JPH0832751B2 - 耐候性、耐衝撃性アクリル系樹脂粒状複合体の製造方法 - Google Patents

耐候性、耐衝撃性アクリル系樹脂粒状複合体の製造方法

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JPH0832751B2
JPH0832751B2 JP17085186A JP17085186A JPH0832751B2 JP H0832751 B2 JPH0832751 B2 JP H0832751B2 JP 17085186 A JP17085186 A JP 17085186A JP 17085186 A JP17085186 A JP 17085186A JP H0832751 B2 JPH0832751 B2 JP H0832751B2
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公夫 今泉
和弘 細谷
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、改良された性質をもつ耐衝撃性アクリル系
樹脂複合体の製造方法に関するものである。さらに詳し
くいえば、本発明は、アクリル系樹脂本来の優れた透明
性及び流動成形加工性を有する上に、耐衝撃性及び耐候
性が著しく改善され、屋外用としても好適な耐候性、耐
衝撃性アクリル系樹脂複合体の製造方法に関するもので
ある。
従来の技術 アクリル樹脂、優れた透明性、耐候性、外観の美し
さ、成形加工のしやすさなどによって、屋内外を問わず
広く使用されているが、一般にアクリル樹脂は衝撃強度
が十分でなくその改良が強く要望されていた。
従来、アクリル樹脂の耐衝撃性を改良する一般的でか
つ、効果的な方法としてアクリル樹脂に常温でゴム性を
示す弾性体を導入することが試みられており、例えばブ
タジエンを主成分とする不飽和ゴム状弾性体、アクリル
酸‐nブチル、アクリル酸‐2エチルヘキシルを主成分
とする飽和ゴム状弾性体を粒子状に分散させる方法が用
いられている。
しかしながら、このような不飽和ゴム状弾性体の導入
は、アクリル樹脂の特徴である耐候性を損うために、近
年耐候性の面から飽和ゴム状弾性体の導入が検討されて
いるが、この飽和ゴム状弾性体の導入は、このものの弾
性的特徴が低く、かつ硬質樹脂とのグラフト重合性も低
いので、アクリル樹脂の耐衝撃性、透明性、光沢などの
外観を損う上に、ゴム含有量を多くする必要があるため
に、流動加工性の低下も免れないなどの問題を有してい
る。このような問題を解決するために、例えば3層若し
くは4層構造の樹脂複合体と硬質熱可塑性重合体とのブ
レンドによって、透明性を損わず耐衝撃性を改良したも
の(特公昭55−27576号公報)、3層構造を有し、かつ
これらの各層間にほぼ低率で変化する濃度勾配をもった
中間層を有する構造で、衝撃に対する耐応力白化性を改
良したもの(特開昭51−129449号公報、特開昭53−5855
4号公報)などが提案されているが、これらの方法は、
耐応力白化性の改良に関しては確かに効果が認めらるも
のの、耐衝撃性については必ずしも満足しうるものでは
なく、その上、長期の屋外暴露によって耐衝撃強度が低
下するのを免れなかった。
そこで、さらにこの改良法として、ゴム弾性体層と硬
質樹脂層との一部を重ね合わせ、2層構造(特開昭48−
43444号公報)、3層構造(米国特許第4,473,679号明細
書)、あるいは4層構造(特開昭59−202213号公報)の
粒状体にすることによって、耐衝撃性の向上を図ること
が提案された。
しかし、このように、これまでアクリル系樹脂がもつ
好ましい性質を保持したまま、その他の欠点を改善する
ために、多くの多層構造をもつ粒状複合体とすることが
提案されてきたが、耐候性についてはまだ十分に満足し
うる結果は得られていない。特に前記の4層構造をもつ
粒状複合体は、屋外暴露を行う前での耐衝撃性その他の
機械的強度の初期値はかなり向上することが認められる
ものの、長期間の屋外暴露した場合の耐候性の改良につ
いては、まだ十分に満足しうるものではなかった。
発明が解決しようとする課題 本発明の目的は、このような従来のアクリル系樹脂粒
状複合体が有する欠点を改良し、アクリル系樹脂本来の
優れた透明性及び流動成形加工性を有する上に、耐衝撃
性及び耐候性を大幅に向上させたアクリル系樹脂粒状複
合体を提供することにある。
課題を解決するための手段 本発明者らは、耐衝撃性アクリル系樹脂複合体の耐候
性を向上させることについて鋭意研究を重ねた結果、各
層が特定組成の共重合体で構成された多層構造の粒状複
合体とすることにより、前記目的を達成しうることを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 (A)メタクリル酸メチル単独又はメタクリル酸メチル
50重量%以上を含むエチレン性不飽和単量体混合物と多
官能性グラフト単量体との混合物を実質上重合率100重
量%に達するまで乳化重合させることにより、硬質重合
体からなる粒状核体を形成させる工程、 (B)(A)工程で得た粒状核体の存在下に、アルキル
基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキル50重量%以上
を含むエチレン性不飽和単量体混合物と重合度1〜25の
ポリエチレングリコールジアクリレートと多官能性グラ
フト単量体との混合物を重合率70〜85重量%に達するま
で乳化重合させることにより、軟質重合体からなる第一
被覆層を有する粒状複合体を形成させる工程、 (C)(B)工程で得た粒状複合体及び未反応単量体15
〜30重量%を含む反応生成物中にメタクリル酸メチル50
重量%以上を含むエチレン性不飽和単量体混合物を加
え、(B)工程における単量体混合物中の未反応単量体
が実質上完全に消費されるまで乳化重合させることによ
り、メタクリル酸メチルの含有率が漸次増加する傾斜組
成をもつ共重合体からなる第二被覆層を有する粒状複合
体を形成させる工程、 (D)(C)工程において加えられた単量体混合物の残
存分についてさらに乳化重合を継続させることにより、
メタクリル酸メチル単位50重量%以上を含む硬質重合体
からなる第三被覆層を有する粒状複合体を形成させる工
程、 及び (E)(D)工程の反応生成物にメタクリル酸メチル又
はメタクリル酸メチル50重量%以上を含むエチレン性不
飽和単量体混合物と連鎖移動剤とを加え乳化重合させる
ことにより、分子量60,000〜250,000の硬質重合体から
なる第四被覆層を有する粒状多層複合体を形成させる工
程 を含むことを特徴とする耐候性、耐衝撃性アクリル系樹
脂粒状多層複合体の製造方法を提供するものである。
本発明方法によれば、耐衝撃性アクリル系樹脂粒状複
合体は4段階の重合によって製造されるが、この重合方
法としては乳化重合法が用いられる。
すなわち、本発明方法に従えば、粒状複合体の粒状核
体を、メタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルを少
なくとも50重量%含むエチレン性不飽和単量体混合物と
を多官能性グラフト単量体とを共重合することによって
形成させる。ここで、エチレン性不飽和単量体とは、エ
チレン性不飽和結合1個をもつ共重合可能な単量体であ
り、メタクリル酸メチル以外のものとしては、例えば炭
素数2〜4のアルキル基をもつメタクリル酸アルキル、
炭素数1〜8のアクリル酸アルキル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらをメ
タクリル酸メチルと組み合わせて用い場合は、単量体全
量当り50重量%を超えない量好ましくは20重量%以下の
量で用いることが必要であり、このものの量が多くなる
と透明性が低下する。
他方、このエチレン性不飽和単量体と共重合させる多
官能性グラフト単量体は、反応性が異なる2個以上の末
端エチレン性不飽和基をもち、グラフト共重合可能な単
量体のことであり、このようなものとしては、例えばメ
タクリル酸アリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ビ
ニル、アクリル酸ビニルなどが挙げることができる。こ
れらの多官能性グラフト単量体は単独で用いておよい
し、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
この多官能性グラフト単量体は、単量体混合物の全量
に基づき5重量%以下の割合で用いるのが好ましい。こ
の量が5重量%超えると耐応力白化性が低下する傾向が
ある。
これらの単量体を共重合させるには、常法に従い、乳
化剤と触媒を含む水性媒質をかきまぜながら単量体を少
量ずつ導入し、反応させることによって行うことができ
る。
このようにして形成される粒状核体は、粘度110cP、
昇温速度2℃/分の条件下で行った動的粘弾性の測定に
おいてtanδがピークになるときの温度として表わされ
るガラス転移点(Tg)が25℃以上、好ましくは50℃以上
であることが必要である。このガラス転移点が25℃未満
の場合は、耐応力白化性及び耐熱性が低いものが得られ
る。
次に、(B)工程においては、上記で得た粒状核体上
に第一被覆層が形成されるが、このものは、アクリル酸
アルキルを少なくとも50重量%を含むエチレン性不飽和
単量体混合物と、重合度1〜25のポリエチレングリコー
ルジアクリレートと、多官能性グラフト単量体との共重
合により得られるガラス転移点が25℃以下の共重合体か
ら成っている。
前記のアクリル酸アルキルとしては、アルキル基の炭
素数が1〜8のアクリル酸アルキル、特にアクリル酸エ
チル及びアクリル酸n-ブチルが好ましい。これらは単独
で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよ
い。また、これと併用されるエチレン性不飽和単量体と
しては、エチレン性不飽和結合1個をもつ単量体のう
ち、特にメタクリル酸メチルを主体として得られる硬質
重合体と屈折率を合わせることによって、透明性の向上
を図ることのできるスチレンやスチレン誘導体のような
芳香族系単量体が好ましい。これらは単独で用いてもよ
いし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
次に、ポリエチレングリコールジアクリレートとして
は、重合度、すなわち−CH2C2O−で示される単位の繰り
返し数が1〜25、好ましくは2〜14の範囲にあるものが
用いられる。このポリエチレングリコールアクリレート
は、共重合体に耐候性を付与するために用いられるもの
で、これは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせ
て用いてもよい。また多官能性グラフト単量体として
は、前記粒状核体の共重合体の場合と同様のもの、例え
ばメタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、メタクリル
酸ビニル、アクリル酸ビニルなどが用いられる。これら
は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いて
もよい。
この第一被覆層の重合体を得るための各成分の使用割
合については、アクリル酸アルキルを50〜95重量%、好
ましくは80〜85重量%、これと併用するエチレン性不飽
和単量体を5〜30重量%、ポリエチレングリコールジア
クリレートを0.1〜15重量%及び多官能性グラフト単量
体を5重量%以下の割合とするのがよい。この第一被覆
層を構成する共重合体は、ガラス転移点が25℃以下、好
ましくは0℃以下であることが必要である。このTgが25
℃を超えると耐衝撃性が低下する。
本発明方法の(C)工程においては、第一被覆層形成
に際し、該第一被覆層形成用単量体混合物全量に基づ
き、重合率70〜85重量%まで重合させ、15〜30重量%の
割合で残存させた未反応の単量体混合物とメタクリル酸
メチル又はメタクリル酸メチル少なくとも50重量%を含
むエチエン性不飽和単量体混合物を共重合させて第二被
覆層が形成される。この第二被覆層は、ガラス転移点が
25℃以下の組成から25℃以上の組成へと内側から外側に
向けて漸次変化する構造の共重合体から成っている。
この第二被覆層の共重合体は、前記第一被覆層の形成
において、重合転化率が70〜85重量%、好ましくは75〜
80重量%に達した時点で、これに、メタクリル酸メチル
又はメタクリル酸メチル少なくとも50重量%を含むエチ
レン性不飽和単量体混合物を、好ましくは重合速度より
も僅かに速い速度で連続的に供給し、重合させることに
よって得られる。この第二被覆層の組成変化は、残存す
る単量体混合物をガスクロマトグラフィーなどを用いて
定量分析することによって、容易に知ることができる。
この第二被覆層の共重合を、前記の第一被覆層の重合体
の重合転化率の範囲外で開始した場合には、耐衝撃性、
さらには耐候性を著しく向上させることができない。
この際にメタクリル酸メチルと併用するエチレン性不
飽和単量体としては、前記粒状核体の共重合体の製造に
用いたものと同じ単量体を単独で又は2種以上組み合わ
せて用いることができる。
前記の(A)工程、(B)工程及び(C)工程で形成
される共重合体は、多官能性グラフト単量体やポリエチ
レングリコールジアクリレートに基づく架橋形成反応に
より三次元的架橋構造を有しているものと思われる。
本発明方法の(D)工程においては、メタクリル酸メ
チル又はメタクリル酸メチルを少なくとも50重量%含む
エチレン性不飽和単量体混合物を単独重合又は共重合さ
せて得られるガラス転移点が25℃以上の重合体又は共重
合体から成る第三被覆層が形成されるが、この共重合体
として好適なのはメタクリル酸メチル80重量%以上と他
のエチレン性不飽和単量体20重量%以下との共重合体で
ある。メタクリル酸メチルの割合が50重量%未満のもの
を用いた場合には、透明性が損われるので好ましくな
い。この際メタクリル酸メチルと併用するエチレン性不
飽和単量体としては、前記粒状核体の形成に用いられた
ものと同じ単量体を挙げることができ、これらは単独で
用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよ
い。
この第三被覆層を構成する共重合体のガラス転移点は
25℃以上、好ましくは50℃以上であることが必要で、こ
れが25℃未満では耐熱性が劣ったものとなる。
本発明方法の(E)工程においては、メタクリル酸メ
チル又はそれを少なくとも50重量%含むエチレン性不飽
和単量体混合物を重合又は共重合させて得られるガラス
転移点が25℃以上の共重合体、好ましくはメタクリル酸
メチル80重量%以上と他の共重合可能な単量体20重量%
以下との共重合体から成る第四被覆層が形成される。こ
の際メタクリル酸メチルと併用するエチレン性不飽和単
量体としては、前記粒状核体の共重合体を形成する場合
に用いられるものと同じ単量体を単独で又は2種以上組
み合わせて用いることができる。
この第四被覆層の形成に当っては、流動成形性の面か
ら連鎖移動剤を添加することによって、分子量調節を行
い、その分子量を60,000〜250,000、好ましくは80,000
〜200,000の範囲に調節することが必要である。この分
子量が60,000未満の場合には、耐衝撃性を初めとした機
械的強度が低く、一方250,000を超えると流動成形加工
性が低下する。この際用いられる連鎖移動剤としては、
例えばアルキルメルカプタン、チオグリコール酸、チオ
グリコール酸エステルなどが挙げられる。
この第四被覆層の共重合体のガラス転移点は25℃以
上、好ましくは50℃以上であることが必要で、これが25
℃未満では耐熱性が劣る。
本発明方法においては、得られる粒状複合体を構成す
る各層の重量割合を重合体全重量に基づき、粒状核体が
20〜40重合%、第一被覆層が20〜50重量%、第二被覆層
が5〜40重量%、第三被覆層が20重量%以下及び第四被
覆層が5〜20重量%の範囲にすることが好ましい。各層
の重量割合が前記範囲を逸脱した重合体においては、耐
候性が不十分であったり、耐衝撃性その他の機械的強度
が著しく低かったり、あるいは重合後処理工程において
支障をきたして適切な重合体が得られないなど、望まし
くい結果を招来する。より好ましい重量割合は、粒状核
体が30〜40重量%、第一被覆層が30〜40重量%、第二被
覆層が5〜30重量%、第三被覆層が10重量%以下及び第
四被覆層が5〜15重量%の範囲である。
本発明の多層構造のアクリル系樹脂粒状複合体の製造
方法では、先に述べたように乳化重合法を用いて行われ
るが、各層の重合体又は共重合体を形成させるための適
切な重合温度は、各段階とも30〜120℃、好ましくは50
〜100℃の範囲で選ばれる。さらに、このような多層複
合体を形成させるためには、各単量体や単量体混合物を
逐次添加して反応させることによって、粒子状多層構造
複合体を形成することが可能な、いわゆるシード重合法
を用いることが有利である。この際、第1番目の被覆形
成以降の重合を行う場合に、新たな粒子が生成しないよ
うな条件を選ぶ必要があるが、これは用いる乳化剤の量
を臨界ミセル濃度以下にすることによって実現すること
ができる。新たな粒子の生成の有無は電子顕微鏡によっ
て観察することによって確認することができる。
乳化重合に用いられる乳化剤については特に制限はな
く、従来慣用されているものの中から任意のものを選ぶ
ことができ、例えば長鎖アルキルカルボン酸塩、スルホ
コハク酸アルキルエステル塩、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩などが挙げられる。これらの乳化剤は、最後の第
四被覆層が形成された後の粒状複合体の粒径(以下、最
終粒径と称する)が0.2〜0.8μm、好ましくは0.3〜0.3
5μmになるような量で用いられる。この乳化剤の使用
量を臨界ミセル濃度以下にした場合、乳化剤濃度と生成
するポリマーラテックス(これらは球形であって粒径分
布も1.0〜1.2程度であることが、電子顕微鏡観察にて確
かめられている)の数との間に簡単な1対1の対応関係
があるので、この関係から粒径を推定することができ
る。また実際に電子顕微鏡を用いて粒径の分かっている
ポリマーラテックスの吸光度(測定波長:550nm;ラテッ
クス濃度50ppm)を測定することによって、種々の粒径
のポリマーラテックスに対する吸光度から検量線を作成
し、それを用いて該粒子状多層重合体の最終粒径を測定
した。
本発明方法で得られる粒子状多層構造共重合体の最終
粒径が0.2μm未満では、耐衝撃性が低下するばかりか
耐候性の効果的な発現が損われ、また0.8μmを超えた
場合には、透明性及び流動成形加工性が低下する。
また、この際使用する重合開始剤については特に制限
はなく、通常用いられている水溶性の過硫酸塩、過ホウ
酸塩などの無機系開始剤を単独で、あるいは亜硫酸塩、
チオ硫酸塩などと併用してレドックス開始剤系として用
いることもできる。さらに、油溶性の有機過酸化物/第
一鉄塩、有機過酸化物/ナトリウムホルムアルデヒドス
ルホキシレートのようなレドックス開始剤系も用いるこ
とが可能である。
本発明方法によって得られる多層構造の粒状複合体
は、ポリマーラテックスの状態から、公知の方法によっ
て塩析、分離、洗浄、乾燥などの処理を行うことによ
り、粒子状固形物として得られる。
本発明方法によって得られる高耐候性、耐衝撃性アク
リル系重合体は、そのままであるはペレット化した上で
射出成形又は抽出成形することによって所望の成形体を
得ることができる。また、通常使用されているアクリル
樹脂成形材料とブレンドして用いることもできる。この
際の配合割合はそれぞれの使用目的によって適当に選択
される。ブレンドする際のアクリル樹脂成形材料は公知
の重合方法、例えば塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶
液重合などいずれの方法で得られたものであってもよ
く、またブレンドは溶融混合など常用されている方法で
行われる。
樹脂以外で通常用いられている紫外線吸収剤、酸化防
止剤、染顔料などの添加剤を必要に応じて添加すること
ができる。
このようにして得られた重合体は流動成形加工が優
れ、射出成形又は押出成形によって得られた成形体は透
明性、耐衝撃性に優れさらには高耐候性を発現する。
実施例 次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明す
る。なお実施例、比較例中の各物性の測定及び評価は以
下の方法若しくは測定機器を用いて行った。
Izod衝撃強度:ASTM D256 流動性(MFI):ASTM D1238(230℃、3.8kg荷重) 光線透過率:ASTM D1003 最終粒径:濁度法によって550nmの吸収強度を用いて測
定(島津製作所製分光光度計UV−120) 耐候性保持率(%):サンシャインウエザーメーター
(スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライ
フウエザーメーター:WEL−SUN−HC)によって暴露前と2
000時間暴露後のIzod衝撃強度(ASTM D256)を測定し、
次式に従って求めた。
[(2000時間暴露後の値)/(暴露前の初期値)]×10
0 また、実施例及び比較例の略号は以下の化合物を示
す。
MMA :メタクリル酸メチル BA :アクリル酸n-ブチル St :スチレン MA :アクリル酸メチル ALMA :メタクリル酸アリル PEGDA :ポリエチレングリコールジアクリレート(重合
度n=1〜14) NPG :2,2ジメチル‐1,3-ブタンジオール‐ジメタクリ
レート TAIC :イソシアヌル酸トリアリル n−OM:n-オクチルメルカプタン HMBT :2-(2′‐ヒドロキシ‐5′メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール 実施例1 10lの還流冷却器付反応器に、イオン交換水7500ml、
ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム10gを投入し、250
rpmの回転数でかきまぜながら窒素気流下70℃に昇温
し、酸素の影響のない状態にして過硫酸アンモニウム2g
を添加したのち、MMA650g、BA9g、HMBT0.2g及びALMA0.7
gから成る単量体混合物を60分間かけて連続的に添加
し、添加終了後、さらに30分間その温度で保持した。こ
のようにして生成した粒状核体として共重合体は粒子状
態でラテックスとして分散していた。
次いで、この粒状核体の存在下に、BA770g、St150g、
HMBT0.3g、ALMA3.7g及びPEGDA(n=14)22gから成る単
量体混合物を85分間かけて連続的に添加し、添加終了後
30分間保持して第一被覆層を形成した。この際の重合転
化率は80%であった。
この時点で、MMA280g、BA2g及びHMBT0.1gから成る単
量体混合物を40分間かけて連続的に添加し、添加終了
後、重合熱に伴う反応容器内の温度上昇が初期設定温度
になるまで約1時間保持した。この間、約30分ほどで前
記の第一被覆重合体形成用単量体混合物の成分の残りが
すべて消費され、この時点でMMA、BA及びHMBTから成る
単量体混合物の重合転化率は約50重量%であることが、
ガスクロマトグラフィーによる分析の結果分った。した
がって、この時点以前までが実質的な第二被覆層であ
り、これ以降実質的な第三被覆層が形成されることにな
る。
続いて、MMA280g、BA2g、HMBT0.1g及び連鎖移動剤と
してのn-OM0.9gから成る単量体混合物を20分間かけて連
続的に添加し、添加終了後、重量熱に伴う反応容器内の
温度上昇が初期設定温度になるまで約一時間保持し、次
いで反応系を95℃に昇温して、重合を完結させ第四被覆
層を形成した。ほぼ球形で均一粒径をもつ粒子状多層構
造のアクリル系重合体であることが分かった。
この重合体においては、粒状核体、第三被覆層及び第
四被覆層それぞれの重合体のTgは、測定の結果約100℃
であった。また第一被覆層重合体のTgは−5〜−10℃、
第二被覆層重合体のTgは、平均値で約50℃であった。
このようにして得られるラテックスを、3重量%硫酸
ナトリウム温水溶液中へ投入して、塩析凝集させ、次い
で脱水、水洗を繰り返したのち乾燥を行った。第多層重
合体の分子量は、粘度測定の結果から約120,000であっ
た。
この多層構造重合体57.5重量部と通常の懸濁重合によ
って得たMMA単位99重量%とMA単位1重量%とから成る
粒状共重合体42.5重量部とをヘンシェルミキサーにて20
分間混合したのち、20mm2軸ベント式押出機[ナカタニ
機械(株)製、AS型]を用いて240℃でペレット化を行
った。第三被覆層以内は溶融破壊されていなかった。
該ペレットをインラインスクリュー射出成形機[東芝
機械(株)製IS−75S型]を用いて成形温度250℃、射出
圧力900kgf/cm2、金型温度50℃の条件でそれぞれの物性
試験に用いる試験片を作成して、物性測定を行った。得
られた樹脂組成物は、耐候性に優れており、かつ流動成
形加工性、透明性も良好であった。
実施例2 実施例1において、第一被覆層の重合体の形成に、多
官能性架橋性単量体としてPEGDA(n=2)6.6gを用い
た以外は、実施例1と全く同様にして実施した。
実施例3 実施例1において、第一被覆層の重合体の形成に、多
官能性架橋性単量体としてPEGDA(n=4)9.4gを用い
た以外は、実施例1と全く同様にして実施した。
実施例4 実施例1において、第一被覆層の重合体の形成に、多
官能性架橋単量体としてPEGDA(n=9)15.8gを用いた
以外は、実施例1と全く同様にして実施した。
実施例5 実施例1の重合において、ジヘキシルスルホコハク酸
ナトリウムの代りに、ジオクチルスルホコハク酸ナトリ
ウム10gを用いた以外は、実施例1と全く同様にして実
施した。
実施例6 実施例1において、第四被覆層の重合体の形成に、MM
A170g、BA1g、HMBT0.06g及びn−OM0.54gから成る単量
体混合物を10分間かけて連続的に添加した以外は、実施
例1と全く同様にして実施した。
実施例7 実施例1において、第四被覆層の重合体の形成に、MM
A220g、BA1.5g、HMBT0.08g及びn−OM0.72gから単量体
混合物を15分間かけて連続的に添加した以外は、実施例
1と全く同様にして実施した。
比較例1 実施例1において、第四被覆層重合体の形成を省いた
以外は、実施例1と全く同様にして実施した。
比較例2 実施例1において、第四被覆層の重合体の形成に、MM
A1880g、BA13.4g、HMBT0.7g及びn−OM6gから成る単量
体混合物を135分間かけて連続的に添加した以外は、実
施例1と全く同様にして実施した。
比較例3 実施例1において、第一被覆層の重合体の形成に、PE
GDA(n=14)の代りにNPG7.5gを用いた以外は、実施例
1と全く同様にして実施した。
比較例4 実施例1において、第一被覆層の重合体の形成に、PE
GDA(n=14)の代りにTAIC7.7gを用いた以外は、実施
例1と全く同様にして実施した。
比較例5 実施例1において、第一被覆層の重合体の形成に、BA
770g、St150g、HMBT0.3g、ALMA3.7g及びPEGDA(n=1
4)22gから成る単量体混合物を85分間かけて連続的に添
加し、添加終了後、重合熱に伴う反応容器内の温度上昇
が初期設定になるまで保持したのち、第二被覆層目の重
合を開始した以外は、実施例1と全く同様にして実施し
た。
比較例6 10lの還流冷却器付き反応容器にイオン交換水570ml、
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム18gを投入し、250
rpmの回転数でかきまぜならが窒素気流下にて70℃に昇
温し、酸素の影響のない状態にして、過硫酸アンモニウ
ム2gを添加し、次いでMMA660g、BA9g、HMBT0.2g及びALM
A0.7gから成る単量体混合物を50分間かけて連続的に添
加したのち、30分間保持した。生成した共重合体は粒子
状態でラテックスとして分散していた。
続いて、この粒子重合体の存在下に、BA770g、St190
g、HMBT0.3g及びPEGDA(n=14)23gから成る単量体混
合物を60分間かけて連続的に添加し、添加終了後、20分
間保持した。この際の重合転化率は80%であった。
この時点でMMA290g、BA2gHMBT0.1gから成る単量体混
合物を40分間かけて連続的に添加し、添加終了後、重合
熱に伴う反応容器内の温度上昇が初期設定になるまで約
1時間保持した。
次に、この反応系に、MMA570g、BA4g及びHMBT0.2gか
ら成る単量体混合物を20分間かけて連続的に添加し、添
加終了後、重量熱に伴う反応容器内の温度上昇が初期設
定温度になるまで約1時間保持し、次いで反応系を95℃
に昇温させて重合を完結させた。この段階で生成共重合
体は粒子状に分散していて、顕微鏡観察の結果からほぼ
球形で均一粒径をもつ粒状複合体であることが分かっ
た。
次いで、実施例1と同様の処理を行い、試験片を作成
した。
これらの比較例における試験片の物性評価を次表に示
す。
発明の効果 本発明方法により得られる高耐候性、耐衝撃性アクリ
ル系樹脂粒状複合体は多層構造を有しており、従来の耐
衝撃性アクリル系樹脂粒状複合体と比較して軟質ゴム成
分(該多層構造重合体における第一被覆層の重合体に相
当)の含有率が低いにもかかわらず、耐衝撃性が大幅に
向上している上に、耐候性に優れ、また、通常のアクリ
ル樹脂同様に透明性や流動成形加工性にも優れているの
で、特に屋外用のアクリル樹脂成形品の材料として好適
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)メタクリル酸メチル単独又はメタク
    リル酸メチル50重量%以上を含むエチレン性不飽和単量
    体混合物と多官能性グラフト単量体との混合物を実質上
    重合率100重量%に達するまで乳化重合させることによ
    り、硬質重合体からなる粒状核体を形成させる工程、 (B)(A)工程で得た粒状核体の存在下に、アルキル
    基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキル50重量%以上
    を含むエチレン性不飽和単量体混合物と重合度1〜25の
    ポリエチレングリコールジアクリレートと多官能性グラ
    フト単量体との混合物を重合率70〜85重量%に達するま
    で乳化重合させることにより、 軟質重合体からなる第一被覆層を有する粒状複合体を形
    成させる工程、 (C)(B)工程で得た粒状複合体及び未反応単量体15
    〜30重量%を含む反応生成物中にメタクリル酸メチル50
    重量%以上を含むエチレン性不飽和単量体混合物を加
    え、(B)工程における単量体混合物中の未反応単量体
    が実質上完全に消費されるまで乳化重合させることによ
    り、メタクリル酸メチルの含有率が漸次増加する傾斜組
    成をもつ共重合体からなる第二被覆層を有する粒状複合
    体を形成させる工程、 (D)(C)工程において加えられた単量体混合物の残
    存分についてさらに乳化重合を継続させることにより、
    メタクリル酸メチル単位50重量%以上を含む硬質重合体
    からなる第三被覆層を有する粒状複合体を形成させる工
    程、 及び (E)(D)工程の反応生成物にメタクリル酸メチル又
    はメタクリル酸メチル50重量%以上を含むエチレン性不
    飽和単量体混合物と連鎖移動剤とを加え乳化重合させる
    ことにより、分子量60,000〜250,000の硬質重合体から
    なる第四被覆層を有する粒状多層複合体を形成させる工
    程 を含むことを特徴とする耐候性、耐衝撃性アクリル系樹
    脂粒状多層複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】高耐候性、高耐衝撃性アクリル系樹脂粒状
    多層複合体が核体20〜40重量%、第一被覆層20〜50重量
    %、第二被覆層5〜40重量%、第三被覆層1〜20重量%
    及び第四被覆層5〜20重量%の重量比率及び0.2〜0.8μ
    mの範囲の粒径を有する請求項1記載の製造方法。
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