JP2007145933A - ポリマー粒子組成物およびそれを含有する熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、衝撃強度、成形加工性を向上しうるポリマー粒子組成物、並びにそれを含有する熱可塑性樹脂組成物を提案することを課題とする。
【解決手段】(a)体積平均粒子径が1〜50nmのポリマー粒子100重量部、(b)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物0.01〜3.0重量部を含有するポリマー粒子組成物、並びに該ポリマー粒子組成物を含有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂等の衝撃強度、成形加工性を向上しうるポリマー粒子組成物ならびにそれを含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
塩化ビニル系樹脂は多数の有用なプラスチック材料を製造するために使用されているが、塩化ビニル系樹脂単体では脆く、十分な強度に欠けるなどの問題があるため、様々な添加物質を使用してその機械的強度などを向上させている。例えば、押出し成形およびカレンダー成形によってプラスチックフィルムやシートを作製する際には、塩化ビニル系樹脂単体に、可塑剤、安定剤、滑剤といった原料の他、強化剤として乳化重合法や懸濁重合法で得られるジエン系、アクリレート系の軟質ポリマー粒子を添加することが従来から広く利用されている。これによって、落錘・落球試験などで評価されるような面衝撃性、またCharpy試験・Izod試験などで評価されるような耐衝撃性といった衝撃強度を飛躍的に向上することができる。
しかしながら、これら強化剤の添加は衝撃強度の向上には著しい効果を示すものの、フィルム若しくはシートの作製の際に必要不可欠となる成形加工性、特に塩化ビニル系樹脂のゲル化を促進するような効果については期待することはできない。そのため、配合条件や成形条件によってはゲル化不良のために本来の特性である衝撃強度を十分に発揮しえない上、成形体の伸び、破断強さといった引張り特性が低下して、生産性や品質の低下を招く恐れもある。
塩化ビニル系樹脂のゲル化性を改善させる技術として最も効果があるとされているのがメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体を加工助剤として0.5〜5重量%程度配合する方法である(例えば、特許文献1参照)。これにより塩化ビニル系樹脂の成形加工性が改良され、押出成形時のトルクやダイ圧を低減するなどして生産性および品質を向上することができる。
ところが、かかる加工助剤は、塩化ビニル系樹脂の成形加工時のゲル化を促進する反面、衝撃強度の低下を伴うことが少なくない。これは当該加工助剤は、組成的にメタクリル酸メチルの単位を多量に含むため、塩化ビニル系樹脂組成物の弾性率、降伏応力が増大するためであると推定されている。
このような加工助剤の添加による衝撃強度の低下を免れるため、やむをえず強化剤の添加量を増量することが行われており、衝撃強度と成形加工性を共に満足させるため、多量の強化剤と加工助剤を併用しているのが現状である。従って、コストダウンの観点からも、強化剤の添加量を増やすことなく、成形加工性も満足させるような配合条件や、強化剤の設計が望まれている。
前述したように、MBS樹脂やアクリル樹脂に代表されるような一般的な強化剤は、ガラス転移温度(以下、Tgともいう。)の低い軟質ゴム成分を多く含むため、塩化ビニル系樹脂中で応力集中の起点となることにより衝撃強度を発現させる機能を有している。上記応力集中は、塩化ビニル系樹脂中に占める軟質ゴムの総量が多いほど、すなわち強化剤たる軟質ポリマー粒子の粒子径が大きいほど効果的に起こると言われており、組成・構造・対象樹脂等によって多少の違いはあるものの、平均粒子径にしておよそ0.05μm〜0.5μm程度の強化剤が一般的に用いられている(例えば、特許文献2および3参照)。
しかしその一方で、上記強化剤の粒子径の増加は衝撃強度の向上には効果的であるものの、樹脂中における強化剤の粒子間距離が広くなるため、成形等によって塩化ビニル系樹脂に応力が作用した場合、粒子間に働く抗張力が弱まり、結果的に延性的な性質を失って成形加工性が悪化するという問題がある。
一方、上記とは別に応力集中の効率を高める方法として、強化剤に占める軟質ゴム成分の割合を増やす、また軟質ゴムのガラス転移温度を下げるなど、軟質ゴムの量・質を向上させる方法がある。このような軟質ゴムの量・質を向上させたポリマー粒子に関して、成形加工性を損なわないように、前述した理由から小粒子径で使用する場合、以下の強化剤製品の処理性の問題がある。即ち、強化剤に含まれる軟質成分の量が多く、かつそのガラス転移温度が低い小粒子径のポリマー粒子を得る場合、粒子自体が粘着質である上、表面積も大きいため、乳化重合ラテックス等からポリマー粒子を回収する際、粒子同士の凝集・融着が起こり、ポリマー粒子凝集体の粗大化・塊状化が起こりうる。このような粗大化、塊状化したポリマー粒子凝集体を塩化ビニル系樹脂に配合しても十分な衝撃強度が得られない上、成形加工性も低下し、さらには成形品の外観不良の原因にもなりうる。
このような背景から、衝撃強度と成形加工性のバランスに優れた強化剤を提供するための技術、すなわち、粗大化・塊状化することなく、軟質ゴムの質・量を向上させたポリマー粒子を小粒子径の形で提供するための技術が切に望まれている。
特公昭52−49020号公報 特開2001−294765号公報 特開2003−238754号公報
本発明は、熱可塑性樹脂等の衝撃強度、成形加工性を向上しうるポリマー粒子組成物を提案することを課題とする。
上記のような現状に鑑み、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のポリマー粒子(a)、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を含有するポリマー粒子組成物において、粗大化・塊状化することなくポリマー粒子を回収でき、またポリマー粒子組成物を塩化ビニル系樹脂に代表される熱可塑性樹脂へ配合した場合に、高い衝撃強度と高度な成形加工性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(a)体積平均粒子径が1〜50nmのポリマー粒子100重量部、(b)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物0.01〜3.0重量部を含有するポリマー粒子組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が1〜30nmであることを特徴とする、前記のポリマー粒子組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が、1〜10nmであることを特徴とする、前記のポリマー粒子組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記ポリマー粒子(a)が、ガラス転移温度が20℃以上の重合体相からなるシェル部0.5〜10重量%と、ガラス転移温度が20℃未満の重合体相を少なくとも1以上有するコア部90〜99.5重量%で構成されるコアシェル粒子であることを特徴とする、前記いずれかに記載のポリマー粒子組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記ポリマー粒子(a)のコア部が、(c)多官能性単量体0.2〜5重量%を含む単量体混合物を重合して得られることを特徴とする、前記いずれかに記載のポリマー粒子組成物に関する。
好ましい実施態様は、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、およびポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、前記いずれかに記載のポリマー粒子組成物に関する。
本発明は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、前記いずれかに記載のポリマー粒子組成物を0.5〜20重量部含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、熱可塑性樹脂が塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする、前記の熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明のポリマー粒子組成物は、粗大化・塊状化することなく回収でき、またそのポリマー粒子組成物を塩化ビニル系樹脂に代表される熱可塑性樹脂へ配合した場合、高い衝撃強度と高度な成形加工性を得ることができる。
本発明は、(a)体積平均粒子径が1〜50nmのポリマー粒子100重量部に対し、(b)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物0.01〜3.0重量部を含有するポリマー粒子組成物に関するものである。
本発明におけるポリマー粒子(a)は、その体積平均粒子径が1〜50nmである重合体粒子であればよいが、前記体積平均粒子径は1〜30nmであることがより好ましく、1〜10nmであることが特に好ましい。ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が50nmを越える場合は、熱可塑性樹脂等に配合した場合の組成物の引張り伸び、破断強度といった物性が効果的に発現しにくい傾向があり、衝撃強度と成形加工性のバランスを満足のいくレベルで得ることができない場合がある。また、ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が1nm未満である場合は、熱可塑性樹脂等の強化剤としての効果を発現しにくくなる傾向がある。なお、上記体積平均粒子径は、例えば、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)を用いることにより測定することができる。
本発明におけるポリマー粒子(a)の製造法には特に制限はなく、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、水系分散重合法などにより製造することができるが、中でも、構造制御が容易である点から、乳化重合法により製造されたものを好適に用いることができる。
本発明におけるポリマー粒子(a)の構造は、ガラス転移温度が20℃以上の重合体相からなるシェル部と、ガラス転移温度が20℃未満の重合体相を少なくとも1以上有するコア部で構成されるコアシェル粒子であることが好ましい。上記コア部とシェル部の比率は、衝撃強度の改良の観点から、コア部が80〜99.5重量%に対し、シェル部が0.5〜20重量%であることがより好ましく、コア部が90〜99.5重量%に対し、シェル部が0.5〜10重量%であることが特に好ましい。
上記コアシェル粒子については、例えば、コア部にシェル部が完全に被覆した層構造が一般的であるが、コア部とシェル部の重量比等によっては、層構造を形成するためのシェル量が不充分な場合もありうる。そのような場合は、本発明においては、完全な層構造である必要はなく、コア部の一部をシェル部が被覆した構造であってもよく、或いはコア部の一部にシェル部がグラフト重合した構造も好適に用いることができる。
上記コアシェル粒子におけるシェル部の重合体相のガラス転移温度は、以下の観点から、30℃以上であることがより好ましく、更には50℃以上であることが特に好ましい。前記シェル部の重合体相のガラス転移温度が20℃未満の場合には、本発明のポリマー粒子組成物を塩化ビニル系樹脂のような熱可塑性樹脂と配合した際に、ポリマー粒子と熱可塑性樹脂との相溶性が低下し、顕著な衝撃強度改良効果が得られなくなる場合があり、さらに成形加工性が低下したり、ポリマー粒子回収時に粗大化や塊状化が起こる場合がある。
一方、上記コアシェル粒子におけるコア部の重合体相のガラス転移温度は0℃未満であることがより好ましく、更には−20℃未満であることが特に好ましい。前記コア部の重合体相のガラス転移温度が20℃以上の場合には、本発明におけるポリマー粒子組成物を熱可塑性樹脂と配合した際に、軟質重合体成分の衝撃吸収能力が低下し、顕著な衝撃強度改良効果を得られにくくなる場合がある。なお、コア部の一部としてガラス転移温度が20℃以上の重合体相を含んでいてもよいが、衝撃強度の改良の観点から、コア部のガラス転移温度が20℃未満の重合体相は、コア部全量に対し少なくとも90重量%以上含まれることが好ましく、さらには95重量%以上含まれることがより好ましく、その上限は100重量%である。
なお、本発明で用いることのできるポリマー粒子(a)は、上述した条件を満たしていれば、いずれの重合体から構成されてもよい。例えば、以下の単量体群から選ばれた1種または2種以上の単量体を主とする単量体組成物を(共)重合またはグラフト重合させた重合体を、単独または2種以上混合して、軟質重合体および硬質重合体として用いることができる。
上記単量体群としては、例えば、(1)メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート等のアルキル基を有するアルキルアクリレート類、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシル基を有するアルキルアクリレート類、あるいはアルコキシル基を有するアルキルアクリレート類、(2)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート等のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するアルキルメタクリレート類、あるいはアルコキシル基を有するアルキルメタクリレート類、(3)スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類、(4)アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、(5)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン類、(6)塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、(7)酢酸ビニル、(8)エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレン等のアルケン類、(9)アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート等の多官能性単量体が例示されうる。
中でも、ポリマー粒子(a)のコア部となる重合体相は、高度に耐衝撃性を改良できる観点から、アルキル基が1〜22の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜22の炭素原子を含有しヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜22の炭素原子を含有しアルコキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる1以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜99.8重量%、芳香族ビニル単量体0〜40重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜10重量%ならびに多官能性単量体0.2〜5重量%(ただし、合計は100重量%)を重合したものであることが好ましい。なお、本発明において特に断らない限り、(メタ)アクリルとはアクリルおよび/またはメタクリルを意味するものとする。
前記のアルキル(メタ)アクリレート類の炭素数については、例えば炭素数が22を超えると重合性が劣る場合があるため、炭素数が22以下のアルキル(メタ)アクリレート類が好適に使用され得る。さらに好ましくは(メタ)アクリレート系耐衝撃性改良剤の軟質重合相として汎用的に用いられている、炭素数が12以下のアルキル(メタ)アクリレート類が好適に使用され得る。具体的には、前記ポリマー粒子(a)のコア部となる重合体相が、アルキル基が1〜12の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜12の炭素原子を含有しヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜12の炭素原子を含有しアルコキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる1以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜99.8重量%、芳香族ビニル単量体0〜40重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜10重量%ならびに多官能性単量体0.2〜5重量%を重合したものが好適に使用されうる。
また、本発明におけるポリマー粒子(a)のコア部は、多官能性単量体(c)(架橋剤および/またはグラフト交叉剤)を含む単量体混合物を重合して製造するのが好ましく、多官能性単量体(c)の使用量は、衝撃強度を改良する観点から、コア部の重合体相に対して0.2〜5重量%が好ましく、0.2〜2重量%であることがより好ましい。ポリマー粒子(a)のコア部の形成に用いる多官能性単量体の使用量が、5重量%を越えると衝撃強度改良効果が発現しにくくなる場合がある。一方、多官能性単量体(c)の使用量が0.2重量%未満の場合は、成形加工中にポリマー粒子(a)が粒子としての形状を維持できなくなる可能性があり、衝撃強度改良効果が発現しにくくなる場合がある。
なお、上記多官能性単量体(c)としては、例えば、ジビニルベンゼン、1、3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルイタコネート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、トリアリルトリメセート等の、1分子中に官能性基を2個以上もつ化合物が例示される。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のビニルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸等が例示されうる。
本発明におけるポリマー粒子組成物は、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物を含有するが、ここで物理ゲルとは、高分子間の水素結合やイオン結合あるいはキレート形成などによって形成される物理的橋架けによるゲルを意味する。また、物理ゲルを形成する性質を有するとは、水溶性高分子化合物単独の水溶液に、無機塩や酸等のゲル化剤の添加により、粘性流体(ゾル)から弾性体(ゲル)への変化が視覚的にとらえられることを意味し、本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)とは、上記性質を有する水溶性高分子化合物と定義する。
本発明で用いることのできる物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物としては上記性質を発現できるものであれば特に制限はないが、例えば、次の群から選ばれた1種または2種以上の混合物からなる水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、およびポリアクリル酸誘導体等が例示されうる。本発明においては、その目的を達成する意味において、これらの中でも水溶性セルロース誘導体若しくは水溶性アルギン酸誘導体がより好ましく、中でも水溶性アルギン酸誘導体が最も好ましく使用され得る。
なお、上記水溶性アルギン酸誘導体中のマンヌロン酸とグルロン酸の比率には特に制限はないが、グルロン酸比率が高いほど物理ゲルの形成能力が高くなる傾向にあるため好ましく、通常は水溶性アルギン酸誘導体中のグルロン酸比率が5重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。
また、上記水溶性アルギン酸誘導体に代表される水溶性高分子化合物の分子量には特に制限はないが、製造時の移液性の点から、B型粘度計により測定した1.0重量%濃度における水溶液の粘度が2〜22000mPa・sであることが好ましく、2〜1000mPa・sであることがより好ましい。
本発明において、ポリマー粒子(a)に対する物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)の添加方法若しくは添加時期については特に制限はないが、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)の水溶液を別途作成し、それを重合が終了したポリマー粒子(a)のラテックスへ規定量添加するのが操作上簡便であり好ましい。しかしながら、これに限定されるものではなく、重合前、重合途中あるいは重合後の高分子ラテックスに規定量の物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を、水溶液あるいは粉体の状態で、一括または連続的に添加することができる。
物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を水溶液としてポリマー粒子(a)のラテックスへ含有させる際の水溶性高分子化合物(b)水溶液の濃度は、0.01〜10重量%であることが好ましい。水溶性高分子化合物(b)水溶液の濃度が0.01%重量よりも低い場合は、所定量の水溶性高分子化合物(b)を添加するのに多量の水溶液をポリマー粒子(a)のラテックスに加えることになるため、排水負荷が増す傾向がある。一方、水溶性高分子化合物(b)水溶液の濃度が10%重量よりも高い場合は、水溶性高分子化合物(b)水溶液の粘度が高くなり操作性が悪化する場合がある。ポリマー粒子(a)のラテックスと水溶性高分子化合物(b)の混合操作は、ラテックスに水溶性高分子化合物(b)水溶液を加えた後、数分間程度全体を撹拌混合することで容易に達成される。
本発明における物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)の含有量は、ポリマー粒子(a)100重量部に対し、0.01〜3.0重量部であることが好ましく、更には0.05〜1.8重量部であることがより好ましい。物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)の含有量が0.01重量部よりも少ない場合は、ポリマー粒子組成物を回収する際に粗大化や塊状化が起こりやすくなる傾向にある。逆に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)の含有量が3.0重量部よりも多い場合は、ポリマー粒子組成物を回収する際に粗大化や塊状化の抑制効果は向上するものの、ポリマー粒子組成物中に多量の水溶性高分子化合物(それに由来する物質を含む)が残存してしまい、衝撃強度付与効果や成形加工時の熱安定性等の品質、および成形加工性が低下する傾向にある。
また、本発明においては、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)と共に、以下のゲル化剤を用いることが好ましい。ゲル化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、よう化カリウム、よう化リチウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、蟻酸等の有機酸類、および酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カルシウム等の有機酸の塩類を単独または混合したものを用いることができる。これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、蟻酸等の有機酸類を、単独または2種以上混合したものが好適に使用され得る。
なお本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)として水溶性アルギン酸誘導体を用いる場合は、ゲル化剤として、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウムなどが好適に使用され得る。
本発明におけるゲル化剤の添加量には特に制限はないが、ゲル化剤の大部分はポリマー粒子組成物の回収時における水洗工程により洗い流すことが可能で、ポリマー粒子(a)100重量部に対し1重量部未満残留していることが好ましく、更には0.01〜0.5重量部であることがより好ましい。前記ゲル化剤の残留量が1重量部を超える場合には、例えば、塩化ビニル系樹脂に配合し、成形する際の加工性が変化する可能性や、高い衝撃強度付与効果が発現しにくくなる場合がある。
本発明において、ゲル化剤の添加方法若しくは添加時期については特に制限はないが、ポリマー粒子(a)のラテックスに物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を添加したラテックスを回収処理する際に添加することが好ましい。なお、ポリマー粒子組成物回収時のゲル化剤の使用量は、ポリマー粒子(a)100重量部に対するゲル化剤の残留量が、1重量部未満であれば特に制限はないが、回収の容易さ、および製造コストの観点から、ポリマー粒子(a)に対し0.2〜20重量部が好ましく、更には1〜10重量部がより好ましい。
本発明において、ポリマー粒子組成物に物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を含有させる目的は、(1)ポリマー粒子凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルが共存することにより、回収途中の凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させることができる、(2)凝固粒子を乾燥した後においても、凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルの乾燥物が共存することにより、凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させ、粗大化や塊状化を抑制できるためである。
また、本発明においては、ポリマー粒子(a)および物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を含有するポリマー粒子組成物において、ポリマー粒子(a)100重量部に対し、さらに融着防止剤を0.05〜3.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重量部、より好ましくは0.2〜2.5重量部添加することにより、さらに粗大化や塊状化が抑制されたポリマー粒子組成物を得ることができる。
前記融着防止剤の好適な添加量は、ポリマー粒子組成物中におけるポリマー粒子(a)および物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)の含有量により影響を受けるが、ポリマー粒子組成物中の物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)と融着防止剤の含有(添加)量の合計が、ポリマー粒子(a)100重量部に対し、0.06〜6.0重量部であることが好ましく、0.1〜3.0重量部の範囲であることがより好ましく、0.5〜2.0重量部の範囲であることが特に好ましい。
本発明で用いることのできる融着防止剤には特に制限はないが、耐衝撃性改良効果等の品質と粗大化や塊状化を抑制する効果をより高いレベルで満足させることが可能となる点から、例えば、陰イオン性界面活性剤の多価金属塩、架橋ポリマーおよび/またはシリコンオイルが好適に使用され得る。なお、架橋ポリマーを用いる場合には、任意成分として滑剤と共に用いることが可能で、架橋ポリマー10〜100重量%ならびに滑剤0〜90重量%の範囲、好ましくは架橋ポリマー50〜100重量%ならびに滑剤0〜50重量%の範囲で用いることができる。
上記目的に使用され得る陰イオン性界面活性剤の多価金属塩としては、脂肪酸塩類、高級アルコールの硫酸エステル類、液体脂肪油の硫酸エステル塩、脂肪族アミンおよび脂肪族アミドの硫酸塩、脂肪族アルコールのリン酸エステル、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪族アミドのスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、ホルマリン縮合ナフタリンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤の多価金属塩が例示され、中でも、脂肪酸塩類、高級アルコールの硫酸エステル類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩が、衝撃強度改良効果等の品質と粗大化や塊状化を抑制する効果を高いレベルで満足できる点から好適に使用され得る。しかし、これらに限定されるものではない。
また、上記目的に使用され得る架橋ポリマーとしては特に制限はないが、メチルメタクリレート30〜60重量%、芳香族ビニル単量体65〜35重量%、架橋性単量体0.1〜25重量%および共重合可能なその他の単量体0〜30重量%を重合してなる架橋ポリマーが、衝撃強度改良効果等の品質と粗大化や塊状化を抑制する効果を高いレベルで満足できる点から好適に使用され得る。しかし、これらに限定されるものではない。
なお、上記芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等が例示され、上記架橋性単量体としては、例えばジビニルベンゼン、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルイタコネート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、トリアリルトリメセート等の、1分子中に官能性基を2個以上もつ化合物が例示され、上記共重合可能なその他の単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等などのビニルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル等が例示されうる。
上記滑剤としては特に制限はないが、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、オレイン酸アミド、エチレンビスアミド、エルカ酸アミドなどの脂肪酸アミド、ブチルステアレート、ステアリルステアレート、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタンステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのペンタエリスリトールステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレートなどのグリセリン脂肪酸エステル、硬化ひまし油などの脂肪酸エステル、ステアリルアルコールなどの高級アルコールなどが例示され、なかでもグリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸、エチレンビスアミド、オレイン酸アミド、グリセリンモノステアレートあるいはグリセリンモノラウレートが好適に使用されうる。
また、上記目的に使用され得るシリコンオイルとしては特に制限はないが、シロキサン結合を有するオルガノシロキサンあるいはポリオルガノシロキサンが、衝撃強度改良効果等の品質と粗大化や塊状化を抑制する効果を高いレベルで満足できる点から好適に使用され得る。しかし、これらに限定されるものではない。
本発明においては、前記ポリマー粒子組成物を熱可塑性樹脂に添加し、熱可塑性樹脂組成物とすることができる。熱可塑性樹脂に添加するポリマー粒子組成物の含有量は特に限定されないが、品質面およびコスト面から、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.5〜20重量部であることが望ましく、0.5〜10重量部であることがより好ましい。熱可塑性樹脂組成物中のポリマー粒子組成物の含有量が、20重量部を超えた場合には衝撃強度改良効果は充分であるが、衝撃強度以外の品質、例えば成形加工性の低下の可能性やコストが上昇する場合がある。一方、熱可塑性樹脂組成物中のポリマー粒子組成物の含有量が0.5重量部未満の場合は、充分な衝撃強度改良効果が得られにくくなるばかりでなく、成形加工性が低下する場合がある。
本発明における熱可塑性樹脂組成物としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、カーボネート系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂などを好適に使用することが可能である。しかし、これらに限定されるものではない。中でも、本発明のポリマー粒子組成物を特に塩化ビニル系樹脂の衝撃強度改良剤として用いた場合に優れた効果を発現しうることから、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。なお、本発明において塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルホモポリマー、または塩化ビニルから誘導された単位を少なくとも70重量%以上含有する共重合体を意味する。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、加工助剤等の添加剤を適宜添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂およびポリマー粒子組成物等を予めヘンシェルミキサー、タンブラーなどを用いて混合した後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロールなどを用いて溶融混練することにより組成物を得る方法などを採用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、フィルム、ロールシート、窓枠成形体などの各種成形体等に好適に使用することができる。
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(ポリマー粒子Aの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム5.0重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら70℃に昇温した。次に過硫酸カリウム(以下、KPSとも言う)0.1重量部を仕込み、ブチルアクリレート(以下、BAとも言う)89.55重量部、アリルメタクリレート(以下、AMAとも言う)0.45重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続け、ガラス転移温度(以下、Tgとも言う)−54℃、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)により測定した体積平均粒子径(以下、体積平均粒子径は同様の方法にて測定)が10.1nmのアクリレート系重合体を得た。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.5重量部のジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを5時間にわたり連続的に追加した。30分間攪拌を続けた後、このアクリレート系重合体をコア部として、シェル部となる単量体としてメチルメタクリレート(以下、MMAとも言う)10重量部を70℃で50分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、10分間攪拌を続けた後、KPS0.02重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.06重量部の混合物を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合添加率は98%であった。上記により、コア部重合体相90重量%、シェル部重合体相(Tg:105℃)10重量%、体積平均粒子径10.4nmのポリマー粒子Aのラテックスを得た。
(ポリマー粒子組成物C−1の作製)
ポリマー粒子Aのラテックス(ポリマー固形分100重量部)に、1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製アルギテックスLL)水溶液(B型粘度計により測定した水溶液粘度が120mPa・s)をアルギン酸ナトリウム固形分がポリマー粒子A100重量部に対し0.4重量部となるように添加し、3分間攪拌混合して混合ラテックスを作製した。温度20℃の混合ラテックスを、加圧ノズルの一種である旋回流式円錐ノズルでノズル径0.6mmを用い、噴霧圧力3.7kg/cmにて、塔底部液面からの高さ5m、直径60cmの円筒状の装置中に、体積平均液滴径が約200μmの液滴となるように噴霧した。それと同時に、30重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、塩化カルシウム固形分がポリマー粒子A100重量部に対し5〜15重量部となるようにニ流体ノズルにて空気と混合しながら、液滴径0.1〜10μmで噴霧した。塔内を滴下した混合ラテックス液滴は、塔底部にて20℃の1.0重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を入れた受槽に投入され、これを回収した。
得られた凝固ラテックス粒子水溶液に、5重量%濃度のパルミチン酸カリウム水溶液をパルミチン酸カリウム固形分がポリマー粒子A固形分100重量部に対し1.5重量部となるように添加し、乾燥することにより、白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性樹脂組成物の調製)
塩化ビニル樹脂(カネビニールS−1007、株式会社カネカ製、平均重合度700)100重量部、錫系安定剤(TVS−8831、株式会社日東化成製)1.0重量部、内滑剤(ROXIOL G−11、株式会社コグニスジャパン製)0.8重量部、外滑剤(WAX−E、株式会社クラリアントジャパン製)0.2重量部、およびポリマー粒子組成物(C−1)8.0重量部をヘンシェルミキサーにてブレンドしてパウダーコンパウンドを得た。
(成形体の調製および評価)
上記で得られたパウダーコンパウンドを180℃にて5分間ロール混練後、190℃の熱プレスで15分間圧縮成形した。得られたプレス板から耐衝撃性試験片を作製し、JIS規格に準じて23℃アイゾッド衝撃強度を測定した。更に上記で得られた厚さ3mmのロールプレス板を切削し、JIS1号ダンベルを作製した。このダンベルを23℃にて毎分10mmの速度で引張り、成形体が破断するまでの伸び(以下、引張り伸びと称する)を測定した。結果を表1および表4に示す。
(実施例2)
(ポリマー粒子Bの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム5.0重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら70℃に昇温した。次にKPS0.1重量部を仕込み、BA92.54重量部、AMA0.46重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続け、Tgが−54℃、体積平均粒子径が10.6nmのアクリレート系重合体を得た。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.5重量部のジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを5時間にわたり連続的に追加した。30分間攪拌を続けた後、このアクリレート系重合体をコア部として、シェル部となる単量体としてMMA7重量部を70℃で35分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、10分間攪拌を続けた後、KPS0.02重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.06重量部の混合物を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合添加率は98.5%であった。上記により、コア部重合体相93重量%、シェル部重合体相(Tg:105℃)7重量%、体積平均粒子径10.7nmのポリマー粒子Bのラテックスを得た。
(ポリマー粒子組成物C−2の作製)
ポリマー粒子Bのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−2を作製した。このポリマー粒子組成物C−2を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(実施例3)
(ポリマー粒子Cの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム5.0重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら70℃に昇温した。次にKPS0.1重量部を仕込み、BA96.52重量部、AMA0.48重量部からなる単量体の混合物を5.5時間を要して滴下した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続け、Tgが−54℃、体積平均粒子径が12.0nmのアクリレート系重合体を得た。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.5重量部のジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを5.5時間にわたり連続的に追加した。30分間攪拌を続けた後、このアクリレート系重合体をコア部として、シェル部となる単量体としてMMA3重量部を70℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、10分間攪拌を続けた後、KPS0.02重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.06重量部の混合物を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合添加率は98%であった。上記により、コア部重合体相97重量%、シェル部重合体相(Tg:105℃)3重量%、体積平均粒子径12.4nmのポリマー粒子Cのラテックスを得た。
(ポリマー粒子組成物C−3の作製)
ポリマー粒子Cのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−3を作製した。このポリマー粒子組成物C−3を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(実施例4)
(ポリマー粒子Dの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水160重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム5.0重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次に2−エチルヘキシルアクリレート13.88重量部、AMA0.07重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA78.66重量部、AMA0.39重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.5重量部のジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、1.5時間攪拌を続け、Tgが−50℃と−54℃の2層からなる体積平均粒子径11.0nmのアクリレート系重合体を得た。このアクリレート系重合体をコア部として、MMA7.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.03重量部の単量体混合物をシェル部として、50℃で30分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.0%であった。上記により、コア部重合体相93重量%、シェル部重合体相(Tg:105℃)7重量%、体積平均粒子径11.7nmのポリマー粒子Dのラテックスを得た。
(ポリマー粒子組成物C−4の作製)
ポリマー粒子Eのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様に実施しポリマー粒子組成物C−4を作製した。このポリマー粒子組成物C−4を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(実施例5)
(ポリマー粒子Eの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水160重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム5.0重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次に2−エチルヘキシルアクリレート14.48重量部、AMA0.07重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA82.04重量部、AMA0.41重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.5重量部のジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、1.5時間攪拌を続け、Tgが−50℃と−54℃の2層からなる体積平均粒子径が10.3nmのアクリレート系重合体を得た。このアクリレート系軟質重合体をコア部として、MMA3.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で30分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.0%であった。上記により、コア部重合体相97重量%、シェル部重合体相(Tg:105℃)3重量%、体積平均粒子径10.6nmのポリマー粒子Eのラテックスを得た。
(ポリマー粒子組成物C−5の作製)
ポリマー粒子Eのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様に実施しポリマー粒子組成物C−5を作製した。このポリマー粒子組成物C−5を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(実施例6)
(ポリマー粒子Fの作製)
初期に仕込むジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの量が1.8重量部である以外は、実施例2と同様の方法で実施し、体積平均粒子径31.0nmのポリマー粒子Fのラテックスを得た。この時、ポリマー粒子Fのコア部重合体相は、Tgが−54℃で、体積平均粒子径は30.0nm、重合転化率は99.0%であった。
(ポリマー粒子組成物C−6の作製)
ポリマー粒子Fのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様に実施しポリマー粒子組成物C−6を作製した。このポリマー粒子組成物C−6を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(実施例7)
(ポリマー粒子Gの作製)
初期に仕込むジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの量が1.8重量部である以外は、実施例5と同様の方法で実施し、体積平均粒子径30.5nmのポリマー粒子Gのラテックスを得た。この時、ポリマー粒子Gのコア部重合体相は、Tgが−50℃と−54℃の2層からなり、その体積平均粒子径は30.1nm、重合転化率は98.5%であった。
(ポリマー粒子組成物C−7の作製)
ポリマー粒子Gのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−7を作製した。このポリマー粒子組成物C−7を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(実施例8)
アルギン酸ナトリウムの添加量を0.02重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリマー粒子組成物(C−8)を調製し、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表2および表5に示す。
(実施例9)
アルギン酸ナトリウムの添加量を1.80重量部、パルミチン酸カリウム固形分を0.1重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリマー粒子組成物(C−9)を調製し、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表2および表5に示す。
(実施例10)
1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム水溶液の代わりに、2.0重量%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製60SH−4000)水溶液(B型粘度計により測定した水溶液粘度が4000mPa・s)をヒドロキシプロピルメチルセルロース固形分がポリマー粒子A固形分100重量部に対し0.4重量部となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリマー粒子組成物(C−10)を調製し、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表2および表5に示す。
(実施例11)
アルギン酸ナトリウムの添加量を2.0重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリマー粒子組成物(C−11)を調製し、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表2および表5に示す。
(実施例12)
パルミチン酸カリウム1.5重量部の代わりに、架橋ポリマーを固形分がポリマー粒子A固形分100重量部に対し、1.0重量部になるように添加した以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリマー粒子組成物(C−12)を調製し、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表3および表6に示す。
(実施例13)
パルミチン酸カリウム1.5重量部の代わりに、シリコンオイル(信越化学社製SH200−350CS)をポリマー粒子A固形分100重量部に対し、0.3重量部になるように添加した以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリマー粒子組成物(C−13)を調製し、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表3および表6に示す。
(実施例14)
パルミチン酸カリウムを0.2重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリマー粒子組成物(C−14)を調製し、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表3および表6に示す。
(比較例1)
(ポリマー粒子Hの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.1重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら70℃に昇温した。次にKPS0.1重量部を仕込み、BA89.55重量部、AMA0.45重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続け、Tgが−54℃、体積平均粒子径が204.0nmのアクリレート系重合体を得た。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.5重量部のジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを5時間にわたり連続的に追加した。30分間攪拌を続けた後、このアクリレート系重合体をコア部として、シェル部となる単量体としてMMA10重量部を70℃で50分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、10分間攪拌を続けた後、KPS0.02重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.06重量部の混合物を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合添加率は98.5%であった。上記により、コア部重合体相90重量%、シェル部重合体相(Tg:105℃)10重量%、体積平均粒子径213.0nmのポリマー粒子Hのラテックスを得た。
(ポリマー粒子組成物C−15の作製)
ポリマー粒子Hのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−15を作製した。このポリマー粒子組成物C−15を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(比較例2)
(ポリマー粒子Iの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.1重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら70℃に昇温した。次にKPS0.1重量部を仕込み、BA94.53重量部、AMA0.47重量部からなる単量体の混合物を5.5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.5重量部のジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを5.5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続け、Tgが−54℃、体積平均粒子径が192.5nmのアクリレート系重合体を得た。30分間攪拌を続けた後、このアクリレート系重合体をコア部として、シェル部となる単量体としてMMA5重量部を70℃で25分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、10分間攪拌を続けた後、KPS0.02重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.06重量部の混合物を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合添加率は98.5%であった。上記により、コア部重合体相95重量%、シェル部重合体相(Tg:105℃)5重量%、体積平均粒子径196.1nmのポリマー粒子Iのラテックスを得た。
(ポリマー粒子組成物C−16の作製)
ポリマー粒子Iのラテックスを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−16を作製した。このポリマー粒子組成物C−16を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表1および表4に示す。
(比較例3)
(ポリマー粒子組成物C−17の作製)
アルギン酸ナトリウムの添加量を6.0重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−17を作製した。このポリマー粒子組成物C−17を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表2および表5に示す。
(比較例4)
(ポリマー粒子組成物C−18の作製)
アルギン酸ナトリウムの添加量を0.005重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−18を作製した。このポリマー粒子組成物C−18を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表2および表5に示す。
(比較例5)
(ポリマー粒子組成物C−19の作製)
アルギン酸ナトリウムを使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法にて実施し、ポリマー粒子組成物C−19を作製した。このポリマー粒子組成物C−19を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、アイゾッド強度、引張り伸びを測定した。結果を表2および表5に示す。
表1から表3には、実施例および比較例で得られたポリマー粒子組成物におけるポリマー粒子のコア部重合体相組成、シェル部重合体組成、コア部重合体相およびポリマー粒子の体積平均粒子径、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物の種類(水溶性高分子種)、およびその含量(水溶性高分子含量)、融着防止剤の種類、およびその含量を示した。また、表2、3には紛体収率(約200μmの液滴径で噴霧した混合ラテックスから得られるポリマー粒子組成物が、粗大化あるいは塊状化しているかどうかを判断するために、16メッシュの篩を用いて分別し、ポリマー粒子組成物の通過量を紛体収率とした。即ち、不通過であったポリマー粒子組成物が粗大化あるいは塊状化していると判断した。)も示した。
Figure 2007145933
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表4から表6には、実施例および比較例で得られたポリマー粒子種、ポリマー粒子組成物種、およびポリマー粒子組成物を規定量熱可塑性樹脂に配合して得られた成形体の耐衝撃強度(アイゾッド強度)、および引張り伸びの測定結果を示した。
Figure 2007145933
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実施例1乃至7、および比較例1、2より、ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が1〜50nmである場合、高い引張り伸びが得られ、優れた成形加工性を有することがわかる。また、ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が1〜50nmといった小粒子径であっても、ポリマー粒子に占める軟質重合体相の割合・質が高いほど高い耐衝撃強度改良効果を示しており、耐衝撃性と成形加工性のバランスが優れた熱可塑性樹脂組成物が得られていることがわかる。
また、実施例1、実施例8乃至11、および比較例3乃至5より、ポリマー粒子(a)100重量部に対し、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)0.01〜3.0重量部を含有させることで粗大化や塊状化した粒子をほとんど含まず、これを含有する熱可塑性樹脂組成物は、高い耐衝撃強度改良効果と優れた成形加工性を有していることがわかる。
また、実施例1、9、12及至14より、ポリマー粒子(a)および物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を規定量含有する場合、ポリマー粒子(a)100重量部に対し、融着防止剤を0.05〜3重量部含有させることで、ポリマー粒子の粗大化や塊状化を防止して、高い耐衝撃強度改良効果と優れた成形加工性が得られることがわかる。
実施例および比較例より、ポリマー粒子組成物が、本発明で規定する範囲のポリマー粒子(a)、および物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)を含有する場合、高い耐衝撃強度を有しながらも、優れた引張り伸びを維持したポリマー粒子を粗大化・塊状化することなく回収することができ、即ち衝撃強度、成形加工性のバランスに非常に優れたポリマー粒子組成物を得ることができることがわかる。

Claims (8)

  1. (a)体積平均粒子径が1〜50nmのポリマー粒子100重量部、(b)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物0.01〜3.0重量部を含有するポリマー粒子組成物。
  2. 前記ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が、1〜30nmであることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粒子組成物。
  3. 前記ポリマー粒子(a)の体積平均粒子径が、1〜10nmであることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粒子組成物。
  4. 前記ポリマー粒子(a)が、ガラス転移温度が20℃以上の重合体相からなるシェル部0.5〜10重量%と、ガラス転移温度が20℃未満の重合体相を少なくとも1以上有するコア部90〜99.5重量%で構成されるコアシェル粒子であることを特徴とする、請求項1及至3のいずれかに記載のポリマー粒子組成物。
  5. 前記ポリマー粒子(a)のコア部が、(c)多官能性単量体0.2〜5重量%を含む単量体混合物を重合して得られることを特徴とする、請求項1及至4のいずれかに記載のポリマー粒子組成物。
  6. 物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、およびポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1及至5のいずれかに記載のポリマー粒子組成物。
  7. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、請求項1及至6のいずれかに記載のポリマー粒子組成物を0.5〜20重量部含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
  8. 熱可塑性樹脂が塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする、請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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JP2018048309A (ja) * 2016-09-16 2018-03-29 株式会社日本触媒 コアシェル粒子

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