JPH0774306B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0774306B2
JPH0774306B2 JP3338732A JP33873291A JPH0774306B2 JP H0774306 B2 JPH0774306 B2 JP H0774306B2 JP 3338732 A JP3338732 A JP 3338732A JP 33873291 A JP33873291 A JP 33873291A JP H0774306 B2 JPH0774306 B2 JP H0774306B2
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layer
weight
thermoplastic resin
graft copolymer
parts
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和正 釜田
和雄 上田
潔一 北井
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高い耐衝撃性及び良好な
成形加工性を付与し得、且つ耐候性も良好な熱可塑性樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂、とりわけ塩化ビニル系樹
脂(以下PVCと略記する。)は汎用樹脂として広く使
用されているが、その機械的性質は必ずしも満足し得る
ものではない。即ちPVCは衝撃強度、特にノッチ付き
の衝撃強度に劣り、かかる衝撃強度を改良する目的で種
々の改質剤が提案されている。
【0003】これら提案の内最も有効な方法として共役
ジエン弾性体にメタクリル酸アルキルエステル及び芳香
族ビニル化合物をグラフト重合したいわゆるMBS樹
脂、共役ジエン弾性体にビニルシアン化合物及び芳香族
ビニル化合物をグラフト重合したABS樹脂をPVCと
ブレンドする方法が知られている。しかしながらこれら
MBS樹脂、ABS樹脂は弾性体成分の主鎖に多くの二
重結合を含むため、屋外で長時間使用された場合、チョ
ーキング現象、衝撃強度の低下等を引き起こし易く屋外
用途には適さない。
【0004】また飽和のアクリル酸アルキルエステルを
共役ジエンに一部代替した弾性体を用いる方法も提案さ
れている。この場合には高い衝撃強度改良効果を示す
が、耐候性はMBS樹脂やABS樹脂程でないにしても
やはり悪いという欠点を有している。
【0005】さらに弾性体として飽和のポリアクリル酸
アルキルエステルを用い、メタクリル酸アルキルエステ
ル、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物等をグ
ラフト重合した共重合体をPVCとブレンドした耐候性
良好な樹脂組成物も種々提案されている。
【0006】しかしながらこれらの共重合体はよく混練
りのきく条件(以下低滑性条件という。)ではMBS樹
脂程ではないにしても、かなりの衝撃強度改良効果を示
すが、多量の滑剤を用いた場合、あるいは比較的低温加
工された場合等の混練のきかない条件(以下高滑性条件
という。)では殆んど衝撃強度改良効果を示さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる現
状に鑑み鋭意検討した結果アクリル酸アルキルエステル
弾性体を用いた多層グラフト共重合体をPVC中に均一
に分散させることが衝撃強度発現性に大きく寄与するこ
とを知り、さらに驚くべきことに従来よく知られてい
る、弾性体にPVCと相溶性のよい樹脂成分をグラフト
重合した多層グラフト共重合体よりも最外層のガラス転
移温度(以下Tgと略記する。)が0℃以下、最外層か
ら2番目の層のTgが60℃以上、最外層から3番目の
層のTgが0℃以下である少なくとも三層構造からなる
多層構造を有する多層グラフト共重合体の方が高滑性条
件で剪断応力が低い場合でも多層グラフト共重合体が速
かに溶融し易く、PVC樹脂組成物のゲル化が早まり分
散状態が極めて良好となること、しかもかかるPVC樹
脂組成物は広範囲の成形条件において高い衝撃強度を示
すことが可能であり、且つ加工性が良好であり、表面光
沢にも優れ、さらに耐候性も良好であることを見出し本
発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は熱可塑性樹脂1
00重量部とアクリル酸アルキルエステル、メタクリル
酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物及びビニルシ
アン化合物からなる単量体群から選ばれた単量体から構
成され、最外層(A)を構成する重合体のガラス転移温
度が0℃以下、最外層(A)から2番目の層(B)を構
成する重合体のガラス転移温度が60℃以上、最外層
(A)から3番目の層(C)を構成する重合体のガラス
転移温度が0℃以下である層(A)、(B)及び(C)
の少なくとも三層構造からなる多層構造を有し、且つ各
層において各層に対して多官能性架橋剤0〜5重量%を
含有する多層グラフト共重合体からなる耐候性良好な熱
可塑性樹脂用耐衝撃性改質剤3〜50重量部とからなる
耐候性、耐衝撃性及び成形加工性良好な熱可塑性樹脂組
成物にある。
【0009】本発明の耐衝撃性改質剤としては少なくと
も三段階にわたって重合して得られた三層以上の多層構
造を有することが必須であり、最外層から数えて4番目
の層がその単独重合体のTgが60℃以上である重合体
からなる四層グラフト共重合体であっても、また最外層
から数えて5番目の層がその単独重合体のTgが0℃以
下である重合体からなる五層グラフト共重合体のような
多層グラフト共重合体であってもよく、かかる場合でも
耐衝撃性改良効果は同様に示す。
【0010】本発明の耐衝撃性改質剤を構成する単量体
群はアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキ
ルエステル、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合
物から構成されるものである。
【0011】アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
ルキル基の炭素数が2〜10個のものが好ましく例えば
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸オクチル及びアクリル酸2エチル−ヘキ
シル等が挙げられる。
【0012】メタクリル酸アルキルエステルとしては、
アルキル基の炭素数が1〜4個のものが好ましく例えば
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸イソブチル及びメタクリル酸
ターシャリブチル等が挙げられる。PVCとの相溶性を
考慮するとメタクリル酸メチルが特に好ましいものであ
る。
【0013】また芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−置換スチレン、各置換スチレン及びその誘導
体、例えばα−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ルトルエン等が挙げられる。
【0014】さらにビニルシアン化合物としてはアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0015】本発明の耐衝撃性改質剤を構成する最外層
(A)成分は、最外層(A)自体のTgが0℃以下とな
るように前記単量体群の中から選ばれる。最外層(A)
中の前記単量体の組成割合はアクリル酸アルキルエステ
ルが60〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステ
ル0〜40重量%、芳香族ビニル化合物0〜40重量
%、ビニルシアン化合物0〜20重量%の範囲で使用可
能である。最外層(A)自体のTgが0℃を超える場合
には最終的に得られる改質剤をPVCとブレンドして成
形すると(A)層部分の溶融が遅く、所望とする耐衝撃
性改良効果が充分得られにくい。
【0016】最外層(A)の多層グラフト共重合体総量
中に占める割合は10〜50重量%が好ましく、10重
量%未満の割合では耐衝撃性改良効果が小さく、また5
0重量%を超える割合ではPVCとブレンドして成形す
る際の成形加工性が悪くなるので好ましくない。
【0017】また最外層(A)から2番目の層(B)の
成分は、層(B)自体のTgが60℃以上となるように
前記単量体群の中から選ばれる。層(B)中の前記単量
体の組成割合はメタクリル酸アルキルエステル0〜10
0重量%、芳香族ビニル化合物0〜100重量%、ビニ
ルシアン化合物0〜30重量%、アクリル酸アルキルエ
ステル0〜20重量%の範囲で使用可能である。層
(B)自体のTgが60℃未満では多層グラフト重合体
が良粉として得られにくい。層(B)の成分としては、
PVCとブレンドする場合にはメタクリル酸アルキルエ
ステルが好ましく、特にメタクリル酸メチルが好まし
い。芳香族ビニル化合物はPVCとのブレンド成形時に
その流動性を向上させるが、多量に用いた場合には相溶
性が悪化し、耐衝撃性が低下する。またビニルシアン化
合物はPVCとのブレンド時のゲル化を促進させるため
好ましいものであるが多量に用いると成形時に帯色しや
すくなりまた加工性も悪化する。
【0018】層(B)の多層グラフト共重合体総量中に
占める割合は20〜60重量%が好ましく、20重量%
未満の割合ではPVCとブレンドして成形する際の成形
加工性が劣るので好ましくない。また60重量%を超え
る割合では多層グラフト共重合体全体に占める弾性体成
分量が減少することになり耐衝撃性改良効果が小さく好
ましくない。
【0019】さらに最外層(A)から3番目の層(C)
の成分は、層(C)自体のTgが0℃以下となるように
前記単量体群の中から選ばれる。層(C)中の前記単量
体の組成割合はアクリル酸アルキルエステル60〜10
0重量%、メタクリル酸アルキルエステル0〜40重量
%、芳香族ビニル化合物0〜40重量%、ビニルシアン
化合物0〜20重量%の範囲で使用可能である。層
(C)自体のTgが0℃を超える場合には層(C)自体
の弾性的性質が損われ、所望とする耐衝撃性改良効果が
得られにくい。
【0020】層(C)の多層グラフト共重合体総量中に
占める割合は10〜60重量%が好ましく、10重量%
未満の割合では耐衝撃性改良効果が小さく、また60重
量%を超える割合ではPVCとブレンドして成形する際
の成形加工性が劣るので好ましくない。
【0021】本発明における多官能性架橋剤は本発明の
耐衝撃性改質剤を製造する際のグラフト交叉結合を容易
にならしめるだけでなく、乳化重合体ラテックスの凝固
性も大幅に改良するものである。多官能性架橋剤として
は、ジビニルベンゼン、アクリル酸又はメタクリル酸と
多価アルコールとのエステルであるジアクリル酸エステ
ル又はジメタクリル酸エステル、あるいはシアヌル酸ト
リアリル、イソシアヌル酸トリアリル、アクリル酸アリ
ル、メタクリル酸アリル、イタコン酸ジアリル、フタル
酸ジアリル等が挙げられる。なおグラフト交叉性を考え
るならばアリル基を有する架橋剤が好ましいものであ
る。
【0022】多官能性架橋剤の各層中に占める割合は0
〜5重量%である。5重量%を超えて使用する場合には
弾性体層なる最外層(A)又は層(C)があまりにも弾
性的性質を損う。また樹脂層なる層(B)はPVCとの
相溶性が悪化するため、いずれも耐衝撃性改良効果が低
下するため好ましくない。多官能性架橋剤の各層中に占
める割合は多層グラフト共重合体製造時の乳化重合体ラ
テックスの凝固性、さらには得られる多層グラフト共重
合体の耐衝撃性改良効果を考慮すると0.1〜3重量%
の範囲がより好ましい。
【0023】本発明の耐衝撃性改質剤なる多層グラフト
共重合体は通常の乳化重合法で製造することが好まし
い。
【0024】乳化剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸
エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキ
ルリン酸エステル塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩等
のアニオン性界面活性剤、またポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等
のノニオン性界面活性剤、更にアルキルアミン塩等のカ
チオン性界面活性剤を使用することができる。これらの
界面活性剤は単独で又は併用して使用することができ
る。また乳化剤の種類により、重合系のpHがアルカリ
側となる時は、アクリル酸アルキルエステルの加水分解
を防止するため、適当なpH調節剤を使用することもで
きる。
【0025】重合開始剤としては、通常の過硫酸塩など
の無機開始剤、又は有機過酸化物、アゾ化合物等を単独
で用いるか、あるいは上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水
素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアル
デヒドスルホキシレート等とを組み合わせ、レドックス
系開始剤として用いることもできる。開始剤として好ま
しい過硫酸塩は過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム等であり、有機過酸化物としては、t
−ブチルハイドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキ
シド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等である。
【0026】重合体の分子量を調節するために連鎖移動
剤を使用してもよく、炭素数5〜20のアルキルメルカ
プタン等が使用可能である。
【0027】重合は開始剤の分解温度以上の温度にて、
通常の乳化重合条件下で少なくとも最外層(A)、最外
層(A)から2番目の層(B)及び最外層(A)から3
番目の層(C)が前述したような構造になるように行う
ことができる。この際に各段階いずれの重合について
も、各単量体又は単量体の混合物の全量を一度に、ある
いは全量又は一部を連続的に添加しながら行うことがで
きる。ただし重合の安定性、重合反応熱の除去等の点か
らは全量又は一部を添加しながら重合を行うことが好ま
しい。
【0028】多層グラフト共重合体の粒子径は、PVC
樹脂組成物の衝撃強度に大きな影響を与える。粒子径が
小さすぎると衝撃強度改良効果が小さくラテックスの安
定性を損わない程度にできるだけ大きい方が好ましい。
グラフト共重合体の粒子径は0.15〜0.40μの範
囲がよく、適当な乳化剤種類、量で調整するか、あるい
は適当な重合段階において酸又は無機塩等の肥大化剤を
用いて調整することもできる。
【0029】得られたラテックスから多層グラフト共重
合体を回収するに際しては、塩析、あるいは酸析凝固
し、濾過水洗後粉末状で回収するか、あるいは噴霧乾
燥、凍結乾燥等により回収することができる。さらに、
特開昭57−187322号公報に記載される方法で回
収することもできる。
【0030】本発明の耐衝撃性改質剤は前述のような多
層構造を有するグラフト共重合体であり、種々の熱可塑
性樹脂に高い耐衝撃性、良好な加工性を付与し、且つ成
形品の耐候性も良好な改質剤である。
【0031】本発明の耐衝撃性改質剤を熱可塑性樹脂に
配合する割合は熱可塑性樹脂100重量部に対し3〜5
0重量部である。3重量部未満の配合割合では耐衝撃性
改良効果が少なく、また50重量部を超える場合には熱
可塑性樹脂本来が有する機械的性質が損われてしまうの
で共に好ましくない。ここで熱可塑性樹脂とはPVC、
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニ
トリル−スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレ
ン系樹脂等が挙げられる。PVCとしてはポリ塩化ビニ
ルの他、塩化ビニル70重量%以上からなる塩化ビニル
系共重合体が使用できる。塩化ビニルに共重合するモノ
マーとしてはエチレン、プロピレン、臭化ビニル、塩化
ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル等が用いられる。
【0032】本発明の耐衝撃性改質剤と熱可塑性樹脂と
の配合は好ましくは粉末状で、例えばリボンブレンダ
ー、ヘンシェルミキサー等により行い、公知の混練機、
例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機
及び射出成形機等によって成形加工される。なお配合に
際しては公知の安定剤、可塑剤、滑剤及び着色剤等を必
要に応じて添加してもよい。
【0033】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお実施例中「部」及び「%」は夫々「重量部」、
「重量%」を意味するものである。
【0034】また、各実施例、比較例中の共重合体のT
gはFoxの式より求めたものである。
【0035】実施例1 (a)多層グラフト共重合体の製造 反応容器に窒素置換したイオン交換水190部を入れ、
半硬化牛脂脂肪酸石けん1.2部、過硫酸カリ0.6部
を溶解し、70℃に保持しながら、層(C)成分として
アクリル酸n−ブチル19.85部、トリアリルイソシ
アヌレート0.15部よりなる混合物を1時間にわたり
滴下した。滴下終了後同温度に保ちながら1時間保持
し、重合を完結させた。重合率は99.0%であった。
【0036】この重合体ラテックスに層(B)成分とし
てメタクリル酸メチル49.7部、トリアリルイソシア
ヌレート0.3部とからなる混合物を2時間にわたり、
温度を70℃に保ちながら滴下し、滴下終了後1時間保
持を行い、重合を完結させた。重合率は99.5%であ
った。
【0037】得られた重合体ラテックスに過硫酸カリ
0.2部を水10部に溶解して追加し、層(A)成分と
してアクリル酸n−ブチル29.8部、トリアリルイソ
シアヌレート0.2部の混合物を90分にわたり、温度
を70℃に保ちながら滴下し、滴下終了後1時間保持を
行い重合を完結させた。重合率は99.3%で、得られ
たグラフト共重合体の平均粒子径は0.25μであっ
た。
【0038】得られた多層グラフト共重合体ラテックス
を硫酸水溶液に加え、酸析凝固したのち、洗浄脱水し乾
燥を行い、グラフト共重合体を粉末状にて回収した(実
施例1−1))。
【0039】さらに層(C)、層(B)、層(A)の組
成割合を種々変更し、前記同様の重合処方にて得た多層
グラフト共重合体を得た。これらを表1に示す。
【0040】(b)塩化ビニル樹脂との配合組成物の製
造 上記(a)により得られた各多層グラフト共重合体13
部と平均重合度700の塩化ビニル樹脂87部の計10
0部にジブチル錫マレート2.5部、ブチルステアレー
ト0.8部、滑剤0.7部を加え、ヘンシェルミキサー
中で115℃まで昇温させて均一な混合物を得た。この
塩化ビニル樹脂組成物を175℃に調整したミキシング
ロールで3分間混練後得られたシートを加熱プレスして
試験片を作成し、その衝撃強度を測定した。衝撃強度は
ASTM−D256に従い、Vノッチ付アイゾット衝撃
試験を行った。この塩化ビニル樹脂組成物の配合条件、
成形条件を低滑性条件とする。
【0041】また上記(a)により得られた各多層グラ
フト共重合体13部と平均重合度700の塩化ビニル樹
脂87部の計100部に三塩基性硫酸鉛2.0部、二塩
基性ステアリン酸鉛0.3部、ステアリン酸鉛2.0
部、ステアリン酸0.3部を加え、ヘンシェルミキサー
中で115℃まで昇温させて均一な混合物を得た。この
塩化ビニル樹脂組成物を30mmφ単軸押出機で以下の
条件で角棒成形を行った。
【0042】シリンダー1 150℃ シリンダー2 165℃ シリンダー3 180℃ ダイス 200℃ スクリュー CR=3.0,30mmφフルフライトス
クリュー 成形品の衝撃強度は2mm深さのUノッチを付けた試片
を用いる以外はASTM−D−256に従い測定した。
この塩化ビニル樹脂組成物の配合条件、成形条件を高滑
性条件とする。
【0043】これらの測定結果を表1に併せて示した。
【0044】なお表1には上記塩化ビニル樹脂自身の高
滑性条件及び低滑性条件での衝撃強度も併せて示した。
【0045】比較例1 反応容器に窒素置換したイオン交換水190部を入れ、
半硬化牛脂脂肪酸石けん1.2部、過硫酸カリ0.4部
を溶解し、70℃に保持しながらアクリル酸n−ブチル
59.7部、トリアリルイソシアヌレート0.3部より
なる混合物を3時間にわたり滴下した。滴下終了後同温
度に保ちながら1時間保持し重合を完結させた。重合率
は99.5%であった。
【0046】この重合体ラテックスに過硫酸カリ0.2
部を10部の水に溶解して加え、メタクリル酸メチル3
9.8部、トリアリルイソシアヌレート0.2部よりな
る混合物を2時間にわたり70℃に保ちながら滴下し
た。滴下終了後同温度に保ちながら1時間保持し重合を
完結した。重合率は99.7%であった。グラフト重合
体の平均粒子径は0.23μであった。
【0047】このグラフト重合体ラテックスから実施例
1と同様にしてグラフト共重合体を回収した。
【0048】このグラフト共重合体を実施例1の(b)
と同じ処方により配合した組成物を同様の高滑性条件及
び低滑性条件における衝撃強度を測定した。これらの結
果を表2に示す。
【0049】比較例2 比較例1において、1段目の過硫酸カリを0.2部に変
更し、メタクリル酸メチル39.8部、トリアリルイソ
シアヌレート0.2部よりなる混合物を同様に重合させ
た。
【0050】さらに、この重合体ラテックスに過硫酸カ
リ0.4部を水10部に溶解して加え、アクリル酸n−
ブチル59.7部、トリアリルイソシアヌレート0.3
部よりなる混合物を比較例1と同様にして重合を完結さ
せ、グラフト共重合体を回収した。
【0051】このグラフト共重合体を実施例1の(b)
と同じ処方により配合した組成物を同様の高滑性条件及
び低滑性条件における衝撃強度を測定した。これらの結
果を表2に併せて示す。
【0052】表1、表2の結果から明らかなように本発
明の耐衝撃性改質剤は特に高滑性条件で高い耐衝撃性改
良効果を示すことがわかる。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】表1、表2中の略号は次の通りであり、以
後の場合も同じである。
【0056】BA:アクリル酸n−ブチル MMA:メタクリル酸メチル TAIC:トリアリルイソシアヌレート 実施例2、比較例3〜4 層(C)成分、層(B)成分及び層(A)成分の単量体
及び架橋剤の種類ならびに使用部数を表3に示すように
変更する以外は実施例1と全く同じように操作して得た
多層グラフト共重合体を実施例1の(b)と同様の方法
で衝撃強度を測定した。これらの結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】表3中の略号は次の通りであり、以後の場
合も同じである。
【0059】2EHA:2エチル−ヘキシルアクリレー
ト St:スチレン AN:アクリロニトリル AMA:メタクリル酸アリル 比較例3,4からわかるように、層(C)成分あるいは
層(A)成分のTgの高いものは耐衝撃性改良効果は小
さいことがわかる。
【0060】実施例3 反応容器に窒素置換したイオン交換水180部を入れ、
ラウロイルベンゼンスルフォン酸ナトリウム1.4部、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.35
部を溶解し、70℃に保持しながら層(C)成分として
アクリル酸n−オクチル29.8部、トリアリルシアヌ
レート0.2部、クメンヒドロパーオキシド0.15部
よりなる混合物を1時間30分にわたり滴下した。滴下
終了後同温度に保ちながら1時間保持し重合を完結させ
た。
【0061】この重合体ラテックスに層(B)成分とし
てメタクリル酸メチル34.7部、アクリロニトリル5
部、トリアリルシアヌレート0.3部、クメンヒドロパ
ーオキシド0.2部よりなる混合物を温度を70℃に保
ちながら2時間にわたり滴下した。滴下終了後1時間保
持を行い、重合を完結させた。
【0062】得られた重合体ラテックスにラウロイルベ
ンゼンスルフォン酸ナトリウム0.6部、ナトリウムホ
ルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を20部の
水に溶解して加え、層(A)成分としてアクリル酸n−
オクチル29.8部、トリアリルシアヌレート0.2
部、クメンヒドロパーオキシド0.15部からなる混合
物を温度を70℃に保ちながら1時間30分にわたり滴
下した。滴下終了後同温度に保ちながら1時間保持し、
重合を完結させた。得られたグラフト共重合体の平均粒
子径は0.22μであった。
【0063】得られた多層グラフト共重合体ラテックス
より実施例1の(a)と同様にしてグラフト共重合体を
回収し、実施例1の(b)と同様にしてPVC樹脂組成
物を得た。これを実施例1の(b)と同様の方法で衝撃
強度を測定した。これらの結果を表4に示す。
【0064】さらに層(C)、層(B)、層(A)の組
成割合を変更した場合の結果を表4に併せて示す。
【0065】
【表4】
【0066】表4中の略号は次の通りである。
【0067】OA:アクリル酸n−オクチル TAC:トリアリルシアヌレート 表4に示すように、各成分中の架橋剤量が多いと、耐衝
撃性改良効果は少ないことがわかる。
【0068】実施例4 市販のPVC樹脂改質剤であるメタクリル酸メチル−ブ
タジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)及び塩素化ポリ
エチレン(ClPE)を実施例1の(b)の高滑性条件
で製造したPVC樹脂組成物と、本発明である実施例1
の(a)で得た多層グラフト共重合体を用いた実施例1
の(b)の高滑性条件下でのPVC樹脂組成物の耐候性
を表5に示す。耐候性はウェザオメーター(東洋理化製
WE−II型)により加速暴露処理した後のアイゾット衝
撃強度及び着色程度で示す。
【0069】
【表5】
【0070】なお表5中の着色程度の表示は次の通りで
ある。
【0071】○:殆んど着色せず良好である。 △:やや着色しあまり好ましくない。 ×:着色して不良である。
【0072】表5の結果から本発明に係る改質剤は市販
のMBS、ClPEに比較して耐候性(初期インパクト
保持率、帯色性)が非常に良好であることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51:00)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部と、アクリル
    酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、
    芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物からなる単
    量体群から選ばれた単量体から構成され、最外層(A)
    を構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下、最外層
    (A)から2番目の層(B)を構成する重合体のガラス
    転移温度が60℃以上、最外層(A)から3番目の層
    (C)を構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下で
    ある層(A)、(B)及び(C)の少なくとも三層構造
    からなる多層構造を有し、且つ各層において各層に対し
    て多官能性架橋剤0〜5重量%を含有する多層グラフト
    共重合体からなる耐候性良好な熱可塑性樹脂用耐衝撃性
    改質剤3〜50重量部とからなる耐候性、耐衝撃性及び
    成形加工性良好な熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性
    改質剤の最外層(A)が、単量体群の中から層(A)を
    構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下となるよう
    に選ばれた少なくとも一種の単量体95〜100重量%
    と多官能性架橋剤0〜5重量%とからなる重合体で、且
    つ多層グラフト共重合体中に占める割合が10〜50重
    量%、最外層(A)から2番目の層(B)が、単量体群
    の中から層(B)を構成する重合体のガラス転移温度が
    60℃以上となるように選ばれた少なくとも一種の単量
    体95〜100重量%と多官能性架橋剤0〜5重量%と
    からなる重合体で、且つ多層グラフト共重合体中に占め
    る割合が20〜60重量%、最外層(A)から3番目の
    層(C)が、単量体群の中から層(C)を構成する重合
    体のガラス転移温度が0℃以下となるように選ばれた少
    なくとも一種の単量体95〜100重量%と多官能性架
    橋剤0〜5重量%とからなる重合体で、且つ多層グラフ
    ト共重合体中に占める割合が10〜60重量%であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性
    改質剤に混合する熱可塑性樹脂が塩化ビニル系樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
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