができる。その結果、有機重合体粒子が安定的に形成され、且つモノマー残存量も低減することができる。
樹脂(特に、ポリオレフィン樹脂)と有機重合体粒子の親和性を保ちつつ、基部と基部を被覆する外層との間の相溶性を高めるためには、有機重合体粒子の外層及び基部がアルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位及びアルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位(以下、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)及びアルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)をまとめて、「特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマー」という場合がある)を有する共重合体をそれぞれ含むことが好ましい。特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマー単位は炭素数4以上の環状又は鎖状アルキル基を有するため、有機重合体粒子に疎水性を付与することができ、この特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマー単位を基部及び外層に共通に有するため、基部と外層との間の相溶性を高めやすくなる。
なお特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーは、基部と外層との相溶性を高めることができる範囲で、自由に選択でき、1種又は2種以上を用いてもよく、基部と外層とで同一であっても異なっていても良い。
前記特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーのアルキル基は、環状又は鎖状のいずれでもよく、中でも鎖状であることが好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。このようなアルキル基としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基(ラウリル基)、n−トリデシル基、n−テトラデシル基(ミリスチル基)、n−ヘキサデシル基(パルミチル基)、n−オクタデシル基(ステアリル基)、ドコシル基(ベヘニル)基等の直鎖状アルキル基;t−ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、ドデシルペンタデシル基等の分岐鎖状アルキル鎖;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、イソボルニル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基等の単環又は複環の環状アルキル基;等が好ましい。
また、前記特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーのアルキル基の炭素数は、4以上であり、24以下であることが好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは12以下である。また、特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーの(メタ)アクリロイル基は、メタクリロイル基であることが好ましい。
特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーとしては、具体的には、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ドデシルペンタデシル(メタ)アクリレート等の鎖状アルキル(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
有機重合体粒子の基部を構成する共重合体中、上記アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位は、3質量%以上含まれていることが好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
なお原料モノマー全量における各モノマーの割合は、共重合体における各モノマーに由来する構造単位の割合に近似することができ、本明細書においては、原料モノマー全量における各モノマーの割合について記載した数値範囲は、いずれも共重合体における各モノマーに由来する構造単位の割合に適用できる。
また有機重合体粒子の基部を構成する共重合体は、さらに架橋性モノマー(C2)単位を含む。これにより、上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位が架橋性モノマー(C2)単位により架橋され、機械的特性を調整しやすくなる。架橋性モノマー(C2)は、1分子中にビニル基を2個以上有するモノマーであることが好ましく、ビニル基の数は、2〜6個であることが好ましく、より好ましくは2〜3個、特に好ましくは2個である。
前記ビニル基は、架橋性モノマー(C2)においてビニル基(エテニル基)、或いは(メタ)アクリロイル基として含まれていることが好ましく、(メタ)アクリロイル基として含まれていることがより好ましく、メタクリロイル基として含まれていることがさらに好ましい。
また、2個以上のビニル基は、架橋性モノマー(C2)において、鎖状(好ましくは直鎖状)の炭化水素鎖を介して結合していることが好ましく、ビニル基が(メタ)アクリロイル基として含まれている場合には、(メタ)アクリロイル基がアルキレングリコール等のジオール化合物;トリオール化合物;テトラオール化合物等のポリオール化合物とエステル結合を形成して結合していることが好ましい。前記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール等のアルキレングリコールが好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
架橋性モノマー(C2)のうち、2官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等のアルケンジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位の繰り返し数は、例えば2〜150);等が挙げられる。また、3官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられ、4官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、6官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種又は2種以上を使用できる。
中でも、架橋性モノマー(C2)としては、2〜6官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、より好ましくは2〜4官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーであり、さらに好ましくは2官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーであり、アルカンジオールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、(メタ)アクリロイル基としては、メタクリロイル基が好ましい。
前記架橋性モノマー(C2)単位の割合は、基部を構成する共重合体中、3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
基部を構成する共重合体は、さらにアルキル基の炭素数が1以上3以下であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)単位を有する。アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、1種又は2種以上を使用できる。粒子の形成が容易である観点からは、メチルメタクリレートが特に好ましい。また、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)は、アルキルメタクリレートであることが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)単位の割合は、基部を構成する共重合体中、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
基部を構成する共重合体は、基部と外層との相溶性を維持できる範囲で、上記アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)、架橋性モノマー(C2)、アルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)以外の他のモノマー(C4)に由来する構造単位を含んでいてもよい。他のモノマー(C4)としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系モノマー;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー;アクリロニトリル等のニトリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;N−ビニルピロリドン;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のモノ環状エーテル含有アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、p−tert−ブチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン系モノマー;m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等の架橋剤;ポリブタジエン;特公昭57−56507号公報、特開昭59−221304号公報、特開昭59−221305号公報、特開昭59−221306号公報、特開昭59−221307号公報等に記載される反応性重合体;等が挙げられる。
他のモノマー(C4)単位の割合は、基部を形成する共重合体中、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、0質量%であることが特に好ましい。また特に、スチレン系モノマー、芳香族ジビニル化合物等のビニル基含有芳香族系モノマー単位の割合は、基部を形成する共重合体中、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、0質量%であることが特に好ましい。
ポリマーの相互作用についてはハンセン溶解度パラメータが適用できる。
ハンセン溶解度パラメータはある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標として使われており、特徴は溶解性を3次元のベクトルで表し、ベクトルが似ていると溶解性が高いと判断している。溶解性が良いというのは似ているもの同士であるということであり、ポリマーに適用すると、ポリマー同士が似ているということになり、親和性が良く、重合時の安定性が高くなる。
ハンセンの溶解度パラメータは3次元のそれぞれが、D:分散力(ファンデルワールス力)、P:極性(ダイポールモーメント)、H:水素結合を表す。
物質1、2の溶解度パラメータがそれぞれδD(物質1)、δP(物質1)、δH(物質1)、δD(物質2)、δP(物質2)、δH(物質2)とすると、
Δδ2=(δD(物質1)−δD(物質2))2+(δP(物質1)−δP(物質2))2+(δH(物質1)−δH(物質2))2
で表されるΔδの値が小さいほど、物質1と物質2の相溶性が良いと判断できる。
また、基部を構成する共重合体のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(δH)は、3.95(MPa0.5)以下であることが好ましく、より好ましくは3.9(MPa0.5)以下、さらに好ましくは3.85(MPa0.5)以下であり、3.0(MPa0.5)以上であることが好ましく、より好ましくは3.4(MPa0.5)以上である。本発明の有機重合体粒子には特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーに由来する構造が基部に含まれることにより、基部の水素結合項の数値が特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーを使用しない系に比較して小さくなる。外層に特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーを用いた場合においては、基部の水素結合項の数値が小さくなるほど、外層の水素結合項との差が小さくなるため、全体として溶解度パラメータの差が小さくなり、重合安定性に寄与する。
アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位、架橋性モノマー(C2)単位、アルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)単位、及び必要に応じて他のモノマー(C4)単位を有する共重合体は、基部中、90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。
上記基部の表面に設けられた外層にも、上記アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位が含まれている。アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位の割合は、外層を構成する共重合体中、70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
外層は、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位の他に架橋性モノマー(S2)単位を含む。アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位が架橋性モノマー(S2)単位により架橋されていることで、樹脂(特にポリオレフィン樹脂)と混合(特に高温で混練)した場合にも形状が維持され、樹脂添加剤(特にアンチブロッキング剤)としての機能を発揮しやすくなる。外層に用いられる架橋性モノマー(S2)としては、基部に用いられる架橋性モノマー(C2)と同様のモノマーが挙げられ、外層と基部の架橋性モノマーは、互いに同一であっても異なっていてもよい。中でも、2〜6官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、より好ましくは2〜4官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーであり、さらに好ましくは2官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーであり、アルカンジオールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、(メタ)アクリロイル基としては、メタクリロイル基が好ましい。
前記架橋性モノマー(S2)単位の割合は、外層を構成する共重合体中、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
外層を構成する共重合体には、基部と外層との相溶性を維持できる範囲で、上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位、架橋性モノマー(S2)単位以外の他のモノマー(S3)単位が含まれていてもよい。他のモノマー(S3)としては、基部を形成するモノマーのうち、他のモノマー(C4)として例示したモノマーの他、アルキル鎖の炭素数が1以上3以下のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)として例示したモノマーが挙げられる。
前記他のモノマー(S3)単位の割合は、外層を構成する共重合体中、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、0質量%であることが特に好ましい。また特に、スチレン系モノマー、芳香族ジビニル化合物等のビニル基含有芳香族系モノマーに由来する構造単位は、外層を構成する共重合体中、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、0質量%であることが特に好ましい。
アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位、架橋性モノマー(S2)単位、及び必要に応じて他のモノマー(S3)単位から構成される共重合体は、外層中、90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。
基部を形成する全モノマーと、外層を形成する全モノマーの質量比(基部/外層)は、4以上であることが好ましく、より好ましくは6以上であり、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。前記質量比が前記範囲にあることで、基部を構成する共重合体の機械的・光学的特性を反映しつつ、外層を構成する共重合体の表面特性を有機重合体粒子に適用することが容易となる。
また、基部と外層との間の相溶性を高めておく観点から、基部と外層との間のハンセン溶解度パラメータの差Δδは、1.5(MPa0.5)以下であることが好ましく、より好ましくは1.2(MPa0.5)以下、さらに好ましくは0.9(MPa0.5)以下であり、下限は、通常0(MPa0.5)以上であり、さらには0.1(MPa0.5)以上であってもよい。ハンセン溶解度パラメータの差が小さいほど、相溶性が高くなる。
ハンセン溶解度パラメータの差Δδは、上記分散力項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)を用い、下記式に基づいて算出することができる。但し、δD(X)、δP(X)、δH(X)は、それぞれ、物質Xについての各パラメータを意味するものとする。
Δδ2={δD(B)−δD(A)}2+{δP(B)−δP(A)}2+{δH(B)−δH(A)}2
なお複数のモノマーに由来する構造単位p1、p2、…pmから構成されるポリマーPについての各項(δD(P)、δP(P)、δH(P))は、それぞれ、各構造単位の体積分率v1、v2、…vm及び各構造単位のパラメータ(δd(pk)、δp(pk)、δh(pk)、k=1〜m)に基づいて、下記式により計算することができる。
δD(P)=v1×δd(p1)+v2×δd(p2)+…+v×δd(pm
δP(P)=v1×δp(p1)+v2×δp(p2)+…+v×δp(pm
δH(P)=v1×δh(p1)+v2×δh(p2)+…+v×δh(pm
また構造単位p1、p2、…pmから構成されるポリマーPにおいて、各構造単位の体積分率は、例えば、各構造単位の重量を各構造単位のみからなるホモポリマーの密度で除した値を各構造単位の体積とし、全ての構造単位について算出した体積の値の合計をポリマーP全体の体積として、各構造単位の体積をポリマーP全体の体積で除した値として算出することができる。
また、各構造単位についてのパラメータ(δD、δP、δH)としては、具体的には、ソフトウェアHSPiP 4.1.07を用いて算出した値を用いることができる。
本発明の有機重合体粒子では、モノマー残存量が低減されており、中でも、特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)及びアルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)の合計)のモノマー残存量は、有機重合体粒子中、質量基準で5000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは3000ppm以下、よりいっそう好ましくは1500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは500ppm以下であり、0ppmであることが最も好ましく、例えば10ppm以上、さらには100ppm以上であってもよい。モノマーの残存量が前記範囲にあれば、食品包装用フィルム、医薬品包装用フィルム等への使用が可能である。
また、特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)及びアルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)の合計)のモノマー残存量は、特定アルキル(メタ)アクリレート系モノマーの合計使用量に対して、1.5質量%未満であることが好ましく、より好ましくは1.4質量%以下、よりいっそう好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.7質量%以下であり、0質量%であることが最も好ましいが、例えば0.01質量%以上、さらには0.03質量%以上であってもよい。
また本発明の有機重合体粒子の水分量は、有機重合体粒子中、2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である。水分量は、有機重合体粒子の乾燥時間及び乾燥温度により調整でき、80〜90℃(好ましくは85〜90℃)で、10時間以上(好ましくは12時間以上)乾燥させることにより上記範囲に水分量を低減することができる。
本発明の有機重合体粒子の熱分解開始温度は、240℃以上であることが好ましく、より好ましくは250℃以上であり、例えば320℃以下であり、300℃以下であってもよい。
熱分解開始温度は、熱分析装置を用い、得られたTG(温度−重量)曲線のベースライン(水平線部)の延長線と、質量減少部分(右下がりの斜線部)の接線との交点として求めることができる。
本発明の有機重合体粒子の質量平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上、特に好ましくは3μm以上であり、20μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以下、よりいっそう好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
また、有機重合体粒子の粒子径の変動係数は、50%以下であることが好ましく、より好ましくは45%以下であり、5%以上であってもよく、10%以上であってもよい。
前記粒子径の変動係数は、下記式で求められる。式中、σはコールターカウンター法を用いた精密粒度分布測定装置により求められる質量基準の粒子径の標準偏差を表し、d50は、質量基準の平均粒子径を表す。
粒子径の変動係数(%)=(σ/d50)×100
上記本発明の有機重合体粒子は、上記アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)と架橋性モノマー(C2)、必要に応じてアルキル鎖の炭素数が1以上3以下であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)、及び他のモノマー(C4)(以下これらのモノマーをまとめて、「基部形成用モノマー」という場合がある)を、重合開始剤の存在下、液中で重合することにより基部を調製し、次いで、基部の表面に上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)と、架橋性モノマー(S2)、及び必要に応じて他のモノマー(S3)(以下、これらのモノマーをまとめて「外層形成用モノマー」という場合がある)を重合して外層を形成することで製造することができる。
基部を調製する際に用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤(特に熱重合開始剤)が好ましい。重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、オルトクロロベンゾイルパーオキシド、オルトメトキシベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、クメンヒドロパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等の過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物系重合開始剤が挙げられる。
中でも、過酸化物系重合開始剤が好ましい。
また、重合開始剤の10時間半減期温度は、重合反応の制御や、昇温による重合開始剤の除去の観点から、40〜80℃(好ましくは50〜70℃)の範囲にあるものが好ましい。
重合開始剤は、基部形成用モノマーの合計100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以下である。
基部の調製は、通常、水系溶媒中、界面活性剤の存在下で実施され、例えば、懸濁重合、エマルション重合など(好ましくは懸濁重合)によって調製される。これらの重合法によれば、基部を球形にでき、また粒径のそろった基部を得ることができる。例えば懸濁重合法では、基部形成用モノマー、重合開始剤、界面活性剤、及び水系溶媒を含む基部組成溶液を調製し強制撹拌した後、重合温度に加熱して重合反応を開始する。
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらは単独で用いても、適宜組み合わせて用いてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩;等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアルキルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
両性界面活性剤は、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド等である。
中でも、重合安定性、懸濁安定性が良好である観点から、アニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩がより好ましい。
界面活性剤は、基部形成用モノマー100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。界面活性剤が多いほど、懸濁安定性が良好となる。
前記基部を形成する際の水系溶媒は、水単独であってもよく、水と非水溶媒との組合せであってもよい。水は、水系溶媒100質量部中、例えば、80質量部以上、好ましくは90質量部以上、さらに好ましくは95質量部以上、特に好ましくは99質量部以上である。
非水溶媒を使用する場合、その使用量は、基部形成用モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。非水溶媒がこの範囲にあると、懸濁安定性が良好である。
また水系溶媒は、基部形成用モノマー100質量部に対して、200質量部以上であることが好ましく、より好ましくは300質量部以上、さらに好ましくは350質量部以上であり、1000質量部以下であることが好ましく、より好ましくは700質量部以下、さらに好ましくは500質量部以下である。
上記基部形成用モノマー、重合開始剤、界面活性剤、及び水系溶媒を含む基部組成溶液を強制撹拌する際は、公知の乳化分散装置を用いることができる。乳化分散装置としては、例えば、マイルダー(荏原製作所製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)等の高速せん断タービン型分散機;ピストン型高圧式均質化機(ゴーリン社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社製)等の高圧ジェットホモジナイザー;超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製)等の超音波式乳化分散機;アトライター(三井鉱山社製)等の媒体撹拌分散機;コロイドミル(日本精機製作所製)等の強制間隙通過型分散機等を用いることができる。なお、上記強制撹拌の前に、通常のパドル翼等で予備撹拌しておいてもよい。
撹拌速度は、例えば、3000rpm以上が好ましく、4000rpm以上がより好ましい。撹拌速度が大きいほど、得られる基部の粒子径を小さくすることができる。また、撹拌時間は、通常10〜60分であることが好ましい。撹拌時間が長いほど、基部の粒子径を小さくすることができ、粒子径分布を狭くすることができる。また、撹拌時間が前記範囲にあると、液温の上昇を防ぐことができ、重合反応の制御が容易となる。
上記強制撹拌後の基部組成溶液を重合する際、重合温度は40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。重合温度は、例えば、用いる重合開始剤の10時間半減期温度より2〜4℃高い温度とすることが好ましい。重合温度が前記範囲にあると、重合開始剤の分解が適度に進行し、得られる有機重合体粒子における重合開始剤の残存量が低減されると同時に、重合安定性も良好である。具体的に、使用する重合開始剤がラウリルパーオキシドの場合、ラウリルパーオキシドの10時間半減期温度が62℃であることから、重合温度は64〜66℃とすることが好ましい。
また、重合時間は、5〜600分であることが好ましく、10〜300分であることがより好ましい。重合時間が前記範囲にあると、重合度を適度に高め、粒子の機械的特性を向上できる。重合雰囲気は、窒素雰囲気、希ガス雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。
上記のように基部形成用モノマーを重合して得られた基部には、重合開始剤が残存しているため、基部と外層形成用モノマーとを接触させると、基部中に残存する重合開始剤によって外層形成用モノマーの重合反応が進行し、基部表面に外層が形成される。このため外層形成時には、重合開始剤をさらに添加する必要はない。むしろ重合開始剤を加えると、外層形成用モノマーが単独で重合して外層を形成しない恐れが高まるため、重合開始剤添加は好ましくないが、発明を阻害しない範囲で少量の重合開始剤を加えることは許容される。外層形成の際の重合開始剤の添加量は、例えば、外層形成用モノマー100質量部に対して、1質量部以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量部以下である。
本工程において、基部と外層形成用モノマーとを接触するためには、基部粒子含有反応液と外層形成用モノマーを混合すればよく、そのタイミングは、基部形成用モノマーの重合がほぼ完了した段階であることが好ましい。基部形成用モノマーの重合がほぼ完了した段階で、基部含有反応液に外層形成用モノマーを混合することにより、基部形成用モノマーと外層形成用モノマーの共重合が抑制され、基部形成用モノマーから形成された基部の表面に、外層形成用モノマーから形成された外層とを有する有機重合体粒子が得られる。
このため、基部と外層形成用モノマーとを接触するタイミングは、例えば、基部形成用モノマーの重合率が80〜99質量%、より好ましくは85〜98質量%となったタイミングであることが好ましい。また、基部形成用モノマーの重合率が80〜99質量%(好ましくは85〜98質量%)の範囲にある間に、外層形成用モノマーの混合を開始し、かつ全量を混合し終えることが好ましい。ここで、基部形成用モノマーの重合率は、(仕込みモノマー量−残存モノマー量)/(仕込みモノマー量)で表される。前記残存モノマー量は、ガスクロマトグラフィを用いて測定できる。
前記基部形成用モノマーの重合率は、反応液温度の変化から推測することができる。例えば、実施例に記載の方法では、反応液温度が極大値を取るときの重合率がおよそ94質量%前後であるため、この付近で外層形成用モノマーの添加を開始することが好ましい。
外層形成用モノマーを重合させる際、重合温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。重合温度は、用いる重合開始剤の種類によって、適宜変更できる。また、重合時間は、5〜600分であることが好ましく、10〜300分であることが好ましい。重合時間が前記範囲にあると、重合度を適度に高め、粒子の機械的特性を向上できる。重合温度及び重合時間が前記範囲にあると、重合開始剤の分解が進行して、有機重合体粒子に残留する重合開始剤の量を低減できる。重合雰囲気は、窒素雰囲気、希ガス雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。
基部と外層形成用モノマーとを混合するに際して、予め外層形成用モノマー、界面活性剤、及び、水系溶媒を含む外層組成溶液を調製して強制撹拌し、プレエマルションとしておくことが好ましい。これにより、外層形成用モノマーが反応液中に均一に分散するため、基部表面に均一な外層を形成することが容易となる。添加方法は一括添加、逐次添加のいずれでもよく、逐次添加する方法としては、例えば、滴下により添加する方法が好ましい。
プレエマルション化に用いる界面活性剤としては、上記基部組成溶液における界面活性剤と同様の界面活性剤を用いることができ、アニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩がより好ましい。
プレエマルション化に用いる界面活性剤は、プレエマルションの安定性の観点から、外層形成用モノマー100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2.5質量部以下である。
プレエマルション化に用いる水系溶媒としては、上記基部組成溶液における水系溶媒と同様の水系溶媒を用いることができる。
プレエマルション化に用いる水系溶媒は、外層形成用モノマー100質量部に対して、200質量部以上であることが好ましく、より好ましくは300質量部以上、さらに好ましくは350質量部以上であり、1000質量部以下であることが好ましく、より好ましくは700質量部以下、さらに好ましくは500質量部以下である。
前記強制撹拌する方法としては、基部組成溶液の強制撹拌法と同様の方法を使用できる。撹拌速度は、例えば、3000rpm以上が好ましく、4000rpm以上がより好ましい。また、撹拌時間は、通常10〜30分であることが好ましい。
得られた有機重合体粒子を含む反応液を、必要に応じて濃縮又は固液分離し、溶媒を除去(予備乾燥)しておいてもよい。濃縮又は固液分離する方法としては、例えば、沈降濃縮、ろ過、遠心分離(デカンタ)、湿式ふるい分け、液体サイクロン等が挙げられ、遠心分離(デカンタ)が好ましい。適宜乾燥させておくことが好ましい。乾燥の際には、乾燥温度80〜90℃(好ましくは85〜90℃)で、10時間以上(好ましくは12時間以上)乾燥させることにより水分量を低減することができる。
なお有機重合体粒子を製造する際、重合反応に影響を及ぼさない範囲で、沈降防止剤、防カビ剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を共存させてもよい。
2.マスターバッチ
上述のように本発明の有機重合体粒子は、凝集が抑制されているとともに残存モノマー量が低減されており、樹脂(特に、ポリオレフィン樹脂)との親和性も良好であるため樹脂用添加剤として有用であり、本発明の有機重合体粒子と樹脂とを含むマスターバッチも本発明の範囲に含まれる。また本発明の有機重合体粒子は、樹脂との親和性が維持されているため、得られる樹脂組成物(マスターバッチ)や樹脂フィルム中における有機重合体粒子の配合量の調整が容易となり、有機重合体粒子の分散状態をより均一にして偏析を抑制することができる。
マスターバッチに用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂に分類される樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリウレタン樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。前記ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)等が挙げられ、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレン樹脂には主に、ポリプロピレンのみからなるホモポリマー、プロピレン(好ましくは95質量%以上)と少量(好ましくは5質量%以下)のエチレンを共重合させたランダムポリマーがある。本発明についてポリプロピレン樹脂という場合において、この2種類、もしくはその他プロピレン等と共重合させて物性を改良したポリプロピレン樹脂全般を示すこととする。中でも、プロピレンに由来する単位の割合が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であるポリプロピレン樹脂が好ましい。
樹脂は、マスターバッチ中、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは95質量%以下である。
マスターバッチにおける有機重合体粒子の含有量は、マスターバッチ中の樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、100質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、一層好ましくは15質量部以下である。
本発明のマスターバッチは、さらに酸化防止剤を含んでいることが好ましい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。特に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の合計は、酸化防止剤中80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、酸化防止剤中20〜80質量%が好ましく、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。
さらに酸化防止剤は、マスターバッチ中の樹脂100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.8質量部以上であり、7質量部以下であることが好ましく、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。
マスターバッチを調製する方法としては、例えば、樹脂を合成する重合段階に重合体粒子を添加混合する方法;重合後の樹脂に対してエクストルーダー等を用いて溶融混合する方法;樹脂を溶剤に溶解した状態で重合体粒子を添加混合する方法;等が挙げられる。これらの中でも、有機重合体粒子が高濃度に分散含有された樹脂組成物を製造しやすいため、溶融混合する方法が好ましい。この際、溶融温度は、180〜240℃が好ましく、200〜220℃がより好ましい。
調製されたマスターバッチは、通常、粉末状あるいはペレット状に加工される。
3.樹脂フィルム
本発明の有機重合体粒子は、樹脂フィルム用のアンチブロッキング剤として有用である。樹脂フィルムに用いる樹脂(以下、「マトリックス樹脂」ともいう。)としては、前記マスターバッチに用いる樹脂として例示した範囲から選択できる。なおマスターバッチに加工してから樹脂フィルムを製造する場合、マトリックス樹脂は、マスターバッチに用いる樹脂と同じであっても異なっていてもよい。
また、有機重合体粒子をアンチブロッキング剤として用いる場合、有機重合体粒子は、有機重合体粒子と樹脂フィルムの合計100質量部に対して、0.005質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、2質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
また前記樹脂フィルムの厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.7μm以上であり、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは400μm以下である。
有機重合体粒子をアンチブロッキング剤として使用した樹脂フィルムを製造する際には、有機重合体粒子を直接、あるいは前記マスターバッチに加工した後、上記割合となるようにフィルム用の樹脂と混合(好ましくは溶融混合)して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を成形することにより微粒子含有樹脂フィルムを製造することができる。樹脂組成物を成形する際には、樹脂組成物を溶融押出することが好ましく、さらに延伸することが好ましい。溶融押出しにより未延伸フィルム(キャストフィルム)を得ることができ、この未延伸フィルム(キャストフィルム)を延伸することにより延伸フィルムを製造することができる。この際用いる樹脂としては、上記マスターバッチに用いる樹脂と同じであっても異なっていてもよい。特に、生産性、加工性の観点から、ポリオレフィン樹脂であることが好ましく、より好ましくはポリプロピレン樹脂であり、さらに好ましくはプロピレンに由来する単位が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上のポリプロピレン樹脂であり、特に好ましくはポリプロピレンのみからなるホモポリマーである。マスターバッチを用いることで、有機重合体粒子の分散性が良好な樹脂組成物を得ることができる。
特に、前記マスターバッチには、有機重合体粒子が高濃度に含まれており、さらに樹脂と混合し、希釈することで、有機重合体粒子がより均一に分散している樹脂組成物を得ることができる。マスターバッチを用いる場合、希釈に用いられる樹脂は、マスターバッチ1質量部に対して、2質量部以上、200質量部以下となることが好ましく、より好ましくは3質量部以上、150質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上、100質量部以下である。
有機重合体粒子と樹脂とを混合し、樹脂組成物を成形する方法としては、Tダイ法等の溶融押出成形法が好ましい。微粒子含有樹脂フィルムと基材フィルムとを積層して積層フィルムを製造する場合には、共押出すればよい。この際、溶融温度は、180〜240℃が好ましく、200〜220℃がより好ましい。
本発明の有機重合体粒子は凝集が抑制されているとともにモノマー残存量が抑制されており、かつ樹脂(特に、ポリオレフィン樹脂)との親和性が良好である。したがって、樹脂フィルム用のアンチブロッキング剤として有用である。また、本発明の有機重合体粒子を含む樹脂フィルムは、一般包装資材、食品包装フィルム等の食品包装資材、或いは、医薬品包装フィルム等の医薬品包装資材として好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実施例で用いた測定方法は、以下の通りである。
[粒子径、変動係数の測定]
有機重合体粒子0.025gを、界面活性剤(「ハイテノール(登録商標)N−08」、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、第一工業製薬(株)製)の濃度を1%に調製したイオン交換水8gに分散させて有機重合体粒子分散液を調整し、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター(株)製の「コールターマルチサイザーIII」、アパーチャ50μm)を使用して、30,000個の有機重合体粒子の粒子径を測定し、質量基準の平均粒径および粒子径の変動係数を求めた。
粒子径の変動係数(%)=(σ/d50)×100
ここで、σは粒子径の標準偏差、d50は、質量基準の平均粒子径を示す。
[重合挙動の観察]
有機重合体粒子の重合中、重合終了後の重合容器、撹拌羽への付着を目視で確認することにより、有機重合体粒子の重合挙動を観察した。観察結果は以下に分類した。
×:重合中に液界面に凝集粒子を観察、撹拌羽への付着が非常に多く、撹拌を停止すると、重合容器で凝集粒子が沈降する状態
△:重合中の液界面での凝集粒子はほとんど観察出来ないが、重合終了後に撹拌羽に粒子の付着が多い。
○:重合中、重合終了後ともに、重合容器、撹拌羽への付着がほとんどない。
[残存モノマーの測定]
有機重合体粒子の残存モノマーの測定は、ガスクロマトグラフを用い、カラムはDB−1(J&W Scientific製)長さ30m、カラム径0.53mmを使用した。気化室温度280℃、検出器温度280℃とし、50℃で3分保持後、10℃/分の昇温速度で260℃まで昇温し、260℃到達後は15分間260℃を保持するカラム温度プログラムで測定した。ブチルベンゼンを内部標準として使用し、使用したモノマーについて検量線を作成し、有機重合体粒子中の残存モノマー量を定量した。
[Hansen溶解度パラメータ計算]
ソフトウェアHSPiP 4.1.07を使用して各項(δD、δP、δH)の計算を行った。また、基部と外層の溶解度パラメータ差は、下記式に基づいて計算した。
(Δδ)2={δD(基部)−δD(外層)}2+{δP(基部)−δP(外層)}2+{δH(基部)−δH(外層)}2
[熱分解開始温度の測定]
有機重合体粒子の熱分解開始温度は、熱分析装置(DTG−50M、(株)島津製作所製)を使用して、試料量15mg、昇温速度10℃/分(最高到達温度500℃)、空気中、流量20mL/分の条件で測定した。まず、精密天秤を使用して、規定のアルミカップに15mgの試料を計り取り、このアルミカップを熱分析装置の所定の位置にセットし、空気が規定流量(20mL/分)流れるように調整し、装置が安定した後、昇温を開始した。このとき得られたTG(温度−重量)曲線のベースライン(水平線部)の延長線と、質量減少部分(右下がりの斜線部)の接線との交点を有機重合体粒子の熱分解開始温度とした。
<実施例1>
基部組成溶液の調製
フラスコ(1)にポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(商品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」、第一工業製薬(株)製)3.6部を溶解した脱イオン水523部を仕込んだ。それとは別に、フラスコ(2)に基部形成用モノマーとしてのメタクリル酸メチル(MMA)288部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)36部、メタクリル酸n−ブチル(nBMA)36部を入れ、ラウリルパーオキシド(LPO)7.2部(モノマー質量に対し2質量%)を溶解させた。
フラスコ(1)とフラスコ(2)を混合し、T.K.ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)により4000rpmで10分間撹拌して均一な懸濁液とした。
外層組成溶液の調製
フラスコ(3)に外層形成用モノマーとしてのメタクリル酸n−ブチル(nBMA)51.1部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)2.7部を仕込んだ。それとは別にフラスコ(4)に前記「ハイテノール(登録商標)NF−08」0.54部を溶解した脱イオン水213.4部を仕込んだ。
フラスコ(3)とフラスコ(4)を混合し、T.K.ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)により4000rpmで5分間撹拌して均一な懸濁液とした。
粒子合成
前記基部組成溶液を、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えたフラスコに移し入れ、脱イオン水を900部追加し、次いで窒素ガスを吹き込みながら反応溶液が65℃になるまで加熱し、65℃で反応容器を保温し、自己発熱により温度上昇が75℃を超えピークに達した直後に外層組成溶液を滴下ロートから滴下した。滴下終了後に重合溶液の内温を75℃に調整し、この温度で1.5時間撹拌を続けた後、重合液をさらに85℃まで昇温させて1時間撹拌し、1.5%過硫酸アンモニウム水溶液を74.5部添加してさらに1時間撹拌した後に重合反応を完了させた。
その後反応液(懸濁液)を冷却し、濾過して重合生成物を濾取し、これを熱風乾燥機(ヤマト科学(株)製)を用い、85℃で15時間乾燥して有機重合体粒子を得た。得られた有機重合体粒子は質量平均粒子径が5.8μm、変動係数が35%であった。
得られた乾燥有機重合体粒子は乾燥により凝集しているので、スーパージェットミルSJ−500(日清エンジニアリング(株)製)を使用し常温下で粉砕圧0.3MPaにて粉砕した。これにより凝集のない有機重合体粒子を得た。
<実施例2〜7、比較例1〜5>
実施例1に記載の基部組成溶液における基部形成用モノマーをメタクリル酸メチル(MMA)288部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)36部、メタクリル酸n−ブチル(nBMA)36部、外層組成溶液における外層形成用モノマーをメタクリル酸n−ブチル(nBMA)51.1部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)2.7部とする代わりに、表1に示す基部形成用モノマー、及び外層形成用モノマーを用いたこと以外は実施例1記載の方法で有機重合体粒子を作製した。
なお表1中、CHMAはシクロヘキシルメタクリレート、2EHMAは2−エチルヘキシルメタクリレート、DMAはドデシルメタクリレートを表す。
Figure 0006588287
また、実施例1〜7、比較例1〜5の有機重合体粒子の基部及び外層の分散力項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)を、それぞれ表2に示す。
Figure 0006588287
表1に示すように、基部及び外層を所定のモノマーで形成した有機重合体粒子では、凝集が抑制されており、かつモノマーの残存率も抑制されていることがわかる。
本発明の有機重合体粒子は凝集が抑制されているとともにモノマー残存量が抑制されており、かつ樹脂(特に、ポリオレフィン樹脂)との親和性が良好である。したがって、樹脂フィルム用のアンチブロッキング剤として有用である。また、本発明の有機重合体粒子を含む樹脂フィルムは、一般包装資材、食品包装フィルム等の食品包装資材、或いは、医薬品包装フィルム等の医薬品包装資材として好適に用いられる。

Claims (13)

  1. アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位と架橋性モノマー(C2)単位とアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C3)単位とを有する共重合体を含む基部と、
    基部の表面に設けられており、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位と、架橋性モノマー(S2)単位とを有する共重合体を含む外層とを有し、
    前記アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位と前記アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位は同一であり、
    前記外層を構成する共重合体中、ビニル基含有芳香族系モノマー単位の割合が5質量%以下である有機重合体粒子。
  2. 前記基部を構成する共重合体のハンセン溶解度パラメータの水素結合項が3.9(MPa0.5)以下である請求項1に記載の有機重合体粒子。
  3. 前記基部を構成する共重合体中、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)単位の割合が3質量%以上、60質量%以下である請求項1又は2に記載の有機重合体粒子。
  4. 前記外層を構成する共重合体中、アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)単位の割合が70質量%以上、99質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  5. 前記基部を構成する架橋性モノマー(C2)単位が架橋性(メタ)アクリレート系モノマー単位である請求項1〜4のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  6. 前記外層を構成する架橋性モノマー(S2)単位が、架橋性(メタ)アクリレート系モノマー単位である請求項1〜5のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  7. 前記架橋性モノマー(C2)単位の割合が、基部を構成する共重合体中、3質量%以上、40質量%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  8. 前記架橋性モノマー(S2)単位の割合が、外層を構成する共重合体中、1質量%以上、30質量%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  9. アルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(C1)、及びアルキル基の炭素数が4以上のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(S1)の合計残存量が、有機重合体粒子中、1500ppm以下(質量基準)である請求項1〜のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  10. 質量平均粒子径が、0.1μm以上、15μm以下である請求項1〜のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  11. 樹脂フィルム用アンチブロッキング剤として用いられる請求項1〜10のいずれかに記載の有機重合体粒子。
  12. 前記樹脂フィルムがポリオレフィン樹脂フィルムである請求項11に記載の有機重合体粒子。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の有機重合体粒子と、樹脂とを含むマスターバッチ。
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