JP3995242B2 - 視感される有彩光色が構造色である光発色部材、その製造方法及びその製造方法を用いる電着カラー板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造色として有彩光色を呈する光発色部材に関し、より詳細には、染料及び/又は顔料等の彩色性染顔料で着色されていない有機ポリマー又は無機の球状微粒子で構成されている光発色部材であって、可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光色が、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を視感させる光発色部材に関する。
また、本発明は、電気泳動下にこのような光発色部材を形成させる光発色部材の製造方法及びこの製造方法を用いてなる電着カラー板の製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、我々が色を視感する場合に、カラーテレビのように、電子ビームの照射を受けて生じたR、G、Bの三種の蛍光物質が光源として放出する光が、我々に有彩光色を視感させる光源色と、物に色をつける染料又は顔料なる染顔料物質(又は着色材)が、可視光線の特定の波長を強く吸収することで、反射又は透過する特定波長を、色みの有る有彩色として視感させる物体色とがある。
更には、我々は物資系に太陽光又は白色光が照射されて、光の屈折(虹)、回折(液晶)、散乱(青空、夕焼け)及び干渉(水面の油膜、シャボン玉、オパール)等の光の方向変更によって分光された色光を視感することができる。これらは、光が照射された物質系が、特定波長領域の可視光を吸収するか、透過するか、反射するかして、透過色、吸収色及び反射色の何れかが優先されて、その物質系の特定有彩発色(又は着色)として我々の目に視感されるものである。
【0003】
そこで、可視光波長領域(380〜780nm)において、太陽光又は白色光が物質に照射された後、分光反射されて我々の目に入る特定波長領域(nm)とその物質系の色光として発色する色との関係を反射率曲線で表すと、例えば、赤色系は600nm以上の全波長領域の反射光で、黄色系は490nm以上の全波長領域の反射光で、緑色系は460〜590nm内の全波長領域の反射光で、青色系は510nm以下の全波長領域の反射光で、また、紫色系は緑色系の丁度逆の460〜590nm内全波長領域が吸収されて、それ以外の全波長領域の反射光等であって、可視光が照射されて我々が視感する特定色の反射発色(又は反射光色)とは、対応するこの特定波長領域の反射光色である。
【0004】
そこで、【特許文献1】には、顔料等の着色材を用いない単分散酸化チタン粒子を基材上に堆積させた薄膜において、その粒子の粒径に応じて、その外観色調が、赤色系から青色系の干渉色調になる単分散酸化チタンの単層及び多層薄膜が記載されている。
【0005】
また、【特許文献2】には、干渉による着色光が明瞭に見えるために、標準色立体において明度が6以下で、彩度が8以下の黒色或いは暗色である合成樹脂等の撥液性の下地層表面上に、無着色の単分散の固体微粒子が凝集配列されている規則的周期構造物なる付着物が、光干渉発色の明瞭な単色光を呈することが記載されている。これらの発色物を例えば、ドットとしてインクジェット記録の発色表示物(記録物)に用いることができる。この付着記録物を構成する無着色の固体微粒子の粒径分布は単分散であって、このような固体微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、シリカ・アルミナ、チタニア・セレン、チタニア・セレン・シリカ等の無機酸化物微粒子や、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂等の有機ポリマー微粒子が挙げられ、その数平均粒子径が100〜1000nmの範囲にあると記載されている。
【0006】
また、従来から、その発色が顔料に由来せずに鮮やかな群青色や、青空のオパール様回折発色を視認させるモルフォ蝶は、その羽のリン粉の表面構造としてサイズが、0.65μmの光の波長程度の規則的な線状回折格子が存在していることが知られている。そこで、【特許文献3】には、ポリスチレンや、シリカ等の0.1〜10μmオーダー微粒子(球)が最密充填された六方格子単層微粒子膜を有する角度異存のないオパール様回折発色膜について記載されている。両者の回折発色を比較すると、モルフォ蝶のきらきら光る美しオパール様回折光は、極めて規則的な線状回折格子から生まれるのに対して、【特許文献3】では極めて規則的な点状回折格子が係わっていると記載されている。しかしながら、【特許文献3】に記載されている回折発色は、何れの粒子も無色なので、通常の光照射下では発色が視感されず、暗視野下での回折光で鮮やかな回折発色が見られると記載されている。
【0007】
また、【非特許文献1】に開示されている孔雀の羽の微細構造に係わる輝く構造色は、眺める角度を変化させることで黄色から緑色に色が変わって見える光の干渉色である。また、その羽の表面のSEM写真から、粒状物が規則的に数層にわたって配列されていて、その粒径は140nm程度の光の波長より小さいものであって、その粒状物は、メラミン色素の顆粒で、このメラミン色調の顆粒が光を吸収させる作用を果たしていると記載されている。
【0008】
また、【特許文献4】には、粒径0.05〜1μmのアクリル樹脂微粒子を分散含有するメッキ浴中に浸漬させる金属板陰極上に、樹脂微粒子と金属を同時に析出させる電気泳動メッキ法が記載されている。
【0009】
また、【特許文献5】には、有機顔料微粒子をアクリル樹脂でコートさせて易泳動性にし、この顔料微粒子を含有するアニオン系電着塗料浴中に漬かるステンレス又はアルミニウム製の陰極板上に、この有機顔料微粒子を電気泳動させてなる電着塗装法が記載されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−206719号公報
【特許文献2】
特開2001−239661号公報
【特許文献3】
特開平08−234007号公報
【特許文献4】
特開昭62−99498号公報
【特許文献5】
特開平04−154999号公報
【非特許文献1】
吉岡,OplusE,vol.23,No.3,323(2001)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況下にあって、従来から染顔料を用いない粒径が一様な透明材料からなる微粒子すなわち単分散微粒子を規則的に配列させることで、その微粒子配列による光の干渉が起こる。このような積層構造体に係わる特有の干渉色調(反射光色)を呈する光色部材が多く報告されている。
既に上述した【特許文献1】に記載する単分散酸化チタンに関しては、粒径を制御することでその大きさに準じて、その外観干渉光色調が、赤色系から青色系に自在に調製できる単分散酸化チタンの薄膜であると記載されている。しかしながら、このような色みになるように粒径を制御すると記載されているものの、具体的に粒径と色み(又は色調)が、どのような係わりにあるのか全く開示も示唆もされていなく、単に粒径によって色みが変化すると記載されているものである。また、シリカ等の各種の無機質粒子や有機高分子粒子からなるこのような成膜も可能であると記載されているが、これらについても全く具体的な開示も示唆もなされていない。
【0012】
また、【特許文献2】に記載する光透過性の単分散の固体微粒子を凝集配列させた規則的周期構造物が、光干渉発色の明瞭な単色光を呈するのは、明度が6以下で、彩度が8以下の黒色或いは暗色の基板上(下地層表面上)に、この規則的周期構造物が形成されることで発色が視感されるものである。これは、【特許文献2】に記載されている如く、明瞭な干渉色光を視感するには、微粒子配列凝集物から反射される干渉光に比べて、下地を上記する特定の明度及び彩度の黒色或いは暗色にすることで、下地面からの散乱反射光が充分に弱められるからである。また、このような固体微粒子の数平均粒径は、100〜1000nmの範囲にあって、その具体的に開示されているシリカ微粒子の上記配列凝集物のSEM観測から、粒子径と干渉反射光の色みは、粒子径280nmで赤色、粒子径250nmで緑色、また粒子径205nmで青色と記載されている。
【0013】
また、既に上述した如く、【特許文献3】に記載する、ポリスチレンや、シリカ等の0.1〜10μmオーダーの微粒子を最密充填させた六方格子単層微粒子膜の光発色は、極めて規則的な点状回折格子に係わる回折発色である。これらの回折発色は、何れの粒子も無色なので、通常の光照射下では発色せず着色を視感されず、暗視野下の回折光で見られる回折発色として視感されるものである。
【0014】
そこで、本発明の目的は、所定の平均粒子径を有する有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子を用いて形成された構造物表面に、自然光(又は白色光)可視光波長領域光の照射下に視感される垂直反射光色が、色み(又は色調)に深み感のある明確な有彩光色で、しかも、視感される有彩光色種と、その表面を形成する有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子の平均粒子径とが、明確な係わりを有している光発色部材を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子がサスペンドするサスペンジョン中での電気泳動下に、浸漬電極板上にこのような光発色部材を効率的に泳動堆積させてなる光発色部材の製造方法を提供することである。
【0016】
更に、本発明の他の目的は、このような電気泳動下に電極である鋼板、ステンレス板、アムミニウム板及びアルミ合金板等の下地金属板上に、このような光発色部材を一様に泳動堆積させてなるカラーが構造色として視感される有彩光色である電着カラー板の製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、鮮やかな光の干渉色を呈する孔雀の羽の表面には、メラミン質の顆粒状物が規則的に数層に配列されていることに着目して、粒径が数百nmのアクリル系ポリマーの単分散微粒子に、予め黒色染料で着色させた黒色系無彩色粒子の水性分散体を調製し、これを透明基材面上に乾燥積層物として形成させたところ、その積層物表面が、自然光の照射下に色み(又は色調) に深み感のある赤色の有彩色を呈していた。その表面構造をSEM写真像で観察したところ、全く色みの無い黒色系無彩色の球状粒子が規則的に整合されている粒子状積層物であることを見出して、本発明を完成させた。
【0018】
本発明によれば、SEM写真画像から、有機ポリマー又は無機の黒色系無彩色の単分散球状粒子が、平面方向に密に規則的に整合(又は配列)されてなる粒子状積層物の表面に、波長領域380〜780nmの可視光線を照射させると、目に視感される垂直反射光色が、このポリマー微粒子の明確な特定粒子径との係わりを有し、しかも、明確な赤、緑、青等の色みの有彩光色を呈することを特徴とする光発色部材を提供する。
【0019】
すなわち、本発明による光発色部材は、その表面で太陽光(又は白色光)可視光波長領域光線が照射されて視感される垂直反射光色が、明確な赤、青、緑等の色みの有る有彩色を視感させるものである。その表面は、上述する如く特定の有機ポリマー又は無機の黒色系無彩色の単分散球状粒子が、平面方向に規則的に整合されている粒子状積層物であることが特徴である。マンセル色票における明度が5以下の無彩色の単分散粒子であることが特徴である。また、このような表面を形成する有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子は、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色等から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色の単分散球状粒子であることが特徴である。更には、この単分散球状粒子は、体積基準で表す平均粒子径(d)が100〜500nmの範囲にある特定の粒子径を有していることが特徴である。
【0020】
また、本発明によれば、コロイド状黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子が分散するサスペンジョン中に、対向する一対の電極板を浸漬させ、所定の印加電圧下に泳動させて、電極板上に構造色を発色する粒子状積層物を泳動堆積(又は電着)させる。この堆積粒子状積層物に自然光(又は白色光)可視光波長領域光を照射させて視感される垂直反射光色が、明確な有彩光色を呈していることを特徴とする構造色なる光発色部材の製造方法を提供する。
【0021】
すなわち、このサスペンジョン中には、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色で、且つ体積基準で表す平均粒子径(d)が100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有する有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子が5〜50重量%濃度でサスペンドされている。
このサスペンジョン中に、対向する一対の電極板を浸漬させ、電極間に1.5V以上の電圧を印加させ、サスペンドする黒色系無彩色の単分散球状粒子を泳動させ、対向する何れか一方の電極板上に泳動堆積させる。この堆積物は、有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子が平面方向に規則的に整合された数層の粒子状積層物として形成され、構造色として明確な有彩光色を呈する光発色部材である。
【0022】
更には、本発明によれば、有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子がサスペンドするサスペンジョン中で、電気泳動下に電極板上に泳動堆積させてなる光発色部材の製造方法を用いて、視感されるカラーが構造色としての有彩光色であることを特徴とする電着カラー板の製造方法を提供する。
【0023】
すなわち、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色で、且つ体積基準で表す平均粒子径(d)が100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有する有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子が5〜50重量%濃度でサスペンドするサスペンジョンを調製する。このサスペンジョン中に、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板及びアルミニウム合金板から選ばれる何れか一種の金属板を、対向する一対の電極板として浸漬させる。次いで、電気泳動下に構造色なる光発色部材を製造する方法を用いて、上記する一対の何れか一方の電極板上に、サスペンド粒子である有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子を平面方向に規則的に泳動堆積させてなる粒子状積層物が構造色としての有彩光色を視感させる電着カラー板である。
【0024】
(作用)
このような本発明による光発色部材は、後述する図1又は図2に示すSEM写真像から明らかなように、平均粒子径の分布が単分散である球状微粒子が、規則的に整合されている粒子状積層構造である。しかも、その平均粒子径が100〜500nmの範囲にあって、その粒子サイズが可視光波長領域内(380〜780nm)にあることにより、照射された可視光がこの粒子状積層構造物の表面において、効果的に回折干渉されて、この粒子径100〜500nmの範囲における特定の粒子径に係わって、回折干渉されて赤、青、緑等の特定の有彩色を発色する波長領域光として分光反射される。また、本発明においては、この球状微粒子が、マンセル色票における明度が5以下の色みの無い黒色系の無彩色単分散粒子である。これによって、照射された可視光の一部が、その粒子の周辺で発生すると思われる本発明が目的とする反射光以外の散乱、透過等の迷光を、適宜に効果的に吸収して削減させるのであろう。その結果、効果的に回折干渉した反射光色が、より色みが鮮明な有彩色として視感させるものと思われる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による光発色部材の実施形態に基づいて、光発色部材が発揮する特徴について更に説明する。
【0026】
既に上述した如く、本発明による光発色部材は、少なくとも有機ポリマー又は無機の黒色系無彩色の単分散球状粒子が、平面方向に規則的に整合(又は配列形成)された粒子状積層物である。その粒子状積層物の表面は、図1又は図2に示すSEM写真像から明らかなように、平面方向に規則的に整合された粒子が、恰も粒子状の結晶格子のような表面を呈している。本発明においては、このような粒子状積層物面に自然光(又は白色光)の可視光波長領域光(380〜780nm)が照射されると、視感されるその垂直反射光色は、少なくとも色みの有る明確な赤、緑、青等の有彩光色として明確に視感されることが特徴である。
【0027】
また、このような特徴を有する本発明の光発色部材が発色する有彩光色種が、この単分散微粒子の明確な所定の粒子径との係わりを有し、しかも、恰も光源色のように発色する構造色であることが顕著な特徴である。
【0028】
また、本発明による光発色部材が、このような明確な有彩光色を発揮するためには、この単分散性の有機ポリマー又は無機の球状粒子が、少なくとも無彩色で、灰色、黒褐色及び黒色等の無彩色(マンセル色票で表される明度が7以下の無彩色)の黒色系無彩色単分散球状粒子であることが特徴である。
【0029】
すなわち、既に上述したように、照射された可視光の一部が、この光発色部材の表面である粒子状積層物面で、その粒子の周辺で生ずる本発明が目的とする反射光以外に生じる散乱、透過等による迷光を適宜効果的に吸収し、削減させる効果を発揮させる。そこで、本発明においては、この反射光色の色みをより鮮明にさせることから、好ましくは、この明度が5以下、更に好ましくは3以下の色みの無い無彩色であることがよい。従って、本発明においては、このような無彩色粒子として、マンセル色票で表される明度及び彩度が、略ゼロである黒褐色、更には、黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機単分散球状粒子であることが、より好適に用いられる。
【0030】
また、このような特徴を有する本発明による光発色部材を形成させている有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子は、体積基準で表される平均粒子径(d)が100〜500nmの範囲にある特定の粒子径を有している。その有彩光色をより鮮明に発色させる観点から、好ましくは、この平均粒子径が150〜350nmの範囲にあることが好適である。
【0031】
また、既に上述する如く、図1に示すSEM写真像から明らかなように、このような特徴を有する本発明による粒子状積層物としての光発色部材は、恰も規則的整合した粒子によって、結晶格子面を形成しているように観察される。従って、その表面に照射される可視光が、この粒子状格子面(粒子状積層物面)に係わって回折干渉して反射される反射効率が、光発色部材の発色する色みに及ぼすことから、好ましくは、この有機ポリマー及び無機ポリマー球状粒子が単分散粒子であることが好適である。そこで、本発明においては、その単分散性を表す粒子径の均斉度であるCv値が、5%以下であって、反射光色の色みの濃さ、鮮明さから、より好ましくは3%以下の単分散粒子であることが好適である。また、本発明においては、この粒子状積層物面は、好ましくは厚さ方向の規則配列が、少なくとも2配列以上であることが、垂直反射光色をより鮮明に、より深みのある色めの構造色を呈する。
【0032】
そこで、本発明による光発色部材の粒子状積層物を形成する、例えば、有機ポリマー微粒子に係わる表面に、可視光線が照射されて視感されるその垂直反射光色は、例えば、紫色系、青色系、緑色系、黄色系及び赤色系等の色みの垂直反射光色である。既に上述する如く、これらの垂直反射光色は、以下に記載する如く特定の平均粒子径(d)なる係わりを有している。すなわち、(イ)d=160〜170nmの範囲においては、発色する有彩光色が紫色系(P)である。(ロ)d=180〜195nmの範囲においては、発色する有彩光色が青色系(B)である。(ハ)d=200〜230nmの範囲においては、発色する有彩光色が緑色系(G)である。(ニ)d=240〜260nmの範囲においては、発色する有彩光色が黄色系(Y)である。(ホ)d=270〜290nmの範囲においては、発色する有彩光色が赤色系(R)である。
【0033】
そこで、以上のような特徴を発揮する本発明の光発色部材である粒子状積層物に係わって、この有機ポリマー単分散球状粒子として、必ずしも以下に記載するポリマー種に特定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、テトラフルオロエチレンン、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリベンジルメタアクリレート、ポリフェニレンメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。本発明においては、既に上述した如く太陽光等の自然光又は白色光の照射下に、その可視光波長領域光に係わる光発色部材の反射光色を視感することから、そのポリマー樹脂は、特に耐候性に優れて樹脂自体が、光劣化変色を起こし難い耐候性に優れていることも重要である。このような観点から、好ましくは、従来から周知の事実である耐候性に優れる(メタ)アクリル系、(メタ)アクリル−スチレン系、フッ素置換(メタ)アクリル系及びフッ素置換(メタ)アクリル−スチレン系から選ばれる何れかのアクリル系の有機ポリマー微粒子が適宜好適に使用される。
【0034】
そこで、モノマー種で表すアクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ)アクリル酸ペンチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ノニル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸フェニル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシエチル,(メタ)アクリル酸プロポキシエチル,(メタ)アクリル酸ブトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド,N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類並びにグリシジル(メタ)アクリレート;エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジエチルグリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。また、上述する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他のモノマーとしては、例えば、スチレン,メチルスチレン,ジメチルスチレン,トリメチルスチレン,エチルスチレン,ジエチルスチレン,トリエチルスチレン,プロピルスチレン,ブチルスチレン,ヘキシルスチレン,ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン,クロルスチレン,ブロモスチレン,ジブロモスチレン,クロルメチルスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン,アセチルスチレン,メトキシスチレン等のスチレン系モノマーを挙げることができる。更に、スチレン系モノマー以外の他のモノマーとして、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,n−酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,カプロン酸ビニル,パーサティック酸ビニル,ラウリル酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル等が挙げられる。更にはまた、必要に応じて、官能基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられ、また、これらの誘導体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、また、例えば、水酸基(OH;ヒドロキシル基)を有するモノマーとしては、1,1,1-トリヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート,1,1,1-トリスヒドロキシメチルメチルエタントリ(メタ)アクリレート,1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート,ヒドロキシビニルエーテル,ヒドロキシプロピルビニルエーテル,ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの単独又は2種以上の複合モノマーを適宜好適に使用することができる。更にはまた、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素置換系モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル,(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル−2−パ−フルオロブチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル,(メタ)アクリル酸パ−フルオロメチル,(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメチル等のフッ素置換(メタ)アクリル酸モノマー(又はフルオロ(メタ)アルキルアクリレート)が挙げられ、また、フルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール等のフロオロオレフィンが挙げられる。本発明においては、これらの単独重合体、又は他の重合性モノマーとの共重合体であってもよい。
【0035】
また、本発明に用いる単分散球状粒子は、上述する如く、黒色系無彩色に着色されている以外に、必要に応じて予め他の添加剤として、例えば、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、帯電付与剤、界面活性剤、分散安定剤、消泡剤、安定剤、等を目的用途等に応じて適宜添加させることができる。
【0036】
そこで、これらの重合性モノマーを用いて本発明による光発色部材を調製させる平均粒子径(d)が100〜500nmの範囲にある有機ポリマーの黒色系無彩色の単分散球状粒子は、通常、一般的に用いられているソープフリー乳化重合、乳化重合、懸濁重合等で適宜調製することができる。
【0037】
例えば、ソープフリー乳化重合では、通常、用いる重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が重合時に水性媒体に可溶であればよい。通常、重合単量体100重量部に対して、重合開始剤を0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部の範囲で添加すればよい。また、乳化重合法の場合では、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル等の乳化剤を重合単量体100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部で水性媒体に混合させて乳化状態にし、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩の重合開始剤を、重合単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部で添加すればよい。また、懸濁重合を含め、上記する乳化剤も特に特定する必要がなく、通常に使用されているアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤又は必要に応じてノニオン系界面活性剤等から選んで、その単独又は組合わせて使用することができる。例えば、アニオン系界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート、これらのナトリウム、カリウム塩等が挙げられ、また、カチオン系界面活性剤としてはセチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、また、ノニオン系界面活性剤としては、リピリジニウム等が挙げられる。また、反応性乳化剤(例えば、アクリロイル基、メタクロイル基等の重合性基を有する乳化剤)としては、例えば、アニオン性、カチオン性又はノニオン性の反応性乳化剤が挙げられ、特に限定することなく使用される。また、乳化剤に係わって従来から、分散性や、着色粒子の粒子径が大きくなる傾向からアニオン性の反応性乳化剤が好適に使用され、例えば、スルホン酸(塩)型、カルボン酸(塩)型、リン酸エステル型等が挙げられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルの硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテルの硫酸エステル塩等が挙げられる。また、本発明に用いる黒色系樹脂粒子にするために、例えば、重合単量体、乳化剤及び水との混合系に着色剤である黒色系の油溶性染料又はカーボンブラックを含む黒色系の顔料を適宜分散混合又は懸濁混合させる。
【0038】
そこで、上述する重合性モノマーから適宜選んだ単量体100重量部当たり、水200〜350重量部の範囲にある水を含む系に、例えば、C.Iソルベントブラック27のような黒色系染料の5〜10重量部を、攪拌下に加温し、次いで、乳化剤の0.05〜0.7重量部を添加して、充分に攪拌混合後、窒素パージ下に攪拌しながら60〜80℃に昇温させる。次いで、0.3〜0.6重量部の範囲で過硫酸カリウム等の重合開始剤を添加して、70〜90℃で4〜8時間重合反応を行う。このようなソープフリー乳化重合で得られる反応分散液中には、体積基準で表して平均粒子径が100〜500nmの範囲にある単分散の黒色球状ポリマー粒子が、固形分濃度として20〜40重量%で調製される。なお、本発明においては、後述する実施例の事実からも明らかなように、この単分散の黒色系球状粒子は、その黒色系染料又は顔料が、粒子内に内包着色及び/又は粒子表層に被覆着色されてなる何れの黒色系無彩色の球状粒子を適宜好適に用いることができる。
【0039】
また、本発明において、本発明による光発色部材である粒子状積層物を形成する無機単分散球状粒子として、必ずしも以下の無機ポリマーに限定されないが、本発明において、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニヤ、チタニヤ及びチタニヤ−シリカ、炭化珪素、窒化珪素等を挙げることができる。特に、シリカ、アムミニウム、チタニウム等の金属アルコキシドのゾル−ゲル法で調製した無機ポリマー粒子は比較的着色が容易であり好適に使用できる。その金属アルコキシドとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラブチルシリケート;アルミニウムエトキシド,アルミニウムトリエトキシド,イソブチルアルミニウムメトキシド,イソブチルアルミニウムエトキシド,アルミニウムイソプロポキシド,イソブチルアルミニウムイソプロポキシド,アルミニウムブトキシド,アルミニウムt−ブトキサイド,スズt−ブトキサイド;アルミニウムトリ−n−プロポキシド,アルミニウムトリ−n−ブトキシド;テトラエトキシチタン,テトラ−n−プロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトラ−i−プロポキシチタン,チタンメトキサイド,チタンエトキサイド,チタン−n−プロポキサイド,チタンイソプロポキサイド,チタン−n−ブトキサイド,チタンイソブトキサイド;ジルコニウムエトキサイド,ジルコニウム−n−プロポキサイド,ジルコニウムイソプロポキサイド,ジルコニウム−n−ブトキサイド,エトキサイドテトラ−n−プロポキシジルコニウム等が挙げられる。
【0040】
このように調製される100〜500nmの範囲にある黒色系無彩色の単分散球状粒子が分散するサスペンジョンを平底透明ガラス容器に移して、40℃以上、好ましくは50℃以上、80℃以下で乾燥処理を行う。その乾燥された表面が、図1に示すSEM写真像のように、縦、横方向に規則的に整合された粒子状積層物が形成されている。この粒子状積層物面は可視光照射下に、その垂直反射光色が鮮やかな色みのある有彩光色を視感させる。以上から、このような有彩光色は、既に上述した本発明による粒子状積層物が、従来の物体色としての染顔料着色材とは異なる新規な構造色として有彩光色を呈する光発色部材を提供することができる。
【0041】
また、本発明によれば、このような光発色部材の製造方法として、コロイド状黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散微粒子が分散するサスペンジョン中に、対向する一対の電極板を浸漬させ、所定の印加電圧下に泳動させて、電極面上に構造色を発色する粒子状積層物を泳動堆積(又は電着)させる。この堆積粒子状積層物に自然光(又は白色光)可視光波長領域光を照射させて視感される垂直反射光色が、明確な有彩光色を呈する構造色なる光発色部材を製造することができる。
【0042】
すなわち、このサスペンジョン中には、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる黒色系無彩色で、且つ体積基準で表す平均粒子径が100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有する有機ポリマー又は無機の球状単分散微粒子を5〜50重量%濃度で、好ましくは、10〜30重量%濃度でサスペンドされている。このサスペンジョン中に、対向する一対の電極板を浸漬させ、電極間に1.5V以上の電圧を印加させ、サスペンドする黒色系無彩色の単分散球状微粒子を泳動させて、対向する何れか一方の電極板上に泳動堆積させる。この堆積物は、有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子が平面方向に規則的に整合された数層の粒子状積層物として形成され、本発明による構造色として明確な有彩光色を呈する光発色部材である。また、このようにして電極板に形成された粒子状積層物は、必要に応じて40℃以下で乾燥させ、好ましくは、10〜30℃で適宜風乾させる。その泳動堆積物の粒子状積層構造を図2にSEM写真像として示す。
【0043】
また、本発明によれば、上記する光発色部材の製造方法を用いることで、カラーが従来の染顔料の着色材とは異なる構造色としての有彩光色を呈する電着カラー板を製造することができる。
【0044】
すなわち、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる黒色系無彩色で、且つ体積基準で表す平均粒子径が100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有する有機ポリマー又は無機の単分散球状粒子が5〜50重量%濃度でサスペンドするサスペンジョンを調製する。このサスペンジョン中に、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板及びアルミニウム合金板から選ばれる何れかを一種の板を、対向する一対の電極板として浸漬させる。次いで、既に上述した電気泳動下に構造色なる光発色部材を製造する方法を用いて、上記一対の何れか一方の電極板上に、サスペンド粒子である有機ポリマー又は無機の球状微粒子を泳動させて、図2に示す如く、平面方向に規則的に整合する粒子状積層物として泳動堆積(又は電着)されている。この泳動堆積物は、構造色として色みの深い有彩光色を視感させることから、この電極板は電着カラー板として提供することができる。また、このようにして得られる電着カラー板は、40℃以下で乾燥させた後、必要に応じてその表面に、適宜透明樹脂を塗布させるか、又は、この電着カラー板に適宜透明樹脂を電着塗装することができる。
【0045】
以上から、本発明によって提供される光発色部材は、従来の染顔料の着色材又はその着色材によるカラーが光退色され易い傾向にあるのとは異なり、その有彩光色を呈する構造色は、全く光退色のない耐光性に優れることから、各種の用途に着色材として好適に用いられる。従って、この光発色部材を単独又は二次加工材として、例えば、電着カラー板、カラーシート、カラーフィルター、偏光フィルム、インクジェット記録用インク、グラビア印刷用インク、ホログラム部材、顔料として用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例にいささ
かも限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
容量1リットルの四つ口フラスコに、モノマーのメチルメタクリレート(MMA)の100重量部と黒色染料のC.Iソルベントブラック27の8重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.6重量部、水300重量部とを入れて攪拌混合後、窒素パージ下に攪拌しながら80℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウム0.5重量部を加えて80℃で約6時間重合反応を行った。このソープフリー乳化重合で得られた分散液(S−1)中には、体積基準で表す平均粒子径210nmの略一定の粒子径を有する球状の黒色重合体粒子が調製され、その固形分量は28.2%であった。なお、このスラリー又はこの80℃乾燥物は鮮やかな緑色を呈していた。
【0048】
(実施例2)
次いで、容量1リットルの四つ口フラスコにMMAの80重量部と過酸化ベンゾイル1.0重量部とを入れて溶解させた後、水200重量部と、乳化剤のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の3.3重量部、黒色染料のC.Iソルベントブラック27の6重量部とを加えて強攪拌下に混合させた。次いで、実施例1でえられた分散液(S−1)の28.6重量部を添加し、50℃×0.5時間穏やかに攪拌後、75℃×1.5時間反応させて重合粒子の分散液(S−2)を得た。得られた分散液(S−2)中には、電子顕微鏡法で測定した体積基準で表す平均粒子径290nmの略真球状の単分散の重合体粒子が調製された。その固形分量は29.8%で、このスラリー又はその70℃乾燥物は鮮やかな赤色を呈していた。
【0049】
(実施例3)
実施例3においては、MMA/HEMA系の共重合体である本発明による帯電性着色樹脂微粒子を調製した。すなわち、容量1リットルの四つ口フラスコにMMAの78重量部と、エチレングリコールジメタクリレートの2重量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの15重量部とを加え、次いで過酸化ベンゾイルの0.5重量部とジメチル−2,2、−アゾビス2−メチルプロピオネートの1.0重量部と、C.Iソルベントブラック27の8重量部を加えて溶解させた後、水250重量部、乳化剤のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の10重量部とUNA−Naの0.1重量とを加えて強攪拌下に混合させた。次いで、実施例1でえられた分散液(S−1)の40重量部を添加し、50℃×0.5時間穏やかに攪拌後、78℃×1.5時間反応させた後、90℃×1.5時間熟成させて、重合粒子の分散液を得た。得られた分散液中には、平均粒子径260nmの黒色樹脂粒子が調製された。その固形分量は31%で、このスラリー又は50℃乾燥物は鮮やかな黄色を呈していた。また、このスラリーにサスペンドする黒色系無彩色の単分散ポリマー球状粒子は、ブローオフ法による帯電量は(−)59(μC/g)であった。
【0050】
(実施例4)
実施例3で調製した(−)帯電性の黒色系無彩色の単分散ポリマー球状粒子を25重量%濃度にサスペンドする水性サスペンジョンを調製した。このサスペンジョン中にステンレス板を対向する一対の電極板として浸漬させ、電極間に1.6Vの電圧を印荷させて電気泳動処理を行った。次いで、(+)極板上に一様に泳動堆積させた後、この電極板を取り出し室温にて放置乾燥させたところ、その泳動堆積面の垂直反射光色は、鮮やかな黄色を視感させた。また、この泳動堆積厚は約1.5μmで、その表面には目視できるクラック(亀裂)が見られなかった。
【0051】
【発明の効果】
以上から、本発明による光発色部材は、SEM写真像から明らかなように、平均粒子径100〜500nmの粒子サイズが可視光波長領域内(380〜780nm)にある単分散球状微粒子が、規則的に整合された粒子状積層物で、その粒子が色みのない黒色系無彩色の球状粒子である。
これによって、照射された可視光が本発明による結晶格子のような粒子状積層物面を有する光発色部材の表面では、効果的に回折干渉されて、この粒子径100〜500nmの範囲における特定の粒子径に係わって、回折干渉されて赤、青、緑等の特定の有彩光色を鮮明に発色させる構造色に基づく光発色部材を提供できる。
また、この光発色部材の電気泳動法による製造方法を用いることで、カラー材が従来の染顔料(量着色材)とは異なる、耐光退色の恐れのない構造色をカラー材とする鋼板、ステンレス板又はアルミニウム板等の電着カラー板を提供することができる。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による構造色なる光発色部材のSEM写真像を示す。
【図2】本発明による他の実施例による構造色なる光発色部材のSEM写真像を示す。
【図3】本発明による光発色部材から外れる、通常、非整合下にランダムに集合するSEM写真像を示す。
Claims (10)
- 有機ポリマー球状微粒子で形成されている粒子状構造物表面に、可視光波長領域光の照射によって視感される垂直反射光色が、構造色として明確な有彩光色を呈する光発色部材において、
前記有機ポリマー球状微粒子が、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色で、且つ前記有機ポリマー球状微粒子の体積基準で表す平均粒子径(d)が、100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有し、
前記粒子状構造物表面は、前記有機ポリマー球状微粒子を平面方向に規則的に整合されて構造色としての有彩光色を呈することを特徴とする光発色部材。 - 前記有機ポリマー球状微粒子が、(メタ)アクリル系、(メタ)アクリル−スチレン系、フッ素置換(メタ)アクリル系及びフッ素置換(メタ)アクリル−スチレン系から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の光発色部材。
- 前記有機ポリマー球状微粒子の粒子径の均斉度を表すCv値が、5%以下の単分散粒子であることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の光発色部材。
- 前記有機ポリマー球状微粒子の体積基準で表す平均粒子径が150〜350nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光発色部材。
- 無機球状微粒子で形成されている粒子状構造物表面に、可視光波長領域光の照射によって視感される垂直反射光色が、構造色として明確な有彩光色を呈する光発色部材において、
前記無機球状微粒子が、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色で、
且つ前記無機球状微粒子の体積基準で表す平均粒子径(d)が、100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有し、
前記粒子状構造物表面は、前記無機球状微粒子を平面方向に規則的に整合されて構造色としての有彩光色を呈することを特徴とする光発色部材。 - 前記無機球状微粒子が、ゾル−ゲル法で調製されたシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニヤ及びチタニヤ−シリカから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の光発色部材。
- 前記無機球状微粒子の粒子径の均斉度を表すCv値が、5%以下の単分散粒子であることを特徴とする請求項5〜6の何れかに記載の光発色部材。
- 前記無機球状微粒子の体積基準で表す平均粒子径が150〜350nmの範囲にあることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の光発色部材。
- コロイド状黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子が分散するサスペンジョン中に浸漬する一対の対向電極板上の少なくとも一方に、前記黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子が積層されてなる光発色部材の製造方法において、
前記黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子は、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色で、且つ体積基準で表す平均粒子径(d)が、100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有し、
前記黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子を5〜50重量%の濃度にサスペンドするサスペンジョンを調製し、ついで、前記サスペンジョンに浸漬された一対の対向電極板に1.5V以上の電圧を印加して、前記黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子を泳動させ、前記対向電極板上に、規則的に泳動整合させて構造色 としての有彩光色を呈する粒子状積層物を形成させることを特徴とする光発色部材の製造方法。 - 視感されるカラーが構造色としての有彩光色である電着カラー板の製造方法において、
前記黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子は、少なくとも色みの無い灰色、黒褐色、黒色から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色で、且つ体積基準で表す平均粒子径(d)が、100〜500nmの範囲にある特定粒子径を有し、
前記黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子を5〜50重量%の濃度にサスペンドするサスペンジョンを調製し、ついで、前記サスペンジョンに浸漬された鋼板、ステンレス板、アルミニウム板及びアルミニウム合金板から選ばれる何れか1種の板からなる一対の対向電極板に1.5V以上の電圧を印加して、前記黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機の単分散球状微粒子を泳動させ、前記対向電極板上に、規則的に泳動整合させて構造色としての有彩光色を呈する粒子状積層物を形成させること特徴とする電着カラー板の製造方法。
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