JP2009221420A - 表示部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 構造色を発現し、構成材料の再利用が可能である表示部材、および、発現する構造色が外部刺激を受けることにより変化するものであって、その応答速度が大きい表示部材、並びに、小さなエネルギーで作製することのできる表示部材の製造方法の提供。
【解決手段】 表示部材は、球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層を有する表示部材であって、前記マトリックスは、降伏値が1〜1×103 Paである物質により形成されていることを特徴とする。この表示部材は、表示層により発現される構造色が変化するものであることが好ましい。また、前記特定の物質が、天然高分子多糖類を含むものであることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 表示部材は、球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層を有する表示部材であって、前記マトリックスは、降伏値が1〜1×103 Paである物質により形成されていることを特徴とする。この表示部材は、表示層により発現される構造色が変化するものであることが好ましい。また、前記特定の物質が、天然高分子多糖類を含むものであることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば環境変動などを検知するセンサーなどのセンサー類、ディスプレイ、パネル、シート、ラベル類などとして利用することのできる、構造色を発現する表示部材およびその製造方法に関する。
従来、構造色の特性を利用した表示部材として、特許文献1〜特許文献3に開示されるようなものが提案されている。
しかしながら、以上のような表示部材は、これらを作製する際に光の照射(特許文献1参照。)や、加熱(特許文献2および特許文献3参照。)、あるいは放射線の照射などの大きなエネルギーを必要とするため、これらの表示部材においては、大きなエネルギーを加えることにより表示層を構成する球体含有層の粒子配列に乱れが生じるという問題や、加えるエネルギーに耐性を有する材料の選択が必要となることから設計の自由度が低いという問題があった。
また、上記のような表示部材は、球体とマトリックスとが固定されており、球体とマトリックスとを分離して再利用することはできなかった。
さらに、上記のような表示部材は、いずれも構造色を変化させることができるものであるが、その構造色の変化の応答速度は低いものであり、例えばセンサーとして使用する表示部材としては、高い応答速度の表示部材が望まれていた。
さらに、上記のような表示部材は、いずれも構造色を変化させることができるものであるが、その構造色の変化の応答速度は低いものであり、例えばセンサーとして使用する表示部材としては、高い応答速度の表示部材が望まれていた。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、構造色を発現するものであって、構成材料の再利用が可能である表示部材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、発現する構造色が外部からの刺激を受けることにより変化するものであって、その応答速度が高い表示部材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、発現する構造色が外部からの刺激を受けることにより変化するものであって、その応答速度が高い表示部材を提供することにある。
さらに、本発明のさらに他の目的は、上記の表示部材の製造方法であって、小さなエネルギーで作製することのできる表示部材の製造方法を提供することにある。
本発明の表示部材は、球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層を有する表示部材であって、
前記マトリックスは、降伏値が1〜1×103 Paである物質により形成されていることを特徴とする。
前記マトリックスは、降伏値が1〜1×103 Paである物質により形成されていることを特徴とする。
本発明の表示部材においては、表示層により発現される構造色が、外部からの刺激を受けることにより変化するものであることが好ましい。
また、本発明の表示部材においては、前記物質が、天然高分子多糖類を含むものであることが好ましい。
また、本発明の表示部材においては、球体の屈折率とマトリックスの屈折率との差の絶対値が、0.02〜2.0であることが好ましい。
また、本発明の表示部材においては、球体の平均粒径が50〜500nmであることが好ましい。
構造色とは、色素などの光の吸収による色ではなく、周期構造などによる選択的な光の反射による色であり、薄膜干渉、光散乱(レイリー散乱、ミー散乱)、多層膜干渉、回折、回折格子、フォトニック結晶などによるものを挙げることができる。
本発明の表示部材における構造色としては、例えば下記式(1)で表される色を代表的な色として例示することができる。なお、下記式(1)および下記式(2)は近似式であり、実際上はこれらの計算値に完全には合致しない場合もある。
本発明の表示部材における構造色としては、例えば下記式(1)で表される色を代表的な色として例示することができる。なお、下記式(1)および下記式(2)は近似式であり、実際上はこれらの計算値に完全には合致しない場合もある。
式(1):λ=2nD(cosθ)
〔ただし、上記式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層の屈折率、Dは球体層の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。〕
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
〔ただし、上記式(2)において、naは球体の屈折率、nbはマトリックスの屈折率、cは表示層における球体の体積率である。〕
〔ただし、上記式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層の屈折率、Dは球体層の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。〕
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
〔ただし、上記式(2)において、naは球体の屈折率、nbはマトリックスの屈折率、cは表示層における球体の体積率である。〕
本発明の表示部材の製造方法は、構造色を発現する表示層を有する表示部材を製造する方法であって、
前記表示層を構成するマトリックスを、固体の球体が面方向に規則的に配された球体層が複数、厚み方向に規則的に配されてなる球体含有層に対して、当該球体含有層における隣接する球体間に形成された間隙に、降伏値が1〜1×103 Paである物質を、流動性を有する状態で充填させることにより形成する工程を有することを特徴とする。
前記表示層を構成するマトリックスを、固体の球体が面方向に規則的に配された球体層が複数、厚み方向に規則的に配されてなる球体含有層に対して、当該球体含有層における隣接する球体間に形成された間隙に、降伏値が1〜1×103 Paである物質を、流動性を有する状態で充填させることにより形成する工程を有することを特徴とする。
本発明の表示部材によれば、表示層が球体および特定の範囲の降伏値を有する特定の物質により構成されているために、当該特定の物質に剪断応力などの外力を加えて流動性の高い状態に変化させることによりこれを容易に分離させることができ、従って、構成材料を再利用に供することができる。
また、本発明の表示部材を構造色が変化するものとして構成した場合、当該表示部材によれば、特定の物質が、降伏値が1〜1×103 Paの範囲であり、構造的には水素結合、ファンデルワールス力、静電力などの弱い力により三次元ネットワーク構造が形成されて固体化されたものであることから、外部からの刺激を受けることにより容易に粘度が低く流動性の高い状態となるものであるために、例え外部からの刺激が小さいエネルギーのものであってもその構造色の変化の速度が高く、例えば当該表示部材をセンサーとして用いた場合に、これを高い応答速度のものとすることができる。
また、本発明の表示部材を構造色が変化するものとして構成した場合、当該表示部材によれば、特定の物質が、降伏値が1〜1×103 Paの範囲であり、構造的には水素結合、ファンデルワールス力、静電力などの弱い力により三次元ネットワーク構造が形成されて固体化されたものであることから、外部からの刺激を受けることにより容易に粘度が低く流動性の高い状態となるものであるために、例え外部からの刺激が小さいエネルギーのものであってもその構造色の変化の速度が高く、例えば当該表示部材をセンサーとして用いた場合に、これを高い応答速度のものとすることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の表示部材は、構造色を発現する表示層を有するものであって、この表示層が、マトリックス中に、固体の球体が面方向に規則的に配された球体層が複数、厚み方向に規則的に配されてなる球体含有層が形成されてなるものであり、前記マトリックスは、降伏値が1〜1×103 Paである特定の物質により形成されていることを特徴とする。
特定の物質は、使用環境(例えば室温)において、流動性を有さず自己保形性を有する固体状のものであってもよく、流動性を有する液体状のものであってもよい。特定の物質が液体状のものである場合は、表示部材を、表示層が当該表示層を視認できるセル内に封入された構成のものとすればよく、セルとしては種々の構成のものを採用することができる。
特定の物質は、使用環境(例えば室温)において、流動性を有さず自己保形性を有する固体状のものであってもよく、流動性を有する液体状のものであってもよい。特定の物質が液体状のものである場合は、表示部材を、表示層が当該表示層を視認できるセル内に封入された構成のものとすればよく、セルとしては種々の構成のものを採用することができる。
〔表示層〕
表示部材の表示層10は、構造色を発現する層であり、具体的には、マトリックス中において、このマトリックスの屈折率と異なる屈折率を有する球体による球体層が複数、厚み方向に規則的に配されて、周期構造が形成されてなるものである。表示層においてこのような周期構造が形成されていることにより、可視域光の照射によって有彩色が視感される。
表示部材の表示層10は、構造色を発現する層であり、具体的には、マトリックス中において、このマトリックスの屈折率と異なる屈折率を有する球体による球体層が複数、厚み方向に規則的に配されて、周期構造が形成されてなるものである。表示層においてこのような周期構造が形成されていることにより、可視域光の照射によって有彩色が視感される。
具体的には、例えば図1に示されるように、表示層10は、例えば固体の微粒子よりなる球体12同士が面方向に接触して形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が接触する状態で規則的に配された構成を有する。
この球体層15は、光が入射する方向に対して一方向に規則的に球体12が配列された構成を有している。
また、表示層10は、球体層15が最密充填構造を呈するよう球体12が配列された構成であってもよいが、球体層15の層間隔Dを変化させ易く、従って構造色変化の応答速度を高いものとすることができることから、図2に表示層10Aとして示されるように、例えば固体の微粒子よりなる球体12同士が面方向に非接触状態で規則的に配されて形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が非接触状態で規則的に配された構成を有することが好ましい。特に好ましくは、球体12同士が極僅かの距離を介して非接触状態とされた、最密充填構造に近い配列状態の形態である。
この球体層15は、光が入射する方向に対して一方向に規則的に球体12が配列された構成を有している。
また、表示層10は、球体層15が最密充填構造を呈するよう球体12が配列された構成であってもよいが、球体層15の層間隔Dを変化させ易く、従って構造色変化の応答速度を高いものとすることができることから、図2に表示層10Aとして示されるように、例えば固体の微粒子よりなる球体12同士が面方向に非接触状態で規則的に配されて形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が非接触状態で規則的に配された構成を有することが好ましい。特に好ましくは、球体12同士が極僅かの距離を介して非接触状態とされた、最密充填構造に近い配列状態の形態である。
表示部材においては、球体12の屈折率とマトリックスMの屈折率との差の絶対値(以下、「屈折率差」という。)が、0.02〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.6である。
この屈折率差が0.02未満である場合は、構造色が発色しにくくなり、この屈折率差が2.0より大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
この屈折率差が0.02未満である場合は、構造色が発色しにくくなり、この屈折率差が2.0より大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
表示層10の厚みは、用途によって異なるが、例えば0.1〜100μmとすることができる。
〔構造色〕
構造色は、ブラッグの法則、スネルの法則より、下記式(1)で表される波長の色が代表的に示される。なお、式(1)および式(2)は近似式であり、実際の構造色のピーク波長は、これらの式(1)および式(2)により算出される値に合致しない場合もある。
式(1):λ=2nD(cosθ)
この式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層10の屈折率、Dは球体層15の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
この式(2)において、naは球体12の屈折率、nbはマトリックスMの屈折率、cは表示層10における球体12の体積率である。
構造色は、ブラッグの法則、スネルの法則より、下記式(1)で表される波長の色が代表的に示される。なお、式(1)および式(2)は近似式であり、実際の構造色のピーク波長は、これらの式(1)および式(2)により算出される値に合致しない場合もある。
式(1):λ=2nD(cosθ)
この式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層10の屈折率、Dは球体層15の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
この式(2)において、naは球体12の屈折率、nbはマトリックスMの屈折率、cは表示層10における球体12の体積率である。
ここに、構造色のピーク波長λは、例えば分光測色計「CM−3600d」(コニカミノルタセンシング社製)を用い、観察角θが8°の条件で測定されるものとすることができる。
〔球体〕
本発明において、「球体」とは、3次元において球体形状を有する固体物質のことであり、真球に限定されるものではなく、おおよそ球体形状を有すればよい。
本発明において、「球体」とは、3次元において球体形状を有する固体物質のことであり、真球に限定されるものではなく、おおよそ球体形状を有すればよい。
この球体12としては、種々の組成のものを挙げることができる。
具体的には例えば、有機物としては、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(イソ)プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸単量体などの重合性単量体のうちの1種を重合したもの、または2種以上を共重合したものを挙げることができる。
また、重合性単量体に架橋性単量体を加えて重合した球体であってもよく、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。
また例えば、無機物としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、硫酸バリウム、酸化第二鉄などの無機酸化物および複合酸化物などや、ガラス、セラミックスなどにより形成されたものを挙げることができる。
具体的には例えば、有機物としては、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(イソ)プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸単量体などの重合性単量体のうちの1種を重合したもの、または2種以上を共重合したものを挙げることができる。
また、重合性単量体に架橋性単量体を加えて重合した球体であってもよく、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。
また例えば、無機物としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、硫酸バリウム、酸化第二鉄などの無機酸化物および複合酸化物などや、ガラス、セラミックスなどにより形成されたものを挙げることができる。
球体12の屈折率は公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明における球体12の屈折率は、液浸法によって測定した値とする。
球体12の屈折率の具体的な例としては、例えばポリスチレンが1.59、ポリメタクリル酸メチルが1.49、ポリエステルが1.60、フッ素変性ポリメタクリル酸メチルが1.40、ポリスチレン・ブタジエン共重合が1.56、ポリアクリル酸メチルが1.48、ポリアクリル酸ブチルが1.47、シリカが1.45、酸化チタン(アナターゼ型)が2.52、酸化チタン(ルチル型)が2.76、酸化銅が2.71、酸化アルミニウムが1.76、硫酸バリウムが1.64、酸化第二鉄が3.08である。
球体12の屈折率の具体的な例としては、例えばポリスチレンが1.59、ポリメタクリル酸メチルが1.49、ポリエステルが1.60、フッ素変性ポリメタクリル酸メチルが1.40、ポリスチレン・ブタジエン共重合が1.56、ポリアクリル酸メチルが1.48、ポリアクリル酸ブチルが1.47、シリカが1.45、酸化チタン(アナターゼ型)が2.52、酸化チタン(ルチル型)が2.76、酸化銅が2.71、酸化アルミニウムが1.76、硫酸バリウムが1.64、酸化第二鉄が3.08である。
球体層15を構成する球体12は、単一組成の単一物であっても複合物であってもよいが、球体の表面に球体同士を接着させる物質が付着されたものとしてもよく、あるいは、球体を、その内部に球体同士を接着させる物質が導入されたものとしてもよい。このような接着物質を用いることによって、球体層15を形成する際に自己配列などを生じにくい物質による球体であっても、球体同士を接着させることができる。また、屈折率が高い材料によって球体を形成する場合は低屈折率物質を内添するなどしてもよい。
球体層15を構成する球体12は、球体層15を形成させる際に規則配列させやすいことから、単分散性の高いものであることが好ましい。
単分散性の高い球体を得るために、球体12が有機物によるものである場合は、球体12は、通常一般的に用いられるソープフリー乳化重合法、懸濁重合法、乳化重合などの重合法によって調製することが好ましい。
単分散性の高い球体を得るために、球体12が有機物によるものである場合は、球体12は、通常一般的に用いられるソープフリー乳化重合法、懸濁重合法、乳化重合などの重合法によって調製することが好ましい。
球体12は、マトリックスMを形成すべき特定の物質との親和性を高いものとするために、各種の表面処理を行ってもよい。
球体12の平均粒径は、当該球体12の屈折率およびマトリックスMの屈折率との関係において設定する必要があるが、例えば50〜500nmであることが好ましい。
球体12の平均粒径が上記の範囲にあることにより、構造色が近紫外〜可視〜近赤外域にピーク波長を有する色となり、得られる表示部材に高い利便性が得られる。
球体12の平均粒径が上記の範囲にあることにより、構造色が近紫外〜可視〜近赤外域にピーク波長を有する色となり、得られる表示部材に高い利便性が得られる。
また、粒径分布を表すCV値は20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である。
CV値が20より大きい場合は、マトリックスM中において球体による球体層を規則的に配することができず、その結果、構造色を発現する表示部材を得られないおそれがある。
CV値が20より大きい場合は、マトリックスM中において球体による球体層を規則的に配することができず、その結果、構造色を発現する表示部材を得られないおそれがある。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡「JSM−7410」(日本電子社製)を用いて50,000倍の写真を撮影し、この写真画像における球体200個について、それぞれ最大長を測定し、その個数平均値を算出することにより、得られるものである。ここに、「最大長」とは、球体の周上の任意の2点による2点間距離のうち、最大のものをいう。
なお、球体が凝集体として撮影される場合には、凝集体を形成する一次粒子(球体)の最大長を測定するものとする。
なお、球体が凝集体として撮影される場合には、凝集体を形成する一次粒子(球体)の最大長を測定するものとする。
CV値は、個数基準の粒度分布における標準偏差および上記の平均粒径の値を用いて下記式(CV)より算出されるものである。
式(CV):CV値(%)=((標準偏差)/(平均粒径))×100
式(CV):CV値(%)=((標準偏差)/(平均粒径))×100
球体層15の厚みは、例えば0.1〜100μmであることが好ましい。
球体層の厚みが0.1μm未満である場合は、得られる構造色の色が薄いものとなり、一方、球体層の厚みが100μmよりも大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
球体層の厚みが0.1μm未満である場合は、得られる構造色の色が薄いものとなり、一方、球体層の厚みが100μmよりも大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
表示層10における球体層15の周期数は、少なくとも1以上である必要があり、好ましくは5〜500である。
周期数が1未満である場合は、表示層が構造色を発現するものとすることができない。
周期数が1未満である場合は、表示層が構造色を発現するものとすることができない。
また、表示層10における層間隔Dは、50〜500nmであることが好ましい。
層間隔Dが上記の範囲にあることにより、得られる表示層10によって発現される構造色が明確に視認できるものとなる。
層間隔Dが上記の範囲にあることにより、得られる表示層10によって発現される構造色が明確に視認できるものとなる。
〔マトリックス〕
表示層10中のマトリックスMを形成すべき特定の物質は、チクソトロピー性を有する物質であって、その降伏値が1〜1×103 Pa、好ましくは10〜5×102 Paであるものである。
ここに、チクソトロピー性を有する物質とは、非ニュートン流動性を示し、剪断応力などの応力を印加した場合に時間の経過と共に粘度が下がり、一定時間静止後に粘度が元の値まで戻る物質である。
表示層10中のマトリックスMを形成すべき特定の物質は、チクソトロピー性を有する物質であって、その降伏値が1〜1×103 Pa、好ましくは10〜5×102 Paであるものである。
ここに、チクソトロピー性を有する物質とは、非ニュートン流動性を示し、剪断応力などの応力を印加した場合に時間の経過と共に粘度が下がり、一定時間静止後に粘度が元の値まで戻る物質である。
マトリックスMを形成すべき特定の物質の降伏値は、「レオストレスRS600」(Haake社製)によって、温度一定(20℃)条件下において測定されるものである。
マトリックスMを形成すべき特定の物質としては、具体的には、例えばキサンタンガム、カラギナン、プルラン、ファーセレラン、カードランなどの天然高分子多糖類;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムなどの天然低分子多糖類;その他ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウムなどの溶質と、水、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの溶媒との混合溶液が挙げられる。
これらの中でも、溶質が天然高分子多糖類である混合溶液が好ましい。天然高分子多糖類は、工業的に製造されたものに比べて三次元ネットワーク構造による固定点がランダムに存在するものであるために、高い保水力を有するために離水による意図せぬ構造色変化の程度が小さいと思われ、かつ、後述するように外部からの刺激を受けることにより構造色変化を生じるものとして構成した場合に弱い応力でも高い応答速度を示すと推定されるからである。
特定の物質は、用途に応じて、さらに球体層15を構成する球体12の材料との組み合わせによって、適宜に選択することができる。
特定の物質の降伏値は、溶質の種類、溶質の濃度、混合溶液のpH値などにより調整することができる。例えば、溶媒が水である場合には、溶質の濃度が低いほど降伏値は小さいものとなり、溶質の濃度が高いほど降伏値は大きなものとなる。
これらの中でも、溶質が天然高分子多糖類である混合溶液が好ましい。天然高分子多糖類は、工業的に製造されたものに比べて三次元ネットワーク構造による固定点がランダムに存在するものであるために、高い保水力を有するために離水による意図せぬ構造色変化の程度が小さいと思われ、かつ、後述するように外部からの刺激を受けることにより構造色変化を生じるものとして構成した場合に弱い応力でも高い応答速度を示すと推定されるからである。
特定の物質は、用途に応じて、さらに球体層15を構成する球体12の材料との組み合わせによって、適宜に選択することができる。
特定の物質の降伏値は、溶質の種類、溶質の濃度、混合溶液のpH値などにより調整することができる。例えば、溶媒が水である場合には、溶質の濃度が低いほど降伏値は小さいものとなり、溶質の濃度が高いほど降伏値は大きなものとなる。
マトリックスMを形成すべき特定の物質としては、その屈折率が球体12の屈折率と異なるものであること、球体12を構成する材料と非相溶性であることが必要とされる。
また、マトリックスMは、球体12との親和性の高いものよりなることが好ましい。
マトリックスMの屈折率は公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明におけるマトリックスMの屈折率は、別個にマトリックスMのみよりなる薄膜を作成し、この薄膜をアッベ屈折率計にて測定した値とする。
マトリックスMの屈折率の具体的な例としては、例えばゼラチン/アラビアゴムが1.53、ポリビニルアルコールが1.51、ポリアクリル酸ナトリウムが1.51、フッ素変性アクリル樹脂が1.34、N−イソプロピルアミドが1.51、発泡アクリル樹脂が1.43である。
また、マトリックスMは、球体12との親和性の高いものよりなることが好ましい。
マトリックスMの屈折率は公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明におけるマトリックスMの屈折率は、別個にマトリックスMのみよりなる薄膜を作成し、この薄膜をアッベ屈折率計にて測定した値とする。
マトリックスMの屈折率の具体的な例としては、例えばゼラチン/アラビアゴムが1.53、ポリビニルアルコールが1.51、ポリアクリル酸ナトリウムが1.51、フッ素変性アクリル樹脂が1.34、N−イソプロピルアミドが1.51、発泡アクリル樹脂が1.43である。
〔表示部材〕
以上のような表示部材は、具体的には、例えば図3に示されるように、基板17と、当該基板17の表面上に形成された表示層10と、当該表示層10上に粘着層18を介して設けられた表面被覆層19とがこの順に積層されたシート状のものとして構成することができる。
このような表示部材において、基板17、粘着層18および表面被覆層19は、用途などに応じて必要に応じて設けられるものであり、また、基板17の裏面、または表示層10の裏面に、ラベル用粘着層を設けた構成としてもよい。
以上のような表示部材は、具体的には、例えば図3に示されるように、基板17と、当該基板17の表面上に形成された表示層10と、当該表示層10上に粘着層18を介して設けられた表面被覆層19とがこの順に積層されたシート状のものとして構成することができる。
このような表示部材において、基板17、粘着層18および表面被覆層19は、用途などに応じて必要に応じて設けられるものであり、また、基板17の裏面、または表示層10の裏面に、ラベル用粘着層を設けた構成としてもよい。
基板17としては、例えばガラス、セラミックスやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のフィルムやシートなどを使用することができる。
表示層10を球体12の水分散液を用いて作製する場合は、基板17としては、表面の水に対する接触角はある程度低いものが好ましく、また、表面平滑性は高いものが好ましいことから、適宜の表面処理を行うことができる。また、ブラスト処理などを行って球体が付着し易い状態にして使用することもできる。
表示層10を球体12の水分散液を用いて作製する場合は、基板17としては、表面の水に対する接触角はある程度低いものが好ましく、また、表面平滑性は高いものが好ましいことから、適宜の表面処理を行うことができる。また、ブラスト処理などを行って球体が付着し易い状態にして使用することもできる。
表面被覆層19を設ける場合は、当該表面被覆層19として、透明性が高く、表示層10における構造色の発現を阻害しないポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などよりなるフィルム、UV硬化樹脂よりなるフィルムなどを用いることができる。
また、ラベルとして使用する場合は、ラベル用粘着層として、例えばアクリル系粘着剤、アクリル・オレフィン共重合粘着剤などの一時接着性の粘着材を用いることができる。
また、ラベルとして使用する場合は、ラベル用粘着層として、例えばアクリル系粘着剤、アクリル・オレフィン共重合粘着剤などの一時接着性の粘着材を用いることができる。
〔表示部材の製造方法〕
以上のような表示部材における表示層は、球体12の水分散液を調製し、これを基板などの表面に塗布・乾燥させて、球体12同士が面方向に接触し、かつ、厚み方向においても接触する状態で規則的に配された球体含有層を形成し、次いで、マトリックスMを形成すべき特定の物質を、剪断応力を加えて流動性を有する状態とし、これを球体12間の間隙に隙間なく充填する方法などによって、得ることができる。
球体12の水分散液の塗布方法としては、スクリーン塗布法、ディップ塗布法、スピンコート塗布法、カーテン塗布法、LB(Langmuir−Blodgett)膜作成法などを利用することができる。
マトリックスMを充填する方法としては、マトリックスMを形成すべき特定の物質を、撹拌羽根の回転により剪断応力を加えて粘度を低下させ、これを球体12間の間隙に隙間なく充填した後、静置することにより粘度を高めさせて固定させ、これにより形成する方法がある。
一般にチクソトロピー流体と称されるものうち、本発明に係る降伏値が1〜1×103 Paである特定の物質は、ある一定の大きさ以上の剪断応力を印加したものを球体12間に充填後、静置する操作のみでよく、多大なエネルギーを必要とする紫外線硬化剤や熱硬化剤などに比べて少量のエネルギーで表示部材を製造することができる。
以上のような表示部材における表示層は、球体12の水分散液を調製し、これを基板などの表面に塗布・乾燥させて、球体12同士が面方向に接触し、かつ、厚み方向においても接触する状態で規則的に配された球体含有層を形成し、次いで、マトリックスMを形成すべき特定の物質を、剪断応力を加えて流動性を有する状態とし、これを球体12間の間隙に隙間なく充填する方法などによって、得ることができる。
球体12の水分散液の塗布方法としては、スクリーン塗布法、ディップ塗布法、スピンコート塗布法、カーテン塗布法、LB(Langmuir−Blodgett)膜作成法などを利用することができる。
マトリックスMを充填する方法としては、マトリックスMを形成すべき特定の物質を、撹拌羽根の回転により剪断応力を加えて粘度を低下させ、これを球体12間の間隙に隙間なく充填した後、静置することにより粘度を高めさせて固定させ、これにより形成する方法がある。
一般にチクソトロピー流体と称されるものうち、本発明に係る降伏値が1〜1×103 Paである特定の物質は、ある一定の大きさ以上の剪断応力を印加したものを球体12間に充填後、静置する操作のみでよく、多大なエネルギーを必要とする紫外線硬化剤や熱硬化剤などに比べて少量のエネルギーで表示部材を製造することができる。
以上のような表示部材によれば、表示層が球体および特定の範囲の降伏値を有する特定の物質により構成されているために、当該特定の物質に剪断応力を加えることにより、構成材料を再利用に供することができる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の実施の形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、表示部材は、外部からの刺激(以下、「外部刺激」ともいう。)を受けることにより可逆または不可逆の構造色変化を生じる(以下、「構造色変化能を有する」ともいう。)ものとして構成することができる。
なお、「不可逆の構造色変化」とは、この構造色変化により得られる構造色が維持されることを意味し、不可逆の構造色変化能を有する表示部材においては、一度の外部刺激を受けて変化し、維持される構造色が、再度の外部刺激を受けることにより再び構造色変化を生じさせてさらに別の構造色に変化する。
なお、「不可逆の構造色変化」とは、この構造色変化により得られる構造色が維持されることを意味し、不可逆の構造色変化能を有する表示部材においては、一度の外部刺激を受けて変化し、維持される構造色が、再度の外部刺激を受けることにより再び構造色変化を生じさせてさらに別の構造色に変化する。
表示部材が構造色変化能を有するものである場合、当該表示部材の表示層が外部刺激を受けることによりマトリックスが変容し、これによりマトリックス中における球体層の位置が厚み方向に可逆または不可逆に変位して層間隔が変化し、その結果、構造色変化を生ずる。ここに、マトリックスの変容による層間隔の変化とは、マトリックスの変容に伴って球体が変形した結果の変化も含むものである。この球体の変形の影響は微細であると考えられる。
そして、層間隔が変化することにより、構造色のピーク波長が変化、すなわち外部刺激を受けた後の構造色が変化する。
なお、このような表示層は、外部刺激により、初期の構造色を発現する構造から、新たな構造色を発現する秩序立った構造へと変化するものであって、初期の構造からランダムに変化して秩序を失い構造色が発現しなくなるものではない。
そして、層間隔が変化することにより、構造色のピーク波長が変化、すなわち外部刺激を受けた後の構造色が変化する。
なお、このような表示層は、外部刺激により、初期の構造色を発現する構造から、新たな構造色を発現する秩序立った構造へと変化するものであって、初期の構造からランダムに変化して秩序を失い構造色が発現しなくなるものではない。
ここに、外部刺激とは、マトリックスMを変容させて上記式(1)における層間隔を変化させる力のうち、特に、マトリックスMを構成する特定の物質の粘度を低下させることができる力をいい、具体的には、剪断応力、引っ張り応力、圧縮応力などの外力が挙げられる。
この表示層においては、外部刺激の大きさに基づいて、変化後の構造色が決定される。
外部刺激とは、その大きさに具体的な規定はないが、表示層が示す上記式(1)における構造色のピーク波長λを30nm以上変化させうるものをいうことが好ましい。
この表示層においては、外部刺激の大きさに基づいて、変化後の構造色が決定される。
外部刺激とは、その大きさに具体的な規定はないが、表示層が示す上記式(1)における構造色のピーク波長λを30nm以上変化させうるものをいうことが好ましい。
本発明の表示部材において、その構造色および/または外部刺激を受けた後の構造色は、可視域にピーク波長を有する色に限らず、紫外域または赤外域にピーク波長を有する色であってもよい。
このような紫外域または赤外域にピーク波長を有する色の表示部材は、例えば、紫外線または赤外線を認識できる検出装置などに組み込んだ状態センサーとして使用することができる。
このような紫外域または赤外域にピーク波長を有する色の表示部材は、例えば、紫外線または赤外線を認識できる検出装置などに組み込んだ状態センサーとして使用することができる。
表示部材が構造色変化能を有するものである場合、表示層における層間隔は、外部刺激を受ける前後にかかわらず、50〜500nmであることが好ましい。
層間隔が50nm未満である場合は、明確に視認できるほどの構造色変化が得られないおそれがあり、一方、層間隔が500nmよりも大きい場合は、得られる表示層が構造色を発現するものとならないおそれがある。
層間隔が50nm未満である場合は、明確に視認できるほどの構造色変化が得られないおそれがあり、一方、層間隔が500nmよりも大きい場合は、得られる表示層が構造色を発現するものとならないおそれがある。
以上のような構造色が変化するものとして構成された表示部材によれば、特定の物質が、降伏値が1〜1×103 Paの範囲であり、構造的には水素結合、ファンデルワールス力、静電力などの弱い力により三次元ネットワーク構造が形成されて固体化されたものであることから、外部刺激を受けることにより容易に粘度が低く流動性の低い状態となるものであるために、例え外部刺激が小さいエネルギーのものであってもその構造色の変化の速度が高く、例えば当該表示部材をセンサーとして用いた場合に、これを高い応答速度のものとすることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、平均粒径、CV値および屈折率の測定は、上述の方法と同様の方法によって行った。
〔球体分散液の調製例1〕
スチレン(St)71質量部、n−ブチルアクリレート(BA)20質量部およびメタクリル酸メチル(MMA)9質量部を80℃に加温して単量体混合液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液と上記の単量体混合液とを混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記の乳化分散液とドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合処理を行うことによって微粒子の分散液を得、これを遠心分離機により大径粒子/小径粒子を分離し、単分散性の高い微粒子の分散液(以下、「球体分散液〔1〕」という。)を得た。この球体分散液〔1〕中の微粒子の平均粒径は210nm、CV値は2.8、屈折率は1.55であった。
スチレン(St)71質量部、n−ブチルアクリレート(BA)20質量部およびメタクリル酸メチル(MMA)9質量部を80℃に加温して単量体混合液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液と上記の単量体混合液とを混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記の乳化分散液とドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合処理を行うことによって微粒子の分散液を得、これを遠心分離機により大径粒子/小径粒子を分離し、単分散性の高い微粒子の分散液(以下、「球体分散液〔1〕」という。)を得た。この球体分散液〔1〕中の微粒子の平均粒径は210nm、CV値は2.8、屈折率は1.55であった。
〔球体分散液の調製例2〕
メタクリル酸メチル(MMA)100質量部を80℃に加温して単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加温し、これと前記単量体溶液を混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記の乳化分散液と、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合を行い、単分散性の高い真球微粒子による分散液を得、この分散液を遠心分離機により大径粒子および小径粒子を分離し、粒度分布の狭い球体分散液〔2〕を得た。この球体分散液〔2〕中の微粒子の平均粒径は180nm、CV値は3.2、屈折率は1.49であった。
メタクリル酸メチル(MMA)100質量部を80℃に加温して単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加温し、これと前記単量体溶液を混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記の乳化分散液と、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合を行い、単分散性の高い真球微粒子による分散液を得、この分散液を遠心分離機により大径粒子および小径粒子を分離し、粒度分布の狭い球体分散液〔2〕を得た。この球体分散液〔2〕中の微粒子の平均粒径は180nm、CV値は3.2、屈折率は1.49であった。
〔球体分散液の調製例3〕
チタンアルコキシド重合法によって合成した球状の酸化チタン(ルチル型、平均粒径:130nm、CV値:7.5、屈折率2.76)20質量部をドデシルスルホン酸ナトリウム0.02質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた界面活性剤溶液中に分散させることにより、球体分散液〔3〕を得た。
チタンアルコキシド重合法によって合成した球状の酸化チタン(ルチル型、平均粒径:130nm、CV値:7.5、屈折率2.76)20質量部をドデシルスルホン酸ナトリウム0.02質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた界面活性剤溶液中に分散させることにより、球体分散液〔3〕を得た。
〔球体分散液の調製例4〕
トルエン40質量部にポリエステル(PEs)10質量部を溶解させてポリエステル分散液を調製し、このポリエステル分散液を、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.2質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた界面活性剤溶液と混合させた跡、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
この乳化分散液を60℃で加熱、減圧してトルエンを蒸発させ、単分散性の高い真球微粒子による球体分散液〔4〕を得た。この球体分散液〔4〕中の微粒子の平均粒径は200nm、CV値は5.2、屈折率は1.60であった。
トルエン40質量部にポリエステル(PEs)10質量部を溶解させてポリエステル分散液を調製し、このポリエステル分散液を、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.2質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた界面活性剤溶液と混合させた跡、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
この乳化分散液を60℃で加熱、減圧してトルエンを蒸発させ、単分散性の高い真球微粒子による球体分散液〔4〕を得た。この球体分散液〔4〕中の微粒子の平均粒径は200nm、CV値は5.2、屈折率は1.60であった。
〔球体分散液の調製例5〕
チタンアルコキシド重合法によって合成した球状の酸化チタン(アナターゼ型、平均粒径:130nm、CV値:5.9、屈折率2.52)20質量部をドデシルスルホン酸ナトリウム0.02質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた界面活性剤溶液中に分散させることにより、球体分散液〔5〕を得た。
チタンアルコキシド重合法によって合成した球状の酸化チタン(アナターゼ型、平均粒径:130nm、CV値:5.9、屈折率2.52)20質量部をドデシルスルホン酸ナトリウム0.02質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた界面活性剤溶液中に分散させることにより、球体分散液〔5〕を得た。
〔球体分散液の調製例6〕
三酸化二鉄20質量部、ポリエステル樹脂100質量部、分散剤「T−77」(保土ヶ谷化学社製)1質量部を「ヘンシェルミキサー」(三井鉱山社製)を用いて混合し、次いで110℃に設定した2軸混練押出機を用いて溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、「ハンマーミル」(ホソカワミクロン社製)を用いて粗粉砕し、さらに機械式粉砕機「ターボミルT−400型」(ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、その後、風力分級機で分級することにより球体〔6〕を得、この球体〔6〕を、当該球体〔6〕が固形分換算で20質量%となるようドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量%水溶液に添加し、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、球体分散液〔6〕を調製した。この球体分散液〔6〕中の微粒子の平均粒径は160nm、CV値は8.2、屈折率は3.08であった。
三酸化二鉄20質量部、ポリエステル樹脂100質量部、分散剤「T−77」(保土ヶ谷化学社製)1質量部を「ヘンシェルミキサー」(三井鉱山社製)を用いて混合し、次いで110℃に設定した2軸混練押出機を用いて溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、「ハンマーミル」(ホソカワミクロン社製)を用いて粗粉砕し、さらに機械式粉砕機「ターボミルT−400型」(ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、その後、風力分級機で分級することにより球体〔6〕を得、この球体〔6〕を、当該球体〔6〕が固形分換算で20質量%となるようドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量%水溶液に添加し、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、球体分散液〔6〕を調製した。この球体分散液〔6〕中の微粒子の平均粒径は160nm、CV値は8.2、屈折率は3.08であった。
<実施例1>
(表示部材の製造例1)
親水処理した黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔1〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで、降伏値が2Paであるカラギナンの10質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて150rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔1〕を得た。この表示部材〔1〕は緑色を呈するものであった。
(表示部材の製造例1)
親水処理した黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔1〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで、降伏値が2Paであるカラギナンの10質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて150rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔1〕を得た。この表示部材〔1〕は緑色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
瞬間マルチ測光システム「MCPD−3700」(大塚電子社製)を用い、この表示部材〔1〕を弓状に湾曲させる応力を加え、応力を加え終わった瞬間から、構造色の波長ピークが移動し終わった瞬間までの時間を計測することにより、構造色変化の応答速度を測定した。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔1〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、カラギナンが回収された。
瞬間マルチ測光システム「MCPD−3700」(大塚電子社製)を用い、この表示部材〔1〕を弓状に湾曲させる応力を加え、応力を加え終わった瞬間から、構造色の波長ピークが移動し終わった瞬間までの時間を計測することにより、構造色変化の応答速度を測定した。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔1〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、カラギナンが回収された。
<実施例2>
(表示部材の製造例2)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔2〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が10Paであるカラギナンの20質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔2〕を得た。この表示部材〔2〕は青色を呈するものであった。
(表示部材の製造例2)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔2〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が10Paであるカラギナンの20質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔2〕を得た。この表示部材〔2〕は青色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
この表示部材〔2〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔2〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、カラギナンが回収された。
この表示部材〔2〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔2〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、カラギナンが回収された。
<実施例3>
(表示部材の製造例3)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔3〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が950Paであるポリアクリル酸ナトリウムの30質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて500rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔3〕を得た。この表示部材〔3〕は緑色を呈するものであった。
(表示部材の製造例3)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔3〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が950Paであるポリアクリル酸ナトリウムの30質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて500rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔3〕を得た。この表示部材〔3〕は緑色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
この表示部材〔3〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔3〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、ポリアクリル酸ナトリウムが回収された。
この表示部材〔3〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔3〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、ポリアクリル酸ナトリウムが回収された。
<実施例4>
(表示部材の製造例4)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔4〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が100Paであるキサンタンガムの10質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔4〕を得た。この表示部材〔4〕は緑色を呈するものであった。
(表示部材の製造例4)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔4〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が100Paであるキサンタンガムの10質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔4〕を得た。この表示部材〔4〕は緑色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
この表示部材〔4〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔4〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、キサンタンガムが回収された。
この表示部材〔4〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔4〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、キサンタンガムが回収された。
<実施例5>
(表示部材の製造例5)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔5〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで、アルギン酸ナトリウムが5質量%、アルギン酸カルシウムが7質量%含有された、降伏値が30Paである混合水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔5〕を得た。この表示部材〔5〕は青色を呈するものであった。
(表示部材の製造例5)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔5〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで、アルギン酸ナトリウムが5質量%、アルギン酸カルシウムが7質量%含有された、降伏値が30Paである混合水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔5〕を得た。この表示部材〔5〕は青色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
この表示部材〔5〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔5〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カルシウムが回収された。
この表示部材〔5〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔5〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カルシウムが回収された。
<実施例6>
(表示部材の製造例6)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔6〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が10Paであるカラギナンの20質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔6〕を得た。この表示部材〔6〕は緑色を呈するものであった。
(表示部材の製造例6)
親水処理した黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔6〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの球体含有層を形成させた。次いで降伏値が10Paであるカラギナンの20質量%水溶液を、スリーワンモーターを用いて200rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、1時間静置して固形化させて本体を得た。さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを透明なアクリル系粘着剤により本体の球体含有層上に接着させることにより、シート状の表示部材〔6〕を得た。この表示部材〔6〕は緑色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
この表示部材〔6〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔6〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、カラギナンが回収された。
この表示部材〔6〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔6〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、カラギナンが回収された。
<実施例7>
(表示部材の製造例7)
実施例3において、マトリックスとして降伏値が950Paであるポリアクリル酸ナトリウムの30質量%水溶液の代わりに降伏値が480Paであるポリアクリル酸ナトリウムの25質量%水溶液を用いたことの他は同様にして、シート状の表示部材〔7〕を得た。この表示部材〔7〕は緑色を呈するものであった。
(表示部材の製造例7)
実施例3において、マトリックスとして降伏値が950Paであるポリアクリル酸ナトリウムの30質量%水溶液の代わりに降伏値が480Paであるポリアクリル酸ナトリウムの25質量%水溶液を用いたことの他は同様にして、シート状の表示部材〔7〕を得た。この表示部材〔7〕は緑色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
この表示部材〔7〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔7〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、ポリアクリル酸ナトリウムが回収された。
この表示部材〔7〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
また、この表示部材〔7〕について透明PETフィルムを本体から剥離し、当該本体を水中に浸潰させて超音波を掛けた後、遠心分離機により球体と水溶液とを分離し、得られた水溶液について水分を除去したところ、ポリアクリル酸ナトリウムが回収された。
<比較例1>
(比較用の表示部材の製造例1)
親水処理した黒色のPETシートに、平均粒径170μmの単分散ポリスチレン微粒子「Polybead Polystyrene Microsphere 0.20μm」(Polysciences社製)の分散液をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み10μmの球体含有層を形成させた。次いで、弾性体であるポリジメチルシリコーンジェル前駆体ポリマー溶液を球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、乾燥させた後、50℃で3時間加熱処理し、固化させるポリジメチルシリコーン浸透工程を行った。このポリジメチルシリコーン浸透工程を4回繰り返し行うことにより、シート状の表示部材〔8〕を得た。この表示部材〔8〕は緑色を呈するものであった。
(比較用の表示部材の製造例1)
親水処理した黒色のPETシートに、平均粒径170μmの単分散ポリスチレン微粒子「Polybead Polystyrene Microsphere 0.20μm」(Polysciences社製)の分散液をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み10μmの球体含有層を形成させた。次いで、弾性体であるポリジメチルシリコーンジェル前駆体ポリマー溶液を球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、乾燥させた後、50℃で3時間加熱処理し、固化させるポリジメチルシリコーン浸透工程を行った。このポリジメチルシリコーン浸透工程を4回繰り返し行うことにより、シート状の表示部材〔8〕を得た。この表示部材〔8〕は緑色を呈するものであった。
(構造色変化の応答速度の評価)
この表示部材〔8〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
球体とポリジメチルシリコーンジェル前駆体ポリマー溶液とを分離することはできなかった。
この表示部材〔8〕を用い、実施例1と同様にして構造色変化の応答速度の評価を行った。結果を表1に示す。
(構成材料の再利用性の評価)
球体とポリジメチルシリコーンジェル前駆体ポリマー溶液とを分離することはできなかった。
なお、以上の実施例および比較例における表示部材の構造色の観察は、表示部材に垂直な正面方向から、目視にて行った。
本発明の表示部材は、例えば環境変動などを検知するセンサーなどのセンサー類、ディスプレイ、パネル、シート、ラベル類などとして利用することができる。
10,10A 表示層
12 球体
15 球体層
17 基板
18 粘着層
19 表面被覆層
D 層間隔
M マトリックス
12 球体
15 球体層
17 基板
18 粘着層
19 表面被覆層
D 層間隔
M マトリックス
Claims (7)
- 球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層を有する表示部材であって、
前記マトリックスは、降伏値が1〜1×103 Paである物質により形成されていることを特徴とする表示部材。 - 表示層により発現される構造色が、外部からの刺激を受けることにより変化するものであることを特徴とする請求項1に記載の表示部材。
- 前記物質が、天然高分子多糖類を含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示部材。
- 球体の屈折率とマトリックスの屈折率との差の絶対値が、0.02〜2.0であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表示部材。
- 球体の平均粒径が50〜500nmであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の表示部材。
- 構造色は、下記式(1)で表される色であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の表示部材。
式(1):λ=2nD(cosθ)
〔ただし、上記式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層の屈折率、Dは球体層の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。〕
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
〔ただし、上記式(2)において、naは球体の屈折率、nbはマトリックスの屈折率、cは表示層における球体の体積率である。〕 - 構造色を発現する表示層を有する表示部材を製造する方法であって、
前記表示層を構成するマトリックスを、固体の球体が面方向に規則的に配された球体層が複数、厚み方向に規則的に配されてなる球体含有層に対して、当該球体含有層における隣接する球体間に形成された間隙に、降伏値が1〜1×103 Paである物質を、流動性を有する状態で充填させることにより形成する工程を有することを特徴とする表示部材の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-03-18 JP JP2008069699A patent/JP2009221420A/ja active Pending
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