JPWO2007105717A1 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

優れた耐候性と高い耐衝撃性を有する本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)100重量部、及びグラフト共重合体(B)0.5〜20重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記グラフト共重合体(B)が、コア(bc)50〜99.5重量%、及び非架橋シェル(bs)0.5〜50重量%のみからなり、前記コア(bc)がガラス転移温度20℃以下の層のみで構成され、さらに、前記非架橋シェル(bs)が、アクリル酸エステル52〜100重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜48重量%を含む非架橋シェル用単量体混合物を重合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。

Description

本発明は、熱可塑性樹脂およびグラフト共重合体を含有し、優れた耐候性と高い耐衝撃性を発現できる熱可塑性樹脂組成物に関する。
樹脂材料の耐衝撃性を向上させることは、用途の拡大、成形品の薄肉化や大型化等を可能にすることから、工業的に非常に有用であり、従来から種々検討されてきた。熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良するためには、熱可塑性樹脂にグラフト共重合体を添加することが従来から広く利用されている。例えば、塩化ビニル系樹脂の場合、ジエン系またはアクリレート系のゴムに種々の単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体を配合することが知られている。
しかしながら、ジエン系のグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合して使用すると、耐衝撃性は改良されるが、耐候性が悪いため、その成形品を屋外で使用した場合には、耐衝撃性が著しく低下するという欠点がある。それゆえ、屋外用途耐衝撃性改良剤として、耐候性に優れたアルキル(メタ)アクリレートを主体としたグラフト共重合体が提案されている。
一般に、(メタ)アクリレート系のゴムは、ジエン系のゴムに比べて耐衝撃性改良効果が小さいことから、熱可塑性樹脂への配合量を多くする必要がある。しかしながら、熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良する分野では、耐衝撃性改良剤であるグラフト共重合体の配合量をできる限り少なくすることが、品質面あるいはコスト面から望まれており、その点を改良するための検討が長年にわたり実施されてきた。
グラフト共重合体による熱可塑性樹脂への耐衝撃性付与効果を大きくする方法は種々知られているが、中でも、グラフト共重合体中の(メタ)アクリレート系ゴムのガラス転移温度を下げる、あるいはグラフト共重合体中の(メタ)アクリレート系ゴムの重量比を上げる等、グラフト共重合体中のゴム成分の質および量を向上する方法が、その目的において効果的であることが知られている。
また、比較的低温の成形加工条件で熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良効果を大きくする方法として、最外層を構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下、最外層から2番目の層を構成する重合体のガラス転移温度が60℃以上、最外層から3番目の層を構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下である層構造を有する耐衝撃性改良剤を熱可塑性樹脂に配合する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の手法は、加工性の観点から、ガラス転移温度が60℃以上の層の重量比を多くする必要があることから、耐衝撃性改良効果が小さくなり、満足のいく方法とは言い難い問題があった。
一方、粘着質なゴム状高分子ラテックスを粘着性の少ない樹脂粉体として回収する方法として、分子中にカルボキシル基および/または水酸基を有する高分子量ポリアニオンをゴムラテックスに添加し、その混合ラテックスをアルカリ土類金属の少なくとも一種を含有する水溶液に滴下する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法では、高分子量ポリアニオンをゴムラテックス中のゴム固形分100重量部に対し少なくとも2〜8重量部、好ましくは4〜6重量部加えなければ回収した樹脂粉体の粘着性を抑制できないと記載されている。通常、高分子ラテックスに対し4重量部以上もの異物(即ち、この場合は高分子量ポリアニオン)を添加すると、種々の目的で使用されうる回収ポリマー組成物事態が有する本来の品質が低下することが容易に想定できる。特に、熱可塑性樹脂等への耐衝撃性付与の目的において、できる限り配合量を削減することが望まれている耐衝撃性改良剤に適用した場合、耐衝撃性付与効果等の品質の低下は避けられないことから、満足な方法とは言い難い。
つまり、耐衝撃性向上と耐衝撃性改良剤添加による加工性、品質の低下やコスト上昇という相反する両物性を高いレベルで満足させうる熱可塑性樹脂組成物の開発が、未だ期待され続けているのが現状である。
特開平6−122827号公報 特開昭52−37987号公報
本発明は、優れた耐候性と高い耐衝撃性を有する新規な熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、全ての層のガラス転移温度が20℃以下のゴム状重合体コア50〜99.5重量%に、特定組成の非架橋シェル0.5〜50重量%をグラフト重合したグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合した場合に、優れた耐衝撃性を発現できる熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、熱可塑性樹脂(A)100重量部、及びグラフト共重合体(B)0.5〜20重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記グラフト共重合体(B)が、コア(bc)50〜99.5重量%、及び非架橋シェル(bs)0.5〜50重量%のみからなり、前記コア(bc)がガラス転移温度20℃以下の層のみで構成され、さらに、前記非架橋シェル(bs)が、アクリル酸エステル52〜100重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜48重量%を含む非架橋シェル用単量体混合物を重合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記コア(bc)が、(メタ)アクリル酸エステル45〜99.9重量%、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体0〜54.9重量%、及び多官能性単量体0.1〜10重量%のみからなるコア用単量体混合物を重合してなる熱可塑性樹脂組成物とすることである。
好ましい実施態様は、前記非架橋シェル用単量体混合物が、アクリル酸エステル52〜100重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜48重量%のみからなる熱可塑性樹脂組成物とすることである。
好ましい実施態様は、前記非架橋シェル用単量体混合物が、アクリル酸エステル52〜95重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体5〜48重量%のみからなる熱可塑性樹脂組成物とすることである。
好ましい実施態様は、さらに、前記グラフト共重合体(B)100重量部に対し、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を0.01〜3.0重量部含有する熱可塑性樹脂組成物とすることである。
好ましい実施態様は、前記水溶性高分子化合物(C)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、及びポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種または2種以上である熱可塑性樹脂組成物とすることである。
好ましい実施態様は、前記水溶性高分子化合物(C)が、水溶性アルギン酸誘導体である熱可塑性樹脂組成物とすることである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐候性と高い耐衝撃性を発現することができる。
本明細書において、(メタ)アクリルとは、特に断らない限り、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
(熱可塑性樹脂(A)の例示)
本発明における熱可塑性樹脂(A)としては、特に限定されることなく、公知の熱可塑性樹脂を使用できる。具体的には、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、カーボネート系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)系樹脂などを好適に使用することができる。
中でも、本発明におけるグラフト共重合体(B)は、特に塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた場合に、優れた効果を発現しうることから、熱可塑性樹脂(A)としては塩化ビニル系樹脂であることが特に好ましい。なお、本発明において塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルホモポリマー、または塩化ビニルから誘導された単位を少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有する共重合体を意味し、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。これらは単独でもちいてもよく2種以上組み合わせてもよい。
(グラフト共重合体(B)の構成)
本発明におけるグラフト共重合体(B)は、コア(bc)に非架橋シェル(bs)が、少なくとも部分的に、好ましくは全体に亘って、グラフトしたコア−シェル型のグラフト共重合体であって、コア(bc)とシェル(bs)との総和を100重量%としたときに、コア(bc)50〜99.5重量%、及び非架橋シェル(bs)0.5〜50重量%(但し、)からなるものである。このようなグラフト共重合体(B)を、熱可塑性樹脂(A)に配合することにより、高い耐衝撃性を発現させうるだけでなく、耐候性や成形体の表面光沢に代表される物性を低下させない熱可塑性樹脂を得ることができる。
(グラフト共重合体(B)の含有量)
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(B)の含有量は特に限定されないが、品質面およびコスト面から、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、0.5〜20重量部であることが望ましく、0.5〜10重量部がより好ましく、1〜7重量部であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(B)の含有量が、20重量部を超えた場合には耐衝撃性改良効果は充分であるが、耐衝撃性以外の品質が低下する可能性があることやコストが上昇する場合がある。一方、熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(B)の含有量が0.5重量部未満の場合は、充分な耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合がある。
(グラフト共重合体(B)の構造)
本発明のグラフト共重合体(B)の層構造については、例えば、コア(bc)を非架橋シェル(bs)が完全に被覆した層構造が一般的であるが、コア(bc)と非架橋シェル(bs)の重量比率等によっては、層構造を形成するためのシェル量が不充分な場合もありうる。そのような場合は、完全な層構造である必要はなく、コア(bc)の一部を非架橋シェル(bs)が被覆した構造であってもよく、或いはコア(bc)の一部に非架橋シェル(bs)の構成要素である単量体の少なくとも一部がグラフト重合した構造も好適に用いることができる。なお、上記の層構造の概念は、本発明におけるコア(bc)中若しくは非架橋シェル(bs)中において多層構造が形成される場合にも同様に当てはまる。
(グラフト共重合体(B)の製法)
本発明におけるグラフト共重合体(B)は、公知の方法に従って製造することができるが、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、マイクロサスペンション重合法、ミニエマルション重合法、水系分散重合法などにより製造することができる。中でも、構造制御が容易である点から、乳化重合法により製造されたグラフト共重合体を好適に用いることができる。その一般的な製造方法は、例えば、特開2002−363372号公報、特開2003−119396号公報、特開平9−286830号公報等に詳細に記述されている。ただし、これらに限定されるものではない。
(コア(bc))
本発明におけるコア(bc)は、ガラス転移温度が20℃以下のゴム状重合体であって、その構造は、特に制限されるものではないが、コア(bc)を形成するゴム状重合体は、1層もしくは2層以上の多層構造を有するものであってもよく、また、耐衝撃性を高度に改良する観点から、一般に応力集中度の増大効果が高いことが知られている、例えば、内部に中空部分を有する構造も好適に使用されうる。ただし、コア(bc)を形成するゴム状重合体が多層構造を有する場合は、コア(bc)に含まれる全ての層のガラス転移温度が20℃以下、即ちコア(bc)はガラス転移温度が20℃以下の層のみで構成されたゴム状重合体であることを要する。コア(bc)中にガラス転移温度が20℃以上の層がある場合は、耐衝撃改良効果が小さくなる傾向にある。
(ガラス転移温度の測定方法)
なお、重合体のガラス転移温度(以下、Tgとも言う)は、例えば、示差走査熱量計により測定することができるが、本発明においては、ポリマーハンドブック[Polymer Hand Book (J.Brandrup,Interscience1989)]に記載されている値を使用してFoxの式を用いて算出した値を用いることとする(例えば、ポリメチルメタクリレートのTgは105℃であり、ポリブチルアクリレートのTgは−54℃であり、ポリ2−エチルヘキシルアクリレートのTgは−50℃である)。
(コア(bc)の重量比率)
前記グラフト共重合体(B)中におけるコア(bc)の重量比率は、50〜99.5重量%であるが、好ましくは60〜99.5重量%、より好ましくは70〜97重量%、特に好ましくは80〜97重量%である。グラフト共重合体(B)中におけるコア(bc)の重量比率が50重量%未満の場合には、例えば、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた際に、耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合がある。逆にコア(bc)の重量比率が99.5重量%を超える場合は、乳化重合ラテックスあるいは懸濁重合スラリーからグラフト共重合体(B)の粒子を回収する際に粗大化や塊状化が起こる場合がある。
(コア(bc)の体積平均粒子径)
本発明におけるコア(bc)の体積平均粒子径は特に限定されるものではないが、0.05μm〜0.5μmであることが好ましく、更には0.08μm〜0.3μmであることがより好ましい。グラフト共重合体(B)中のコア(bc)の体積平均粒子径が0.5μmを超える場合は、耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる場合があるだけでなく、熱可塑性樹脂組成物を用いて成形した成形体の表面光沢等の品質が低下する可能性がある。一方、グラフト共重合体(B)中のコア(bc)の体積平均粒子径が0.05μm未満の場合は、耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる場合がある。なお、上記体積平均粒子径は、例えば、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)を用いることにより測定することができる。
(コア(bc)の組成)
本発明におけるコア(bc)の組成としては、耐候性等の観点からポリ(メタ)アクリル酸エステル系のゴム状重合体であることが好ましいが、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性に代表される品質の観点から、例えば、(メタ)アクリル酸エステル45〜99.9重量%、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体0〜54.9重量%、及び多官能性単量体0.1〜10重量%からなるコア用単量体混合物(但し、総量は100重量%)を重合して得られる架橋ゴム状重合体であることが好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル)
前記コア用単量体混合物中の(メタ)アクリル酸エステル量は45〜99.9重量%であることが好ましいが、耐候性の観点から、より好ましくは60〜99.9重量%、更に好ましくは70〜99.9重量%、特に好ましくは80〜99.9重量%である。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、高度に耐衝撃性を改良できる観点から、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有しヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、または炭素数が1〜22のアルキル基を有しアルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。前記の(メタ)アクリル酸エステル類のアルキル基の炭素数については必ずしも制限されるものではないが、例えば炭素数が22を超えると重合性が劣る場合があるため、アルキル基の炭素数が22以下の(メタ)アクリル酸エステル類が好適に使用されうる。なお、これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。
中でも、(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃性改良剤のゴム状重合体コアとして汎用的に用いられている、アルキル基の炭素数が12以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が好適に使用されうる。具体的には、前記コア(bc)が、炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、炭素数が1〜12のアルキル基を有しヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、炭素数が1〜12のアルキル基を有しアルコキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が好適に使用されうる。なお、これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせても良い。
(ビニル単量体)
前記コア用単量体混合物中の(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体量は、0〜54.9重量%、または、0〜54.8重量%が好ましいが、耐候性の観点から、より好ましくは0〜39.9重量%、更に好ましくは0〜29.9重量%、特に好ましくは0〜19.9重量%である。
前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、及び酢酸ビニル等が例示されうる。中でも、グラフト共重合体(B)を配合した熱可塑性樹脂組成物の加工性の観点から、芳香族ビニル化合物、又はシアン化ビニル化合物がより好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。
(多官能性単量体)
前記コア用単量体混合物中の多官能性単量体の使用量は、0.1〜10重量%であることが好ましいが、耐衝撃性を改良する観点から、より好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%である。コア(bc)の形成に用いる多官能性単量体の使用量が10重量%を超える場合は、耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる場合がある。一方、コア(bc)の形成に用いる多官能性単量体の使用量が0.1重量%未満の場合は、成形中にグラフト共重合体(B)が形状を維持できない可能性があり、耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる場合がある。
前記多官能性単量体は、コア(bc)に架橋構造を導入する架橋剤の役割を有し、またコア(bc)に非架橋シェル(bs)がグラフト重合する際のグラフト点を供給するグラフト交叉剤の役割も有するものである。多官能性単量体の具体例としては、例えば、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、及び1,3−ブチレングリコール、ジメタクリレート等が挙げられる。中でも、グラフト交叉剤としての機能の観点から、アリルメタクリレートがより好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。
(非架橋シェル(bs))
本発明における非架橋シェル(bs)は、アクリル酸エステル52〜100重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜48重量%を含む非架橋シェル用単量体混合物を重合してなるものである。ここで、非架橋シェル(bs)を形成する重合体は、1層のみ、もしくは2層以上の多層構造を有するものであっても良い。
(非架橋シェル(bs)の重量比率)
前記グラフト共重合体(B)中における非架橋シェル(bs)の重量比率は、0.5〜50重量%であるが、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。グラフト共重合体(B)中における非架橋シェル(bs)の重量比率が50重量%を超える場合には、例えば、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた際に、耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合がある。逆に非架橋シェル(bs)の重量比率が0.5重量%未満の場合は、乳化重合ラテックスあるいは懸濁重合スラリーからグラフト共重合体(B)の粒子を回収する際に粗大化や塊状化が起こる場合がある。
(非架橋シェル(bs)の組成)
前記非架橋シェル用単量体混合物は、アクリル酸エステル52〜100重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜48重量%のみからなる単量体混合物(但し、総量は100重量%)とすることが好ましく、より好ましくは、アクリル酸エステル52〜97重量、及びこれらと共重合可能なビニル単量体3〜48重量%、更に好ましくは、アクリル酸エステル52〜95重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体5〜48重量%、更に好ましくは、アクリル酸エステル52〜90重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体10〜48重量%、更に好ましくは、アクリル酸エステル52〜80重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体20〜48重量%からなる単量体混合物(但し、総量は100重量%)である。
または、前記非架橋シェル用単量体混合物は、アクリル酸エステル55〜95重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体5〜45重量%、更に好ましくは、アクリル酸エステル60〜90重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体10〜40重量%、更に好ましくはアクリル酸エステル62〜85重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体15〜38重量%からなる単量体混合物、最も好ましくは、アクリル酸エステル65〜85重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体15〜35重量%からなる単量体混合物(但し、総量は100重量%)である。
更に、衝撃強度を特に向上させるためには、多くすることでシェルを軟らかくする、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃改良剤のゴム状重合体に汎用的に用いられるアルキル基の炭素数が12以下のアクリル酸エステルを、52〜85重量%、好ましくは65〜85重量%、より好ましくは75〜85重量%とすることが効果的である。シェルのアクリル酸エステルの重量比率が52重量%未満の場合は、例えば、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた際に、耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合がある。逆にアクリル酸エステルの重量比率が85重量%を超え、かつ、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を含有させない場合には、乳化重合ラテックスあるいは懸濁重合スラリーからグラフト共重合体(B)の粒子を回収する際に粗大化や塊状化が起こる場合がある。
また更に、熱可塑性樹脂組成物に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を含有させる場合には、シェルのアクリル酸エステルを増やしてもグラフト共重合体(B)を回収する際に粗大化や塊状化を抑制でき、シェルのアクリル酸エステルを75〜85重量%と増やしても生産性を維持することができ、かつ高い衝撃強度を発現させることができることから特に効果的である。
アクリル酸エステルおよびこれらと共重合可能なビニル単量体は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いてもよいが、シェル(bs)を非架橋とするために、多官能性単量体を用いないことが好ましい。
(非架橋シェル(bs)のアクリル酸エステルの例示)
前記非架橋シェル(bs)の重合に用いるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有しヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル類、アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有するアクリル酸エステル類、または炭素数が1〜22のアルキル基を有しアルコキシル基を有するアクリル酸エステル類が挙げられる。前記のアクリル酸エステル類のアルキル基の炭素数については必ずしも制限されるものではないが、例えば炭素数が22を超えると重合性が劣る場合があるため、アルキル基の炭素数が22以下のアクリル酸エステル類が好適に使用されうる。中でも、(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃性改良剤のゴム状重合体コアとして汎用的に用いられている、アルキル基の炭素数が12以下のアクリル酸アルキルエステル類が好適に使用されうる。なお、これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。
(非架橋シェル(bs)のビニル系単量体の例示)
本発明における非架橋シェル(bs)に用いられるアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体は、特に制限されるものではないが、例えば、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、ビニルカルボン酸類、ハロゲン化ビニル類、酢酸ビニルから選ばれる1種または2種以上の単量体が好適に使用されうる。ここで、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン等を例示することができる。メタクリル酸エステルとしてはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等を例示することできる。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を例示することができる。ビニルカルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸等を例示することができる。ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等を例示することができる。これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。これらのなかでも、熱可塑性樹脂(A)として塩化ビニル系樹脂を用いた場合、塩化ビニル系樹脂とグラフト共重合体(B)の相溶性の観点からメタクリル酸エステルを用いることが好ましい。
(水溶性高分子化合物(C)の定義)
本発明の組成物においては、熱可塑性樹脂(A)に対し、グラフト共重合体(B)と共に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を含有させることが好ましい。ここで物理ゲルとは、高分子間の水素結合やイオン結合あるいはキレート形成などによって形成される物理的橋架けによるゲルを意味する。また、物理ゲルを形成する性質を有するとは、水溶性高分子化合物単独の水溶液に、無機塩や酸等のゲル化剤の添加により、粘性流体(ゾル)から弾性体(ゲル)への変化が視覚的にとらえられることを意味し、本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)とは上記性質を有する水溶性高分子化合物と定義する。
(水溶性高分子化合物(C)の例示)
本発明で用いることのできる物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)としては、上記性質を発現できるものであれば特に制限はないが、例えば次の群から選ばれた1種または2種以上の混合物からなる水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム等の水溶性アルギン酸誘導体、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、ポリアクリル酸誘導体等が例示されうる。本発明においては、その目的を達成する意味において、これらの中でもカルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、若しくはポリアクリル酸誘導体がより好ましく、中でも水溶性アルギン酸誘導体が最も好ましく使用されうる。
なお、上記水溶性アルギン酸誘導体中のマンヌロン酸とグルロン酸の比率には特に制限はないが、グルロン酸比率が高いほど物理ゲルの形成能力が高くなる傾向があるため好ましく、通常は水溶性アルギン酸誘導体中のグルロン酸比率が5重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。また、上記水溶性アルギン酸誘導体に代表される水溶性高分子化合物の分子量には特に制限はないが、製造時の移液性の点から、B型粘度計により測定した1.0重量%濃度における水溶液の粘度が2〜22000mPa・sであることが好ましく、2〜1000mPa・sであることがより好ましい。
(添加方法)
本発明の熱可塑性樹脂組成物における物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)の添加方法としては、まず(C)を前記グラフト共重合体(B)に配合した上で、これを耐衝撃性改良剤として熱可塑性樹脂に配合するのが効果的である。特に前記グラフト共重合体(B)のラテックスに(C)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物を添加してこれを処理する方法が効果的である。
(水溶性高分子化合物(C)の含有量)
本発明における物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)の含有量は、グラフト共重合体(B)100重量部に対し、0.01〜3.0重量部であることが好ましく、更には0.05〜1.8重量部であることがより好ましい。物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)の含有量が0.01重量部より少ない場合は、耐衝撃改良剤となるグラフト共重合体(B)を回収する際に粗大化や塊状化が起こりやすくなる傾向にあり、これらの粗大化あるいは塊状化したグラフト共重合体が存在する場合は耐衝撃性付与効果が劣る傾向がある。逆に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)の含有量が3.0重量部よりも多い場合は、グラフト共重合体(B)を回収する際に粗大化や塊状化の抑制効果は向上するものの、耐衝撃性改良剤中に多量の水溶性高分子化合物(それに由来する物質を含む)が残存してしまい、耐衝撃性付与効果や成形加工時の熱安定性等の品質が低下する傾向にある。
(ゲル化剤の例示)
また、本発明においては、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)と共にゲル化剤を使用することが好ましい。より具体的には、例えば、前記グラフト共重合体(B)をラテックスから回収する際に、グラフト共重合体のラテックスと物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)の混合物に、ゲル化剤を添加することが好ましい。
本発明において使用され得るゲル化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、よう化カリウム、よう化リチウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、及び鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸等の無機酸類、酢酸、及び蟻酸等の有機酸類、又は、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、蟻酸ナトリウム、及び蟻酸カルシウム等の有機酸の塩類を単独または混合したものを用いることができる。
これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、及び鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸等の無機酸類、酢酸、及び蟻酸等の有機酸類を、単独または2種以上混合したものが好適に使用されうる。
なお本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)として水溶性アルギン酸誘導体を用いる場合は、ゲル化剤として、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウムなどが好適に使用されうる。
(ゲル化剤の添加量)
前記ゲル化剤の添加量には特に制限はないが、ゲル化剤の大部分はグラフト共重合体回収時における水洗工程により洗い流すことが可能で、グラフト共重合体(B)100重量部に対し1重量部未満残留していることが好ましく、更には0.01〜0.5重量部であることがより好ましい。グラフト共重合体(B)100重量部に対するゲル化剤の残留量が1重量部を超える場合には、例えば、熱可塑性樹脂に配合し、成形する際の加工性が変化する可能性があり、高い耐衝撃性効果が発現しにくくなる傾向があるだけでなく、成形体が黄変するなどの問題を引き起こす虞がある。
なお、グラフト共重合体(B)の回収時におけるゲル化剤の使用量は、グラフト共重合体(B)100重量部に対するゲル化剤の残留量が、1重量部未満であれば特に制限はないが、回収の容易さ、および製造コストの観点から、グラフト共重合体(B)100重量部に対し0.2〜20重量部が好ましく、更には1〜10重量部がより好ましい。
本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を、好ましくはゲル化剤と共に、本発明の熱可塑性樹脂組成物中、又は、前記グラフト共重合体(B)、及び物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を含む耐衝撃性改良剤中、に含有させる目的は、
(1)グラフト共重合体(B)の凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルが共存することにより、回収途中の凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させるためであり、また、
(2)グラフト共重合体(B)の凝固粒子を乾燥した後においても、凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルの乾燥物が共存することにより、凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させ、粗大化や塊状化を抑制できるためである。
(融着防止剤)
また、本発明の熱可塑性樹脂に、グラフト共重合体(B)と共に、これに添加するようにして例えば前記耐衝撃性改良剤の一部として、さらに融着防止剤を含ませることができる。このような融着防止剤には特に制限はないが、耐衝撃性改良効果等の品質と粗大化や塊状化を抑制する効果をより高いレベルで満足させることが可能となる点から、例えば、陰イオン性界面活性剤の多価金属塩および/またはシリコンオイルが好適に使用されうる。
(添加剤)
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、加工助剤等の添加剤を適宜添加することができる。
(熱可塑性樹脂組成物の製法)
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂(A)並びにグラフト共重合体(B)および物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を含む粉体等を予めヘンシェルミキサー、タンブラーなどを用いて混合した後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロールなどを用いて溶融混練することにより樹脂組成物を得る方法などを採用することができる。
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(グラフト共重合体G1の作製)
<コア(bc)の調製>
温度計と、攪拌機と、還流冷却器と、窒素流入口と、単量体の添加装置、及び乳化剤の添加装置と、を有するガラス反応器に、脱イオン水160重量部、及びラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を仕込んだ後、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。
次に、前記添加装置を通してコア用単量体混合物の一部である1層目用単量体混合物の更に一部として2−エチルヘキシルアクリレート(以下、2−EHAとも言う)8.50重量部、及びアリルメタクリレート(以下、AMAとも言う)0.04重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部と、の混合物を仕込み、その10分後に更に、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.01重量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液と、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部と、を仕込んだ。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である1層目用単量体混合物の残部として2−EHA4.93重量部、及びAMA0.03重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部と、からなる混合物を30分間かけて滴下した。このようにして、グラフト共重合体G1のコア(bc)の1層目を重合した。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である2層目用単量体混合物としてブチルアクリレート(以下、BAとも言う)76.12重量部、及びAMA0.38重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.1重量部と、からなる混合物を5時間かけて滴下した。また、前記混合物の滴下をしながら同時に、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを、5重量%濃度の水溶液として、同じく5時間にわたり連続的に追加した。
その後、更に1.5時間攪拌を続け、ガラス転移温度が−50℃の1層目、及びガラス転移温度が−54℃の2層目からなる2層であって、体積平均粒子径が0.14μmのアクリレート系ゴム状重合体をコア(bc)として得た。
<シェル(bs)の調製>
このアクリレート系ゴム状重合体に、非架橋シェル用単量体混合物としてメチルメタクリレート(以下、MMAとも言う)4.00重量部、及びBA6.00重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部と、の混合物を50℃で1時間にわたって連続的に追加した。前記混合物添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。このとき、単量体成分の重合転化率は99.2%であった。以上により、コア(bc)90重量%、及び非架橋シェル(bs)10重量%からなるグラフト共重合体G1のラテックスを得た。
<グラフト共重合体G1の白色樹脂粉末の調製>
まず、温度5℃のグラフト共重合体G1のラテックス(ポリマー固形分100重量部)を加圧ノズルの一種である旋回流式円錐ノズル(ノズル径0.6mm)を用い、直径60cmの円筒状の装置中の塔底部液面からの高さ5mの位置に、体積平均液滴径が約200μmの液滴となるように噴霧圧力3.7kg/cm2にて噴霧した。それと同時に、30重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、二流体ノズルにて空気と混合しながら、グラフト重合体G1固形分100重量部に対して塩化カルシウム固形分が5〜15重量部となるように、また、液滴径が0.1〜10μmとなるようにして噴霧した。塔内を落下したグラフト共重合体G1のラテックス液滴を、5℃、及び1.0重量%濃度の塩化カルシウム水溶液で満たされていた受槽にて、凝固ラテックス粒子を含む水溶液として回収した。
次に、得られた凝固ラテックス粒子を含む水溶液に、5重量%濃度のパルミチン酸カリウム水溶液を、グラフト共重合体G1固形分100重量部に対しパルミチン酸カリウム固形分が1.5重量部となるように添加し、これを熱処理した後、脱水、乾燥することにより、グラフト共重合体G1の白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価)
塩化ビニル系樹脂(カネビニールS−1001、株式会社カネカ製、平均重合度1000)100重量部、鉛系ワンパック安定剤(LGC3203、ACROS社製)4.5重量部、酸化チタン4.5重量部、炭酸カルシウム8重量部、メチルメタクリレート系重合体(該重合体0.1gを100mlのクロロホルムに溶解した溶液の30℃における比粘度が0.5未満のメチルメタクリレート系重合体)の加工助剤(カネエースPA−20、株式会社カネカ製)0.5重量部、およびグラフト共重合体G1の白色樹脂粉末6重量部をヘンシェルミキサーにてブレンドしてパウダーコンパウンドを得た。
得られたパウダーコンパウンドを、8インチテストロールを用いて180℃で5分間混練りした後、190℃のプレスで15分間加圧して厚さ3.0mmの成型体を得た。この成型体から耐衝撃性試験片を作成し、JIS K−7111に準じて、測定温度23度にてシャルピー強度を測定した。シャルピー強度の測定結果を表1に示す。
(比較例1、及び2)
シェル組成を表1に示した組成に変更する以外は実施例1と同様の方法で、グラフト共重合体のラテックスG2、及びG3を作製した後、グラフト共重合体のラテックスG2、及びG3を使用する以外は実施例1と同様の方法で、白色樹脂粉末の調製を試みた。
比較例1として実施した、グラフト共重合体G2を使用した場合は、白色樹脂粉末が調製できたが、比較例2として実施した、グラフト共重合体のラテックスG3を使用した場合は、凝固ラテックス粒子が塊状化したため白色樹脂粉末を回収することができなかった。
得られたグラフト共重合体G2の白色樹脂粉末を使用する以外は実施例1と同様の方法で、成型体を得て、実施例1と同様にしてシャルピー強度を測定した。シャルピー強度の測定結果を表1に示す。
(比較例3)
<コア(bc)の調製>
実施例1のグラフト共重合体G1のコア(bc)の1層目までの重合と同様にして、グラフト共重合体G4のコア(bc)の1層目までの重合を実施した。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である2層目用単量体混合物としてBA22.54重量部、及びAMA0.11重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.03重量部と、からなる混合物を1.5時間かけて滴下した。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である3層目用単量体混合物としてMMA9.95重量部、及びAMA0.05重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部と、からなる混合物を0.5時間かけて滴下した。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である4層目用単量体混合物としてBA43.63重量部、及びAMA0.22重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.06重量部と、からなる混合物を3時間かけて滴下した。また、前記混合物の滴下をしながら同時に、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを、5重量%濃度の水溶液として、同じく5時間にわたり連続的に追加した。
その後、更に1.5時間攪拌を続け、ガラス転移温度が−50℃の1層目、ガラス転移温度が−54℃の2層目、ガラス転移温度が105℃の3層目、及びガラス転移温度が−54℃の4層目からなる4層構造を有し、体積平均粒子径が0.14μmのアクリレート系ゴム状重合体をコア(bc)として得た。
<シェル(bs)の調製>
このグラフト共重合体G4のコア(bc)であるアクリレート系ゴム状重合体に、実施例1のグラフト共重合体G1のシェル(bs)の調製と同様にして、グラフト共重合体G4のシェル(bs)の調製を実施した。実施例1と同様に、このとき、単量体成分の重合転化率は99.2%であった。以上により、コア(bc)90重量%、及び非架橋シェル(bs)10重量%からなるグラフト共重合体G4のラテックスを得た。
<グラフト共重合体G4の白色樹脂粉末の調製>
グラフト共重合体G4のラテックスから、実施例1のグラフト共重合体G1の白色樹脂粉末の調製と同様にして、グラフト共重合体G4の白色樹脂粉末の調製を実施した。
(熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価)
実施例1の熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価と同様にして、グラフト共重合体G4の白色樹脂粉末を用いて、成型体を得て、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
表1に、実施例1と、比較例1、2、及び3と、で得られたグラフト共重合体の配合部数(重量部)と、コアの各層の組成、及びガラス転移温度と、体積平均粒子径と、コア(bc)/シェル(bs)重量比率と、シェルのアクリル酸エステルの重量比率と、これらのグラフト共重合体を塩化ビニル系樹脂に配合してロール・プレス成形した成形体のシャルピー強度と、を示す。
Figure 2007105717
実施例1(シェルのアクリル酸エステル60%)と、比較例1(シェルのアクリル酸エステル5重量%)とを比較することにより、グラフト共重合体(B)が本発明で規定する範囲内であれば、耐衝撃性改良効果が大きくなることが分かる。また、実施例1と、比較例3と、を比較することにより、コアにガラス転移温度が20℃以上の層を導入すると、耐衝撃性改良効果が劣ることが分かる。
(実施例2)
(グラフト共重合体XG1の作製)
<コア(bc)の調製>
まず、実施例1のグラフト共重合体G1のコア(bc)の1層目までの重合と同様にして、グラフト共重合体XG1のコア(bc)の1層目までの重合を実施した。
次に、コア用単量体混合物の一部である2層目用単量体混合物としてBA78.11重量部、及びAMA0.39重量部を用いたことを除いて、実施例1のグラフト共重合体G1のコア(bc)の2層目の重合と同様にして、グラフト共重合体XG1のコア(bc)の2層目の重合を実施した。
このようにして、ガラス転移温度が−50℃の1層目、及びガラス転移温度が−54℃の2層目からなる2層であって、体積平均粒子径が0.14μmのアクリレート系ゴム状重合体をコア(bc)として得た。
<シェル(bs)の調製>
このグラフト共重合体XG1のコア(bc)であるアクリレート系ゴム状重合体に、非架橋シェル用単量体混合物としてMMA3.20重量部、及びBA4.80重量部を用いたことを除いて、実施例1のグラフト共重合体G1のシェル(bs)の重合と同様にして、グラフト共重合体XG1のシェル(bs)の重合を実施した。このとき、単量体成分の重合転化率は99.2%であった。以上により、コア(bc)92重量%、及び非架橋シェル(bs)8重量%からなるグラフト共重合体XG1のラテックスを得た。
<グラフト共重合体XG1の混合ラテックスの調製>
グラフト共重合体XG1のラテックス(ポリマー固形分100重量部)に、1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製アルギテックスLL)水溶液を、グラフト共重合体XG1の固形分100重量部に対し、アルギン酸ナトリウム固形分が0.4重量部になるように添加し、3分間攪拌混合してグラフト共重合体XG1の混合ラテックスを作製した。なお、前記1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム水溶液のB型粘度計により測定した室温での水溶液粘度は、120m・Pa・sであった。
<グラフト共重合体XG1の白色樹脂粉末の調製>
温度20℃のグラフト共重合体XG1の混合ラテックスを噴霧したことを除いて、実施例1のグラフト共重合体G1の白色樹脂粉末の調製と同様にして、グラフト共重合体XG1の混合ラテックスから、グラフト共重合体XG1の白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、及び評価)
実施例1の熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、及び評価におけるグラフト共重合体G1の白色樹脂粉末6重量部に代えて、グラフト共重合体XG1の白色樹脂粉末6重量部を配合したことを除いて実施例1と同様の方法で、成型体を得て、実施例1と同様にしてシャルピー強度を測定した。シャルピー強度の結果を表2に示す。
(比較例4および5)
グラフト共重合体(B)のシェル組成を表2に示した組成に変更する以外は、実施例2と同様の方法でグラフト共重合体のラテックスXG2、及びXG3を作製した後、グラフト共重合体のラテックスXG2、及びXG3を使用する以外は、実施例2と同様の方法で、白色樹脂粉末を調製した。
得られたグラフト共重合体XG2、及びXG3の白色樹脂粉末を使用する以外は、実施例2と同様の方法で成形体を得て、実施例2と同様にしてシャルピー強度を測定した。シャルピー強度の結果を表2に示す。
(比較例6)
<コア(bc)の調製>
実施例1のグラフト共重合体G1のコア(bc)の1層目までの重合と同様にして、グラフト共重合体XG4のコア(bc)の1層目までの重合を実施した。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である2層目用単量体混合物としてBA23.53重量部、及びAMA0.12重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.03重量部と、からなる混合物を1.5時間かけて滴下した。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である3層目用単量体混合物としてMMA9.95重量部、及びAMA0.05重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部と、からなる混合物を0.5時間かけて滴下した。
その状態で1時間攪拌した後、そこに、コア用単量体混合物の一部である4層目用単量体混合物としてBA44.63重量部、及びAMA0.22重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.06重量部と、からなる混合物を3時間かけて滴下した。また、前記混合物の滴下をしながら同時に、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを、5重量%濃度の水溶液として、同じく5時間にわたり連続的に追加した。
その後、更に1.5時間攪拌を続け、ガラス転移温度が−50℃の1層目、ガラス転移温度が−54℃の2層目、ガラス転移温度が105℃の3層目、及びガラス転移温度が−54℃の4層目からなる4層構造を有し、体積平均粒子径が0.14μmのアクリレート系ゴム状重合体をコア(bc)として得た。
<シェル(bs)の調製>
このグラフト共重合体XG4のコア(bc)であるアクリレート系ゴム状重合体に、非架橋シェル用単量体混合物としてMMA3.20重量部、及びBA4.80重量部と、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部と、の混合物を50℃で1時間にわたって連続的に追加した。前記混合物追加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けてグラフト共重合体XG1のシェル(bs)の重合を完結させた。このとき、単量体成分の重合転化率は99.6%であった。以上により、コア(bc)92重量%、及び非架橋シェル(bs)8重量%からなるグラフト共重合体XG4のラテックスを得た。
<グラフト共重合体XG4の混合ラテックスの調製>
実施例2と同様にして、グラフト共重合体XG4のラテックスから、グラフト共重合体XG4の混合ラテックスを作製した。
<グラフト共重合体XG4の白色樹脂粉末の調製>
温度20℃のグラフト重合体XG4の混合ラテックスを噴霧したことを除いて、実施例1のグラフト共重合体G1の白色樹脂粉末の調製と同様にして、グラフト共重合体XG4の混合ラテックスから、グラフト共重合体XG4の白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価)
このグラフト共重合体XG4の白色樹脂粉末を使用する以外は、実施例2と同様の方法で成形体を得て、シャルピー強度を測定した。結果を表2に示す。
表2には、実施例2と、比較例4、5、及び6と、で得られたグラフト共重合体の配合部数(重量部)と、コアの各層の組成、及びガラス転移温度と、体積平均粒子径と、コア(bc)/シェル(bs)重量比率と、シェルのアクリル酸エステルの重量比率と、これらのグラフト共重合体を塩化ビニル系樹脂に配合してロール・プレス成形した成形体のシャルピー強度と、を示す。
Figure 2007105717
実施例2(シェルのアクリル酸エステル60重量%)と、比較例4(シェルのアクリル酸エステル20重量%)、及び5(シェルのアクリル酸エステル5重量%)と、を比較することにより、グラフト共重合体(B)が本発明で規定する範囲内であれば、耐衝撃性改良効果が大きくなることが分かる。また、実施例2と、比較例6とを比較することにより、コア(bs)にガラス転移温度が20℃以上の層を導入すると、耐衝撃性改良効果が劣ることが分かる。
(比較例7)
<コア(bc)の調製>
まず、実施例1のグラフト共重合体G1のコア(bc)の1層目までの重合と同様にして、グラフト共重合体YG1のコア(bc)の1層目までの重合を実施した。
次に、コア用単量体混合物の一部である2層目用単量体混合物としてBA70.15重量部、及びAMA0.35重量部を用いたことを除いて、実施例1のグラフト共重合体G1のコア(bc)の2層目の重合と同様にして、グラフト共重合体YG1のコア(bc)の2層目の重合を実施した。
このようにして、ガラス転移温度が−50℃の1層目、及びガラス転移温度が−54℃の2層目からなる2層であって、体積平均粒子径が0.14μmのアクリレート系ゴム状重合体をコア(bc)として得た。
<シェル(bs)の調製>
このグラフト共重合体YG1のコア(bc)であるアクリレート系ゴム状重合体に、非架橋シェル用単量体混合物としてMMA11.20重量部、及びBA4.80重量部を用いたことを除いて、実施例1のグラフト共重合体G1のシェル(bs)の重合と同様にして、グラフト共重合体YG1のシェル(bs)の重合を実施した。このとき、単量体成分の重合転化率は98.7%であった。以上により、コア(bc)84重量%、及び非架橋シェル(bs)16重量%からなるグラフト共重合体YG1のラテックスを得た。
<グラフト共重合体YG1の混合ラテックスの調製>
このグラフト共重合体YG1のラテックス(ポリマー固形分100重量部)から、実施例2のグラフト共重合体XG1の混合ラテックスの調製と同様にして、グラフト共重合体YG1の混合ラテックスを作製した。
<グラフト共重合体YG1の白色樹脂粉末の調製>
このグラフト共重合体YG1の混合ラテックス)から、実施例2のグラフト共重合体XG1の白色樹脂粉末の調製と同様にして、グラフト共重合体YG1の白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価)
塩化ビニル系樹脂(カネビニールS−1001、株式会社カネカ製、平均重合度1000)100重量部、スズ系安定剤(TM−181FSJ、勝田化工株式会社製)1.0重量部、パラフィンワックス1重量部、ステアリン酸カルシウム(SC−100、堺化学工業株式会社製)1.15重量部、ポリオレフィンワックス(Allied Signal Inc.社製ACPE−629A)0.2重量部、酸化チタン1重量部、炭酸カルシウム15重量部、メチルメタクリレート系重合体(カネエースPA−40、株式会社カネカ製)0.8重量部、及びグラフト共重合体YG1の白色樹脂粉末2.2重量部をヘンシェルミキサーにてブレンドしてパウダーコンパウンドを得た。
得られたパウダーコンパウンドを、HAAKE社製CTW100Pを用いて、以下の成形条件で成形することで、1mmのシートを得た。
(成形条件)
フィーダー回転数 100rpm
スクリュー回転数 60rpm
TS−E1 130℃
TS−E2 140℃
TS−E3 150℃
TS−D1 190℃
この成型体からガードナー強度測定用試験片を作成し、ASTM D4226−93に準じて、測定温度0℃にてガードナー強度を測定した。ガードナー強度の測定結果を表3に示す。
(実施例3、4)
シェル組成を表3に示した組成に変更する以外は比較例7と同様の方法で、グラフト共重合体のラテックスYG2、及びYG3を作製した後、グラフト共重合体のラテックスYG2、及びYG3を使用する以外は、実施例2と同様の方法で、白色樹脂粉末を調製した。
次に、得られたグラフト共重合体YG2、及びYG3を使用する以外は、比較例7と同様の方法で、成形体を得て、比較例7と同様にしてガードナー強度を測定した。ガードナー強度の測定結果を表3に示す。
表3に、実施例3、及び4と、比較例7と、で得られたグラフト共重合体の配合部数(重量部)と、コアの各層の組成、及びガラス転移温度と、体積平均粒子径と、コア(bc)/シェル(bs)重量比率と、シェルのアクリル酸エステルの重量比率と、これらのグラフト共重合体を塩化ビニル系樹脂に配合して押出成形した成形体のガードナー強度と、を示す。
Figure 2007105717
比較例7(シェルのアクリル酸エステル30重量%)と、実施例3(シェルのアクリル酸エステル60重量%)、及び4(シェルのアクリル酸エステル80重量%)と、を比較することにより、グラフト共重合体(B)が本発明で規定する範囲内であれば、耐衝撃性改良効果が大きくなることが分かる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂(A)100重量部、及びグラフト共重合体(B)0.5〜20重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、該グラフト共重合体(B)が、コア(bc)50〜99.5重量%、及び非架橋シェル(bs)0.5〜50重量%のみからなり、該コア(bc)がガラス転移温度20℃以下の層のみで構成され、さらに、該非架橋シェル(bs)が、アクリル酸エステル52〜100重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜48重量%を含む非架橋シェル用単量体混合物を重合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物であって、前記コア(bc)が、(メタ)アクリル酸エステル45〜99.9重量%、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体0〜54.9重量%、及び多官能性単量体0.1〜10重量%のみからなるコア用単量体混合物を重合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1、又は2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物であって、前記非架橋シェル用単量体混合物が、アクリル酸エステル52〜100重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体0〜48重量%のみからなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物であって、前記非架橋シェル用単量体混合物が、アクリル酸エステル52〜95重量%、及びこれらと共重合可能なビニル単量体5〜48重量%のみからなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物であって、さらに、前記グラフト共重合体(B)100重量部に対し、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(C)を0.01〜3.0重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物であって、前記水溶性高分子化合物(C)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、及びポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種または2種以上である熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物であって、前記水溶性高分子化合物(C)が、水溶性アルギン酸誘導体である熱可塑性樹脂組成物。
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