JP5304048B2 - 異形粒子、組成物、及び光学材料用成型品 - Google Patents
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Description
本発明の異形粒子は、(a)中空粒子と、(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に配置される(b)粒子と、を有し、(b)粒子が、(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に突起状に配置された形状を有し、(a)中空粒子の屈折率(R a )と、(b)粒子の屈折率(R b )との比((R a )/(R b ))の値が、0.7〜1.4であり、その数平均粒子径が0.4〜10μmであるものである。このような異形粒子は、表面での正反射光を抑え、光拡散性に優れ、かつ直進透過率にも優れた、即ち、光透過性と光拡散性のバランスに優れた光学材料用成型品を提供することが可能である。
1.1.1 (a)中空粒子
本発明の異形粒子を構成する(a)中空粒子は、第一の重合体からなり、その外殻の厚さが0.05〜3.0μmであるものである。このような(a)中空粒子を有することによって、粒子殻の内壁面での光の散乱効果が顕著に加わり、より高い光拡散性を発現するという利点がある。また、(a)中空粒子は、水に対する溶解度が10−2質量%以下である有機化合物を含有する油溶性重合開始剤を吸収可能なシードポリマー粒子であることが好ましい。なお、本明細書において「中空粒子」とは、粒子内部に単一の空隙が形成された粒子をいう。
第一の重合体は、(a1)芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(a1)」ともいう)、(a2)極性官能基含有単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(a2)」ともいう)、及び必要に応じて(a3)その他の単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(a3)」ともいう)を含有することが好ましい。なお、これらを総称して「第一の重合体用の単量体」ともいう。
構成単位(a1)を構成するために用いられる芳香族ビニル系単量体として、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンが好ましい。なお、これらの芳香族ビニル系単量体は、一種単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
構成単位(a2)を構成するために用いられる極性官能基含有単量体とは、その分子中に極性官能基を有する単量体をいう。このような極性官能基としては、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、グリシジル基等を好適例として挙げることができる。極性官能基含有単量体として、具体的には、カルボキシル基含有単量体、シアノ基含有単量体、水酸基含有単量体、グリシジル基含有単量体、エステル基含有単量体等を挙げることができる。なお、以下に例示する単量体は、一種単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
構成単位(a3)を構成するために用いられるその他の単量体は、構成単位(a1)及び(a2)を構成するために用いられる単量体と共重合可能な単量体であれば良い。例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアミノアルキル基含有アクリルアミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミド類又はイミド類;N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド又はN,N−ジアルキルアクリルアミド類;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステル等のハロゲン化ビニル化合物類;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物類;
(a)中空粒子の外殻の厚さは、0.05〜3.0μmであり、0.07〜2.0μmであることが好ましく、0.1〜1.0μmであることが特に好ましい。厚さが0.05μm未満であると、外力等により(a)中空粒子が潰れ易くなるおそれがある。一方、3.0μm超であると、十分な光拡散性を発現しないおそれがある。
本発明の異形粒子を構成する(b)粒子は、(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に配置された、第二の重合体からなるものである。また、第二の重合体は、第一の重合体と異なる組成を有するものである。
第二の重合体は、(b1)フッ素原子含有単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(b1)」ともいう)、及び(b2)その単独重合体が、波長589nmの光に対する屈折率が1.5未満である(メタ)アクリレート化合物(但し、(b1)を除く)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(b2)」ともいう)を含有するものであることが好ましい。なお、これらを総称して「第二の重合体用の単量体」ともいう。
構成単位(b1)を構成するために用いられるフッ素原子含有単量体としては、例えば、フッ素原子含有ビニル単量体やフッ素原子含有(メタ)アクリレート単量体等がある。これらの中でも、フッ素原子含有(メタ)アクリレート単量体が好ましい。なお、これらのフッ素原子含有単量体は、一種単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
構成単位(b2)を構成するために用いられる単量体としては、その単独重合体が、波長589nmの光に対する屈折率が1.5未満である(メタ)アクリレート化合物(以下、「特定(メタ)アクリレート化合物」ともいう)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものであれば特に限定されるものではない。特定(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,1−ジエチルプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
第二の重合体には、必要に応じて、構成単位(b1)及び(b2)を構成するために用いられる単量体と共重合可能なその他の単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(b3)」ともいう)が含有されても良い。構成単位(b3)を構成するために用いられるその他の単量体として、具体的には、構成単位(a3)を構成するために用いられるその他の単量体として記載したものを挙げることができる。これらの中でも、多価(メタ)アクリレート類を用いることが好ましい。なお、構成単位(b3)は構成単位(b2)と同一の化合物であっても良く、異なっていても良い。
第二の重合体の波長589nmの光に対する屈折率は、1.3〜1.5であり、1.35〜1.5であることが好ましく、1.4〜1.5であることが更に好ましい。波長589nmの光に対する屈折率が1.3未満であると、異形粒子が良好に得られにくくなる場合がある。一方、1.5超であると、全光線透過率が不十分な場合がある。
本発明の異形粒子は、反応性官能基を有すること、即ち、第一の重合体及び第二の重合体の少なくともいずれかに一種以上の反応性官能基を有することが好ましい。これは、重合安定性を良好に保ちやすい傾向にあるためである。反応性官能基としては、例えば、エステル基、アミド基、アミン基、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、グリシジル基、水酸基がある。
本発明の異形粒子は、例えば、以下に示す方法に従って製造することができる。先ず、シード粒子の存在下、水性媒体中で、第一の重合体用の単量体を乳化重合して第一の重合体からなるコアシェル粒子を調製し(以下、「工程(a−1)」ともいう)、次いで、アンモニア等の揮発性塩基を添加することによってコアを膨潤させることによって(a)中空粒子を調製する(以下、「工程(a−2)」ともいう)。次に、調製した(a)中空粒子をシードポリマー粒子とし、その存在下で第二の重合体用の単量体をシード重合させる(以下、「工程(b)」ともいう)ことで製造することができる。
工程(a−1)は、シード粒子の存在下、水性媒体中で、第一の重合体用の単量体を乳化重合して第一の重合体からなるコアシェル粒子を調製する工程である。より具体的には、メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のようなカルボン酸を有する重合体からなる粒子をシード粒子として用い、水性媒体中で第一の重合体用の単量体を乳化重合して第一の重合体をコアとするコアシェル粒子を調製する工程である。
シード粒子は、例えば、不飽和カルボン酸単量体(c1)(以下、「単量体(c1)」といもいう)及びラジカル重合性単量体(c2)(以下、「単量体(c2)」ともいう)からなる単量体混合物(c)を水性媒体中で乳化重合させることによって調製することができる。
調製したシード粒子の存在下で、第一の重合体用の単量体を乳化重合し、第一の重合体をコアとするコアシェル粒子を調製する。乳化重合の条件は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法に準ずれば良い。例えば、第一の重合体用の単量体の全量を100質量部とした場合に、100〜500質量部の水を使用し、重合温度−10〜100℃(好ましくは−5〜100℃、より好ましくは0〜90℃)、重合時間0.1〜30時間(好ましくは2〜25時間)の条件で行うことができる。乳化重合の方式としては、単量体を一括して仕込むバッチ方式、単量体を分割若しくは連続して供給する方式、単量体のプレエマルジョンを分割若しくは連続して添加する方式、又はこれらの方式を段階的に組み合わせた方式等を採用することができる。また、通常の乳化重合に用いられる分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質等を必要に応じて使用することができる。なお、これらは1種単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
工程(a−2)は、調製したコアシェル粒子をアンモニア等の揮発性塩基を添加することによって膨潤させて(a)中空粒子を調製する工程である。より具体的には、調製したコアシェル粒子の分散体のpHをアンモニア、アミン等の揮発性塩基によって7以上に調整し、必要に応じて加熱して、中和膨潤させて(a)中空粒子を調製する。単量体混合物(c)に由来するシード粒子は、揮発性塩基が浸透し得るため、上記処理によって、中和され、これに伴い、著しく吸水することにより、内部に空隙を有する(a)中空粒子を形成する。
工程(b)は、調製した(a)中空粒子をシードポリマー粒子とし、その存在下で第二の重合体用の単量体をシード重合させて異形粒子を製造する工程であり、(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に配置され、(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に突起状に配置された(b)粒子を得る工程である。
1.3.1 形状
本発明の異形粒子は、(a)中空粒子と、(b)粒子と、を有し、(b)粒子が(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に配置された形状をとる。また、(b)粒子が(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に突起状に配置された形状をとる。具体的な形状は、(a)中空粒子と(b)粒子の質量比、分離性、(b)粒子の形成する際の重合条件等によって種々変化する。
本発明の異形粒子の数平均粒子径は、0.4〜10μmであり、好ましくは0.8〜10μmであり、更に好ましくは1.2〜10μmである。数平均粒子径が0.4μm未満であると、十分な光拡散性が得られない場合がある。一方、10μm超であると、乳化重合法によって製造することが困難な場合がある。
本発明の異形粒子は、(a)中空粒子の数平均粒子径(La)と、(b)粒子の数平均粒子径(Lb)との比((La)/(Lb))の値が、0.05〜20であることが好ましく、0.2〜18であることが更に好ましく、0.4〜15であることが特に好ましい。(La)/(Lb)の値がこの範囲外であると、光透過性と光拡散性のバランスが著しく劣る傾向にある。なお、粒子の形状が、真球形状ではなく、いわゆる扁平形状や、図1に示すような球状突起をもつ形状である場合、長径と短径の平均値を「平均粒子径」とする。
本発明の異形粒子は、その長径の数平均値(L)と、短径の数平均値(D)との比((L)/(D))の値が、1.0〜2.0であることが好ましく、1.1〜1.9であることが更に好ましく、1.2〜1.8であることが特に好ましい。(L)/(D)の値が2.0超であると、バインダー成分への分散性が低下し、均一な光拡散性を得難くなる傾向にある。
本発明の異形粒子は、(a)中空粒子の屈折率(Ra)と、(b)粒子の屈折率(Rb)との比((Ra)/(Rb))の値が、0.7〜1.4であり、0.8〜1.3であることが好ましく、0.85〜1.25であることが特に好ましい。(Ra)/(Rb)の値がこの範囲外であると、異形粒子を得難くなる傾向にある。なお、ここでいう屈折率は、以下のようにして測定した値である。
本発明の異形粒子の全表面積のうち、(a)中空粒子により形成される露出面と、(b
)粒子により形成される露出面との割合((a)/(b))(以下、「面積比」ともいう)は、5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜90/10であることが更に好ましい。面積比がこの範囲外であると、異形粒子が「異形」であることによる効果が十分に得られない場合がある。なお、異形粒子の全表面積に占める(a)中空粒子又は(b)粒子の露出面の割合は、例えば、電子顕微鏡写真から測定することができる。
本発明の組成物は、「1.異形粒子」に記載の異形粒子と、バインダー成分と、を含むものである。そのため、表面での正反射光を抑え、光拡散性に優れ、かつ直進透過率にも優れた、即ち、光透過性と光拡散性のバランスに優れた光学材料用成型品を提供することが可能である。
2.1.1 異形粒子
本発明の組成物に含まれる異形粒子は、「1.異形粒子」に記載の異形粒子をいう。
本発明の組成物に含まれるバインダー成分は、透明であるとともに、例えば、樹脂製のシート等の表面上に異形粒子を分散一体化させることができるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、電子線或いは紫外線照射により硬化する電離放射線硬化型樹脂等を挙げることができ、これらは適用する光学材料に応じて適宣選択して用いることができる。なお、これらは一種単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
バインダー成分の全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましい。バインダー成分の全光線透過率が80%以上であると、より光透過性に優れた光学材料用成型品を製造可能となる。また、バインダー成分の屈折率としては1.46〜1.54程度であることが好ましい。
本発明の異形粒子組成物には、異形粒子及びバインダー成分以外にも、必要に応じて、硬化剤、分散剤、染料等のその他の成分を含むことができる。
本発明の組成物は、例えば、以下のようにして製造することができる。異形粒子を含有するエマルジョンから溶媒を除去して、乾燥状態の異形粒子を得、得られた乾燥状態の異形粒子とバインダー成分を混合することで製造することができる。このようにして製造された組成物は、光透過性と光拡散性のバランスに優れた光学材料用成型品を提供可能することができる。
本発明の光学材料用成型品の一実施形態は、樹脂成分と異形粒子を含む樹脂材料からなるもの(以下、「光学材料用成型品(1)」ともいう)である。また、本発明の光学材料用成型品の他の実施形態は、基材層と、この基材層の少なくとも一方の面上に形成された組成物からなる光学材料層と、を備えたもの(以下、「光学材料用成型品(2)」ともいう)である。これらのような光学材料用成型品は、表面での正反射光を抑え、光拡散性に優れ、かつ直進透過率にも優れた、即ち、光透過性と光拡散性のバランスに優れたものである。従って、本発明の光学材料用成型品は、このような特性を生かし、導光板、光拡散板、光拡散フィルム、アンチグレアフィルム、プリズムシート、又はプロテクトシート等として好適に利用可能である。
3.1.1 光学材料用成型品(1)の構成成分
光学材料用成型品(1)は、樹脂成分と異形粒子とを含む樹脂材料からなるものである。樹脂成分については特に制限されるものではないが、可視光線に対して高い透過性を有する透明なものが好ましい。なお、透明には、無色透明の他に、有色透明、半透明が概念的に含まれる。樹脂成分として、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、オキセタン樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱又は活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、熱又は活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂が、ガラス繊維やガラス繊維布との複合化が容易であるとともに、熱的に安定であることから好ましく、エポキシ樹脂、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートが更に好ましい。
光学材料用成型品(1)の製造方法としては、例えば、樹脂成分と異形粒子とを押出機に供給し、押出機から押し出されたものをマスターバッチ化した後、このマスターバッチを押出機に供給し、キャビティ内に射出して成型加工する等の方法がある。
3.2.1 光学材料用成型品(2)の構成成分
光学材料用成型品(2)は、基材層と、この基材層の少なくとも一方の面上に形成された組成物からなる光学材料層と、を備えたものである。基材層は、透明(無色透明、有色透明、又は半透明)な樹脂からなる層であることが好ましい。この基材層を構成する樹脂として、具体的には、光学材料用成型品(1)を構成する樹脂材料に含有される樹脂成分と同一のものを挙げることができる。
光学材料用成型品(2)は、例えば、異形粒子及びバインダー成分を含む組成物を分散又は溶解可能な有機溶媒に、分散又は溶解してスラリー状とし、各種コーターによる塗工及び乾燥を行うことによって製造することができる。有機溶媒として、具体的には、水、トルエン、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を挙げることができる。
中空部体積/粒子全体の体積 ×100(%)
(1)シード粒子(A)の調製
容量2Lの反応容器に、予め媒体として水110部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「F65」、花王社製)0.2部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を投入した。一方で、メタクリル酸メチル90部、メタクリル酸10部、分子量調整剤としてオクチルチオグリコレート5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、及び水40部を混合攪拌して単量体混合物の水性分散体を調製した。この単量体混合物の水性分散体の20vol%を反応容器に投入し、攪拌しながら75℃まで昇温して1時間重合反応を行った。その後、温度を75℃に保ちながら残りの単量体混合物の水性分散体を連続的に2時間かけて反応容器に添加し、更に、2時間熟成を行った。これにより固形分40%、重合転化率99%で、数平均粒子径が0.2μmのシード粒子(A)の水性分散体を得た。
容量2Lの反応容器に、予め媒体として水186部を投入し、これに得られたシード粒子(A)を固形分で10部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を投入した。一方で、メタクリル酸メチル80部、メタクリル酸20部、分子量調整剤としてオクチルチオグリコレート1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、及び水40部を混合攪拌して単量体混合物の水性分散体を調製した。次に、反応液を80℃まで昇温、保持し、反応液を攪拌しながら単量体混合物の水性分散体を連続的に3時間かけて反応容器に添加し、更に、2時間熟成を行った。これにより固形分30%、重合転化率99%で、数平均粒子径が0.45μmのシード粒子(B)の水性分散体を得た。
容量2Lの反応容器に、予め媒体として水140部を投入し、これに調製したシード粒子(B)を固形分で10部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を投入した。一方で、スチレン72部、ジビニルベンゼン20部、メタクリル酸グリシジル8部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、及び水55部を混合攪拌して第一の重合体用の単量体混合物の水性分散体を調製した。次に、反応液を80℃まで昇温、保持し、反応液を攪拌しながら第一の重合体用の単量体混合物の水性分散体を連続的に3時間かけて反応容器に添加し、その後、5%に調整した水酸化ナトリウム水溶液1部を加え、更に、2時間熟成を行った。これにより固形分22%、重合転化率99%で、数平均粒子径が1.0μmの第一の粒子(1)を調製した。調製した第一の粒子(1)は、中空率が50%であり、その形状は「中空」であった。そのため第一の粒子(1)は(a)中空粒子である。
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチルO」、日本油脂社製)2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、及び水20部を攪拌して乳化後、超音波ホモジナイザーで更に微粒子化し、水性分散体を得た。得られた水性分散体を、第一の粒子(1)15部、及びアセトン6部からなる混合液に添加し、16時間攪拌した。次いで、ポリビニルアルコール(重合度:2,000、ケン化度:87〜89)の2.5%水溶液200部、メタクリル酸メチル90部、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート10部を加え、40℃で3時間ゆっくり攪拌して、メタクリル酸メチル及びトリメチロールプロパントリメタクリレートを第一の粒子(1)に吸収させた。その後、75℃に昇温し、3時間重合反応を行った。これにより、数平均粒子径が1.0μmであり、その形状が「中実」であり、波長589nmの光に対する屈折率が1.50である第二の重合体からなる(b)粒子を第一の粒子(1)の表面に形成した。第一の粒子(1)と(b)粒子を合わせて第二の粒子(1)とする。なお、凝固物はほとんど発生しなかった。
表1に記載した配合処方で行ったこと以外は実施例1と同様にして第二の粒子(2)〜(8)、(12)を製造した。これらの物性値を表2に記載する。なお、実施例2〜8で製造した第二の粒子(2)〜(8)の粒子形状は図1に記載したように、第一の粒子の表面に(b)粒子が配設された形状を有していた。
表1に記載した配合処方で行ったこと以外は実施例1と同様にして第一の粒子(9)を調製した。調製した第一の粒子(9)の物性値を表2に記載する。
シード粒子を用いず、表1に記載した配合処方で行ったこと以外は実施例1と同様にして第一の粒子(10)及び(11)を調製した。調製した第一の粒子(10)及び(11)の物性値を表2に記載する。
シード粒子を用いず、表1に記載した配合処方で行ったこと以外は実施例1と同様にして第二の粒子(13)を製造した。製造した第二の粒子(13)の物性値を表2に記載する。
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
ST:スチレン
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
DVB:ジビニルベンゼン
IBMA:イソブチルメタクリレート
TBMA:t−ブチルメタクリレート
TBA:t−ブチルアクリレート
TFEMA:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート
(5)組成物の調製
実施例1で製造した第二の粒子(1)を含有するエマルジョンを、スプレードライヤー(型番「L−8型」、大川原加工機社製)を使用して乾燥し、乾燥状態の第二の粒子(1)を得た。バインダー成分として、ポリメタクリル酸メチル(商品名「パペラットHR−L」、クラレ社製、メルトインデックス:2g/10分)50部、及びメチルイソブチルケトン200部を混合して得られた混合液に対して、乾燥状態の第二の粒子(1)50部を添加して分散させることにより、組成物(1)を調製した。
調製した組成物(1)をトリアセチルセルロースフィルム基材(全光線透過率:88.0%、ヘイズ:3.2%、厚さ:200μm)上に均一に層状に塗布した後、60℃で1時間乾燥させることにより、厚さ35μmの光学材料層を有する光学フィルム(1)として光学材料用成型品を製造した。製造した光学フィルム(1)の全光線透過率は95%であり、直進透過率は61%であり、ヘイズは90%であった。
表3に記載した第二の粒子を用いたこと以外は実施例8と同様にして光学フィルム(2)〜(13)を製造した。これらの物性値を合わせて表3に記載する。
Claims (9)
- 第一の重合体からなり、その外殻の厚さが0.05〜3.0μmである(a)中空粒子と、
前記(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に配置され、波長589nmの光に対する屈折率が1.3〜1.5であり、前記第一の重合体と異なる組成を有する第二の重合体からなる(b)粒子と、を有し、
前記(b)粒子が、前記(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に突起状に配置された形状を有し、
前記(a)中空粒子の屈折率(R a )と、前記(b)粒子の屈折率(R b )との比((R a )/(R b ))の値が、0.7〜1.4であり、
その数平均粒子径が0.4〜10μmである異形粒子。 - 前記(a)中空粒子の数平均粒子径(La)と、前記(b)粒子の数平均粒子径(Lb)との比((La)/(Lb))が、0.05〜20である請求項1に記載の異形粒子。
- 前記第一の重合体が、
(a1)芳香族ビニル系単量体由来の構成単位を60〜98質量%、
(a2)極性官能基含有単量体由来の構成単位を2〜40質量%、及び
(a3)その他の単量体由来の構成単位を0〜38質量%(但し、(a1)+(a2)+(a3)=100質量%)、を含有する請求項1又は2に記載の異形粒子。 - 前記第二の重合体が、
(b1)フッ素原子含有単量体由来の構成単位、及び
(b2)その単独重合体が、波長589nmの光に対する屈折率が1.5未満である(メタ)アクリレート化合物(但し、(b1)を除く)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む単量体由来の構成単位、を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の異形粒子。 - 前記(a)中空粒子をシードポリマー粒子とし、シード重合させることにより、前記(a)中空粒子の表面の少なくとも一部に前記(b)粒子を配置させて得られる請求項1〜4のいずれか一項に記載の異形粒子。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の異形粒子と、
バインダー成分と、を含む組成物。 - 樹脂成分と、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の異形粒子と、を含む樹脂材料からなる光学材料用成型品。 - 基材層と、
前記基材層の少なくとも一方の面上に形成された、請求項6に記載の組成物からなる光学材料層と、を備えた光学材料用成型品。 - 導光板、光拡散板、光拡散フィルム、アンチグレアフィルム、プリズムシート、又はプロテクトシートである請求項7又は8に記載の光学材料用成型品。
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