JP4867938B2 - 表示部材 - Google Patents

表示部材 Download PDF

Info

Publication number
JP4867938B2
JP4867938B2 JP2008069700A JP2008069700A JP4867938B2 JP 4867938 B2 JP4867938 B2 JP 4867938B2 JP 2008069700 A JP2008069700 A JP 2008069700A JP 2008069700 A JP2008069700 A JP 2008069700A JP 4867938 B2 JP4867938 B2 JP 4867938B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
display
reflective interface
display member
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008069700A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009223181A (ja
Inventor
光俊 中村
基 西村
亜弥 白井
達也 長瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Business Technologies Inc
Original Assignee
Konica Minolta Business Technologies Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Business Technologies Inc filed Critical Konica Minolta Business Technologies Inc
Priority to JP2008069700A priority Critical patent/JP4867938B2/ja
Priority to US12/403,910 priority patent/US8049965B2/en
Publication of JP2009223181A publication Critical patent/JP2009223181A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4867938B2 publication Critical patent/JP4867938B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/26Reflecting filters

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、構造色を発現する表示部材に関する。
従来、構造色の特性を利用した、センサー、ディスプレイ、パネル、シート、ラベルなどの表示部材として、例えば固体粒子によって形成された周期構造体の粒子間に気体、液体または固体物質を充填させたものが提案されている(特許文献1および特許文献2参照。)。
然るに、最近においてディスプレイとしてはセキュリティの観点から使用者のみに視認性のある異方性の高いものが要望されているところ、上記の特許文献に開示されるような表示部材は、観察角にかかわらず視認されてしまうものである、という問題がある。
特開2004-269922号公報 特開2006-28202号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、セキュリティ性を有する表示部材を提供することにある。
本発明の表示部材は、球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層と、当該表示層を透過する光を反射する反射界面とを有する表示部材であって、
前記反射界面は、前記表示層と、当該表示層に接する状態に設けられた反射界面形成層とにより形成され、
前記球体の屈折率をna、前記マトリックスの屈折率をnb、前記反射界面形成層の屈折率をncとした場合に、下記関係式(1)および下記関係式(2)を共に満足することを特徴とする。
関係式(1):0.35<nc/na<1.00
関係式(2):0.35<nc/nb<1.00
また、本発明の表示部材は、球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層と、当該表示層を透過する光を反射する反射界面とを有する表示部材であって、
前記反射界面は、反射界面形成上層と、当該反射界面形成上層に接する状態に設けられた反射界面形成下層とにより形成され、
前記マトリックスの屈折率をnb、前記反射界面形成上層の屈折率をnc1、前記反射界面形成下層の屈折率をnc2とした場合に、下記関係式(3)および下記関係式(4)を満足することを特徴とする。
関係式(3):nb≦nc1
関係式(4):0.35<nc2/nc1<1.00
本発明の表示部材においては、表示層の上方から入射された光は、通常、表示層において当該表示部材の垂線との角度θ(以下、「観察角」という。)に基づいた波長の光(以下、「表示層選択反射光」という。)が選択的に反射されて構造色が発現されるところ、表示層の下方に特定の反射界面が形成されているために、当該表示層を透過した光のうち前記特定の反射界面の特性に基づいた波長の光(以下、「界面反射光」という。)が選択的に反射されてこの界面反射光が再び表示層を透過することになる。従って、表示層選択反射光および界面反射光の両者による光によって構造色が発現される。
一方、本発明の表示部材においては、前記特定の反射界面に入射された光がすべて界面反射光となる場合、すなわち表示部材に入射された光が全反射される場合は、観察者は構造色の発現を視認できなくなる。
そして、本発明の表示部材によれば、前記特定の反射界面の特性により前記界面反射光が制御されており、従って、構造色の発現を視認できる可視角度範囲が適宜に規定され、従って、観察角が大きい場合に構造色の発現が防止される角度依存性が実現され、その結果、高いセキュリティ性が得られる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る表示部材は、図1に示されるように、構造色を発現する表示層10と、当該表示層10を透過する光を反射する、表示層10と当該表示層10に接する状態に設けられた反射界面形成層11とにより形成された反射界面S1とを有するものであって、表示層10を構成する球体12の屈折率をna、表示層10を構成するマトリックスMの屈折率をnb、反射界面形成層11の屈折率をncとした場合に、下記関係式(1)および下記関係式(2)を共に満足するものである。
関係式(1):0.35<nc/na<1.00
関係式(2):0.35<nc/nb<1.00
この表示部材が上記関係式(1)および上記関係式(2)を満足するものであることによって、反射界面S1における球体12および反射界面形成層11の接触領域S1a、および反射界面S1におけるマトリックスMおよび反射界面形成層11の接触領域S1bのそれぞれにおいて所期の波長の光が選択的に反射され、従って、反射界面S1の全域において当該所期の波長の光が選択的に反射される。
このような表示部材においては、反射界面S1において選択的に反射される界面反射光と、表示層10に係る表示層選択反射光との両者による光によって構造色が発現される。
そして、この表示部材においては、観察角が所期の大きさ以上であるときに反射界面S1において選択的に反射される界面反射光が反射界面S1に入射された光すべてとされ、すなわち反射界面S1において全反射され、その結果、当該表示部材に入射された光すべてが表示層10および反射界面S1のいずれかによって反射される、すなわち表示部材に入射された光が全反射されるため、前記所期の大きさ以上の観察角での構造色の発現が防止される。
本発明の表示部材において、構造色の発現を視認できる可視角度範囲は、球体12、マトリックスMおよび反射界面形成層11のそれぞれを構成する材料の組み合わせによっても異なるが、例えば観察角が0〜70度以内の範囲であることが好ましく、より好ましくは0〜55度以内の範囲である。
具体的に例示すると、球体12を構成する材料の屈折率が1.56、マトリックスMを構成する材料の屈折率が1.41、反射界面形成層11を構成する材料の屈折率が1.34である場合、観察角は0〜52度とされる。
上記関係式(1)および関係式(2)における屈折率の比nc/naおよびnc/nbは、反射界面S1において全反射が生じる条件を示しており、具体的にはnc/naが球体12と反射界面形成層11との界面(接触領域S1a)において全反射が生じる条件であり、nc/nbがマトリックスMと反射界面形成層11との界面(接触領域S1b)において全反射が生じる条件である。
球体12の屈折率naと反射界面形成層11の屈折率ncとの比率(以下、「接触領域S1aにおける屈折率比」ともいう。)nc/naが0.35以下である場合、および/または、マトリックスMの屈折率nbと反射界面形成層11の屈折率ncとの比率(以下、「接触領域S1bにおける屈折率比」ともいう。)nc/nbが0.35以下である場合は、可視角度範囲が極めて小さくて実用上見づらいという不具合がある。一方、接触領域S1aにおける屈折率比nc/naが1.00以上である場合、および/または、接触領域S1bにおける屈折率比nc/nbが1.00以上である場合は、反射界面S1に入射された光が全て反射界面形成層11を透過して界面反射光を得ることができず、表示層選択反射光のみにより構造色が発現されることとなるため、構造色の発現が認識できない角度範囲が存在せず、得られる表示部材においてセキュリティ性を実現することができない。
〔表示層〕
表示部材の表示層10は、マトリックスM中に周期構造体16が形成されてなるものであり、表示層10においてこのような周期構造が形成されていることにより、可視域光の照射によって有彩色が視感される。
表示層10は、具体的には、例えば、図1に示されるように、マトリックスM中に例えば固体の粒子よりなる球体12同士が面方向に接触して規則的に形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が接触する状態で規則的に配された構成を有する。
また例えば、図2に表示層10Aとして示されるように、マトリックスM中に例えば固体の粒子よりなる球体12同士が面方向に非接触状態で規則的に配されて形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が非接触状態で規則的に配された構成を有していてもよい。
この球体層15は、光が入射する方向に対して一方向に規則的に球体12が配列された構成を有しており、特に、球体層15が最密充填構造を呈するよう球体12が配列された構成であることが好ましい。
表示層10においては、球体12の屈折率とマトリックスMの屈折率との差の絶対値(以下、「屈折率差」という。)が、0.02〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.6である。
この屈折率差が0.02未満である場合は、構造色が発色しにくくなり、この屈折率差が2.0より大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
〔構造色〕
本発明の表示部材において得られる構造色は、反射界面S1において選択的に反射される界面反射光と、表示層10に係る表示層選択反射光との両者による波長の光によって発現される色である。
表示層10に係る表示層選択反射光は、ブラッグの法則、スネルの法則より、下記式(1)で表される波長の光とされる。
なお、下記式(1)および下記式(2)は近似式であり、実際上はこれらの計算値に完全には合致しない場合もある。
式(1):λ=2nD(cosθ)
この式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層10の屈折率、Dは球体層15の層間隔、θは表示部材の垂線との観察角である。
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
この式(2)において、naは球体12の屈折率、nbはマトリックスMの屈折率、cは表示層10における球体12の体積率である。
ここに、構造色のピーク波長λは、ファイバーを用いて光源と観察角度との関係を確認できる「MCPD−3700」(大塚電子社製)を用いて測定されるものとすることができる。
そして、この構造色のピーク波長λから、上記式(1)を用いて層間隔Dを算出することができる。
表示層10の厚みは、用途によって異なるが、例えば0.1〜100μmとすることができる。
また、表示層10における球体層15の厚みは、例えば0.1〜100μmであることが好ましい。
球体層の厚みが0.1μm未満である場合は、得られる構造色の色が薄いものとなり、一方、球体層の厚みが100μmよりも大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまう。
表示層10における球体層15の周期数は、少なくとも1以上である必要があり、好ましくは5〜500である。
周期数が1未満である場合は、表示層が構造色を発現するものとすることができない。
本発明の表示部材において、その構造色は、可視域にピーク波長を有する色に限らず、紫外域または赤外域にピーク波長を有する色であってもよい。
このような紫外域または赤外域にピーク波長を有する色の表示部材は、例えば、紫外線または赤外線を認識できる検出装置などに組み込んだ状態でセンサーとして使用することができる。
表示層10における層間隔Dは、50〜500nmであることが好ましい。
層間隔Dが上記の範囲にあることにより、得られる表示部材において発現する構造色が近紫外〜可視〜近赤外域にピーク波長を有する色となる。一方、層間隔Dが500nmよりも大きい場合は、得られる表示層が構造色を発現するものとならないおそれがある。
〔球体〕
本発明において、球体とは、3次元において球体形状を有する物質のことであり、真球に限定されるものではなく、おおよそ球体形状を有すればよい。この物質は、マトリックスの屈折率と異なる屈折率を有していれば、固体、液体、気体のどの形態を有していてもよい。
表示層15を形成する球体12を形成すべき材料としては、マトリックスMを構成する材料および反射界面形成層11を構成する材料との関係において適宜に選択することができる。
具体的には、その屈折率naがマトリックスMの屈折率nbと異なるものであること、および反射界面形成層の屈折率ncとの関係において上記関係式(1)を満たすこと、並びにマトリックスMを構成する材料と非相溶性であることが必要とされる。
また、表示層10を構成する球体12は、マトリックスMを形成すべき材料との親和性の高い材料よりなることが好ましい。
表示層10を構成する球体12としては、種々のものを挙げることができる。
具体的には例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(イソ)プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸単量体などの重合性単量体のうちの1種を重合した粒子、または2種以上を共重合した有機粒子を挙げることができる。
また、重合性単量体に架橋性単量体を加えて重合した有機粒子であってもよく、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。
また例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、硫酸バリウム、酸化第二鉄などの無機酸化物および複合酸化物などや、ガラス、セラミックスなどにより形成された無機粒子を挙げることができる。
また例えば、上記の有機粒子または無機粒子をコア粒子として、これの表面に当該コア粒子を構成する材料と異なる材料のシェル層が形成されてなるコア−シェル型粒子を挙げることができる。シェル層は、金属微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物ナノシートなどを用いて形成することができる。
さらに例えば、上記のコア−シェル型粒子から、焼成、抽出などの方法によってコア粒子を除去することにより得られる中空型粒子を挙げることができる。
これらの粒子のうち、有機粒子が好適に用いられる。
球体12の平均粒径は、当該球体12の屈折率およびマトリックスMの屈折率との関係において設定する必要があり、さらに少なくともその分散液が安定したコロイド溶液となる大きさであることが好ましいところ、例えば50〜500nmであることが好ましい。
球体12の平均粒径が上記の範囲にあることにより、その分散液を安定したコロイド溶液とすることができ、また、得られる表示部材において発現する構造色が近紫外〜可視〜近赤外域にピーク波長を有する色となる。
また、粒径分布を表すCV値は20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である。
CV値が20より大きい場合は、マトリックス中において球体による球体層を規則的に配することができず、その結果、構造色を発現する表示部材を得られないおそれがある。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡「JSM−7410」(日本電子社製)を用いて50,000倍の写真を2枚撮影し、この2枚の写真画像における球体100個ずつについて、それぞれ最大長を測定し、その個数平均値を算出することにより、得られるものである。ここに、「最大長」とは、球体の周上の任意の2点による2点間距離のうち、最大のものをいう。
なお、球体が凝集体として撮影される場合には、凝集体を形成する一次粒子(球体)の最大長を測定するものとする。
CV値は、個数基準の粒度分布における標準偏差および上記の平均粒径の値を用いて下記式(CV)より算出されるものである。
式(CV):CV値(%)=((標準偏差)/(平均粒径))×100
球体12の屈折率は公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明における球体12の屈折率は、液浸法によって測定した値とする。
球体12の屈折率の具体的な例としては、例えばポリスチレンが1.59、ポリメタクリル酸メチルが1.49、ポリエステルが1.60、フッ素変性ポリメタクリル酸メチルが1.40、ポリスチレン・ブタジエン共重合が1.56、ポリアクリル酸メチルが1.48、ポリアクリル酸ブチルが1.47、シリカが1.45、酸化チタン(アナターゼ型)が2.52、酸化チタン(ルチル型)が2.76、酸化銅が2.71、酸化アルミニウムが1.76、硫酸バリウムが1.64、酸化第二鉄が3.08である。
球体層15を構成する球体12は、単一組成の単一物であっても複合物であってもよいが、球体の表面に球体同士を接着させる物質が付着されたものとしてもよく、あるいは、球体の内部に球体同士を接着させる物質が導入されたものとしてもよい。このような接着物質を用いることによって、球体層15を形成する際に自己配列などを生じにくい物質による球体であっても、球体同士を接着させることができる。また、屈折率が高い材料によって球体を形成する場合は低屈折率物質を内添するなどしてもよい。
球体層15を構成する球体12は、球体層15を形成させる際に規則配列させやすいことから、単分散性の高いものであることが好ましい。
単分散性の高い球体を得るために、球体が有機物による粒子である場合は、球体は、通常一般的に用いられるソープフリー乳化重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの重合法によって得ることが好ましい。
粒子12は、マトリックスMとの親和性を高いものとするために、各種の表面処理を行ってもよい。
〔マトリックス〕
表示層15を形成するマトリックスMを形成すべき材料としては、球体12を構成する材料および反射界面形成層11を構成する材料との関係において適宜に選択することができる。
具体的には、その屈折率nbが球体12の屈折率naと異なるものであること、および反射界面形成層の屈折率ncとの関係において上記関係式(2)を満たすこと、並びに球体12を構成する材料と非相溶性であることが必要とされる。
また、マトリックスMを形成すべき材料としては、球体12との親和性の高い材料よりなることが好ましい。
マトリックスMを形成すべき材料としては、例えば有機溶剤に可溶である樹脂や水に可溶である樹脂、ヒドロゲル、オイルゲル、光硬化剤、熱硬化剤および湿気硬化剤などが挙げられる。
有機溶剤に可溶である樹脂としては、具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、水に可溶である樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
マトリックスMの屈折率は、公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明におけるマトリックスMの屈折率は、別個にマトリックスMのみよりなる薄膜を作成し、この薄膜をアッベ屈折率計にて測定した値とされる。
マトリックスの屈折率の具体的な例としては、例えばゼラチン/アラビアゴムが1.53、ポリビニルアルコールが1.51、ポリアクリル酸ナトリウムが1.51、フッ素変性アクリル樹脂が1.34、N−イソプロピルアミドが1.51、発泡アクリル樹脂が1.43である。
〔表示層の製造方法〕
このような表示層10は、例えば、球体12の水分散液を調製し、基板などの表面に塗布して自己配列させて周期構造体16を形成させた後乾燥させ、この周期構造体16に液体状に調製したマトリックスMを形成すべき溶液を塗布して球体12間に隙間なく充填させた後固形化させ、当該周期構造体16を基板から剥離する方法などによって製造することができる。
球体12の水分散液の塗布方法としては、スクリーン塗布法、ディップ塗布法、スピンコート塗布法、カーテン塗布法、LB(Langmuir−Blodgett)膜作成法などを利用することができる。
〔反射界面形成層〕
この表示部材を構成する反射界面形成層11を形成すべき材料としては、球体12を構成する材料およびマトリックスMを構成する材料との関係において適宜に選択することができる。
具体的には、その屈折率ncが球体12の屈折率naとの関係において上記関係式(1)を満たすこと、およびマトリックスMの屈折率nbとの関係において上記関係式(2)を満たすことが必要とされる。
反射界面形成層11を形成すべき材料としては、例えば低屈折率を示す、フッ素樹脂、フッ素ゲル、シリコーン樹脂、シリコーンゲルなどを挙げることができる。
また、セル、スペーサーなどを用いて気密空間を区画し、当該気密空間に空気、ヘリウムなどの気体を充填させてこれを反射界面形成層11として用いることもできる。
反射界面形成層11の厚みは、例えば5nm〜1mmとすることができる。反射界面形成層11の厚みが5nm未満である場合は、表示層10の作製過程において剥離が生じたり、変形が生じて得られる表示部材が反射界面S1において全反射が得られ難いものとなるなどのおそれがある。一方、反射界面形成層11の厚みが1mmを超える場合は、得られる表示部材が構造色の色が薄いものとなるおそれがある。
反射界面形成層11の屈折率は、公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明における反射界面形成層11の屈折率は、別個に反射界面形成層のみよりなる薄膜を作成し、この薄膜をアッベ屈折率計にて測定した値とされる。
〔表示部材〕
以上のような表示部材は、具体的には、例えば図1に示されるように、基板13上に反射界面形成層11および表示層10が積層されたシート状のものとして構成することができる。
基板13としては、例えばガラス、セラミックスやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のフィルムやシートなどを使用することができ、当該基板13としては、黒色、灰色など、所望に応じた光を吸収する色のものを使用することができる。
また、表示層10を球体12の水分散液を用いて作製する場合は、基板13としては、表面の水に対する接触角はある程度低いものが好ましく、また、表面平滑性は高いものが好ましいことから、適宜の表面処理を行うことができる。また、ブラスト処理などを行って球体が付着し易い状態にして使用することもできる。
また、表示部材は、基板13上に反射界面形成層11および表示層10が形成され、この表示層10上に粘着層を介して表面被覆層が設けられたものとして構成することもできる。
このような表示部材において、基板13、粘着層および表面被覆層は、用途などに応じて必要に応じて設けられるものであり、また、基板13の裏面、または反射界面形成層11の裏面に、ラベル用粘着層を設けた構成としてもよい。
表面被覆層を設ける場合は、当該表面被覆層として、透明性が高く、表示層10における構造色の発現を阻害しないポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などよりなるフィルム、UV硬化樹脂よりなるフィルムなどを用いることができる。
また、ラベルとして使用する場合は、ラベル用粘着層として、例えばアクリル系粘着剤、アクリル・オレフィン共重合粘着剤などの接着性の粘着材を用いることができる。
〔表示部材の製造方法〕
本発明の表示部材は、例えば、表示層10と反射界面形成層11とを接触した状態に積層させることにより、得ることができる。
以上のような表示部材においては、表示層10の上方から入射された光は、通常、表示層10において表示層選択反射光が選択的に反射されて構造色が発現されるところ、表示層10の下方に特定の反射界面S1が形成されているために、当該表示層10を透過した光のうち界面反射光が選択的に反射されてこの界面反射光が再び表示層10を透過し、従って、表示層選択反射光および界面反射光の両者による光によって構造色が発現される。
一方、この表示部材においては、前記特定の反射界面S1に入射された光がすべて界面反射光となる場合、すなわち表示部材に入射された光が全反射される場合は、観察者は構造色の発現を視認できなくなる。
そして、この表示部材によれば、前記特定の反射界面S1の特性により前記界面反射光が制御されており、従って、構造色の発現を視認できる可視角度範囲が適宜に規定され、従って、観察角が大きい場合に構造色の発現が防止される角度依存性が実現され、その結果、高いセキュリティ性が得られる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る表示部材は、第1の実施の形態における表示層10および反射界面形成層11の代わりに、表示層20並びに反射界面形成上層21および反射界面形成下層22を有してなることの他は同様の構成を有するものである。
具体的には、図3に示されるように、構造色を発現する表示層20と、当該表示層20を透過する光を反射する、反射界面形成上層21と当該反射界面形成上層21に接する状態に設けられた反射界面形成下層22とにより形成された反射界面S2とを有するものであって、マトリックスMの屈折率をnb、反射界面形成上層の屈折率をnc1、反射界面形成下層の屈折率をnc2とした場合に、下記関係式(3)および下記関係式(4)を共に満足するものである。
関係式(3):nb≦nc1
関係式(4):0.35<nc2/nc1<1.00
この表示部材が上記関係式(3)および上記関係式(4)を満足するものであることによって、反射界面S2において所期の波長の光が選択的に反射される。
このような表示部材においては、反射界面S2において選択的に反射される界面反射光と、表示層20に係る表示層選択反射光との両者による光によって構造色が発現される。
そして、この表示部材においては、観察角が所期の大きさ以上であるときに反射界面S2において選択的に反射される界面反射光が反射界面S2に入射された光すべてとされ、すなわち反射界面S2において全反射され、その結果、当該表示部材に入射された光すべてが表示層20および反射界面S2のいずれかによって反射されるため、前記所期の大きさ以上の観察角での構造色の発現が防止される。
本発明の表示部材において、構造色の発現を視認できる可視角度範囲は、マトリックスM、並びに反射界面形成上層21および反射界面形成下層22のそれぞれを構成する材料の組み合わせによっても異なるが、例えば観察角が0〜70度以内の範囲であることが好ましく、より好ましくは0〜55度以内の範囲である。
具体的に例示すると、マトリックスMを構成する材料の屈折率が1.51、反射界面形成上層21を構成する材料の屈折率が1.51、反射界面形成上層19を構成する材料の屈折率が1.34である場合、観察角は0〜38度とされる。
上記関係式(4)における屈折率の比nc2/nc1は、反射界面形成上層21と反射界面形成下層22との界面(反射界面S2)において全反射が生じる条件を示している。
反射界面形成上層21の屈折率nc1と反射界面形成下層22の屈折率nc2との比率(以下、「反射界面S2における屈折率比」ともいう。)nc2/nc1が0.35以下である場合は、可視角度範囲が極めて小さくて実用上見づらいという不具合がある。一方、反射界面S2における屈折率比nc2/nc1が1.00以上である場合は、反射界面S2に入射された光が全て反射界面形成上層21および反射界面形成下層22を透過して界面反射光を得ることができず、構造色の発現に係る角度依存性を実現することができない。
〔表示層〕
表示層20は、球体12がこれを形成すべき材料として用途やマトリックスMを形成すべき材料との関係において適宜に選択され、マトリックスMがこれを形成すべき材料として用途や反射界面形成上層21を形成すべき材料との関係において適宜に選択されたものであることの他は第1の実施の形態と同様の構成のものとすることができ、同様の製造方法によって得ることができる。また、基板13は、第1の実施の形態と同様の構成のものとすることができる。
〔反射界面形成上層〕
この表示部材を構成する反射界面形成上層21を形成すべき材料としては、光を透過する材料のうちから、マトリックスMを構成する材料および反射界面形成下層22を構成する材料との関係において適宜に選択することができる。
具体的には、その屈折率nc1がマトリックスMの屈折率nbとの関係において上記関係式(3)を満たすこと、および反射界面形成下層22の屈折率nc2との関係において上記関係式(4)を満たすことが必要とされる。
反射界面形成上層21を形成すべき材料としては、例えば高屈折率を示す、ガラス、高屈折ガラス、Fe3 2 を含有するポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂などを挙げることができる。
反射界面形成上層21の厚みは、例えば5nm〜1mmとすることができる。反射界面形成上層21の厚みが5nm未満である場合は、表示層20の作製過程において剥離が生じたり、変形が生じて得られる表示部材が反射界面S2において全反射が得られ難いものとなるなどのおそれがある。一方、反射界面形成上層21の厚みが1mmを超える場合は、得られる表示部材が構造色の色が薄いものとなるおそれがある。
〔反射界面形成下層〕
この表示部材を構成する反射界面形成下層22を形成すべき材料としては、反射界面形成上層21を構成する材料との関係において適宜に選択することができる。
具体的には、その屈折率nc2が反射界面形成上層21の屈折率nc1との関係において上記関係式(4)を満たすことが必要とされる。
反射界面形成下層22を形成すべき材料としては、例えば低屈折率を示す、フッ素樹脂、フッ素ゲル、シリコーン樹脂、シリコーンゲルなどを挙げることができる。
また、セル、スペーサーなどを用いて気密空間を区画し、当該気密空間に空気、ヘリウムなどの気体を充填させてこれを反射界面形成層11として用いることもできる。
反射界面形成下層22の厚みは、例えば5nm〜1mmとすることができる。反射界面形成下層22の厚みが5nm未満である場合は、表示層20の作製過程において剥離が生じたり、変形が生じて得られる表示部材が反射界面S2において全反射が得られ難いものとなるなどのおそれがある。一方、反射界面形成下層22の厚みが1mmを超える場合は、得られる表示部材が構造色の色が薄いものとなるおそれがある。
反射界面形成上層21および反射界面形成下層22の屈折率は、公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明における反射界面形成上層21および反射界面形成下層22の屈折率は、別個にそれぞれ反射界面形成上層および反射界面形成下層のみよりなる薄膜を作成し、これらの薄膜をアッベ屈折率計にて測定した値とされる。
以上のような表示部材によれば、第1の実施の形態におけるものと同様の効果を得ることができる。
すなわち、以上のような表示部材においては、表示層20の上方から入射された光は、通常、表示層20において表示層選択反射光が選択的に反射されて構造色が発現されるところ、表示層20および反射界面形成上層21の下方に特定の反射界面S2が形成されているために、当該表示層20および反射界面形成上層21を透過した光のうち界面反射光が選択的に反射されてこの界面反射光が再び表示層20および反射界面形成上層21を透過し、従って、表示層選択反射光および界面反射光の両者による光によって構造色が発現される。
一方、この表示部材においては、前記特定の反射界面S2に入射された光がすべて界面反射光となる場合、すなわち表示部材に入射された光が全反射される場合は、観察者は構造色の発現を視認できなくなる。
そして、この表示部材によれば、前記特定の反射界面S2の特性により前記界面反射光が制御されており、従って、構造色の発現を視認できる可視角度範囲が適宜に規定され、従って、観察角が大きい場合に構造色の発現が防止される角度依存性が実現され、その結果、高いセキュリティ性が得られる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の実施の形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、平均粒径、CV値および屈折率の測定は、上述の方法と同様の方法によって行った。
〔球体分散液の調製例1〕
スチレン(St)71質量部、n−ブチルアクリレート(BA)20質量部およびメタクリル酸(MAA)9質量部を80℃に加温して単量体混合液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液と上記の単量体混合液とを混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記の乳化分散液とドデシルスルホン酸ナトリウム0.09質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合処理を行うことによって微粒子の分散液を得、これを遠心分離機により大径粒子/小径粒子を分離し、単分散性の高い球体の分散液(以下、「球体分散液」という。)〔1〕を得た。この球体分散液〔1〕中の球体〔1〕は平均粒径が280nm、CV値が2.8、屈折率が1.56であった。
〔球体分散液の調製例2〕
メタノール47.4質量部、純水12.6質量部、アンモニア3.0質量部よりなる混合溶液を調製し、これを、撹拌装置および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に投入し、温度20℃で撹拌しながらシリコンメトキシド22.8質量部を滴下し、加水分解を行い、単分散性の高い球体〔2〕による球体分散液〔2〕を得た。この球体分散液〔2〕中の球体〔2〕は平均粒径が240nm、CV値が5.2、屈折率が1.45であった。
〔球体分散液の調製例3〕
トルエン90質量部にポリメタクリル酸メチル(PMMA)10質量部、三酸化二鉄90質量部を機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、PMMA/三酸化二鉄分散液を調製した。この液を、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた界面活性剤溶液と混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
この乳化分散液を60℃で加熱、減圧してトルエンを蒸発させ、PMMA樹脂中に三酸化二鉄を分散させた真球微粒子による分散液を得、この分散液を遠心分離機により大径粒子および小径粒子を分離し、単分散性の高い球体〔3〕による球体分散液〔3〕を得た。この球体分散液〔3〕中の球体〔3〕は平均粒径が150nm、CV値が8.4、屈折率が2.87であった。
〔球体分散液の調製例4〕
チタンアルコキシド重合法によって合成した球状の酸化チタン(ルチル型、平均粒径:150nm、CV値:7.4、屈折率:2.76)20質量部をドデシルスルホン酸ナトリウム0.02質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた界面活性剤溶液中に分散させることにより、球体〔4〕による球体分散液〔4〕を得た。
<実施例1>
(表示部材の製造例1)
洗浄したガラス板に、球体分散液〔1〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの周期構造体を形成させた。次いで、シリコーンゲルを周期構造体の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させた後、60℃で1時間加熱して固形化して表示層〔1〕を形成させ、これをガラスから剥離した。シリコーンゲルによるマトリックスの屈折率を表1に示す。
一方、黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、フッ素ゲルを塗布して100℃で30分間加熱して硬化させて厚み10μmのフッ素ゲル膜を形成させた。フッ素ゲル膜よりなる反射界面形成層の屈折率を表1に示す。
そして、フッ素ゲル膜上に、上記の表示層〔1〕を積層させることにより、シート状の表示部材〔1〕を得た。
この表示部材〔1〕は、当該表示部材〔1〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、赤色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔1〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜52度においては構造色の発現を観察することができ、観察角θ=53〜90度においては黒色しか観察することができなかった。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔1〕が観察角によっては構造色の発現が防止される角度依存性を有することが確認された。
<実施例2>
(表示部材の製造例2)
黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、フッ素樹脂を塗布した後、当該フッ素樹脂による塗膜上に洗浄したガラス板を積層させ、このガラス板上に、球体分散液〔2〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの周期構造体を形成させた。次いで、ポリビニルアルコール20質量%水溶液を周期構造体の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させた後、110℃で1時間加熱して固形化して表示層〔2〕を形成させ、さらに厚さ5μmの透明PETフィルムを接着させることにより、シート状の表示部材〔2〕を得た。ポリビニルアルコールによるマトリックスの屈折率を表1に示す。また、ガラス板よりなる反射界面形成用上層およびフッ素樹脂による塗膜よりなる反射界面形成用下層の屈折率を表1に示す。
この表示部材〔2〕は、当該表示部材〔2〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、黄色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔2〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜38度においては構造色の発現を観察することができ、観察角θ=39〜90度においては黒色しか観察することができなかった。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔2〕が観察角によっては構造色の発現が防止される角度依存性を有することが確認された。
<実施例3>
(表示部材の製造例3)
黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、単分散性の高い粒径2μmのPMMA粒子1質量%エタノール液を噴霧してPMMA粒子を付着させた後、洗浄した高屈折ガラス板を積層させてPETシートと高屈折ガラス板との間に空気層を形成し、高屈折ガラス板上に、球体分散液〔3〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの周期構造体を形成させた。次いで、酸化チタン(後記のポリエステルに対して20質量%)を含有するポリエステルの20質量%トルエン溶液を周期構造体の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させた後、60℃で1時間加熱してトルエンを除去することにより固形化して表示層〔3〕を形成させ、さらにこの表示層〔3〕上にUV硬化樹脂を塗布してUVランプを30秒間照射することにより保護層を形成して、これによりシート状の表示部材〔3〕を得た。酸化チタンを含有するポリエステルによるマトリックスの屈折率を表1に示す。また、高屈折ガラス板よりなる反射界面形成用上層および空気層よりなる反射界面形成用下層の屈折率を表1に示す。
この表示部材〔3〕は、当該表示部材〔3〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、赤色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔3〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜21度においては構造色の発現を観察することができ、観察角θ=22〜90度においては黒色しか観察することができなかった。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔3〕が観察角によっては構造色の発現が防止される角度依存性を有することが確認された。
<実施例4>
(表示部材の製造例4)
黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、フッ素樹脂を塗布して100℃で30分間加熱して固形化させてフッ素樹脂膜を形成した後、当該フッ素樹脂膜上にFe3 2 (後記のPMMAに対して1000質量%)を含有するPMMAの5.5質量%トルエン溶液を塗布・乾燥させて厚み5μmのFe3 2 /PMMA層を形成させた。その後、このFe3 2 /PMMA層上に、球体分散液〔4〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み20μmの周期構造体を形成させた。次いで、ポリエステル樹脂粉末を周期構造体の上から塗布し、100℃で30分間加熱して球体間に浸透させて固形化して表示層〔4〕を形成させ、さらに、厚み5μmの透明PETフィルムを接着させることによりシート状の表示部材〔4〕を得た。ポリエステル樹脂粉末によるマトリックスの屈折率を表1に示す。また、Fe3 2 /PMMA層よりなる反射界面形成用上層およびフッ素樹脂膜よりなる反射界面形成用下層の屈折率を表1に示す。
この表示部材〔4〕は、当該表示部材〔4〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、黄色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔4〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜26度においては構造色の発現を観察することができ、観察角θ=27〜90度においては黒色しか観察することができなかった。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔4〕が観察角によっては構造色の発現が防止される角度依存性を有することが確認された。
<比較例1>
(表示部材の製造例5)
表示部材の製造例1において、フッ素ゲル膜(反射界面形成層)を設けなかったことの他は同様にして、シート状の表示部材〔5〕を得た。
この表示部材〔5〕は、当該表示部材〔5〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、赤色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔5〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜90度において構造色の発現が観察された。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔5〕が観察角によらず構造色の発現が得られてしまうことが確認された。
<比較例2>
(表示部材の製造例6)
表示部材の製造例2において、フッ素樹脂による塗膜よりなる反射界面形成用下層を形成させなかったことの他は同様にして、シート状の表示部材〔6〕を得た。
この表示部材〔6〕は、当該表示部材〔6〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、黄色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔6〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜90度において構造色の発現が観察された。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔6〕が観察角によらず構造色の発現が得られてしまうことが確認された。
<比較例3>
(表示部材の製造例7)
表示部材の製造例1において、フッ素ゲルの代わりにポリエステル樹脂を用いたことの他は同様にして、シート状の表示部材〔7〕を得た。
この表示部材〔7〕は、当該表示部材〔7〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、緑色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔7〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜90度において構造色の発現が観察された。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔7〕が観察角によらず構造色の発現が得られてしまうことが確認された。
<比較例4>
(表示部材の製造例8)
表示部材の製造例3において、高屈折ガラス板の代わりにセレン化砒素を含有するPMMA板を用いたことの他は同様にして、シート状の表示部材〔8〕を得た。
この表示部材〔8〕は、当該表示部材〔8〕に垂直な正面方向(表示層の垂線との観察角θ=0度)から目視で観察したところ、赤色の構造色を呈するものであった。
(構造色の視認性の評価)
この表示部材〔8〕について、観察角θを1度ずつ変化させて目視で観察したところ、観察角θ=0〜16度においてのみ構造色を観察することができ、観察角θ=17〜90度においては黒色しか観察することができなかった。この結果を表2に示す。
以上により、この表示部材〔8〕が構造色を観察できる可視角度範囲が極めて小さいものであることが確認された。
本発明の表示部材は、セキュリティ性の高いディスプレイなどとして利用することができる。
本発明の表示部材の構成の一例を模式的に示す説明用断面図である。 本発明の表示部材を構成する表示層の別の一例を模式的に示す説明用断面図である。 本発明の表示部材の構成の別の一例を模式的に示す説明用断面図である。
符号の説明
10,10A 表示層
11 反射界面形成層
12 球体
13 基板
15 球体層
16 周期構造体
20 表示層
21 反射界面形成上層
22 反射界面形成下層
D 層間隔
M マトリックス
S1,S2 反射界面
S1a,S1b 接触領域

Claims (2)

  1. 球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層と、当該表示層を透過する光を反射する反射界面とを有する表示部材であって、
    前記反射界面は、前記表示層と、当該表示層に接する状態に設けられた反射界面形成層とにより形成され、
    前記球体の屈折率をna、前記マトリックスの屈折率をnb、前記反射界面形成層の屈折率をncとした場合に、下記関係式(1)および下記関係式(2)を共に満足することを特徴とする表示部材。
    関係式(1):0.35<nc/na<1.00
    関係式(2):0.35<nc/nb<1.00
  2. 球体およびマトリックスよりなり、構造色を発現する表示層と、当該表示層を透過する光を反射する反射界面とを有する表示部材であって、
    前記反射界面は、反射界面形成上層と、当該反射界面形成上層に接する状態に設けられた反射界面形成下層とにより形成され、
    前記マトリックスの屈折率をnb、前記反射界面形成上層の屈折率をnc1、前記反射界面形成下層の屈折率をnc2とした場合に、下記関係式(3)および下記関係式(4)を満足することを特徴とする表示部材。
    関係式(3):nb≦nc1
    関係式(4):0.35<nc2/nc1<1.00
JP2008069700A 2008-03-18 2008-03-18 表示部材 Expired - Fee Related JP4867938B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008069700A JP4867938B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 表示部材
US12/403,910 US8049965B2 (en) 2008-03-18 2009-03-13 Display member

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008069700A JP4867938B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 表示部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009223181A JP2009223181A (ja) 2009-10-01
JP4867938B2 true JP4867938B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=41088641

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008069700A Expired - Fee Related JP4867938B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 表示部材

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8049965B2 (ja)
JP (1) JP4867938B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009139799A (ja) * 2007-12-10 2009-06-25 Konica Minolta Business Technologies Inc 表示部材
JP5549059B2 (ja) * 2008-07-09 2014-07-16 凸版印刷株式会社 偽造防止構造体及びそれを用いた偽造防止枚葉体、並びにその真偽判定方法
JP2011104931A (ja) * 2009-11-20 2011-06-02 Konica Minolta Business Technologies Inc 構造色表示用材料およびその製造方法
KR20120078395A (ko) 2010-12-31 2012-07-10 삼성전자주식회사 반사구조체 및 이를 포함하는 표시장치
KR101296323B1 (ko) * 2012-08-28 2013-08-13 광주과학기술원 전자파 흡수체 및 그 제조 방법
JP6222657B2 (ja) * 2012-08-29 2017-11-01 学校法人東京理科大学 構造色発色基材及びその作製方法
CN105204104B (zh) 2015-10-30 2018-05-25 京东方科技集团股份有限公司 滤光片及其制作方法、显示基板及显示装置
EP3470893A4 (en) 2016-06-08 2020-02-26 Toppan Printing Co., Ltd. DISPLAY BODY
JP7172160B2 (ja) * 2018-06-18 2022-11-16 日本電信電話株式会社 充填用樹脂を充填した光導波路回路

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5627426A (en) * 1993-03-22 1997-05-06 General Electric Company Lamp with IR reflecting film and light-scattering coating
EP0627638A1 (en) * 1993-06-02 1994-12-07 Hughes Aircraft Company Elliptical diffuser
EP0855043B1 (en) * 1995-06-26 2003-02-05 Minnesota Mining And Manufacturing Company Diffusely reflecting multilayer polarizers and mirrors
JP3365760B2 (ja) * 2000-06-07 2003-01-14 帝人株式会社 発色構造体
WO2003032073A1 (en) * 2001-09-27 2003-04-17 Tsujiden Co., Ltd. Reflective film
WO2003035389A1 (fr) * 2001-10-25 2003-05-01 Matsushita Electric Works, Ltd. Substrat de support a film mince composite, substrat de support a film conducteur transparent et corps emetteur pour eclairage de panneau
JP4269140B2 (ja) * 2001-11-30 2009-05-27 日産自動車株式会社 光反射機能物体
JP4273754B2 (ja) * 2002-11-27 2009-06-03 凸版印刷株式会社 偽造防止転写箔、偽造防止シール、及び、偽造防止媒体ならびにその製造方法
JP3995242B2 (ja) 2003-03-05 2007-10-24 綜研化学株式会社 視感される有彩光色が構造色である光発色部材、その製造方法及びその製造方法を用いる電着カラー板の製造方法
JP4254367B2 (ja) * 2003-06-17 2009-04-15 凸版印刷株式会社 転写シート及びその製造方法
JP4925025B2 (ja) 2004-07-12 2012-04-25 独立行政法人物質・材料研究機構 構造色発現弾性体
US7579300B2 (en) * 2005-05-30 2009-08-25 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. Image recording material and image formation process thereof
US9327538B2 (en) * 2006-01-05 2016-05-03 Ppg Industries Ohio, Inc. Bragg diffracting security markers
US20080123192A1 (en) * 2006-11-29 2008-05-29 Ching-Bin Lin Two-in-one light guide means
JP2009139799A (ja) * 2007-12-10 2009-06-25 Konica Minolta Business Technologies Inc 表示部材
JP2011104931A (ja) * 2009-11-20 2011-06-02 Konica Minolta Business Technologies Inc 構造色表示用材料およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20090237800A1 (en) 2009-09-24
JP2009223181A (ja) 2009-10-01
US8049965B2 (en) 2011-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4867938B2 (ja) 表示部材
JP2009139799A (ja) 表示部材
JP7312607B2 (ja) 保護層を有する多孔性低屈折率層を備える光学要素
US7800814B2 (en) Structural color display
JP6247534B2 (ja) 光学拡散性低屈折率要素
KR101055706B1 (ko) 유동성 콜로이드 결정체 및 이를 이용하여 삼차원 정합체를제조하는 방법
JP6309764B2 (ja) 相互接続された空隙を有する低屈折率拡散体要素
CN102834743B (zh) 改善液晶显示装置的纯黑感和图像清晰度的方法
JP2010060974A (ja) 表示部材
JP5104269B2 (ja) 構造色ディスプレイ
JP2008070867A (ja) ゼロ次回折フィルタ
JPH09171709A (ja) 光拡散シート用樹脂微粒子および光拡散シート
JP5304065B2 (ja) 表示部材の製造方法
KR20150020059A (ko) 초기 콘트라스트가 향상된 감열기록재료
JP5304048B2 (ja) 異形粒子、組成物、及び光学材料用成型品
JP5262886B2 (ja) 画像形成方法
JP5262885B2 (ja) 画像形成方法
JP4663990B2 (ja) 球状微細粒子の3次元粒子整合体の製造方法、その3次元粒子整合体及びその3次元粒子整合体塗工膜の製造方法。
JP2014047231A (ja) 構造色発現用組成物及び構造色発現膜
JP5003591B2 (ja) 表示部材
JP2010237565A (ja) 光学シート及びバックライトユニット
TW201128239A (en) Optical laminate and manufacturing method thereof as well as polarizing plate and display device using the same
JP2009265321A (ja) 表示媒体
JP2009210501A (ja) サーモカラーセンサー、示温デバイス、温度検出方法および温度分布検出方法
JP2010078932A (ja) 表示部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111018

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4867938

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees