JP2018048309A - コアシェル粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】軟質な樹脂粒子であって、粉体の取扱性が良く、かつ耐溶剤性に優れる樹脂粒子を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、コア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であって、体積平均粒子径が3μm以上、150μm以下であり、粒子径の変動係数が20%以上であり、前記コア部は、単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)単位の少なくとも1種と、架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の少なくとも1種を有する共重合体を含み、FOX式に基づいて算出される前記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体のガラス転移温度Tgが20℃未満であり、前記シェル部は、架橋性スチレン系モノマー(S1)単位を有する重合体を含み、該重合体中の前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位の割合が20質量%以上であることを特徴とするコアシェル粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、コア部と、その表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子に関する。
近年、プラスチック製品、又は塗料、インキ、接着剤等の液状製品の機械的特性や光学特性などの高機能化を狙って、樹脂製の微粒子が用いられている。中でも、軟質な樹脂組成物の特性改質を狙って樹脂粒子を用いる場合、ガラス転移温度Tgの低い軟質な樹脂粒子が好適に用いられる。しかし、ガラス転移温度の低い樹脂粒子は、ゴム状となって粉体として取り扱うのが難しいという欠点がある。このような軟質の樹脂粒子を粉体化するためには、シリカ粒子を添加するなどの方法が採用されているが、シリカ粒子が樹脂粒子に固着されていないため、樹脂組成物中でシリカ粒子が脱落するなどの問題がある。
樹脂に添加して改質剤として用いられ得る樹脂粒子として、例えば特許文献1にはガラス転移温度が0℃以下のアクリル酸エステル共重合物を主体とする内層と、ガラス転移温度が60℃以上のメタクリル酸エステル共重合物を主体とする外層からなる多層構造のアクリル樹脂粒子が開示されている。また、特許文献2には、ガラス転移温度が20℃以下のゴム状ポリマー相とガラス転移温度が50℃以上のガラス状ポリマー層とからなる多層構造を有するポリマー粒子からなる熱硬化性樹脂用低収縮剤が開示されている。
特開2003−128736号公報 特開2000−302825号公報
軟質な樹脂組成物に添加して用いる軟質な樹脂粒子は、上述の通り、粉体としての取扱いが良好なことに加えて、樹脂組成物と混合する際などに耐溶剤性も要求される。上記した特許文献1、2に開示される粒子は、内層と外層の多層構造を有するポリマー粒子であって、内層が軟質である粒子が開示されているが、粉体としての取扱性及び耐溶剤性においては未だ不十分であった。
本発明は、軟質な樹脂粒子であって、粉体の取扱性が良く、かつ耐溶剤性に優れる樹脂粒子を提供することを目的とする。
本発明は、コア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であって、体積平均粒子径が3μm以上、150μm以下であり、粒子径の変動係数が20%以上であり、前記コア部は、単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)単位の少なくとも1種と、架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の少なくとも1種を有する共重合体を含み、FOX式に基づいて算出される前記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体のガラス転移温度Tgが20℃未満であり、前記シェル部は、架橋性スチレン系モノマー(S1)単位を有する重合体を含み、該重合体中の前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位の割合が20質量%以上であるコアシェル粒子である。
前記コア部の共重合体中の架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の割合が10質量%以下であることが好ましい。また、シェル部の重合体が、前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位と、更に単官能スチレン系モノマー(S2)単位を含む共重合体であることが好ましい。
本発明のコアシェル粒子は、下記耐溶剤性試験により算出される、MEK膨潤率が2.0以下であることが好ましい。
[耐溶剤性試験]
内径15mmの試験管A、Bを用意し、試験管Aにはコアシェル粒子3.5gと、1質量%の乳化剤水溶液10mlを入れ、試験管Bにはコアシェル粒子3.5gと、メチルエチルケトン10mlを入れ、試験管A及びBをそれぞれ5分間超音波で分散し、放置した後、沈降したコアシェル粒子の高さを測定し、下記式(1)に従いMEK膨潤率を算出する。
MEK膨潤率=(メチルエチルケトン中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))/(乳化剤水溶液中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))・・・(1)
本発明のコアシェル粒子は、目開き1.18mmのふるいを通過する粒子の割合が80質量%以上であること;前記体積平均粒子径に対するシェル部の厚みの比が0.03以上、0.12以下であること;または10%K値に対する30%K値の比が0.4以上であること;などが好ましい。
本発明によれば、コア部について所定の式で計算されるガラス転移温度が低く、またシェル部の架橋性モノマーの割合が高いため、軟質でありながら粉体としての取扱性が良好であると共に、耐溶剤性にも優れる樹脂粒子が実現できる。
本発明のコアシェル粒子は、コア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であって、コア部が単官能(メタ)アクリル系モノマー単位(C1)の少なくとも1種と架橋性(メタ)アクリル系モノマー単位(C2)の少なくとも1種を有する共重合体を含み、所定の式で算出される前記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体のガラス転移温度Tgが20℃未満であり、シェル部は、架橋性スチレン系モノマー単位(S1)を有する重合体を含み、該重合体中の前記架橋性スチレン系モノマー単位(S1)の割合が20質量%以上である点に特徴を有している。なお、本明細書においてモノマー単位とは、重合体中におけるそのモノマーに由来する構造単位を意味するものとする。また、本明細書において「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリル及び/又はメタクリル」を各々示すものとする。
以下、本発明のコアシェル粒子を構成するコア部及びシェル部についてそれぞれ説明する。
本発明のコア部は、単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)単位の少なくとも1種と、架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の少なくとも1種を有する共重合体を含む。
単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)としては、(メタ)アクリル酸のC1-12アルキルエステルが好ましい。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、1種又は2種以上を使用でき、2種以上併用することが好ましい。単官能(メタ)アクリル系モノマー単位(C1)としては、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレートを併用することが好ましい。
架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)は、一分子中に、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を意味する。前記2個以上の(メタ)アクリロイル基は、アルキレングリコールやポリアルキレングリコール等のジオール化合物;トリオール化合物;テトラオール化合物;ヘキサオール化合物等のポリオール化合物を介して結合していることが好ましい。特に、架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)は、2〜6官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。
2官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルケングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位の繰り返し数は、例えば2〜150);等が挙げられる。3官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられ、4官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。6官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)は1種で用いても良いし、2種以上で用いてもよい。
架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)は、2〜4官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーがより好ましく、さらに好ましくは2官能架橋性(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。特に好ましくはエチレングリコール単位の繰り返し数が2〜10であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
本発明では、上記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体のガラス転移温度Tgが20℃未満である。ガラス転移温度Tgを20℃未満とすることによってコア部が軟質となる。上記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体は、コア部を構成するモノマーから、単官能(メタ)アクリル系モノマーのみを抽出し、各単官能(メタ)アクリル系モノマー間の割合は維持したままでこれ(ら)のみを(共)重合することで得られる概念上の重合体のことを言う。この概念上の重合体は、C1として1種のみ用いる場合には、1種のみからなる単独重合体を意味し、C1として2種以上用いる場合には2種以上のC1からなる共重合体を意味する。
本発明において、上記ガラス転移温度Tgは、下記式(a)により求められる絶対温度でのガラス転移温度Tgaを摂氏温度に換算して求められる値を意味する。
1/Tga=Σ(Wi/Tgi)・・・(a)
上記式(a)中、Tgaは前記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度)である。Wiは各単官能(メタ)アクリル系モノマーiの、前記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体中の質量割合である。Tgiは各単官能(メタ)アクリル系モノマーiのみから形成される単独重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度)である。
上記式(a)はFOX式と呼ばれる式であり、重合体を構成する個々の単量体について、その単量体の単独重合体のガラス移転温度Tgiに基づいて、重合体のガラス転移温度Tgaを算出するための式であり、その詳細は、ブレティン・オブ・ジ・アメリカン・フィジカル・ソサエティ・シリーズ2(Bulletin of the American Physical Society, Series 2)、第1巻、第3号、第123頁(1956年)に記載されている。また、FOX式で計算するための様々な単量体の単独重合体のガラス転移温度(Tgi)は、例えば、塗装と塗料(塗料出版社、10(No.358)、1982)に記載されている数値等を採用することができる。
上記FOX式で求められるガラス転移温度から摂氏温度に換算して求められるガラス転移温度Tgは、10℃以下が好ましく、より好ましくは5℃以下であり、更に好ましくは0℃以下である。Tgの下限は、例えば−50℃以上であり、−45℃以上としても良いし、−40℃以上としても良い。
前記コア部の共重合体中の単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)単位の割合は、例えば90質量%以上であり、このようにすることで、コア部をより軟質にできる。単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)単位の割合は、好ましくは92質量%以上であり、より好ましくは93質量%以上であり、上限は特に限定されないが例えば98質量%以下である。
また、前記コア部の共重合体中の架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の割合は特に限定されないが、例えば10質量%以下が好ましい。このようにすることで、コア部をより軟質なものとできる。架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の割合は、8質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下であり、下限は特に限定されないが、例えば2質量%以上である。
本発明のシェル部は、架橋性スチレン系モノマー(S1)単位を有する重合体を含み、該重合体中の前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位の割合が20質量%以上である。このようにすることで、シェル部を硬質なものとでき、コアシェル粒子の粉体としての取扱性を良好に出来ると共に、耐溶剤性を向上できる。前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位の割合は、30質量%以上が好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、上限は100質量%であることが好ましいが、96質量%程度であっても良い。
架橋性スチレン系モノマー(S1)としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
前記シェル部の重合体は、前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位と、更に単官能スチレン系モノマー(S2)単位を含む共重合体であっても良い。単官能スチレン系モノマー(S2)としては、具体的には、スチレン;α−メチルスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、p−tert−ブチルスチレン等のアルキルスチレン;p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;p−フェニルスチレン等のアリールスチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン化スチレン;等が挙げられ、1種又は2種以上を使用できる。中でも、スチレン、アルキルスチレン、ハロゲン化スチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
前記シェル部の重合体中の、前記単官能スチレン系モノマー(S2)単位の割合は、例えば20質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、上限は80質量%以下である。
シェル部の厚みは、0.8μm以上、3.5μm以下であることが好ましい。シェル部の厚みを0.8μm以上とすることによって、硬質のシェル部による効果(粉体の取扱性の向上、及び耐溶剤性の向上)をより有効に発揮できる。シェル部の厚みは、1.0μm以上がより好ましく、更に好ましくは1.3μm以上である。また、シェル部の厚みを3.5μm以下とすることによって、コア部の軟質性を十分に発揮しやすいため好ましい。シェル部の厚みは、より好ましくは3.0μm以下であり、更に好ましくは2.5μm以下である。
また、シェル部の厚みとコアシェル粒子の体積平均粒子径との比(シェル厚/粒子径)の下限は、例えば0.03以上であり、好ましくは0.05以上であり、上限は例えば0.12以下であり、好ましくは0.10以下である。
本発明のコアシェル粒子は、上述の通り、シェル部の架橋性スチレン系モノマー(S1)単位の割合を高くしているため、耐溶剤性に優れており、すなわち本発明のコアシェル粒子を溶剤に添加した際、コアシェル粒子が溶剤を含んで膨潤することを抑制できる。耐溶剤性の具体的な指標としては、下記手順に従った耐溶剤性試験によって求められるMEK(メチルエチルケトン)膨潤率を用いることができる。
耐溶剤性試験では、内径15mmの試験管A、Bを用意し、試験管Aにはコアシェル粒子3.5gと、1質量%の乳化剤水溶液10mlを入れ、試験管Bにはコアシェル粒子3.5gと、メチルエチルケトン10mlを入れた後、試験管A及びBをそれぞれ5分間超音波で分散し、所定時間(例えば10〜15時間)放置した。沈降したコアシェル粒子の高さを測定し、下記式(1)に従いMEK膨潤率を算出した。
MEK膨潤率=(メチルエチルケトン中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))/(乳化剤水溶液中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))・・・(1)
本発明のコアシェル粒子は、上記したMEK膨潤率を2.0以下とでき、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.6以下であり、下限は特に限定されず1.0であることが好ましいが、通常1.1程度である。
上記耐溶剤性試験において用いられる乳化剤は、粒子が良好に分散できるものであれば特に制限はなく、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)を用いることができ、その他後述するコアシェル粒子の製造方法にて、シェル用モノマー成分を含むプレエマルションに含まれる乳化剤として例示した乳化剤のうち、ポリオキシエチレン鎖を有する乳化剤を用いることが好ましい。
本発明のコアシェル粒子はシェル部において、架橋性スチレン系モノマー(S1)単位の割合が高く硬質であることは、粉体の取扱性の向上にも寄与する。粉体の取扱性は、具体的には、ふるいを通過するコアシェル粒子の割合で評価できる。本発明のコアシェル粒子は、凝集が抑制され、流動性が良好であるため、目開き1.18mmのふるいを通過するコアシェル粒子の割合を80質量%以上とできる。目開き1.18mmのふるいを通過するコアシェル粒子の割合は、100質量%であることがより好ましい。
また、本発明のコアシェル粒子は、コア部が軟質であって、且つシェル部が硬質であるという両者を同時に満たしていることも好ましい。このようにすることで、適度な変形性、すなわちある程度変形しやすいが変形しすぎることがないという特性を有することができる。つまり、本発明のコアシェル粒子は、軟質性の指標とできる変形初期の圧縮弾性率(10%K値をその指標とできる)は小さく維持したまま、変形が進んだ際の圧縮弾性率(30%K値をその指標とできる)をある程度大きく維持することができ、樹脂中で程よく変形できるため、樹脂改質効果を存分に発揮できる。
具体的には、粒子の中心方向へ荷重をかけ、圧縮変位が粒子径の10%または30%になったときの荷重値を測定し、下記式により求められる圧縮弾性率をそれぞれ10%K値、30%K値とするとき、この10%K値に対する30%K値の値を高くすることができる。
Figure 2018048309
上記式中、Eは圧縮弾性率(N/mm2)、Fは圧縮荷重(N)、Sは圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。
本発明のコアシェル粒子は、10%K値に対する30%K値の値(30%K値/10%K値)を0.4以上とでき、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上である。30%K値/10%K値の上限は特に限定されないが、例えば0.8以下である。
本発明のコアシェル粒子は軟質であり、10%K値は2000N/mm2以下が好ましく、より好ましくは1900N/mm2以下であり、更に好ましくは1500N/mm2以下であり、下限は特に限定されないが、例えば700N/mm2程度である。また、30%K値は、1300N/mm2以下が好ましく、より好ましくは1000N/mm2以下であり、更に好ましくは800N/mm2以下であり、また400N/mm2以上であることが好ましい。
また、本発明のコアシェル粒子は、体積平均粒子径が3μm以上、150μm以下である。体積平均粒子径の下限は、好ましくは8μm以上であり、より好ましくは15μm以上であり、更に好ましくは20μm以上である。体積平均粒子径の上限は、好ましくは120μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、更に好ましくは80μm以下である。
更に、本発明のコアシェル粒子の粒子径の変動係数(CV値)は20%以上である。コアシェル粒子の粒子径のCV値が20%以上であると、コアシェル粒子を樹脂組成物と混合した際、微小粒子が粒子の隙間に入ることにより、コアシェル粒子の充填密度を向上できる。
粒子径の変動係数(CV値)は、コールカウンター法を用いた粒度分布測定装置により粒子を測定して求めた体積基準の粒子径の標準偏差と体積平均粒子径から、下記式により求められる値である。
粒子径の変動係数(%)=(体積基準の粒子径の標準偏差/体積平均粒子径)×100
粒子径のCV値の下限は好ましくは23%以上であり、より好ましくは25%以上である。粒子径のCV値の上限は、例えば60%以下であり、好ましくは55%以下であり、より好ましくは53%以下である。
次に、本発明のコアシェル粒子の製造方法について説明する。まず(i)コア用モノマー及び重合開始剤を含む混合物を撹拌してコア用の懸濁液を得た後、(ii)該懸濁液を不活性雰囲気下で昇温させ、コア用懸濁液の温度が極大値を示した直後に、(iii)シェル用モノマー成分を含み重合開始剤を含まない混合物を撹拌して得たプレエマルションを添加し、所定温度に保持することによって、本発明のコアシェル粒子を製造できる。以下、より詳細に説明する。
(i)コア用懸濁液の作製
まず、コア用の懸濁液を作るために、水系溶媒、分散安定剤、コア用モノマー成分(上記C1およびC2の両方を含む)、重合開始剤を容器に入れ、所定時間撹拌して懸濁液を作製する。
水は、懸濁重合の場を提供する媒体として用いられ、水系溶媒は水単独であっても良いし、水と非水溶媒との組み合わせであっても良いが、水単独であることが好ましい。懸濁液100質量部中、水の量は70〜85質量部であることが好ましい。
上記した分散安定剤は、重合反応を安定に進めるために用いられ、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム)等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤、その他アルギン酸塩、ゼイン、カゼイン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タルク、粘土、ケイソウ土、ベントナイト、水酸化チタン、水酸化トリウム、金属酸化物粉末等を用いることができる。分散安定剤としては、水溶性高分子(特にポリビニルアルコール)、アニオン性界面活性剤(特にラウリル硫酸ナトリウム)、リン酸カルシウムが好ましい。
分散安定剤は、コア用懸濁液100質量部中、例えば5〜10質量部であることが好ましい。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を好ましく使用できる。ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤が好ましく、例えば、過酸化物系重合開始剤、アゾ化合物系重合開始剤が挙げられる。過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、オルトクロロベンゾイルペルオキシド、オルトメトキシベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド等が挙げられる。また、アゾ化合物系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
重合開始剤は、コア用懸濁液100質量部中、0.1〜1質量部であることが好ましい。
懸濁液を作製する際の撹拌は、パドル翼などを用いて200〜400rpm程度で1〜3時間程度撹拌するか、または2000〜4000rpm程度の高速撹拌を1〜30分程度行えば良い。前記した高速撹拌には、公知の乳化分散装置を用いることができる。乳化分散装置としては、例えば、マイルダー(荏原製作所製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)等の高速せん断タービン型分散機;ピストン型高圧式均質化機(ゴーリン社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社製)等の高圧ジェットホモジナイザー;超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製)等の超音波式乳化分散機;アトライター(三井鉱山社製)等の媒体撹拌分散機;コロイドミル(日本精機製作所製)等の強制間隙通過型分散機等を用いることができる。
(ii)コア用モノマーの重合
コア用懸濁液を作製した後は、必要に応じて別の容器に移し代えて、撹拌しながら、不活性ガス雰囲気下、昇温してコア用モノマー成分の重合を行う。
不活性ガスとしては、窒素ガスや希ガスなどを用いることができ、窒素ガスを用いることが好ましい。また昇温温度は例えば40〜100℃であり、好ましくは50〜90℃である。
コア用懸濁液と、後述するシェル用モノマーを含む混合物とを混合するタイミングは、コア用モノマーの重合が十分に進んだ段階で行うことが好ましい。コア用モノマーの重合率はコア用懸濁液の温度変化から推測でき、コア用懸濁液の温度が極大値を示した直後に、シェル用モノマーを含む混合物と混合することが好ましい。
(iii)シェル用モノマー成分を含むプレエマルション
シェル用モノマー成分(上記S1を含み、S2を用いる場合にはS2も含む)、水系溶媒、乳化剤を含み、重合開始剤を含まない混合物を高速撹拌し、プレエマルションとして、前記コア用懸濁液と混合することが好ましい。シェル用モノマーを含む混合物をプレエマルションとすることによって、コア用懸濁液中にシェル用モノマー成分が均一に分散すると共に、コア粒子の表面にシェル用モノマー成分が到達しやすくなる。
前記コア用懸濁液には、重合開始剤が残存しており、この重合開始剤によって、シェル用モノマーの重合が進行するため、シェル用プレエマルションには重合開始剤を含む必要がない。むしろ、重合開始剤が含まれていると、シェル用モノマーが単独で重合してシェル部を形成しない恐れがある。プレエマルションに重合開始剤は必要ないが、シェル部の形成を阻害しない範囲で含まれていてもよい。
水系溶媒は、水単独であっても良いし、水と非水溶媒との組み合わせであっても良いが、水単独であることが好ましい。プレエマルション100質量部中、水の量は40〜60質量部であることが好ましい。
乳化剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン性界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸エステルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくはアニオン性界面活性剤(特にポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩)が用いられる。
乳化剤の量は、プレエマルション100質量部中、0.05〜1.5質量部(好ましくは0.05〜1質量部)であることが好ましい。
シェル用モノマー成分、水系溶媒、乳化剤を含む混合物のプレエマルション化は、例えば、上記したシェル用懸濁液の高速撹拌に用いることのできる装置と同様のものを用いることができる。
シェル用プレエマルションは、コア用懸濁液100質量部に対して例えば8〜20質量部であり、これらを混合した後、40〜100℃で(好ましくは50〜90℃)1〜3時間保持することによりシェル用モノマーを重合できる。
コア及びシェルの重合が終了した後は、適宜、ろ過、遠心分離、乾燥等を行えば良い。乾燥は、例えば100℃以下(好ましくは30〜50℃)で5〜20時間程度行えば良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記実施例で行った測定方法は以下の通りである。
(1)重合体粒子の体積平均粒子径・変動係数(CV値)の測定
重合体粒子0.1部に、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とした。粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の粒子の粒子径(μm)を測定し、体積平均粒子径を求めた。また、粒子径の変動係数(CV値)については、体積平均粒子径とともに体積基準での粒子径の標準偏差を求め、下記式に従って算出した。
粒子径の変動係数(%)=(体積基準の粒子径の標準偏差/体積平均粒子径)×100
(2)重合体粒子の30%K値及び10%K値
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いて、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した粒子のうち1個について、「標準平面検出」モードで、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.2295mN/秒)で荷重をかけ、圧縮変位が粒子径の10%または、30%になったときの荷重値(mN)とその時の変位量(μm)を測定した。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。試験粒子としては、上記MCT−W500に付属したノギス径算出ツールを用いて測長した粒子径が、体積平均粒子径±2μmの範囲の粒子を選択した。そして、得られた圧縮荷重値(mN)を圧縮荷重(N)に換算し、そのとき得られた変位量(μm)を圧縮変位(mm)に換算し、重合体粒子の平均粒子径(μm)から粒子の半径(mm)を算出し、これらを用いて下記式に基づき圧縮弾性率を算出した。上記測定は、25℃の恒温雰囲気下で行った。
Figure 2018048309
上記式中、E:圧縮弾性率(N/mm2)、F:圧縮荷重(N)、S:圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。
(3)シェル厚の測定
後述する重合粒子の製造過程において、シェル用モノマー成分の乳化液を添加する直前の重合液をサンプリングして測定した粒子径の平均値と、最終的に得られた重合体微粒子について測定した粒子径の平均値との差を2で割った値をシェル厚とした。
(4)重合体微粒子の耐溶剤性評価
内径15mmの試験管A、Bを用意し、試験管Aにはコアシェル粒子3.5gと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1質量%水溶液10mlを入れ、試験管Bにはコアシェル粒子3.5gと、メチルエチルケトン10mlを入れた後、試験管A及びBをそれぞれ5分間超音波で分散し、12時間放置した。沈降したコアシェル粒子の高さを測定し、下記式(1)に従いMEK膨潤率を算出した。
MEK膨潤率=(メチルエチルケトン中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))/(乳化剤水溶液中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))・・・(1)
MEK膨潤率が1.3以下のものを「◎」、1.3超〜2.0以下のものを「○」、2.0超のものを「×」と評価した。
(5)重合体微粒子の流動性評価
目開き1.18mmのふるいに重合体粒子100gを乗せ、1分間振とうさせた後、ふるいを通過した重合体微粒子の重量を測定し、下記式によりパス率を求めた。
パス率(%)=(ふるいを通過した重合体微粒子重量(g)/100(g))×100
パス率が100%のものを「◎」、100%未満〜80%以上のものを「○」、80%未満のものを「×」と評価した。
(製造例1)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、ポリビニルアルコール(クラレ社製「ポバールPVA−205」)の10%水溶液1200部を仕込み25℃に保持した。235rmpで攪拌下、滴下口から、コア用単量体成分としてn−ブチルアクリレート34部(全コア用モノマー中19質量%)と、n−ブチルメタクリレート137部(全コア用モノマー中76質量%)と、トリエチレングリコールジメタクリレート9部(全コア用モノマー中5質量%)と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)5部とを溶解した溶液を添加し、2時間保持することにより懸濁液を作製した。この懸濁液を、撹拌継続下、窒素雰囲気下で65℃まで昇温させることにより、コア用単量体成分のラジカル重合を行った。なお、n−ブチルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度は、218.2Kであり、n−ブチルメタクリレートの単独重合体のガラス転移温度は293.2Kである。
次いで、別のフラスコに、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液2部を、イオン交換水90部に溶解した溶液に、シェル用単量体成分としてDVB960(ジビニルベンゼン96質量%、新日鉄住金化学社製「DVB960」)90部(コア用モノマーの合計100質量部に対して50質量部)を加え、乳化分散させてシェル用単量体成分の乳化液を調製した。
コア用単量体成分の重合が始まり、フラスコ内温がピーク温度に達し、極大値を示した直後に、上記シェル用単量体成分の乳化液を添加した。添加後65℃にて2時間保持することによりシェル用単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、40℃で12時間真空乾燥させて重合体微粒子(1)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
(製造例2〜8、11、12)
単量体の種類と使用量を表1に示す通りとした以外は製造例1と同様にして、重合体微粒子(2)〜(8)、(11)(12)を得た。得られた重合体微粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
(製造例9)
フラスコに、イオン交換水1114部と、第三リン酸カルシウム10%水溶液(太平化学産業社製 「TCP―10・U」)87部と、ラウリル硫酸ナトリウム(花王社製 「エマール0」)0.2部を仕込んだ。このフラスコに、コア用単量体成分としてn−ブチルアクリレート86部(全コア用モノマー中48質量%)と、n−ブチルメタクリレート86部(全コア用モノマー中48質量%)と、トリエチレングリコールジメタクリレート9部(全コア用モノマー中5質量%)と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)5部とを溶解した溶液を添加し、T.K.ホモミクサー(懸垂型;プライミクス社製)を用い、3000rpmで3分間撹拌して、均一な懸濁液とした。この懸濁液を、冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに移し入れ、撹拌下、窒素雰囲気下で、反応液を65℃まで昇温させることにより、コア用単量体成分のラジカル重合を行った。
次いで、別のフラスコに、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液2部を、イオン交換水90部に溶解した溶液に、シェル用単量体成分としてDVB960(新日鉄住金化学社製「DVB960」)90部を加え、乳化分散させてシェル用単量体成分の乳化液を調製した。
コア用単量体成分の重合が始まり、フラスコ内温がピーク温度に達し、極大値を示した直後に、上記シェル用単量体成分の乳化液を添加した。添加後、撹拌継続下、65℃にて2時間保持することによりシェル用単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、40℃で12時間真空乾燥させて重合体微粒子(9)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
(製造例10)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、ポリビニルアルコール(クラレ社製「ポバールPVA−205」)の10%溶液1200部を仕込み25℃に保持した。220rmpで攪拌下、滴下口から、単量体成分としてn−ブチルメタクリレート171部と、トリエチレングリコールジメタクリレート9部と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)4部とを溶解した溶液を添加し、2時間保持することにより懸濁液を作製した。この懸濁液を、撹拌継続下、窒素雰囲気下で65℃まで昇温させることにより、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、40℃で12時間真空乾燥させて重合体微粒子(10)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
Figure 2018048309
なお、表1において、nBAはn−ブチルアクリレート、nBMAはn−ブチルメタクリレート、3EGはトリエチレングリコールジメタクリレートを表し、DVBはジビニルベンゼン、Stはスチレン、MMAはメタクリル酸メチルを表す。またシェル架強度は、シェル中の全モノマーの含有量に対する架橋性モノマーの含有量の質量割合を百分率で示した値である。
本発明の要件を満たす実施例1〜9は、いずれもMEK膨潤率が低く、耐溶剤性に優れると共に、メッシュ透過率が高く、粉体としての取扱性が良好である。
一方、比較例1はコア部のガラス転移温度が高く、またシェル部を有していないため、MEK膨潤率及びメッシュ透過率のいずれも劣っていた。また、比較例1は10%K値は実施例1〜9と同等であったものの、軟質なコア部を有するのみでシェル部を有していないため、30%K値/10%K値の値が実施例1〜9よりも小さかった。比較例2は、シェル部の架橋性モノマーがなかったため、耐溶剤性に劣っていた。比較例3は、シェル部に架橋性モノマーが含まれていたものの、その含有量が少なかったため、MEK膨潤率及び耐溶剤性のいずれも劣っていた。
本発明のコアシェル粒子は、エポキシ樹脂やゴム組成物などの改質剤、フィルム添加剤として有用である。

Claims (7)

  1. コア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であって、
    体積平均粒子径が3μm以上、150μm以下であり、
    粒子径の変動係数が20%以上であり、
    前記コア部は、単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)単位の少なくとも1種と、架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の少なくとも1種を有する共重合体を含み、FOX式に基づいて算出される前記単官能(メタ)アクリル系モノマー(C1)のみからなる重合体のガラス転移温度Tgが20℃未満であり、
    前記シェル部は、架橋性スチレン系モノマー(S1)単位を有する重合体を含み、該重合体中の前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位の割合が20質量%以上であることを特徴とするコアシェル粒子。
  2. 前記コア部の共重合体中の架橋性(メタ)アクリル系モノマー(C2)単位の割合が10質量%以下である請求項1に記載のコアシェル粒子。
  3. 前記シェル部の重合体が、前記架橋性スチレン系モノマー(S1)単位と、更に単官能スチレン系モノマー(S2)単位を含む共重合体である請求項1または2に記載のコアシェル粒子。
  4. 下記耐溶剤性試験により算出される、MEK膨潤率が2.0以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のコアシェル粒子。
    [耐溶剤性試験]
    内径15mmの試験管A、Bを用意し、試験管Aにはコアシェル粒子3.5gと、1質量%の乳化剤水溶液10mlを入れ、試験管Bにはコアシェル粒子3.5gと、メチルエチルケトン10mlを入れ、試験管A及びBをそれぞれ5分間超音波で分散し、放置した後、沈降したコアシェル粒子の高さを測定し、下記式(1)に従いMEK膨潤率を算出する。
    MEK膨潤率=(メチルエチルケトン中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))/(乳化剤水溶液中で沈降したコアシェル粒子の高さ(mm))・・・(1)
  5. 目開き1.18mmのふるいを通過する粒子の割合が80質量%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコアシェル粒子。
  6. 前記体積平均粒子径に対するシェル部の厚みの比が0.03以上、0.12以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のコアシェル粒子。
  7. 10%K値に対する30%K値の比が0.4以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のコアシェル粒子。
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